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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20240625BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E06B7/22 B
E06B7/23 T
E06B7/23 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020122264
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018862
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭亮
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-47501(JP,U)
【文献】実開昭51-163720(JP,U)
【文献】特公昭50-14047(JP,B1)
【文献】実公昭49-45396(JP,Y1)
【文献】実開昭56-82289(JP,U)
【文献】特開平9-4339(JP,A)
【文献】実開昭58-61880(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に対して4枚の障子が引き違いとなる状態で配設された建具であって、
前記障子を閉じた際に召し合わせとなる縦框には、互いに対向する部分にそれぞれ前記障子のスライド方向に沿って延在する見付け壁部が設けられ、前記見付け壁部のそれぞれには、内底面が前記見付け壁部に対して45°傾斜した装着溝が設けられ、
前記装着溝には、それぞれシール部材が設けられ、
前記シール部材のそれぞれには、前記障子のスライド方向に対して45°傾斜した当接面が設けられており、
前記障子を閉じた際に前記シール部材が前記当接面を介して相互に当接することを特徴とする建具。
【請求項2】
前記シール部材は、前記召し合わせとなる縦框の見付け方向に沿った全幅を二等分する中心面上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸や引き違い窓、片引き戸のように枠体に対して障子がスライド可能となる状態で配設された建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の建具には、障子を閉じた際に互いに対向する建材にシール部材を設けることで、相互間の水密性や気密性を確保するようにしたものがある。例えば、特許文献1には、障子を閉じた際に互いに対向する縦框の一方に中空状のシール部材を設け、シール部材を他方の縦框に設けた板状の緩衝部材に接触させるようにした建具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-77569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の建具では、障子を閉じる操作の途中からシール部材と緩衝部材とが接触し、中空状のシール部材が弾性変形した状態で両者が相対移動することになる。このため、障子を閉じる際や開き始めに大きな操作力が必要となり、開閉操作性に大きな影響を及ぼす懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、障子の開閉操作性に大きな影響を与えることなく水密性や気密性を確保することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体に対して4枚の障子が引き違いとなる状態で配設された建具であって、前記障子を閉じた際に召し合わせとなる縦框には、互いに対向する部分にそれぞれ前記障子のスライド方向に沿って延在する見付け壁部が設けられ、前記見付け壁部のそれぞれには、内底面が前記見付け壁部に対して45°傾斜した装着溝が設けられ、前記装着溝には、それぞれシール部材が設けられ、前記シール部材のそれぞれには、前記障子のスライド方向に対して45°傾斜した当接面が設けられており、前記障子を閉じた際に前記シール部材が前記当接面を介して相互に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、召し合わせとなる縦框にそれぞれシール部材を設け、あるいは枠体に対して障子を閉じた際に互いに対向する縦框及び枠体の建材にそれぞれシール部材を設け、これらのシール部材を当接させるようにしているため、障子を開閉する際に大きな操作力が必要になる事態が招来することなく水密性や気密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た図である。
図2図1に示した建具の横断面図である。
図3図1に示した建具において室外側に配置される障子を示すもので、(a)は要部拡大横断面図、(b)は室内側から見た図である。
図4図1に示した建具の要部を示すもので、(a)は障子が閉じた状態の要部横断面図、(b)は(a)の状態から障子が開き方向に向けて相対的にスライドした状態の要部横断面図である。
図5図1に示した建具の障子において召し合わせとなる縦框を示すもので、(a)は室外側に配置される縦框の分解横断面図、(b)は室内側に配置される縦框の分解横断面図である。
図6】本発明の変形例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については、見込み面という場合がある。見付け方向とは、後述する枠体の横枠等のように水平に沿った部材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。枠体の縦枠のように上下に沿った部材の場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向が見付け方向となる。見付け方向に沿った面については、見付け面という場合がある。
【0011】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、玄関等の開口に設けられる4枚建ての引き戸であり、枠体10及び4枚の障子20を備えている。枠体10は、左右の縦枠11,12の上下両端部間にそれぞれ横枠13,14を架設することによって構成したものである。4枚の障子20は、矩形状を成す面材21の四周にそれぞれアタッチメント22を介して左右の縦框23,24及び上下の横框25,26を装着することにより構成したもので、枠体10に対して個別に左右方向(図2において見込み方向Aに直交する方向)にスライドすることが可能である。四周の框は、左右の縦框23,24の上下両端部にそれぞれ横框25,26が架設してある。障子20の面材21としては、複層ガラスを適用している。枠体10を構成する枠11,12,13,14及び障子20を構成する框23,24,25,26は、それぞれアルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0012】
本実施の形態の建具では、図1に示すように障子20を閉じた状態において、上下の横枠13,14を左右に二等分する仮想の鉛直面P1を中心として右側2枚の対となる障子20と、左側2枚の対となる障子20とが互いにほぼ対称となるように構成してある。以下においては便宜上、室内側から見て左側に配置された2枚の対となる障子20について主に説明を行い、対称となる右側2枚の障子20において同様の構成となるものには同一の符号を付すこととする。
【0013】
この建具では、室内側から見て左側の障子(以下、内障子20Aという)が室内側に配置され、右側の障子(以下、外障子20Bという)が室外側に配置されて互いに引き違いとなっている。障子20を閉じた状態においては、内障子20Aの室内から見て右側に配置される縦框(以下、内召し合わせ框24Aという)と、外障子20Bの室内から見て左側に配置される縦框(以下、外召し合わせ框24Bという)とが見込み方向において互いに並設された召し合わせの位置となる。図3及び図4に示すように、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bが召し合わせの位置に配置された場合、それぞれの見付け方向に沿った全幅dを二等分する中心面24Pが互いに合致するように構成してある。また、障子20が閉じた状態では、内障子20Aの室内から見て左側に配置される縦框(以下、内戸先框23Aという)が縦枠11に当接した状態となり、外障子20Bの室内から見て右側に配置される縦框(以下、外戸先框23Bという)が、対称となる外障子(以下、対称外障子20B′という)の室内から見て左側に配置される縦框(以下、対称外戸先框23B′という)に対して互いに突き当てられた状態となる。障子20を閉じた際に縦枠11に当接する内戸先框23Aは、対称となる内障子(以下、対称内障子20A′という)の室内から見て右側に配置される縦框(以下、対称内戸先框23A′という)と同一の断面形状を有するように構成してある。これに対して障子20を閉じた際に互いに突き当てられた状態となる外戸先框23B及び対称外戸先框23B′は、外戸先框23Bの外周部が対称外戸先框23B′の外周部に挿入した状態となるように、互いに対向する見込み面の構成が相違している。すなわち、外戸先框23Bには、外周側となる部分に長手に沿って2条の内装ヒレ部23aが突出するように形成してある。一方、対称外戸先框23B′には、外周側となる部分に長手に沿って2条の外装ヒレ部23bが突出するように形成してある。外装ヒレ部23bは、内装ヒレ部23aよりも相互間隔が大きく構成してあり、外戸先框23Bと対称外戸先框23B′とが突き合わせとなった場合、互いの間に内装ヒレ部23aが挿入された状態となる。
【0014】
図からも明らかなように、内障子20Aの内戸先框23A及び外障子20Bの外戸先框23Bには、それぞれ引き手30及び錠手段40が設けてある。引き手30は、障子20をスライド操作する際に指を掛けるためのもので、内戸先框23A及び外戸先框23Bの室内に臨む見付け面23cに長手に沿って縦長の凹状に形成してある。図には明示していないが、この引き手30は、内戸先框23A及び外戸先框23Bの室外に臨む見付け面にも設けてある。錠手段40は、室内側に露出するように設けた操作部41を操作することによって施錠操作及び解錠操作を行うことができるように構成してある。内戸先框23Aに設けた錠手段40は、障子20を閉じた状態で施錠操作した場合に縦枠11に噛み合うことにより、枠体10に対する内障子20Aのスライドを阻止するものである。外戸先框23Bに設けた錠手段40は、障子20を閉じた状態で施錠操作した場合に、突き当て状態にある対称外戸先框23B′に噛み合うことにより、対称外障子20B′との相対的なスライドを阻止するものである。図には明示していないが、これらの錠手段40は、内戸先框23A及び外戸先框23Bの室外に臨む見付け面に鍵穴を備えており、鍵穴に鍵を挿入して施錠操作及び解錠操作を行うことも可能である。なお、内戸先框23Aに設けた錠手段40は、縦枠11に噛み合うものであるため、対称内障子20A′の対称内戸先框23A′にも同様に設けてある。一方、外戸先框23Bに設けた錠手段40は、対称外戸先框23B′に噛み合うものであるため、対称外戸先框23B′には設けていない。つまり、建具としては、4枚の障子20に対して3つの錠手段40が設けてある。
【0015】
内障子20Aの内召し合わせ框24A及び外障子20Bの外召し合わせ框24Bは、互いに同一の断面形状を有するように構成したもので、略矩形状の中空部24aを有している。図4及び図5に示すように、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bには、内周側となる部分にアタッチメント22を取り付けるための取り付け溝部24bが設けてある。内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bの外周側となる外周壁部24cは、見込み方向に沿った薄板状を成している。内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bにおいて内周側となる部分と外周壁部24cとの間を連結する2つの見付け壁部24d,24eは、見付け方向(内障子20A及び外障子20Bのスライド方向)に沿って互いにほぼ平行となるように延在した薄板状を成している。障子20を閉じた場合に互いに外表面側となる一方の見付け壁部(以下、区別する場合に外方見付け壁部24dという)は、平板状に構成してある。これに対して障子20を閉じた場合に互いに対向して配置されるもう一方の見付け壁部(以下、区別する場合に内方見付け壁部24eという)には、装着溝50を介してシール部材60が装着してある。
【0016】
シール部材60は、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bの見付け方向に沿った全幅dを二等分する中心面24Pにおいてそれぞれの長手に沿った全長に配設したもので、内方見付け壁部24eの外表面から一部が突出した状態で内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bに取り付けてある。図示の例では、硬質樹脂によって成形した装着部61と、軟質樹脂によって成形したシール部62とを二色成形等の成形法によって一体に成形したシール部材60を適用している。装着部61は、略平板状を成す基板部分61aと、基板部分61aの中心部から突出した狭幅で断面が略矩形の軸部分61bと、軸部分61bの先端両側縁部からそれぞれ互いに離隔する方向に突出した2つの装着片部分61cとを有したものである。シール部62は、装着部61の基板部分61aとの間に、断面が中空の略矩形で先端の当接面62aがほぼ平坦となるように構成したものである。実施の形態のシール部材60では、シール部62の当接面62aと装着部61の先端面61dとが互いにほぼ平行となるように構成してある。
【0017】
シール部材60を装着する装着溝50は、内方見付け壁部24eの外表面に凹状となるように設けたもので、内底壁50a及び2つの側壁50b,50cとの間に構成してある。内底壁50aは、内方見付け壁部24eに対して傾斜し、かつ中空部24aに突出するように設けた平板状を成すものである。内周側の側壁50bは、内底壁50aの突出縁部と内方見付け壁部24eとの間を連絡するように設けた平板状を成すもので、内底壁50aに対してほぼ直角となるように設けてあり、内方見付け壁部24eに対して傾斜している。内底壁50a及び側壁50bの傾斜方向は、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bの長手に沿った軸Cを中心としたもので、内障子20A及び外障子20Bのスライド方向(図5において見込み方向Aに直交する方向)に対して傾斜している。図示の例では、内方見付け壁部24eと内底壁50aとの成す角度αがほぼ45°である。外周側の側壁50cは、内方見付け壁部24eと内底壁50aとの境界部分から内周側の側壁50bに対してほぼ平行となるように設けた平板状を成すもので、内方見付け壁部24eから突出している。外周側の側壁50cの内方見付け壁部24eからの突出量は、シール部材60の突出よりも小さく、内障子20Aと外障子20Bとを相対的にスライドさせた場合に相互に当接することはない。2つの側壁50b,50cには、互いに対向する部分に支持突条50dが設けてある。支持突条50dは、内底壁50aとの間にシール部材60の装着片部分61cを挿入するための溝部を形成するためのものである。2つの支持突条50dの先端部間には、シール部材60の軸部分61bよりも大きな間隙tが確保してある。
【0018】
この装着溝50に対して装着片部分61cを内底壁50aと支持突条50dとの間に挿入すれば、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bの内方見付け壁部24eにシール部材60を脱落することなく装着することができる。装着溝50に装着したシール部材60は、シール部62の当接面62aが内底壁50aの内底面50a1とほぼ平行となる。内方見付け壁部24eからのシール部材60の突出寸法は、図4(a)に示すように、障子20を閉じた場合に内障子20Aのシール部材60と外障子20Bのシール部材60とが互いにシール部62の当接面62aを介して相互に当接することができ、かつ図4(b)に示すように、内障子20Aと外障子20Bとの相対的なスライドを阻害することがないように設定してある。また、シール部材60の短手寸法sを二等分する中心面βが、当接面62a上において内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bの見付け方向に沿った全幅dを二等分する中心面24Pと交差するように装着溝50及びシール部材60の寸法がそれぞれ設定してある。
【0019】
上記のように構成した建具では、障子20を閉じた場合に内召し合わせ框24Aと外召し合わせ框24Bとの間においてはそれぞれの長手に沿った全長に設けたシール部材60が互いに当接面62aを介して相互に当接することになり、互いの間の水密性及び気密性を確保することができる。このシール部材60は、障子20を閉じた際に互いに当接するものであって途中で接触することはない。従って、障子20を開閉する際の大きな操作力が必要になることもなく、障子20の開閉操作性に影響を与えることがない。しかも、シール部材60が相互に当接した状態においては、内障子20A及び外障子20Bを開く方向へは相対的にスライドすることができるものの、行き違う方向へは相対的なスライドが阻止された状態となる。従って、この建具によれば、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bに煙返しと称される係合片部を設けることなく障子20の行き違いを防止することができる。これにより、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bそれぞれの見込み方向に沿った寸法を削減することができるとともに、これら内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bを相互に近接した状態で枠体10に内障子20A及び外障子20Bを配設することが可能となり、建具の見込み方向に沿った小型化を図ることができるようになる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、玄関に設けられる4枚建ての引き戸を例示しているが、玄関以外の開口に設けられるものであっても良いし、障子は4枚である必要もなく、片引き戸のように障子を1枚備えるものであっても構わない。
例えば、図6に示す変形例は、内障子20A及び外障子20Bをそれぞれ1枚ずつ備える建具であるが、枠体10に対しては外障子20Bのみがスライドし、内障子20Aは内召し合わせ框24Aと縦枠12との間に面材21を設けることで、はめ殺しの状態となった片引き戸である。この片引き戸においても、内召し合わせ框24A及び外召し合わせ框24Bにそれぞれシール部材60を設けることにより、実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。この変形例において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。面材としては必ずしも複層ガラスである必要はなく、その他の面材を用いた障子であっても良い。
また、シール部材を設ける建材としては、必ずしも障子の縦框である必要はなく、枠体において縦方向に延在する縦枠や方立等の建材であっても構わない。すなわち、図には明示していないが、障子を閉じた際に戸尻側に配置される縦框と、枠体に設けた方立や縦枠等の縦方向に沿って延在する建材とが対向する建具に対しては、縦框及び縦方向の建材において互いに対向する部分にそれぞれシール部材を設けることにより、実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0021】
また、上述した実施の形態では、召し合わせとなる縦框の見付け方向に沿った全幅を二等分する中心面上にシール部材を設けるようにしているため、内障子と外障子とで召し合わせとなる縦框を共用することができ、製造作業や製造コストの面で有利となる。しかしながら、シール部材を設ける位置は、障子を閉じた際に互いに当接すれば、全幅を二等分する中心面上である必要はない。この場合には、召し合わせとなる縦框の間を施錠するように錠手段を設けても良い。
【0022】
さらに、上述した実施の形態では、内底面がシール部材の当接面とほぼ平行となるように装着溝を設けているため、互いに当接した際にシール部材に生じる弾性変形のほとんどが圧縮変形となり、曲げ変形が生じる事態を防止することができる。従って、建具の使用が長期にわたった場合にもシール部材の劣化を抑えることが可能となる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば内底面が見付け方向に沿って延在するように装着溝を形成し、かつ内底面に対して傾斜するようにシール部材の当接面を構成することも可能である。
【0023】
以上のように、本発明に係る建具は、枠体に対して複数の障子が引き違いとなる状態で配設された建具であって、前記障子を閉じた際に召し合わせとなる縦框には、互いに対向する部分にそれぞれシール部材が設けられ、前記シール部材のそれぞれには、前記障子のスライド方向に対して傾斜した当接面が設けられており、前記障子を閉じた際に前記シール部材が前記当接面を介して相互に当接することを特徴としている。
この発明によれば、召し合わせとなる縦框にそれぞれシール部材を設け、これらのシール部材を当接させるようにしているため、障子を開閉する際に大きな操作力が必要になる事態が招来することなく水密性や気密性を確保することができる。
【0024】
また本発明は、上述した建具において、前記シール部材は、前記召し合わせとなる縦框の見付け方向に沿った全幅を二等分する中心面上に配設されていることを特徴としている。
この発明によれば、召し合わせとなる縦框の互いに対向する部分が対称形状となるため、2つの障子で縦框を共用することが可能となる。
【0025】
また本発明は、上述した建具において、前記召し合わせとなる縦框には、互いに対向する部分にそれぞれ前記障子のスライド方向に沿って延在する見付け壁部が設けられ、前記見付け壁部のそれぞれには、前記シール部材を装着する装着溝が設けられており、前記装着溝の内底面は、前記当接面に沿うように前記見付け壁部に対して傾斜していることを特徴としている。
この発明によれば、装着溝の内底面がシール部材の当接面に沿って設けられるため、当接面が相互に当接する際にシール部材に曲げ変形が生じる事態を防止することができ、使用が長期にわたった場合にもシール部材の劣化を抑えることが可能となる。
【0026】
また本発明に係る建具は、枠体に対して障子を閉じた際に前記障子の縦框と前記枠体に設けられた縦方向の建材とが互いに対向した状態となる建具であって、前記縦框及び前記建材には、互いに対向する部分にそれぞれシール部材が設けられ、前記シール部材のそれぞれには、前記障子のスライド方向に対して傾斜した当接面が設けられており、前記障子を閉じた際に前記シール部材が前記当接面を介して相互に当接することを特徴としている。
この発明によれば、枠体に対して障子を閉じた際に互いに対向する縦框及び枠体の建材にそれぞれシール部材を設け、これらのシール部材を当接させるようにしているため、障子を開閉する際に大きな操作力が必要になる事態が招来することなく水密性や気密性を確保することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 枠体、20(20A,20A′,20B,20B′) 障子、24A 内召し合わせ框、24B 外召し合わせ框、24P 中心面、24e 内方見付け壁部、50 装着溝、50a1 内底面、60 シール部材、62a 当接面、d 全幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6