(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】新規のケトン体生成化合物、組成物、方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20240625BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240625BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240625BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240625BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240625BHJP
A61P 3/08 20060101ALI20240625BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240625BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240625BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K31/19
A61K47/36
A61K47/38
A61K9/08
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/08
A61P3/10
A61P21/00
A61P25/28
A61P25/00
A61P35/00
A61P43/00 123
(21)【出願番号】P 2020569867
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 CA2019050777
(87)【国際公開番号】W WO2019237185
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】524130283
【氏名又は名称】9500-0535 ケベック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カー,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ムルゲサピライ,ミルヴァガナム
(72)【発明者】
【氏名】ミリン,アレックス
【審査官】平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-520454(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199756(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221268(WO,A1)
【文献】Current Drug Delivery,2018年02月,Vol.15, No.2,p.167-185
【文献】Chem. Pharm. Bull.,2006年,Vol.54, No.8,p.1155-1161
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)β-ヒドロキシ酪酸(BHB)と、
b)弱塩基官能基を有するモノマーを含む、摂取可能および非消化性の弱塩基性ポリマーと、を含み、
前記弱塩基性ポリマーが
カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはキトサンである、化合物。
【請求項2】
BHBの前記弱塩基
性モノマーに対するモル比が約1:1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記BHBがラセミ混合物である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記BHBが50%を超えるD-異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記BHBがD-BHBである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、以下の式を有し、
[(弱塩基性モノマー)
+(BHB)
-]
x
式中、xは約2~約1000の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記弱塩基性ポリマーが、以下の式を有し、
[(glucNH
2)
n(glucNHAc)
m]
式中、
(glucNH
2)はグルコサミン残基であり、
(glucNHAc)はN-アセチルグルコサミン残基であり、
「m」は全残基の0%~約30%の範囲であり
「n」は全残基の70%~約100%の範囲であり、
残基の総数は約2~約1000である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記ポリマーが約9kD~約300kDの質量を有する、請求項
7に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が以下の構造を有する、請求項
7に記載の化合物。
【化1】
【請求項10】
前記弱塩基性ポリマーが、以下の式を有し、
[(glu(CH
2CO
2)
xM
x]
n(glu)
m]
式中、
[glu(CH
2CO
2)
xM
x]はカルボキシメチルグルコース残基であり、
gluはグルコース残基であり、
x=1または2または3であり、Mは、電荷が+1または+2または+3の陽イオンであり、
「m」は全残基の0%~約30%の範囲であり、
「n」は全残基の70%~約100%の範囲であり、
残基の総数は約2~約1000である、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
前記ポリマーが約9kD~約300kDの質量を有する、請求項1
0に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が以下の構造を有する、請求項1
0に記載の化合物。
【化2】
【請求項13】
前記BHBが耐えられない味を有し、前記化合物が前記耐えられない味を実質的に含まない、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
溶液中の前記BHBの濃度が少なくとも約1.0%(重量/体積)である、請求項1
3に記載の化合物。
【請求項15】
a)β-ヒドロキシ酪酸(BHB)と、
b)弱塩基官能基を有するモノマーを含む、摂取可能および非消化性の弱塩基性ポリマーと、
c)水と、を含むヒドロゲルであって、
前記弱塩基性ポリマーが
カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはキトサンであり、
BHBの前記弱塩基官能基に対するモル比が約1:1である、ヒドロゲル。
【請求項16】
前記ヒドロゲルが追加のケトン体生成前駆体をさらに含む、請求項1
5に記載のヒドロゲル。
【請求項17】
前記ケトン体生成前駆体がポリ-BHB、BHBのオリゴマー、1,3-ブタンジオール、および/もしくはアセト酢酸またはそれらのエステルである、請求項16に記載のヒドロゲル。
【請求項18】
追加のBHBをさらに含む、請求項1
5に記載のヒドロゲル。
【請求項19】
BHBの弱塩基官能基に対する比が1対1よりも大きい、請求項1
8に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
BHBの弱塩基官能基に対する比が約2対約1よりも大きい、請求項1
9に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
BHBの弱塩基官能基に対する比が約5対約1よりも大きい、請求項2
0に記載のヒドロゲル。
【請求項22】
BHBの弱塩基官能基に対する比が約10対約1よりも大きい、請求項2
1に記載のヒドロゲル。
【請求項23】
前記BHBがD-BHBである、請求項16~2
2のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項24】
ケトンレベルを増加させるための薬剤であって、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物、または請求項1
5~
23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含み、BHBは耐えられない味を有し、前記化合物またはヒドロゲルは、前記耐えられない味を実質的に含まない、薬剤。
【請求項25】
ケトーシスを促進するため、体重減少を促進もしくは食欲を抑制するため、神経変性症状を予防もしくは治療するため、外傷性脳損傷を予防もしくは治療するため、筋肉障害もしくは筋肉疲労によって引き起こされる症状を治療するため、がんの予防もしくは治療の改善のため、糖尿病の治療のため、または血糖レベルを調節もしくは低下させるための、請求項2
4に記載の薬剤。
【請求項26】
ケトンレベルを増加させるための薬剤の調製のための、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物、または請求項1
5~
23のいずれか一項に記載のヒドロゲルの使用であって、BHBは耐えられない味を有し、前記化合物またはヒドロゲルは、前記耐えられない味を実質的に含まない、使用。
【請求項27】
ケトーシスを促進するため、体重減少を促進もしくは食欲を抑制するため、神経変性症状を予防もしくは治療するため、外傷性脳損傷を予防もしくは治療するため、筋肉障害もしくは筋肉疲労によって引き起こされる症状を治療するため、がんの予防もしくは治療の改善のため、糖尿病の治療のため、または血糖レベルを調節もしくは低下させるための、請求項2
6に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年11月1日に出願されたカナダ特許出願第3,022,995号(許可)および2018年6月12日に出願された米国仮出願第62/683,817号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、β-ヒドロキシ酪酸および弱塩基性ポリマーを含む新規のケトン体生成化合物ならびにそのような化合物の組成物に関する。本開示はまた、化合物もしくは組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、栄養ケトーシスを誘発するための方法、または代替エネルギー基質としてのそのような化合物もしくは組成物の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
血流または組織中のケトンレベルの増加は、主にケトン体生成体食(KD)または外因性ケトンサプリメントの摂取などの栄養法によって達成できる。ただし、KDの深刻なコンプライアンスの問題と健康上の懸念は、科学文献に十分に文書化されており、現在入手可能なサプリメントの使用は依然として制限されている。実際、極端な不快感および3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸、BHB)の急速な吸収を考えると、市販のケトンサプリメントの大部分は、嗜好性を改善し、BHBの吸収を調節するためにナトリウム、カルシウム、およびカリウム塩などのBHBの塩を使用しているが、確立されているこれらのミネラルイオンの推奨される1日の許容量は、摂取できるBHB塩の総量を厳しく制限する。一部のサプリメントは、BHBの吸収を調節するためにむしろケトンエステルに依存しているが、嗜好性は依然として重要な制限要因である。
【0004】
絶食、飢餓、および激しい運動のようにグルコースの利用可能性が長期間低下する間、または1型糖尿病のような不十分なインスリン産生により、ケトン体は、代替エネルギー基質として機能するように自然に上昇する。グルコースの不足は、脂肪酸の酸化と肝臓のケトン体生成への代謝シフトを引き起こし、ケトン体であるアセト酢酸(AcAc)およびベータヒドロキシ酪酸(BHB)の血中濃度を上昇させる。
【0005】
1920年代に、研究者たちはカロリー制限を必要とせずに同じ代謝シフトを誘発する脂肪ベースの食事を開発した。知られているように、ケトン体生成食(KD)は、それ以来、小児てんかんの非医薬品治療として使用されてきた。医学研究は、例えば外傷性脳損傷、神経変性障害、脳卒中、アルツハイマー病、がん、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、2型糖尿病、肥満、パーキンソン病、酸化ストレスなどの幅広い病状に対するKDの予防または治療の可能性を支持している(参考文献を参照)。
【0006】
とりわけ、血中のケトン体の上昇は、血糖コントロールを改善し、炎症を抑制し、ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)の産生を減少させ、ミトコンドリアの生体エネルギーを有利に変化させることが示されている。ケトン体は心臓の水力効率を高め、ATP生成を増やすと同時に酸素消費量を減らす。したがって、ケトン体の上昇は代謝効率を高め、その結果、スーパーオキシドの生成を減らし、還元型グルタチオンを増やす。神経学的観点から、ケトン体がその可能性を達成するメカニズムの1つは、ケトン体のエネルギー代謝の生化学的プロセスによるものである。ミトコンドリア内の細胞呼吸中に、グルコースは有効なクエン酸回路に入り、これは多くの脳疾患または外傷の状況で中断または損なわれる。ケトン体は異なるステップでクエン酸回路に入り、したがって細胞のエネルギー代謝を助ける。
【0007】
そのような可能性にもかかわらず、いくつかの要因が広範な臨床使用においてこの代謝療法の使用を制限する。KDの厳しい食事制限を考えると、主な制限は患者のコンプライアンスであるとみられる。古典的なKDでは、個体の総カロリー摂取量の80~90%が脂肪に由来する必要があり、大多数の使用者は、それを口に合わないと認識している。また、栄養ケトーシスの状態を維持することは、少量の炭水化物またはタンパク質の消費でさえケトーシスを急速に阻害する可能性があるため、非常に困難な場合がある。栄養ケトーシスはまた、ケトン体の生成と利用を最適化するために身体の適応期間を必要とする。患者がKDに適応するまでには数週間かかる場合があり、この移行中に望ましくない症状を経験する場合がある。とりわけ、長期的なKDの副作用には、便秘、脂質異常症、月経困難症、子供の成長の遅延または発育阻害、腎臓結石などが含まれる場合がある。最後に、多くの微量栄養素の食事不足に対処するために、サプリメントがほぼ全身で必要である。
【0008】
栄養ケトーシスの有望な健康への可能性は、KDの適切な代替案を模索する元となった。最近のいくつかの研究では、極端な食事制限なしに、KDの代わりに外因性ケトンサプリメントを使用した場合に同様の結果が示されている。経口栄養ケトーシスを達成するための最も簡単な方法は、純粋なBHBまたはアセト酢酸(AcAc)の摂取であるとみられる。しかしながら、これらの化合物の極端な嗜好性の問題および急速な吸収速度を考えると、それらの使用は、非実用的であると合意をもって認識されている。AcAcは、そのクラスの他の多くの要素と同様に、不安定な酸でもある。
【0009】
現在利用可能なケトン体生成経口サプリメントは、中鎖トリグリセリド油(MCT)(例えば、米国特許第9138420号を参照)、BHBミネラル塩、およびケトン体エステルのいずれかからなる。これらのサプリメントにはそれぞれ独自の制限と影響がある。例えば、MCTの使用は、その有効性をかなり制限する小用量で摂取されない限り、大多数の患者に胃腸の苦痛を引き起こすことが報告されている。前述のように、BHBミネラル塩の摂取は、潜在的に損傷を与えること、またはさらには致命的なミネラルの過剰摂取を回避するために、付随するミネラルの1日あたりの許容摂取量によっても制限される。全身の浸透圧バランスも影響を受ける。ケトン体エステルは、BHBおよびAcAcなどの2つ以上のケトン体が共有結合で結合している新規の分子である。これらのプロドラッグはケトン体の自然な構造を変更するため、使用が制限されており、それらの安全性を評価するためにさらに臨床試験を実施する必要がある。また、それらの嗜好性は、初期の使用者によってせいぜい許容できると報告されているが、大量市場での毎日の消費には確かに適していない。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)および少なくとも1つの弱塩基性ポリマーを含む新規の化合物に関する。さらなる実施形態では、本開示は、BHB、および水に溶解されると、多くの利点を提供するヒドロゲルマトリックスを形成する少なくとも1つの非消化性弱塩基性ポリマーを含む新規化合物を含み:(1)BHBの不快な味が中和され、(2)追加のケトン体生成前駆体をマトリックスに組み込んで、そのような前駆体の不快な味を中和し続ける水素結合ネットワークを形成することができ、(3)無機塩とは反対に、付随するポリマーは身体に吸収されず、したがってBHBおよび他の前駆体のみが対象に吸収される。
【0011】
したがって、本開示の一実施形態では、
(i)3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)と、
(ii)弱塩基官能基を含む弱塩基性ポリマーと、を含む化合物が含まれる。
【0012】
一実施形態では、弱塩基性ポリマーは弱塩基官能基を含み、化合物中の弱塩基官能基とBHBとの間のモル比は約1:1である。いくつかの実施形態では、BHBおよび弱塩基性ポリマーを含む化合物は、弱酸弱塩基塩化合物(イオン性化合物)または弱酸弱塩基緩衝塩化合物である。
【0013】
さらなる実施形態では、本開示は、ヒドロゲルマトリックスとしての化合物を含む水性組成物を含み、ヒドロゲルマトリックスは、BHBの二量体、三量体、四量体およびオリゴマー、BHBのポリマー、1,3-ブタンジオールおよび/もしくはアセト酢酸またはそのエステルを含む追加のBHBをマトリクス内に組み込み、追加された化合物がマトリックスから逃げないようにする。
【0014】
本開示はまた、栄養ケトーシスの誘発を必要とする哺乳動物において栄養ケトーシスを誘発するための方法を対象とし、この方法は、有効量の本開示の化合物または化合物を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0015】
本開示はまた、本開示の化合物を1つの容器に、かつ水または水溶液を第2の容器に含むキット、使用説明書を含み、ユーザは、化合物を水または水溶液と組み合わせてヒドロゲルマトリックスを形成する。
【0016】
本出願の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本出願の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および具体例は、本出願の好適な実施形態を示しながら例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本明細書で使用される「弱塩基性ポリマー」という用語は、1つ以上の弱塩基性モノマー単位を含み、例えば4.0~10.5の範囲のpKbを有する骨格を有するポリマーを指す。弱塩基性ポリマーはまた、特定のモノマーが弱塩基性官能基を有しないコポリマーであり得る。
【0018】
「弱塩基性モノマー単位」という用語は、弱塩基性ポリマーを形成するために使用されるモノマーを指し、モノマー単位は弱塩基性官能基を有する。
【0019】
弱塩基官能基の文脈で本明細書において使用される「弱塩基」または「弱塩基性」という用語は、以下のスキームに示されるように、水を部分的にのみイオン化する基、部分または他の化学構造を指す。
【化1】
【0020】
本明細書で使用される「ヒドロゲルマトリックス」という用語は、水または水溶液に溶解され、弱塩基性ポリマーとBHBとの間の強い分子間水素結合および/またはイオン結合からなるゲルまたはマトリックスを形成する本開示の化合物を指し、マトリックスは追加のケトン体生成前駆体を吸収することができる。ケトン体生成前駆体がマトリックスに組み込まれると、それらの不快な味が抑制される。
【0021】
本明細書で使用される「摂取可能」という用語は、副作用がほとんどないかまたは無視できる、ヒトなどの対象に投与され得る弱塩基性ポリマーを指す。
【0022】
本明細書で使用される「非消化性」という用語は、対象の胃腸管の分泌物による消化にほとんどまたは完全に耐性があり、体から排泄される弱塩基性ポリマーを指す。
【0023】
本明細書で使用されるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)という用語は、以下の構造を有する化合物を指し、
【化2】
、
そのすべての立体異性体を含む。
【0024】
開示の組成物
本開示は、β-ヒドロキシ酪酸および弱塩基性ポリマーの、摂取可能で口当たりの良いケトン体生成化合物に関する。一実施形態では、弱塩基性ポリマーは弱塩基官能基を含むモノマーからなり、各弱塩基官能基とBHBとの間のモル比は、約1:1である。さらなる実施形態では、β-ヒドロキシ酪酸および弱塩基性ポリマー(約1:1の比率で)を含む化合物は、水に溶解されるとヒドロゲルマトリックスを形成し、これは、BHBをマトリクス内に補足し、化合物を経口投与するときのBHBの不快な味を抑制する。さらなる実施形態では、ヒドロゲルマトリックスは、BHBの二量体、三量体、四量体およびオリゴマー、BHBのポリマーを含む追加のBHB、1,3-ブタンジオールおよび/もしくはアセト酢酸またはそれらのエステルなどの追加のケトン体生成前駆体を吸収および/または組み込むことができ、マトリックスがBHBおよび/または他の前駆体の味の中和を維持する。さらなる実施形態では、摂取時に、本開示の化合物は、対象に吸収されてケトン体生成を高めるBHBを放出するが、弱塩基性ポリマーは身体によって吸収されずに排泄される。
【0025】
本開示の一実施形態では、
(i)3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)と、
(ii)弱塩基官能基を含む弱塩基性ポリマーと、を含む化合物が含まれる。
【0026】
一実施形態では、弱塩基性ポリマーは弱塩基官能基を含み、化合物中の弱塩基官能基とBHBとの間のモル比は約1:1である。いくつかの実施形態では、BHBおよび弱塩基性ポリマーを含む化合物は、弱酸弱塩基塩化合物(イオン性化合物)または弱酸弱塩基緩衝塩化合物である。
【0027】
さらなる実施形態では、本開示はまた、
(i)β-ヒドロキシ酪酸(BHB)と、
(ii)弱塩基官能基を含む弱塩基性ポリマーと、を含むヒドロゲルを含み、
BHBの対弱塩基官能基に対するモル比は、少なくとも約1:2であり、ヒドロゲルマトリックスを形成するのに好適である。
【0028】
さらなる実施形態では、ヒドロゲルマトリックス内で、BHBは、強い分子間相互作用を有するマトリックス内に捕捉され、対象への投与時に代替エネルギー基質として使用されるか、またはケトン体の血中濃度を上昇させる。いくつかの実施形態では、ケトン体の上昇は、身体的および認知的能力の増強、ならびにケトーシスが関与する病状の予防、改善または治療につながる。一実施形態では、複合体を対象に投与すると、血流中のケトンの濃度が増加する。
【0029】
一実施形態では、本開示の化合物は、付随する弱塩基性ポリマーが血流および組織におけるBHBの放出時に排泄されるので、対象が最小限ネラル負荷またはミネラル負荷なしでかなりの量のBHBを摂取することを可能にする。
【0030】
一実施形態では、弱塩基性ポリマーは弱塩基官能基を含み、ポリマーの各弱塩基官能基とBHBのモル比は約1:1である。さらなる実施形態では、BHBは、弱塩基性ポリマーの弱塩基官能基に水素結合している。いくつかの実施形態では、BHBおよび弱塩基性ポリマーを含む化合物は、弱酸弱塩基塩化合物(イオン性化合物)または弱酸弱塩基緩衝塩化合物である。弱塩基緩衝塩は、弱酸、弱塩基、およびそれらの共役酸と共役塩基のペアが存在する塩組成物として定義される。さらなる実施形態では、BHBのモル比が弱塩基モノマーよりも大きい組成物において、組成物は、記述される1:1の化合物を暗示的に含み、余分なBHBは化合物にH-結合されており(例えば2:1)、またはBHBが少ない場合、余分な弱塩基モノマーは遊離型のままであるか、未反応である。
【0031】
一実施形態では、BHBは、DおよびLのラセミ混合物である、または、D異性体が濃縮されている混合物(つまり、>50%)または純粋なD-BHBアイソフォームである。
【0032】
さらなる実施形態では、β-ヒドロキシ酪酸と弱塩基性ポリマーとの化合物は、水に溶解されるとヒドロゲルマトリックスを形成し、さらなるケトン体生成前駆体を吸収することができる。一実施形態では、本開示は、水中のβ-ヒドロキシ酪酸および弱塩基性ポリマーのヒドロゲルマトリックス、および追加のBHBなどの追加のケトン体生成前駆体を含む組成物を含み、それがヒドロゲルマトリックス内に閉じ込められた結果、追加されるBHBの味も結果として中和される。一実施形態では、ヒドロゲルマトリックスは、BHBが約1:1よりも大きい、または約2:1よりも大きい(BHB:弱塩基官能基)、または5:1よりも大きい、または約10:1のモル比でヒドロゲルマトリックス中に存在するように、追加されるBHBを吸収する。他の実施形態では、ヒドロゲルマトリックスは、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸(ポリBHB)が二量体、三量体、四量体またはオリゴマー(またはポリ-BHBの他の加水分解生成物)である、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸などの他のケトン体生成前駆体を吸収することができ、オリゴマー中のBHB残基の数は、短鎖オリゴマーとしては約5~約20であり、中鎖オリゴマーについては約21~約50である。さらなる実施形態では、ポリBHBは、50を超えるBHB残基を有する長鎖ポリマーである。別の実施形態では、組成物に含まれるケトン体生成前駆体は、1,3-ブタンジオール、またはアセト酢酸である。
【0033】
一実施形態では、本開示の化合物は、式[(弱塩基性ポリマー)+(BHB)-]xを有し、式中、変数「x」は、約2~約1000の範囲であり得、弱塩基性ポリマーは、弱塩基官能基を含む。一実施形態では、BHBおよび弱塩基性ポリマーの弱塩基官能基は、約1:1~約1:2の比率で存在する(BHB:弱塩基官能基)。
【0034】
一実施形態では、弱塩基性ポリマーは摂取可能なポリマーである。別の実施形態では、弱塩基性ポリマーは非消化性である。一実施形態では、弱塩基性ポリマーは多糖である。
【0035】
いくつかの実施形態では、弱塩基性ポリマーは、約4.0~10.5のpKbを有する弱塩基性モノマー単位(弱塩基官能基を有する)から構成される。別の実施形態では、弱塩基性ポリマーは、弱塩基性部分を有しないモノマーからさらに構成されるコポリマーである。
【0036】
一実施形態では、弱塩基性ポリマーは、キトサン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキトサン、アルギネート、タンパク質およびポリリジンなどのポリペプチド、ならびにカルボン酸および/またはカルボキシレート基を含む他の多糖類、例えばグルクロン酸、それらの混合物またはそれらの誘導体である。一実施形態では、弱塩基性ポリマーは、約6.42のpKbを有するグルコサミン残基を有するキトサンである。別の実施形態では、弱塩基性ポリマーは、約9.70のpKbを有するカルボキシメチル残基を有するカルボキシメチルセルロースである。一実施形態では、弱塩基性ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0037】
一実施形態では、弱塩基性モノマー単位は、カルボキシメチル基、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミン基、リン酸基またはそれらの誘導体(ホスホロアミドなど)などの弱塩基官能基、またはサルフェートおよびサルファイトを含む。
【0038】
一実施形態では、キトサンは、式[(glucNH2)n(glucNHAc)m]を有し、式中、(glucNH2)はグルコサミン残基であり、(glucNHAc)はN-アセチルグルコサミン残基である。さらなる実施形態では、変数「m」は、全残基n+mの0%~約30%まで変化し得る(そして、nは約70%~約100%である)。いくつかの実施形態では、残基の数n+mは、二量体(n+m=2)、三量体(n+m=3)、n+mが4~50の範囲であるオリゴマー、およびn+mが9kD~300kDの質量範囲に対応する高級ポリマーにおいて変化し得る。いくつかの実施形態では、n+mは2~約1000の整数である。
【0039】
いくつかの実施形態では、カルボキシメチルセルロース(CMC)は、式{[glu(CH2CO2)×Mx]n(glu)m]}を有し、式中[glu(CH2CO2)×Mx]は、カルボキシメチルグルコース残基であり、カルボキシメチル化度xは、x=1または2または3であり、Mは、電荷+1または+2または+3を持つ陽イオンとすることができる。別の実施形態では、グルコース残基(glu)では、mは全残基n+mの30%~0%まで変化する(およびnは、約70%~約100%である)。いくつかの実施形態では、残基の数、n+mは、二量体(n+m=2)、三量体(n+m=3)、n+mが4~50の範囲であるオリゴマー、およびn+mが9kD~300kDの質量範囲に対応する高級ポリマーで変化し得る。いくつかの実施形態では、n+mは2~約1000の整数である。
【0040】
一実施形態では、本開示の化合物は、スキーム1に示されるように、弱塩基性ポリマーがキトサンである場合、以下の構造を有する。
【化3】
【0041】
一実施形態では、スキーム1を参照すると、スキーム1は、キトサン-BHB化合物のマトリックスにおいて、1:1のモル比(BHB:弱塩基官能基(NH2))である多数の可能なH結合およびイオン相互作用のうちの2つを示す。スキーム1は、キトサンから誘導される化合物[(glucNH2)n(glucNHAc)m]を示し、式中、m=0であり、式[(glucNH3
+)(BHB-)]×で表され、式中、「x」は、約2~約1000の範囲であり得る。スキーム1は、キトサン-BHBの基本的な繰り返し単位を示し、(a)は、イオン結合および水素結合相互作用を介して相互作用し、非共有性BHB構造をもたらす隣接BHB残基を示し、一方(b)は、複合体のマトリックス構造をもたらす隣接するキトサン鎖とのBHB相互作用を示す。
【0042】
別の実施形態では、本開示の複合体は、スキーム2に示されるように、弱塩基性ポリマーがCMCである場合、以下の構造を有する。
【化4】
【0043】
一実施形態では、スキーム2を参照すると、スキーム2は、1:1のモル比(BHB:弱塩基官能基)でのCMC-BHB化合物の複合体のマトリックスにおける、多数の可能なH-結合およびイオン相互作用のうちの2つを示す。スキーム2は、CMCから導かれる化合物、[(glu(CH2CO2)xM]x)n(glu)m]を示し、式中、m=0、x=1であり、式{(glu(CH2CO2M)(BHB)]a[(glu(CH2CO2H)(BHBM)]b}で表され、式中「a+b」は、約2~約1000の範囲であり得る。一実施形態では、Mはナトリウムなどのミネラルイオンである。スキーム2の楕円形のリング内には、CMC-BHBの基本的な繰り返し単位が示され、(I)には、イオン結合および水素結合相互作用を介して相互作用し、非共有性ポリ-BHB構造を導く隣接するBHB残基が示され、一方、(II)には、複合体のマトリックス構造を導く、隣接するCMC鎖とのBHB相互作用が示される。
【0044】
別の実施形態では、スキーム3は、弱塩基性ポリマーであるキトサンおよびカルボキシメチルセルロースの変形例を示している。
【化5】
【0045】
一実施形態では、キトサンおよびCMCなどの弱塩基性ポリマーは、ヒドロキシル基および弱塩基官能基によって強い水素結合およびイオン相互作用を形成する。一実施形態では、複合体の構造は、複数のBHB分子と相互作用するポリマー骨格からのヒドロキシル基および弱塩基官能基を示す。一実施形態では、ポリマーとBHBとの間の相互作用は、強い分子間水素結合およびイオン結合である。一実施形態では、ヒドロキシルおよび弱塩基官能基の組織化は、テンプレートとして作用し、次に、BHBを非共有性ポリマー様の集合体に組織化する。
【0046】
さらなる実施形態では、非共有性ポリマー複合体は、分子間水素結合およびイオン結合;BHBのカルボキシル基とベータヒドロキシル基、およびポリマー骨格の多くのヒドロキシル基と弱塩基性基のネットワークによって支持されている。したがって、一実施形態では、複合体はポリマーテンプレートによって組織化された水素結合およびイオン結合のマトリックスである。
【0047】
さらなる実施形態では、複合体は、弱酸および弱塩基官能基を有し、したがって、ポリマー緩衝剤である。一実施形態では、このポリマー緩衝剤は、単量体の弱酸弱塩基混合物の非常に濃縮された緩衝剤のようなものである。化合物のマトリックス構造と組み合わされた緩衝特性は、ケトンサプリメントとしての用途に有利な特性を示す。一実施形態では、化合物の緩衝能力は、最大5倍のBHBと混合された場合、約3.0~約8.0、例えば、4.5±1.0のpH範囲を有する口当たりの良い配合物を与えることができる。
【0048】
本開示の他の実施形態では、弱塩基性ポリマーが例えばキトサンなどの窒素残基を有する場合、キトサン(glucNH2)中の塩基性残基のパーセント画分を反応させてグルコサンモニウム塩を形成するなどして、酸性栄養素を弱塩基性ポリマーに組み込むことができる。一実施形態では、栄養素(A)を運ぶグルコサンモニウム残基は、(glucNH3
+)dA)として表すことができ、式中、Aは、電荷-1または-2または-3を有し得、dは、1,2,3であり得る。一実施形態では、栄養素Aは、アミノ酸、脂肪酸およびそれらの組み合わせなどの酸性分子の陰イオン、またはカルボキシレート、スルフェート、スルホまたはホスフェートを有するか、もしくはこれらの基に由来する栄養素分子である。一実施形態では、グルコサミン(glucNH2)から(glucNH3
+)dA)への変換%は、50%~0%まで変化し得る。
【0049】
他の実施形態では、弱塩基性ポリマーがカルボキシレート残基(または他のアニオン性残基)を有する場合、ミネラル陽イオンのパーセント画分(カルボキシメチルグルコース残基のいくつかの残基中のM)を交換し、[glu(CH2CO2)×Mx](式中、Mは他のミネラル栄養素または有機栄養陽イオンを有するNa+)は、これらの栄養素をCMCポリマーに組み込む。いくつかの実施形態では、カルボキシメチル残基は、(glu(CH2CO2)xB)として表すことができ、式中、x=栄養陽イオンの電荷に対して、Bは、電荷+1または+2または+3または4以上を有する栄養陽イオンであり、xは1、2、3、4であり得る。一実施形態では、栄養素Bは、(i)K、Na、Ca、Mgなどのミネラルイオン、(ii)Fe、Cr、Mnなどの微量栄養素イオン、および(iii)アミノ酸などの有機ベースの栄養陽イオン、または窒素塩基を含む栄養素である。一実施形態では、[glu(CH2CO2)×Mx]から[glu(CH2CO2)×B]への変換%は、約50%~0%の範囲である。
【0050】
本開示の一実施形態では、本開示の化合物は酸味または柑橘系の味を有するが、(それらの基本構造と一致して)純粋なBHB溶液は不快感を与え、弱塩基性ポリマーはわずかに苦味を有する。一実施形態では、本開示の化合物は、BHBを含む組成物の嗜好性が改善されている。
【0051】
本開示の一実施形態では、弱塩基性ポリマーが酸/塩基反応においてβ-ヒドロキシ酪酸と反応するので、化合物は弱酸弱塩基塩を形成する。一実施形態では、弱塩基性ポリマーがカルボキシメチルセルロースである場合、ポリマーはカルボキシル(-COOH)基およびカルボキシレート(COO-)基の両方を有し、カルボキシレート基は、BHB酸と反応し、弱酸弱塩基バッファ塩を形成し、酸および対応する共役塩基にはCMCとBHBの両方が存在する。別の実施形態では、弱塩基性ポリマーがキトサンである場合、アミン基は、BHB酸と反応して弱酸弱塩基塩を形成するための塩基性官能基として機能する。
【0052】
一実施形態では、本開示の化合物は、ポリマーマトリックス内にBHBを保持し、BHBがマトリックスから逃げるのを防ぐ安定なマトリックスである。したがって、一実施形態では、安定な複合体は、食品などの組成物として配合された場合、それらの改善された嗜好性を保持する。
【0053】
一実施形態では、BHBの味覚抑制を維持するために水または水溶液へ化合物および/またはヒドロゲルを溶解させた結果、BHBの濃度は、少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約6.0%、少なくとも約7.0%、少なくとも約10.0%、少なくとも約15.0%、少なくとも約20.0%、少なくとも約25.0%、少なくとも約30.0%、少なくとも約40.0%、少なくとも約50.0%、少なくとも約60.0%、少なくとも約70.0%(重量/体積)である。一実施形態では、BHBの味覚抑制を維持するために水または水溶液へ化合物および/またはヒドロゲルを溶解させた結果、BHBの濃度は、約1.0%~70.0%、約1.0%~60.0%、約1.0~50.0%、約1.0%~40.0%、約2.0%~30.0%、約3.0%~20.0%、約5.0%~10.0%、(重量/体積)である。他の実施形態では、BHBの味覚抑制を維持するために水または水溶液へ化合物および/またはヒドロゲルを溶解させた結果、BHBの濃度は、少なくとも約0.10mol/L、少なくとも約0.20mol/L、少なくとも約0.30mol/L、少なくとも約0.40mol/L、少なくとも約0.50mol/L、少なくとも約0.60mol/L、少なくとも約0.70mol/L、少なくとも約0.80mol/L、少なくとも約0.90mol/L、少なくとも約1.00mol/L、少なくとも約1.50mol/L、少なくとも約2.00mol/L、少なくとも約3.00mol/L、または少なくとも約5.00mol/Lである。他の実施形態では、BHBの味覚抑制を維持するために水または水溶液へ化合物および/またはヒドロゲルを溶解させた結果、BHBの濃度は、約0.10~5.00mol/L、約0.10~3.00mol/L、約0.10~2.00mol/L、約0.10~1.00mol/L、または約0.30~0.80mol/Lである。さらなる実施形態では、CMCまたはキトサンなどの弱塩基性ポリマーは、水溶液中の化合物内の濃度で、少なくとも約0.10%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1.0%、少なくとも約10%、少なくとも2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約4.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約10.0%、少なくとも約20.0%、または少なくとも約25.0%(重量/体積)存在する。さらなる実施形態では、CMCまたはキトサンなどの弱塩基性ポリマーは、水溶液中の化合物内の濃度で、約0.10~25.0%、約0.1%~10.0%、約0.1~5.0%、または約1.0~5.0%(重量/体積)存在する。
【0054】
他の実施形態では、化合物は固体形態で存在し、チョコレートバー、焼き菓子、キャンディーなどの固形形態の投与において有用であり、味覚抑制を維持したBHBの濃度は、少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約10.0%、少なくとも約15.0%、少なくとも約20.0%、少なくとも約25.0%、少なくとも約30.0%、少なくとも約40.0%、少なくとも約50.0%、少なくとも約60.0%、少なくとも約70.0%、少なくとも約80.0%(重量/重量)である。さらなる実施形態では、化合物は、固体形態で存在し、チョコレートバー、焼き菓子、キャンディーなどの固体形態の投与において有用であり、味覚抑制を維持したBHBの濃度は、約1.0~80.0%、約1.0~50.0%、約5.0~50%、約10.0~40.0%、または約20.0~30.0%(重量/重量)である。さらなる実施形態では、CMCまたはキトサンなどの弱塩基性ポリマーは固体化合物内に、少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約4.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約6.0%、少なくとも約7.0%、少なくとも約10.0%、少なくとも約20.0%、または少なくとも約25.0%(重量/重量)の濃度で存在する。さらなる実施形態では、CMCまたはキトサンなどの弱塩基性ポリマーは固体化合物内に、約1.0~25.0%、約1.0~10.0%、または約5.0~10.0%(重量/重量)の濃度で存在する。
【0055】
本開示はまた、苦味に関連するBHBの味をマスキングするための方法を含み、弱塩基性ポリマーを準備するステップ、ポリマーを水などの水溶液中、例えば15~50℃などの温度で混合するステップ、および均一な懸濁液を得るステップを含む。さらなる実施形態では、懸濁液は撹拌され透明な溶液を得る。BHBを水に溶解し、弱塩基性ポリマー懸濁液にゆっくりと添加し、任意選択で攪拌しながら、溶液を35℃などの15~50℃の温度に維持する。粘稠な液体が得られ、室温で例えば約1~4時間保持され、液体が乾燥されて化合物がマトリックスとして得られる。
【0056】
他の実施形態では、本開示の化合物は、BHBを例えば、25℃などの約15~50℃の温度で水に溶解し、激しく攪拌しながら弱塩基性ポリマーをゆっくりと添加して濃厚な液体を得る。さらに1~4時間撹拌すると、濃厚な液体が得られ、次いでこれを乾燥させて化合物をマトリックスとして得る。
【0057】
別の実施形態では、本開示は、マトリックスを得るための、BHBおよび弱塩基性ポリマーを含む組成物を含み、この組成物は、BHBのとても不快な味を実質的に含まない。
【0058】
医学的治療の方法、および化合物ならびに/またはヒドロゲルの使用
本開示の一実施形態では、本開示の化合物および/またはヒドロゲルは、対象に投与されたときに血流中のケトンレベルを増加させるのに有用である。さらなる実施形態では、化合物またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品または薬剤の調製用に配合される。
【0059】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品、または哺乳動物においてケトーシスを促進するための薬剤の調製用に配合される。
【0060】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品、または哺乳動物において減量を促進するか食欲を抑制するための薬剤の調製用に配合される。
【0061】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品、または哺乳動物において神経変性状態を予防または治療するための薬剤の調製用に配合される。
【0062】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品または哺乳動物において外傷性脳損傷を予防または治療するための薬剤の調製用に配合される。
【0063】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品または筋肉障害または筋肉疲労によって引き起こされる状態を治療するための薬剤の調製用に配合される。
【0064】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品またはがんの予防または改善のための薬剤の調製用に配合される。
【0065】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、食品、飲料、飲物、食品サプリメント、健康補助食品、機能性食品、栄養補助食品または血糖値を調節または低下させるための薬剤の調製用に配合される。
【0066】
他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、動物の飼育において、牛乳生産動物における牛乳の品質および生産を改善するため、鳥における卵の品質および生産を改善するため、肉生産動物における肉の品質および生産を改善するための、動物飼料製品または添加物の調製用に配合される。
【0067】
さらなる実施形態では、本開示の化合物および/またはヒドロゲルは、治療有効量の化合物の投与を通じて血中ケトンレベルを上昇および維持し、例えば経口投与時に血中ケトンの迅速かつ持続的な上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、約1g~約50gのBHBが、本開示の化合物および/またはヒドロゲルの一部として対象に投与される。さらなる実施形態では、複合体の投与は、患者または対象に対してケトーシスの迅速かつ持続的な状態をもたらす。
【0068】
一実施形態では、本開示の化合物および/またはヒドロゲルは、胎児性アルコール症候群障害を治療するために有用である。
【0069】
いくつかの実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、体重減少または高血糖もしくは2型糖尿病の治療に有用である。さらなる実施形態では、化合物またはヒドロゲルは、体重減少のために、認知能力または脳機能を増強するために、運動能力を増強するために、および全体的な代謝の健康を増進するために使用される。
【0070】
他の実施形態では、化合物の投与の結果として誘発されるケトーシスは、食欲を抑制し、体重減少を誘発し、運動持久力を増加させ、血糖濃度を制御し、てんかんおよび/または糖尿病を治療するために使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、例えば、経口的に、例えば、飲物として、1日1回、1日2回、1日3回またはそれ以上投与される。
【0072】
さらなる実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、錠剤、カプセル、粉末混合物、またはそのまま飲める液体、または当技術分野で周知の任意の他の配合物として配合される。
【0073】
いくつかの実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、患者または対象に投与され、患者は、ヒト、ゴリラ、サル、げっ歯類などを含む、動物界の任意のメンバーを意味する。
【0074】
本開示はまた、対象に治療有効量の本開示の化合物および/またはヒドロゲルを投与することを含む、対象にケトーシスを誘発する方法を含み、化合物および/またはヒドロゲルは、BHBの味覚抑制を維持する。別の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、(化合物および/またはヒドロゲルの一部として)少なくとも約1.0%、少なくとも約2.0%、少なくとも約3.0%、少なくとも約5.0%、少なくとも約6.0%、少なくとも約7.0%、少なくとも約10.0%、少なくとも約15.0%、少なくとも約20.0%、少なくとも約25.0%、少なくとも約30.0%、少なくとも約40.0%、少なくとも約50.0%、少なくとも約60.0%、少なくとも約70.0%(重量/体積)の有効なBHB濃度を提供しつつ味覚抑制を維持する量で投与される。他の実施形態では、化合物および/またはヒドロゲルは、(化合物および/またはヒドロゲルの一部として)少なくとも約1g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約100g/L、少なくとも約200g/L、または少なくとも約400g/Lの有効なBHB濃度を提供する量で投与される。
【0075】
一実施形態では、本開示の化合物は、単離された化合物または溶液(ヒドロゲル)として投与することができ、または化合物は、配合物の一部として投与することができる。
【0076】
化合物は、チョコレートバー、グミ、焼き菓子などの食用固体として、または化合物および/もしくはヒドロゲルを含む飲料として、または経口固体、半固体として、または液体医薬組成物として、例えば、錠剤(例えば、フラッシュ、チュアブル、バッカル、舌下、発泡性、または単に飲み込む)、カプセル(ハードシェルもしくはソフトシェル)、ピル、顆粒、粉末(バルク粉末もしくは分割粉末)、経口懸濁液、シロップ、エリキシル、経口ドロップ、エマルジョン(油中水もしくは水中油)、トローチ、ロゼンジとして、対象に投与するための組成物に配合することができる。
【0077】
それらを含む化合物および組成物は、薬学的に有用な組成物を調製するための既知の方法に従って配合することができる。配合物は、当業者に周知であり、容易に入手できる多くの情報源に記載されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Science(Martin 1995)は、化合物に関連して使用できる配合物について説明している。投与に適した配合物には、例えば、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および配合物を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質を含み得る水性滅菌注射溶液、懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。
【0078】
特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物および/または組成物はまた、遊離アミノ酸、アミノ酸代謝産物、ビタミン、ミネラル、電解質;および代謝オプティマイザー、例えばNADH、可溶性ユビキノール、テトラヒドロビオペテリン、α-ケトグルタル酸、カルニチンおよび/またはαリポ酸、栄養補助因子、β-メチル-β-ヒドロキシ酪酸カルシウム、α-ケトグルタル酸アルギニン、R-αリポ酸ナトリウム、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、アセスルファムK、アスパルタム、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせなど、1つ以上の栄養基質を含み得る。栄養補助因子の非限定的な例には、ミトコンドリア機能を助けるためのR-αリポ酸、アセチル-1-カルニチン、ケトイソカプエート、α-ケトグルタレート、α-ヒドロキシイソカプロネート、クレアチン、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(FMB)、Bビタミン、ビタミンC、可溶性ユビキノール、およびカルニチンが含まれる。特定の実施形態では、組成物は、1日あたり400カロリー以下を提供するように投薬される。
【0079】
本開示は、その特定の実施形態と併せて説明されてきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであることが明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に含まれるそのようなすべての代替、修正および変形を包含することが意図されている。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または同定は、そのような参考文献が本開示の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0080】
本開示の操作は、以下の代表的な例によって示される。当業者には明らかであるように、実施例の詳細の多くは、本明細書に記載される開示を実施しながらなおも変更することができる。
【0081】
実施例1 カルボキシメチル-BHBの合成
グルコースのカルボキシメチル化の程度を1とみなし、したがってモノマーの分子量を242.2g/molとした。丸底フラスコ(150mL)に入れて急速に攪拌した温水(35℃、45mL)にナトリウム-CMC(1.38g、5.7mmol)粉末を加え、均一な懸濁液を得た。懸濁液を45~60分間撹拌すると、透明な溶液が得られた。BHB(0.62g、6.0mmol)を水(5mL)に溶解し、この溶液を35℃に保たれたナトリウム-CMC溶液にゆっくりと(15分間にわたって)加えた。反応混合物は数分以内に非常に粘稠になり、室温で4時間保持した。フラスコを真空マニホルドに取り付け、反応混合物の総質量がそれ以上減少しなくなるまで(12~16時間、1mT)動的真空下で乾燥させた。乾燥プロセスはマトリックスを形成させ、化合物はガラス状の半固体の外観を有していた。
【0082】
実施例2 キトサン-BHBの合成
市販のキトサンを水に懸濁すると、4~6の範囲のpHを示し、かなりの量のグルコサンモニウム残留物の存在を示唆している。キトサンをNaOH(10gキトサン/100mL、0.1M NaOH)に懸濁し、25℃で一晩撹拌した。懸濁液を中程度の多孔度のフリットで濾過し、キトサンを溶離液のpHが中性になるまで水で繰り返し洗浄した。キトサンモノマーの分子量は161.2g/molとした。
【0083】
丸底フラスコ(100mL)に含まれる水(25mL)にBHB(0.227g、2.2mmol)を溶かした。フラスコを水浴(25℃)に浸し、キトサン(0.371g、2.3mmol)粉末を激しく攪拌しながらゆっくりと(20分間)加えた。反応はわずかに発熱性であり、混合物は非常に濃厚になった。撹拌すると(1~1.5時間)、無色透明から微かに黄色がかった濃厚な液体が得られた。フラスコを真空マニホルドに取り付け、反応混合物の総質量がそれ以上減少しなくなるまで(12~16時間、1mT)動的真空下で乾燥させた。乾燥プロセスはマトリックスを形成させ、化合物はガラス状の半固体の外観を有していた。
【0084】
例3 化合物のpH
純粋なBHBのpHは2.3~2.6の間で変化し、pKaは約4.4である。しかしながら、純粋なBHBを弱塩基性ポリマーと混合して1:6のモル比(ポリマー:BHB)を超える化合物を形成すると、4±0.5の範囲のpHを持つ溶液が得られ、これは弱酸/弱塩基塩の緩衝効果と一致している。
【0085】
例4 化合物の味
弱塩基性ポリマーを含むBHBの配合物は、遊離BHBよりも嗜好性が大幅に向上していることを示している。21歳~70歳までの合計11人の個人が、BHB:弱塩基(モル比5:1)を含む配合物を少なくとも3回味見した。配合物は、75mlの水で希釈された合計5グラムのBHBを含む組成物を含んでいた。参加者は、配合物の味を1~10のスケールで採点するように求められた。BHB-キトサンの場合、参加者のスコアは平均7.3/10で、CMC-BHBの場合は9.2/10であった。すべての参加者は、75mlの水で希釈された5グラムの遊離BHBを含む配合物を以前にテストした。参加者は満場一致で、遊離BHB配合物の平均0/10のスコア付けをし、参加者は75mlもの少量さえも飲むことができなかった。嫌悪感のある(または耐えられない)味は別として、参加者は、プレーンなBHBのえぐみが摂取後の現時間にも残っていると不満を述べた。
【0086】
検討
BHBを含む本開示の化合物の味の改善は、ヒドロゲルのマトリックス構造がBHBの耐えられない味をマスキングする役割を果たしていることを示している。理論に拘束されるものではないが、化合物のマトリックスは、柔軟な水素結合ネットワークを拡張することによってBHB分子を組み込み、口腔内の味覚受容体からBHBを遮蔽すると考えられる。本開示の配合物では、BHBの量が多いにもかかわらず、ポリマー複合体の味は心地よく、マトリックスから逃げる遊離BHBの量が少ないか、または無視できることを示している。
【0087】
実施例5 化合物の投与
ケトーシスの時間経過を決定するために、試験対象者に蒸留水で希釈したBHB-CMC複合体の試験物質を経口投与した。グルコースおよびBHBの血中濃度は、定義された時間点(試験物質の摂取後0、15、30、80、120および240分)において市販のグルコース/ケトンモニタリングシステム(Abbott FreeStyle Precision Neo(登録商標)血糖およびケトン計)を用いて決定した。
【0088】
表1は、150mLの蒸留水で希釈した10グラムのBHBと2グラムのCMCからなるBHB-CMC配合物を1日1回経口投与した後の、75kgの健康な男性対象の2日連続での15、30、60、120、240分における血中BHBレベル(mmol/L)を示す。
【0089】
表2は、75mLの蒸留水で希釈した5グラムのBHBと1グラムのCMCからなるBHB-CMC化合物を1日1回経口投与した後の、85kgの糖尿病男性(2型の短時間作用型および長時間作用型インスリン)対象の2日連続での15、30、60、120、240分における血中BHBレベル(mmol/L)を示す。
【0090】
表に明確に見られるように、本開示の複合体の投与は、試験対象者の血中のBHBのレベルの増加をもたらした。
【0091】
本出願は、現在好ましい例であると考えられるものを参照して説明されているが、本出願は、開示された例に限定されないことを理解されたい。逆に、本出願は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な修正および同等の配置を網羅することを意図している。
【0092】
すべての出版物、特許、および特許出願は、個々の出版物、特許、または特許出願の各々が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示における用語が、参照により本明細書に組み込まれる文書において異なるように定義されていることが判明した場合、本明細書に提供される定義は、その用語の定義として機能するものである。
【表1】
【表2】
参考文献
特許:
米国特許第6,323,237号
米国特許第8,642,654号
米国特許第9,138,420号
米国特許出願第2003/0022937号
米国特許出願第2010/0041751号
雑誌論文:
Kashiwaya Y,Takeshima T,Mori N,Nakashima K,Clarke K,Veech RL.(2000).D-beta-hydroxybutyrate protects neurons in models of Alzheimer’s and Parkinson’s disease.Proc Natl Acad Sci U S A,97(10):5440-4.
Veech RL.(2013) Ketone esters increase brown fat in mice and overcome insulin resistance in other tissues in the rat.Ann N Y Acad Sci,1302,42-48.
Veech,RL.(2014)Ketone ester effects on metabolism and transcription.J Lipid Res,55(10),2004-2006.
Arakawa,T.,Goto,T.,& Okada,Y.(1991).Effect of ketone body(d-3-hydroxybutyrate) on neural activity and energy metabolism in hippocampal slices of the adult guinea pig.Neuroscience Letters,130(1),53-56.
Hertz,L.,Chen,Y.,& Waagepetersen,H.S.(2015).Effects of ketone bodies in Alzheimer’s disease in relation to neural hypometabolism,β-amyloid toxicity,and astrocyte function.Journal of Neurochemistry,134(1),7-20.
Youm,Y.-H.,Nguyen,K. Y.,Grant,R.W.,Goldberg,E.L.,Bodogai,M.,Kim,D.,Dixit,V.D.(2015).The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome-mediated inflammatory disease.Nature Medicine, 21(3),263-269.
Kumar Dutta,P.,Dutta,J.,& Tripathi,V.S.(2004).Chitin and chitosan:Chemistry,properties and applications.Journal of Scientific & Industrial Research,63(January),20-31.
Samoilova,M.,Weisspapir,M.,Abdelmalik,P.,Velumian,A.A.,& Carlen,P.L.(2010).Chronic in vitro ketosis is neuroprotective but not anti-convulsant.Journal of Neurochemistry,113(4),826-835.
Newman,J.C.,& Verdin,E.(2014).Ketone bodies as signaling metabolites.Trends in Endocrinology and Metabolism, 25(1),42-52.
Wensvoort,J.,Kyle,D.J.,Orskov,E.R.,& Bourke,D.A.(2001).Biochemical adaptation of camelids during periods where feed is withheld.Rangifer,21(1),45-48.
White,H.,& Venkatesh,B.(2011).Clinical review:Ketones and brain injury.Critical Care,15(219),1-10.
Cox,P.J.,& Clarke,K.(2014).Acute nutritional ketosis:implications for exercise performance and metabolism.Extreme Physiology & Medicine,3(1),17.
Poff,A.M.,Ari,C.,Arnold,P.,Seyfried,T.N.,& D’Agostino,D.P.(2014).Ketone supplementation decreases tumor cell viability and prolongs survival of mice with metastatic cancer.International Journal of Cancer,135(7),1711-1720.
Prins, M. L.(2008).Cerebral Metabolic Adaptation and Ketone Metabolism after Brain Injury.Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism,28(1),1-16.
Lincoln,B.C.,Rosiers,C.Des,& Brunengraber,H.(1987).Metabolism of S-3-hydroxybutyrate in the perfused rat liver.Archives of Biochemistry and Biophysics,259(1),149-156.
Murphy,J.J.,Bastida, D.,Paria,S.,Fagnoni,M.,& Melchiorre,P.(2016).Asymmetric catalytic formation of quaternary carbons by iminium ion trapping of radicals.Nature,532(7598),218-222.
Gasior,M.,Rogawski,M.A.,& Hartman,A.L.(2006).Neuroprotective and disease-modifying effects of the ketogenic diet.Behavioural Pharmacology,17(5-6),431-9.
Sena,S.F.(2010).Beta-hydroxybutyrate:New Test for Ketoacidosis.Department of Pathology and Laboratory Medicine,4(8),1-2.
Yamada,T.,Zhang,S.-J.,Westerblad,H.,& Katz,A.(2010).β-Hydroxybutyrate inhibits insulin-mediated glucose transport in mouse oxidative muscle.American Journal of Physiology.Endocrinology and Metabolism,299(3),E364-73.
Laeger,T.,Metges,C.C.,& Kuhla,B.(2010).Role of β-hydroxybutyric acid in the central regulation of energy balance.Appetite,54(3),450-455.