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特許7509746高電圧大電力アクティブデバイスの信頼性を向上させるための外部電界終端構造
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  • 特許-高電圧大電力アクティブデバイスの信頼性を向上させるための外部電界終端構造 図1A
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  • 特許-高電圧大電力アクティブデバイスの信頼性を向上させるための外部電界終端構造 図4A
  • 特許-高電圧大電力アクティブデバイスの信頼性を向上させるための外部電界終端構造 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】高電圧大電力アクティブデバイスの信頼性を向上させるための外部電界終端構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240625BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/16 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/161 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/20 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 29/201 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/48 D
H01L29/58 Z
H01L21/90 B
H01L29/86 301D
H01L29/86 301P
H01L29/91 F
H01L29/06 301F
H01L29/91 A
H01L29/16
H01L29/161
H01L29/20
H01L29/201
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021502439
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019045340
(87)【国際公開番号】W WO2020033431
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】62/714,826
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310009199
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、アレン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】リアン、チュアンシン
(72)【発明者】
【氏名】ストラブル、ウェイン マック
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054632(JP,A)
【文献】特開2013-074069(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041731(WO,A1)
【文献】特開2012-054354(JP,A)
【文献】国際公開第2006/132418(WO,A1)
【文献】特開2010-147349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/41
H01L 29/47
H01L 29/423
H01L 21/768
H01L 29/872
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 29/06
H01L 29/16
H01L 29/161
H01L 29/20
H01L 29/201
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積デバイスであって、
基板と、前記基板上の複数の半導体材料層とを含む半導体デバイスであって、前記複数の半導体材料層にあるアクティブ領域を含む、半導体デバイスと、
前記複数の半導体材料層にある分離領域であって、前記アクティブ領域の外側の領域において前記半導体デバイスの周囲に延在している、分離領域と、
前記アクティブ領域の少なくとも一部および前記分離領域の少なくとも一部を覆うように形成された絶縁層と、
前記アクティブ領域の外側かつ前記分離領域内にあるビアであって、前記絶縁層を貫通して、前記分離領域内の前記複数の半導体材料層のうちの伝導層まで延在している、ビアと、
記ビア内にあり、かつ前記分離領域内の前記伝導層の直上にある導電性配線と
を備える、集積デバイス。
【請求項2】
前記導電性配線は、前記分離領域内の前記伝導層の直上にあるチタンを含む、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項3】
複数の追加の半導体デバイスをさらに備え、前記導電性配線は、前記半導体デバイスの電極を、前記電極と同じ型の前記追加の半導体デバイスの追加の電極に接続する、請求項1または2に記載の集積デバイス。
【請求項4】
前記半導体デバイスは、トランジスタまたはダイオードである、請求項1または2に記載の集積デバイス。
【請求項5】
前記複数の半導体材料層は、窒化ガリウム材料を備える、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項6】
前記半導体デバイスは、50ワットから1000ワットの間で出力することができる、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項7】
前記半導体デバイスの電極は、円形または準円形である、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項8】
前記分離領域は、損傷した半導体材料を含む、請求項1または2に記載の集積デバイス。
【請求項9】
周辺長1ミリメートルあたり5ワット、ドレイン-ソース間バイアス50ボルト、動作環境温度235℃で10時間動作した後に、周辺長1ミリメートルあたり1マイクロアンペア未満のゲートリーク電流を有する、請求項1または2に記載の集積デバイス。
【請求項10】
方法であって、
基板と、前記基板上の複数の半導体材料層とを含む半導体デバイスを形成することであって、前記半導体デバイスは、前記複数の半導体材料層にあるアクティブ領域を含む、半導体デバイスを形成すること、
前記アクティブ領域の少なくとも一部および前記アクティブ領域の外側の前記複数の半導体材料層の少なくとも一部を覆うように絶縁層を形成すること、
前記複数の半導体材料層に分離領域を作成することであって、前記分離領域は、前記アクティブ領域の外側の領域において前記半導体デバイスの周囲に延在している、分離領域を作成すること、
前記アクティブ領域の外側かつ前記分離領域内にビアを形成することであって、前記ビアは、前記絶縁層を貫通して、前記分離領域内の前記複数の半導体材料層のうちの伝導層まで延在している、ビアを形成すること、
記ビア内に、かつ前記分離領域内の前記伝導層の直上に導電性配線を堆積すること
を含む、方法。
【請求項11】
前記導電性配線は、前記分離領域内の前記伝導層の直上にあるチタンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体デバイスを形成することは、トランジスタまたはダイオードを形成することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体デバイスを形成することは、窒化ガリウム材料を堆積することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記分離領域を作成することは、結晶性半導体材料を損傷するためにイオン注入を実施することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
前記基板上に前記半導体デバイスと同じ種類の複数の追加の半導体デバイスを形成すること、
並列に動作させるために前記半導体デバイスと前記複数の追加の半導体デバイスとを接続すること
をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体デバイスおよび前記複数の追加の半導体デバイスのための同じ型の電極を一緒に接続するために導電性配線を堆積することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、デバイスの信頼性を向上させる、デバイスのアクティブ領域の外側の配線を有する高電圧大電力アクティブデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線通信、レーダー、マイクロ波加熱、およびリモートセンシングを含むアプリケーションは、高電力レベル(例えば、50ワットから1000ワット、またはそれ以上の電力レベル)で高周波信号(例えば、無線周波数(RF)信号またはマイクロ波)を生成する回路を必要とする場合がある。そのような回路は、そのような高電力レベルを扱う集積回路デバイス(例えば、トランジスタ、キャパシタ、ダイオード、インダクタなど)を含み得る。近年、高周波大電力信号を処理することができる集積回路デバイスの改善が著しい。
【0003】
窒化ガリウムは、その広いバンドギャップのため、シリコンやガリウムヒ素のようなより一般的な半導体材料と比較して、アバランシェ降伏に対してより耐性があり、より高い固有電界強度を有している。加えて、窒化ガリウムは、ワイドバンドギャップ半導体であり、シリコンやガリウムヒ素のような他の半導体と比較して、高温でその電気的性能を維持することができる。GaNは、ウルツ鉱型の結晶構造を持ち、硬い材料であり、熱伝導率が高く、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素のような他の従来の半導体よりもはるかに高い融点を有している。GaNは、シリコンと比較してより高いキャリア飽和速度を有してもいる。したがって、窒化ガリウム材料は、高周波大電力信号を処理できる集積回路デバイスを製造するための望ましい材料となっている。
【発明の概要】
【0004】
高電圧大電力アクティブデバイス(トランジスタやダイオードなど)の信頼性を向上させるための構造および方法が説明される。アクティブデバイスは、異なる材料(例えば、シリコンまたはシリコンカーバイド)の基板上に堆積された窒化ガリウム材料から形成することができ、50ワットから1000ワットの間の電力レベルを処理することができる。アクティブデバイスは、並列に接続された複数の個別のトランジスタまたはダイオードを含むことができる。個々のトランジスタまたはダイオードの同じ型の端子または電極間(例えば、ゲート電極間またはアノード電極間)の配線は、個々のデバイスのアクティブ領域の外側にパターニングされ、経年依存のリーク電流を低減し、デバイスの信頼性および寿命を向上させるように形成される。高電圧大電力アクティブデバイスは、高周波パワーエレクトロニクス(例えば、100MHzから20GHzの間の周波数)に使用することができ、他のアプリケーションの中でもレーダーおよびRF通信アプリケーションを含むマイクロ波アプリケーションに有用である。
【0005】
いくつかの実施形態は、窒化ガリウム材料を含むアクティブデバイスに関する。アクティブデバイスは、互いに並列に接続された複数のトランジスタまたはダイオードを含むことができる。アクティブデバイスは、トランジスタまたはダイオードのアクティブ領域の外側の領域に位置する分離領域と、分離領域に直接接触する少なくとも1つの配線とを含むことができ、少なくとも1つの配線は、トランジスタまたはダイオードの同じ電極を電気的に接続する。
【0006】
いくつかの実施形態は、アクティブ領域を有する半導体デバイスと、アクティブ領域の少なくとも一部を覆うように形成された第1の絶縁層と、アクティブ領域の外側にあり、第1の絶縁層を欠いた分離領域と、分離領域を覆うように形成された導電性配線とを備える集積デバイスに関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、基板上にアクティブ領域を有する半導体デバイスを形成する方法に関する。方法は、アクティブ領域の少なくとも一部を被覆する第1の絶縁層を形成すること、アクティブ領域の外側の領域に分離領域を作成すること、分離領域を覆うようにビアを形成することを含み、第1の絶縁層の一部が分離領域から除去され、方法は、さらに、ビアおよび分離領域に延びる導電性配線を堆積することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態は、窒化ガリウム材料を含むアクティブデバイスを形成する方法に関する。方法は、窒化ガリウム材料の少なくとも1つの層を含む半導体材料から複数のトランジスタまたはダイオードを形成すること、トランジスタまたはダイオードのアクティブ領域の外側に分離領域を形成すること、分離領域に直接接触する少なくとも1つの配線を形成することを含むことができ、少なくとも1つの配線は、トランジスタまたはダイオードの同じ電極を電気的に接続する。
【0009】
前述の態様、特徴、および実装形態は、HEMTの実施形態において、以下にさらに詳細に説明される態様および特徴との任意の適切な組み合わせに含まれ得る。本教示の態様、特徴、および実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】いくつかの実施形態による窒化ガリウム材料を含む高電圧高電子移動度トランジスタ(HEMT)の構造を示す正面図である。
図1B】いくつかの実施形態による個々のHEMTの平面図である。
図1C】いくつかの実施形態による、複数のソース、ゲート、およびドレインコンタクトを有するHEMTデバイスの平面図である。
図2図1Cに示されるようなアクティブ領域の外側の領域における配線構造の正面図である。
図3】いくつかの実施形態による、円形にパターニングされた電極を有するトランジスタを示す図である。
図4A】従来の配線構造を有するHEMTの時間の関数としてのゲートリーク電流を示す図である。
図4B】本実施形態の配線構造を有するHEMTの時間の関数としてのゲートリーク電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者は、本明細書に記載されている図が説明のみを目的としていることを理解するであろう。場合によっては、実施形態の理解を容易にするために、実施形態の様々な態様が誇張または拡大されて示され得ることが理解されるべきである。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに教示の原理を説明することに重点が置かれている。図面において、同様の参照文字は、概して、様々な図全体にわたって、同様の特徴、機能的に類似および/または構造的に類似の要素を指す。図面が微細加工された回路に関連する場合、図面を簡略化するために、1つのデバイスおよび/または回路のみが示される場合がある。実際には、多数のデバイスまたは回路が、基板の広い領域または基板全体にわたって並列に製造され得る。加えて、描写されたデバイスまたは回路は、より大きな回路内に集積され得る。
【0012】
以下の詳細な説明において図面を参照する場合、空間参照「上」、「下」、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」、「上の」、「下の」などが使用され得る。このような参照は、教示目的で使用され、具現化されたデバイスの絶対参照として意図されたものではない。具現化されたデバイスは、図面に示される方向とは異なる可能性がある任意の適切な方法で空間的に配向され得る。図面は、本教示の範囲を何ら限定することを意図したものではない。
【0013】
示される実施形態の特徴および利点は、図面と併せて解釈される場合、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。
マイクロ波および無線周波数(RF)システムは、信号の周波数をより高いまたはより低い周波数値に変換するように配置された回路をしばしば含む。周波数変換は、信号の無線送受信を含むアプリケーションで発生し得る。例えば、データを符号化するために第1の速度で変調された信号は、データを送信するために高周波搬送波に混合され、データを復号化するために後で受信機においてダウンコンバートされ得る。いくつかのアプリケーションは、例えば、無線通信およびレーダーアプリケーションのために、数百メガヘルツを超える周波数およびギガヘルツ領域へのRFまたはマイクロ波信号の増幅および/またはスイッチングを含むことができる。これらのアプリケーションのいくつかは、高い電力レベルをさらに必要とする場合がある(例えば、50ワットから1000ワットの間の電力レベル)。
【0014】
高速および大電力処理能力のため、高電子移動度トランジスタ(HEMT)およびショットキーダイオードは、このようなアプリケーションで有用である。これらのアプリケーションには大電流および比較的高い電圧が存在する可能性があるため、HEMTまたはショットキーダイオードは、高い逆バイアス電位に耐え、低いリーク電流を有することが望ましい。本発明者らは、リーク電流がデバイス効率を低下させ、時間の経過とともにデバイス性能を劣化させる可能性があることを認識し、理解している。性能の劣化は、閾値電圧のシフトおよび/またはチャネル抵抗のシフトとして現れる可能性がある。いくつかの場合には、リーク電流が時間の経過とともに高くなりすぎて、デバイスがデバイスの元の仕様を満たさなくなるか(例えば、回路がコンプライアンスから外れる)、またはデバイスが損傷する可能性がある。
【0015】
飽和未満(バックオフ)で動作するHEMTデバイスの例として、ゲートリーク電流は、極性が負であり得る。負のリーク電流は、そのリーク電流の値が時間の経過とともに大きさが著しく増加する場合、デバイスにバイアスをかけるために使用されるいくつかのバイアス回路にとって問題があることが判明する可能性がある。より具体的には、抵抗素子を含むゲートバイアス回路の場合、この負の電流は、正のフィードバックメカニズムによってドレイン電流を増加させるように作用し得る。ゲートリークは、一般に温度とともに増加し、ドレイン電流の増加は、電力損失(したがって温度)の増加をもたらすため、そのようなデバイスは、熱暴走、すなわち、デバイスを破壊する可能性のある状態を経験する可能性がある。これが発生しないことを保証するには、技術的なデバイス認定がこの劣化メカニズムを認識し、デバイスの寿命にわたって妥当なリークレベルが維持できることを保証しなければならない。
【0016】
以下の説明は、主にHEMT型のトランジスタに関するものであるが、本発明は、このタイプのトランジスタのみに限定されない。本発明の実施形態は、デバイスのアクティブ領域の外側にある配線と並列に接続された複数の個々のデバイスを含む他のタイプのトランジスタおよびダイオード(例えば、MOSFET、MISFET、JFET、バイポーラ接合トランジスタ、マルチドレインFET、絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ、ショットキーダイオード、PINダイオードなど)に適用可能である。
【0017】
図1Aには、いくつかの実施形態による個々の高電圧HEMT構造の例が示されている。高電圧HEMT100は、横方向デバイスとして形成されてもよく(または、各々が図に示されるような複数の横方向デバイスから形成されてもよく)、ソース130、ドレイン132、およびドレインとソースとの間の電流の流れを制御する長さLを有するゲート140を含む。いくつかの実施形態によれば、ゲート長Lは、約0.1ミクロンから約3.0ミクロンの間であってよい。ゲート、ソース、およびドレインは、基板105の同じ側(例えば、基板のプロセス表面上)に形成することができる。横方向HEMT構造は、デバイスのソースまたはドレインに接続するための基板貫通ビアを必要としないという利点を有し、これにより、デバイスの裏側全体を熱除去に利用可能な状態にしておくことができる。片側の電気接続は、集積回路(IC)、パレット、またはモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)への高電圧HEMTの集積をより容易なタスクとすることもできる。例えば、すべてのコンタクトは、ワイヤボンディングのために簡単にアクセス可能である。
【0018】
高電圧HEMT100は、基板105、バッファ層112、伝導層114、バリア層116、および少なくとも1つの電気的に絶縁性の誘電体層120を含む多層構造を用いて形成することができる。伝導層114とバリア層116との間の材料組成の違いのために、二次元電子ガス(2DEG)は、本質的に、伝導層114とバリア層116との間の界面で形成される。いくつかの実施形態は、伝導層114と同じ材料で形成され得る半導体キャップ層118を含むか、または含まない場合がある。HEMTは、ソースコンタクト160およびドレインコンタクト162をさらに含み得る。
【0019】
高電圧HEMT100は、ゲート140に電気的に接続され、ゲートのエッジを越えて延びる少なくとも1つのゲート接続フィールドプレート(gate-connected field plate)145をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、ゲート140は、ドレイン132よりもソース130の近くに配置され得るが、他の実施形態では、ゲートは、中央に配置されるか、またはドレインの近くに配置され得る。ゲート接続フィールドプレート145の第1の延長部147は、ゲート140のエッジを越えてドレイン132に向かって第1の距離を延びていてもよく、ゲート接続フィールドプレート145の第2の延長部143は、ゲート140のエッジを越えてソース130に向かって第2の距離を延びていてもよい。いくつかの実装形態では、絶縁パッシベーション層(図示せず)が、ゲート接続フィールドプレート145、ソースコンタクト160、およびドレインコンタクト162を覆うように形成され得る。図1Aには、1つのゲート接続フィールドプレートが示されているが、他の実施形態では、2つ以上のゲート接続フィールドプレートが使用されてもよい。ショットキーダイオードの場合は、1つまたは複数のアノード接続フィールドプレートが存在し得る。
【0020】
平面視では、個々の高電圧HEMT100は、図1Bに示されるように配置され得る。いくつかの実施形態によれば、ソース、ゲート、およびドレインは、一方向に延びる幅Wを有してもよく、デバイスのアクティブ領域190を画定する基板を横切って互いに平行に延びることができる。図示された幅Wは、デバイスの周辺長と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、高電圧HEMTは、ゲートまたはゲート接続フィールドプレート145とゲートコンタクトパッド185との間、ソースコンタクト160とソースコンタクトパッド180との間、およびドレインコンタクト162とドレインコンタクトパッド182との間に延びる導電性配線170(例えば、メタライゼーションレベル中にパターニングされた配線)を含み得る。
【0021】
図1Aおよび図1Bの図面は、説明を目的としたものであり、必ずしも縮尺どおりではない。いくつかの場合には、コンタクトパッドは図示されているよりも大幅に大きく、ゲート、ソース、およびドレインコンタクトよりも大幅に大きくてもよい。いくつかの実装形態では、ドレインコンタクト162および/またはソースコンタクト160は、ゲート接続フィールドプレート145よりも著しく大きくてもよい。追加的または代替的に、配線170は、図面に示されているものよりも長くてもよい。
【0022】
個々のトランジスタまたはダイオードは、基板にわたって何度も繰り返されていてもよい。いくつかの場合には、繰り返されているデバイスは、図1Cに示されるように、並列に接続されている。示される例では、構造が基板にわたって何度も繰り返される場合、ドレインコンタクト162は、ドレイン配線163と一緒に接続され、ソースコンタクト160は、ソース配線161と一緒に接続され得る。さらに、ゲート140および/またはゲート接続フィールドプレート145は、ゲート配線141と一緒に接続され得る。いくつかの場合には、ゲート配線141、ドレイン配線161、およびソース配線163のうちの1つまたは複数は、図2に関連して以下でさらに説明される外部電界終端構造(extrinsic field termination structure)の一部であり得る。
【0023】
さらに詳細には、図1Aを再び参照すると、高電圧HEMTまたはダイオードは、任意の適切な結晶基板105上に形成され得る。基板の例は、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、およびサファイアを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、基板105は、バルク単結晶シリコンを含み得る。いくつかの場合には、基板は、半導体が前述の半導体基板材料のいずれかである、絶縁体上半導体(SOI)基板を含み得る。基板105は、ウェハ(例えば、Si半導体ウェハ)の形態であってよく、約50mmから約450mmの間の直径を有する。様々な実施形態において、基板の表面は単結晶であり、その結果、III族窒化物(例えば、GaN、AlN、AlGaN、InGaN)または任意の他の適切な結晶性材料、例えば、III-V族、II-VI族、三元、または四元半導体材料は、基板の表面からエピタキシャル成長させることができる。
【0024】
基板105と伝導層114との間に格子不整合があり得るので、1つまたは複数の遷移層が、基板上に、および基板105と伝導層114との間に、バッファ層112として形成されてもよく、そうでなければ格子不整合から生じるであろう応力を緩和することができる。遷移層は、いくつかの実施形態によれば、エピタキシャル成長または堆積技術によって形成することができる。例えば、遷移層のうちの任意のものは、化学気相成長(CVD)プロセスまたは原子層堆積(ALD)プロセスを使用して形成することができる。CVDプロセスは、有機金属化学気相成長(MOCVD)プロセスを含み得るが、これに限定されるものではない。他の堆積プロセスは、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)または分子線エピタキシー(MBE)を含み得る。遷移層は、基板105上に直接堆積された少なくとも第1の遷移層(例えば、AlN)と、それに続く第1の遷移層上に堆積された1つまたは複数の窒化ガリウム材料層とを含み得る。遷移層112の例は、例えば、米国特許第7,135,720号および米国特許第9,064,775号に記載されており、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。遷移層のいくつかは、組成的に傾斜していてもよい。バッファ層112の総厚さは、約0.5ミクロンから約4ミクロンの間であってよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「窒化ガリウム材料」という語句は、窒化ガリウム(GaN)およびその合金のいずれか、例えば、とりわけ、窒化アルミニウムガリウム(AlGa(1-x)N)、窒化インジウムガリウム(InGa(1-y)N)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGa(1-x-y)N)、窒化ガリウム砒素リン化物(GaAs(1-x-y))、窒化アルミニウムインジウムガリウム砒素リン化物(AlInGa(1-x-y)As(1-a-b))などを指す。典型的には、存在する場合、砒素および/またはリンは低濃度(すなわち、5重量パーセント未満)である。特定の好ましい実施形態では、窒化ガリウム材料は、高濃度のガリウムを有し、アルミニウムおよび/またはインジウムをほとんどまたは全く含まない。高ガリウム濃度の実施形態では、(x+y)の合計は、いくつかの実装形態では0.4未満、いくつかの実装形態では0.2未満、いくつかの実装形態では0.1未満、または他の実装形態ではさらに少なくなり得る。いくつかの場合には、少なくとも1つの窒化ガリウム材料層が、GaNの組成(すなわち、x=y=a=b=0)を有することが好ましい。例えば、電流伝導の大部分が発生するアクティブ層は、GaNの組成を有し得る。多層スタック内の窒化ガリウム材料は、n型またはp型にドープされてもよく、またはアンドープであってもよい。適切な窒化ガリウム材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,649,287号に記載されている。
【0026】
いくつかの実装形態は、図1Aの図示された多層構造内に追加の層(図示せず)を含み得る。例えば、基板105と伝導層114との間に1つまたは複数の追加の層があってもよい。これらの層は、非晶質誘電体(例えば、窒化ケイ素、酸化物)層(複数可)、組成傾斜層(複数可)、1つまたは複数の超格子、および歪み緩和層(複数可)の任意の組み合わせを含み得る。そのような層は、異種材料の堆積から生じる応力を緩和するために、および/またはデバイスの電気的性能を改善するために(例えば、寄生容量またはリーク電流を低減するために)含まれ得る。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、伝導層114は、窒化ガリウム(GaN)または任意の適切な窒化ガリウム材料を含み得る。伝導層114は、エピタキシャル成長によって(例えば、MOCVDプロセスまたは結晶性窒化ガリウム材料を形成するための任意の適切なプロセスによって)形成することができ、バッファ層112の直上または上方に堆積させることができる。伝導層の厚さは、約0.5ミクロンから約4ミクロンの間であってよい。いくつかの実施形態では、伝導層は、アンドープであってよいが、他の実施形態では(n型またはp型の導電性のいずれかのために)軽くドープされていてもよい。伝導層114のバンドギャップは、隣接するバリア層116のバンドギャップよりも小さくてもよい。
【0028】
バリア層116は、任意の適切なエピタキシャル成長プロセスを使用して形成することができ、いくつかの実施形態では、伝導層114の直上または上方に堆積させることができる。バリア層116の厚さは、約10ナノメートルから約50ナノメートルの間であり得るが、いくつかの場合には他の厚さが使用され得る。いくつかの実施形態によれば、バリア層116は、任意の適切な窒化ガリウム材料を含んでもよく、異なる窒化ガリウム材料の1つまたは複数の層(例えば、AlGaN層およびAlN層)を含んでもよい。バリア層は、n型またはp型の導電性のいずれかのためにドープされてもよく、またはアンドープであってもよい。バリア層116および伝導層114は、ヘテロ接合を形成することができ、それによって、伝導層とバリア層との間の界面に隣接する伝導層114内に二次元電子ガス(2DEG)150を生成する。2DEG150は、ソース130とドレイン132との間を流れる電流のための高い導電性の経路を提供することができる。いくつかの実施形態によれば、伝導層114は、アンドープの窒化ガリウム(GaN)を含み、バリア層は、約20%から約40%の間のAlパーセンテージ(モル分率による)を有するアンドープの窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を含む。
【0029】
層または構造の位置を説明するために「上に(on)」、「隣接する(adjacent)」、または「覆って(over)」という用語を使用する場合、説明された層と、その層が上にある、隣接している、または覆っているとして説明されている下の層との間に、1つまたは複数の材料の層が存在してもよいし、存在していなくてもよい。ある層が、別の層に対し「直接(directly)」または「直ちに(immediately)」上にある、隣接している、または覆っていると記述されている場合、介在する層は存在しない。ある層が別の層または基板「上に」またはそれを「覆って」いると説明される場合、それは、層または基板全体、または層または基板の一部を被覆し得る。「上に」および「覆って」という用語は、図に関連する説明を容易にするために使用されており、絶対的な方向の参照を意図したものではない。デバイスは、図面に示されている以外の方向で製造および/または実装され得る(例えば、水平軸を中心に90度を超えて回転され得る)。
【0030】
いくつかの実施形態は、バリア層116を覆うように形成された半導体キャップ層118をさらに任意選択で含み得る。半導体キャップ層は、伝導層114と同じ型の半導体材料を含み得る。キャップ層118は、ドープされていてもされなくてもよい。いくつかの実装形態では、キャップ層は、アンドープの、またはドープされたGaN層を含み得る。キャップ層118は、約1nmから約10nmの間の厚さを有し得る。キャップ層は、任意の適切なエピタキシャル堆積プロセス(例えば、ALDまたはCVDプロセス)によって形成することができる。いくつかの実装形態は、キャップ層118を含まない場合がある。
【0031】
任意の適切な電気的に絶縁性の誘電体層120を使用して、1つまたは複数のゲート接続フィールドプレート145をバリア層116またはキャップ層118から絶縁することができる。絶縁体材料の例は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化スカンジウム、窒化アルミニウム、および窒化ハフニウムを含むが、これらに限定されない。絶縁層は、化学気相成長、プラズマ化学気相成長、原子層堆積、スパッタリング、または電子ビーム蒸着などの任意の適切な堆積プロセスによって形成することができる。他の実施形態では、他の堆積プロセスを使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、ゲート140、ソース130、ドレイン132、ゲート接続フィールドプレート145、ソースコンタクト160、およびドレインコンタクト162のうちの1つまたは複数は、金属、金属ケイ化物、金属合金、複数の金属層、または高度にドープされた非晶質半導体から形成され得る。いくつかの実装形態では、ゲート、ソース、ドレイン、ゲート接続フィールドプレート、およびコンタクトのうちの任意のものが、チタン、ニッケル、クロム、プラチナ、パラジウム、オスミウム、アルミニウム、金、タングステン、レニウム、タンタル、およびチタンとタングステンとの合金の任意の適切な組み合わせの金属および/または金属合金の1つまたは複数の層を含み得る。いくつかの場合には、ケイ化プラチナ、ケイ化タングステン、ケイ化ニッケル、ケイ化コバルト、ケイ化チタン、ケイ化モリブデン、およびケイ化タンタルのうちの1つまたは複数を使用することができる。ゲート、ソース、ドレイン、およびフィールドプレート要素のうちの任意のものが、物理的堆積プロセス(例えば、電子ビーム堆積、スパッタリング、またはめっきプロセス)によって形成され得る。ゲート、ソース、および/またはドレインの厚さは、約20nmから約200nmの間であってよいが、いくつかの場合には他の厚さが使用され得る。ゲート接続フィールドプレート145の厚さは、約100nmから約1.5ミクロンの間であってよい。ソースコンタクト160および/またはドレインコンタクト162の厚さは、約200nmから約2ミクロンの間であってよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、ゲート140、ソース130、ドレイン132、およびゲート接続フィールドプレート材料145は、異なる材料組成から形成され得る。例えば、ソース130およびドレイン132は、これらに限定されないが、Ti/Al/Ni/Au、Ti/Al/W、またはTa/Al/Taなどの多層構造を含み得る。ゲート140は、これらに限定されないが、Ni/Pd/Au/Ti、Ni/Pt/Au/Ti、Ni/Ti/Al/W、Ni/W/Al/W、Ni/Ta/Al/Ta、Ni/Ta/Al/W、Ni/NiO/Al/W、Ni/NiO/Ta/Al/Ta、Ni/NiO/Ta/Al/W、W/Al/W、Ni/WN/Al/W、Ni/NiO/W/Al/W、Ni/NiO/WN/Al/W、WN/Al/W、またはPt/Au/Ti組成物のような多層構造を含み得る。ゲート接続フィールドプレート145は、これらに限定されないが、Ti/Pt/Au、Al/Cu、またはTiN/Cu組成物を含み得る。
【0034】
いくつかの実装形態では、分離領域115は、1つまたは複数のHEMTの周囲に形成されて、HEMTへの、またはHEMTから隣接する回路要素へのリーク電流の流入または流出を防止することができる。分離領域は、いくつかの場合には、シャロートレンチアイソレーション構造(例えば、酸化物または他の絶縁体で充填されたトレンチ)を含んでもよく、または他の実施形態では、損傷した結晶性半導体の領域を含んでもよい。いくつかの場合には、分離領域は、メサエッチングプロセスを使用して形成することができ、アクティブデバイスの周りの半導体の領域がエッチング除去され、例えば、電気的絶縁層までエッチングバックされる。本発明者らは、効果的な分離領域が、イオン注入(例えば、窒素、アルゴン、ホウ素、またはリンの注入)によって結晶格子構造を損傷させることにより、窒化ガリウム材料中に形成され得ることを認識および理解した。いくつかの実施形態では、分離領域は、複数の異なるエネルギーで窒素を周辺領域に注入することによって、1つまたは複数のHEMTの周りに形成され得る。異なる注入エネルギーを使用して、HEMTの周りの損傷領域をバリア層116(または存在する場合はキャップ層)の上部から少なくとも100nmの深さまで拡張する。イオン注入による分離領域115の形成は、HEMTの周りのフィールド酸化物の形成に関連するプロセスステップよりも容易であり得る。いくつかの場合には、イオン注入によって分離領域115を形成することにより、デバイスの周囲の領域をエッチング除去して分離されたメサを形成する場合に生じ得るデバイスの性能への大きな影響なしにデバイスを効果的に分離できる。
【0035】
本発明者らは、トランジスタおよびダイオードの外部(extrinsic)または外側領域における構造が、デバイスの電界終端に影響を及ぼし、デバイスが経時的にどのように変化するかに影響を与え得ることを認識および理解した。デバイスの外部または外側領域は、デバイスのアクティブ領域(固有領域または内部領域と呼ばれ得る)の周囲の領域を含む。外部領域は、デバイスに関連する構造(例えば、デバイスの配線、導電性ビア、およびコンタクトパッド)を含むことができるが、固有領域は、少なくともデバイスのアクティブ領域を含む。より具体的には、本発明者らは、外部領域における特徴の構造が、デバイスのリーク電流がデバイスの経年とともに変化する方法に大きく影響する可能性があることを認識した。図2には、トランジスタのゲートリーク電流を大幅に低減できる外部電界終端構造の例が正面図で示されている。
【0036】
実施形態において、外部電界終端構造は、1つまたは複数のトランジスタまたはダイオードのような、1つまたは複数のデバイスのアクティブ領域の外側にある配線(例えば、ゲート配線141)を含むことができる。外部電界終端構造は、上記のように、配線の下にある1つまたは複数の分離領域115をさらに含むことができる。いくつかの場合には、分離領域115は、1つまたは複数のデバイスを部分的または完全に取り囲むことができる。分離領域115は、基板105の上方に形成された1つまたは複数のエピタキシャル層を貫通して延在し得る。例えば、分離領域115は、伝導層114を貫通して延在し得る。
【0037】
外部電界終端構造は、分離領域115を覆うように配置され得る1つまたは複数の電気的絶縁層120、122のような、1つまたは複数の堆積された電気的絶縁層を含むこともできる。いくつかの場合には、第2の絶縁層122は、パッシベーション層であってよい。いくつかの実施形態によれば、集積デバイスは、集積デバイスの電力処理能力を高めるために並列に接続された複数の個別のトランジスタまたはダイオードを含むことができる。並列に接続された複数の類似のデバイスがあるので、類似の電極(例えば、ゲートまたはアノード)は、例えば、図1Cに示されるように、トランジスタまたはダイオードのアクティブ領域190の外側にある配線(例えば、ゲート配線141)と一緒に接続されることが可能である。
【0038】
いくつかの実装形態では、アクティブ領域の外側の基板が、例えば上述したように、イオン注入によって分離領域115を形成するように変換され得る。しかしながら、他の実装形態では、分離領域115は、上述したような他の方法(例えば、シャロートレンチアイソレーションまたはメサエッチング分離)によって形成することができる。分離領域115は、図1Cに示されるように、デバイスを完全に取り囲むことができ、または、いくつかの場合にはデバイスを部分的に囲むことができる。いくつかの場合には、アクティブデバイスの周囲または部分的に周囲に配置された複数の分離された分離領域が存在してもよい。
【0039】
実施形態において、配線141は、分離領域115(複数可)の上にある領域に形成することができる。好ましい実装形態では、配線141は、図2に示されるように、分離領域115に直接接触することができる。例えば、電気的に絶縁性のパッシベーションまたは誘電体層122(分離領域115が見えるように図1Cには示されていない)および/または電気的に絶縁性の誘電体層120は、エッチング除去されて、配線141を分離領域115の材料の上に直接堆積させることができる開口部を形成することができる。いくつかの実装形態では、配線141と分離領域115との間に配置された導電層があってもよい。配線141と分離領域115との間の導電性材料は、配線に使用される材料とは異なる材料であり得る。例えば、導電性材料を使用して、配線141の分離領域115への接着を改善することができる。一例として、チタンの薄層が、配線の接着を改善するために、分離領域上に堆積され、パターニングされ得る。
【0040】
ゲートリーク電流の少なくとも一部は、最上部の半導体層(例えば、バリア層116またはキャップ層が存在する場合はキャップ層118、および/または分離領域115の最上部の半導体材料)と、隣接する絶縁層との間の界面に沿って流れ得る。例えば、リーク電流は、図1Aを参照して、キャップ層118と誘電体層120との間の界面に沿って流れ得る。いくつかの場合には、ホットエレクトロンが、2DEGからそのような界面の界面トラップにホップし、これらの界面に沿ってトラップからトラップに移動する場合がある。結果として、電子のゲートリーク電流iの経路は、ソース電極162の近くのトランジスタのソース領域から、界面トラップを介してゲートコンタクトパッド185(図1B参照)の周りを通って、トランジスタのドレイン領域まで至る可能性がある。いくつかの実装形態では、いくつかのトラップは、分離領域115を形成するためのイオン注入から生じる損傷のために、隣接する絶縁層(例えば、誘電体層120)に生成され得る。いくつかのトラップは、2つの異なる材料(例えば、イオン損傷を受けた窒化ガリウム材料と、窒化ケイ素のようなイオン損傷を受けた誘電体材料)の並置による界面トラップであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、隣接する1つまたは複数の絶縁層を除去し、(図2に示すように)半導体材料上に配線を直接堆積させることにより、トラップを除去し、本質的にリーク電流経路を遮断することができる。いくつかの場合には、1つまたは複数の隣接する絶縁層120、122を除去し、分離領域115のような、下にある半導体材料の表面を露出させる1つまたは複数のエッチングされたビアがあってもよく、その結果、配線が、下にある半導体材料上に、または直上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、キャップ層118および/またはバリア層116のような1つまたは複数の上部半導体層が除去され得る。いくつかの実装形態によれば、ビア(複数可)は、配線141の周りの追加の絶縁層材料を除去するように、堆積された配線よりも大きいサイズであり得る。例えば、ゲート配線141のためのビアは、ゲート配線141よりも大きいサイズ(図1Bの破線の長方形187によって示される)を有し得る。
【0042】
いくつかの場合には、露出された最上部の半導体層の表面を処理して、トラップを抑制または除去することができる。例えば、表面は、一定期間、酸素プラズマ処理に供され得る。酸素プラズマ処理は、窒化ガリウム材料を含む半導体に対する酸化ガリウム層のような、半導体の表面に薄い(例えば、厚さ5nm未満の)自然酸化物層を形成することもできる。
【0043】
最上部の半導体層の表面が、トラップを抑制または除去するように処理されている場合、絶縁層は、配線141と分離領域115との間に堆積され得る。そのような堆積された層は、分離領域がイオン注入によって形成される実施形態において、イオン損傷を示さない場合がある。例えば、絶縁層は、ビア187をエッチングした後に堆積されることが可能であり、イオン注入を受けない。そのような絶縁層は、いくつかの実施形態によれば1nmから10nmの間、またはいくつかの実施形態によれば5nmから50nmの間、またはいくつかの実施形態によれば10nmから500nmの間の厚さを有することができる。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、外部の電界終端構造の配線141、161、163は、オーミックコンタクトメタライゼーション堆積の一部として形成され得る。例えば、配線は、これらに限定されないが、Ni/Pd/Au/Ti、Ni/Pt/Au/Ti、Ni/Ti/Al/W、Ni/W/Al/W、Ni/Ta/Al/Ta、Ni/Ta/Al/W、Ni/NiO/Al/W、Ni/NiO/Ta/Al/Ta、Ni/NiO/Ta/Al/W、W/Al/W、Ni/WN/Al/W、Ni/NiO/W/Al/W、Ni/NiO/WN/Al/W、WN/Al/W、またはPt/Au/Ti組成物のような多層構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、配線は、概して、接続された電極が延びる方向に対してある角度(例えば、約90度)の方向に延びることができる。例えば、図1Cに示されるゲート配線141は、ゲート140に対して本質的に垂直に延びる。
【0045】
いくつかの実装形態によれば、特定の型の1つまたは複数の配線は、その接続された電極とともに、デバイスの異なる電極を部分的または完全に取り囲むことができる。例えば、図1Cでは、左の2つのゲート140および接続するゲート配線141は、ドレインコンタクト162および下にあるドレイン132を部分的に取り囲んでいる。ゲート140の下端を接続するために第2のゲート配線を追加することにより、ドレインコンタクト162およびドレイン132は、左の2つのゲート140および接続するゲート配線141によって完全に囲まれ得る。同様に、右の2つのゲート140および接続するゲート配線141は、ソースコンタクト160およびソース130を部分的に取り囲むが、ソースコンタクト160およびソース130を完全に取り囲むようにすることができる。
【0046】
実施形態において、上記の特徴の様々な組み合わせが可能である。例えば、特定の型の電極を囲む、または部分的に囲むための配線のレイアウトのうちの任意のものは、任意の型の分離領域(例えば、イオン注入、シャロートレンチアイソレーションプロセス、またはメサエッチングによって形成される分離領域)と組み合わせられ得る。さらに、オーミックコンタクトのための任意の材料を、前述の組み合わせのうちの任意のもので使用することができる。
【0047】
外部構造は、デバイスのアクティブ領域で生成された電界がデバイスの隣接する電極に完全には終端しない可能性があるデバイス電極の端部で、電界を終端するのを助けることもできる。例えば、再び図1Cを参照すると、ドレイン132(ドレインコンタクト162の下にある)から延びる電界は、ドレインの端部で外側にフリンジを形成し得る。ゲート配線141を基板レベルまたはその近くに、そしてドレインの端部のすぐ近くに配置することは、これらのフリンジ電界を終端するのを助けることができる。いくつかの場合には、配線141、161、163は、隣接する電極の端部から5ミクロンから20ミクロンの間に配置されている。いくつかの場合には、配線141、161、163は、隣接する電極の端部から15ミクロン以内に配置されている。いくつかの場合には、配線141、161、163は、隣接する電極の端部から10ミクロン以内に配置されている。いくつかの場合には、配線141、161、163は、隣接する電極の端部から5ミクロン以内に配置されている。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、円形または準円形(quasi-circular)のアクティブデバイスを形成することができ、その結果、アクティブデバイスの電極には端が存在しない。円形または準円形デバイスの少なくとも1つの電極は、円形または準円形であり得る。準円形デバイスは、多角形の形状を有するデバイスである。複数の円形デバイスを有する大電力トランジスタの例が、図3に示されている。各トランジスタは、円形ドレイン362、円形ゲートおよびゲート接続フィールドプレート345、および円形ソース360を有することができる。異なるデバイス電極は、ゲートG配線341、ソースS配線361、およびドレインD配線363によって一緒に接続され得る。
【0049】
本実施形態で達成されるゲートリーク電流の低減における改善は、図4Aおよび図4Bのプロットで示されている。時間の関数としてのゲートまたはアノードのリーク電流の増加は、集積デバイスの故障メカニズムである可能性があり、窒化ガリウムデバイスの開発者によって一般的には報告されていない可能性がある。RFアプリケーションでの使用のために設計されたGaN HEMTは、ゲート電極にショットキーバリアを利用でき、これは、許容可能なゲインを保証するために選択された構成である。初期の通常の動作では、ゲート電極は、許容可能なリーク電流値、例えば、デバイスの周辺長1mmあたり1mAを大幅に下回るリーク電流値を示し得る。
【0050】
図4Aは、外部ゲート配線が絶縁層(厚さ約400nmの窒化ケイ素層)を覆うように配置され、それを通してイオン注入が実行されて分離領域115が生成されたHEMTトランジスタデバイスのゲートリーク電流をプロットしている。再び図2を参照すると、このデバイスの窒化ケイ素層は、配線141と分離領域115との間に配置されていた。図4Aは、ストレス試験条件下でのゲートリーク電流の関連する時間的挙動をプロットしている。試験されたシリコン上窒化ガリウム(GaN-on-Si)HEMTデバイスは、0.4ミクロンのゲート長を有する。加速ストレスを与えるバイアス条件は、VDD=50V、ID=100mA/mm周辺長(これは、5W/mmの消費電力に相当する)とし、デバイスが取り付けられたベースプレートの温度は、約235℃の表面温度が得られるように調整された。観測されたゲートリーク電流は、1時間未満の動作で4桁以上増加し、その後、使用可能なレベルをはるかに超えるレベルである約10mA/mmで安定化する。
【0051】
図4Bは、0.4ミクロンのゲート長を有し、図2に示されるように、外部ゲート配線が分離領域115の材料上に直接堆積されたシリコン上窒化ガリウム(GaN-on-Si)HEMTデバイスのゲートリーク電流の時間的挙動を示す。図4Aのデバイスについて説明したのと同じストレス条件下において、ゲートリーク電流は、同様のレベル(~5×10-4mA/mm)で始まり、加速ストレス下で20時間を超える動作の後も減少し続ける。この結果は、従来のデバイスと比較して、試験条件でのゲートリーク電流の4桁を超える削減を表している。
【0052】
開示された半導体デバイスは、以下に説明するように、異なる構成で具体化することができる。列挙された構成のうちの任意のものは、上記の1つまたは複数の技術的特徴をさらに含み得る。
【0053】
(1)アクティブ領域を有する半導体デバイスと、前記アクティブ領域の少なくとも一部を覆うように形成された第1の絶縁層と、前記アクティブ領域の外側にあり、前記第1の絶縁層を欠いた分離領域と、前記分離領域を覆うように形成された導電性配線とを備える、集積デバイス。
【0054】
(2)前記配線は、前記分離領域の上に直接形成されている、構成(1)に記載の集積デバイス。
(3)前記配線と前記分離領域との間に配置された第2の絶縁層をさらに備える、構成(1)に記載の集積デバイス。
【0055】
(4)前記第2の絶縁層は、イオン注入による損傷を示さない、構成(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
(5)複数の追加の半導体デバイスをさらに備え、前記配線は、前記半導体デバイスの電極を、前記電極と同じ型の前記追加の半導体デバイスの追加の電極に接続する、構成(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
【0056】
(6)前記半導体デバイスは、トランジスタまたはダイオードである、構成(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
(7)前記半導体デバイスは、窒化ガリウム材料を備える、構成(6)に記載の集積デバイス。
【0057】
(8)前記半導体デバイスは、50ワットから1000ワットの間で出力することができる、構成(6)または(7)に記載の集積デバイス。
(9)前記半導体デバイスの電極は、円形または準円形である、構成(6)乃至(8)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
【0058】
(10)前記分離領域は、損傷した半導体材料を含む、構成(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
(11)周辺長1ミリメートルあたり5ワット、ドレイン-ソース間バイアス50ボルト、動作環境温度235℃で10時間動作した後に、周辺長1ミリメートルあたり1マイクロアンペア未満のゲートリーク電流を有する、構成(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の集積デバイス。
【0059】
本実施形態および上記構成のデバイスを作製するための方法も可能であり、以下に列挙する。
(12)基板上に、アクティブ領域を有する半導体デバイスを形成すること、前記アクティブ領域の少なくとも一部を被覆する第1の絶縁層を形成すること、前記アクティブ領域の外側の領域に分離領域を作成すること、前記分離領域を覆うようにビアを形成することであって、前記第1の絶縁層の一部が前記分離領域から除去される、前記ビアを形成すること、前記ビアおよび前記分離領域に延びる導電性配線を堆積することを含む、半導体デバイスを作製する方法。
【0060】
(13)前記導電性配線は、前記分離領域の上に直接堆積される、(12)に記載の方法。
(14)前記ビアにおいて前記分離領域の上に第2の絶縁層を形成することをさらに含む、(12)に記載の方法。
【0061】
(15)前記第2の絶縁層は、酸素プラズマ処理を用いて形成される、(14)に記載の方法。
(16)前記半導体デバイスを形成することは、トランジスタまたはダイオードを形成することを含む、(12)乃至(15)のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
(17)前記半導体デバイスを形成することは、窒化ガリウム材料を堆積することを含む、(12)乃至(16)のいずれか1つに記載の方法。
(18)前記分離領域を作成することは、結晶性半導体を損傷するためにイオン注入を実施することを含む、(12)乃至(17)のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
(19)同じ基板上に前記半導体デバイスと同じ種類の複数の追加の半導体デバイスを形成すること、並列に動作させるために前記半導体デバイスと追加の半導体デバイスとを接続することをさらに含む、(12)乃至(18)のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
(20)前記半導体デバイスおよび前記追加の半導体デバイスのための同じ型の電極を一緒に接続するために導電性配線を堆積することをさらに含む、(19)に記載の方法。
結び
「おおよそ(approximately)」および「約(about)」という用語は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、いくつかの実施形態では、さらに目標値の±2%以内を意味するために使用され得る。「おおよそ」および「約」という用語は、目標値を含み得る。
【0065】
本明細書に記載の技術は、少なくともいくつかの行為が記載されている方法として具体化することができる。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けられ得る。したがって、例示的な実施形態では連続的な行為として説明されていても、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る、説明されたものとは異なる順序で行為が実行される実施形態が構築され得る。加えて、方法は、いくつかの実施形態では、記載されたものよりも多くの行為を含んでもよく、他の実施形態では、記載されたものよりも少ない行為を含んでもよい。
【0066】
このように本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態を説明してきたが、当業者は、様々な変更、修正、および改善を容易に思いつくであろう。そのような変更、修正、および改善は、本発明の技術思想および範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図するものではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B