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  • 特許-熱輻射光検出装置及びレーザ加工装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】熱輻射光検出装置及びレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/00 20220101AFI20240625BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240625BHJP
【FI】
G01J5/00 101Z
B23K26/00 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020087973
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181947
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 勝久
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡
(72)【発明者】
【氏名】大宮 丈典
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-198821(JP,A)
【文献】特開2017-156138(JP,A)
【文献】米国特許第04708493(US,A)
【文献】特開平11-281482(JP,A)
【文献】特開昭61-210922(JP,A)
【文献】特開2018-126781(JP,A)
【文献】特開平11-337415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - B23K 26/70
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁部を有する筐体と、
前記複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、前記筐体内に熱輻射光を入射させる光入射部と、
前記筐体内に配置され、第1波長の光及び前記第1波長とは異なる第2波長の光を前記熱輻射光から抽出する光抽出部と、
前記複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、前記第1波長の光を検出する第1光検出部と、
前記複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、前記第2波長の光を検出する第2光検出部と、
前記複数の壁部のうち、前記第1光検出部が取り付けられた前記壁部とは異なる壁部に取り付けられた第1温度検出部と、を備え
前記第1光検出部は、第1パッケージ、及び、前記第1パッケージ内に配置された第1光検出素子を有し、
前記第2光検出部は、第2パッケージ、及び、前記第2パッケージ内に配置された第2光検出素子を有する、熱輻射光検出装置。
【請求項2】
前記第1温度検出部は、前記複数の壁部のうち、前記第1光検出部が取り付けられた前記壁部と対向する壁部に取り付けられている、請求項1に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項3】
記光抽出部及び前記第1光検出部の少なくとも1つは、前記第1光検出素子に前記第1波長の光を集光する第1集光レンズを有し、
前記第1温度検出部は、前記第1温度検出部が取り付けられた前記壁部において前記第1集光レンズのFOV内に位置している、請求項1又は2に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項4】
前記複数の壁部のうち、前記第2光検出部が取り付けられた前記壁部とは異なる壁部に取り付けられた第2温度検出部を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項5】
前記第2温度検出部は、前記複数の壁部のうち、前記第2光検出部が取り付けられた前記壁部と対向する壁部に取り付けられている、請求項4に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項6】
記光抽出部及び前記第2光検出部の少なくとも1つは、前記第2光検出素子に前記第2波長の光を集光する第2集光レンズを有し、
前記第2温度検出部は、前記第2温度検出部が取り付けられた前記壁部において前記第2集光レンズのFOV内に位置している、請求項4又は5に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項7】
前記第1光検出部が取り付けられた前記壁部、及び前記第2光検出部が取り付けられた前記壁部は、異なる壁部であり、
前記第1温度検出部が取り付けられた前記壁部、及び前記第2温度検出部が取り付けられた前記壁部は、同じ壁部である、請求項4~6のいずれか一項に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項8】
前記第1光検出部が取り付けられた前記壁部、及び前記第2光検出部が取り付けられた前記壁部は、同じ壁部であり、
前記第1温度検出部は、前記複数の壁部のうち、前記第1光検出部及び前記第2光検出部が取り付けられた前記壁部と対向する壁部に取り付けられている、請求項1に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項9】
記光抽出部及び前記第1光検出部の少なくとも1つは、前記第1光検出素子に前記第1波長の光を集光する第1集光レンズを有し、
前記光抽出部及び前記第2光検出部の少なくとも1つは、前記第2光検出素子に前記第2波長の光を集光する第2集光レンズを有し、
前記第1温度検出部は、前記第1温度検出部が取り付けられた前記壁部において前記第1集光レンズのFOV及び前記第2集光レンズのFOVが重なる領域内に位置している、請求項1に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項10】
前記第1光検出部から出力された信号及び前記第2光検出部から出力された信号に基づいて、前記熱輻射光を発した領域の温度を求める信号処理部を更に備え、
前記信号処理部は、前記第1温度検出部から出力された信号に基づいて、少なくとも、前記第1光検出部から出力された前記信号を補正する、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱輻射光検出装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の熱輻射光検出装置と、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
被加工物において前記レーザ光が照射された領域から発せられた熱輻射光を前記熱輻射光検出装置に導光する導光部と、を備える、レーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱輻射光検出装置及びレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物にレーザ光を照射することで被加工物を加工しつつ、被加工物においてレーザ光が照射された領域から発せられた熱輻射光を検出することで当該領域の温度を測定するレーザ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-341563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなレーザ加工装置では、被加工物においてレーザ光が照射された領域の温度の測定精度が環境温度の影響によって低下するおそれがある。特に、被加工物においてレーザ光が照射された領域の温度が低温(例えば、250℃以下の温度)である場合には、環境温度の影響が顕著になる。
【0005】
本発明は、高精度な温度の測定を可能にする熱輻射光検出装置及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱輻射光検出装置は、複数の壁部を有する筐体と、複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、筐体内に熱輻射光を入射させる光入射部と、筐体内に配置され、第1波長の光及び第1波長とは異なる第2波長の光を熱輻射光から抽出する光抽出部と、複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、第1波長の光を検出する第1光検出部と、複数の壁部のうちの1つの壁部に取り付けられ、第2波長の光を検出する第2光検出部と、複数の壁部のうち、第1光検出部が取り付けられた壁部とは異なる壁部に取り付けられた第1温度検出部と、を備える。
【0007】
本発明の熱輻射光検出装置では、光抽出部によって熱輻射光から第1波長の光及び第2波長の光が抽出され、第1光検出部によって第1波長の光が検出されると共に第2光検出部によって第2波長の光が検出される。これにより、第1光検出部から出力された信号及び第2光検出部から出力された信号に基づいて、熱輻射光を発した領域の温度を求めることが可能になる。ここで、少なくとも第1光検出部には、筐体から発せられた熱輻射光が入射するおそれがある。特に、第1光検出部が取り付けられた壁部とは異なる壁部から発せられた熱輻射光が第1光検出部に入射し易い。そこで、本発明の熱輻射光検出装置では、第1光検出部が取り付けられた壁部とは異なる壁部に第1温度検出部が取り付けられている。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、少なくとも、第1光検出部から出力された信号を補正することが可能になる。以上により、本発明の熱輻射光検出装置は、高精度な温度の測定を可能にする。
【0008】
本発明の熱輻射光検出装置では、第1温度検出部は、複数の壁部のうち、第1光検出部が取り付けられた壁部と対向する壁部に取り付けられていてもよい。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、第1光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第1光検出部には、第1光検出部が取り付けられた壁部と対向する壁部から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0009】
本発明の熱輻射光検出装置では、第1光検出部は、第1波長の光を検出する第1光検出素子を有し、光抽出部及び第1光検出部の少なくとも1つは、第1光検出素子に第1波長の光を集光する第1集光レンズを有し、第1温度検出部は、第1温度検出部が取り付けられた壁部において第1集光レンズのFOV内に位置していてもよい。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、第1光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第1光検出部には、第1温度検出部が取り付けられた壁部のうち第1集光レンズのFOV内の部分から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0010】
本発明の熱輻射光検出装置は、複数の壁部のうち、第2光検出部が取り付けられた壁部とは異なる壁部に取り付けられた第2温度検出部を更に備えてもよい。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、第1光検出部から出力された信号を補正すること、及び、第2温度検出部から出力された信号に基づいて、第2光検出部から出力された信号を補正することが可能になる。
【0011】
本発明の熱輻射光検出装置では、第2温度検出部は、複数の壁部のうち、第2光検出部が取り付けられた壁部と対向する壁部に取り付けられていてもよい。これにより、第2温度検出部から出力された信号に基づいて、第2光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第2光検出部には、第2光検出部が取り付けられた壁部と対向する壁部から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0012】
本発明の熱輻射光検出装置では、第2光検出部は、第2波長の光を検出する第2光検出素子を有し、光抽出部及び第2光検出部の少なくとも1つは、第2光検出素子に第2波長の光を集光する第2集光レンズを有し、第2温度検出部は、第2温度検出部が取り付けられた壁部において第2集光レンズのFOV内に位置していてもよい。これにより、第2温度検出部から出力された信号に基づいて、第2光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第2光検出部には、第2温度検出部が取り付けられた壁部のうち第2集光レンズのFOV内の部分から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0013】
本発明の熱輻射光検出装置では、第1光検出部が取り付けられた壁部、及び第2光検出部が取り付けられた壁部は、異なる壁部であり、第1温度検出部が取り付けられた壁部、及び第2温度検出部が取り付けられた壁部は、同じ壁部であってもよい。これにより、筐体における各構成の配置を単純化することができる。
【0014】
本発明の熱輻射光検出装置では、第1光検出部が取り付けられた壁部、及び第2光検出部が取り付けられた壁部は、同じ壁部であり、第1温度検出部は、複数の壁部のうち、第1光検出部及び第2光検出部が取り付けられた壁部と対向する壁部に取り付けられていてもよい。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、第1光検出部から出力された信号、及び第2光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。
【0015】
本発明の熱輻射光検出装置では、第1光検出部は、第1波長の光を検出する第1光検出素子を有し、第2光検出部は、第2波長の光を検出する第2光検出素子を有し、光抽出部及び第1光検出部の少なくとも1つは、第1光検出素子に第1波長の光を集光する第1集光レンズを有し、光抽出部及び第2光検出部の少なくとも1つは、第2光検出素子に第2波長の光を集光する第2集光レンズを有し、第1温度検出部は、第1温度検出部が取り付けられた壁部において第1集光レンズのFOV及び第2集光レンズのFOVが重なる領域内に位置していてもよい。これにより、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、第1光検出部から出力された信号、及び第2光検出部から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。
【0016】
本発明の熱輻射光検出装置は、第1光検出部から出力された信号及び第2光検出部から出力された信号に基づいて、熱輻射光を発した領域の温度を求める信号処理部を更に備え、信号処理部は、第1温度検出部から出力された信号に基づいて、少なくとも、第1光検出部から出力された信号を補正してもよい。これにより、熱輻射光を発した領域の温度を高精度に求めることができる。
【0017】
本発明のレーザ加工装置は、上記熱輻射光検出装置と、レーザ光を出射するレーザ光源と、被加工物においてレーザ光が照射された領域から発せられた熱輻射光を熱輻射光検出装置に導光する導光部と、を備える。
【0018】
本発明のレーザ加工装置は、被加工物においてレーザ光が照射された領域について、高精度な温度の測定を可能にする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高精度な温度の測定を可能にする熱輻射光検出装置及びレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態のレーザ加工装置の構成図である。
図2図1に示される熱輻射光検出装置の断面図である。
図3図2に示されるIII-III線に沿っての熱輻射光検出装置の断面図である。
図4】変形例の熱輻射光検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[レーザ加工装置の構成]
【0022】
図1に示されるように、レーザ加工装置1は、レーザ加工ヘッド10と、レーザ光源20と、熱輻射光検出装置30と、を備えている。レーザ加工装置1は、被加工物Sにレーザ光Lを照射することで被加工物Sを加工しつつ、被加工物Sにおいてレーザ光Lが照射された領域Sa(以下、「レーザ光照射領域Sa」という)から発せられた熱輻射光Rを検出することでレーザ光照射領域Saの温度を測定する。レーザ光Lの照射による被加工物Sの加工の一例は、切断、溶接、表面処理等である。被加工物Sにおけるレーザ光照射領域Saの温度の測定目的の一例は、レーザ光の出力制御、加工不良の検出等である。
【0023】
レーザ加工ヘッド10は、筐体11と、光入射部12と、第1光学系13と、ダイクロイックミラー14と、ビームトラップ15と、第2光学系16と、光出射部17と、を有している。レーザ加工ヘッド10は、被加工物Sに対して移動可能になるように構成されている。
【0024】
筐体11は、中心部11a、1対の側方延在部11b,11c、及び上方延在部11dによって構成されている。1対の側方延在部11b,11cは、水平方向に沿って中心部11aから互いに反対側に延在している。上方延在部は、鉛直方向に沿って中心部11aから上側に延在している。中心部11aにおける下側の壁部には、開口11eが形成されている。
【0025】
光入射部12は、側方延在部11bの先端部に取り付けられている。光入射部12には、光ファイバ18の一端部18aが接続されている。光ファイバ18の他端部18bは、レーザ光源20に接続されている。光入射部12は、レーザ光源20から出射されて、光ファイバ18によって導光されたレーザ光Lを筐体11内に入射させる。一例として、レーザ光源20は、半導体レーザによって構成されており、810nmの中心波長を有するレーザ光Lを出射する。
【0026】
第1光学系13は、側方延在部11b内に配置されている。第1光学系13は、光入射部12側から入射したレーザ光Lを被加工物Sに集光する。一例として、第1光学系13は、2つの単レンズによって構成されており、各単レンズの表面には、レーザ光Lの反射を防止する反射防止膜が形成されている。
【0027】
ダイクロイックミラー14は、中心部11a内に配置されている。ダイクロイックミラー14は、第1光学系13によって集光されたレーザ光Lを開口11e側に反射する。ダイクロイックミラー14によって反射されたレーザ光Lは、開口11eを通過して被加工物Sに照射される。被加工物Sにおけるレーザ光照射領域Saからは、熱輻射光Rが発せられる。レーザ光照射領域Saから発せられた熱輻射光Rは、開口11eを通過してダイクロイックミラー14に入射する。ダイクロイックミラー14は、開口11e側から入射した熱輻射光Rを透過させる。
【0028】
ビームトラップ15は、側方延在部11c内に配置されている。ビームトラップ15は、レーザ光Lのうちダイクロイックミラー14を透過した僅かな光を吸収する。これにより、筐体11内でのレーザ光Lの乱反射が抑制される。
【0029】
第2光学系16は、上方延在部11d内に配置されている。第2光学系16は、ダイクロイックミラー14側から入射した熱輻射光Rを光出射部17に集光する。一例として、第2光学系16は、2つの複合レンズによって構成されている。ダイクロイックミラー14側に配置された複合レンズは、例えば、2つの単レンズによって構成されたコリメート用のアクロマティクレンズである。光出射部17側に配置された複合レンズは、例えば、3つの単レンズによって構成されたフォーカス用のアクロマティクレンズである。各複合レンズでは、熱輻射光Rに含まれる第1波長の光R1及び第2波長の光R2(図2参照)について色収差が補正されている。
【0030】
光出射部17は、上方延在部11dの先端部に取り付けられている。光出射部17には、光ファイバ19の一端部19aが接続されている。光ファイバ19の他端部19bは、熱輻射光検出装置30に接続されている。光出射部17は、第2光学系16によって集光された熱輻射光Rを光ファイバ19内に入射させる。熱輻射光Rは、光ファイバ19によって熱輻射光検出装置30に導光される。レーザ加工装置1では、レーザ加工ヘッド10及び光ファイバ19が、レーザ光照射領域Saから発せられた熱輻射光Rを熱輻射光検出装置30に導光する導光部として機能する。
[熱輻射光検出装置の構成]
【0031】
図2及び図3に示されるように、熱輻射光検出装置30は、筐体31と、光入射部32と、光抽出部33と、第1光検出部34と、第2光検出部35と、第1温度検出部36と、第2温度検出部37と、信号処理部38と、を有している。なお、図3では、信号処理部38の図示が省略されている。
【0032】
筐体31は、複数の壁部311,312,313,314,315,316を有している。1対の壁部311,312は、X軸方向おいて対向している。1対の壁部313,314は、Y軸方向おいて対向している。1対の壁部315,316は、Z軸方向おいて対向している。各壁部311,312,313,314,315,316は、角部によって互いに仕切られた平坦な壁部である。ただし、各壁部311,312,313,314,315,316は、角部によって互いに仕切られた壁部であれば、平坦な壁部に限定されず、湾曲した壁部であってもよい。なお、各壁部311,312,313,314,315,316を互いに仕切る角部は、面取りされた角部であってもよいし、面取りされていない角部であってもよい。
【0033】
光入射部32は、壁部311に取り付けられている。光入射部32には、光ファイバ19の他端部19bが接続されている。光入射部32は、熱輻射光Rを筐体31内に入射させる。熱輻射光Rは、レーザ光照射領域Saから発せられて、レーザ加工ヘッド10及び光ファイバ19によって導光された光である(図1参照)。
【0034】
光抽出部33は、筐体31内に配置されている。光抽出部33は、熱輻射光Rから第1波長の光R1及び第2波長の光R2を抽出する。第2波長は、第1波長とは異なっている。本実施形態では、第2波長は、第1波長よりも短い。一例として、第1波長は、2000nmであり、第2波長は、1800nmである。
【0035】
より具体的には、光抽出部33は、ダイクロイックミラー331、第1光学系332及び第2光学系333によって構成されている。ダイクロイックミラー331は、X軸方向において光入射部32と対向している。ダイクロイックミラー331は、光入射部32側から入射した熱輻射光Rのうち第1波長の光R1を含む光を壁部312側に透過させ、光入射部32側から入射した熱輻射光Rのうち第2波長の光R2を含む光を壁部314側に反射する。
【0036】
第1光学系332は、ダイクロイックミラー331と壁部312との間に配置されている。第1光学系332は、第1光学フィルタ332a及び第1集光レンズ332bによって構成されている。第1光学フィルタ332aは、ダイクロイックミラー331を透過した光のうちの第1波長の光R1を第1集光レンズ332b側に透過させる。第1集光レンズ332bは、第1光学フィルタ332a側から入射した第1波長の光R1をX軸方向に沿って集光する。
【0037】
第2光学系333は、ダイクロイックミラー331と壁部314との間に配置されている。第2光学系333は、第2光学フィルタ333a及び第2集光レンズ333bによって構成されている。第2光学フィルタ333aは、ダイクロイックミラー331によって反射された光のうちの第2波長の光R2を第2集光レンズ333b側に透過させる。第2集光レンズ333bは、第2光学フィルタ333a側から入射した第2波長の光R2をX軸方向に沿って集光する。
【0038】
第1光検出部34は、壁部312に取り付けられている。第1光検出部34は、X軸方向において第1光学系332と対向している。第1光検出部34は、第1光検出素子34aを有している。第1光検出素子34aは、第1集光レンズ332bによって集光された第1波長の光R1を検出する。第1光検出素子34aは、例えば、CANパッケージ内に配置されたフォトダイオード等の受光素子である。
【0039】
第2光検出部35は、壁部314に取り付けられている。第1光検出部34が取り付けられた壁部312、及び第2光検出部35が取り付けられた壁部314は、異なる壁部である。第2光検出部35は、Y軸方向において第2光学系333と対向している。第2光検出部35は、第2光検出素子35aを有している。第2光検出素子35aは、第2集光レンズ333bによって集光された第2波長の光R2を検出する。第2光検出素子35aは、例えば、CANパッケージ内に配置されたフォトダイオード等の受光素子である。
【0040】
第1温度検出部36は、第1光検出部34が取り付けられた壁部312とは異なる壁部313に取り付けられている。第1温度検出部36は、第1光検出部34が取り付けられた壁部312と交差する壁部313に取り付けられており、壁部313において第1集光レンズ332bのFOV(field of view)内に位置している。図2及び図3では、第1集光レンズ332bのFOVが一点鎖線で示されている。第1温度検出部36は、例えば、小さい熱時定数(例えば、6秒程度の熱時定数)を有するサーミスタ等の温度検出素子である。なお、一点鎖線で示されたFOVは、第1波長の光R1に対するFOVではなく、熱雑音となる波長の光に対するFOVである。その理由は、第1光検出部34が、第1波長の光R1に対してだけでなく、熱雑音となる波長の光に対しても感度を有しており、第1波長の光R1だけでなく、熱雑音となる波長の光も、第1光検出部34に入射するからである。
【0041】
第2温度検出部37は、第2光検出部35が取り付けられた壁部314とは異なる壁部313に取り付けられている。第1温度検出部36が取り付けられた壁部313、及び第2温度検出部37が取り付けられた壁部313は、同じ壁部である。第2温度検出部37は、第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313に取り付けられており、壁部313において第2集光レンズ333bのFOV内に位置している。図2及び図3では、第2集光レンズ333bのFOVが二点鎖線で示されている。第2温度検出部37は、例えば、小さい熱時定数(例えば、6秒程度の熱時定数)を有するサーミスタ等の温度検出素子である。なお、二点鎖線で示されたFOVは、第2波長の光R2に対するFOVではなく、熱雑音となる波長の光に対するFOVである。その理由は、第2光検出部35が、第2波長の光R2に対してだけでなく、熱雑音となる波長の光に対しても感度を有しており、第2波長の光R2だけでなく、熱雑音となる波長の光も、第2光検出部35に入射するからである。
【0042】
信号処理部38は、第1光検出部34から出力された信号及び第2光検出部35から出力された信号に基づいて、熱輻射光Rを発した領域(すなわち、レーザ光照射領域Sa)の温度を求める。このとき、信号処理部38は、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号を補正すると共に、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号を補正する。信号処理部38は、例えば、マイクロプロセッサーが組み込まれた信号処理基板、又は中央演算処理装置が組み込まれた信号処理基板によって、構成されている。
【0043】
一例として、被加工物Sから発せられた第1波長の光R1の光量をMsとし、筐体31等から発せられた第1波長の光の光量をIとし、第1光検出部34によって検出された第1波長の光の光量をMmとすると、下記式(1)が成立する。第1波長をλとし、第1温度検出部36によって検出された温度をTとすると、下記式(2)が成立する(下記式(2)においてD,β,Cは定数)。下記式(1)及び(2)から、被加工物Sから発せられた第1波長の光R1の光量Msを算出する。これにより、筐体31等から発せられた第1波長の光の光量Iの影響を排除することができる。以上の処理が、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号を補正する補正処理に相当する。
Ms=Mm-I…(1)
=D+(β/λ )・exp[-C/{λ(T+273.15)}]…(2)
【0044】
同様に、被加工物Sから発せられた第2波長の光R2の光量をMsとし、筐体31等から発せられた第2波長の光の光量をIとし、第2光検出部35によって検出された第1波長の光の光量をMmとすると、下記式(3)が成立する。第2波長をλとし、第2温度検出部37によって検出された温度をTとすると、下記式(4)が成立する(下記式(4)においてD,β,Cは定数)。下記式(3)及び(4)から、被加工物Sから発せられた第2波長の光R2の光量Msを算出する。これにより、筐体31等から発せられた第2波長の光の光量Iの影響を排除することができる。以上の処理が、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号を補正する補正処理に相当する。
Ms=Mm-I…(3)
=D+(β/λ )・exp[-C/{λ(T+273.15)}]…(4)
【0045】
信号処理部38は、被加工物Sから発せられた第1波長の光R1の光量Msと、被加工物Sから発せられた第2波長の光R2の光量Msとの比率から、レーザ光照射領域Saの温度を求める。これは、二色式放射温度計の原理である。
【0046】
熱輻射光検出装置30は、レーザ光源41と、ダイクロイックミラー42と、光学フィルタ43と、を更に備えている。
【0047】
レーザ光源41は、壁部314に取り付けられている。レーザ光源41は、Y軸方向に沿って可視域のレーザ光Vを筐体31内に出射する。
【0048】
ダイクロイックミラー42は、X軸方向において光入射部32と対向し且つY軸方向においてレーザ光源41と対向するように、筐体31内に配置されている。ダイクロイックミラー42は、光入射部32側から入射した熱輻射光Rをダイクロイックミラー331側に透過させ、レーザ光源41側から入射したレーザ光Vを光入射部32側に反射する。レーザ光Vは、光ファイバ19及びレーザ加工ヘッド10によって導光されて、被加工物Sに照射される。レーザ光Vをガイド光として利用することで、被加工物Sにレーザ光Lが照射される位置を目視で確認することができる。また、レーザ光Vをガイド光として利用することで、被加工物Sにおいて加工位置と温度測定位置とが一致するようにレーザ加工装置1の各構成を調整することができる。
【0049】
光学フィルタ43は、ダイクロイックミラー42とダイクロイックミラー331との間に位置するように、筐体31内に配置されている。光学フィルタ43は、ダイクロイックミラー42側から入射した熱輻射光Rをダイクロイックミラー331側に透過させ、ダイクロイックミラー42側から入射した散乱光等(レーザ光Lに起因する散乱光等)を除去する。
[作用及び効果]
【0050】
熱輻射光検出装置30では、光抽出部33によって熱輻射光Rから第1波長の光R1及び第2波長の光R2が抽出され、第1光検出部34によって第1波長の光R1が検出されると共に第2光検出部35によって第2波長の光R2が検出される。これにより、第1光検出部34から出力された信号及び第2光検出部35から出力された信号に基づいて、レーザ光照射領域Saの温度を求めることが可能になる。ここで、第1光検出部34及び第2光検出部35のそれぞれには、筐体31から発せられた熱輻射光が入射するおそれがある。特に、第1光検出部34が取り付けられた壁部312とは異なる壁部313等から発せられた熱輻射光が第1光検出部34に入射し易い。また、第2光検出部35が取り付けられた壁部314とは異なる壁部313等から発せられた熱輻射光が第2光検出部35に入射し易い。そこで、熱輻射光検出装置30では、第1光検出部34が取り付けられた壁部312とは異なる壁部313に第1温度検出部36が取り付けられており、第2光検出部35が取り付けられた壁部314とは異なる壁部313に第2温度検出部37が取り付けられている。これにより、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号を補正すること、及び、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号を補正することが可能になる。以上により、熱輻射光検出装置30及びレーザ加工装置1は、高精度な温度の測定を可能にする。
【0051】
また、第1光検出部34から出力された信号、及び第2光検出部35から出力された信号を補正するために、熱輻射光検出装置30にシャッタ等の機械的機構を設けることも考えられる。その場合には、被加工物Sから発せられた熱輻射光Rが筐体31内に入射することがシャッタ等の機械的機構によって防止された状態で、筐体31等から発せられた熱輻射光が第1光検出部34及び第2光検出部35によって検出され、その信号によって、第1光検出部34から出力された信号、及び第2光検出部35から出力された信号が補正される。しかし、熱輻射光検出装置30にシャッタ等の機械的機構が設けられていると、不具合が生じ易くなる。それに対し、上述した熱輻射光検出装置30では、シャッタ等の機械的機構が不要になるため、不具合が生じ難くなる。更に、上述した熱輻射光検出装置30では、シャッタ等の機械的機構が追従することができない高速での繰り返し測定も可能になる。
【0052】
また、熱輻射光検出装置30では、第1温度検出部36が、第1温度検出部36が取り付けられた壁部313において第1集光レンズ332bのFOV内に位置している。これにより、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第1光検出部34には、第1温度検出部36が取り付けられた壁部313のうち第1集光レンズ332bのFOV内の部分から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0053】
また、熱輻射光検出装置30では、第2温度検出部37が、第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313に取り付けられており、第2温度検出部37が取り付けられた壁部313において第2集光レンズ333bのFOV内に位置している。これにより、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。その理由は、第2光検出部35には、第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。また、第2光検出部35には、第2温度検出部37が取り付けられた壁部313のうち第2集光レンズ333bのFOV内の部分から発せられた熱輻射光がより入射し易いからである。
【0054】
また、熱輻射光検出装置30では、第1光検出部34が取り付けられた壁部312、及び第2光検出部35が取り付けられた壁部314が、異なる壁部であり、第1温度検出部36が取り付けられた壁部313、及び第2温度検出部37が取り付けられた壁部313が、同じ壁部である。これにより、筐体31における各構成の配置を単純化することができる。
【0055】
また、熱輻射光検出装置30では、信号処理部38が、第1光検出部34から出力された信号及び第2光検出部35から出力された信号に基づいて、レーザ光照射領域Saの温度を求める。このとき、信号処理部38が、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号を補正すると共に、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号を補正する。これにより、レーザ光照射領域Saの温度を高精度に求めることができる。
[変形例]
【0056】
上記実施形態では、ダイクロイックミラー331、第1光学系332及び第2光学系333によって光抽出部33が構成されていたが、光抽出部33は、例えば、ハーフミラー、第1光学系332及び第2光学系333によって構成されていてもよい。当該ハーフミラーは、光入射部32側から入射した熱輻射光Rの一部を第1光学系332側に透過させ且つ当該熱輻射光Rの残部を第2光学系333側に反射するビームスプリッタである。つまり、光抽出部33は、熱輻射光Rから第1波長の光R1及び第2波長の光R2を抽出するように構成されていればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1光検出素子34aに第1波長の光R1を集光する第1集光レンズ332bが光抽出部33に設けられていたが、第1光検出素子34aに第1波長の光R1を集光する第1集光レンズは、第1光検出部34に設けられていてもよいし、光抽出部33及び第1光検出部34の両方に設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、第2光検出素子35aに第2波長の光R2を集光する第2集光レンズ333bが光抽出部33に設けられていたが、第2光検出素子35aに第2波長の光R2を集光する第2集光レンズは、第2光検出部35に設けられていてもよいし、光抽出部33及び第2光検出部35の両方に設けられていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第1光検出部34が取り付けられた壁部312と交差する壁部313に第1温度検出部36が取り付けられていたが、第1温度検出部36は、第1光検出部34が取り付けられた壁部312とは異なる複数の壁部311,313,314,315,316のいずれかの壁部に取り付けられていればよい。ただし、第1光検出部34が取り付けられた壁部312と対向する壁部311に第1温度検出部36が取り付けられていると、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。更に、第1温度検出部36が取り付けられた壁部において第1集光レンズ(光抽出部33及び第1光検出部34の少なくとも1つが有する第1集光レンズ)のFOV内に第1温度検出部36が位置していると、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。
【0060】
また、上記実施形態では、第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313に第2温度検出部37が取り付けられていたが、第2温度検出部37は、第2光検出部35が取り付けられた壁部314とは異なる複数の壁部311,312,313,315,316のいずれかの壁部に取り付けられていればよい。ただし、第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313に第2温度検出部37が取り付けられていると、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。更に、第2温度検出部37が取り付けられた壁部において第2集光レンズ(光抽出部33及び第2光検出部35の少なくとも1つが有する第2集光レンズ)のFOV内に第2温度検出部37が位置していると、第2温度検出部37から出力された信号に基づいて、第2光検出部35から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。
【0061】
また、図4に示されるように、第1光検出部34が取り付けられた壁部、及び第2光検出部35が取り付けられた壁部は、同じ壁部であってもよい。その場合に、第1温度検出部36は、第1光検出部34及び第2光検出部35が取り付けられた壁部と対向する壁部に取り付けられていてもよい。これにより、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号、及び第2光検出部35から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。つまり、熱輻射光検出装置30に第2温度検出部37を設けることが不要となる。
【0062】
また、図4に示されるように、第1温度検出部36は、第1温度検出部36が取り付けられた壁部において第1集光レンズ(光抽出部33及び第1光検出部34の少なくとも1つが有する第1集光レンズ)のFOV及び第2集光レンズ(光抽出部33及び第2光検出部35の少なくとも1つが有する第2集光レンズ)のFOVが重なる領域内に位置していてもよい。これにより、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号、及び第2光検出部35から出力された信号をより高精度に補正することが可能になる。つまり、熱輻射光検出装置30に第2温度検出部37を設けることが不要となる。
【0063】
以下、図4に示される熱輻射光検出装置30の構成について説明する。図4に示されるように、第1光検出部34及び第2光検出部35は、壁部314に取り付けられている。第2光検出部35は、第1光検出部34に対して壁部311側に位置している。光入射部32は、壁部311に取り付けられている。レーザ光源41は、壁部312に取り付けられている。レーザ光源41は、X軸方向において光入射部32と対向している。
【0064】
筐体31内には、光抽出部33及び光学フィルタ43が配置されている。光抽出部33は、第1ダイクロイックミラー334、第2ダイクロイックミラー335、第1光学系332及び第2光学系333によって構成されている。第1ダイクロイックミラー334は、光入射部32とレーザ光源41との間に配置されており、Y軸方向において第1光検出部34と対向している。第2ダイクロイックミラー335は、光入射部32と第1ダイクロイックミラー334との間に配置されており、Y軸方向において第2光検出部35と対向している。第1光学系332は、第1ダイクロイックミラー334と第1光検出部34との間に配置されている。第2光学系333は、第2ダイクロイックミラー335と第2光検出部35との間に配置されている。光学フィルタ43は、光入射部32と第2ダイクロイックミラー335との間に配置されている。
【0065】
光入射部32から筐体31内に入射した熱輻射光Rは、光学フィルタ43を透過して光抽出部33に入射する。光入射部32から筐体31内に入射した散乱光等(レーザ光Lに起因する散乱光等)は、光学フィルタ43によって除去される。光抽出部33に入射した熱輻射光Rのうち第2波長の光R2を含む光は、第2ダイクロイックミラー335によって第2光学系333側に反射される。第2ダイクロイックミラー335によって反射された光のうち第2波長の光R2は、第2光学フィルタ333aを透過して、第2集光レンズ333bによって集光される。第2集光レンズ333bによって集光された第2波長の光R2は、第2光検出部35によって検出される。光抽出部33に入射した熱輻射光Rのうち第1波長の光R1を含む光は、第2ダイクロイックミラー335を透過して、第1ダイクロイックミラー334によって第1光学系332側に反射される。第1ダイクロイックミラー334によって反射された光のうち第1波長の光R1は、第1光学フィルタ332aを透過して、第1集光レンズ332bによって集光される。第1集光レンズ332bによって集光された第1波長の光R1は、第1光検出部34によって検出される。レーザ光源41から出射されたレーザ光Vは、第1ダイクロイックミラー334、第2ダイクロイックミラー335及び光学フィルタ43を透過して、光入射部32に入射する。
【0066】
第1温度検出部36は、第1光検出部34及び第2光検出部35が取り付けられた壁部314と対向する壁部313に取り付けられている。第1温度検出部36は、壁部313において第1集光レンズ332b(光抽出部33及び第1光検出部34の少なくとも1つが有する第1集光レンズであればよい)のFOV及び第2集光レンズ333b(光抽出部33及び第2光検出部35の少なくとも1つが有する第2集光レンズであればよい)のFOVが重なる領域内に位置している。図4では、第1集光レンズ332bのFOVが一点鎖線で示されており、第2集光レンズ333bのFOVが二点鎖線で示されている。信号処理部38は、第1光検出部34から出力された信号及び第2光検出部35から出力された信号に基づいて、熱輻射光Rを発した領域(すなわち、レーザ光照射領域Sa)の温度を求める。このとき、信号処理部38は、第1温度検出部36から出力された信号に基づいて、第1光検出部34から出力された信号及び第2光検出部35から出力された信号を補正する。なお、第1温度検出部36が取り付けられた壁部において第1集光レンズ332b(光抽出部33及び第1光検出部34の少なくとも1つが有する第1集光レンズであればよい)のFOV及び第2集光レンズ333b(光抽出部33及び第2光検出部35の少なくとも1つが有する第2集光レンズであればよい)のFOVが重なる領域内に、第1温度検出部36が位置している場合、第1温度検出部36が取り付けられた当該壁部は、第1光検出部34及び第2光検出部35が取り付けられた壁部と対向する壁部でなくてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…レーザ加工装置、10…レーザ加工ヘッド(導光部)、19…光ファイバ(導光部)、20…レーザ光源、30…熱輻射光検出装置、31…筐体、32…光入射部、33…光抽出部、34…第1光検出部、34a…第1光検出素子、35…第2光検出部、35a…第2光検出素子、36…第1温度検出部、37…第2温度検出部、38…信号処理部、311,312,313,314…壁部、332b…第1集光レンズ、333b…第2集光レンズ、L…レーザ光、R…熱輻射光、R1…第1波長の光、R2…第2波長の光、S…被加工物、Sa…レーザ光照射領域(領域)。
図1
図2
図3
図4