(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】再利用可能なRFIDトランスポンダ部品及びこのための製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240625BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20240625BHJP
H01Q 7/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
G06K19/077 136
G06K19/077 252
H01P11/00
H01Q7/00
(21)【出願番号】P 2021526665
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 US2019061742
(87)【国際公開番号】W WO2020102681
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-07
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】メロ,フランチェスコ ドゥアルテ バルボサ テイシェイラ イー
(72)【発明者】
【氏名】フォースター,イアン
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0206524(US,A1)
【文献】特開2009-137599(JP,A)
【文献】特開2002-099885(JP,A)
【文献】特開2006-074266(JP,A)
【文献】特開2014-109842(JP,A)
【文献】特開2014-199979(JP,A)
【文献】特開2017-182717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01P 11/00
H01Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数識別(RFID)装置の製造方法であって、
ホイルを
用意するステップと、
前記ホイル上
の複数の
RFIDアンテナパターン
のテッセレーション
を決定するステップ
であって、前記テッセレーションは、ギャップおよび重なりを有することなく繰り返される複数のRFIDアンテナパターンの配列である、ステップと、
前記複数のRFIDアンテナパターンのテッセレーションをパターニングするステップであって、前記複数のRFIDアンテナパターンのネガ画像を、生分解性の油を用いて印刷することを含むステップと、
前記ホイルを切り取るステップ
と、
を含むRFID装置の製造方法。
【請求項2】
前記パターニングの前に、前記複数のRFIDアンテナパターンを生分解性の接着剤でコーティングするステップをさらに含み、
前記複数のRFIDアンテナパターンのネガ画像は、前記接着剤のコーティング上に印刷される、
請求項1に記載のRFID装置の製造方法。
【請求項3】
前記テッセレーションは、ギャップおよび重なりを有することなく繰り返される複数の多角形のRFIDアンテナパターンの配列である、請求項1
または2に記載のRFID装置の製造方法。
【請求項4】
前記テッセレーションは、
複数の異なる幾何学的形状を有する複数のRFIDアンテナパターンの配列、および
複数の異なるサイズを有する複数のRFIDアンテナパターンの配列
の少なくとも一方である、
請求項1
から3のいずれかに記載のRFID装置の製造方法。
【請求項5】
前記テッセレーションは、複数の異なる幾何学的形状を有するRFIDアンテナパターンの配列であり、
前記RFIDアンテナパターンの幾何学的形状は、三角形、正方形、矩形、
および六角形
のうちの2つ以上である、請求項
4に記載のRFID装置の製造方法。
【請求項6】
前記接着剤は、ポリビニルアルコール接着剤、澱粉系接着剤又は非UV硬化接着剤のいずれか一つである、請求項
2に記載のRFID装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数のRFIDアンテナパターンの各々の一部を中空化するステップをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載のRFID装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数のRFIDアンテナパターンの各々の一部を中空化するステップは、前記複数のRFIDアンテナパターンの各々の中心部から導電性の領域を除去することを含む、請求項6に記載のRFID装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月15日に出願された米国仮特許出願のシリアル番号第62/768、080号から優先権を主張し、これは本願に参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、無線周波数識別(RFID)装置及びその製造方法に関する。より具体的には、本明細書に開示されたRFID装置及び製造方法は、より効率的なRFID装置の設計を利用して、RFID装置の性能を犠牲にすることなく、製造材料の廃棄物を少なくし、再利用の機会を増加させる。したがって、本明細書ではこれについて具体的に言及する。しかし、本発明の態様は、他の類似の用途、装置及び製造方法にも等しく適用可能であることを理解すべきである。
【0003】
一般に、無線周波数識別とは、電磁エネルギーを用いて(RFID「タグ」またはトランスポンダという)反応装置を刺激して、自動に識別することをいい、場合によっては、タグに格納された追加情報及び/又はデータを提供する。通常、RFIDタグは、その上にアンテナと接続された動作回路及びメモリが形成されている、一般に「チップ」と呼ばれる半導体装置を含む。通常、RFIDタグは、インテロゲイタとも呼ばれるリーダから受信された無線周波数質問信号に応答して、チップメモリに格納された情報を提供するトランスポンダの役割をする。受動型RFID装置の場合、質問信号のエネルギーはまた、RFIDタグ装置を作動するのに必要なエネルギーを提供する。
【0004】
RFIDタグは、使用者が後で識別及び/又は追跡しようとする物品に組み込まれるか、取り付けられ得る。場合によっては、RFIDタグは、クリップ、接着剤、テープ、または他の手段を用いて物品の外部に取り付けてもよく、また他の場合において、RFIDタグは、例えばパッケージに含まれている、物品内に挿入されてもよく、物品の容器内に位置するか、又は衣服に縫い付けてもよい。また、RFIDタグは、通常、検査数字が付された数バイトの簡単なシリアル番号である固有の識別番号で製造される。この識別番号は、通常、製造時にRFIDタグに組み込まれる。使用者は、このシリアル番号/識別番号を変更することができず、製造業者は、それぞれのRFIDタグのシリアル番号が一度だけ使用され、したがって固有であることを保証する。このような読み取り専用のRFIDタグは、通常、識別及び/又は追跡すべき物品に恒久的に取り付けられ、一度取り付けられると、タグのシリアル番号はコンピュータのデータベースのホスト物品と関連付けられる。
【0005】
これらのRFID装置は、一般に、アンテナと、通信電子装置、データメモリ及び制御ロジックなどのアナログ及び/又はデジタル電子装置との組み合わせだけでなく、上記アンテナと電子装置を支持及び保護し、これを客体に組み込むか、又は取り付ける構造体を含む。RFIDラベルは、一方の面に印刷物が設けられた印刷ラベルの一部として客体に接着式で取り付けられるか、又は上記客体に直接取り付けられるRFID装置である。これに対して、RFIDタグは、通常、プラスチックファスナー、ストリングまたはコードを用いて客体に取り付けられるか、又は上記客体に固定される、より実質的な装置である。
【0006】
すべてのRFID装置は、通常、特定のパラメータを念頭に置いて設計される。例えば、大半の用途において、RFID装置の大きさ及び形状(すなわち、形状因子)は、装置の柔軟性などの他の属性と同様に非常に重要である。セキュリティ、美観、製造の効率性などといった様々な理由から、RFID製造業者側では、さらに小さい形状因子を用いる傾向が非常に強い。したがって、比較的薄いプロファイル及び柔軟性が一般に要求されるため、RFIDタグ又はラベルに過度の厚さ又は剛性が追加された、体積の大きい電子装置及びRFID装置構成体などの材料を避けることが重要である。
【0007】
RFID装置は、最も一般的な主要部品であって、RF装置の動作周波数の約1/2波長の物理的な長さを有するループで包まれた柔軟なダイポールアンテナと、非常に小さく且つ柔軟なチップとを含む。アンテナ及びチップは、装置の製造を容易にするために、「ストラップ」、「インターポーザ」及び「キャリア」と呼ばれる構造体と接続し得る。説明のために、上記のストラップ、インターポーザ及びキャリアは以下に総括して「ストラップ」という。
【0008】
これらのストラップは、チップと関連する接続部とアンテナと関連する接続部との間をルーティングするための電気的インターフェースとして機能し得る。ストラップは、アンテナに結合するために、チップの接触パッドに電気的に結合される導電性リード又はパッドを含み得る。これらの導電性リード又はパッドは、ストラップ又はインターポーザを使用せずに直接配置するために精密に位置合わせされたチップよりも大きな有効な電気的接触領域を提供するために使用され得る。有効な電気的接触領域が大きくなるので、製造時のチップの配置に要求される正確度は減少する一方、アンテナとチップとの間には、依然として効果的な電気的接続が提供される。チップの配置及び実装が、高速な製造のための従来の制約事項であるため、製造の間、このような装置の使用が非常に有用であり得るが、このような装置の使用はまた、製造工程の間、より多くの材料の消費をもたらし、製造費用が増加するので、好ましくない。
【0009】
さらに、RFIDタグ及びラベルは、客体を識別コードと関連付ける必要のある多種多様な産業で広範に使用され、使用量が増加しており、ほぼすべての産業及びすべての製造段階で微小規模と大規模のいずれにも用いられ得る。例えば、RFIDタグは、組立ラインを経て進行状況を追跡するために、自動車部品などの製造部品とペアを成し得る。RFIDタグはまた、注文の履行及び/又は配送時及びその後の使用を経て、同一品を追跡するために完成品とペアを成し得る。また、RFIDタグは、遊園地のスマートパスやカジノチップ(例えば、「ハイローラー」チップ)などのあらゆる種類のサービス及びエンターテイメント産業で顧客をよりよく管理し、顧客の消費支出を追跡するために、用いることができる。RFIDタグはまた、識別及び/又は追跡を容易にするために、家畜及びペットなどの生物学的有機体に埋め込むことができる。
【0010】
結果として、全般的にはRFID市場が非常に重要である。例えば、RFID市場全体は、2017年の基準で110億ドル以上の価値があると推算され、約182億個のRFIDタグが販売されたことが推定され、この数値のほぼ半分(すなわち、87億個のタグ)は、衣服に単独で使用された。また、これは衣服市場全体の約20%に過ぎないと推定され、衣料産業で相当な成長の余地があることを意味する。同様に、8億個以上のRFIDタグが輸送に用いられるチケットに埋め込まれたことが推定され、4億個以上のタグが家畜及びペットなどの動物に埋め込まれた。
【0011】
さらに、前述の用途の多くは、RFIDタグを比較的短い期間の間用いることだけを必要とする。期間満了後は、RFIDタグを保持する必要がなく、所望の場合、取り除くこともできる。例えば、RFIDタグが在庫及び小包を追跡するのに使用される場合、工程の一部ステップ(例えば、製造された製品が組み立てられる時)で在庫から取り除くことができ、小包が意図した目的地へ配送されれば、いつでも小包から取り除くことができる。同様に、輸送に用いられるチケットに内蔵されたRFIDタグは、受領者が意図した目的地に到着すれば、いつでも廃棄することができる。
【0012】
製造及び販売されるRFIDタグの個数が非常に多いため、製造材料の些細な節約やRFIDタグ当たりの費用の削減も製造業者にとっては非常に大きな財政的影響を及ぼし得る。例えば、製造に用いられた総質量の減少が百万個のタグ当たりのレベルでのみ明らかであっても、一つの特定のRFIDタグが数十億個製造される場合は、相当な数値であるから、潜在的に実施価値があり得る。同様に、相当な量のRFID材料が、適切な条件下で製造工程後に再利用され得る。したがって、関連の規模により、再利用可能な材料の割合を多少増加させる再利用の利便性における些細な改善さえも非常に有益であり得る。
【0013】
また、RFIDの製造工程の他の部品から相当な費用削減を実現することができる。例えば、RFIDラベルの製造工程には、通常、接着剤処理が含まれる。したがって、接着剤の適用、取扱及び/又は再利用に関する費用の削減は、実質的で且つ、非常に有益であり得る。同様に、RFIDアンテナにチップを取り付けることに関連する費用の減少は、製造業者に相当な費用削減をもたらすこともできる。その上、多数のRFIDタグ及びラベルは、タグ又はラベルが配送される期間などの短期間の間にだけ有用であり得るので、用いられたRFIDタグ又はその材料の一部分を回収して再利用することもできる。
【0014】
したがって、製造廃棄物の発生の低減をもたらす、より効率的なRFIDの設計及び製造方法への長年にわたる必要性が当業界に存在する。また、再利用の機会の増加をもたらすRFIDの設計及び製造方法への長年にわたる必要性が当業界に存在する。最後に、RFID装置の性能を犠牲にすることなく、記載された目標を達成するRFIDの設計及び製造方法への長年にわたる必要性が当業界に存在する。
【発明の概要】
【0015】
本明細書に様々なRFID部品及びその製造方法の様々な改善が記載されている。様々な改善により、RFID装置の性能を犠牲にすることなく、製造廃棄物を少なくし、再利用の機会を増加させる。
【0016】
例示的な実施形態によると、改善されたRFID装置は、その構成に使用される材料(例えば、アルミニウム又は類似する金属又は合金であり得る)の総質量が減少するか、又はRFID装置の製造で消費される材料の質量が減少するように構成される。これにより、RFID装置の製造と関連する材料コストを低減させ得るか、又はより効果的且つ、効率的な再利用が行われることを可能に許容することで、製造コストを低減或いは相殺させ得る。
【0017】
例示的な一実施形態において、製造工程で、又は最終のRFID装置から、不要なホイルを除去することによってRFID製造工程が改善され得る。例えば、一部の例示的な実施形態によると、導体を除去した際に、全体の装置性能に最小限の影響を与える領域が存在することを、RFID装置の現在のマップに基づいて決定し得る。例えば、製造工程で消費される材料の量を低減させ、工場での製造又は製造直後に部品として再利用され得る材料の量を増加させるために、RFIDアンテナは、そのような領域がほとんどないか、又はそのような領域にさらに少ない材料を有するように設計してもよい。例示的な一実施形態において、この減少は、RFIDアンテナの中央から導電性領域を除去するために、RFIDアンテナを「中空化」することで達成され得、ここで、このような導電性材料の除去は、全体の装置性能に最小限の影響を与える。また、他の例示的な実施形態において、導電性領域の一部又は全部を銀インクのような溶液の形で印刷する場合に、導電性領域の減少は、溶液の使用量を減少させることによって達成され得る。
【0018】
また、印刷されたRFIDアンテナを該当材料にさらによく適合化することにより、製造工程で消費される材料の減少を達成することができる。より具体的に、例示的な実施形態によると、RFIDアンテナの間に配置されるマトリックスストリップを使用する必要がないホイル上にRFIDアンテナを形成することが好ましい。例えば、例示的な一実施形態において、棒状アンテナ(又は棒状アンテナと類似のアンテナ)が用いられ得る。以下、「非ストリップ」アンテナと呼ばれる一つのそのようなアンテナは、T字形状にカットされ、ピッチが0である棒状アンテナと似ていてもよい。このようなRFIDアンテナ設計の使用は、大半(例えば、100%に近い)のホイルがRFIDアンテナに変形し、ホイルの残りがすべてマトリックスストリップの除去に基づき、きれいに再利用できることを保証し得る。また、RFIDチップをアンテナに固定するのに用いられるストラップをさらに回収してもよく、可能な場合、RFIDチップ又はシリコーンもまた回収及び/又は再利用することができることを当業者が認識するであろう。
【0019】
本発明のまた別の例示的な実施形態によると、RFID装置の性能を許容可能なレベルに保ちながら、それぞれのRFID装置を製造するのに用いられる材料の量を減少させるために、目的のRFID装置に最も好適なアンテナの類型を慎重に選択し得る。また、RFIDアンテナは、様々な類型だけでなく、様々な形状で準備及び製造され得ることを理解するであろう。一部の例示的な実施形態において、これらの形状は、製造の実行又は目的の用途に応じて様々であり得るか、又は使用者のニーズ及び/又は好みに合う任意の他の基準に基づき得る。例えば、例示的な実施形態によると、RFIDアンテナは、同一のシートに印刷された他のRFIDアンテナとより効率的にテッセレーションする形状で準備され、従って、RFIDアンテナを製造するために、より多くのアルミニウム領域を用いることができ、アルミニウム領域の廃棄が少なくなる。正方形のアンテナは、通常、当業界で最も一般的であるが、三角形、六角形、又は他の幾何学的又は非幾何学的形状などの他の形状は、さらに効率的にテッセレーションすることができ、従って、上記の他の形状は、アルミニウム領域を節約し、廃棄物を減少させるために、正方形の形状のアンテナ代わりに利用され得る。
【0020】
また別の例示的な実施形態において、空間を完全に最大化するために、シートの上に用意された多数の異なる形状及び/又は多数の異なる大きさのアンテナを有することが好ましく、アンテナシートは、空間効率性を極大化するために、多数の異なる幾何学的形状又は多数の異なる大きさの幾何学的形状(或いは両方)にタイリングされ得る。これらのアンテナ形状は、一部の例示的な実施形態において、正多角形、不規則な多角形、又は使用者の好みに合う任意の他の幾何学的又は非幾何学的形状であってもよく、効率性を高め、廃棄物を減少させるために、いずれも同一のシートに形成してもよい。また、一部の例示的な実施形態において、異なる形状又は大きさのRFIDアンテナなどのRFIDアンテナを混合して使用する際に、RFIDアンテナは、異なる類型であり得ることが理解されるであろう。例えば、一部の例示的な実施形態において、RFIDアンテナは、直接取り付け型やストラップ取り付け型などの異なる工程を用いることができる。本開示において、「直接取り付け型」は、RFIDアンテナ間の直接の取り付けをいう一方、「ストラップ取り付け型」は、本明細書の他の箇所で説明しているように、ストラップを用いた取り付けをいう。
【0021】
本発明のまた別の実施形態によると、RFIDアンテナを製造するのに用いられるホイルの厚さは、変更してもよい。例として、現在15μmのホイルを用いて製造されたRFIDアンテナは、その代わりに3μmのホイルなど許容可能なはるかに薄いホイルを用いるために、厚さを薄くしてもよい。一部の例示的な実施形態において、表皮深さ効果により、さらに薄いホイルの使用が許容され得る。例えば、アンテナによって受信されたRFID信号は、前記アンテナによって分散し、誘導電流密度がRFIDアンテナの表面近くで最も大きく、導体の深さが深くなるほど減少し、上記の深さは、導体の材料に基づく。したがって、大きさが実質的に減少したホイルも相当な量の電流を導電してRFID信号を受信することができる。厚さが3μmよりも小さい大きさなどの異なる大きさの他のホイルをさらに利用してもよく、3μmの言及を制限と解釈すべきではない。
【0022】
それにもかかわらず、非常に薄いホイルの使用は、特に、機械的取り扱いの分野で他の製造的な問題を引き起こし得ることを理解すべきである。例えば、現在当業界で用いられている厚さよりも薄い厚さを有するホイルを伝達したり、配布することは非実用的であり得る。また、不適切な機械的取り扱いによりパーツが損傷する可能性が高いことから、非常に小さなパーツを製造するために、同一のホイルを用いようとする試みは、さらにいっそう非実用的であり得る。したがって、さらに薄いホイルの使用は、さらに薄いホイル及びホイルのパーツをこのような大きさで取り扱うためのメカニズムの導入と組み合わせられなければならない。例示的な実施形態によると、さらに薄いホイルには、容易な取り扱いのために、ホイルパーツを厚くするために紙基材が設けられ得る。例えば、ホイルは、ロール状に準備及び提供され、紙裏地はホイルと平行であるので、パーツが紙裏地と共にホイルから取り除くことが可能であり、パーツが適用されると、紙裏地は取り除かれ得る。
【0023】
RFID装置の薄いホイルを機械的に取り扱う代替的な裏地及び代替的な方法も考慮される。一部の例示的な実施形態において、RFID装置の製造に消費されるアルミニウムの量をかなり減少させるために、薄いホイルを機械的に取り扱う代替的な裏地及び代替的な方法が用いられ得る。例えば、15μmのアルミホイルを用いる製造工程を、その代わりに3μmのアルミホイルを用いるように変更する例示的な実施形態によると、より簡単な取り扱いのために、厚いアルミニウムでストラップパーツのような一部のパーツを構成する必要がある場合、RFIDアンテナの製造に用いられるアルミニウムの量は、80%、又は潜在的に80%超で減少し得る。
【0024】
本発明のまた別の例示的な実施形態によると、改善されたRFID装置は、用いられるアルミニウムの量と関連するもの以外の費用低減により低減した生産コストで構成され得る。例えば、改善されたRFID装置を構成するアルミニウム材料と接着剤との相互作用により、製造コストの低減が実現できる。より具体的には、改善されたRFID装置の再利用性を改善するために適切な接着剤が選択され得、その結果、製造に用いられたアルミニウムの再生利用を容易にする。このような例示的な実施形態によれば、RFIDアンテナの一部又は全部を接着するために、当業界で用いられるような現在のUV硬化材料以外のより単純な接着剤を用いることができ、廃棄物ストリームに影響を与える側面から、これらのUV硬化接着剤に比べて利点を有することができる。より具体的には、廃棄物ストリームへの影響が少なく、除去がさらに容易で、そのためアルミニウムの再利用をさらに容易にする、より単純な接着剤が利用できる。
【0025】
さらに、一部の例示的な実施形態において、RFIDアンテナはパターニングされた接着剤を使用することなく構成され得る。例えば、上述の「非ストリップ」アンテナに関して、パターニングされた接着剤ではなく、コーティングを用いることができる。より具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)接着剤をコーティングとして用いることができ、その結果、コーティングが最終的に生分解することを可能にする。代案として、澱粉系接着剤のような他の接着剤をさらに用いることができ、これにより、コーティングが最終的に生分解できるようにしたり、特定の溶媒を用いてコーティングがさらに除去されやすくすることもできる。
【0026】
あるいは、他の例示的な実施形態において、RFIDアンテナをUV硬化接着剤以外の別の接着剤でパターニングすることが好ましい場合がある。例えば、RFIDアンテナは、澱粉系接着剤などの特定の類型の接着剤でコーティングされてもよく、それにより、澱粉系接着剤が粘着性のある状態を取るようにしてもよい。次のステップにおいて、上述のような非ストリップアンテナは、RFIDアンテナのネガ画像を油を用いて印刷し、次いで、当業界で知られているような標準のカットアンドストリップの手順に沿ってパターニングされ得る。特定の例示的な実施形態において、これらの成分の一部又は全部が生分解性であることもまた好ましい。例えば、植物性油は、生分解性を保証するためにパターニング工程の間用いられ得る。
【0027】
改善されたRFID装置のまた別の例示的な実施形態において、RFID装置に用いられるチップは、廃棄物ストリームへのチップの影響を減少させるために、従来のチップと異なることがある。例えば、チップの影響を低減させるために、物理的にさらに小さなチップを利用し得る。あるいは、チップの調達費用が減少する場合には、物理的にさらに大きなチップを用いることが好ましい場合もある。例えば、RFIDタグに設けられるRFIDチップのセットにおいて、RFID装置の全体のプロファイルを歪めることなく費用の削減を実現できる場合には、プログラマブルインテリジェントコンピュータ(PIC)又は他の類似するチップなどのある程度大きなチップを利用することで費用削減をより実現しやすい場合がある。これに比べて、RFIDラベルのセットにおいて、費用削減を実現することは容易でなく、ここでは空間がより重要であり、小型200μmから400μmまでのシリコンチップのような低プロファイルのチップを用いることが好ましい。
【0028】
さらに、RFID装置は、現在の段ボール、プラスチックボトル、織物品などのような再利用可能な材料に取り付けられたラベルの一部として一般的に用いられている。残念ながら、RFIDチップは構造の最も値段の高いパーツの一つであり、また小さいが、エネルギーを使用し、構造内の材料を再利用することが難しい。したがって、費用及び環境的な目的両方のために、RFID装置が取り付けられた製品を再利用及び/又は廃棄する際に、RFID装置を回収して再利用することができるのが有益である。
【0029】
RFIDラベル又は装置が含まれた大半の現在の廃棄物ストリームにおいて、製品のパッケージは廃棄後収集されて、再利用施設で処理され、紙パルプ又はプラスチックペレットなどの再利用可能な製品を生産する。RFIDチップは、排出材料に組み込まれて、それによって汚染物として作用し、再利用材料の価値を下げたり、上記材料がRFIDチップと共に簡単に廃棄される。
【0030】
この問題を解決するために、再利用の段階でRFIDチップを回収して、再使用するためにRFIDラベル製造業者又は供給者に戻すことにより、RFIDチップが再利用材料に含まれたり、廃棄されることを防止することができることが考慮される。より具体的に、再利用施設は、回収されたRFID装置/チップをラベル製造業者に販売して、材料全体を再利用するのにより費用効率を良くして、再利用率を高めることができる。
【0031】
再利用のために設計された近距離磁気ストラップに関して、上記ストラップは、インダクタとして作用して、所望の周波数でチップの静電容量と共振する導体のループで構成される。次に、装置は、湿気の浸透を防止するために、接着剤を用いてPETなどの二つのフィルムの間に当該装置をカプセル化することによってパッケージ化され得る。使用の際、近距離装置は、アンテナの近くに配置されて結合され、遠距離RFID装置を形成する。再利用工程には、通常、攪拌及びパルプ化などの機械的動作が含まれるので、ストラップは理想としては可能な限り小さい(例えば、最小直径)。したがって、導体のループと関連付けられる線幅も、装置の全体の大きさを減少させるために、可能な限り小さい。
【0032】
ストラップの修正バージョンには、二つ以上のターンで構成されたインダクタが含まれる。例えば、マルチターンコイルは、RFIDチップを導体の内部と外部の両方の端部に接続させる必要があり、これは、チップの下でターンをルーティングするか、第2ブリッジ導体を用いて達成することができ、両面エッチング工程の一部又は導電性材料の追加印刷として形成される。コイルを形成する導体は、アルミホイル等の金属又は印刷された導電性インクであり得る。縮径化したストラップを形成する別の方法は、中央領域で比較的に高い透磁率の材料を用いて、コイルのインダクタンスを増加させ、より小さい直径を許容することを含む。
【0033】
また、本発明は、廃棄物ストリームの量でRFID装置の存在を隔離し、その量を分離して、単位体積当たりのRFID装置の密度の高い二次廃棄物のストリームを生成するように設計されたフィルタリングシステムを考慮する。より具体的に、システムは、例えば、パイプ又はコンベヤなどの廃棄物ストリームの既知の領域に結合したRFIDリーダ、及び一部の廃棄物ストリームを選択的に切り替える方法を用いる。廃棄物ストリームの特性に応じて、様々な類型のRFIDアンテナ及びRFIDに対する結合を用いることができる。例えば、水などの液体廃棄物のキャリアの場合、近距離リーダアンテナが最も好適であり得る。これに比べて、遠距離RFIDアンテナは、コンベア上に破砕された廃棄物と共に用いるのにさらに好適であり得る。
【0034】
また、別の代替的な実施形態において、RFIDループ及びチップは、発泡材料の二つの層の間にカプセル化することで、これらの相対密度を水よりも小さくして、再利用工程時の水タンクの上部へ浮遊させることができる。より具体的に、ストラップは、RFIDアンテナに隣接して取り付けられ、RFIDラベルの構造によって圧縮された状態を維持することで発泡体が圧縮され、圧縮されていないストラップの目視上「バンプ」を最小化する。ストラップはその後、RFIDラベルが再利用される際に、非圧縮状態に戻り得る。
【0035】
本発明のまた別の実施形態において、フィールドストラップは軟鋼などの磁性物質が占める領域の一部分を有し得る。磁性材料を用いる場合、再利用工程時の磁場を用いて分離することができるので、再利用材料の残りからRFID装置を取り出すことができる。
【0036】
本発明の実施形態の利点は、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかであり、このような説明は、同様の番号が同様の要素を示す添付図面と共に考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】従来技術で提供されている、ストラップを用いて製造されたRFIDトランスポンダの例示的な実施形態を示している。
【
図2】従来技術で提供されている、ストラップを用いて製造されたRFIDトランスポンダの例示的且つ代替的な実施形態を示している。
【
図3】RFIDアンテナの例示的な実施形態で用いられ得るような六角形コイルの例示的な実施形態を示している。
【
図4】N個の例示的なテッセレーションで準備されたホイルシートの例示的な実施形態を示している。
【
図5】従来技術で提供されている、マトリックスストリップにより分離されたパーツのアセンブリの例示的な実施形態を示している。
【
図6】非ストリップアンテナアのセンブリの例示的な実施形態を示している。
【
図7】非ストリップアンテナの例示的な実施形態を示している。
【
図8】RFID装置を生産する改善された方法を例示するフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の態様は、本発明の特定の実施形態に関する以下の説明及び関連図面に開示される。本発明の思想又は範囲を外れることなく、代替的な実施形態が考案され得る。また、本発明の例示的な実施形態のよく知られている要素は、詳しく説明されないか、又は本発明の関連の詳細事項を曖昧にしないよう省略されるであろう。さらに、説明の理解を容易にするために、本明細書で用いられる一部の用語の説明が続く。
【0039】
本明細書で用いられるように、「例示的な」という単語は、「例、事例又は例示として提供されること」を意味する。本明細書で説明される実施形態は、限定的ではなく、単に例示に過ぎない。説明される実施形態が、必ずしも他の実施形態よりも好ましかったり、有利であると解釈される必要はないことを理解すべきである。また、「本発明の実施形態」、「実施形態」又は「発明」という用語は、本発明のすべての実施形態が、説明される特徴、利点又は作動モードを含むことを要求することはない。
【0040】
また、多数の実施形態は、例えば、コンピュータ装置の要素によって行われる一連の動作について説明する。本明細書に説明される様々な動作は、特定の回路(例えば、特定の用途向け集積回路(ASIC))、一つ以上のプロセッサにより実行されるプログラムの命令語、又は両方の組み合わせにより行うことができることを認識するであろう。さらに、本明細書に説明される一連の動作は、実行の際に、関連するプロセッサが本明細書に説明されている機能を行うことができるようにするコンピュータ命令語の対応セットを内部に格納した任意の形態のコンピュータ読み取り可能な格納媒体内で完全に具現化するもの考えられる。したがって、本発明の様々な態様は、多数の異なる形態で具現化でき、これらはすべて、請求される主題の範囲内にあると考えられている。また、本明細書に説明されているそれぞれの実施形態に対して、任意のそのような実施形態の対応形態は、例えば、説明された動作を行うように「構成されたロジック」として本明細書に説明され得る。
【0041】
次に、
図面を参照すると、
改善されたRFID装置、並びにこれらの製造方法及び可能な再利用方法の様々な例示的な実施形態が開示されている。背景として、
図1~2はストラップ104を用いて製造された従来技術のRFIDトランスポンダ100の例示的な実施形態を表す。RFIDトランスポンダ100は、好ましくは、それぞれのリード106を有する一対の離隔した接続部102で構成される。例示的な実施形態によると、ストラップ104は、チップと関連付けられる接続部及びアンテナと関連付けられる接続部などの接続部102の間のルーティングのための電気的インタ
ーフェースを提供することにより、トランスポンダ100の製造を容易にするのに用いられ得る。より具体的に
は、ストラップ104は、(
図2に図示の通り)ストラップ104が誤
って配置された場合であっても、それぞれのリード106の間にブリッジをさらに生成するように、リード106の上に配置され、リード106の間に延び得る。
【0042】
図3は、RFIDアンテナの例示的な実施形態で用いられ得るような六角形コイル300の例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態によると、コイル構造300は、その外径(例えば、一方
の辺と他方
の辺との間の距離)、その内径(例えば、導電性材料の六角形コイル300のループ
に囲まれる内孔の直径)、コイル300の幅及びコイル300の連続ループの間の空間によって規定される特性を有し得る。本発明の例示的な実施形態によると、コイル300に用いられる材料を最小限
にするようにコイル300を配置又は構成し、これにより、RFID装置の製造に関する材料費を減少させ、及び/又はより効果的且つ効率的な再利用を可能にして、構造比を減少させ得る。
【0043】
より具体的には、上述のように、RFIDの製造工程は、製造工程、又は最終のRFID製品から不要なホイルを除去することにより改善され得る。例えば、RFID装置の現在のマップに基づいて、導体を除去した場合にRFID装置の全体的な性能への影響が最小限になる領域が存在するかが確認され得る。したがって、RFIDアンテナは、製造工程で消費される材料の量を減少させ、(工場での)生産又は生産直後の一部として再利用され得る材料の量を増加させるために、そのような領域で材料がほとんどないか、又はそのような領域でより少ない材料を有するように設計され得る。一つの例示的な実施形態において、このような結果は、材料を除去しても装置の全体性能に及ぼす影響が最小限に抑えられるRFIDアンテナの中央における導電性領域を除去するためにRFIDアンテナを「中空化」することによって達成することができる。また、別の例示的な実施形態において、導電性領域の一部又は全部が銀インクのような溶液の形で印刷される場合、導電性領域の減少は、用いられる溶液の量を減少させることによって達成することができる。
【0044】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によると、RFID装置の性能を許容可能なレベルに維持しながら、それぞれのRFID装置を製造するのに用いられる材料の量を減少させるために、目的のRFID装置に最も好適なアンテナのタイプが慎重に選択され得る。より具体的には、RFIDアンテナは、異なる形状で準備及び製造され得、これらの形状は、製造の実行又は目的の用途に応じて様々であり得るか、又は使用者のニーズ及び/又は好みに合う任意の他の基準に基づき得る。例えば、RFIDアンテナは、以下にさらに完全に説明されるように、より多くのアルミニウム領域を用いてRFIDタグを形成することができ、アルミニウム領域の廃棄が少なくなるように、同一のシートに印刷された他のRFIDアンテナとより効率的にテッセレーションする形状で準備することができる。正方形のアンテナは、通常、当業界で最も一般的であるが、三角形、六角形、又はその他の幾何学的又は非幾何学的形状などの他の形状は、さらに効率的にテッセレーションすることができ、従って、上記の他の形状は、アルミニウム領域を節約し、廃棄物を減少させるために、正方形の形状のアンテナ代わりに利用され得る。
【0045】
図4は、例示的なテッセレーション302で準備されたホイルシートの例示的な実施形態を示し、これは、一般に互いに密接にフィットされた形状、特にギャップ又は重畳なしに繰り返されたパターニングの多角形の配列として説明
することができる。より具体的には、ホイルシートは、例えば、三角形304、正方形306及び正六角形308などの任意の形状又は形状の組み合わせを特徴とするテッセレーション302で準備
することができ、これらの一つ
が、六角形コイル300を特徴とする
ものとして示
されている。一実施形態において、コイル300は、所望のテッセレーション302の一部又はすべての形状から形成され得る。例えば、通常のRFIDアンテナ(正方形コイルが最も頻繁に用いられ得る)で用いるために、正方形コイルがそれぞれの正方形306に形成されてもよく、三角形コイルがそれぞれの三角形304に形成されてもよく、六角形コイル300などの六角形コイルがそれぞれの六角形308に形成されてもよい。他の形状又は形状の組み合わせ
も可能であ
り、さらに、例えば、それらが配置されたものと異なる形状
のコイル300
を形成することも可能である。例えば、所望の単一の矩形状
の多数の正方形コイルを形成することが好ましい
場合もある。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態において、空間を完全に最大化するために、シートに準備された多数の異なる形状及び/又は多数の異なる大きさのアンテナを有することが好ましく、アンテナシートは、空間効率性を極大化するために、多数の異なる幾何学的形状又は多数の異なる大きさの幾何学的形状(或いは両方)にタイリングされ得る。これらのアンテナ形状は、一部の例示的な実施形態において、正多角形、不規則な多角形、又は使用者の好みに合う任意の他の幾何学的又は非幾何学的形状であってもよく、効率性を高め、廃棄物を減少させるために、いずれも同一のシートに形成してもよい。また、一部の例示的な実施形態において、異なる形状又は大きさのRFIDアンテナなどのRFIDアンテナを混合して使用する際に、RFIDアンテナは、異なる類型であり得ることを理解されるであろう。例えば、前述の通り、一部の例示的な実施形態において、RFIDアンテナは、直接取り付け型やストラップ取り付け型などの異なる工程を用いることができる。
【0047】
本発明の更なる例示的な実施形態において、RFIDアンテナを製造するのに用いられるホイルの厚さは、変更してもよい。例えば、上述のように、現在の15μmのホイルを用いて製造されたRFIDアンテナは、その代わりに3μmのホイルなど許容可能なはるかに薄いホイルを用いるために、厚さを薄くしてもよい。表皮深さ効果により、さらに薄いホイルの使用が許容され得る。例えば、RFIDアンテナによって受信されたRFID信号は、前記アンテナによって分散し、誘導電流密度がRFIDアンテナの表面近くで最も大きく、導体の深さが深くなるほど減少し、上記の深さは導体の材料に基づく。したがって、大きさが実質的に減少したホイルも相当な量の電流を導電して信号を受信することができる。
【0048】
それにもかかわらず、非常に薄いホイルの使用は、特に、機械的取り扱いの分野で他の製造的な問題を引き起こし得ることを当業者は認識するであろう。例えば、現在の当業界で用いられている厚さよりも薄い厚さを有するホイルを伝達したり、配布することは非実用的であり得、また、不適切な機械的取り扱いによりパーツが損傷する可能性が高いことから、非常に小さなパーツを製造するために、同一のホイルを使用しようとする試みは、さらにいっそう非実用的であり得る。したがって、さらに薄いホイルの使用は、通常、さらに薄いホイルをこのような大きさで取り扱うための効率的なメカニズムの導入と組み合わせられなければならない。例示的な実施形態によると、さらに薄いホイルには、容易な取り扱いのために、ホイルパーツを厚くするために紙基材が提供され得る。例えば、ホイルは、ロール状に準備及び提供され、紙裏地はホイルと平行であるので、パーツが紙裏地と共にホイルから取り除くことが可能であり、パーツが適用されると、紙裏地は取り除かれ得る。また、RFID装置の薄いホイルを機械的に取り扱う代替的な裏地及び代替的な方法も考慮される。例えば、RFID装置の製造に消費されるアルミニウムの量をかなり減少させるために、薄いホイルを機械的に取り扱う代替的な裏地及び代替的な方法が用いられ得る。
【0049】
本発明のまた別の例示的な実施形態によると、改善されたRFID装置は、用いられるアルミニウムの量と関連するもの以外の費用低減により低減した生産コストで構成され得る。例えば、改善されたRFID装置を構成するアルミニウム材料と特定の接着剤との相互作用により、製造コストの低減が実現できる。より具体的には、改善されたRFID装置の再利用性を改善するために適切な接着剤が選択され得、その結果、製造に用いられたアルミニウムの再生利用を容易にする。適切な接着剤は、装置及びRFIDアンテナの一部又は全部を共に取り付けるために、当業界で現在用いられるUV硬化接着剤以外のものであり得るし、廃棄物ストリームへの影響が少なく、装置から除去がさらに容易で、そのためアルミニウムの再利用をさらに容易にすることができる。
【0050】
図5は、マトリックスストリップ502により分離されたパーツ500の従来技術のアセンブリの例示的な実施形態を示している。例示的な実施形態において、パーツ500
は、それぞれのパーツ500を分離するのに用いられ得るマトリックスストリップ502の間の空間504に形成され得
る。また、マトリックスストリップ502の間の空間504
のそれぞれは、整列マーク506
を含み得る。
印刷されたRFIDアンテナを該当材料にさらによく適合
させることにより、廃棄される材料の低減を達成すること
もできる。より具体的に
は、例示的な実施形態に
従い、アンテナの間に配置されるマトリックスストリップ502を使用する必要がない
ように、ホイル上にRFIDアンテナを形成することが好ましい。例えば、例示的な一実施形態において、棒状アンテナ(又は棒状アンテナと類似のアンテナ)が用いられ得る。以下、「非ストリップ」アンテナと呼ばれる一つのそのようなアンテナは、T字形状にカットされ、ピッチが0である棒状アンテナと似ていてもよい。このようなRFIDアンテナ設計の使用は、大半(例えば、100%に近い)のホイルがRFIDアンテナに変形し、ホイルの残り
がきれいに再利用できることを保証し得る。
これらは全てマトリックスストリップ502の除去に基づく。また、RFIDチップをアンテナに固定するのに用いられるストラップ
も再生されてもよく、可能な場合、RFIDチップ又はシリコーンもまた回収及び/又は再利用
されてもよいことを当業者が認識するであろう。
【0051】
図6は、非ストリップアンテナ604のアセンブリ600の例示的な実施形態を示しており、ここでアンテナ604は、互いに直接隣接して形成され、各自のT字形状606の切り取りを除いて、ホイルの大半がアンテナ604に変形される。より具体的に
は、アンテナ604は、一
つのアンテナ604の境界602が隣接したアンテナ604の境界602と共有されるように形成され、従って、マトリックスストリップ502が必要ではない。他の例示的な実施形態において、マトリックスストリップ502は、所望の場合、アンテナ604の一つ以上の側
方に配置され得る。例えば、マトリックスストリップ502は、
アンテナ604のそれぞれの
列のT字形状606がマトリックスストリップ502に接続される
ように、アンテナ604の列の長さ608に沿って配置され得る。マトリックスストリップ502の使用は、T字形状の材料606を無事に除去できることを保証するので、T字形状の材料606がホイルの残りから分離されると、T字形状の材料606からアンテナ604を分離することをさらに容易にする。アンテナアセンブリ600の他の構成も考
えられる。例えば、アンテナアセンブリ600内の一つのアンテナ604のT字形状606は、アンテナアセンブリ600内の他のアンテナ604のT字形状606の鏡像であ
ってもよく、二つのT字形状606は、
除去された後に、さらに容易に保持される、さらに大きなI字形状を形成
してもよい。
【0052】
一部の例示的な実施形態において、T字形状606は、使用者のニーズ及び/又は好みに合う任意の大きさ又は形状を有し得る。例えば、例示的な実施形態によると、T字形状606は、任意に薄型であり得、非常に少ない材料の除去を含み得る。また、他の例示的な実施形態において、T字形状606は、任意に大型であり得、より実質的な度合いの材料の除去を含み得る。一部の例示的な実施形態において、残りの材料は、全体の長さに沿って設定された厚さで提供され得る。別の例示的な実施形態において、残りの材料は、ある長さに沿って可変の厚さを有し得る。T字形状606の他の変形も考慮され、T字形状606は、必ずしもTと類似の必要はない。例えば、制限なくY字形状などの他の形状も使用者のニーズ及び/又は好みに合わせて用いられ得る。
【0053】
図7は、非ストリップアンテナ704の別の例示的実施形態を示している。非ストリップアンテナ704は、一般に棒状又は矩形状であり、製造時にアンテナ704から除去され得る、その内部に規定されたT字形状706を有し得る。アンテナ704は、好ましくは、均一な厚さ712、高さ708及び幅710で構成され、これはアンテナ704の特性を規定し得る。一般に、アンテナ704の領域が広いほど、より多くのエネルギーを収集し、RFIDチップに向かって送ることができ、RFID装置がさらなる読み取り範囲を有することが理解されるであろう。
【0054】
アンテナ704などの棒状アンテナの場合はまた、アンテナのインダクタンスは、次のように規定され得ると理解できる。
【0055】
ここで、単位はすべてcmであり、aは、ワイヤの半径
(単位はcm
)であり(例えば、アンテナの総厚は2a)、
は
であり、Aはコイルの
面積
である。棒状アンテナ704から異なる形状又は変形を有するアンテナの特性を規定するために、他の式
が用いられ得る。
【0056】
図8は、改善されたRFID装置を製造するための方法800の例示的な実施形態を示すフローチャートを提供する。ステップ802において、製造業者は、紙に裏打ちされた薄いホイルを準備してもよく、製造工程に薄いホイルを導入してもよい。次に、ステップ804において、製造業者は、アンテナの非ストリップ配列又はアンテナの他の効率的なテッセレーションなどのアンテナ配列を準備し、これらは薄いホイルから
最終的に切り取られる。上述のように、特定の例示的な実施形態において、RFID装置の一部又は全部は、生分解性であることがさらに好ましい。例えば、
生分解性を保証するために
植物性油がパターニング工程の間用いられ得る。従って、ステップ806において、アンテナのテッセレーションは、生分解性接着剤でコーティングされ得る。
【0057】
次のステップ808において、テッセレーションは切り取られる前にパターニングされ得る。これは、例えば、接着剤コーティング上に油を用いてネガ画像を印刷することを含み得る。しかし、以下に明示するように、テッセレーションを切り取る前に、パターニングすることは必須ではない。次に、ステップ810において、テッセレーションされたホイルは、正常な切り取り及び除去手順が実施され、その後、RFID製造工程の残りが当業界で現在理解されるように進められ得る。
【0058】
代案として、別の例示的な実施形態において、UV硬化又は生分解性接着剤以外の変形した形の接着剤によってRFIDアンテナをパターニングすることが好ましい場合がある。例えば、RFIDアンテナは、澱粉系接着剤などの特定の類型の接着剤でコーティングされてもよく、それにより、澱粉系接着剤が粘着性のある状態を取るようにしてもよい。代案として、一部の例示的な実施形態において、RFIDアンテナは、パターニングされた接着剤を用いることなく構成され得る。例えば、上述の「非ストリップ」アンテナに関して、パターニングされた接着剤ではなく、コーティングが用いられ得る。より具体的には、ポリビニルアルコールPVA接着剤コーティングを用いることができ、その結果、コーティングが最終的に生分解することを可能にする。
【0059】
次に、本発明に関する再利用の機会について説明する。背景として、RFID装置は、多くの場合、段ボール、プラスチックボトル、織物品などのような再利用可能な材料に取り付けられ得る。残念ながら、RFID装置のチップ部は、RFID装置の構成で最も値段の高いパーツの一つであり、多くの場合、キャリア材料を再利用できるようにキャリア材料から効率的に再利用したり除去したりすることが最も難しい部分の一つである。従って、取り付けられた製品が再利用及び/又は廃棄される際に、RFID装置を回収して再利用できることが有益である。
【0060】
RFID装置を含む大半の現在の廃棄物ストリームにおいて、製品パッケージは廃棄後収集されて、再利用施設で処理され、紙パルプ又はプラスチックペレットなどの再利用可能な製品を生産する。残念ながら、RFIDチップは、排出材料に組み込まれて、それによって汚染物質として作用し、再利用材料の価値を下げたり、両者を分離することに係る費用及び時間のため、材料がRFIDチップと共に簡単に廃棄されたりしている。従って、再利用の段階でRFID装置及び/又はチップを回収して、再使用するためにRFID製造業者又は供給者に戻すことができることの必要性が当業界において長年存在する。より具体的には、再利用施設は、回収されたRFID装置/チップをラベル製造業者に販売することにより、材料全体を再利用することの費用効率を良くして、再利用率を高めることができる。
【0061】
本発明の可能な一実施形態において、再利用のために設計された近距離磁気ストラップは、インダクタとして作用して、所望の周波数でチップの静電容量と共振する導体のループで構成される。そして、装置は、湿気の浸透を防止するために、接着剤を用いてPETなどの二つのフィルムの間に当該装置をカプセル化することによってパッケージ化され得る。使用の際、近距離装置は、アンテナの近くに配置されてこれに結合され、遠距離RFID装置を形成する。再利用工程には、通常、攪拌及びパルプ化などの機械的動作が含まれるので、ストラップの大きさ及びループに関連する線幅は、いずれも装置の全体の大きさを減少させるために、可能な限り小さいことが望ましい。
【0062】
ストラップの修正バージョンには、二つ以上のターンで構成されたインダクタがさらに含まれ得る。例えば、マルチターンコイルは、RFIDチップが導体の内部と外部の両方の端部に接続される必要があり、これはチップの下でターンをルーティングするか、第2のブリッジ導体を用いて達成することができ、両面エッチング工程又は導電性材料の追加印刷として形成される。コイルを形成するのに用いられる導体は、アルミホイル等の金属又は印刷された導電性インクで構成され得る。直径が減少したストラップを形成する別の方法は、中央領域で比較的に高い透磁率の材料を用いて、コイルのインダクタンスを増加させ、より小さい直径を許容することを含む。
【0063】
また、本発明は、廃棄物ストリームの体積中のRFID装置を隔離し、その体積を分離して、単位体積当たりのRFID装置の密度の高い二次廃棄物ストリームを生成するように設計されたフィルタリングシステムを考慮する。より具体的には、フィルタリングシステムは、例えば、廃棄物ストリームの既知の領域(例えばパイプ)に結合したRFIDリーダを備えていてもよく、一部の廃棄物ストリームの選択された部分を選択的に切り替える方法を用いることができる。廃棄物ストリームの特性に応じて、様々な類型のRFIDアンテナ及びRFID装置に対する結合を用いることができる。例えば、水などの液体キャリアの場合、近距離リーダアンテナが最も好適であり得る。これに比べて、遠距離RFIDアンテナは、コンベアに沿って移動する、破砕された廃棄物と共に用いるのにさらに好適であり得る。
【0064】
また、別の代替的な実施形態において、RFIDループ及びチップは、発泡材料の二つの層の間にカプセル化することで、これらの相対密度を水よりも小さくして、再利用工程時の水タンクの上部へ浮遊させることができる。より具体的には、ストラップは、RFIDアンテナに隣接して取り付けられ、RFIDラベルの構造によって圧縮された状態を保持することで発泡体が圧縮され、圧縮されていないストラップからの視覚的な「バンプ」を最小化する。ストラップはその結果、RFIDラベルが再利用される際に、非圧縮状態に戻り得る。
【0065】
本発明のまた別の実施形態において、フィールドストラップは、軟鋼などの磁性物質が占める領域の一部分を有し得る。磁性材料を用いる場合、再利用工程時に磁場を用いて分離することができるので、再利用材料の残りからRFID装置を取り出すことができる。
【0066】
上述の説明及び添付図面は、本発明の原理、好ましい実施形態及び動作モードを例示する。しかし、本発明は、上述の特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。上述の実施形態のさらなる変形を、当業者が認識するであろう(例えば、本発明の特定の構成に係る特徴は、その代わりに、必要に応じて本発明の任意の他の構成に関連付けられ得る)。
【0067】
よって、上述した実施形態は、限定的ではなく例示的なものとしてみなされるべきである。従って、このような実施形態の変形は、以下の請求の範囲によって規定された本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって可能であることを理解すべきである。