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特許7509692架橋組成物、それを含むパーソナルケア組成物、および形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】架橋組成物、それを含むパーソナルケア組成物、および形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/38 20060101AFI20240625BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C08G77/38
A61Q1/00
A61Q19/00
A61K8/89
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020556783
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019029961
(87)【国際公開番号】W WO2019213112
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】62/664,654
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バウムガルトナー、リヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハラー、ロクサーヌ レネ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレティック、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】レイター、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】グエン、キンマイ チ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、ケニス エドワード
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08080287(US,B1)
【文献】特表2016-540101(JP,A)
【文献】特表2017-501210(JP,A)
【文献】特開2004-156004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00- 64/42
77/00- 77/62
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)を含む架橋組成物であって、
【化1】
式中、R、R、およびRの各々が、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基であり、各Rが、以下の一般式(A2)の多環式無水物基を含み、
【化2】
式中、Zが、二価連結基であり、nが、0またはゼロより大きい整数であり、各Rが、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基であり、wおよびwwの各々が、独立して選択された0~1,000の整数であり、x’およびxx’の各々が、独立して選択された≧1の整数であり、x’ ’ およびxx’ ’ の各々が、独立して選択された≧0の整数であり、x’+x’ ’ の合計が、1~100の整数であり、xx’+xx’ ’ の合計が、1~100の整数であり、yおよびyyの各々が、独立して選択された0~1,000の整数であり、
Xが、以下の一般式(ii-a)、(ii-b)、または(ii-c)を含み、
【化3】
式中、Zが、二価連結基であり、nが、0またはゼロより大きい整数であり、Yが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールから形成される二価基である、架橋組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリシロキサンを含む、請求項に記載の架橋組成物。
【請求項3】
パーソナルケア組成物であって、
(a)少なくとも2つのカルボキシル基を有する架橋組成物と、
(b)少なくとも1つの化粧品成分と、
を含み、
前記架橋組成物が、請求項1又は2に記載されているとおりである、パーソナルケア組成物。
【請求項4】
ポリオルガノシロキサン組成物であって、
以下の一般式の多環式無水物化合物、
【化4】
少なくとも1つのペンダントケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物、の反応生成物を含む、ポリオルガノシロキサン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月30日に出願された米国特許出願第62/664,654号に対して優先権、およびそのすべての利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、無水物基を有するシロキサンと、無水物基と反応するヒドロキシル基を有するポリオールとの反応生成物を含む架橋組成物に関する。加えて、本発明は、一般に、架橋組成物を形成する方法、架橋組成物を含むパーソナルケア組成物、およびパーソナルケア組成物を形成する方法に関する。
【0003】
シリコーンエラストマーゲル/ブレンドは、適用時に独自の感覚プロファイルを提供することにより、スキンケアおよびヘルスケアのためのパーソナルケア配合物の審美性を高めるために広く使用されている。例えば、そのようなゲル/ブレンドは、ビロードのような、絹のような、または粉末のような感触などの感覚特徴を提供することができる。加えて、パーソナルケア(例えば、スキンケア、サンケア、化粧品)およびヘルスケア配合物にレオロジー改質を提供するためのそのようなゲル/ブレンドも評価されている。
【0004】
ほとんどのシリコーンエラストマーゲルは、SiH官能性ポリシロキサンと、ビニル官能性ポリシロキサンなどの不飽和炭化水素置換基を含有する別のポリシロキサンとの架橋ヒドロシリル化反応によって、またはSiH官能性ポリシロキサンと、炭化水素ジエンもしくは末端不飽和のポリオキシアルキレン(例えば、PEG/PPG)との架橋によって、得られる。これらのシリコーンエラストマーゲルは、大抵は非極性有機溶媒と相溶性である。残念ながら、そのようなシリコーンエラストマーゲルは、炭化水素油、エステル油、および植物ベースの油などの極性溶媒を含む配合物では、多様性が限定される。
【0005】
様々なシリコーンが提案されてきたが、それらは、1つ以上の欠陥を抱えている。例えば、いくつかのシリコーンは、悪臭を放ち、また他のシリコーンは、コストが非常に高い反応物を利用する。加えて、いくつかのシリコーンまたはそれらの成分は、安定性の問題を抱え、これは、ゲル化または保存期間の低下につながる可能性がある。上記を考慮して、臭いが全くないかほとんどなく、かつ配合の多様性が増加した費用効果の高いシリコーンを提供する機会、ならびに優れた審美的およびレオロジー特性を有するシリコーンを提供する機会が存在したままである。改善された化粧品組成物などの改善されたパーソナルケア組成物、およびそのような組成物を形成する改善された方法を提供する機会も存在したままである。
【発明の概要】
【0006】
架橋組成物が提供される。様々な実施形態では、架橋組成物は、少なくとも1つのペンダント多環式無水物基を有する第1のシロキサンと、少なくとも1つのペンダント多環式無水物基を有する第2のシロキサンと、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールとの反応生成物を含む。
【0007】
特定の実施形態では、架橋組成物は、少なくとも1つのペンダント無水物基を有する第1のシロキサンと、少なくとも1つのペンダント無水物基を有する第2のシロキサンと、第1および第2のシロキサンのペンダント無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールとの反応生成物を含む。これらの実施形態では、ペンダント無水物基のうちの少なくとも1つは、不飽和結合を含む。
【0008】
様々な実施形態では、架橋組成物は、以下の一般式(I)を含む:
【化1】
【0009】
上記の式(I)では、R、R、およびRの各々は、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。各Rは、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。下付き文字wおよびwwの各々は、独立して選択された0~1,000の整数である。下付き文字x’およびxx’の各々は、独立して選択された≧1の整数である。下付き文字x’ ’ およびxx’ ’ の各々は、独立して選択された≧0の整数である。下付き文字x’+x’ ’ の合計は、1~100の整数である。下付き文字xx’+xx’ ’ の合計は、1~100の整数である。下付き文字yおよびyyの各々は、独立して選択された0~1,000の整数である。
【0010】
特定の実施形態では、各Rは、以下の一般式(A1)の多環式無水物基を含むか、またはそれである:
【化2】
【0011】
これらの実施形態についての上記の式(I)では、「X」は、以下の一般式(i-a)、(i-b)、または(i-c)を含むか、またはそれらである:
【化3】
【0012】
他の実施形態では、各Rは、以下の一般式(A2)の多環式無水物基を含むか、またはそれである:
【化4】
式中、Zは、二価連結基であり、nは、0またはゼロより大きい整数である。
【0013】
これらの他の実施形態についての上記の式(I)では、「X」は、以下の一般式(ii-a)、(ii-b)、または(ii-c)を含むか、またはそれらである:
【化5】
【0014】
上記の式(ii)では、Zは、二価連結基であり、nは、0またはゼロより大きい整数である。上記の式(i)または(ii)では、「Y」は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールから形成される二価基である。
【0015】
架橋組成物を形成する方法も提供される。この方法は、以下の一般式(B)のオルガノ水素ポリシロキサンを提供することを含む:
Si-O-[SiR-O-][SiHR-O-][SiR-O-]SiR (B)。
【0016】
上記の式(B)では、各Rは、独立して選択された置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素(H)である。RおよびRの各々は、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。Rは、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素である。下付き文字wは、0~1,000の整数である。下付き文字xは、1~100の整数である。下付き文字yは、0~1,000の整数である。
【0017】
この方法は、アルケニル官能性多環式無水物を提供することをさらに含む。この方法は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールを提供することをさらに含む。任意選択的に、この方法は、2~20個の炭素原子を有する線状アルケンを提供することをさらに含む。
【0018】
この方法は、ヒドロシリル化触媒の存在下で、オルガノ水素ポリシロキサンと、アルケニル官能性多環式無水物、および任意選択的に、線状アルケンとを組み合わせて、反応中間体を形成することをさらに含む。反応中間体は、少なくとも1つのペンダント多環式無水物基を有するシロキサンを含む。この方法は、シロキサンと、ポリオールとを組み合わせて架橋組成物を形成することをさらに含む。様々な実施形態では、架橋組成物は、上に記載されているとおりである。
【0019】
パーソナルケア組成物も提供される。パーソナルケア組成物は、少なくとも2つのカルボキシル基を有する架橋組成物を含む。様々な実施形態では、架橋組成物は、上に記載されているとおりである。パーソナルケア組成物は、少なくとも1つの化粧品成分をさらに含む。任意選択的に、パーソナルケア組成物は、化粧学的に許容される媒体をさらに含む。例えば、化粧品成分(複数可)は、化粧学的に許容される媒体中にあり得る。
【0020】
多環式無水物組成物も提供される。多環式無水物組成物は、トリエン化合物と、無水マレイン酸との反応生成物を含む。トリエン化合物は、以下の一般式のものである:
【化6】
【0021】
ポリオルガノシロキサン組成物も提供される。ポリオルガノシロキサン組成物は、多環式無水物化合物と、少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物との反応生成物を含む。多環式無水物化合物は、以下の一般式のものである:
【化7】
【発明を実施するための形態】
【0022】
様々な実施形態では、架橋組成物は、本明細書では、架橋シロキサン組成物または単にエラストマーと称され得る。エラストマーは、シロキサン系エラストマーまたはポリシロキサン系エラストマーと称され得る。様々な実施形態では、パーソナルケア組成物は、本明細書では化粧品組成物と称され得る。
【0023】
架橋組成物
第1および第2のシロキサンは、まとめて「シロキサン」と称される。特定の実施形態では、架橋組成物は、シロキサンと、ポリオールとの反応生成物から本質的になる。さらなる実施形態では、架橋組成物は、シロキサンと、ポリオールとの反応生成物からなる。特定の実施形態では、架橋組成物は、第1および第2のシロキサンに加えて、それらとは異なる(かつ以下に記載される第3のシロキサンとは異なる)1つ以上のシロキサンを含むことができる。
【0024】
本開示の第1の一般的な実施形態(「第1の実施形態」)では、ポリオールは、有機ポリオールを含む。第1の実施形態では、ポリオールはまた、本質的に有機ポリオールからなり得、任意選択的に、有機ポリオールからなり得る。本開示の第2の一般的な実施形態(「第2の実施形態」)では、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する第3のシロキサンを含む。第3の実施形態では、ポリオールはまた、本質的に第3のシロキサンからなり得、任意選択的に、第3のシロキサンからなり得る。第3のシロキサンはまた、ヒドロキシル官能性シロキサンまたはヒドロキシル官能性ポリシロキサンと称され得る。さらなる実施形態では、ポリオールは、前述のポリオールのうちの2つ以上の組み合わせを含む。例えば、ポリオールは、1つ以上の有機ポリオールおよび/または1つ以上の第3のシロキサンを含むことができる。
【0025】
特定の実施形態では、エラストマーを形成するために使用されるシロキサンは、それらの骨格の各々内のシロキサン結合(Si-O-Si)からなる。代替的に、シロキサンの各々は、1つ以上の二価基、例えば、-CH-連結基によって分離されたシロキサン結合を含み得る。好適な二価基のさらなる例には、ポリエーテル基、例えば、-CHCHO-連結基(すなわち、EO基)、-CH(CH)CHO-連結基(すなわち、PO基)などが含まれる。異なる二価基の組み合わせは、それらの骨格の各々内に存在し得る。二価基の各々は、単回または例えば2回、5回、10回、>10回などの繰り返しであり得る。特定の実施形態では、第1および第2のシロキサンは、ポリエーテル基を含まない。
【0026】
様々な実施形態では、シロキサンの各々は、少なくとも1つの[SiR-O-]単位(「D」またはRSiO2/2単位)を含む。さらなる実施形態では、シロキサンの各々は、反復D単位を有し、これは、一般に、シロキサンの線状部分を構成する。反復D単位の量は、シロキサン骨格の重合度(「DP」)とも称され得る。なおさらなる実施形態では、シロキサンの各々は、末端RSiO1/2(「M」)単位を有する。これらの実施形態では、Rは、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。「置換」とは、炭化水素の1つ以上の水素原子が、水素以外の原子(例えば、ハロゲン原子)で置き換えられ得るか、またはRの鎖内の炭素原子が、炭素以外の原子で置き換えられ得、すわなち、Rは、例えば、酸素、硫黄、窒素などの鎖内に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。
【0027】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるシロキサンの各々は、任意選択的に、分岐状、部分的に分岐状であり得、かつ/または三次元網目構造を有する樹脂部分を含み得る。そのような実施形態では、それぞれのシロキサンは、RSiO3/2(「T」)単位および/またはSiO4/2(「Q」)単位をさらに含み得る。シロキサン、または存在する場合は樹脂部分の分岐は、T単位および/またはQ単位の存在に起因する可能性がある。分岐はまた、1つ以上のD単位の側基に起因し得る。様々な実施形態では、シロキサンは、T単位、Q単位、またはTおよびQ単位の両方を含まない。複数のシロキサンが記載されている場合、シロキサンは、同じであっても異なっていてもよく、例えば、一方は線状であり、一方は分岐しており、両方が分岐しており、両方が線状である、などである。
【0028】
特定の実施形態では、架橋組成物は、ポリオールに加えて補助架橋剤を用いて形成することができる。好適な補助架橋剤の例には、他のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適な補助架橋剤、および架橋組成物を形成するために、かつ/またはそれと組み合わせて使用することができる他の任意選択の成分は、米国特許第5,444,139号および同第8,026,330号、ならびに米国特許出願第2012/0040931号に記載されている。架橋組成物を形成するために、かつ/またはそれと組み合わせて使用することができるさらに好適な補助架橋剤およびシロキサンは、米国特許出願第2016/0194456号、同第2016/0199286号、同第2016/0200876号、および同第2017/0065514号、ならびに米国特許第9,822,221号および同第9,714323号に記載されている。架橋剤、補助架橋剤、(機能性および/もしくは非機能性)樹脂、ならびに/またはシロキサンの組み合わせを利用することができる。
【0029】
上記の一般式(I)を再び参照すると、好適なヒドロカルビル基には、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルカリール基、およびアラルキル基が含まれる。様々な実施形態では、R、R、およびRの各々は、独立して選択されたアルキル基である。好適なアルキル基は、線状、分岐状、または環状であり得る。R、R、および/またはRとして存在する場合、アルキル基は、一般に1~20、1~15、1~10、1~6、1~4、1、もしくは2個の炭素原子、またはその間の任意の数の炭素原子を有する。好適なアルキル基の具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが含まれる。特定の実施形態では、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、メチル基(すなわち、-CH)である。さらなる実施形態では、R、R、およびRの各々は、メチル基である。
【0030】
様々な実施形態では、各Rは、独立して選択されたアルキル基、アリール基、またはポリエーテル基である。特定の実施形態では、各Rは、独立して、Rまたは2~20個の炭素原子を有するアルキル基である。さらなる実施形態では、各Rは、独立して、4~10個の炭素原子、任意選択的に、6~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0031】
がポリエーテル基の場合、ポリエーテル基は、一般に-OR’基で終了する。R’は、アルキル基またはアリール基であってもよく、2~49、2~24、2~9、2~4、もしくは2個のエーテル結合、またはその間の任意の数のエーテル結合があってもよい。特定の実施形態では、Rは、2~20、2~15、2~10、2~8、4~6、5、もしくは6個の炭素原子、またはその間の任意の数の炭素原子を有する独立して選択されたアルキル基である。特定の理論に束縛または制限されることなく、例えば溶媒中のエラストマーの有機相溶性は、第1および第2のシロキサン骨格の一方または両方、例えばR上に長鎖アルキル基を有することによって高めることができると考えられる。
【0032】
様々な実施形態では、wおよびwwの各々は、独立して選択された1~300の整数である。特定の実施形態では、wおよびwwの各々は、独立して選択された50~200の整数である。さらなる実施形態では、wおよびwwの各々は、独立して選択された75~125の整数である。
【0033】
様々な実施形態では、x’およびxx’の各々は、独立して選択された≧2の整数である。特定の実施形態では、x’およびxx’の各々は、独立して選択された2~20の整数である。様々な実施形態では、x’ ’ およびxx’ ’ の各々は、独立して選択された≧1の整数である。特定の実施形態では、x’ ’ およびxx’ ’ の各々は、独立して選択された1~20の整数である。
【0034】
様々な実施形態では、x’+x’ ’ の合計は、本明細書で使用される下付き文字xに等しい。特定の実施形態では、x’+x’ ’ の合計は、2~75の整数である。さらなる実施形態では、x’+x’ ’ の合計は、2~50の整数である。様々な実施形態では、xx’+xx’ ’ の合計は、本明細書で使用される下付き文字xxに等しい。特定の実施形態では、xx’+xx’ ’ の合計は、1~75の整数である。さらなる実施形態では、xx’+xx’ ’ の合計は、1~50の整数である。
【0035】
様々な実施形態では、yおよびyyの各々は、独立して選択された1~300の整数である。特定の実施形態では、yおよびyyの各々は、独立して選択された1~200の整数である。さらなる実施形態では、yおよびyyの各々は、独立して選択された1~20の整数である。
【0036】
下付き文字w、ww、x、xx、y、およびyyで表される基、例えば、本明細書において例示された式で角括弧を有する基は、上記および本開示全体で表されるものとは異なる順序を含む、それぞれのシロキサン骨格内の任意の順序で存在し得る。さらに、これらの基は、ランダム化された形態またはブロック形態で存在し得る。
【0037】
架橋組成物および上に例示された一般式(B)のオルガノ水素ポリシロキサンを形成する方法に関して、RおよびRの各々は、上に記載されているとおりである。加えて、下付き文字w、x(例えば、x’+x’ ’ の合計)、およびyの各々は、上に記載されているとおりである。
【0038】
特定の実施形態では、少なくとも1つのまたは各Rは、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、少なくとも1つのまたは各Rは、独立して選択されたアルキル基である。好適なアルキル基は、Rについて上に記載されているとおりである。他の実施形態では、少なくとも1つのまたは各Rは、水素である。これらの実施形態では、水素は、少なくとも1つの末端多環式無水物基を結合するための反応部位として使用され得る。他の基も結合され得る。例えば、水素は、線状アルケンと反応し得る。
【0039】
特定の実施形態では、Rは、置換または非置換のヒドロカルビル基である。これらの実施形態では、Rは、Rであり得、Rは、上に記載されているとおりである。他の実施形態では、Rは、水素である。これらの実施形態では、水素は、RになるかまたはRである基を結合するための反応部位として使用され得る。
【0040】
様々な実施形態では、架橋組成物は、以下によって調製することができる:
(1)オルガノ水素ポリシロキサンと、アルケニル官能性多環式無水物とを付加反応に供して、シロキサンを形成すること、および
(2)ステップ(1)で得られたシロキサンをポリオールと組み合わせることにより開環反応に供して、それにより架橋組成物を形成すること。
【0041】
アルケニル官能多環式無水物の好適な例には、以下の一般式(A-1)および(A-2)のものが含まれる:
【化8】
【0042】
上記の式(A-1)および(A-2)では、「A」は、以下の2つの基のうちの1つである:
【化9】
【0043】
これらの基では、各Rは、独立して選択された置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素である。様々な実施形態では、各Rは、水素である。各R10は、R10のうちの少なくとも1つが、アルケニル官能基を有する限り、独立して選択された置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素である。
【0044】
「Q」は、酸素(O)またはZである。様々な実施形態では、Qは、Zであり、ここでZは、(CR )eである。ここで、各Rは、独立して選択された置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素である。様々な実施形態では、各Rは、水素である。下付き文字eは、1~3の整数であり、任意選択的に、1または2である。特定の実施形態では、Qは、(CH)である。
【0045】
、Z、Z、Z、Z、およびZの各々は、独立して選択された(CR )fであり、ここでRは、独立して選択された置換もしくは非置換のヒドロカルビル基または水素である。様々な実施形態では、各Rは、水素である。下付き文字fは、0~3の整数であり、任意選択的に、0~2、または0もしくは1である。特定の実施形態では、Z、Z、Z、Z、Z、およびZの各々は、(CH)fである。さらなる実施形態では、fは、0または1である。fが0である実施形態では、それぞれのZ基は、中間の二価基として存在しない。
【0046】
様々な実施形態では、R基は、式(A-1)のアルケニル官能性多環式無水物に起因する。さらなる実施形態では、アルケニル官能性多環式無水物は、カルブ酸無水物を含む:
【化10】
【0047】
カルブ酸無水物は、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物とも称され得る。これらおよび他のアルケニル官能性多環式無水物、成分、および本開示に好適な形成方法は、米国特許第4,381,396号および同第5,015,700号に記載されている。
【0048】
様々な実施形態では、R基は、式(A-2)のアルケニル官能性多環式無水物に起因する。特定の実施形態では、R基は、式(A-2-i)のアルケニル官能性多環式無水物に起因し、さらなる実施形態では、アルケニル官能性多環式無水物は、一般式(A-2-ii)を含む:
【化11】
【0049】
上記の式(A-2-i)では、Zは、二価基(またはスペーサー)であり、nは、0またはゼロより大きい整数である。例えば、Zは、1~20個の炭素原子(複数可)を有するヒドロカルビレン基、例えば-CH-であり得る。Zについての他の選択肢は、以下でさらに記載される。下付き文字nは、例えば、0または1~20、1~10、もしくは2~5の範囲、または1、2、3、4、もしくは5であり得る。Zおよびnの各々は、本明細書において式(I)、(A2)、(ii)、および/または(iii)にも適用することができる。
【0050】
式(A-2-ii)のアルケニル官能性多環式無水物は、3-(ブタ-3-エン-1-イル)-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物または「BTHPA」と称され得る。
【0051】
様々な実施形態では、R基は、カルブ酸無水物に起因する。他の実施形態では、R基は、BTHPAに起因する。特定の実施形態では、R基は、カルブ酸無水物およびBTHPAの両方に起因する。例えば、異なるアルケニル官能性多環式無水物の組み合わせを使用して、シロキサンのうちの1つ以上を形成することができる。さらなる例として、シロキサンのうちの1つ以上は、式(A-1)および(A-2)に起因する多環式無水物基の組み合わせを含むことができ、そのような組み合わせは、同じでも異なってもよい。例えば、あるシロキサンは、式(A-2)に対して式(A-1)に起因するより多くの多環式無水物基を有し得るが、別のシロキサンは、式(A-1)に対して式(A-2)に起因するより多くの多環式無水物基を有し得る。
【0052】
当業者は、異なるシロキサンの組み合わせを使用することにより、様々な架橋組成物を提供することができることを認識するであろう。例えば、異なる多環式無水物基を有するシロキサンの架橋反応は、Xが以下の一般式(iii-a)のものである式(I)の架橋組成物を提供することができる:
【化12】
【0053】
当業者はまた、示されていないが、式(iii)の他の異性体も可能であることを認識するであろう(例えば、式(i)および(ii)について上に例示されているように)。Y、Z、およびnの各々は、上で定義されているとおりである。
【0054】
任意選択的に、第1および/または第2のシロキサンが、R基のうちの1つ以上として側鎖を有する実施形態では、ステップ(1)はまた、Rが、例えばRで結合される部位(複数可)で水素原子と反応する少なくとも1つの成分を提供することを含むことができる。様々なタイプの成分を利用して、Rを提供することができる。
【0055】
典型的には、成分は、不飽和結合を有するであろう。好適な成分の例としては、2~20個の炭素原子を有するものなどのアルケン、アルデヒド、ケトン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なアルケンの具体例としては、エテン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘキサデセン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエーテル基を付与する成分を使用することができる。ビニル末端シロキサンも成分として使用され得る。異なる成分の組み合わせを利用して、R基を付与することができる。利用する場合、成分は、アルケニル官能性多環式無水物の前、後、または同時に導入することができる。各々の量は、RおよびR基の各々の様々なレベルで架橋組成物を付与するように合わせることができる。Rは、オルガノ水素ポリシロキサン上に既に存在し得るので、この任意選択のステップは、必要とされない。
【0056】
ステップ(1)における付加反応は、ヒドロシリル化反応とも称され得る。ステップ(1)における付加反応は、白金触媒またはロジウム触媒などの触媒の存在下で実行され得る。
【0057】
好適な触媒は、白金族金属(白金金属と称されることもある)、すなわち白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムおよびイリジウム、または白金族金属の錯体もしくは化合物を含む。様々な実施形態では、触媒は、塩化白金酸、白金アセチルアセトネート、不飽和化合物、例えば、エチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサン、およびスチレンとのハロゲン化白金の錯体、ヘキサメチル二白金、PtCl、PtCl、ならびにPt(CN)との白金ハロゲン化合物の錯体を含む白金化合物または錯体の群から選択される。特定の実施形態では、触媒は、カルステッド触媒、塩化白金酸と、ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応により生成される白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの配位錯体を含む。他の実施形態では、触媒は、ロジウム錯体、例えば、RhCl(BuS)を含む。使用される触媒の量は、触媒有効量、すなわち、白金金属またはロジウム金属として、最大50ppm、任意選択的に、最20ppmなどの触媒量であり得る。
【0058】
ステップ(1)における付加反応は、必要に応じて溶媒中で実行され得る。シリコーン溶媒および/または有機溶媒などの様々なタイプの従来の溶媒を利用することができる。好適なシリコーン溶媒の具体例は、3-オクチルヘプタメチルトリシロキサンである。好適な有機溶媒の例には、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、イソドデカン、n-ペンタン、n-ヘキサン、およびシクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素、ならびにジクロロメタン、クロロホルム、および四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。好適な溶媒の追加の例は、米国特許出願第2010/0330011号における「キャリア流体」として説明されている。
【0059】
ステップ(1)での付加反応のための反応条件は、いかなる特定のものにも限定されない。特定の実施形態では、付加反応は、還流下で1~10時間実行される。ステップ(1)が上に記載されているが、シロキサンはまた、「そのまま」提供されてもよい、すなわち、それらは、そのような付加反応ステップを介して最初に形成される必要はない。好適なシロキサンは、ミシガン州ミッドランドのDow Silicones Corporationから入手可能である。
【0060】
任意選択的に、ステップ(2)でシロキサンの無水物基を単に架橋するのではなく、開いた無水物基によって提供される官能基のうちの1つ以上をキャップし得る。様々なタイプのキャッピング成分を利用することができる。典型的には、キャッピング成分は、少なくとも1つの官能基、例えばヒドロキシル基、アミン基などを有する。好適なキャッピング成分の例には、分岐状および非分岐状の脂肪族、脂環式、ならびに芳香族モノオールおよび/またはモノアミンが含まれる。1~20個の炭素原子を有するものなどの様々なタイプのキャッピング成分を利用することができる。好適なモノオールの具体例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ならびにペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール(例えば、2-エチルヘキサノール))、ノニルアルコール、デシルアルコール(例えば、2-プロピルヘプタノール)、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、およびステアリルアルコールの様々な異性体、ならびに天然に存在する、または天然に存在するカルボン酸の水素化により得ることができる脂肪アルコールおよびワックスアルコールが含まれるが、これらに限定されない。シクロヘキサノールおよびその同族体は、好適な脂環式アルコールの例である。さらに、フェノール、クレゾール、チモール、カルバクロール、ベンジルアルコール、およびフェニルエタノールなどの芳香族ヒドロキシル化合物も利用することができる。特定の実施形態では、キャッピング成分は、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、およびイソドデカンなどの脂肪族アルコールの群から選択される。異なるキャッピング成分の組み合わせを使用することができる。利用する場合、キャッピング成分は、ポリオールの前、後、または同時に導入することができる。各々の量は、架橋組成物に様々なレベルの架橋、キャッピング、遊離無水物基、および/または遊離カルボキシル基を付与するように合わせることができる。キャッピングは、任意選択的である。
【0061】
ステップ(2)における開環反応は、必要に応じて溶媒中で実行され得る。好適な溶媒の例には、ステップ(1)で列挙したものが含まれる。望ましくない副反応/反応生成物を防ぐために、溶媒は、反応物/反応中間体に対して不活性でなければならない。例えば、溶媒には、ヒドロキシルまたはアミン官能基があってはならない。これは、一般に、ステップ(1)および(2)に当てはまる。開環反応のための反応条件は、いかなる特定のものにも限定されない。特定の実施形態では、開環反応は、室温から還流温度までの温度で1~10時間実行される。
【0062】
第1のシロキサン、第2のシロキサン、およびポリオール(まとめて「反応物」)は、様々な量で反応して、架橋組成物を形成することができる。シロキサンにより提供される無水物基の数に対する、ポリオールにより提供されるヒドロキシル基の数に基づいて、反応物は、1:1の化学量論比で利用することができる。例えば、存在する無水物基の1つ1つに対して1つのヒドロキシル基が存在し得る。代替的に、ポリオールは、シロキサンに対して化学量論的に過剰に利用することができる。逆に、シロキサンは、ポリオールに対して化学量論的に過剰に利用することができる。そのような状況は、開環反応の過剰指数または過小指数とも称され得、1.0(または100)の指数は、存在する無水物基の量と反応する化学量論量のヒドロキシル基が存在することを示している(1:1)。指数は、0.25~2.0、0.5~1.5、0.9~1.1、0.95~1.05、もしくは1.0、またはその間の任意の数である。より高いまたはより低い指数も利用され得る。
【0063】
利用される特定の指数に基づいて、様々な状況が生じる可能性がある。具体的には、架橋組成物は、遊離カルボキシル基、場合によっては遊離無水物基および/もしくは遊離ヒドロキシル基、またはそれらの組み合わせを含む、後続の反応のための様々な官能基を含むことができる。様々な実施形態では、架橋組成物は、遊離ヒドロキシル基を含まない。特定の実施形態では、架橋組成物は、少なくとも2つのカルボキシル基を有する。本開示は、任意の特定の後続の反応またはそのような遊離官能基の使用に限定されない。様々な程度の部分的架橋から完全な架橋まで、様々な程度の架橋が、架橋組成物を形成するために利用される指数に基づいて、架橋組成物中に存在することができる。
【0064】
エラストマーは、カルボキシエラストマー、カルボキシ官能性エラストマー、またはカルボン酸官能性エラストマーとも称され得る。(例えば、開環反応後の)遊離カルボキシル基を有する特定の実施形態では、エラストマーは、100~50,000、任意選択的に、500~10,000、任意選択的に、500~5,000g/モルのカルボキシル当量を有する。良好な取り扱い特性のために、エラストマーは、10~1,000,000、任意選択的に、10~100,000、mm/秒の粘度を有することができる。さらに、エラストマーは、200~100,000、任意選択的に、200~50,000の重量平均分子量(ポリスチレンに換算)を有することができる。
【0065】
特定の実施形態では、非官能化樹脂(すなわち、反応性基を欠くもの)は、エラストマーと共におよび/またはエラストマー中で利用される。これらの実施形態では、非官能化樹脂のうちの少なくとも一部分は、エラストマーの硬化中にポリマーネットワーク内に閉じ込められる。そのような非官能化樹脂は、エラストマーに化学的および/または物理的改質を提供するために有用であり得る。
【0066】
上記の一般的な実施形態による、エラストマーの様々な非限定的でより具体的な実施形態(エラストマー1およびエラストマー2とラベル付けされる)を以下に記載する。エラストマー1および2の各々に対する成分の組み合わせを利用して、本明細書では具体的に説明されていないさらなるエラストマー、したがって化粧品組成物を形成することができる。
【0067】
エラストマー1-ペンダント多環式無水物基(複数可)および有機ポリオール(複数可)を有する第1および第2のシロキサンの反応生成物
第1の実施形態では、エラストマー(「エラストマー1」)は、第1のシロキサン、第2のシロキサン、および少なくとも1つの有機ポリオールの反応の反応生成物を含む。さらなる実施形態では、エラストマー1は、第1のシロキサン、第2のシロキサン、および有機ポリオール(複数可)の反応生成物から本質的になり、任意選択的に、それらからなる。特定の実施形態では、エラストマー1は、第1および第2のシロキサンに加えて、およびそれらとは異なる、1つ以上のシロキサンのさらなる反応生成物を含むことができる。
【0068】
第1および第2のシロキサンの各々は、少なくとも1つ、任意選択的に、少なくとも2つのペンダント多環式無水物基(複数可)を有する。多環式無水物基は、本明細書では単に無水物基と称され得る。様々な実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、独立して、1~25、2~20、3~15、4~14、5~12、6~10、7、8、または9個のペンダント多環式無水物基(複数可)を有する。ペンダント基は、側基とも称され得、末端基(終端基と称されることもある)とは異なる。様々な実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、末端無水物基を含まない。特定の実施形態では、無水物基の各々は、ケイ素原子に直接結合している介在原子または結合に直接結合している。
【0069】
無水物基は、有機ポリオールとの反応に有用であり、エラストマー1に追加の官能性を付与することもできる。無水物基によって提供される、またはそれらに起因する潜在的な利点には、皮膜形成、持続性、耐久性、顔料/粒子の懸濁液および/もしくは改質、長持ち/持ちの良さ、追加の化学物質、活性物質(例えば、薬物)または不活性物質(例えば、香料)の送達/放出、親水性、反応性、適合性、極性、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されないと考えられる。特定の実施形態では、無水物基は、遊離カルボキシル基を提供することができ、これは、利点を提供することもでき、かつ/または後続の非限定的な反応に利用可能である。例えば、無水物基のうちの少なくともいくつかは、架橋反応中に反応しない。そのような無水物基は、後で水と反応してカルボキシル基を提供し得る。他の実施形態では、エラストマー1は、後続の非限定的な反応のための1つ以上の遊離無水物基を有し得る。
【0070】
有機ポリオールは、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。ヒドロキシル基の各々は、ペンダントまたは末端であり得る。様々な実施形態では、有機ポリオールは、2つのヒドロキシル基を有する。さらなる実施形態では、有機ポリオールは、2つの末端ヒドロキシル基を有し、ペンダントヒドロキシル基を含まない。ヒドロキシル基の各々は、炭素原子に、または炭素原子に直接結合している介在原子または結合に直接結合することができる。ヒドロキシル基の各々は、第一級、第二級、または第三級、任意選択的に、第一級または第二級、任意選択的に、第一級であり得る。ヒドロキシル基は、第1および第2のシロキサンとの反応に有用であり、エラストマー1に追加の官能性を付与することもできる。様々な実施形態では、有機ポリオールのすべてのヒドロキシル基は、第1および第2のシロキサンの多環式無水物基と架橋して、結合を形成する(例えば、エステル架橋)。いくつかの量の無水物および/またはカルボキシル基は、エラストマー1を形成するための反応中に存在するヒドロキシル基の量に応じて、遊離したままである可能性がある。そのような遊離基は、例えば、架橋組成物の別の成分との後続の反応(複数可)に有用であり得、かつ/または基材表面、例えば、皮、革などと相互作用することもできる。
【0071】
同じシロキサン成分(またはタイプ)の2つの別個の分子などの第1および第2のシロキサンの各々は、化学的に(または物理的に)同じであり得る。例えば、第1および第2のシロキサンは、特に、エラストマー1を形成するためのシステムの「A部」などに一緒に提供することができるか、または特にそれらが互いに異なる場合、別々に提供することができる。有機ポリオールは、エラストマー1を形成するためのシステムの「B部」などにおいて、第1および第2のシロキサンとは別個に提供することができる。
【0072】
様々な実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、少なくとも1つの[SiR-O]単位(すなわち、D単位)、任意選択的に、[SiR-O]単位を含む。これらの実施形態では、Rは、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。Rにより表される好適な基の例は、上に記載されているとおりである。Rはまた、上に記載されているとおりであり、例えば、Rは、一般式(A1)または(A2)の多環式無水物基である。
【0073】
様々な実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、個別に、以下の一般式(B1)のオルガノポリシロキサンである:
Si-O-[SiR-O-][SiR-O-][SiR-O-]SiR (B1)。
【0074】
さらなる実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、個別に、以下の一般式(B2)のオルガノポリシロキサンである:
Si-O-[SiR-O-][SiR-O-][SiR-O-]SiR (B2)。
【0075】
なおさらなる実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、個別に、以下の一般式(B3)のオルガノポリシロキサンである:
(CHSi-O-[Si(CH-O-][Si(CH)R-O-][Si(CH)R-O-]Si(CH(B3)。
【0076】
、R、R、R、およびRの各々は、上に記載されているとおりである。特定の実施形態では、Rは、アルキル基またはポリエーテル基のいずれかである。特定の理論に束縛または制限されることなく、エラストマー1の親水性は、第1および第2のシロキサン骨格の一方または両方、例えばR上にポリエーテル側鎖(または複数のポリエーテル側鎖)を有することにより高めることができると考えられる。
【0077】
様々な実施形態では、wは、ゼロ(0)~1,000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、25~250、50~200、50~150、75~125、90~110、90~100、もしくは90~95、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。特定の実施形態では、w≧1、w≧2、w≧3、w≧4、w≧5、w≧25、w≧50、もしくはw≧75、かつ/またはw≦1000、w≦750、w≦500、w≦250、w≦150、もしくはw≦100である。具体的な実施形態では、wは、90、91、92、93、94、または95である。さらなる実施形態では、xは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~15、もしくは1~10、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。特定の実施形態では、x≧1、x≧2、x≧3、x≧4、x≧5、x≧10、x≧15、もしくはx≧20、かつ/またはx≦50、x≦40、x≦30、x≦20、x≦15、もしくはx≦10である。具体的な実施形態では、xは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態では、yは、0~1,000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、1~250、1~200、1~150、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~15、もしくは1~10、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。特定の実施形態では、y≧1、y≧2、y≧3、y≧4、y≧5、y≧10、y≧15、もしくはy≧20、かつ/またはy≦50、y≦40、y≦30、y≦20、y≦15、もしくはy≦10である。具体的な実施形態では、yは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0078】
様々な実施形態では、wおよびyは、同時に0ではない。別の言い方をすれば、これらの実施形態では、第1および第2のシロキサンの各々は、式(B)~(B3)のx単位の各々ならびにw単位およびy単位のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つのD単位を含む。特定の実施形態では、w+x+yの合計は、25~1,500、25~1,000、25~900、25~800、25~700、25~600、25~500、25~400、25~300、50~200、75~150、85~125、もしくは90~110、またはその間の任意の数/範囲である。これらの実施形態では、xは、上に記載されているとおりである。したがって、第1および第2のシロキサンの各々は、ペンダント多環式無水物基のうちの少なくとも1つを有し、wおよびyに関連する1つ以上のD単位の存在に基づいて他の側基を有することができる。
【0079】
有機ポリオールは、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有する限り、任意のタイプのポリオールであり得る。このようにして、有機ポリオールは、第1シロキサンと第2シロキサンとの間の架橋剤として機能し、エラストマー1を形成する。エラストマー1は、例えば、第1および第2のシロキサンに起因するペンダント多環式無水物基の数に応じて、有機ポリオールによって付与されるただ1つの部分または複数の部分を構成し得る。特定の実施形態では、エラストマー1は、有機ポリオールに加えて、それとは異なる、1つ以上のポリオールのさらなる反応生成物を含むことができる。
【0080】
「有機」とは、有機ポリオールが、主に炭素、例えば炭素骨格を含有することを一般に意味する。炭素は、存在するが、例えば、酸素原子、水素原子、窒素原子などの他の原子も存在し得る。多くの実施形態では、有機ポリオールは、ケイ素、例えば1つ以上のケイ素原子を含まない。
【0081】
様々な実施形態では、有機ポリオール(以下、「ポリオール」)は、ジオールである(すなわち、ポリオールは、2つのヒドロキシル基を有する)。好適なジオールの例には、メチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ビスフェノールA、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、ポリオールは、トリオールである(すなわち、ポリオールは、3つのヒドロキシル基を有する)。
【0082】
様々な実施形態では、ポリオールは、以下の一般式(II):HO-R-OHを有する。特定の実施形態では、Rは、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、または有機ヘテリレン基のうちの少なくとも1つを含み、任意選択的に、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である。さらなる実施形態では、Rは、アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、芳香族、およびアルキル芳香族ジラジカルから選択される。そのようなジラジカルは、一般に、最大50、最大40、最大30、最大20、もしくは最大10個の炭素原子、または1~50個の任意の数の炭素原子を有する。ポリオールの骨格を作る炭素鎖は、直鎖状または分岐状であってもよい。特定の実施形態では、ポリオールは、その主鎖中にエーテル、チオ、またはアミン結合を有し得る。具体的な実施形態では、Rは、1~10、2~9、3~8、4~7、5、または6個の炭素原子(複数可)を有するヒドロカルビレン基である。
【0083】
特定の実施形態では、ポリオールは、(ポリ)オキシアルキレン化合物である。そのような化合物の好適な例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、200~2000の分子量を有する)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、200~3,000の分子量を有する)、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール(例えば、200~4,000の分子量を有する)、ポリエチレンプロピレングリコールのランダムコポリマーおよびブロックコポリマー(例えば、100~3,000の分子量を有する)、ポリエチレンブチレングリコールのランダムコポリマーおよびブロックコポリマー(例えば、100~4,000の分子量を有する)、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
様々な実施形態では、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル/エステルポリオール、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、ポリオールは、脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、芳香族ポリオール、複素環式ポリオール、およびそれらの組み合わせから選択され得る。好適なポリオールのいくつかの例には、グリコール開始ポリオール、グリセリン開始ポリオール、スクロース開始ポリオール、スクロース/グリセリン開始ポリオール、トリメチロールプロパン開始ポリオール、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
好適なポリエステルポリオールには、多価アルコール、ポリオールと併せてラクトン、例えば、カプロラクトンの重合により得られるポリエステルポリオール、およびヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシカプロン酸の重合により得られるポリエステルポリオールのヒドロキシル末端反応生成物が含まれる。ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、およびポリオレフィンポリオールも使用され得る。
【0086】
好適なポリエーテルポリオールは、多官能性開始剤の存在下で、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、およびテトラヒドロフランなどの環状オキシドの重合によって得られる生成物を含む。好適な開始剤化合物は、複数の活性水素原子を含有し、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエン、ジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらの開始剤のいくつかは、ポリオール自体としても有用であり得る。具体的な実施形態では、ポリオールは、ポリエーテルジオールである。異なるポリオールの組み合わせを利用して、エラストマー1を形成することができる。
【0087】
上記の一般式(I)を再び参照すると、エラストマー1は、この式を含むことができる。式(I)では、上部分および下部分は、同じであっても異なっていてもよい第1および第2のシロキサンに起因する。式(I)の中間(または「X」)部分は、ポリオール、ならびに第1および第2のシロキサンの多環式無水物基に起因する。様々なR基および下付き文字は、上に記載されているとおりである。
【0088】
下付き文字ww、xx、およびyyの各々は、それぞれ、w、x、およびyの各々と同じであっても異なってもよい。様々な実施形態では、wwおよびyyは、同時に0ではない。特定の実施形態では、ww+xx+yyの合計は、25~1,500、25~1,000、25~900、25~800、25~700、25~600、25~500、25~400、25~300、50~200、75~150、85~125、もしくは90~110、またはその間の任意の数/範囲である。これらの実施形態では、xxは、上に記載されているとおりである。
【0089】
各Yは、ポリオールに起因する有機二価基などの二価基である。エラストマー1の形成中、ポリオールは、2つのヒドロキシル基、例えば、末端ヒドロキシル基を有し、これは、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応して、シロキサンとポリオールとの間に結合を形成する。式(I)に示すように、エラストマー1は、少なくとも2つのカルボキシル基を有する。他の実施形態(図示せず)では、ポリオールの別の分子が2つのカルボキシル基間で反応して、別の-Y-結合を形成する(すなわち、式(I)の2つのカルボキシル基がなくなる)。
【0090】
Yは、ポリオールに起因する任意の構造であり得る。様々な実施形態では、Yは、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、または有機ヘテリレン基のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、Yは、1~50、1~40、1~20、1~20、1~10、2~9、3~8、4~7、5、もしくは6個の炭素原子(複数可)、またはその間の任意の数の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である。Yに好適な基のさらなる例は、ポリオールのR基で記載されたとおりである。ポリオールがポリエーテル基を含まない特定の実施形態では、Yはまた、ポリエーテル基を含まない。
【0091】
エラストマー2-ペンダント多環式無水物基(複数可)を有する第1および第2のシロキサンと、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する第3のシロキサン(複数可)との反応生成物
第2の実施形態では、エラストマー(「エラストマー2」)は、第1のシロキサン、第2のシロキサン、および少なくとも1つの第3のシロキサンの反応の反応生成物を含む。さらなる実施形態では、エラストマー2は、第1、第2、および第3のシロキサンの反応生成物から本質的になり、任意選択的に、それらからなる。特定の実施形態では、エラストマー2は、第1、第2、および第3のシロキサンに加えて、それらとは異なる、1つ以上のシロキサンのさらなる反応生成物を含むことができる。第1および第2のシロキサンは、例えば、エラストマー1について、上に記載されているとおりである。第3のシロキサンは、エラストマー2を形成するためのシステムの「B部」などにおいて、第1および第2のシロキサンとは別個に提供することができる。
【0092】
第3のシロキサンは、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。ヒドロキシル基の各々は、ペンダントまたは末端であり得る。様々な実施形態では、第3のシロキサンは、2つのヒドロキシル基を有する。さらなる実施形態では、第3のシロキサンは、2つの末端ヒドロキシル基を有し、ペンダントヒドロキシル基を含まない。ヒドロキシル基の各々は、ケイ素原子に、またはケイ素原子に直接結合している介在原子もしくは結合に直接結合することができる。代替的に、ヒドロキシル基の各々は、炭素原子に、または炭素原子に直接結合している介在原子もしくは結合に直接結合することができる。ヒドロキシル基の各々は、第一級、第二級、または第三級、任意選択的に、第一級または第二級、任意選択的に、第一級であり得る。ヒドロキシル基は、第1および第2のシロキサンとの反応に有用であり、エラストマー2に追加の官能性を付与することもできる。様々な実施形態では、第3のシロキサンのすべてのヒドロキシル基は、第1および第2のシロキサンの多環式無水物基と架橋して、結合を形成する(例えば、エステル架橋)。いくつかの量の無水物および/またはカルボキシル基は、エラストマー2を形成するための反応中に存在するヒドロキシル基の量に応じて、遊離したままである可能性がある。
【0093】
第3のシロキサンは、第1および第2のシロキサンのペンダント多環式無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有する限り、任意のタイプのシロキサンであり得る。このようにして、第3のシロキサンは、第1のシロキサンと第2のシロキサンとの間の架橋剤として機能し、エラストマー2を形成する。エラストマー2は、例えば、第1および第2のシロキサンに起因するペンダント多環式無水物基の数に応じて、第3のシロキサンによって付与されるただ1つの部分または複数の部分を構成し得る。
【0094】
様々な実施形態では、第3のシロキサンは、少なくとも1つのD単位を含む。さらなる実施形態では、第3のシロキサンは、反復D単位を有し、これは、一般にシロキサンの線状部分を構成する。様々な実施形態では、第3のシロキサンは、カルビノールシロキサンまたはカルビノールポリシロキサンである。
【0095】
特定の実施形態では、第3のシロキサンは、以下の一般式(III)のポリシロキサンである:
HO-[Z]-[SiR-O-][SiR-O-][SiR-O-]Si-[Z]-OH(III)。
【0096】
上記の式(III)では、RおよびRの各々は、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基である。RおよびRのための基に好適な例は、例えば、RおよびRについて、上に記載されているとおりである。Rは、独立して選択された置換または非置換のヒドロカルビル基または-[Z]-OHを含む。特定の実施形態では、Rは、Rである。他の実施形態では、Rは、-[Z]-OHであり、第3のシロキサンは、2つの末端ヒドロキシル基に加えて、少なくとも1つのペンダントヒドロキシル基を含む。
【0097】
各Zは、二価基であり、様々な実施形態では、独立して、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、または有機ヘテリレン基のうちの少なくとも1つを含むことができる。特定の実施形態では、Zは、1~20、1~10、1~5、1~2、1、もしくは2個の炭素原子(複数可)、またはその間の任意の数の炭素原子を有するヒドロカルビレン基である。Zに好適な基のさらなる例は、第1および第2のシロキサンの任意選択の二価基、例えば、-CH-連結基、EO基、PO基など、またはそれらの組み合わせで記載したとおりである。特定の実施形態では、第3のシロキサンは、ポリエーテル基を含まない。
【0098】
様々な実施形態では、Zは、[(CH、[(CHO]、[(CH(CH)(CH)O]、[(CH(CH)(CH(CH)O]、[(CH)OH]、[(CH)(CHOH]、[(CHCOH(CH、[(CH)(CHCOH(CH(CH)]、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの構造単位を含む。これらの単位は、式(III)におけるそれぞれのZ単位の適正な配向および結合を可能にするように改質または再配置され得る。様々な実施形態では、iは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~10、1~5、もしくは1、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数であり、jは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~10、1~5、もしくは1、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数であり、kは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~10、1~5、もしくは1、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。Zの例には、4-ペンテン-1-オール、7-オクテン-1-オール、グリセロールモノアリルエーテル、アリルキシリトール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、キシリトール、ペンタエリスリトール、トリグリセロール、およびそれらの組み合わせの使用に起因する構造単位(または部分)が含まれる。特定の実施形態では、Zは、それに結合した末端ヒドロキシル基に加えて、1つ以上のペンダント官能(例えば、ヒドロキシル)基を含むことができる。
【0099】
様々な実施形態では、aは、0~1,000、1~950、2~750、3~500、4~400、5~300、6~200、7~100、8~75、9~50、10~25、11~20、もしくは12~15、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。さらなる実施形態では、bは、1~1,000、5~950、10~750、15~500、25~400、35~300、45~200、もしくは50~100、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。特定の実施形態では、bは、1~200またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。さらなる実施形態では、cは、0~1,000、1~950、2~750、3~500、4~400、5~300、6~200、7~100、8~75、9~50、10~25、11~20、もしくは12~15、またはその間の任意の数/範囲から選択される整数である。様々な実施形態では、各dは、独立して0または1である。具体的な実施形態では、少なくとも1つのdは、1であるか、または両方のdは、1である。
【0100】
下付き文字a、b、およびcで表される基、例えば式(III)で角括弧を有する基は、上記および本開示全体で表されるものとは異なる順序を含む、シロキサン骨格内の任意の順序で存在し得る。さらに、これらの基は、ランダム化された形態またはブロック形態で存在し得る。
【0101】
特定の実施形態では、第3のシロキサンは、一般式R*SiO(4-s)/2のシリコーン樹脂である。典型的には、シリコーン樹脂は、M単位および、任意選択的に、D単位と共に、Tおよび/またはQ単位を有する。R*は、独立して選択された置換ヒドロカルビル基、非置換ヒドロカルビル基、またはヒドロキシル基であることができ、sは0~3である。好適なR*基は、R、R、およびR10について上に記載されているとおりである。そのような基の様々な組み合わせは、シリコーン樹脂が1分子あたり(典型的には、M単位で)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する限り、存在することができる。これらの実施形態では、樹脂は、一般に、M、D、T、および/またはQ単位の組み合わせを含む。具体的な実施形態では、第3のシロキサンは、MDT樹脂、MT樹脂、MDQ樹脂、MQ樹脂、またはMDTQ樹脂である。M、D、およびT単位の各々は、異なるR基を有することができる。シリコーン樹脂は、限定されないが、800~500,000の数平均分子量、またはその間の任意の数/範囲を含む、様々な分子量のものであり得る。
【0102】
上記の一般式(I)を再び参照すると、エラストマー2は、この式を含むことができる。式(I)では、上部分および下部分は、同じであっても異なっていてもよい第1および第2のシロキサンに起因する。式(I)の中間(または「X」)部分は、第3のポリシロキサン、ならびに第1および第2のシロキサンの多環式無水物基に起因する。様々なR基および下付き文字は、例えば、エラストマー1について上に記載されているとおりである。
【0103】
各Yは、有機二価基などの二価基であり、これは第3のポリシロキサンに起因する。エラストマー2の形成中、第3のポリシロキサンは、末端ヒドロキシル基を有し、これは、第1および第2シロキサンのペンダント多環式無水物基と反応して、シロキサンと第3のポリシロキサンとの間に結合を形成する。式(I)に示すように、エラストマー2は、少なくとも2つのカルボキシル基を有する。他の実施形態(図示せず)では、第3のポリシロキサンの別の分子が、2つのカルボキシル基間で反応して、別の-Y-結合を形成する(すなわち、式(I)の2つのカルボキシル基がなくなる)。
【0104】
Yは、第3のポリシロキサンに起因する任意の構造であり得る。
【0105】
第3のシロキサンがポリシロキサンである様々な実施形態では、Yは、以下の一般式(C)のものである:
-[Z]-[SiR-O-][SiR-O-][SiR-O-]Si-[Z]-(C)。
【0106】
R基および下付き文字の各々は、上に記載されているとおりであるが、Rが-[Z]-OHであった場合、代替反応生成物が形成される(図示せず)。第3のシロキサンが樹脂である他の実施形態では、Yは、一般式R*SiO(4-s)/2である。R*およびsの各々は、上に記載されているとおりである。
【0107】
BTHPA、液体組成、および調製方法
上記で紹介したように、多環式無水物組成物は、トリエン化合物と、無水マレイン酸との反応生成物を含む。反応は、有機溶媒(例えば、トルエン)などの溶媒の存在下で起こり得る。トリエン化合物は、以下の一般式のものである:
【化13】
1,3,7-オクタトリエンと称され得る。一般に、反応生成物は、BTHPAを含む。BTHPAの立体化学は、主にエンド異性体であると考えられるが、エキソ異性体も存在することができる。上に記載されており、かつ以下でさらに例示されているように、BTHPAを使用して、本開示の架橋組成物を形成することができる。代替的に、BTHPAを使用して、以下にも記載されるように官能性シロキサン流体を形成することができる。
【0108】
上記で紹介したように、ポリオルガノシロキサン組成物は、多環式無水物化合物と、少なくとも1つのケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物との反応生成物を含む。様々な実施形態では、多環式無水物化合物は、BTHPAを含むか、またはそれである。特定の実施形態では、有機ケイ素化合物は、上記の一般式(B)のオルガノ水素ポリシロキサンを含むか、またはそれである。反応生成物の形成は、例えば、触媒(例えば、白金)の存在下で、シロキサンについて上に記載されているように行うことができる。
【0109】
追加の架橋組成物および調製方法
上記で紹介したように、架橋組成物は、少なくとも1つのペンダント無水物基を有する第1のシロキサンと、少なくとも1つのペンダント無水物基を有する第2のシロキサンと、第1および第2のシロキサンのペンダント無水物基と反応する少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールとの反応生成物を含むことができる。これらの実施形態では、ペンダント無水物基のうちの少なくとも1つは、不飽和結合を含む。
【0110】
これらの実施形態は、上に記載されているものと類似であるが、上に記載されているものに対して(または上に記載されているものに加えて)代替反応物が使用される。例えば、カルブ酸無水物またはBTHPAを使用する代わりに、以下のような化合物を使用することができる:
【化14】
代替的に、この化合物は、カルブ酸無水物および/またはBTHPAに加えて使用することができる。当業者は、それらが架橋組成物を形成するための反応後に一般に存在する不飽和結合を有する限り、例えば、異なる鎖長および/または分岐を有する他の類似の構造を容易に想定することができる。
【0111】
上に記載されているものと同じタイプの架橋組成物を形成する方法をここで利用することができるが、アルケニル官能性多環式無水物を提供するステップが、アルケニル官能性無水物(例えば、上記の化合物)を提供するステップによって置き換えられる。加えて、ヒドロシリル化触媒の存在下で、オルガノ水素ポリシロキサン、アルケニル官能性多環式無水物、および任意選択的に、線状アルケンを組み合わせるステップは、ヒドロシリル化触媒の存在下で、オルガノ水素ポリシロキサン、アルケニル官能性無水物、および任意選択的に、線状アルケンを組み合わせるステップで置き換えられ、不飽和結合を含む少なくとも1つのペンダント無水物基を有するシロキサンを含む反応中間体を形成する。
【0112】
化粧品成分
特定の成分が異なる用語に分類されてもよく、成分がそのような用語に分類されるからといって、それらがその機能に限定されることを意味しないことを認識されたい。ほんの一例として、成分は、保湿剤として有用であり得るが、希釈剤、老化防止活性物質、抗菌剤などのような追加または代替目的にも有用であり得る。化粧品成分(複数可)は、化粧品組成物中に様々な量で存在し得る。
【0113】
化粧品成分は、化粧品用途で使用されることが知られているそれらの成分である。そのような成分の広範なレビューは、CTFA化粧品成分ハンドブックで見られ得る。例示的な化粧品成分は、以下でさらに詳述される。具体的な化粧品成分は、米国特許出願第62/664,654号に記載されている。
【0114】
化粧品成分には、皮膚軟化剤、ワックス、保湿剤、界面活性剤もしくは洗剤または乳化剤などの界面活性物質、増粘剤、水相安定剤、pH調整剤、防腐剤および化粧用殺生物剤、皮脂吸収剤または皮脂調整剤、植物または植物抽出物、ビタミン、タンパク質またはアミノ酸およびそれらの誘導体、顔料、着色剤、フィラー、シリコーンコンディショニング剤、カチオンコンディショニング剤、疎水性コンディショニング剤、UV吸収剤、日焼け止め剤、フケ防止剤、制汗剤、デオドラント剤、皮膚保護剤、染毛剤、ネイルケア成分、香料または香料、抗酸化剤、酸化剤、還元剤、推進ガス、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0115】
化粧品組成物中に使用され得る追加の成分には、脂肪アルコール、カラーケア添加剤、抗セルライト剤、真珠光沢剤、キレート剤、皮膜形成剤、スタイリング剤、セラミド、懸濁剤、老化防止活性剤などが含まれる。
【0116】
エラストマーのカルボキシル基は、特定の化粧品成分と相互作用し、そのような成分の対象の皮膚への送達を提供し得ると考えられる。したがって、特定の実施形態では、エラストマーは、少なくとも1つの化粧品成分と反応する。そのような相互作用の例は、水素結合、配位、および/またはエラストマーのカルボキシル基と化粧品成分の官能基との間の化学反応であると考えられる。
【0117】
パーソナルケアおよびヘルスケアに好適なさらなる材料は、当業者によく知られており、多くの教科書および他の出版物に記載されている。例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary、Second Edition(1977)には、本開示に好適な多数の化粧品成分が含まれているため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
化粧学的に許容される媒体
化粧学的に許容される媒体は、本開示の組成物をケラチン材料に適用するのに特に好適な媒体を示すことを意味する。化粧学的に許容される媒体は、一般に、化粧品組成物が適用されるべき支持体の性質、ならびに化粧品組成物が調整されるべき態様に適合し、水、溶媒、希釈剤、またはそれらの混合物およびエマルションを含む。利用時、化粧学的に許容される媒体は、化粧品組成物の総重量に基づいて、0.1%~99.9%重量パーセントの範囲の量で存在することができる。
【0119】
希釈剤
様々な実施形態では、希釈剤が使用される。これは、エラストマーが希釈剤を必要とすると言っているわけではないが、特定の最終用途では、希釈剤の使用が役立つ場合がある。希釈剤の使用は、任意選択的である。希釈剤を利用する実施形態では、エラストマーと希釈剤との組み合わせは、エラストマー組成物またはブレンドと称され得る。
【0120】
様々な実施形態では、希釈剤は、シリコーン、有機油、有機溶媒、およびそれらの組み合わせの群から選択される。特定の実施形態では、希釈剤は、シリコーンの群から選択される。架橋組成物を形成するかまたはそれと組み合わせて使用することができる好適な希釈剤は、米国特許第6,200,581号および米国特許出願第2004/0044121号に記載されている。希釈剤の具体的な例は、米国特許出願第62/664,654号に記載されている。
【0121】
様々な実施形態では、エラストマーおよび希釈剤を剪断力下で組み合わせて、化粧品組成物を形成するための使用に好適なベース組成物を形成することができる。例えば、5~98重量パーセントの希釈剤を含有するエラストマーは、安定しており、広い粘度範囲で均一なペーストを形成する。バッチミキサー、プラネタリーミキサー、単軸もしくは多軸スクリュー押出機、ダイナミックもしくはスタティックミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー、ソノレーター、またはそれらの組み合わせなどの任意のタイプの混合および剪断装置を使用してベース組成物を形成し得る。
【0122】
安定化添加剤
様々な実施形態では、エラストマーを安定化させるために安定化添加剤が使用される。これは、エラストマーが安定化を必要とすると言っているわけではないが、特定の最終用途では、安定化添加剤の使用が役立つ場合がある。安定化添加剤の使用は、任意選択的である。安定化添加剤の好適なタイプおよびその量は、米国特許出願第62/664,654号に記載されている。
【0123】
上記で紹介したように、エラストマーのカルボキシ官能性は、ケラチン基質上のエラストマーの持続性を改善するために有用である。しかしながら、エラストマーの材料構造における極性部分間の分子間および分子内相互作用は、構造化または増粘の形態での材料の取り扱いおよび配合物の均質性に問題を引き起こしているようである。使用前のカルボキシ官能性エラストマーの構造化を減少させるために、混合(剪断薄化)により相互作用が一時的に妨害され、配合物への良好な導入が可能になる。極性溶媒(例えば、水、EtOHなど)の導入も構造化を妨害する可能性もあるが、これらの材料は、特に無水配合物において、配合物の柔軟性を制限する。
【0124】
化粧品組成物および調製方法
化粧品組成物は、専らもしくは主にそれらの洗浄、それらの芳香付与、それらの外観の変化、それらの保護、良好な状態でのそれらの維持、または体臭の解消を目的として、人体の外部部分(皮膚(表皮)、毛髪系、爪、粘膜など、「ケラチン基質」とも称される)または歯および口腔の粘膜と接触させて位置されることを意図したそれらの組成物を含む。場合によっては、化粧品組成物は、ヘルスケア組成物も含み得る。化粧品用途、場合によってはヘルスケア用途には、スキンケア、サンケア、ヘアケア、またはネイルケア用途が含まれる。
【0125】
化粧品組成物中のエラストマーの量は、変動し得る。化粧品組成物中のエラストマーの一般的なレベルは、化粧品組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約95重量%、任意選択的に、約0.2%~約50%、任意選択的に、約0.5%~約25%で変動し得る。化粧品成分は、化粧品組成物の総重量(または100重量部)に対して、約0.01重量%~約99.99重量%のレベルで存在する。化粧品成分は、上に列挙した化粧品成分の組み合わせまたは混合物であり得る。
【0126】
様々な実施形態では、化粧品組成物は、任意選択的に、化粧学的に許容される媒体の存在下で、上に記載されている任意の実施形態によるエラストマー(ならびに任意選択的に、希釈剤および/または安定化添加剤)と、少なくとも1つの化粧品成分とを混合するステップを含むプロセスによって調製され得る。様々な実施形態では、エラストマー、ならびに希釈剤および/または安定化添加剤を最初に組み合わせて、ブレンドまたは混合物を形成する。特定の実施形態では、これらは、ブレンド/混合物の唯一の2つまたは3つの成分である。安定化添加剤は、エラストマーを安定化し、一般に、既に構造化されているか、または構造化し始める(すなわち、厚くなる)場合、エラストマーがエラストマーを構造化および/または脱構造化する(すなわち、薄くする)のを防ぐと考えられる。これは、配合および取り扱いを容易にするのに有用である。さらなる実施形態では、ブレンド/混合物および少なくとも1つの化粧品成分は、任意選択的に、化粧学的に許容される媒体の存在下で、組み合わされて化粧品組成物を形成する。これらの実施形態では、組み合わせるステップは、一般に別個である。
【0127】
化粧品組成物は、水相中のエラストマー(および任意選択的に、安定化添加剤)を適切な相成分と混合することによって、または油相中のエラストマーを適切な相成分と混合し、任意選択的に、第2の相を提供し、任意選択的に、加熱しながら、両方の相を一緒に混合することによって、調製され得る。
【0128】
このプロセスは、15~90℃、任意選択的に、20~60℃、任意選択的に、室温(25℃または約25℃)の範囲の温度で、シンプルなプロペラミキサー、逆回転ミキサー、または均質化ミキサーを使用して行われ得る。一般に、特別な装置または加工条件は、必要ない。調製される組成物のタイプに応じて、調製方法は、異なるが、そのような方法は、当業者によって理解されている。
【0129】
化粧品組成物は、クリーム、ゲル、粉末(流動性粉末またはプレス状)、ペースト、固体、自由に注ぐことができる液体、エアロゾルの形態であり得る。化粧品組成物は、単相系、二相系、または代替多相系、エマルション、例えば、水中油型、油中水型、水中シリコーン型、シリコーン中水型、多数のエマルション、例えば、油中水中油、水中シリコーン中ポリオール、シリコーン中水中油の形態であり得る。
【0130】
スキンケア組成物には、シャワージェル、石鹸、ハイドロゲル、クリーム、ローションおよびバーム、制汗剤、スティック、柔らかい固体、ロールオン、エアゾール、およびポンプスプレーなどの消臭剤、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、しわの抑制または減少の治療などのフェイシャルトリートメント、老化防止組成物、角質除去、ボディおよびフェイシャルクレンザー、バスオイル、香水、コロン、匂い袋、日焼け止め、ムース、パッチ、シェービング前およびシェービング後のローション、シェービングソープ、シェービングフォーム、脱毛、化粧品、カラー化粧品、ファンデーション、コンシーラー、ブラッシュ、口紅、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバ、カラー化粧品リムーバ、おしろい、ならびにそれらのキットが含まれる。
【0131】
ヘアケア組成物には、シャンプー、リンスオフコンディショナー、リーブインコンディショナー、およびスタイリングエイド、ジェル、スプレー、ポマード、ムース、ワックス、キューティクルコート、染毛剤、ヘアリラクセータ、ストレートヘアアイロン、パーマネント、ならびにそれらのキットが含まれる。
【0132】
ネイルケア組成物には、カラーコート、ベースコート、ネイル硬化剤、およびそれらのキットが含まれる。
【0133】
ヘルスケア組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、ムース、ペースト、パッチ、包帯スプレー、フォーム、および/またはエアゾールなど、予防および/または治療用の薬剤であり得る、抗ニキビ、歯科衛生、抗生物質、治癒促進剤を含む薬剤クリーム、ペースト、またはスプレーの形態、ならびにそれらのキットであり得る。
【0134】
化粧品組成物は、標準的な方法、例えば、人もしくは動物の体、例えば、皮膚もしくは毛髪にそれらを適用すること、アプリケータ、ブラシを使用すること、手で適用すること、それらを注ぐこと、および/またはおそらく化粧品組成物を体の上もしくは中にこすりもしくはマッサージすることによって使用され得る。例えば、カラー化粧品のための除去方法は、当技術分野で理解されている標準的な方法であり、洗浄、拭き取り、剥離などを含む。
【0135】
化粧品組成物は、皮膚または毛髪の満足のいくクレンジングまたはコンディショニングを提供するのに十分な量で、皮膚または毛髪の所望の領域に局所的に適用される。化粧品組成物は、局所適用の前、最中、または後に水で希釈し、その後、適用表面をすすぐかまたは拭き取り、例えば、水または水と組み合わせた非水溶性基質を使用して、適用表面をすすいでもよい。
【0136】
本開示はまた、本開示の特定の実施形態による化粧品組成物を毛髪または皮膚に適用することによって、毛髪または皮膚などのケラチン基質を処理する方法を含む。
【0137】
化粧品組成物は、従来の方式で毛髪に使用され得る。毛髪を洗浄またはコンディショニングするための化粧品組成物の有効量が毛髪に適用される。そのような有効量は、一般に、約1g~約50g、任意選択的に、約1g~約20gの範囲である。毛髪への適用は、典型的には、毛髪のほとんどまたはすべてが化粧品組成物と接触するように、毛髪を通して化粧品組成物を作用させることを含む。これらのステップは、必要な回数だけ繰り返して、所望の利点を得ることができる。
【0138】
毛髪に化粧品組成物を使用することで得られる利点には、以下の利点のうちの1つ以上が含まれる:保色、着色プロセスの改善、ヘアコンディショニング、柔らかさ、もつれの緩和、シリコーンの堆積、帯電防止、縮れ防止、潤滑性、光沢、強化、粘度、感触のよさ、ウェットコーミング、ドライコーミング、矯正、熱保護、スタイリング、またはカール保持。
【0139】
化粧品組成物は、従来の方式で皮膚上に使用され得る。この目的のための化粧品組成物の有効量が皮膚に適用される。そのような有効量は、一般に、約1mg/cm~約3mg/cmの範囲である。皮膚への適用は、典型的には、化粧品組成物を皮膚に作用させることを含む。皮膚に適用するためのこの方法は、皮膚を有効量の化粧品組成物と接触させ、次いで化粧品組成物を皮膚に擦り込むステップを含む。これらのステップは、必要な回数だけ繰り返して、所望の利点を得ることができる。
【0140】
皮膚に化粧品組成物を使用することで得られる利点には、以下の利点のうちの1つ以上が含まれる:様々な配合物(o/w、w/o、無水)における安定性、乳化剤としての有用性、疎水性のレベル、有機相溶性、持続性/耐久性、洗い流し耐性、皮脂との相互作用、顔料による性能、pH安定性、肌の柔らかさ、しなやかさ、保湿性、肌の感触、長持ち、持ちの良さ、長持ちする色の均一性、色の増強、泡の生成、光学効果(ソフトフォーカス)、活性物質の安定化。
【0141】
化粧品組成物は、ケラチン基質に対するケア、クレンジング、コンディショニング、リフレッシュ、メイクアップ、メイクアップの除去、または毛髪を直すのに使用され得る。
【0142】
産業上の利用可能性
本開示の架橋組成物は、種々の最終用途に有用であり、いかなる特定のものにも限定されない。好適な用途の例には、パーソナルケア、家庭用ケア、および美容ケア製品での使用が含まれる。遊離カルボキシル基を有する実施形態では、架橋組成物は、有機樹脂または繊維および表面処理粉末を改質するために使用することもできる。処理された表面は、無害な薬剤との高い親和性を示す。特に、粉末の分散性が大幅に改善される。したがって、架橋組成物は、粉末の高い分散性が必要とされる用途、例えば、スキンケアおよびメイクアップ製品などの化粧品、ならびにコーティングに有用であり得る。架橋組成物は、適用時に独特の感覚プロファイルを提供することにより、スキンケアおよびヘルスケアのためのパーソナルケア配合物の審美性を高めるために使用することもできる。架橋組成物は、ビロードのような、絹のような、または粉末のような感触などの感覚特徴を提供することができる。加えて、架橋組成物は、パーソナルケア(例えば、スキンケア、サンケア、化粧品など)およびヘルスケア配合物にレオロジー改質を提供するために使用することができる。架橋組成物は、優れた配合物の多様性も有する。特定の理論に束縛または制限されることなく、架橋組成物によって提供される、またはそれに起因する潜在的な利点には、以下のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されないと考えられる:皮膜形成、持続性、耐久性、顔料/粒子の懸濁液および/もしくは改質、長持ち/持ちの良さ、追加の化学物質、活性物質(例えば、薬物)または不活性物質(例えば、香料)の送達/放出(例えば、皮膚に対して)、ならびにそれらの組み合わせ。カルボキシル(またはカルボキシ)基も対象の皮膚と相互作用し得ることによって、化粧品組成物の長持ち/持ちの良さの利点を提供すると考えられる。
【0143】
エラストマー構造中のカルボキシ基が、皮膚の相互作用を高め、その結果、実質性が大幅に改善し、特に皮脂の存在下での耐洗い流し性が改善すると考えられる。様々な実施形態では、エラストマーは、従来のエラストマーのものに匹敵しない乾燥したビロードのような感触を有する。様々な実施形態では、エラストマーの吸水率は、70%と高く、パーソナルケア用途で典型的に使用される有機溶媒に適合する。
【0144】
架橋組成物、化粧品組成物、ならびに関連する方法および成分を例示する以下の実施例は、例示することを意図しており、本発明を限定することを意図していない。
【0145】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例で開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するために本発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実施のための望ましいモードを構成すると見なされ得ることを当業者は認識すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態に多くの変更を加えることができ、なおかつ本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを認識すべきである。特に指定のない限り、すべてのパーセンテージは、重量%であり、すべての測定は、23℃で行われる。下付き文字および連結基は、特に定義されない限り、上に記載されているとおりである。
【0146】
最初に、カルブ酸シロキサン中間体と称され得る反応中間体が形成される。次に、反応中間体を使用して、架橋組成物またはエラストマーブレンドを作製する。
【0147】
カルブ酸シロキサン中間体を作製するための材料
オルガノ水素ポリシロキサン:Dow Silicones Corporationから供給される以下の平均式のSi-Hポリマー:MDD’Mまたは平均式:
(CHSi-O-[Si(CH-O-][Si(CH)H-O-]Si(CH
式中、wは、一般に80~100であり、xは、一般に10~20である。
【0148】
計算されたMw=7857および計算された重量%SiH=0.198重量%。
【0149】
アルケニル官能多環式無水物:カルブ酸無水物またはcis-5-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸無水物、97%:
【化15】
【0150】
溶媒:イソドデカン(IDD)または2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン。
【0151】
線状アルケン:1-ヘキセン(CH=CHCHCHCHCH)。
【0152】
触媒:1重量%の白金溶液-IDD中でPt(IV)化合物の希釈から調製。
【0153】
カルブ酸シロキサン中間体を作製するための手順
実施例1
500mLの2つ口フラスコに、3.75gのカルブ酸無水物、12gのIDD、および10μL(~5ppmまたは174μg)の触媒(Pt(IV)、2%のキシレン溶液、Sigma Aldrich製)を添加する。20gのオルガノ水素ポリシロキサンを含む添加漏斗を一方のポートに設置し、熱電対付きのセプタムを他方のポートに入れた。反応物を78℃まで加熱し、次いで、オルガノ水素ポリシロキサンの添加を始めた(触媒を添加した直後)。色が黄色に変化した。10分後、すべてが溶液に溶けた。1時間加熱すると、温度は、ゆっくりと110℃に達した。IRおよびH NMR用に採取した。カルブ酸無水物は、残っていなかった。反応フラスコを60℃まで冷却し、次いで、6gの1-ヘキセンを添加した。30分間加熱後、反応は、完了しなかったが、ほぼ完了した。反応物をさらに30分間加熱し、次いで冷却した。
【0154】
実施例2
500mLの2つ口フラスコに、2.5gのカルブ酸無水物、12gのIDD、および10μL(~5ppmまたは174μg)の触媒(Pt(IV)、2%のキシレン溶液、Sigma Aldrich製)を添加する。20gのオルガノ水素ポリシロキサンを含む添加漏斗を一方のポートに設置し、熱電対付きのセプタムを他方のポートに入れた。反応物を78℃まで加熱し、次いで、オルガノ水素ポリシロキサンの添加を始めた(触媒を添加した直後)。色が黄色に変化した。10分後、すべてが溶液に溶けた。1時間加熱すると、温度は、ゆっくりと110℃に達した。IRおよび1H NMR用に採取した。カルブ酸無水物は、残っていなかった。反応フラスコを60℃まで冷却し、次いで、6gの1-ヘキセンを添加した。30分間加熱後、反応は、完了しなかったが、ほぼ完了した。反応物をさらに30分間加熱し、次いで冷却した。
【0155】
実施例3
500mLの2つ口フラスコに、1.25gのカルブ酸無水物、12gのIDD、および10μL(~5ppmまたは174μg)の触媒(Pt(IV)、2%のキシレン溶液、SigmaAldrich製)を添加する。20gのオルガノ水素ポリシロキサンを含む添加漏斗を一方のポートに設置し、熱電対付きのセプタムを他方のポートに入れた。反応物を78℃まで加熱し、次いで、オルガノ水素ポリシロキサンの添加を始めた(触媒を添加した直後)。色が黄色に変化した。10分後、すべてが溶液に溶けた。1時間加熱すると、温度は、ゆっくりと110℃に達した。IRおよび1H NMR用に採取した。カルブ酸無水物は、残っていなかった。反応フラスコを60℃まで冷却し、次いで、6gの1-ヘキセンを添加した。30分後、別の1H NMRを行ったが、SiHは、検出されなかった。
【0156】
上記の実施例1、2、および3の各々で形成された反応中間体は、以下の一般式のものである:
【化16】
【0157】
エラストマーブレンドを作製するための材料
反応中間体:上記の実施例1、2、および3で形成されたカルブ酸シロキサン中間体。
【0158】
ポリオール:1,6-ヘキサンジオール(HOCHCHCHCHCHCHOH)。
【0159】
溶媒:IDD。
【0160】
エラストマーブレンドを作製するための手順
実施例4
19.0gの反応中間体、0.52gのポリオール、および40.0gのIDDをマグネチックスターラ付きの反応フラスコに入れる。反応物を80℃まで加熱し、一度反応ゲルを80℃で3時間保持する。反応フラスコを室温まで冷却する。ゲル化した材料を実験用ブレンダに取り出し、材料を剪断してペーストにする。
【0161】
上記の実施例4の手順を使用してさらなる実施例を形成するが、以下の表1に例示するように、異なる量の成分を用いる。
【表1】
【0162】
上記の実施例4、5、6、および7で形成されたエラストマーは、以下の一般式のものである:
【化17】
【0163】
形成することができるエラストマーのさらなる実施例は、以下のとおりである。
【0164】
このエラストマーでは、線状アルケンを使用せず、過剰のペンダント多環式無水物基が存在する。
【化18】
【0165】
このエラストマーでは、線状アルケンを使用せず、シロキサンのうちの1つは、より多くのペンダント多環式無水物基を有する:
【化19】
【0166】
このエラストマーでは、線状アルケンを使用せず、ペンダント多環式無水物基は、すべて架橋される。
【化20】
【0167】
このエラストマーでは、線状アルケンを使用し、ペンダント多環式無水物基のすべては、架橋される。
【化21】
【0168】
このエラストマーでは、線状アルケンは、シロキサンのうちの1つに使用されず、ペンダント多環式無水物基のすべては、架橋される。
【化22】
【0169】
本明細書の教示を考慮して他のエラストマーも可能であるが、本明細書では具体的に説明されていないことを認識されたい。
【0170】
エラストマーブレンド中の3-ヘキセン酸の臭気検出
エラストマーブレンドのサンプルをヘッドスペースGC/MSによって分析して、サンプル中に3-ヘキセン酸が含有されているかどうかを判定した。3-ヘキセン酸は、米国特許第9,822,221号のエラストマー中に存在し得るものなどの従来のエラストマーブレンド中に存在する悪臭化合物であると考えられる。分析では、サンプルのいずれでも3-ヘキセン酸は検出されなかった。推定検出限界は、1ppm未満である。他の化合物は、標的にしなかった。
【0171】
手順
各サンプルは、MS13を使用してヘッドスペースGC/MSが受け取った状態で分析した。厳密に1.0gの材料を空の20mLのヘッドスペースバイアルに入れ、テフロンバックアップのシリコーンセプタムを使用して圧着密閉した。機器の質量較正は、分析を実行したのと同じ日に正確であることが検証された。
【0172】
EI GC/MS機器の条件
直接注入分析:
Agilent 7890A GC
・GCカラム:HP-INNOWAX、15m×0.25mm×0.25μmフィルム
・オーブンプログラム:40(3)-200℃(3)@15°/分-260℃(3)@25℃/分、260℃注入口
○ポストラン:該当なし
・一定のヘリウム流量@1mL/分
・240℃注入口で10:1の分割注入
【0173】
ヘッドスペース条件:110℃で5分、110℃シリンジ、1.0mL注入
【0174】
Agilent 5975C MSD
・MSモード:SIM、m/z=55、68、および114Da
・走査速度:3.1Hz
・EI(電子衝撃)イオン化、230℃ソース
【0175】
追加の実施例を以下に提供する。
【0176】
BTHPAの形成
2Lの丸底フラスコに無水マレイン酸(92.0g、0.94mmol)および910mLのトルエンを入れた。次いで、1,3,7-オクタトリエン(205g、1.88mmol、1:1cis:trans)を混合物に添加し、室温で72時間撹拌した。その後、溶媒および残りのオクタトリエンを減圧下の40℃で回転蒸発により除去した。残りの液体をフリットでろ過し、真空下(50mTorr)で135℃のホットプレート温度で加熱して、残りの溶媒を除去し、残りの無水マレイン酸を昇華させた。次いで、ホットプレートを180℃に設定し、所望の生成物を、放置すると自然に固化して白色固体になり得る透明な無色の液体として蒸留した。収率=165.5g(86%)、endo:exo=98:2。
【0177】
官能化ポリオルガノシロキサンの合成
無水物「1」(例えば、BTHPA)を使用した無水物官能化ポリオルガノシロキサン(ポリマーA)と、カルボキシ官能化ポリオルガノシロキサン(ポリマーB)との合成を、以下の簡略化した反応スキームに例示する:
【化23】
【0178】
ポリマーAの合成
温度計、スターラ、および添加漏斗を備えたフラスコに、20gのオルガノ水素ポリシロキサン、12gのイソドデカン(IDD)、および10μLのカルステッド触媒(キシレン中の2%のPt)を充填した。反応物を50℃まで加熱し、次いで8.5gの無水物1を添加漏斗により添加し、反応温度を75℃に1時間維持し、次いで室温に戻した。次いで、反応物をさらに2時間撹拌した。H NMR分光法は、約4%のSiHが残っていることを示す。定量的収率。
【0179】
カルボキシ流体の合成
ポリマーAと類似のカルボキシ流体を形成する。250mLの2つ口フラスコに、20gのオルガノ水素ポリシロキサンおよび12gのIDDおよび10μLの触媒(キシレン中2%)を添加する。8.5gの無水物1を含む添加漏斗を一方のポートに入れ、熱電対付きのセプタムを他方のポートに入れた。反応物を50℃まで加熱し、次いで、添加を始め、10分間続けた。反応物を75℃まで3時間加熱した。
【0180】
ポリマーBの合成
方法1
密閉した20mLのバイアルに2gのポリマーA、1gのテトラヒドロフラン、および120mgの蒸留水を添加した。混合物を撹拌し、80℃で8時間加熱し、次いで、テトラヒドロフランおよび水を取り除いた。IR分光法は、無水物環が完全に開いていたことを示す。
【0181】
方法2
密閉した20mLのバイアルに2gのポリマーA、120mgの蒸留水、および20mgのパラトルエンスルホン酸を添加した。混合物を撹拌し、80℃で2時間加熱し、次いで、水を取り除いた。IR分光法は、無水物環が完全に開いていたことを示す。
【0182】
別の官能化ポリオルガノシロキサンの合成
無水物「1」(例えば、BTHPA)、1-ヘキセン、および1,6-ヘキサンジオールを使用した別の無水物官能基化ポリオルガノシロキサン(ポリマー1)と、カルボキシ官能基化架橋エラストマー(ポリマーB)との合成を、以下の簡略化した反応スキームに例示する:
【化24】
【0183】
ポリマー1の合成
温度計、スターラ、および添加漏斗を備えたフラスコに、80gのオルガノ水素ポリシロキサン、48gのIDD、および160μLのカルステッド触媒(キシレン中の2%のPt)を充填した。反応物を40℃まで加熱し、次いで8.2mLの1-ヘキセンをゆっくりと添加した。反応物は、65℃まで発熱した。次いで、18gの無水物1を添加漏斗により添加し、反応温度を75℃に1時間維持した。反応物を60℃まで冷却し、反応温度を30分間維持しながら、20μLのカルステッド触媒および1mLの1-ヘキセンを添加した。次いで、揮発性物質を真空下の120℃で取り除いた。1H NMRおよびIR分光法は、ポリマー中にSiHが残っていないことを示す。99gの生成物を回収した(95%収率)。
【0184】
シロキサン中間体の合成
ポリマー1と類似のシロキサン中間体を形成する。250mLの2つ口フラスコに、20gのオルガノ水素ポリシロキサン、12gのIDD、および40μLの触媒(キシレン中2%)を添加する。反応物を40℃まで加熱し、次いで2.5mLの1-ヘキセンをゆっくりと添加した。反応物は、65℃まで発熱した。4.5gの無水物1を含む添加漏斗を一方のポートに入れ、熱電対付きのセプタムを他方のポートに入れた。1-ヘキセンを添加した後、無水物1の添加を5分かけて始めた。添加後、反応物を75℃まで加熱した。1時間後、反応物を55℃まで冷却し、1mLの1-ヘキセンおよび10μLのPtをさらに添加した。
【0185】
ポリマー2の合成
8.78gのポリマーA、0.22gの1,6-ヘキサンジオール、および21.0gのIDDを、1インチの星型のマグネチックスターラを含有する4オンスのスクワットガラスの瓶に装填する。80℃であり、かつ温度調節器/マグネチックスターラの上にあるウォーターバスに入れる。撹拌を設定4に設定し、ゲル化するまで約2時間反応させる。ゲル化したら、80℃に設定したオーブン中の4オンスの瓶に入れ、さらに3時間硬化させる。オーブンからサンプルを取り出し、室温まで冷却させる。次いで、ワーリングブレンダを使用して、サンプルを剪断し、追加のIDDを添加して、正常な粘度またはテクスチャを実現することができる。
【0186】
エラストマーの使用
以下で「COOH-エラストマー」と称される上記の実施例で形成されたエラストマーは、米国特許出願第62/664,654号に記載されている特定の化粧品組成物を形成するための配合物および手順を用いて、様々な化粧品配合物に導入することができる。
【0187】
本明細書では、「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、「含む(including)」、「含む(include)」、「本質的に~からなる」、および「~からなる」の概念を意味および包含するために最も広い意味で使用される。実例を列挙するための「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、「など」、および「含む」の使用は、列挙された例のみに限定されない。したがって、「例えば」または「など」は、「例えば、限定されない」または「などであるが限定されない」を意味し、他の類似するまたは同等の例を包含する。本明細書で使用される「約」という用語は、機器分析によって、またはサンプルを操作した結果として測定される数値の軽微な変動を合理的に包含または説明するのに役立つ。かかる軽微な変動は、数値の±0~25、±0~10、±0~5、または±0~2.5%ほどであり得る。さらに、「約」という用語は、値の範囲に関連付けられている場合に、両方の数値に適用される。さらに、「約」という用語は、明示的に述べられていない場合であっても数値に適用される場合がある。
【0188】
一般に、本明細書で使用される場合、値の範囲でのハイフン「-」またはダッシュ「-」は、「から(to)」または「から(through)」であり、「>」は、「上回る」または「より大きい」であり、「≧」は、「少なくとも」または「以上」であり、「<」は、「下回る」または「未満」であり、「≦」は、「最大で」または「以下」である。個別基準で、前述される特許の出願、特許、および/または特許出願公開の各々は、参照によりその全体が1つ以上の非限定的な実施形態に明示的に組み込まれる。
【0189】
添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる場合があることを認識されたい。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。
【0190】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲に独立してかつ集合的に該当し、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解されたい。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、かつかかる範囲および部分範囲が関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され得、これは、個別および集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。さらに、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する言語に関して、かかる言語は部分範囲、および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別および/または集合的に依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個別の数字は、依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個別の整数、ならびに4.1などの小数点(または小数)を含む個別の数値が含まれ、これは、依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態に好適なサポートを提供する。
【0191】
本明細書において、本発明を例示的な方式で説明してきたが、使用されている専門用語は、限定ではなく説明の単語の性質であることが意図されることを理解されたい。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的に説明された以外の方法で実施されてもよい。独立および従属請求項のすべての組み合わせの主題は、単一および多数従属の両方で、本明細書で明示的に企図される。