(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】軌道工事機械用の電気インタフェース装置
(51)【国際特許分類】
B60L 1/00 20060101AFI20240625BHJP
B61D 15/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B60L1/00 B
B61D15/00 B
(21)【出願番号】P 2021537908
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2019082824
(87)【国際公開番号】W WO2020135967
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クレン
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-064398(JP,A)
【文献】特表2018-528342(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210533(WO,A1)
【文献】特開2011-239610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道工事機械の変換器(10)から複数の消費装置に電力を供給するインタフェース装置であって、
前記変換器(10)の直流電圧回路(14)に電気的に接続するための接続手段(24)と、
複数の消費装置(17、18、19)を接続するために、前記接続手段(24)に電気的に接続される分配装置(23)と、
前記分配装置(23)における最大電圧を給電限界電圧に制限するように構成されている過電圧保護部(27)と、
を有し、
前記接続手段(24)および/または前記分配装置(23)は、前記変換器(10)
とは別のユニットとして構成されて
おり、
前記変換器(10)内の過電圧保護部(28)によって、前記直流電圧回路(14)における電圧が変換器限界電圧に制限されており、前記給電限界電圧は、前記変換器限界電圧よりも高いことを特徴とする、インタフェース装置。
【請求項2】
前記接続手段(24)と前記分配装置(23)とは、前記接続手段(24)から前記分配装置(23)に向けられた通電を行うために、ダイオード(25)を介して導電接続されていることを特徴とする、請求項1記載のインタフェース装置。
【請求項3】
前記分配装置(23)および/または前記接続手段(24)における電圧変動を平滑化する平滑化ユニット(26)を有することを特徴とする、請求項1または2記載のインタフェース装置。
【請求項4】
請求項1から
3までのいずれか1項記載のインタフェース装置(16)と、
前記インタフェース装置(16)に接続されている少なくとも1つの消費装置(17、18、19)と、
を有する軌道工事システム。
【請求項5】
前記消費装置(17、18、19)の少なくとも1つは、軌道設備を処理するように構成されていることを特徴とする、請求項
4記載の軌道工事システム。
【請求項6】
前記消費装置(17、18、19)のうちの少なくとも1つは、エネルギ蓄積器(19)として構成されていることを特徴とする、請求項
4または
5記載の軌道工事システム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記消費装置(17、18、19)は、変換器(22)を有することを特徴とする、請求項
4から
6までのいずれか1項記載の軌道工事システム。
【請求項8】
レール(3)を走行するためのレール走行車(7)と、
前記レール走行車(7)に配置されかつ電力を供給する変換器(10)と、
前記レール走行車(7)に配置されておりかつ前記変換器(10)に接続されている、請求項
4から
7までのいずれか1項記載の軌道工事システム(11)と、
を有する軌道工事機械。
【請求項9】
前記変換器(10)は、前記インタフェース装置(16)が接続されている直流電圧回路(14)を有することを特徴とする、請求項
8記載の軌道工事機械。
【請求項10】
前記直流電圧回路(14)の電圧は、5kV以下であることを特徴とする、請求項
9記載の軌道工事機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道工事機械の鉄道用変換器から複数の消費装置に電力を供給するインタフェース装置に関する。本発明はさらに、このようなインタフェース装置を備えた軌道工事システムに関する。本発明はさらに、このような軌道工事システムを備えた軌道工事機械に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の先使用により、レールを走行するためのレール走行車と、電力を供給するための鉄道用変換器と、軌道設備を処理する複数の消費装置とを備えた軌道工事機械が知られている。これらの消費装置に電力を供給するために、これらの消費装置は、鉄道用変換器の交流電圧回路に接続される。鉄道用変換器により、架線電圧はまず直流電圧に変換され、引き続いて交流電圧回路に加わる低電圧に変換される。架線電圧を直流電圧に変換する際にも、また直流電圧を交流電圧に変換する際にも電力損失が生じてしまい、これにより、消費装置の給電が、著しい効率損失を被ってしまうことは不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底にある課題は、特にエネルギ効率的に消費装置に確実に電力が供給されるようにする、軌道工事機械用のインタフェース装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有するインタフェース装置によって解決される。本発明によって明らかになったのは、軌道工事機械の鉄道用変換器から電力を複数の消費装置に供給するインタフェース装置であって、鉄道用変換器の直流電圧回路に電気的に接続するための接続手段と、複数の消費装置を接続するための分配装置と、を有するインタフェース装置により、特にエネルギ効率的に複数の消費装置に確実に電力が供給されることである。一般的な鉄道用変換器は、架線に加わるまたは発電機によって生成される交流電圧を直流電圧に変換する鉄道用整流器と、例えば非同期機械として構成されておりかつレールに沿って軌道工事機械を移動させる駆動モータを接続するために直流電圧を交流電圧に変換する鉄道用インバータとを有している。電圧の変換には必然的に電力損失が伴う。接続手段を介して鉄道用変換器の直流電圧回路にインタフェース装置を直接に接続することにより、有利には、多重の変換に起因する電力損失を確実に回避可能である。好適には、接続手段と架線との間または接続手段と発電機との間にただ1つの変換器、特に、架線の交流電圧を直流電圧回路の直流電圧に変換または整流する鉄道用整流器が配置されている。インタフェース装置により、全体として軌道工事機械の特に効率的な動作およびその経済的な作製が保証される。
【0005】
本発明の一態様によれば、鉄道用整流器と消費装置との間には別の電流変換器は配置されていない。すなわち、インタフェース装置は、変換器なしに構成可能である。したがって、特にエネルギ効率的に消費装置の電力供給を行うことができる。
【0006】
好適には、インタフェース装置は、特に接続手段および/または分配装置は、鉄道用変換器から特に空間的に切り離されたユニットとして構成されている。したがって、特に制限的な規定下にある鉄道用変換器のシステムに手を入れることを回避可能である。したがって、特に既存の鉄道用変換器へのインタフェース装置の接続は簡単に行うことができる。
【0007】
直流電圧回路は、直流電圧中間回路とも称される。というのは、直流電圧回路は、大抵は鉄道用整流器と鉄道用インバータとの間の中間回路であるからである。インタフェース装置の機能にとっては、直流電圧回路に鉄道用変換器が接続されているか否か重要ではない。重要であるのは、鉄道用変換器側での多重の変換に起因する電力損失を回避するために、直流電圧回路に接続するためのインタフェース装置が構成されていることである。
【0008】
インタフェース装置、特に接続手段は、好適には直流電圧回路に接続するために構成されており、その電圧は200V~5,000V、特に350V~3,000V、特に500V~1,500V、特に600V~1,000Vの範囲内にある。好適には、直流電圧回路に加わる電圧は750Vである。架線に加わる鉄道用変換器の入力電圧は、好適には少なくとも5kV、特に少なくとも7.5kV、特に少なくとも10kV、特に少なくとも15kVである。鉄道用変換器の入力電圧は、好適には、16 2/3Hzの交流電圧周波数を有する交流電圧である。
【0009】
請求項2記載のインタフェース装置により、複数の消費装置と、鉄道用変換器の直流電圧回路との安全な接続が保証される。ダイオードは、接続手段から分配装置への方向にのみ向けられた通電を行うために構成されている。このダイオードにより、インタフェース装置を介して消費装置から鉄道用変換器に反作用し得る電圧から鉄道用変換器が保護される。したがって、鉄道用変換器は、消費装置側の損傷を起こし得る電圧上昇から特に安全に保護される。
【0010】
請求項3記載のインタフェース装置は、動作時に特に頑強でありかつ鉄道用変換器および/または複数の消費装置を損傷から保護する。好適には、接続手段および分配装置は、平滑化ユニットを介して互いに接続されている。平滑化ユニットは、鉄道用変換器の方向から見て、ダイオードの前および/または後ろに配置可能である。平滑化ユニットは、好適には、チョークコイルもしくはインダクタ、および/またはコンデンサ、および/または特に調整可能なオーム抵抗を有している。平滑化ユニットは、一時的な電圧ピークを減じるように構成されていてよい。平滑化ユニットは、発振回路を減衰させるために、電圧変動が平滑化されるように構成されていてよい。発振回路には、インタフェース装置に接続されているすべてのコンポーネント、特に消費装置および鉄道用変換器ならびにインタフェース装置それ自体が含まれる。平滑化ユニットは、アクティブな発振回路減衰のための平滑化制御ユニットを有していてよい。この平滑化制御ユニットは、調整可能な抵抗を制御するように構成可能である。
【0011】
請求項4記載のインタフェース装置により、損傷を引き起こす過電圧から鉄道用変換器および/または複数の消費装置が保護される。過電圧保護部は、好適にはダイオードと分配装置との間に配置されている。過電圧保護部は、好適には、電気エネルギを熱エネルギに変換する抵抗を有している。過電圧保護部は、過電圧保護部および/または消費装置に加わる電圧が給電限界電圧を上回る場合に、この抵抗を介して電流を導くように構成可能である。したがって、電気回路から電気エネルギを確実に取り去ることができ、これにより、電気回路に接続されているコンポーネントの損傷を阻止することができる。
【0012】
過電圧保護部は、過電圧が生じた際にトリップ状態に切り換わるように構成可能である。トリップ状態では、複数の変換器の、特に鉄道用変換器および/または鉄道用整流器の、および/または工業用変換器のうちの少なくとも1つのクロック供給を中断することが可能である。したがって、過電圧による鉄道用変換器および/または消費装置の損傷を確実に阻止可能である。
【0013】
過電圧保護部は、特に、導電接続をサイクリックに中断するスイッチ、特にチョッパを有していてよい。さらに、過電圧保護部は、電気エネルギを熱エネルギに変換する抵抗を有していてよい。好適には、過電圧保護部は、給電限界電圧を上回った際に、鉄道用変換器と複数の消費装置との間の導電接続を中断するように構成されている。電気エネルギを減じるために、特に過電圧保護部に加わる電圧を低減するために、抵抗において電気エネルギを熱エネルギに変換することが可能である。特に過電圧保護部により、ダイオードの後ろに、すなわち分配装置側に接続されている電気回路の保護が保証される。
【0014】
請求項5記載のインタフェース装置は、動作時に特に安全かつ経済的に作製可能である。好適には、給電限界電圧は、鉄道用過電圧保護部が設けられている場合には鉄道用過電圧保護部の最大電圧に適合される。鉄道用過電圧保護部は、直流電圧回路に、ひいては接続手段に加わる最大電圧を制限するように構成されている。このような鉄道用過電圧保護部は、ふつう行われているように特に高性能に構成されている。鉄道用過電圧保護部は、過電圧保護部の特徴的構成によって発展させることが可能である。給電限界電圧が、鉄道用過電圧保護部の最大電圧よりも高く設定されていることにより、鉄道用変換器と複数の消費装置との間の一般的な電圧上昇の際には、まず高性能の鉄道用過電圧保護部がトリガされて電圧が低減される。接続手段と複数の消費装置との間で電圧がさらに上昇する場合には、インタフェース装置の過電圧保護部が作動する。したがって、インタフェース装置の過電圧保護部は、特に小型かつ経済的に作製可能である。過電圧保護部および鉄道用過電圧保護部の損傷を起こし得る相互の影響の及ぼし合いは、確実に阻止可能である。
【0015】
本発明の根底にあるさらなる課題は、特にエネルギ効率的に動作させることが可能でありかつ経済的に作製可能な軌道工事システムを提供することである。
【0016】
この課題は、請求項6の特徴的構成を有する軌道工事システムによって解決される。本発明による軌道工事システムの利点は、上で説明したインタフェース装置の利点に対応する。少なくとも1つの消費装置は、好適には、走行駆動部、特に駆動モータとは別の消費装置である。少なくとも1つの消費装置は、消費装置過電圧保護部を有していてよい。消費装置過電圧保護部は、過電圧保護部の特徴的構成によって発展させることが可能である。特に、消費装置過電圧保護部は、分配装置への導電接続を可逆的に中断するように構成可能である。特に、消費装置過電圧保護部は、トリップ状態に切り換え可能であってよい。
【0017】
本発明の一態様によれば、軌道工事システムは、少なくとも2個、特に少なくとも3個、特に少なくとも4個、特に少なくとも5個、特に少なくとも10個の、インタフェース装置に接続された消費装置を有している。
【0018】
請求項7記載の軌道工事システムは、特にエネルギ効率的に動作させることが可能である。軌道設備にはレール、レールを支持する枕木、バラスト道床および架線が属する。軌道設備を処理する少なくとも1つの消費装置は、バラスト道床を突き固めるタンピングユニットおよび/またはレールを敷設するためのレール降ろし器および/または架線を取り付けおよび保守するためのクレーンであってよい。
【0019】
請求項8記載の軌道工事システムは、特にエネルギ効率的かつ経済的に動作させることが可能である。エネルギ蓄積器は、電気化学蓄電池として、特にリチウム・ポリマー・蓄電池および/またはコンデンサおよび/またはジャイロとして構成されていてよい。したがって、エネルギ、特に電気エネルギは、バッファリング可能である。例えば、軌道工事システムは、一時的に自由になるエネルギをエネルギ蓄積器に取り込み、後の時点に再度放出することができる。このエネルギ蓄積器は、これが、数時間にわたって少なくとも1つの消費装置にエネルギを供給できるように設計されることが可能である。
【0020】
本発明の一態様によれば、インタフェース装置は、エネルギ、特に電気エネルギを少なくとも1つの消費装置からエネルギ蓄積器に導く回生ユニットを有している。したがって、特に減速過程において少なくとも1つの消費装置において自由になるエネルギは、エネルギ蓄積器に供給され、後に再び消費装置に供給され、したがって利用可能になる。
【0021】
本発明の別の一態様によれば、少なくとも1つの消費装置は、流体蓄積器、特にハイドロリック蓄積器を備えた流体ユニット、特にハイドロリックユニットを有している。この流体蓄積器は、好適には、圧力下にある流体の形態で、特にハイドロリック流体の形態で、または圧縮空気の形態でエネルギを蓄積するように構成されている。好適には、回生ユニットは、流体エネルギの形態のエネルギを蓄積するために少なくとも1つの消費装置から、流体蓄積器を有する消費装置に電気エネルギを導くように構成されている。したがって、余剰なエネルギ、特に制動エネルギは、流体蓄積器をチャージするために使用可能である。引き続いてこのエネルギは、流体駆動部、特にハイドロリック駆動部において運動エネルギに変換可能である。したがって、このようなエネルギ蓄積は、特に経済的に、特に電気化学的なエネルギ蓄積器を使用することなく確実に行うことが可能である。
【0022】
回生ユニットは、鉄道用変換器、特に鉄道用インバータにエネルギ蓄積器からの電気エネルギを供給するように構成されていてもよい。このために回生ユニットは、接続手段に導電接続されていてよい。この導電接続は、過電圧から鉄道用変換器を保護するために、好適にはスイッチング可能、すなわち可逆的に切断可能である。特に、スイッチング可能な接続は、ダイオードをブリッジするスイッチング可能なバイパス線路として構成されていてよい。これによって有利に実現されるのは、鉄道用変換器が、消費装置側の、損傷を起こし得る電圧変動から保護されることであり、この際には少なくとも1つの駆動モータの電力供給は、エネルギ蓄積器を介し確実に行われる。
【0023】
請求項9記載の軌道工事システムは、特に経済的に作製可能である。工業用変換器は、鉄道用変換器とは異なり、制限が少ない。鉄道運転の維持を保証するための要求が、工業用変換器に課されることはない。故障確率について繁雑な検証マネジメントは、工業用変換器では多くの場合に不要である。したがって、工業用変換器は、相当する特性を有する鉄道用変換器よりも格段にコスト的に有利である。鉄道用変換器は、工業用変換器とは異なり、特に使用温度範囲、衝撃耐性、振動耐性、電磁両立性および防火についての鉄道分野の特に制限的な要求に従わなければならない。鉄道用変換器は一般に、少なくとも100kWの入力電力を有している。上記の複数の消費装置は、100kWを下回る入力電力を有していてよい。鉄道用変換器は、これによって一般に工業用変換器によりも格段に高価である。少なくとも1つの工業用変換器は、好適には分配装置に接続され、分配装置に加わる供給直流電圧を動作駆動部用の動作電圧に変換する。動作電圧は、直流電圧または交流電圧であってよい。
【0024】
少なくとも1つの工業用変換器は、好適には、制御キャビネットを有している。この制御キャビネットは、振動減衰式に固定するための減衰支持部を有していてよい。この制御キャビネットは、流体密、特に液体密に構成されていてよい。さらに、制御キャビネットは、制御キャビネットにおける温度を監視しかつ/または制御キャビネットへの電力供給を中断する温度監視部、特に温度警報ユニットを有していてよい。制御キャビネットは、好適には空調ユニット、特に冷却ユニットを有している。制御キャビネットは、防火ユニット、特に消火ユニットを有していてよい。
【0025】
本発明の一態様によれば、工業用変換器は冗長なコンポーネントを有している。この工業用変換器は、故障したコンポーネントを非活性化しかつ故障したコンポーネントに対して冗長に設けられた動作可能なコンポーネントを活性化するスイッチユニットを有していてよい。
【0026】
本発明の根底にあるさらなる課題は、特にエネルギ効率的に動作させることが可能でありかつ経済的に作製可能であるように軌道工事機械を改善することである。
【0027】
この課題は、請求項10の特徴的構成を有する軌道工事機械によって解決される。本発明による軌道工事機械の利点は、上で説明した軌道工事システムおよび上で説明したインタフェース装置の利点に対応する。鉄道用変換器は、特に架線および/または発電機に加わる交流電圧を変換または整流する鉄道用整流器を有している。さらに、鉄道用変換器は、特に可変の周波数を有する交流電圧を生成するために、かつレールに沿って軌道工事機械を移動させる駆動モータに接続するために、鉄道用整流器に接続された鉄道用インバータを有していてよい。発電機は、特に内燃機関によって駆動される。消費装置と、架線および/または発電機との間には、好適には、ただ1つの変換器、特に鉄道用変換器だけが配置されている。したがって、消費装置への電力供給は、特にエネルギ効率的である。付加的な変換器を省略することにより、軌道工事機械を特に経済的に作製可能である。
【0028】
請求項11記載の軌道工事機械は、特にエネルギ効率的に動作させることが可能である。直流電圧回路は、好適には、特に消費装置側において、架線および/または発電機に接続された変換器、特に鉄道用整流器に接続される。
【0029】
請求項12記載の軌道工事機械は、エネルギ効率的でありかつ経済的に動作させることが可能である。直流電圧回路の電圧が、最大で5kV、特に最大で3kV、特に最大で1.5kV、特に最大で1kV、特に750Vであることにより、少なくとも1の消費装置、特に、軌道設備を処理する少なくとも1つの消費装置および/または少なくとも1つのエネルギ蓄積器には、直流電圧回路の電圧を直接に供給可能である。
【0030】
本発明の別の特徴的構成、利点および詳細は、一実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】レール走行車と、レール走行車に配置された鉄道用変換器と、レール走行車に配置されかつ鉄道用変換器に接続された軌道工事システムとを備えた軌道工事機械の概略図である。
【
図2】
図1の鉄道用変換器と、接続手段および分配装置を備えたインタフェース装置とを有する軌道工事システムを詳細に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、軌道設備を処理する、特に軌道設備のバラスト道床2を突き固める軌道工事機械1が示されている。軌道設備には、バラスト道床2上の枕木4の上に載置される2本のレール3が含まれている。さらに、軌道設備には、軌道工事機械1に電力を供給する架線5が含まれている。架線5に供給される架線電圧は、15kVでありかつ16 2/3kHzの架線周波数を有している。架線5により、軌道工事機械1は、集電器6を介して導電接続されている。
【0033】
軌道工事機械1は、レール3を走行するためのレール走行車7を有している。レール走行車7は、レール3上で軌道工事機械1を移動させるための駆動モータ8を有している。駆動モータ8は、トルク伝達するようにレール走行車7の車輪9に連結されている。
【0034】
軌道工事機械1は、電力を供給する、特に架線電圧を変換器直流電圧に変換する鉄道用変換器10を有している。軌道工事機械1はさらに、レール走行車7に配置されておりかつ鉄道用変換器10に接続されている軌道工事システム11を有している。
【0035】
鉄道用変換器10は、集電器6に導電接続されている。鉄道用変換器10は、架線電圧を変換器直流電圧に変換または整流する鉄道用整流器12を有している。鉄道用変換器10はさらに、鉄道用インバータ13を有している。鉄道用インバータ13は、直流電圧回路14を介して鉄道用整流器12に導電接続されている。直流電圧回路14に加わる変換器直流電圧は750Vである。鉄道用インバータ13は、駆動モータ8に電力を接続するように構成されている。三相交流非同期機械として構成されている駆動モータ8を駆動させるために鉄道用インバータ13により、駆動交流電圧が供給される。
【0036】
軌道工事機械1はさらに、内燃機関によって駆動される発電機15を有し、発電機15は、発電機電圧を供給するように構成されておりかつ鉄道用整流器12に導電接続されている。発電機15により、架線5がない場合および架線5が架線電圧に接続されていない場合にも軌道工事機械1の動作が可能になる。
【0037】
軌道工事システム11は、インタフェース装置16と、インタフェース装置16に接続されている複数の消費装置17、18、19とを有している。消費装置17、18は、軌道設備を処理するように構成されている。消費装置17は、軌道工事システム11のタンピングユニット20のハイドロリック駆動部である。消費装置18は、タンピングユニット20の電気偏心体駆動部として構成されている。消費装置19は、電気化学エネルギ蓄積器、特にリチウム・ポリマー・蓄電池である。消費装置17、18、19とインタフェース装置16との間にはそれぞれ1つの消費装置回路21と称される電気回路が設けられている。消費装置回路21に加わる消費装置電圧は750Vである。
【0038】
図2には鉄道用変換器10および軌道工事システム11がさらに詳しく示されている。消費装置17、18、19は、直流電圧である消費装置電圧をそれぞれ必要な電圧形態に変換する工業用変換器22を有している。工業用変換器22は、限界電圧を上回った際に電力供給を中断する工業用過電圧保護部を有している。
【0039】
インタフェース装置16は、消費装置17、18、19に電気的に接続するための分配装置23を有している。さらに、インタフェース装置16は、分配装置23と、鉄道用変換器10、特に直流電圧回路14とを電気的に接続するための接続手段24を有している。
【0040】
インタフェース装置16はダイオード25を有している。ダイオード25を介して分配装置23と接続手段24とが接続されている。ダイオード25は、接続手段24から分配装置23に向けられた通電を行うために構成されている。ダイオード25は、半導体ダイオードとして構成されている。
【0041】
インタフェース装置16は、分配装置23における電圧変動、特にダイオード25と分配装置23との間の電圧変動を平滑化する平滑化ユニット26を有している。平滑化ユニット26は、電圧変動を平滑化するためにチョークコイル、コンデンサおよび/またはオーム抵抗を有している。平滑化ユニット26は特に、接続手段24と消費装置17、18、19との間に場合によっては形成される電気発振回路を制御または減衰させ、これによって電圧ピークが可能な限りに阻止されるように構成されている。
【0042】
インタフェース装置16は、過電圧保護部27を有している。過電圧保護部27は、分配装置23における最大電圧を給電限界電圧に制限するように構成されている。過電圧保護部27は、電力を熱出力に変換する抵抗を有している。さらに、過電圧保護部27はチョッパを有している。
【0043】
鉄道用変換器10は、鉄道用過電圧保護部28を有している。鉄道用過電圧保護部28は、変換器直流電圧を変換器限界電圧に制限するように構成されている。過電圧保護部27は、給電限界電圧が変換器限界電圧よりも高くなるように構成されている。
【0044】
軌道工事機械1、または軌道工事システム11、または鉄道用変換器10からの電力を消費装置17、18、19に供給するインタフェース装置16の動作の仕方は以下の通りである。
【0045】
軌道工事機械1は、軌道設備のレール3上にある。集電器6は、架線5と導電接続されている。
【0046】
軌道工事機械1は、レール3に沿って移動させられる。このために架線電圧は、鉄道用変換器10において、特に鉄道用整流器12において変換器直流電圧に変換される。鉄道用インバータ13には、変換器直流電圧を有する直流電圧回路14を介して電力が供給される。鉄道用インバータ13により、変換器直流電圧が駆動交流電圧に変換される。駆動モータ8に供給される駆動交流電圧によって車輪9が駆動される。軌道工事機械1は、加速され、レール3に沿って移動させられる。軌道工事機械1は、軌道設備を処理する、特にバラスト道床2を突き固めようとする位置に移動させられる。駆動モータ8は停止される。このために、駆動制御部により、駆動モータ8への駆動交流電圧の供給が中断される。
【0047】
接続手段24を介して電力がダイオード25に導かれる。ダイオード25により、接続手段24から分配装置23の方向に向けられた通電が保証される。ダイオード25に導電接続されている平滑化ユニット26により、特に鉄道用整流器12における整流から結果的に生じる電圧ピークが平滑化される。過電圧保護部27に加わる電圧は、給電限界電圧よりも低い。過電圧保護部27を介し、分配装置23は平滑化ユニット26に導電接続されている。電力は、分配装置23を介し、複数の消費装置回路21を経て消費装置17、18、19に導かれる。
【0048】
図示されないタンピングユニット制御部により、ハイドロリック駆動部17および偏心駆動部18との電力の接続が制御される。工業用変換器22により、分配装置23に加わる供給直流電圧が、ハイドロリック駆動部17および偏心駆動部18のそれぞれ1つの電動モータを駆動するために必要な電圧形態に変換される。さらに、エネルギ蓄積器19が、工業用変換器22および消費装置回路21を介して充電される。タンピングユニット20により、バラスト道床2が突き固められる。
【0049】
直流電圧回路14では、架線電圧の変動によって誘発されて、かつ/または駆動モータ8による反作用に起因して結果的に電圧ピークが生じることがある。直流電圧回路14の領域において変換器限界電圧を上回る場合、鉄道用過電圧保護部28により、変換器限界電圧の引き下げが確実に行われる。鉄道用過電圧保護部28は、抵抗を用いて電気エネルギを熱エネルギに変換する。余剰の電気エネルギは、熱エネルギの形態で直流電圧回路14から排出される。
【0050】
消費装置回路21の領域において電圧ピークが直流電圧回路14に及ぼす作用は、ダイオード25によって妨げられる。分配装置23に加わる電圧が給電限界電圧を上回る場合、過電圧保護部27により、特に抵抗を用いて、電気エネルギが熱エネルギに変換され、ひいては電気回路から取り除かれる。これにより、電気回路における電圧が確実に低減される。電気エネルギは、過電圧保護部27の抵抗によって熱エネルギに変換される。これにより、消費装置17、18、19の、特に工業用変換器22の損傷が確実に阻止される。
【0051】
直流電圧回路14を介するエネルギ供給が中断される場合、消費装置17、18に給電するためにエネルギ蓄積器19を使用可能である。特に、軌道工事機械1に電力を供給するために架線5が利用できない場合、消費装置17、18に給電するためにエネルギ蓄積器19を使用可能である。
【0052】
インタフェース装置16が、鉄道用変換器10の直流電圧回路14に接続されていることにより、消費装置17、18、19への電力の供給は、特にエネルギ効率的に行うことが可能である。消費装置17、18、19において供給直流電圧を供給することにより、消費装置17、18、19に給電するために、鉄道用インバータ13において供給直流電圧を交直変換する中間ステップは不要になる。軌道工事システム11は、付加的な変換器が回避されることにより、特に経済的に作製可能である。軌道工事機械1を用いた軌道設備の処理は、全体として特に効率的にかつ経済的に行うことが可能である。