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特許7509720作業管理システム、ロボット装置、作業管理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】作業管理システム、ロボット装置、作業管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B25J5/00 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021107893
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005746
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】蕨野 貴之
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-323199(JP,A)
【文献】特開昭62-222396(JP,A)
【文献】特開2020-071653(JP,A)
【文献】特開2003-271232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05D 1/00- 1/87
G05B 23/00-23/02
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と、
前記ロボット装置と通信するサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部と、
前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識部と、
前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定部と、
前記判定の結果を記憶する判定結果記憶部と、を備え
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記サーバ装置は、
前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部と、
前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御部と、をさらに備え、
前記作業異常判定部は、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
作業管理システム。
【請求項2】
前記作業異常判定部は、作業の異常ありと判定した場合に、前記画像の撮影の場所での撮影の時刻に対する過去の直近の作業終了予定時刻からの経過時間に基づいて、作業の異常の理由を判定する、
請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記作業異常判定部は、同じ場所で一定期間内に複数回、作業の異常ありと判定した場合に、作業の異常レベルを基準よりも高いレベルに決定する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記作業異常判定部は、前記画像の撮影の場所が所定の場所である場合に、作業の異常の有無を判定しない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項5】
前記物体認識部は、前記ロボット装置が撮影した画像又は前記ロボット装置が計測した物体の点群情報に基づいて作業者と前記ロボット装置との間の距離を取得し、
前記作業異常判定部は、当該取得された距離に基づいて作業者の位置を特定し、特定した作業者の位置で予定された作業を特定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項6】
前記物体認識部は、前記ロボット装置が時間をずらして撮影した複数の画像から人数を認識し、
前記作業異常判定部は、前記認識された人数と作業予定人数とに基づいて作業の異常の有無を判定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項7】
前記ロボット制御部は、前記認識された人数が作業予定人数よりも少ない場合に、前記ロボット装置に再撮影を指示する、
請求項6に記載の作業管理システム。
【請求項8】
前記ロボット制御部は、前記ロボット装置に前回の撮影の場所から移動して再撮影させる、
請求項7に記載の作業管理システム。
【請求項9】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置であって、
作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部と、
前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識部と、
前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定部と、
前記判定の結果を記憶する判定結果記憶部と、を備え
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記ロボット装置は、
前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部と、
前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御部と、をさらに備え、
前記作業異常判定部は、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
ロボット装置。
【請求項10】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と、前記ロボット装置と通信するサーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、
前記サーバ装置が、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、
前記サーバ装置が、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、
前記サーバ装置が、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
を含む作業管理方法であって、
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記サーバ装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、
前記作業管理方法は、前記サーバ装置が、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御ステップをさらに含み、
前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
作業管理方法。
【請求項11】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、
前記ロボット装置が、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、
前記ロボット装置が、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、
前記ロボット装置が、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
を含む作業管理方法であって、
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記ロボット装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、
前記作業管理方法は、前記ロボット装置が、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御ステップをさらに含み、
前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
作業管理方法。
【請求項12】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と通信するサーバ装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、
前記サーバ装置のコンピュータに、
前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、
前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、
前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記サーバ装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、
前記サーバ装置のコンピュータに、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御ステップをさらに実行させ、
前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
コンピュータプログラム。
【請求項13】
自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、
前記ロボット装置のコンピュータに、
前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、
前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、
前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、
前記ロボット装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、
前記ロボット装置のコンピュータに、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御ステップをさらに実行させ、
前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システム、ロボット装置、作業管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の建設工事において作業を行う作業者を支援するための技術が例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された技術では、作業者に作業支援情報を提供するために、作業者が保有する作業者端末又は自律走行可能なロボットが、カメラが撮影した各作業者の作業の様子を示す画像情報及びマイクが集音した音声情報を中央管理装置に送信する。そして、中央管理装置が当該画像情報及び当該音声情報に対応する工事関連情報に基づいて、作業者個々の実施対象作業を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-220109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、作業者が例えばデータセンター等の情報処理施設内の作業現場で行う作業が間違って行われていないかを監視することが重要になっている。例えばデータセンターにおいてサーバ装置や通信装置に対する設定等の作業が間違って行われると、多くのユーザに影響が及ぶような障害が発生しかねない。このため、作業者が予定の作業とは異なる作業を行っていないかを監視し、障害の発生を未然に防ぐことが重要である。ここで、施設内に監視カメラを設置する場合、死角をなくすためには多数の監視カメラが必要になる。このため、自律走行可能なロボットが移動しながらカメラで撮影した画像によって作業の異常の有無を判定することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、作業者個々の実施対象作業を特定するために、参照する画像情報がどの作業者に対応するのかを特定する必要がある。このために、画像情報を中央管理装置に送信する作業者端末が、作業者IDも中央管理装置に送信している。一方、自律走行可能なロボットが画像情報を中央管理装置に送信する場合、当該画像情報に対応する作業者IDをどのようにして取得するのかまでは特許文献1に記載されていないので、参照する画像情報がどの作業者に対応するのかを特定することが困難である。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、自律走行可能なロボット装置が移動しながらカメラで撮影した画像によって作業の異常の有無を判定することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と、前記ロボット装置と通信するサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置は、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部と、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識部と、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定部と、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶部と、を備え、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記サーバ装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部と、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御部と、をさらに備え、前記作業異常判定部は、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、作業管理システムである。
(2)本発明の一態様は、前記作業異常判定部は、作業の異常ありと判定した場合に、前記画像の撮影の場所での撮影の時刻に対する過去の直近の作業終了予定時刻からの経過時間に基づいて、作業の異常の理由を判定する、上記(1)の作業管理システムである。
(3)本発明の一態様は、前記作業異常判定部は、同じ場所で一定期間内に複数回、作業の異常ありと判定した場合に、作業の異常レベルを基準よりも高いレベルに決定する、上記(1)又は(2)のいずれかの作業管理システムである。
(4)本発明の一態様は、前記作業異常判定部は、前記画像の撮影の場所が所定の場所である場合に、作業の異常の有無を判定しない、上記(1)から(3)のいずれかの作業管理システムである。
(5)本発明の一態様は、前記物体認識部は、前記ロボット装置が撮影した画像又は前記ロボット装置が計測した物体の点群情報に基づいて作業者と前記ロボット装置との間の距離を取得し、前記作業異常判定部は、当該取得された距離に基づいて作業者の位置を特定し、特定した作業者の位置で予定された作業を特定する、上記(1)から(4)のいずれかの作業管理システムである。
(6)本発明の一態様は、前記物体認識部は、前記ロボット装置が時間をずらして撮影した複数の画像から人数を認識し、前記作業異常判定部は、前記認識された人数と作業予定人数とに基づいて作業の異常の有無を判定する、上記(1)から(5)のいずれかの作業管理システムである。
(7)本発明の一態様は、前記ロボット制御部は、前記認識された人数が作業予定人数よりも少ない場合に、前記ロボット装置に再撮影を指示する、上記(6)の作業管理システムである。
(8)本発明の一態様は、前記ロボット制御部は、前記ロボット装置に前回の撮影の場所から移動して再撮影させる、上記(7)の作業管理システムである。
【0008】
(9)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置であって、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部と、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識部と、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定部と、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶部と、を備え、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記ロボット装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部と、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御部と、をさらに備え、前記作業異常判定部は、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、ロボット装置である。
【0009】
(10)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と、前記ロボット装置と通信するサーバ装置と、を備え、前記サーバ装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、前記サーバ装置が、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、前記サーバ装置が、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、前記サーバ装置が、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、を含む作業管理方法であって、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記サーバ装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、前記作業管理方法は、前記サーバ装置が、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御ステップをさらに含み、前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、作業管理方法である。
(11)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、前記ロボット装置が、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、前記ロボット装置が、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、前記ロボット装置が、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、を含む作業管理方法であって、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記ロボット装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、前記作業管理方法は、前記ロボット装置が、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御ステップをさらに含み、前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、作業管理方法である。
【0010】
(12)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置と通信するサーバ装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、前記サーバ装置のコンピュータに、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記サーバ装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、前記サーバ装置のコンピュータに、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように命令するロボット制御命令をロボット装置へ送信するロボット制御ステップをさらに実行させ、前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、コンピュータプログラムである。
(13)本発明の一態様は、自律走行を行い、周囲を撮影するロボット装置が、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す作業管理情報を記憶する作業管理情報記憶部を備え、前記ロボット装置のコンピュータに、前記ロボット装置が撮影した画像の中に人が含まれるか否かを認識する物体認識ステップと、前記画像の中に人が含まれる場合に、前記作業管理情報に基づいて、前記画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する作業異常判定ステップと、前記判定の結果を記憶する判定結果記憶ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記作業管理情報は、複数台の装置が設置されている情報処理施設内の装置間の区域のうち作業対象の装置に対して作業を行うときに作業者が居る作業区域を示す作業区域情報を含み、前記ロボット装置は、前記作業区域を撮影可能な区域上の撮影場所を示す撮影場所情報を含むロボット制御情報を記憶するロボット制御情報記憶部をさらに備え、前記ロボット装置のコンピュータに、前記ロボット制御情報に基づいて、前記撮影場所で撮影するように制御するロボット制御ステップをさらに実行させ、前記作業異常判定ステップは、前記ロボット装置が撮影した画像の前記撮影場所から撮影可能な前記作業区域を判定区域として、前記判定区域を示す作業区域情報を含む前記作業管理情報に基づいて、前記作業の異常の有無の判定を行う、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自律走行可能なロボット装置が移動しながらカメラで撮影した画像によって作業の異常の有無を判定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る作業管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る作業管理方法の全体手順の例を示すフローチャートである。
図3】一実施形態に係る作業管理方法における具体的な一例を示す図である。
図4】一実施形態に係る作業管理情報の構成例を示す図である。
図5】一実施形態に係るロボット制御情報の構成例を示す図である。
図6】一実施形態に係る判定結果の構成例を示す図である。
図7図6に示す判定結果の説明図である。
図8】一実施形態に係るロボット装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る作業管理システムの構成例を示すブロック図である。図1において、作業管理システム1は、サーバ装置10とロボット装置20とを備える。作業管理システム1は、作業者が施設内の作業現場で行う作業を管理する。管理対象の施設は、例えば情報処理施設であってもよい。情報処理施設として、例えばデータセンターやサーバールーム等が挙げられる。
【0015】
サーバ装置10は、通信部11と、制御部12(ロボット制御部121、物体認識部122、作業異常判定部123)と、記憶部13(ロボット制御情報131、作業管理情報132、判定結果133)とを備える。ロボット装置20は、通信部21と、制御部22(画像取得部221、自己位置推定部222、自律走行制御部223)と、カメラ部23と、LiDAR部24と、走行部25とを備える。
【0016】
ロボット装置20は、自律走行を行い、周囲を撮影する。ロボット装置20が移動する移動範囲は、管理対象施設内の作業現場を撮影可能な予め設定された範囲である。
【0017】
サーバ装置10は、通信ネットワークNWを介して、ロボット装置20と通信する。通信ネットワークNWは、有線回線若しくは無線回線から構成されてもよく、又は有線回線及び無線回線から構成されてもよい。例えば、ロボット装置20の通信部21が通信ネットワークNWの無線回線に接続する一方、サーバ装置10の通信部11が通信ネットワークNWの有線回線に接続してもよい。
【0018】
サーバ装置10は、ロボット装置20が撮影した画像を、通信ネットワークNWを介して受信する。サーバ装置10は、ロボット装置20が撮影した画像によって、作業の異常の有無を判定する。
【0019】
以下、図1に示されるロボット装置20及びサーバ装置10について詳細に説明する。
【0020】
[ロボット装置]
ロボット装置20は、カメラ部23やLiDAR部24や走行部25等の主にハードウェアによる機能と、制御部22(画像取得部221、自己位置推定部222、自律走行制御部223)等の主にソフトウェアによる機能とを有する。
【0021】
通信部21は、通信ネットワークNWを介して、サーバ装置10の通信部11と通信する。
【0022】
カメラ部23は、ロボット装置20の周辺を撮像する。LiDAR部24は、LiDAR(Light Detection and Ranging)技術により、ロボット装置20の周辺に存在する物体までの距離(点群情報)等の計測を行う。走行部25は、ロボット装置20を走行させる走行機構や走行機構を駆動する駆動装置等を備え、自律走行制御部223からの命令に従ってロボット装置20を走行させる。
【0023】
制御部22は、ロボット装置20の制御を行う。制御部22の各機能は、制御部22がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部22として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0024】
画像取得部221は、カメラ部23が撮像した画像(以下、カメラ画像と称する)を取得する。画像取得部221は、サーバ装置10から受信した画像取得リクエストに基づいて、カメラ画像を取得する。画像取得部221は、カメラ画像をサーバ装置10へ送信する。
【0025】
自己位置推定部222は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術により、LiDAR部24が計測した点群情報とロボット装置20が備える地図情報(図示せず)とのマッチングを行ってロボット装置20の現在位置を推定する。当該地図情報は、ロボット装置20が走行予定の範囲を含む地図情報である。
【0026】
自律走行制御部223は、ユーザやアプリケーションがロボット装置20の目的地を指定すると、パスプランニングの技術を用いて現在位置から目的地までの経路を生成する。自律走行制御部223は、当該経路に沿ってロボット装置20を走行させるように、走行部25へ命令を出す。
【0027】
[サーバ装置]
サーバ装置10は、制御部12(ロボット制御部121、物体認識部122、作業異常判定部123)等の主にソフトウェアによる機能を有する。
【0028】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して、ロボット装置20の通信部21と通信する。
【0029】
記憶部13は、各種の情報を記憶する。記憶部13は、ロボット制御情報131、作業管理情報132及び判定結果133を記憶する。
【0030】
制御部12は、サーバ装置10の制御を行う。ロボット制御部121は、ロボット装置20を制御するためのロボット制御命令をロボット装置20へ送信する。ロボット制御部121は、ロボット制御情報131に基づいて、移動命令や画像取得リクエスト等のロボット制御命令をロボット装置20へ送信する。
【0031】
物体認識部122は、ロボット装置20が撮影したカメラ画像の中に人が含まれるか否かを認識する。物体認識技術として、例えばSSD(Single Shot MultiBox Detector)やYolo(You only live once)等が適用可能である。なお、物体認識部122は、カメラ画像の中に含まれる人の数(人数)を認識してもよい。
【0032】
作業異常判定部123は、カメラ画像の中に人が含まれる場合に、作業管理情報132に基づいて、カメラ画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する。作業管理情報132は、作業者が作業現場で実施する作業の予定を示す情報である。記憶部13は、作業異常判定部123による判定の結果を示す判定結果133を記憶する。
【0033】
サーバ装置10の各機能は、サーバ装置10がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、サーバ装置10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、サーバ装置10は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、サーバ装置10の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、サーバ装置10は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又はサーバ装置10の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。
【0034】
次に図2を参照して、本実施形態に係る作業管理方法の全体手順を説明する。図2は、本実施形態に係る作業管理方法の全体手順の例を示すフローチャートである。
【0035】
(ステップS1) サーバ装置10は、ロボット装置20が撮影したカメラ画像を取得する。
【0036】
(ステップS2) サーバ装置10は、ロボット装置20から取得したカメラ画像の中に人が含まれるか否かを認識する。
【0037】
(ステップS3) カメラ画像の中に人が含まれる場合にはステップS4に進み、そうではない場合には図2の処理を終了する。
【0038】
(ステップS4) サーバ装置10は、カメラ画像の中に人が含まれる場合に、作業管理情報132に基づいて、カメラ画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する。
【0039】
(ステップS5) サーバ装置10は、作業の異常の有無の判定結果133を記録する。
【0040】
次に図3図7を参照して、本実施形態に係る作業管理方法の詳細を説明する。図3図7は、本実施形態に係る作業管理方法における具体的な一例を示す図である。
【0041】
ここでは、図3に示されるデータセンター300の施設内を作業現場の一例として説明する。図3に示されるように、データセンター300の施設内には、8台のラックが設置されている。各ラックには、サーバーやルーター等の装置が格納されている。作業者は、作業対象の装置が格納されているラックに対して作業を行う側の通路で、作業対象の装置に対する作業を行う。
【0042】
図4は、本実施形態に係る作業管理情報の構成例を示す図である。図4の作業管理情報132の例は、図3のデータセンター300の施設内において、作業者が作業現場で実施する作業の予定の例である。図4には、作業No.1から作業No.4までの4つの作業の予定が示される。
【0043】
(作業No.1)作業時間「9時00分から10時00分」まで3番作業通路で作業会社Aの5人の作業者が作業内容AAAの作業を行う。
(作業No.2)作業時間「9時30分から10時15分」まで7番作業通路で作業会社Bの3人の作業者が作業内容BBBの作業を行う。
(作業No.3)作業時間「12時00分から13時00分」まで3番作業通路で作業会社Cの1人の作業者が作業内容CCCの作業を行う。
(作業No.4)作業時間「14時00分から15時00分」まで3番作業通路で作業会社Dの2人の作業者が作業内容DDDの作業を行う。
【0044】
図5は、本実施形態に係るロボット制御情報の構成例を示す図である。図5のロボット制御情報131の例は、図3のデータセンター300の施設内において、ロボット装置20を制御するためのロボット制御命令に対応している。図5には、命令No.1から命令No.6までの6つのロボット制御命令が示される。
【0045】
(命令No.1)9時00分になると目的地P1「X座標=5.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P1に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P1で周囲を撮像することによって、1番作業通路が撮影されたカメラ画像と6番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0046】
(命令No.2)命令No.1に引き続き(図5中の開示時刻「NULL」に対応する)、目的地P2「X座標=10.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P2に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P2で周囲を撮像することによって、2番作業通路が撮影されたカメラ画像と7番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0047】
(命令No.3)命令No.2に引き続き(図5中の開示時刻「NULL」に対応する)、目的地P3「X座標=15.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P3に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P3で周囲を撮像することによって、3番作業通路が撮影されたカメラ画像と8番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0048】
(命令No.4)命令No.3に引き続き(図5中の開示時刻「NULL」に対応する)、目的地P4「X座標=20.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P4に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P4で周囲を撮像することによって、4番作業通路が撮影されたカメラ画像と9番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0049】
(命令No.5)命令No.4に引き続き(図5中の開示時刻「NULL」に対応する)、目的地P5「X座標=25.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P5に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P4で周囲を撮像することによって、5番作業通路が撮影されたカメラ画像と10番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0050】
(命令No.6)9時30分になると目的地P1「X座標=5.0、Y座標=10.0」へ移動するように命令し、当該目的地P1に到着すると画像取得リクエストを行う。ロボット装置20が目的地P1で周囲を撮像することによって、1番作業通路が撮影されたカメラ画像と6番作業通路が撮影されたカメラ画像とが取得される。
【0051】
ロボット制御部121は、図5のロボット制御情報131に基づいて、命令No.1から命令No.6までの6つのロボット制御命令を順次、ロボット装置20へ送信する。ロボット装置20は、それら命令No.1から命令No.6までの6つのロボット制御命令に従って、順次目的地に移動して周囲を撮影し、撮影したカメラ画像をサーバ装置10へ送信する。
【0052】
なお、カメラ部23がロボット装置20の両端のそれぞれにカメラを備え、例えば目的地P1で両方のカメラで撮影することによって、1番作業通路が撮影されたカメラ画像(1番作業通路のカメラ画像)と6番作業通路が撮影されたカメラ画像(6作業通路のカメラ画像)とが取得されるように構成してもよい。又は、カメラ部23がロボット装置20の正面にカメラを備え、例えば目的地P1でロボット装置20が1番作業通路の方を向いて撮影した後に6番作業通路の方を向いて撮影することによって、1番作業通路のカメラ画像と6番作業通路のカメラ画像とが取得されるように構成してもよい。画像取得部221は、例えば目的地P1でカメラ部23から取得したカメラ画像に対して1番作業通路のカメラ画像であるか又は6番作業通路のカメラ画像であるのかを識別する識別子を付与してから、当該カメラ画像をサーバ装置10へ送信する。
【0053】
サーバ装置10は、例えば命令No.1によって1番作業通路のカメラ画像と6番作業通路のカメラ画像とを取得すると、物体認識部122が当該カメラ画像の中に人が含まれるか否かを認識する。次いで、作業異常判定部123は、当該カメラ画像の中に人が含まれる場合に、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所及び時刻における作業の異常の有無を判定する。
【0054】
例えば、作業異常判定部123は、命令No.1によって取得された1番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれる場合、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所「目的地P1」及び時刻「9時00分から9時30分までの間」における作業の異常の有無を判定する。この場合、図4の作業管理情報132には、9時00分から9時30分までの間に1番作業通路で予定された作業がない。したがって、当該1番作業通路のカメラ画像に写っている作業者が予定にはない間違った作業を行っている可能性がある。このため、作業異常判定部123は、命令No.1によって取得された1番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれる場合、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所「目的地P1」及び時刻「9時00分から9時30分までの間」における作業の異常ありと判定する。
【0055】
一方、命令No.3によって取得された3番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれる場合、図4の作業管理情報132には、9時00分から9時30分までの間に3番作業通路で予定された作業がある。このため、作業異常判定部123は、命令No.3によって取得された3番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれる場合、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所「目的地P3」及び時刻「9時00分から9時30分までの間」における作業の異常なしと判定する。
【0056】
なお、物体認識部122がカメラ画像の中に含まれる人数を認識し、作業異常判定部123が、作業管理情報132内の作業人数とカメラ画像の中に含まれる人数との一致不一致に基づいて、作業の異常の有無を判定してもよい。
【0057】
例えば、命令No.3によって取得された3番作業通路のカメラ画像の場合、図4の作業管理情報132において9時00分から9時30分までの間に3番作業通路で予定された作業の作業人数は5人である。このため、作業異常判定部123は、命令No.3によって取得された3番作業通路のカメラ画像の中に含まれる人数が5人である場合には、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所「目的地P3」及び時刻「9時00分から9時30分までの間」における作業の異常なしと判定する。一方、作業異常判定部123は、命令No.3によって取得された3番作業通路のカメラ画像の中に含まれる人数が5人ではない場合には、図4の作業管理情報132に基づいて、当該画像の撮影の場所「目的地P3」及び時刻「9時00分から9時30分までの間」における作業の異常ありと判定する。
【0058】
図6は、本実施形態に係る判定結果の構成例を示す図である。図6の判定結果133の例は、図3のデータセンター300の施設内において、図4の作業管理情報132における3番作業通路での3つの作業No.1、作業No.3及び作業No.4に対応している。図6には、結果No.1から結果No.3までの3つの判定結果が示される。また、図7は、図6の判定結果133の説明図である。図7には3番作業通路での作業の異常の有無の判定についての説明が示される。
【0059】
(結果No.1)9時30分に取得された3番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれるが、図4の作業管理情報132における3番作業通路での作業No.1(作業時間「9時00分から10時00分」)に合致するので、判定結果は異常なしである。また、異常レベルは、異常なしに対応する「0」である。
【0060】
(結果No.2)10時30分に取得された3番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれるが、図4の作業管理情報132には合致する3番作業通路での作業がないので、判定結果は異常ありである。このとき、作業異常判定部123は、作業の異常ありと判定した場合に、当該カメラ画像の撮影の場所での撮影の時刻に対する過去の直近の作業終了予定時刻からの経過時間に基づいて、作業の異常の理由を判定する。結果No.2の場合、3番作業通路での過去の直近の作業No.1の作業終了予定時刻「10時00分」からの経過時間「30分」は、所定の作業時間超過閾値「60分」以内である。このため、作業異常判定部123は、当該作業の異常の理由が「作業時間超過」であると判定する。また、異常レベルは、異常あり「作業時間超過」に対応する「1」である。
【0061】
(結果No.3)11時30分に取得された3番作業通路のカメラ画像の中に人が含まれるが、図4の作業管理情報132には合致する3番作業通路での作業がないので、判定結果は異常ありである。このとき、作業異常判定部123は、作業の異常ありと判定した場合に、当該カメラ画像の撮影の場所での撮影の時刻に対する過去の直近の作業終了予定時刻からの経過時間に基づいて、作業の異常の理由を判定する。結果No.3の場合、3番作業通路での過去の直近の作業終了予定時刻「10時00分」からの経過時間「90分」は、所定の作業時間超過閾値「60分」超過である。このため、作業異常判定部123は、当該作業の異常の理由が「計画外作業」であると判定する。また、異常レベルは、異常あり「計画外作業」に対応する「2」である。
【0062】
なお、作業時間超過閾値は、一定の値がサーバ装置10に予め設定されてもよく、又は過去の直近の作業内容に応じた値がサーバ装置10に予め設定されてもよい。
【0063】
また、作業異常判定部123は、同じ作業通路で一定期間内に複数回、作業の異常ありと判定した場合に、異常レベルを基準よりも高いレベルに決定してもよい。これにより、作業の異常レベルが通常よりも高いことを管理者へ知らせることができる。
【0064】
次に本実施形態に係るいくつかの変形例を説明する。
【0065】
(変形例1)
作業異常判定部123は、カメラ画像の撮影の場所が所定の場所である場合に、作業の異常の有無を判定しないようにしてもよい。例えば、図3において、6番作業通路に施設の出入口がある場合、6番作業通路での作業とは無関係に、6番作業通路に人が存在し、6番作業通路のカメラ画像に人が含まれる可能性がある。この場合、作業異常判定部123は、6番作業通路のカメラ画像に対して、作業の異常の有無を判定しない。これにより、作業の異常の有無の誤判定を防ぐ効果が得られる。
【0066】
(変形例2)
物体認識部122は、ロボット装置20が時間をずらして撮影した複数のカメラ画像から人数を認識し、作業異常判定部123は、当該認識された人数と作業管理情報132内の予定の作業人数(作業予定人数)との一致不一致に基づいて、作業の異常の有無を判定してもよい。このとき、ロボット制御部121は、物体認識部122によって認識された人数が作業予定人数よりも少ない場合に、ロボット装置20に再撮影を指示してもよい。これは、作業者同士が重なって撮影されたために、実際よりも少ない人数が認識された可能性があるからである。さらに、ロボット制御部121は、ロボット装置20に前回の撮影の場所から移動して再撮影させてもよい。例えば、図3において、1回目が目的地P1(1番作業通路の一方の端側)で1番作業通路のカメラ画像が撮影された場合、2回目は、1番作業通路の目的地P1とは反対側(1番作業通路のもう一方の端側)で1番作業通路のカメラ画像の再撮影が行われるようにする。これにより、作業者同士が重なって撮影されたために実際よりも少ない人数が認識されることをより防止する効果が得られる。
【0067】
(変形例3)
物体認識部122は、ロボット装置20が撮影した画像又はロボット装置20が計測した物体の点群情報に基づいて作業者とロボット装置20との間の距離を取得し、作業異常判定部123は、当該取得された距離に基づいて作業者の位置を特定し、特定した作業者の位置で予定された作業を特定してもよい。これは、一つ通路で複数の作業が同時又は連続して行われる状況に対応するために、より詳細な作業位置の情報に基づいて該当する作業を特定した上で、作業の異常の有無を判定するためである。
【0068】
具体的には、サーバ装置10は、作業管理情報132に対して、作業通路上の詳細な作業場所を示す情報(例えば、二次元空間におけるメッシュ状に区分けされた作業場所の情報)を含める。物体認識部122は、例えば、LiDAR部24が計測した点群情報に基づいて、作業者からロボット装置20までの距離を取得する。又は、例えばカメラ部23が奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したデプスカメラを備え、物体認識部122は、当該デプスカメラが撮影した画像に基づいて、作業者からロボット装置20までの距離を取得する。作業異常判定部123は、当該取得された距離に基づいて、作業者の位置(メッシュ状に区分けされた作業場所)を特定し、特定した作業者の位置で予定された作業を特定し、作業の異常の有無を判定する。また、その作業者の位置を特定する精度を高めるために、ロボット装置20が通路の両側でカメラ画像又は点群情報を取得し、サーバ装置10が通路の両側で取得されたカメラ画像又は点群情報を使用して作業者の位置を特定してもよい。
【0069】
(変形例4)
ロボット装置20が任意のタイミングでカメラ画像を撮影し、サーバ装置10が任意のタイミングで撮影されたカメラ画像によって作業の異常の有無を判定してもよい。この場合、ロボット装置20は、カメラ画像の撮影の場所及び時刻を示す撮影情報をカメラ画像に付加する。サーバ装置10は、カメラ画像に付加された撮影情報によって当該カメラ画像の撮影の場所及び時刻を認識する。
【0070】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るロボット装置の構成例を示すブロック図である。図8において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。第2実施形態では、上述した第1実施形態においてサーバ装置10に具備されていた機能をロボット装置20aに具備させることによって、ロボット装置単体で作業管理システムを構成している。
【0071】
具体的には、図8のロボット装置20aは、図1のロボット装置20に対して、制御部22aの機能としてロボット制御部121、物体認識部122及び作業異常判定部123が追加され、また記憶部26(ロボット制御情報131、作業管理情報132、判定結果133)が追加される。
【0072】
上述した各実施形態によれば、自律走行可能なロボット装置20が移動しながらカメラで撮影した画像によって作業の異常の有無を判定することができるという効果が得られる。
【0073】
なお、これにより、例えば作業管理システムを利用する各種のサービスにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0075】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0076】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…作業管理システム、10…サーバ装置、20,20a…ロボット装置、11,21…通信部、12,22,22a…制御部、13,26…記憶部、121…ロボット制御部、122…物体認識部、123…作業異常判定部、131…ロボット制御情報、132…作業管理情報、133…判定結果、23…カメラ部、24…LiDAR部、25…走行部、221…画像取得部、222…自己位置推定部、223…自律走行制御部、NW…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8