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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パレット搬送装置及びパレット搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20240625BHJP
   B23Q 39/04 20060101ALI20240625BHJP
   B65G 35/06 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B23Q7/00 J
B23Q7/00 E
B23Q39/04 C
B65G35/06 B
B65G35/06 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020159475
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052940
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】杉本 進司
(72)【発明者】
【氏名】小野田 雅也
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-019047(JP,U)
【文献】国際公開第2012/111166(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/216825(WO,A1)
【文献】特開2018-140598(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157972(WO,A1)
【文献】特開2018-114571(JP,A)
【文献】特開2010-013235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00
B23Q 39/04
B65G 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられパレット(11)を移動可能に搭載する一対の直線レール(21,31)と、前記直線レール(21,31)に搭載された前記パレット(11)を前記直線レール(21,31)に沿って搬送するパレット直線送り手段(41,51)と、前記一対の直線レール(21,31)の両端部を連結するように半円状に湾曲して設けられパレット(11)を移動可能に搭載する一対の曲線レール(61,71)と、前記曲線レール(61,71)に搭載された前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って搬送するパレット曲線送り手段(81,91)とを備えたパレット搬送装置において、
前記パレット曲線送り手段(81,91)は、半円状を成す前記曲線レール(61,71)の湾曲中心を中心に回転可能に設けられ厚さ方向に延びる凹部(82a)と厚さ方向に延びる凸部(82b)が外周に交互に連続して形成された円板状のタイミングプーリ(82)と、
前記タイミングプーリ(82)を回転させる回転手段(84)と、
前記パレット(11)に設けられ前記タイミングプーリ(82)の外周に歯合可能な係止部材(83)と
を備え
前記パレット直線送り手段(41,51)は、前記直線レール(21,31)に沿って設けられ幅方向に延びる凸部(42a)と幅方向に延びる凹部(42b)が長手方向に交互に連続して形成されて前記直線レール(21,31)に搭載された前記パレット(11)が歯合可能な循環ベルト(42)を備え、
前記タイミングプーリ(82)の凹凸(82a,82b)が前記循環ベルト(42)の凹凸(42a,42b)と同形同大に形成された
ことを特徴とするパレット搬送装置。
【請求項2】
回転手段がサーボモータ(84)であって、前記サーボモータ(84)の回転軸(84b)にタイミングプーリ(82)が直接取付けられた請求項1記載のパレット搬送装置。
【請求項3】
タイミングプーリ(82)に係止部材(83)を押しつける付勢手段(85)を介して前記係止部材(83)がパレット(11)に取付けられた請求項1又は2記載のパレット搬送装置。
【請求項4】
水平方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられパレット(11)を移動可能に搭載する一対の直線レール(21,31)と、前記直線レール(21,31)に搭載された前記パレット(11)を前記直線レール(21,31)に沿って搬送するパレット直線送り手段(41,51)と、前記一対の直線レール(21,31)の両端部を連結するように半円状に湾曲して設けられパレット(11)を移動可能に搭載する一対の曲線レール(61,71)と、前記曲線レール(61,71)に搭載された前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って搬送するパレット曲線送り手段(81,91)とを備えたパレット搬送装置において、
前記パレット曲線送り手段(81,91)は、半円状を成す前記曲線レール(61,71)の湾曲中心を中心に回転可能に設けられ厚さ方向に延びる凹部(82a)と厚さ方向に延びる凸部(82b)が外周に交互に連続して形成された円板状のタイミングプーリ(82)と、
前記タイミングプーリ(82)を回転させる回転手段(84)と、
前記パレット(11)に設けられ前記タイミングプーリ(82)の外周に歯合可能な係止部材(83)と
を備え
前記タイミングプーリ(82)に前記係止部材(83)を押しつける付勢手段(85)を介して前記係止部材(83)が前記パレット(11)に取付けられた
ことを特徴とするパレット搬送装置。
【請求項5】
回転手段がサーボモータ(84)であって、前記サーボモータ(84)の回転軸(84b)にタイミングプーリ(82)が直接取付けられた請求項4記載のパレット搬送装置。
【請求項6】
パレット直線送り手段(41,51)が、直線レール(21,31)に沿って設けられ幅方向に延びる凸部(42a)と幅方向に延びる凹部(42b)が長手方向に交互に連続して形成されて前記直線レール(21,31)に搭載されたパレット(11)が歯合可能な循環ベルト(42)を備え、
タイミングプーリ(82)の凹凸(82a,82b)が前記循環ベルト(42)の凹凸(42a,42b)と同形同大に形成された
請求項4又は5記載のパレット搬送装置。
【請求項7】
所定の間隔を開けて互いに平行な一対の直線レール(21,31)のいずれか一方の直線レール(21)を移動するパレット(11)を、前記一対の直線レール(21,31)の両端部を半円状に連結する曲線レール(61,71)に移動させ、前記曲線レール(61,71)に移動した前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って他方の直線レール(31)の端部にまで搬送するパレット搬送方法において、
直線レール(21,31)に沿って設けられた循環ベルト(42)を循環させ、前記循環ベルト(42)に前記直線レール(21,31)に搭載された前記パレット(11)を係止させて前記パレット(11)を前記直線レール(21)上に移動させ、
前記曲線レール(61,71)の湾曲中心を中心に回転可能に設けられたタイミングプーリ(82)の外周における速度を前記循環ベルト(42)の循環速度と同一にして前記直線レール(21)の端部から前記曲線レール(61,71)に移動した前記パレット(11)を前記タイミングプーリ(82)係止させ、
前記タイミングプーリ(82)を回転させて前記タイミングプーリ(82)に係止した前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って搬送する
ことを特徴とするパレット搬送方法。
【請求項8】
タイミングプーリ(82)をサーボモータ(84)の回転軸(84b)に直接取付け、前記サーボモータ(84)を駆動させて前記タイミングプーリ(82)を回転させる請求項7記載のパレット搬送方法。
【請求項9】
タイミングプーリ(82)の外周に歯合可能な係止部材(83)をパレット(11)に設け、曲線レール(61,71)に移動したパレット(11)における前記係止部材(83)を前記タイミングプーリ(82)に押しつけるように付勢する請求項7又は8記載のパレット搬送方法。
【請求項10】
所定の間隔を開けて互いに平行な一対の直線レール(21,31)のいずれか一方の直線レール(21)を移動するパレット(11)を、前記一対の直線レール(21,31)の両端部を半円状に連結する曲線レール(61,71)に移動させ、前記曲線レール(61,71)に移動した前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って他方の直線レール(31)の端部にまで搬送するパレット搬送方法において、
前記曲線レール(61,71)の湾曲中心を中心に回転可能に設けられたタイミングプーリ(82)の外周に歯合可能な係止部材(83)を前記パレット(11)に設け、
前記曲線レール(61,71)に移動したパレット(11)における前記係止部材(83)を前記タイミングプーリ(82)に押しつけるように付勢して前記タイミングプーリ(82)に前記パレット(11)を係止させ、
前記タイミングプーリ(82)を回転させて前記タイミングプーリ(82)に係止した前記パレット(11)を前記曲線レール(61,71)に沿って搬送する
ことを特徴とするパレット搬送方法。
【請求項11】
タイミングプーリ(82)をサーボモータ(84)の回転軸(84b)に直接取付け、前記サーボモータ(84)を駆動させて前記タイミングプーリ(82)を回転させる請求項10記載のパレット搬送方法。
【請求項12】
直線レール(21,31)に沿って設けられた循環ベルト(42)を循環させ、前記循環ベルト(42)に直線レール(21,31)に搭載されたパレット(11)を係止させて前記パレット(11)を前記直線レール(21)上に移動させ、
タイミングプーリ(82)の外周における速度を前記循環ベルト(42)の循環速度と同一にして直線レール(21)を移動するパレット(11)を曲線レール(61,71)に移動させる請求項10又は11記載のパレット搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを載せる1又は2以上のパレットを所定の軌道で搬送するパレット搬送装置及びパレット搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機が加工するワークを載せる1又は2以上のパレットを循環搬送させるパレット搬送装置として、所定の間隔を開けて互いに平行な一対の直線レールと、一対の直線レールの両端部を連結するように半円状に湾曲して設けられパレットを移動可能に搭載する一対の曲線レールと、その曲線レールに搭載されたパレットを曲線レールに沿って搬送するパレット曲線送り手段とを備えたパレット搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このパレット搬送装置におけるパレット曲線送り手段は、パレットに係止可能な係止部材が先端に設けられたアームと、アームの基端を回転中心としてアームを回転させるアクチュエータとを備えるとしている。
【0004】
そして、直線レールに搭載されて搬送されたパレットにアームの先端に係止し、そのアームを回転させることにより、直線レールから曲線レール上に移動したパレットを半円状に搬送するとしている。
【0005】
これにより、このパレット搬送装置では、パレットをトラック形の軌道で循環させることが可能となり、パレットをトラック型の軌跡で搬送すれば、パレットのワークを載せる側を常に外側に向かせることが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-114571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、パレットに先端を係止させたアームを回転させることにより、直線レールから曲線レール上に移動したパレットを半円状に搬送させる従来のパレット搬送装置では、アームを回転させるインデックスユニットは内部カムをアクチュエータであるインデックスユニット駆動用モータで回転させているため、全体の慣性が大きく回転速度を上げられない不具合があった。またアームを回転させるインデックスユニットの構造上、アクチュエータであるモータの空転時間があるため、搬送速度が遅くなってしまう不具合もあった。
【0008】
また、直線レールに搭載されて搬送されるパレットを曲線レールに移動させる際に、そのパレットをアームに係止させる必要があることから、直線レールから曲線レールにパレットが乗り移りの際にパレットの搬送速度を落として、アームに確実に係止させる必要があり、パレットの搬送速度を向上させるには限界があった。
【0009】
更に、従来のパレット搬送装置では、半円を成す曲線レールに搭載されたパレットにおいて作業する場合、パレットとアームの係止部材に隙間があるため、正確な位置決めができず、別途ストッパ等が必要であり、正確な位置決めをして別途必要とされたストッパ等の部材を省略できれば便利である。
【0010】
本発明の目的は、パレットの搬送時間を向上し得るパレット搬送装置及びパレット搬送方法を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、曲線レールに搭載されたパレットの正確な位置決めができるパレット搬送装置及びパレット搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水平方向に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられパレットを移動可能に搭載する一対の直線レールと、直線レールに搭載されたパレットを直線レールに沿って搬送するパレット直線送り手段と、一対の直線レールの両端部を連結するように半円状に湾曲して設けられパレットを移動可能に搭載する一対の曲線レールと、曲線レールに搭載されたパレットを曲線レールに沿って搬送するパレット曲線送り手段とを備えたパレット搬送装置の改良である。
【0013】
その特徴ある構成は、パレット曲線送り手段が、半円状を成す曲線レールの湾曲中心を中心に回転可能に設けられ厚さ方向に延びる凹凸が外周に連続して形成された円板状のタイミングプーリと、タイミングプーリを回転させる回転手段と、パレットに設けられタイミングプーリの外周に歯合可能な係止部材とを備えたところにある。
【0014】
このパレット搬送装置では、回転手段がサーボモータであって、サーボモータの回転軸にタイミングプーリが直接取付けられたことが好ましく、パレット直線送り手段が、直線レールに沿って設けられ幅方向に延びる凹凸が長手方向に連続して形成され凹凸に直線レールに搭載されたパレットが歯合可能な循環ベルトを備える場合、タイミングプーリの凹凸が循環ベルトの凹凸と同形同大に形成されたことが好ましい。
【0015】
そして、タイミングプーリに係止部材を押しつける付勢手段を介して係止部材をパレットに取付けることもできる。
【0016】
また、別の本発明は、所定の間隔を開けて互いに平行な一対の直線レールのいずれか一方の直線レールを移動するパレットを、一対の直線レールの両端部を半円状に連結する曲線レールに移動させ、曲線レールに移動したパレットを曲線レールに沿って他方の直線レールの端部にまで搬送するパレット搬送方法の改良である。
【0017】
その特徴ある点は、曲線レールの湾曲中心を中心に回転可能に設けられたタイミングプーリに曲線レールに移動させたパレットを係止させ、タイミングプーリを回転させてタイミングプーリに係止したパレットを曲線レールに沿って搬送するところにある。
【0018】
このパレット搬送方法では、タイミングプーリをサーボモータの回転軸に直接取付け、サーボモータを駆動させてタイミングプーリを回転させることが好ましく、直線レールに沿って設けられた循環ベルトを循環させ、循環ベルトに直線レールに搭載されたパレットを係止させてパレットを直線レール上に移動させ、タイミングプーリの外周における速度を循環ベルトの循環速度と同一にして直線レールを移動するパレットを曲線レールに移動させることが好ましい。
【0019】
そして、タイミングプーリの外周に歯合可能な係止部材をパレットに設けている場合、曲線レールに移動したパレットにおける係止部材をタイミングプーリに押しつけるように付勢することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のパレット搬送装置及びパレット搬送方法では、パレット曲線送り手段が、半円状を成す曲線レールの湾曲中心を中心に回転する円板状のタイミングプーリを備え、そのタイミングプーリを回転させてタイミングプーリの外周に係止したパレットを曲線レールに沿って搬送するので、タイミングプーリの外周における速度を直線レールを移動するパレットの移動速度と同一にすることにより、そのパレットを直線レールから曲線レールに速やかに移動させることができる。
【0021】
このため、直線レールに搭載されて搬送されるパレットを曲線レールに移動させる際に、パレットの搬送速度を落とす必要は無くなる。また、サーボモータを用いてタイミングプーリを直接回転させるようにすれば、直線レール上を搬送されてくるパレットとタイミングプーリを同期させて駆動することにより、直線レール上のパレット搬送と同じような速度で曲線レールにパレットを高速で移載することも可能になる。よって、パレットの搬送速度をアームを用いた従来よりも著しく向上させることができる。
【0022】
また、付勢手段により曲線レールに移動したパレットにおける係止部材をタイミングプーリに押しつけるように付勢すれば、係止部材とタイミングプーリとの間に隙間を生じさせないので、曲線レールに搭載されたパレットの正確な位置決めが可能となる。このため、曲線レールに搭載されたパレットを、その曲線レール上の任意の位置で停止可能になり、作業場所を曲線レールに沿って複数設けたり、複数のパレットを円弧部に配置できるようにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明実施形態のパレット搬送装置の平面図である。
図2】そのパレット搬送装置の正面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4】その搬送装置に用いるパレットを図2のC方向から見た平面図である。
図5】そのパレット曲線送り手段を示す図1のC-C線断面図である。
図6】パレットが一方の直線レールの端部に達してタイミングプーリに係止部材が係止された状態を示す上面図である。
図7】そのパレットが曲線レール上を移動する状態を示す図6に対応する上面図である。
図8】そのパレットが他方の直線レールの端部に達しその他方の直線レールを移動する状態を示す図7に対応する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。
【0026】
このパレット搬送装置10は、ワーク(図示せず。以下同様)を搭載したパレット11を移動可能に搭載する一対の直線レール21,31と、その一対の直線レール21,31に平行に設けられその一対の直線レール21,31とともにパレット11を移動可能に搭載する一対の補助レール22,32とを備える。
【0027】
一対の直線レール21,31は水平方向(Y軸方向)に所定の間隔を開けて互いに平行に設けられ、補助レール22,32はその直線レール21,31と同一の長さを有して、その直線レール21,31にそれぞれ平行に設けられる。この一対の直線レール21,31及び補助レール22,32は、それぞれパレット11を移動可能に搭載するものであり、それぞれが基台9における天板9a上にX軸方向に真っ直ぐに延びて設けられる。
【0028】
この実施の形態における一対の直線レール21,31及び補助レール22,32は、パレット11を水平状態で搭載するものであって、図3及び図4に詳しく示すように、基台9における天板9aの上面に直接固定された市販の直線運動ガイドレールである。
【0029】
一方、一対の直線レール21,31及び補助レール22,32に搭載されるパレット11は、一対の直線レール21,31や補助レール22,32を跨いで一対の直線レール21,31及び補助レール22,32上を移動可能に構成された直線運動ブロック12と、その直線運動ブロック12が取付けられた台座13と、その台座13に設けられた係合部材14とを有する。
【0030】
この直線運動ブロック12は直線レール21,31や補助レール22,32である市販の直線運動ガイドレールと対に販売される市販のものであって、この実施の形態では、直線レール21,31上を移動する一対の直線運動ブロック12,12と、補助レール22,32上を移動する一対の直線運動ブロック12,12がそれぞれ所定の間隔を開けて台座13に設けられる場合を示す。ただし、直線レール21,31上を移動する一対の直線運動ブロック12,12は、それぞれボス15を介して台座13に僅かに回転可能に取付けられる。
【0031】
このように、台座13に固定された直線運動ブロック12を、一対の直線レール21,31及び補助レール22,32に跨がせて移動可能に支持させることにより、パレット11は水平状態で一対の直線レール21,31及び補助レール22,32に移動可能に搭載されることになる。
【0032】
ここで、この直線運動ブロック12は、図示しないローラリテーナを備えるものが好ましい。このローラリテーナを備える直線運動ブロック12を用いることにより、一対の直線レール21,31や補助レール22,32の幅方向の移動や一対の直線レール21,31や補助レール22,32に対する傾動を禁止しつつパレット11が一対の直線レール21,31上を移動する抵抗を著しく軽減することができるものである。
【0033】
図3に示すように、パレット11における台座13にはワーク(図示せず。以下同様)を搭載する搭載具17がその上面に設けられ、一対の直線レール21,31や補助レール22,32に搭載された状態で基台9における天板9aから側方に突出することになる台座13の下面には係合部材14が取付けられる。
【0034】
ここで、図1に示すように、パレット11における台座13は、そのX軸方向の長さLが各工作機1~4が設置されているピッチPと同一又はそのピッチPより短く形成されることが好ましい。
【0035】
このため、一対の直線レール21,31や補助レール22,32上を複数のパレット11がワークを搭載した状態で所定のピッチPを空けて移動すると、複数のパレット11は各工作機1~4に対峙し、搭載具17(図3)を介してその側部に搭載されたワークを工作機1~4により加工可能に構成される。
【0036】
本発明のパレット搬送装置10は、パレット11を一対の直線レール21,31に沿って搬送するパレット直線送り手段41,51を備える。
【0037】
具体的に、この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、一方の直線レール21及び補助レール22に搭載されたパレット11をその一方の直線レール21及び補助レール22に沿って搬送させる第一パレット直線送り手段41と、他方の直線レール31及び補助レール32に搭載されたパレット11をその他方の直線レール31及び補助レール32に沿って搬送させる第二パレット直線送り手段51を備える。
【0038】
この第一パレット直線送り手段41及び第二パレット直線送り手段51は同一構造であるで、以下に第一パレット直線送り手段41を代表して説明する。
【0039】
図1及び図2に示すように、この第一パレット直線送り手段41は、パレット11と係合可能に構成され一方の直線レール21に沿って無端で設けられて循環する循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43(図2)とを備える。
【0040】
図2に示すように、基台9における側壁9bには、一方の直線レール21や補助レール22の両端に対応する位置と、それより下方の位置にそれぞれに従動プーリ44が設けられ、循環ベルト42はこれらの四つの従動プーリ44を包囲するように掛け回される。
【0041】
循環ベルト42はいわゆる歯付きベルトである。この循環ベルト42は、図2の拡大図に示すように、幅方向に延びる凹凸42a,42bが長手方向に交互に連続するベルトであって、その凹凸42a,42bに係合可能な被凹凸14a,14bがパレット11における係合部材14に形成される。
【0042】
そして、図3に示すように、パレット11が直線レール21や補助レール22に搭載されると、直線運動ブロック12と同じ下側であって、天板9aの側方から突出する台座13に設けられた係合部材14が循環ベルト42に重合して係合するように構成される。
【0043】
即ち、図2に拡大図に示すように、パレット11が直線レール21及び補助レール22に搭載されると、係合部材14が循環ベルト42に重合し、この係合部材14に形成された被凹凸14a,14bが、循環ベルト42に形成された凹凸42a,42bに係合するように構成される。
【0044】
また、図2及び図3に示す様に、この基台9の側壁9bには、この循環ベルト42を循環させる循環機構であるサーボモータ43が設けられ、その側壁9bから突出する回転軸43aに駆動プーリ45が取付けられる。駆動プーリ45は四つの従動プーリ44と同一面上に設けられ、その駆動プーリ45の近傍には、その駆動プーリ45に循環ベルト42を掛け回すようにその循環ベルト42を転向させる一対の転向プーリ46が側壁9bに枢支される。
【0045】
そして図示しないコントローラからの指令によりサーボモータ43が駆動すると、回転軸43aが駆動プーリ45とともに回転し、駆動プーリ45に掛け回された循環ベルト42が四つの従動プーリ44を包囲した状態で循環するように構成される。
【0046】
図2に示す様に、パレット11が直線レール21及び補助レール22に搭載されて、パレット11における被凹凸14a,14bが循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合すると、循環ベルト42と独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止されることになる。
【0047】
このため、サーボモータ43を駆動させて、パレット11が係合した循環ベルト42を循環させると、パレット11がその循環ベルト42とともに移動し、循環ベルト42が沿う一対の直線レール21,31や補助レール22,32に沿ってそのパレット11は搬送されることになる。
【0048】
ここで、図2の符号47は、従動プーリ44間の循環ベルト42が弛むことを防止して係合部材14から循環ベルト42が離間することを防止する支持材47であり、符号48は、その支持材47を側壁9bに取付ける取付具48を示す。
【0049】
図1に戻って、パレット搬送装置10は、一対の直線レール21,31の両端部を連結するように半円状に湾曲して設けられた一対の曲線レール61,71を備える。この一対の曲線レール61,71もパレット11を移動可能に搭載するものであり、一対の直線レール21,31である市販の直線運動ガイドレールと共に市販されているものである。このため、一対の曲線レール61,71は、それぞれの断面形状において一対の直線レール21,31と同一形状を有し、一対の直線レール21,31の両端部を連結するように、基台9における天板9aに固定される。
【0050】
この実施の形態における一対の曲線レール61,71は半円状を成して一対の直線レール21,31の端部を連結するものであるので、この曲線レール61,71を一対の直線レール21,31の両側にそれぞれ設けることにより、一対の直線レール21,31と一対の曲線レール61,71は全体としてトラック状に配置される。
【0051】
このため、いずれか一方の直線レール21,31に搭載されて搬送されたパレット11は、その端部から曲線レール61,71に移動して搭載され、その曲線レール61,71を移動して他の直線レール31,21にまで搬送されることになる。よって、本発明のパレット搬送装置10は、トラック状の軌跡でパレット11を搬送可能なものとなる。
【0052】
そして、パレット搬送装置10には、一対の曲線レール61,71に搭載されたパレット11を一対の曲線レール61,71に沿って搬送するパレット曲線送り手段81,91が設けられる。
【0053】
具体的に、この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、一方の曲線レール61に搭載されたパレット11をその一方の曲線レール61に沿って搬送させる第一パレット曲線送り手段81と、他方の曲線レール71に搭載されたパレット11をその他方の曲線レール71に沿って搬送させる第二パレット曲線送り手段91を備える。
【0054】
この第一パレット曲線送り手段81及び第二パレット曲線送り手段91は同一構造であるで、以下に第一パレット曲線送り手段81を代表して説明する。
【0055】
このパレット曲線送り手段81は、半円状を成す曲線レール61の湾曲中心Oを中心に回転可能に設けられたタイミングプーリ82と、そのタイミングプーリ82を回転させる回転手段84とを備える。
【0056】
この実施の形態では、図1に一点鎖線で示すように、所定の間隔を開けて設けられた一対の直線レール21,31の中間線m上であって、その一対の直線レール21,31の端面を繋ぐ線nとの交点に回転手段であるサーボモータ84が取付けられる。
【0057】
図5に示すように、この実施の形態における回転手段であるサーボモータ84は、円柱状の本体部84aの上面略中央部分から鉛直線を回転軸として上方に突出する回転ロッド84bを有し、駆動することにより回転ロッド84bを回転させる場合を示す。
【0058】
このサーボモータ84は、一対の直線レール21,31の中間線m(図1)上であって、その一対の直線レール21,31の端面を繋ぐ線n(図1)との交点上に、回転ロッド84bを上方に向けて本体部84aが天板9aに取付けられる。そして、そのサーボモータ84の回転ロッド84bにタイミングプーリ82が直接取付けられる。
【0059】
図6図8に示す様に、タイミングプーリ82は、厚さ方向に延びる凹凸82a,82bが円周方向に交互に連続するプーリであって、サーボモータ84は、回転ロッド84bを回転可能であって、その回転速度を変化可能なものであり、その回転により、タイミングプーリ82はその中央における鉛直軸を回転軸Oとして水平面内において回転可能に構成される。
【0060】
半円状を成す曲線レール61,71は一対の直線レール21,31の両端部を連結するものであるので、中間線mと直線レール21,31の端面を繋ぐ線nとの交点Oが曲線レール61,71の湾曲中心となるので、タイミングプーリ82は曲線レール61,71の湾曲中心を中心に回転可能に設けられることになり、その周囲は曲線レール61に沿って円弧状に移動するものとなる。
【0061】
一方、パレット11には、タイミングプーリ82の周囲に係止する係止部材83が設けられる。図3図5に示す様に、この実施の形態では、係止部材83をタイミングプーリ82に押しつけるように付勢する付勢手段85を介して取付けられる場合を示す。
【0062】
係止部材83は、付勢手段85を介して台座13のタイミングプーリ82側にパレット11の移動方向に延びて取付けられ、この係止部材83には、タイミングプーリ82の周囲における凹凸82a,82bに係合可能な被凹凸83a,83bが形成される。
【0063】
図5に示す様に、付勢手段85は、曲線レール61にパレット11が搭載された状態で、係止部材83の被凹凸83a,83bをタイミングプーリ82の周囲における凹凸82a,82bに押しつけるように付勢するものであって、パレット11における台座13のタイミングプーリ82側の下面に設けられたハウジング86を備える。
【0064】
このハウジング86には、水平方向に向けて一対の支持軸87が貫通して軸方向に移動可能に設けられ、その一対の支持軸87の突出端に係止部材83が取付けられる。ここで、図の符号88は、ハウジング86に設けられて、支持軸87を軸方向に移動可能に支持するスライドブッシュ88を示す。
【0065】
係止部材83とハウジング86の間の支持軸87には、付勢手段85となるコイルスプリング85aが圧縮された状態で介装され、このコイルスプリング85aの伸長しようとする力は、ハウジング86から係止部材83を離間させる方向に作用して、その係止部材83にタイミングプーリ82が対向していたのであれば、その係止部材83をタイミングプーリ82に押し付けるように構成される。
【0066】
このため、図3に示す様に、係止部材83にタイミングプーリ82が対向していないと、支持軸87はコイルスプリング85aの付勢力により突出することになる。けれども、ハウジング86を貫通した支持軸87の基端にはリング状物89が取付けられる。このリング状物89は、支持軸87の所定値以上の突出を禁止するように構成される。
【0067】
この実施の形態における係止部材83の可動範囲R、即ち、図5に示す様に、係止部材83をタイミングプーリ82に押し付けた状態から、図3に示すように、タイミングプーリ82が存在しなくなった状態での係止部材83の突出量R(図5)は、タイミングプーリ82の周囲における凹凸82a,82bの高さh(図6)未満となるように構成される。
【0068】
係止部材83には、タイミングプーリ82の周囲における凹凸82a,82bに係合可能な被凹凸83a,83bが形成されるけれども、この実施の形態では、タイミングプーリ82の周囲における凹凸82a,82bがパレット直線送り手段41,51における循環ベルト42の凹凸42a,42bと同形同大のものが用いられるものとし、その凹凸82a,82bに係合可能な係止部材83の被凹凸83a,83bは、循環ベルト42に歯合する係合部材14の被凹凸14a,14bと同形同大に形成されるものとする。
【0069】
図6に示すように、係止部材83の被凹凸83a,83bがタイミングプーリ82の外周における凹凸82a,82bに歯合すると、タイミングプーリ82の回転と別に独立したパレット11の移動は不能と成り、タイミングプーリ82が回転すると、その周囲に歯合した係止部材83が取付けられたパレット11は直線レール21,31から曲線レール61,71に移動して搭載され、この曲線レール61,71に沿って半円状に移動するように構成される。
【0070】
そして、図8に示すように、曲線レール61,71を半円状に移動したパレット11が再び直線レール21,31に達して、その直線レール21,31上に移載されてその直線レール21,31を真っ直ぐに移動すると、真っ直ぐに進むパレット11に設けられた係止部材83は、回転するタイミングプーリ82から離れて離脱するように構成される。
【0071】
次に、上記パレット搬送装置を用いたパレット搬送方法を説明する。
【0072】
上記パレット搬送装置10を用いてパレット11を搬送すると、パレット11を一方の直線レール21に沿って搬送する第一パレット搬送工程と、一方の直線レール21の端部に達したパレット11を他方の直線レール31に移動する第一パレット移動工程と、そのパレット11を他方の直線レール31に沿って搬送する第二パレット搬送工程と、他方の直線レール31の端部に達したパレット11を一方の直線レール21に移動する第二パレット移動工程と、を有することになる。
【0073】
この実施の形態では、図1における上面視において、パレット11が反時計回りの軌道に循環するものとして、以下に各工程を説明する。
【0074】
<第一パレット搬送工程>
この工程では、一方の直線レール21及び補助レール22に搭載されたパレット11を搬送する。
【0075】
この実施の形態におけるパレット11は、所定の加工が行われるワークを搭載するものであり、一方の直線レール21及び補助レール22に搭載されたパレット11にワークが搭載されるものとする。この実施の形態におけるパレット11は、ワークを搭載する搭載具17(図3)を備えるので、ワークはこの搭載具17を介してパレット11に搭載されるものとする。
【0076】
図2に示すように、パレット11を一方の直線レール21に搭載すると、パレット11の係合部材14における被凹凸14a,14bは一方の直線レール21に沿って設けられた循環ベルト42の凹凸42a,42bに係合することになる。このため、その後、駆動機構であるサーボモータ43を駆動して循環ベルト42を循環させることにより、一方の直線レール21に沿ってそれらのパレット11を搬送することが可能になる。
【0077】
この搬送はパレット11が一方の直線レール21に沿って設けられた各工作機1,2(図1)に対峙するまで行われ、パレット11が各工作機1,2に対峙した状態でサーボモータ43を停止させ、パレット11に搭載されたワークをそれらの各工作機1,2において加工を施すことになる。この時、各工作機1,2のピッチP(図1)と同一のピッチで複数のパレット11を搬送させることにより、複数の工作機1,2による加工を同時に行うことが可能となる。
【0078】
<第一パレット移動工程>
この工程では、一方の直線レール21の端部に達したパレット11を他方の直線レール31に移動させる。この移動は一対の直線レール21,31の一方の端部に設けられた第一パレット曲線送り手段81により行われる。
【0079】
この実施の形態では、第一パレット直線送り手段41が循環ベルト42を備えているので、前述の第一パレット搬送工程において、一方の直線レール21に沿って移動するパレット11は、一方の直線レール21の端部に達すると、循環ベルト42からパレット11における係合部材14が離脱する。このため、パレット11が一方の直線レール21の端部にまで至ると循環ベルト42とパレット11との係合は解消されることになる。
【0080】
一方、図6に示すように、一方の直線レール21をパレット11がその端部にまで移動すると、パレット11に設けられた係止部材83の被凹凸83a,83bがタイミングプーリ82の外周における凹凸82a,82bに歯合可能となる。このため、サーボモータ84を用い、タイミングプーリ82を、その外周がパレット11の搬送速度になるように回転させることにより、直線レール21の端部にパレット11が達するときに、パレットに設けられた係止部材83をタイミングプーリ82の外周に係合させ、タイミングプーリ82の回転と別に独立したパレット11の移動を不能とする。
【0081】
ここで、パレット11に設けられた係止部材83は台座13の進行方向に延びて設けられているので、循環ベルト42とパレット11との係合が解消される以前に、パレット11における係止部材83をタイミングプーリ82に係止させることができ、パレット11が、循環ベルト42と係合せず、タイミングプーリ82にも係止されていないような状態を回避することができる。
【0082】
また、係止部材83は付勢手段85を介してパレット11に取付けられているため、パレット11における係止部材83がタイミングプーリ82に係止すると、付勢手段85は係止部材83をタイミングプーリ82に押しつけて、確実に係止させる。
【0083】
また、付勢手段85による可動範囲R(図5)がタイミングプーリ82の凹凸82a,82bの高さh未満に制限されているので、一方の直線レール21からそれに連続する曲線レール61にパレット21が移動する場合、その係止部材83を速やかにタイミングプーリ82に係止させることができる。
【0084】
そして、この第一パレット移動工程では、タイミングプーリ82を回転させて、その外周の凹凸82a,82bに係止部材83が歯合して係止されたパレット11を直線レール21から曲線レール61に移動させて搭載する。
【0085】
このため、直線レール21に搭載されて搬送されるパレット11を曲線レール61に移動させる際に、パレット11の搬送速度を落とす必要は無くなる。また、サーボモータ84を用いてタイミングプーリ82を直接回転させているので、直線レール21上を搬送されてくるパレット11とタイミングプーリ82を同期させて駆動することにより、直線レール21上のパレット搬送と同じような速度で曲線レール61にパレット11を高速で移載することも可能になる。よって、パレット11の搬送速度をアームを用いた従来よりも著しく向上させることができる。
【0086】
特に、タイミングプーリ82の凹凸82a,82bが循環ベルト42の凹凸42a,42bと同形同大であるので、循環ベルト42の循環速度とタイミングプーリ82の外周における速度を同一にすることの制御は比較的容易に行うことが可能となる。
【0087】
ここで、パレット11に所定の間隔を開けて一対の直線運動ブロック12,12を設けており、曲線レール61にパレット11が移動すると、一対の直線運動ブロック12,12は曲線レール61に沿うものとならなければならない。
【0088】
けれども、一対の直線運動ブロック12,12は、それぞれボス15を介して台座13に僅かに回転可能に取付けられているので、曲線レール61にパレット11が移動すると、一対の直線運動ブロック12,12は、僅かに回転して曲線レール61に沿うものとなり、パレット11が曲線レール61に移動する際の障害となるようなことを防止する。
【0089】
そして、図7に示すように、パレット11が曲線レール61に移動した後に、更にタイミングプーリ82を回転させることにより、その外周に係止されたパレット11を曲線レール61に沿って半円状に移動させる。
【0090】
この曲線レール61は、一対の直線レール21,31の両端部を連結するように基台9の天板9aに直接固定されたものであるので、この曲線レール61に搭載されて移動するパレット11は安定し、付勢手段85は係止部材83をタイミングプーリ82に押しつけてそれらの間に隙間を生じさせることなく係止させているので、曲線レール61上の移動方向における位置も正確なものとなる。
【0091】
このため、タイミングプーリ82の回転を止めて曲線レール61に搭載されたパレット11を、その曲線レール61上の任意の位置で停止可能になり、曲線レール61に搭載された状態で停止したパレット11におけるワークを加工することも可能になる。このため、作業場所を曲線レール61に沿って複数設けたり、複数のパレット11を円弧部に配置できるようにもなる。
【0092】
図8に示すように、ワークの加工後又は加工をすることなくパレット11を他方の直線レール31にまで移動させると、次に、そのパレット11を曲線レール61から他方の直線レール31に移動させる。その際には、パレット11の係合部材14の被凹凸14a,14bと他方の直線レール31における循環ベルト42の凹凸42a,42bとが確実に係合できる位置となるように予め設定されたプログラムによりサーボモータ43による循環ベルト42の循環速度及びサーボモータ84によるタイミングプーリ82の回転を制御する。
【0093】
曲線レール61に沿って半円状に移動したパレット11が他方の直線レール31に達すると、図8に示すように、パレット11は曲線レール61から他方の直線レール31に移動する。すると、パレット11の係合部材14の被凹凸14a,14bと他方の直線レール31における循環ベルト42の凹凸42a,42bとは係合することになるので、循環ベルト42と別に独立したパレット11の移動は不能となり、その後パレット11がその直線レール31を真っ直ぐに移動することにより、タイミングプーリ82とパレット11の係止状態は解消されることになる。
【0094】
このようにして、そのパレット11を一方の直線レール21の端部から他方の直線レール31に移動させる。
【0095】
<第二パレット搬送工程>
この工程では、他方の直線レール31に搭載されたパレット11を搬送する。他の直線レール31にパレット11が搭載されると、パレット11における係合部材14は、その他の直線レール31に沿う循環ベルト42に新たに係合し、この循環ベルト42を循環させることによりパレット11を他方の直線レール31に沿って搬送することができる。
【0096】
この他方の直線レール31に沿った搬送は、図1に示す様に、パレット11が他方の直線レール31に沿って設けられた各工作機3,4に対峙するまで行われ、パレット11が各工作機3,4に対峙した状態でサーボモータ43を停止させ、パレット11に搭載されたワークにそれらの各工作機3,4において加工を施すことになる。
【0097】
ここで、曲線レール61にパレット11が搭載されているとき、パレット11は循環ベルト42に係合していない。このため、タイミングプーリ82の回転と別に循環ベルト42を循環させると、その循環ベルト42に係合するパレット11は他方の直線レール31を搬送されることになり、曲線レール61に搭載されたパレット11を移動させること無く、循環ベルト42が係合して他方の直線レール31に搭載されたパレット11を移動させることができる。
【0098】
そして、循環ベルト42が係合するパレット11と所定のピッチになったときに、タイミングプーリ82を回転させて、曲線レール61から直線レール31にパレット11を移動させて循環ベルト42に係合させるようにすれば、複数のパレット11を所定のピッチで他方の直線レール31上を搬送させることができる。
【0099】
このようにして、各工作機3,4(図1)のピッチPと同一のピッチで複数のパレット11を搬送させるようにすれば、複数の工作機3,4による加工を同時に行うことが可能となる。
【0100】
<第二パレット移動工程>
この工程では、他方の直線レール31の端部に達したパレット11を一方の直線レール21に移動させる。この移動は一対の直線レール21,31の他方の端部に設けられた第二パレット曲線送り手段91により行われる。その具体的な移動の手順は、先の第一パレット移動工程と同一であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0101】
このように、上述した各工程が1回行われることにより、各パレット11をそれぞれ1個分づつ反時計方向にトラック形の軌道で搬送することができる。
【0102】
そして、このような各工程が1回行われる毎に、パレット搬送装置10の動作を停止した状態で、各工作機1~4を作動させ、各パレット11に載った各ワークに対して所定の各種加工が並行して行われる。この各工作機1~4の作動時、いずれかのパレット11に対してワークの搬入及び搬出が行われることになる。
【0103】
このように、本発明のパレット搬送装置10及びパレット搬送方法では、一対の直線レール21,31の両端部を一対の曲線レール61,71で連結し、一方の直線レール21,31から曲線レール61,71に移動したパレット11をパレット曲線送り手段81,91により曲線レール61,71に沿って他方の直線レール31,21の端部にまで搬送することになる。
【0104】
そして、本発明のパレット搬送装置10では、パレット11に係止する係止部材83をパレットの進行方向に延びて設け、直線レール21,31の端部において係止部材83をタイミングプーリ82に係止させるようにしたので、直線レール21,31の端部において、パレット11が、パレット直線送り手段41,51及びパレット曲線送り手段81,91のいずれにも係止していないような状態を回避することができる。
【0105】
よって、直線レール21,31を移動したパレット11をその端部においてタイミングプーリ82に係止し、そのタイミングプーリ82を回転させることにより曲線レール61,71に確実に移動させ、それと共に、曲線レール61,71を移動したパレット11を確実に直線レール21,31にまで移動させることが可能となる。
【0106】
そして、曲線レール61,71にパレット11を搭載して移動させるので、一方のレール21の端部から他方のレール31の端部にまで、パレット11を確実に半円状に移動させることができ、パレット11をトラック形の軌道において確実に循環させることが可能になる。すると、ワークが搭載される側を常に外側に向けることが可能となり、ワークを加工する工作機の配置の自由度を向上させることができる。
【0107】
なお、上述した実施の形態では、パレット直線送り手段41,51として、循環ベルト42と、この循環ベルト42を循環させる循環機構43とを備えるものを例示したけれども、このパレット直線送り手段41,51はこれに限らず、パレット11を直線レール21,31に沿って搬送しうる限り、別の構成のものであっても良い。
【0108】
また、上述した実施の形態では、パレット11が反時計回り方向の軌道に循環する場合を説明したが、反時計回り方向に限らず、各パレット11を時計回り方向に搬送することも可能である。
【0109】
また、上述した実施の形態では、台座13の上面にワークを搭載する搭載具17が設けられる場合を説明した。けれども、図示しないが、台座13に貫通孔を形成し、その貫通孔に搭載具を設け、この貫通孔を介してワークを台座に貫通して搭載するようにしても良い。
【0110】
また、上述した実施の形態では、タイミングプーリ82を回転させるサーボモータとして、電気により駆動するサーボモータを用いる場合を説明したけれども、タイミングプーリ82を水平面内において回転させ得る限り、本体部84aに給排される流体圧により回転ロッド84bを回転させるようなものを用いても良い。
【0111】
更に、図1では、本発明のパレット搬送装置10の両側に工作機1~4が4台設けられる場合を示すけれども、これは一例であって、この工作機1~4の台数は、加工を必要とするワークにより異なり、パレット11の台数は、その工作機1~4の台数に応じて適宜に増減されるものである。
【符号の説明】
【0112】
10 パレット搬送装置
11 パレット
21,31 直線レール
41,51 パレット直線送り手段
42 循環ベルト
42a,42b 凹凸
61,71 曲線レール
81,91 パレット曲線送り手段
82 タイミングプーリ
82a,82b 凹凸
83 係止部材
84 サーボモータ(回転手段)
84a 回転軸
85 付勢手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8