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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像再構成装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020021186
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021126207
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 秀則
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-519050(JP,A)
【文献】特表2014-508622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0086469(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0089271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0315461(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035319(US,A1)
【文献】藤本 晃司,Step up MRI 2018 MRI新技術 基礎から臨床への橋渡し,INNERVISION 第33巻 第9号 ,日本,(株)インナービジョン,第33巻
【文献】片平和博[熊本中央病院],[総特集] 最新MRIで実現する検査数増と効率化,月刊新医療 New Medicine in Japan ,第45巻,株式会社エム・イー振興協会 杉山 正幸
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間方向に収集された複数のk空間データから少なくとも一つの画像を再構成する再構成部を備え、
前記再構成部は、
前記時間方向でk空間データを共有する時系列の推定画像を再構成する画像推定演算と、
前記画像推定演算によって再構成された前記時系列の推定画像を前記時間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算と
を行う、画像再構成装置。
【請求項2】
前記画像推定演算及び前記適合演算は、それぞれ、前記推定画像を最適化する演算であり、
前記再構成部は、前記画像推定演算と前記適合演算とを交互に実行する、
請求項1に記載の画像再構成装置。
【請求項3】
前記事前知識は、空間方向に対する内容をさらに含む、
請求項1又は2に記載の画像再構成装置。
【請求項4】
前記再構成部は、ディープラーニング、圧縮センシング、特異値分解、又は、主成分分析に基づく事前知識を用いて、前記画像を再構成する、
請求項1~のいずれか一つに記載の画像再構成装置。
【請求項5】
前記画像推定演算は、パラレルイメージングによって前記推定画像を再構成する演算である、
請求項1~のいずれか一つに記載の画像再構成装置。
【請求項6】
前記画像推定演算は、前記時間方向に収集された前記複数のk空間データから、連続するフレーム間で一部のk空間データを共有させながら各フレームの画像を再構成することで、前記時系列の推定画像を再構成する演算である、
請求項1~のいずれか一つに記載の画像再構成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像再構成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置によって動画を撮像する方法として、例えば、時間方向に連続してk空間データを収集し、収集されたk空間データを用いて、予め決められたリードアウト数ごとに1フレーム分の画像を再構成する方法が知られている。この方法では、画像再構成の単位となるリードアウト数を増やすことによって、再構成される画像の画質を向上させることが可能であるが、フレーム数を維持するためにはより多くのk空間データが必要になり、撮像時間が長くなる等の問題が生じる。
【0003】
これに対し、画像再構成の単位となるリードアウト数を増やすことなく、再構成される画像の画質を向上させる方法として、時間方向拘束と呼ばれる技術が知られている。この時間方向拘束は、再構成された時系列の画像を時間方向に対する事前知識へ適合させることによって、時間方向のノイズを除去する技術である。例えば、このような時間方向拘束の一例として、圧縮センシングを用いる方法が知られている。
【0004】
しかしながら、時間方向拘束は、あくまで、再構成された画像に対して行われる処理であるため、1フレーム分の画像に割り当てられるk空間データの量が少ない場合は、十分に画質を向上させることができないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-343621号公報
【文献】米国特許第9429636号明細書
【文献】米国特許第10229515号明細書
【文献】米国特許第9390521号明細書
【文献】米国特許第8948536号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0219535号明細書
【文献】米国特許第9304180号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0035319号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、再構成される画像の画質をより向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る画像再構成装置は、時間方向に収集された複数のk空間データから少なくとも一つの画像を再構成する再構成部を備える。再構成部は、前記時間方向でk空間データを共有する推定画像を再構成する画像推定演算と、前記推定画像を前記時間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算とを行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態の比較例に係る再構成方法の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る再構成機能によって行われる再構成方法の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るMRI装置によって行われる撮像の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本願に係る画像再構成装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、本願に係る画像再構成装置を磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置に適用した場合の例を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。
【0011】
例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、全身用RFコイル4、局所用RFコイル5、送信回路6、受信回路7、RF(Radio Frequency)シールド8、架台9、寝台10、インタフェース11、ディスプレイ12、記憶回路13、及び処理回路14~16を備える。
【0012】
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、その内周側に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、超伝導磁石や永久磁石等である。ここでいう超伝導磁石は、例えば、液体ヘリウム等の冷却剤が充填された容器と、当該容器に浸漬された超伝導コイルとから構成される。
【0013】
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検体Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸それぞれに対応するXコイル、Yコイル及びZコイルを有している。Xコイル、Yコイル及びZコイルは、傾斜磁場電源3から供給される電流に基づいて、各軸方向に沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。ここで、Z軸は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿うように設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿うように設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿うように設定される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。
【0014】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給することで、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2のXコイル、Yコイル及びZコイルに個別に電流を供給することで、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向及びスライス方向それぞれに沿って線形に変化する傾斜磁場を撮像空間に発生させる。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
【0015】
ここで、リードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及びスライス傾斜磁場は、それぞれ静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳されることで、被検体Sから発生する磁気共鳴信号に空間的な位置情報を付与する。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させることで、リードアウト方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿って磁気共鳴信号の位相を変化させることで、位相エンコード方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。また、スライス傾斜磁場は、スライス方向に沿った位置情報を磁気共鳴信号に付与する。例えば、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域(2D撮像)の場合には、スライス領域の方向、厚さ及び枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域(3D撮像)の場合には、スライス方向の位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために用いられる。これにより、リードアウト方向に沿った軸、位相エンコード方向に沿った軸、及びスライス方向に沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。
【0016】
全身用RFコイル4は、傾斜磁場コイル2の内周側に配置されており、撮像空間に配置された被検体SにRF磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体Sから発生する磁気共鳴信号を受信する。具体的には、全身用RFコイル4は、中空の略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、その内周側に位置する撮像空間に配置された被検体SにRF磁場を印加する。また、全身用RFコイル4は、RF磁場の影響によって被検体Sから発生する磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。
【0017】
局所用RFコイル5は、被検体Sから発生した磁気共鳴信号を受信する。具体的には、局所用RFコイル5は、被検体Sの部位ごとに用意されており、被検体Sの撮像が行われる際に、撮像対象の部位の表面近傍に配置される。そして、局所用RFコイル5は、全身用RFコイル4によって印加されたRF磁場の影響によって被検体Sから発生した磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路7へ出力する。なお、局所用RFコイル5は、被検体SにRF磁場を印加する機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用RFコイル5は、送信回路6に接続され、送信回路6から供給されるRFパルス信号に基づいて、被検体SにRF磁場を印加する。例えば、局所用RFコイル5は、サーフェスコイルや、複数のサーフェスコイルをコイルエレメントとして組み合わせて構成されたフェーズドアレイコイルである。
【0018】
送信回路6は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有のラーモア周波数に対応するRFパルス信号を全身用RFコイル4に出力する。具体的には、送信回路6は、パルス発生器、RF発生器、変調器、及び増幅器を有する。パルス発生器は、RFパルス信号の波形を生成する。RF発生器は、共鳴周波数のRF信号を発生する。変調器は、RF発生器によって発生したRF信号の振幅をパルス発生器によって発生した波形で変調することで、RFパルス信号を生成する。増幅器は、変調器によって生成されたRFパルス信号を増幅して全身用RFコイル4に出力する。
【0019】
受信回路7は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路15に出力する。例えば、受信回路7は、選択器、前段増幅器、位相検波器、及び、A/D(Analog/Digital)変換器を備える。選択器は、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5から出力される磁気共鳴信号を選択的に入力する。前段増幅器は、選択器から出力される磁気共鳴信号を電力増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。A/D変換器は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することで磁気共鳴データを生成し、生成した磁気共鳴データを処理回路15に出力する。なお、ここで、受信回路7が行うものとして説明した各処理は、必ずしも全ての処理が受信回路7で行われる必要はなく、全身用RFコイル4又は局所用RFコイル5で一部の処理(例えば、A/D変換器による処理等)が行われてもよい。
【0020】
RFシールド8は、傾斜磁場コイル2と全身用RFコイル4との間に配置されており、全身用RFコイル4によって発生するRF磁場から傾斜磁場コイル2を遮蔽する。具体的には、RFシールド8は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成されており、傾斜磁場コイル2の内周側の空間に、全身用RFコイル4の外周面を覆うように配置されている。
【0021】
架台9は、略円筒状(中心軸に直交する断面の形状が楕円状となるものを含む)に形成された中空のボア9aを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、全身用RFコイル4、及びRFシールド8を収容している。具体的には、架台9は、ボア9aの外周側に全身用RFコイル4を配置し、全身用RFコイル4の外周側にRFシールド8を配置し、RFシールド8の外周側に傾斜磁場コイル2を配置し、傾斜磁場コイル2の外周側に静磁場磁石1を配置した状態で、それぞれを収容している。ここで、架台9が有するボア9a内の空間が、撮像時に被検体Sが配置される撮像空間となる。
【0022】
寝台10は、被検体Sが載置される天板10aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、被検体Sが載置された天板10aを撮像空間に移動する。例えば、寝台10は、天板10aの長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
【0023】
なお、ここでは、MRI装置100が、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び全身用RFコイル4それぞれが略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型の構造を有する場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルを配置した、いわゆるオープン型の構造を有していてもよい。このようなオープン型の構造では、一対の静磁場磁石、一対の傾斜磁場コイル及び一対のRFコイルによって挟まれた空間が、トンネル型の構造におけるボアに相当する。
【0024】
インタフェース11は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、インタフェース11は、処理回路17に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路17に出力する。例えば、インタフェース11は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、インタフェース11は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路もインタフェース11の例に含まれる。
【0025】
ディスプレイ12は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ12は、処理回路17に接続されており、処理回路17から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ12は、液晶モニタやCRTモニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0026】
記憶回路13は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路13は、処理回路14~17に接続されており、各処理回路によって入出力される各種データ及び各種プログラムを記憶する。例えば、記憶回路13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0027】
処理回路14は、寝台制御機能14aを有する。寝台制御機能14aは、制御用の電気信号を寝台10へ出力することで、寝台10の動作を制御する。例えば、寝台制御機能14aは、インタフェース11を介して、天板10aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板10aを移動するように、寝台10が有する天板10aの移動機構を動作させる。
【0028】
処理回路15は、収集機能15aを有する。収集機能15aは、各種のパルスシーケンスを実行することで、k空間データを収集する。具体的には、収集機能15aは、処理回路17から出力されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源3、送信回路6及び受信回路7を駆動することで、各種のパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、パルスシーケンスを表すデータであり、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給する電流の強さ、送信回路6が全身用RFコイル4に高周波パルス信号を供給するタイミング及び供給する高周波パルスの強さ、受信回路7が磁気共鳴信号をサンプリングするタイミング等を規定した情報である。そして、収集機能15aは、パルスシーケンスを実行した結果として受信回路7から出力される磁気共鳴データを受信し、記憶回路13に記憶させる。このとき、記憶回路13に記憶される磁気共鳴データは、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によってリードアウト方向、フェーズアウト方向及びスライス方向の各方向に沿った位置情報が付与されることで、2次元又は3次元のk空間を表すk空間データとして記憶される。
【0029】
処理回路16は、再構成機能16aを有する。再構成機能16aは、処理回路15によって収集されたk空間データから画像を再構成する。具体的には、再構成機能16aは、処理回路15によって収集されたk空間データを記憶回路13から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、2次元又は3次元の画像を生成する。そして、再構成機能16aは、生成した画像を記憶回路13に記憶させる。
【0030】
処理回路17は、撮像制御機能17aを有する。撮像制御機能17aは、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、撮像制御機能17aは、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)をディスプレイ12に表示し、インタフェース11を介して受け付けられた入力操作に応じて、MRI装置100が有する各構成要素を制御する。例えば、撮像制御機能17aは、操作者によって入力された撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを処理回路15に出力することで、k空間データを収集させる。また、例えば、撮像制御機能17aは、処理回路16を制御することで、処理回路15によって収集されたk空間データから画像を再構成させる。また、例えば、撮像制御機能17aは、操作者からの要求に応じて、記憶回路13から画像を読み出し、読み出した画像をディスプレイ12に表示させる。
【0031】
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、動画を撮像する機能を有している。
【0032】
ここで、MRI装置100によって動画を撮像する方法として、例えば、時間方向に連続してk空間データを収集し、収集されたk空間データを用いて、予め決められたリードアウト数ごとに1フレーム分の画像を再構成する方法が知られている。
【0033】
図2は、本実施形態の比較例に係る再構成方法の一例を示す図である。
【0034】
例えば、図2に示すように、この方法では、時間方向(図2における左から右へ向かう方向)にk空間データが連続して収集され、予め決められたリードアウト数ごとに、当該リードアウト数分のk空間データから1フレーム分の画像が再構成される。これにより、時系列順に連続する複数フレームの画像が得られる(図2に示すframe#1データ、frame#2データ、frame#3データ、frame#4データ・・・)。
【0035】
この方法では、画像再構成の単位となるリードアウト数を増やすことによって、再構成される画像の画質を向上させることが可能であるが、フレーム数を維持するためにはより多くのk空間データが必要になり、撮像時間が長くなる等の問題が生じる。
【0036】
これに対し、画像再構成の単位となるリードアウト数を増やすことなく、再構成される画像の画質を向上させる方法として、時間方向拘束と呼ばれる技術が知られている。この時間方向拘束は、再構成された時系列の画像を時間方向に対する事前知識へ適合させることによって、時間方向のノイズを除去する技術である。例えば、このような時間方向拘束の一例として、圧縮センシングを用いる方法が知られている。
【0037】
しかしながら、時間方向拘束は、あくまで、再構成された画像に対して行われる処理であるため、1フレーム分の画像に割り当てられるk空間データの量が少ない場合は、十分に画質を向上させることができないこともある。
【0038】
そこで、本実施形態では、時間方向拘束に加えて、View Sharingと呼ばれる手法を用いることによって、再構成される画像の画質をより向上させることができるようにしている。
【0039】
ここで、View Sharingとは、時間方向に収集された複数のk空間データから複数フレーム分の画像を再構成する際に、連続するフレーム間で一部のk空間データを共有させながら、各フレームの画像を再構成する方法である。このView Sharingによれば、1フレーム分の画像に割り当てられるk空間データの量が増えることになり、再構成される画像の画質を向上させることができる。
【0040】
このように、時間方向拘束とView Sharingとは、いずれも再構成される画像の画質を向上させるための手法であり、一般的には、同様の効果が得られるものと考えられている。しかしながら、時間方向拘束は再構成された画像に対して行われる処理であるのに対し、View Sharingはk空間データに対して行われる処理であることから、いずれか一方の手法によって実現される画質の向上には限界があると考えられる。
【0041】
本実施形態は、このような観点から、k空間データに対して行われるView Sharingと、再構成された画像に対して行われる時間方向拘束とを併用することによって、再構成される画像の画質をより向上させることを実現するものである。
【0042】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の構成について、詳細に説明する。なお、本実施形態では、複数のコイルエレメントを有するRFコイルを用いて撮像を行うパラレルイメージングによって撮像が行われる場合の例を説明する。
【0043】
まず、本実施形態では、処理回路15の収集機能15aが、時間方向に連続して複数のk空間データを収集する。例えば、収集機能15aは、k空間の中心を通るラインに沿って1リードアウト分のk空間データを収集するデータ収集をラインの角度を変えながら連続して行うラジアル収集によって複数のk空間データを収集する。あるいは、例えば、収集機能15aは、カルテシアン収集においてTRICKS(Time-Resolved Imaging of Contrast KineticS)法、TWIST(Time-resolved angiography With Interleaved Stochastic Trajectories)法やDISCO(DIfferential Sub-sampling with Cartesian Ordering)法により中心領域から外れた領域の収集回数を減らしながら複数のk空間データを収集する。あるいは、例えば、k空間の中心から開始し、中心領域から外れるほど収集密度を下げながら収集するバリアブル密度スパイラル収集法において、その開始時リードアウト方向の角度を1リードアウトごとに変えながら、複数のk空間データを収集する。
【0044】
そして、本実施形態では、処理回路16の再構成機能16aが、収集機能15aによって時間方向に収集された複数のk空間データから少なくとも一つの画像を再構成する。なお、再構成機能16aは、再構成部の一例である。
【0045】
具体的には、本実施形態では、再構成機能16aは、時間方向でk空間データを共有する推定画像を再構成する画像推定演算と、当該推定画像を時間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算とを行う。すなわち、画像推定演算は、View Sharingに対応する画像推定演算と、時間方向拘束に対応する適合演算とを行う。
【0046】
ここで、画像推定演算及び適合演算は、それぞれ、推定画像を最適化する演算である。そして、本実施形態では、再構成機能16aは、上述した画像推定演算と適合演算とを交互に実行することによって、最終的に画像を再構成する。
【0047】
本実施形態の1つの例として、パラレルイメージングと圧縮センシングとが併用される場合には、以下の式(1)及び(2)に示す目的関数E(x,z)を最小化する最適化問題について、ADMM(Alternating Direction Method of Multipliers)法を使用して交互最適化の繰り返し計算を行うことによって、最終的に画像xを再構成することができる。
【0048】
【数1】
【数2】
【0049】
ここで、yは、画像xの再構成に用いられるk空間データを表し、zは、補助変数を表している。また、||FSx-y|| は、パラレルイメージングによってフレーム単位の推定画像を再構成する画像推定演算を表しており、Fはフーリエ変換を、Sはコイルエレメントのコイル感度を表している。また、R(z,y)は、圧縮センシングによる時間方向拘束を行う適合演算を表しており、λは画像推定演算に対する適合演算の重み付けの大きさを表している。ここで、R(z,y)は、画像xと、時間方向のノイズを含まない画像との間の違いの程度を示す指標値を導出する関数であり、この指標値は、その値が小さいほど、画像xがノイズを含まない複数の画像と適合していることを示す。
【0050】
本実施形態の別の例として、再構成機能16aは、このようなADMMを用いた交互最適化の繰り返し計算をDNN(Deep Neural Network)に組み込んで機械学習を行うことによって作成された学習済みモデルを用いて、画像を再構成してもよい。このような学習済みモデルを作成する方法としては、例えば、”Deep ADMM-Net for Compressive Sensing MRI”(Y. Yang et al. Deep ADMM-Net for Compressive Sensing MRI. In Proceedings of Advances in Neural Information Processing Systems. 2016; 29: 10-18.)に記載されている方法等を用いることができる。
【0051】
ここで、学習済みモデルは、例えば、時間方向に収集された複数のk空間データと、時間方向のノイズを含まない複数の画像とを学習用データとした機械学習によって作成される。これにより、例えば、学習済みモデルとして、k空間データyを入力し、E(x,z)が最小となるような画像xを出力するモデルが生成される。
【0052】
そして、本実施形態では、再構成機能16aは、上述したADMMを用いた交互最適化の繰り返し計算又は学習済みモデルによる画像再構成にView Sharingを適用して、時系列順に連続する複数の推定画像を再構成する。
【0053】
図3は、本実施形態に係る再構成機能16aによって行われる再構成方法の一例を示す図である。
【0054】
例えば、図3に示すように、再構成機能16aは、収集機能15aによって時間方向(図3における左から右へ向かう方向)に連続して収集されたk空間データを用いて、予め決められたリードアウト数ごとに、上述したADMMを用いた交互最適化の繰り返し計算又は学習済みモデルにk空間データを入力することで、当該リードアウト数分のk空間データから1フレーム分の推定画像を再構成する。このとき、再構成機能16aは、連続するフレーム間で一部のk空間データを共有させながら、画像推定演算によって各フレームの推定画像を再構成する。これにより、時系列順に連続する複数フレームの推定画像が得られる(図3に示すframe#1データ、frame#2データ、frame#3データ・・・)。
【0055】
このように、本実施形態では、再構成機能16aは、例えば圧縮センシングで用いられる知識や、例えばDNN等の機械学習によって作成された学習済みモデルを利用して、画像推定演算と適合演算とを交互に実行することによって、最終的に画像を再構成する。例えば、再構成機能16aは、学習済みモデルにより、画像推定演算と適合演算とを順に実行することを、所定の終了条件が満たされるまで繰り返す。このとき、例えば、再構成機能16aは、E(x)の変化量が所定の閾値を下回った場合に、終了条件が満たされたと判定し、下回っていない場合に、終了条件が満たされていないと判定する。または、例えば、再構成機能16aは、画像推定演算及び適合演算の実行回数が予め決められた上限値に達した場合に、終了条件が満たされたと判定し、達していない場合に、終了条件が満たされていないと判定する。
【0056】
そして、再構成機能16aは、画像推定演算と適合演算とを交互に実行した結果として、最後に導出された推定画像を、最終的な画像としてディスプレイ12に出力する。
【0057】
以上、処理回路14~17が有する処理機能について説明したが、例えば、各処理回路は、プロセッサによって実現される。この場合に、各処理回路が有する処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13に記憶される。そして、各処理回路は、記憶回路13から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各処理回路は、図1の各処理回路内に示された各機能を有することとなる。
【0058】
なお、ここでは、単一のプロセッサによって各処理回路が実現されるものとして説明するが、実施形態はこれに限られず、複数の独立したプロセッサを組み合わせて各処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、各処理回路が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、図1に示す例では、単一の記憶回路13が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路が個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0059】
図4は、本実施形態に係るMRI装置100によって行われる撮像の処理手順を示すフローチャートである。
【0060】
例えば、図4に示すように、本実施形態では、撮像制御機能17aが、操作者から撮像を開始する指示を受け付けた場合に(ステップS101,Yes)、以下の処理を開始させる。
【0061】
まず、収集機能15aが、時間方向に連続して複数のk空間データを収集する(ステップS102)。例えば、収集機能15aは、ラジアル収集、カルテシアン収集、スパイラル収集のいずれかの収集によって複数のk空間データを収集する。
【0062】
その後、再構成機能16aが、収集機能15aによって収集されたk空間データに基づいて、コイル感度を推定する(ステップS103)。例えば、再構成機能16aは、撮像に用いられたRFコイルのコイルエレメントごとに、収集された全てのk空間データから一つの画像を再構成し、当該画像の輝度値に基づいてコイル感度を計測する。
【0063】
その後、再構成機能16aは、収集されたk空間データと、計測されたコイル感度とを用いて画像推定演算を実行し(ステップS104)、さらに、画像推定演算によって再構成された推定画像を用いて適合演算を実行する(ステップS105)。
【0064】
ここで、再構成機能16aは、所定の終了条件が満たされるまで(ステップS106,No)、画像推定演算と適合演算とを繰り返し実行することによって、画像推定演算と適合演算とを交互に実行する。なお、この交互最適化における適合演算の処理は、例えば圧縮センシングで用いられる知識を利用しても良いし、例えばDNN等の機械学習によって作成された学習済みモデルを利用しても良い。
【0065】
そして、再構成機能16aは、所定の終了条件が満たされた場合に(ステップS106,No)、最後に導出された推定画像を、最終的な画像としてディスプレイ12に出力する(ステップS107)。
【0066】
ここで、例えば、図4に示す処理手順のうち、ステップS101の処理は、例えば、処理回路17が、撮像制御機能17aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS102の処理は、例えば、処理回路15が、収集機能15aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS103~S106の処理は、例えば、処理回路16が、再構成機能16aに対応する所定のプログラムを記憶回路13から読み出して実行することにより実現される。
【0067】
なお、ここで説明した処理手順では、画像推定演算と適合演算とを順に実行するため、最終的な画像は適合演算によって導出された推定画像になるが、実施形態はこれに限られない。例えば、再構成機能16aは、所定の終了条件が満たされた場合に、画像推定演算によって最後に再構成された推定画像を最終的な画像としてもよい。
【0068】
上述したように、本実施形態では、再構成機能16aが、時間方向でk空間データを共有する推定画像を再構成する画像推定演算と、当該推定画像を時間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算とを行う。
【0069】
このように、本実施形態では、時間方向拘束に加えて、View Sharingと呼ばれる手法を用いることによって、再構成される画像の画質をより向上させることができる。また、動画の撮像において、フレームレートに対する画質を向上させることができる。
【0070】
以上、本実施形態に係るMRI装置100について説明したが、本願が開示する技術の実施形態はこれに限られない。以下では、上述した実施形態に関する、いくつかの変形例について説明する。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、再構成機能16aが、ディープラーニングに基づく事前知識を用いて、画像を再構成する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、再構成機能16aは、特異値分解(singular value decomposition:SVD)、主成分分析(principal component analysis:PCA))等に基づく事前知識を用いて、画像を再構成してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、再構成機能16aが、推定画像を時間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算を行う場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、適合演算で用いられる事前知識は、空間方向に対する内容をさらに含んでもよい。すなわち、再構成機能16aは、推定画像を時間方向及び空間方向に対する事前知識へ適合させる適合演算を行う。この場合に、事前知識は、ディープラーニングに基づくものであってもよいし、圧縮センシングや、特異値分解、主成分分析等に基づくものであってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、再構成機能16aが、画像推定演算と適合演算とを交互に実行する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、再構成機能16aは、画像推定演算と適合演算とを同時に実行してもよい。その場合には、公知の各種の非線形最適化(nonlinear optimization)の手法を用いることが可能である。例えば、https://jp.mathworks.com/help/optim/ug/solve-constrained-nonlinear-optimization-problem-based.htmlに記載されている非線形最適化の手法を用いることが可能である。
【0074】
また、上述した実施形態では、画像推定演算が、パラレルイメージングによって推定画像を再構成する演算である場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、単一のRFコイルを用いた撮像が行われる場合には、画像推定演算は、単一のRFコイルによって収集されたk空間データから推定画像を再構成する演算であってもよい。すなわち、この場合には、画像推定演算は、式(1)の第1の項からコイル感度Sを除いた演算となる。
【0075】
また、上述した実施形態において、再構成機能16aが、連続するフレーム間で一部のk空間データを共有させながら各フレームの推定画像を再構成する際に、共有させるk空間データに重み付けを行うようにしてもよい。例えば、再構成機能16aは、共有させるk空間データの中で、k空間の中心部分に含まれる信号の重みを周辺部分に含まれる信号と比べて小さくして、各フレームの推定画像を再構成する。通常、k空間データでは、k空間の中心部分に含まれる信号が、周辺部分に含まれる信号と比べて大きくなる。そのため、k空間の中心部分に含まれる信号の重みを小さくすることによって、k空間データを共有させたことによる各画像への影響を小さくすることができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、収集機能15aが、ラジアル収集によって複数のk空間データを収集する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、収集機能15aは、カルテシアン収集やスパイラル収集等によってk空間データを収集してもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、再構成機能16aが、全てのフレームについて同じ再構成方法で推定画像を再構成する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0078】
例えば、再構成機能16aは、全てのフレームについて、同じリードアウト数のk空間データから推定画像を再構成するのではなく、1フレーム分の推定画像の再構成に割り当てられるリードアウト数をフレームごとに適宜に変えてもよい。
【0079】
また、例えば、再構成機能16aは、全てのフレームについて、View Sharingを用いて推定画像を再構成するのではなく、一部のフレームについてはView Sharingを用いて推定画像を再構成し、他のフレームについてはk空間を共有しない再構成方法を用いて推定画像を再構成するようにしてもよい。すなわち、少なくとも一つのフレームについて、View Sharingを用いて推定画像が再構成されれば、View Sharingを全く用いない場合と比べて、画質の向上の効果が得られる。
【0080】
また、例えば、再構成機能16aは、全てのフレームについて、パラレルイメージングによって推定画像を再構成するのではなく、一部のフレームについては全てのコイルエレメントで収集されたk空間データを用いて推定画像を再構成し、他のフレームについては一部のコイルエレメントで収集されたk空間データを用いて推定画像を再構成するようにしてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、再構成機能16aが、全てのフレームについて同じ時間方向拘束を用いる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0082】
例えば、ディープラーニングに基づくデノイズ関数R(x,y)が入力する画像の数が所定数に限られている場合は、再構成機能16aは、全てのフレームのうち、当該所定数に満たない最初の複数のフレーム及び最後の複数のフレームについては、圧縮センシング等の他の事前知識を用いて時間方向拘束を行い、他の複数のフレームについては、R(x,y)を用いて時間方向拘束を行うようにしてもよい。
【0083】
また、上述した各実施形態では、本明細書における再構成部を処理回路16の再構成機能16aによって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における再構成部は、実施形態で述べた再構成機能16aによって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0084】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0085】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0086】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、再構成される画像の画質をより向上させることができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
100 MRI装置
16 処理回路
16a 再構成機能
図1
図2
図3
図4