(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット及び燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1226 20160101AFI20240625BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20240625BHJP
C25B 13/02 20060101ALI20240625BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240625BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/0263 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/0271 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/1213 20160101ALI20240625BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20240625BHJP
【FI】
H01M8/1226
C25B9/23
C25B13/02 302
C25B15/08 302
H01M8/0247
H01M8/0258
H01M8/0263
H01M8/0271
H01M8/0276
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/1213
H01M8/2483
(21)【出願番号】P 2021533209
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2019083549
(87)【国際公開番号】W WO2020126486
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リース, リー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン, ユアン ノーマン ハーヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドマンスキー, トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ノブス, クリストファー ジェームス
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199223(WO,A1)
【文献】特開2017-174605(JP,A)
【文献】特表2011-530141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/12
H01M 8/24
C25B 13/02
C25B 15/08
C25B 9/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ板と、
電池化学物質層を保持している金属支持板と
、
多孔質領域と、
を備え、
前記電池化学物質層は、前記多孔質領域上に設けられ、
前記セパレータ板及び前記金属支持板は互いに重なり合って、繰り返しユニットを形成する、金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニットであって、
前記セパレータ板及び前記金属支持板のうちの少なくとも一方は
、凹状形状
を形成
するフランジ付き外周特徴部を備え、
前記セパレータ板及び前記金属支持板は、前記フランジ付き外周特徴部にて直接当接されて、前記セパレータ板と前記金属支持板との間に流体容積部を形成し、
少なくとも1つの流体ポートが、前記フランジ付き外周特徴部内の前記セパレータ板及び前記金属支持板のそれぞれに設けられ、それぞれの前記流体ポートは、
前記セパレータ板及び前記金属支持板の重なり合い方向に前記流体容積部と整列して連通し、
前記流体容積部は、前記流体ポートから前記流体容積部への流体の通過を可能に
するための流体通路を画定する特徴部を備える、金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項2】
前記金属支持板が前記多孔質領域を含むように前記多孔質領域が前記金属支持板内に設けられ、
前
記電池化学物質層は、前記金属支持板
の前記多孔質領域上の前記金属支持板に形成されたアノード、電解質及びカソードを備えた電気化学的に活性な層の形態をとる、請求項1に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項3】
多孔質領域が
別個の板に設けられ、その上に、アノード、電解質及びカソードを備えた電気化学的に活性な層の形態をとる燃料電池化学物質層が形成され、前記
別個の板は、前記金属支持板
に設けられた窓上に設けられる、請求項1に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項4】
前記流体ポートから前記流体容積部までの前記流体通路は、蛇行しており、及び/又は複数の場所で互いに交差している、請求項1~3のいずれか一項に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項5】
前記フランジ付き外周特徴部は、前記セパレータ板にのみ設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項6】
前記流体通路を画定する前記特徴部が、前記セパレータ板及び前記金属支持板のうちの少なくとも一方の前記流体ポートの周囲に形成された成形ポート特徴部を備え、前記成形ポート特徴部の複数の要素は、互いから離間されて、前記流体ポートから前記複数の要素間の前記流体通路を画定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池又は電解質電池ユニット。
【請求項7】
前記成形ポート特徴部は、前記セパレータ板にのみ設けられている、請求項
6に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項8】
前記成形ポート特徴部は、前記成形ポート特徴部が延びる表面の上方に、前記セパレータ板及び前記金属支持板の対向する内面間の距離と同じ高さにある、請求項
6又は7に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項9】
前記セパレータ板及び前記金属支持板のうちの少なくとも一方は
、1つ又は複数の隆起部材を備え、前記隆起部材は前記セパレータ板及び前記金属支持板のうちの他方から離れる方向に延び、1つの前記流体ポート又は複数の前記流体ポートの各々の周囲に配置されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項10】
前記1つ又は複数の隆起部材が、内部にガスケットを収容する空間を画定するように構成された複数の隆起部材
であり、及び/又は
前記複数の隆起部材が、外側でガスケットを収容する周縁を画定するように構成さ
れている、請求項
9に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項11】
前記成形ポート特徴部
の前記複数の要素間に点在する複数の隆起部材が設けられている、
請求項6に従属する場合の請求項
9に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項12】
1つの前記隆起部材又は複数の前記隆起部材の各々は、前記成形ポート特徴部の外側に配置されている、
請求項6に従属する場合の請求項
9に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項13】
1つの前記隆起部材又は複数の前記隆起部材の各々は、隣り合う燃料電池
又は電解質電池ユニットが又は隣り合う燃料電池
又は電解質電池ユニットから延びる一部分が燃料電池
又は電解質電池ユニットのスタックの組み立て中に支持できるハードストップ面を画定するピークを有する、請求項
9~
12のいずれか一項に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項14】
ハードストップ面を画定する複数の隆起部材があり、前記ハードストップ面はすべて共通の平面にある、請求項
13に記載の金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニット。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の複数の燃料電池
又は電解質電池ユニットを備えた固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタックであって、
前記燃料電池
又は電解質電池ユニットは、隣り合う燃料電池
又は電解質電池ユニット間の前記流体ポートの周囲にシールを備えた状態で互いに積み重ねられ
る、固体酸化物燃料電池スタック。
【請求項16】
前記シールはガスケットを含む、請求項
15に記載の固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタック。
【請求項17】
前記シールはインサイチュシールを含む、請求項
15に記載の固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタック。
【請求項18】
1つの前記隆起部材又は複数の前記隆起部材の各々は、請求項
13に記載のハードストップ面を画定するピークを有し、前記燃料電池
又は電解質電池ユニットの低い方のユニットのシール受容面にある少なくとも1つのシールの高さは、次の燃料電池
又は電解質電池ユニットが上に積み重ねられる前に前記シール受容面の上にあり、前記燃料電池
又は電解質電池ユニットの低い方のユニットの前記ハードストップ面の高さは、前記隣り合う燃料電池
又は電解質電池ユニット間の圧縮に制限を設けるように、前記シール受容面よりも上だが、前記シール受容面にあるシールの高さよりも低い、
請求項9~14のいずれか一項に従属する場合の請求項
15~
17のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタック。
【請求項19】
前記シールのうちの少なくとも1つは、前記シールのためのそれぞれの流体ポートを囲む溝に部分的に配置され、前記溝は、任意選択で前記板の隆起部分に位置する、請求項
15~
18のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタック。
【請求項20】
前記燃料電池スタックの内部構成部品は、燃料電池及び前記シールの前記スタックのみを含
む、請求項
15~
19のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池
又は電解質電池スタック。
【請求項21】
セパレータ板を用意するステップと、
金属支持板を用意するステップと、
前記セパレータ板及び前記金属支持板のそれぞれに、少なくとも一つの流体ポートを設けるステップと、
フランジ付き外周特徴
部を形成するために前記金属支持板及び前記セパレータ板のうちの少なくとも一方を加工するステップであって、前記
金属支持板
及び/又は
前記セパレータ板に凹状形状を形成す
ることを含む、加工するステップと
を含む、金属支持型固体酸化物燃料電池
又は電解質電池ユニットを製造する方法であって、
前記セパレータ板及び前記金属支持板を互いに重ね合わせて、繰り返しユニットを形成するステップと、
前記フランジ付き外周特徴部にて前記セパレータ板及び前記金属支持板を直接当接させるステップ
であって、凹状形状を形成する前記フランジ付き外周特徴部は、それらの間に流体容積部を形成する、ステップと
、
前記流体ポートから前記流体容積部への流体の通過を可能にするための流体通路を画定する特徴部を設けるステップと、
をさらに含
む、方法。
【請求項22】
前記フランジ付き外周特徴部及び流体通路を画定する前記特徴部が、加圧成形によって形成される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
流体通路を画定する前記特徴部が、前記セパレータ板及び前記金属支持板のうちの少なくとも一方の前記流体ポートの周囲に形成された成形ポート特徴部を備える、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記燃料電池
又は電解質電池ユニットは、請求項1~
14のいずれか一項に記載されており、
又は前記スタックは、請求項
15~20のいずれか一項に記載されている、請求項21
~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された電気化学的燃料電池ユニット、複数のそのような電気化学的燃料電池ユニットを備えるスタック、並びにこれを製造する方法に関する。本発明はより詳細には、金属支持型燃料電池、特に、酸化物型(MS-SOFC)又は電解質型(MS-SOEC)のいずれかの金属支持型固体酸化物燃料電池ユニット及びそのスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットによっては、燃料を酸化させて発電する電気化学的変換プロセスを用いることによって発電できる。さらに、又は代わりに、燃料電池ユニットによっては、例えば、水素及び酸素を水から、又は一酸化炭素及び酸素を二酸化炭素から分離するために、しばしば固体酸化物電解質型燃料電池ユニットとして知られる再生燃料電池(又はリバース燃料電池)ユニットとして機能できる。これは、管状又は平面状の形状であることができる。平面状の燃料電池ユニットは、スタック構成で、例えば100~200個の燃料電池ユニットをスタックにして、互いに重ね合わせて配置されてもよく、個々の燃料電池ユニットは電気的に直列に配置される。
【0003】
発電する固体酸化物燃料電池は、電解質の両側に位置するカソードからアノードへの酸素の陰イオンを導く固体酸化物電解質に基づく。このとき、燃料又は改質燃料は、アノード(燃料極)に接触し、空気又は酸素に富む流体などの酸化剤はカソード(空気極)に接触する。従来のセラミック支持型(例えばアノード支持型)SOFCは、機械的強度が低く、破損しやすい。そのため、近年、金属基材に支持された活性燃料電池構成部品層を有する金属支持型SOFCが開発されている。これらの電池では、セラミック層は電気化学的機能を果たすだけであるため、非常に薄くすることができる。すなわち、セラミック層は自立しておらず、むしろ、金属基材上に敷かれ、支持された薄いコーティング/フィルムである。このような金属支持型SOFCスタックは、セラミック支持型SOFCよりもロバスト、低コストで、熱的特性に優れており、従来の金属溶接技術を用いて製造することができる。
【0004】
出願人の先の国際公開第2015/136295号は、電気化学的に活性な層(又は活性燃料電池構成部品層)が、金属支持板110(例えば箔)に(例えば薄いコーティング/フィルムとして)それぞれ堆積され、支持されたアノード、電解質及びカソード層を備えた金属支持型SOFCを開示している。金属支持板は、ガスが金属支持板の一方の面から反対面に細孔を通過してそこにコーティングされた活性層にアクセスできるように、非多孔質領域に囲まれた多孔質領域を有し、活性層は多孔質領域に堆積されている。
図42に示すように、燃料電池ユニット90は、金属支持板110、セパレータ板150、及びそれらの間に挟まれたスペーサ板152の3つの板又は層を備える。燃料電池ユニット90は流体ポート180、200(酸化剤又は燃料用)をさらに有し、3つの板は互いに積み重ねられ、スペーサ板152を介して溶接(融着)され、スペーサ板152に設けられた大きな空間160によって中心の流体容積部が画定された単一の金属支持型固体酸化物燃料電池ユニットを形成する。燃料電池スタックの繰り返し層(repeat layer)の金属構成部品は、互いに電気接触しており、それらの間の電子の流れは主に融着/溶接経路を経由し、それによって表面間の接触抵抗損失を回避している。
【0005】
国際公開第2015/136295号に論じられているように、金属支持板110上には、金属支持板110の下に配置されているアノード(又は電気化学的に活性な層の極性配向に応じてカソード)に重なる位置に、金属支持板110を通る小さな開口(図示せず)が設けられている。これらは、流体容積部が小さな開口を介して支持板110の下面の電気化学的に活性な層と流体連通するように、スペーサ板152によって画定された大きな空間又は開口160に配置されている。
【0006】
セパレータ板150には、上下の波形部150Aは、この燃料電池ユニットに積み重ねられる後続の燃料電池ユニットのカソード(又は電気化学的に活性な層の極性配向に応じてアノード)まで延び、自身の燃料電池ユニットの金属支持板110まで延びるように設けられている。したがって、これにより、スタックの隣り合う燃料電池ユニット間を電気接続し、スタックの電気化学的に活性な層(通常は各燃料電池ユニットにつき1つ)を互いに直列に配置する。
【0007】
固体酸化物電解質電池(SOEC)は、SOFCと同じ構造を有することができるが、本質的にはSOFCが逆に、すなわち再生モードで動作し、固体酸化物電解質を用いることによって水及び/又は二酸化炭素の電解を行い、水素ガス並びに/又は一酸化炭素及び酸素を生成するものである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、SOEC又はSOFCとして使用するのに適した構造を有する繰り返す固体酸化物燃料電池ユニットのスタックに関する。便宜上、SOEC又はSOFCスタック電池ユニットは両方とも、以下で「燃料電池ユニット」又は単に「電池ユニット」と呼ぶ(すなわち、SOEC又はSOFCスタック電池ユニットを意味する)。
【0009】
本発明は、燃料電池のコスト効率を向上させるための継続的な取り組みがあるため、燃料電池ユニットの構造を簡素化しようと努めるものである。燃料電池の製造コストを削減することは、燃料電池によるエネルギー生産の参入コストを削減するのに大きな利益となるであろう。
【0010】
本発明によれば、
セパレータ板と、
多孔質領域の上に設けられた燃料電池化学物質層を保持している金属支持板と
を備え、
セパレータ板及び金属支持板は互いに重なり合って繰り返しユニット(repeat unit)を形成し、
セパレータ板及び金属支持板のうちの少なくとも一方は、板を凹状形状へと加圧成形することによって形成されたフランジ付き外周特徴部を備え、
セパレータ板及び金属支持板は、フランジ付き外周特徴部にて直接接して、それらの間に流体容積部を形成し、
少なくとも1つの流体ポートが、フランジ付き外周特徴部内のセパレータ板及び金属支持板のそれぞれに設けられ、それぞれの流体ポートは、流体容積部と整列して連通し、
セパレータ板及び金属支持板のうちの少なくとも一方は、加圧成形によってそのポートの周囲に形成された成形ポート特徴部を備え、この成形ポート特徴部は、他方の板に向かって延び、成形ポート特徴部の要素は、互いから離間されてポートから要素間の流体通路を画定し、ポートから流体容積部への流体の通過を可能にする、金属支持型固体酸化物燃料電池ユニットが提供される。
【0011】
本発明では、金属支持板、スペーサ、及びセパレータ板の3つすべてが必要となるのではなく、これらの層(構成部品)のうちの2つだけ、すなわち金属支持板及びセパレータ板が必要とされるが、最終的には実質的に同じように動作し、電池ユニットあたりの電気化学的に活性な層の平方センチメートルあたりの出力は実質的に同じである。換言すると、それらの間にスペーサとして機能する別個のシート部材が存在しないが、電池ユニットは依然として同じように動作する。これにより、供給及び加工(例えばコーティング)を必要とする構成部品の数が簡素化され、組み立てが簡単になるだけでなく、必要な材料の量が即座に減少し、したがって、各燃料電池ユニットの材料のコスト及び重量の両方が削減される。
【0012】
凹状形状は、関連する板に縁付きのトレイの外観を与えることができ、それに対応して(燃料電池ユニットに対して外側に)凸状の外形と、通常は平面状の底部とを有し、このようにして凹面は組み立てられた電池ユニットの流体容積部(例えばその一部)を画定する。
【0013】
この凹状形状では、フランジ付き外周特徴部は、セパレータ板及び/又は金属支持板の元のシートの平面から、セパレータ板及び金属支持板の他方の対応する対向面に向かって延びる。
【0014】
このように、流体容積部は、形成されたフランジ付き外周特徴部を境界とし、これらのフランジ付き外周特徴部は、例えば、ダイプレス、液圧成形、又は打ち抜き加工の使用による加圧成形によって形成される。これらは、先行技術のセパレータ板にも同様に見られるように、電気化学的に活性な層を介して隣り合う燃料電池を支持し、電気接続するために、流体容積部内に中央突起を形成する際にすでに行われている単純なプロセスである。
【0015】
これらの中央突起は、2つの板の内部対向面と、外向きの突起に隣り合う電池ユニットの電気化学的に活性な層の外面との間に延びる内部及び外部の、図示されるように上向き突起及び下向き突起を備える。また、それらは、間に流体通路を画定するか、又は(燃料電池ユニットに対して)外向きの突起に対してそれらの中に流体通路を画定するため、燃料電池ユニットの各端部の流体ポートの間の流体容積部を通る流体通路を画定する。
【0016】
本発明では、このようにして、中央の内部突起及び外部突起も、フランジ付き外周特徴部及び成形特徴部の前又は後のいずれかに、しかしより好ましくは同時に、セパレータ板用の元のシートから加圧成形される。
【0017】
いくつかの実施形態では、中央突起は丸い。中央突起は、細長い形状、又は先行技術と同様の波形部を含む他の形状であってもよい。中央突起は、セパレータ板の直接の中心にある必要はなく、セパレータ板に対して分散させることもできるが、一般的には、燃料電池ユニットの入口流体ポートと出口流体ポートとの間にあり、したがって、それらに対して中心にある。
【0018】
典型的には、フランジ付き外周特徴部内のセパレータ板及び金属支持板のそれぞれに、すなわち、これらの板のフランジ付き外周特徴部に囲まれた領域内に設けられた少なくとも2つの流体ポートがあることになる。これらは典型的には、流入ポート及び流出ポートである。2つ以上の流入ポート及び/又は2つ以上の流出ポートがあってもよい。例えば、ポートは、板の各角部に設けられてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、多孔質領域は、金属支持板に開けられた、通常はレーザドリルされた穴によって形成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、(活性)燃料電池化学物質層は、かかる実施形態において金属支持板内に設けられた多孔質領域上の金属支持板に形成された(例えばコーティングされた又は堆積された)、アノード、電解質及びカソードを備えた電気化学的に活性な層の形態をとる。この金属支持板に直接設けられた(非自立型の薄い)化学層を用いた構成は、最小限の数の構成部品しか必要としない。このようにして、金属支持板は、燃料化学物質を支持し、(セパレータとともに)流体容積部を画定するという二重の機能を果たす。さらに、金属支持板及びセパレータは両方とも、酸化剤に曝露される面及び燃料に曝露される面を有するため、厳しい二重大気(dual atmosperic)環境に晒される構成部品であることが理解されるだろう。
【0021】
他の実施形態では、多孔質領域は、別個の板(例えば、金属箔)に設けられ、その上に燃料電池化学物質層が形成され(例えば、コーティング又は堆積される)、(燃料電池化学物質層を支持する)別個の板は、金属支持板の窓(例えば、フレーム)上に設けられる。
【0022】
燃料電池化学物質層の複数の領域があってもよい。例えば、別個の対応する電気化学的に活性な層で覆われた金属支持板に小穴からなる複数の領域があってもよい。或いは、金属支持板及び複数の別個の板に複数の窓があってもよく、そこに(その上に)活性電池(燃料電池)化学層が窓の上に位置するように形成される。
【0023】
当該又は各別個の板は、金属支持板の窓を覆うように、金属支持板に溶接されもよい。したがって、2つの板の内部対向面間に延びる中央突起は、その後、別個の板(複数可)の内面まで延びる。
【0024】
いくつかの実施形態では、成形ポート特徴部並びに/又は電気化学的に活性な層を覆う、燃料電池の中央領域における内部突起及び外部突起は、セパレータ板又は金属支持板の平面の方向に二分されたときに略円形断面を有する。
【0025】
加圧成形ステップを実行するときに、最初に(略)均一な(すなわち、板の全範囲にわたる)材料厚を有する(例えば最初は平坦な)セパレータ板又は金属支持板からフランジ付き外周特徴部、ポート特徴部及び任意の突起を形成するのは簡単で安価である。対照的に、流体流れの容積部/チャネル又はフランジ付き特徴部を設けるように材料を除去するエッチングによって厚い領域及び薄い領域を有する板を形成することは、困難で、時間がかかり、材料が無駄になる。
【0026】
いくつかの実施形態では、流体ポートから流体容積部への流体通路は、例えば互い違いの窪みのアレイ、又は互い違いの要素の配置を介して、蛇行しており、及び/又は複数の場所で互いと交差している。
【0027】
いくつかの実施形態では、成形ポート特徴部並びに流体容積部の中央部分にある内部突起及び外部突起は、上記で定義したように好ましくは丸い断面を有する窪みである。
【0028】
成形ポート特徴部は、流体容積部の一部を形成する通路を画定するため、流体通路はポートから要素間を通って開放領域まで延び、さらなる流体通路は、隣り合う燃料電池(すなわち、スタックになっているとき)の電気化学的に活性な層間にある電池ユニットの「活性領域」を通って延びる。開放領域では、活性領域内の流体の流れを活性領域の幅全体に広げるために、分流器を設けることができる。
【0029】
金属支持層の金属は、鋼(例えば、ステンレス鋼)であることが好ましく、使用してもよい多くの適切なフェライト鋼(例えば、フェライト系ステンレス鋼)がある。
【0030】
セパレータ板は、金属支持層と類似した、又は同じ種類の金属で形成されることが好ましい。
【0031】
いくつかの実施形態では、フランジ付き外周特徴部は、セパレータ板にのみ設けられる。これにより、セパレータ板はすでに中央領域で加圧成形されているのに対し、金属支持板は所望の形状に切断することのみを必要とするため、製造を簡略化する。
【0032】
いくつかの実施形態では、成形ポート特徴部は、セパレータ板にのみ設けられる。これにより、セパレータ板はすでに中央領域で加圧成形されているのに対し、金属支持板は切断することのみを必要とするため、同様に製造を簡略化する。
【0033】
いくつかの実施形態では、成形ポート特徴部は、成形ポート特徴部が延びている表面から、2つの板の対向する内面間の距離と同じ高さである。そのため、成形ポート特徴部は、他方の板の対向面の内側平面まで延びている。このようにして、このような特徴部は、必要な流体チャネルを開いたまま維持しながらポートの周囲に圧縮負荷を伝達するように、ハードストップとして機能する一方の面にのみ設けられてもよい。しかし、同じ機能を果たすために、対向する成形ポート特徴部は、両方の面から互いに向かって延びて、互いに当接するように設けることができる。
【0034】
金属支持板用のシート及び/又はセパレータ板用のシートの加圧成形を用いて、フランジ付き外周特徴部、成形ポート特徴部並びにセパレータ板の中央領域にある内部突起及び外部突起を形成することは、流体容積部の高さを支える機構が、金属支持板及び/又はセパレータ板の残りの部分と同じ薄い箔基材から形成されるため、各電池ユニットの重量を小さく保つことを確実にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体ポートは燃料ポートを構成するため、燃料電池ユニット内の流体容積部は、セパレータ板と金属支持板との間の燃料容積部を含む。
【0036】
これらの実施形態では、燃料電池化学物質層は通常、金属支持板の外面に形成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体ポートは酸素含有流体ポートを構成するため、流体容積部は、セパレータ板と金属支持板との間の酸素含有流体容積部を含む。
【0038】
これらの実施形態では、燃料電池構成部品層は、通常、金属支持板の内面に設けられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、セパレータ板及び金属支持板のうちの少なくとも一方は、加圧成形によって形成された1つ又は複数の隆起部材を備え、隆起部材は他方の板から離れる方向に延びている。これらは、当該流体ポート又は各流体ポートの周囲に配置できることが有益である。
【0040】
上述したように、(少なくとも一方の板の)成形ポート特徴部は、それぞれの燃料電池ユニットの他方の(すなわち、セパレータ板及び金属支持板の)板に向かって延びることができる。2つの板間の流体容積部内に配置されることによって、それらは燃料電池ユニットの内面に設けられた特徴部と考えてもよい。それらは内部の間隔を保ち、負荷を伝達する。一方、隆起部材は、(同じユニットの)他方の(すなわち、セパレータ板及び金属支持板の)板から離れる方向に(少なくとも一方の板へ)延びている。それらは、例えば、ポートの周囲に円状に配置することができ、したがって、隣り合う燃料電池ユニット間で作用するそれぞれの燃料電池ユニットの外面に設けられた特徴部と考えてもよい。その形状、配置及びそれぞれの高さによって、それらは、配置機能、ハードストップ機能(間隔保持/負荷伝達/圧縮制限)、流体分配機能、及び/又はシール支持機能を果たすことができる。
【0041】
複数の隆起部材は、隆起部材内にガスケットを収容する空間を画定するように構成されてもよく、及び/又は複数の隆起部材は、隆起部材の外側でガスケットを収容する周縁を画定するように構成されてもよい。燃料電池ユニット及びガスケットを互いに交互に重ねてスタックの単一の繰り返しユニットを形成するスタッキング構成を用いてスタックを組み立てた場合、例えば接着又は工具を用いて各ガスケットをポートの中心に対して適切な位置に保持する際に、かなりの時間及び労力が費やされることがある。しかし、隆起部材を使用して、ガスケットを水平に配置する、すなわちポート周囲にセンタリングすることができる。隆起部材は、ガスケットを隆起部材内に収容するように構成された内部空間/領域、好ましくは所望の位置にガスケットを受容して配置するようにガスケット外部周縁と一致するように厳密にサイズ決めされた空間及び形状を規定でき、組み立て中に他のステップによってガスケットを適切な位置に配置して保持する必要性をなくすことが好都合である。加えて、又は代わりに、いくつかの隆起部材は、隆起部材の外側の周囲にガスケットの内部周縁(これも一致するサイズ及び形状のものである)を収容する外部周縁を画定するように配置されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数の隆起部材は、成形ポート特徴部間に点在している。
【0043】
或いは、当該又は各隆起部材は、成形ポート特徴部の外側に配置されていてもよい。各隆起部材は、ポートの中心に対して、成形ポート特徴部を半径方向に超えて配置されることが好ましい。
【0044】
当該又は各隆起部材は、隣り合う燃料電池ユニット又はそこから延びる部分が電池ユニットのスタックの組み立て中に支持できるハードストップ面を画定するピークを有してもよい。このようなハードストップ(面)は、燃料電池ユニット間の間隔を維持し、ポートの近傍でスタックを介して圧縮負荷を伝達することを手助けできる。ハードストップ面を画定する複数の隆起部材があってもよく、ハードストップ面はすべて共通の平面にあってもよい。
【0045】
本発明は、隣り合う燃料電池ユニット間の流体ポートの周囲にシールを備えた、互いに積み重ねられた複数のそのような燃料電池ユニットを備えた燃料電池スタックも提供し、シールは、好ましくは、隣り合う燃料電池ユニット間の流体ポートの周囲の成形ポート特徴部を覆う。このように、整列された流体ポート及びシールは、燃料電池スタック内で内部酸化剤若しくは燃料マニホールド、すなわち「チムニー」を形成し、酸化剤と燃料との混合を防止する。
【0046】
シールはガスケットを含んでもよい。これらは、予め形成されたシール装置、すなわち、2つの表面間の封止に使用される適切な形状のリング又はシートなどの構成部品であることができる。上述したように、燃料電池ユニット及びガスケットを互いに交互に積み重ねてスタックの単一の繰り返しユニットを形成するスタッキング構成では、隆起部材を用いて、各ガスケットを水平に配置する、すなわちポートの周囲にセンタリングすることができる。隆起部材が、ガスケットを収容する空間を画定するように配置されている場合、この組み立て方法は、ガスケットを適切な位置に固定する接着ステップ又は任意の他の方法を必要とすることを防ぐことができる。
【0047】
代わりに、シールは、例えば、ポートの周囲の板の一方に塗布され、表面に結合し、その場で固化してポートの周囲にシーラントを提供するシール接触ペースト又は液体から形成されたインサイチュ(in situ)シール(すなわち、その場で形成される非自立型シール)を含んでもよい。ペーストは、エラストマー硬化性封止ペーストであってもよい。予め形成されたガスケットをそのようなシールで置き換えることによって、そのようなスタックは、燃料電池ユニットを互いに直接重ねることによってのみ組み立てることができ、これらはスタックのスタック繰り返しユニットを形成する唯一の構成部品であることが有利である。
【0048】
シールは、圧縮可能であってもよい。シールは電気絶縁性の圧縮可能ガスケットであることが好ましい。スタックは、活性化学層の領域で良好な気密性及び電気接触を確実にするために、組み立てて圧縮する必要がある。ポートの周囲に圧縮可能なシールを使用することにより、スタックを過度に圧縮して活性化学層を損傷することなく、スタックのそれらの領域での気密性を高める。
【0049】
シールは、電気絶縁性であってもよい。ポートの近傍では、電気絶縁シールを使用して、接触することが意図されていない隣り合う燃料面の金属表面間の短絡を防止することができる。しかし、これは代わりに、金属表面のうちの少なくとも一方を絶縁層でコーティングすることによって、又はポートの周囲の領域を覆うように電池の電解質層を拡張するなどしてコーティングすることによって達成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、燃料電池スタックの内部構成部品は、繰り返し燃料電池ユニット、及び流体ポートの周囲の成形ポート特徴部を覆うシールのみを含む。成形ポート特徴部を加圧成形することによって、それらは形成される板の外面に凹状細孔を画定し、細孔は、シールによって覆われ、細孔は、任意選択で板の隆起部分に位置する。
【0051】
隆起部材はそれぞれ、上述のようにハードストップ面を画定するピークを有することができ、燃料電池ユニットの低い方のユニットのシール受容面にある少なくとも1つのシールの高さは、次の燃料電池ユニットが上に積み重ねられる前にシール受容面の上にあり、燃料電池ユニットの低い方のユニットのハードストップ面の高さは、隣り合う燃料電池ユニット間の圧縮に制限を設けるように、シール受容面よりも上だが、シール受容面にあるシールの高さよりも低い。このようなハードストップ面をシールとともに使用することにより、隣り合う燃料電池ユニット間の距離を一定に保つことができ、インサイチュシール又はガスケットの経時的な不規則又は過剰な圧縮を緩和することができる。
【0052】
燃料電池ユニット及びガスケットを互いに交互に重ねてスタックの単一の繰り返しユニットを形成するスタッキング構成の場合、圧縮されていないガスケットの深さ未満の深さ(例えば、その75~95%)を有するハードストップ面を提供することは、スタックの組み立てを簡素化し最終的なスタックの高さの不均一性を改善するのに重要であり得る。本組み立て方法では、スタックは、ハードストップ面が隣り合う燃料電池ユニットの表面を支持し、所望の一定の距離又は間隔が達成され、ハードストップ構造を介して負荷が伝達されるようにガスケットが圧縮されるまで、組み立て中に圧縮されてもよい。
【0053】
上記のように、当該又は各隆起部材がハードストップ面を画定するピークを有する別の燃料電池スタックの変形例では、少なくとも1つのシールは、燃料電池ユニットの上側のユニットの上部シール受容面を支持でき、シールの高さは、燃料電池ユニットの上側のユニットが燃料電池ユニットの下側のユニットに積み重ねられる前に、燃料電池ユニットの下側のユニットの第2の下部シール受容面よりも高く、燃料電池ユニットの上側のユニットのハードストップ面の高さは、隣り合う燃料電池ユニット間の圧縮に制限を設けるために、下部シール受容面にあるシールの高さよりも短い上部シール受容面の下に延びる。
【0054】
いくつかの実施形態では、シールのうちの少なくとも1つは、そのシールのためのそれぞれの流体ポートを囲む溝に部分的に配置され、その溝は、任意選択で板の隆起部分に位置する。溝は、下に延びて、その燃料電池ユニットの金属支持板とセパレータ板との間の空間に入り、その燃料電池ユニットの金属支持板とセパレータ板との間の距離の50%を超えない深さを有することが好ましい。
【0055】
上記の金属支持型固体酸化物燃料電池ユニット、すなわちスタックは、供給された燃料と、空気などの酸化剤とから熱及び電気を生成する、すなわち発電SOFCであるであるように構成されてもよい。或いは、これは、水から水素を再生成するため、又は二酸化炭素から一酸化炭素及び酸素を再生成するためなど、すなわち再生SOECのように、再生を目的として構成されてもよい。
【0056】
本発明は、
セパレータ板を用意するステップと、
金属支持板を用意するステップと、
フランジ付き外周特徴部、
セパレータ板及び金属支持板内の少なくとも1つの流体ポート、並びに
少なくとも1つの流体ポートのうちの少なくとも1つの周囲に形成される成形ポート特徴部
を形成するために金属支持板及びセパレータ板のうちの少なくとも一方を加工するステップであって、
加工するステップは、板又は複数の板に凹状形状を形成するためにフランジ付き外周特徴部を形成する板又は複数の板を少なくとも加圧成形すること、及び同様に成形ポート特徴部を加圧成形することを含む、加工するステップと
を含み、
セパレータ板及び金属支持板を互いに重ね合わせて繰り返しユニットを形成するステップと、
フランジ付き外周特徴部にてセパレータ板及び金属支持板を直接当接させるステップと
をさらに含み、凹状形状を形成するフランジ付き外周特徴部は、それらの間に流体容積部を形成し、成形ポート特徴部は他方の板に向かって延び、成形ポート特徴部の要素は、互いから離間されて、ポートから流体容積部への流体通路を提供し、任意選択で、流体ポートは、板又は複数の板を加圧成形する前に切り抜かれる、燃料電池ユニットを製造する方法をさらに提供する。
【0057】
隣り合う燃料電池ユニットを圧縮して互いに接触させる圧縮ステップが行われてもよい。
【0058】
シールが(予め形成された)ガスケットである場合、本方法は、そのようなガスケットを収容して配置するように設けられ設計された隆起部材のみを用いてガスケットを配置することを含むことができる。ハードストップ面が設けられている場合、本方法は、ハードストップ面が隣り合う燃料電池ユニットの表面に接触するまでスタックを圧縮することを含んでもよい。
【0059】
金属支持板は、通常、燃料電池化学物質を支持する電気化学的に活性な層構成部品がコーティングされる前に加圧成形される。
【0060】
燃料電池ユニット又はスタックは、前述の通りであってもよい。
【0061】
本発明は、そのような燃料電池ユニットを、隣り合う燃料電池ユニット間の流体ポートの周囲の成形ポート特徴部を覆うシール、例えば、ガスケットなどをその間に用いて積み重ねることを含む、燃料電池スタックを製造する方法も提供する。
【0062】
誤解を避けるために、板を加圧成形してフランジ付き外周特徴部、成形ポート特徴部、並びに内部突起及び外部突起を形成することによって、シートから材料を除去するために板をエッチングすることはなく、同様に、実質的に異なる厚さを有するシートに一体的な特徴部を形成するために表面に堆積又は印刷された成形ポート特徴部もない。
【0063】
開示されている実施形態では、多孔質領域は、例えばステンレス鋼(フェライト系)箔のようなそれぞれの金属シートに穴を開ける(レーザドリル)ことによって用意される。しかし、活性電池(例えば燃料電池)化学への流体のアクセスを可能にする多孔性は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法で用意されてもよい。
【0064】
ここで、本発明のこれら及びその他の特徴を、様々な実施形態によって、また単なる例として、添付の図面(図面は縮尺通りではなく、明確にするために高さ寸法が全体的に誇張されている)を参照して、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】第1の実施形態を構成する金属支持型燃料電池ユニットの平面図を示す。
【
図2】下に2つのガスケットが配置された
図1の燃料電池の第1の斜視図を示す。
【
図3】
図2の構成を別の角度から示す第2の斜視図である。
【
図4】燃料電池ユニットの流体ポート上に配置されたガスケットを示す、燃料電池ユニットの
図1とは反対側の平面図である。
【
図6】組み立て中の、燃料電池ユニットのスタックの圧縮中の、燃料電池ユニット及びガスケットの断面図である。
【
図7】2つの燃料電池ユニットのスタックの分解斜視図を示し、各燃料電池ユニットはその下に2つのガスケットを備える。
【
図8】
図7のスタックを分解せずに示す図であり、2つの電池ユニットは、第1のガスケット対を間に挟んで互いに積み重ねられており、2つのさらなるガスケットが、さらなる燃料電池ユニット(図示せず)に積み重ねるためにスタックの下に配置されている。
【
図9】第2の実施形態を構成する代替燃料電池ユニットを平面図である。これは、第1の燃料電池ユニットと類似しているが、燃料電池ユニットのセパレータ板の流体ポートの周囲だけではなく、燃料電池ユニットの金属支持板の可視部分で、その流体ポートの周囲にフランジ付き外周特徴部が追加されている。
【
図10】各流体ポートに1つずつの2つのガスケットが下に配置された燃料電池ユニットの斜視図である。
【
図13】適宜ガスケットを備えた、組み立てられた燃料電池ユニットの断面図である。
【
図14】適宜ガスケットを備えた、組み立てられた燃料電池ユニットの断面図であり、
図6による積み重ね中の圧縮を示す力インジケータを示している。
【
図15】第2の実施形態の積み重ねを示す図であり、これは成形ポート特徴部の構成が異なるが、第1の実施形態の積み重ねと類似している。
【
図16】第2の実施形態の積み重ねを示す図であり、これは成形ポート特徴部の構成が異なるが、第1の実施形態の積み重ねと類似している。
【
図17】第2の実施形態の積み重ねを示す図であり、これは成形ポート特徴部の構成が異なるが、第1の実施形態の積み重ねと類似している。
【
図18】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図19】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図20】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図21】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図22】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図23】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図24】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図25】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図26】第1の実施形態と類似しているが、燃料電池ユニットが、電気化学的に活性な層を内部に有する燃料電池活性構成部品のための別個の部分を有し、燃料電池ユニットの金属支持板は窓を備えている第3の実施形態を示す図である。さもなければ、この図の構成は第1の実施形態の構成と類似している。
【
図27】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図28】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図29】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図30】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図31】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図32】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図33】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図34】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図35】
図18~
図26と類似しているが、代わりに、第2の実施形態と同様に、金属製支持板及びセパレータ板に成形ポート特徴部を有する第4の実施形態を示す図である。
【
図36】燃料電池ユニットの外形を変更して、燃料電池の各端部に、第1の実施形態のような単一の流体ポートではなく、2つの流体ポートを設けた本発明の第5の実施形態を示す図である。
【
図37】
図36の製品の角部をより詳細に示す図であり、成形ポート特徴部がよりはっきりと見える。
【
図38】第5の実施形態が、2つの別個の電気化学的に活性な燃料電池構成部品と整列するように、その金属支持板に一対の窓を備えるように構成された本発明の第6の実施形態を示す図である。
【
図39】燃料電池の流体容積部を形成するためのフランジ付き外周特徴部が隆起部であるように、燃料電池ユニットのセパレータ板は、セパレータ板の縁部がセパレータ板の大部分との同一平面に戻るように、フランジ付き外周特徴部から戻って延びる戻りフランジ付き外周特徴部を有する、燃料電池ユニットの代替的構成を示す図である。
【
図40】負荷(L)への電気供給として燃料電池の使用を可能にする動力取出装置を備えた、燃料電池ユニットの全スタックをクランプした状態を示す図である。
【
図41】燃料電池スタックに圧縮する前の電池ユニットのスタックの斜視図である。
【
図42】本発明とよく似た金属支持板及びセパレータ板を備えるが、さらにスペーサ板を備えた国際公開第2015/136295号による先行技術の燃料電池ユニットの分解図である。
【
図43】
図37の変形例を示し、部分平面図であり、流体ポートの周囲の成形ポート特徴部を覆うガスケットを備えた製品の角部を示している。
【
図44】
図37の変形例を示し、部分斜視図であり、流体ポートの周囲の成形ポート特徴部を覆うガスケットを備えた製品の角部を示している。
【
図47】別の変形例の同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲にガスケット及び成形ポート特徴部を有し、ハードストップ機能が追加されている。
【
図48】別の変形例の同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲にガスケット及び成形ポート特徴部を有し、ハードストップ機能が追加されている。
【
図49】別の変形例の同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲にガスケット及び成形ポート特徴部を有し、ハードストップ機能が追加されている。
【
図50】別の変形例の同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲にガスケット及び成形ポート特徴部を有し、ハードストップ機能が追加されている。
【
図51】さらに別の変形例を示す同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲に成形ポート機能を有しているが、従来のワッシャ型ガスケットではなく、インサイチュシールを使用している。
【
図52】さらに別の変形例を示す同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲に成形ポート機能を有しているが、従来のワッシャ型ガスケットではなく、インサイチュシールを使用している。
【
図53】さらに別の変形例を示す同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲に成形ポート機能を有しているが、従来のワッシャ型ガスケットではなく、インサイチュシールを使用している。
【
図54】さらに別の変形例を示す同様の図であり、ここでも流体ポートの周囲に成形ポート機能を有しているが、従来のワッシャ型ガスケットではなく、インサイチュシールを使用している。
【発明を実施するための形態】
【0066】
まず
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態の燃料電池ユニット及び2つのガスケットの分解図が示されている。この燃料電池ユニット10は、本発明で主に興味深いのは燃料電池ユニット10の内部であるため、
図42に示す先行技術の燃料電池ユニットの内部とは逆に向けられている。見てとれるように、燃料電池ユニット10は、セパレータ板12の次に、この場合は上に積み重ねられた平坦な(すなわち、平面状の)金属支持板14を備える。セパレータ板12は、その外周にフランジ付き外周特徴部18を有することが示されている。これは、先行技術のスペーサ板152を不要とするのに役立ち、本発明の重要な要素である。
【0067】
フランジ付き外周特徴部18は、中心の流体容積部領域に見られるように、シートの主な平面から延びて、セパレータ板に凹面を形成する(外表面に凸部を形成する)。この凹面は、燃料電池ユニットの組み立て時に、この燃料電池ユニット内の流体容積部20を形成する。
【0068】
この図示された構成(本発明の重要な特徴部を説明するために簡略化されている)では、燃料電池ユニット10は、丸みを帯びた端部及び平行な側部を有し、各端部に向かう流体ポート22を有する。最終的なスタックアセンブリの必要な出力及び寸法に応じて、他の形状及びサイズ並びにそれぞれの電池特徴部の数も当然ながら可能である(例えば、
図37参照)。
【0069】
燃料電池ユニット10の中央部分では、電気化学的に活性な層50は金属支持板に設けられている。本実施形態では、電気化学的に活性な層50は流体容積部20の外側に配置されている。
【0070】
図3に示すように、金属支持板14(例えば金属箔)は、流体容積部中の流体が金属支持板14に最も近い電気化学層の側面と接触できるように、複数の小穴48を備える。これらは、非多孔質領域を境界とする多孔質領域を形成する。好ましい実施形態では、アノード(燃料電極)層は、小穴に隣り合うように配置され、燃料電池ユニット内の(囲まれた)流体容積部20は、燃料ポート22である流体ポート22を介して出入りする燃料が供給される燃料流れの容積部20を含む。カソード(空気電極)層は、電気化学的に活性な層50の反対側、すなわちその外側の面にあり、燃料電池ユニット10の使用中にその層を流れる空気流に曝露される。
【0071】
セパレータ板12及び金属支持板14は両方とも、流体ポート22を備える。本実施形態では、セパレータ板12の流体ポートの周囲に、成形ポート特徴部24が設けられている。本実施形態では、成形ポート特徴部24は、流体容積部20の底部の平面から、フランジ付き外周特徴部18の高さに対応する距離だけ、すなわちこの高さと共通の高さを有するように延びる丸い窪みの形態の複数の要素として設けられる。これは、電池ユニット10が組み立てられたときに、フランジ付き外周特徴部18と同様に、成形ポート特徴部24が金属支持板14の対向面に接触するようにするためである。その結果、フランジ付き外周特徴部18が、例えば溶接によって金属支持板14に接合されると、成形ポート特徴部24も同様に金属支持板14に接触する。
【0072】
このことは、成形ポート特徴部24が、先行技術で提供されていたスペーサ板152の機能の一部、すなわち、スタックの組み立て中に複数の燃料電池ユニットをスタックにして一緒に圧縮する間、燃料電池ユニットを支持する機能も提供するため、重要である。したがって、成形ポート特徴部24は、その圧縮の間、燃料電池ユニット内部の流体容積部の高さを維持するのに役立つ。
【0073】
本実施形態の複数の要素は、断面が丸く、非垂直な側壁及び切頭平坦頂部を有するという点で略円錐台形状である。それらは、セパレータ板12の板に加圧成形される。このような角度のついた壁は、セパレータ板12を形成する板から成形ポート特徴部24を加圧成形する際に、垂直な壁よりも角度を得やすいため、好ましい構成である。しかし、おそらく20°~90°までの任意の角度が、使用可能な形態を提供することができる。その角度は、加圧成形するシートの平面から40°~90°であることが好ましい。
【0074】
通常、要素は、セパレータ板の残りの部分、すなわち、後述するように、フランジ付き外周特徴部並びに中央上向き突起及び下方又は下向き突起と同じステップにおいて加圧成形される。
【0075】
加圧成形は、例えば液圧成形又は打ち抜き加工/加圧成形など、シートを適切な形状にする任意の適切な方法であってもよい。このようにして、単一の薄いシートを使用して、燃料電池ユニットのこの部分を形成することができる。
【0076】
電気化学的に活性な層の近傍におけるスタックの圧縮力は、スタックを介した良好な電気接触、ひいては良好な導電性に必要とされる。中央突起32及び中央下方突起30は、電池ユニット間の必要な電気接触を作り出し、さらに中央領域において燃料電池ユニットの支持機能を提供し、小穴48の領域では金属支持板14の下面へと上方に、その下の電池の電気化学的に活性な層の対向面へと下方に延びる。
【0077】
本実施形態では、セパレータ板12の中央領域の突起はここでも円形であり、典型的には角度のついた側壁も有する。しかし、先行技術のように、突起は、先行技術のバーのような異なる形状を有していてもよい。突起は、成形ポート領域の突起のように角度のついた側壁を有していてもよく、すなわち、通常は20°~90°の範囲内、より好ましくは40°~90°の範囲内である。
【0078】
しかし、これらの中央突起及び下方突起の機能は、さらに、セパレータ板12の両側に、それぞれの流体通路、すなわち、燃料容積部通路及び酸化剤(例えば、空気)容積部通路を形成することである。この場合、燃料電池ユニット内では、流体が燃料電池ユニット10の一方の端部にある1つの流体ポート22から活性層50を横切って、燃料電池ユニット10の他方の端部にある流体ポート22へと通過できるように、突起が流体容積部内に曲がりくねった(例えば蛇行した)流体通路を形成する。
【0079】
その内部流路は、要素が流体通路28を提供するため、成形ポート特徴部24の要素26間に延びている(
図5参照)。
【0080】
ガスケット34の形態のシールは、本実施形態では隣り合う燃料電池ユニット10間の燃料電池スタックのためにも設けられる。実施例を
図2及び
図3に示す。シール、ここではガスケット34は、主な封止機能を提供し、通常、ポートの近傍で高い圧縮力を受ける圧縮可能なガスケットとなる。ガスケットは、スタック内の流体ポート22を通って移動することができる流体が、燃料電池ユニット10の外部とガスケット34との間で、電池ユニットの外部の領域、すなわち燃料電池ユニット10を囲む流体中に漏れるか、又は流体ポートの外部の流体が他の方向、すなわち流体ポートの中に漏れるのを防ぐために、各流体ポート22の成形ポート特徴部24をすべて覆うようにサイズ決めされてもよい。これは、電池ユニット10内部の流体と電池ユニット10外部の流体とが混合することを防ぐために重要であるが、これらの流体は燃料及び酸化剤であり、電気化学的に活性な層50の極性によって、どちらが燃料になるか酸化剤になるかを決定する。上記で説明したように、一般的には、燃料電池ユニット10、したがって流体ポート及びガスケット(リングガスケットである)によって形成されるチムニー72、74(
図40及び
図41参照)の流体容積部20内部には燃料があり、燃料電池ユニットの周囲には空気又は別の酸化剤がある。
【0081】
ガスケットは、短絡を防止するように、第1の燃料電池ユニット10と隣り合う流体電池ユニット10との間に電気絶縁性をさらに提供することができる。ガスケットは、例えばサーミキュライトのような、任意の適切な燃料電池ガスケット(封止リング)であってもよい。
【0082】
図5及び
図6を参照すると、フランジ付き外周特徴部18、中央上向き突起32及び中央下向き突起30、並びに成形ポート特徴部24が、セパレータ板12を形成するために使用される金属シートの初期平面からどのように延びているか、また、ガスケット34が、セパレータ板12の下面から上方へと、すなわち孔を残すようにガスケット34から離れるように加圧成形される成形ポート特徴部24の領域を覆うように、どのように径方向にサイズ決めされるかを見てとることができる。この構成により、組み立てられた電池ユニットのスタックの電池ユニット10を介して圧縮が行われると、成形ポート特徴部24は、フランジ付き外周特徴部18及び中央突起30、32とともに、流体容積部の押し潰しに抗して支持する。
【0083】
先行技術では、成形ポート特徴部24の支持機能は、フランジ付き外周特徴部18とともに、代わりにスペーサ152によって行われていた。特に、スペーサにより、ポートの近傍でのガスケット圧縮による高負荷が次の燃料電池ユニットに確実に伝達されていた。
【0084】
さらに、内部流体容積部20を生み出すことは、以前はスペーサ板152によって提供されていた特徴部であるフランジ付き外周特徴部18によって達成される。しかし、スペーサを切り抜いた元の構成部品の設置面積は大きく、結果的に材料が無駄になっていた。
【0085】
図4、
図5及び
図6を参照すると、中央上方突起32が中央下方突起30とセパレータ板12にて交互になっていることも見てとれる。これは、下方突起30が、その下にある隣り合う燃料電池の上部電気化学的に活性な層50へと下方に延びるようにするためである。このことは、
図7及び
図8によりはっきりと示されており、中央上方突起32が、それ自身の燃料電池ユニット10の金属支持板14の下面へと上方に延びているのに対し、下方突起30は、その下の燃料電池ユニット10の電気化学的に活性な層50の外面に接触していることが見てとれる。したがって、このことにより、隣り合う燃料電池ユニット10が、各スタックで直列の電池のように接続されることが確実になる。このことは、流体容積部中の流体容積部通路の高さを拡大するという有益な機能も果たしている。
【0086】
次に
図8を参照すると、隣り合う燃料電池ユニット10は、1つの燃料電池ユニット10の上方突起32が隣り合う燃料電池ユニット10の下方突起30と整列し、下方突起30が上方突起32と整列するように、互いに合致する対向する突起を有するセパレータ板を有するのが好ましいことを見てとることができる。このことにより、それぞれの突起の力が、軸方向に(すなわち、組み立て中にスタックに印加される圧縮力に平行に)互いに抗することができる。これにより、突起間で電気化学的に活性な層50にねじり力が付与されることが回避されるか又は最小限に抑えられるため、電気化学的に活性な層の不用意な亀裂を防ぐ。
【0087】
次に
図9~
図17を参照すると、本発明の第2の実施形態が開示される。本実施形態では、第1の実施形態のものと類似したセパレータ板12及び金属支持板14が依然として存在するが、成形ポート特徴部24はここでは、金属支持板14及びセパレータ板12の両方の流体ポート22の周囲に配置される。このように、セパレータ板12の要素の高さは、前述の実施形態よりも低く、別個の整列された成形ポート特徴部24は、金属支持板14から下方を向くように配置され、成形ポート特徴部24は、セパレータ板12と組み合わせたときに、第1の実施形態の全高に相当するものを形成するのに適した高さである。成形ポート特徴部24が互いに整列することにより、燃料電池ユニット10内の容積部は、ここでも2つの積み重ねられた要素の高さで維持され得、一方で、組み立てられたスタックの圧縮力が特に高いポートの近傍の流体容積部通路に必要な支持を与えることができる。この構成の残りの部分は、前述の実施形態と比べて変化していない。
【0088】
通常、要素の2つの高さは、互いに異なることを意図されるが、一緒になって所望の全高にするために、その所望の全高を達成するために合致していてもよい。
【0089】
第2実施形態の構成では、任意の特定の構成部品における成形ポート特徴部24は、それほど高い必要はなく、それによってシートから成形ポート特徴部24を加圧成形する際に達成するのが容易である。
【0090】
成形ポート特徴部24が金属支持板14にのみ存在すること、又は両方が完全な高さを有し、流体容積部中を流体が流れるための流体通路を残しながらも、それらが噛み合うことも可能である。
【0091】
この第2の実施形態では、前述の実施形態と同様に、成形ポート特徴部24並びに中央上向き突起30及び中央下向き突起32は、すべて丸い形状を有する窪みである。これらは、代わりに異なる形状を有することができるが、窪みは、流体が通って流れるための大きな通路を提供するため好ましく、このことは、ガスケットと、部材の加圧成形される対向面との間のチャネルを通って、ポート内の流体が電池ユニット10の周囲の容積部に漏れ得る、又はその逆になりにくいため、成形ポート特徴部24にとって特に重要である。
【0092】
次に
図18~
図26を参照すると、燃料電池ユニット10の第3の構成が提供されている。本実施形態では、第1の実施形態のものと同様に、成形ポート特徴部24及び中央突起30、32はすべて、ここでもセパレータ板12に設けられ、したがって、金属支持板14は代わりに略平坦であるか、又は少なくともそのような突起がないが、以前は金属支持板14は、電気化学的に活性な層50が直接重なる中央領域に多数の小穴48を有していたのに対し、本実施形態では、金属支持板14は窓54を有し、その上に別個の電気化学的に活性な層構成部品52がある。別個に形成されているが、その電気化学的に活性な層構成部品52は、金属支持板が電気化学的に活性な層構成部品52を支持するように、例えば溶接によって金属支持板14に接合される。
【0093】
電気化学的に活性な層構成部品52は、流体容積部20内の流体が最も内側の電気化学的層に接触できるように、複数の小穴及び直接重なる電気化学的に活性な層50を備える。
【0094】
本実施形態では、依然として2つの構成部品を外周フランジに隣接させることを含むだけだが、燃料化学物質を最初から金属支持板と一体形成する必要がないため、有利になり得る。
【0095】
レーザ溶接は、一般に、金属支持板14、セパレータ板12、及び別個の電気化学的に活性な層構成部品52を、互いに接合する好ましい方法である。
【0096】
この第3の実施形態では、窓は矩形である。代わりに、窓の他の形状も当然可能である。
【0097】
電気化学的に活性な層構成部品52は、通常、図示されているように、重なるように大きくなっているものの、上の電気化学的に活性な層50のサイズを最適化するために、窓54と類似の形状を有する。これにより、ここでも燃料電池ユニット10の過剰な重量増加を回避する。
【0098】
図20で見てとれるように、電気化学的に活性な層構成部品52は、第1の実施形態及び第2の実施形態の金属支持板14の小穴と同様に、多くの小穴48を有する。それらは同様に、その上の電気化学的に活性な層50の片面へのアクセスを提供する。このようにスタックのこの燃料電池ユニットの動作は、前述の実施形態及び先行技術の動作と類似しているが、本実施形態では、上方突起32は、ここで小穴48の下面に接触するために金属支持板14の厚さを橋渡しする必要があるため、第1の実施形態及び第2の実施形態よりも高くする必要がある。
【0099】
ここで
図27~
図35を参照すると、第4の実施形態が示されている。本実施形態では、構成は第2の実施形態のものと類似しているが、第3の実施形態による別個の電気化学的に活性な層構成部品52を備える。したがって、ここでも、上方突起32は、第1の実施形態及び第2の実施形態よりも高い。燃料電池化学物質を支持する電気化学的に活性な層構成部品52が取り付けられる前に、金属支持板14を加圧成形し、窓54を切り抜くことができることが理解されるであろう。窓は、加圧成形の前又は後に、又はパンチを用いた加圧成形で同時に切り抜くことができる。より一般的には、窓は、金属支持板からレーザで切り抜かれる。
【0100】
これらの4つの実施形態のそれぞれにおいて、成形ポート特徴部24の要素のための好ましい構成が示されている。見てとれるように、成形ポート特徴部24は円形の窪みの形態をとる。さらに、円形の窪みは、流体ポート22の周囲で同心円状に配置され、それらの間には円周方向の隙間があり、この隙間は、(流体ポート22から)さらに外側のリングにおける窪みの間で大きくなる。これは、円形の流体ポートに適した配置であるが、規則的なアレイ、不規則な配置、又は異なる数若しくはサイズの窪み、又は異なる数のリングなどの異なる配置も可能である。
【0101】
これらの実施形態では、窪みの各同心円には10個の窪みがあり、窪みの各同心円は、先行する窪みに対して互い違いになるように前の円と一列にならないように回転している。これは、各円が異なるように整列されているようなものであっても、又は図示されているように、内側の同心円及び第3の同心円が半径方向に整列しているが、第2の同心円は、第1の同心円の隣り合う2つの窪みの間で、同様に第2の同心円の2つの窪みに対して共通の間隔を置いた位置に配置されるようなものであってもよい。
【0102】
この好ましい構成では、流体ポート22から同心円(又は成形ポート特徴部24)の外側の位置まで、直線的ではなく蛇行した流体通路が形成される。
【0103】
流体ポート22から半径方向により離れた位置にある要素間の間隙ほど大きく、流体ポート22に近い位置にある要素ほど接近させることが好ましい。このように「外側」の間隙が大きいことにより、窪み間の流体通路を流体がより自由に移動できることが確実になるが、さらに重要なのは、ガスケット34が優れた封止を提供できるガスケットの縁部付近の表面がより完全になることである。
【0104】
ガスケット34は、セパレータ板12(又は金属支持板14)のシートにおける加圧成形された窪みによって残された凹部内へとたわむように、スタックの組み立て時に圧縮されてもよい。すると、これにより、流体ポートチムニーと、スタックにおいて燃料電池ユニットを囲む容積部との間に良好な封止がさらに作り出される。
【0105】
燃料電池ユニット10の外形は、第1の実施形態~第4の実施形態の外形と一致する必要はない。実際、当業者が利用可能な多くの変形例が存在する。本発明は、これらのあらゆる異なる形状をカバーすることを意図している。例えば、本明細書に示されている細長いバージョンの代わりに、流体ポートが角部にあるより矩形であっても、又は流体ポートを2つの角部に配置した菱形であっても、又は流体ポートがより長い間隔を置いた端部にある楕円形であってもよい。
【0106】
図36は、燃料電池ユニット10のさらなる可能性のある形状を示しており、セパレータ板12及び金属支持板14は、各端部に2つの延びるフィンガを画定するために、その短い端部に切り取られた領域があるものの、略矩形である。流体ポート22は、各端部のそれら2つのフィンガのそれぞれに設けられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、より多くのフィンガ、又はより多くのポートを備えていてもよい。
【0108】
この第5の実施形態では、セパレータ板12の成形ポート特徴部24と同様に、フランジ付き外周特徴部18がここでも設けられる。さらに、突起30、32のアレイは、前述の4つの実施形態に関して先に開示された目的のために、セパレータ板の中央領域全体に、交互に上方及び下方に延びている。さらに、金属支持板14上に組み込まれた電気化学的に活性な層50がある。各端部に2つの流体ポート22を有することにより、SOEC又はSOFC燃料電池ユニット10内の流体容積部内の流体の流れをより良く方向付けることができる。
【0109】
次に
図37を参照すると、
図37の燃料電池ユニット10の角部の詳細が示されている。見てとれるように、燃料スタック用のガスケット34も示されている。ガスケット34は、本実施形態では、流体ポート22を囲む窪みを構成する成形ポート特徴部24のすべてを覆うようにサイズ決めされている。窪みは、互い違いの円形窪みの4つの同心円など、複数の同心円であってもよい。
【0110】
第1の実施形態~第4の実施形態のような、成形ポート特徴部24のための他の構成が代わりに提供されてもよい。
【0111】
次に
図38を参照すると2つの窓が設けられ、窓54は、2つの別個の電気化学的に活性な層構成部品52を受容するために端から端まで配置されている
図36の製品の改変版が示されている。
【0112】
他の実施形態は、3つ以上の窓及び電気化学的に活性な層構成部品を有していてもよい。
【0113】
次に
図39を参照すると、加圧成形されたフランジ付き外周特徴部18は、セパレータ板12、又はもし代わりに設けられている場合は金属支持板14、又はその両方の縁部及び中央部に対して、上方突起、すなわち隆起部となるように、燃料電池ユニット10の縁部の内側に配置されている、本発明の燃料電池ユニット10のさらなる変形が示されている。
【0114】
次に
図40を参照すると、複数の燃料電池ユニット10を備える燃料電池スタックが示されている。見てとれるように、これは、電池ユニット10を一緒に圧縮し、これにより、中央突起と多孔質領域/電気化学的に活性な層との間の電気接続を確実にし、各電気化学的活性領域を完全に利用することを確実にするように、ボルト66によって一緒に接続された頂部圧縮板62及び底部圧縮板64を有する。さらに、
図40は、空気又は燃料流体が、ガスケット34の第1のセット及び流体ポートの第1のポートすべての列によって形成された第1のチムニー72内を通り、その後、ガスケット34の第2のセット及び流体ポートのすべての第2のポートすべての列によって形成された第2のチムニー74を出るための入口位置68及び出口位置70を示す。しかし、流体の入口及び出口は、チムニー72、74に対して別様に配置されてもよく、例えば両方とも上部又は下部に配置されても、又は、燃料電池スタックを横に(又は斜めに)取り付けてもよいことが理解されるであろう。
【0115】
図40は、スタックを電力需要部、例えば、図示されている負荷Lに接続するための可能な位置を示す、スタックの上部及び下部にある接触パッド60も示す。
【0116】
ここで
図43~
図46を参照すると、変形角部構成が示されている。
図37の実施形態と同様に、
図43で見てとれるように、成形ポート特徴部24に囲まれた流体ポート22と、組み立て中に成形ポート特徴部24によって形成された凹部を覆うように設けられたガスケット34とがある。ガスケット34は、この図において、少なくとも成形ポート特徴部24の外縁部まで覆う外径を有するが、流体ポート22よりも大きな内径を有するように示されている。任意選択ではあるが、これにより、ガスケットがチムニーの中心に対してわずかにずれた場合に、ガスケット34の内径が、最終的な燃料電池スタックの流体ポートのスタックによって形成されるチムニーを閉塞するのを防止する。
【0117】
成形ポート特徴部24は、金属支持板14に接触するまで延びており、その最も下の表面は、フランジ付き外周特徴部18と同じ平面である第1の平面に横たわっているが一方、その最も上の表面及びセパレータ板12の残りの部分は、流体容積部20を画定するように金属支持板14から離間された第2の平面に横たわっている。
【0118】
本実施形態では、成形ポート特徴部24は、最も内側の領域に溝を有し、これらの溝は流体ポート22に向けて開いている。次いで、円形凹部の2つの互い違いの円があり、続いて、溝と円形凹部が交互に配置された最後の円があり、これらの溝は、円形凹部の直径の約2倍の長さを有する。本実施形態では、溝は、2つの互い違いの円のうち、内側の方の円形凹部と半径方向に整列し、最も内側の領域の溝に対して互い違いに配置されている。その最後の円の円形凹部は、代わりに、円形凹部の2つの互い違いの円のうちの第2の円の円形凹部と半径方向に整列される。この配置により、燃料電池ユニットの内部の凹部間に(流体ポートから燃料電池ユニットの内部へ、又は通気の場合は逆方向へ)流体を流すことができる通路が形成される。
【0119】
本実施形態は、燃料電池ユニットの角部に関して図示されており、これによって、
図36、
図38又は
図39に示す燃料電池ユニットの角部の配置を置き換えることができ、この溝及び凹部の配置は、
図1のような各端部に単一の流体ポートを有するものを含む、他の燃料電池ユニットの設計にも同様に適用することができる。
【0120】
次に、
図47~
図50を参照すると、燃料電池の角部のさらなる変形例が示されているが、ここでも、これは燃料電池ユニットの形状における他の場所、すなわち各角部に1つずつ(
図36、
図38及び
図39)の4つの流体ポートを備えた、若しくは各端部に1つずつの2つの流体ポートを備えた(
図1の実施形態)燃料電池ユニットなど、異なる燃料電池の設計に設けられてもよく、又は任意の他の数の流体ポートを備えた燃料電池ユニットを含む任意の他の燃料電池設計に設けられてもよい。
【0121】
この変形例では、成形ポート特徴部24を形成する凹部及び/又は溝に加えて、隆起部材120が設けられている。これらの隆起部材120は、ガスケット34の外周の外側の円に配置され、本実施形態では、以下の2つの機能を提供する。
【0122】
第1に、ガスケットが隆起部材120の円の内部に収まることにより、燃料電池スタックの組み立て中に流体ポート22に対して正しい位置に収まる、すなわち流体ポート22に対してセンタリングされるため、ガスケットの位置のガイドを提供する。
【0123】
第2に、
図49及び
図50に示すように、隆起部材120は、ガスケット34の厚さtの、好ましくは75~99%未満、又はより好ましくは75~85%(例えば78~82%)の高さhを有する。高さh対厚さtの比率は、使用する特定のガスケットの圧縮要件に合わせて調整することができる。第1の機能を提供するためには、そのような大きな高さhは必要ではなく、したがって、代わりにあまり高くない高さとすることもできる(例えば、hはガスケットの厚さtの5~75%であってもよい)が、スタックの組み立て及び積み重ね中にハードストップを提供するという第2の機能を提供するためには、高さがより高いことが好ましい。このハードストップ機能は、燃料電池スタックの製造中に有用であることができるが、これは、ガスケットが圧縮可能であるため、圧縮時に燃料電池ユニットの外面の凹部を覆って封止し得、組み立て中にスタックを過剰に圧縮する可能性があり、この過剰な圧縮は、そのガスケットの圧縮時に中央突起30もこれらの電気化学層と接触するため、金属支持板上の電気化学的に活性な層に亀裂を入れたり、又は別様に損傷を与えたりする可能性があるからである。ハードストップを有することにより、圧縮の程度に制限を設けることができ、それによって過剰な圧縮がハードストップによって阻止でき、金属支持板上の電気化学的に活性な層の不意の亀裂を防ぐことができる(したがって、中央突起と電気化学的に活性な層との間の燃料電池内の係合圧力の許容値が改善される)。
【0124】
しかし、これらの隆起部材120がガスケット34の厚さtよりも高くならないようにすることが重要であるが、これは、さもなければ、積み重ねプロセス中にガスケットを圧縮することができず、同様に、電気化学的に活性な層と中央突起との間の電気接続が行われない可能性があり、したがって、スタックの効率的な動作が妨げられ、スタック内にホットスポットが発生するためである。それにもかかわらず、隆起部材120の実際の高さhは、ガスケットによる燃料電池ユニットの外面における凹部の適切な封止と、中央突起30のセット全体の正しい電気接続とがあることを確実にするために、組み立て中にガスケットの必要な圧縮を達成し、それによって電気化学的に活性な層と中央突起との間の正しい接続を達成するために、適宜変更又は設定されてもよい。電気絶縁性のコーティング又はペースト層が、隣り合う燃料電池ユニットの当接面(隆起部材120によって形成されたハードストップ面、及び隣り合う燃料電池ユニットの金属基材)の一方又は両方に使用されて、当接面を介した隣り合う燃料電池ユニット間の電気接触を防止することができる。
【0125】
この変形例では、ガスケット34の外周を囲む隆起部材の代わりに、ガスケットは、隆起部材120を収容するための形態又は穴を内部に有することができ、したがって、ここでも隆起部材120に対するガスケットの固定位置を提供し、それに対するガスケットの固定配向(又は、ガスケットが2つ以上の固定配向に適合することができる場合には、複数の固定配向)を潜在的に提供する。
【0126】
これの変形例では、ガスケットの外周を囲む隆起部材120は、隣り合う燃料電池ユニットのセパレータ板12に向かって延びる金属支持板14に形成されている。さらなる変形例では、隆起部材は、金属支持板14及びセパレータ板12に形成され、これらの隆起部材は互いに離間されていてもよい。さらに、金属支持板14及びセパレータ板12の隆起部材は、中間の高さを有し、それらの隆起特徴部が互いに当接して、隆起部材の高さがセパレータ板12若しくは金属支持板14の隆起部材によって提供される場合と同じ全高を有する整合する隆起部材を形成するように配置されていてもよく、又はセパレータ板12及び金属支持板14の両方で互いに離間されていてもよい。
【0127】
次に
図51~
図54を参照すると、角部のさらなる変形例が示されている。本実施形態では、(予め形成された)ガスケットの代わりに、その場でシール材を収容するために流体ポート22を囲む環状溝122が設けられている。溝122は、
図52に示されており、流体ポート22から燃料電池ユニットの内部空間への流体の流れのためにバリアを形成する必要がないため、その両側にある成形ポート特徴部の凹部24ほど深くない。
【0128】
凹部24はここでも、同心円に配置されて設けられている。この場合、1つの円は環状溝の外側に、1つの円は環状溝の内側にあり、内側の円は流体ポートの縁部まで溝の形態である。前述の実施形態のように、凹部又は溝の追加の円をさらに設けてもよい。しかし、明確さを期して、環状溝を最もはっきりと見ることができるように、これら2つの円だけが示されている。
【0129】
本実施形態では、環状溝が一定の深さで一様な円を成しているが、半径及び深さの両方がそれほど一様でない溝にすることも可能である。しかし、簡潔にするために、一様な半径及び深さが与えられている。
【0130】
次に、代わりに
図51を参照すると、環状溝122がここではインサイチュシール、すなわちシーラント材料124の円によって覆われていることが見てとれる。この材料124は、スタックの組み立て中に塗布された液体又はペーストであってもよい。この材料124は、燃料電池の動作環境に耐えるように硬化されたときに設計された任意の従来のシール接触ペーストであってもよい。これは、必要に応じて(予め形成された)ガスケットに置き換えることもできるが、インサイチュシールの使用は、ガスケットの慎重な配置が不要になるため、部品数を低減し、コストを削減し、組み立てを簡略化するという大きな利点を有する。
【0131】
図53及び
図54も参照すると、
図54はより詳細な図であり、環状溝122が一定量の(又は塊状の)シーラント材料124を収め、材料124も成形ポート特徴部の上面を覆って環状に延びているため、前述の実施形態のガスケット34のように機能していることが見てとれる。この構成により、シーラント材料124の厚さは、予め形成されたガスケットに一般的に必要とされる厚さよりも大幅に小さくすることができる。ここでも、電気絶縁性のシールが使用されてもよく、或いは、電気絶縁性のコーティング又はペースト層が、隣り合う燃料電池ユニットの当接面(例えば、隆起部分126によって形成されたハードストップ面、及び隣り合う燃料電池ユニットの金属基材)の一方又は両方に使用されて、当接面を介した隣り合う燃料電池ユニット間の電気接触を防止することができる。
【0132】
前述の実施形態のガスケット34の厚さは、空気又は燃料の流れのために、隣り合う燃料電池ユニット間に空間を提供するのに役立った。その空間を保持するために、
図52、
図53及び
図54に示すように、成形ポート特徴部24はセパレータ板12の隆起部分126に設けることができる。このことによって、ガスケットシール材の頂部の最終的な高さが、スタックをその最終的な構成に圧縮又はクランプする間に、電気化学的に活性な層の外面が外向きに延びる中央突起30の頂部に正しく整列して接触することを可能にするために、依然として正しい高さであることを確実にする。
【0133】
溝122は
図54に示され、溝は深さdを有し、これは、流体ポート22から燃料電池ユニットの流体容積部20への流体の流れのためにバリアを形成する必要がないため、その両側の凹部24ほど深くない。溝122の深さdは、隆起部分126の深さd2よりも小さいことがなお好ましい。さらに、溝の深さdは、隆起部分126の深さd2の5~75%であることが好ましい。典型的には、これは、溝122が、凹部24の延長部の深さの5~80%、より好ましくは10~50%、好ましくはいずれにしても50%未満で、金属支持板とセパレータ板との間の空間に延びることに対応してもよい。深さは、
図54のd及びd2で示されるように、外から測定してもよいし、又は燃料電池ユニットの内部空間の内部の高さを横切って内部を測定してもよい。
【0134】
環状溝122が内部に配置された隆起部分126は、
図47~
図50のハードストップ特徴部と同様に、ハードストップ特徴部として機能することができる。当然ながら、環状溝に加えて、シール材/スタックの過剰な圧縮を回避することを助けるために、
図47~
図50のハードストップ特徴部と同様のハードストップ特徴部を提供するために突起を備えることも可能である。同様に、予め形成されたガスケットではなく、液体が塗布されたシール材を、環状溝がなくても、例えば平坦な環状表面に表面をフィットさせることによって使用することもできる。しかし、溝を有していないことは、溝が、シール材の一部が圧縮中に押し込まれ得る(固定される)容積部をもたらし、また溝がないと、例えばスタックのわずかなずれによってシール材がシール面の領域から押し出される可能性があるため、封止不良の可能性が高くなり得る。封止不良により、スタック内で燃料と空気とが混ざるが、これは望ましくない。したがって、環状溝は、使用中のスタックにより長い耐用期間を提供するための解決策として、より好ましい。
【0135】
最後に、
図41を参照すると、第1の実施形態による燃料電池ユニットのスタックの図が示されている。これは、ハウジング若しくは圧縮ボルト、又は上部板62及び下部板64が追加される前である。これはチムニー(ここでは、複数の整列したポート及び整列したガスケットによって形成される内部マニホールド)72、74を示すためのものであり、チムニー72、74の頂部から、金属支持板14、セパレータ板12及びガスケット34の内部縁部が見てとれる。チムニー内の流体は、各燃料電池ユニットの金属支持板14とセパレータ板12との間の、各燃料電池ユニット10内の流体容積部20に入ることができるが、ガスケット34があるため隣り合う燃料電池ユニット10間には入ることができず、一方で、燃料電池ユニットの外部の流体は、隣り合う電池間の側面/縁部が開いているので、ガスケット及びチムニー以外の、例えば矢印76における隣り合う電池間の空間に通過することができる。
【0136】
要約すると、セパレータ板12と、化学層50を支持するステンレス鋼箔などの金属支持板14とを備え、セパレータ板12及び金属支持板14が互いに重なり合って繰り返しユニットを形成し、少なくとも一方の板は、その板を加圧成形することによって形成されたフランジ付き外周特徴部18を有し、これらの板は、フランジ付き外周特徴部にて直接当接されて、それらの間に流体容積部20を形成し、それぞれが少なくとも1つの流体ポート22を有し、ポートは流体容積部と整列して連通し、板のうちの少なくとも一方は、他方の板に向かって延びるポートの周囲に形成された加圧成形された成形ポート特徴部24を有し、ポートから流体容積部への流体の通過を可能にする流体通路を画定するために互いに離間された要素を備える、金属支持型燃料電池ユニット10が提供される。したがって、スタックは、最小限の数の異なる多機能構成部品から形成されてもよい。加圧成形によっても形成される隆起部材120は、ガスケット34を受容するか、ハードストップとして機能するか、又はシール支持面として機能することができる。
【0137】
例えば、丸いフィンガの代わりに四角いフィンガを設けるなど、別の構成及び形状も本発明の範囲内である。同様に、流体通路を出た流体は、要素群とフランジ付き外周特徴部との間の任意の間隙を循環することができるため、要素群としての成形ポート特徴部の形状は、それが設けられる電池ユニットの領域の形状と一致する必要はない。
【0138】
本発明のこれら及び他の特徴は、純粋に例示として上述した。特許請求の範囲内で、特に、燃料電池ユニットの形状、電気化学的に活性な層、及び燃料電池ユニット内の流体容積部を介する流体ポート間の流体の流れを可能にするための成形ポートの特徴部及び中央突起の要素の配置に関して、本発明の詳細を変更してもよい。
【符号の説明】
【0139】
先行技術
90 燃料電池ユニット
110 金属支持板
150 セパレータ板
150A 上下の波形部
152 スペーサ
160 大きな空間/開口
180 流体ポート
200 流体ポート
本発明
10 燃料電池ユニット
12 セパレータ板
14 金属支持板
18 フランジ付き外周特徴部
20 流体容積部
22 流体ポート
24 成形ポート特徴部
26 成形ポート特徴部の要素
28 流体通路
30、32 中央突起
34 ガスケット
48 小穴
50 電気化学的に活性な層
52 別個の構成部品
54 窓
58 隆起部
60 接触パッド
62 頂部圧縮板
64 底部圧縮板
66 ボルト
68 入口位置
70 出口位置
72 第1のチムニー
74 第2のチムニー
120 隆起部材
122 環状溝
124 インサイチュシール
126 隆起部分
h 隆起部材の高さ
t ガスケットの厚さ
d 溝の深さ
d2 隆起部分の深さ