(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】積層アセンブリ、そのようなアセンブリを備えるおむつ、およびそのようなアセンブリを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/51 20060101AFI20240625BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240625BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/15 311Z
A61F13/15 340
A61F13/15 390
A61F13/49 313A
(21)【出願番号】P 2020550728
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 FR2019050638
(87)【国際公開番号】W WO2019180381
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170996
【氏名又は名称】アプリックス
【氏名又は名称原語表記】APLIX
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リノ、ピエール-イヴ フランソワ ジャン
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/149243(WO,A1)
【文献】特表2013-533770(JP,A)
【文献】特表2015-507654(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187097(WO,A1)
【文献】特表2002-526288(JP,A)
【文献】特表2016-518949(JP,A)
【文献】特表2020-519492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A44B18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層(32)と滑り止めストリップ(34)とを備える積層アセンブリ(30)であって、
前記積層アセンブリ(30)、前記支持層(32)、および前記滑り止めストリップ(34)は、長手方向X、および当該長手方向Xに直交する横方向Yに広がり、
前記滑り止めストリップ(34)は、エラストマー材料を備え、前記支持層(32)および前記滑り止めストリップ(34)は、互いに積層されており、前記滑り止めストリップ(34)は、ベース(34A)と、前記ベース(34A)から延びる複数の突出要素(34B)とを備え、前記複数の突出要素(34B)は、当該積層アセンブリ(30)の面(30A)から突出しており、
前記積層アセンブリ(30)は、前記滑り止めストリップ(34)が別の表面と接触しているとき、当該別の表面の前記滑り止めストリップ(34)に対する
前記長手方向Xおよび/または前記横方向Yの変位が、当該滑り止めストリップ(34)が備える前記突出要素(34B)によって低減され、前記突出要素(34B)は、前記滑り止めストリップ(34)の前記別の表面との結合および引っ掛けを可能にしない、積層アセンブリ(30)。
【請求項2】
前記支持層(32)は、不織ウェブ(36、38)を備える、請求項1に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項3】
前記支持層(32)は、熱可塑性フィルムを備える、請求項1または2に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項4】
前記熱可塑性フィルムは、弾性フィルム(40)である、請求項3に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項5】
前記滑り止めストリップ(34)の前記ベース(34A)および前記弾性フィルム(40)の各々は、幅を有し、前記ベース(34A)の幅(L34A)は、前記弾性フィルム(40)の幅(L40)よりも小さい、請求項4に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項6】
前記支持層(32)は、第1の不織ウェブ(36)と、第2の不織ウェブ(38)と、前記弾性フィルム(40)とを備え、前記弾性フィルム(40)は、前記第1および第2の不織ウェブ(36、38)の間に積層されている、請求項4または5に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項7】
静止時に、前記突出要素(34B)を備えるゾーンにおいて、前記滑り止めストリップ(34)は、ASTM D1894規格に従って測定される方向MDおよび/または方向CDの静止摩擦係数が、0.1以上、かつ10以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項8】
前記滑り止めストリップ(34)は、前記滑り止めストリップ(34)が静止時の値の15%まで引き伸ばされたときに、ASTM D1894規格に従って測定される静止摩擦係数が、静止時の静止摩擦係数の50%~150%の間に含まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項9】
静止時に、前記複数の突出要素(34B)は、1cm
2につき突出要素が3つ以上、かつ1cm
2につき突出要素が400個以下の突出要素密度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項10】
静止時に、前記複数の突出要素(34B)は、滑り止めストリップパターン(44)の繰り返しを含むパターンを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項11】
前記ベース(34A)への突出要素(34B)の正射影によって前記ベース(34A)上に定められる面積の合計が、前記滑り止めストリップパターン(44)の前記ベースの総面積の1%以上、かつ前記滑り止めストリップパターン(44)の前記ベースの総面積の40%以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項12】
前記ベース(34A)は、10μm以上、かつ200μm以下の厚さ(E34A)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項13】
前記突出要素(34B)は、ピンおよび/またはスタッドおよび/またはステムであり、各々のステムは、前記ベースとは反対側の前記ステムの端部に配置されたヘッドを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の積層アセンブリを備えている使い捨ておむつなどの吸収性物品。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の積層アセンブリ(30)を製造するための方法であって、
・成形装置(100)においてエラストマー材料を分配することにより、ベース(34A)と、前記ベース(34A)から延びる複数の前記突出要素(34B)とを備える前記滑り止めストリップ(34)を形成するステップと、
・前記支持層(32)および前記滑り止めストリップ(34)を、前記支持層(32)と前記滑り止めストリップ(34)とを積層することによって組み立てるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛生の分野で、とくには吸収性の物品において、とりわけおむつ用の弾性耳の製造に使用することができる積層アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、一般に、吸収性の中央部分で構成され、この中央部分が、おむつを使い捨ておむつの着用者へと取り付けるために、2つの前部耳を有する前側ウエストバンド部分および2つの後部耳を有する後側ウエストバンド部分を各々の端部に備えている。各々の後部耳は、一般に、前部ベルト上に配置された適用ゾーンと協働するフックなどを有する保持装置を備える。衛生の分野において、この適用ゾーンは、一般に「ランディングゾーン」と呼ばれ、あるいはフランス語で「bande confort」と呼ばれる。
【0003】
しかしながら、おむつは、耳において垂れ下がる可能性があり、さらには/あるいは前部耳が、おむつの着用者の動作によって後部耳に対して動く可能性がある。この垂れ下がりおよび/または変位が、おむつの着用者の不快感および/または望ましくない漏れにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、これらの欠点のうちの少なくともいくつかの改善を意図する。
【0005】
この目的のために、本開示は、支持層と滑り止めストリップとを含んでいる積層アセンブリに関し、滑り止めストリップはエラストマー材料を含み、支持層および滑り止めストリップは互いに積層されており、滑り止めストリップは、ベースと、ベースから延びる複数の突出要素とを含み、複数の突出要素は、積層アセンブリの1つの面から突出している。
【0006】
滑り止めストリップ、とくには突出要素のおかげで、積層アセンブリが別の表面と接触しているとき、この別の表面の滑り止めストリップに対する変位が低減される。しかしながら、突出要素は、滑り止めストリップのこの別の表面との結合および引っ掛けを可能にしない。例えば、滑り止めストリップは、1kg(キログラム)の重りを10秒の期間にわたって吊るすことが不可能であるようなものである。特定の場合において、滑り止めストリップは、0.02N以下であり、あるいは特定の場合においては0Nに等しい180°剥離力を有する。
【0007】
方向MDは、マシン方向を指し、滑り止めストリップの製造中のマシンにおける滑り止めストリップの移動方向を意味し、方向CDは、横方向を指し、方向MDに垂直な方向を意味する。
【0008】
「180°剥離」法は、剥離力、すなわち積層アセンブリを適用ゾーンから分離するための力を測定する方法である。この方法を以下で説明する。
【0009】
試料のコンディショニング-試験片が、50%±5%の相対湿度において23°C±2°Cで2hour(時間)にわたってコンディショニングされる。
【0010】
滑り止めストリップの準備-滑り止めストリップは、通常は、方向MDに使用される。滑り止めストリップは、通常は、方向MDの長さを有するテープの形をしている。方向MDのテープの一部分が、80g/cm2の紙に結合させられ、2kg(キログラム)のローラが、滑り止めストリップへと、約700mm/min(ミリメートル/分)の速度で、テープの前記一部分の全長にわたって一方向に、次いで反対方向に(往復)、適用または回転させられる。紙および滑り止めストリップは、はさみで方向MDに25.4mm(ミリメートル)幅のストリップへと切断される。各々の紙片の長さは210mmであり、滑り止めストリップはストリップの中央に位置する。
【0011】
適用ゾーンの準備-適用ゾーンの試料は、方向MDに50mmの幅を有し、長さは最大200mmで、試料は縦に半分に切断される。
【0012】
組み立て-ストリップは、滑り止めストリップが適用ゾーンの試料の中央に位置するように、適用ゾーンの試料上に配置される。2kg(キログラム)のローラが、ストリップへと、約700mm/minの速度で、テープの前記一部分の全長にわたって一方向に、次いで反対方向に(往復)、適用または回転させられる。適用ゾーンの試料を、ブラケットのクランプに、切断側をクランプ内に位置させて配置し、1kgの重りを10s(秒)にわたってストリップの下部から吊り下げる。その後に重りが取り除かれる。この工程により、滑り止めストリップと適用ゾーンの試料とが確実に組み立てられる。
【0013】
測定-次いで、このアセンブリは、100N(ニュートン)の測定セルを備えた引張試験機に配置される。ストリップは、上側(可動)顎部へと挿入される。力測定セルの読み取り値は、ゼロに設定される。適用ゾーンの試料が下側顎部(固定)へと挿入され、わずかな張力が生成される。この力は0.02N~0.05Nの間でなければならない。挿入時に、顎部の間隔は50mmである。アセンブリは、2つの顎部の間に中央に位置する。試験は、305mm/minの速度で一定の変位で実行され、試験行程は50mmである。この試験行程は、試験される保持装置の幅に応じて調整される。
【0014】
滑り止めストリップはエラストマー材料で作られているため、滑り止めストリップは弾性を有する。滑り止めストリップの弾性は、積層アセンブリに弾性を与える。したがって、積層アセンブリを使用するときに、積層アセンブリを引き伸ばすことができ、滑り止めストリップ自体も引き伸ばされる。積層アセンブリを引き伸ばすことで、例えば使い捨ておむつを着用者に取り付けるときに、引き伸ばされない場合に積層アセンブリが作用させるであろう圧力よりも、大きな圧力を作用させることができる。さらに、このより大きな圧力は、滑り止めストリップに接触している表面が滑り止めストリップに対して移動し、さらには/あるいはずれるリスクを低減する。
【0015】
滑り止めストリップはエラストマー材料で作られているため、着用者およびおむつを扱う者の両方にとって手触りが柔らかく、皮膚感作のリスクを最小限に抑える。
【0016】
エラストマー材料の例として、これらに限られるわけではないが、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)、またはSIBSコポリマーを挙げることができる。これらのエラストマーの相互の混合物、または弾性以外の特定の特性を変更する非エラストマーとの混合物も、考慮に入れることができる。例えば、ベース材料の特定の特性(弾性、耐熱性、加工性、耐紫外線性、着色、など)を変更するために、ポリビニルスチレン、ポリスチレンまたはポリa-メチルスチレン、エポキシポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたは特定のエチレン/酢酸ビニル、などであり、好ましくは高分子量(高モル質量)のこれらなど、最大で50重量%(または、質量%)、好ましくは30重量%(または、質量%)未満のポリマーを加えることができる。
【0017】
エラストマー材料は、とくには、例えばKraton Polymers社からKRATON D(登録商標)の名称で入手可能であり、あるいはDEXCO POLYMERS LP社からVECTOR SBC 4211(登録商標)の名称で入手可能であるスチレン-イソプレン-スチレンであってよい。熱可塑性エラストマー(TPE)材料、とくにはThe Dow Chemical CompanyのPELLETHANE(登録商標)2102-75Aを含む熱可塑性ポリウレタンエラストマーも、使用可能である。Kraton PolymersのKRATON D-2122(登録商標)またはDexco Polymers LPのVECTOR SBC 4461(登録商標)を含むスチレン-ブタジエン-スチレンも使用可能である。あるいは、KratonPolymersのKRATON G-2832(登録商標)を含むスチレン-エチレン/ブチレン、またはKRATON(登録商標)G2703を含むスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロックコポリマー。
【0018】
このリストを、網羅的ではないが、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン(SEPSEP)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)などの水素化ポリブタジエンポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン-エチレン-ブチレン-エチレン-ブチレン(SEBSEB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)などの水素化ポリイソプレン/ブタジエンポリマー、およびHYBRAR 7311(Kuraray America、Inc.、テキサス州ヒューストン)などの市販のビニル水素化ポリイソプレン/水素化ポリイソプレン/ポリイソプレン/ポリスチレントリブロックポリマー、ならびにこれらの組み合わせなどのすべての水素化ポリイソプレンポリマーを使用することによって完成させることができる。
【0019】
ジブロック、トリブロック、マルチブロック、スター、およびラジアルなどのポリマーブロック構成も、本開示において考慮される。いくつかの場合、高分子量(または、モル質量)のブロックコポリマーが望ましいかもしれない。ブロックコポリマーは、テキサス州ヒューストンのKraton Polymers US LLCから、例えばKraton MD6716、Kraton D1102、Kraton SIBS D1102、Kraton D1184、Kraton FG1901、およびKraton FG1924という名称で入手可能であり、テキサス州パサデナのSepton Company of AmericaからSepton 8007、Septon V9827、およびSepton 9618の名称で入手可能である。Dynasol of Spainが、これらのポリマーのもう1つの潜在的なサプライヤーである。とくには、Kraton MD6716 SEBSトリブロックポリマーが本開示にきわめて好適である。
【0020】
架橋剤が存在しなくても物理的架橋を有する熱可塑性物質である90/10のモノマー比でのイソオクチルアクリレートとアクリル酸とのコポリマーも使用可能である。Arkema社のポリアミド・ポリエステル・ブロック・コポリマーPEBAX(登録商標)2533も使用可能である。
【0021】
他の可能な材料は、Exxon Mobil Chemical社から入手可能なVISTAMAXX VM-1120(登録商標)などのとくにはメタロセン触媒作用からのエラストマー特性を有する主にエチレンおよび/またはプロピレンのコポリマーであるポリオレフィンポリマー、あるいはEPDM充てんSantopreneなどのゴム充てんポリマーである。
【0022】
エラストマーフィルム層における使用に適したポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーの例として、とりわけ結晶性ポリオレフィン、例えば1~20個の炭素原子を有し、1~12個の炭素原子を含むアルファ-オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0023】
下記のホモポリマーおよびコポリマーは、結晶性ポリオレフィンの例である。
【0024】
(1)エチレンホモポリマー エチレンホモポリマーは、低圧プロセスおよび高圧プロセスのいずれによっても調製することができる。
【0025】
(2)エチレンと10モル%未満のエチレン以外のアルファ-オレフィン、あるいは酢酸ビニルなどのビニルモノマーとアクリル酸エチルのコポリマー;例えばEngage 8407またはEngage 8842(Dow Chemical社、テキサス州ヒューストン)という商品名で入手可能なエチレンオクテンコポリマー。
【0026】
(3)プロピレンホモポリマー;例として、ポリプロピレンインパクトコポリマーPP7035E4およびポリプロピレンランダムコポリマーPP9574E6(Exxon Mobil社、テキサス州ヒューストン)が挙げられる。
【0027】
(4)プロピレンと10モル%以下のプロピレン以外のアルファ-オレフィン-オレフィンとのランダムコポリマー。
【0028】
(5)プロピレンと30モル%以下のプロピレン以外のアルファ-オレフィンとのブロックコポリマー。
【0029】
(6)ブテン-1-ブテンのホモポリマー。
【0030】
(7)1-ブテンと10モル%以下の1-ブテン以外のアルファ-オレフィン-オレフィンとのランダムコポリマー。
【0031】
(8)4-メチル-1-ペンテンホモポリマー 4-メチル-1-ペンテンホモポリマー。
【0032】
(9)4-メチル-1-ペンテンと20モル%以下の4-メチル-1-ペンテン以外のアルファ-オレフィンとのランダムコポリマー。
【0033】
アルファ-オレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが挙げられる。
【0034】
エラストマーフィルム層に使用するためのポリオレフィン系の市販の熱可塑性エラストマーとして、VISTAMAXX.TM.(テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical社から入手可能なプロピレン系エラストマー)、INFUSE.TM.(ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なオレフィンブロックコポリマー)、VERSIFY.TM.4200およびVERSIFY.TM.4300(ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Company)などのVERSIFY.TM.(プロピレン-エチレンコポリマー)、ENGAGE.TM.(テキサス州ヒューストンのDow Chemical社から入手可能なエチレンオクタンコポリマー)、ならびにNOTIO 0040およびNOTIO 3560(ニューヨーク州ニューヨークのMitsui Chemical(USA)から入手可能)、Adflex X100 G(Lyondellbasellから入手可能)が挙げられる。
【0035】
とくに適合した実施形態において、ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーは、VISTAMAXX.TM.6102FLまたはVISTAMAXX 7050 FLX(テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical社から入手可能)である。登録商標に関する表記「.TM」は、「商標」に相当する。
【0036】
別の場合において、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エステル/エーテルエラストマーまたは熱可塑性ポリウレタンであってよい。
【0037】
エラストマー材料とは、所与の方向に加えられる引き伸ばし力の作用下で破損することなく引き伸ばすことができ、この引き伸ばし力の解放後に元の形状および寸法を実質的に回復することができる材料を意味する。例えば、室温(23℃-摂氏)において初期寸法の100%の伸長に関して(伸長前の)初期寸法の30%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の引き伸ばしおよび解放後の残留変形または残存性を保持するフィルムである(残留変形は「永久セット」または「SET」とも呼ばれる)。エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー材料、とくには本開示に記載されているものなどの物理的に架橋した熱可塑性エラストマー材料、または化学的に架橋した熱可塑性エラストマー材料であってよい。
【0038】
特定の実施形態において、滑り止めストリップは、室温(23℃)において初期寸法の100%の伸長に関して初期寸法(伸長前)の30%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下の残留変形を有する。
【0039】
特定の実施形態において、積層アセンブリは、室温(23℃)において初期寸法の100%の伸長に関して初期寸法(伸長前)の30%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下の残留変形を有する。
【0040】
特定の実施形態において、支持層は不織ウェブからなる。
【0041】
不織ウェブは、圧密化された繊維および/またはフィラメントのウェブの形成によって得られる製品を意味する。圧密化は、機械的、化学的、または熱的であってよく、繊維および/またはフィラメント間の結合の存在を含む。この圧密化は、直接的であってよく、すなわち溶接によって繊維および/またはフィラメント間で直接的に行われることができ、あるいは間接的であってよく、すなわち例えば接着剤の層または結合剤の層などの繊維および/またはフィラメント間の中間層を介することができる。不織という用語は、不均一、不規則、またはランダムな様相でからみ合った繊維および/またはフィラメントのリボンまたはウェブ状の構造を指す。不織布を、さまざまな合成材料および/または天然材料から作製することができる。天然材料の例は、綿、ジュート、亜麻、などのセルロース繊維であり、レーヨンまたはビスコースなどの再処理されたセルロース繊維も含むことができる。不織ウェブ用の天然繊維は、カーディングなどのさまざまなプロセスを使用して調製することができる。合成材料の例として、これらに限られるわけではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、などのポリオレフィン、例えばポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド10、ポリアミド12、などのポリアミド、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、ビニルポリマー、ポリウレタン、ならびにこれらのブレンドおよびコポリマーを含む繊維を形成することが知られている合成プラスチックポリマーが挙げられるが、これらに限られるわけではない。
【0042】
特定の実施形態において、支持層は、単層構造または多層構造を有することができる。さらに、支持層を別の材料と組み合わせて、積層品を形成することも可能である。例えば、不織布は、スパンボンド、スパンメルト、サーマルボンドカード式の不織布であってよく、支持層は、SMS、SMMS、SS、SSS、SSMMS、SSMMMS、エアスルー、またはその他であってよい。これらの例は、非限定的なやり方で示されている。
【0043】
不織ウェブは、例えばドライレイド(乾式法)、ウェットレイド(湿式法)、またはスパンレイド技術(溶融/押し出し法)によって製造された繊維および/またはフィラメントのウェブから形成され、機械的、熱的、化学的、および/または接着による結合によって圧密化される。
【0044】
不織ウェブは、カレンダ加工されたカード式不織布であってよい。
【0045】
カレンダ加工されたカード式不織布は、熱による圧密化によってウェブに実質的に均一に分布したウェブ圧密化地点を有する繊維ウェブを含む不織布である。圧密化により、繊維の特定の凝集が保証され、その取り扱いおよび輸送、とくにはリールへの巻き取りおよび繰り出しが可能になる。カレンダ加工されたカード式不織ウェブの活性化は、不織ウェブの繊維を長くし、かつ/または破ること、ならびに/あるいはウェブの圧密化の地点を変形させることを可能にする。このようにして、不織ウェブの伸長能力が高められる。
【0046】
カレンダ加工されたカード式不織ウェブの繊維は、1~8dTex(デシテックス)の間、好ましくは1.3~6.7dTexの間、より好ましくは1.6~5.5dTexの間に含まれる。
【0047】
Texは、織物繊維の細かさのSI単位である。1000m(メートル)の繊維長のグラムでの重量を表す。
【0048】
特定の実施形態において、支持層は、取得ベール(acquisition veil)、とくには吸収性物品のための取得ベールを形成する不織ウェブを含むことができる。
【0049】
特定の実施形態において、キャリア層は、熱可塑性フィルムを含むことができる。
【0050】
熱可塑性フィルムとは、弾性材料であっても、非弾性材料であってもよい熱可塑性材料のフィルムを意味する。
【0051】
弾性材料の熱可塑性フィルムとは、所与の方向に加えられる引き伸ばし力の作用下で破損することなく引き伸ばすことができ、この引き伸ばし力の解放後に元の形状および寸法を実質的に回復することができるフィルムを意味する。例えば、室温(23℃)において初期寸法の100%の伸長に関して(伸長前の)初期寸法の30%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは10%以下の引き伸ばしおよび解放後の残留変形または残存性を保持するフィルムである(残留変形は「永久セット」または「SET」とも呼ばれる)。
【0052】
非弾性材料の熱可塑性フィルムとは、弾性材料の熱可塑性フィルムの定義に該当しないフィルムを意味する。
【0053】
熱可塑性フィルムが非弾性材料で作られている場合、積層アセンブリの弾性は、滑り止めストリップのエラストマー材料によって、例えば30g/m2(グラム/平方メートル)未満の坪量の不織布を使用することによって付与される。
【0054】
熱可塑性材料の例として、これらに限られるわけではないが、単峰性または多峰性(例えば、二峰性)の分子量(モル質量)の分布を備えるポリオレフィン、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、メタロセンポリエチレン(m-PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、およびPP(ポリプロピレン)、とくにはLLDPEとプラストマー、とりわけポリエチレン系のプラストマーを含む組成物が挙げられる。ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、PVOH、PBS、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)も使用可能である。
【0055】
特定の実施形態において、熱可塑性フィルムは弾性フィルムである。
【0056】
弾性フィルムを形成するためのエラストマー材料の非限定的な例として、滑り止めストリップの作製のためのエラストマー材料の非限定的な例として引用されたエラストマー材料と同じ材料を挙げることができる。
【0057】
特定の実施形態においては、弾性フィルムを弾性接着剤によって形成してもよい。
【0058】
特定の実施形態において、弾性フィルムは、2つ以上の層を含むことができ、あるいは「皮膚層」、すなわち、皮膚で覆われた弾性フィルムであってよい。
【0059】
特定の実施形態においては、弾性フィルムをエラストマー接着剤によって形成してもよい。
【0060】
特定の実施形態においては、エラストマー接着剤のフィルムを不織ウェブ上に押し出し、次いで不織ウェブと積層することができる。
【0061】
特定の実施形態において、支持層は、不織ウェブおよび弾性フィルムからなる。
【0062】
特定の実施形態において、滑り止めストリップのベースおよび弾性フィルムの各々は、幅を有し、ベースの幅は、弾性フィルムの幅よりも小さく、好ましくはベースの幅は、弾性フィルムの幅の10%以上かつ弾性フィルムの幅の60%以下である。
【0063】
特定の実施形態において、滑り止めストリップの突出要素の領域および滑り止めストリップのベースの各々は、幅を有し、突出要素の領域の幅は、滑り止めストリップのベースの幅よりも小さく、好ましくはベースの幅の60%以下、さらにより好ましくはベースの幅の45%以下である。
【0064】
特定の実施形態において、支持層は、第1の不織ウェブと、第2の不織ウェブと、弾性フィルムとを含むことができ、弾性フィルムは、第1および第2の不織ウェブの間に積層される。
【0065】
特定の実施形態においては、静止時に、突出要素を含む備えるゾーンにおいて、滑り止めストリップは、ASTM D1894に従って測定される方向MDおよび/または方向CDの静止摩擦係数が、0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、かつ10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
【0066】
「静止時」とは、積層アセンブリに引き伸ばし力などの外力が加わっていないことを意味する。換言すると、「静止時」とは、例えばおむつの分野において包装の直後、すなわちおむつを誰かに着用させる直前など、エンドユーザーが最初に使用する前に、積層アセンブリをそのまま試験することを意味する。静止摩擦係数の測定は、長手方向および/または横方向に実行されてよく、横方向は長手方向に直交する。静止摩擦係数の測定は、方向MDおよび/または方向CDに実行されてよい。
【0067】
方向MDは、マシン方向を指し、滑り止めストリップの製造中のマシンにおける滑り止めストリップの移動方向を意味し、方向CDは、横方向を指し、方向MDに垂直な方向を意味する。
【0068】
特定の実施形態において、滑り止めストリップは、ASTM D1894に従って測定される静止摩擦係数が、滑り止めストリップが静止時の値の15%まで引き伸ばされたときに、静止時の静止摩擦係数の50%~150%の間に含まれる。
【0069】
静止摩擦係数の測定は、長手方向および/または横方向に実行されてよく、横方向は長手方向に直交する。静止摩擦係数の測定は、方向MDおよび/または方向CDに実行されてよい。
【0070】
滑り止めストリップは、方向CDにおける寸法よりも大きい方向MDにおける寸法を有する。
【0071】
特定の実施形態において、滑り止めストリップは、単位面積当たりの坪量が、10g/m2(グラム/平方メートル)以上、好ましくは20g/m2以上、かつ250g/m2以下、好ましくは200g/m2以下である。
【0072】
特定の実施形態において、支持層は、接着剤による結合によって一体に結合される。
【0073】
接着剤を、長手方向に連続的、かつ横方向に不連続に塗布することができる。したがって、接着剤は、例えば長手方向に連続する複数の接着剤の線を形成する。当然ながら、接着剤の線の幅およびそれらの横方向の間隔は調整可能である。
【0074】
エラストマー材料の特性を測定するために、支持層を、例えばアセトンおよび/または酢酸エチルを使用することによってエラストマー材料から分離させることができる。
【0075】
弾性フィルムを弾性接着剤によって形成してもよい。
【0076】
次いで、弾性接着剤のフィルムを不織ウェブ上に押し出し、次いで不織ウェブと積層することができる。活性化ゾーンは、長手方向に測定される不織ウェブの全長にわたって延びてよい。
【0077】
特定の実施形態において、支持層は、超音波溶接によって組み立てられる。
【0078】
積層アセンブリの製造において、超音波溶接は、一方がソノトロードである2つのローラの間に支持層を通すことによって行われる。一方がソノトロードである2つのローラが、超音波溶接の最中に支持層が積層されるように、支持層によって定められる全般的な平面に対して垂直に支持層へと力を加える。
【0079】
特定の実施形態において、支持層は、以下のリスト、すなわち超音波溶接、高周波溶接、接着、または直接積層(熱積層とも呼ばれる)から選択される2つのプロセスによって接合される。
【0080】
特定の実施形態において、静止時に、複数の突出要素は、1cm2につき突出要素が3つ以上、好ましくは1cm2につき突出要素が10個以上、かつ1cm2につき突出要素が400個以下、好ましくは1cm2につき突出要素が300個以下の突出要素密度を有する。
【0081】
特定の実施形態において、静止時に、複数の突出要素は、滑り止めストリップパターンの繰り返しを含むパターンを有し、滑り止めストリップパターンは、滑り止めストリップの幅を横切って延びている。
【0082】
滑り止めストリップは、方向CDにおける寸法よりも大きい方向MDにおける寸法を有する。
【0083】
特定の実施形態においては、ベースへの突出要素の正射影によってベース上に定められる面積の合計が、滑り止めストリップパターンのベースの総面積の1%以上、好ましくは5%以上、かつ滑り止めストリップパターンのベースの総面積の60%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。
【0084】
特定の実施形態において、ベースは、10μm以上、好ましくは15μm以上、かつ200μm以下、好ましくは150μm以下の厚さを有する。
【0085】
特定の実施形態において、ベースの厚さは可変である。
【0086】
特定の実施形態において、突出要素は可変の幅を有する。
【0087】
突出要素の幅は、ベースの平面XYに平行な平面において測定される。突出要素の幅は、突出要素の最大幅の地点で測定される。
【0088】
特定の実施形態において、突出要素は、異なる高さおよび/または平面XYに平行な平面内で測定される異なる幅を有する突出要素を含むことができる。
【0089】
特定の実施形態において、突出要素は、ピンおよび/またはスタッドおよび/またはステムであり、各々のステムは、ベースとは反対側のステムの端部にヘッドを有する。
【0090】
ヘッドは、ベース、とくにはベースの上面とは反対の突出要素の一端に配置される。
【0091】
「ピン」とは、ヘッドまたはオーバーハングを持たず、最大の高さが最大の幅以上である形状を意味する。「スタッド」とは、最大の高さが最大の幅よりも小さい形状を意味する。ピン、スタッド、またはステムは、断面が一定である部分または断面が減少している部分を有し、減少はベースから遠ざかる向きである。
【0092】
特定の実施形態において、突出要素は、ベースに垂直な方向に、0.05mm(ミリメートル)以上、好ましくは0.10mm以上、かつ0.80mm以下、好ましくは0.50mm以下の高さを有する。
【0093】
特定の実施形態においては、静止時に、滑り止めストリップの幅は、積層アセンブリの全幅の5%以上、好ましくは10%以上、かつ45%以下、好ましくは30%以下である。
【0094】
これらの値は、例えば、乳児または子供のおむつ、あるいは成人の失禁おむつの用途に適する。
【0095】
特定の実施形態においては、静止時に、滑り止めストリップの幅は、積層アセンブリの全幅の25%~75%の間に含まれる。
【0096】
これらの値は、例えば、乳児または子供のおむつ、あるいは成人の失禁パンツまたは女性用衛生品、などの吸収性物品の用途に適する。これらの値は、吸収性物品が組み立てられたときに測定されてよい。
【0097】
特定の実施形態においては、静止時に、滑り止めストリップの幅は、積層アセンブリの全幅の55%~100%の間に含まれる。
【0098】
これらの値は、例えば、女性用衛生品などの吸収性物品の用途に適する。これらの値は、吸収性物品が組み立てられたときに測定されてよい。
【0099】
特定の実施形態において、支持層は、少なくとも部分的に滑り止めストリップのベースへと進入し、例えば支持層は直接積層によって滑り止めストリップに結合する。
【0100】
特定の実施形態において、滑り止めストリップは支持層に結合する。
【0101】
特定の実施形態において、滑り止めストリップは、超音波溶接によって支持層に溶接される。
【0102】
特定の実施形態において、滑り止めストリップおよび弾性フィルムは、同じエラストマー材料で作られる。
【0103】
特定の実施形態において、滑り止めストリップおよび弾性フィルムは、異なるエラストマー材料で作られる。
【0104】
特定の実施形態において、不織ウェブは、弾性フィルムとの結合の前および/または後に活性化される。
【0105】
特定の実施形態において、滑り止めストリップのベースは、長手方向の2つの縁部を含むことができ、これら縁部の1つは山および谷を有し、長手方向に直交する横方向における山と谷との間の最大偏差は、3つの連続する山に相当する長手方向の長さにおいて1mm未満である。
【0106】
特定の実施形態において、縁部は、長手方向に対する断面において見たときに、丸みを帯びた形状の部分を有する。
【0107】
特定の実施形態においては、3つの連続する山に相当する長手方向の長さにおいて、長手方向を横切る方向における山と谷との間の最大距離は、0.001mm~1mmの間、とくには0.001mm~0.5mm、さらにとくには0.001mm~0.1mmの間に含まれる。
【0108】
特定の実施形態において、3つの連続する山は、15ステップの突出要素に対応する距離よりも短く、好ましくは25mmの距離よりも短い。
【0109】
特定の実施形態において、ベースの幅は、1mm以上、好ましくは3mm以上、さらにより好ましくは5mm以上、かつ500mm以下、好ましくは250mm以下、さらにより好ましくは100mm以下である。
【0110】
特定の実施形態において、突出要素のステムは、ベースの上面に垂直な軸を中心にして回転対称である。
【0111】
特定の実施形態において、突出要素は、ベースの長手方向を横切る方向に関して非対称な幾何学的形状を有する。
【0112】
特定の実施形態では、突出要素は、ベースの長手方向に延在して突出要素のステムの軸を通過する平面に関して、対称である。
【0113】
特定の実施形態において、支持層は、第1の不織ウェブおよび第2の不織ウェブからなる。
【0114】
特定の実施形態において、第1および第2の不織ウェブは同じ性質のものである。
【0115】
特定の実施形態において、第1および第2の不織ウェブは、性質が異なる。
【0116】
特定の実施形態において、第1および第2の不織ウェブの各々は、非活性化ゾーン3と、組み立て前に活性化されたゾーンとを含む。
【0117】
滑り止めストリップを、支持層の上面に結合させることができ、さらには/あるいは超音波によって溶接することができる。また、滑り止めストリップを、支持層を少なくとも部分的にベースへと進入させるように、滑り止めストリップのベースが完全に固化する前に、滑り止めストリップの直接積層によって接合することも可能である。
【0118】
支持層が熱によって圧密化された繊維および/またはフィラメントの集まりである場合、ベースとの結合は、支持層の一部の繊維および/またはフィラメントのベースへの進入によっても達成される。
【0119】
支持層が不織ウェブである場合、突出要素を、たとえ重量が80g/m2(不織布の1平方メートル当たりの材料の質量(単位はグラム))未満の不織布であっても、金型から容易に取り外すことができる。例えば、不織布の重量は、5g/m2~120g/m2の間、または25g/m2~100g/m2の間、あるいは10g/m2~70g/m2の間に含まれてよい。
【0120】
突出要素を含むベースに支持層を接合するこの方法は、ベースの変形を引き起こさない点できわめて有利であり、したがって射出ステップにおいて得られたベースの形状の保持、とくには後述のプロセスおよび装置によって得られる直線的な縁部の保持を、好都合に可能にする。
【0121】
さらに、本開示は、上記定義の積層アセンブリを含む吸収性物品、とくには使い捨ておむつに関する。
【0122】
特定の実施形態において、積層アセンブリの滑り止めストリップは、吸収性物品の弾性耳上および/または吸収性物品の非弾性耳上に配置され、非弾性耳は、例えば不織布を含む。
【0123】
特定の実施形態において、積層アセンブリの滑り止めストリップは、滑り止めストリップの突出要素が吸収性物品の吸収性部分に向かって延びるように、弾性耳などの吸収性物品の弾性部分に配置される。
【0124】
特定の実施形態において、積層アセンブリの滑り止めストリップは、滑り止めストリップの突出要素が吸収性物品の吸収性部分から遠ざかるように延びるように、吸収性物品の非弾性部分、例えば非弾性耳に配置される。
【0125】
さらに、本開示は、積層アセンブリを製造するためのプロセスであって、
・成形装置においてエラストマー材料を分配することにより、ベースと、ベースから延びる複数の突出要素とを含む滑り止めストリップを形成するステップと、
・支持層および滑り止めストリップを、支持層と滑り止めストリップとを積層することによって組み立てるステップと
を含むプロセスを包含する。
【0126】
方向MDは、マシン方向を指し、積層アセンブリの製造中のマシンにおける支持層の移動方向を意味し、方向CDは、横方向を指し、方向MDに垂直な方向を意味する。
【0127】
特定の実施形態において、成形装置は、100~500μm(マイクロメートル)の間に含まれる厚さを有する成形ストリップを含むことができる。
【0128】
特定の実施形態において、支持層と滑り止めストリップとの組み立ては、支持層が少なくとも部分的に滑り止めストリップのベースへと進入するように、ベースが完全に固化する前に行われる。
【0129】
特定の実施形態においては、支持層が不織ウェブを含むことができ、成形装置におけるエラストマー材料の分配は、不織ウェブを通って達成される。
【0130】
特定の実施形態において、支持層と滑り止めストリップとの組み立ては、接着によって行われる。
【0131】
特定の実施形態において、支持層と滑り止めストリップとの組み立ては、超音波溶接によって行われる。
【0132】
特定の実施形態において、支持層は弾性フィルムを含むことができ、弾性フィルムは、成形装置においてエラストマー材料を分配することによって形成される。
【0133】
特定の実施形態において、支持層は、弾性フィルムおよび少なくとも1つの不織布を含むことができ、滑り止めストリップは、少なくとも1つの不織布層によって支持層に接合される。
【0134】
特定の実施形態において、支持層は、不織ウェブおよび弾性フィルムを含むことができ、弾性フィルムは、成形装置においてエラストマー材料を分配することによって製造され、不織ウェブの組み立ては、不織ウェブを少なくとも部分的に弾性フィルムに進入させるために、弾性フィルムが完全に固化する前に行われる。
【0135】
特定の実施形態においては、滑り止めストリップのエラストマー材料が分配された後に、成形装置において弾性フィルムのエラストマー材料が分配される。
【0136】
特定の実施形態において、滑り止めストリップおよび弾性フィルムは、同じエラストマー材料で作られる。
【0137】
特定の実施形態において、支持層は第2の不織ウェブを含むことができ、第2の不織ウェブの組み立ては、第2の不織ウェブが少なくとも部分的に弾性フィルムに進入するように、弾性フィルムが完全に固化する前に行われる。
【0138】
特定の実施形態において、支持層は、第2の不織ウェブを含むことができ、第2の不織ウェブの組み立ては、弾性フィルムへの第2の不織ウェブの結合および/または超音波溶接によって達成される。
【0139】
特定の実施形態において、成形装置は、成形ストリップおよび回転駆動手段を含むことができ、滑り止めストリップは、成形ストリップ上に形成される。
【0140】
特定の実施形態において、成形装置は、駆動ローラおよび形成ローラを含む突出要素のヘッドを形成するための装置を含むことができる。
【0141】
特定の実施形態においては、突出要素のヘッドが非対称になるように、駆動ローラと形成ローラとが異なる速度で回転する。
【0142】
特定の実施形態において、形成ローラの速度に対する駆動ローラの速度の比は、0.4以上、好ましくは0.65以上、かつ1.6以下、好ましくは1.35以下である。
【0143】
特定の実施形態において、形成ローラの速度に対する駆動ローラの速度の比は、0.4以上、好ましくは0.65以上、かつ厳密に1未満である。
【0144】
特定の実施形態において、形成ローラの速度に対する駆動ローラの速度の比は、1に等しい。
【0145】
特定の実施形態においては、駆動ローラと形成ローラとが等しい速度で回転し、したがって突出要素のヘッドは対称的かつ平坦である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
本開示の主題のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として提示される実施形態の以下の説明から、明らかになるであろう。
【
図2A】第1の実施形態による積層アセンブリの
図1の平面II-IIによる概略の断面図である。
【
図3】他の実施形態による積層アセンブリの概略の断面図である。
【
図4】他の実施形態による積層アセンブリの概略の断面図である。
【
図5】他の実施形態による積層アセンブリの概略の断面図である。
【
図7】別の実施形態による積層アセンブリの一部分の概略の断面図である。
【
図8A】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図8B】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図8C】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図8D】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図8E】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図8F】滑り止めストリップの種々の実施形態の概略の断面図および上面図である。
【
図9】成形ストリップの上部の一部分の概略図である。
【
図10】
図9の成形ストリップの概略の断面図である。
【
図11】
図9の成形ストリップの概略の断面図である。
【
図12】
図9の成形ストリップのゾーンXIIのパターンの拡大概略図である。
【
図13】別の実施形態による成形ストリップの要素のパターンの概略図である。
【
図14】
図13の成形ストリップの平面XIV-XIVによる一部分の概略の断面図である。
【
図15】他の実施形態による成形ストリップパターンの概略図である。
【
図16】他の実施形態による成形ストリップパターンの概略図である。
【
図17】他の実施形態による成形ストリップパターンの概略図である。
【
図18】他の実施形態による成形ストリップパターンの概略図である。
【
図19】
図18のパターンを形成するための成形ストリップの平面XIX-XIXによる一部分の概略の断面図を示している。
【
図20】滑り止めストリップを製造するための装置の例の概略図である。
【
図21】積層アセンブリを製造するための装置の例の概略図である。
【
図22】積層アセンブリを製造するための装置の例の概略図である。
【
図23】積層アセンブリを製造するための装置の例の概略図である。
【
図26】破断点伸びおよび/または永久伸びの測定を実行するために使用される機器の概略図である。
【
図27】滑り止めストリップを含む積層アセンブリおよびそのような滑り止めストリップを持たない積層アセンブリの破断点伸び曲線を表すグラフである。
【
図28】成形装置を含む滑り止めストリップを製造するための装置の例の概略図である。
【
図29】滑り止めストリップの上面図であり、このストリップの縁部の特性を説明している。
【0147】
すべての図において、共通の要素は、同一の参照番号によって識別される。
【発明を実施するための形態】
【0148】
図1は、例えば使い捨ておむつなどのおむつ10のきわめて概略的な図である。おむつ10は、吸収性の中央部分12ならびにおむつ10をおむつの着用者に取り付けるための2つの前部耳16を備えた前側ウエストバンド14および2つの後部耳20を備えた後側ウエストバンド18からなる。各々の後部耳20は、一般に、前側ウエストバンド14上に配置された適用ゾーン24と協働するフックなどを有する保持装置22を備える。衛生の分野において、この適用ゾーン24は、一般に「ランディングゾーン」と呼ばれ、あるいはフランス語で「bande confort」と呼ばれる。
【0149】
図2Aが、おむつ10の前部耳16および/または後部耳20を作製するために使用され得る積層アセンブリ30の第1の実施形態を示している。
【0150】
以下で、積層アセンブリという用語は、切断前の積層アセンブリならびにおむつ10の前部耳16および/または後部耳20を形成するために切断された積層アセンブリの両方を指す。
【0151】
積層アセンブリ30は、
図2Aにおいて、
図1の切断面II-IIによる断面図にて示されている。
【0152】
積層アセンブリ30は、長手方向X、および長手方向Xに直交する横方向Yに広がる。
図2Aの断面図は、切断面YZにおける断面図であり、横断方向Zは、平面XYに直交し、積層アセンブリ30の厚さ方向を定めている。方向XYZは互いに直交している。
【0153】
図2Aの積層アセンブリ30は、支持層32および滑り止めストリップ34からなる。支持層32および滑り止めストリップ34は、長手方向Xおよび横方向Yに広がる。積層アセンブリ30は、上面30Aおよび下面30Bからなる。
【0154】
図2Aに示される実施形態において、支持層32は、第1の不織ウェブ36、第2の不織ウェブ38、および弾性フィルム40を接着剤42で互いに接合して構成される。弾性フィルム40は、第1および第2の不織ウェブ36、38、弾性フィルム40、および接着剤42を積層することによって、第1の不織ウェブ36と第2の不織ウェブ38との間に接合される。
【0155】
図6に示されるように、滑り止めストリップ34は、ベース34Aおよび複数の突出要素34Bを含む。ベース34Aは、上面34AAおよび下面34ABを有し、突出要素34Bは、ベース34Aから延び、とくにはベース34Aの上面34AAから延びている。横方向Yにおいて、ベース34Aは、幅L34Aを有し、突出要素34Bは、幅L34Bを有する。突出要素34Bの幅L34Bは、長手方向Xおよびベース34Aの縁部に平行であり、突出要素34Bに対して接線方向であるすべての突出要素34Bを含む2本の線の間で、横方向Yに測定される。
図6の実施形態において、ベース34Aの幅L34Aは、突出要素34Bの幅L34Bよりも大きく、すなわち突出要素34Bの幅L34Bは、ベース34Aの幅L34A以下である。
【0156】
突出要素34Bは、積層アセンブリ30の上面30Aから突出する。
【0157】
突出要素34Bは、滑り止めストリップ34上に滑り止めストリップパターン44を形成することができ、すなわちベース34A、とくにはベース34Aの上面34AAが、突出要素34Bを持たないゾーン46と、滑り止めストリップパターン44を形成する突出要素34Bを備えた滑り止めストリップ34のゾーンとを有することができる。滑り止めストリップパターン44は、単一であってよく、あるいは滑り止めストリップ34上で長手方向Xおよび/または横方向Yに数回繰り返されてもよい。滑り止めストリップパターン44は、閉じた輪郭を含むことができる。
【0158】
ベース34Aは、横断方向Zに厚さE34Aを有し、突出要素34Bは、横断方向Zに高さH34Bを有する。突出要素34Bの高さH34Bは、ベースと、ベース34Aの上面34AAから最も遠い突出要素34Bの一点との間で、ベースの上面34AAに垂直に測定される。
【0159】
複数の突出要素34Bは、異なる高さH34Bおよび/または平面XYに平行な平面内で測定される異なる幅L34BBを有する突出要素34Bを含むことができる。幅L34BBは、突出要素のうちの最大幅を有する場所で測定される。
【0160】
突出要素34Bは、ピンおよび/またはスタッドおよび/またはステムであってよく、各々のステムは、ベース34Aとは反対側のステムの端部に配置されたヘッドを有する。突出要素34Bは、所与の滑り止めストリップ30について一種類であってよく、あるいは1つ以上の種類の突出要素34Bの混合物であってよい。
【0161】
図7に示されるように、滑り止めストリップ34は、横断方向Zに高さH34Bを有し、かつ平面XYに平行な平面内に幅L34BBを有するピン34BBを含む。
図7においては、ピン34BBが1つだけ示されている。ピン34BBは、幅L34BB以上の高さH34Bを有する。高さH34Bが幅L34BBよりも小さい場合、ピンと呼ばれる。滑り止めストリップ34は、この実施形態においては不織ウェブによって形成された支持層32と積層され、その繊維の一部が、滑り止めストリップのベース34Aを貫いている。したがって、支持層32および滑り止めストリップ34の組み立てが、支持層32を少なくとも部分的にベース34Aへと進入させるために、滑り止めストリップ34のベース34Aが完全に固化する前に行われていることを、理解できるであろう。
図7に示されるように、滑り止めストリップ34と不織布を含む支持層32とが示されている。この不織布は、おむつ10の前部耳16および/または後部耳20を形成することができ、とくには滑り止めストリップ34は、突出要素が吸収性物品の吸収性部分に向かって延び、さらには/あるいは吸収性物品の吸収性部分から遠ざかるように延びるようなやり方で、前部耳16上に配置されてよい。
【0162】
ヘッドを載せたステムを含む突出要素が、
図20~
図23に示されている。
【0163】
図2Bが、
図2Aによる2つの支持層32の分解図であり、支持層32の接合について考えられるやり方を示している。
図2Bにおいて、2つの支持層32が互いに接合されて示されている。支持層32を形成するために、不織ウェブ、弾性フィルム、および接着フィルムを互いに積層した後に、
図2Bの全体が中央で切断され、2つの支持層32が形成される。
【0164】
図2Bに示される実施形態において、支持層32は、第1の不織ウェブ36および第2の不織ウェブ38で構成される。第1および第2の不織ウェブ36、38は、同じ性質であっても、異なる性質であってもよい。
【0165】
図2Bの実施形態において、第1および第2の不織ウェブ36、38の各々は、組み立て前に、非活性化ゾーン36A、38Aおよび活性化ゾーン36B、38Bを含む。
【0166】
図2Bの実施形態において、活性化ゾーン36B、38Bの横方向Yの寸法は等しい。それらは、ウェブごとに違ってもよく、さらには/あるいは同じウェブ内で違ってもよい。支持層の活性化が弾性フィルム40との結合後に達成されるため、第1および第2の不織ウェブ36、38も活性化ゾーンを有さなくてよい。
【0167】
接着剤42は、第1および第2の不織ウェブ36、38に塗布される。接着剤42は、中実なストリップ42Aおよび細い線42Bにて配置される。したがって、接着剤42は、例えば長手方向Xに連続する複数の接着剤の線42Bを形成する。弾性フィルム40は、幅L40を有する。滑り止めストリップ34のベース34Aの幅L34Aは、弾性フィルム40の幅L40よりも小さい。
図2Aの例において、滑り止めストリップ34のベース34Aの幅L34Aは、弾性フィルム40の幅L40の25%に相当する。
【0168】
滑り止めストリップ34を、支持層32の上面30Aに結合させることができ、さらには/あるいは超音波によって溶接することができる。また、滑り止めストリップ34を、
図2Aに示したやり方で、支持層32を少なくとも部分的にベース34Aへと進入させるべく、滑り止めストリップ34のベース34Aが完全に固化する前に滑り止めストリップ34を第2の不織ウェブ38と積層することによって、接合することも可能である。
【0169】
滑り止めストリップ34を、例えば
図20に示されるような装置100を使用して製造することができる。装置100は、積層アセンブリ30用の滑り止めストリップ34の製造を可能にする。滑り止めストリップ34は、連続的なベース34Aおよび複数の突出要素34Bを含む。
図20の実施形態において、各々の突出要素34Bは、ヘッド50を載せたステム48を含む。ヘッド50は、ベース34A、とくにはベース34Aの上面34AAとは反対の突出要素34Bの端部に配置される。
【0170】
図示の装置100は、2つのローラ104A、104Bを含む回転駆動手段104上に配置された成形ストリップ102と、エラストマー成形材料の射出を実行するように適合されたインジェクタなどの材料分配手段106とを含む。
【0171】
したがって、成形ストリップ102および回転駆動手段104によって形成されるアセンブリが、成形装置を形成する。
【0172】
2つのローラ104A、104Bを含む図示の例は、網羅的なものではなく、ローラの数および配置は、とくには成形ストリップ102の長さおよび装置の種々のステーションに合わせて変更されてよい。例えば、ローラを3つ使用してもよく、あるいはローラを1つだけ使用し、成形ストリップを、スリーブを形成するようにこの1つのローラの周りに配置してもよい。とくには、例えばローラ104Aなど、2つのローラのうちの一方だけを、動力手段によって駆動して回転させることができ、他方のローラ104Bは自由であり、すなわち動力手段を持たず、ローラ104Aによって駆動される成形ストリップによって駆動されて回転する。成形ストリップの移動の方向が、滑り止めストリップの方向MDを定める。
【0173】
図示の成形ストリップ102は、内面102Aおよび外面102Bを含み、内面102Aが回転駆動手段104に接触している。
【0174】
材料分配手段106は、成形材料を成形ストリップ102の外面102Bへと射出するように配置される。
【0175】
具体的には、材料分配手段106は、
図20に示されるエアギャップeを定めるように成形ストリップ102から離間させて成形ストリップ102に対向して配置され、成形ストリップ102の外面102Bへと射出された材料の境界は、成形ストリップ102の移動方向に関して成形ストリップ102上に射出された材料の後縁に対応する参照符号Aによって示されている。
【0176】
成形ストリップ102は、滑り止めストリップ34の突出要素34Bの実現を可能にする複数のキャビティ102Cを備えている。
【0177】
各々のキャビティ102Cは、成形ストリップ102の外面102Bから内面102Aへと延びるステム102C1と、ステム102C1と成形ストリップ102の内面102Aとの間を延びるヘッド102C2とを定めるように形成されている。
【0178】
図示の例において、キャビティ102Cのヘッド50は、成形ストリップ102の内面102Aへと開いている。したがって、キャビティ102Cは貫通している。キャビティ102Cは行き止まりであってもよく、すなわち成形ストリップ102の内面102Aにおいて開いておらず、さらには/あるいはキャビティ102Cは、ただ1つスタッドまたはピンを有してもよい。
【0179】
キャビティ102Cのうちのステム102C1を形成する部分は、典型的には、成形ストリップ102の外面102Bに垂直な方向に延びる。キャビティ102Cのうちのステム102C1を形成する部分は、典型的には、成形ストリップ102の外面102Bに垂直な軸を中心とする回転形状を有し、あるいは成形ストリップ102の移動方向に平行な方向および/または成形ストリップ102の移動方向に垂直な方向に延びる対称面を有する形状を有する。
【0180】
キャビティ102Cのうちのヘッド102C2を形成する部分は、典型的には、成形ストリップ102の外面102Bに垂直な軸に対して半径方向または横方向に広がり、成形ストリップ102の外面102Bに垂直なこの軸を中心にして回転対称であってよい。キャビティ102Cのうちのヘッド102C2を形成する部分は、典型的には、実質的に切頭円錐形または六面体の形状を有する。
【0181】
キャビティ102Cのうちのヘッド102C2を形成する部分は、直線状であってよく、あるいは例えばキャビティ102Cのうちのステム102C1を形成する部分から延びる成形ストリップ102の内面102Aまたは外面102Bへと向かう湾曲部分を形成するように、湾曲していてもよい。
【0182】
キャビティ102Cのうちのヘッド102C2を形成する部分は、一定の厚さまたは変化する厚さを有することができる。
【0183】
図示の例において、キャビティ102Cのうちのヘッド102C2を形成する部分は、キャビティ102Cのうちのステム102C1を形成する部分の周りを半径方向に延び、概して円板状である。
【0184】
成形ストリップ102は、その内面102Aまたは外面102Bに、溝、溝パターン、あるいはベントまたはピンパターンなどの特定のテクスチャを有することができ、あるいは例えば参照によって援用される国際公開第2017187103号に記載されているように、実質的に平滑であってよい。
【0185】
成形ストリップ102は、いくつかのストリップを重ねることによって形成されてもよく、したがって必ずしも単一の部品または材料ではない。
【0186】
材料分配手段106は、典型的には、成形ストリップ102のうちの駆動ローラ(この場合には
図20および/または
図21に示される例における駆動ローラ104A)に支持される部分において、成形ストリップ102への成形材料の射出を実行するように配置される。したがって、駆動ローラは、キャビティ102Cの底部を形成する。
【0187】
成形ストリップ102が駆動ローラに支持されていない状態で成形材料の射出が行われる場合、材料分配手段106は、成形ストリップ102の反対側に配置されるベースを含むことができ、したがって成形ストリップ102の内面102Aは、材料の射出が行われるときにこのベースに支持され、すなわちベースが成形ストリップ102のキャビティ102Cの底部を形成する。
【0188】
成形キャビティが直接形成されたローラなどの従来からの成形手段の使用と比べ、成形ストリップ102を駆動手段104と組み合わせて使用することは、いくつかの理由で好都合である。
【0189】
成形ストリップ102の使用は、モジュール性の観点からとくに有利である。実際に、分解および再組み立ての作業の実行がきわめて複雑である大規模なローラと異なり、成形ストリップは、駆動手段から容易に取り外して交換することができる。このような利点は、2つのローラ104A、104Bが同じ側でフレームに固定されており、他方側の端部から成形ストリップを自由に導入/取り外しできる場合に、とくに顕著である。成形ストリップの挿入および/または取り外しを容易にするために、成形ストリップをガイドする手段をさらに使用することも可能である。ガイド手段は、成形ストリップのための引っ張り要素を含むことができる。
【0190】
さらに、成形ストリップの製造は、成形キャビティを備えたローラの製造と比べて大幅に簡略化される。実際に、このようなローラは、典型的には連続したスライスを積み重ねることによって作製され、したがって多数の機械加工作業が必要であり、組み立て時および突出要素の参照の変更のたびに大きな制約が生じ、質量が大きいためにこれらのローラを両端で保持する必要があり、結果として交換が複雑になる。
【0191】
成形ストリップ102のキャビティ102Cは、エッチングプロセスによって製造でき、あるいは突出要素34Bの形成が望まれる場所にレーザを使用することによって製造することができる。キャビティ102Cが成形ストリップ102の全体にわたって均一に分布した成形ストリップ102を製造し、その後に突出部34Bの存在しないゾーン20の形成が望まれる場所のキャビティ102Cを埋めることも考えられる。例えばニッケルまたはステンレス鋼あるいは非ステンレス鋼で作られた成形ストリップを使用することができる。
【0192】
滑り止めストリップ34と成形ストリップ102との間の分離は、例えば滑り止めストリップ34のベース34Aがもはや成形ストリップ102に接触していない地点に、参照符号Cによって
図20に示されている。成形ストリップ102を、剥離ローラ108へと載せることができ、すなわち剥離ローラ106が成形ストリップ102にレバーを形成して、金型からの突出要素の解放を容易にすることができる。
【0193】
図示の例において、成形ストリップ102のキャビティ102Cは貫通している。したがって、装置は、必要に応じて、成形ストリップ102の内面102Aをこすって余分な成形材料を除去するように配置されたドクターブレード110などの要素を含むことができる。射出とは、例えば送出、送り、成形、射出、押し出し、などの溶融した成形材料を成形する行為を意味する。
【0194】
このように、滑り止めストリップ34を、エラストマー材料を材料分配手段106によって成形ストリップ102のキャビティ102Cへと成形ストリップ102の外面102Bに対して分配することによって形成することができる。
図20の成形ストリップ102は、キャビティ102Cを有し、各々のキャビティは、成形ストリップ102の外面102Bから内面102Aへと延びるステム102C1と、ステム102C1と成形ストリップ102の内面102Aとの間を延びるヘッド102C2とを定めるように形成されている。成形ストリップ102は、ヘッド102C2を定めるための部分を持たないキャビティ102を含むことができる。また、成形ストリップ102のキャビティ102Cは、非貫通のキャビティであってもよく、したがって成形ストリップ102の内面102Aへと開いていなくてもよい。
【0195】
ヘッドを載せたステムを含む突出要素が、
図28に示されている。これらの突出要素は、
図20~
図23に示される突出要素を、駆動ローラ122および成形ローラ124を含む成形装置120でカレンダ加工することによって得られる。
【0196】
対称的かつ平坦なヘッド50が望まれる場合、駆動ローラ122および成形ローラ124の速度は同一である。
【0197】
非対称なヘッド50を形成する場合、駆動ローラ122および成形ローラ124の速度は異なる。とくには、以下の比V122/V124=Aを使用することができ、Aは0.4以上、好ましくは0.65以上、かつ1.6以下、好ましくは1.35以下である。
【0198】
滑り止めストリップ34の例が、
図8A~
図8Fに示されている。見て取ることができるとおり、すべての突出部34Bが均一な高さH34Bを有するわけではなく、異なる幅L34BBを有してもよい(とくには、
図8Eの実施形態を参照)。また、突出要素34Bが、一般に、長手方向Xに繰り返される滑り止めストリップパターン44を形成することを、見て取ることができる(
図8A~
図8Fを参照)。滑り止めストリップパターンは、滑り止めストリップ34のベース34Aの全幅L34A、すなわち横方向Yまたは方向CDにおける滑り止めストリップの寸法にわたって広がる。しかしながら、滑り止めストリップ34は、
図8Fに示されるように、繰り返しパターンを有さず、単一の滑り止めストリップパターンから形成されてもよい。突出要素34Bは、閉じた輪郭44Aを有する滑り止めストリップパターン44を形成することができる。突出要素34Bは、長手方向Xと横方向Yとで異なる密度を有してもよく、さらには/あるいは長手方向Xおよび/または横方向Yに沿って異なる密度を有してもよい。
【0199】
次いで、支持層32を、接着剤、超音波溶接、ならびに/あるいはベース34Aまたは支持層32の溶融によって、滑り止めストリップ34と接合することができる。
【0200】
上述の装置および関連のプロセスは、支持層32をベース34Aに組み立てるための手段およびステップも有することができる。
【0201】
滑り止めストリップ34のベース34Aへの支持層32の組み立てを実行するために、提案される装置100は、テープ送りを実行し、支持層32を材料分配手段106の下流でベース12の下面34ABに対して適用するように適合された支持層32を駆動するための手段を含むことができる。
【0202】
図21および
図22が、そのような手段を含む装置100の例を概略的に示している。
図22は、
図21のゾーンXXIIの詳細図である。
【0203】
図示のとおりの装置は、
図20を参照してすでに示した装置に似ており、したがって共通の要素については再度は説明しない。
【0204】
図20および
図21から見て取ることができるように、図示の装置は、ここでは2つのローラ112A、112Bで構成され、材料分配手段106の下流に支持層32の供給をもたらすように構成されたウェブ駆動手段112を含む。この実施形態において、滑り止めストリップ34の方向MDは、支持層32の方向MDと併合される。
【0205】
支持層32は、典型的には、不織材料の層、熱可塑性フィルム、弾性フィルム、または複合フィルム、あるいは熱によって圧密化された繊維および/またはフィラメントの集合体である。
【0206】
図20および
図21に示される例において、支持層32は不織ウェブとして示されている。
【0207】
支持層32の駆動手段112は、支持層32を装置へと送り、この支持層32を材料分配手段106の下流においてベース34の下面34ABに対して適用するように構成される。
【0208】
駆動手段112は、この適用がベース34Aの完全な固化の前に実行されるように構成される。したがって、この適用の結果として、支持層32がベース34の下面34ABによって定められる平面を過ぎて少なくとも部分的に進入する。ベース34Aと支持層32との間の接触の地点は、図において参照符号Bによって示されている。
【0209】
より正確には、ベース34の下面34ABは実質的に平坦であり、平面を定めている。この下面34ABに対して支持層32を適用することで、例えば支持層32が不織ウェブである場合の不織ウェブの繊維および/またはフィラメントなど、支持層32の一部が、ベース34Aへと進入し、したがってベース34Aの下面34ABを貫く。
【0210】
このような適用が、ベース34Aの完全な固化の前に行われるので、このような結合を達成するために、ベース34Aおよび/または支持層32を加熱する必要はない。
【0211】
例として、VISTAMAXX 7050 FLX(テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemicalから入手可能)で作られたベース34Aを考えると、ベース34Aの下面34ABに対する基材の適用は、典型的には、ベース34Aの下面34ABが、材料の溶融温度と構成材料のビカーB軟化温度マイナス30℃との間または構成材料の溶融温度と構成材料のビカーA軟化温度との間に含まれる温度を有するときに実行される。より具体的には、ベースがポリオレフィン系の材料を含む場合、ベース34Aの下面34ABは、150℃~200℃の間に含まれる温度、典型的には175℃程度の温度を有し、この温度は、典型的には、赤外線またはレーザカメラによって測定される。ビカー軟化温度は、ISO 306またはASTM D1525規格に記載の方法のうちの1つに従って、50℃/hの加熱速度ならびにビカーBについての50Nの標準荷重およびビカーAについての10Nの標準荷重で得られる温度と定義される。
【0212】
支持層32は、ベース34Aの下面34ABに対して均一に適用されても、不均一に適用されてもよい。
【0213】
支持層32とベース34Aとの間の結合は、均一または不均一であってよい。
【0214】
支持層32が熱によって圧密化された繊維および/またはフィラメントの集まりである場合、ベース34Aへの結合は、支持層32の一部の繊維および/またはフィラメントのベース34Aへの進入によっても達成される。
【0215】
支持層32が不織ウェブである場合、突出要素を、たとえ重量が80g/m2(不織布の1平方メートル当たりの材料の質量(単位はグラム))未満の不織布であっても、金型から容易に取り外すことができる。例として、不織布の重量は、5g/m2~120g/m2の間、または25g/m2~100g/m2の間、あるいは10g/m2~70g/m2の間に含まれてよい。
【0216】
突出要素34Bを含むベース34Aに支持層32を接合するこの方法は、ベース34Aの変形を引き起こさない点できわめて有利であり、したがって射出ステップにおいて得られたベース34Aの形状の保持、とくには上述のプロセスおよび装置によって得られる直線的な縁部の保持を、好都合に可能にする。
【0217】
支持層32が不織ウェブである場合、装置は、駆動手段112の上流にカレンダ加工装置を含むことができ、これにより、ベース34Aへの適用に先立ち不織ウェブを局所的にカレンダ加工し、あるいは不織ウェブのカレンダ加工を行わないステップが可能になる。
【0218】
図21および
図22の装置100を、滑り止めストリップ34と支持層32とを積層するために使用することができ、支持層32は、例えば
図2Aの支持層32など、熱可塑性フィルム(弾性または非弾性)を有しても、あるいは有さなくてもよい1つ以上の不織ウェブを含むことができる。
【0219】
また、
図21および
図22の装置100を、滑り止めストリップ34を
図2Aの第2の不織ウェブ38に接合するために使用することができ、次いで第2の不織ウェブ38および滑り止めストリップ34は、
図2Aの弾性フィルム40および第1の不織ウェブ36に接合される。
【0220】
図3の実施形態は、とくには滑り止めストリップ34が第2の不織ウェブ38を通過し、突出要素34Bが積層アセンブリ30の上面30Aから突出しているという点で、
図2Aの実施形態から相違する。
【0221】
この実施形態において、滑り止めストリップ34は、第2の不織ウェブ38を通って成形ストリップ102のキャビティ102Cにエラストマー材料を分配することによって形成される。装置100は、
図23の装置と同様に、材料分配手段106の上流に第2の不織ウェブ38の供給をもたらすように構成された駆動手段114を含む。滑り止めストリップ34は、第2の不織ウェブ38を貫いて射出され、第2の不織ウェブ38の一部分をベース34Aへと進入させる。
図23においては、簡単にするために、第2の不織ウェブ38は、第1の不織ウェブ36について示されている厚さよりも薄い厚さで示されている。第1および第2の不織ウェブ36、38の厚さは、用途に応じて、同様であっても、異なってもよい。
【0222】
このような適用が、ベース34Aの完全な固化の前に行われるので、このような結合を達成するために、ベース34Aおよび/または支持層32を加熱する必要はない。
【0223】
次いで、第2の不織ウェブ38および滑り止めストリップ34は、
図3の弾性フィルム40および第1の不織ウェブ36に接合される。ベース材料および弾性フィルム材料は、同じであっても、違ってもよいが、それでもなおエラストマー材料であってよい。
【0224】
図4の実施形態において、弾性フィルム40は、エラストマー材料で作られている。弾性フィルムのエラストマー材料は、例えば、滑り止めストリップのエラストマー材料と同じであり、第1および第2の不織ウェブ36、38は、接着剤を追加することなく弾性フィルム40に積層される。
【0225】
典型的には、第1および第2の不織ウェブ36、38を、弾性フィルム40の完全な固化に先立って、第1の不織ウェブ38をベース34Aの下面34ABに対して適用し、第2の不織ウェブ36をベース34Aの上面34AAに対して適用して、第1および第2の不織ウェブ36、38の一部分をベース34Aへと進入させることによって、弾性フィルム40に結合させることができる。
【0226】
このような適用が、ベース34Aの完全な固化の前に行われるので、このような結合を達成するために、ベース34Aおよび/または支持層32を加熱する必要はない。ベースの材料および弾性フィルムの材料は、同じであっても、違ってもよいが、それでもなおエラストマー材料であってよい。図示されていない別の実施形態によれば、第1の不織ウェブを、(例えば、
図3に示されるように、連続的であり、さらには/あるいは接着剤の線の形態である)接着剤の層を介して、弾性フィルムに結合させることができる。
【0227】
図23の装置100は、材料分配手段106の下流において第1の不織ウェブ36の供給をもたらし、材料分配手段106の上流において第2の不織ウェブ38の供給をもたらすようにそれぞれ構成された駆動手段112、114を含む。
【0228】
滑り止めストリップ34のエラストマー材料が弾性フィルム40のエラストマー材料とは異なる場合、またはフィルム40が非弾性熱可塑性フィルムである場合、
図23の装置は、材料分配手段106の下流に配置された第2の材料分配手段を含む。
【0229】
図5の実施形態において、第2の不織ウェブ38は、接着剤42による結合によって弾性フィルム40に組み立てられる。第2の不織ウェブ38は、2つの部分からなり、各部分は滑り止めストリップ34の各側に配置されている。ベース材料および弾性フィルムの材料は、同じであっても、違ってもよいが、それでもなおエラストマー材料であってよい。図示されていない別の実施形態によれば、第1の不織ウェブを、(例えば、
図3に示されるように、連続的であり、さらには/あるいは接着剤の線の形態である)接着剤の層を介して、弾性フィルムに結合させることができる。
【0230】
図2~
図4の実施形態において、滑り止めストリップは、支持層32の横方向Yにおける中央に配置される。
図5の実施形態において、滑り止めストリップは、中央に位置していない。
【0231】
滑り止めストリップ34を、
図24Aおよび
図24Bに示されるように、支持層32上のさまざまな位置に配置することができる。滑り止めストリップを、
図24A~
図24Cに示される位置の間の中間の任意の位置に配置することができる。
図24A~
図24Cにおいて、滑り止めストリップ34は、方向CDにおける寸法よりも大きい方向MDにおける寸法を有し、滑り止めストリップは、方向MDにおける長さおよび方向CDにおける幅を有すると理解される。
【0232】
図20~
図23の成形ストリップ102は、キャビティ102Cを有し、各々のキャビティは、成形ストリップ102の外面102Bから内面102Aへと延びるステム102C1と、ステム102C1と成形ストリップ102の内面102Aとの間を延びるヘッド102C2とを定めるように形成されている。成形ストリップ102は、ヘッド102C2を定めるための部分を持たないキャビティ102を含むことができる。また、成形ストリップ102のキャビティ102Cは、非貫通のキャビティであってもよく、したがって成形ストリップ102の内面102Aへと開いていなくてもよい。
【0233】
図9~
図19が、さまざまなパターンを有する滑り止めストリップ34を形成するための成形ストリップ102を示している。
【0234】
図9は、横方向Yの幅L102が突出要素パターン34Bの幅L34Bよりも大きい成形ストリップ102の一部分の図である。成形ストリップ102は、外面102Bから見られている。
図10は、
図9の切断面X-Xによる断面図であり、
図11は、成形ストリップ102の成形キャビティ102Cを示す
図10の拡大XIである。
図12は、成形ストリップ102のキャビティ102Cを示す
図9の拡大図である。
図9の実施形態において、成形ストリップ102の有孔部分が、成形ストリップ102の対称軸Aに対して中心に位置していないことに留意されたい。滑り止めストリップ34のベース34A上の突出要素34Bの幅L34Bに対応する成形ストリップ102の有孔部分は、対称軸A上に中心を有しても、あるいは
図9の左方または右方にオフセットされてもよい。
【0235】
例えば、
図9~
図12の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、22.52mm
2のゾーンが49個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき217.616個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の13.40%を呈する。
【0236】
図13は、
図12の図と同様の成形ストリップ102の図であり、
図14は、
図13のパターンについて、
図11の図と同様の平面XIVに沿った断面図である。
図13は、成形ストリップ102のキャビティ102Cの「花」パターンを示している。
図14に示されるように、キャビティ102は、金型からの突出部分の取り出しを容易にするために、ここでは10°以下の角度αであるドラフトを有することができる。
【0237】
例えば、
図13および
図14の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、130mm
2のゾーンが30個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき23.077個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の29.05%を呈する。
【0238】
図12の図と同様の図である
図15~
図19は、成形ストリップ102のキャビティ102Cによって形成される他のパターンを示している。
図19は、
図18のパターンについての
図14の図と同様の図である。見て取ることができるとおり、キャビティ102Cは連続的でなく、均一な深さを有さない。キャビティ102Cは、3つの異なる高さH102C1、H102C2、H102C3を有する。
【0239】
例えば、
図15の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、110mm
2のゾーンが11個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき10個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の25.15%を呈する。
【0240】
例えば、
図16の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、382.78mm
2のゾーンが225個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき58.78個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の8.11%を呈する。
【0241】
例えば、
図17の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、251.66mm
2のゾーンが405個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき160.93個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の9.91%を呈する。
【0242】
例えば、
図18の成形ストリップ102でエラストマー材料を分配することによって得られる滑り止めストリップ34は、横方向Yに測定される幅L34Aが20mmに等しい滑り止めストリップである。滑り止めストリップの全幅L34Aを考慮すると、187.35mm
2のゾーンが35個の突出要素34Bを備え、すなわち1cm
2につき18.682個の突出要素の密度であり、ベース34Aの総面積の25.22%を呈する。
【0243】
図29に示されるように、滑り止めストリップ34は、成形ストリップ102へとエラストマー材料を射出することによって得られるため、滑り止めストリップ34は、
図29の長手方向Xに延びる。横方向Yも
図29に示されている。ここで、長手方向Xは、マシン方向MDに平行であり、すなわち滑り止めストリップ34の移動方向に平行である。
【0244】
この滑り止めストリップ34について、長手方向Xに沿ってそれぞれ延びる2つの縁部Bが定義され、これら2つの縁部Bは、長手方向Xに直交する横方向Yにおける滑り止めストリップ34のベース34Aの2つの端部を定める。
【0245】
突出要素は、一般に、縁部Bに近付けて、例えば突出要素のピッチPの2~3個分の間に含まれ、典型的にはピッチPの2または3個分に等しい縁部Bからの距離Dに配置され、距離Dは、長手方向Xに対する横方向Yに測定される。2つの突出要素の間のピッチPは、長手方向における2つの連続する突出要素の間の距離に対応する。
図29に示される例においては、突出要素が、長手方向Xに延びる列に配置され、これらの列が横方向Yに同一に繰り返されている。突出要素を、例えば突出要素の列を長手方向にずらすことによって、千鳥配置または「ハニカム」配置で配置することも可能である。
【0246】
図29に示されるように、縁部Bの各々は、山と谷との連続を有し、この連続は、長手方向Lに延びており、これらの山および谷は、滑り止めストリップ34のベース34Aによって形成される平面に平行な平面内を延び、これらの山および谷は、滑り止めストリップ34の形成のための成形材料の分配におけるわずかな不規則性を反映しており、完全に真っ直ぐな縁部は工業的に実現可能ではないと理解される。
【0247】
谷が、縁部Bのうちの滑り止めストリップ34から内側へと突出する領域であると理解される一方で、山は、縁部Bのうちの滑り止めストリップ34から外側へと突出する領域であると理解される。
【0248】
したがって、縁部Bの規則性を、これらの連続する山および谷によって評価することができる。
【0249】
縁部Bは、長手方向を横切る方向の断面において見たときに、丸みを帯びた形状の部分を有する。とくに、丸みを帯びた形状は、ベース34Aの横方向外側を向いている。この丸みを帯びた形状は、ベース34Aの形成時に生じる。換言すると、この丸みを帯びた形状は、切断によって得られたものではない。
【0250】
上述の装置およびプロセスは、3つの連続する山に対応する長手方向Lの長さLについて、長手方向Xに直交する横方向Yにおける山と谷との間の最大距離Eが、3mm未満、またはより正確には2mm未満、またはより正確には1mm未満であり、あるいは0.001mm~1mmの間、さらにとくには0.001mm~0.5mmの間、さらにとくには0.001mm~0.1mmの間に含まれるような滑り止めストリップ34の縁部Bを得ることを可能にする。
【0251】
このような定義は、3つの連続する谷に対応する長さについても適用可能であり、横方向Yにおける山と谷との間の最大距離が、3mm未満、またはより正確には2mm未満、またはより正確には1mm未満であり、あるいは0.001mm~1mmの間、さらにとくには0.001mm~0.5mmの間、さらにとくには0.001mm~0.1mmの間に含まれる。
【0252】
3つの連続する山または谷は、典型的には、15ステップPの突出要素に対応する距離よりも短く、好ましくは25mmの距離よりも短い。
【0253】
「真っ直ぐな」とみなすことができる縁部Bを得ることが有利であり、なぜならば、例えば切断ステップなどのエッジを修正する事後の工程が不要になり、このような真っ直ぐな縁部は、ユーザに製品品質の表れとして知覚されるからである。
【0254】
さらに、使用される設備およびプロセスは、テープの縁部に機能的な意味を持たない余分な厚さを必要とすることなく、このような真っ直ぐな縁部を得ることを可能にする。
【0255】
以上の説明から理解できるように、真っ直ぐな縁部は、材料分配手段106によって成形材料を射出することによって得られる。後続の離型および形成ステップは、これらのステップが滑り止めストリップ34のベース34Aの縁部への力の印加をもたらさない限り、上述のようにこれらの真っ直ぐな縁部を維持する。したがって、これらの種々のステップの終わりにおいて、このようにして得られた滑り止めストリップ34は、上記定義の真っ直ぐな縁部を有する。
【0256】
静止摩擦係数、残留変形、および破断点伸びを測定するために、測定試料が、同様のやり方で、後述の方法に従って調製される。
【0257】
積層アセンブリは、24時間にわたって23°C±2°Cの温度および50%±5%の相対湿度で、ASTM D5170で定められているように、通常の雰囲気でコンディショニングされる。
【0258】
静止摩擦係数は、ASTM D1894に従って、63mm×63mmの面積を有する200g(グラム)のパッドを滑り止めストリップの表面にわたって150mm/min(ミリメートル/分)の速度で移動させることによって測定される。
【0259】
試験の第1の部分において、積層アセンブリの試料を、接着テープを使用して、完全に平坦な位置で試験システムの摩擦テーブルに取り付けた。材料試料を摩擦テーブルに接着するために使用することができるテープの種類は、当業者にとって周知であるため、本書ではこれ以上詳しくは説明しない。
【0260】
試験の別の部分においては、「TEXBOND nonwovens」という会社から入手することができるULTRATEX D 1A 60 XというブランドのSpunbond不織布(60 gsm PP(グラム/平方センチメートル))で作られた前部耳が、Spunbondのカレンダ加工された面を積層アセンブリの試料の上面に向けて、積層アセンブリの試料の上面に面するパッドの下面に配置される。パッドは、少なくとも15mmの長さにわたって、試験対象の試料の上を平行移動にて移動させられて、静止摩擦係数の値が取得可能になる。
【0261】
15%の伸びにおける静止摩擦係数を測定するために、積層アセンブリ30の試料は、両面接着剤によって滑り止めストリップ34の15%の伸びに保持される。測定方法は、静止時における静止摩擦係数の測定と同じである。
【0262】
例えば「APLIX」という会社から入手可能である製品番号FM27R0140N010-AS02Nの「High Stretch Surefit 100」という商品名で市販されている積層アセンブリなど、滑り止めストリップを持たない積層アセンブリの試料について、静止時における静止摩擦係数は、方向MDにおいて0.37であり、方向CDにおいて0.42である。
【0263】
High Stretch Surefit 100の支持層と、
図9の成形ストリップ102によって得られた滑り止めストリップとを備える積層アセンブリについて、静止摩擦係数は、静止時においては方向MDにおいて0.53および方向CDにおいて0.88であり、試料を方向CDに15%引き伸ばした場合には方向MDにおいて0.73および方向CDにおいて0.99である。
【0264】
High Stretch Surefit 100の支持層と、
図13の成形ストリップ102によって得られた滑り止めストリップとを備える積層アセンブリについて、静止摩擦係数は、静止時においては方向MDにおいて0.71および方向CDにおいて1.06であり、試料を方向CDに15%引き伸ばした場合には方向MDにおいて0.57および方向CDにおいて1.07である。
【0265】
High Stretch Surefit 100の支持層と、
図15の成形ストリップ102によって得られた滑り止めストリップとを備える積層アセンブリについて、静止摩擦係数は、静止時においては方向MDにおいて0.54および方向CDにおいて0.72であり、試料を方向CDに15%引き伸ばした場合には方向MDにおいて0.79および方向CDにおいて0.84である。
【0266】
残留変形および破断点伸びを測定するために、測定設備は、例えばMTS Systems Corp.から入手することができる1カラム型のSynergy 200Hなど、EN 10002によるダイナモメータであり、TESTWORKS 4.04Bユーザソフトウェアと組み合わせられる。
【0267】
試料52が、カッターまたはハサミで所望の形状に切断される。
図25を参照されたい。試料52は、等脚台形の全体的な形状を有する。
【0268】
滑り止めストリップ34は、長さおよび幅を有する。滑り止めストリップの長さが方向MDに平行である場合、試料52は、方向CDに80mmの寸法を有する。
図25に示されるように、等脚台形の短い底辺および長い底辺は、方向MDに平行であり、それぞれ50mmおよび84mmの寸法である。
【0269】
試料52の各々の縁部は、両面接着剤で試料に取り付けられた補強材で補強される。次いで、試料52の補強された各々の縁部が、ダイナモメータ200の顎部202、204に配置される(
図26を参照)。試験前の2つの顎部202、204の間の距離は、40mmである。
【0270】
破断点伸びの試験は、顎部202、204の互いに対する移動速度を一定にして行われる。一般に、ここでは下方の顎部204であるが、一方の顎部は固定され、ここでは上方の顎部202であるが、他方の顎部が可動である。破断点伸びの試験を行うために、可動な顎部が、破断が検出されるまで、508mm/minの一定の速度で動かされる。
【0271】
破断点伸びの試験は、試料52の初期サイズのパーセンテージとして表され、あるいはmmで表される10N(ニュートン)における破断点伸び、試料52の初期サイズのパーセンテージとして表され、あるいはmmで表される破断点伸び、およびNで表される破断時の力をもたらす。
【0272】
破断点伸びの試験曲線が、
図27に示されている。
図27のグラフにおいて、x軸は、試料52の元のサイズのパーセントで表現された伸びを表し、y軸は、Nで表現された力を表す。曲線1は、滑り止めストリップを含む積層アセンブリについての破断点伸びの試験を表し、曲線2は、曲線1の積層アセンブリの支持層、すなわち滑り止めストリップを備えない積層アセンブリの破断点伸びの試験を表している。破断点伸びが、曲線1および2について実質的に同様であることを、見て取ることができる。他方で、試料52の破れに到達するために必要な力は、支持層が滑り止めストリップを含む場合により大きい。最大力に達する前の任意の伸びにおいて、滑り止めストリップを含む積層アセンブリについて得られた力は、滑り止めストリップを備えない積層アセンブリについて得られた力よりも大きい。
【0273】
残留変形の試験は、破断点伸びの試験の試料52と同じ種類の試料を用いて、同じ設備で行われる。
【0274】
動く顎部は508mm/minという一定の速度を有し、初期の顎部の距離は40mmであり、試料は10Nの力に達するまで引き伸ばされる。ひとたび10Nの力に達すると、可動な顎部の動きが停止され、ギャップが30秒間維持される。次いで、顎部が一定の速度で最初の位置へと動かされ、試料52は60秒間にわたってこの位置に保持される。
【0275】
結果は、Nで表される引き伸ばし力を初期の試料のサイズの%で表される伸びの関数として与える曲線である。この曲線は、サイクルの終わりにおける残留変形またはSET変形を次のように決定することを可能にするヒステリシスを有する:SET=可動な顎部が最初の位置、すなわち40mmという顎部の間隔へと戻るときの可動な顎部の移動中に測定された曲線のX軸との交点。
【0276】
本開示を、特定の典型的な実施形態を参照して説明したが、これらの例について、特許請求の範囲によって定められるとおりの本発明の全体的な範囲を超えることなく、さまざまな修正および変更が可能であることは明らかである。さらに、言及された異なる実施形態の個々の特徴を、さらなる実施形態において組み合わせてもよい。したがって、説明および図面は、限定の意味ではなく、例示の意味で考慮されるべきである。例えば、滑り止めストリップは、支持層の方向MDに平行ではない方向MDを有してもよい。
図2A~
図8F、
図20~
図25、および
図28の実施形態の代案の実施形態として、
図20~
図23によるヘッドを載せたスタッドおよび/またはピンおよび/またはステム、ならびに/あるいは
図28によるヘッドを載せたステムを有することが可能である。