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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】リードフレーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H01L23/50 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020102606
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021197440
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512243395
【氏名又は名称】長華科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大滝 啓一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 直樹
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014397(JP,A)
【文献】米国特許第06608366(US,B1)
【文献】特開2019-121698(JP,A)
【文献】特開2018-200994(JP,A)
【文献】特開2017-084880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48-23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と接続する側の面及び側面に露出する外部接続用端子を複数備えた、半導体パッケージの製造に用いられるリードフレームであって、
一方の面側におけるリードの外部接続用端子となる領域に、前記リードの厚さの半分以上の深さの凹部を備え、
前記凹部は、前記リードの厚さ方向中央位置から該リードの一方の面位置までの間のうち、所定範囲での幅が前記リードの厚さ方向中央位置での幅及び前記リードの一方の面位置での幅に比べて広くなるように形成され、
前記凹部が形成されている部分の前記リードの側面には、前記リードの厚さ方向中央位置から該リードの一方の面位置までの間の前記所定範囲に対応した所定位置にサイドエッジを備えていることを特徴とするリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージの裏面側の外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と面接続されるタイプの半導体パッケージに用いられるリードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの外部機器への組み込みに際し、半導体パッケージと、外部機器との半田接続状態の良・不良を目視で検査できるように、半田接続部分の可視化が求められている。
【0003】
従来、外周部にアウターリードがない、例えば、QFN(Quad-Flat No-leaded)タイプの半導体パッケージは、半導体パッケージの裏面側に外部接続用端子が配列され、半導体パッケージの裏面側に露出している複数の外部接続用端子をプリント基板等の外部機器と接続する構造となっていたため、半田接続されているか否かを目視検査することが困難であった。
【0004】
しかし、半田接続部分の目視検査ができないと、半田接続作業時に内在する接続不良が見逃され、その後の通電検査等で接続不良が発見されるまでの作業コストが余計にかかってしまう。また、半田接続部分は、X線装置を用いて透視検査することは可能ではあるが、それでは、X線装置の設備コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、特許文献1には、リードフレームの一方の面側(裏面側)におけるリードの外部接続用端子となる領域を含む、切断領域の境界線を跨る所定領域の内側に凹部を設け、表面側を樹脂封止後に、凹部の断面が露出する位置で切断加工を施すことで、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子から半田接続部分を目視可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-200994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の外部接続用端子の露出面が門形状となるようにする技術によれば、半田接続部分を目視可能にする空間部を得ることができるが、近年、門形状となる側面の開口面積をさらに拡げて、半田接続部分を極力目視し易くすることが望まれている。
半田接続部分の目視検査をし易くするために、外部接続用端子の門形状となる側面の開口面積を極力増大させると、リードが部分的に薄肉となるため強度が不足し、リードフレーム製造時や半導体パッケージの組立工程において変形する虞がある。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、半導体パッケージの半田接続部分を目視可能とする部位である門形状の開口面積を極力増大させると同時に、リードの強度低下による変形を防止することが可能なリードフレームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明によるリードフレームは、外部機器と接続する側の面及び側面に露出する外部接続用端子を複数備えた、半導体パッケージの製造に用いられるリードフレームであって、一方の面側におけるリードの外部接続用端子となる領域に、前記リードの厚さの半分以上の深さの凹部を備え、前記凹部は、前記リードの厚さ方向中央位置から該リードの一方の面位置までの間のうち、所定範囲での幅が前記リードの厚さ方向中央位置での幅及び前記リードの一方の面位置での幅に比べて広くなるように形成され、前記凹部が形成されている部分の前記リードの側面には、前記リードの厚さ方向中央位置から該リードの一方の面位置までの間の前記所定範囲に対応した所定位置にサイドエッジを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリードフレームによれば、リードの厚さの半分以上の深さの凹部がリードの厚さ方向中央位置から該リードの一方の面位置までの間のうち、所定範囲での幅がリードの厚さ方向中央位置での幅及びリードの一方の面位置での幅に比べて広くなるように形成されている部分のリードの側面に、リードの厚さ方向中央位置からリードの一方の面位置までの間の上記所定範囲に対応した所定位置にサイドエッジを備えるようにしたことで、凹部を形成することにより薄肉化される部分(上記所定範囲に対応した部分)を補強することができ、製造工程におけるリードの変形を防止することができる。
このため、本発明のリードフレームによれば、半導体パッケージの半田接続部分を目視可能とする部位である門形状の開口面積を極力増大させると同時に、リードの強度低下による変形を防止することが可能なリードフレームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態にかかるリードフレームの凹部が形成された位置におけるリードの一例を示す断面図である。
図2】本発明の実施例及び比較例のリードフレームのリードを形成する前段階の試料の準備工程を示す説明図である。
図3図2で作製した試料を用いて、実施例1のリードフレームを形成する工程を示す説明図である。
図4図2で作製した試料を用いて、実施例2のリードフレームのリードを形成する工程を示す説明図である。
図5図2で作製した試料を用いて、比較例1のリードフレームのリードを形成する工程を示す説明図である。
図6】従来のリードフレームの凹部が形成された位置におけるリードの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1実施形態
本実施形態のリードフレームは、外部機器と接続する側の面及び側面に露出する外部接続用端子を複数備えた、半導体パッケージの製造に用いられるリードフレームであり、図1に示すように、一方の面側(図1において紙面の下側)におけるリード11の外部接続用端子となる領域に、凹部12を備えている。
凹部12は、リード11の幅の半分程度の幅、リード11の厚さ(t)の半分程度(t/2)の深さを有している。
凹部12が形成されている部分のリード11の側面には、リード11の厚さ方向中央(即ち、図1におけるリード11の厚さ(t)の半分(t/2)となる位置)からリード11の一方の面までの間の所定位置にサイドエッジAを備えている(言い換えると、図1におけるサイドエッジAの頂点からリード11の一方の面までの距離をLとしたとき、L≦t/2となる位置に、サイドエッジAが形成されている)。
【0013】
金属板にエッチング加工を施すことによってリードフレームを製造する場合、金属板の表裏両面から薬液によるエッチング処理を行い、金属板の不要な部分を溶解除去し、リードフレーム形状を形成する。
このエッチング加工は、形成したリードフレームの側面がストレート形状(リード断面が矩形)に近づくよう加工条件を工夫して行う。そして、金属板の表裏両面からのエッチング処理によりリードフレームの側面には、板厚のほぼ中央の高さ位置にサイドエッジと呼ばれる小さな突起が形成される。
従来のリードフレームでは、図6に示すように、リード11における凹部12が形成されている部分の側面に形成されるサイドエッジAが、リードの厚さ方向中央位置に形成されている(言い換えると、図6におけるサイドエッジAの頂点からリード11の一方の面までの距離をL’としたとき、L’=t/2となる位置に、サイドエッジAが形成されている)。
ところで、リード11において凹部12が形成されている部分の側方は薄肉となる。このため、図6に示すような従来のリードフレームにおいては、半田接続部分の目視検査をし易くするために凹部12の開口をリード11の幅方向に増大させると、リード11において凹部12が形成されている部分の側方の強度が不足し、リードフレーム製造時や半導体パッケージの組立工程において変形する虞がある。
この突起の形成位置を、リードの厚さの中央からリードの一方の面までの間の所定位置となるようにすることで、凹部12が形成されている部分の側方の強度が補強されるようにしたのが本発明のリードフレームである。
【0014】
本実施形態のリードフレームによれば、リード11の厚さ(t)の半分(t/2)以上の深さの凹部12が形成されている部分のリード11の側面に、リード11の厚さ方向中央(即ち、図1におけるリード11の厚さ(t)の半分(t/2)となる位置)からリード11の一方の面までの間の所定位置にサイドエッジAを備えるようにしたので、凹部12を形成することにより薄肉化される部分を補強することができ、半田接続部分の目視検査をし易くするために凹部の開口面積をリード11の幅方向に増大させても、製造工程におけるリード11の変形を防止することができる。
このため、本実施形態のリードフレームによれば、半導体パッケージの半田接続部分を目視可能とする部位である門形状の開口面積を極力増大させると同時に、リードの強度低下による変形を防止することが可能なリードフレームが得られる。
【実施例
【0015】
<試料準備>
板厚0.2mmの銅系の帯状金属板10(図2(a)参照)を用いて、両面にレジスト層を形成した。
次に、露光・現像を行って、他方の面側は全面を覆い、一方の面側は所定の位置に凹部を形成するためのエッチング用レジストマスク31を形成した(図2(b)参照)。
次に、エッチング加工を施して一方の面側の所定の位置にリード幅の半分の幅となる凹部12を形成した(図2(c)参照)。凹部12の深さは、板厚の半分(0.1mm)とした。
その後、エッチング用レジストマスク31を除去した(図2(d)参照)。
次に、凹部を形成した帯状金属板10の両面にレジスト層を形成した。
そして、露光・現像を行って、両面の所定の位置にめっき層を形成するためのめっき用レジストマスク32を形成した(図2(e)参照。なお、図2(e)では便宜上、一方の面側のめっき用レジストマスク32のみに、めっき層形成用の開口部を示すようにした)。
次に、めっき用レジストマスク32の開口部から露出した帯状金属板10の面にNi、Pd、Auの順番で所定の厚さのめっき層13を形成した。
その後、めっき用レジストマスク32を除去することで、帯状金属板試料Sを準備した。
【0016】
<実施例1>
帯状金属板試料Sの両面にレジスト層を形成した。
次に露光・現像を行って、両面にリードフレームを形成するためのエッチング用レジストマスク33を形成した。
このとき、一方の面側のエッチング用レジストマスク33には、凹部12が形成されている部分のリード11の側面のエッチングが抑制する補正を施した部位33aを設けた(図3(a)参照)。
次にエッチング加工を施して所定のリードフレーム形状を形成した(図3(b)参照)。
その後、エッチング用レジストマスク33を除去することで、実施例1のリードフレームを得た(図3(c)参照)。
得られた実施例1のリードフレームの側面には、全体的にリードフレームの厚さ方向のほぼ中央の位置にサイドエッジが存在し、そのうち、リード11の凹部12が形成されている部分の側面には、一方の面側から0.055~0.075mmあたりにサイドエッジAが存在した。
実施例1のリードフレームにおける凹部12が形成されている部分の側面にサイドエッジAが形成されているリード11を1600個準備し、変形の有無を目視で検査した。
実施例1のリードフレームでは、リード変形は、発生率0%であった(1600個のリード中、変形が発生したリードの個数:0個)。
【0017】
<実施例2>
帯状金属板試料Sの両面にレジスト層を形成した。
次に露光・現像を行って、両面にリードフレームを形成するためのエッチング用レジストマスク33を形成した。
このとき、他方の面側のエッチング用レジストマスク33は一方の面側のエッチング用レジストマスク33に比べて開口面積が小さくなるように形成した(図4(a)参照)。
次に他方の面側のみに薬液をシャワーし、エッチング加工を行って、設定深さ0.065mmとなるエッチング加工を行い(図4(b)参照)、その後両面のエッチング加工を行って所定のリードフレーム形状を形成した(図4(c)参照)。
その後、エッチング用レジストマスクを除去することで、実施例2のリードフレームを得た(図4(d)参照)。
得られた実施例2のリードフレームの側面には、リード11の凹部12が形成されている部分の側面に形成されたサイドエッジAを含め、全体的に一方の面側から0.06~0.08mmあたりにサイドエッジが存在した。
実施例2のリードフレームにおける凹部12が形成されている部分の側面にサイドエッジAが形成されているリード11を1600個準備し、変形の有無を目視で検査した。
目視検査の結果、実施例2のリードフレームでは、リード変形は、発生率0%であった(1600個のリード中、変形が発生したリードの個数:0個)。
【0018】
<比較例1>
帯状金属板試料Sの両面にレジスト層を形成した。
次に露光・現像を行って、従来品と同様に両面にリードフレームを形成するためのエッチング用レジストマスク33を形成した(図5(a)参照)。
次に、エッチング加工を施して所定のリードフレーム形状を形成した(図5(b)参照)。
その後、エッチング用レジストマスク33を除去することで、比較例1のリードフレームを得た(図5(c)参照)。
得られた比較例1のリードフレームの側面は、リード11の凹部12が形成されている部分の側面に形成されたサイドエッジAを含め、全体的にリードフレームの厚さ方向のほぼ中央の位置にサイドエッジが存在した。
比較例1のリードフレームにおける凹部12が形成されている部分の側面にサイドエッジAが形成されているリード11を1600個準備し、変形の有無を目視で検査した。
比較例1のリードフレームでは、リード変形は、発生率1.75%であった(1600個のリード中、変形が発生したリードの個数:28個)。
【0019】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、本発明の実施例のリードフレームは、帯状金属板10の他方の面側にはリードフレームに対応する部位の外側の所定領域を薄肉化するハーフエッチング加工を行い、一方の面側には凹部12を形成するエッチング加工を行った帯状金属板試料Sに、両面からリードフレームを形成するエッチング加工を行う製造方法を用いて得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のリードフレームは、半田接続部分の可視化が求められる分野に有用である。
【符号の説明】
【0021】
10 金属板
11 リード
12 凹部
13 めっき層
31、33 エッチング用レジストマスク
32 めっき用レジストマスク
A サイドエッジ
S 金属板試料
図1
図2
図3
図4
図5
図6