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特許7509764OSC及びTWC性能を改善するための遷移金属ドープアルミナ
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  • 特許-OSC及びTWC性能を改善するための遷移金属ドープアルミナ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】OSC及びTWC性能を改善するための遷移金属ドープアルミナ
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20240625BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 23/656 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240625BHJP
【FI】
B01J23/63 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01J23/656 A
B01J23/89 A
B01J35/57 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021521148
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 GB2019053496
(87)【国際公開番号】W WO2020120953
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】62/779,060
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100107180
【弁理士】
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】小林 真之
(72)【発明者】
【氏名】長岡 修平
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-313493(JP,A)
【文献】特開2005-230616(JP,A)
【文献】特開昭48-090987(JP,A)
【文献】特開2016-155049(JP,A)
【文献】特開2017-189742(JP,A)
【文献】特表2012-527338(JP,A)
【文献】特表2004-513765(JP,A)
【文献】特表2013-500857(JP,A)
【文献】国際公開第2018/197851(WO,A1)
【文献】特開2009-082880(JP,A)
【文献】特表2005-517527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/63
B01D 53/94
B01J 23/656
B01J 23/89
B01J 35/57
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属でドープされたアルミナを含む三元触媒組成物であって、前記遷移金属が、Mn、Zn又はこれらの組み合わせを含む、三元触媒組成物。
【請求項2】
前記遷移金属が、Mnを含む、請求項1に記載の三元触媒組成物。
【請求項3】
前記遷移金属が、前記ドープされたアルミナの総重量に対して2重量%~8重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の三元触媒組成物。
【請求項4】
白金族金属成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の三元触媒組成物。
【請求項5】
前記白金族金属成分が、Pd、Rh、Pt、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の三元触媒組成物。
【請求項6】
前記アルミナが、La安定化アルミナである、請求項1~5のいずれか一項に記載の三元触媒組成物。
【請求項7】
前記アルミナが、前記三元触媒組成物の0.1重量%~10重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の三元触媒組成物。
【請求項8】
酸素吸蔵成分(OSC)材料を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の三元触媒組成物。
【請求項9】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の三元触媒組成物。
【請求項10】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、バリウム、ストロンチウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の三元触媒組成物。
【請求項11】
排気ガスを処理するための触媒物品であって、
a.基材と、
b.請求項1~10のいずれか一項に記載の三元触媒組成物と、
を含む、触媒物品。
【請求項12】
排気ガスを処理するための触媒物品であって、
a.基材と、
b.遷移金属でドープされたアルミナを含む三元触媒組成物と、
を含み、前記遷移金属が、Mn、Zn又はこれらの組み合わせを含む、触媒物品。
【請求項13】
前記排気ガスが第1の層に接触する前に第2の層に接触するよう配置された前記第1の層及び前記第2の層を含み、前記第1の層は、遷移金属でドープされたアルミナを含む前記三元触媒組成物を含む、請求項12に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記排気ガスが前記第2の層に接触する前に第3の層に接触するよう配置された前記第3の層を更に含む、請求項13に記載の触媒物品。
【請求項15】
内燃機関からの排気ガスを処理する方法であって、前記排気ガスを請求項11~14のいずれか一項に記載の触媒物品と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内燃機関では、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(「NO」)を含む様々な汚染物質を含有する排気ガスが生成される。排気ガス触媒を含む排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広く利用されている。ガソリンエンジン用途に通常使用される触媒は、三元触媒(TWC)である。TWCにより、次の3つの主な役割、すなわち、(1)一酸化炭素(CO)の酸化、(2)未燃炭化水素の酸化、及び(3)NOのNへの還元を行う。
【0002】
TWC触媒は、典型的には、ガソリンエンジンが化学量論的条件(空燃比、λ=1)で又はそれに近い条件で動作するとき、最も良好に機能する。しかし、エンジンは、動作サイクルを通じた様々な段階においてλ=1のいずれかの側で動作することが多い。概して、酸素含有量の少ない排気ガスに相当するλ<1の場合には「リッチ」条件と呼ばれ、酸素含有量の多い排気ガスに相当するλ>1の場合には「リーン」条件と呼ばれる。エンジンがリッチで作動しているとき、例えば加速中は、全体的な排気ガス組成は本質的に酸化性ではなく還元性であり、触媒表面上で酸化反応を行うことが困難になる。この理由のため、TWCは、動作サイクルのリーン期間中に酸素を吸蔵し、動作サイクルのリッチ期間中に酸素を放出することにより、有効な動作期間を拡大させる、成分を組み込むように開発されている。このような目的のために、セリア系(例えば、セリア-ジルコニア混合酸化物)材料が、現在市販されているTWCの大多数において、酸素吸蔵成分(oxygen storage components、OSC)として使用されている。
【0003】
自動車及びトラックなどの車載用途の場合、TWC触媒は基材の壁にコーティングされ、その後で排気ガス処理システムに組み込まれる。概して、基材にコーティングする触媒の量を増加させると、システムの触媒活性が増加する。しかし、触媒ウォッシュコートの担持量を多くすると、背圧及び熱質量の問題が引き起こされ得る。したがって、より低い触媒担持量で強力な排出目標を達成するため、OSC材料を含む触媒成分の効率を高めるための多大な努力がなされてきた。
【0004】
本発明者らの出願である国際公開第02/40151号では、本発明者らはマンガン含有OSC及び少なくとも1種の任意にドープされたアルミナを含むTWC組成物を記載しており、アルミナは、希土類材料、シリコン、ゲルマニウム、リン、ヒ素、カルシウム、ストロンチウム、及び/又はバリウムでドープされていてもよい。この出願は、マンガン含有OSCを使用する利点を開示している。具体的には、マンガンを遊離酸化物として含むことにより、混合酸化物相として存在する場合よりも優れた酸素吸蔵特性が得られる。国際公開第02/40151号では、ドープされたアルミナと組み合わせた、すなわち2つの別個の成分としてのマンガン含有OSCの使用を開示していることに留意されたい。
【0005】
TWC技術の進展にもかかわらず、ウォッシュコート担持量を増加させることなしに転化率を高くする、確かなエンジンプラットフォームのための触媒コンバータの改善が依然として必要とされている。本発明は、とりわけこれらの必要性を解決するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、三元触媒組成物は、遷移金属でドープされたアルミナを含むことができる。遷移金属は、例えば、Ti、Mn、Fe、Cu、Zn、Ni、若しくはこれらの組み合わせ、又はMn、Cu、若しくはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、遷移金属は、ドープされたアルミナの総重量に対して約2重量%~約8重量%の量で存在する。
【0007】
三元触媒は、白金族金属成分を含んでもよい。白金族金属成分としては、例えば、Pd、Rh、Pt、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0008】
いくつかの態様では、アルミナは、La安定化アルミナである。
【0009】
いくつかの態様では、ドープされたアルミナは、三元触媒組成物の約0.1重量%~約10重量%の量で存在する。
【0010】
いくつかの態様では、三元触媒組成物は、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、セリア-ジルコニア混合酸化物、アルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物、又はこれらの組み合わせを含む酸素吸蔵成分(OSC)材料を含んでもよい。
【0011】
いくつかの態様では、三元触媒組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含んでもよい。好適なアルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、バリウム、ストロンチウム、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0012】
本発明によれば、排気ガスを処理するための触媒物品は、(a)基材と、(b)本明細書に記載される三元触媒組成物と、を含むことができる。
【0013】
本発明によれば、排気ガスを処理するための触媒物品は、(a)基材と、(b)遷移金属でドープされたアルミナを含む三元触媒組成物と、を含むことができる。いくつかの態様では、触媒物品は、排気ガスが第1の層に接触する前に第2の層に接触するよう配置された第1の層及び第2の層を含み、第1の層は、遷移金属でドープされたアルミナを含む三元触媒組成物を含む。触媒物品は、排気ガスが第2の層に接触する前に第3の層に接触するよう配置された第3の層を更に含んでもよい。
【0014】
本発明によれば、内燃機関からの排気ガスを処理する方法は、排気ガスを本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の触媒物品の構成を示す。
図2】本発明の触媒及び参照用触媒のOSC性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ガソリンエンジン又は他のエンジンによって生成されるものなどの燃焼排気ガスの触媒処理、並びに関連する触媒、触媒物品、及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、車両排気システムにおけるNO、CO、及びHCの同時処理に関する。
【0017】
三元触媒の重要な特徴は、例えば空燃比の変動など、排気ガス条件が変化しても効果的に動作できることである。この課題に対する従来の対応は、酸素吸蔵成分としてCe/Zr混合酸化物材料を含めることであった。しかし、空燃比のロバスト性におけるこのような触媒の改善は、背圧及び熱質量など、ウォッシュコート担持量の増加による悪影響により制限され得る。
【0018】
アルミナ材料はバインダー材料として三元触媒で使用されているが、驚くべきことに、アルミナ材料を遷移金属でドープすると、触媒の空燃比のロバスト性を改善できることが見出された。排気ガスを処理するための三元触媒として有用な、遷移金属ドープアルミナを含む触媒組成物が、本明細書で更に詳細に記載される。
【0019】
ドープされたアルミナ成分
本発明の触媒組成物は、遷移金属ドープアルミナを含む。いくつかの態様では、本発明の遷移金属ドープアルミナは、例えばTWCにおいて、酸素吸蔵成分として作用し得、かつ酸素吸蔵成分として使用され得る。好適な種類のアルミナとしては、例えば、ガンマ-デルタ-、シータ、及びアルファ-アルミナが挙げられ得る。レドックス活性遷移金属をアルミナ上にドープして、本明細書で論じる利点を提供することができる。いくつかの態様では、好適な遷移金属としては、Ti、Mn、Fe、Cu、Zn、Ni、又はこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、好適な遷移金属としては、Ti、Mn、Fe、Cu、Zn、又はこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、好適な遷移金属としては、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせが挙げられる。触媒組成物は、2種以上の遷移金属でドープされたアルミナを含んでもよい。触媒組成物は、様々な遷移金属ドープアルミナの混合物又はブレンドを含んでもよい。例えば、触媒組成物は、Cu-ドープアルミナ及びMn-ドープアルミナ、Cu-ドープアルミナ及びTi-ドープアルミナ、Cu-ドープアルミナ及びFe-ドープアルミナ、Cu-ドープアルミナ及びZn-ドープアルミナ、Cu-ドープアルミナ及びNi-ドープアルミナ、Mn-ドープアルミナ及びTi-ドープアルミナ、Mn-ドープアルミナ及びFe-ドープアルミナ、Mn-ドープアルミナ及びZn-ドープアルミナ、Mn-ドープアルミナ及びNi-ドープアルミナ、Fe-ドープアルミナ及びNi-ドープアルミナ、Fe-ドープアルミナ及びTi-ドープアルミナ、Fe-ドープアルミナ及びZn-ドープアルミナ、Zn-ドープアルミナ及びNi-ドープアルミナ、並びに/又はNi-ドープアルミナ及びTi-ドープアルミナを含んでもよい。いくつかの態様では、アルミナは、ドープされたアルミナの総重量に対して、約0.5重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、約3重量%~約7重量%、約4重量%~約6重量%、約2重量%~約6重量%、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%の量の遷移金属でドープされる。当該技術分野では、遷移金属ドープアルミナは、遷移金属/アルミニウム混合酸化物(例えば、MnAlO)とは化学的及び物理的に異なることが理解されている。
【0020】
いくつかの態様では、遷移金属は、La安定化アルミナ上にドープされていてもよい。アルミナは、例えばLaを、約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、約2重量%~約5重量%、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、0.5重量%超、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%の量で含んでもよい。
【0021】
遷移金属ドープアルミナは、特定の目標及び状況に基づいて、任意の好適な量で触媒組成物中に含まれ得る。いくつかの態様では、触媒組成物は、遷移金属ドープアルミナを、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.1重量%~約6重量%、約0.1重量%~約4重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.3重量%~約0.5重量%、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%超、0.2重量%超、0.3重量%超、0.5重量%超、1重量%超、2重量%超、4重量%超、6重量%超、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約8重量%、又は約10重量%の量で含む。
【0022】
調製
本発明のドープされたアルミナは、当該技術分野において周知である任意の好適な手段によって調製してもよい。例えば、遷移金属ドープアルミナは、アルミナ/La前駆体を、対応する金属硝酸塩(すなわち、Ti、Mn、Fe、Cu、Zn、Ni)、例えばMn(NOの水溶液と共に使用して、共沈により調製してもよい。共沈の後に乾燥、例えば150℃で約2時間乾燥させてもよく、かつ焼成、例えば500℃で約30分間焼成してもよい。
【0023】
効果
驚くべきことに、アルミナに1種以上の遷移金属をドープすると、触媒の空燃比のロバスト性を改善できることが分かった。これは、触媒が様々な空燃比において有効性を維持することを意味している。本発明の触媒組成物は、遷移金属ドープアルミナに関連する低温での良好な酸素吸蔵能の性能により、空燃比のロバスト性を改善し得る。遷移金属ドープアルミナを含む触媒組成物は、同じ配合を有するが遷移金属でドープされたアルミナを含まない触媒組成物と比較して、空燃比のロバスト性を改善し得る。遷移金属ドープアルミナを含む触媒組成物は、同じ配合を有するが遷移金属でドープされたアルミナを含まない触媒組成物と比較して、酸素吸蔵能の性能を改善し得る。本明細書で使用されるとき、酸素吸蔵能は、組成物のCO消費量によって決定され得る。いくつかの態様では、遷移金属ドープアルミナに関連する改善された性能は、約200℃~約400℃、約250℃~約350℃、約275℃~約325℃、又は約300℃などの低い排気ガス温度で実証される。
【0024】
いくつかの態様では、遷移金属ドープアルミナを含む触媒組成物は、同じ配合を有するが遷移金属でドープされたアルミナを含まない触媒組成物と比較して、300℃での酸素吸蔵能の性能を改善し得る。ここで、改善は約25~約700%、約40%~約690%、約40%~約650%、約40%~約600%、約40%~約550%、約40%~約500%、約40%~約400%、約40%~約300%、約40%~約200%、約40%~約150%、約40%~約100%、約25%~約50%、約40%~約100%、約50%~約100%、約100%~約150%、約150%~約200%、約200%~約250%、約250%~約300%、約300%~約350%、約350%~約400%、約400%~約450%、約450%~約500%、約500%~約550%、約550%~約600%、約600%~約650%、約650%~約690%、約650%~約700%、25%超、40%超、50%超、75%超、100%超、150%超、200%超、250%超、300%超、350%超、400%超、450%超、500%超、550%超、600%超、又は650%超である。
【0025】
更に、遷移金属ドープアルミナは、酸素吸蔵成分機能及び関連する空燃比のロバスト性を与えるだけでなく、高い比表面積及び白金族金属との負の相互作用の欠如といった、アルミナの他の有益な特性もまた維持し得ることが発見された。
【0026】
OSC材料
触媒組成物は、遷移金属ドープアルミナとは区別される酸素吸蔵能(OSC)材料、及び/又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属成分を更に含み得る。
【0027】
OSC材料は、好ましくは、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、セリア-ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ-セリア-ジルコニア混合酸化物からなる群から選択される。より好ましくは、OSC材料は、セリア-ジルコニア混合酸化物を含む。セリア-ジルコニア混合酸化物は、La、Nd、Y、Prなどのいくつかのドーパントを更に含んでもよい。
【0028】
セリア-ジルコニア混合酸化物は、ジルコニアとセリアとのモル比が、少なくとも50:50、好ましくは60:40より高く、より好ましくは75:25より高くてもよい。加えて、OSC材料は、PGM成分のための担体材料として機能し得る。
【0029】
OSC材料(例えば、セリア-ジルコニア混合酸化物)は、触媒組成物の総重量に基づいて、10~90重量%、好ましくは25~75重量%、より好ましくは35~65重量%であり得る。
【0030】
いくつかの態様では、OSC材料及び遷移金属ドープアルミナは、10:1以下、8:1又は5:1以下、4:1又は3:1以下、又は2:1以下の重量比を有し得る。
【0031】
あるいは、OSC材料及び遷移金属ドープアルミナは、10:1~1:10、8:1~1:8、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、又は2:1~1:2の重量比を有し得る。
【0032】
いくつかの態様では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、OSC材料上に堆積されてもよい。
【0033】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、例えば、バリウム又はストロンチウムを含んでもよい。いくつかの態様では、バリウム又はストロンチウムは、存在する場合、触媒組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約15重量%、又は約3重量%~約10重量%の量で存在する。
【0034】
いくつかの態様では、バリウムは、BaCO複合材料として、又はBa(OH)として存在する。BaCO複合材料は、当該技術分野において周知である任意の方法、例えば、初期湿潤含浸又は噴霧乾燥によって実施することができる。
【0035】
PGM成分
本発明の触媒組成物はまた、白金族金属(platinum group metal、PGM)成分を含んでもよい。いくつかの態様では、PGM成分は、Pd、Rh、Pt、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、PGM成分は、Pd、Rh、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、PGM成分は、Pdである。
【0036】
触媒組成物は、PGM成分を、触媒組成物の最大20重量%、約0.05重量%~約10重量%、又は約0.2重量%~約5重量%の量で含み得る。
【0037】
更なる成分
本発明の触媒組成物は、当業者に周知である更なる成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物は、少なくとも1つのバインダー及び/又は少なくとも1つの界面活性剤を更に含んでもよい。いくつかの態様では、触媒は、遷移金属ドープアルミナに加えてバインダーを含んでもよい。
【0038】
基材
本発明の触媒物品は、本明細書に記載の触媒組成物及び基材を含んでもよい。触媒組成物は、ウォッシュコートの適用を含む任意の周知の手段によって基材に適用してもよい。好適な基材は、フロースルーモノリス又はウォールフローガソリン微粒子フィルタを含んでもよい。好ましくは、基材は、フロースルーモノリスである。
【0039】
フロースルーモノリス基材は、第1の面と第2の面とを有し得、それらの間に長手方向が画定される。フロースルーモノリス基材は、第1の面と第2の面との間に延びている、複数のチャネルを有する。複数のチャネルは、長手方向に伸びており、複数の内側表面(例えば、各チャネルを画定するウォールの表面)を提供する。複数のチャネルの各々は、第1の面にある開口部と、第2の面にある開口部と、を有する。誤解を回避するために、フロースルーモノリス基材はウォールフローフィルタではない。
【0040】
第1の面は、典型的には基材の入口端部にあり、第2の面は基材の出口端部にある。
【0041】
チャネルは一定の幅のものであってもよく、各複数のチャネルは、均一なチャネル幅を有してもよい。
【0042】
好ましくは、長手方向に直交する平面内で、モノリス基材は、1平方インチ当たり100~900のチャネル、好ましくは300~750のチャネルを有する。例えば、第1の面上では、開いている第1のチャネル及び閉じた第2のチャネルの密度は、1平方インチ当たり300~750チャネルである。チャネルは、矩形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、又は他の多角形形状である断面を有してもよい。
【0043】
モノリス基材は、触媒材料を保持するための担体として作用する。モノリス基材を形成するのに好適な材料としては、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア若しくはケイ酸ジルコニウムなどのセラミック様材料、又は多孔質の耐火金属が挙げられる。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は、当該技術分野において周知である。
【0044】
本明細書に記載のフロースルーモノリス基材は、単一構成要素(すなわち、単一のれんが状塊)であることに留意されたい。それにもかかわらず、排出処理システムを形成する場合、使用されるモノリスは、複数のチャネルを一緒に接着することによって形成されてもよく、又は本明細書に記載のように複数のより小さいモノリスを一緒に接着することによって形成されてもよい。このような技術は、排出処理システムの好適なケーシング及び構成と共に、当該技術分野において公知である。
【0045】
本発明の触媒物品がセラミック基材を含む態様では、セラミック基材は、任意の好適な耐火材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、並びにメタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメンなど)、又はこれらのいずれか2つ以上の混合物若しくは混合酸化物で作製されていてもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0046】
本発明の触媒物品が金属基材を含む態様では、金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びに鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを他の微量金属に加えて含有するフェライト合金で作製されていてもよい。
【0047】
いくつかの態様では、触媒組成物は、基材上に直接担持/堆積されている。
【0048】
構成
本発明の触媒物品は、触媒組成物の層を1つ以上有する基材を含んでもよい。いくつかの態様では、触媒物品は、基材上に直接担持/堆積された第1の層を有する基材を含んでもよく、第1の層は遷移金属ドープアルミナを含む。いくつかの態様では、触媒物品は、この第1の層のみを含む。いくつかの態様では、第1の層はまた、OSC材料、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属成分、及び/又はPGM成分など、本明細書に記載される追加の成分を含んでもよい。いくつかの態様では、第1の層は遷移金属ドープアルミナを含むが、OSC材料、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属成分、及び/又はPGM成分を含まない。
【0049】
いくつかの態様では、触媒物品は、第1の層に加えて1つ以上の層を含んでもよい。1つ以上の追加の層は、部分的に又は完全に、第1の層に隣接していてもよい、かつ/又は第1の層を覆っていてもよい。いくつかの態様では、触媒物品は、排気ガスが第1の層に接触する前に第2の層に接触するよう配置された第1の層及び第2の層を含む。いくつかの態様では、触媒物品は、排気ガスが第2の層又は第1の層に接触する前に第3の層に接触するよう配置された第3の層を更に含む。いくつかの態様では、1つ以上の追加の層は、所望に応じて、三元触媒組成物又は他の触媒組成物を含んでもよい。1つ以上の追加の層が三元触媒組成物を含む場合、そのような組成物は、例えば、遷移金属ドープアルミナ、OSC材料、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属成分、及び/又はPGM成分を含んでもよい。
【0050】
特定の実施形態では、触媒物品は、図1に示すように構成される。図1は、遷移金属ドープアルミナを含む第1の層と、アルミナ、OSC材料、PGM成分(Pd)、及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属成分(Ba)を含む第2の層と、PGM成分(Rh)、OSC材料、及びアルミナを含む第3の層と、を示す。
【0051】
本明細書で使用されるとき、用語「触媒組成物」は、触媒組成物の単層を意味するものと理解されてもよく、又は複数層として構成された触媒組成物を一括して指してもよい。
【0052】
方法及びシステム
本開示の別の態様は、本明細書に記載の触媒物品を使用する、NO、CO、及びHCを含有する、車両排気ガスの処理方法に関する。NO、CO、及びHCを含有する車両排気ガスを処理する方法は、排気ガスを、本明細書に記載される遷移金属ドープアルミナを含む触媒組成物と接触させることを含み得る。いくつかの態様では、排気ガスの温度は、約200℃~約400℃、約250℃~約350℃、約275℃~約325℃、又は約300℃の温度である。本発明の触媒組成物を備えた触媒コンバータは、遷移金属ドープアルミナを含有しない従来の三元触媒と比較して、触媒性能を改善することができる。
【0053】
本開示の別の態様は、システムを通じて排気ガスを移送するための導管と共に本明細書に記載される触媒物品を含む、車両排気ガス処理用システムに関する。
【0054】
用語
用語「ウォッシュコート」は、当該技術分野において公知であり、通常、触媒の製造中の基材に適用される接着性コーティングを指す。
【0055】
本明細書で使用されるとき、頭字語「PGM」は、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」は、概ね、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群から選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群から選択される金属を指す。概ね、用語「PGM」は、好ましくは、Rh、Pt、及びPdからなる群から選択される金属を指す。
【0056】
本明細書で使用される用語「混合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、単相にての酸化物の混合物を指す。本明細書で使用される用語「複合酸化物」は、概ね、当該技術分野において従来知られているように、2つ以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0057】
材料に関して本明細書で使用される「実質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容物との関連において、材料が少量、例えば、5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることを意味する。「実質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0058】
材料に関して本明細書で使用される「本質的に含まない」という表現は、典型的には、領域、層、又はゾーンの内容との関連において、材料が微量、例えば1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1%重量%以下であることを意味する。「本質的に含まない」という表現は、「含まない」という表現を包含する。
【0059】
本明細書で使用される重量%として表されるドーパントの量、特に総量に対する任意の言及は、担体材料又はその耐火金属酸化物の重量を指す。
【0060】
本明細書で使用される用語「担持量」は、金属重量基準でのg/ftの単位の測定値を指す。
【0061】
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明示しない限り、複数の参照及び少なくともその特定の値を含む特定の数値への参照を含む。したがって、例えば、「材料」への言及は、当業者に周知であるそのような材料及びその等価物などのうちの少なくとも1つへの言及である。
【0062】
値が記述子「約(about)」を使用することにより近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。概して、用語「約」の使用は、開示された主題により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これをルーチンの問題として解釈できるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数が、単語「約」の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値で使用される段階的な変化を使用して、各値について用語「約」に利用可能な意図された範囲を決定できる。存在する場合、全範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲内で提示されている値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0063】
明確にするために、別個の実施形態又は態様の文脈において本明細書に記載される本発明の特定の特色はまた、単一の実施形態又は態様において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。すなわち、明らかに互換性がないか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は任意の他の実施形態又は態様と組み合わせることが可能であるとみなされ、そのような組み合わせは別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態又は態様の文脈で記載される本発明の様々な特色はまた、個別に、又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。最後に、実施形態又は態様は、一連の工程の一部、又はより一般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程はまた、それ自体が独立した実施形態の態様であり、他の工程と組み合わせることができるとみなされ得る。
【0064】
移行語(transitional term)「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting)」は、それらの特許専門用語において一般に認められた意味を内包することを意図している。すなわち、(i)「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「特徴づけられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであって、追加の列挙されていない要素又は方法工程を除外しない。(ii)「からなる(consisting of)」は請求項で指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外し、(iii)「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、指定された材料又は工程、及び特許請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないもの」に限定する。語句「含む(comprising)」(又はその等価物)という用語で記載された実施形態はまた、実施形態として、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で独立して記載される実施形態を提供する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で与えられるこれらの実施形態の場合、基本的で新規な特徴は、空燃比のロバスト性を備えた車両排気システムにおいて、触媒組成物により、NO、CO、及びHCを同時に効率的に処理できることである。このような動作性を損なわない材料又は工程は、このような実施形態の範囲内で考慮される。
【0065】
リストが提示される場合、別途記載のない限り、そのリストの各個々の要素、及びそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態であることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態又は態様のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」、又は「A、B、若しくはC」を含むものと解釈されるべきである。
【0066】
関連技術の当業者により理解されるように、本明細書全体を通して、単語は、それらの通常の意味を与えられるべきである。しかし、誤解を避けるために、特定の用語の意味は具体的に定義又は明確化される。
【0067】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、その後に記載する状況が発生する場合としない場合があることを意味する。そのため、その記載には、その状況が発生する事例と発生しない事例が含まれる。同様に、成分又は工程を「任意に存在する(optionally present)」と称する実施形態は、それらの実施形態は、工程又は成分が存在する又は存在しない別個の独立した実施形態を含む。「任意の(optional)」という記載は、任意条件の発生を可能とするが、必須ではない。
【0068】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものである。当業者は、本発明の趣旨及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識する。
【実施例
【0069】
材料
全ての材料は市販されており、別途記載のない限り、既知の供給元から入手した。
【0070】
実施例1
コーディエライト基材を触媒組成物でコーティングすることにより、触媒物品を調製した。触媒組成物は、Ba=4.5重量%の含有量と共に、3重量%のPd担持アルミナ/OSC材料を含む。
【0071】
触媒物品は、以下のアルミナ成分を含有する上記配合物を用いて調製した。
1 従来のアルミナ
2 Ti-ドープアルミナ
3 Mn-ドープアルミナ
4 Cu-ドープアルミナ
5 Zn-ドープアルミナ
【0072】
触媒を、表1に示すようなCO及びOガスを含むガス流と接触させることにより、各触媒物品についてOSC性能試験を実施した。
【0073】
【表1】
【0074】
OSC試験では、1体積%のCOガス及び0.5体積%のOガスを交互に触媒コアサンプルに通し、300℃でのCO消費量を計算して酸素吸蔵能の量を推定した。
【0075】
図2に示すように、従来のアルミナを含有する触媒と比較した場合、試験された遷移金属元素ドープアルミナ系では、300℃においてOSC性能の大幅な改善が見られた。300℃でのOSC性能の改善は、従来のアルミナ触媒に対して40%~690%の範囲であった。
【0076】
実施例2
触媒1(比較)
触媒1は、二重層構造を有する三元(Pd-Rh)触媒である。底層は、第1のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナ、Baプロモーターのウォッシュコート上に担持されたPdからなる。底層のウォッシュコート担持量は約2.0g/inであり、Pd担持量は160g/ftであった。上層は、第2のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナのウォッシュコート上に担持されたRhからなる。上層のウォッシュコート担持量は約2.0g/inであり、Rh担持量は26g/ftであった。触媒1の総ウォッシュコート担持量は約4.0g/inであった。
【0077】
触媒2
触媒2は、三重層構造を有する三元(Pd-Rh)触媒である。底層は、TM-ドープアルミナを含む。触媒2aにおいて、TM-ドープアルミナは、8重量%のFeを有するFe-ドープアルミナである。触媒2bにおいて、TM-ドープアルミナは、8重量%のMnを有するMn-ドープアルミナである。底層のウォッシュコート担持量は、約1.0g/inである。中間層は、第1のCeZr混合酸化物、La安定化アルミナ、Baプロモーターのウォッシュコート上に担持されたPdを含む。底層のウォッシュコート担持量は約2.0g/inであり、Pd担持量は160g/ftである。上層は、第2のCeZr混合酸化物、及びLa安定化アルミナの、ウォッシュコート上に担持されたRhからなる。上層のウォッシュコート担持量は約2.0g/inであり、Rh担持量は26g/ftである。触媒2の総ウォッシュコート担持量は約4.0g/inである。
【0078】
比較触媒1及び触媒2を、燃料カットエージングサイクルにより、950℃のピーク温度で、75時間ベンチエージングし、1.5Lのエンジンを有する商用車両に対し車両排出を実施した。触媒の前後で排出量を測定した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示すように、触媒2は、比較触媒1と比較して、HC及びNO排出の大幅な減少を示した。
図1
図2