(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ブレース材及びブレース材用エンドプレート
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
E04B1/58 F
(21)【出願番号】P 2020050216
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏輝
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-063955(JP,A)
【文献】特開2004-324270(JP,A)
【文献】特開2018-188872(JP,A)
【文献】特開2015-048648(JP,A)
【文献】実開昭52-016210(JP,U)
【文献】特開平10-325178(JP,A)
【文献】特開平05-039615(JP,A)
【文献】実開平05-094403(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0074440(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1164413(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第101158179(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、
前記下面から下方に向けて突出するように下面突出部が設けられ、前記下面突出部の下端部には前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレート。
【請求項2】
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、
前記下面から前記上面側に向けて凹むように下面凹部が設けられ、前記下面凹部の底部には前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレート。
【請求項3】
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、
前記上面から上方に向けて突出するように上面突出部が設けられ、前記上面突出部の上端部には前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とす
るブレース材用エンドプレート。
【請求項4】
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、
前記上面から前記下面側に向けて凹むように上面凹部が設けられ、前記上面凹部の底部には前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とす
るブレース材用エンドプレート。
【請求項5】
前記接合部は、前記下面及び前記上面を有する前記ブレース材用エンドプレートの本体部と一体的に成型された
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のブレース材用エンドプレート。
【請求項6】
前記接合部は、前記本体部材の長さ方向に所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略十字型に形成された
ことを特徴とする請求項
3から
5のいずれかに記載のブレース材用エンドプレート。
【請求項7】
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成されており、
前記接合部は、前記架構に設けられたガセットプレートに沿うような板状に形成された
ことを特徴とす
るブレース材用エンドプレート。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のブレース材用エンドプレートを用い、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が、前記ブレース材用エンドプレートの前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合された
ことを特徴とするブレース材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の梁や柱の間に斜め方向に設けられるブレース材、及びそのブレース材に用いられるエンドプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
S造やSRC造等の建築構造物においては、柱と梁によって形成される架構に対して、ブレース材と呼ばれる細長い部材を斜め方向に配置して、その両端部を柱や梁に固定することにより、建築構造物の強度を向上させるブレース構造が知られていた。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本願の
図14ないし
図16は、従来のブレース材について説明するために参照する図である。
【0004】
一般的なブレース構造2は、
図16に示すように、水平方向(図中左右方向)に所定の間隔をおいて鉛直方向(図中上下方向)に伸びる2本の角型鋼管の柱4と、それら2本の柱4の間に、鉛直方向に所定の間隔をおいて水平方向に伸びる2本のH型鋼の梁6によって形成される架構3に対して、細長いブレース材12が、上記2本の柱4と2本の梁6を四辺とする架構3の矩形面の面内方向(図の紙面に平行方向)に沿って斜めに伸びるように配置され、その長さ方向の一方の端部が図中上側の梁6の長さ途中部に接合され、他方の端部が図中下側の梁6と柱4の下端部との接合部に接合されていた。
【0005】
従来のブレース材12は、
図14及び
図16に示すように、細長く伸びる本体部材14を有し、本体部材14の長さ方向の両端部に、ブレース材12の長さ方向の両端部を架構3に対して固定するための接合部材16(接合部)が設けられていた。
【0006】
ブレース材12の本体部材14は、
図14及び
図15に示すように、所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略正方形に形成された角筒状に形成されていた。
【0007】
そして、ブレース材12の長さ方向の両端部には、本体部材14の略正方形の端面を形成する4つの辺部のそれぞれの長さ中央部が、本体部材14の長さ方向の中央部に向けて略コ字状に凹むように形成された、4つのスリット14aが形成されていた。
【0008】
ブレース材12の接合部材16は、
図14に示すように、本体部材14の長さ方向に所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略十字型に形成されていた。
【0009】
そして、接合部材16の略十字型の断面を形成する4つの先端部16aは、それぞれが所定の厚さ寸法を有し、本体部材14の長さ方向に所定の長さ寸法を有する板状に形成されていた。
【0010】
そして、接合部材16の長さ方向の両端部に形成された、接合部材16の端面16bは、その外形が略十字型に形成されると共に、接合部材16の長さ方向に対して略垂直、かつ略平坦に形成されていた。
【0011】
そして、
図14及び
図15に示すように、接合部材16は、4つの先端部16aのそれぞれが、本体部材14の長さ方向の端部に設けられた4つのスリット14aのそれぞれに嵌合するように、本体部材14の長さ方向の端部に配置され、溶接等により本体部材14の長さ方向の端部に一体的に接合されていた。
【0012】
それにより、
図15に示すように、接合部材16の長さ方向の一方の(本体部材14側の)端部が、本体部材14の端部に割り込むように配置されて本体部材14に一体的に接合されると共に、接合部材16の長さ方向の他方の(本体部材14と反対側の)端部が、本体部材14の端部より長さ方向の外側に向かって突出するようになっていた。
【0013】
このようなブレース材12が、
図16に示すように、2本の柱4と2本の梁6を四辺とする架構3の矩形面の面内方向に沿って斜めに伸びるように配置されていた。
【0014】
一方、柱4と梁6によって形成される架構3には、
図16に示すように、上側の梁6の長さ途中部、及び、下側の梁6と柱4の下端部との接合部に、図の紙面に垂直方向に所定の厚さ寸法を有する板状に形成されたガセットプレート8が、架構3の矩形面に沿うように配置されて、溶接等により架構3の柱4や梁6に一体的に接合されていた。
【0015】
そして、
図15に示すように、ガセットプレート8のブレース材12の長さ方向の端部と対向する部分には、ブレース材12の接合部材16の他方の端面16bと略平行な側端面8aが形成され、その側端面8aの幅方向(図中左下から右上方向)の略中央部には、ガセットプレート8の板面に対して略垂直、かつブレース材12の長さ方向と略平行な板面を有する板状に形成された側板9が、ガセットプレート8の表面側と裏面側のそれぞれに配置され、溶接等によりガセットプレート8に一体的に接合されていた。
【0016】
これらのガセットプレート8及び側板9は、それぞれの厚さ寸法がブレース材12の接合部材16のそれぞれの先端部16aの厚さ寸法と略同一に形成されており、それにより、架構3のブレース材12の長さ方向の端部と対向する部分に、ガセットプレート8の側端面8aと側板9の端面によって、接合部材16の他方の端面16bと略同一形状の、略十字型の接続端面3aが形成されるようになっていた。
【0017】
そして、
図15に示すように、ブレース材12は、その接合部材16の他方の端面16bを架構3の接続端面3aと突き合わせるように配置され、接合部材16のそれぞれの先端部16aとガセットプレート8又は側板9を同時に挟み込むように、複数の細長い板状のスプライスプレート10を配置して、それらを貫くように複数のボルトを設け、そのボルトにナットを締結することによって、架構3に固定されるようになっていた。
【0018】
このようなブレース構造2を用いることにより、柱4と梁6によって形成される架構3にかかる外力によって生じる、架構3の矩形面の面内方向の柱4や梁6の相対変位を、ブレース材12の軸力に負担させて、建築構造物の強度を向上させることができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述したような従来のブレース材12では、本体部材14の端部に接合部材16を設けるための作業が煩雑なため、ブレース材の製造コストの増加を招くおそれがあった。
【0021】
すなわち、接合部材16の一方の端部が本体部材14の端部に割り込むように配置されるようにするために、接合部材16の形状や大きさに合わせて、本体部材14の端部に4つのスリット14aを形成する必要があり、その加工のための工程が必要となると共に、接合部材16の4つの先端部16aを本体部材14の4つのスリット14aに正確に嵌合させるためには、その加工は十分な精度で行われる必要があった。
【0022】
そして、本体部材14の端部に接合部材16を十分な強度で固定するためには、本体部材14の外周面と接合部材16の先端部16aの側面を、本体部材14のスリット14aの外縁部に沿って連続して溶接する必要があるため、溶接量が増加するおそれがあった。
【0023】
このように、従来のブレース材12は、本体部材14の端部に接合部材16を設ける際に、十分な精度を要求される難易度の高い工程が複数存在するため、ブレース材の製造工程が煩雑化し、また、溶接量も多くなるため、ブレース材の製造コストの増加を招くおそれがあった。
【0024】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができるブレース材、及びそのブレース材に用いられるエンドプレートを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために第1の発明は、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記下面から下方に向けて突出するように下面突出部が設けられ、前記下面突出部の下端部には前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレートである。
【0026】
また、第2の発明は、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記下面から前記上面側に向けて凹むように下面凹部が設けられ、前記下面凹部の底部には前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレートである。
【0029】
また、第3の発明は、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、前記上面から上方に向けて突出するように上面突出部が設けられ、前記上面突出部の上端部には前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレートである。
【0031】
また、第4の発明は、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、前記上面から前記下面側に向けて凹むように上面凹部が設けられ、前記上面凹部の底部には前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレートである。
【0032】
また、本発明によるブレース材用エンドプレートは、
前記接合部は、前記下面及び前記上面を有する前記ブレース材用エンドプレートの本体部と一体的に成型された
ことを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明によるブレース材用エンドプレートは、
前記接合部は、前記本体部材の長さ方向に所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略十字型に形成された
ことを特徴とするものである。
【0034】
また、第5の発明は、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるように構成されており、
前記接合部は、前記上面に対向する端面を有する接合部材として設けられ、
前記上面に、前記接合部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記接合部材の前記端面の外形より大きく形成された第2接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記接合部材の前記端面が前記第2接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成されており、
前記接合部は、前記架構に設けられたガセットプレートに沿うような板状に形成された
ことを特徴とするブレース材用エンドプレートである。
【0035】
また、上記課題を解決するために第6の発明は、
第1から第5のいずれかの発明に係るブレース材用エンドプレートを用い、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が、前記ブレース材用エンドプレートの前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合された
ことを特徴とするブレース材である。
【発明の効果】
【0036】
このような本発明のブレース材用エンドプレートによれば、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられ、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されるよう構成されたことにより、
加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【0037】
また、このような本発明のブレース材によれば、
細長く伸びるブレース材の本体部材の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、前記本体部材の長さ方向の端部に形成される前記本体部材の端面と対向する下面と、前記下面の反対側に形成される上面を有する板状に形成され、
前記上面に、前記ブレース材の長さ方向の端部を架構に対して固定するための接合部が設けられ、
前記下面に、前記本体部材の前記端面と略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形が前記本体部材の前記端面の外形より大きく形成された第1接合面が設けられたブレース材用エンドプレートを用い、
前記ブレース材の前記本体部材の前記端面が、前記ブレース材用エンドプレートの前記第1接合面に当接するように配置されて一体的に接合されたことにより、
加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るブレース材22の長さ方向の端部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図2】
図1に示すブレース材22に用いられるエンドプレート28を示す図であって、
図2(a)はその上面側から見た斜視図であり、
図2(b)はその下面側から見た斜視図である。
【
図3】エンドプレート28を示す図であって、
図3(a)はその平面図であり、
図3(b)は
図3(a)におけるA-A線矢視断面図であり、
図3(c)は
図3(a)におけるB-B線矢視断面図である。
【
図4】
図1に示すブレース材22が取り付けられた架構3における、ブレース材22と架構3の接合部を拡大して示す拡大概略正面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係るブレース材32に用いられるエンドプレート38を示す図であって、
図5(a)はその上面側から見た斜視図であり、
図5(b)はその下面側から見た斜視図である。
【
図6】エンドプレート38を示す図であって、
図6(a)はその平面図であり、
図6(b)は
図6(a)におけるC-C線矢視断面図であり、
図6(c)は
図6(a)におけるD-D線矢視断面図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係るブレース材42に用いられるエンドプレート48を示す図であって、
図7(a)はその上面側から見た斜視図であり、
図7(b)はその下面側から見た斜視図である。
【
図8】エンドプレート38を示す図であって、
図8(a)はその平面図であり、
図8(b)は
図8(a)におけるE-E線矢視断面図であり、
図8(c)は
図8(a)におけるF-F線矢視断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態に係るブレース材52の長さ方向の端部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図10】
図9に示すブレース材52に用いられるエンドプレート58を示す図であって、
図10(a)はその平面図であり、
図10(b)はその底面図である。
【
図11】エンドプレート58を示す図であって、
図11(a)はその正面図であり、
図11(b)はその背面図である。
【
図12】エンドプレート58を示す図であって、
図12(a)はその右側面図であり、
図12(b)は
図11(a)におけるG-G線矢視断面図である。
【
図13】
図9に示すブレース材52が取り付けられた架構3における、ブレース材52と架構3の接合部を拡大して示す拡大概略正面図である。
【
図14】従来のブレース材12の長さ方向の端部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図15】
図14に示すブレース材12が取り付けられた架構3における、ブレース材12と架構3の接合部を拡大して示す拡大概略正面図である。
【
図16】一般的なブレース構造2の構成を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係るブレース材、及びそのブレース材に用いられるエンドプレートを実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。なお、
図14及び
図15に示す従来のブレース材12や、
図16に示す一般的なブレース構造2と同様の部分には、一部を除き同じ符号を付して説明するものとする。
【0040】
図1ないし
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るブレース材22、及びそのブレース材22に用いられるエンドプレート28について説明するために参照する図である。
【0041】
本実施の形態に係るブレース材22は、
図1に示すように、細長く伸びる本体部材24を有し、本体部材24の長さ方向の両端部にエンドプレート28が設けられ、それぞれのエンドプレート28の本体部材24と反対側に、ブレース材22の長さ方向の両端部を架構3に対して固定するための接合部材26(接合部)が設けられている。
【0042】
ブレース材22の本体部材24は、
図1に示すように、所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略正方形に形成された角筒状に形成されている。
【0043】
そして、本体部材24の長さ方向の両端部に形成された、本体部材24の端面24aは、その外形が略正方形に形成されると共に、本体部材24の長さ方向に対して略垂直、かつ略平坦に形成されている。
【0044】
ブレース材22の接合部材26は、
図1に示すように、本体部材24の長さ方向に所定の長さ寸法を有し、長さ方向に対して垂直な断面が略十字型に形成されている。
【0045】
そして、接合部材26の略十字形の断面を形成する4つの先端部26aは、それぞれが所定の厚さ寸法を有し、本体部材24の長さ方向に所定の長さ寸法を有する板状に形成されている。
【0046】
そして、接合部材26の長さ方向の両端部に形成された、接合部材26の端面26bは、その外形が略十字型に形成されると共に、接合部材26の長さ方向に対して略垂直、かつ略平坦に形成されている。
【0047】
ブレース材22のエンドプレート28は、
図1及び
図4に示すように、本体部材24の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、本体部材24の端面24aと対向する下面28aと、その下面28aの反対側に形成された、接合部材26の端面26bと対向する上面28bを有する板状に形成され、
図2及び
図3(a)に示すように、その平面形状は略正方形に形成されている。
【0048】
そして、
図1及び
図2(b)に示すように、エンドプレート28の下面28a(第1接合面)は、本体部材24の端面24aと略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形は、本体部材24の端面24aの外形より大きな略正方形に形成されている。
【0049】
そして、
図2(a)に示すように、エンドプレート28の上面28bには、エンドプレート28の略正方形の外形を形成する4つの辺部の対向する辺部の長さ中央部同士を結んだような略十字型の突出部28c(上面突出部)が、上面28bから上方に向けて突出するように設けられている。
【0050】
そして、
図1及び
図2(a)に示すように、突出部28cの上端部には、接合部材26の一方の(本体部材24側の)端面26bと略平行、かつ略平坦な上端面28d(第2接合面)が形成され、上端面28dの外形は、接合部材26の一方の端面26bの外形より大きな略十字型に形成されている。
【0051】
また、
図3(b)及び(c)に示すように、エンドプレート28の上面28bから突出部28cの上端面28dの周縁部にかけて形成される、突出部28cの側面部28eは、その垂直方向(エンドプレート28の厚さ方向)の断面形状が、側面部28eの断面の任意の点における接線の上記垂直方向に対する傾斜角度が、突出部28cの上端部から下端部に向かうにつれて徐々に大きくなるような、凹形の弧状に形成されている。
【0052】
それにより、突出部28cは、そのエンドプレート28の厚さ方向に対して垂直な断面形状が、突出部28cの上端部から下端部に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
【0053】
このようなエンドプレート28は、十分な強度を有する材料、例えば鋼材等を用い、鋳造により一体成型することにより形成することができる。
【0054】
そして、
図1に示すように、このようなエンドプレート28が、その下面28aにブレース材22の本体部材24の端面24aが当接するように、本体部材24の長さ方向の端部に配置されている。
【0055】
そして、本体部材24の外側面とエンドプレート28の下面28aを、本体部材24の長さ方向の端部の外周部に沿って連続して溶接することにより、エンドプレート28が、本体部材24の長さ方向の端部に一体的に接合されている。
【0056】
そして、ブレース材22の接合部材26は、エンドプレート28の上面28bに設けられた突出部28cの上端面28dに、接合部材26の一方の(本体部材24側の)端面26bが当接するようにして、エンドプレート28の上面側(本体部材24と反対側)に配置されている。
【0057】
そして、接合部材26の外側面とエンドプレート28の突出部28cの上端面28dを、接合部材26の長さ方向の一方の端部の外周部に沿って連続して溶接することにより、接合部材26が、エンドプレート28の上面側に一体的に接合されている。
【0058】
このようなブレース材22が、2本の柱4と2本の梁6を四辺とする架構3(
図16参照)の矩形面の面内方向に沿って斜めに伸びるように配置されている。
【0059】
一方、柱4と梁6によって形成される架構3には、
図4に示すように、下側の梁6と柱4との接合部(及び、上側の梁6の長さ途中部(
図16参照))に、図の紙面に垂直方向に所定の厚さ寸法を有する板状に形成されたガセットプレート8が、架構3の矩形面に沿うように配置されて、溶接等により架構3の柱4や梁6に一体的に接合されている。
【0060】
そして、ガセットプレート8のブレース材22の長さ方向の端部と対向する部分には、ブレース材22の接合部材26の他方の(本体部材24と反対側の)端面26bと略平行な側端面8aが形成されている。
【0061】
そして、
図4に示すように、ガセットプレート8の側端面8aの幅方向(図中左下から右上方向)の略中央部には、ガセットプレート8の板面に対して略垂直、かつブレース材22の長さ方向と略平行な板面を有する板状に形成された側板9が、ガセットプレート8の表面側と裏面側のそれぞれに配置され、溶接等によりガセットプレート8に一体的に接合されている。
【0062】
これらのガセットプレート8及び側板9は、それぞれの厚さ寸法がブレース材22の接合部材26のそれぞれの先端部26aの厚さ寸法と略同一に形成されている。
【0063】
それにより、架構3のブレース材22の長さ方向の端部と対向する部分には、ガセットプレート8の側端面8aと側板9の端面によって、ブレース材22の長さ方向の両端部に形成されるブレース材22の端面、すなわちブレース材22の接合部材26の他方の端面26bと略同一形状の、略十字型の接続端面3aが形成されるようになっている。
【0064】
そして、
図4に示すように、ブレース材22は、その端面(接合部材26の他方の端面26b)を架構3の接続端面3aと突き合わせて、接合部材26のそれぞれの先端部26aとガセットプレート8及び側板9が同一の平面上に位置するように配置されている。
【0065】
そして、接合部材26のそれぞれの先端部26aとガセットプレート8又は側板9を同時に挟み込むように、複数の細長い板状のスプライスプレート10を配置して、それらを貫くように複数のボルトを設け、そのボルトにナットを締結することによって、ブレース材22の端部が架構3に固定されるようになっている。
【0066】
このような本実施の形態に係るエンドプレート28、及び、それを用いたブレース材22を用いることにより、本体部材24の端部に接合部材26を設けるための、煩雑な作業工程の数を減らすことができると共に、溶接量を削減することができる。
【0067】
すなわち、本体部材24とエンドプレート28が、互いの接合部(本体部材24の端面24aとエンドプレート28の下面28a)において、1つの略平坦な平面で接触するようになっているため、従来のブレース材12(
図15参照)のように、本体部材14の長さ方向の端部に4つのスリット14aを形成する必要がなく、そのような精度が要求される煩雑な作業工程を省略することができる。
【0068】
また、本体部材24とエンドプレート28の接合部における本体部材24の長さ方向の端部の外周部、及びエンドプレート28と接合部材26の接合部における接合部材26の長さ方向の一方の端部の外周部のように、それぞれの部材(本体部材24、エンドプレート28、接合部材26)が互いの接合部において、同一平面上に位置する溶接部で溶接されるようになっているため、溶接量を削減することができる。
【0069】
このように、本実施の形態に係るエンドプレート28、及び、それを用いたブレース材22によれば、加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【0070】
また、エンドプレート28の上面28bに突出部28cが形成されることにより、エンドプレート28の強度が向上するため、その分、エンドプレート28の厚さ寸法を小さくすることができ、エンドプレート28に使用する材料の量を低減することができる。
【0071】
また、エンドプレート28の突出部28cの上端面28dの形状が、接合部材26の端面26bと同一形状(略十字型)に形成されているため、エンドプレート28の突出部28cの上端部に接合部材26の長さ方向の端部を接合する際に、エンドプレート28の突出部28cの上端面28dそれ自体を、接合部材26の水平方向の接合位置の目安にすることができるため、エンドプレート38と接合部材26の位置決めの手間を軽減することができる。
【0072】
図5及び
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るブレース材32、及びそのブレース材32に用いられるエンドプレート38について説明するために参照する図である。
【0073】
本実施の形態に係るブレース材32は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22(
図1参照)におけるエンドプレート28の代わりに、
図5及び
図6に示すようなエンドプレート38が用いられている点で、前記第1の実施の形態に係るブレース材22とはその構成が異なるものである。
【0074】
本実施の形態に係るブレース材32に用いられるエンドプレート38は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22に用いられるエンドプレート28と同様に、ブレース材32の本体部材24の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、本体部材24の端面24aと対向する下面38aと、その下面の38aの反対側に形成された、接合部材26の端面26bと対向する上面38eを有する板状に形成され、
図5及び
図6(a)に示すように、その平面形状は略正方形に形成されている。
【0075】
そして、
図5(b)及び
図6(a)に示すように、エンドプレート38の下面38aには、その外縁部より中央部寄りの位置に、平面形状がエンドプレート38の外形より小さな略正方形に形成された下面突出部38bが、下面38aの略中央部から下方に向けて突出するように設けられている。
【0076】
そして、下面突出部38bの下端部には、ブレース材32の本体部材24の端面24aと略平行、かつ略平坦な下端面38c(第1接合面)が形成され、下端面38cの外形は、本体部材24の端面24bの外形より大きな略正方形に形成されている。
【0077】
また、
図5(b)及び
図6(b),(c)に示すように、下面突出部38bの下端面38cには、下端面38cの略中央部がエンドプレート38の上面側に向けて凹むように形成された中央凹部38dが設けられ、中央凹部38dの外形は、本体部材24の端面24aの、角筒状に形成された本体部材24の内側面に相当する部分の外形より小さな略正方形に形成されている。
【0078】
そして、
図5(a)及び
図6(a)に示すように、エンドプレート38の上面38eには、前記第1の実施の形態に係るエンドプレート28(
図2及び
図3参照)と同様に、略十字型の上面突出部38fが、上面38eから上方に向けて突出するように設けられている。
【0079】
そして、上面突出部38fの上端部には、前記第1の実施の形態に係るエンドプレート28と同様に、接合部材26の一方の(本体部材24側の)端面26bと略平行、かつ略平坦な上端面38g(第2接合面)が形成され、上端面38gの外形は、接合部材26の一方の端面26bの外形より大きな略十字型に形成されている。
【0080】
このようなエンドプレート38が、その下面38aに設けられた下面突出部38bの下端面38cに、ブレース材32の本体部材24の端面24aが当接するように、本体部材24の長さ方向の端部に配置されている。
【0081】
そして、本体部材24の外側面とエンドプレート38の下面突出部38bの下端面38cを、本体部材24の長さ方向の端部の外周部に沿って連続して溶接することにより、エンドプレート38が、本体部材24の長さ方向の端部に一体的に接合されている。
【0082】
そして、前記第1の実施の形態に係るブレース材22と同様に、ブレース材32の接合部材26は、エンドプレート38の上面38eに設けられた上面突出部38fの上端面38gに、接合部材26の一方の端面26bが当接するようにして、エンドプレート38の上面側(本体部材24と反対側)に配置されている。
【0083】
そして、前記第1の実施の形態に係るブレース材22と同様に、接合部材26の外側面とエンドプレート38の上面突出部38fの上端面38gを、接合部材26の長さ方向の一方の端部の外周部に沿って連続して溶接することにより、接合部材26が、エンドプレート38の上面側に一体的に接合されている。
【0084】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22、及びそのブレース材22に用いられるエンドプレート28と同様であり、このようなブレース材32、及びそのブレース材32に用いられるエンドプレート38によっても、加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【0085】
また、エンドプレート38の下面38aに下面突出部38bや中央凹部38dが形成されることにより、エンドプレート38の強度が更に向上するため、その分、エンドプレート38の厚さ寸法を更に小さくすることができ、エンドプレート38に使用する材料の量を更に低減することができる。
【0086】
また、エンドプレート38の下面突出部38bの下端面38cの形状が、本体部材24の端面24aと同一形状(略正方形)に形成されているため、本体部材24の長さ方向の端部にエンドプレート38の下面突出部38bの下端部を接合する際に、エンドプレート38の下面突出部38bの下端面38cそれ自体を、本体部材24の水平方向の接合位置の目安にすることができるため、エンドプレート38と本体部材24の位置決めの手間を軽減することができる。
【0087】
図7及び
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るブレース材42、及びそのブレース材42に用いられるエンドプレート48について説明するために参照する図である。
【0088】
本実施の形態に係るブレース材42は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22(
図1参照)におけるエンドプレート28の代わりに、
図7及び
図8に示すようなエンドプレート48が用いられている点で、前記第1の実施の形態に係るブレース材22とはその構成が異なるものである。
【0089】
本実施の形態に係るブレース材42に用いられるエンドプレート48は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22に用いられるエンドプレート28と同様に、ブレース材42の本体部材24の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、本体部材24の端面24aと対向する下面48aと、その下面48aの反対側に形成された、接合部材26の端面26bと対向する上面48dを有する板状に形成され、
図7及び
図8(a)に示すように、その平面形状は略正方形に形成されている。
【0090】
そして、
図7(b)及び
図8(a)に示すように、エンドプレート48の下面48aには、その外縁部より中央部寄りの位置に、エンドプレート48の外形より小さな略正方形の4つの辺部に沿って伸びる溝状に形成された下面凹部48bが、下面48aからエンドプレート48の上面側に向けて凹むように設けられている。
【0091】
そして、下面凹部48bの底部には、ブレース材42の本体部材24の端面24aと略平行、かつ略平坦な底面48c(第1接合面)が形成され、底面48cの形状は、本体部材24の端面24aと略同一かわずかに大きな略正方形に形成されている。
【0092】
そして、
図7(a)及び
図8(a)に示すように、エンドプレート48の上面48dには、エンドプレート48の略正方形の外形を形成する4つの辺部の対向する辺部の長さ中央部同士を結んだような略十字型の溝状に形成された上面凹部48eが、上面48dからエンドプレート48の下面側に向けて凹むように設けられている。
【0093】
そして、上面凹部48eの底部には、ブレース材42の接合部材26の一方の端面26bと略平行、かつ略平坦な底面48f(第2接合面)が形成され、底面48fの形状は、接合部材26の一方の(本体部材24側の)端面26bと略同一かわずかに大きな略十字型に形成されている。
【0094】
このようなエンドプレート48が、その下面48aに設けられた下面凹部48bに、ブレース材42の本体部材24の長さ方向の端部が嵌合し、本体部材24の端面24aが下面凹部48bの底面48cに当接するように、本体部材24の長さ方向の端部に配置されている。
【0095】
そして、本体部材24の外側面とエンドプレート48の下面48aを、下面凹部48bの外縁部に沿って連続して溶接することにより、エンドプレート48が、本体部材24の長さ方向の端部に一体的に接合されている。
【0096】
そして、ブレース材42の接合部材26は、エンドプレート38の上面38dに設けられた上面凹部48eに接合部材26の長さ方向の一方の端部が嵌合し、接合部材26の一方の端面26bが上面凹部48eの底面48fに当接するようにして、エンドプレート48の上面側(本体部材24と反対側)に配置されている。
【0097】
そして、接合部材26の外側面とエンドプレート48の上面48dを、上面凹部48eの外縁部に沿って連続して溶接することにより、接合部材26が、エンドプレート48の上面側に一体的に接合されている。
【0098】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22、及びそのブレース材22に用いられるエンドプレート28と同様であり、このようなブレース材42、及びそのブレース材42に用いられるエンドプレート48によっても、加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【0099】
また、エンドプレート48の下面凹部48bや上面凹部48eの底面48c,48fの形状が、本体部材24の端面24aや接合部材26の一方の端面26bと、それぞれ略同一かわずかに大きく形成され、それらが互いに嵌合可能に形成されることにより、それぞれの部材(本体部材24、エンドプレート48、接合部材26)を互いに接合する際に、それぞれの部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0100】
図9ないし
図13は、本発明の第4の実施の形態に係るブレース材52、及びそのブレース材52に用いられるエンドプレート58について説明するために参照する図である。
【0101】
本実施の形態に係るブレース材52は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22(
図1参照)におけるエンドプレート28及び接合部材26の代わりに、
図10ないし
図12に示すようなエンドプレート58が用いられている点で、前記第1の実施の形態に係るブレース材22とはその構成が異なるものである。
【0102】
本実施の形態に係るブレース材52に用いられるエンドプレート58は、
図9に示すように、ブレース材52の本体部材24の長さ方向に所定の厚さ寸法を有し、本体部材24の端面24aと対向する下面58bと、その下面58bの反対側に形成される上面58cを有する板状に形成された本体部58aと、本体部58aの上面58cの略中央部に、本体部58aに対して略直角に設けられた接合部58dを備えている。
【0103】
そして、
図9及び
図10(b)に示すように、本体部58aの下面58b(第1接合面)は、本体部材24の端面24aと略平行、かつ略平坦に形成されると共に、その外形は、本体部材24の端面24aの外形より大きな略正方形に形成されている。
【0104】
そして、
図12(a)に示すように、エンドプレート58の接合部58dは、本体部58aの奥行方向(図中左右方向)に所定の厚さ寸法を有し、平面形状が略八角形(
図11参照)の板状に形成され、本体部58aの上面58cの奥行方向の略中央部に、本体部58aと一体的に設けられている。
【0105】
一方、本体部58aの上面58cは、
図12(a)に示すように、本体部58aの奥行方向の両端部から中央部に向かうにつれて、本体部58aの厚さ寸法が徐々に大きくなるように傾斜して形成されている。
【0106】
そして、
図11(b)に示すように、本体部58aの奥行方向の中央部付近では、上記奥行方向に対して直角な本体部58aの幅方向(図中左右方向)の両端部から中央部に向かうにつれて、本体部58aの厚さ寸法が徐々に大きくなるように、本体部58aの上面58cが傾斜して形成されている。
【0107】
そして、
図11(a)及び
図12(a)に示すように、本体部58aの上面58cと接合部58dの一方の板面(前面58e)の間には、本体部58aの上面58cと接合部58dの前面58eによって形成される隅部を補強するように、補強リブ58gが本体部58aや接合部58dと一体的に設けられている。
【0108】
補強リブ58gは、
図11(a)に示すように、本体部58aの上面58cの奥行方向(図の紙面に垂直方向)の一方の(図中手前側の)端部に形成された辺部の幅方向(図中左右方向)の中央の点P1と、本体部58aの上面58cと接合部58dの前面58eによって形成される隅部の幅方向の中央を挟んで対称な2点P2,P3と、接合部58dの前面58eの中央付近の点P0の4つの点をそれぞれの頂点とする略三角錐状に形成されている。
【0109】
このようなエンドプレート58は、十分な強度を有する材料、例えば鋼材等を用い、鋳造により、本体部58a、接合部58d、及び補強リブ58gを一体成型することにより形成することができる。
【0110】
そして、
図9に示すように、このようなエンドプレート58が、その本体部58aの下面58bにブレース材52の本体部材24の端面24aが当接するように、本体部材24の長さ方向の端部に配置されている。
【0111】
そして、本体部材24の外側面とエンドプレート58の本体部58aの下面58bを、本体部材24の長さ方向の端部の外周部に沿って連続して溶接することにより、エンドプレート58が、本体部材24の長さ方向の端部に一体的に接合されている。
【0112】
このようなブレース材52が、2本の柱4と2本の梁6を四辺とする架構3(
図16参照)の矩形面の面内方向に沿って斜めに伸びるように配置されている。
【0113】
一方、柱4と梁6によって形成される架構3には、
図13に示すように、下側の梁6と柱4との接合部(及び、上側の梁6の長さ途中部(
図16参照))に、所定の厚さ寸法を有する板状に形成されたガセットプレート8が、架構3の矩形面に沿うように配置されて、溶接等により架構3の柱4や梁6に一体的に接合されている。
【0114】
そして、
図13に示すように、ブレース材52は、その長さ方向の端部に設けられたエンドプレート58の接合部58dの背面58f(前面58eと反対側の面)が、ガセットプレート8の一方の(図中手前側の)板面に沿って接触するように配置されている。
【0115】
そして、エンドプレート58の接合部58dとガセットプレート8を貫くように複数のボルトを設け、そのボルトにナットを締結することによって、ブレース材52の端部が架構3に固定されるようになっている。
【0116】
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係るブレース材22、及びそのブレース材22に用いられるエンドプレート28と同様であり、このようなブレース材52、及びそのブレース材52に用いられるエンドプレート58によっても、加工の工程を削減すると共に、溶接量を削減することができ、それにより、製造コストを低減することができる。
【0117】
また、エンドプレート58の接合板部58dがガセットプレート8に沿うように配置されるため、前記第1ないし第3の実施の形態に係るブレース材22,32,42のように、ブレース材を固定するためのスプライスプレート10を用意する必要がなく、その分、ブレース材の架構への取り付け作業を簡略化することができる。
【0118】
また、エンドプレート58の本体部58aの厚さ寸法が周縁部に比べて中央部が大きくなるように形成されていたり、本体部58aの上面58cと接合部58dの前面58eの間に補強リブ58gが設けられていたりすることにより、エンドプレート58の強度が向上するため、その分、エンドプレート58の本体部58aや接合部58dの厚さ寸法を小さくすることができ、エンドプレート58に使用する材料の量を低減することができる。
【0119】
なお、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
【0120】
例えば、前記第1から第4の実施の形態に係るブレース材22,32,42,52においては、本体部材24は角筒状に形成されているが、角筒状以外の形状の部材、例えば、円筒状や棒状、または、断面がH形やI形に形成された部材等を、本体部材として用いてもよい。
【0121】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るエンドプレート28,38,48においては、エンドプレート28,38,48の外形は略正方形に形成されているが、正方形以外、例えば、正六角形や正八角形、円形等に形成された外形のエンドプレートを用いてもよい。
【0122】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るエンドプレート28,38,48においては、その上面や下面に突出部や凹部が形成されているが、エンドプレートの上面や下面に形成される突出部や凹部の組み合わせは、上記3つの実施の形態に限定されるものではなく、例えば、前記第1の実施の形態に係るエンドプレート28の下面28aに、前記第3の実施の形態に係るエンドプレート48の下面48aに形成された下面凹部48bのような凹部が形成してもよい。
【0123】
また、例えば、前記第4の実施の形態に係るエンドプレート58の本体部58aの下面58bに、前記第2の実施の形態に係るエンドプレート38の下面38aに形成された下面突出部38bのような突出部が形成してもよいし、前記第3の実施の形態に係るエンドプレート48の下面48aに形成された下面凹部48bのような凹部が形成してもよい。
【0124】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るエンドプレート28,38,48においては、接合部材26は断面形状が略十字型に形成されているが、他の形状の接合部材、例えば、前記第4の実施の形態に係るエンドプレート58の接合部58dのような、平板状に形成された接合部材を用いてもよい。
【0125】
また、前記第4の実施の形態に係るエンドプレート58においては、接合部58dは平板状に形成されているが、他の形状の接合部、例えば、前記第1から第3の実施の形態に係るエンドプレート28,38,48の接合部材26のような、断面形状が略十字型に形成された接合部を本体部58aと一体成型してもよい。
【符号の説明】
【0126】
2 ブレース構造
3 架構
3a 接続端面
4 柱
6 梁
8 ガセットプレート
8a 側端面
9 側板
10 スプライスプレート
12 ブレース材
14 本体部材
14a スリット
16 接合部材
16a 先端部
16b 端面
22 ブレース材
24 本体部材
24a 端面
26 接合部材
26a 先端部
26b 端面
28 エンドプレート
28a 下面
28b 上面
28c 突出部
28d 上端面
28e 側面部
32 ブレース材
38 エンドプレート
38a 下面
38b 下面突出部
38c 下端面
38d 中央凹部
38e 上面
38f 上面突出部
38g 上端面
42 ブレース材
48 エンドプレート
48a 下面
48b 下面凹部
48c 底面
48d 上面
48e 上面凹部
48f 底面
52 ブレース材
58 エンドプレート
58a 本体部
58b 下面
58c 上面
58d 接合部
58e 前面
58f 背面
58g 補強リブ
P0,P1,P2,P3 頂点