(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B01D53/26 231
(21)【出願番号】P 2021126269
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(73)【特許権者】
【識別番号】391023541
【氏名又は名称】フレアーナガオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】松坂 岳廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 克昭
(72)【発明者】
【氏名】岡谷 真克
(72)【発明者】
【氏名】矢部 利明
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507677(JP,A)
【文献】特開平01-310717(JP,A)
【文献】特開2009-241068(JP,A)
【文献】特開昭55-155725(JP,A)
【文献】特開2020-007185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B01D 53/02-53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気中の水分を吸着する吸着剤を内包した少なくとも3つの吸着剤容器と、
前記少なくとも3つの吸着剤容器の一方側に設けられた少なくとも3つの第1切替弁と、
前記少なくとも3つの吸着剤容器の他方側に設けられた少なくとも3つの第2切替弁と、
前記第1切替弁及び前記第2切替弁を制御することにより、各吸着剤容器の工程を、低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記圧縮空気中の水分が前記吸着剤に吸着される吸着工程、高温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記吸着剤から水分が脱離される再生工程、圧縮空気が前記吸着剤容器に流れないで前記吸着剤が自然冷却される冷却工程、及び前記吸着工程と比べて小流量となるように低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れる吸着準備工程に順次切替える制御装置と、
圧縮機ユニットから供給された圧縮空気を加熱し、前記第1切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器へ供給する加熱器と、
前記第2切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去し、前記第2切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器へ前記圧縮空気を供給するドレンセパレータと、
前記第1切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を外部へ供給する供給流路とを備えたことを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除湿装置において、
前記制御装置は、第1の吸着剤容器、第2の吸着剤容器、及び第3の吸着剤容器の工程を互いにずらすように制御し、前記第1の吸着剤容器の前記吸着工程と前記第2の吸着剤容器の前記再生工程を行わせている間に、前記第3の吸着剤容器の前記冷却工程と前記吸着準備工程を行わせることを特徴とする除湿装置。
【請求項3】
圧縮空気中の水分を吸着する吸着剤を内包した複数の吸着剤容器と、
前記複数の吸着剤容器の一方側に設けられた複数の第1切替弁と、
前記複数の吸着剤容器の他方側に設けられた複数の第2切替弁と、
前記複数の吸着剤容器をバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、
前記複数の第1切替弁、前記複数の第2切替弁、及び前記バイパス弁を制御することにより、各吸着剤容器の工程を、低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記圧縮空気中の水分が前記吸着剤に吸着される吸着工程、高温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記吸着剤から水分が脱離される再生工程、圧縮空気が前記吸着剤容器に流れないで前記吸着剤が自然冷却される冷却工程、及び前記吸着工程と比べて小流量となるように低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れる吸着準備工程に順次切替える制御装置と、
圧縮機ユニットから供給された圧縮空気を加熱し、前記第1切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器へ前記圧縮空気を供給する加熱器と、
前記第2切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去し、前記第2切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器へ前記圧縮空気を供給するドレンセパレータと、
前記第1切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を外部へ供給する供給流路とを備えたことを特徴とする除湿装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の除湿装置において、
各吸着剤容器内の温度を検出する温度センサを備え、
前記制御装置は、前記温度センサで検出された前記冷却工程の前記吸着剤容器内の温度が所定の閾値以下となるときに、前記吸着剤容器の前記冷却工程を前記吸着準備工程に切替えることを特徴とする除湿装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の除湿装置において、前記供給
流路に圧縮空気の湿分量を検出する湿分センサを備え、
前記制御装置は、前記湿分センサで検出された圧縮空気中の湿分量が所定の閾値以上となるときに、全部又は一部の前記吸着剤容器の工程を切替えることを特徴とする除湿装置。
【請求項6】
請求項1又は3に記載の除湿装置において、
前記加熱器は、前記圧縮機ユニットのアフタークーラで冷却された圧縮空気を、前記アフタークーラの上流側の圧縮空気との熱交換によって加熱することを特徴とする除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を除湿する除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の除湿装置は、圧縮空気中の水分(水蒸気)を吸着する吸着剤を内包した3つの吸着剤容器と、3つの吸着剤容器の一方側にそれぞれ設けられ、各吸着剤容器の一方側を第1ヘッダと第2ヘッダのうちの一方に連通する3つの第1切替弁(三方弁)と、3つの吸着剤容器の他方側にそれぞれ設けられ、各吸着剤容器の他方側を第3ヘッダと第4ヘッダのうちの一方に連通する3つの第2切替弁(三方弁)と、第2ヘッダを低温再生空気供給ラインと再生空気処理ラインのうちの一方に連通する第3切替弁(三方弁)と、第4ヘッダを高温再生空気供給ラインと再生空気処理ラインのうちの一方に連通する第4切替弁(三方弁)と、第1切替弁、第2切替弁、第3切替弁、及び第4切替弁を制御することにより、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生加熱工程、及び再生冷却工程に順次切替える制御装置とを備える。
【0003】
第1ヘッダは、圧縮空気を冷却するアフタークーラの下流側に接続されている。第3ヘッダは、除湿装置の外部へ圧縮空気(乾燥空気)を供給する供給流路の上流側に接続されている。
【0004】
高温再生空気供給ラインは、アフタークーラと第1ヘッダの間から分流するように構成されており、アフタークーラの上流側の圧縮空気との熱交換により、アフタークーラで冷却された圧縮空気を加熱する加熱器を有する。そして、加熱器で加熱された圧縮空気(高温の再生空気)を再生加熱工程の吸着剤容器へ供給するようになっている。
【0005】
低温再生空気供給ラインは、アフタークーラと第1ヘッダの間から分流するように構成されている。そして、アフタークーラで冷却された圧縮空気(低温の再生空気)を再生冷却工程の吸着剤容器へ供給するようになっている。
【0006】
再生空気処理ラインは、アフタークーラと第1ヘッダの間に合流するように構成されており、再生加熱工程又は再生冷却工程の吸着剤容器から流出した圧縮空気(再生空気)を冷却する冷却器と、冷却器で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去するドレンセパレータとを有する。
【0007】
制御装置は、第1切替弁を制御して吸着剤容器の一方側を第1ヘッダに連通し、第2切替弁を制御して吸着剤容器の他方側を第3ヘッダに連通する。これにより、吸着剤容器の工程を吸着工程に切替える。吸着剤容器の吸着工程では、アフタークーラで冷却された圧縮空気(湿り空気)が第1ヘッダを介し吸着剤容器の一方側に流入し、圧縮空気中の水分が吸着剤に吸着される。すなわち、圧縮空気が除湿される。その後、吸着剤容器の他方側から流出した圧縮空気(乾燥空気)が第3ヘッダ及び供給流路を介し外部へ供給される。
【0008】
制御装置は、第2切替弁を制御して吸着剤容器の他方側を第4ヘッダに連通すると共に、第4切替弁を制御して第4ヘッダを高温再生空気供給ラインに連通する。また、第1切替弁を制御して吸着剤容器の一方側を第2ヘッダに連通すると共に、第3切替弁を制御して第2ヘッダを再生空気処理ラインに連通する。これにより、吸着剤容器の吸着工程を再生加熱工程に切替える。吸着剤容器の再生加熱工程では、高温再生空気供給ラインからの高温の圧縮空気(再生空気)が第4ヘッダを介し吸着剤容器の他方側に流入し、吸着剤が加熱されて、吸着剤から水分が脱離される。その後、吸着剤容器の一方側から流出した圧縮空気が第2ヘッダを介し再生空気処理ラインへ供給される。
【0009】
制御装置は、第1切替弁を制御して吸着剤容器の一方側を第2ヘッダに連通すると共に、第3切替弁を制御して第2ヘッダを低温再生空気供給ラインに連通する。また、第2切替弁を制御して吸着剤容器の他方側を第4ヘッダに連通すると共に、第4切替弁を制御して第4ヘッダを再生空気処理ラインに連通する。これにより、吸着剤容器の再生加熱工程を再生冷却工程に切替える。吸着剤容器の再生冷却工程では、低温再生空気供給ラインからの低温の圧縮空気(再生空気)が第2ヘッダを介し吸着剤容器の一方側に流入し、吸着剤が冷却される。その後、吸着剤容器の他方側から流出した圧縮空気が第4ヘッダを介し再生空気処理ラインへ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の除湿装置では、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生加熱工程、及び再生冷却工程に順次切替える。再生冷却工程を行うことにより、吸着剤を冷却して、その後の吸着工程における吸着剤の吸着能力を高めることが可能である。しかしながら、再生冷却工程は、低温の圧縮空気(再生空気)を用いて吸着剤を強制冷却する。そのため、吸着剤の冷却と同時に、圧縮空気中の水分が吸着剤に吸着されてしまい、吸着剤の吸着能力の回復度が減じる。
【0012】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、吸着剤の吸着能力の回復度を高めることを課題の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を適用する。本発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、圧縮空気中の水分を吸着する吸着剤を内包した少なくとも3つの吸着剤容器と、前記少なくとも3つの吸着剤容器の一方側に設けられた少なくとも3つの第1切替弁と、前記少なくとも3つの吸着剤容器の他方側に設けられた少なくとも3つの第2切替弁と、前記第1切替弁及び前記第2切替弁を制御することにより、各吸着剤容器の工程を、低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記圧縮空気中の水分が前記吸着剤に吸着される吸着工程、高温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れて前記吸着剤から水分が脱離される再生工程、圧縮空気が前記吸着剤容器に流れないで前記吸着剤が自然冷却される冷却工程、及び前記吸着工程と比べて小流量となるように低温の圧縮空気が前記吸着剤容器に流れる吸着準備工程に順次切替える制御装置と、圧縮機ユニットから供給された圧縮空気を加熱し、前記第1切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器へ供給する加熱器と、前記第2切替弁を介し前記再生工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を冷却する冷却器と、前記冷却器で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去し、前記第2切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器へ前記圧縮空気を供給するドレンセパレータと、前記第1切替弁を介し前記吸着工程か前記吸着準備工程の前記吸着剤容器から流出した圧縮空気を外部へ供給する供給流路とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸着剤の吸着能力の回復度を高めることができる。
【0015】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
【
図3】本発明の第1の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が冷却工程、第3の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。
【
図4】本発明の第1の実施形態における除湿装置の吸着剤容器の工程の推移を表す図である。
【
図5】本発明の一変形例における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
【
図6】本発明の一変形例における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
【
図7】本発明の一変形例における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が冷却工程、第3の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。
【
図8】本発明の第2の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程である状態を示す。
【
図9】本発明の第2の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
【
図10】本発明の第2の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
【
図11】本発明の第2の実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、除湿装置の第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。
【
図12】本発明の第2の実施形態における除湿装置の吸着剤容器の工程の推移を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態を、
図1~
図4を用いて説明する。
【0018】
図1~
図3は、本実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、
図4は、本実施形態における除湿装置の吸着剤容器の工程の推移を表す図である。
図1は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
図2は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
図3は、第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が冷却工程、第3の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。なお、
図1~
図3において、切替弁の閉状態を黒塗りで示し、開状態を白抜きで示す。
【0019】
本実施形態では、圧縮空気供給システムは、圧縮空気を生成する圧縮機ユニット1と、圧縮機ユニット1で生成された圧縮空気を除湿する除湿装置2とを備える。
【0020】
圧縮機ユニット1は、吸込みフィルタ3を介し空気を吸込んで圧縮する低圧段圧縮機4と、低圧段圧縮機4から吐出された圧縮空気を冷却するインタークーラ5と、インタークーラ5で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去するドレンセパレータ6Aと、ドレンセパレータ6Aからの圧縮空気を更に圧縮する高圧段圧縮機7と、高圧段圧縮機7から吐出された圧縮空気を190℃程度まで冷却するプレクーラ8と、プレクーラ8からの圧縮空気を40℃程度まで冷却するアフタークーラ9と、アフタークーラ9で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去し、除湿装置2へ圧縮空気を供給するドレンセパレータ6Bとを備える。
【0021】
圧縮機ユニット1は、プレクーラ8とアフタークーラ9の間の流路に設けられた逆止弁10と、逆止弁10の上流側から分岐された流路に設けられた放気弁11と、アフタークーラ9の下流側における圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ12と、圧力センサ12の検出結果に基づいて放気弁11を制御する制御装置(図示せず)とを更に備える。
【0022】
圧縮機ユニット1の制御装置は、圧力センサ12で検出された圧力が所定の上限値まで上昇したときに、放気弁11を閉状態から開状態に切替えて、逆止弁10より上流側の圧縮空気を外部へ放出させる。これにより、負荷運転から無負荷運転へ切替える。その後、圧力センサ12で検出された圧力が所定の下限値まで下降したときに、放気弁11を開状態から閉状態に切替える。これにより、無負荷運転から負荷運転へ切替える。
【0023】
除湿装置2は、圧縮空気中の水分を吸着する吸着剤(詳細には、活性アルミナ、シリカゲル、又は合成ゼオライト等)を内包した3つの吸着剤容器13A,13B,13Cと、吸着剤容器13Aの一方側(
図1~
図3の上側)に設けられた切替弁14A,15A,16A(第1切替弁)と、吸着剤容器13Aの他方側(
図1~
図3の下側)に設けられた切替弁17A,18A(第2切替弁)と、吸着剤容器13Bの一方側(
図1~
図3の上側)に設けられた切替弁14B,15B,16B(第1切替弁)と、吸着剤容器13Bの他方側(
図1~
図3の下側)に設けられた切替弁17B,18B(第2切替弁)と、吸着剤容器13Cの一方側(
図1~
図3の上側)に設けられた切替弁14C,15C,16C(第1切替弁)と、吸着剤容器13Cの他方側(
図1~
図3の下側)に設けられた切替弁17C,18C(第2切替弁)と、切替弁14A,14B,14C~18A,18B,18Cを制御することにより、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える制御装置19とを備える。
【0024】
除湿装置2は、圧縮機ユニット1から供給された圧縮空気を、例えばアフタークーラ9の上流側の圧縮空気との熱交換によって加熱し、切替弁14A,14B,14Cのうちのいずれかを介し再生工程の吸着剤容器へ圧縮空気を供給する加熱器20と、切替弁17A,17B,17Cのうちのいずれかを介し再生工程の吸着剤容器から流出した圧縮空気を冷却する冷却器21と、冷却器21で冷却された圧縮空気から凝縮水を除去し、切替弁18A,18B,18Cのうちのいずれかを介し吸着工程か吸着準備工程の吸着剤容器へ圧縮空気を供給するドレンセパレータ22と、切替弁15A,15B,15Cのうちのいずれかを介し吸着工程の吸着剤容器から流出した圧縮空気と切替弁16A,16B,16Cのうちのいずれかを介し吸着準備工程の吸着剤容器から流出した圧縮空気を除湿装置2の外部(詳細には、圧縮空気を使用する機器等)へ供給する供給流路23とを更に備える。
【0025】
切替弁(開閉弁)14A,14B,14Cの各々は、各吸着剤容器の一方側と加熱器20の下流側を接続する流路に配置されている。切替弁(開閉弁)15A,15B,15Cの各々は、各吸着剤容器の一方側と供給流路23の上流側を接続する流路に配置されている。切替弁(開閉弁)16Aは、切替弁15Aをバイパスする流路にオリフィス24Aと共に配置されている。切替弁(開閉弁)16Bは、切替弁15Bをバイパスする流路にオリフィス24Bと共に配置されている。切替弁(開閉弁)16Cは、切替弁15Cをバイパスする流路にオリフィス24Cと共に配置されている。切替弁(開閉弁)17A,17B,17Cの各々は、各吸着剤容器の他方側と冷却器21の上流側を接続する流路に配置されている。切替弁(開閉弁)18A,18B,18Cの各々は、各吸着剤容器の他方側とドレンセパレータ22の下流側を接続する流路に配置されている。
【0026】
制御装置19は、例えば、プログラム等を記憶するメモリと、プログラムに従って処理を実行するプロセッサとを有するものである。制御装置19は、上述した通り、切替弁14A,14B,14C~18A,18B,18Cを制御することにより、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える。このとき、
図4で示すように、吸着剤容器13A,13B,13Cの工程を互いにずらすように制御する。これにより、吸着剤容器13A,13B,13Cのうちの1つの吸着剤容器に吸着工程を行わせて、圧縮空気の除湿を連続的に行わせる。また、別の吸着剤容器に再生工程を行わせて、吸着剤の吸着能力を回復させると共に、更に別の吸着剤容器に冷却工程及び吸着準備工程を行わせるようになっている。その詳細を説明する。
【0027】
例えば
図1で示すように、制御装置19は、吸着剤容器13Bの制御として、切替弁15B,16B,18Bを閉状態に制御し、切替弁14Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側に連通し、切替弁17Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの他方側を冷却器21の上流側に連通する。これにより、吸着剤容器13Bに再生工程を行わせる。吸着剤容器13Bの再生工程では、加熱器20からの高温の圧縮空気が吸着剤容器13Bの一方側に流入し、吸着剤が加熱されて、吸着剤から水分が脱離される。その後、吸着剤容器13Bの他方側から流出した圧縮空気は、冷却器21で冷却され、ドレンセパレータ22で凝縮水が除去される。
【0028】
制御装置19は、上述した吸着剤容器13Bの制御と同時に、吸着剤容器13Aの制御として、切替弁14A,16A,17Aを閉状態に制御し、切替弁18Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁15Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの一方側を供給流路23の上流側にオリフィス24Aを介さず連通する。これにより、吸着剤容器13Aに吸着工程を行わせる。吸着剤容器13Aの吸着工程では、ドレンセパレータ22からの低温の圧縮空気が吸着剤容器13Aの他方側に流入し、圧縮空気中の水分が吸着剤に吸着される。すなわち、圧縮空気が除湿される。その後、吸着剤容器13Aの一方側から流出した圧縮空気が供給流路23を介し除湿装置2の外部へ供給される。
【0029】
制御装置19は、上述した吸着剤容器13A,13Bの制御と同時に、吸着剤容器13Cの制御として、切替弁14C~18Cを閉状態に制御する。これにより、吸着剤容器13Cに冷却工程を行わせる。吸着剤容器13Cの冷却工程では、圧縮空気が吸着剤容器13Cに流れないで、吸着剤が自然冷却される。
【0030】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Cの冷却工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、切替弁14C,15C,17Cを閉状態に制御し、切替弁18Cを開状態に制御して吸着剤容器13Cの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁16Cを開状態に制御して吸着剤容器13Cの一方側を供給流路23の上流側にオリフィス24Cを介し連通する(
図2参照)。これにより、吸着剤容器13Aの吸着工程と吸着剤容器13Bの再生工程を行わせたまま、吸着剤容器13Cの冷却工程を吸着準備工程に切替える。吸着剤容器13Cの吸着準備工程では、オリフィス24Cによって吸着工程と比べて小流量となるように、低温の圧縮空気が吸着剤容器13Cに流れる。
【0031】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Cの吸着準備工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、切替弁14C,16C,17Cを閉状態に制御し、切替弁18Cを開状態に制御して吸着剤容器13Cの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁15Cを開状態に制御して吸着剤容器13Cの一方側を供給流路23の上流側にオリフィス24Cを介さず連通する(
図3参照)。これにより、吸着剤容器13Cの吸着準備工程を吸着工程に切替える。これと同時に、吸着剤容器13Aの吸着工程を再生工程に切替え、吸着剤容器13Bの再生工程を冷却工程に切替える。これ以降の説明は、省略する。
【0032】
以上のように本実施形態では、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える。冷却工程を行うことにより、吸着剤を冷却して、その後の吸着工程における吸着剤の吸着能力を高めることができる。特に、冷却工程は圧縮空気が吸着剤容器に流れないため、低温の圧縮空気が吸着剤容器に流れる場合と比べ、吸着剤の吸着能力の回復度を高めることができる。また、冷却工程と吸着工程の間に吸着準備工程が介在することにより、吸着剤容器における圧縮空気の流量変化を抑えて、吸着材の吸着の過渡現象を抑えることができる。その結果、除湿装置2の外部へ供給される圧縮空気の露点温度を低くすると共に安定させることができる。
【0033】
なお、第1の実施形態において、除湿装置2は、切替弁14A,14B,14C~18A,18B,18Cを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。本発明の一変形例を、
図5~
図7を用いて説明する。なお、本変形例において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0034】
図5~
図7は、本変形例における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図である。
図5は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
図6は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程、第3の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
図7は、第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が冷却工程、第3の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。なお、
図5~
図7において、切替弁のポートの閉状態を黒塗りで示し、開状態を白抜きで示す。
【0035】
本変形例では、除湿装置2は、切替弁(開閉弁)14A,15Aの代わりに、吸着剤容器13Aの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)25Aを備え、切替弁17A,18Aの代わりに、吸着剤容器13Aの他方側を冷却器21の上流側とドレンセパレータ22の下流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)26Aを備える。また、切替弁(開閉弁)14B,15Bの代わりに、吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)25Bを備え、切替弁17B,18Bの代わりに、吸着剤容器13Bの他方側を冷却器21の上流側とドレンセパレータ22の下流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)26Bを備える。また、切替弁(開閉弁)14C,15Cの代わりに、吸着剤容器13Cの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)25Cを備え、切替弁17C,18Cの代わりに、吸着剤容器13Cの他方側を冷却器21の上流側とドレンセパレータ22の下流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)26Cを備える。
【0036】
切替弁16Aは、切替弁25Aと供給流路23の上流側を接続する流路に配置され、オリフィス24Aは、切替弁16Aをバイパスする流路に配置されている。切替弁16Bは、切替弁25Bと供給流路23の上流側を接続する流路に配置され、オリフィス24Bは、切替弁16Bをバイパスする流路に配置されている。切替弁16Cは、切替弁25Cと供給流路23の上流側を接続する流路に配置され、オリフィス24Cは、切替弁16Cをバイパスする流路に配置されている。
【0037】
例えば
図5で示すように、制御装置19は、吸着剤容器13Bの制御として、切替弁16Bを閉状態に制御し、切替弁25Bを制御して吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側に連通し、切替弁26Bを制御して吸着剤容器13Bの他方側を冷却器21の上流側に連通する。これにより、吸着剤容器13Bに再生工程を行わせる。
【0038】
制御装置19は、上述した吸着剤容器13Bの制御と同時に、吸着剤容器13Aの制御として、切替弁26Aを制御して吸着剤容器13Aの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁25Aを制御して吸着剤容器13Aの一方側を供給流路23の上流側に連通し、切替弁16Aを開状態に制御する。これにより、吸着剤容器13Aに吸着工程を行わせる。
【0039】
制御装置19は、上述した吸着剤容器13A,13Bの制御と同時に、吸着剤容器13Cの制御として、切替弁25Cを制御して吸着剤容器13Aの一方側を供給流路23の上流側に連通し、切替弁26Cを制御して吸着剤容器13Cの他方側を冷却器21の上流側に連通し、切替弁16Cを閉状態に制御する。これにより、吸着剤容器13Cに冷却工程を行わせる。吸着剤容器13Cの冷却工程では、圧縮空気が吸着剤容器13Cに流れないで、吸着剤が自然冷却される。
【0040】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Cの冷却工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、切替弁26Cを制御して吸着剤容器13Cの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁25Cを制御して吸着剤容器13Cの一方側を供給流路23の上流側に連通し、切替弁16Cを閉状態に制御する(
図6参照)。これにより、吸着剤容器13Aの吸着工程と吸着剤容器13Bの再生工程を行わせたまま、吸着剤容器13Cの冷却工程を吸着準備工程に切替える。吸着剤容器13Cの吸着準備工程では、オリフィス24Cによって吸着工程と比べて小流量となるように、低温の圧縮空気が吸着剤容器13Cに流れる。
【0041】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Cの吸着準備工程の時間が所定時間に達したと判定した場合に、切替弁26Cを制御して吸着剤容器13Cの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁25Cを制御して吸着剤容器13Cの一方側を供給流路23の上流側に連通し、切替弁16Cを開状態に制御する(
図7参照)。これにより、吸着剤容器13Cの吸着準備工程を吸着工程に切替える。これと同時に、吸着剤容器13Aの吸着工程を再生工程に切替え、吸着剤容器13Bの再生工程を冷却工程に切替える。これ以降の説明は、省略する。
【0042】
以上のように構成された本変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。本変形例においては、第1の実施形態と比べ、切替弁の数を減らすことができ、信頼性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0043】
なお、他の変形例として、除湿装置2は、切替弁25A,16A及びオリフィス24Aの代わりに、吸着剤容器13Aの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通すると共に流量を可変可能な切替弁(三方調節弁)を備えてもよい。また、切替弁25B,16B及びオリフィス24Bの代わりに、吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通すると共に流量を可変可能な切替弁(三方調節弁)を備えてもよい。また、切替弁25C,16C及びオリフィス24Cの代わりに、吸着剤容器13Cの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通すると共に流量を可変可能な切替弁(三方調節弁)を備えてもよい。
【0044】
また、第1の実施形態及びその変形例において、制御装置19は、タイマを用いて、例えば吸着剤容器13Cの冷却工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、吸着剤容器13Cの冷却工程を吸着準備工程に切替える場合を例にとって説明したが、これに限られない。除湿装置2は、吸着剤容器13A,13B,13C内の温度(詳細には、圧縮空気、吸着剤、又は吸着剤容器の温度)をそれぞれ検出する温度センサ27A,27B,27C(
図1~
図3又は
図5~
図7にて点線で示す)を備えてもよい。制御装置19は、温度センサ27A,27B,27Cのうちのいずれかで検出された冷却工程の吸着剤容器内の温度が所定の閾値以下となるときに、吸着剤容器の冷却工程を吸着準備工程に切替えてもよい。
【0045】
また、圧縮空気中の湿分量を検出する湿分センサ30(
図1~
図3又は
図5~
図7にて点線で示す)を供給
流路23に設けてもよい。制御装置19は、湿
分センサ30で検出された圧縮空気中の湿分量が所定の閾値以上となるときに、吸着剤容器の工程を次の工程へ切替えてもよい。例えば、吸着剤容器13Aが吸着工程中、吸着剤容器13Bが再生工程中、吸着剤容器13Cが冷却工程中だった場合は、吸着剤容器13Cを次の工程である吸着準備工程へ切替える。また、吸着剤容器13Aが吸着工程中、吸着剤容器13Bが再生工程中、吸着剤容器13Cが吸着準備工程中だった場合は、次の工程である再生工程、冷却工程、吸着工程へとそれぞれ切替える。これにより、必要な露点の圧縮空気をより安定的に供給することができる。
【0046】
また、第1の実施形態及びその変形例において、除湿装置2は、3つの吸着剤容器13A,13B,13Cを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、4つ以上の吸着剤容器を備えてもよい。
【0047】
本発明の第2の実施形態を、
図8~
図12を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0048】
図8~
図11は、本実施形態における圧縮空気供給システムの構成を表す概略図であり、
図12は、本実施形態における除湿装置の吸着剤容器の工程の推移を表す図である。
図8は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が再生工程である状態を示す。
図9は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が冷却工程である状態を示す。
図10は、第1の吸着剤容器が吸着工程、第2の吸着剤容器が吸着準備工程である状態を示す。
図11は、第1の吸着剤容器が再生工程、第2の吸着剤容器が吸着工程である状態を示す。なお、
図8~
図11において、切替弁の閉状態を黒塗りで示し、開状態を白抜きで示す。
【0049】
本実施形態では、除湿装置2は、圧縮空気中の水分を吸着する吸着剤を内包した2つの吸着剤容器13A,13Bと、吸着剤容器13Aの一方側(
図8~
図11の上側)に設けられた切替弁14A,15A,16A(第1切替弁)と、吸着剤容器13Aの他方側(
図8~
図11の下側)に設けられた切替弁17A,18A(第2切替弁)と、吸着剤容器13Bの一方側(
図8~
図11の上側)に設けられた切替弁14B,15B,16B(第1切替弁)と、吸着剤容器13Bの他方側(
図8~
図11の下側)に設けられた切替弁17B,18B(第2切替弁)と、吸着剤容器13A,13Bをバイパスするバイパス流路28と、バイパス流路28に設けられたバイパス弁29と、切替弁14A,14B~18A,18B及びバイパス弁29を制御することにより、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える制御装置19とを備える。
【0050】
制御装置19は、上述した通り、切替弁14A,14B~18A,18B及びバイパス弁29を制御することにより、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える。このとき、
図12で示すように、吸着剤容器13A,13Bのうちの一方の吸着剤容器に吸着工程を行わせて、圧縮空気の除湿を連続的に行わせる。また、他方の吸着剤容器に再生工程を行わせて、吸着剤の吸着能力を回復させ、更に冷却工程及び吸着準備工程を行わせるようになっている。その詳細を説明する。
【0051】
例えば
図8で示すように、制御装置19は、吸着剤容器13Bの制御として、バイパス弁29を閉状態に制御し、切替弁15B,16B,18Bを閉状態に制御し、切替弁14Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側に連通し、切替弁17Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの他方側を冷却器21の上流側に連通する。これにより、吸着剤容器13Bに再生工程を行わせる。
【0052】
制御装置19は、上述した吸着剤容器13Bの制御と同時に、吸着剤容器13Aの制御として、切替弁14A,16A,17Aを閉状態に制御し、切替弁18Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁15Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの一方側を供給流路23の上流側に連通する。これにより、吸着剤容器13Aに吸着工程を行わせる。
【0053】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Bの再生工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、バイパス弁29を開状態に制御し、切替弁14B~18Bを閉状態に制御する(
図9参照)。これにより、吸着剤容器13Aの吸着工程を行わせたまま、吸着剤容器13Bの再生工程を冷却工程に切替える。吸着剤容器13Bの冷却工程では、圧縮空気が吸着剤容器13Bに流れないで、吸着剤が自然冷却される。なお、加熱器20からの圧縮空気は、バイパス流路28を介し冷却器21へ供給される。
【0054】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Bの冷却工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、バイパス弁29を開状態に制御し、切替弁14B,15B,17Bを閉状態に制御し、切替弁18Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁16Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの一方側を供給流路23の上流側にオリフィス24Bを介し連通する(
図10参照)。これにより、吸着剤容器13Aの吸着工程を行わせたまま、吸着剤容器13Bの冷却工程を吸着準備工程に切替える。吸着剤容器13Bの吸着準備工程では、オリフィス24Bによって吸着工程と比べて小流量となるように、低温の圧縮空気が吸着剤容器13Bに流れる。
【0055】
制御装置19は、タイマを用いて、吸着剤容器13Bの吸着準備工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、切替弁14B,16B,17Bを閉状態に制御し、切替弁18Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの他方側をドレンセパレータ22の下流側に連通し、切替弁15Bを開状態に制御して吸着剤容器13Bの一方側を供給流路23の上流側に連通する(
図11参照)。これにより、吸着剤容器13Bの吸着準備工程を吸着工程に切替える。これと同時に、バイパス弁29を閉状態に制御し、切替弁15A,16A,18Aを閉状態に制御し、切替弁14Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの一方側を加熱器20の下流側に連通し、切替弁17Aを開状態に制御して吸着剤容器13Aの他方側を冷却器21の上流側に連通する。これにより、吸着剤容器13Aの吸着工程を再生工程に切替える。これ以降の説明は、省略する。
【0056】
以上のように本実施形態では、各吸着剤容器の工程を吸着工程、再生工程、冷却工程、及び吸着準備工程に順次切替える。冷却工程を行うことにより、吸着剤を冷却して、その後の吸着工程における吸着剤の吸着能力を高めることができる。特に、冷却工程は圧縮空気が吸着剤容器に流れないため、低温の圧縮空気が吸着剤容器に流れる場合と比べ、吸着剤の吸着能力の回復度を高めることができる。また、冷却工程と吸着工程の間に吸着準備工程が介在することにより、吸着剤容器における圧縮空気の流量変化を抑えて、吸着材の吸着の過渡現象を抑えることができる。その結果、除湿装置2の外部へ供給される圧縮空気の露点温度を低くすると共に安定させることができる。
【0057】
なお、第2の実施形態において、除湿装置2は、切替弁14A,14B~18A,18Bを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。一変形例として、除湿装置2は、切替弁(開閉弁)14A,15Aの代わりに、吸着剤容器13Aの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)25Aを備え、切替弁17A,18Aの代わりに、吸着剤容器13Aの他方側を冷却器21の上流側とドレンセパレータ22の下流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)26Aを備えてもよい。また、切替弁(開閉弁)14B,15Bの代わりに、吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)25Bを備え、切替弁17B,18Bの代わりに、吸着剤容器13Bの他方側を冷却器21の上流側とドレンセパレータ22の下流側のうちの一方に連通する切替弁(三方弁)26Bを備えてもよい。
【0058】
また、他の変形例として、除湿装置2は、切替弁25A,16A及びオリフィス24Aの代わりに、吸着剤容器13Aの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通すると共に流量を可変可能な切替弁(三方調節弁)を備えてもよい。また、切替弁25B,16B及びオリフィス24Bの代わりに、吸着剤容器13Bの一方側を加熱器20の下流側と供給流路23の上流側のうちの一方に連通すると共に流量を可変可能な切替弁(三方調節弁)を備えてもよい。
【0059】
また、第2の実施形態及びその変形例において、制御装置19は、タイマを用いて、例えば吸着剤容器13Bの冷却工程の時間が所定時間に達したと判定したときに、吸着剤容器13Bの冷却工程を吸着準備工程に切替える場合を例にとって説明したが、これに限られない。除湿装置2は、吸着剤容器13A,13B内の温度をそれぞれ検出する温度センサ27A,27B(
図8~
図11にて点線で示す)を備えてもよい。制御装置19は、温度センサ27A,27Bのうちのいずれかで検出された冷却工程の吸着剤容器内の温度が所定の閾値以下となるときに、吸着剤容器の冷却工程を吸着準備工程に切替えてもよい。
【0060】
また、圧縮空気中の湿分量を検出する湿分センサ30(
図8~
図11にて点線で示す)を供給
流路23に設けてもよい。制御装置19は、湿分センサ30で検出された圧縮空気中の湿分量が所定の閾値以上となるときに、吸着剤容器の工程を次の工程へ切替えてもよい。例えば、吸着剤容器13Aが吸着工程中、吸着剤容器13Bが再生工程中だった場合は、吸着剤容器13Bを次の工程である冷却工程へ切替える。また、吸着剤容器13Aが吸着工程中、吸着剤容器13Bが冷却工程中だった場合は、吸着剤容器13Bを次の工程である吸着準備工程へ切替える。また、吸着剤容器13Aが吸着工程中、吸着剤容器13Bが吸着準備工程中だった場合は、吸着剤容器13Aを再生工程へ、吸着剤容器13Bを吸着工程へ切替える。これにより、必要な露点の圧縮空気をより安定的に供給することができる。
【0061】
また、第2の実施形態及びその変形例において、除湿装置2は、2つの吸着剤容器13A,13Bを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、3つ以上の吸着剤容器を備えてもよい。
【符号の説明】
【0062】
2…除湿装置、13A,13B,13C…吸着剤容器、14A,14B,14C…切替弁(第1切替弁)、15A,15B,15C…切替弁(第1切替弁)、16A,16B,16C…切替弁(第1切替弁)、17A,17B,17C…切替弁(第2切替弁)、18A,18B,18C…切替弁(第2切替弁)、19…制御装置、20…加熱器、21…冷却器、22…ドレンセパレータ、23…供給流路、25A,25B,25C…切替弁(第1切替弁)、26A,26B,26C…切替弁(第2切替弁)、27A,27B,27C…温度センサ、28…バイパス流路、29…バイパス弁、30…湿分センサ