(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240625BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/262
(21)【出願番号】P 2019211460
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小川 昌輝
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-173424(JP,A)
【文献】特開2011-094458(JP,A)
【文献】特開2019-049178(JP,A)
【文献】特開平07-076981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから垂下される第1昇降コードによって第1レールおよび第1遮蔽材が吊り下げ支持されるとともに、前記ヘッドボックスから垂下される第2昇降コードによって前記第1レールの下方に位置する第2レールおよび第2遮蔽材が吊り下げ支持される遮蔽装置において、
前記ヘッドボックスに設けられ
る巻取機構であって、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構、および、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、
第1操作部を操作することによって第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに、第2操作部を操作することによって第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す操作機構と、
降下する前記第1レールが前記第2レールに干渉したときに、前記第1巻取機構の前記第1昇降コードを巻き戻す方向の回転を阻止する弛み抑制機構と、を備え、
前記操作機構は、無端の操作コードを備え、前記操作コードは、前記ヘッドボックスから垂下され前記第1操作部を構成する第1操作コードと、前記ヘッドボックスから垂下され前記第2操作部を構成する第2操作コードと、を備え、
前記第1操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻し、
前記第2操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す
遮蔽装置。
【請求項2】
ヘッドボックスから垂下される第1昇降コードによって第1レールおよび第1遮蔽材が吊り下げ支持されるとともに、前記ヘッドボックスから垂下される第2昇降コードによって前記第1レールの下方に位置する第2レールおよび第2遮蔽材が吊り下げ支持される遮蔽装置において、
前記ヘッドボックスに設けられ
る巻取機構であって、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構、および、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、
第1操作部を操作することによって第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに、第2操作部を操作することによって第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す操作機構と、
前記第2レールが下限位置より上側に位置している状態において、降下する前記第1レールが前記第2レールに干渉したときに、前記第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに前記第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す弛み抑制機構と
を備える遮蔽装置。
【請求項3】
前記第1巻取機構は、
前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取部材を前記第1昇降コードの巻取方向に回転する第1定荷重ユニットと、
前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取部材を前記第2昇降コードの巻取方向に回転する第2定荷重ユニットとを備える
請求項1または2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記操作機構は、無端の操作コードを備え、前記操作コードは、前記ヘッドボックスから垂下され前記第1操作部を構成する第1操作コードと、前記ヘッドボックスから垂下され前記第2操作部を構成する第2操作コードとを備え、
前記第1操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻し、
前記第2操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す
請求項2に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドボックスから第1遮蔽材および第1レールならびに第2遮蔽材および第2レールを吊り下げ支持した遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽装置として、生地をジグザグ状に折り畳み可能としたスクリーンを遮蔽材として用いたプリーツスクリーンがある。例えば、特許文献1のプリーツスクリーンは、中間レールおよび上部スクリーンが第1昇降コードによって吊り下げ支持され、さらに、中間レールより下側にボトムレールおよび下部スクリーンが第2昇降コードによって吊り下げ支持されている。中間レールおよび上部スクリーン、ならびに、ボトムレールおよび下部スクリーンは、各々が別々に昇降され、その昇降操作は、ヘッドボックスより垂下された操作コードを下方に引っ張る操作を行うことによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプリーツスクリーンにあっては、ボトムレールが下限位置より上側に位置している状態において、降下する中間レールが停止しているボトムレールに干渉してしまうことがある。このような場合において、そのまま中間レールを降下する操作が続けられると、第1昇降コードを巻回している巻取プーリが第1昇降コードの巻き戻し方向に回転され続けることで第1操作コードが弛んでしまい、弛んだ第1昇降コードが周辺の部品などに引っかかって操作不良を引き起こしてしまうおそれがある。そこで、この種のプリーツスクリーンにあっては、第1昇降コードの弛みを抑制する遮蔽装置が求められている。
【0005】
このような問題は、プリーツスクリーンだけでなく、横型ブラインドなどの遮蔽装置にも当てはまる。例えば、横型ブラインドの場合、中間レールおよび複数枚の上部スラットを第1昇降コードによって吊り下げ支持し、さらに中間レールの下側に位置するボトムレールおよび複数枚の下部スラットを第2昇降コードによって吊り下げ支持した場合にも、上述したプリーツスクリーンで指摘した同様な問題が発生する。
【0006】
本発明の目的は、移動するレールが停止しているレールと干渉する際に、移動するレールを支持する昇降コードの弛みを抑制可能とした遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための遮蔽装置は、ヘッドボックスから垂下される第1昇降コードによって第1レールおよび第1遮蔽材が吊り下げ支持されるとともに、前記ヘッドボックスから垂下される第2昇降コードによって前記第1レールの下方に位置する第2レールおよび第2遮蔽材が吊り下げ支持される遮蔽装置において、前記ヘッドボックスに設けられ巻取機構であって、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構、および、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、第1操作部を操作することによって第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに、第2操作部を操作することによって第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す操作機構と、降下する前記第1レールが前記第2レールに干渉したときに、前記第1巻取機構の前記第1昇降コードを巻き戻す方向の回転を阻止する弛み抑制機構とを備える。
【0008】
上記課題を解決するための遮蔽装置は、ヘッドボックスから垂下される第1昇降コードによって第1レールおよび第1遮蔽材が吊り下げ支持されるとともに、前記ヘッドボックスから垂下される第2昇降コードによって前記第1レールの下方に位置する第2レールおよび第2遮蔽材が吊り下げ支持される遮蔽装置において、前記ヘッドボックスに設けられ巻取機構であって、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構、および、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、第1操作部を操作することによって第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに、第2操作部を操作することによって第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す操作機構と、前記第2レールが下限位置より上側に位置している状態において、降下する前記第1レールが前記第2レールに干渉したときに、前記第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻すとともに前記第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す弛み抑制機構とを備える。
【0009】
上記遮蔽装置において、前記第1巻取機構は、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取部材を前記第1昇降コードの巻取方向に回転する第1定荷重ユニットと、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取部材を前記第2昇降コードの巻取方向に回転する第2定荷重ユニットとを備える構成としてもよい。
【0010】
上記遮蔽装置において、前記操作機構は、無端の操作コードを備え、前記操作コードは、前記ヘッドボックスから垂下され前記第1操作部を構成する第1操作コードと、前記ヘッドボックスから垂下され前記第2操作部を構成する第2操作コードとを備え、前記第1操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第1巻取機構で前記第1昇降コードを巻き戻し、前記第2操作コードは、連続して下方に引っ張られたとき前記第2巻取機構で前記第2昇降コードを巻き戻す構成としてもよい。
【0011】
上記課題を解決するための遮蔽装置は、ヘッドボックスから垂下される第1昇降コードによって第1レールおよび第1遮蔽材が吊り下げ支持されるとともに、前記ヘッドボックスから垂下される第2昇降コードによって前記第1レールの下方に位置する第2レールおよび第2遮蔽材が吊り下げ支持される遮蔽装置において、前記ヘッドボックスに設けられ、前記第1昇降コードを巻き取る巻取機構と、降下する前記第1レールが前記第2レールに干渉したときに、前記巻取機構における前記第1昇降コードを巻き戻す方向の回転を阻止する弛み抑制機構とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動するレールが停止しているレールと干渉する際に、移動するレールを支持する昇降コードの弛みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態におけるプリーツスクリーンの正面図。
【
図2】第1実施形態におけるプリーツスクリーンの側面図。
【
図3】第1実施形態におけるプリーツスクリーンの平面図。
【
図4】第1実施形態における弛み防止機構の斜視図。
【
図5】第1実施形態における弛み防止機構の分解斜視図。
【
図6】第1実施形態における弛み防止機構における駆動軸とカムクラッチと回転ドラムとの関係を示した側面図。
【
図7】第1実施形態における中間レールとボトムレールの位置関係を示す模式図であって、(a)は中間レールおよびボトムレールが上限に位置している状態を示し、(b)は、ボトムレールが降下した状態を示し、(c)は、中間レールがボトムレールに干渉している状態示し、(d)は、中間レールおよびボトムレールが下限に位置している状態を示す。
【
図8】第2実施形態における弛み防止機構の斜視図。
【
図9】第2実施形態における弛み防止機構の分解斜視図。
【
図10】第2実施形態における弛み防止機構の断面図。
【
図11】第3実施形態におけるプリーツスクリーンの平面図。
【
図12】第3実施形態における弛み防止機構の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用されたプリーツスクリーンについて図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1から第1遮蔽材としての上部スクリーン2が吊下支持され、上部スクリーン2の下端に、第1レールとしての中間レール3が取着されている。プリーツスクリーンは、さらに、中間レール3から第2遮蔽材としての下部スクリーン4が吊下支持され、下部スクリーン4の下端に、第2レールとしてのボトムレール5が取着されている。
【0015】
上部スクリーン2は、レース生地等の半透過性の生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものであり、下部スクリーン4は、遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0016】
上部スクリーン2の幅方向両側には、第1昇降コード6および第2昇降コード7が挿通され、第1昇降コード6の下端は中間レール3に取着されている。第2昇降コード7は、中間レール3を貫通し、さらに下部スクリーン4に挿通され、下端が前記ボトムレール5に取着されている。
【0017】
第1昇降コード6および第2昇降コード7の上端部は、ヘッドボックス1内でサポート部材31に回転可能に支持される第1巻取機構を構成する第1巻取部材9および第2巻取機構を構成する第2巻取部材10にそれぞれ巻着されている。すなわち、第1巻取部材9および第2巻取部材10は、ヘッドボックス1内において第1昇降コード6および第2昇降コード7の上方位置で水平方向に並列する状態でサポート部材31に回転可能に支持されている。
【0018】
第1昇降コード6の上端部は、第1巻取部材9に巻着され、第2昇降コード7の上端部は、第2巻取部材10に巻着されている。第1昇降コード6および第2昇降コード7は、第1巻取部材9および第2巻取部材10に対し互いに逆方向に巻回されている。また、第1昇降コード6および第2昇降コード7は、第1巻取部材9および第2巻取部材10の回転に基づいて、螺旋状に巻き取られ、または、巻き戻される。
【0019】
第1巻取部材9は、六角棒状の第1駆動軸11が一体となって回転するように挿通され、第2巻取部材10も、同じく六角棒状の第2駆動軸12が一体となって回転するように挿通されている。そして、第1駆動軸11が第1昇降コード6の巻取方向に回転されると、第1巻取部材9に第1昇降コード6が巻き取られ、第2駆動軸12が第2昇降コード7の巻取方向に回転されると、第2巻取部材10に第2昇降コード7が巻き取られる。
【0020】
ヘッドボックス1の一方の端部には、第1駆動軸11および第2駆動軸12を回転駆動するための操作機構13が取着されている。操作機構13のケース14内の基端側は、プーリが回転可能に支持され、そのプーリには、ボールチェーンなどの無端状の操作コード16が掛装されて下方へ垂下されている。そして、操作コード16の操作によりプーリは、回転される。操作コード16は、ヘッドボックス1の背面側において垂下された部分が第1操作部としての第1操作コード16aとなり、ヘッドボックス1の前面側において垂下された部分が第2操作部としての第2操作コード16bとなる。第1操作コード16aは、連続して下方に引っ張ることで第1駆動軸11を第1昇降コードの巻き戻し方向に回転させる操作部となる。また、第2操作コード16bは、連続して下方に引っ張ることで第2駆動軸12を第2昇降コードの巻き戻し方向に回転させる操作部となる。
【0021】
プーリ15には、伝達歯車が噛み合わされている。伝達歯車には、伝達歯車の径方向両側においてヘッドボックス1に回転可能に支持された一対の第1クラッチ歯車および第2クラッチ歯車が噛み合わされている。そして、伝達歯車が回転されると、第1クラッチ歯車および第2クラッチ歯車は、同方向に回転される。第1クラッチ歯車および第2クラッチ歯車は、入力軸の一方向の回転のみを各出力軸に伝達する公知の機能を備え、伝達する回転方向は互いに逆方向である。そして、第1伝達クラッチの出力軸に第1駆動軸11の端部が接続され、第2伝達クラッチの出力軸に第2駆動軸12の端部が接続されている。このような構成により、第1操作コード16aを連続して下方に引っ張ると、第1駆動軸11のみが回転されて、第1巻取部材9から第1昇降コード6が巻き戻される。また、第2操作コード16bを連続して下方に引っ張ると、第2駆動軸12のみが回転されて、第2巻取部材10から第2昇降コード7が巻き戻される。
【0022】
第1駆動軸11は、第1定荷重ユニット17と接続され、第2駆動軸12は、第2定荷重ユニット18と接続されている。第1定荷重ユニット17および第2定荷重ユニット18の各々は、帯状の定荷重バネを備えている。定荷重バネは、一対の巻取軸に架け渡され、一方の巻取軸への巻取方向に付勢されている。第1定荷重ユニット17は、第1昇降コード6が第1巻取部材9から巻き戻されるとき、定荷重バネが付勢力に抗して一方の巻取軸から他方の巻取軸に巻回されるように構成されている。そして、第1定荷重ユニット17は、中間レール3を上昇させるように第1昇降コード6を巻き取る方向の駆動力を出力する。第2定荷重ユニット18は、第2昇降コード7が第2巻取部材10から巻き戻されるとき、定荷重バネが付勢力に抗して一方の巻取軸から他方の巻取軸に巻回されるように構成されている。そして、第2定荷重ユニット18は、ボトムレール5を上昇させるように第2昇降コード7を巻き取る方向の駆動力を出力する。
【0023】
第1駆動軸11は、ヘッドボックス1の中間部において第1ストッパ21に挿通されている。第2駆動軸12は、ヘッドボックス1の中間部において第2ストッパ22に挿通されている。第1ストッパ21は、中間レール3の引き下げ操作の後に第1操作コード16aを手放したとき、中間レール3の第1定荷重ユニット17の駆動力による自動的な上昇を防止する。また、第2ストッパ22は、ボトムレール5の引き下げ操作の後に第2操作コード16bを手放したとき、第2定荷重ユニット18の駆動力によるボトムレール5の自動的な上昇を防止する。
【0024】
ヘッドボックス1の他方の端部には、第2巻取部材10からの第2昇降コード7の巻き戻し量を設定して、ボトムレール5の下限位置を設定する下限リミット装置19が配設されている。
【0025】
第1巻取部材9は、第1昇降コード6の弛みを抑制する第1弛み抑制機構26aを備え、第2巻取部材10は、第2昇降コード7の弛みを抑制する第2弛み抑制機構26bを備えている。第1弛み抑制機構26aおよび第2弛み抑制機構26bは、各機構の共通構成要素であるサポート部材31に保持されている。なお、第1弛み抑制機構26aおよび第2弛み抑制機構26bは、サポート部材31以外の部分が同じ構成を有しているため、ここでは単に弛み抑制機構26として説明する。
【0026】
図4および
図5に示すように、サポート部材31は、巻取部材9,10を回転可能で、かつ、軸線方向に移動不能に支持している。サポート部材31は、昇降コード6,7を所定の位置から巻取または巻き戻すための昇降コード6,7の導出口を備えている。サポート部材31の長手方向における一端部には、筒部によって構成されカムクラッチ32を回転可能に支持する貫通孔31aおよびカムクラッチ32の回転を制動する制動凸部31bを備えている。貫通孔31aには、カムクラッチ32の筒部32aが挿通され、回転可能でかつ軸線方向に移動可能に支持される。制動凸部31bは、貫通孔31aに連設されており、カムクラッチ32の制動爪32cに係合されたとき、カムクラッチ32のサポート部材31に対する回転を禁止する。
【0027】
このように形成されたサポート部材31には、カムクラッチ32、および、プーリキャップ34を介して巻取部材9,10が軸支されている。巻取部材9,10は、円筒形状に形成されており、サポート部材31の軸受部に支持される係合部9a,10aと、昇降コード6,7を巻き取る巻取部9b,10bとを備えている。
【0028】
係合部9a,10aの内周面は、軸線方向に沿って係合凸部9c,10cを備えている。係合凸部9c,10cは、係合部9a,10aの軸線方向に沿って形成されている。巻取部9b,10bの長手方向における一端部は、径方向内側に、巻取部9b,10bの軸線に沿った係止筒9e,10eを備えている。巻取部9b,10bの他端部には、略円盤状に形成されたプーリキャップ34が取着される。
【0029】
巻取部材9,10の係合部9a,10aの径方向内側には、カムクラッチ32が収容される。カムクラッチ32は、円筒形状を有しており、筒部32aと、筒部32aより大径の制動部32bとを備えている。制動部32bは、巻取部材9,10の係合部9a,10a内を軸線方向に移動可能に配置される。制動部32bの筒部32a側の端部は、制動爪32cを備えている。制動爪32cは、周回方向に複数設けられ、軸線方向に向かって鋸歯状に設けられている。制動爪32cは、サポート部材31の制動凸部31bと係合可能である。制動爪32cは、制動凸部31bに係合することによって周方向への回転が防止され、サポート部材31とカムクラッチ32とは相対回転不能とされる。
【0030】
制動部32bは、さらにカム構造としてのカム孔32dおよび案内スリット32eを備えている。カム孔32dは、制動部32bの軸線方向に対して45°程度傾斜している。案内スリット32eは、制動部32bの軸線方向に沿って形成されている。案内スリット32eは、巻取部材9,10の係合凸部9c,10cと係合することにより、カムクラッチ32と巻取部材9,10とは、相対回転不能で、かつ、軸線方向に沿って相対移動可能に組み付けられている。したがって、カムクラッチ32は、巻取部材9,10の軸線方向に相対移動されることで、制動爪32cが制動凸部31bに係合されるとサポート部材31に対して相対回転不能となり、制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除されるとサポート部材31に対して相対回転可能となる。
【0031】
カムクラッチ32の径方向内側には、回転ドラム33が収容されている。駆動軸11,12は、カムクラッチ32の筒部32a内を貫通しているが、筒孔32fが駆動軸11,12の六角軸径より大きいので駆動軸11,12とは相対回転可能である。回転ドラム33は、本体部33aと、係止爪33bとを備えている。本体部33aは、円筒形状に形成されており、その中心には、駆動軸11,12が相対回転不能に挿通される正六角形状の固着孔33cを備えている。回転ドラム33は、駆動軸11,12とともに一体に回転する。
【0032】
係止爪33bは、本体部33aの周回方向に沿って等角度間隔に設けられており、係止筒9e,10eの内側に挿入される。係止爪33bは、巻取部材9,10の係止筒9e,10eの先端部に係止されることで、回転ドラム33と巻取部材9,10とが軸線方向に相対移動しないようにする。
【0033】
本体部33aには軸線方向に沿った2つの切り欠きが形成されており、切り欠きによって径方向に弾性変位するアームを備え、その先端部には、回転ドラム33の径方向外側に向かって突出するカム凸部33dを備えている。カム凸部33dは、カムクラッチ32のカム孔32d内を移動する。回転ドラム33は、カム凸部33dがカムクラッチ32のカム孔32dに係合するように組み付けられる。したがって、回転ドラム33とカムクラッチ32とは、カム凸部33dがカム孔32dの内部を相対移動する範囲内においてのみ相対移動可能となる。
【0034】
具体的には、
図6に示すように、カム凸部33dがカム孔32dの一端部に位置するときにはカムクラッチ32は、最も巻取部材9,10側に位置することとなるため制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除される(
図6中実線の状態)。一方、カム凸部33dがカム孔32dの他端部に位置するときにはカムクラッチ32は最も巻取部材9,10とは反対側に位置することとなるため制動爪32cと制動凸部31bとは係合状態となる(
図6中二点鎖線の状態)。
【0035】
次に、このように構成されたプリーツスクリーンの作用を説明する。
先ず、プリーツスクリーンの引き下げ時の操作を説明する。
ボトムレール5および下部スクリーン4を降下させる場合、ヘッドボックス1の前面側において垂下された部分を第2操作コード16bを下方に連続的に(継続して)引っ張る。すると、操作機構13を通じて第2駆動軸12のみが回転される。第2巻取部材10のカムクラッチ32において、第2昇降コード7を通じてボトムレール5および下部スクリーン4の重量が第2巻取部材10が加わっていることによって、カム凸部33dは、カム孔32dの一端部に位置し、制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除されている。これにより、第2巻取部材10は、第2駆動軸12と一体的に回転し、第2昇降コード7が巻き戻される。これにより、
図7(a)および(b)に示すように、例えば、ヘッドボックス1に近接した上限位置にあるボトムレール5および下部スクリーン4は、降下する。
【0036】
なお、第2操作コード16bの操作を停止した場合、直ちに、第2定荷重ユニット18の駆動力により自動的に上昇しないように第2ストッパ22が機能し、その時点でボトムレール5の降下が停止する。
【0037】
ボトムレール5の降下する経路に障害物が存在し、ボトムレール5が当該障害物に当たったとき、第2昇降コード7を通じて第2巻取部材10が加わっているボトムレール5および下部スクリーン4の重量が加わらなくなる。すると、重量が加わらなくなることを検知することで、カム凸部33dは、カム孔32dの一端部から他端部に移動する。そして、制動爪32cと制動凸部31bとが係合した状態となる。これにより、サポート部材31に対する第2巻取部材10の巻き戻し方向の回転が禁止され、そして、第2操作コード16bを下方に引っ張ることができなくなる。
【0038】
ボトムレール5の経路から障害物を取り除くと、再び第2昇降コード7を通じてボトムレール5および下部スクリーン4の重量が第2巻取部材10に加わることを検知することで、カム凸部33dは、カム孔32dの他端部から一端部に移動する。そして、制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除され、第2巻取部材10は、第2駆動軸12と一体的に回転し、第2昇降コード7が巻き戻されるようになる。
【0039】
次に、中間レール3および上部スクリーン2を降下させる場合、ボトムレール5は、若干でも、中間レール3が降下できる程度に降下している必要がある。このような状態において、中間レール3は、ボトムレール5が干渉するまで降下できる。具体的に、中間レール3および上部スクリーン2を降下させるには、先ず、ヘッドボックス1の背面側において垂下された部分を第1操作コード16aを連続的に(継続して)下方に引っ張る。すると、第1巻取部材9のカムクラッチ32において、第1昇降コード6を通じて中間レール3および上部スクリーン2の重量が第1巻取部材9に加わっていることによって、カム凸部33dは、カム孔32dの一端部に位置し、制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除されている。これにより、第1巻取部材9は、第1駆動軸11と一体的に回転し、第1昇降コード6が巻き戻される。
【0040】
なお、第1操作コード16aの操作を停止した場合、直ちに、第1定荷重ユニット17の駆動力により自動的に上昇しないように第1ストッパ21が機能し、その時点で中間レール3の降下が停止する。
【0041】
そして、
図7(c)に示すように、中間レール3がボトムレール5に干渉して降下できなくなると、第1昇降コード6を通じて第1巻取部材9が加わっている中間レール3および上部スクリーン2の重量が加わらなくなる。すると、重量が加わらなくなることを検知することで、カム凸部33dは、カム孔32dの一端部から他端部に移動する。すると、制動爪32cと制動凸部31bとが係合した状態となる。これにより、サポート部材31に対する第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転が禁止され、そして、第1操作コード16aを下方に引っ張ることができなくなる。これにより、中間レール3がボトムレール5に干渉して降下不能となったときに、第1操作コード16aを下方に引っ張る操作がされ続けたときにも第1昇降コード6が第1巻取部材9の巻き戻し方向に回転し続け弛んでしまうことを抑えることができる。
【0042】
なお、
図7(d)に示すように、ボトムレール5および下部スクリーン4が下限位置に位置している場合、中間レール3はボトムレール5の直上の下限位置まで降下可能である。そして、さらに中間レール3を降下しようとすると、同様に、サポート部材31に対する第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転が禁止され、そして、第1操作コード16aを下方に引っ張ることができなくなる。
【0043】
次に、プリーツスクリーンの引き上げ時の操作を説明する。
ボトムレール5および下部スクリーン4も中間レール3および上部スクリーン2も、降下して静止しているとき、カム凸部33dは、カム孔32dの一端部に位置し、制動爪32cと制動凸部31bとの係合状態が解除され、第2巻取部材10も第1巻取部材9も回転可能な状態である。
【0044】
中間レール3および上部スクリーン2を上昇させる場合、先ず、第1ストッパ21を解除するため第1操作コード16aが下方に一時的に引っ張られる。すると、中間レール3および上部スクリーン2は、第1定荷重ユニット17の駆動力によって第1駆動軸11が巻取方向に回転され、第1昇降コード6が巻き取られる。
【0045】
ボトムレール5および下部スクリーン4を上昇させる場合、先ず、第2ストッパ22を解除するため第2操作コード16bが下方に一時的に引っ張られる。すると、ボトムレール5および下部スクリーン4は、第2定荷重ユニット18の駆動力によって第2駆動軸12が巻取方向に回転され、第2昇降コード7が巻き取られる。
【0046】
以上、上記第1実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1-1)降下する中間レール3がボトムレール5に干渉して、さらなる降下が不能な状態となったときに、第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転を禁止する。すなわち、第1操作コード16aの下方への操作ができなくなる。したがって、第1昇降コード6の弛みを抑えることができる。これにより、プリーツスクリーンが操作不能となったりする故障を抑えることができる。
【0047】
(1-2)中間レール3および上部スクリーン2が第2定荷重ユニット18から出力される駆動力により上昇される。また、ボトムレール5および下部スクリーン4が第1定荷重ユニット17から出力される駆動力により上昇される。したがって、操作性を向上させることができる。
【0048】
(1-3)手動で操作するときは、スクリーンを降下させるときである。したがって、したがって、スクリーンを操作するときの操作力を抑えることができる。
(1-4)1つの無端状の操作コード16の第1操作コード16aの部分と第2操作コード16bの部分を使って、中間レール3および上部スクリーン2、ならびに、ボトムレール5および下部スクリーン4を使って、各スクリーンの昇降操作を行うことができる。
【0049】
なお、上記第1実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・弛み抑制機構26は、少なくとも、上部スクリーン2を昇降する第1昇降コード6の第1巻取部材9に設けられていればよい。この構成さえ備えれば、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉したときにも、第1操作コード16aの下方への操作がされ続け、第1昇降コード6が弛んでしまうことを抑制できるからである。
【0050】
〔第2実施形態〕
図8~
図10は、第2実施形態の弛み抑制機構41である。弛み抑制機構41も、第1昇降コード6の弛みを抑制するため第1駆動軸11に接続されたものと、第2昇降コード7の弛みを抑制するための第2駆動軸12に接続されたものがある。ここでは、第1駆動軸11および第2駆動軸12は四角棒状である。何れの弛み抑制機構41も、支持枠42と、支持枠42に取り付けられるスライダ43と、支持枠42に回転可能に支持される回転筒44と、回転筒44内に収納され昇降コード6,7を巻き取る巻取部材45とを備える。
【0051】
支持枠42は、底板部と、底板部から相対して立設された一対の側板部とを備えており、全体がU字形状を備えている。一方の側板部は、全体が開口された切欠部42aを備え、切欠部42aは、回転筒44の端部を回転可能に支持する。また、他方の側壁部は、円形の案内孔42bを備えている。他方の側壁部は、案内孔42bの周囲に環状の案内枠46が取り付けられる。案内孔42bおよび案内枠46の孔部46aは、直径が同じであり、中心を一致させた状態で、他方の側壁部に案内枠46が取り付けられる。案内孔42bを構成する内周面は、巻取部材45を回転筒44に対して進退させる螺旋状の係合溝46bを備えている。
【0052】
支持枠42の底板部は、一対の側壁部と平行な方向、すなわち第1駆動軸11および第2駆動軸12の延在方向に対して直交する方向にスライダ43のスライドを案内する案内溝42eを備えている。また、案内溝42eの隣には、昇降コード6,7が挿通される挿通孔42gを備えている。
【0053】
スライダ43は、案内溝42eに案内されて一対の側壁部と平行な方向に移動する。スライダ43は、回転筒44の端部に設けられたラチェットホイール44bに係合される係合爪43aを備えている。スライダ43は、コイルバネなどの弾性部材43bによって、係合爪43aがラチェットホイール44bと係合する方向に付勢されている。また、スライダ43には、昇降コードが挿通される開口部43cを備えている。
【0054】
回転筒44は、有底筒形状を有しており、底面には、第1駆動軸11および第2駆動軸12の何れかが挿通される貫通孔44aを有している。貫通孔44aは、挿通される駆動軸11,12に対して相対回転不能な孔である。支持枠42には、案内孔42bの位置に案内枠46が取り付けられる。また、回転筒44の開口端側には、係合爪43aが係合されるラチェットホイール44bが設けられている。
【0055】
巻取部材45は、回転筒44に対して回転可能に収容される有底筒形状を有しており、外周面は、螺旋溝45aを備えている。螺旋溝45aは、案内孔42bの係合溝46bと係合する。また、底面には、第1駆動軸11および第2駆動軸12の何れかが挿通される挿通孔45bを有している。挿通孔45bは、挿通される駆動軸11,12に対して相対回転不能な孔である。
【0056】
昇降コード6,7は、支持枠42の挿通孔42gおよびスライダ43の開口部43cに挿通され、端部が巻取部材45の外周面に巻回され、端部が巻取部材45の底面に係止される。したがって、第1昇降コード6には、中間レール3および上部スクリーン2の荷重が加わり、第2昇降コード7には、ボトムレール5および下部スクリーン4の荷重が加わっている。
【0057】
以上のように構成された弛み抑制機構41の作用について説明する。
先ず、スライダ43は、スクリーン2,4およびレール3,5の荷重によって、弾性部材43bを収縮させてスライドしている(
図9中二点鎖線の状態)。したがって、スライダ43の係合爪43aは、回転筒44のラチェットホイール44bから離れた状態となっており、回転筒44および巻取部材45が支持枠42に対して回転可能である。
【0058】
ボトムレール5および下部スクリーン4を降下させる場合、ヘッドボックス1の前面側において垂下された部分を第2操作コード16bを下方に連続的に(継続して)引っ張る。すると、回転筒44および巻取部材45が支持枠42は、支持枠42に対して第2昇降コード7の巻き戻し方向に回転し、さらに、巻取部材45は、回転筒44に対して突出し、第2昇降コード7が巻き戻される。これにより、
図7(a)および(b)に示すように、例えば、ヘッドボックス1に近接した上限位置にあるボトムレール5および下部スクリーン4は、降下する。
【0059】
なお、第2操作コード16bの操作を停止した場合、直ちに、第2定荷重ユニット18の駆動力により自動的に上昇しないように第2ストッパ22が機能し、その時点でボトムレール5の降下が停止する。
【0060】
ボトムレール5の降下する経路に障害物が存在し、ボトムレール5が当該障害物に当たり降下不能となったとき、第2昇降コード7を通じて第2巻取部材10が加わっているボトムレール5および下部スクリーン4の重量が第2昇降コード7には加わらなくなる。このように重量が加わらなくなることを検知することで、スライダ43は、弾性部材43bの弾性力によって、スライドし、係合爪43aが回転筒44のラチェットホイール44bと係合した状態となる(
図9中実線の状態)。したがって、回転筒44および巻取部材45が支持枠42に対して回転不能となり、第2駆動軸12も回転不能となる。これにより、第2操作コード16bを下方に引っ張ることができなくなり、第2昇降コード7の弛みを抑えることができる。
【0061】
次に、中間レール3および上部スクリーン2を降下させる場合、ボトムレール5は、若干でも、中間レール3が降下できる程度に降下している必要がある。このような状態において、中間レール3は、ボトムレール5に干渉するまで降下できる。具体的に、ヘッドボックス1の背面側において垂下された部分を第1操作コード16aを下方に連続的に(継続して)引っ張る。すると、回転筒44および巻取部材45が支持枠42は、支持枠42に対して第1昇降コード6の巻き戻し方向に回転し、さらに、巻取部材45は、回転筒44に対して突出し、第1昇降コード6が巻き戻される。
【0062】
なお、第1操作コード16aの操作を停止した場合、直ちに、第1定荷重ユニット17の駆動力により自動的に上昇しないように第1ストッパ21が機能し、その時点で中間レール3の降下が停止する。
【0063】
そして、
図7(c)に示すように、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉すると、第1昇降コード6を通じて第1巻取部材9に加わっている中間レール3および上部スクリーン2の重量が加わらなくなる。すると、重量が加わらなくなることを検知することで、第1昇降コード6には、上部スクリーン2および中間レール3の荷重が加わらなくなり、スライダ43は、弾性部材43bの弾性力によって、スライドし、係合爪43aが回転筒44のラチェットホイール44bと係合した状態となる。したがって、回転筒44および巻取部材45が支持枠42に対して回転不能となり、第1駆動軸11も回転不能となる。これにより、第1操作コード16aを下方に引っ張ることができなくなり、第1昇降コード6の弛みを抑えることができる。
【0064】
なお、
図7(d)に示すように、ボトムレール5および下部スクリーン4が下限位置に位置している場合、中間レール3はボトムレール5の直上の下限位置まで降下可能である。そして、さらに中間レール3を降下しようとすると、同様に、第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転が禁止され、そして、第1操作コード16aを下方に引っ張ることができなくなる。
【0065】
次に、プリーツスクリーンの引き上げ時の操作を説明する。
ボトムレール5および下部スクリーン4も中間レール3および上部スクリーン2も、降下して静止しているとき、スライダ43は、スクリーン2,4およびレール3,5の荷重によって、弾性部材43bを収縮させてスライドし、係合爪43aがラチェットホイール44bから離れた状態となっている(
図9中二点鎖線の状態)。したがって、回転筒44および巻取部材45が支持枠42に対して回転可能である。
【0066】
中間レール3および上部スクリーン2を上昇させる場合、先ず、第1ストッパ21を解除するため第1操作コード16aが下方に一時的に引っ張られる。すると、中間レール3および上部スクリーン2は、第1定荷重ユニット17の駆動力によって第1駆動軸11が巻取方向に回転され、第1昇降コード6が巻き取られる。
【0067】
ボトムレール5および下部スクリーン4を上昇させる場合、先ず、第2ストッパ22を解除するため第2操作コード16bが下方に一時的に引っ張られる。すると、ボトムレール5および下部スクリーン4は、第2定荷重ユニット18の駆動力によって第2駆動軸12が巻取方向に回転され、第2昇降コード7が巻き取られる。
【0068】
以上、上記第2実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(2-1)第1実施形態と同様に、降下する中間レール3がボトムレール5によって干渉し降下不能な状態となったときに、第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転を禁止する。すなわち、第1操作コード16aの下方への操作ができなくなる。したがって、第1昇降コード6の弛みを抑えることができる。これにより、プリーツスクリーンが操作不能となったりする故障を抑えることができる。
【0069】
なお、上記第2実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・弛み抑制機構は、少なくとも、上部スクリーン2を昇降する第1昇降コード6の第1巻取部材9に設けられていればよい。この構成さえ備えれば、降下する中間レール3がボトムレール5によって降下不能な状態となったときにも、第1操作コード16aの下方への操作がされ続け、第1昇降コード6が弛んでしまうことを抑制できるからである。
【0070】
また、上記第1実施形態および第2実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記第1および第2実施形態におけるプリーツスクリーンにおいて、中間レール3および上部スクリーン2を昇降する第1巻取機構は、第1実施形態および第2実施形態のような巻取機構および弛み防止機構を備えるようにする。ボトムレール5および下部スクリーン4の昇降は、第2昇降コードの巻取機構を省略し、ヘッドボックスの前面より垂下された第2昇降コードに接続された操作コードを用いて行うようにする。この場合、第2定荷重ユニット18も省略し、ボトムレール5および下部スクリーン4は自重降下するように構成する。
【0071】
このような構成によっても、降下する中間レール3がボトムレール5によって干渉し降下不能な状態となったとき、第1巻取部材9の巻き戻し方向の回転を禁止することができる。すなわち、第1操作コード16aの下方への操作ができなくなる。したがって、第1昇降コード6の弛みを抑えることができる。
【0072】
・上記第1および第2実施形態におけるプリーツスクリーンにおいて、第1定荷重ユニット17および第2定荷重ユニット18を省略してもよい。この場合、中間レール3および上部スクリーン2、ボトムレール5および下部スクリーン4の何れも、自重降下するように構成される。
【0073】
〔第3実施形態〕
図11および
図12は、第3実施形態の弛み抑制機構61である。弛み抑制機構61は、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉したときに、中間レール3をボトムレール5とともに降下させる。
【0074】
具体的には、ケース62内の後部には駆動ドラム63が回転可能に支持され、その駆動ドラム63の中心部に形成された六角孔には、第2駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。したがって、駆動ドラム63は第2駆動軸12と一体に回転する。
【0075】
駆動ドラム63の先端部には、内筒部64と外筒部65が形成され、その内筒部64の外周面に伝達軸部材66の基端部が回転可能に嵌合されている。伝達軸部材66の基端部外周面には、コイル状のスリップバネ67が嵌着され、そのスリップバネ67の一端は、駆動ドラム63の係止溝68に係合している。そして、常にスリップバネ67と伝達軸部材66との摩擦により、駆動ドラム63と伝達軸部材66とが一体に回転するようになっている。
【0076】
伝達軸部材66の先端側において、ケース62には、駆動ギヤ69が回転可能に支持され、その駆動ギヤ69と伝達軸部材66との間には、ワンウェイクラッチが介在されている。ワンウェイクラッチは、第2駆動軸12および伝達軸部材66からボトムレール5の巻取方向の回転が入力されたとき、連結状態となって、駆動ギヤ69に回転トルクを伝達し、また、ボトムレール5の下降方向の回転が入力されたとき、空転状態となって、駆動ギヤ69に回転トルクを伝達しない。また、ワンウェイクラッチは、被動ギヤ71からボトムレール5の引き下げ方向の回転が入力されたとき、連結状態となって、第2駆動軸12および伝達軸部材66に回転トルクを伝達し、また、ボトムレール5の巻取方向の回転が入力されたとき、空転状態となって、第2駆動軸12および伝達軸部材66に回転トルクを伝達しない。
【0077】
スリップバネ67は、駆動ギヤ69の回転が阻止された状態で第2駆動軸12をボトムレール5の巻取方向に回転させるトルクが作用したとき、伝達軸部材66に対し駆動ドラム63を空回りさせて、ワンウェイクラッチの破損を防止するように動作する。
【0078】
ケース62内の前部には、駆動ギヤ69に噛み合う被動ギヤ71が回転可能に支持されている。被動ギヤ71の中心部には、ギヤ軸部材72が相対回転可能に挿通されている。また、ギヤ軸部材72とケース62との間には、コイルスプリングで構成される切り替えバネ73が配設され、ギヤ軸部材72は、ケース62を支点とする切り替えバネ73の付勢力により矢印X1方向に常時付勢されている。
【0079】
ギヤ軸部材72の外周面には、凸状の係合突部74が形成され、被動ギヤ71の内周面には、ギヤ軸部材72が回転しながら矢印X1方向に移動したとき係合突部74に係合する係合凹部75が形成されている。そして、係合突部74が係合凹部75に係合すると、ギヤ軸部材72が被動ギヤ71と一体に回転する。
【0080】
ギヤ軸部材72の先端には、カム軸部材76の基端部が嵌着され、カム軸部材76は、ギヤ軸部材72と一体に回転する。カム軸部材76の外周面には、相対する位置に突出する突起77が形成されている。
【0081】
カム軸部材76の先端部は、カム筒部材78の基端部に嵌合されている。カム筒部材78には、カム軸部材76の突起77を案内するガイド孔79が斜めに形成され、カム軸部材76は、カム筒部材78に対し回転しながら第1駆動軸11の軸方向に移動可能となっている。
【0082】
カム筒部材78の先端部は、第1巻取部材9に嵌着され、カム筒部材78と第1巻取部材9とは一体に回転する。また、カム軸部材76の中心部には六角孔80が形成され、その六角孔80に第1駆動軸11が相対回転不能に挿通されている。なお、第1駆動軸11はギヤ軸部材72およびカム筒部材78の中心部に相対回転可能に挿通されている。
【0083】
上記のように構成されたプリーツスクリーンの上部スクリーン2の引き上げる場合、先ず、第1ストッパ21を解除するため第1操作コード16aが下方に一時的に引っ張られる。上部スクリーン2を引き上げる前において、第1巻取部材9には、中間レール3および上部スクリーン2の荷重が加わっており、カム軸部材76は、矢印X2方向に移動し、ギヤ軸部材72を切り替えバネ73の付勢力に抗して同方向に移動する。これにより、ギヤ軸部材72の係合突部74は、被動ギヤ71の係合凹部75と非係合の状態となっている。これにより、中間レール3および上部スクリーン2は、第1定荷重ユニット17の駆動力によって第1駆動軸11が巻取方向(矢印Y1方向)に回転され、第1昇降コード6が巻き取られる。
【0084】
上部スクリーン2を引き下げる場合、ボトムレール5は、若干でも、中間レール3が降下できる程度に降下している必要がある。このような状態において、中間レール3は、ボトムレール5と干渉するまで降下できる(
図7(c)参照)。具体的に、ヘッドボックス1の背面側において垂下された部分を第1操作コード16aを下方に連続的に(継続して)引っ張る。初動では、第1巻取部材9には中間レール3および上部スクリーン2の荷重が加わっており、カム軸部材76は、矢印X2方向に移動し、ギヤ軸部材72を切り替えバネ73の付勢力に抗して同方向に移動する。これにより、ギヤ軸部材72の係合突部74は、被動ギヤ71の係合凹部75と非係合の状態となっている。この状態で、第1駆動軸11が回転(矢印Y2方向)することによって、第1巻取部材9は、第1駆動軸11と一体的に回転し、第1昇降コード6が巻き戻される。
【0085】
なお、第1操作コード16aの操作を停止した場合、直ちに、第1定荷重ユニット17の駆動力により自動的に上昇しないように第1ストッパ21が機能し、その時点で中間レール3の降下が停止する。
【0086】
そして、ボトムレール5が下限位置より上側に位置している状態において(
図7(b))、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉すると(
図7(c))、第1昇降コード6を通じて第1巻取部材9が加わっている中間レール3および上部スクリーン2の重量が加わらなくなる。すると、重量が加わらなくなることを検知することで、カム軸部材76は、矢印X1方向に移動し、ギヤ軸部材72も切り替えバネ73の付勢力によって同方向に移動する。これにより、ギヤ軸部材72の係合突部74は、被動ギヤ71の係合凹部75と係合する。すると、被動ギヤ71と噛合している駆動ギヤ69も回転可能となる。そして、駆動ギヤ69と一体的に伝達軸部材66が回転することで(矢印Z2方向)、第2駆動軸12もボトムレール5および下部スクリーン4を降下する方向に回転し、第2巻取部材10から第2昇降コード7が巻き戻される。これにより、中間レール3およびボトムレール5は連動して降下することになる。
【0087】
したがって、ボトムレール5が下限位置より上側に位置している状態において、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉しても、中間レール3がボトムレール5とともに降下することで、第1昇降コード6の弛みが抑えられる。これにより、プリーツスクリーンが操作不能となったりする故障を抑えることができる。
【0088】
下部スクリーン4の引き上げる場合、先ず、第2ストッパ22を解除するため第2操作コード16bが下方に一時的に引っ張られる。このとき、第1巻取部材9には中間レール3および上部スクリーン2の荷重が加わっており、カム軸部材76は、矢印X2方向に移動し、ギヤ軸部材72を切り替えバネ73の付勢力に抗して同方向に移動する。これにより、ギヤ軸部材72の係合突部74は、被動ギヤ71の係合凹部75と非係合の状態となっている。この状態で、下部スクリーン4およびボトムレール5は、第2定荷重ユニット18の駆動力によって第2駆動軸12が巻取方向に回転(矢印Z1方向)され、第2昇降コード7が巻き取られる。
【0089】
下部スクリーン4の引き下げる場合、ヘッドボックス1の前面側において垂下された部分を第2操作コード16bを下方に連続的に(継続して)引っ張る。このとき、ワンウェイクラッチは、ボトムレール5の下降方向の回転が入力されたとき、空転状態となって、駆動ギヤ69に回転トルクを伝達しない。したがって、被動ギヤ71も、駆動ギヤ69の回転によって回転しない。この状態で、伝達軸部材66が回転(矢印Z2方向)することで、第2駆動軸12もボトムレール5および下部スクリーン4を降下する方向に回転し、第2巻取部材10から第2昇降コード7が巻き戻される。これにより、ボトムレール5は降下することになる。
【0090】
以上、上記第3実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(3-1)ボトムレール5が下限位置より上側に位置している状態において、降下する中間レール3がボトムレール5に干渉するときに、中間レール3をボトムレール5とともに降下させることで、第1昇降コード6の弛みを抑えることができる。これにより、プリーツスクリーンが操作不能となったりする故障を抑えることができる。
【0091】
なお、上記第1実施形態から第3実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・操作コードとして無端状の操作コード16を用いるのではなく、第1操作コード16aと第2操作コード16bとが別々のコードであってもよい。また、操作コードではなく、ひも状のコードであってもよい。また、第1操作コード16aが前面側でと第2操作コード16bが背面側に位置していてもよい。
【0092】
・プリーツスクリーンなどの遮蔽装置にあって、ヘッドボックス1内には、定荷重ユニットを備えていなくてもよい。すなわち、第1遮蔽材および第2遮蔽材の各々について、巻き上げも操作コードの操作者の操作力で行うことになる。
【0093】
・第1遮蔽材および第2遮蔽材の各々巻き上げは電動で行うようにしてもよい。この場合、第1操作部および第2操作部は、モータなどの駆動源に電気信号を供給する押しボタンやダイヤルやスライドスイッチなどで構成され、これらの操作部材は、ヘッドボックス1内の制御回路と有線又は無線で通信可能な遠隔操作装置などに設けられる。
【0094】
・中間レールは、1つに限定されるものではない。例えば、ボトムレールの上側に、中間レールおよび中間スクリーンを配置し、中間レールの上側に上部レールおよび上部スクリーンを配置するようにしてもよい。この場合、上部レールおよび上部スクリーンが第1昇降コードに吊り下げ支持され、中間レールおよび中間スクリーンが第2昇降コードに吊り下げ支持され、ボトムレールおよび下部スクリーンが第3昇降コードに吊り下げ支持されることになる。そして、第1昇降コードおよび第2昇降コードの巻取機構に弛み防止機構を設けるようにすればよい。
【0095】
・プリーツスクリーン以外にも横型ブラインドなどの遮蔽装置にも適用可能である。この場合、例えば、第1遮蔽材としての上部スクリーンの部分を複数枚の上部スラットで構成し、第2遮蔽材としての下部スクリーンの部分を複数枚の下部スラットで構成する。そして、上部スラットは、中間レールが第1昇降コードによって昇降され、上部スラットは、第1昇降コードが巻き取られると、中間レールに積み上がるようにして上昇される。また、下部スラットは、ボトムレールが第2昇降コードによって昇降され、下部スラットは、第2昇降コードが巻き取られると、ボトムレールに積み上がるようにして上昇される。
【符号の説明】
【0096】
1…ヘッドボックス
2…上部スクリーン
3…中間レール
4…下部スクリーン
5…ボトムレール
6…第1昇降コード
7…第2昇降コード
9…第1巻取部材
10…第2巻取部材
11…第1駆動軸
12…第2駆動軸
13…操作機構
14…ケース
15…プーリ
16…操作コード
17…第1定荷重ユニット
18…第2定荷重ユニット
19…下限リミット装置
26…弛み抑制機構
31…サポート部材