(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ヘルメット用の盗難防止装置を備えるサドル型の車両
(51)【国際特許分類】
B62H 5/00 20060101AFI20240625BHJP
B62J 11/24 20200101ALI20240625BHJP
A42B 3/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B62H5/00 Z
B62J11/24
A42B3/04
(21)【出願番号】P 2021532120
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 IB2019061339
(87)【国際公開番号】W WO2020136581
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】102018000021172
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】サントゥッチ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】マリオッティ,ヴァレンティノ
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-026747(JP,U)
【文献】国際公開第03/020577(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013003983(DE,A1)
【文献】米国特許第03646786(US,A)
【文献】特開平08-207851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/00-5/20
B62J 1/00-1/28,11/24
A42B 3/00- 3/32,7/00
B62K 19/40
E05B 49/00-49/04,63/22,
65/00-65/52,67/36,
73/00-73/02,
77/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット(10A;10B;10C)用の盗難防止装置(100;200;300)を備えるサドル型の車両(1A;1B;1C)であって、
前記盗難防止装置(100;200;300)は、
ハウジング(110;210;310)と、
前記ハウジング(110;210;310)内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構(120;220;320)とを備えており、
前記アンカリング機構(120;220;320)は、
前記ヘルメット(10A;10B;10C)の雌型アンカリング部(11A’,11A’’;11B;11C)と係合するように構成されている雄型アンカリング部(121’,121’’;221;321)を含む少なくとも1つのアンカリング部材(122’,122’’;222;322)と、
前記少なくとも1つのアンカリング部材(122’,122’’;222;322)に結合されるロック部材(130;230;330)とを備えており、
前記アンカリング機構(120;220;320)は、
前記雄型アンカリング部(121’,121’’;221;321)が、前記ヘルメット(10A;10B;10C)を保持するように、前記ヘルメット(10A;10B;10C)の前記雌型アンカリング部(11A’,11A’’;11B;11C)と係合するアンカリング形態と、
前記雌型アンカリング部(11A’,11A’’;11B;11C)が、前記車両(1A;1B;1C)から前記ヘルメット(10A;10B;10C)を分離するように、前記雄型アンカリング部(121’,121’’;221;321)から離れる解除形態になるように構成されており、
前記雄型アンカリング部(121’,121’’;221)は、前記アンカリング機構(120;220)の前記アンカリング形態と前記解除形態にそれぞれ関連するアンカリング位置と解除位置を選択的に有して、
前記アンカリング位置と前記解除位置との間の前記雄型アンカリング部(121’,121’’;221)の動作は、前記ロック部材(130;230)によって制御されて、
前記少なくとも1つのアンカリング部材(122’,122’’;222)は、摺動軸(X1;X2)に沿って摺動するように、前記ハウジング(110;210)の内側に摺動可能に連結されて、
前記少なくとも1つのアンカリング部材(122’,122’’)は、互いに対向する第1部と第2部(121’,121’’)を備えて、
前記第1部と第2部(121’,121’’)は、前記第1部と第2部(121’,121’’)の少なくとも一方が、第1及び/又は第2の雌型アンカリング部(11A’,11A’’)と係合するため、前記摺動軸(X1)に沿って他方に対して摺動するように配置されており、
前記ハウジングは、前記アンカリング機構を収納するように構成されているハウジング穴を備えることを特徴とする、サドル型の車両(1A;1B;1C)。
【請求項2】
前記第1部と第2部(121’,121’’)は、前記第1及び/又は第2の雌型アンカリング部(11A’,11A’’)の開口部(12A’,12A’’)を通過するようにピン状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のサドル型の車両(1A)。
【請求項3】
前記ハウジング(110;210;310)と前記アンカリング機構(120;220;320)は、前記車両(1A;1B;1C)に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項
2のいずれかに記載のサドル型の車両(1A;1B;1C)。
【請求項4】
前記車両は、前記ヘルメット(10A;10B;10C)が前記盗難防止装置(100;200;300)に拘束されているとき、前記車両のサドル(3A;3B;3C)と前記ヘルメット(10A;10B;10C)を覆うように構成されている折り畳み式カバー(150)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項
3のいずれかに記載のサドル型の車両(1A;1B;1C)。
【請求項5】
キット(1A,10A;1B,10B;1C,10C)であって、
請求項1から請求項
4のいずれかに記載のサドル型の車両(1A;1B;1C)と、
前記ヘルメット(10A;10B;10C)を備える、キット(1A,10A;1B,10B;1C,10C)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サドル型の車両の技術分野、特にヘルメット用の盗難防止装置を備えるサドル型の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば原動機付き自転車、スクータ、バイクのようなサドル型の車両が知られている。このサドル型の車両は、車両が使われないとき、ヘルメットを内側に収納できる収納用コンパートメントを有していない。この場合、欠点は、車両が駐車されるとき、ヘルメットが放置されて盗まれることを防ぐため、運転手がヘルメットを携帯することを強いられることである。ヘルメットは手で運ぶには、運びにくく、また不便である。他の既知のサドル型の車両は、少なくとも1つの収納用コンパートメントを備える。この収納用コンパートメントは、サドルより下方のコンパートメント、又は車両に固定されている、若しくは一体化されている上方のボックスから構成されている。収納用コンパートメントは、通常、ヘルメットを収納できる大きさであり、また一般的に、収納用コンパートメントにアクセスすることを防いで、且つ内容物を保護するためのキーによるロック部を備える。一方、上述の欠点はまた、少なくとも1つの収納用コンパートメントを備える車両において、収納用コンパートメントがヘルメットのハウジングを許容しない物体によって塞がれている場合、また唯一の収納用コンパートメントが車両にあり、運転手用のヘルメットと同乗者用の第2のヘルメットを収納用コンパートメントに収納することが必要である場合、生じ得る。
【0003】
本発明の全体の目的は、従来技術を参照して上述した欠点を克服できる、又は少なくとも部分的に減少できるサドル型の車両を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
この目的及び他の目的は、最も一般的な形態、及び一部の特定の実施形態における従属請求項において、添付の請求項1に記載のサドル型の車両によって達成され得る。
【0005】
特に、上述の全体の目標は、ヘルメット用の盗難防止装置を備えるサドル型の車両を提供することによって達成される。
盗難防止装置は、
好ましくは車両のパーツと一体化されているハウジングと、
ハウジング内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構とを備える。
【0006】
アンカリング機構は、
ヘルメットの雌型アンカリング部と係合するように構成されている雄型アンカリング部を含む少なくとも1つのアンカリング部材と、
少なくとも1つのアンカリング部材に結合されるロック部材とを備える。
【0007】
アンカリング機構は、
雄型アンカリング部が、ヘルメットを保持するように、ヘルメットの雌型アンカリング部と係合するアンカリング形態と、
雌型アンカリング部が、車両からヘルメットを分離するように、雄型アンカリング部から離れる解除形態になるように構成されている。
【0008】
好ましくは車両自体と一体化されている盗難防止装置を備えて、盗難防止装置によりヘルメットが車両に固定できて、盗難防止装置がロック部材を備えるサドル型の車両を提供することによって、ロック可能な収納用コンパートメントがない車両であっても、ヘルメットを車両に固定して、ヘルメットが盗難されることを防ぐことができる。
【0009】
実施形態によれば、雄型アンカリング部は、アンカリング機構のアンカリング形態と解除形態にそれぞれ関連するアンカリング位置と解除位置を選択的に有してもよい。特に、アンカリング位置と解除位置との間の雄型アンカリング部の動作は、ロック部材によって制御される。
【0010】
実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材は、摺動軸に沿って摺動するように、ハウジングの内側に摺動可能に連結されている。
【0011】
実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材は、第1部と第2部を備える。好ましくは、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部は、互いに対向して、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部の少なくとも一方が、第1及び/又は第2の雌型アンカリング部と係合するため、摺動軸に沿って他方に対して摺動するように配置されている。実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材は、第1部と第2部を備える。好ましくは、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部は、互いに対向して、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部の少なくとも一方が、第1及び第2の雌型アンカリング部とそれぞれ係合するため、摺動軸に沿って他方に対して摺動するように配置されている。
【0012】
実施形態によれば、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部は、第1及び/又は第2の雌型アンカリング部の開口部を通過するようにピン状に形成されている。実施形態によれば、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部は、第1及び第2の雌型アンカリング部の開口部を通過するようにピン状に形成されている。
【0013】
実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材は、回転可能であると共に、1つのアンカリング部材を備える。特に、雌型アンカリング部は、雄型アンカリング部と相補的である。また、雄型アンカリング部は、雄型アンカリング部の所定の角度位置における回転が生じるとき、雌型アンカリング部と係合するように形成されている。
【0014】
実施形態によれば、ハウジングは、アンカリング機構を収納するように構成されているハウジング穴を備える。アンカリング機構は、ハウジング穴から完全に引き出され得る。アンカリング機構は、ロック要素を備える。また、ハウジングは、アンカリング機構のロック要素と係合するように構成されている共役ロック要素を備える。アンカリング形態において、ロック要素と共役ロック要素は、アンカリング機構を遮るようにハウジング内に配置されて、アンカリング機構が引き出されることを防ぐ。解除形態において、ロック要素と共役ロック要素は、アンカリング機構がハウジングから引き出されることを可能にするように配置されている。
【0015】
実施形態によれば、アンカリング機構のロック要素は、ロック部材によって制御される第1のロック要素と、アンカリング部材に結合される第2のロック要素とを備える。共役ロック要素は、第1の共役ロック要素と第2の共役ロック要素とを備える。アンカリング形態において、第1のロック要素は、ハウジング穴の長手軸に沿うアンカリング機構の摺動をロックするため、第1の共役ロック要素と係合する。第2のロック要素は、長手軸周りのアンカリング部材の回転を防ぐように第2の共役ロック要素と係合する。解除形態において、第1のロック要素は、長手軸に沿ったアンカリング機構の摺動を可能にするように、第1の共役ロック要素から離れる。
【0016】
有利な実施形態によれば、特に小型の盗難防止装置を実装することができるため、アンカリング機構は、移送形態と追加解除形態になるように構成されている。移送形態と追加解除形態において、アンカリング機構は、ハウジングにほぼ完全に挿入されている。共役ロック要素は、長手軸に沿って第1の共役ロック要素から離れた追加の第1の共役ロック要素を備える。移送形態において、第1のロック要素は、長手軸に沿うアンカリング機構の摺動をロックするため、追加の第1の共役ロック要素と係合する。追加解除形態において、第1のロック要素は、長手軸に沿ったアンカリング機構の摺動を可能にするように、追加の第1の共役ロック要素から離れる。
【0017】
実施形態によれば、アンカリング機構は、雌型アンカリング部の開口部を通過するように構成されている。雄型アンカリング部は、アンカリング機構がアンカリング形態になる場合、雌型アンカリング部の対応する隣接部に対して接するように構成されているアンカリングショルダを備える。
【0018】
有利な実施形態によれば、ヘルメットを車両にロックするステップの間、ハウジング穴がヘルメットによって覆われているとき、アンカリング機構をハウジング穴に簡単に挿入できるため、第2のロック要素と第2の共役ロック要素は、アンカリング機構をハウジング穴の内側に挿入することを案内するように形成されている。
【0019】
実施形態によれば、ハウジングとアンカリング機構は、車両に、好ましくは車両のサドルの下方に、さらに好ましくは車両のハンドルバーに配置されている。有利であるように、ハウジングとアンカリング機構がサドルの下方に、好ましくはサドルの近傍に配置されている場合、ヘルメットは、サドルに配置することによって、サドルがヘルメットの内側に少なくとも部分的に受容されるように盗難防止装置に便利に固定され得る。このように、ヘルメットは、ダート及び/又は雨から少なくとも部分的にサドルを保護し得る。
【0020】
実施形態によれば、ロック部材は、取り外し可能なキーにより操作できるロックシリンダを備える。
【0021】
有利な実施形態によれば、車両は、ヘルメットが盗難防止装置に拘束されているとき、サドルとヘルメットを覆うように構成されている折り畳み式カバーを備える。折り畳み式カバーにより、特に効率的な方法で、ダート及び/又は雨からヘルメットとサドルを保護することが便利にできる。
【0022】
本発明の目的はまた、請求項11に記載のヘルメットである。
【0023】
特に、本発明は、シェルと、シェルに設けられている少なくとも1つの雌型アンカリング部とを備える運転手の頭部用のヘルメットに関する。少なくとも1つの雌型アンカリング部は、車両のアンカリング機構の少なくとも1つの雄型アンカリング部と係合するように形成されている。
【0024】
実施形態によれば、少なくとも1つの雌型アンカリング部は、シェルの第1及び/又は第2の側面部、好ましくは頭部の下顎の頭蓋の領域を保護するように構成されているシェルの部分に配置されている。
【0025】
実施形態によれば、少なくとも1つの雌型アンカリング部は、シェルの背面に配置されている。
【0026】
本発明の別の目的は、請求項13に記載のキットである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、以下の添付図面を参照して限定することなく、例によってもたらされる以下の実施形態の詳細な説明から分かる。
【
図1】
図1は、第1の実施形態に記載のサドル型の車両と、第1の実施形態に記載の盗難防止装置により車両に固定されているヘルメットの側面図を示す。
【
図2】
図2は、盗難防止装置に固定されているヘルメットと共に、
図1に示す車両を部分的に図示する側面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の車両のサドル、盗難防止装置、及びヘルメット、特に解除形態における盗難防止装置のアンカリング機構を図示する部分断面底面図を示す。
【
図4】
図4は、アンカリング形態におけるアンカリング機構を図示する
図3と同様の部分断面底面図を示す。
【
図5】
図5は、車両のサドルとヘルメットが折り畳み式カバーによって覆われている、
図2と同様の側面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1の車両と同様のサドル型の車両、及び第2の実施形態に記載の盗難防止装置によって車両に固定されている第2の実施形態に記載のヘルメットの部分側面図を示す。
【
図7】
図7は、
図6の盗難防止装置に固定されている
図6のヘルメットを図示する
図6の車両の部分背面図を示す。
【
図8】
図8は、ヘルメットと盗難防止装置を部分断面で示して、解除形態における盗難防止装置のアンカリング機構を図示する
図7と同様の図を示す。
【
図9】
図9は、中間形態におけるアンカリング機構を図示する
図8と同様の図を示す。
【
図11】
図11は、ヘルメットを車両に固定するようにヘルメットのアンカリング部と係合するアンカリング形態におけるアンカリング機構を図示する
図9と同様の図を示す。
【
図13】
図13は、
図1の車両と同様のサドル型の車両、及び第3の実施形態に記載の盗難防止装置によって車両に固定されている第3の実施形態に記載のヘルメットの斜視正面図を示す。
【
図19】
図19は、解除形態におけるアンカリング機構を図示する
図13のヘルメットと盗難防止装置の部分断面図を示す。
【
図20】
図20は、ヘルメットを車両に固定するアンカリング形態におけるアンカリング機構を図示する
図9と同様の図を示す。
【
図21】
図21は、追加解除形態におけるアンカリング機構を図示する
図13の盗難防止装置の部分断面図を示す。
【
図23】
図23は、車両のハンドルバーに関連する第4の実施形態に記載の盗難防止装置を図示する
図1の車両と同様のサドル型の車両の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず
図1を参照して、この図において、サドル型の車両を符号1Aで全体的に示す。好ましい実施形態によれば、車両1Aは、特にスクータ1Aである。実施形態によれば、車両1Aは、フレーム5、少なくとも1つの前輪6、フレーム5に動作可能に接続している少なくとも1つの後輪7、前輪6に動作可能に接続しているハンドルバー8A、及び車両1Aの運転手用のサドル3Aを備える。好ましい実施形態によれば、サドル3Aは、自転車のサドルと同じ又は類似の形状を有する。好ましくは、車両1Aは、フレーム5の両側に配置されている1対のペダル9を備える車両である。このペダル9は、ドランスミッション4により後輪7に動作可能に接続している。好ましくは、車両1は電気牽引車である。一方、本明細書の教示は、上述の種類の車両1Aに限定されることはなく、例えばバイク、原動機付き自転車、スクータ、ATV(全地形対応車)などに限定されないような、二輪、三輪、四輪、又はそれ以上の車輪のサドルを備えて、且つヘルメットと共に用いられることを意図しているいずれかの種類の牽引システムを備えるいずれかの種類の車両に広く当てはまり得る。
【0029】
図1~5を参照して、車両1Aは、第1の実施形態に記載のヘルメット10A用の盗難防止装置100を備える。ヘルメット10Aはシェル17Aを備える。好ましくは、ヘルメット10Aは、「ジェット」型又は「デミジェット」型と呼称されるヘルメット、すなわち下顎ガードのないヘルメット、又は「モジュラ」型と呼称されるヘルメット、すなわち回転する下顎ガードを備えるヘルメットである。盗難防止装置100は、好ましくは車両1Aのパーツ2Aと、ハウジング110内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構120と一体化されているハウジング110を備える。アンカリング機構は、少なくとも1つのアンカリング部材122’,122’’を備える。実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材122’,122’’は、摺動軸X1に沿って摺動するように、ハウジング110の内側に摺動可能に連結されている。実施形態によれば、少なくとも1つのアンカリング部材122’,122’’は、第1部121’と第2部121’’を備える。好ましくは、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部は、互いに対向して、第1の雄型アンカリング部と第2の雄型アンカリング部の少なくとも一方が、第1及び/又は第2の雌型アンカリング部11A’,11A’’と係合するため、摺動軸X1に沿って他方に対して摺動するように配置されている。実施形態によれば、第1部122’と第2部122’’は、互いに対向して、第1部122’と第2部122’’の少なくとも一方が、ヘルメット10Aの第1及び第2の雌型アンカリング部11A’,11A’’とそれぞれ係合するため、摺動軸X1に沿って他方に対して摺動するように配置されている。実施形態によれば、雄型アンカリング部122’,122’’と雌型アンカリング部11A’,11A’’は、互いに貫通し合うように構成されていると共に、実質的に相補的な形状を有する構成要素である。実施形態によれば、アンカリング機構120は、ヘルメット10Aの雌型アンカリング部11A’,11A’’のそれぞれと係合するように構成されている雄型アンカリング部122’,122’’をそれぞれ含む1対のアンカリング部材122’,122’’を備える。好ましくは、雌型アンカリング部11A’,11A’’は、シェル17Aに設けられている。さらに好ましくは、雌型アンカリング部11A’,11A’’は、シェル17Aの第1及び第2の側面部15A’,15A’’にそれぞれ配置されている。好ましくは、雌型アンカリング部11A’,11A’’は、車両1Aの運転手の頭部の下顎の頭蓋の領域を保護するように構成されているシェル17Aの一部に配置されている。雌型アンカリング部11A’,11A’’は、シェル17Aの剛性突出付属物18A’,18A’’にそれぞれ配置されている。アンカリング機構120は、少なくとも1つのアンカリング部材122’,122’’に関連するロック部材130を備える。好ましくは、ロック部材130は、取り外し可能なキー131により操作できるロックシリンダ130を備える。アンカリング機構120は、アンカリング形態(例えば
図2と
図4)と解除形態(
図3)になるように構成されている。アンカリング形態において、雄型アンカリング部121’,121’’は、ヘルメット10Aを保持するため、ヘルメット10Aの雌型アンカリング部11A’,11A’’のそれぞれと係合する。解除形態において、雌型アンカリング部11A’,11A’’は、車両1Aからヘルメット10Aを分離するように、雄型アンカリング部122’,122’’のそれぞれから離れる。実施形態によれば、雄型アンカリング部122’,122’’の少なくとも一方が、アンカリング機構120のアンカリング形態と解除形態にそれぞれ関連するアンカリング位置(
図4)と解除位置(
図3)に選択的になる。好ましくは、アンカリング部121’,121’’の両方が、上述のアンカリング位置と解除位置を有してもよい。実施形態によれば、上述のアンカリング位置と解除位置との間の雄型アンカリング部121’,121’’の少なくとも一方の動作は、ロック部材130によって制御される。実施形態によれば、アンカリング部材122’,122’’は、第1及び/又は第2の雌型アンカリング部11A’,11A’’の開口部12A’,12A’’を通過するようにピン状に形成されている。実施形態によれば、第1及び第2の雄型アンカリング部122’,122’’は、第1及び第2の雌型アンカリング部11A’,11A’’の開口部12A’,12A’’を通過するようにピン状に形成されている。実施形態によれば、アンカリング機構120は、ロック部材130と1対のアンカリング部材122’,122’’との間において、動作可能に介在しているカム123を備える。また、アンカリング機構120は、アンカリング機構120がアンカリング形態から始まる解除形態になるように配置されている少なくとも1つのアンカリング部材122’,122’’に連結されている少なくとも1つのリターンスプリング124’,124’’を備える。実施形態によれば、アンカリング機構120は、両側の方向において、軸X1に沿って摺動する2つのアンカリング部材122’,122’’を備える。それぞれのアンカリング部材122’,122’’は、それぞれのリターンスプリング124’,124’’に連結されている。この場合、解除形態から始まり、例えばロック部材130に挿入されるキー131によって、ロック部材130によりカム123を動作することにより、アンカリング機構120がアンカリング形態になるまで、カム123は、スプリング124’,124’’の動作に対して、アンカリング部材122’,122’’の両側の方向における(ハウジング110の中心に対して)外向きの摺動を生じる。特に、アンカリング形態において、カム123は、アンカリング部材122’,122’’を解除可能に遮るように配置されている。アンカリング形態から始まり、再びロック部材130により、また好ましくはロック部材130に挿入されたキー131によって、リターンスプリング124’,124’’が、アンカリング機構が解除形態になるように、アンカリング部材122’,122’’を両側の方向における(ハウジング110の中心に対して)内向きに摺動させるように、カム123を配置することができる。(図示しない)別の実施形態によれば、アンカリング機構120は、2つのアンカリング部材122’,122’’を備える。このアンカリング部材122’,122’’の内の一方は、他方が固定されているとき、摺動する。実際には、この場合、アンカリング機構120は、
図4に示すアンカリング機構に類似する。一方、アンカリング部材122’,122’’の内の一方だけが軸X1に沿って摺動するとき、他方は固定されて、ヘルメット10Aに設けられているそれぞれのアンカリング部11A’,11A’’と係合できるように配置されている。この場合、固定されたアンカリング部材に連結されるリターンスプリングは、明らかに設けられていない。
【0030】
実施形態によれば、ハウジング110とアンカリング機構120は、車両1Aに、好ましくは車両1Aのサドル3Aの下方に、さらに好ましくはサドル3Aの近傍におけるサドル3Aの下方に配置されている。一方、盗難防止装置100が、ヘルメット10Aが固定できるように構成されている車両1Aのいずれかの部分に配置され得ることに留意するべきである。例えば、盗難防止装置100は、サドル3Aの下方に配置されている車両1Aのパーツ2Aの代わりに、ハンドルバーと一体化され得る。
【0031】
図5を参照して、実施形態によれば、車両1Aは、(
図5の断面において示す)折り畳み式カバー150を備える。この折り畳み式カバー150は、ヘルメット10Aが盗難防止装置100に接続されているとき、サドル3Aとヘルメット10Aを覆うように構成されている。好ましくは、折り畳み式カバー150は防水カバーである。好ましくは、カバー150は、折り畳まれているとき、サドル3Aの下方に収納される。
【0032】
図6を参照して、この図は、符号1Bにより全体的に示すサドル型の車両を部分的に示す。車両1Bは、車両1Bが第2の実施形態に記載のヘルメット10B用の盗難防止装置200を備えることを除いて、車両1Aと一致している。したがって、車両1Bは詳細に説明されない。また、この車両に関して、車両1Aを参照して上述した同じ検討が当てはまる。
【0033】
図6~12を参照して、ヘルメット10Bはシェル17Bを備える。好ましくは、ヘルメット10Bは、「ジェット」型又は「デミジェット」型と呼称されるヘルメット、すなわち下顎ガードのないヘルメット、又は「モジュラ」型と呼称されるヘルメット、すなわち回転する下顎ガードを備えるヘルメットである。盗難防止装置200は、好ましくは車両1Bのパーツ2Bと、ハウジング210内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構220と一体化されているハウジング210を備える。アンカリング機構220は、ヘルメット10Bの雌型アンカリング部11Bと係合するように構成されている雄型アンカリング部221を含む1つのアンカリング部材222を備える。実施形態によれば、雄型アンカリング部221と雌型アンカリング部11Bは、互いに貫通し合うように構成されていると共に、実質的に相補的な形状を有する構成要素である。好ましくは、雌型アンカリング部11Bは、シェル17Bに設けられている。さらに好ましくは、シェル17Bは、第1及び第2の側面部15B’,15B’’を備える。また、雌型アンカリング部11Bは、側面部15B’,15B’’の一方に、例えば側面部15B’に配置されている。好ましくは、雌型アンカリング部11Bは、車両1Bの運転手の頭部の下顎の頭蓋の領域を保護するように構成されているシェル17Bの一部に配置されている。好ましい実施形態によれば、雌型アンカリング部11Bは、シェル17Bの剛性突出付属物18Bに配置されている。再び
図6~12を参照して、アンカリング機構220は、アンカリング部材222に関連するロック部材230を備える。好ましくは、ロック部材230は、取り外し可能なキー231により操作できるロックシリンダ230を備える。アンカリング機構220は、アンカリング形態(例えば
図11と
図12)と解除形態(
図8)になるように構成されている。アンカリング形態において、雄型アンカリング部221は、ヘルメット10Bを保持するため、ヘルメット10Bの雌型アンカリング部11Bと係合する。解除形態において、雌型アンカリング部11Bは、車両1Bからヘルメット10Bを分離するように、雄型アンカリング部221から離れる。実施形態によれば、雄型アンカリング部221が、アンカリング機構220のアンカリング形態と解除形態にそれぞれ関連するアンカリング位置(
図11と
図12)と解除位置(
図8)に選択的になる。実施形態によれば、上述のアンカリング位置と解除位置との間の雄型アンカリング部221の動作は、ロック部材230によって制御される。実施形態によれば、アンカリング部材222は、摺動軸X2に沿って摺動するように、ハウジング210の内側に摺動可能に連結されている。実施形態によれば、アンカリング部材222は回転可能であり、特に軸X2周りに回転できる。雌型アンカリング部11Bは、雄型アンカリング部221と相補的である。特に、雄型アンカリング部221は、雄型アンカリング部221の所定の角度位置における回転が生じるとき、雌型アンカリング部11Bと係合するように形成されている。実施形態によれば、リターンスプリング224は、ハウジング210とアンカリング部材222との間において、動作可能に介在している。実施形態によれば、ヘルメット10Bを車両1Bに固定するため、アンカリング機構220の解除形態(
図8)から始まり、(コントラストスプリング224の動作に対して)ロック部材230を付勢することによって、雄型アンカリング部221が雌型アンカリング部11Bの開口部12Bを通過するまで、軸X2に沿うアンカリング部材222の摺動を生じることが必要である。このとき、アンカリング機構220は、
図9~10に示す中間形態である。このアンカリング機構220の中間形態から始まり、予め決められた角度でアンカリング部材を軸X2周りに回転することにより、雄型アンカリング部221が相補的な雌型アンカリング部11Bと係合するように、雄型アンカリング部221を配置することができる。このように、アンカリング機構220は、
図11~12に示すアンカリング形態になる。このアンカリング形態において、ヘルメット10Bは車両1Bに固定されている。好ましくは、例えば取り外し可能なキー231によって、ロック部材230を動作することにより、アンカリング部材222の軸X2周りの回転が行われることに留意するべきである。ヘルメット10Bを車両1Bから解除するため、アンカリング機構220のアンカリング形態から始まり、相補的な雌型アンカリング部11Bから雄型アンカリング部221を離すように、軸X2に対する両側の方向において、アンカリング部材222を軸X2周りに回転して、アンカリング機構220の上述の中間形態を生じることが必要である。これは、ロック部材230を動作することによって、好ましくは取り外し可能なキー231によって行われ得る。アンカリング機構220の中間形態から始まり、アンカリング機構が解除形態になるように、アンカリング部材222は軸X2に沿って摺動するように形成され得る。リターンスプリング224が設けられているとき、アンカリング部材222の摺動はリターンスプリング224自体によって決められる。
【0034】
実施形態によれば、ハウジング210とアンカリング機構220は、車両1Bに、好ましくは車両1Bのサドル3Bの下方に、さらに好ましくはサドル3Bの近傍におけるサドル3Bの下方に配置されている。一方、盗難防止装置200が、ヘルメット10Bが固定できるように構成されている車両1Bのいずれかの部分に配置され得ることに留意するべきである。例えば、盗難防止装置200は、サドル3Bの下方に配置されている車両1Bのパーツの代わりに、車両1Bのハンドルバー8Bと一体化され得る。
【0035】
実施形態によれば、車両1Bは、折り畳み式カバー150(
図5)と一致している折り畳み式カバーを備える。この折り畳み式カバーは、好ましくは、折り畳まれているとき、サドル3Bの下方に収納される。
【0036】
図13を参照して、この図は、符号1Cにより全体的に示すサドル型の車両を部分的に示す。車両1Cは、車両1Cが第3の実施形態に記載のヘルメット10C用の盗難防止装置300を備えることを除いて、車両1Aと一致している。したがって、車両1Cは詳細に説明されない。また、この車両に関して、車両1Aを参照して上述した同じ検討が当てはまる。
【0037】
図13~22を参照して、ヘルメット10Cはシェル17Cを備える。好ましくは、ヘルメット10Cは、「ジェット」型又は「デミジェット」型と呼称されるヘルメット、すなわち下顎ガードのないヘルメット、又は「モジュラ」型と呼称されるヘルメット、すなわち回転する下顎ガードを備えるヘルメットである。盗難防止装置300は、好ましくは車両1Cのパーツ2Cと、ハウジング310内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構320と一体化されているハウジング310を備える。アンカリング機構320は、ヘルメット10Cの雌型アンカリング部11Cと係合するように構成されている雄型アンカリング部321を含むアンカリング部材322を備える。実施形態によれば、雄型アンカリング部321と雌型アンカリング部11Cは、互いに貫通し合うように構成されていると共に、実質的に相補的な形状を有する構成要素である。好ましくは、雌型アンカリング部11Cは、シェル17Cに設けられている。さらに好ましくは、雌型アンカリング部11Cは、シェル17Cの背部16Cに配置されている。
【0038】
再び
図13~22を参照して、アンカリング機構320は、アンカリング部材322に関連するロック部材330を備える。好ましくは、ロック部材330は、取り外し可能なキー331により操作できるロックシリンダ330を備える。アンカリング機構320は、アンカリング形態(
図20)と解除形態(
図19)になるように構成されている。アンカリング形態において、雄型アンカリング部321は、ヘルメット10Cを保持するため、ヘルメット10Cの雌型アンカリング部11Cと係合する。解除形態において、雌型アンカリング部11Cは、車両1Cからヘルメット10Cを分離するように、雄型アンカリング部321から離れる。実施形態によれば、ハウジング310は、アンカリング機構320を収納するように構成されているハウジング穴311を備える。特に、アンカリング機構320は、ハウジング穴311から完全に引き出され得る。すなわち、アンカリング機構320は、ハウジング310から完全に分離され得る。アンカリング機構320は、ロック要素323,340を備える。また、ハウジング310は、アンカリング機構320のロック要素323,340と係合するように構成されている共役ロック要素313’,313’’,314を備える。アンカリング形態において、ロック要素323,340と共役ロック要素313’,313’’,314は、アンカリング機構320を遮るようにハウジング内に配置されて、アンカリング機構320がハウジング310から引き出されることを防ぐ。解除形態において、ロック要素323,340と共役ロック要素313’,313’’,314は、アンカリング機構320がハウジング310から引き出されることを可能にするように配置されている。実施形態によれば、アンカリング機構320のロック要素323,340は、ロック部材330によって制御される第1のロック要素340と、アンカリング部材322に結合される第2のロック要素323とを備える。好ましくは、共役ロック要素313’,313’’,314は、第1の共役ロック要素313’と第2の共役ロック要素314とを備える。特に、アンカリング機構320のアンカリング形態において、第1のロック要素340は、ハウジング穴311の長手軸X3に沿うアンカリング機構320の摺動をロックするため、第1の共役ロック要素313’と係合する。また、第2のロック要素323は、長手軸X3周りのアンカリング部材322の回転を防ぐように第2の共役ロック要素314と係合する。さらに、解除形態において、第1のロック要素340は、長手軸X3に沿ったアンカリング機構320の摺動を可能にするように、第1の共役ロック要素313’から離れる。好ましい実施形態によれば、第1のロック要素340は、ロック部材330によって回転を制御されるロックプレート340を備える。また、第1の共役ロック要素313’は、ロックプレート340を受容するように構成されているロック溝313’を備える。好ましくは、第2のロック要素323は、アンカリング機構の1対の対向するロック壁部323を備える。また、第2の共役ロック要素314は、1対の対向する共役ロック壁部314を備える。この共役ロック壁部314は、ロック壁部323に対して相補的に形成される。好ましくは、壁部314,323は平坦な壁である。好ましい実施形態によれば、アンカリング機構320は、ロック部材330とロックプレート340との間において、動作可能に介在している伝達部材350を備える。ロックプレート340は、伝達部材350と回転するように一体化されている。実施形態によれば、アンカリング部材322は、少なくともロック部材330を、好ましくはロック部材330と伝達部材350の両方を収納するように構成されている管状部材である。好ましくは、第2のロック要素323は、アンカリング部材322に配置されている。
【0039】
実施形態によれば、アンカリング機構320はまた、移送形態(
図21)と追加解除形態(
図20)になるように構成されている。移送形態と追加解除形態において、アンカリング機構320は、ハウジング310にほぼ完全に挿入されている。この場合、共役ロック要素313’,313’’,314は、長手軸X3に沿って第1の共役ロック要素313’から離れた追加の第1の共役ロック要素313’’を備える。移送形態において、第1のロック要素340は、長手軸X3に沿うアンカリング機構320の摺動をロックするため、追加の第1の共役ロック要素313’’と係合する。追加解除形態において、第1のロック要素340は、長手軸X3に沿ったアンカリング機構320の摺動を可能にするように、追加の第1の共役ロック要素313’から離れる。実施形態によれば、追加の共役ロック要素313’’は、ロックプレート340を受容するように構成されている追加のロック溝313’を備える。有利な実施形態によれば、第2のロック要素323と第2の共役ロック要素314は、アンカリング機構320をハウジング穴311の内側に挿入することを案内するように形成されている。
【0040】
実施形態によれば、アンカリング機構320は、雌型アンカリング部11Cの開口部12Cを通過するように構成されている。特に、雄型アンカリング部321は、アンカリング機構320がアンカリング形態になる場合、雌型アンカリング部11Cの対応する隣接部13Cに対して接するように構成されているアンカリングショルダ321を備える。
【0041】
実施形態によれば、ヘルメット10Cを車両1Cに固定するため、アンカリング機構320が、
図19に示す解除形態になるまで、開口部12Cを通過するようにアンカリング機構320を挿入した後、アンカリング機構320をハウジング穴311の内側に挿入することが必要である。特に、この解除形態において、ショルダ321は、対応する隣接部13Cに隣接する。一方、ロックプレート340はロック溝313’から離れて、ヘルメット10Cを解除することができる。この最後の形態から、ヘルメット10Cを車両1Cに固定するため、ロック部材330を作動することによって、ロックプレート340がロック溝313’と係合するように、ロックプレート340を軸X3周りに回転することが必要である。このように、アンカリング機構320は、
図20に示すアンカリング形態になる。このアンカリング形態において、ショルダ321はヘルメット10Cを保持する。好ましくは、ロックプレート340の回転は、ロック部材330に挿入されている取り外し可能なキー331によってもたらされる。ロックプレート340が回転する間、アンカリング機構322が軸X3周りに回転するようにロックされていることに留意するべきである。ヘルメット10Cを解除するため、アンカリング機構320のアンカリング形態から始まり、ロック溝313’からロックプレート340を離すように、軸X3に対する両側の方向において、ロック部材330によって、好ましくはロック部材330に挿入されているキー331によって、ロックプレート340を回転することが必要である。このように、アンカリング機構320は解除形態になる。
【0042】
図21と
図22を参照して、これらの図は、アンカリング機構320の移送形態(
図22)と追加解除形態(
図21)を示す。移送形態において、アンカリング機構320はハウジング310に固定されている。また、雄型アンカリング部321は、ハウジング310の一部と直接係合する。すなわち、移送形態において、アンカリング機構320は、ヘルメット10Cを車両1Cに固定しない。また、この機構320は、ハウジング310に拘束されているだけである。別の解除形態において、アンカリング機構320は、ハウジング310から引き出され得る。実施形態によれば、アンカリング機構320を追加解除形態から移送形態に変えるため、ロックプレート340が、追加のロック溝313’’と係合するように回転する必要がある。一方、アンカリング機構320を移送形態から追加解除形態に変えるため、追加のロック溝313’’から離れるように、ロックプレート340を回転させる必要がある。移送形態から追加解除形態に移行する、また追加解除形態から移送形態に移行するためのロックプレート340の軸X3周りの回転が、ロック部材330によって、好ましくはロック部材330に挿入されている取り外し可能なキー331によって行われ得る。
【0043】
実施形態によれば、ハウジング310とアンカリング機構320は、車両1Cに、好ましくは車両1Cのサドル3Cの下方に、さらに好ましくはサドル3Cの近傍におけるサドル3Cの下方に配置されている。一方、盗難防止装置300が、ヘルメット10Cが固定できるように構成されている車両1Cのいずれかの部分に配置され得ることに留意するべきである。例えば、盗難防止装置300は、サドル3Cの下方に配置されている車両1Cのパーツの代わりに、車両1Cのハンドルバー(図示せず)と一体化され得る。
【0044】
実施形態によれば、車両1Cは、折り畳み式カバー150(
図5)と一致している折り畳み式カバーを備える。この折り畳み式カバーは、好ましくは、折り畳まれているとき、サドル3Cの下方に収納される。
図23を参照して、この図は、符号1Dにより全体的に示すサドル型の車両を部分的に示す。
図23において、第4の実施形態によれば、車両1Dのハンドルバー8Dと、好ましくはハンドルバー8Dに不可欠なヘルメット用の盗難防止装置とが特に強調されている。車両1Dは、異なる盗難防止装置400を備えることを除いて、車両1Aと類似している特徴を有するバイクである。したがって、車両1Dは詳細に説明されない。また、この車両に関して、車両1Aを参照して上述した同じ検討が当てはまる。盗難防止装置400によって車両1Dに固定されるように構成されている(
図23に示さない)ヘルメットは、例えば、上述のヘルメット10A又はヘルメット10Cのいずれかと一致しているヘルメットであってもよい。特に、ヘルメットは、ヘルメットが盗難防止装置400のアンカリング装置422によって車両1Dに固定できるように、ヘルメットのシェルの貫通穴(雌型アンカリング部)によって盗難防止装置400と協調するように形成されている。盗難防止装置400は、車両1Dのパーツ2C、特にハンドルバー8Dと一体化されているハウジング410、及びハウジング410内に少なくとも部分的に受容されるように構成されているアンカリング機構420を備える。アンカリング機構420は、ヘルメットの上述の雌型アンカリング部と係合するように構成されている雄型アンカリング部を含むアンカリング部材422を備える。アンカリング機構420はまた、アンカリング部材422に関連するロック部材430を備える。好ましくは、ロック部材430は、取り外し可能なキー431により操作できるロックシリンダ430を備える。アンカリング機構420は、アンカリング形態と解除形態になるように構成されている。アンカリング形態において、雄型アンカリング部は、ヘルメットを保持するため、ヘルメットのシェルの上述の貫通穴を通過して、ヘルメットの雌型アンカリング部と係合する。解除形態において、雌型アンカリング部は、車両1Dからヘルメットを分離するように、雄型アンカリング部から離れる。実施形態によれば、雄型アンカリング部が、アンカリング機構420のアンカリング形態と解除形態にそれぞれ関連するアンカリング位置と解除位置に選択的になる。実施形態によれば、上述のアンカリング位置と解除位置との間の雄型アンカリング部の動作は、ロック部材430によって制御される。実施形態によれば、アンカリング部材422’は、摺動軸に沿って摺動するように、ハウジング410に摺動可能に連結されている。実施形態によれば、盗難防止装置400は、バイク用の共通ロック部と類似の構造を有する装置である。この構造において、アンカリング要素422は、ロック部材430によって操作できる摺動アンカリングピン422から構成される。上述のハウジング410は「U」字形状を有する。
【0045】
したがって、上述の説明に基づいて、本発明に記載のサドル型の車両が上述の目的を達成できることを理解することができる。
【0046】
本発明の原理は、製造の詳細と実施形態が、添付の請求項に記載の本発明の範囲から離れることなく、広く変化して、非限定的な例によって示す説明及び図面と比較され得るように理解される。