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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】衣類処理装置、防振装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/22 20060101AFI20240625BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20240625BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
D06F37/22
F16F9/32 H
F16F15/02 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020174673
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065895
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】久野 功二
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204882(JP,A)
【文献】特開2002-005212(JP,A)
【文献】特開2008-267494(JP,A)
【文献】特開2008-196618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/22
F16F 9/32
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する外箱と、
前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、
前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、
前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、
を備える衣類処理装置であって、
前記防振装置は、
弾性部材によって構成される弾性防振部と、
前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、
を備え、
前記減衰機構部は、
前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、
前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、
前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、
前記シリンダの前記第2端部の内部に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する消音部と、
を備え
前記消音部の内部に緩衝体を備える衣類処理装置。
【請求項2】
前記消音部の内部の全体が前記緩衝体によって満たされている請求項に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記緩衝体は、前記第2端部の内面に接触している請求項またはに記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記緩衝体は、前記第2端部の内部に固定されている請求項からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記緩衝体は、前記シリンダの内面に設けられている凸部によって前記第1端部側への移動が規制されている請求項からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記緩衝体は、液体および気体が透過可能な透過性を有する弾性体により構成されている請求項からの何れか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
外郭を構成する外箱と、
前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、
前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、
前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、
を備える衣類処理装置であって、
前記防振装置は、
弾性部材によって構成される弾性防振部と、
前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、
を備え、
前記減衰機構部は、
前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、
前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、
前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、
前記シャフトのうち前記ピストンよりも前記第2端部側の部分に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する緩衝体と、
を備える衣類処理装置。
【請求項8】
前記緩衝体は、前記シャフトのうち前記ピストンよりも前記第2端部側の部分において所定距離だけ移動可能に備えられている請求項に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記緩衝体は、前記オイルが透過可能なメッシュ状部を備える請求項またはに記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記緩衝体は、前記メッシュ状部を支持する支持部を備える請求項に記載の衣類処理装置。
【請求項11】
外郭を構成する外箱と、
前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、
前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、
前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、
を備える衣類処理装置であって、
前記防振装置は、
弾性部材によって構成される弾性防振部と、
前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、
を備え、
前記減衰機構部は、
前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、
前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、
前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、
前記シリンダの内部のうち前記第1端部と前記第2端部との間の部分である中間部に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する緩衝体と、
を備える衣類処理装置。
【請求項12】
前記緩衝体は、前記ピストンが往復移動可能な範囲のうち最も前記第2端部側に移動した状態において、当該ピストンから離間する位置に設けられている請求項11に記載の衣類処理装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の衣類処理装置に備えられる防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置、および、この衣類処理装置に備えられる防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類に所定の処理を施す衣類処理装置の一例である洗濯機においては、特に衣類を脱水する脱水動作において、衣類を収容する衣類処理槽の振動を効果的に減衰することができる防振ダンパーの開発が進められている。ここで、この種の防振ダンパーには、回転槽の回転速度が低速である脱水動作の起動時においては、衣類処理槽が大きく揺れることから大きな減衰力が要求され、一方、回転槽の回転速度が脱水用の定常回転速度となる脱水動作の定常時においては、衣類処理槽の振幅が小さくなることから、大きな減衰力は必要なく、床に伝搬する振動を抑える程度の小さな減衰力が要求される。
【0003】
このように、特に洗濯機に備えられる防振ダンパーについては、脱水動作の起動時と定常時とで要求される減衰力の大きさが異なっており、脱水動作の進行に伴い減衰力が大から小に切り替わる特性を有することが好ましい。このような事情に鑑みて、例えば特許文献1,2に開示されているように、シリンダ内に封入されたオイルがピストンに設けられたオリフィス孔を通過するときの粘性抵抗を利用した装置、いわゆるオイルダンパーと称される防振装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-18510号公報
【文献】特開昭63-47935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のオイルダンパーにおいては、シリンダ内においてピストンが往復移動することに伴いオイルが撹拌され、これにより、オイルが波立ってしまう。そして、その波立ったオイルがシリンダの内面に当たり、これにより、音が発生してしまう。特に、衣類処理装置の一例である例えばドラム式の洗濯機においては、その仕様が従来とは大きく変わってきており、脱水動作の起動時においては、発生する振動周波数は低いが、防振装置のストロークは大きくなっており、一方、脱水動作の定常時においては、防振装置のストロークは小さいが、発生する振動周波数が高くなっている。そのため、脱水動作の起動時においては、防振装置が大きく伸縮することによってオイルが波立ちやすく、また、脱水動作の定常時においても、防振装置が小さく伸縮し且つ激しく振動することによってオイルが波立ちやすい。つまり、脱水動作の起動時においても定常時においてもオイルが波立ちやすく、ひいては、オイルが波立つことに伴う音も発生しやすい。
【0006】
そこで、本実施形態は、シリンダ内に封入されたオイルがピストンに設けられたオリフィス孔を通過するときの粘性抵抗を利用した防振装置を備える衣類処理装置に関し、波立ったオイルが発生する音を低減できるようにした構成を提供する。また、この衣類処理装置に備えられる防振装置に関し、波立ったオイルが発生する音を低減できるようにした構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る衣類処理装置は、外郭を構成する外箱と、前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、を備える衣類処理装置であって、前記防振装置は、弾性部材によって構成される弾性防振部と、前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、を備え、前記減衰機構部は、前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、前記シリンダの前記第2端部の内部に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する消音部と、を備え、前記消音部の内部に緩衝体を備える
【0008】
また、本実施形態に係る衣類処理装置は、外郭を構成する外箱と、前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、を備える衣類処理装置であって、前記防振装置は、弾性部材によって構成される弾性防振部と、前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、を備え、前記減衰機構部は、前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、前記シャフトのうち前記ピストンよりも前記第2端部側の部分に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する緩衝体と、を備える。
【0009】
また、本実施形態に係る衣類処理装置は、外郭を構成する外箱と、前記外箱の内部に設けられる衣類処理槽と、前記衣類処理槽の内部に回転可能に設けられる回転槽と、前記衣類処理槽の振動を減衰する防振装置と、を備える衣類処理装置であって、前記防振装置は、弾性部材によって構成される弾性防振部と、前記弾性防振部に直列に配置される減衰機構部と、を備え、前記減衰機構部は、前記弾性防振部側に第1端部を有し、且つ、前記弾性防振部とは反対側に第2端部を有し、内部にオイルが封入されたシリンダと、前記シリンダの前記第1端部に支持されており、前記シリンダ内を往復移動可能に設けられたシャフトと、前記シリンダの内部において前記シャフトに固定されており、少なくとも1つ以上のオリフィス孔を有するピストンと、前記シリンダの内部のうち前記第1端部と前記第2端部との間の部分である中間部に設けられ、前記ピストンが前記シャフトとともに前記シリンダ内を往復移動することに伴い波立った前記オイルが発生する音を低減する緩衝体と、を備える。
【0010】
また、本実施形態に係る防振装置は、本実施形態に係る衣類処理装置に備えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断正面図
図2】第1実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
図3】第1実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図4】第1実施形態に係るピストンの構成例を概略的に示す平面図
図5】第1実施形態に係る防振ダンパーのストロークと減衰力との関係例を示す図
図6】第2実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図7】第3実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図8】第4実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図9】第4実施形態に係る緩衝体の構成例を概略的に示す平面図
図10】第5実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図11】第6実施形態に係る緩衝体の構成例を概略的に示す平面図
図12】第7実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図13】第8実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
図14】第9実施形態に係る防振ダンパーの構成例を概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、衣類処理装置および防振装置に係る複数の実施形態について図面を参照ながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機1は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。また、洗濯機1は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆるドラム式の洗濯機である。
【0014】
洗濯機1は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱2の内部に、有底円筒状の水槽3を備えている。水槽3は、衣類処理槽の一例であり、内部に水を溜めることが可能である。また、洗濯機1は、有底円筒状のドラム4を備えている。ドラム4は、回転槽の一例であり、水槽3の内部において回転可能に設けられている。
【0015】
ドラム4の周壁には図示しない多数の小孔が設けられており、また、ドラム4の内周面には、衣類をかき上げるための図示しないバッフルが設けられている。また、水槽3およびドラム4の前面開口部は、外箱2の前面に設けられた図示しないドアによって開閉可能となっている。使用者は、このドアを開くことにより、水槽3およびドラム4の前面開口部を通してドラム4内に衣類を収容したり、あるいは、ドラム4内から衣類を取り出したりすることができる。
【0016】
外箱2の内部において、水槽3は、複数、この場合、2つの防振ダンパー100によって弾性的に支持されている。防振ダンパー100は、防振装置の一例であり、例えば洗濯機1の運転動作中に水槽3に発生する振動を減衰するものである。防振ダンパー100は、その一端部、この場合、上端部が、水槽3の下部に設けられた固定部3aに例えばボルトなどによって強固に固定されている。また、防振ダンパー100は、その他端部、この場合、下端部が、外箱2の底部に設けられた固定部2aに例えばボルトなどによって強固に固定されている。
【0017】
次に、洗濯機1の制御系の構成例について説明する。図2に例示する制御装置10は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムおよび各種の設定内容に応じて洗濯機1の動作全般を制御する。制御装置10には、ドラムモータ11、給水弁12、排水弁13などといった各種の駆動系の構成要素が接続されている。
【0018】
ドラムモータ11は、水槽3の後部に設けられており、図1に例示するように、ドラム4を正転方向R1および逆転方向R2に回転可能である。制御装置10は、例えば、衣類を洗う洗い動作、衣類をすすぐすすぎ動作においては、ドラムモータ11によってドラム4を正転方向R1および逆転方向R2に交互に切り替えながら回転させる。洗い動作およびすすぎ動作は、通常回転動作の一例であり、制御装置10は、ドラム4を所定の通常速度で回転させる。
【0019】
また、制御装置10は、例えば、衣類を脱水する脱水動作においては、ドラムモータ11によってドラム4を一方向、この場合、正転方向R1に連続的に回転させる。脱水動作は、高速回転動作の一例であり、制御装置10は、ドラム4を通常速度よりも高速度で回転させる。
【0020】
給水弁12は、例えば水道などの給水源から水槽3に延びる図示しない給水経路に設けられている。制御装置10は、給水弁12を開くことにより水槽3内に水を供給することが可能である。排水弁13は、水槽3の底部から機外に延びる図示しない排水経路に設けられている。制御装置10は、排水弁13を開くことにより、水槽3内に溜められている水を機外に排出することが可能である。
【0021】
次に、防振ダンパー100の構成例について詳細に説明する。図3に例示するように、防振ダンパー100は、弾性防振部110および減衰機構部120を備えている。弾性防振部110は、弾性部材の一例であるコイルばね111を主体として構成されている。コイルばね111は、ばね受け112,113の間において伸縮可能に設けられている。減衰機構部120は、弾性防振部110に対し直列に配置されている。この場合、防振ダンパー100は、弾性防振部110を下側、減衰機構部120を上側とした状態で、水槽3の固定部3aと外箱2底部の固定部2aとの間に取り付けられている。
【0022】
減衰機構部120は、シリンダ121、シャフト122、ピストン123などを備えている。シリンダ121は、この場合、円筒状に設けられており、内部にオイルOLおよび空気ARが封入されている。なお、シリンダ121内に封入される気体は、空気ARに限定されず、例えば、窒素などの気体であってもよい。
【0023】
シリンダ121の一端部、この場合、上端部は、弾性防振部110とは反対側の端部である第2端部の一例である。シリンダ121の上端部は、閉塞されている。また、シリンダ121の上端部には、被固定部124が設けられている。被固定部124は、水槽3の固定部3aに例えばボルトなどによって強固に固定される。
【0024】
また、シリンダ121の他端部、この場合、下端部は、弾性防振部110側の端部である第1端部の一例である。シリンダ121の下端部は、軸受け部125によって閉塞されている。軸受け部125は、全体として円環状に構成されており、その中央部に当該軸受け部125を軸方向に貫通する軸受け孔125aを有する。
【0025】
シャフト122は、シリンダ121の下端部に支持されている。より具体的に説明すると、シャフト122は、防振ダンパー100の長手方向に沿って直線状に延びており、軸受け部125の軸受け孔125aに挿通されている。これにより、シャフト122は、シリンダ121内を矢印A1,A2方向に往復移動可能に設けられている。ここで、矢印A1方向は、弾性防振部110のコイルばね111が伸長される伸長方向の一例である。一方、矢印A2方向は、弾性防振部110のコイルばね111が圧縮される圧縮方向の一例である。
【0026】
シャフト122の一端側、この場合、上端側は、シリンダ121の内部に延びており、その先端部にはピストン123が固定されている。これにより、ピストン123は、シャフト122とともにシリンダ121内を矢印A1,A2方向に往復移動する。また、シャフト122の他端側、この場合、下端側は、シリンダ121の外部に露出しており、その先端部は、外箱2底部の固定部2aに例えばボルトなどによって強固に固定される。また、シャフト122の下端側には、ばね受け113が固定されている。そして、このばね受け113と、シリンダ121の下端部に固定されたばね受け112との間に、上述したコイルばね111が伸縮可能に嵌め込まれている。
【0027】
ピストン123は、ほぼ円板状に構成されており、その外周面がシリンダ121の内周面に摺接する大きさとなっている。また、ピストン123は、当該ピストン123を軸方向に貫通する複数のオリフィス孔126を有している。
【0028】
図4に例示するように、ピストン123は、複数、この場合、4つのオリフィス孔126を有している。複数のオリフィス孔126は、ピストン123の周方向において互いに等間隔を有して配置されている。なお、ピストン123に設けられるオリフィス孔126の位置、大きさ、数、開口形状などは適宜変更して実施することができる。また、オリフィス孔126は、その内周面がシャフト122の往復移動方向A1,A2に対して傾斜するテーパ形状に形成されていてもよい。
【0029】
以上のように構成される防振ダンパー100によれば、弾性防振部110においては、コイルばね111の弾性によって減衰力が発生する。また、減衰機構部120においては、シリンダ121内においてピストン123が往復移動することに伴い、ピストン123の外周面とシリンダ121の内周面との摩擦抵抗によって減衰力が発生する。さらに、減衰機構部120においては、シリンダ121内においてピストン123が往復移動することに伴い、シリンダ121内のオイルOLがピストン123のオリフィス孔126内を通過する。そして、オイルOLがオリフィス孔126内を通過するときの粘性抵抗によって減衰力が発生する。
【0030】
ここで、本実施形態における「減衰力」の定義について説明する。即ち、図5に符号Sで例示するように、防振ダンパー100は、水槽3の振動に応じて伸縮するものであり、そのストロークSつまり伸縮量が変動する。また、図5に符号Fで例示するように、防振ダンパー100が発生する減衰力Fの大きさは、そのストロークSの変動に応じて変動する。そして、本実施形態における「減衰力」は、ストロークSが最大となるときに防振ダンパー100が発揮する減衰力Faと、ストロークSが最小となるときに防振ダンパー100が発揮する減衰力Fbとの差Dとして定義されている。本実施形態の防振ダンパー100によれば、シリンダ121内に空気ARが封入されている。このような構成においては、後述するエアレーション、つまり、オイルOLと空気ARが混ざり合うことによってオイルOL内に気泡が発生しやすく、従って、起動時と定常時における減衰力の差Dを特に大きくできる。
【0031】
ところで、この種の防振ダンパー100、いわゆるオイルダンパーと称される防振装置においては、シリンダ121内におけるピストン123の往復動が繰り返されると、シリンダ121内に注入されているオイルOLと気体ARが混ざり合うことで発生するエアレーション又はオイルOLに含まれる気体ARが圧力の低下により膨張して気泡化するキャビテーションという現象が発生することが知られている。このエアレーションやキャビテーションによって生じた気泡によりオイルOLがオリフィス孔126内を通過するときの粘性抵抗が下がり、減衰力が低下する。そのため、シリンダ121の内部には、このような気泡の解消を図るために消泡剤も添加されている。
【0032】
以上のように構成される洗濯機1によれば、シリンダ121内に封入されたオイルOLがピストン123に設けられたオリフィス孔126を通過するときの粘性抵抗を利用した防振ダンパー100を用いて、当該防振ダンパー100の一部を構成する特に減衰機構部120が示す減衰特性により、脱水動作の進行に伴う減衰力の大から小への可変を効果的に行うことができる。
【0033】
また、図3に例示するように、以上のように構成される防振ダンパー100においては、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLが撹拌され、これにより、オイルOLが波立ってしまう。そして、その波立ったオイルOLがシリンダ121の内面、特に、シリンダ121の上端部の内面に当たり、これにより、液体が固体に当たるときの例えば「ピチャ」といった音が発生してしまう。そこで、防振ダンパー100は、このような音の低減を図るべく、さらに消音部130を備えた構成となっている。
【0034】
消音部130は、シリンダ121の上端部の内部に設けられている。この場合、消音部130は、シリンダ121の上端部の内部に設けられた所定の大きさを有する消音機能領域として定義される。防振ダンパー100は、消音部130の内部に緩衝体131を備えている。この場合、緩衝体131は、ほぼ円柱状に形成されている。緩衝体131は、液体であるオイルOLおよび気体である空気ARが透過可能な透過性を有する弾性体、例えば、スポンジなどにより構成されている。緩衝体131を構成するスポンジは、多数の気泡が独立したものよりも、多数の気泡が連続したものであることが好ましい。なお、スポンジは、全ての気泡が連続していなくてもよく、大多数の気泡が連続していれば十分である。つまり、連続した気泡が多いほど、オイルOLや空気ARが透過しやすくなるため、緩衝体131を構成するスポンジとして好適である。
【0035】
また、防振ダンパー100は、消音部130の内部の全体が緩衝体131によって満たされている。また、緩衝体131は、その側面131aがシリンダ121の上端部の内周面に接触している。また、緩衝体131は、シリンダ121の上端部側の面131bがシリンダ121の上端部の内面に接触している。
【0036】
また、緩衝体131は、シリンダ121の内面に設けられている凸部140によってシリンダ121の下端部側への移動が規制されている。このような凸部140は、シリンダ121の側面を例えばかしめることによって変形させることで形成することができる。なお、凸部140は、シリンダ121の側面の全周にわたって設けられていてもよいし、シリンダ121の周方向において断続的に設けられていてもよい。また、凸部140は、シリンダ121と一体に設けられていてもよいし、シリンダ121とは別体の部品により設けられていてもよい。
【0037】
なお、防振ダンパー100は、消音部130の内部の全体ではなく一部が緩衝体131によって満たされた構成であってもよい。そのため、緩衝体131は、その側面131aがシリンダ121の内周面から離間していてもよい。また、緩衝体131は、シリンダ121の上端部側の面131bがシリンダ121の内面から離間していてもよい。
【0038】
以上に例示した洗濯機1によれば、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLが波立ったとしても、その波立ったオイルOLを消音部130内の緩衝体131によって吸収することができる。よって、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴い波立ったオイルOLが発生する音を消音部130によって効果的に低減することができる。
【0039】
また、洗濯機1によれば、防振ダンパー100は、消音部130の内部に、例えばスポンジなどで構成される緩衝体131を備えている。この構成によれば、波立ったオイルOLを緩衝体131によって効率良く吸収することができ、波立ったオイルOLが発生する音を一層効果的に低減することができる。
【0040】
また、洗濯機1によれば、防振ダンパー100は、消音部130の内部の全体が緩衝体131によって満たされている。この構成によれば、消音部130の全体において消音効果を発揮することができ、波立ったオイルOLが発生する音を一層効果的に低減することができる。
【0041】
なお、防振ダンパー100は、消音部130の内部に、単一の緩衝体131を備える構成であってもよいし、複数の緩衝体131を備える構成であってもよい。複数の緩衝体131を備える場合、気泡の粗さや気泡の連続度合いが同じである複数の緩衝体131を用いてもよいし、気泡の粗さや気泡の連続度合いが異なる複数の緩衝体131を用いてもよい。また、緩衝体131は、例えば、不織布などで構成されるフィルタなど、液体および気体を透過可能な透過性を有するものであれば種々の素材を適用することができる。また、緩衝体131を構成する弾性体は、その弾性力を適宜変更したものを用いることができる。
【0042】
また、洗濯機1によれば、緩衝体131は、シリンダ121の上端部の内面に接触している。この構成によれば、シリンダ121の上端部の内面において緩衝体131を安定した状態で保持することができる。
【0043】
また、洗濯機1によれば、緩衝体131は、シリンダ121の内面に設けられている凸部140によって、シリンダ121の上端部の内面に固定されている。この構成によれば、シリンダ121の上端部の内面において緩衝体131を一層安定した状態で保持することができる。
【0044】
また、洗濯機1によれば、緩衝体131は、シリンダ121の内面に設けられている凸部140によってシリンダ121の下端部側への移動が規制されている。この構成によれば、緩衝体131がシリンダ121の上端部側つまり消音部130内に位置した状態を維持することができ、シリンダ121内において緩衝体131が不必要に移動してしまうことを回避することができる。また、緩衝体131をシリンダ121内における適正な位置つまり消音部130内に維持することができ、波立ったオイルOLが発生する音を低減することを一層確実に行うことができる。
【0045】
(第2実施形態)
図6に例示する防振ダンパー200は、シリンダ121の内面に凸部140を備えていない構成である。そして、緩衝体131は、その側面131aがシリンダ121の内周面に例えば接着剤などによって固定されている。また、緩衝体131は、シリンダ121の上端部側の面131bがシリンダ121の内面に例えば接着剤などによって固定されている。
【0046】
この構成によっても、緩衝体131をシリンダ121内における適正な位置つまり消音部130内に維持することができ、波立ったオイルOLが発生する音を低減することを一層確実に行うことができる。
【0047】
なお、緩衝体131は、その側面131aがシリンダ121の内周面に固定されていなくてもよい。また、緩衝体131は、シリンダ121の上端部側の面131bがシリンダ121の内面に固定されていなくてもよい。つまり、緩衝体131は、少なくとも側面131aがシリンダ121の内周面に摺接していれば、仮に凸部140や接着剤などによって固定されていなくても、シリンダ121内における適正な位置つまり消音部130内に維持することが可能である。
【0048】
(第3実施形態)
図7に例示する防振ダンパー300は、シリンダ121の内部に、さらにフィルタ301を備えている。フィルタ301は、例えば不織布などで構成されている。この場合、フィルタ301は、消音部130よりもシリンダ121の下端部側に設けられている。つまり、消音部130は、フィルタ301よりもシリンダ121の上端部側の領域として定義されている。よって、この実施形態では、消音部130の全体ではなく一部が緩衝体131によって満たされた構成となっている。
【0049】
以上に例示した構成例によれば、仮にオイルOLや空気ARに例えば塵埃などの異物が含まれていたとしても、その異物をフィルタ301によって捕獲することができる。よって、異物が消音部130内、ひいては、緩衝体131内に入り込んでしまうことを抑制することができ、緩衝体131の劣化、ひいては、消音性能の低下を回避することができる。
【0050】
また、フィルタ301によっても波立ったオイルOLをある程度吸収することができるから、防振ダンパー100全体としての消音機能を強化することができる。つまり、緩衝体131を備える消音部130によって消音機能を発揮しつつ、さらにフィルタ301によっても補助的な消音機能を発揮することができ、波立ったオイルOLが発生する音を一層効果的に低減することができる。
【0051】
(第4実施形態)
図8に例示する防振ダンパー400によれば、シリンダ121内に挿入されているシャフト122の先端部は、ピストン123よりもシリンダ121の上端部側に突出した構成となっている。つまり、ピストン123は、シャフト122の途中部分に設けられた構成となっている。そして、防振ダンパー100は、シャフト122のうちピストン123よりもシリンダ121の上端部側の部分に、例えば樹脂製の緩衝体431を備えている。
【0052】
図9に例示するように、緩衝体431は、全体として円板状をなすとともに、中央部に円形状の貫通孔431aを備えている。また、緩衝体431は、貫通孔431aの周囲に、オイルOLおよび空気ARが透過可能なメッシュ状部431bを備えている。
【0053】
以上のように構成される緩衝体431は、図8に例示するように、シャフト122のうちピストン123よりもシリンダ121の上端部側に突出した部分を貫通孔431aに挿通させた状態で当該部分に固定されている。また、シャフト122には、ピストン123と緩衝体431との間の距離を一定距離に維持するためのスペーサ432が取り付けられている。
【0054】
以上に例示した構成例によれば、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLが波立ったとしても、その波立ったオイルOLを緩衝体431によって吸収することができる。よって、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴い波立ったオイルOLが発生する音を緩衝体431によって効果的に低減することができる。
【0055】
また、防振ダンパー400によれば、オイルOLを撹拌する主体となるシャフト122およびピストン123とともに緩衝体431も往復移動する。そして、緩衝体431は、撹拌されるオイルOL内に存在する構成となっている。このような構成例によれば、オイルOL内に緩衝体431が存在することによって、そもそもオイルOLを波立ちにくくすることができ、波立ったオイルOLによる音の発生自体を抑制することができる。
【0056】
また、緩衝体431は、例えば樹脂製であり、ある程度の剛性を有するようにした。そのため、緩衝体431は、シリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLから圧力を受けたとしても、その形状を維持することができ、緩衝体431による本来の消音機能を十分に発揮させることができる。
【0057】
(第5実施形態)
図10に例示する防振ダンパー500によれば、緩衝体531は、上述した緩衝体431と同様の構成であり、シャフト122のうちピストン123よりもシリンダ121の上端部側に突出した部分において所定距離Lだけ移動可能に備えられている。即ち、シャフト122の先端部には、段部122aが設けられており、緩衝体531は、この段部122aを、中央部の図示しない貫通孔に挿通させた状態で取り付けられている。そして、緩衝体531は、この段部122aにおいて、シャフト122の軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。なお、シャフト122の最先端部には、緩衝体531が段部122aから抜けることを防止するストッパが設けられている。
【0058】
以上に例示した構成例によれば、シャフト122およびピストン123とともにシリンダ121内を往復移動する緩衝体531が、シャフト122およびピストン123と全く同様に往復移動するのではなく、シャフト122およびピストン123とは若干ずれて往復移動するようになる。これにより、緩衝体531の移動の自由度を高めることができ、緩衝体531がオイルOL内を浮遊するような状態を形成することができる。そして、オイルOL内において緩衝体531が浮遊するように動くことにより、オイルOLを一層波立ちにくくすることができる。
【0059】
(第6実施形態)
図11に例示する緩衝体631は、上述した緩衝体431,531と同様の構成であるが、その本体部分を構成するメッシュ状部631bがフレーム600によって支持された構成となっている。フレーム600は、支持部の一例であり、例えば樹脂や金属などといった、少なくとも緩衝体631よりも強い剛性を有する材料により構成されている。この場合、フレーム600は、緩衝体631の外周部に沿う円環状の外周フレーム部600aと、貫通孔631aに沿う円環状の内周フレーム部600bと、外周フレーム部600aと内周フレーム部600bとの間を連結する直線状の複数の連結フレーム部600cと、備えている。連結フレーム部600cは、この場合、4つが備えられており、それぞれ内周フレーム部600bから緩衝体631の径方向に沿うように延びている。また、複数の連結フレーム部600cは、緩衝体631の周方向において相互に等間隔を有して配置されている。
【0060】
フレーム600は、これら外周フレーム部600a、内周フレーム部600b、連結フレーム部600cによって、いわゆる骨組を形成し、緩衝体631の全体を支持している。なお、連結フレーム部600cの数は、適宜変更して実施することができる。また、複数の連結フレーム部600cの間隔は、適宜変更して実施することができる。また、複数の連結フレーム部600cの間隔は、相互に等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。
【0061】
以上に例示した構成例によれば、緩衝体631をフレーム600で支持することによって、緩衝体631の形状が変化してしまうことを一層抑制することができ、緩衝体631による本来の消音機能を一層十分に発揮させることができる。また、上述したような緩衝体631をオイルOL内で浮遊させる構成であっても、緩衝体631の形状を変形させることなく安定して維持することができるから、緩衝体631による本来の消音機能を一層十分に発揮させることができる。
【0062】
(第7実施形態)
図12に例示する防振ダンパー700は、シリンダ121の内部のうち下端部と上端部との間の部分である中間部に緩衝体731を備えている。緩衝体731の周端部は、シリンダ121の中間部の内面に設けられた支持部150に嵌め込まれている。これにより、緩衝体731は、シリンダ121の中間部内に固定されている。なお、緩衝体731は、例えばスポンジなどによって構成された剛性が弱いものであってもよいし、例えば樹脂などによって構成された剛性の強いものであってもよい。
【0063】
以上に例示した構成例によれば、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLが波立ったとしても、その波立ったオイルOLを緩衝体731によって吸収することができる。よって、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴い波立ったオイルOLが発生する音を緩衝体731によって効果的に低減することができる。
【0064】
また、防振ダンパー100によれば、緩衝体731は、シリンダ121の内部の中間部に設けられている。そのため、仮にシリンダ121内のオイルOLが撹拌されている状態においても、緩衝体731がオイルOLに浸かった状態とすることができる。つまり、シャフト122およびピストン123の往復移動に伴い撹拌されるオイルOL内に緩衝体731を存在させることができる。そのため、そもそもオイルOLを波立ちにくくすることができ、波立ったオイルOLによる音の発生自体を抑制することができる。
【0065】
(第8実施形態)
図13に例示する防振ダンパー800によれば、緩衝体831は、ピストン123が往復移動可能な範囲のうち最もシリンダ121の上端部側に移動した状態において、当該ピストン123から離間する位置に設けられている。
【0066】
この構成によれば、ピストン123が往復移動可能な範囲のうち最もシリンダ121の上端部側に移動した状態、つまり、オイルOLが最もシリンダ121の上端部側に押し込まれる状態においても、波立ったオイルOLを緩衝体831によって確実に吸収することができる。よって、波立ったオイルOLが発生する音を緩衝体831によって効果的に低減することができる。
【0067】
(第9実施形態)
図14に例示する防振ダンパー900は、シリンダ121の中間部内において緩衝体931が固定されていない構成となっている。また、緩衝体931は、シリンダ121の内面に設けられている凸部940によってシリンダ121の下端部側への移動が規制されている。よって、緩衝体931は、凸部940よりもシリンダ121の上端部側において、シャフト122およびピストン123の往復移動方向に沿って移動可能となっている。
【0068】
以上に例示した構成例によれば、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴いオイルOLが波立ったとしても、その波立ったオイルOLを緩衝体931によって吸収することができる。よって、ピストン123がシャフト122とともにシリンダ121内を往復移動することに伴い波立ったオイルOLが発生する音を消音部130によって効果的に低減することができる。
【0069】
また、緩衝体931は、オイルOLが凸部940よりもシリンダ121の上端部側に進入する場合には、そのオイルOL内においてシャフト122およびピストン123の往復移動方向に沿って移動することができる。そして、このようにオイルOL内において緩衝体931が移動することにより、そもそもオイルOLを波立ちにくくすることができ、波立ったオイルOLによる音の発生自体を抑制することができる。また、緩衝体931は、仮にオイルOLが波立ったとしても、その波立ったオイルOLの勢いを吸収しながらシャフト122およびピストン123の往復移動方向に沿って移動することができる。よって、波立ったオイルOLにより音が発生することを一層効果的に抑制することができる。
【0070】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施することができる。
【0071】
また、減衰機構部120は、シリンダ121内に空気ARを封入しない構成としてもよい。このようにシリンダ121内に空気ARが封入されていない構成であっても、少なくともキャビテーションにより気泡が発生し得るため、起動時と定常時における減衰力の差Dを大きくすることが可能である。
【0072】
また、1つのピストン123に設けられるオリフィス孔126の数は、少なくとも1つ以上であればよい。また、オリフィス孔126は、テーパ状であってもよいし、テーパ状でなくてもよい。また、オリフィス孔126をテーパ状に構成する場合には、1つのピストン123について、少なくとも1つ以上のオリフィス孔126をテーパ状にすればよい。また、1つのピストン123に設けられる複数のオリフィス孔126の開口面積を異ならせる場合には、それぞれのオリフィス孔126の開口面積を異ならせてもよいし、少なくとも1つ以上のオリフィス孔126の開口面積を他のオリフィス孔126の開口面積と異ならせてもよい。
【0073】
また、本実施形態は、防振装置を備える洗濯機であれば、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機以外のタイプの洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、乾燥機能を有しない洗濯機にも適用することができる。また、本実施形態は、例えば、衣類の消臭、脱臭、除菌、漂白など、衣類に対して何らかの処理を施す装置であれば、種々の衣類処理装置に適用することができる。
【0074】
以上、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
図面中、1は洗濯機(衣類処理装置)、2は外箱、3は水槽(衣類処理槽)、4はドラム(回転槽)、100,200,300,400,500,700,800,900は防振ダンパー(防振装置)、110は弾性防振部、111はコイルばね(弾性部材)、120は減衰機構部、121はシリンダ、121はシャフト、123はピストン、123はオリフィス孔、130は消音部、131,431,531,631,731,831,931は緩衝体、140,940は凸部、431b,631bはメッシュ状部、600はフレーム(支持部)、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14