(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
F04B49/06 341E
(21)【出願番号】P 2020089192
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水船 徹
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-171279(JP,A)
【文献】特開2014-152698(JP,A)
【文献】特開昭64-050103(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0134942(US,A1)
【文献】特開平07-186919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
B60T 8/00
B60T 15/18
B60T 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動してタンクに圧縮空気を貯める複数の
電動圧縮機の出力を制御して前記複数の
電動圧縮機の出力の合計が目標
タンク圧力となるように制御する制御部と、
所定期間における負荷の累積を
前記電動圧縮機毎に算出する算出部とを備え、
前記算出部は、前記複数の電動圧縮機のそれぞれの負荷の累積に基づいて前記複数の電動圧縮機のそれぞれの負荷の増加速度を算出し、
前記制御部は、
前記算出部が算出した前記複数の電動圧縮機のそれぞれの前記負荷の増加速度及び前記負荷の累積
に基づいて前記複数の電動圧縮機のそれぞれの寿命が均等に近づくように、且つ前記複数の
電動圧縮機から出力される圧縮空気によって前記タンクの圧力が前記目標
タンク圧力に到達するように前記複数の
電動圧縮機のそれぞれの
前記モータの出力を制御する
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の
電動圧縮機のうち負荷の増加速度が第1
電動圧縮機よりも高い第2
電動圧縮機の出力を減らすとともに、前記第1
電動圧縮機の出力を増加させる
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記モータを冷却するためのファンの稼働時間及び前記モータの稼働時間の少なくとも一方と、前記モータが備える軸受の振動数、前記モータを駆動する電流、前記モータを駆動する電圧、前記モータの消費電力、前記モータの周囲温度、及び前記モータの回転数の少なくとも1つの値とに基づいて前記複数の電動圧縮機の負荷の累積を算出する
請求項
1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
駆動部の駆動力によって摩擦材を駆動して列車に制動力を発生させる複数の制動装置の出力を制御して前記複数の制動装置の出力の合計が前記列車の目標減速度となるように制御する制御部と、
前記摩擦材の摩耗量から前記制動装置の負荷の累積を算出する算出部とを備え、
前記制御部は、前記摩擦材の摩耗量の大きさに基づいて前記制動装置の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置が備える前記駆動部をそれぞれ制御する
制御装置。
【請求項5】
タンクから供給される圧縮空気の圧力を調整する中継弁と、圧力が調整された前記圧縮空気が供給されるブレーキシリンダと、前記ブレーキシリンダの出力によって駆動されることで列車に制動力を発生させる摩擦材とを含む複数の制動装置の出力を制御して前記複数の制動装置の出力の合計が前記列車の目標減速度となるように制御する制御部と、
前記目標減速度に基づいて算出された前記ブレーキシリンダに供給される前記圧縮空気の目標圧力と、センサによって検出された前記ブレーキシリンダに実際に供給された前記圧縮空気の実圧力との差分に基づいて前記中継弁の負荷の累積を算出する算出部とを備え、
前記制御部は、前記中継弁の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置が備える前記中継弁を制御する
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を制御装置が制御している。特許文献1に記載の制御装置は、各圧縮機の運転時間を積算して、積算時間の一番短い圧縮機から優先して運転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の制御装置による制御では、各圧縮機の運転時間を均等に近づけることはできるが必ずしも寿命が均等になるとは限らない。このため、制御装置によって制御される圧縮機に限らず、制御装置によって制御される複数の機器の寿命を均等化することが求められている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の機器の寿命を均等化するように制御する制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する制御装置は、複数の機器の出力を制御して前記複数の機器の出力の合計が目標出力となるように制御する制御部と、所定期間における負荷の累積を機器毎に算出する算出部とを備え、前記制御部は、機器毎に算出された前記負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記複数の機器の出力の合計が前記目標出力となるように前記複数の機器のそれぞれの出力を制御する。
【0007】
機器の負荷の累積が増えるほど寿命が短くなる。上記構成によれば、複数の機器にかかる負荷の累積が均等に近づくように複数の機器の出力を制御する。このため、複数の機器の寿命を均等化することができる。
【0008】
上記制御装置について、前記算出部は、前記複数の機器のそれぞれの負荷の累積に基づいて前記複数の機器のそれぞれの寿命を算出し、前記制御部は、前記算出部が算出した前記複数の機器のそれぞれの寿命が均等に近づくように、且つ前記複数の機器の出力の合計が前記目標出力となるように前記複数の機器のそれぞれの出力を制御することが好ましい。
【0009】
上記制御装置について、前記算出部は、前記複数の機器のそれぞれの負荷の累積に基づいて前記複数の機器のそれぞれの負荷の増加速度を算出し、前記制御部は、前記算出部が算出した前記複数の機器の負荷の増加速度に基づいて前記複数の機器のそれぞれの出力を制御することが好ましい。
【0010】
上記制御装置について、前記制御部は、前記複数の機器のうち負荷の増加速度が第1機器よりも高い第2機器の出力を減らすとともに、前記第1機器の出力を増加させることが好ましい。
【0011】
上記制御装置について、前記複数の機器は、モータを駆動してタンクに圧縮空気を貯める複数の電動圧縮機であって、前記目標出力は、目標タンク圧力であり、前記制御部は、機器毎に算出された前記電動圧縮機の負荷の累積が均等に近づくように、且つ各電動圧縮機から出力される圧縮空気によって前記タンクの圧力が前記目標タンク圧力に到達するように前記複数の電動圧縮機のそれぞれの前記モータの出力を制御することが好ましい。
【0012】
上記制御装置について、前記算出部は、前記モータを冷却するためのファンの稼働時間及び前記モータの稼働時間の少なくとも一方と、前記モータが備える軸受の振動数、前記モータを駆動する電流、前記モータを駆動する電圧、前記モータの消費電力、前記モータの周囲温度、及び前記モータの回転数の少なくとも1つの値とに基づいて前記複数の電動圧縮機の負荷の累積を算出することが好ましい。
【0013】
上記制御装置について、前記複数の電動圧縮機は、長さの異なる配管で前記タンクと接続されており、前記制御部は、前記負荷の累積と前記配管の長さに基づいて前記電動圧縮機の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記タンクの圧力が前記目標タンク圧力に到達するように前記複数の電動圧縮機のそれぞれの前記モータの出力を制御することが好ましい。
【0014】
上記制御装置について、前記複数の機器は、列車に制動力を発生させる制動装置であって、前記目標出力は、前記列車の目標減速度であり、前記制御部は、計測された前記制動装置の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置のそれぞれの制動力を制御することが好ましい。
【0015】
上記制御装置について、前記制動装置は、駆動部の駆動力によって摩擦材を駆動して制動力を発生させ、前記算出部は、前記摩擦材の摩耗量から前記制動装置の負荷の累積を算出することが好ましい。
【0016】
上記制御装置について、前記制動装置は、タンクから供給される圧縮空気の圧力を調整する中継弁と、圧力が調整された前記圧縮空気が供給されるブレーキシリンダと、前記ブレーキシリンダの出力によって駆動されることで制動力を発生させる摩擦材とを含み、前記算出部は、前記目標減速度に基づいて算出された前記ブレーキシリンダに供給される前記圧縮空気の目標圧力と、センサによって検出された前記ブレーキシリンダに実際に供給された前記圧縮空気の実圧力との差分に基づいて前記中継弁の負荷の累積を算出し、前記制御部は、前記中継弁の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記中継弁を制御することが好ましい。
【0017】
上記制御装置について、前記列車は、複数の車両で編成され、前記複数の制動装置は、前記複数の車両のそれぞれに設けられ、前記制御部は、前記負荷の累積と前記制動装置が設けられる車両の編成位置とに基づいて、前記制動装置の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置のそれぞれの制動力を制御することが好ましい。
【0018】
上記課題を解決する制御装置は、モータを駆動してタンクに圧縮空気を貯める複数の電動圧縮機の出力を制御して前記複数の電動圧縮機の出力の合計が目標タンク圧力となるように制御する制御部と、前記モータを冷却するためのファンの稼働時間及び前記モータの稼働時間の少なくとも一方と、前記モータが備える軸受の振動数、前記モータを駆動する電流、前記モータを駆動する電圧、前記モータの消費電力、前記モータの周囲温度、及び前記モータの回転数の少なくとも1つの値とに基づいて前記複数の電動圧縮機のそれぞれの負荷の累積を算出する算出部とを備え、前記制御部は、機器毎に計測された前記電動圧縮機の負荷の累積が均等に近づくように、且つ各電動圧縮機から出力される圧縮空気によって前記タンクの圧力が前記目標タンク圧力に到達するように前記複数の電動圧縮機のそれぞれの前記モータの出力を制御する。
【0019】
電動圧縮機の負荷の累積が増えるほど寿命が短くなる。上記構成によれば、複数の電動圧縮機にかかる負荷の累積が均等に近づくように制御する。このため、複数の電動圧縮機の寿命を均等化することができる。
【0020】
上記課題を解決する制御装置は、駆動部の駆動力によって摩擦材を駆動して列車に制動力を発生させる複数の制動装置の出力を制御して前記複数の制動装置の出力の合計が前記列車の目標減速度となるように制御する制御部と、前記摩擦材の摩耗量から前記制動装置の負荷の累積を算出する算出部とを備え、前記制御部は、前記摩擦材の摩耗量の大きさに基づいて前記制動装置の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置が備える前記駆動部をそれぞれ制御する。
【0021】
摩擦材の摩耗量は制動装置の使用量に相当し、制動装置の負荷の累積が増えるほど寿命が短くなる。列車は編成の各車両によって重量が異なり、複数の制動装置にかかる負荷も異なる。上記構成によれば、摩擦材の摩耗量から複数の制動装置にかかる負荷の累積が均等に近づくように制御する。このため、複数の制動装置の寿命を均等化することができる。
【0022】
上記課題を解決する制御装置は、タンクから供給される圧縮空気の圧力を調整する中継弁と、圧力が調整された前記圧縮空気が供給されるブレーキシリンダと、前記ブレーキシリンダの出力によって駆動されることで列車に制動力を発生させる摩擦材とを含む複数の制動装置の出力を制御して前記複数の制動装置の出力の合計が前記列車の目標減速度となるように制御する制御部と、前記目標減速度に基づいて算出された前記ブレーキシリンダに供給される前記圧縮空気の目標圧力と、センサによって検出された前記ブレーキシリンダに実際に供給された前記圧縮空気の実圧力との差分に基づいて前記中継弁の負荷の累積を算出する算出部とを備え、前記制御部は、前記中継弁の負荷の累積が均等に近づくように、且つ前記列車の減速度が前記目標減速度に到達するように前記複数の制動装置が備える前記中継弁を制御する。
【0023】
制動装置の負荷の累積が増えるほど寿命が短くなる。列車は編成の各車両によって重量が異なり、複数の制動装置にかかる負荷も異なる。上記構成によれば、制動装置が備える複数の中継弁にかかる負荷の累積が均等に近づくように制御する。このため、複数の中継弁の寿命を均等化することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の機器の寿命を均等化するように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の制御装置及び電動圧縮機を備えた列車の概略構成を示すブロック図。
【
図2】同実施形態の電動圧縮機の概略構成を示すブロック図。
【
図3】同実施形態の制御装置の処理を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態の制御装置及び制動装置を備えた列車の概略構成を示すブロック図。
【
図6】同実施形態の制御装置の処理を示すフローチャート。
【
図7】変形例の制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図3を参照して、制御装置の第1実施形態について説明する。制御装置は、列車に備えられた電動圧縮機を制御する。制御装置は、列車に備えられるが説明のため列車の外に図示している。
【0027】
図1に示すように、列車1は、複数の車両2から編成されている。列車1には、図示しない制動装置に圧縮空気を供給するタンク3が備えられている。各車両2は、タンク3に圧縮空気を供給する電動圧縮機20を備えている。タンク3と各電動圧縮機20とは配管4によって接続され、配管4の長さが異なる。なお、列車1は、列車1の編成の長さに応じてタンク3を複数備えてもよい。また、電動圧縮機20は全車両2に備えていなくてもよい。
【0028】
図2に示すように、電動圧縮機20は、モータ21と、モータ21によって駆動されて空気を圧縮する圧縮部22とを備えている。モータ21と圧縮部22とは回転軸21Aを介して接続されている。圧縮部22で生成された圧縮空気は、配管4に送出されてタンク3に貯められる。モータ21には、モータ21を冷却するためのファン23が設けられている。ファン23は、モータ21の温度が規定温度より高いとき、つまり負荷が高いときに稼働する。
【0029】
電動圧縮機20には、回転軸21Aの軸受の振動数を検出する振動センサSCと、モータ21を駆動する電流を検出する電流センサSAと、モータ21を駆動する電圧を検出する電圧センサSVと、モータ21の周囲温度を検出する温度センサSTとが設置されている。タンク3には、タンク3内の圧力を検出する圧力センサSPが設置されている。
【0030】
図1に示すように、列車1には、複数の電動圧縮機20を制御する制御装置10が備えられている。制御装置10は、列車1のいずれかの車両2に設けられている。これらの振動センサSC、電流センサSA、電圧センサSV、温度センサST、圧力センサSPは、検出値を制御装置10に出力する。
【0031】
制御装置10は、列車1に備えられた複数の電動圧縮機20の出力を制御する制御部11を備えている。制御部11は、各電動圧縮機20の出力の合計が目標タンク圧力となるように制御する。また、制御装置10は、複数の電動圧縮機20においてそれぞれ計測された負荷の所定期間における累積を機器毎に算出する算出部12を備えている。所定期間は、電動圧縮機20が設置されてからの期間でもよいし、任意に決めた期間でもよい。また、制御装置10は、各電動圧縮機20の負荷の累積を記憶する記憶部13を備えている。算出部12は、算出前までの負荷の累積を記憶部13から読み出すとともに、読み出した負荷に加算することで算出した負荷の累積を記憶部13に記憶する。
【0032】
算出部12は、振動センサSCから制御装置10に入力された検出値からモータ21が備える軸受の振動数を取得可能である。算出部12は、電流センサSAから制御装置10に入力された検出値からモータ21を駆動する電流を取得可能である。算出部12は、電圧センサSVから制御装置10に入力された検出値からモータ21を駆動する電圧を取得可能である。算出部12は、温度センサSTから制御装置10に入力された検出値からモータ21の周囲温度を取得可能である。算出部12は、ファン23の稼動情報から稼働時間を取得可能である。算出部12は、制御部11からモータ21の回転数やモータ21の稼働時間を取得可能である。なお、温度センサSTは、モータ21の周囲温度に限らず、モータ21自体の温度を検出してもよいし、圧縮部22の温度を検出してもよい。
【0033】
算出部12は、モータ21の稼働時間と、モータ21が備える軸受の振動数、モータ21を駆動する電流、モータ21を駆動する電圧、モータ21の消費電力、モータ21の周囲温度、モータ21の回転数の少なくとも1つの値とを取得し、取得した値に基づいて電動圧縮機20の負荷をそれぞれ算出する。そして、算出部12は、記憶部13から読み出した負荷の累積に算出した負荷を加算して、最新の負荷の累積を機器毎に算出する。
【0034】
ここで、電動圧縮機20の出力は一定ではないため、電動圧縮機20の負荷は稼働時間のみから算出することができない。このため、算出部12は、稼働時間に加えて少なくとも1つの値によって電動圧縮機20の負荷を算出している。すなわち、負荷は、稼働時間における電動圧縮機20を劣化させる量を数値化したものであって、各検出値によって推定可能である。負荷の累積は、前記負荷を加算したものである。例えば、モータ21が備える軸受の振動数、モータ21を駆動する電流、モータ21を駆動する電圧、モータ21の消費電力、モータ21の周囲温度、モータ21の回転数の少なくとも1つを採用することで、稼働時間における負荷の変化を得ることができる。また、負荷の累積には温度による影響が想定される。具体的には、モータ21の周囲温度が低い場合にはモータ21や圧縮部22の負荷は低く、モータ21の周囲温度が高い場合にはモータ21や圧縮部22の負荷は高い。そこで、ファン23の稼働中における各検出値から負荷を算出することで、電動圧縮機20の負荷をさらに精度高く算出することができる。また、モータ21の稼働中におけるモータ21の周囲温度が所定値以上の稼働時間に基づいて負荷を算出してもよい。採用する値を増やすことで電動圧縮機20の負荷の算出精度を高めることができる。例えば、軸受の振動数とモータ21の回転数とを採用すれば回転数に対する軸受の振動数から軸受の負荷を算出することができる。また、モータ21の電流、電圧、又は消費電圧とモータ21の回転数とを採用すれば回転数に対する電流、電圧、又は消費電圧からモータ21の負荷を算出することができる。なお、稼働時間と少なくとも1つの値とに基づいて電動圧縮機20が外部に行った仕事量を算出してこの仕事量から負荷を算出してもよい。また、モータ21の稼働時間に代えてファン23の稼働時間から負荷が求められるならば、ファン23の稼働時間と少なくとも1つの値に基づいて電動圧縮機20の負荷を算出してもよい。
【0035】
算出部12は、取得した値から電動圧縮機20の負荷を算出する算出プログラム、又は検出値に対する電動圧縮機20の負荷を示したマップを予め持っており、算出プログラムやマップに基づいて電動圧縮機20の負荷を機器毎に算出する。例えば、算出部12は、モータ21が備える軸受の振動数、モータ21を駆動する電流、モータ21を駆動する電圧、モータ21の消費電力、モータ21の周囲温度、モータ21の回転数の少なくとも1つを単位時間の負荷量として、[単位時間の負荷量]×[モータ21の稼働時間(ファン23の稼働時間)]から電動圧縮機20の負荷を算出してもよい。
【0036】
算出部12は、複数の電動圧縮機20のそれぞれの負荷の累積に基づいて複数の電動圧縮機20のそれぞれの寿命を算出する。すなわち、算出部12は、負荷の累積が規定値まで増加すると、寿命に達することになる。寿命とは、現在から電動圧縮機20を使用できなくなるまでの期間のことである。算出部12は、算出した負荷の累積と規定値との差から寿命を算出する。しかしながら、複数の電動圧縮機20の使用開始時期が同じであれば、負荷の累積のみでよいが、複数の電動圧縮機20の使用開始時期が異なる場合には、寿命を求めることは有効である。また、異なるタイプの電動圧縮機20を備えている場合にも同じ負荷でも寿命に与える影響が異なるため、寿命を求めることは有効である。
【0037】
算出部12は、電動圧縮機20の負荷の増加速度を機器毎に算出する。増加速度とは、単位時間に増加した負荷の量のことである。電動圧縮機20等の機器では、故障が近づくと負荷が増える傾向がある。このため、増加速度が規定値以上であるときは故障が近いとして、増加速度が規定値以上である電動圧縮機20の出力を抑制する制御を行うことが望ましい。
【0038】
制御部11は、算出部12が算出した寿命を超えない範囲で、算出部12が算出した電動圧縮機20のそれぞれの負荷の増加速度及び負荷の累積に基づいて電動圧縮機20の負荷の累積が均等に近づくように、且つ複数の電動圧縮機20から出力される圧縮空気によってタンク3の圧力が目標タンク圧力に到達するように、複数の電動圧縮機20のそれぞれのモータ21の出力を算出し、算出した出力で制御する。
【0039】
まず、制御部11は、負荷の累積が高い電動圧縮機20や負荷の増加速度が高い電動圧縮機20の出力を負荷の増加が少なくなるように決定する。制御部11は、複数の電動圧縮機20のうち負荷の増加速度が高い電動圧縮機20の出力を減らすとともに、残りの電動圧縮機20の出力を増加させる。なお、複数の電動圧縮機20のうち比較して負荷の増加速度が低いものが第1機器に相当し、負荷の増加速度が高いものが第2機器に相当する。続いて、制御部11は、必要な出力に対して足りない分となるように他の電動圧縮機20の出力を決定する。
【0040】
なお、制御部11は、負荷の累積が高い電動圧縮機20や負荷の増加速度が高い電動圧縮機20の出力が低くなるように複数の電動圧縮機20のそれぞれの出力の比率を決めた上で目標タンク圧力に到達するのに必要な出力を決定してもよい。
【0041】
次に、
図3を併せ参照して、上記制御装置10の処理手順について説明する。
図3に示すように、制御装置10は、各電動圧縮機20の負荷を算出する(ステップS11)。すなわち、算出部12は、モータ21の稼働時間と、モータ21が備える軸受の振動数、モータ21を駆動する電流、モータ21を駆動する電圧、モータ21の周囲温度、及びモータ21の回転数の少なくとも1つの値とを取得し、取得した稼働時間と前記少なくとも1つの値とに基づいて電動圧縮機20の負荷をそれぞれ算出する。
【0042】
制御装置10は、各電動圧縮機20の負荷の累積を算出する(ステップS12)。すなわち、算出部12は、記憶部13から前回までの各電動圧縮機20の負荷の累積を読み出して、読み出した負荷の累積に算出した負荷を加算して、各電動圧縮機20の最新の負荷の累積をそれぞれ算出する。
【0043】
制御装置10は、各電動圧縮機20の寿命を算出する(ステップS13)。すなわち、算出部12は、算出部12は、算出した電動圧縮機20の負荷の累積と規定値との差から寿命を算出する。
【0044】
制御装置10は、各電動圧縮機20の負荷の増加速度を算出する(ステップS14)。すなわち、算出部12は、電動圧縮機20の単位時間に増加した負荷の量である増加速度を算出する。
【0045】
制御装置10は、各電動圧縮機20の出力を算出する(ステップS15)。すなわち、制御部11は、算出部12が算出した電動圧縮機20のそれぞれの負荷の増加速度及び負荷の累積に基づいて電動圧縮機20の寿命が均等に近づくように、且つ複数の電動圧縮機20から出力される圧縮空気によってタンク3の圧力が目標タンク圧力に到達するように、複数の電動圧縮機20のそれぞれのモータ21の出力を算出する。
【0046】
制御装置10は、各電動圧縮機20の出力を制御する(ステップS16)。すなわち、制御部11は、算出した複数の電動圧縮機20のそれぞれのモータ21の出力で各電動圧縮機20を制御する。
【0047】
上記のように制御装置10が複数の電動圧縮機20にかかる負荷の累積をそれぞれ算出し、算出された負荷の累積が各電動圧縮機20において均等に近づくように制御することによって、各電動圧縮機20の交換タイミングを近づけることができる。
【0048】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1)複数の電動圧縮機20にかかる負荷の累積が均等に近づくように複数の電動圧縮機20の出力を制御する。このため、複数の電動圧縮機20の寿命を均等化することができる。
【0049】
(2)電動圧縮機20の負荷の累積から算出した寿命に直接基づいて複数の電動圧縮機20の出力を制御するので寿命の均等化の精度を上げることができる。
(3)電動圧縮機20の負荷の増加速度を加味することで故障が近いことを踏まえて複数の電動圧縮機20の出力を制御することができる。
【0050】
(4)故障が近づくと負荷が増える傾向があるため、電動圧縮機20の負荷の増加速度が高い電動圧縮機20の出力を減らすことで故障を抑制することができる。
(5)電動圧縮機20においてモータ21の稼働時間(ファン23の稼働時間)に応じて構成部品の状態が変化するため、稼働時間と少なくとも1つの値とに基づいて電動圧縮機20の負荷を算出することができる。
【0051】
(第2実施形態)
以下、
図4~
図6を参照して、制御装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の制御装置は、機器が制動装置である点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0052】
図4に示すように、列車1は、複数の車両2から編成されている。各車両2には、各車輪に対して制動力を発生させる制動装置30がそれぞれ備えられている。列車1には、各制動装置30に圧縮空気を供給するタンク3が備えられている。タンク3と各制動装置30とは配管4によって接続され、配管4の長さが異なる。制動装置30は、タンク3から供給される圧縮空気の圧力を調整する中継弁5を備えている。中継弁5は、配管4の途中に設けられている。なお、列車1は、列車1の編成の長さに応じてタンク3を複数備えてもよい。また、制動装置30は全車輪に備えていなくてもよい。車両2の一つには、列車1の速度を計測する速度計6が設けられている。
【0053】
図5に示すように、制動装置30は、車輪50の踏面に制輪子39を押圧するトレッドブレーキ装置である。制動装置30は、有底筒状のシリンダ31を備えている。シリンダ31は、本体30Aの図中左側に接続されている。制動装置30は、付勢ばね32と、付勢ばね32によって付勢されるピストン33とを備えている。ピストン33に接続される駆動軸33Aの先端は、本体30A内に突出して、連結ピン34Aを介してブレーキ梃子34に回動可能に連結されている。ブレーキ梃子34は、本体30Aに固定される支軸35を回転中心として回転する。ブレーキ梃子34の一端(図中上側)は、駆動軸33Aに連結されている。なお、シリンダ31が駆動部に相当する。
【0054】
シリンダ31の底部(図中左側)には、圧縮空気をシリンダ31内に供給する供給口31Aが設けられている。圧縮空気は、シリンダ31とピストン33とに囲まれた作動室31Bに供給される。制動装置30は、作動室31Bに圧縮空気が供給されると、ピストン33がシリンダ31から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子34を図中時計回りに回転させる。一方、制動装置30は、作動室31Bから圧縮空気が排出されると、ピストン33が付勢ばね32によってシリンダ31の底面側(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子34を図中反時計回りに回転させる。
【0055】
制動装置30は、上記ブレーキ梃子34と、ブレーキ梃子34の他端に設けられる球面貫通孔34Bに嵌合する球面軸受36Aと、球面軸受36Aが外周面に固定される円筒状のさや棒36とを備えている。さや棒36の内面には、押棒37が螺合して設けられている。さや棒36の外周面には、隙間調整器40が設けられている。押棒37の基端側は、さや棒36の内部にねじ結合されている。押棒37の先端側には、制輪子頭38が連結ピン37Aを介して回動可能に取り付けられている。制輪子頭38には、車輪50の踏面に押し当てられる制輪子39が取り付けられる。制輪子頭38には、制輪子39の摩耗量、言い換えれば厚さを検出する厚さセンサ(図示略)が設置されている。なお、制輪子39が摩擦材に相当する。
【0056】
ブレーキ梃子34が支軸35を中心に図中時計回りに回転すると、さや棒36及び押棒37とともに制輪子39が車輪50の踏面側へ押されて、制輪子39が車輪50の踏面に押し当てられ、車輪50の回転が制動される。なお、制動装置30によってブレーキ梃子34が図中時計回りに回転されるときは、回転量が大きいほど制輪子39が車輪50の踏面に押し当てられる量、言い換えれば摩擦量が大きくなる。一方、ブレーキ梃子34が支軸35を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒36及び押棒37とともに制輪子39が車輪50の踏面から離間する側へ移動して、車輪50の回転の制動が解除される。
【0057】
図4に示すように、列車1には、複数の制動装置30を制御する制御装置10が備えられている。制御装置10は、列車1のいずれかの車両2に設けられている。厚さセンサは、検出値を制御装置10に出力する。
【0058】
制御装置10は、列車1に備えられた複数の制動装置30の出力を制御する制御部11を備えている。制御部11は、各制動装置30の制動力の合計が目標減速度となるように制御する。制御部11は、速度計が検出した速度から減速度を取得する。また、制御装置10は、複数の制動装置30においてそれぞれ計測された負荷の所定期間における累積を機器毎に算出する算出部12を備えている。所定期間は、制動装置30が設置されてからの期間でもよいし、任意に決めた期間でもよい。また、制御装置10は、各制動装置30の負荷の累積を記憶する記憶部13を備えている。算出部12は、算出前までの負荷の累積を記憶部13から読み出すとともに、読み出した負荷に加算することで算出した負荷の累積を記憶部13に記憶する。
【0059】
算出部12は、厚さセンサから制御装置10に入力された検出値から制輪子39の摩耗量を取得する。算出部12は、取得した制輪子39の摩耗量に基づいて制動装置30の負荷をそれぞれ算出する。そして、算出部12は、記憶部13から読み出した負荷の累積に算出した負荷を加算して、最新の制動装置30の負荷の累積を算出する。なお、負荷は、制動装置30に掛かる荷重や応力のことである。
【0060】
算出部12は、取得した制輪子39の摩耗量から制動装置30の負荷を算出する算出プログラム、又は検出値に対する制動装置30の負荷を示したマップを予め持っており、算出プログラムやマップに基づいて制動装置30の負荷を機器毎に算出する。また、算出部12は、シリンダ31に圧縮空気が供給されていた供給時間から制動装置30の負荷を算出してもよい。制輪子39の摩耗量と圧縮空気の供給時間とから制動装置30の負荷を算出してもよい。
【0061】
算出部12は、複数の制動装置30のそれぞれの負荷の累積に基づいて複数の電動圧縮機20のそれぞれの寿命を算出する。すなわち、算出部12は、負荷の累積が規定値まで増加すると、寿命に達することになる。寿命とは、現在から制動装置30を使用できなくなるまでの期間のことである。算出部12は、算出した負荷の累積と規定値との差から寿命を算出する。しかしながら、複数の制動装置30の使用開始時期が同じであれば、負荷の累積のみでよいが、複数の制動装置30の使用開始時期が異なる場合には、寿命を求めることは有効である。また、異なるタイプの制動装置30を備えている場合にも同じ負荷でも寿命に与える影響が異なるため、寿命を求めることは有効である。
【0062】
制御部11は、制輪子39の摩耗量の大きさに基づいて制動装置30の負荷の累積が均等に近づくように、且つ制動装置30によって列車1の減速度が目標減速度に到達するように各制動装置30が備えるシリンダ31をそれぞれ制御する。制御部11は、同一の中継弁5を介して圧縮空気が供給される制動装置30を、中継弁5を制御することでまとめて制動力を変更してもよい。また、各制動装置30の制動力を変更するには、各制動装置30に供給される圧縮空気を制御する調整弁を各制動装置30に備えて、この各調整弁を制御装置10が制御することで制動力を制御する。
【0063】
まず、制御部11は、負荷の累積が高い制動装置30の制動力を負荷の増加が少なくなるように決定する。続いて、制御部11は、必要な制動力に対して足りない分となるように他の制動装置30の出力を決定する。
【0064】
なお、制御部11は、負荷の累積が高い制動装置30の制動力が低くなるように複数の制動装置30のそれぞれの出力の比率を決めた上で目標減速度に到達するのに必要な制動力を決定してもよい。
【0065】
次に、
図6を併せ参照して、上記制御装置10の処理手順について説明する。
図6に示すように、制御装置10は、各制動装置30の負荷を算出する(ステップS21)。すなわち、算出部12は、制輪子39の厚さから摩耗量を取得し、取得した値に基づいて制動装置30の負荷をそれぞれ算出する。
【0066】
制御装置10は、各制動装置30の負荷の累積を算出する(ステップS22)。すなわち、算出部12は、記憶部13から前回までの各制動装置30の負荷の累積を読み出して、読み出した負荷の累積に算出した負荷を加算して、各制動装置30の最新の負荷の累積をそれぞれ算出する。
【0067】
制御装置10は、各制動装置30の寿命を算出する(ステップS23)。すなわち、算出部12は、算出部12は、算出した制動装置30の負荷の累積と規定値との差から寿命を算出する。
【0068】
制御装置10は、各制動装置30の出力を算出する(ステップS25)。すなわち、制御部11は、算出部12が算出した制動装置30のそれぞれの負荷の累積に基づいて制動装置30の寿命が均等に近づくように、且つ複数の制動装置30の制動力によって列車1の目標減速度に到達するように、複数の制動装置30のそれぞれの制動力を算出する。
【0069】
制御装置10は、各制動装置30の出力を制御する(ステップS26)。すなわち、制御部11は、算出した複数の制動装置30のそれぞれの制動力となるように各制動装置30を制御する。
【0070】
上記のように制御装置10が複数の制動装置30にかかる負荷の累積をそれぞれ算出し、算出された負荷の累積が各制動装置30において均等に近づくように制御することによって、各制動装置30の交換タイミングを近づけることができる。
【0071】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(1)複数の制動装置30にかかる負荷の累積が均等に近づくように複数の制動装置30の出力を制御する。このため、複数の制動装置30の寿命を均等化することができる。
【0072】
(2)制動装置30の負荷の累積から算出した寿命に直接基づいて複数の制動装置30の出力を制御するので寿命の均等化の精度を上げることができる。
(3)制動装置30の制輪子39の摩耗量から制動装置30の負荷の累積を算出するため、制輪子39の摩耗量を得ることで直接的に制動装置30の負荷を算出することができる。
【0073】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0074】
・上記第1実施形態において、制御部11が負荷の累積と配管4の長さに基づいて電動圧縮機20の負荷の累積が均等に近づくように、且つタンク3の圧力が目標タンク圧力に到達するように複数の電動圧縮機20のそれぞれのモータ21の出力を制御してもよい。このような構成によれば、電動圧縮機20の配管4の長さに基づいて制御部11が制御することで、複数の電動圧縮機20の寿命のずれを小さくすることができる。
【0075】
・上記第1実施形態において、ステップS13の各電動圧縮機20の寿命の算出と、ステップS14の各電動圧縮機20の負荷の増加速度の算出とは、ステップS14を行ってからステップS13を行ってもよいし、ステップS13とステップS14とを同時行ってもよい。なお、ステップS3とステップS4とにおいても同様である。
【0076】
・上記第1実施形態では、電動圧縮機20の負荷の増加速度を算出して、電動圧縮機20のそれぞれの負荷の増加速度及び負荷の累積に基づいて電動圧縮機20の負荷の累積が均等に近づくように制御部11が出力を制御した。しかしながら、電動圧縮機20の負荷の増加速度を算出せず、電動圧縮機20の負荷の累積が均等に近づくように制御部11が出力を制御してもよい。すなわち、
図3のステップS14の処理を省略してもよい。
【0077】
・上記第1実施形態では、電動圧縮機20の寿命を算出して、電動圧縮機20の寿命が均等に近づくように制御部11が出力を制御した。しかしながら、電動圧縮機20の寿命を算出せず、電動圧縮機20の負荷の累積が均等に近づくように制御部11が出力を制御してもよい。すなわち、
図3のステップS13の処理を省略してもよい。
【0078】
・上記第2実施形態において、算出部12が目標減速度に基づいて算出されたシリンダ31に供給される圧縮空気の目標圧力と、センサによって検出されたシリンダ31に実際に供給された圧縮空気の実圧力との差分に基づいて中継弁5の負荷の累積を算出し、制御部11が中継弁5の負荷の累積が均等に近づくように、且つ制動装置30によって列車1の減速度が目標減速度に到達するように中継弁5を制御する。このような構成によれば、制動装置30に備えられる複数の中継弁5にかかる負荷の累積が均等に近づくように制御する。このため、複数の中継弁5の寿命を均等化することができる。
【0079】
・上記第2実施形態において、制御部11が負荷の累積と制動装置30が設けられる車両2の編成位置とに基づいて、制動装置30の負荷の累積が均等に近づくように、且つ制動装置30によって列車1の減速度が目標減速度に到達するように複数の制動装置30のそれぞれの制動力を制御する。このような構成によれば、制動装置30の編成位置に応じて制御部11が制御することで、複数の制動装置30及び中継弁5の寿命のずれを小さくすることができる。
【0080】
・上記第2実施形態では、トレッドブレーキ装置である制動装置30の制御装置10とした。しかしながら、車輪の軸に固定されるディスクをキャリパ装置が挟むことで制動力を発生させるディスクブレーキ装置である制動装置の制御装置としてもよい。
【0081】
・上記第1実施形態では機器を電動圧縮機とし、上記第2実施形態では機器を制動装置としたが、電動圧縮機や制動装置を制御する制御装置に限らず、他の機器を制御する制御装置であってもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、列車1に備えられる機器の制御装置としたが、列車に備えられない機器の制御装置であってもよい。例えば、
図7に示すように、制御装置は、各機器の負荷をセンサ等から取得した値から算出し(ステップS1)、各機器の負荷の累積を算出し(ステップS2)、各機器の寿命を算出し(ステップS3)、各機器の負荷の増加速度を算出する(ステップS4)。制御装置は、各機器の負荷の累積が均等に近づくように、且つ各機器の出力の合計が目標出力となるように、各機器の出力を算出する(ステップS5)。制御装置は、算出した各機器の出力になるように制御する(ステップS6)。なお、ステップS3及びステップS4の少なくとも1つを省略してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…列車
2…車両
3…タンク
4…配管
5…中継弁
6…速度計
10…制御装置
11…制御部
12…算出部
13…記憶部
20…電動圧縮機
21…モータ
21A…回転軸
22…圧縮部
23…ファン
30…制動装置
30A…本体
31…シリンダ
31A…供給口
32…付勢ばね
33…ピストン
33A…駆動軸
34…ブレーキ梃子
34A…連結ピン
34B…球面貫通孔
35…支軸
36A…球面軸受
36…さや棒
37…押棒
37A…連結ピン
38…制輪子頭
39…制輪子
40…隙間調整器
50…車輪