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特許7509638光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240625BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 372
G06K7/14 013
G06K7/14 060
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020162339
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055006
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 宏海
(72)【発明者】
【氏名】齋喜 雅仁
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016219(JP,A)
【文献】特開2013-196416(JP,A)
【文献】特開2005-182446(JP,A)
【文献】特開2003-058820(JP,A)
【文献】特開2001-028033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
G07G 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるシンボルを撮像し、該シンボルの情報を読み取って読取データを出力するための光学式情報読取装置であって、
シンボルの情報を収集するタイミングを規定するトリガキーと、
前記トリガキーが操作された場合に、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する撮像部と、
前記撮像部による撮像を停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知する検知部と、
前記撮像部により撮像処理が開始されてから前記検知部により撮像停止条件に合致することが検知されるまでの間、前記撮像部による撮像処理を繰り返し実行するように制御すると共に、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部と、
一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、前記読取部により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定する判定部と、
前記判定部により未読取情報と判定されたシンボルの情報を順次蓄積する一時蓄積部と、
前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発する出力指示部と、
前記撮像停止条件に合致しても、前記一時蓄積部に蓄積されたシンボルの情報をリセットする処理を行わない一方で、前記出力指示部により出力指示を受けて、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を読取データとして出力すると共に、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットする出力処理部と、
を備え
前記撮像部は、前記トリガキーが操作されてから前記撮像停止条件に合致するまでの間、第1の撮像処理を実行し、
前記一時蓄積部は、前記第1の撮像処理の間に生成された画像データに基づいて、前記読取部により読み取られた第1のシンボルの情報を順次蓄積し、
前記撮像部は、前記撮像停止条件に合致した後に前記トリガキーが再度操作された場合に、第2の撮像処理を実行し、
前記判定部は、前記第2の撮像処理の間に生成された画像データに基づいて前記読取部により読み取られた第2のシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか未読取情報かを、前記一時蓄積部に蓄積された前記第1のシンボルの情報に基づいて判定し、
前記一時蓄積部は、前記判定部により未読取情報と判定された前記第2のシンボルの情報を順次蓄積し、
前記出力処理部は、前記出力指示部により出力指示を受けて、前記一時蓄積部に蓄積されている前記第1のシンボルの情報および前記第2のシンボルの情報を読取データとして出力すると共に、前記一時蓄積部に蓄積されている前記第1のシンボルの情報および前記第2のシンボルの情報をリセットすることを特徴とする光学式情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記出力処理部から出力される、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を保存する保存部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記出力処理部から出力される、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を、外部の機器に出力するための外部出力部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力指示部は、蓄積されたシンボルの情報が予め定められた上限に達したことを検出して、出力指示を発するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
手動による出力指示を受け付ける出力ボタンを備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
手動による前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットするリセットボタンを備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記撮像停止条件が、前記トリガキーから手が離れたことを検出したタイミングである光学式情報読取装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記トリガキーによるトリガの発行方法、前記読取部により読み取るデコード領域、シンボルを収集する収集モード、読み取る情報の上限数の少なくともいずれかを設定するための読取設定部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力処理部は、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を、出力ルールに従ってソートして出力可能に構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項10】
請求項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記出力処理部が、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力ルールを設定するための出力ルール設定部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力ルール設定部により設定される出力ルールが、シンボルのコード種、シンボルに含まれるデータの桁数のいずれかを含んでなる光学式情報読取装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記出力ルール設定部により設定された複数の異なる出力ルールを保存するための出力ルール保存部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項13】
請求項1012のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力処理部は、
前記出力ルールに合致するシンボルの情報をソートすると共に、
前記出力ルールに合致しないシンボルの情報を、前記ソートされたデータの末尾に付加して出力するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
複数の異なる読取モードを、所定のモード切替条件に応じて切り替えるためのモード切替部を備え、
前記複数の異なる読取モードが、
前記撮像部による一回の撮像で複数個のシンボルを読み取る一括読取モードと、
前記撮像部により得られた光学画像中から一のシンボルを読み取れたことを検出して、前記撮像部による新たな撮像を行う連続読取モードと
を含む光学式情報読取装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光学式情報読取装置であって、
前記モード切替部は、前記一括読取モードで動作開始し、前記モード切替条件の合否に応じて前記読取モードを切り替えるよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の光学式情報読取装置であって、
前記モード切替条件が、収集されたシンボルのサイズ、収集上限までの残数、シンボルの収集速度、エイミング光とシンボルの中心との位置関係の少なくともいずれかを含んでなる光学式情報読取装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
収集したシンボルの数を表示するシンボル収集数表示欄を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記撮像部で撮像されたシンボルを含む光学画像を示部に表示させた状態で、読み取りに成功したシンボルをハイライトさせて表示させるハイライト処理部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項19】
読取対象となるシンボルを撮像し、該シンボルの情報を読み取って読取データを出力するための光学式情報読取装置であって、
シンボルの情報を収集するタイミングを規定するトリガキーと、
前記トリガキーが操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する撮像部と、
前記撮像部による撮像を停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知する検知部と、
前記撮像部により撮像処理が開始されてから前記検知部により撮像停止条件に合致することが検知されるまでの間、前記撮像部による撮像処理を繰り返し実行するように制御すると共に、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部と、
一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、前記読取部により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定する判定部と、
前記判定部により未読取情報と判定されたシンボルの情報を順次蓄積する一時蓄積部と、
前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発する出力指示部と、
前記出力指示部により出力指示を受けて、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を読取データとして出力すると共に、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットする出力処理部と、
を備え、
前記出力処理部は、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力ルールを設定するための出力ルール設定部を備え、前記出力ルールに合致するシンボルの情報をソートすると共に、前記出力ルールに合致しないシンボルの情報を、前記ソートされたデータの末尾に付加して出力するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項20】
請求項19に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力ルール設定部により設定される出力ルールが、シンボルのコード種、シンボルに含まれるデータの桁数のいずれかを含んでなる光学式情報読取装置。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記出力ルール設定部により設定された複数の異なる出力ルールを保存するための出力ルール保存部を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項22】
請求項19~21のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記出力指示部は、蓄積されたシンボルの情報が予め定められた上限に達したことを検出して、出力指示を発するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取る光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるバーコード、QRコード等のシンボルからの光を受光し、イメージセンサによりシンボルの画像データを取得し、その画像データを解析することでシンボルに応じた情報を読み取る、ハンディタイプ等と呼ばれる手持ち式の光学式情報読取装置が知られている。このようなハンディタイプの光学式情報読取装置では、ユーザがシンボルを撮像する姿勢に光学式情報読取装置を向けてトリガを押すことで、シンボルの読み取りを実行し、読取結果を出力する。
【0003】
光学式情報読取装置を用いて、一度に複数のシンボルを読み取る方法として、「一括読み」や「連続読み」などと呼ばれる読取モードが知られている。「一括読み」モードでは、一回の視野で沢山読む読取方法である。一方「連続読み」モードでは、一回の視野では少ないが、沢山の視野での撮像を繰り返す読取方法である。いずれの読取モードでも、トリガを押している間は、シンボルの読み取りを実行し、トリガを離すことによって、トリガを押している間に収集されたシンボルの情報を出力するようになっていた。
【0004】
しかしながら、この方法では読み取ったデータをすべて出力するため、複数回読み取られたデータは、重複して出力されることになり、また、一度トリガ発行を停止させた後に読み取りデータを追加したい場合などは、一から読取をし直す必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-101555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、複数のトリガを挟んでシンボルを収集することを可能とした光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の形態に係る光学式情報読取装置によれば、読取対象となるシンボルを撮像し、該シンボルの情報を読み取って読取データを出力するための光学式情報読取装置であって、シンボルの情報を収集するタイミングを規定するトリガキーと、前記トリガキーが操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する撮像部と、前記撮像部による撮像を停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知する検知部と、前記撮像部により撮像処理が開始されてから前記検知部により撮像停止条件に合致することが検知されるまでの間、前記撮像部による撮像処理を繰り返し実行するように制御すると共に、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る読取部と、一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、前記読取部により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定する判定部と、前記判定部により未読取情報と判定されたシンボルの情報を順次蓄積する一時蓄積部と、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発する出力指示部と、前記出力指示部により出力指示を受けて、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を読取データとして出力すると共に、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットする出力処理部とを備えることができる。上記構成により、複数のトリガを挟んでシンボルを収集することが可能となる。
【0008】
また、本発明の第2の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記構成に加えて、さらに、前記出力処理部から出力される、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を保存する保存部を備えることができる。
【0009】
さらに、本発明の第3の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記出力処理部から出力される、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を、外部の機器に出力するための外部出力部を備えることができる。
【0010】
さらにまた、本発明の第4の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記出力指示部は、蓄積されたシンボルの情報が予め定められた上限に達したことを検出して、出力指示を発するよう構成できる。
【0011】
さらにまた、本発明の第5の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、手動による出力指示を受け付ける出力ボタンを備えることができる。上記構成により、ユーザは出力ボタンを操作して、出力処理を実行することが可能となる。
【0012】
さらにまた、本発明の第6の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、手動による前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットするリセットボタンを備ええることができる。上記構成により、ユーザはリセットボタンを操作して、データ収集をキャンセルすることが可能となる。
【0013】
さらにまた、本発明の第7の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記撮像停止条件が、前記トリガキーから手が離れたことを検出したタイミングである。
【0014】
さらにまた、本発明の第8の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記トリガキーによるトリガの発行方法、前記読取部により読み取るデコード領域、シンボルを収集する収集モード、読み取る情報の上限数の少なくともいずれかを設定するための読取設定部を備えてることができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第9の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記一時蓄積部は、撮像停止条件に合致した後、再度トリガキーの操作が検知されて、前記撮像部で撮像され、前記判定部により未読取情報と判定されたシンボルの情報を、蓄積されたシンボルの情報に追加するよう構成できる。
【0016】
さらにまた、本発明の第10の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記出力処理部は、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を、出力ルールに従ってソートして出力可能に構成できる。
【0017】
さらにまた、本発明の第11の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記出力処理部が、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力ルールを設定するための出力ルール設定部を備えることができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第12の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記出力ルール設定部により設定される出力ルールが、シンボルのコード種、シンボルに含まれるデータの桁数のいずれかを含むことができる。
【0019】
さらにまた、本発明の第13の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記出力ルール設定部により設定された複数の異なる出力ルールを保存するための出力ルール保存部を備えてることができる。
【0020】
さらにまた、本発明の第14の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記出力処理部は、前記出力ルールに合致するシンボルの情報をソートすると共に、前記出力ルールに合致しないシンボルの情報を、前記ソートされたデータの末尾に付加して出力するよう構成できる。
【0021】
さらにまた、本発明の第15の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、複数の異なる読取モードを、所定のモード切替条件に応じて切り替えるためのモード切替部を備え、前記複数の異なる読取モードが、前記撮像部による一回の撮像で複数個のシンボルを読み取る一括読取モードと、前記撮像部により得られた光学画像中から一のシンボルを読み取れたことを検出して、前記撮像部による新たな撮像を行う連続読取モードとを含むことができる。
【0022】
さらにまた、本発明の第16の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記モード切替部は、前記一括読取モードで動作開始し、前記モード切替条件の合否に応じて前記読取モードを切り替えるよう構成できる。
【0023】
さらにまた、本発明の第17の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記モード切替条件が、収集されたシンボルのサイズ、収集上限までの残数、シンボルの収集速度、エイミング光とシンボルの中心との位置関係の少なくともいずれかを含むことができる。
【0024】
さらにまた、本発明の第18の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、収集したシンボルの数を表示するシンボル収集数表示欄を備えることができる。上記構成により、読み取りに成功したシンボルの数を表示させることで、現在の読み取りの進捗を把握して残りのシンボルの読み取り作業を行い易くできる。
【0025】
さらにまた、本発明の第19の形態に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記撮像部で撮像されたシンボルを含む光学画像を前記表示部に表示させた状態で、読み取りに成功したシンボルをハイライトさせて表示させるハイライト処理部を備えてることができる。上記構成により、どのシンボルについて読み取りに成功したかをユーザは視覚的に判別できるので、未読のシンボルを探し易くなる利点が得られる。
【0026】
さらにまた、本発明の第20の形態に係る光学式情報読取方法によれば、読取対象となるシンボルを撮像し、該シンボルの情報を読み取って読取データを出力する光学式情報読取方法であって、シンボルの情報を収集するタイミングを規定するトリガキーが操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する工程と、前記撮像部により撮像処理が開始されてから、前記撮像部による撮像を停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知する検知部により撮像停止条件の合致が検知されるまでの間、前記撮像部による撮像処理を繰り返し実行するように制御すると共に、前記撮像部により生成された画像データに基づいて、読取部でシンボルの情報を読み取る工程と、一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、前記読取部により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定する工程と、前記判定部により未読取情報と判定されたシンボルの情報を一時蓄積部に順次蓄積する工程と、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発する出力指示部により出力指示を受けて、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報を、出力処理部で読取データとして出力すると共に、前記一時蓄積部に蓄積されているシンボルの情報をリセットする工程とを含むことができる。これにより、複数のトリガを挟んでシンボルを収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態1に係る光学式情報読取装置の外観斜視図である。
図2図1の光学式情報読取装置のブロック図である。
図3】バーコードを重複して読み取る例を示す模式図である。
図4】シンボル収集数表示欄を設けたユーザアプリケーションのGUIを示すイメージ図である。
図5】読み取りに成功したシンボルをハイライト処理した光学画像を示す模式図である。
図6】コード収集の手順を示すフローチャートである。
図7】出力動作の手順を示すフローチャートである。
図8】出力をキャンセルする動作の手順を示すフローチャートである。
図9】一括読取モードにより光学式情報読取装置の撮像視野を移動させる際にコードの取りこぼしが発生する様子を示す模式図である。
図10】連続読取モードにより光学式情報読取装置の撮像視野を移動させる様子を示す模式図である。
図11】読取モードの切り替えを含むコード収集の手順を示すフローチャートである。
図12】モード切替部が読取モードの切り替えを行う手順を示すフローチャートである。
図13】エイミング光とコード中心との位置関係に基づいて読取モードを切り替える手順を示すフローチャートである。
図14】エイミング光の中心付近にコードがある場合を示す模式図である。
図15】コードの中心がエイミング光の中心から離れている場合を示す模式図である。
図16】初期に実行する読取モードを反映させる手順を示すフローチャートである。
図17】出力ルールに従って読取データを出力する手順を示すフローチャートである。
図18】出力ルールと収集データ、出力順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0029】
光学式情報読取装置は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取るための端末装置である。光学式情報読取装置は、シンボルを読み取って出力するハンディスキャナの他、読み取った情報を登録したりデータ照合したりといった任意のデータ処理を行うハンディターミナルや業務用PDA等も含む意味で使用する。
【0030】
読取対象となるシンボルは、バーコード、二次元コードなどの規格化されたコード、あるいは独自規格のコードの他、文字や数字等で構成される文字列も含む。これらのシンボルは、読取対象物である製品などのワークや棚の表面に直接印刷され、あるいはワークの表面に貼付されたラベルに印刷されている。またシンボルの読み取りとは、一般にシンボルに符号化(エンコード)された情報を復号化(デコード)することを意味する。ただ、上述の通りシンボルが文字列の場合は、文字や数字の光学読取(OCR)を意味する。
【0031】
本発明の実施形態1に係る光学式情報読取装置100を、図1図2に示す。これらの図において、図1は光学式情報読取装置100の外観斜視図、図2はブロック図を、それぞれ示している。これらの図に示す光学式情報読取装置100は、ハンディターミナルである。図1の光学式情報読取装置100は、略方形である筐体2の外形を一方向に延長した板状である。筐体2の先端部分又は背面部分には、読取対象であるシンボルの光学的読取を行うための撮像モジュール1が設けられている。撮像モジュール1は、バーコードや二次元コード、文字列等のシンボルを読み取るカメラモジュールやバーコードをスキャンするスキャンモジュール等で構成される。
【0032】
筐体2の上面には、表示部3と、キー配置部30が設けられている。筐体2の一端側に表示部3が、表示部3と反対側の他端側にキー配置部30が、それぞれ設けられている。
【0033】
筐体2は、表示部3を備える表示部分DAと、キー配置部30を備える把持部分HAとで構成されており、ユーザは、把持部分HAを手で把持して、表示部分DAに設けられた表示部3の表示内容を参照しながら、把持部分HAの表面側に配置されたキー配置部30の各操作キーを操作する。筐体2は、平面視において表示部分DAを幅広とし、把持部分HAを幅狭とする一方、側面視においては、把持部分HAが厚くなるようにしてある。これにより、把持部分HAを持ちやすくしている。
【0034】
表示部3は、筐体2の一面側に設けられており、読取対象のシンボルをカメラ部で撮像した画像、シンボルを復号化した情報、その他の設定情報といった各種の情報を表示する。表示部3は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL等で構成されている。また、表示部3は、タッチパネルとして構成されていても良い。
【0035】
キー配置部30には、各種の操作を行うテンキーや電源キー、ファンクションキーといった複数の操作キーが配置されている。キー配置部30に配置された各入力デバイスは、各種の入力操作を受け付けるキー入力部を構成している。さらに、表示部3のタッチパネルも、キー入力部として機能している。
【0036】
キー配置部30には、読取開始のトリガ信号を発するトリガキー31が設けられている。トリガキー31を操作することで、シンボルの情報を収集するデータ収集タイミングが規定される。すなわち撮像部10(詳細は後述)は、トリガキー31が操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する。このようにトリガキー31は、トリガ信号を規定する。なお本発明においてはトリガキーを物理的なキーに限定するものでなく、例えばユーザインターフェース上に表示される仮想的なキーとしてもよい。
【0037】
光学式情報読取装置100は、携帯性を担保するべく、駆動電力を供給するための電源部を備えている。また、撮像する位置を特定する、すなわち読取位置を示す照準光を照射するエイミング光照射部15及び撮像部10を含む撮像モジュール1は、筐体2の背面側に設けられている。
【0038】
図2は、実施形態1に係る光学式情報読取装置100のブロック図である。この図に示すように、光学式情報読取装置100は、少なくとも動作を制御する制御プログラムを実行する制御部40、RAM51、記憶部52、表示部3、キー配置部30、通信インターフェース50、撮像モジュール1を備えている。キー配置部30は、操作部の機能を実現する。
【0039】
RAM51は、一時蓄積部51bの機能を実現する。一時蓄積部51bは、後述する判定部44により未読取情報と判定されたシンボルの情報を順次蓄積する。
【0040】
この光学式情報読取装置100は、専用のユーザアプリケーションなどのコンピュータプログラムをインストールして、あるいは予め記録されたプログラムを実行させることができる。コンピュータプログラムは、例えば記憶部52やRAM51に保持され、あるいはこれらにロードされて、制御部40で実行される。
【0041】
制御部40は、内部バス等を介して光学式情報読取装置100の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御すると共に、記憶部52に記憶されているユーザアプリケーションなどのコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。このような制御部40はCPUやMPU、SoC、ASICなどで好適に実現できる。RAM51は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0042】
また制御部40は、検知部45、読取部42、設定部43、判定部44、出力指示部46a、出力処理部46b、外部出力部46c、モード切替部47、ハイライト処理部48の機能を実現する。検知部45は、撮像部10による撮像を一時的に停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知するための部材である。撮像停止条件として、例えばトリガキー31からユーザの手が離れたこと等を設定部43で設定できる。
【0043】
また撮像停止条件に合致した後、再度トリガキー31の操作が検知されたことを検出した場合、すなわち撮像再開条件を満たした場合に、撮像部10で撮像され新たに取得されたシンボルの未読取情報を、一時蓄積部51bに蓄積されたシンボルの情報に追加するようにしてもよい。
【0044】
設定部43は、撮像停止条件を始め、各種の設定を行うための部材であり、読取設定部43aや出力ルール設定部43bの機能を実現する。読取設定部43aは、トリガキー31によるトリガの発行方法、読取部42により読み取るデコード領域、シンボルを収集する収集モード、読み取る情報の上限数読取上限の少なくともいずれかを設定するための部材である。出力ルール設定部43bは、出力処理部46bが、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を出力する出力ルールを設定するための部材である。
【0045】
読取部42は、撮像部10により撮像処理が開始されてから検知部45により撮像停止条件の合致が検知されるまでの間、撮像部10による撮像処理を繰り返し実行するように制御するための部材である。また読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいてシンボルの情報を読み取る。
【0046】
判定部44は、一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、読取部42により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定するための部材である。
【0047】
出力指示部46aは、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発するための部材である。出力指示は、ユーザによる操作の他、自動出力としてもよい。
【0048】
出力処理部46bは、出力指示部46aにより出力指示を受けて、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を読取データとして出力すると共に、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報をリセットするための部材である。
【0049】
外部出力部46cは、出力処理部46bから出力される、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を、外部の機器に出力するための部材である。
【0050】
なお本発明は、一旦揮発性のメモリに読み取った情報を格納し、指示に基づいて外部のサーバ等の機器に送信する構成に限らず、例えば光学式情報読取装置本体内に保存するように構成してもよい。例えば変形例に係る光学式情報読取装置は、外部出力部46cに代えて、保存部を備えてもよい。保存部は、出力処理部46bから出力される、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を保存するための部材である。このような保存部には、E2PROM等の不揮発性メモリが好適に利用できる。
【0051】
モード切替部47は、複数の異なる読取モードを、所定のモード切替条件に応じて切り替えるための部材である。
【0052】
ハイライト処理部48は、撮像部10で撮像されたシンボルを含む光学画像を表示部3に表示させた状態で、読み取りに成功したシンボルをハイライトさせて表示させるための部材である。これにより、どのシンボルについて読み取りに成功したかをユーザは視覚的に判別できるので、未読のシンボルを探し易くなる利点が得られる。
【0053】
記憶部52は、画像データや設定情報等の各種の情報を保持するための部材である。例えば撮像モジュール50で撮像された画像データや、コンピュータプログラム、ファームウェア等を保持する。この記憶部52は、ROM等の不揮発性メモリで構成できる。
【0054】
記憶部52は、出力ルール保存部55等の機能を実現する。出力ルール保存部55は、出力ルール設定部43bにより設定された複数の異なる出力ルールを保存するための部材である。さらに記憶部52には、ファームウェアも記憶されている。ファームウェアは、接続されている各ハードウェアの動作を制御するドライバソフトウェア等のプログラム群である。
【0055】
通信インターフェース50は内部バスに接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。操作部となるキー配置部30は、各種の入力操作を受け付けるキー入力部として機能し、キー入力により操作のための入力を受け付ける。
【0056】
エイミング光照射部15は、光学系12と隣接させて、エイミング光を照射する。このエイミング光照射部15でエイミング光を照射して、撮像部10で撮像した画像をエイマー画像と呼ぶ。読取部42は、このエイマー画像に基づいて、シンボルまでの距離を推定することができる。
(撮像モジュール1)
【0057】
撮像モジュール1は、照明部14と、撮像部10と、エイミング光照射部15とを備える。照明部14は、光学系用の照明光を照射する。照明部14は、光学系12での撮像に適した照明光を発光させるよう、撮像視野に応じた配光や光量に調整される。照明部14には、LEDや有機EL等の半導体発光素子が好適に利用できる。
【0058】
撮像部10は、光学系12と撮像素子11で構成される。光学系12は、シンボルからの反射光を集光する部材であり、好適には一以上の光学レンズで構成される。また固定焦点光学系とすることが好ましい。撮像素子11は、光学系12により集光された光を電気信号に変換し、画像データを生成するための部材である。撮像素子11は、CMOSやCCD等のイメージセンサが利用できる。ここでは、撮像素子11として、モノクロ画像を撮像するイメージセンサを用いている。
(エイミング光照射部15)
【0059】
また、エイミング光照射部15は、ワークやシンボルにエイミング光(照準光)を照射するための部材である。エイミング光照射部15は、読取位置を視認できるように、撮像しようとするワーク等の表面に光を所定の走査パターンに走査させ、その軌跡で所定のパターンを描画させる。本明細書ではこのパターンをエイミング光又は照準光と呼ぶ。エイミング光は、撮像視野や撮像した画像の水平方向に延伸させた直線状の光や、この水平方向と垂直方向の十字を形成する光等、任意のパターンが利用できる。ここでは、エイミング光を十字状のパターンとしている。エイミング光照射部15は、好適にはレーザ光源と、このレーザ光源からのレーザ光を走査可能なスキャナで構成される。
【0060】
これら照明部14と、撮像部10と、エイミング光照射部15は、一直線状に配置される。このように、カメラや照明を二段に配置せず一列に並べて配置することで、筐体2の先端側に、シンボルの読み取りに必要なハードウェアを撮像モジュール1としてまとめると共に、撮像モジュール1を薄型にして光学式情報読取装置100の薄型化、軽量化、小型化に寄与できる。
【0061】
また光学式情報読取装置100は、図2に示すように、撮像部10と、読取部42と、表示部3と、操作部と、設定部43と、判定部44を備える。撮像部10は、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する。読取部42は、撮像部10により生成された画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取る。表示部3は、複数の入力ウィンドウを有する。操作部は、表示部3に表示される複数の入力ウィンドウから、入力対象となる入力対象ウィンドウを選択する。操作部による操作は、操作キーによるキー操作と、表示部3のタッチパネル操作の両方を含む。
【0062】
光学式情報読取装置100は、トリガキー31を押下してトリガ信号を発行することで撮像部10でシンボルを撮像し、読取部42でシンボルを読み取って読取結果を出力する。ここで、従来の光学式情報読取装置では、トリガ発行中のみシンボルの収集を行い、トリガ信号が停止すると読み取ったデータを出力するよう構成していた。しかしながら、この場合は読み取ったデータをすべて出力するため、複数回読み取られたデータは、重複して出力されることになる。また、一度トリガ信号の発行を停止させた後に、読取データを追加したい場合などは、一から読取をし直す必要があった。このような仕様のため、生産性を低下させる要因となっていた。
【0063】
また、読み取ったデータの中に重複したデータが含まれる場合は、データを受け取った後に重複を取り除くためのチェックプログラムを組む必要があった。このような作業は面倒であり、ユーザの負担も大きい。このように従来の光学式情報読取装置では、複数のトリガ信号を挟んでデータを収集するという概念も、重複を取り除いてデータを出力するという概念も存在しなかった。
(複数コード収集)
【0064】
本実施形態に係る光学式情報読取装置100は、複数コード収集機能を備えることができる。具体的には、複数コード収集機能を実行することで、新たに読み取った情報が読取済かどうかを判定して、読取済でないデータのみを蓄積することができる。具体的には、光学式情報読取装置100で撮像処理が終了するまで繰り返し撮像を行い、デコード処理を行うことで、重複のない複数のシンボルを収集できる。
【0065】
図2の出力指示部46aは、蓄積されたシンボルの情報が予め定められた上限に達したことを検出して、出力指示を発するよう構成されている。これにより、蓄積されたシンボルの情報が予め定められた上限に達したか否かを判定し、上限に達したことが検出された場合には、出力処理部46bは、読取データを出力することができる。
【0066】
一方で、光学式情報読取装置の使用される一用途として、製品のシリアル番号の出荷実績収集などが挙げられる。このような作業は、製品に付されたバーコードなどのシンボルを一つづつ読み取る作業となる。このような場面において、光学式情報読取装置の一回の撮像で、複数のバーコードを読み取ることができれば、業務効率の改善につながる。
【0067】
複数のコードを読み取る光学式情報読取装置は存在するものの、プログラムの改変や運用上の課題があり、適用されるケースは限定的となっている。詳述すると、一度に多くのコードを読み取る読取設定あるいは読取モードとして、一括読みと連続みの2つが知られている。
【0068】
一括読みは、撮像する範囲内にすべてのコードが存在することを前提とした読み取り設定であり、伝票のような、一枚に複数のコードが表示されているような場合に便利となる。一方、連続読みは、コードの読み取りに成功しても次の読み取りを継続することで、一回のトリガ操作で複数個のコードを連続的に読み取ることができる。
【0069】
しかしながら、上記のいずれの読取設定についても、トリガ操作中のみコードを収集するため、不特定数の大量のコードを読み取るような運用では、トリガ操作をまたぐと、同じコードを重複して読み取ってしまうという問題があった。図3は、5個のバーコードBCを読み取る際に、実線で示す1回目のトリガで読み取れた範囲と、破線で示す2回目のトリガで読み取れた範囲とが重複して、この重複範囲に含まれたバーコードBC’を2回読んでしまうことになる。
【0070】
同じコードを重複して読み取ることを防ぐには、トリガをまたいでコードを収集して判断する必要がある。一方、トリガをまたいでコードを収集した場合、ユーザはどの程度読取が行えたが判別することができない。
【0071】
これに対して本実施形態に係る光学式情報読取装置100は、トリガをまたいでコードを収集し、収集したコード情報に基づき重複読み取りを防止する。これにより、複数のトリガを挟んでシンボルを収集することが可能となる。
(ユーザ報知手段)
【0072】
また、出力前の収集コード情報を報知する手段を設けてもよい。これにより、ユーザが現在どの程度読取が行えているかを判別できる。
(シンボル収集数表示欄85)
【0073】
例えば、収集したシンボルの数を表示するシンボル収集数表示欄85を設けてもよい。図4に示す例では、ユーザアプリケーションUAの画面上に、収集したコード数を表示するシンボル収集数表示欄85を設けている。これにより、読み取りに成功したシンボルの数を表示させることで、現在の読み取りの進捗を把握して残りのシンボルの読み取り作業を行い易くできる。
(ハイライト処理)
【0074】
また読み取りに成功した際の光学画像を表示させてもよい。この際、光学画像に重ねて、読み取りに成功したシンボルをハイライト表示させるハイライト処理を、図2のハイライト処理部48で付加することができる。例えば図5に示すように、撮像した光学画像OIを表示部3に表示させると共に、読み取りに成功したシンボルを枠状に囲んで表示させている。ハイライト処理部48によるハイライト処理は、シンボルを閉じた環状に囲む枠状に表示させる他、四隅やコーナー部のみを示したり、矢印で示したり、シンボルの特定の色で塗り潰したり、点滅表示させるなど、任意のパターンが利用できる。
【0075】
あるいは、すでに読み取りができたバーコードと、未だ読み取られていないバーコードを区別して表示してもよい。この場合、デコードできたバーコードの座標位置は判明しているので、座標位置でもって強調表示するバーコードを特定することができる。これにより、ユーザはどこを重点的に再撮影したらよいかを確認できる。また、既に読み取られたコードの場合は、報知を行わないようにして、二度手間を生じないようにできる。
【0076】
さらに、連続してコードを読み取る場合において、新たに読み取れたコードがある際は、ブザー音を鳴動させてユーザに報知するよう構成してもよい。また収集するコード数の上限に達してデータを出力した場合は、ブザー音を鳴動させて読み取りが完了した旨をユーザに報知するよう構成してもよい。これらのブザー音の音程やパターンを変更させることで、ユーザはどの動作がなされたのかをブザー音で区別することが可能となる。またブザーに加えて、光学式情報読取装置100が内蔵するバイブレータのパターンや、表示部3、LED等の点灯パターンを組み合わせてもよい。
(キャンセル手段)
【0077】
また、収集コードの出力を確定したり、キャンセルさせる手段を提供してもよい。これにより自らデータ出力制御を行えるようにしている。例えば光学式情報読取装置100に、トリガキー31とは別に、データ収集をキャンセルするボタンや、収集コードを出力するボタンを設ける。従来の光学式情報読取装置では、トリガキーを離すと収集データが出力される構成であったため、ユーザが誤ってトリガキーから指を離してしまうと、シンボルの撮像が完了していない状態でも収集コードが出力されてしまうため、データ入力を一旦消去して作業をやり直す必要があった。
【0078】
これに対して、本実施形態に係る光学式情報読取装置100では、出力タイミングをユーザにより制御できるようにしたことで、このような作業のやり直しを回避できる。例えば、手動による出力指示を受け付ける出力ボタンを、キー配置部30上に物理的に設けたり、あるいは表示部3上に仮想的なキーとして設けることができる。このような出力ボタンの操作が検知された場合に、出力処理を実行するよう構成できる。これによりユーザは出力ボタンを操作して出力処理を実行できるようになり、データの出力タイミングを任意のタイミングに規定できる。
【0079】
また同様に、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を手動によるリセットするリセットボタンを設けてもよい。リセットボタンも、キー配置部30上に物理的に設けたり、表示部3上に仮想的なキーとして設けることができる。これによりユーザは、リセットボタンを操作してデータ収集をキャンセルすることが可能となる。
【0080】
上述した図4に示すユーザアプリケーションUAの例では、画面の右下に、出力ボタンの一例として「SEND」ボタン86を設けている。また画面の左下にリセットボタンの一例として「CANCEL」ボタン87を設けている。
(光学式情報読取方法)
【0081】
ここで、読取対象となるシンボルを撮像し、このシンボルの情報を読み取って読取データを出力する光学式情報読取方法を説明する。まず、シンボルの情報を収集するタイミングを規定するトリガキー31が操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルからの反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する。次に、撮像部10により撮像処理が開始されてから、撮像部10による撮像を停止させるための、予め定められた撮像停止条件に合致するか否かを検知する検知部45により撮像停止条件の合致が検知されるまでの間、撮像部10による撮像処理を繰り返し実行するように制御すると共に、撮像部10により生成された画像データに基づいて、読取部42でシンボルの情報を読み取る。また一の撮像処理が開始されてから停止されるまでの間において、読取部42により順次読み取られたシンボルの情報が、既に読取られた読取済情報であるか、未読取情報かを判定する。そして判定部44により未読取情報と判定されたシンボルの情報を一時蓄積部51bに順次蓄積する。さらに一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を出力する出力指示を発する出力指示部46aにより出力指示を受けて、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報を、出力処理部46bで読取データとして出力すると共に、一時蓄積部51bに蓄積されているシンボルの情報をリセットする。これにより、揮発性のメモリに読み取った情報を一時的に格納し、指示に基づいて外部に送信し、それに合わせて揮発性のメモリをリセットすることができる。この結果、重複を取り除いたデータを出力することや、複数のトリガを挟んでシンボルを収集することが可能となる。
(コード収集の手順)
【0082】
ここで、コードを収集する手順の一例を、図6のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS601において、トリガをONする。ここでは、トリガキー31を押下する。次にステップS602において、撮像部10でシンボルの撮像を行い、光学画像を取得する。次にステップS603において、読取部42でデコードを行う。そしてステップS604において、デコードに成功したか否かを判定する。成功した場合はステップS605に進む。一方、デコードに失敗した場合はステップS611において、トリガがOFFされたか否かを判定する。OFFされた場合はステップS612に進む。OFFされていない場合はステップS610に進み、撮像した光学画像内にデコードの対象となる候補が残っているか否かを判定する。残っている場合はステップS603に戻ってデコードを繰り返す。一方、残っていない場合は、ステップS602に戻って撮像から繰り返す。
【0083】
ステップS611において、トリガがOFFされたと判定された場合はステップS612に進み、出力要求の有無を判定する。出力要求がある場合は、ステップS609に進む。一方、出力要求がない場合は、ステップS613に進み、出力キャンセルの操作があるか否かを判定する。出力キャンセル操作は、例えばユーザアプリケーションUA画面上の「CANCEL」ボタン87を押下して行う。出力キャンセル操作がある場合はステップS614に進み、出力キャンセル動作を行って処理を終了する。一方、出力キャンセル操作がない場合は、ステップS615に進み、トリガがONされたか否かを判定する。ONされた場合は、ステップS610に戻って処理を繰り返す。一方、トリガがONされていない場合は、ステップS612に戻って処理を繰り返す。
【0084】
さらに一方で、ステップS604においてデコードに成功したと判定された場合は、ステップS605において、デコードされたデータが過去に収集したデータと同種同一のデータか否かを判定する。同一同種の場合は、ステップS611に進む。一方、同一同種でない場合は、ステップS606に進み、収集データに追加する。さらにステップS607に進み、ユーザに対する報知を行う。ここではユーザ報知として、コード数の表示、ブザー音、バイブ、LED点灯等が挙げられる。さらにステップS608に進み、収集されたデータが上限に達したか否かを判定する。達していない場合はステップS611に戻る。
一方、収集データが上限に達したと判定された場合は、ステップS609において、出力動作を行って処理を終了する。出力動作は、例えばユーザアプリケーションUA画面上の「SEND」ボタン86を押下して行う。
【0085】
なおステップS611において、収集データの上限に達しない場合は、トリガキーから手を放しても読取データが出力されない。従来の光学式情報読取装置では、トリガキーから手を離すと、それまでに読み取ったデータが出力されていた。これに対して本実施形態に係る光学式情報読取装置100では、トリガキーから手を放しても、読み取ったデータは一時蓄積部51bにプールされており、出力要求があるまでは出力されない。このため、複数のシンボルの箇所の撮像を1度に行ってもよいし、測定の途中でトリガキーから手を放して休憩してもよく、ユーザの操作性が向上する。
(出力動作の手順)
【0086】
次に、出力動作について、図7のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS701において、データのソートを行う。次にステップS702において、ユーザに通知を行う。さらにステップS703において、データを出力する。そしてステップS704において、収集データをクリアし、処理を終了する。
【0087】
一方で、出力をキャンセルする動作の手順を、図8のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS801において、ユーザに通知を行う。次にステップS802において、収集されたデータをクリアし、処理を終了する。
(コード収集状況に応じた複数コード読み取り制御)
【0088】
次に、コードの収集状況に応じて、複数コードを読み取る読取モードを切り替える制御について説明する。本実施形態に係る光学式情報読取装置100では、シンボルを撮像して読み取りを行う読取モードとして、一括読取モードと連続読取モードの2つの制御方式を、図2のモード切替部47で切り替えて読み取りを行う。
(一括読取モード)
【0089】
一括読取モードでは、コードが1つ見つかっても、撮像された光学画像内に他のコードが複数存在すると仮定してデコードを継続する。一括読取モードの利点は、一回の撮像で複数個のコードを一気に収集することができる点が挙げられる。半面、デコードに時間がかかるため撮像周期が長くなる。このため、図9に示すように複数のバーコードBCを読み取る光学式情報読取装置を実線の枠の位置から破線で示す枠の位置に撮像視野を移動させる際に、一部のバーコードBC’の取りこぼしが発生する可能性がある。
(連続読取モード)
【0090】
連続読取モードでは、エイミング光の中心付近の単一のコードを読み取ったら、他のコードを探さずにすぐに次の撮像を行う。この方法であれば、撮像間隔が短いので、図10に示すように光学式情報読取装置を移動させても、バーコードBCの取りこぼしが発生し難い。一方で、複数のバーコードBCが撮像視野内にあっても、一つしか読み取らない。
【0091】
以上のような各読取モードの特長を踏まえて、適切な読取モードをモード切替部47で切り替える。例えば収集したコードの数が0個の場合は、一括読取モードで動作させるように制御する。また一定時間内に読み取れたコードの個数が所定の閾値以下の場合は、読取モードを連続読取モードに切り替える。以下、このような制御の詳細を詳述する。
(読取モードの切り替えを含むコード収集の手順)
【0092】
次に、読取モードを切り替えを含むコード収集の手順について、図11のフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS1101において、トリガをONする。次にステップS1102において、初期モードを反映させる。さらにステップS1103において、撮像部10でシンボルの撮像を行い、ステップS1104において、読取部42でデコードを行う。その上でステップS1105において、デコードに成功したか否かを判定する。成功した場合はステップS1113に進む。
【0093】
一方、デコードに失敗した場合はステップS1106において、トリガがOFFされたか否かを判定する。OFFされた場合はステップS1109に進む。一方、OFFされていない場合はステップS1107に進み、光学画像内にデコードの対象となる候補が残っているか否かを判定する。残っている場合はステップS1108に進み、読取モードが一括読取モードに設定されているか否かを判定する。一括読取モードの場合は、ステップS1104に戻ってデコード処理を繰り返す。一方、ステップS1107において、光学画像内にデコードの対象となる候補が残っていない場合は、ステップS1103に戻って撮像から繰り返す。同じくステップS1108において、一括読取モードでないと判定された場合も、ステップS1103に戻って撮像を繰り返す。
【0094】
ステップS1106において、トリガがOFFされたと判定された場合は、ステップS1109に進み、出力要求の有無を判定する。出力要求がある場合は、ステップS1118に進む。一方、出力要求がない場合は、ステップS1110に進み、出力キャンセルの操作があるか否かを判定する。出力キャンセル操作がある場合はステップS1112に進み、出力キャンセル動作を行って処理を終了する。一方、出力キャンセル操作がない場合は、ステップS1111に進み、トリガがONされたか否かを判定する。ONされた場合は、ステップS1107に戻って処理を繰り返す。一方、トリガがONされていない場合は、ステップS1109に戻って処理を繰り返す。
【0095】
さらに一方で、ステップS1105においてデコードに成功したと判定された場合は、ステップS1113において、デコードされたデータが過去に収集したデータと同種同一のデータか否かを判定する。同一同種の場合は、ステップS1106に進む。一方、同一同種でない場合は、ステップS1114に進み、収集データに追加する。さらにステップS1115に進み、ユーザに対する報知を行い、さらにステップS1116に進み、読取モードの設定を行う(詳細は後述)。そしてステップS1117に進み、収集されたデータが上限に達したか否かを判定する。達していない場合はステップS1106に戻る。一方、収集データが上限に達したと判定された場合は、ステップS1118において、出力動作を行って処理を終了する。
(モード切替条件)
【0096】
読取モードを切り替えるモード切替部47は、モード切替条件に応じて、読取モードを切り替える。モード切替条件としては、収集されたシンボルのサイズ、収集上限までの残数、シンボルの収集速度、エイミング光とコードの中心との位置関係等が挙げられる。これらのパラメータを、予め設定された閾値と比較して、読取モードを切り替える。
【0097】
ここで、ステップS1116において、モード切替部47が読取モードの切り替えを行う手順について、図12に基づいて説明する。まずステップS1201において、収集コード情報の読み込みを行う。次にステップS1202において、設定閾値の読み込みを行う。さらにステップS1203において、収集されたコードサイズが閾値以上か否かを判定する。閾値以上の場合は、ステップS1209に進み、連続読取モードに切り替える。このように、取集したコードのサイズが比較的大きい場合は、連続読取モードで動作させる。これは、撮像視野内に複数のコードが存在する確率が低いと判断できるためである。
【0098】
一方、収集されたコードサイズが閾値以上でない場合は、ステップS1204に進み、収集上限までの残数が閾値以下か否かを判定する。閾値以下の場合は、ステップS1209に進み、連続読取モードに切り替える。これは、設定した収集個数の上限に近づいた場合は、複数のコードを読み取れる可能性が低いと判断して、連続読取モードで動作させようとするものである。
(収集速度)
【0099】
一方、収集上限までの残数が閾値以下でない場合は、ステップS1205に進み、現在の読取モードでの収集速度が閾値以下か否かを判定する。収集速度が閾値以下でない場合は、ステップS1207に進み、読取モードの変更なしとする。
【0100】
一方、現在の読取モードの収集速度が閾値以下の場合は、ステップS1206に進み、現在の読取モードが一括読取モードか否かを判定する。一括読取モードの場合は、ステップS1209に進み、連続読取モードに切り替える。一方で、一括読取モードでない場合は、ステップS1208に進み、一括読取モードに切り替える。
【0101】
ここで収集速度とは、単位時間(例えば1秒あたり)に何個の情報を読み取れたかを示す指標である。1秒あたりに多くの情報を読み取れた場合は、未読のものがたくさんあるはずなので、一括読取モードでの動作を継続する。一方で1秒あたりに読み取れる情報が少なくなると、未読のものが減ってきているということなので、連続読取モードに切り替える。
(変形例)
【0102】
さらに、エイミング光とコードの中心との相対的な位置関係に基づいて、読取モードを切り替えてもよい。このような読取モードの切り替えを行う手順を、図13のフローチャート及び図14図15に基づいて説明する。図13において、ステップS1303を除くステップS1301~ステップS1309は、上述した図12の手順と同様であり、詳細説明を省略する。ステップS1303では、収集できたコードがエイミング光の中心付近か否かを判定する。エイミング光の中心付近の場合は、ステップS1309に進み、連続読取モードに切り替える。図14に示すように、エイミング光ALの中心付近にバーコードBC等のコードがある場合は、意図的にユーザが特定のコードを狙って撮像していると推測され、特定のコードを読み取る連続読取モードが適していると推測できる。一方で収集できたコードがエイミング光の中心付近でない場合は、ステップS1304に進み、収集上限までの残数が閾値以下か否かを判定する。例えば図15に示すように、読み取れたバーコードBC等のコードの中心が、エイミング光ALの中心から離れているような場合は、一括読取モードが適していると考えられる。
(初期モード反映)
【0103】
次に、初期に実行する読取モードを反映させる手順を、図16のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS1601において、収集済みコード数が0個か否かを判定する。0個でない場合は、ステップS1602に進み、最後に切り替えた読取モードを維持する。一方、収集済みコード数が0個の場合は、ステップS1603に進み、一括読取モードとする。
【0104】
このように、収集したコード数が0個の場合は、一括読取モードで動作する。一方で一定時間内に読み取れたコード数が閾値以下の場合は、読取モードを切り替える。例えば3秒以内に読めたコードの数が3つ以下等が該当する。また、最初は一括読取モードで読み取り開始して、上述した図12のモード切替条件に応じて、モード切替部47で読取モードを切り替える。
(出力ルール)
【0105】
光学式情報読取装置100により収集された読取データは、所定の出力ルール設定に従って、図2の出力処理部46bにより出力される。出力ルールは、出力ルール設定部43bにより設定される。出力ルール設定部43bにより設定された出力ルールは、出力ルール保存部55に保存される。出力ルール保存部55に保存された出力ルールは、出力処理部46bにより参照されて適用される。出力ルールには、シンボルのコード種や、データ桁数の設定を含むことができる。
【0106】
また出力ルール設定部43bは、複数の異なる出力ルールを設定することができる。この際、複数の出力ルールには、優先度を設定してもよい。この場合は、優先度の高い出力ルールから順に出力処理部46bが適用する。
【0107】
また出力処理部46bは、出力指示部46aから出力指示を受けて読取データの出力が確定した後、出力ルール設定部43bで設定された出力ルールに基づいて、読取データをソートして出力させる。ここで、出力ルールに従って読取データを出力する手順を、図17のフローチャート及び図18に基づいて説明する。図18の例では、出力ルールとして、優先度の高い順に
出力ルール1:10桁のQRコード;
出力ルール2:4桁のITF;
出力ルール3:5桁のC128
が設定されているものとする。
【0108】
まず、光学式情報読取装置でコードを撮像し、読み取られたコードから、登録された出力ルールに合致するコードをサーチする(ステップSp1701)。次に、優先度の高い出力ルールから順番に、出力ルールに一致する読取データがないかを判定する(ステップSp1702)。そして出力ルールに一致する読取データがある場合、収集した読取データリストから外して出力する(ステップSp1703)。そして次の優先度に変更して(ステップSp1704)、同様に出力ルールに一致する読取データがないかを判定する処理を繰り返す(ステップSp1702)。このようにして優先度の高い出力ルールから順に判定を行い、登録されたルールがなくなるまで繰り返す。これによって、図18に示す収集データが得られる。そして、出力ルールに一致する読取データをソートすると共に、どの出力ルールにも合致しないため読取データリストに残った読取データを、最後に出力する。この結果、出力順は図18に示す通りとなる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用される、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行うハンディスキャナやハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0110】
100…光学式情報読取装置
1…撮像モジュール
2…筐体
3…表示部
10…撮像部
11…撮像素子
12…光学系
14…照明部
15…エイミング光照射部
30…キー配置部
31…トリガキー
40…制御部
42…読取部
43…設定部;43a…読取設定部;43b…出力ルール設定部
44…判定部
45…検知部
46a…出力指示部;46b…出力処理部;46c…外部出力部
47…モード切替部
48…ハイライト処理部
50…通信インターフェース
51…RAM;51b…一時蓄積部
52…記憶部
55…出力ルール保存部
85…シンボル収集数表示欄
86…「SEND」ボタン
87…「CANCEL」ボタン
DA…表示部分;HA…把持部分
BC、BC’…バーコード
OI…光学画像
UA…ユーザアプリケーション
AL…エイミング光
図1
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