(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】処理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2020215101
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 孝一
(72)【発明者】
【氏名】礒山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】我妻 泰憲
(72)【発明者】
【氏名】岩根 育子
(72)【発明者】
【氏名】増元 あずみ
(72)【発明者】
【氏名】畑 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】峯 祥太
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-233013(JP,A)
【文献】特開平10-283405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の保安業務に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する分担部と、
を備え
、
前記分担部は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は建物内に存在する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務である
処理装置。
【請求項2】
複数の保安業務に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する分担部と、
を備え、
前記分担部は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は顧客の求めに応じて緊急に現場に赴いて行う緊急保安業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務であ
る
処理装置。
【請求項3】
前記分担部は、冬場よりも夏場の方が、前記他の保安業務の数が多くなるように分担する
請求項
2に記載の処理装置。
【請求項4】
複数の保安業務に関連する情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する分担部と、
を備え、
前記分担部は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は他者が行う工事の際に自身が保有する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務であ
る
処理装置。
【請求項5】
前記分担部は、前記一の保安業務を朝一番から始まる時間帯とし、前記他の保安業務を当該一の保安業務の終了後の時間帯とする
請求項
4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、複数の保安者それぞれの前記保安業務を遂行する能力に関連する情報を記憶し、
前記分担部は、前記記憶部が記憶している前記複数の保安者の能力を考慮して複数の前記保安業務を分担する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記分担部は、前記保安業務の難易度が高いほど、前記能力が高い前記保安者に分担する
請求項
6に記載の処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の保安業務に関連する情報を記憶する機能と、
複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する機能と、
を実現させ
、
前記分担する機能は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は建物内に存在する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務である
プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の保安業務に関連する情報を記憶する機能と、
複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する機能と、
を実現させ、
前記分担する機能は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は顧客の求めに応じて緊急に現場に赴いて行う緊急保安業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務である
プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の保安業務に関連する情報を記憶する機能と、
複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する機能と、
を実現させ、
前記分担する機能は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とし、
前記一の保安業務は他者が行う工事の際に自身が保有する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された巡回業務分担システムは、以下のように構成されている。すなわち、複数の巡回作業員が巡回業務を分担するための巡回順を策定する巡回業務分担システムであって、巡回先に関する情報である巡回先情報、及び前記巡回作業員の制約条件に関する情報である巡回作業員制約情報を入力する入力手段と、評価項目の重み付け合計値を目的関数とし、前記巡回先情報及び前記巡回作業員制約情報に従って前記目的関数を最小化する前記巡回作業員ごとの巡回順を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出される前記巡回順を出力する出力手段と、を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスに関連する設備の保安業務は多岐にわたるため、保安業務の数も多い。しかしながら、保安業務を行う者である保安者や保安業務を実行可能な時間に対して保安業務の数が多い場合には、全ての保安業務を行うことは難しい。それゆえ、保安者の数が限られていても、より多くの保安業務を行えるようにすることが望ましい。
本発明は、保安者の数が限られていても、より多くの保安業務を行うようにすることができる処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、複数の保安業務に関連する情報を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶している複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する分担部と、を備える処理装置である。
ここで、前記分担部は、前記保安者に対して分担する複数の前記保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務としても良い。
また、前記一の保安業務は建物内に存在する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務であっても良い。
また、前記一の保安業務は顧客の求めに応じて緊急に現場に赴いて行う緊急保安業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務であっても良い。
また、前記分担部は、冬場よりも夏場の方が、前記他の保安業務の数が多くなるように分担しても良い。
また、前記一の保安業務は他者が行う工事の際に自身が保有する設備の保安のための業務であり、前記他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務であっても良い。
また、前記分担部は、前記一の保安業務を朝一番から始まる時間帯とし、前記他の保安業務を当該一の保安業務の終了後の時間帯としても良い。
また、前記記憶部は、複数の保安者それぞれの前記保安業務を遂行する能力に関連する情報を記憶し、前記分担部は、前記記憶部が記憶している前記複数の保安者の能力を考慮して複数の前記保安業務を分担しても良い。
また、前記分担部は、前記保安業務の難易度が高いほど、前記能力が高い前記保安者に分担しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、コンピュータに、複数の保安業務に関連する情報を記憶する機能と、複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、保安者の数が限られていても、より多くの保安業務を行えるようにすることができる処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係るシステムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】サーバ装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】記憶部に記憶された、ある事業所に所属する保安者の情報の一例を示す図である。
【
図4】記憶部に記憶された、保安業務の種類及び内容の一例を示す図である。
【
図5】受任部が行う受任処理の手順を示すフローチャートの一例である。
【
図6】夏場において分担部が保安業務の担当を各保安者に分担する過程の一例を示す図である。
【
図7】冬場において分担部が保安業務の担当を各保安者に分担する過程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係るシステム1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、サーバ装置10の概略構成の一例を示す図である。
システム1は、保安業務を行う者である保安者に対する保安業務の分担処理等を行う処理装置の一例としてのサーバ装置10と、事業所Gに配置されて、サーバ装置10が分担した業務を受信する情報処理装置20とを備えている。サーバ装置10と情報処理装置20とは、ネットワーク5を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク5は、装置間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。
図1においては、事業所Gを3つ記載しているが、事業所Gの数は特に限定されない。事業所Gの数は1つでも良いし、複数であっても良い。
【0009】
サーバ装置10が保安者に対して分担する保安業務としては、以下に述べる、他工事管理業務、大規模ガス設備点検業務、緊急保安業務、不使用ガス管漏えい検査業務が考えられる。
(他工事管理業務)
ガスを供給する事業者(以下、「ガス事業者」と称する場合がある。)は、自らが維持及び運用するガス管が設置されている例えば道路において、例えば水道管に関する工事が行われる場合、作業者が誤ってガス管を損傷しないように当該工事現場を監視、又は、ガス管を損傷させていないことを点検する保安者を派遣する。以下では、ガス事業者がガス管の新設や交換等を行うガス工事と区別するために、水道管等のガス管以外の物の新設や交換等を行う工事を「他工事」と称する場合がある。また、ガス事業者から他工事の現場に派遣された保安者が、当該現場の監視又は点検等を行う業務を、「他工事管理業務」と称する場合がある。
【0010】
ガス管には、主に道路の下に埋設されている、本管と、本管よりも径が小さい支管とがある。以下、本管と支管とを区別する必要がない場合には、本管及び支管を「本支管」と称する場合がある。また、ガス管には、主に家の敷地内に埋設されて、本支管を流通するガスを家庭で使用されるガス機器に供給する供給管がある。そして、他工事は、本支管の近くに埋設されている例えば水道管を露出する等のために本支管の近くを掘削する工事(以下、「本支管近傍工事」と称する場合がある。)と、供給管の近くに埋設されている例えば水道管を露出する等ために供給管の近くを掘削する工事(以下、「供給管近傍工事」と称する場合がある。)とがある。以下、本支管近傍工事の現場と、供給管近傍工事の現場とを区別する必要がない場合には、「工事現場」と称する場合がある。
【0011】
他工事が、例えば水道管を露出させた後に当該水道管を新しい物と交換する工事である場合には、水道管を露出させるための掘削を行った後に、水道管を交換する作業を行う。他工事管理業務を行う保安者は、掘削の際に、作業者が誤ってガス管を損傷する等の事故を発生させないように監視等を行い、掘削作業が終わった後に点検等を終えてこの工事現場の保安業務を終了する。
【0012】
本支管は、供給管と比べて、径が大きく、かつ、長いため、一般的には、本支管近傍工事の現場において他工事管理業務に必要な時間は、供給管近傍工事の現場において他工事管理業務に必要な時間よりも長い。また、本支管近傍工事の現場における他工事管理業務の遂行には、供給管近傍工事の現場における他工事管理業務の遂行よりも能力の高さが求められる。また、本支管近傍工事は、1日を通して同じ現場で行われることが一般的であるため、工事日の業務開始時間から掘削作業が開始されることが多い。他方、供給管近傍工事は2~3時間で終了する場合もあるため、掘削作業が工事日の午後1時や午後3時から開始される場合もある。
【0013】
(大規模ガス設備点検業務)
ガス事業者は、商業ビル、駅、空港等の大きな建物内に存在するガス設備の保安のために、ガス管の漏えい検査等を行う業務(以下、「大規模ガス設備点検業務」と称する場合がある。)を、予め定められた頻度で行う。予め定められた頻度は、建物区分に応じて1年に1回や4年に1回であることを例示することができる。
大規模ガス設備点検業務は、顧客であるガス設備が存在する建物の所有者が指定した日時に当該建物に赴いて業務を行う。そして、指定される時間帯は、当該建物の種類に応じて異なる。例えば、商業ビルである場合には、当該商業ビル内の飲食店が昼の営業を始める前、又は、昼の営業を終えた後の時間帯であることを例示することができる。また、同様に、駅等の公共機関の施設においても、当該施設内の飲食店が昼の営業を始める前、又は、昼の営業を終えた後の時間帯であることを例示することができる。一般的に、ガス設備が存在する建物の大きさが大きいほど、大規模ガス設備点検業務を完了させるのに必要な時間が長くなる傾向にあり、例えば5~6時間必要である。
それゆえ、1日に、他工事管理業務とともに大規模ガス設備点検業務を行うことは難しい。
【0014】
(緊急保安業務)
ガス事業者は、ガス漏れ等の緊急に対応しなければならない事象が発生したときに直ちに現場に赴いて対処する緊急保安業務を行う。緊急保安業務は、ガス漏れ等の事象が発生したことを顧客から連絡を受けたときに直ちに現場に赴く必要があるため、予め定められた場所で待機しておく等、急いで現場に駆けつけることができるようにしておく必要がある。それゆえ、例えば、他工事管理業務や大規模ガス設備点検業務を行っている最中に、ガス漏れ等の事象が発生した現場に赴いて緊急保安業務を行うことは難しい。
【0015】
(不使用ガス管漏えい検査業務)
ガス事業者は、過去にガスを供給していたが、現在はガスを供給しなくなっているガス管(以下、「不使用ガス管」と称する場合がある。)の漏えい検査等の業務(以下、「不使用ガス管漏えい検査業務」と称する場合がある。)を、予め定められた頻度で行う。予め定められた頻度は、4年に1回であることを例示することができる。
不使用ガス管漏えい検査業務は、ガス事業者自らが維持管理するガス管の検査等を行う業務であるため、不使用ガス管漏えい検査業務を行う時間帯をガス事業者自らが自由に設定することが可能である。また、不使用ガス管は、例えば、調理、給湯、冷暖房等に用いるエネルギーを全て電気によってまかなうシステムを導入することとなったために、ガスを供給しなくなった供給管である場合が多く、本支管と比べて、径が小さく、かつ、短い。それゆえ、不使用ガス管漏えい検査業務は、短時間で終了する場合が多い。
【0016】
従って、同じ保安者が、資格やスキルを習得することにより、1日に、他工事管理業務とともに不使用ガス管漏えい検査業務を行うことは可能である。また、同じ保安者が、1日に、大規模ガス設備点検業務とともに不使用ガス管漏えい検査業務を行うことは可能である。また、不使用ガス管漏えい検査業務を行っている最中に、他の場所でガス漏れ等の事象が発生したとしても、直ちに不使用ガス管漏えい検査業務を中止し、急いで当該事象が発生した現場に駆けつけることができるので、緊急保安業務を担当する保安者が、同じ日に不使用ガス管漏えい検査業務を行うことは可能である。
【0017】
なお、複数の保安者にて一つの保安班を構成し、一つの保安班で一の現場の保安業務を行う場合があることから、一の現場の保安業務を行う保安者又は保安班をまとめて「保安者」と称する場合がある。
【0018】
(サーバ装置10)
サーバ装置10は、装置全体を制御する制御部11と、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作受付画面や画像の表示に使用される表示部13と、ユーザの入力操作を受け付ける操作部14と、外部装置との通信に用いられる通信部15とを備えている。これら制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信部15は、バス16にて接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。ROMには、CPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)、アプリケーションプログラム、各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部12から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUがプログラムを実行することにより、サーバ装置10の各部が制御される。制御部11の機能については後で詳述する。
【0020】
記憶部12は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であることを例示することができる。
表示部13は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであることを例示することができる。
操作部14は、ボタン、スイッチ、タッチパネルであることを例示することができる。
通信部15は、通信インターフェース(通信I/F)であることを例示することができる。
以上のように構成されたサーバ装置10は、所謂サーバ、デスクトップPC、ノートPC等であることを例示することができる。
【0021】
(情報処理装置20)
情報処理装置20は、図示は省略するが、サーバ装置10と同様に、バスにて接続された、制御部、記憶部、表示部、操作部、通信部を備えている。
制御部は、CPU、ROM、RAMにより構成される。ROMには、CPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUがプログラムを実行することにより、情報処理装置20の各部が制御される。
記憶部は、半導体メモリやHDD等の記憶装置であることを例示することができる。
表示部は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであることを例示することができる。
操作部は、キーボード、ボタン、スイッチ、タッチパネルであることを例示することができる。
通信部は、通信インターフェース(通信I/F)であることを例示することができる。
以上のように構成された情報処理装置20は、ノートPC、デスクトップPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)等であることを例示することができる。
【0022】
(サーバ装置10の機能)
《記憶部12に記憶された情報》
図3は、記憶部12に記憶された、ある事業所Gに所属する保安者の情報の一例を示す図である。
図4は、記憶部12に記憶された、保安業務の種類及び内容、ランクR、必要なスキルSの関連性の一例を示す図である。
記憶部12は、
図3に示すように、所属する保安者の氏名及び保安者の保安業務の業務能力に関する情報を記憶する。業務能力はスキルSであることを例示することができる。スキルSは、第1スキルS1が最もスキルが高く、第1スキルS1の次に第2スキルS2が高く、第3スキルS3、第4スキルS4、第5スキルS5の順に高い。なお、保安者の業務能力は、スキルSに限定されず、例えば、職位(例えば主任等)、保安業務の経験年数、資格の有無に応じた値であっても良い。
【0023】
保安業務のランクRは、
図4に示すように、例えば大規模の建物の大規模ガス設備点検業務が第1ランクR1、本支管近傍工事の他工事管理業務が第2ランクR2、緊急保安業務が第3ランクR3、中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務が第4ランクR4、供給管近傍工事の他工事管理業務が第5ランクR5と例示することができる。なお、大規模の建物は、建物の面積が1万m
2以上であり、中小規模の建物は、建物の面積が1万m
2未満であることを例示することができる。
【0024】
また、記憶部12は、大規模の建物の大規模ガス設備点検業務、本支管近傍工事の他工事管理業務、緊急保安業務、中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務、供給管近傍工事の他工事管理業務それぞれを担当可能なスキルSの情報を記憶する。例えば、
図4に示すように、大規模の建物の大規模ガス設備点検業務は、第2スキルS2以上の保安者が担当可能であり、本支管近傍工事の他工事管理業務は、第3スキルS3以上の保安者が担当可能であり、緊急保安業務は、第4スキルS4以上の保安者が担当可能である。
【0025】
また、記憶部12は、不使用ガス管漏えい検査業務の情報を記憶する。不使用ガス管漏えい検査業務の情報としては、不使用ガス管が存在する住所、当該不使用ガス管の点検履歴であることを例示することができる。
【0026】
《制御部11の機能》
制御部11は、
図2に示すように、外部装置から送信されてきた保安業務の依頼等の情報を受信する受信部111と、情報処理装置20等の外部装置に情報を送信する送信部112とを有している。また、制御部11は、保安者の数及びスキルSに基づいて依頼を受けた保安業務を受任するか否かを判断する受任部113と、受任部113が受任した保安業務を各保安者に分担する分担部114とを有している。
【0027】
(受信部111)
受信部111は、他工事を行う者から送られてきた他工事管理業務の依頼を受信する。また、受信部111は、ガス事業者が建物の所有者に対して依頼した大規模ガス設備点検業務の実施日時であって当該所有者が定めた実施日時を当該所有者から受信する。そして、受信部111は、受信した依頼に係る大規模ガス設備点検業務や他工事管理業務の情報を記憶部12に記憶する。なお、受信部111が受信した依頼に係る保安業務の情報の記憶部12への記憶を、ガス事業者の従業員が行っても良い。
また、ガス事業者の従業員は、電話、FAX、インターネット等にて依頼を受け付けた大規模ガス設備点検業務や他工事管理業務の情報を記憶部12に記憶しても良い。
【0028】
(受任部113、分担部114)
分担部114は、大規模ガス設備点検業務、他工事管理業務及び緊急保安業務等、顧客からの依頼に応じて行う業務を、同じ保安者が、1日に複数担当しないように分担する。これは、上述した、大規模ガス設備点検業務、他工事管理業務及び緊急保安業務の特性に基づくものである。
また、分担部114は、緊急保安業務を、1日に、予め定められた所定数(本実施の形態においては2人)の保安者に分担する。
分担部114が行う具体的な分担処理については後で詳述する。
【0029】
図5は、受任部113が行う受任処理の手順を示すフローチャートの一例である。
受任部113は、保安者の数及び各保安者のスキルSに基づいて、受信部111が受信する等して受けた依頼を受任するか否かを判断する。以下、受任部113が行う受任処理について、
図4を用いて説明した保安業務の種類とスキルSとの関連性を考慮した場合について説明する。受任部113は、この受任処理を、例えば予め定めた制御周期にて(例えば1ミリ秒毎に)繰り返し実行する。
【0030】
受任部113は、先ず、新たな依頼があるか否かを判定する(S501)。これは、記憶部12に新たな依頼が記憶されたか否かを判定する処理である。新たな依頼がない場合(S501でNO)、受任部113は、本処理を終了する。他方、新たな依頼がある場合(S501でYES)、受任部113は、新たな依頼が最も高位のランクである第1ランクR1の保安業務であるか否かを判定する(S502)。第1ランクR1の保安業務である場合(S502でYES)、受任部113は、第1ランクR1の保安業務の依頼案件を受任済みであるか否かを判定する(S503)。受任済みである場合(S503でYES)、受任部113は、第1ランクR1の保安業務を担当可能な保安者の数から、既に受任している第1ランクR1の保安業務の件数を減算することにより得た値が1以上であるか否かを判定する(S504)。この処理は、第1ランクR1の保安業務を担当可能な保安者の数が足りるか否かを判定する処理である。
【0031】
S504の処理で1以上であると判定した場合(S504でYES)、及び、S503の処理で第1ランクR1の保安業務を受任済みではないと判定した場合(S503でNO)、受任部113は、第2ランクR2以上(第1ランクR1及び第2ランクR2)の保安業務の依頼案件を受任済みであるか否かを判定する(S505)。受任済みである場合(S505でYES)、受任部113は、第2ランクR2以上の保安業務を担当可能な保安者の数から、既に受任している第2ランクR2以上の保安業務の件数を減算することにより得た値が1以上であるか否かを判定する(S506)。この処理は、第2ランクR2以上の保安業務を担当可能な保安者の数が足りるか否かを判定する処理である。
【0032】
S506の処理で1以上であると判定した場合(S506でYES)、及び、S505の処理で第2ランクR2以上の保安業務を受任済みではないと判定した場合(S505でNO)、受任部113は、緊急保安業務を担当可能な保安者の数から、第2ランクR2以上の保安業務を既に受任している場合には第2ランクR2以上の保安業務の件数と所定数とを加算した数を減算することにより得た値が1以上であるか否かを判定する(S507)。この処理は、緊急保安業務を担当可能な保安者の数が足りるか否かを判定する処理である。
【0033】
S507の処理で1以上であると判定した場合(S507でYES)、受任部113は、最も下位の第5スキルS5の保安者でも担当可能な第5ランクR5及び第5ランクR5よりも高ランク(第1ランクR1~第4ランクR4)の保安業務の案件を受任済みであるか否かを判定する(S508)。受任済みである場合(S508でYES)、受任部113は、第5ランクR5以上の保安業務を担当可能な保安者の数から、第5ランクR5以上の保安業務を既に受任している場合には既に受任している第5ランクR5以上の保安業務の件数(本実施の形態においては全受任件数)と所定数とを加算した数を減算することにより得た値が1以上であるか否かを判定する(S509)。
【0034】
S509の処理で1以上であると判定した場合(S509でYES)、受任部113は、新たな依頼を受任すると決定する(S510)。
他方、S504、S506、S507、及び、S509のいずれかの処理で1以上であると判定していない場合、受任部113は、新たな依頼を受任しないと決定する(S511)。
【0035】
一方、S502の処理で第1ランクR1の保安業務ではないと判定した場合(S502でNO)、受任部113は、新たな依頼が第2ランクR2の保安業務であるか否かを判定する(S512)。第2ランクR2の保安業務である場合(S512でYES)、受任部113は、S505以降の処理を行い、新たな依頼を受任するか、受任しないかを決定する。
【0036】
S512の処理で第2ランクR2の保安業務ではないと判定した場合(S512でNO)、本実施の形態においては、依頼を受ける第3ランクR3の保安業務は存在しないので、受任部113は、新たな依頼が、最も下位の第5スキルS5の保安者でも担当可能な第4ランクR4又は第5ランクR5の保安業務であると判断する。そして、受任部113は、S508以降の処理を行い、新たな依頼を受任するか、受任しないかを決定する。
【0037】
受任部113は、受任すると判断した保安業務の情報を、当該保安業務の種類及び内容、当該保安業務を行う現場の住所、新たに付与した業務番号とともに、記憶部12に記憶する。他方、受任しないと判断した依頼の情報を記憶部12から削除する。
なお、受任部113は、全ての保安者の分の保安業務を受任すると判断した後に、既に受任すると判断している保安業務のランクRよりも高いランクRの保安業務の依頼を新たに受けた場合には、既に受任すると判断している保安業務の代わりに、後に依頼を受けたランクRが高い方の保安業務を受任すると判断しても良い。
【0038】
次に、分担部114が行う分担処理について説明する。
分担部114は、予め定められたタイミングで、記憶部12に記憶された、受任部113が受任すると判断した複数の保安業務を各保安者に分担する。分担部114は、1日分の保安業務を、その前日又は前々日の午後5時に分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、1週間分の保安業務を、その前の週の木曜日又は金曜日の午後5時に分担することを例示することができる。
【0039】
分担部114は、事業所G全体でより多くの保安業務を行えるようにするために、同じ保安者が、1日に、大規模ガス設備点検業務、他工事管理業務及び緊急保安業務のいずれかと、不使用ガス管漏えい検査業務等、自身の計画に基づいて行う業務とを担当するように分担する。言い換えれば、分担部114は、同じ保安者が、1日に、大規模ガス設備点検業務、他工事管理業務及び緊急保安業務等、顧客の都合により時間帯が決まる業務と、不使用ガス管漏えい検査業務等、自身の都合で時間帯を決めることが可能な業務とを担当するように分担する。
【0040】
また、分担部114は、
図4に示すように、保安業務のランクRに応じたスキルSを有する保安者に分担する。その際、分担部114は、各保安業務を担当可能な保安者が複数いる場合には、保安業務のランクRが高いほど、スキルSが高い保安者に分担する。
【0041】
また、分担部114は、冬場よりも夏場の方が、不使用ガス管漏えい検査業務の数が多くなるように分担する。夏場とは、5月~10月であり、冬場とは、11月~4月であることを例示することができる。例えば、夏場においては、分担部114は、一の保安者に対して、10:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担し、他の保安者に対して、8:00~15:00の時間帯で緊急保安業務を分担する。そして、分担部114は、一の保安者に対して、8:00~10:00の時間帯で不使用ガス管漏えい検査業務を分担し、他の保安者に対して、15:00~17:00の時間帯で不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。一方、冬場においては、分担部114は、一の保安者に対して、終日(8:00~17:00の時間帯)、緊急保安業務を分担し、他の保安者に対して、10:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担する。そして、分担部114は、他の保安者に対して、8:00~10:00の時間帯で不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。
【0042】
図6は、夏場において分担部114が保安業務の担当を各保安者に分担する過程の一例を示す図である。
図7は、冬場において分担部114が保安業務の担当を各保安者に分担する過程の一例を示す図である。
図6(a)に示すように、夏場である例えば8月7日における記憶部12に記憶された保安業務の種類及び内容が、大規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号1)、本支管近傍工事の他工事管理業務(業務番号2)、及び、中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号3)である場合を考える。
【0043】
かかる場合、分担部114は、
図6(b)に示すように、第1ランクR1である大規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号1)を、第1スキルS1である番号M1の保安者に分担する。また、分担部114は、第2ランクR2である本支管近傍工事の他工事管理業務(業務番号2)を、第2スキルS2である番号M2の保安者に分担する。また、分担部114は、第3スキルS3である番号M3の保安者に対して、10:00~17:00の時間帯に、緊急保安業務を分担する。また、分担部114は、第4スキルS4である番号M4の保安者に対して、の8:00~15:00の時間帯に、緊急保安業務を分担する。また、分担部114は、第4ランクR4である中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号3)を、第5スキルS5である番号M5の保安者に分担する。
【0044】
そして、分担部114は、番号M1~M5の全ての保安者に対して、上記のように分担された保安業務の業務開始前の時間帯、又は、業務終了後の時間帯に、不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。
つまり、分担部114は、番号M1の保安者に対して、大規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号1)の終了後の時間帯である15:00以降に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、大規模ガス設備点検業務(業務番号1)の現場からの距離が最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、番号M1の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0045】
また、分担部114は、番号M2の保安者に対して、本支管近傍工事の他工事管理業務(業務番号2)の終了後の時間帯である15:00以降に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、他工事管理業務(業務番号2)の現場からの距離が最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、番号M2の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0046】
また、分担部114は、番号M3の保安者に対して、先に分担した緊急保安業務の業務開始前の時間帯である8:00~10:00に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、緊急保安業務の待機場所からの距離が最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、番号M3の保安者が、事務所から直接行き易いように、事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0047】
また、分担部114は、番号M4の保安者に対して、先に分担した緊急保安業務の業務終了後である15:00~17:00に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、緊急保安業務の待機場所からの距離が最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、番号M4の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0048】
分担部114は、番号M5の保安者に対して、大規模ガス設備点検業務(業務番号3)の終了後の時間帯である14:00以降に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、大規模ガス設備点検業務(業務番号3)の現場からの距離が最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。あるいは、分担部114は、番号M5の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0049】
次に、
図7(a)に示すように、冬場である例えば1月6日における記憶部12に記憶された保安業務の種類及び内容が、10:00~17:00の時間帯の大規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号1)、8:00~14:00の中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号2)、及び、14:00~17:00の時間帯の供給管近傍工事の他工事管理業務(業務番号3)である場合を考える。
【0050】
かかる場合、
図7(b)に示すように、分担部114は、第1ランクR1である大規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号1)を、第1スキルS1である番号M1の保安者に分担する。
また、分担部114は、第2スキルS2である番号M2の保安者の8:00~17:00の時間帯に、緊急保安業務を分担する。また、分担部114は、第3スキルS3である番号M3の保安者の10:00~17:00の時間帯に、緊急保安業務を分担する。
また、分担部114は、第4ランクR4である中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号2)を、第4スキルS4である番号M4の保安者に分担する。また、分担部114は、第5ランクR5である供給管近傍工事の他工事管理業務(業務番号3)を、第5スキルS5である番号M5の保安者に分担する。
【0051】
そして、分担部114は、番号M1、M3~M5の保安者に対して、上記のように分担された保安業務の業務開始前の時間帯、又は、業務終了後の時間帯に、不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。
つまり、分担部114は、番号M1の保安者に対して、大規模ガス設備点検業務(業務番号1)の開始前の時間帯である8:00~10:00に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、大規模ガス設備点検業務(業務番号1)の現場からの距離が最も近い現場、又は、番号M1の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。
【0052】
また、分担部114は、番号M3の保安者に対して、先に分担した緊急保安業務の業務開始前の時間帯である8:00~10:00に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、緊急保安業務の待機場所からの距離が最も近い現場、又は、番号M3の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。
【0053】
分担部114は、番号M4の保安者に対して、中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号2)の終了後の時間帯である14:00以降に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、中小規模の建物の大規模ガス設備点検業務(業務番号2)の現場、又は、番号M4の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。
【0054】
分担部114は、番号M5の保安者に対して、供給管近傍工事の他工事管理業務(業務番号3)の開始前の時間帯である8:00~14:00に不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。不使用ガス管漏えい検査業務を分担する際、分担部114は、記憶部12に記憶された複数の不使用ガス管漏えい検査業務の内、他工事管理業務(業務番号3)の現場からの距離が最も近い現場、又は、番号M5の保安者の事務所から最も近い現場の不使用ガス管漏えい検査業務を分担することを例示することができる。また、分担部114は、番号M5の保安者に対して、8:00~14:00の間に、複数の不使用ガス管漏えい検査業務を分担しても良い。
【0055】
上記のようにして、分担部114は、受任部113が受任した保安業務を、各保安者に分担する。
【0056】
(送信部112)
送信部112は、分担部114が分担した現場及び当該現場についての情報を、事業所Gに対して送る。送る手法は、送信部112が、各事業所Gに関連付けて予め記憶された宛先にメールを送信する手法、各事業所Gに関連付けて予め記憶されたFAX番号にFAXを送る手法であることを例示することができる。
事業所Gにおいては、例えば情報処理装置20を用いて、サーバ装置10が送信したメールを受信するとともに表示部に表示させることで、分担部114が分担した現場及び当該現場についての情報を見ることが可能となる。これにより、各保安者は、分担された現場の保安業務の情報を知ることが可能となる。
【0057】
以上説明したように、サーバ装置10は、複数の保安業務に関連する情報を記憶する記憶部12と、記憶部12が記憶している複数の保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する分担部114と、を備える。このように、分担部114が一日に複数の保安業務を行うように分担するので、一日に一つの保安業務を行うように分担するのと比較すると、より多くの保安業務を行うようにすることができる。それゆえ、事業所Gに所属する保安者の数が限られていても、事業所全体としてより多くの保安業務を行えるようにすることができる。
【0058】
そして、分担部114は、保安者に対して分担する複数の保安業務の内の一の保安業務を当該一の保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務とし、他の保安業務を当該他の保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とする。保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務は、同じような時間帯(例えば昼前後の時間帯)で行うことを依頼される場合が多く、これらの保安業務の複数を同じ保安者に担当させることは困難である。これに対して、保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務は時間帯を自由に設定することが可能であるので、保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務と保安業務を行う者の都合で行うことが可能な業務とを組み合わせることで、一日に複数の保安業務を行うように分担することが可能となる。かかる態様である場合には、保安業務を依頼する者の都合により時間帯が決まる業務に費やす時間を削減するのではなく、空いた時間に、保安業務を行う者の都合で時間帯を設定することが可能な業務を行うように分担するので、時間を有効に使うことができ、保安の質を維持しながら効率化を図ることができる。
【0059】
例えば、一の保安業務は建物内に存在する設備の保安のための業務の一例としての大規模ガス設備点検業務であり、他の保安業務は現在使用されていない設備の点検のための業務の一例としての不使用ガス管漏えい検査業務であると良い。大規模ガス設備点検業務を昼前後の時間帯を含む8:00~15:00の時間帯に行うことを依頼されたとしても、不使用ガス管漏えい検査業務を15:00以降に行うことができるので、大規模ガス設備点検業務と不使用ガス管漏えい検査業務とを組み合わせて分担することが可能となる。
【0060】
あるいは、一の保安業務は顧客の求めに応じて緊急に現場に赴いて行う緊急保安業務であり、他の保安業務は不使用ガス管漏えい検査業務であっても良い。不使用ガス管漏えい検査業務を行っている最中に、他の場所でガス漏れ等の事象が発生したことに起因して顧客の求めに応じて緊急に現場に赴く必要が生じたとしても、直ちに不使用ガス管漏えい検査業務を中止し、急いで当該事象が発生した現場に駆けつけることができるので、緊急保安業務と不使用ガス管漏えい検査業務とを組み合わせて分担することが可能となる。
【0061】
そして、分担部114は、冬場よりも夏場の方が、不使用ガス管漏えい検査業務の数が多くなるように分担しても良い。例えば、夏場においては、
図6に示すように、分担部114は、番号M3の保安者に対して10:00~17:00の時間帯の緊急保安業務を、番号M4の保安者に対して8:00~15:00の時間帯の緊急保安業務を分担する。つまり、分担部114は、10:00~15:00の時間帯には、二人に対して同じ時間帯に緊急保安業務を分担し、その前後の8:00~10:00及び15:00~17:00それぞれの時間帯に一人に対して不使用ガス管漏えい検査業務を分担する。一方、冬場においては、
図7に示すように、分担部114は、番号M2の保安者に対して8:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担し、番号M3の保安者に対して10:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担する。つまり、分担部114は、二人に対して同じ時間帯に緊急保安業務を分担するのを、夏場よりも長い10:00~17:00の時間帯とする。そして、分担部114は、10:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担した番号M3の保安者に対して、緊急保安業務の前に不使用ガス管漏えい検査業務を分担し、8:00~17:00の時間帯で緊急保安業務を分担した番号M2の保安者に対しては、不使用ガス管漏えい検査業務を分担しないようにする。このように、分担部114が、冬場よりも夏場の方が不使用ガス管漏えい検査業務の数が多くなるように分担することで、ひいては、夏場よりも、ガス漏れ等の事象がより多く発生し易い冬場に、緊急保安業務のために待機しておく時間を増やすことができる。
【0062】
あるいは、一の保安業務は他者が行う工事の際に自身が保有する設備の保安のための業務の一例としての他工事管理業務であり、他の保安業務は不使用ガス管漏えい検査業務であっても良い。他工事管理業務を昼前後の時間帯を含む、例えば8:00~15:00の時間帯に行うことを依頼されたとしても、不使用ガス管漏えい検査業務を15:00以降に行うことができるので、他工事管理業務と不使用ガス管漏えい検査業務とを組み合わせて分担することが可能となる。つまり、分担部114は、他工事管理業務を朝一番から始まる、例えば8:00~15:00の時間帯とし、不使用ガス管漏えい検査業務を他工事管理業務の終了後の、例えば15:00~17:00時間帯とすることが可能となる。
【0063】
また、記憶部12は、複数の保安者それぞれの保安業務を遂行する能力に関連する情報の一例としてのスキルSを記憶し、分担部114は、記憶部12が記憶している複数の保安者の能力を考慮して複数の保安業務を分担しても良い。例えば、分担部114は、保安業務の難易度の一例としてのランクRが高いほど、スキルSが高い保安者に分担しても良い。これにより、保安の質を維持しながらより多くの保安業務を行えるようにすることができる。
【0064】
以上説明した、サーバ装置10、及び、情報処理装置20が行う処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、各装置(例えばサーバ装置10)の制御部(例えば制御部11)のCPUが、当該装置の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。例えば、プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体を各装置(例えばサーバ装置10)に提供し、装置(例えばサーバ装置10)のCPUが記録媒体に格納されたプログラムを読み出す。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体、及びそれを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0065】
サーバ装置10の機能を実現するプログラムは、複数の保安業務に関連する情報を記憶する機能と、複数の前記保安業務の内容に基づいて、当該保安業務を行う複数の保安者の内の少なくともいずれかの保安者が一日に複数の当該保安業務を行うように分担する機能と、を実現させる。
このようなプログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMを例示することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…システム、5…ネットワーク、10…サーバ装置、20…情報処理装置、11…制御部、113…受任部、114…分担部