(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電離放射線の低侵襲性検出器
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20240625BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20240625BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01T1/20 C
G01T1/20 B
G01T1/00 A
A61B1/00 550
(21)【出願番号】P 2021531344
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019076207
(87)【国際公開番号】W WO2020108827
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509025832
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(73)【特許権者】
【識別番号】513288470
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・フランシュ・コンテ
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】グロジャン,ティエリー
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028034(JP,A)
【文献】特開2014-173903(JP,A)
【文献】特開2004-125454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0203341(US,A1)
【文献】米国特許第05166073(US,A)
【文献】特開昭57-050672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
100eVを超える高エネルギー電離放射線(504)用の検出器(100、200、300、400)であって、
250ミクロン未満のファイバ直径と呼ばれる外径を有する光ファイバ(102)であって、ファイバコア(104)、前記ファイバコア(104)を囲む有効クラッドと呼ばれる第1のクラッド(106)、および前記有効クラッド(106)を囲む保護クラッドと呼ばれる第2のクラッド(108)を備える光ファイバ(102)と、
前記
高エネルギー電離放射線(504)を光(506)に変換するために設けられたシンチレータの層(116)と
前記
光ファイバ(102)の長さにわたって配置され、前記保護クラッド(108)内、前記有効クラッド(106)内、およ
び前記ファイバコア内に形成された凹部(120)を備える検出部分と呼ばれる部分(110)
と
を備え、
前記シンチレータの層(116)は、前記有効クラッド(106)および前記ファイバコア(104)と接触して前記凹部内に配置され
、そして
前記凹部は、前記シンチレータの層が前記ファイバコアの内側および前記保護クラッド(108)と直接接触するように、前記光ファイバの前記ファイバコア(104)の内側に延びることを特徴とする、
検出器(100、200、300、400)。
【請求項2】
前記シンチレータの層(116)は、前記凹部内に完全に収容され、前記保護クラッドの外面と同一平面上にあることを特徴とする、請求項1に記載の検出器(100、200、300、400)。
【請求項3】
前記検出部分(110)内に、前記シンチレータの層(116)を囲む金属層(206)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の検出器(200)。
【請求項4】
前記検出部分は、前記
光ファイバの端部に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出器(100、200、400)。
【請求項5】
前記シンチレータの層(116)は、前記
光ファイバ(102)の端部全体にわたってその横断面上に延びることを特徴とする、請求項4に記載の検出器(100、200)。
【請求項6】
前記検出部分(110)は、前記
光ファイバ(102)
の端部からゼロではない距離に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出器(300)。
【請求項7】
前記凹部は、前記
光ファイバ(102)の回転軸の周りに延びることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の検出器(100、200、300)。
【請求項8】
前記凹部は、前記検出部分(110)内に円錐部を形成することを特徴とする、請求項
7に記載の検出器(100、200、300)。
【請求項9】
前記光ファイバ(102)に接続された光子カウンタ(118)を備えることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載の検出器(100、200、300、400)。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の高エネルギー電離放射線(504)用の検出器(100、200、300、400)を製造するための方法(600)であって、少なくとも、
前記検出部分(110)上で、前記保護クラッド(108)を除去し、前記有効クラッド(106)内および/または前記
光ファイバの前記
ファイバコア(104)内に凹部を形成することによって前記光ファイバ(102)を薄化するステップ(602)と、
前記シンチレータの層が前記ファイバコアの内側および保護クラッド(108)と直接接触するように、光重合によって前記凹部内にシンチレータの層(116)を堆積するステップ(604)と
を含む、方法(600)。
【請求項11】
前記薄化ステップ(602)は、化学エッチングによって実行され、
前記保護クラッド(108)を溶解するために提供された溶液中に所定の長さにわたって前記
光ファイバ(102)を浸漬するステップと、
前記有効クラッドおよび/または前記ファイバコアを溶解するために提供された溶液中にクラッドされていない
光ファイバを浸漬するステップと、
所定の速度または一連の所定の速度で前記
光ファイバ(102)を垂直方向に変位させるステップと
を含むことを特徴とする、請求項
10に記載の方法(600)。
【請求項12】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの検出器(100、200、300、400)を備える、高エネルギー電離放射線(504)を検出するための内視鏡プローブ(500)。
【請求項13】
複数の検出器(100、200、300、400)を備え、前記検出器(100、200、300、400)の端部は、1つの同じ平面内に配置されることを特徴とする、請求項
12に記載のプローブ。
【請求項14】
複数の検出器(100、200、300、400)を備え、そ
の端部は、ゼロではない距離(502)だけ離れた平行な平面に内接することを特徴とする、請求項
12に記載のプローブ(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、100eVを超える高エネルギー電離放射線用の検出器に関する。
本発明の分野は、医療用または工業用撮像のための電離放射線検出の分野であり、より詳細には、侵襲性が最小もしくは弱い、または無視できる侵襲性のフットプリントを有する検出器の分野である。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの光ファイバと、放射線に高感度であり、光ファイバの一端に配置されたシンチレータとを備える電離放射線検出器が知られている。シンチレータは、電離放射線に曝されると光を放出する。これらの検出器の目的は、この光の一部を捕捉し、例えばファイバのコアを通してフォトダイオードに向けて導くことである。しかしながら、これらの検出器は、(固有感度が弱いために)全体的な感度を増加させるように大きいことから、依然としてかさばるものである。
【0003】
本発明の目的は、あまりかさばらない電離放射線検出器を提案することである。
本発明の別の目的は、光ファイバとシンチレータとの間の新規な配置を提案することによって、そのような検出器の感度を改善することである。
【発明の開示】
【0004】
上述の目的の少なくとも1つは、100eVを超える高エネルギー電離放射線用の検出器であって、
250ミクロン未満のファイバ直径と呼ばれる外径を有し、ファイバコア、前記ファイバコアを囲む有効クラッド(useful cladding)と呼ばれる第1のクラッド、および前記有効クラッドを囲む保護クラッドと呼ばれる第2のクラッドを備える光ファイバと、
前記電離放射線を光に変換するために設けられたシンチレータの層と
を備える、検出器によって達成される。
【0005】
この検出器は、ファイバの長さにわたって配置され、保護クラッド内、有効クラッド内、および/またはファイバコア内に形成された凹部を備える検出部分と呼ばれる部分を備え、シンチレータの層は、有効クラッドおよびファイバコアと接触して前記凹部内に配置されることを特徴とする。
【0006】
本発明による検出器では、シンチレータの層は、広い接触面にわたって有効クラッドおよびファイバコアと直接接触して配置される。したがって、シンチレータの層と光ファイバとの間の光結合が改善される。したがって、検出器は、より高感度である。
凹部がファイバコア内にのみ作製される場合もまた、想定される。
【0007】
本発明による検出器の配置は、ファイバとシンチレータとの間の強い結合、したがって光ファイバの出力でのより大きな発光信号、および検出器の感度の増加を可能にする。この特定の構造は、非常に小さいサイズのファイバを使用することを可能にし、したがって、
生物学的媒体中に、治療用放射線を減衰させず、治療プロセスを妨害しないセンサ(不可視性の概念)を有すること、および
非常に限られたサイズの超小型センサを有すること
を可能にする。
【0008】
本発明は、その有効直径が125μm、80μm、またはさらには60μm未満であり得る薄い光ファイバ上の超小型検出器を得ることを可能にする。したがって、本発明による検出器は、患者にとって無視できる侵襲性のフットプリントを有し、想定されるシンチレータおよびファイバのタイプ(有機または無機)にかかわらず、想定される療法プロセスでは不可視である。本発明による検出器は、従来技術の装置と比較してそのサイズが小さいため、侵襲性が最小であると考えられる。その結果、例えば医療分野でのその使用は、既存の検出器の使用と比較して非常に小さいサイズの病変を必要とするため、侵襲性が最小であると説明される。
【0009】
本発明による検出器は、100eVを超える、好ましくは0.1MeV~500MeVのエネルギーを有する電離放射線を検出するように配置することができる。
【0010】
本発明による検出器の一実施形態のバージョンでは、シンチレータの層は、凹部内に完全に収容され、保護クラッドの外面と同一平面上にある。
検出器の寸法は、シンチレータの層によって増加しない。したがって、本発明による検出器は、最新技術の検出器よりもかさばらない。シンチレータの層は、凹部を満たし、有効クラッドの外面と同一平面上にすることができる。
【0011】
有利には、本発明による検出器は、検出部分内に、シンチレータの層を囲む金属層を備えることができる。
金属層は、電離放射線が通過することができ、シンチレータに由来する発光が反射されて光ファイバに向けて方向転換されるのに十分に薄い層とすることができる。
特に、金属層は、10ミクロン以下、特に300nm以下の厚さを有するアルミニウムおよび/または金の堆積物であり得る。
【0012】
本発明による検出器の特定の実施形態では、検出部分は、ファイバの端部に配置することができる。
【0013】
好ましくは、シンチレータの層は、ファイバの端部全体にわたってその横断面上に延びることができる。言い換えれば、シンチレータは、薄化されたファイバの側面上に、場合によってはファイバの端部のすぐ横断面上に配置される。
金属層はまた、ファイバの端部のシンチレータの層の周りに延びることができる。
【0014】
本発明による検出器の特定の実施形態では、検出部分は、ファイバの端部から非ゼロ距離に配置することができる。
【0015】
特に、検出部分は、ファイバの端部から0.1cm~1cmの距離に配置することができる。
【0016】
特に、凹部は、シンチレータの層がファイバコアの内側と直接接触するように、ファイバのコアの内側に延びることができる。
【0017】
本発明による検出器の有利な実施形態では、凹部は、ファイバの回転軸の周りに延びることができる。
このような凹部が有効クラッドのセクション全体の周りに生成されると、したがってシンチレータの層とファイバとの間の結合が改善され、凹部がシンチレータの均質な層で覆われている場合、検出器は等方性になる。等方性とは、ファイバがその回転軸に沿って回転している間に電離ビームの照射下で同じ信号が検出されることを意味する。この特徴は、特に医療分野において興味深い。
【0018】
本発明による検出器の好ましい実施形態では、凹部は、検出部分内に円錐部を形成することができる。
特に、前記円錐部は、ファイバの端部に配置され、有効クラッドおよびファイバコア内に延びることができる。この配置は、シンチレータの層とファイバコアとの間の光結合を改善する。したがって、シンチレータによって放出され、ファイバに向けて導かれた発光が増加する。したがって、本発明による検出器は、より高感度である。
さらに、凹部は、検出部分内に、ファイバの端部から距離を置いて、またはファイバの端部に配置された円錐台形部分を形成することができる。
【0019】
本発明による検出器の一実施形態では、凹部は、ファイバの直径よりも小さい直径を有する円筒部分を検出部分内に形成することができる。
円筒部分の直径は、ファイバの直径の80%以下であり得る。
【0020】
特に、凹部は、有効クラッドおよび/またはファイバコアから材料を除去することによって生成することができる。
【0021】
有利には、ファイバ直径は、250ミクロン以下、特に95ミクロン以下、より詳細には80ミクロン以下、さらにより詳細には75ミクロン以下であり得る。
【0022】
好ましくは、ファイバのコアの直径は、110ミクロン以下、特に70ミクロン以下である。
【0023】
有利な実施形態では、本発明による検出器は、光ファイバに接続された光子カウンタを備えることができる。
光子カウンタは、検出部分とは反対側のファイバの端部に接続することができる。
シンチレータの層は、有効クラッドおよび/またはファイバコアに直接接合したシンチレータのみによって構成することができる。ファイバおよびシンチレータの表面の静電処理による接合または接着を想定することもまた、可能である。
【0024】
シンチレータの層はまた、例えば感光性タイプのポリマーと、例えば粉末の形態の無機シンチレータおよび/または有機シンチレータの混合物であってもよい。
有利には、シンチレータの層は、接合によって、特に発光に対して透明な接着剤によって有効クラッドに組み立てることができる。
【0025】
特に、検出部分は、0.1mm~5mmの長さを有することができる。
【0026】
好ましくは、シンチレータの層の厚さは、100ミクロン以下、特に50ミクロン以下であり得る。
【0027】
本発明の一態様によれば、本発明による高エネルギー電離放射線用の検出器を製造するための方法であって、少なくとも、
検出部分上で、保護クラッドを除去し、有効クラッド内および/またはファイバのコア内に凹部を形成することによって光ファイバを薄化するステップと、
光重合によって前記凹部内にシンチレータの層を堆積するステップと
を含む、方法が提案される。
有効クラッド内および任意選択でコア内の材料の除去によるファイバの薄化は、最新技術の方法と比較して、その使用に必要なファイバの良好な剛性を維持することを可能にする。保護クラッドの除去は、有効クラッド内および任意選択でコア内の凹部に使用されるものとは異なる酸を利用する予備ステップの下で行うことができる。
【0028】
有利には、シンチレータの層を堆積するステップは、ファイバをUV光または可視光で照明するステップを含む。
【0029】
特に、薄化ステップは、化学エッチングによって実行することができ、
保護クラッドを溶解するために提供された溶液中に所定の長さにわたってファイバを浸漬するステップと、
有効クラッドおよび/またはファイバコアを溶解するために提供された溶液中にアンクラッドファイバを浸漬するステップと、
所定の速度または一連の所定の速度でファイバを(その回転軸に沿って)垂直方向に変位させるステップと
を含むことができる。
【0030】
有効クラッドおよび/またはコアを凹化するための溶液は、フッ化水素酸であり得る。
溶液は、構造化ファイバの寸法および所望の幾何学的形状で凹化処理を安定させることを可能にする液体膜(オイル、シリコーンなど)で覆うことができる。
所定の長さは、検出部分の長さと等しくすることができる。
【0031】
そのような実施形態は、適用された速度、固定された速度もしくは可変の速度、またはこれら2つの組み合わせに応じて、可変円錐台形延長円錐形状(variable frustoconical extended conical shape)、または別の形状を得ることを可能にする。
円筒形状(真っ直ぐな円筒)を得るために、光ファイバの検出部分は、前記溶液を含む浴に、所定の期間にわたって静的に浸される。この期間は、生成される凹部の深さに依存する。期間を長くすることで、ファイバコアが特にその端部でエッチングされるときに短い円錐形状を得ることを可能にし得る。
【0032】
特定の実施形態では、薄化ステップは、有効クラッド、および任意選択でファイバコアを研磨することによって実行することができる。保護クラッドは、少なくとも検出部分にわたって事前に除去される。
【0033】
特定の実施形態では、本発明による方法はまた、シンチレータの層を堆積するステップに続いて、金属層を堆積する少なくとも1つのステップを含む。
【0034】
本発明の一態様によれば、本発明による少なくとも1つの検出器を備える、高エネルギー電離放射線を検出するための内視鏡プローブが提案される。
【0035】
一実施形態では、本発明によるプローブは、複数の検出器を備えることができ、前記検出器の端部は、1つの同じ平面内に配置される。
【0036】
一実施形態では、本発明によるプローブは、複数の検出器を備えることができ、その端部は、非ゼロ距離(502)だけ離れた平行な平面に内接する。
プローブは、2~20個の検出器からなる多数の検出器を備えることができる。
【0037】
有利には、本発明によるプローブは、検出器の少なくとも1つ、特にすべてに接続されたCMOSカメラまたはCCDカメラを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
他の利点および特性は、決して限定的ではない実施形態の例の詳細な説明を検討すること、および添付の図面から明らかになるであろう。
【
図1a】第1の凹部形状を有する本発明による検出器の第1の例の側面断面図の概略図である。
【
図1b】第2の凹部形状を有する本発明による検出器の第2の例の側面断面図の概略図である。
【
図1c】第3の凹部形状を有する本発明による検出器の第3の例の側面断面図の概略図である。
【
図1d】第4の凹部形状を有する本発明による検出器の第4の例の側面断面図の概略図である。
【
図1e】第5の凹部形状を有する本発明による検出器の第5の例の側面断面図の概略図である。
【
図2】本発明によるプローブの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に説明される実施形態は決して限定的なものではないことが、十分に理解される。特に、この特性の選択が技術的利点を与えるのに、または先行技術の状態に関して本発明を区別するのに十分である場合、記載される他の特性とは別に、以下に記載される特性の選択のみを含む本発明の変形が想定され得る。この選択は、この部分だけで技術的利点を与えるのに、または先行技術の状態に関して本発明を区別するのに十分である場合、構造上の詳細のない、または構造上の詳細の一部のみを有する、少なくとも1つの、好ましくは機能的な特性を含む。
【0040】
図1a、
図1b、
図1c、および
図1dは、いくつかの凹部形状を有する本発明による検出器の例の側面断面図の概略図である。
図1aの検出器100は、100eV~500MeV、好ましくは0.1MeV~500MeVのエネルギーを有する光線を検出するように構成される。
【0041】
検出器100は、有効クラッドと呼ばれる第1のクラッド106、および有効クラッド106を囲む保護クラッドと呼ばれる第2のクラッド108によって囲まれたファイバコア104を備える光ファイバ102を備える。光ファイバの外径は、75ミクロン~250ミクロン、特に95ミクロンに等しい。光ファイバ102は、1mを超える長さを有することができる。
【0042】
光ファイバ102は、その端部に配置された検出部分と呼ばれる部分110を備える。検出部分110は、0.1mm~5mm、特に5mmに等しい長さにわたって延び、光ファイバ102の端部が外側を指す円錐部114を形成するように凹部を備える。凹部120は、除去された光ファイバの部分に対応する。円錐部114は、保護クラッド108から、有効クラッド106から、およびファイバコア104から材料を除去することによって形成される。
【0043】
保護クラッド108は、前のステップで除去される。これは、例えば、ファイバの残り、すなわちコア104および有効クラッド106を劣化させることなくこのクラッドをエッチングする硫酸を使用して除去することができる。化学エッチングまたは機械的除去のいずれかによる、他の解決策が存在する。
【0044】
検出器100はまた、検出部分110内に、有効クラッド106およびファイバコア104と接触して配置されたシンチレータの層116を備える。シンチレータの層116は、20ミクロン~100ミクロン、特に50ミクロンに等しい厚さを有する。
【0045】
シンチレータの層は、ファイバコア104の外面を完全に覆うことによって尖形の円錐形状に成形され、外面は、凹部120を生成することによって露出している。シンチレータの層はまた、有効クラッド106の外面を部分的に覆うまで延び、外面は、凹部120を生成することによって露出している。
【0046】
シンチレータの層116は、重合中にポリマー/シンチレータ混合物に光ファイバの検出部分を浸漬することによって形成される。ポリマーは、シンチレータの凝集を可能にし、接着剤として作用する。
【0047】
円錐部114の形状の検出部分110は、一方ではシンチレータの層116と、他方では有効クラッド106およびファイバコア104との間に大きな接触面を提供する。これにより、光結合が大幅に改善される。したがって、シンチレータの層116によって放出され、ファイバに向けて導かれた発光は、シンチレータが回転軸に直交して切断されたファイバの端部に配置されている装置と比較して増加する。
【0048】
加えて、検出部分110内に形成された円錐部114は、その使用に必要な光ファイバの良好な剛性を維持することを可能にする。
検出器100はまた、光ファイバ102に接続され、シンチレータの層116によって放出され、ファイバコア104を通して導かれた光の量を測定するように構成された光子カウンタ118を備える。
【0049】
図1bは、側面断面から見た検出器200の概略図である。検出器200は、
図1aの検出器100と同じ要素を備えるが、異なる形状を有する。光ファイバ102の端部の一部にわたって、保護クラッドが除去され、有効クラッド106は露出したままになる。検出部分110にわたって、有効クラッド106は、尖形のない第1の円錐台202を形成することを可能にする化学エッチングに曝されている。ファイバコアは、この場所では露出されない。次に、第1の円錐台の後に、第1の円錐台よりも長く、第1の円錐台の立体角よりも小さい立体角を有する第2の円錐台204が形成される。したがって、有効クラッドの厚さは、ファイバコアが直角に切断される一端123では何もないように薄くなる。したがって、検出部分110は、保護クラッド108から有効クラッド106まで延びる複雑な形状を有する凹部を形成することによって形成された。この配置例では、シンチレータの層は、ファイバコアの半径方向断面全体にわたって、ファイバコアの端部を覆い、ファイバコアの端部と直接接触している。
【0050】
シンチレータの層116は、第1および第2の円錐台202および204の外面と接触して有効クラッド106の周りに配置される。シンチレータの層は、エッチングされていない有効クラッドの部分の外面と同一平面上にある。
【0051】
検出器200はまた、シンチレータの層116の周りに生成された薄い金属層206を備える。金属層206は、200nm未満の厚さを有するアルミニウム(Al)または金(Au)の堆積物である。金属層206は、シンチレータの層116によって放出された光を反射し、ファイバコア104に向けて導くことを可能にする。したがって、検出器200は、より高感度である。
【0052】
図1cは、
図1bの検出器200と同じ構成を使用する検出器を説明しており、唯一の違いは、ファイバコアの端部が直角に切断されず、尖形124に延びることである。
【0053】
図1dは、側面断面から見た検出器300の概略図である。検出器300は、
図1aの検出器100と同じ要素を備える。これは、検出器300の検出部分110が、2mm~10cm、特に1cmに等しい光ファイバ102の端部からの距離に配置される点で異なる。この配置は、保護クラッド108、有効クラッド106、およびファイバコア104内の凹部の生成およびシンチレータの層の堆積にもかかわらず、光ファイバ102の良好な剛性を維持することを可能にする。
【0054】
加えて、検出器300内の凹部は、頭から尾まで互いに対向する2つの円錐台形部分302および304を形成し、その結果、溝がファイバコア内に生成される。シンチレータの層116は、生成された凹部を完全に満たし、保護クラッド108の外面と同一平面上にある。
【0055】
図1eは、側面断面から見た検出器400の概略図である。検出器400は、
図1aの検出器100と同じ要素を備える。これは、凹部が光ファイバ102の端部に、かつ一方のセグメント上にのみ配置された平坦スポット402の形状である点で異なる。検出部分110上で、凹部は、保護クラッド108から有効クラッド106を通ってファイバコアの一部までくり抜かれる。シンチレータの層116は、生成された凹部を完全に満たす。
【0056】
図2は、本発明によるプローブの一例の概略図である。
プローブ500は、束状に配置された複数の検出器100を備える。例として、プローブ500は、検出器100、200、300、および400のうちのまったく同じタイプの検出器または異なるタイプの検出器の配置を備えることができる。
【0057】
図2では、検出器100の端部は、0.5cm~10cmの一定または可変の距離502だけ互いに離れている。
【0058】
検出器100のシンチレータの層116は、プローブ500が電離放射線504に曝されると光506を放出する。この光506は、ファイバコア104によって捕捉され、検出器100に接続されたカメラ(CCD、CMOSまたはその他)に向けて導かれる。
【0059】
言い換えれば、照射下で、薄いシンチレータ層116は、光ファイバの他端にある距離を置いて載置された光検出器に向かって、光ファイバを通して収集および伝達された発光を放出する。
この実施形態は、有利には、検出器100、200、300、および400のうちの同じタイプまたは異なるタイプのいくつかの検出器によって構成されたプローブの場合に適用することができる。
【0060】
図3は、本発明による方法の一例の概略図である。
方法600は、検出器100、200、300、および/または400を製造するための方法である。
【0061】
方法600は、光ファイバ102内に凹部を形成するように、保護クラッド108および/または有効クラッド106および/またはファイバコア102から材料を除去することによって、検出部分の上で光ファイバ102を薄化するステップ602を含む。
【0062】
薄化ステップ602は、保護クラッド108および/または有効クラッド106および/またはファイバコア102を溶解するために提供された溶液中にその検出部分110にわたって光ファイバ102を浸漬する少なくとも1つのステップを含む。
【0063】
方法600はまた、光重合によって前記凹部内にシンチレータの層116を堆積するステップ604を含む。堆積ステップ604は、光ファイバ102をUV光または可視光で照明するステップを含む。
【0064】
方法600はまた、例えばアルミニウムまたは金などの金属を噴霧または気化することによって、金属層206を堆積するステップ606を含むことができる。
【0065】
本発明によるファイバの端部の構造は、最大の発光を収集して光ファイバに向けて伝達することを可能にする。
光ファイバの薄化された形状(テーパ状)は、発光の収集を促進する。これにより、以下が可能になる:
光ファイバへのシンチレータの良好な取り付け、
シンチレータ層によって覆われたファイバの全長にわたる発光の収集の有効性の均質化、したがって照射下のシンチレータの低い発光収率を考慮したプローブの感度の最適化。
【0066】
小型化は、超小型で不可視のインビボセンサを得ること、すなわち生物学的媒体または水中の放射線の減衰を1%未満に制限することを可能にし得る。
ファイバ/シンチレータ結合の改善により、光ファイバの直径を縮小することが可能である。したがって、これにより、特に内視鏡検査に適合するのに十分に狭いマルチセンサを製造することを可能にし得る。
【0067】
本発明は、有利には、特にリアルタイムでの電離放射線のインビボ線量測定のための、本発明による1つまたは複数の光ファイバプローブによって構成されたセンサの製造に適用される。本発明は、外部ビーム放射線療法、プロトン療法、ハドロン療法、近接照射療法(またはキュリー療法)などの医療療法の分野に応用することができる。
【0068】
当然のことながら、本発明は、ここで説明した例に限定されるものではなく、本発明の範囲を超えることなくこれらの例に多くの修正を加えることが可能である。