(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】排気部品
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20240625BHJP
F01N 13/10 20100101ALI20240625BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
F01N13/08 E
F01N13/10
F01N3/28 301V
(21)【出願番号】P 2021175879
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 竜司
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 13/10
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気を排出する排気部品であって、
内燃機関の1つ以上の排気口それぞれに接続される1つ以上の排気管と、前記1つ以上の排気管と前記内燃機関の間に設けられて前記排気管の端部が接続される1つ以上の開口が形成されたフランジと、を有する排気導入部と、
前記フランジに取り付けられるブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、前記フランジに対して固定される第1壁部と、前記第1壁部に対して屈曲して繋がる部分である第2壁部と、を有
し、
前記フランジは、前記内燃機関に沿って配置される主部と、前記主部に対して屈曲して繋がる部分である副部と、を有しており、
前記副部は、前記主部との屈曲部分に沿って延びており、
前記第1壁部は、長尺状の部材であり、前記副部に対して前記副部と前記第1壁部の長尺方向同士を合わせて固定されている、排気部品。
【請求項2】
内燃機関の排気を排出する排気部品であって、
内燃機関の1つ以上の排気口それぞれに接続される1つ以上の排気管と、前記1つ以上の排気管と前記内燃機関の間に設けられて前記排気管の端部が接続される1つ以上の開口が形成されたフランジと、を有する排気導入部と、
前記フランジに取り付けられるブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、前記フランジに対して固定される第1壁部と、前記第1壁部に対して屈曲して繋がる部分である第2壁部と、を有
し、
当該排気部品は、さらに、
前記排気導入部の下流側に設けられた触媒ケースと、
当該排気部品を取り付ける対象物に固定され、前記触媒ケースを所定の範囲内で揺動可能に支持する支持部と、を備え、
前記触媒ケースの前記フランジを中心とした揺動の方向である揺動方向と前記第2壁部との間の角度は、前記揺動方向と前記第1壁部との間の角度よりも小さい、排気部品。
【請求項3】
請求
項2に記載の排気部品であって、
前記1つ以上の開口は、2つ以上の開口であり、
前記ブラケットは、前記2つ以上の開口のうちの第1の開口の周辺部分と、第2の前記開口の周辺部分と、に亘って配置されている、排気部品。
【請求項4】
内燃機関の排気を排出する排気部品であって、
内燃機関の1つ以上の排気口それぞれに接続される1つ以上の排気管と、前記1つ以上の排気管と前記内燃機関の間に設けられて前記排気管の端部が接続される1つ以上の開口が形成されたフランジと、を有する排気導入部と、
前記フランジに取り付けられるブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、前記フランジに対して固定される第1壁部と、前記第1壁部に対して屈曲して繋がる部分である第2壁部と、を有
し、
前記1つ以上の開口は、2つ以上の開口であり、
前記ブラケットは、前記2つ以上の開口のうちの第1の開口の周辺部分と、第2の前記開口の周辺部分と、に亘って配置されている、排気部品。
【請求項5】
請求項
2から請求項
4のいずれか1項に記載の排気部品であって、
前記フランジは、前記内燃機関に沿って配置される主部と、前記主部に対して屈曲して繋がる部分である副部と、を有しており、
前記第1壁部は、前記副部に対して固定されている、排気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内燃機関の排気を排出するための排気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排気を排出するために、内燃機関の1つ以上の排気口それぞれに排気管が接続されている。特許文献1及び特許文献2では、上述した排気管を複数有し、これらの排気管による排気流路を1つにまとめる集合管を有するエキゾーストマニホルドにおいて、内燃機関と排気管との接続部分には板状の部材(以下、フランジと記載する)が配置されている。フランジを用いることで、複数の排気管を内燃機関に対して安定的に取り付けることができる。なお排気管が1つの場合でもフランジが用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-188975号公報
【文献】特開2005-248778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した排気管の下流には、排気浄化のための触媒が収容された触媒ケースやマフラなどが設けられる。これらの装置を含む排気システムは、内燃機関の排気口においては排気管が強固に接続されているが、他の部分は熱伸び等も考慮して強固には固定されていない。そのため、排気システムに振動が加わると、内燃機関に接続される排気管のうち、特に端部に位置するフランジに大きな荷重が加わり、フランジが撓んで変形してしまうおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、内燃機関の排気を排出する排気部品の変形を抑制する技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、内燃機関の排気を排出する排気部品であって、排気導入部と、ブラケットと、を備える。排気導入部は、内燃機関の1つ以上の排気口それぞれに接続される1つ以上の排気管と、1つ以上の排気管と内燃機関の間に設けられて排気管の端部が接続される1つ以上の開口が形成されたフランジと、を有する。ブラケットは、フランジに取り付けられる。また、ブラケットは、第1壁部と、第2壁部と、を有する。第1壁部は、フランジに対して固定される。第2壁部は、第1壁部に対して屈曲して繋がる部分である。
【0007】
このような構成であれば、第1壁部と第2壁部とが屈曲して繋がることによりブラケットが高い剛性を有するため、フランジが当該ブラケットにより良好に補強される結果、フランジが変形してしまうことを抑制できる。またフランジの変形を抑制することにより、フランジに接続されている排気管の変形も抑制することができる。
【0008】
上述した排気部品は、さらに、触媒ケースと、支持部と、を備えてもよい。触媒ケースは、排気導入部の下流側に設けられる。支持部は、当該排気部品を取り付ける対象物に固定され、触媒ケースを所定の範囲内で揺動可能に支持する。触媒ケースのフランジを中心とした揺動の方向である揺動方向と第2壁部との間の角度は、揺動方向と第1壁部との間の角度よりも小さくてもよい。
【0009】
このような構成であれば、第2壁部が上述した揺動方向に沿って広がることとなるため、フランジを中心とした触媒ケースの揺動に起因する変形を抑制するように機能する。そのため、上述した揺動によるフランジの変形を良好に抑制できる。
【0010】
また上述した排気部品において、フランジの1つ以上の開口は、2つ以上の開口であってもよい。ブラケットは、2つ以上の開口のうちの第1の開口の周辺部分と、第2の開口の周辺部分と、に亘って配置されていてもよい。
【0011】
このような構成であれば、フランジにおける第1の開口と第2の開口の間の部分である中間部分の変形を抑制できる。上述した中間部分は、フランジに荷重が加わったときに変形が生じやすい部分である。そのため、中間部分の変形を抑制することで、フランジ全体の変形を効果的に実現することができる。
【0012】
また上述した排気部品において、フランジは、内燃機関に沿って配置される主部と、主部に対して屈曲して繋がる部分である副部と、を有していてもよい。第1壁部は、副部に対して固定されていてもよい。
【0013】
このような構成であれば、副部に対してブラケットが固定されるため、ブラケットのフランジに対する固定を容易に行うことができる。また、第2壁部が副部よりもさらに内燃機関から離れた位置に配置されることから、第2壁部は内燃機関やフランジに形状を制限されにくく、構成の自由度が上がる。そのため、第2壁部が効果的に変形抑制を行うことができるように、第2壁部の形状を自在に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】排気部品を含む排気システムの全体像を模式的に示す図である。
【
図6】
図2のVI-VI断面における端面図である。
【
図7】フランジの撓みの発生を説明する図であって、
図7Aが内燃機関とフランジを模式的に示した平面図であり、
図7Bがフランジ周辺の正面図であり、
図7Cが内燃機関とフランジを模式的に示した側面図である。
【
図8】
図8Aがブラケットとフランジの接合部分の変形例を説明する模式的な側面端面図であり、
図8Bがブラケットの変形例を説明する模式的な側面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1-
図3に示される排気部品1は、内燃機関3の排気を排出するための装置である。排気部品1は、
図4に示される内燃機関3の排気口から排出された排気ガスを車両の外へ導くための排気システム5の一部を形成する。排気部品1は、排気導入部11と、触媒ケース13と、支持部15と、2つのブラケット17と、を備える。
【0016】
排気導入部11は、いわゆるエキゾーストマニホルドである。排気導入部11は、4つの排気管21と、集合管23と、フランジ25と、を備える。
4つの排気管21は、内燃機関3の4つの排気口それぞれに接続される。集合管23は、4つの排気管21の下流側に配置され、4つの排気管21による4つの排気流路を1つの排気流路にまとめる。
【0017】
フランジ25は、主部31と、副部33と、を有する。主部31は、板状の部分であって、内燃機関に沿って配置される。より具体的には、内燃機関の側壁のうちフランジ25が取り付けられる側壁は平坦状に広がる。フランジ25の主部31は、内燃機関の平坦状に広がる側壁に沿って平坦状に延びる板状の部材である。主部31には4つの開口35a、35b、35c、35dが形成されている。以下、これらの開口を区別せずに説明するときには、単に開口35と記載する。開口35は、排気管21の端部が接続され、排気管21と内燃機関の間に設けられている。またフランジ25には、フランジ25を内燃機関に対して固定する際にビス等の締結具71を取り付けるための複数の締結孔37が形成されている。
【0018】
副部33は、主部31に対して屈曲して繋がる板状の部分であり、内燃機関から離れる方向に延び出している。副部33は、主部31との屈折部分の長さ方向に広がる。本実施形態では、副部33は、主部31の外周部分の大部分に設けられている。すなわち、本実施形態では、副部33は、主部31の外周縁において壁を形成している。
【0019】
触媒ケース13は、排気導入部11の下流側に設けられる。触媒ケース13は、上流側コーン41、筒状部43、下流側コーン45を有する。上流側コーン41は、金属製の筒状の部材であり、排気流路の直径が下流側ほど大きくなるテーパ状の形状を有する。筒状部43は、上流側コーン41の下流側端部に接続される金属製の部材である。筒状部43は、排気ガスを浄化するための図示しない円柱状の触媒を内部に収容する。下流側コーン45は、金属製の筒状の部材であり、排気流路の直径が下流側ほど小さくなるテーパ状の形状を有する。下流側コーン45の下流側には円筒部分45aが設けられており、この円筒部分45aには金属製の板状の部材である連結部47が設けられている。
【0020】
支持部15は、2つの腕状部材15aを有する。2つの腕状部材15aは、腕状部材15aの一方の端部側に形成された固定部15bが、当該排気部品1を取り付ける対象物である内燃機関に固定されている。また2つの腕状部材15aにおける固定部15bとは逆の端部は、連結部47に固定されている。2つの腕状部材15aは剛性を有するが、一定の柔軟性を有しているため、触媒ケース13は振動を受けたときに所定の範囲内で揺動する。すなわち、触媒ケース13は、支持部15によって、所定の範囲内で揺動可能に支持される。なお、支持部15がこのように柔軟性を有している主な理由は、内燃機関3の運転時と停止時との温度差に起因する排気導入部11や触媒ケース13の熱伸び量の差によって、排気導入部11及び触媒ケース13等に過剰な応力が発生しないようにするためである。
【0021】
[1-2.ブラケット]
ブラケット17は、フランジ25に取り付けられる部材であり、金属製の板材をプレス加工して形成される。
図5A-5Eに示されるように、ブラケット17は、第1壁部51、第2壁部53、第3壁部55、及び側方端部57を有する。
【0022】
第1壁部51は、フランジ25に対して固定される部分であり、第1方向に長さを有する板状の部材である。
第2壁部53は、第1壁部51に対して屈曲して繋がる部分であり、第1壁部51と同様に第1方向に長さを有する。第1壁部51に対して第2壁部53の屈曲する方向については後述する。
【0023】
第3壁部55は、第2壁部53に対して屈曲して繋がる部分であり、第1壁部51と同様に第1方向に長さを有する。第1壁部51、第2壁部53、及び第3壁部55は、第1方向と直交する第2方向に上述した順で並ぶ。第3壁部55には、穴59が形成されている。この穴59は、ブラケット17にさらに別の部品を固定する場合に使用することができる。
【0024】
側方端部57は、第1壁部51、第2壁部53、及び第3壁部55の第1方向の両端に設けられ、端部が第1方向及び第2方向に対して直交する方向に延びるように湾曲した部分である。
【0025】
ブラケット17は、第1壁部51がフランジ25の副部33に対して溶接されることでフランジ25に固定されている。
図1に示されるように、溶接した部分には溶接ビード61が形成されている。
【0026】
図2に示されるように、一方のブラケット17は、開口35aの周辺部分36aと、開口35bの周辺部分36bと、に亘って配置される。また、他方のブラケット17は、開口35cの周辺部分と、開口35dの周辺部分と、に亘って配置されている。より詳細には、第1壁部51は、周辺部分36aと、周辺部分36bと、に亘って配置された副部33に対して固定されている。なお、
図2において、開口35cの周辺部分及び開口35dの周辺部分については記載を割愛する。なお、周辺部分36a及び周辺部分36b、並びに、開口35cの周辺部分及び開口35dの周辺部分、が、それぞれ、第1の開口の周辺部分と、第2の開口の周辺部分と、の組み合わせに相当する。
【0027】
フランジ25とブラケット17は、
図6に示されるように、重なるように配置された副部33と第1壁部51とが溶接されることにより固定されている。副部33は主部31との屈曲部分に沿って長さを有しており、また第1壁部51も
図5Aにて示した第1方向に長さを有している。そして、副部33と第1壁部51の長尺方向同士を合わせて溶接することにより、副部33と第1壁部51とは強固に固定されて、ブラケット17がフランジ25を補強する機能が発揮される。
【0028】
ブラケット17がフランジ25に固定された状態において、ブラケット17の第1壁部51は、副部33の広がる方向と同じ方向、すなわち主部31と直交する方向に広がる。一方、第2壁部53は触媒ケース13の揺動方向に沿って広がり、第3壁部55は第1壁部51に対して平行となるように広がる。第2壁部53の配置について別の言い方をすると、揺動方向と第2壁部53との間の角度は、揺動方向と第1壁部51との間の角度よりも小さい。揺動方向について、
図3を用いて以下に説明する。
【0029】
揺動方向とは、フランジ25の揺動中心Oを中心とした触媒ケース13の揺動の方向である。この揺動中心Oは、フランジ25の形状等によってその位置が定まるが、少なくともフランジ25におけるいずれかの位置となる。触媒ケース13の揺動は、触媒ケース13が振動の入力を受けたときに生じる。上述したように、支持部15の腕状部材15aは剛性を有するものの、一定の柔軟性を有している。支持部15が柔軟性を有する結果、車両に振動が生じた場合には支持部15では排気システム5全体の振動を完全には抑制できない。そのため、腕状部材15aに支持される円筒部分45aは、軸Aで示される振動方向に沿って一定範囲で振動する。軸Aは、支持部15の構造、連結部47などの触媒ケース13における連結部分の構造、及び、排気システム5全体の構造などによって定まる方向である。
【0030】
上述するように触媒ケース13の円筒部分45aは振動方向に移動する一方で、フランジ25は内燃機関に固定されていて位置が変化しないことから、触媒ケース13全体としては、揺動中心Oを中心とした、矢印Bで示すような揺動が発生する。なお揺動方向は厳密には円弧方向であるが、本開示においては、支持部15が許容する円筒部分45aの振動方向と同一の方向と規定する。
【0031】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)上記実施形態の排気部品1では、第1壁部51と第2壁部53とが屈曲して繋がっているため、ブラケット17が高い剛性を有する。そのため、ブラケット17が取り付けられたフランジ25の剛性を向上することができ、フランジ25の変形を抑制できる。フランジ25の変形が抑制されることで、排気管21を含む排気導入部11全体の破損を抑制できる。また、排気ガスのシール性が低下して排気ガスが漏れてしまうことを抑制できる。
【0032】
(1b)排気部品1では、第2壁部53が、フランジ25の揺動中心Oを中心とした触媒ケース13の揺動に起因する変形を抑制するように機能する。そのため、上述した揺動によるフランジ25の変形を良好に抑制できる。
【0033】
揺動方向に関する撓みを抑制することによる効果について説明する。
図7Aに示されるように、内燃機関3に締結具71により固定されるフランジ25の主部31は、内燃機関3から離れて浮くように撓む。また
図7Bに示されるように、副部33は、締結具71から離れた側がフランジ25の中央から離れるように撓む。
図7Cに示されるように、内燃機関3から浮く方向(矢印C)の撓みと、フランジ25の中央から離れる方向(矢印D)の撓みと、を組み合わせると、揺動方向(矢印E)の撓みとなる。このような揺動方向の撓みが生じる場合には、フランジ25が揺動方向に沿って広がる補強部材を有していると、撓みの抑制に有効である。ブラケット17は、揺動方向に沿って広がる第2壁部53を有するため、フランジ25の撓みを良好に抑制できる。
【0034】
(1c)排気部品1では、ブラケット17が周辺部分36aと周辺部分36bとに亘って配置されている。そのため、周辺部分36aと周辺部分36bの間の部分である中間部分の変形を抑制できる。上述した中間部分は、フランジ25に荷重が加わったときに変形が生じやすい部分である。そのため、中間部分の変形を抑制することで、フランジ25全体の変形を効果的に実現することができる。
【0035】
(1d)排気部品1では、フランジ25は主部31と副部33とを有しており、第1壁部51は、副部33に対して固定されている。副部33は内燃機関3から離れる方向に飛び出していることから、ブラケット17をフランジ25に固定する作業を行いやすい。また、第2壁部53は副部33よりもさらに内燃機関3から離れた位置に配置されることから、第2壁部53は内燃機関やフランジ25により形状の制限を受けにくくなり、形状の自由度が上がる。そのため、第2壁部53が効果的にフランジ25の変形抑制を行うことができるように、第2壁部53の形状を自在に設定できる。
【0036】
また、ブラケット17は、副部33のうち周辺部分36aと周辺部分36bとに亘って形成されている部分に設けられていることで、上述した中間部分の変形の抑制を実現できる。
【0037】
[2.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0038】
(2a)上記実施形態では、車両の内燃機関3の排気を排出することを目的とする排気部品1を例示した。しかしながら、車両以外に設けられる内燃機関に設けられた排気システムに本開示の排気部品1を適用してもよい。また、支持部15が固定される対象物も内燃機関の設置される環境に応じて適宜設定することができる。なお上述した対象物は内燃機関そのものであってもよい。
【0039】
(2b)上記実施形態では、ブラケット17として、第1壁部51、第2壁部53、及び第3壁部55を有し、第1壁部51が副部33に固定される構成を例示した。しかしながら、ブラケットの具体的な構成は特に限定されない。
【0040】
例えば、
図8Aに示されるブラケット101のように、第1壁部111、第2壁部113、第3壁部115を有しており、第1壁部111がフランジ25の主部31に対して固定される構成であってもよい。なお、フランジ25が副部33を有していない場合も、当然に、主部31に対して第1壁部111を固定してもよい。なお
図8Aは、
図6と同じ視点にてフランジ25とブラケット101を見た端面図である。
図8Bにおいても同様である。
【0041】
また、ブラケットは少なくとも第1壁部と第2壁部とを有していればよい。そのため、例えば、ブラケットが第3壁部を有していなくてもよい。また、
図8Bに示されるブラケット201のように、第1壁部211、第2壁部213、第3壁部215のみならず、第3壁部215よりも先に第4壁部217及び第5壁部219を有していてもよい。また、ブラケットに別の部材が取り付けられていてもよい。
【0042】
(2c)上記実施形態では、支持部15は、触媒ケース13の下端の円筒部分45aに設けられた連結部47と連結し、触媒ケース13の下端部分を支持する構成を例示した。しかしながら、支持部は、何らかの対象物に固定され、触媒ケース13を所定の範囲内で揺動可能に支持できれば、支持部が支持する箇所は触媒ケース13の下端部分でなくてもよい。例えば、支持部は、触媒ケース13の筒状部43に連結されて43を支持するように構成されていてもよい。また、支持部は、排気システム5における触媒ケース13の下流側であって、触媒ケース13から間隔を空けた位置を支持するように構成されていてもよい。
また、支持部の具体的な構成も特に限定されない。例えば、支持部は、触媒ケースを支持する部品が触媒ケースに対して隙間を有することで、触媒ケースの揺動を可能とする構成であってもよい。
【0043】
(2d)上記実施形態では、第2壁部53が揺動方向に沿って広がる構成、すなわち、揺動方向と第2壁部53とが略平行になるように配置される構成を例示した。しかしながら、揺動方向と第2壁部53との間の角度が、揺動方向と第1壁部51との間の角度よりも小さくなるように構成されていれば、第2壁部53は揺動方向に平行でなくてもよい。フランジ25に固定される第1壁部51よりも揺動方向に近い角度で第2壁部が広がることによって、第1壁部51のみを有する構成、及び、第1壁部51よりも揺動方向に近くない角度で第2壁部が広がる構成と比較して揺動方向の撓みを抑制することができる。それによりフランジ25の変形を抑制することができる。
【0044】
(2e)上記実施形態では、内燃機関3が排気口を4つ備えており、排気部品1は4つの排気管21を有するエキゾーストマニホルドを含む構成を例示した。しかしながら、内燃機関の排気口の数は3つ以下でも5つ以上でもよい。排気口の数が1つの場合、排気導入部11が集合管23を有していなくてもよい。
【0045】
(2f)上記実施形態では、ブラケット17は、フランジ25に設けられた開口35aの周辺部分36aと開口35bの周辺部分36bとに亘って設けられる構成を例示した。しかしながら、ブラケットは上述したように配置されていなくてもよい。例えば、1つの開口に沿って配置されていてもよいし、3つ以上の開口の周辺部分に跨るように配置されていてもよい。
【0046】
(2g)上記実施形態では、フランジ25とブラケット17との固定を溶接により実現する構成を例示した。しかしながらフランジとブラケットを固定する方法は特に限定されない。例えば、複数のビスや、複数のボルト及びナットなどを用いて固定してもよい。
【0047】
(2h)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…排気部品、3…内燃機関、5…排気システム、11…排気導入部、13…触媒ケース、15…支持部、15a…腕状部材、15b…固定部、17,101,201…ブラケット、21…排気管、23…集合管、25…フランジ、31…主部、33…副部、35,35a,35b,35c,35d…開口、37…締結孔、41…上流側コーン、43…筒状部、45…下流側コーン、47…連結部、51,111,211…第1壁部、53,113,213…第2壁部、55,115,215…第3壁部、57…側方端部、59…穴、61…溶接ビード、71…締結具、217…第4壁部、219…第5壁部