(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】被検体とリガンドとの間の反応の速度論的パラメータを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/557 20060101AFI20240625BHJP
G01N 21/41 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01N33/557
G01N21/41 101
(21)【出願番号】P 2021560907
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 IB2020054472
(87)【国際公開番号】W WO2020234691
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】514323235
【氏名又は名称】クレオプティクス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】CREOPTIX AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】コティエ・カスパー
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504805(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187325(WO,A1)
【文献】特表2010-537194(JP,A)
【文献】特表2006-527365(JP,A)
【文献】特表2018-528431(JP,A)
【文献】特表2015-522151(JP,A)
【文献】James INGLESE et al.,Quantitative high-throughput screening: A titration-based approach that efficiently identifies biological activities in large chemical libraries,PNAS,2006年08月01日,Vol.103, No.31,pp.11473-11478
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00-33/98,
G01N 21/00-21/01,21/17-21/61,
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体とリガンドとの間の反応の速度論的パラメータを決定するための方法であって、 (a)被検体の濃度(c
o)を有するサンプル流体の第1の体積(V1)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、第1の被検体の持続時間(t
1a)の間、前記のサンプル流体の第1の体積(V1)中の被検体が試験表面(3)上の第1のリガンド(4)に結合できるように、流すステップと、
(b)ステップ(a)の間に試験表面上の第1のリガンド(4)に結合した、サンプル流体の第1の体積(V1)からの被検体が、それらのリガンド(4)から解離するように、バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、第1のバッファーの持続時間(t
1b)の間、流すステップと、
(c)少なくともサンプル流体の第2の体積(V2)を、前記のサンプル流体の第2の体積(V2)中の被検体が、試験表面(3)上の第1のリガンド(4)に結合できるように、前記試験表面上に、第2の被検体の持続時間(t
2a)の間、流すステップであって、第2の被検体の持続時間(t
2a)は第1の被検体の持続時間(t
1a)よりも長く、サンプル流体の第2の体積(V2)は、サンプル流体の第1の体積(V1)中の被検体の濃度(c
o)と同じ被検体の濃度(c
o)を有するステップと、
(d)ステップ(c)の間に試験表面上の第1のリガンド(4)に結合した、サンプル流体の第2の体積(V2)からの被検体が、それらの第1のリガンド(4)から解離するように、バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、第2のバッファーの持続時間(t
2b)の間、流すステップと、
(e)センサーを使用してステップ(a)~(d)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一測定結合曲線を得るステップと、
(f)被検体の濃度(c
o)を有するサンプル流体の第1の体積(V1)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、第1の被検体の持続時間(t
1a)の間、流すステップと、
(g)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第1のバッファーの持続時間(t
1b)の間、流すステップと、
(h)少なくともサンプル流体の第2の体積(V2)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第2の被検体の持続時間(t
2a)の間、流すステップであって、第2の被検体の持続時間(t
2a)は第1の被検体の持続時間(t
1a)よりも長く、サンプル流体の第2の体積(V2)は、サンプル流体の第1の体積(V1)中の被検体の濃度(c
o)と同じ被検体の濃度(c
o)を有するステップと、
(i)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第2のバッファーの持続時間(t
2b)の間、流すステップと、
(j)センサーを使用してステップ(f)~(i)の間の第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上での結合を測定して、単一参照結合曲線を得るステップと、
(k)前記単一測定結合曲線と前記単一参照結合曲線を使用して速度論的パラメータを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記方法が、第1のリガンド(4)が付着している第1の試験表面(3)を含む第1のフローセル(2)、および第1のリガンドを有さない第2の試験表面(3’)を含む第2のフローセル(2’)を使用して実行され、ならびに
ステップ(a)と(f)が同時に実行され、ステップ(b)と(g)が同時に実行され、ステップ(c)と(h)が同時に実行され、ステップ(d)と(i)が同時に実行され、およびステップ(e)と(j)が同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、試験表面を含む単一のフローセルを使用して実行され、単一のフローセルの前記試験表面は、最初は第1のリガンドを有さない状態にあり、および前記試験表面が第1のリガンドを有さない状態にある間に、前記ステップ(f)~(j)が、前記単一のフローセルを使用して実行され、
前記方法がさらに、ステップ(f)~(j)を実行した後、次いで、前記の単一のフローセルの試験表面上に第1のリガンド(4)を提供するステップと、
第1のリガンドが前記の単一のフローセルの試験表面上に提供された後、次いで、前記単一のフローセルを使用してステップ(a)~(e)を実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに以下のステップ:
(a’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の被検体の持続時間(t
1a)と等しい期間(t
1B)の間、流すステップと、
(b’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1のバッファーの持続時間(t
1b)に等しい期間の間、流すステップと、
(c’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(c)の第2の被検体の持続時間(t
2a)に等しい第2の期間(t
2B)の間、流すステップと、
(d’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2のバッファーの持続時間(t
2b)に等しい
期間の間、流すステップと、
(e’)センサーを使用してステップ(a’)~(d’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク測定結合曲線を得るステップと、
(f’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の被検体の持続時間(t
1a)と等しい期間(t
1B)の間、流すステップと、
(g’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(
g)の第1の
バッファーの持続時間(t
1b
)と等しい期間の間、流すステップと、
(h’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の被検体の持続時間(t
2a)と等しい第2の期間(t
2B)の間、流すステップと、
(i’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2のバッファーの持続時間(t
2b)と等しい
期間の間、流すステップと、
(j’)センサーを使用してステップ(f’)~(i’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク参照結合曲線を得るステップと、
を含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
(a’’)屈折率標準流体の第1の体積(V
1s)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の被検体の持続時間(t
1a)と等しい期間(t
1s)の間、流すステップと、
(b’’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1のバッファーの持続時間(t
1b)に等しい期間の間、流すステップと、
(c’’)少なくとも屈折率標準流体の第2の体積(V
2s)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(c)における第2の被検体の持続時間(t
2a)に等しい第2の期間(t
2s)の間、流すステップと、
(d’’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2のバッファーの持続時間(t
2b)に等しい
期間の間、流すステップと、
(e’’)センサーを使用してステップ(a’’)~(d’’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一溶媒測定結合曲線を得るステップと、
(f’’)屈折率標準流体の第1の体積(V
1s)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の被検体の持続時間(t
1a)と等しい期間(t
1s)の間、流すステップと、
(g’’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の被検体の持続時間(t
1a)と等しい期間の間、流すステップと、
(h’’)少なくとも屈折率標準流体の第2の体積(V
2s)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の被検体の持続時間(t
2a)と等しい第2の期間(t
1s)の間、流すステップと、
(i’’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2のバッファーの持続時間(t
2b)と等しい
期間の間、流すステップと、
(j’’)センサーを使用してステップ(f’’)~(i’’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一溶媒参照結合曲線を得るステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに以下のステップ:
(a’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の被検体の持続時間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップと、
(b’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1のバッファーの持続時間(t
1b
)に等しい期間の間、流すステップと、
(c’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(c)の第2の被検体の持続時間(t
2a
)に等しい第2の期間(t
2B
)の間、流すステップと、
(d’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2のバッファーの持続時間(t
2b
)に等しい期間の間、流すステップと、
(e’)センサーを使用してステップ(a’)~(d’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク測定結合曲線を得るステップと、
(f’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の被検体の持続時間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップと、
(g’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(g)の第1のバッファーの持続時間(t
1b
)と等しい期間の間、流すステップと、
(h’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B
)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の被検体の持続時間(t
2a
)と等しい第2の期間(t
2B
)の間、流すステップと、
(i’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2のバッファーの持続時間(t
2b
)と等しい期間の間、流すステップと、
(j’)センサーを使用してステップ(f’)~(i’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク参照結合曲線を得るステップと、
を含み、
前記方法が、第1のリガンド(4)が付着している第1の試験表面(3)を含む第1のフローセル(2)、および第1のリガンドを有さない第2の試験表面(3’)を含む第2のフローセル(2’)を使用して実行され、ならびに
ステップ(a’)と(f’)が同時に実行され、ステップ(b’)と(g’)が同時に実行され、ステップ(c’)と(h’)が同時に実行され、ステップ(d’)と(i’)が同時に実行され、およびステップ(e’)と(j’)が同時に実行される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
さらに以下のステップ:
(a’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の被検体の持続時間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップと、
(b’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1のバッファーの持続時間(t
1b
)に等しい期間の間、流すステップと、
(c’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(c)の第2の被検体の持続時間(t
2a
)に等しい第2の期間(t
2B
)の間、流すステップと、
(d’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2のバッファーの持続時間(t
2b
)に等しい期間の間、流すステップと、
(e’)センサーを使用してステップ(a’)~(d’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク測定結合曲線を得るステップと、
(f’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の被検体の持続時間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップと、
(g’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(g)の第1のバッファーの持続時間(t
1b
)と等しい期間の間、流すステップと、
(h’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B
)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の被検体の持続時間(t
2a
)と等しい第2の期間(t
2B
)の間、流すステップと、
(i’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2のバッファーの持続時間(t
2b
)と等しい期間の間、流すステップと、
(j’)センサーを使用してステップ(f’)~(i’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク参照結合曲線を得るステップと、
を含み、
前記方法が、試験表面を含む単一のフローセルを使用して実行され、単一のフローセルの前記試験表面は、最初は第1のリガンドを有さない状態にあり、および試験表面が第1のリガンドを有さない状態にある間に、前記ステップ(f’)~(j’)が、前記単一のフローセルを使用して実行され、
前記方法がさらに、ステップ(f’)~(j’)を実行した後、次いで、単一のフローセルの試験表面上に第1のリガンド(4)を提供するステップと、
第1のリガンドが単一のフローセルの試験表面上に提供された後、次いで、前記単一のフローセルを使用してステップ(a’)~(e’)を実行するステップとを含む、
請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前定義された分子(つまり被検体)と標的(つまりリガンド)との間の反応の速度論的パラメータを決定するための方法、特に、前記リガンドが付着しているフローセルの試験表面に、それぞれが被検体の同じ濃度を含む複数のサンプル流体体積を順次接触させること、および前記試験表面上の結合を測定するセンサーの出力を評価して前記速度論的パラメータを決定することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬の探索および開発、環境試験、ならびに診断などの多くの用途において、多数の液体サンプルを短時間で分析することへのニーズがある。そのような分析は、光学的または音響的なラベルフリーセンサーまたはバイオセンサー、質量分析計、クロマトグラフィーシステム、および分光光度検出器を含むがこれらに限定されないシステムを使用して実行される。
【0003】
ラベルフリーの捕捉方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)または導波路に基づく光学的方法、または表面弾性波(SAW)に基づく方法、熱的方法、または電気化学的方法を含むが、これらに限定はされない。光学的方法は、生化学的分子(つまり被検体)が水溶液とは異なる屈折率を示すという原理に基づく。センサー表面近くの屈折率の変化は、分子(つまり被検体)とセンサー表面自体または表面に付着している別の分子との相互作用による、表面への分子(つまり被検体)の付加または除去に起因する。次いで、共鳴要素(SPRの場合は表面プラズモンをサポートする金属層、または導波路センサーの場合は光導波路モードをサポートする光導波路)を使用して、局所的な屈折率の変化を適切な照明および検出スキームを使用して調べることができ、分子反応イベントを測定するために変化がリアルタイムで記録される。この文脈では、これらの変化がシグナルに対応する。表面弾性波と電気化学的方法は、屈折率の違いが物理的に測定されるのではなく、質量または誘電率の違いが測定されることを除いて、同様の方法で動作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この文脈において、多くのラベルフリー測定またはラベルフリー感知技術またはラベルフリーアッセイは、1つまたは複数の「リガンド」(抗体または薬物標的などの反応物)のセンシング表面(つまり、記録されるシグナルを構成する経時的な測定値を出力する、検出スキームによって読み取られるように適合されたセンサーチップ上の増感表面)上の固体支持体への付着(固定化)を伴う。センシング表面を含む流体管は、一般にフローセルまたは流体チャンバーと呼ばれ、調べられる他の反応物(複数可)(「被検体」)を含む流体がリガンドと接触するようにされることを可能にする。それにより、被検体は、センシング表面上の固体支持体で固定化されたリガンドと反応する機会を持ち、最終的な生成物濃度が測定され、特徴付けられる。典型的な分子相互作用測定手順は、最初に表面結合リガンドを中性バッファー溶液(「バッファー」)と最初に接触させて、反応なしのベースシグナル(「ベースライン」)を確立し、続いて、表面に結合したリガンドを実際の被検体またはサンプル(抗原または薬物候補など)を含む流体と接触させて、表面に結合したリガンドが被検体またはサンプルと反応し、反応が起こる会合相を監視することができるようにし、任意選択的に、表面に結合したリガンドを中性バッファー溶液と再度接触させて、フローセルから被検体を除去することにより、被検体またはサンプルの解離相を監視することから成る。言い換えれば、被検体の濃度は、会合相を特徴付けるために段階的に増やされ、解離相を特徴付けるために段階的に再び減らされる。会合および解離相中に記録されるセンサーシグナルは典型的には、結合曲線と呼ばれる。典型的には、前述のステップは、相互作用モデルにフィッティング可能な一連の結合曲線を生成するために、いくつかの濃度の被検体に対して繰り返される。典型的には、実験の全期間中、測定値が記録されて、反応ネットワークシグナルが得られ、これを本発明によりさらに分析して、速度論的パラメータが取得され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
サンプルリザーバからフローセルに被検体を送達するための流体アセンブリは、当技術分野で周知であり、典型的には、ポンプ、バルブおよび導管を含むサンプル送達ユニットに流体的に接続されたサンプル貯蔵およびハンドリングユニット(「オートサンプラー」)を含む。さらにそれは、それらが所望の測定方法を実行するために適切なタイミングで操作されるように、前記オートサンプラーを制御するシーケンスコントローラーユニットと、サンプル送達ユニットのポンプおよびバルブを含む。サンプルリザーバは、バイアル、または複数のリザーバ用の業界標準容器(「マイクロタイタープレート」)内のいわゆる「ウェル」の形をとることができ、これは典型的には96、384、または1536個のウェルを含む。測定の前に、マイクロタイタープレートは、ユーザーまたは流体ハンドリングロボットによって適切に被検体で満たされ、次いでオートサンプラーに配置される。測定中、1つまたは複数の被検体がオートサンプラーによってマイクロタイタープレートから吸引され、次いで(1つまたは複数の)フローセル内の対応する(1つまたは複数の)センシング表面が(1つまたは複数の)被検体と接触するように、サンプル送達ユニットによって適切な1つまたは複数のフローセルに送達または注入される。サンプル送達ユニットはまた、(1つまたは複数の)フローセル内の対応する(1つまたは複数の)センシング表面がバッファーと接触して、被検体がリガンドから解離することを可能にするように、バッファーを注入することによって適切な1つまたは複数のフローセルをリンスするようにも適合される。本発明の方法実施形態による例示的な方法を実行するように適合された流体アセンブリの例示的な型は、WO2017187325に記載されている。
【0006】
物質の存在による屈折率の変化に依存するラベルフリーの捕捉方法は、バッファーとサンプルを含む流体との間の屈折率のわずかな違いなど、バルク屈折率の不一致に対してしばしば感受性である。そのような不一致は、シグナルにオフセットを引き起こし得る。そのようなシグナルから速度論的パラメータを正確に計算するためには、シグナルオフセットを速度論的パラメータと一緒に計算する必要がある。
【0007】
光導波路ベースのバイオセンサーの例示的なタイプは、Creoptix AG(ヴェーデンスヴィル、スイス)によって、商品名WAVE(登録商標)(以下、「WAVE機器」と呼ぶ)の下で販売されている。これらのバイオセンサーは、導波管干渉法ベースの質量検出技術を利用して、表面に結合したリガンドと関心のある被検体との間の「リアルタイム」センサーシグナルを提供する。WAVE機器は、密度測定値(pg/mm2)の時間的なシーケンスを出力シグナルとして生成し、密度測定値はセンサー表面の生成物の濃度に比例する。
【0008】
最近、特に創薬において薬物と薬物標的との間の相互作用を研究している製薬会社において、分子相互作用のハイスループットスクリーニングが、ますます関心を集めている。(ハイスループット)スクリーニング中に、典型的には、多数の被検体(この場合は薬物候補)が、個々のウェル内で100マイクロモルまたは100ナノモルなどの単一濃度で調製され、リガンド(この場合は薬物標的)を含むフローセルに連続的に注入される。典型的には、このようなスクリーニング環境では、注入中の所与の時間におけるセンサーシグナル値に対応する結合レベルのみが、単一の注入から評価される。未知のパラメータ間の強い相関関係のために、信頼できる速度論的パラメータを単一注入の測定から抽出することはできず、したがって、その単一注入のセンサーシグナルを相互作用モデルにフィッティングしようとする試みは、あいまいな問題をもたらす。言い換えれば、速度論的パラメータが異なる2つの被検体の単回注入の測定は、同様な結合曲線を生成し得る。対応する結合レベルが最小値と最大値の間などの特定の範囲内にあり、結合の形状が標的または表面との非特異的相互作用の兆候を示さない場合、候補被検体はヒット(hit)としてマークされる。この方法の主な欠点は、リガンドに結合する被検体が、バルク屈折率の不一致などのアーティファクトから十分に区別できないこと、また、速度論的パラメータに関する定量的情報を決定できないことである。次いで、典型的には、複数のウェルから複数の濃度を注入する方法を使用して、ヒットを連続的な測定における速度論的パラメータについて特徴付ける必要がある。複数のウェルから複数の濃度を注入する方法を使用することは、被検体のスクリーニングおよび調製の時間が増加し、オートサンプラーの貯蔵スペースが十分に利用されないため、一次スクリーニングには適合しないことが理解される。
【0009】
単一のウェルからの注入を使用して分子相互作用の速度論的および親和性パラメータを決定するための方法は、WO2009025680に記載されており、現在、モレキュラーデバイス(ダナハー)によるOneStep injectionとして販売されている。その応用については、A. M. Giannettiら、Fragment-Based Drug Discovery、S. Howard、C. Abell編(Royal Soc. Chem.、Cambridge、2015年)の第2章に詳しく説明されている。この方法は、サンプルあたりの分析時間が少なくとも30秒であるという制限を受ける。さらに、親和性の指標はしばしば決定することができるが、速度論的パラメータは確実に決定することができない。さらに、勾配プロファイルは、流路の形状と流速のみによって決定されるため、勾配プロファイルを特定の関心のある速度論的範囲に適応させることは困難である。
【0010】
被検体の連続注入を使用して分子相互作用の速度論的および親和性パラメータを決定するための方法は、WO2004109284に記載されている。この方法は、異なる濃度の被検体を提供することに依存しており、そのことが当該方法をスクリーニング用途には適さなくしている。
【0011】
分子相互作用の最も単純なモデルは、可逆反応を伴うラングミュアまたは1:1モデルである
【0012】
【0013】
ここで、被検体Aおよび固定化されたリガンドBは生成物ABと平衡に達する。反応物AおよびBは会合して生成物ABを形成し、同時に、反応物ABは解離して生成物AおよびBを形成する。したがって、A、BおよびABは同時に反応物であり、生成物である。
【0014】
数学的には、反応ネットワークは微分方程式によって記述される
【0015】
【0016】
ここで、[A]、[B]および[AB]は、A、BおよびABの濃度である。[A]と[B]が会合して生成物[AB]を形成する速度は、速度論的パラメータkaによって決定され、[AB]が解離して生成物[A]と[B]を形成する速度は、速度論的パラメータkdによって決定される。[AB]に比例する観測可能なセンサーシグナルR、および濃度[B]+[AB]の合計に比例する最大センサーシグナルRmax、および濃度c=[A]で反応を表す場合、反応は以下の微分方程式で表され得る。
【0017】
【0018】
よって、単純な分子相互作用モデルにおける関心のある速度論的パラメータは、いわゆるオンレート(on-rate)または会合速度定数kaと、いわゆるオフレート(off-rate)または解離速度定数kdである。スクリーニング用途では、速度論的空間内の関心領域は典型的には、研究者によって選択される。早期の創薬の例では、研究者は、有効な薬物候補は105M-1s-1~109M-1s-1のkaと、0.1s-1~1000s-1のkdを示すべきであると選択し得る。対照的に、抗体スクリーニングの例では、研究者は、有効な候補が104M-1s-1~107M-1s-1のkaと、10-2s-1~10-6s-1のkdを示し得ると選択し得る。典型的には、測定可能な速度論的空間は、測定可能な範囲などの機器パラメータだけでなく、接触時間や濃度などの選択された測定パラメータにも依存する。したがって、研究者は、流速や被検体の接触および解離時間などの測定パラメータを選択することによって、または選択した用途で機能することがわかっている適切な測定プロトコルを受動的に選択することによって、この関心領域を能動的に選択し得る。
【0019】
スクリーニング用途のための、よりハイスループットなシステムの例は、その操作方法がWO2017050940に記載されているBiacore(登録商標)8k機器、またはそのフローセル構成がUS7858372B2に記載されているSierra Sensors MASS-2機器を含む。言及されたいずれの機器も、表面プラズモン共鳴(SPR)の効果に基づいている。しかしながら、これらの機器は、サンプルやバッファーの使用量が多いなど、いくつかの制限を受ける。
【0020】
本発明の目的は、上記の短所の少なくともいくつかを軽減することである。本発明のいくつかの実施形態の方法は、フローセルを通して被検体の複数の異なる濃度を流す必要性を排除し、これは測定時間の短縮を有利に導くことができる。
【0021】
本発明によれば、これらの目的は、独立請求項に記載された特徴を有するアセンブリおよび/または方法によって達成される;ここで、従属請求項は、好ましい実施形態の任意の特徴を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明による方法を実行するのに適したマイクロ流体アセンブリの概略図を提供している。
【
図2】
図2は、本発明による方法を実行する際に、
図1のアセンブリのセンサーによって出力される単一測定結合曲線と単一参照結合曲線の例を示している。
【
図3】
図3は、本発明による方法を使用して得られた調整された結合曲線(実線)に最もよく近似する、速度論的パラメータRmax、ka、kdについてシミュレートされた結合曲線(破線)を示している。
【
図4】
図4は、本発明による方法を使用して得られた調整された結合曲線(実線)および対応する最もよく近似するシミュレートされた結合曲線(破線)の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例の目的でのみ与えられ、図によって示される以下の実施形態の説明の助けを借りて、本発明はよりよく理解されるであろう。
【0024】
以下の詳細な説明および例において、本発明は導波路干渉法、より具体的にはCreoptix WAVEシステムの文脈で示されているが、本発明は、この検出方法に限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、センシング表面上の固定化リガンドに被検体が結合することを定量的に示すセンシング表面での変化が測定できるという条件で、被検体がセンシング表面に固定化されたリガンドに結合する任意の親和性ベースの検出方法が使用され得る。
【0025】
好ましい実施形態では、リガンドは、フローセル内のセンサー表面に共有結合したデキストランまたはポリカルボキシレート層などの薄いヒドロゲル層内にアミンカップリングを使用して固定化され;別の好ましい実施形態では、リガンドは、固定化ニッケル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)に対するポリヒスチジンタグまたは固定化ストレプトアビジンに対するビオチンタグまたは固定化ストレプトアビジンに対するAViTag(商標)タグなどの、センサー表面に固定化された適切な捕捉結合パートナーへの適切なタグによって捕捉される。
【0026】
本発明で使用され得る典型的なリガンドは、タンパク質(例えば、抗体、アフィボディ(affibodies)、またはアプタマー)、酵素、受容体、抗原、ハプテン、ペプチド、または化学分子(例えば、薬物候補またはその断片)を含むが、これらに限定はされない。本発明で使用され得る典型的な被検体は、タンパク質および糖タンパク質(例えば、抗体またはその断片、アフィボディ、またはアプタマー)、脂質、炭水化物、酵素、受容体、抗原、ハプテン、ペプチド、または化学分子(例えば、薬物候補またはその断片、特異的または非特異的な結合剤、キレート剤または凝集化剤(aggregators))を含むが、これらに限定はされない。「抗体」という用語は、天然であるか、部分的または全体的に合成的に生成されるかを問わず、免疫グロブリンを説明する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであることができ、宿主の免疫化および血清(ポリクローナル)の回収などの当技術分野で周知の技術によって、または連続的なハイブリッド細胞株を調製して、分泌されたタンパク質(モノクローナル)を回収することによって、またはヌクレオチド配列または、少なくとも天然抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列をコードするその変異誘発バージョンをクローニングして発現させることによって、調製され得る。「抗体」という用語はまた、抗体抗原結合部位を含む任意のポリペプチドまたはタンパク質もカバーする。抗体抗原結合部位を含む抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、scFv、Fv、dAb、Fdなどの分子;およびディアボディ(diabodies)を含むが、これらに限定はされない。
【0027】
図1は、本発明を実施するためのマイクロ流体アセンブリ1の概略図を提供している。マイクロ流体アセンブリ1は、第1のリガンド4を含む第1の試験表面3を含む第1のフローセル2と、第1のリガンドを含まない第2の試験表面3’を含む第2のフローセル2’とを含む。本発明において、第2の試験表面3’は、リガンドを含まなくてよく、あるいは第2の試験表面3’はリガンドを有していてよいがそれらのリガンドは第1の試験表面3上にある第1のリガンドと同じ型ではなく、いずれの場合も、第2の試験表面3’は前記の第1のリガンドを有さないことが理解されるべきである。第1のリガンド4は、好ましくは、第1の試験表面3に共有結合したデキストラン層などの薄いヒドロゲル層内にアミンカップリングを使用して固定化され;別の好ましい実施形態では、第1のリガンド4は、第1のフローセル体積内のアガロースなどのゲルマトリックス内でヘキサヒスチジンまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼなどの適切なタグによって捕捉される。好ましくは、第1の試験表面3は、所与の(事前定義された)リガンド表面密度に対するリガンドの全量を増加させるために(例えば、第1の試験表面3上のリガンドの密度は、事前定義された密度である;したがって、第1の試験表面3の面積を増加させ、事前定義された密度に等しい密度を維持することは、第1のフローセル内のリガンドの数を増加させる)、0.1平方ミリメートルより大きい、または0.5平方ミリメートルより大きい、または1平方ミリメートルより大きい面積を有するが、これは、一例として、ヒドロゲル層の厚さ、および/またはリガンドのサイズによって制限され得る。面積は、平坦な表面の面積であっても、または表面に存在するマイクロポアの内面を含んでいてもよい。最も好ましくは、第2の試験表面3’の面積は、好ましくは第1の試験表面3の面積に等しい。
【0028】
好ましい実施形態では、マイクロ流体アセンブリ1は、第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’における変化を測定するように構成されたセンサー45(表面プラズモン共鳴センサー、または導波管干渉法センサー、または表面弾性センサーなど)をさらに含む。最も好ましくは、センサー45は、第1および第2の試験表面3、3’のそれぞれで生じる結合を測定する(つまり、サンプル流体中の被検体の、第1および第2の試験表面3、3’上のリガンドへの結合を測定する)ように構成される。第2の試験表面3’はリガンドを有さないため、第2の試験表面3’については、センサー45により、結合はほとんどまたは全く測定されないと予想することができる。センサー45は、被検体が第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合したかどうかを測定し、好ましくは、第1のフローセル2内の第1のリガンド4に結合した被検体の量を測定するように構成される。前記センサー45は、好ましくは、そのような測定を実行することができるように、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に作動可能に接続される。第1のリガンド4は、分子がリガンドの結合ポケットに適合する単純な鍵と鍵穴のメカニズムを介するか、またはコンフォメーション変化などの、より複雑な分子プロセスにより補助されて、リガンド4に対して高い親和性を有するなどの事前定義された特性を有する被検体に結合することができる。したがって、サンプル流体を第1のフローセル2の第1の試験表面3に通し、次いで、どの被検体が第1のリガンド4に結合したかを決定することにより、サンプル流体中のどの被検体が、リガンドに対して高い親和性を有するという前記事前定義された特性を有するかが決定され得る。
【0029】
マイクロ流体アセンブリ1は、第1の導管5をさらに含み、その一端は、第1のフローセル2の第1の流体ポート2aおよび第2のフローセル2’の第1の流体ポート2a’に流体的に接続され、その他方の端は、第1の選択バルブ8に流体的に接続されている。第1の選択バルブ8は、第1の導管5を第1の廃棄物リザーバ7に選択的に流体的に接続することができる。第1の廃棄物リザーバ7は、洗浄廃液などの不要な流体を受け取り、貯蔵することができる。
【0030】
第1の選択バルブ8は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である;第1の選択バルブ8がその第1の位置にある場合、第1の選択バルブ8は、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7に通過することを可能し;第1の選択バルブ8がその第2の位置にある場合、第1の選択バルブ8は閉じられており、したがって、第1の選択バルブ8を介して第1の導管5から流体が流れるのを防ぐ。
【0031】
マイクロ流体アセンブリ1は、マイクロ流体アセンブリ1の部品を洗浄するために使用され得るバッファー流体を含む第1のバッファーリザーバ9をさらに含む。この例では、第1のバッファーリザーバ9は、第1のシリンジポンプ9を含み;第1のシリンジポンプ9は、バッファー流体を含むレセプタクル9bと、レセプタクル9b中に選択的に押し込まれて第1のシリンジポンプ9からバッファー流体を放出することができるプランジャ9aとを備える。さらに、プランジャをレセプタクル9bから出る方向に動かすと、バッファー流体を第1のシリンジポンプ9内に吸引するための負圧が生じる。好ましくは、バッファー流体は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはHEPES緩衝生理食塩水(HBS)などの生理学的バッファーと、少量の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)および/またはジメチルスルホキシド(DMSO)などの添加剤を含む。
【0032】
第1のバッファーリザーバ9は、バッファー導管10によって第1の導管5に流体的に接続されている。バッファー導管10は、第1の接合部11で第1の導管5と接続する。
図1に示されるように、この例では、バッファー導管10は、第1の接合部11がT字形の接合部11となるように、第1の導管5に対して垂直に配置される;しかしながら、第1の接合部11は、任意の形状または構成をとり得ることが理解されよう。さらに、第1の接合部11は、バルブレスの接合部である(つまり、第1の接合部11にはバルブが存在しない)。この実施形態の変形例では、バルブが第1の接合部11に提供される;バルブは、第1の開位置と第2の閉位置との間で移動可能である;第1の開位置では、バルブは開いて、バッファー導管10と第1の導管5との間の流体の流れを可能にし、第2の閉位置では、バルブは閉じられており、バッファー導管10と第1の導管5との間の流体の流れを遮断する。
【0033】
マイクロ流体アセンブリ1は、第2の導管15をさらに含み、その一端は、第1のフローセル2の第2の流体ポート2bおよび第2のフローセル2’の第2の流体ポート2b’に流体的に接続されており、他方の端部は、第2の選択バルブ28に流体的に接続されている;第2の選択バルブ28は、第2の導管5を第2の廃棄物リザーバ27に選択的に流体的に接続することができる。第2の廃棄物リザーバ27は、洗浄廃液などの不要な流体を受け取り、貯蔵することができる。
【0034】
図1に示される実施形態に関して続けると、第2の選択バルブ28は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である;第2の選択バルブ28がその第1の位置にある場合、第2の選択バルブ28は、流体が第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に通過することを可能にする;第2の選択バルブ28がその第2の位置にある場合、第2の選択バルブ28は閉じられており、したがって、第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27への流体の流れを防ぐ。
【0035】
マイクロ流体アセンブリ1は、マイクロ流体アセンブリ1の部品を洗浄するために使用され得るバッファー流体を含む第2のバッファーリザーバ19をさらに含む。この例では、第2のバッファーリザーバ19は、第2のシリンジポンプ19を含む;第2のシリンジポンプ19は、バッファー流体を含むレセプタクル19bと、レセプタクル19b中に選択的に押し込まれて第2のシリンジポンプ19からバッファー流体を選択的に放出することができるプランジャ19aとを備える。さらに、プランジャ19aをレセプタクル19bから出る方向に動かすと、バッファー流体を第2のシリンジポンプ19内に吸引するための負圧が生じる。好ましくは、バッファー流体は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの生理学的バッファーを含む。
【0036】
マイクロ流体アセンブリ1は、第1のリガンド4への結合について試験されるべき被検体を含むサンプル流体を含む、サンプルリザーバ29をさらに含む。サンプルリザーバ29は好ましくは、バイアルまたはマイクロタイタープレートのウェルである。この例示的な実施形態では、サンプルリザーバ29は、x-yテーブル50上に配置されている。x-yテーブルは、サンプルリザーバ29のいずれかが選択的に中間導管51と流体接続するように(両方向矢印によって示されるように、x軸またはy軸に沿って)選択的に移動され得る。中間導管51は、好ましくはステンレス鋼またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の、サンプルリザーバから液体を吸引するように一方の開放端が適合された中空導管である。サンプル貯蔵導管は、PEEKまたはポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluorethylene)(PTFE)またはステンレス鋼製のマイクロ流体チューブ、またはポリイミド製の層状マニホールド内の導管であり得る。
【0037】
図1は、サンプルリザーバ29が中間導管51に流体的に接続される位置にあるx-yテーブルを示しており、これにより、サンプルリザーバ29が中間導管51の自由端の下に配置されるようにx-yテーブル50が配置される。
【0038】
マイクロ流体アセンブリ1は、第3の選択バルブ18をさらに含む。第3の選択バルブ18は、中間導管51に流体的に接続されており、したがって、サンプルリザーバ29は、第3の選択バルブ18に選択的に流体的に接続され得る。第3の選択バルブは、貯蔵導管30を介して、第2のシリンジポンプ19とさらに流体的に接続される。この例では、貯蔵導管30は、貯蔵導管30に貯蔵され得る流体の体積を増加させるようにコイル状の導管である。この例では、貯蔵導管30は、100マイクロリットルを超える内部容積を有する。貯蔵導管30の一端は、第2のシリンジポンプ19に流体的に接続され、貯蔵導管30の反対側の端部は、第3の選択バルブ18に流体的に接続される。
【0039】
貯蔵導管30、x-yテーブル50、第3の選択バルブ18、第2のバッファーリザーバ19(例えば、第2のシリンジポンプ19)、中間導管1、サンプルリザーバ29は、集合的にサンプル送達ユニット71を規定するとみなすことができる。
【0040】
実施形態の変形例では、サンプル送達ユニット71の代わりに(つまり、貯蔵導管30、x-yテーブル50、第2のバッファーリザーバ19、第3の選択バルブ18、中間導管1およびサンプルリザーバ29を含む構成要素群の代わりに)、例えばオートサンプラーなど、サンプル流体を装填および貯蔵するための他の適切な手段が提供されてもよい;例えば、オランダのSpark Holland製の「Alias」などのオートサンプラーモデルが、上記の構成要素群の代わりに、アセンブリ1に提供され得る。好ましくは、実施形態のこの変形例では、アセンブリは、オートサンプラーに作動可能に接続されたポンプをさらに含むであろう。
【0041】
図1に示されるアセンブリに関して続けると、第3の選択バルブ18は、サンプル導管20によって第2の導管15に流体的に接続されている。サンプル導管20は、第2の接合部21で第2の導管15と接続する。
図1に示されるように、この例では、サンプル導管20は、第2の接合部21がT字形の接合部21となるように、第2の導管15に対して垂直に配置される;しかしながら、第2の接合部21は、任意の形状または構成をとり得ることが理解されよう。この実施形態では、第2の接合部21はバルブレスである(つまり、第2の接合部21にはバルブが存在しない)。この実施形態の変形例では、バルブが第2の接合部21に提供される;バルブは、第1の開位置と第2の閉位置との間で移動可能である;第1の開位置では、バルブは開いて、サンプル導管20と第2の導管15との間の流体の流れを可能にし、第2の閉位置では、バルブは閉じられており、サンプル導管20と第2の導管15との間の流体の流れを遮断する。
【0042】
第3の選択バルブ18は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第3の選択バルブ18がその第1の位置にある場合、第3の選択バルブ18は、中間導管51を貯蔵導管30に流体的に接続する。したがって、第3の選択バルブ18がその第1の位置にあり、x-yテーブルが、中間導管51がサンプルリザーバ29に流体的に接続されるように配置されている場合、サンプルリザーバ内のサンプル流体は、導管51を通過して、第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に入ることができる。
【0043】
第3の選択バルブ18がその第2の位置にある場合、第3の選択バルブ18は、貯蔵導管30をサンプル導管20と流体的に接続する;したがって、第3の選択バルブ18がその第2の位置にある場合、流体は、貯蔵導管30から第3の選択バルブ18を介してサンプル導管20中へ、またはサンプル導管20から第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30中へと流れることができる。
【0044】
以下に詳細に説明されるように、マイクロ流体アセンブリ1を使用して、本発明の方法の実施形態による例示的な方法を実施することができる。
【0045】
ステップ(a)
試験すべきサンプル流体は、所定の濃度c0でサンプルリザーバ29に提供される。好ましくは、サンプル流体は、バッファー中で所定の濃度c0に希釈された被検体を含む。好ましくは、所定の濃度c0は、被検体とリガンド4との間で測定可能であるべき最大の予想される平衡解離定数KD,max以上である。例えば、一次薬物候補スクリーニングで結合する「ヒット」が検出されるべきであり、「ヒット」が100μM未満の平衡解離定数KD,maxで第1のリガンド4への結合を示す被検体として定義される場合、所定の濃度c0は、好ましくは100μM以上となるように選択される。異なる濃度の被検体の一連の注入を使用して被検体とリガンド4との間の相互作用の速度論的速度を決定するために、最高の被検体濃度は、最大の予想される平衡解離定数KD,maxよりも約一桁高くすべきであることが当業者に知られている。有利なことに、本発明の方法を使用して速度論的速度を測定するために、サンプル流体中の被検体の所定の濃度c0は、最大の予想される平衡解離定数KD,maxよりも一桁高い必要はない。好ましくは、本発明において、リザーバ29内に提供される前記サンプル流体中の被検体の所定の濃度c0は、c0=1×KD,max、またはc0=2×KD,max、またはc0=3×KD,maxであり、ここで、KD,maxは、最大の予想される平衡解離定数である。1×KD,maxなどの低い濃度の利点は、乏しい被検体の溶解度や被検体の凝集などの悪影響を回避できることである。3×KD,maxなどの若干高い濃度の利点は、KD,maxに近い平衡解離定数を有する相互作用について評価される速度論的速度における誤差がより小さいことである。
【0046】
最も好ましくは、マイクロ流体アセンブリ1の全ての導管、ポンプ、バルブ、ならびに第1のフローセル2および第2のフローセル2’は、残りの空気を排出し、汚染物質から流路を洗浄するためにリンスされる。これを行うために、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされ、第1の選択バルブ8が開くように第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が閉じるように第2の選択バルブ28がその第2の位置に動かされる。次いで、プランジャ19aは、第2のシリンジポンプ19からより多くのバッファー流体を押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b中に押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されたバッファー流体は、バッファー流体を貯蔵導管30およびサンプル導管20に押し込み、次いで、第2の導管15に押し込み、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に押し込み、そして第1の導管5に沿っておよび第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと押し込む。サンプル流体が流れるにつれて、それはまた、貯蔵導管30、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2、および第1の導管5中に存在する空気または汚染物質を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。次いで、第1の選択バルブ8が閉じるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が開くように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。次いで、バッファー流体が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、プランジャ9aがレセプタクル9a内に押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジポンプ9からバッファー導管10を通って第1の導管5に流れ、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に流れ、第2の導管15に流れ、そして第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0047】
この時点で、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2および第2のフローセル2’、ならびに第1の導管5、およびバッファー導管10は、全てバッファー流体で満たされている。
次いで、x-yテーブル50は、サンプルリザーバ29が中間導管51と流体的に接続するように移動される。次いで、第3の選択バルブ18は、中間導管51が第3の選択バルブを介して貯蔵導管30と流体的に接続するように、その第1の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がその第1の位置にある状態で、第2のシリンジポンプ19のプランジャ19aは、貯蔵導管30内に負圧を生成するように、レセプタクル19bから出る方向に動かされる。結果として、サンプル流体の全ピックアップ体積Vtが、サンプルリザーバ29から、中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引される。全ピックアップ体積Vtは、好ましくは10μL~500μLの間である。
【0048】
次いで、第3の選択バルブ18が貯蔵導管30とサンプル導管20とを流体的に接続するように、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされる。任意選択的に、次いで、バッファー流体を第2のシリンジポンプ19から押し出すように、プランジャ19aが第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、サンプル流体の一部を貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。第1の選択ポンプ8が閉じているため、第1のフローセル2に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、サンプル流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かって流れるのを防ぐ;さらに、第2の選択バルブ28が開くように第2の選択バルブ28がその第1の位置にあるため、サンプル流体は、サンプル導管20から第2の導管15に流れ、第2の選択バルブ28を介して第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0049】
好ましくは、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、サンプル流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを防ぐ。一部の場合、無視できる量のサンプル流体が、第1および第2のフローセル2、2’の方向に第2の導管15の一部に沿って拡散することによって移動し得る。第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かうサンプル流体の拡散を防止するか、または少なくとも最小化するために、好ましくは、サンプル流体が貯蔵導管30からサンプル導管20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れる際、第1のバッファーリザーバ9から第1および第2のフローセル2、2’を通した第2の廃棄物リザーバ27へのバッファー流体の流れが維持される。
【0050】
好ましくは、貯蔵導管30からサンプル導管20に沿ってそして第2の廃棄物リザーバ27に流れることができるサンプル流体の体積は、サンプル導管20の体積の2倍を超えるが、全ピックアップ量Vt未満である(つまり、サンプルリザーバ29から中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引されたサンプル流体の体積よりも少ない)。したがって、貯蔵導管30には、いくらかのサンプル流体が残っている。
【0051】
したがって、この段階で、好ましくは、サンプル導管20はサンプル流体でリンスされており;サンプル流体で満たされている。この段階で、好ましくは、バッファー導管10、第1および第2のフローセル2、2’は全て、バッファー流体のみを含み;一方、好ましくは、サンプル導管20は、サンプル流体のみを含む。
【0052】
以下のステップが実行される前に、また以下のステップの実行中にも、第1および第2のフローセル2、2’に取り付けられたセンサー45は、第1および第2のフローセル2、2’のそれぞれについての結合曲線を出力するように構成される。このステップ(a)中に第1のフローセル2に対してセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一測定結合曲線と呼ばれ;単一測定結合曲線は、時間の経過とともに、第1のフローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4に結合した被検体の量を表すシグナルである。このステップ(a)の間に、第2のフローセル2’についてセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一参照結合曲線と呼ばれる。第2のフローセル2’の第2の試験表面3’にはリガンドがないため、単一参照結合曲線は、結合がないことを示す定数「ゼロ」であると予測できることに留意されたい;しかしながら、実際にはそのようにならない;実際には、屈折率の寄与により、単一参照結合曲線はゼロ以外になるであろう。
【0053】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第1の体積V1を第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれるが、ここで、第1の体積V1は全ピックアップ体積Vtよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、サンプル流体の対応する第1の体積V1を貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。第1の選択バルブ8がその第2の位置にある(つまり、第1の選択バルブ8が開いている)ため、第1および第2のフローセル2、2’に存在するバッファー流体は、サンプル流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを妨げる圧力をもはや提供しない。したがって、現在サンプル導管20を通過しているサンプル流体は、第2の導管15に流れ込み、時間ts0に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、そして第1の導管5に沿って、第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。サンプル流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す(好ましくは、サンプル流体は、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管、および第2の接合部21と第1のフローセル3との間の第2の導管15の部分に存在する全てのバッファー流体を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す)。
【0054】
よって、この段階では、サンプル導管20、第2の接合部21と第1および第2のフローセル2、2’との間の第2の導管15の部分、ならびに第1の導管5は全て、サンプル流体のみを含む。有利には、第1の選択バルブ8をその第2の位置に動かす前に、サンプル流体がすでにサンプル導管20中に存在するため、これは、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされた際に、第1および第2のフローセル2、2’内のサンプル流体の濃度を迅速に増加させることを可能とする。
【0055】
第1の被検体の持続時間t1aは、サンプル流体の第1の体積V1が、第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間である。したがって、第1の被検体の持続時間t1は、(前の段落で概説したステップにおいて説明されているように)サンプル流体の第1の体積V1が第1および第2のフローセル2、2’に注入される時間の持続時間に等しく;より具体的には、一例では、これまでの段落で説明したステップを参照して、第1の被検体の持続時間t1は、前記のバッファー流体の第1の体積V1をシリンジポンプから排出するためにプランジャ19aを第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b中に押し込み始めてから、プランジャ19aを第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに押し込むのを停止するまでの間の時間として定義され得る。第1のサンプル流体体積が注入される平均流速f1aは、V1/t1aに対応する。好ましくは、t1は10ミリ秒~60分の間であり、f1は1μL/分~1mL/分の間であり、V1は0.1μL~200μLの間である。
【0056】
次に、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、(被検体を含まない)バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b中に押し込まれる。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体は、第1の導管5を通って、時間tb0に第1および第2のフローセル2、2’に同時に流れ、そして第2の導管15および第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセル2との間の第1の導管の部分に存在するサンプル流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する全てのサンプル流体を部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。バッファー流体が第1のフローセル2の第1の試験表面3を通過すると、サンプル流体の第1の体積V1に属していたかつ以前に第1のリガンド4と結合していたが第1のリガンド4から受動的に解離した被検体は、第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流される。さらに、好ましい実施形態では、バッファー流体の第1の体積V1’は、第1のリガンド4に結合している(サンプル流体の第1の体積V1に属していた)被検体を、第1のリガンド4から解離させるように構成される(つまり、解離させる組成を有する);バッファーによって第1のリガンド4から解離した被検体は、第1のフローセル2、第2の導管15を通って第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流される。
【0057】
第1のバッファーの持続時間t1bは、上記のステップにおいて、どのくらい長く、バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかであり、第1のシリンジポンプ9からバッファー流体の第1の体積V1’を排出するように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aをレセプタクル9b中に押し込み始めてから、プランジャ9aをレセプタクル9b中に押し込めるのを停止するまでの間の時間の差として定義される。バッファー流体の第1の体積V1’が注入される平均流速f1b’は、V1’/t1bに対応する。好ましくは、t1bは10ミリ秒~60分の間であり、f1’は0.1μL/分~1mL/分の間であり、V1’は1μL~200μLの間である。
【0058】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、そして好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第2の体積V2を第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b中に押し込まれるが、ここで、第2の体積V2は全ピックアップ体積Vtよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体の第2の体積V2は、貯蔵導管30に残っている対応するサンプル流体の第2の体積V2を貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。好ましい実施形態では、サンプル流体の第2の体積V2は、サンプル流体の第1の体積V1よりも大きい。第1の選択バルブ8がその第2の位置にある(つまり、第1の選択バルブ8が開いている)ため、第1フローセル2に存在するバッファー流体は、サンプル流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを妨げる圧力をもはや提供しない。したがって、現在サンプル導管20へ通過しているサンプル流体は、第2の導管15に流れ込み、時間ts1に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、そして第1の導管5に沿って、および第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。サンプル流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。サンプル流体が第1のフローセル2の第1の試験表面3上を通過すると、表面上の第1のリガンド4と結合することを可能にするために必要な事前定義された特性を有するサンプル流体に含まれる被検体が、第1のリガンド4と結合する。
【0059】
第2の被検体の持続時間t2aは、サンプル流体の第2の体積V2が第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間である。したがって、第2の被検体の持続時間t2aは、(これまでの段落で概説したステップにおいて説明されているように)サンプル流体の第2の体積V2が第1および第2のフローセル2、2’に注入される時間の持続時間に等しく;より具体的には、一例では、これまでの段落で説明したステップを参照して、第2の被検体の持続時間t2は、前記バッファーの第2の体積V2をシリンジポンプから排出するためにプランジャ19aを第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b中に押し込み始めてから、プランジャ19aを第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに押し込むのを停止するまでの間の時間の差として定義され得る。(被検体を含む)サンプル流体の第2の体積V2が注入される平均流速f2aは、V2/t2aに対応する。好ましくは、t2は10ミリ秒~60分の間であり、f2aは1μL/分~1mL/分の間であり、V1は0.1μL~200μLの間である。
【0060】
重要なことに、本発明において、第1の被検体の持続時間t1aは、第2の被検体の持続時間t2aよりも短い。重要なことに、サンプル流体の第1の体積V1中の被検体の所定の濃度c0は、サンプル流体の第2の体積V2中の被検体の所定の濃度c0と同じである。
【0061】
サンプル流体の他の体積が、サンプル流体の第1の体積V1の前、および/またはサンプル流体の第1の体積V1とサンプル流体の第2の体積V2の注入の間にフローセルに注入され得ることが理解されるべきである;言い換えれば、上記のサンプル流体の第1の体積V1およびサンプル流体の第2の体積V2は、必ずしも互いに連続している必要はない;また、それらは一連のサンプル流体体積注入において注入される第1および第2の体積を構成する必要もなく、むしろそれらは一連の注入の任意の時点で生じることができ、任意の順序で発生し得る。
【0062】
有利には、本発明において、サンプル導管20は、サンプル流体の第1の体積V1をサンプル導管20を通しておよび第1の試験表面3上に流してから、サンプル流体の第2の体積V2をサンプル導管20を通しておよび第1の試験表面3上に流すまでの間に(例えばバッファーまたは任意の他の適切なリンス剤で)リンスされる必要がない。
【0063】
次に、好ましくは、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から排出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b内に押し込まれる。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体の第2の体積V2’は、第1の導管5を通って流れ、同時に、tb1において第1および第2のフローセル2、2’を通って、第2の導管15に沿って第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセルとの間の第1の導管5の部分に存在するサンプル流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す。(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する全てのサンプル流体を第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。バッファー流体の第2の体積V2’が第1のフローセル2の第1の試験表面3上を通過すると、サンプル流体の第2の体積V2に属していた、かつ以前に第1のリガンド4と結合していたが第1のリガンド4から受動的に解離した被検体は、第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流される。さらに、好ましい実施形態では、バッファー流体の第2の体積V2’は、第1のリガンド4に結合している(サンプル流体の第2の体積V2に属していた)被検体を、それらを第1のリガンド4から解離させるように構成される(つまり、解離させるように適切な組成を有する);バッファーによって第1のリガンド4から解離した被検体は、第1のフローセル2、第2の導管15を通って第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流される。
【0064】
第2のバッファーの持続時間t2bは、上記のステップにおいて、どのくらい長く、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかであり、第1のシリンジポンプ9からバッファー流体の第2の体積V2’を排出するように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aをレセプタクル9bに押し込み始めてから、プランジャ9aをレセプタクル9bに押し込めるのを停止するまでの間の時間の差として定義される。被検体を含まない第1の流体体積が注入される平均流速f2b’は、V2’/t2b’に対応する。好ましくは、t2’は10ミリ秒~60分の間であり、f2a’は0.1μL/分~1mL/分の間であり、V2’は1μL~200μLの間である。
【0065】
前述のように、センサーは、サンプル流体の第1および第2の体積(V1、V2)ならびにバッファー流体の第1および第2の体積(V1’、V2’)が、第1および第2のフローセル2、2’を通して流される際に、第1および第2のフローセル2、2’それぞれの第1および第2の試験表面3、3’上での結合を測定する;センサー45は、単一測定結合曲線および単一参照結合曲線を出力する。
【0066】
サンプル流体の第1および第2の体積V1 V2が第1のフローセル2の第1の試験表面3上を通過すると、第1の試験表面3上の第1のリガンド4と結合することを可能にするために必要な事前定義された特性を有するサンプル流体の第1および第2の体積V1 V2に含まれる被検体が、第1のリガンド4と結合する;この結合は、センサー45によって出力される単一測定結合曲線において指し示される。センサーはまた、バッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’が、第1のフローセル2の第1の試験表面3上を通過するときに、第1のフローセル2の第1の試験表面3上での結合を測定する;好ましい実施形態では、バッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’は、第1の試験表面3上のリガンド4に結合している被検体をリガンド4から解離させるように構成される;この結合の減少は、センサー45によって出力される単一測定結合曲線において指し示される。
【0067】
第2の試験表面3’にはリガンドがないため、単一参照結合曲線は結合を指し示さない;しかしながら、単一参照結合曲線はゼロではない;単一参照結合曲線に指し示される活性はいずれも、サンプル流体の第1および第2の体積V1、V2とバッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’によって、それらが第2のフローセル2’を流れるときに引き起こされる屈折率効果によるものである。サンプル流体の第1および第2の体積V1 V2が第2のフローセル2’の第2の試験表面3’上を通過すると、サンプル流体の第1および第2の体積V1 V2によって引き起こされる屈折率が、非ゼロの単一参照結合曲線を生じさせる;サンプル流体の第1および第2の体積V1 V2の屈折率への寄与は、センサー45によって出力される単一参照結合曲線において指し示される。バッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’が第2のフローセル2’の第2の試験表面3’上を通過すると、バッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’によって引き起こされる屈折率が、非ゼロの単一参照結合曲線を生じさせる;バッファー流体の第1および第2の体積V1’、V2’の屈折率への寄与は、センサー45によって出力される単一参照結合曲線において指し示される。
【0068】
このステップ(a)においてセンサー45によって出力される単一測定結合曲線および/または単一参照結合曲線は、処理のためにセグメントに分割され得ることが理解される。
【0069】
このステップ(a)に記載された上記のステップは、対応する複数のサンプル流体体積が、第1および第2のフローセル2、2’を通過するように、複数回繰り返されてもよい。好ましい実施形態では、次いで、複数のサンプル流体体積が第1および第2のフローセル2、2’を通過するように、(被検体を含む)サンプル流体体積を注入するステップおよび(被検体を含まない)バッファー流体体積を注入するステップが、複数回繰り返される;好ましくは、これらのステップは、3回または4回または5回または6回または7回または8回または9回または10回繰り返される。(それぞれに被検体を含む)サンプル流体体積を注入するステップと、(被検体を含まない)バッファー流体体積を注入するステップを少ない回数(例えば3回繰り返す)繰り返すことの利点は、実験の合計時間が短縮されることである。これは、初期段階の薬物候補スクリーニングで遭遇される弱い結合物質(例えばuMまたはmMの範囲の親和性を有する)に特に適している。(被検体を含む)サンプル流体体積を注入するステップと(被検体を含まない)バッファー流体体積を注入するステップを多い回数(例えば5~10回)繰り返すことの利点は、より広い範囲の速度論的パラメータを決定することができること、または速度論的パラメータをより正確に決定することができることである。これは、nMまたはpMの範囲の親和性など、よりタイトな結合物質に特に適している。
【0070】
一例として、
図2は、前述のステップ(つまり、(被検体を含む)サンプル流体体積の注入および(被検体を含まない)バッファー流体体積の注入が「5」回実行された(つまり、「5」サンプル流体体積と「5」バッファー流体体積が第1および第2のフローセル2、2’を通して流された)の例示的な実施形態について、センサー45から出力された単一測定結合曲線(実線)および単一参照結合曲線(破線)の例を示している。グラフのx軸は秒単位の時間を示し、y軸はpg/mm2単位の表面質量を示している。
【0071】
示された例では、サンプル体積のそれぞれに含まれ、フローセル中のリガンド4に結合することができる被検体は、100μMの所定の濃度coのフロセミド(Sigma-Aldrich製品番号F4381)である。言い換えれば、サンプル流体体積のそれぞれは、100μMの所定の濃度coのフロセミドを含み;バッファー流体体積は被検体を有さず、つまり、バッファー流体体積はフロセミドを含んでいなかった。サンプル流体の第1の体積V1は、x=75sで注入され、第1の被検体の持続時間t1aは312.5msであり、その後にバッファー流体の第1の体積V1’が4.6875sの第1のバッファーの持続時間t1bで続き、その後にサンプル流体の第2の体積V2が625msの第2の被検体の持続時間t2aで続き、その後にバッファー流体の第2の体積V2’が4.375sの第2のバッファーの持続時間t2bで続き、その後にサンプル流体の第3の体積V3が1.25sの第3の被検体の持続時間t3aで続き、その後にバッファー流体の第3の体積V3’が3.75sの第3のバッファーの持続時間t3bで続き、その後にサンプル流体の第4の体積V4が2.5sの第4の被検体の持続時間t4aで続き、その後にバッファー流体の第4の体積V4’が2.5sの第4のバッファーの持続時間t4bで続き、その後にサンプル流体の第5の体積V5が5sの第5の被検体の持続時間t5aで続き、その後にバッファー流体の第5の体積V5’が200sの第5のバッファーの持続時間t5bで続いた(全てのデータが示されてはいない)。測定全体を通して、サンプル流体体積とバッファー流体体積の流速は80ul/分であった。
【0072】
センサー45は、任意の適切な形態をとり得ることに留意されたい。10Hzの捕捉周波数と25℃のフローセル温度で動作させたCreoptix WAVEdeltaシステムと、(その第1の試験表面3上にリガンド4を含む)第1のフローセル2を含むディスポーザブルセンサーチップ(例えば、Creoptix AGの「WAVEchip 4PCH」など)と、(その第2の試験表面3’にリガンドを有さない)第2のフローセル2’を使用して、
図2に示される単一測定結合曲線と単一参照結合曲線が取得された。Creoptix WAVEdeltaシステムは、単一のサンプルリザーバから複数回の注入ができるように、その測定プロセスが変更された。
図2に示される測定値を取得する前に、ウシ赤血球由来の炭酸脱水酵素アイソザイムII(「CAII」、Sigma-Aldrich製品番号C2522)が、第1のフローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4として、アミンカップリングを使用して、PCH WAVEchip上に固定化された(約10,400pg/mm2の密度)。第2のフローセル2’の第2の試験表面3は、リガンドなしで空のままとされた。PBSバッファー pH7.4 3%DMSOをバッファーとして使用し、つまり、バッファー流体の体積V1’~V5’の各々は、PBSバッファー pH7.4 3%DMSOを含む。
【0073】
ステップ(b)
上記のステップ(a)または以下のステップ(c)が実行された後、またはその前に、サンプルバッファー流体の体積がそれぞれ第1および第2のフローセル2、2’を通され、これらのサンプルバッファー流体の体積がそれぞれ第1および第2のフローセル2、2’を通過するときの各フローセル2、2’それぞれについての結合曲線をセンサー45が出力する。サンプルバッファー流体の体積は、ステップ(a)のサンプル流体(V1、V2)の体積と同じ速度、間隔、流速、および持続時間で第1および第2のフローセルを通される;例えば、この例では、サンプル流体の2つの体積V1、V2が、第1および第2のフローセル2、2’を通されたため、このステップ(b)においてサンプルバッファー流体の2つの体積がフローセルを通過し;サンプルバッファー流体の2つの体積を第1および第2のフローセル2、2’に注入する間隔は、サンプル流体の2つの体積V1、V2を注入する間隔に等しくなり(つまり、ts0とts1の間の間隔に等しくなる);また、サンプルバッファー流体の2つの体積を注入するための流速と期間は、ステップ(a)のサンプル流体の2つの体積V1、V2と同じになる。これらのサンプルバッファー流体体積がそれぞれ第1のフローセル2を通されるときに、センサー45が第1のフローセル2に関して出力する結合曲線は、単一ブランク測定結合曲線と呼ばれる;これらのサンプルバッファー流体体積がそれぞれ第2のフローセル2’を通されるときに、センサー45が第2のフローセルに関して出力する結合曲線は、単一ブランク参照結合曲線と呼ばれる。このステップ(b)について、次に詳しく説明する:
【0074】
サンプルバッファー流体は、サンプルリザーバ29内に提供される。サンプルリザーバ29に提供されるサンプルバッファー流体は、第1のシリンジポンプ9に提供されるバッファー流体と同じであっても、または異なっていてもよく、かつ/または、第2のシリンジポンプ19に提供されるバッファー流体と同じであっても、または異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0075】
最も好ましくは、マイクロ流体アセンブリ1の全ての導管、ポンプ、バルブ、ならびに第1のフローセル2および第2のフローセル2’は、残りの空気を排出し、汚染物質から流路を洗浄するためにリンスされる。これを行うために、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされ、第1の選択バルブ8が開くように第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が閉じるように第2の選択バルブ28がその第2の位置に動かされる。次いで、プランジャ19aは、第2のシリンジポンプ19からより多くのバッファー流体を押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、バッファー流体を貯蔵導管30およびサンプル導管20に押し込み、次いで、第2の導管15に押し込み、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に押し込み、第1の導管5に沿って第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと押し込む。バッファー流体が流れるにつれて、それはまた、貯蔵導管30、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2、および第1の導管5中に存在する空気または汚染物質を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。次いで、第1の選択バルブ8が閉じるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が開くように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。次いで、バッファー流体が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、プランジャ9aがレセプタクル9a内に押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジポンプ9からバッファー導管10を通って第1の導管5に流れ、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に流れ、第2の導管15に流れ、第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0076】
この時点で、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2および第2のフローセル2’、ならびに第1の導管5、およびバッファー導管10は、全てバッファー流体で満たされている。
【0077】
次いで、x-yテーブル50は、サンプルリザーバ29が中間導管51と流体的に接続されるように移動される。次いで、第3の選択バルブ18は、中間導管51が第3の選択バルブを介して貯蔵導管30と流体的に接続されるように、その第1の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がその第1の位置にある状態で、第2のシリンジポンプ19のプランジャ19aは、貯蔵導管30内に負圧を生成するように、レセプタクル19bから出る方向に動かされる。結果として、サンプルバッファー流体の全ピックアップ体積VBtは、サンプルリザーバ29から、中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引される。
【0078】
次いで、第3の選択バルブ18が貯蔵導管30とサンプル導管20とを流体的に接続するように、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされる。任意選択的に、次いで、バッファー流体を第2のシリンジポンプ19から押し出すように、プランジャ19aが第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、サンプルバッファー流体の一部を貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。第1の選択ポンプ8が閉じているため、第1のフローセル2に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、サンプルバッファー流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かって流れるのを防ぐ;さらに、第2の選択バルブ28が開くように第2の選択バルブ28がその第1の位置にあるため、サンプルバッファー流体は、サンプル導管20から第2の導管15に流れ、第2の選択バルブ28を介して第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0079】
好ましくは、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、サンプルバッファー流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを防ぐ。一部の場合には、無視できる量のサンプルバッファー流体が、第1および第2のフローセル2、2’の方向に第2の導管15の一部に沿って拡散することによって移動し得る。第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かうサンプルバッファー流体の拡散を防止するか、または少なくとも最小化するために、好ましくは、サンプルバッファー流体が貯蔵導管30からサンプル導管20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れる際、第1のバッファーリザーバ9から第1および第2のフローセル2、2’を通した第2の廃棄物リザーバ27へのバッファー流体の流れが維持される。
【0080】
好ましくは、貯蔵導管30からサンプル導管20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れることができるサンプルバッファー流体の体積は、サンプル導管20の体積の2倍を超えるが、全ピックアップ体積VBt未満である(つまり、サンプルリザーバ29から中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引されたサンプルバッファー流体の体積よりも少ない)。したがって、貯蔵導管30には、いくらかのサンプルバッファー流体が残っている。
【0081】
したがって、この段階で、好ましくは、サンプル導管20はサンプルバッファー流体でリンスされており;そしてサンプルバッファー流体で満たされている。この段階で、好ましくは、バッファー導管10、第1および第2のフローセル2、2’は全て、バッファー流体のみを含み;一方、好ましくは、サンプル導管20は、サンプルバッファー流体を含む。
【0082】
以下のステップが実行される前に、また以下のステップの実行中にも、第1および第2のフローセル2、2’に取り付けられたセンサー45は、第1および第2のフローセル2、2’のそれぞれについての結合曲線を出力するように構成される。このステップ(b)の間に、第1のフローセル2についてセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一ブランク測定結合曲線と呼ばれる。このステップ(b)の間に、第2のフローセル2’についてセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一ブランク参照結合曲線と呼ばれる。サンプルリザーバ29内に提供されたサンプルバッファー流体は、第1のフローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない;さらに、第2のフローセル2’の第2の試験表面3’は、リガンドを含まない。したがって、サンプルバッファー流体が第1および第2のフローセル2、2’それぞれの第1および第2の試験表面3、3’上を流れる際、第1および第2の試験表面3、3’で結合が発生しないため、単一ブランク測定結合曲線と単一ブランク参照結合曲線は、それぞれ一定の「ゼロ」になると予想されるだろう。しかしながら、実際には、単一ブランク測定結合曲線および/または単一ブランク参照結合曲線のうちの少なくとも1つは、ゼロ以外の値を含むであろう;また、単一ブランク測定結合曲線と単一ブランク参照結合曲線は、系統誤差のために互いに異なるであろう。
【0083】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、そして好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第1の体積V1Bを第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれるが、ここで、第1の体積V1Bは全ピックアップ体積VBtよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、サンプルバッファー流体の対応する第1の体積V1Bを貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。
【0084】
現在サンプル導管20を通過しているサンプルバッファー流体は、第2の導管15に流れ込み、時間tB0に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、第1の導管5に沿って、第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。サンプルバッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す(好ましくは、サンプルバッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管、および第2の接合部21と第1のフローセル3との間の第2の導管15の部分に存在する全てのバッファー流体を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す)。
【0085】
よって、この段階では、サンプル導管20、第2の接合部21と第1および第2のフローセル2、2’との間の第2の導管15の部分、ならびに第1の導管5は全て、サンプルバッファー流体のみを含む。
【0086】
サンプルバッファー流体の第1の体積V1Bは、ステップ(a)におけるサンプル流体の第1の体積V1に等しい。
【0087】
サンプルバッファー流体の第1の体積V1Bが第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の継続時間(t1B)は、ステップ(a)における第1の被検体の持続時間t1aに等しい。
【0088】
サンプルバッファー流体の第1の体積V1Bが注入される平均流速(V1B/t1b)は、ステップ(a)における第1のサンプル体積の平均流速f1aに等しい。
【0089】
次に、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b内に押し込まれる。バッファー流体の第1の体積V1’は、ステップ(a)におけるバッファー流体の第1の体積V1’に等しい。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体は、第1の導管5を通って、時間tBb0に第1および第2のフローセル2、2’に同時に流れ、第2の導管15および第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、(第1のシリンジポンプ9からの)それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセル2との間の第1の導管の部分に存在する(元々はサンプルリザーバ29からの)バッファー流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する(元々はサンプルリザーバ29からの)全てのバッファー流体を第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。
【0090】
第1のバッファーの持続時間t1bは、どのくらい長く、バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかの尺度であり;このステップ(b)の第1のバッファーの持続時間t1bは、ステップ(a)の第1のバッファーの持続時間t1bに等しい。
【0091】
このステップ(b)においてバッファー流体の第1の体積V1’が注入される平均流速(V1’/t1b)は、ステップ(a)においてバッファー流体の第1の体積V1’が注入される平均流速f1b’に等しい。
【0092】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、そして好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第2の体積V2Bを第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれるが、ここで、バッファー流体の第2の体積V2Bは全ピックアップ体積VBtよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体の第2の体積V2Bは、貯蔵導管30に残っているサンプルバッファー流体の対応する第2の体積V2Bを貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。
【0093】
第1の選択バルブ8がその第2の位置にある(つまり、第1の選択バルブ8が開いている)ため、第1フローセル2に存在するバッファー流体は、サンプルバッファー流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを妨げる圧力をもはや提供しない。したがって、現在サンプル導管20を通過しているサンプルバッファー流体の第2の体積V2Bは、第2の導管15に流れ込み、時間tB1に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、第1の導管5に沿って、第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。サンプルバッファー流体の第2の体積V2Bが流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。
【0094】
このステップ(b)においてtB0(サンプルバッファー流体の第1の体積V1Bが第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)とtB1(サンプルバッファー流体の第2の体積V2Bが第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔の持続時間は、ステップ(a)におけるts0(サンプル流体の第1の体積V1が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)とts1(サンプル流体の第2の体積V2が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)と間の時間間隔に等しい。
【0095】
このステップ(b)におけるサンプルバッファー流体の第2の体積V2Bは、ステップ(a)におけるサンプル流体の第2の体積V2に等しい。
【0096】
サンプルバッファー流体の第2の体積V2Bが第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間(t2B)は、ステップ(a)における第2の被検体の持続時間t2aに等しい。
【0097】
サンプルバッファー流体の第2の体積V2sが注入される平均流速(V2B/t2B)は、ステップ(a)における第2のサンプル体積の平均流速f2aに等しい。
【0098】
次に、好ましくは、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から排出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b内に押し込まれる。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体の第2の体積V2’は、第1の導管5を通って流れ、同時に、時間tBb1において第1および第2のフローセル2、2’へと流れ、第2の導管15に沿って第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセルとの間の第1の導管5の部分に存在するサンプルバッファー流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す。(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する全てのサンプルバッファー流体を第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。
【0099】
第2のバッファーの持続時間t2bは、どのくらい長く、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかの尺度であり;このステップ(b)の第2のバッファーの持続時間t2bは、ステップ(a)の第2のバッファーの持続時間t2bに等しい。
【0100】
このステップ(b)においてバッファー流体の第2の体積V2’が注入される平均流速(V2’/t2b)は、ステップ(a)においてバッファー流体の第2の体積V2’が注入される平均流速f2b’に等しい。
【0101】
tBb0(このステップ(c)においてバッファー流体の第1の体積V1’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)およびtBb1(このステップ(c)においてバッファー流体の第2の体積V2’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔の持続時間は、tb0(ステップ(a)においてバッファー流体の第1の体積V1’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)およびtb1(ステップ(a)においてバッファー流体の第2の体積V2’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔に等しい。
【0102】
前述のように、センサー45は、サンプルバッファー流体の第1および第2の体積(V1B、V2B)ならびにバッファー流体の第1および第2の体積(V1’、V2’)が、第1および第2のフローセル2、2’を通して流される際に、第1および第2のフローセル2、2’それぞれの第1および第2の試験表面3、3’上での結合を測定する。単一ブランク測定結合曲線は、このステップ(b)の間に、第1のフローセル2についてセンサー45によって出力される結合曲線であり;そして単一ブランク参照結合曲線は、このステップ(b)の間に、第2のフローセル2’についてセンサー45によって出力される結合曲線である。
【0103】
サンプルリザーバ29内に提供される前記サンプルバッファー流体は、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない;したがって、サンプルバッファー流体の第1および第2の体積V1B V2Bは、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない。さらに、第1および/または第2のシリンジポンプ9、19から来るバッファー流体は、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない。したがって、サンプルバッファー流体の第1および第2の体積V1B V2Bまたはバッファー流体の第1および第2の体積V1’ V2’が第1および第2のフローセル2、2’を通って流れる際、第1または第2のフローセル2、2’のいずれにも結合は生じない。このような場合、単一ブランク測定結合曲線と単一ブランク参照結合曲線のどちらも、一定の「ゼロ」のままであると予想されるであろう。しかしながら、実際には、単一ブランク測定結合曲線および/または単一ブランク参照結合曲線のうちの少なくとも1つは、ゼロ以外の値を含むであろう;また、単一ブランク測定結合曲線と単一ブランク参照結合曲線は、系統誤差のために互いに異なるであろう。
【0104】
ステップ(b)においてセンサー45によって出力される単一ブランク測定結合曲線および単一ブランク参照結合曲線は、処理のためにセグメントに分割され得ることが理解される。
【0105】
ステップ(c)
上記のステップ(a)および(b)が実行された後、またはその前に、屈折率標準流体の体積がそれぞれ第1および第2のフローセル2、2’を通され、これらの屈折率標準流体体積(およびバッファー体積)がそれぞれ第1および第2のフローセル2、2’を通過するときの各フローセル2、2’それぞれについての結合曲線をセンサー45が出力する。屈折率標準は、好ましくは、DMSOまたはグルコースなどの低分子などの添加剤を含むバッファー流体を、好ましくは0.1%v/v、または0.5%v/v、または1%v/vの濃度で含むため、屈折率標準流体の屈折率はバッファー流体とは異なる。好ましくは、屈折率標準流体における添加剤の拡散特性は、試験されるべき被検体の拡散特性に非常に類似している。好ましくは、添加剤の分子量は、測定されるべき被検体の分子量と類似している。例えば、添加剤の分子量は、試験されるべき被検体の平均分子量の範囲±20%であり得る。屈折率標準流体の体積は、サンプル流体の体積(V1、V2)と同じ速度、間隔、流速、および持続時間で第1および第2のフローセルを通され;例えば、この例では、サンプル流体の2つの体積V1、V2が第1および第2のフローセル2、2’を通されるため、このステップにおいて屈折率標準流体の2つの体積がフローセルを通過し;屈折率標準流体の2つの体積を第1および第2のフローセル2、2’に注入する間の間隔は、サンプル流体の2つの体積V1、V2を注入する間の間隔に等しくなり(つまり、ts0とts1の間の間隔に等しくなる);また、屈折率標準流体の2つの体積を注入するための流速と期間は、サンプル流体の2つの体積V1、V2と同じになる。これらの屈折率標準流体体積(およびバッファー体積)がそれぞれ第1のフローセル2を通されるときに、センサー45が第1のフローセル2に関して出力する結合曲線は、単一溶媒測定結合曲線と呼ばれ;そしてこれらの屈折率標準流体体積(およびバッファー体積)がそれぞれ第2のフローセル2’を通されるときに、センサー45が第2のフローセルに関して出力する結合曲線は、単一溶媒参照結合曲線と呼ばれる。このステップ(c)について、次に詳しく説明する:
【0106】
屈折率標準流体は、サンプルリザーバ29内に提供される。
【0107】
最も好ましくは、マイクロ流体アセンブリ1の全ての導管、ポンプ、バルブ、ならびに第1のフローセル2および第2のフローセル2’は、残りの空気を排出するため、および汚染物質から流路を洗浄するためにリンスされる。これを行うために、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされ、第1の選択バルブ8が開くように第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が閉じるように第2の選択バルブ28がその第2の位置に動かされる。次いで、プランジャ19aは、第2のシリンジポンプ19からより多くのバッファー流体を押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されたバッファー流体は、バッファー流体を貯蔵導管30およびサンプル導管20に押し込み、次いで、第2の導管15に押し込み、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に押し込み、第1の導管5に沿って第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと押し込む。屈折率標準流体が流れるにつれて、それはまた、貯蔵導管30、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2、および第1の導管5中に存在する空気または汚染物質を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。次いで、第1の選択バルブ8が閉じるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブ28が開くように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。次いで、バッファー流体が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、プランジャ9aがレセプタクル9a内に押し込まれる。バッファー流体は、第1のシリンジポンプ9からバッファー導管10を通って第1の導管5に流れ、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に流れ、第2の導管15に流れ、第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0108】
この時点で、サンプル導管20、第2の導管15、第1のフローセル2および第2のフローセル2’、ならびに第1の導管5、およびバッファー導管10は、全てバッファー流体で満たされている。
【0109】
次いで、x-yテーブル50は、サンプルリザーバ29が中間導管51と流体的に接続されるように移動される。次いで、第3の選択バルブ18は、中間導管51が第3の選択バルブを介して貯蔵導管30と流体的に接続されるように、その第1の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がその第1の位置にある状態で、第2のシリンジポンプ19のプランジャ19aは、貯蔵導管30内に負圧を生成するように、レセプタクル19bから出る方向に動かされる。結果として、屈折率標準流体の全ピックアップ体積Vstは、サンプルリザーバ29から、中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引される。
【0110】
次いで、第3の選択バルブ18が貯蔵導管30とサンプル導管20とを流体的に接続するように、第3の選択バルブ18がその第2の位置に動かされる。任意選択的に、次いで、バッファー流体を第2のシリンジポンプ19から押し出すように、プランジャ19aが第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに押し込まれる。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、屈折率標準流体の一部を貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。第1の選択ポンプ8が閉じているため、第1のフローセル2に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、屈折率標準流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かって流れるのを防ぐ;さらに、第2の選択バルブ28が開くように第2の選択バルブ28がその第1の位置にあるため、屈折率標準流体は、サンプル導管20から第2の導管15に流れ、そして第2の選択バルブ28を介して第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。
【0111】
好ましくは、第1のフローセル2および第2のフローセル2’に存在するバッファー流体によって提供される圧力は、屈折率標準流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを防ぐ。一部の場合、無視できる量の屈折率標準流体が、第1および第2のフローセル2、2’の方向に第2の導管15の一部に沿って拡散することによって移動し得る。第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に向かう屈折率標準流体の拡散を防止するか、または少なくとも最小化するために、好ましくは、屈折率標準流体が貯蔵導管30からサンプル導管20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れる際、第1のバッファーリザーバ9から第1および第2のフローセル2、2’を通した第2の廃棄物リザーバ27へのバッファー流体の流れが維持される。
【0112】
好ましくは、貯蔵導管30からサンプル導管20に沿って第2の廃棄物リザーバ27に流れることができる屈折率標準流体の体積は、サンプル導管20の体積の2倍を超えるが、全ピックアップ体積Vst未満である(つまり、サンプルリザーバ29から中間導管51に、そして第3の選択バルブ18を介して貯蔵導管30に吸引された屈折率標準流体の体積よりも少ない)。したがって、貯蔵導管30には、いくらかの屈折率標準流体が残っている。
【0113】
したがって、この段階で、好ましくは、サンプル導管20は、屈折率標準流体でリンスされており;そして屈折率標準流体で満たされている。この段階で、好ましくは、バッファー導管10、第1および第2のフローセル2、2’は全て、バッファー流体のみを含み;一方、好ましくは、サンプル導管20は、屈折率標準流体のみを含む。
【0114】
以下のステップが実行される前に、また以下のステップの実行中にも、第1および第2のフローセル2、2’に取り付けられたセンサー45は、第1および第2のフローセル2、2’のそれぞれについての結合曲線を出力するように構成される。このステップ(c)の間に、第1のフローセル2についてセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一溶媒測定結合曲線と呼ばれる。このステップ(c)の間に、第2のフローセル2’についてセンサー45によって出力される結合曲線は、以下、単一溶媒参照結合曲線と呼ばれる。第1のフローセル2’内の体積が第2のフローセル2’内の体積と異なるという事実のため(第1のフローセル内の体積の一部を占める第1のフローセル2に存在するリガンド4が存在するため)、単一溶媒測定結合曲線と単一溶媒参照結合曲線の間には違いが生じるであろう;一方、第2のフローセル2’にはリガンドが存在しない(または、第2のフローセル2’の第2の試験表面3’にリガンドがある場合、第1の試験表面3上のリガンドとは異なる型のものが存在し、また、第2の試験表面3’上に異なる量のリガンドが存在することもあり得る);第1および第2のフローセル2、2’内の体積におけるこれらの違いにより、異なるセンサー結合曲線の出力が導かれる。
【0115】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、そして好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第1の体積V1sを第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれるが、ここで、第1の体積V1sは全ピックアップ体積Vstよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体は、対応する屈折率標準流体の第1の体積V1sを貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。
【0116】
現在サンプル導管20を通過している屈折率標準流体は、第2の導管15に流れ込み、時間tr0に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、そして第1の導管5に沿って、第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。屈折率標準流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す(好ましくは、屈折率標準流体は、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管、および第2の接合部21と第1のフローセル3との間の第2の導管15の部分に存在する全てのバッファー流体を第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す)。
【0117】
よって、この段階では、サンプル導管20、第2の接合部21と第1および第2のフローセル2、2’との間の第2の導管15の部分、ならびに第1の導管5は全て、屈折率標準流体のみを含む。
【0118】
屈折率標準流体の第1の体積V1sは、ステップ(a)におけるサンプル流体の第1の体積V1に等しい。
【0119】
屈折率標準流体の第1の体積V1sが第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間(t1s)は、ステップ(a)における第1の被検体の持続時間t1aに等しい。
【0120】
屈折率標準流体の第1の体積V1sが注入される平均流速(V1s/t1a)は、ステップ(a)における第1のサンプル体積の平均流速f1aに等しい。
【0121】
次に、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、(被検体を含まない)バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から放出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b内に押し込まれる。バッファー流体の第1の体積V1’は、ステップ(a)におけるバッファー流体の第1の体積V1’に等しい。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体は、第1の導管5を通って、時間trb0に第1および第2のフローセル2、2’に同時に流れ、そして第2の導管15および第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセル2との間の第1の導管の部分に存在する屈折率標準流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する全ての屈折率標準流体を第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。
【0122】
第1のバッファーの持続時間t1bは、どのくらい長く、バッファー流体の第1の体積V1’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかの尺度であり;上記のステップの第1のバッファーの持続時間t1bは、ステップ(a)の第1のバッファーの持続時間t1bに等しい。
【0123】
このステップにおいてバッファー流体の第1の体積V1’が注入される平均流速(V1’/t1b)は、ステップ(a)においてバッファー流体の第1の体積V1’が注入される平均流速f1b’に等しい。
【0124】
次に、流体が第1の導管5から第1の廃棄物リザーバ7へと通過できるように、第1の選択バルブ8がその第1の位置に動かされ(つまり、第1の選択バルブ8が開かれる)、そして好ましくは、第2の選択バルブ28が、それが閉じられるようにその第2の位置に動かされる。第3の選択バルブ18がまだその第2の位置にある状態において、プランジャ19aは、バッファー流体の第2の体積V2sを第2のシリンジポンプ19から押し出すように、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19b内に押し込まれるが、ここで、第2の体積V2sは全ピックアップ体積Vstよりも小さい。第2のシリンジポンプ19から放出されるバッファー流体の第2の体積V2sは、貯蔵導管30に残っている屈折率標準流体の対応する第2の体積V2sを貯蔵導管30からサンプル導管20へと押し出す。
【0125】
第1の選択バルブ8がその第2の位置にある(つまり、第1の選択バルブ8が開いている)ため、第1フローセル2に存在するバッファー流体は、屈折率標準流体が第2の導管15に沿って第1および第2のフローセル2、2’に流れるのを妨げる圧力をもはや提供しない。したがって、現在サンプル導管20を通過している屈折率標準流体の第2の体積V2sは、第2の導管15に流れ込み、時間tr1に第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、第1の導管5に沿って、第1の選択バルブ8を介して第1の廃棄物リザーバ7へと流れ込む。屈折率標準流体の第2の体積V2sが流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、ならびに第1の導管5に存在するバッファー流体を少なくとも部分的に第1の廃棄物リザーバ7へと洗い流す。
【0126】
tr0(屈折率標準流体の第1の体積V1sが第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)とtr1(屈折率標準流体の第2の体積V2sが第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔の持続時間は、ステップ(a)におけるts0(サンプル流体の第1の体積V1が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)とts1(サンプル流体の第2の体積V2が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)と間の時間間隔に等しい。
【0127】
屈折率標準流体の第2の体積V2sは、ステップ(a)のサンプル流体の第2の体積V2に等しい。
【0128】
屈折率標準流体の第2の体積V2sが第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間(t2s)は、ステップ(a)における第2の被検体の持続時間t2aに等しい。
【0129】
第1の屈折率標準流体体積の第2の体積V2sが注入される平均流速(V2s/t2a)は、ステップ(a)における第1のサンプル体積の平均流速f2aに等しい。
【0130】
次に、好ましくは、第1の選択バルブ8が閉じられるように、第1の選択バルブ8がその第2の位置に動かされ、第2の選択バルブが第2の導管15から第2の廃棄物リザーバ27に流体が流れることを可能とできるように、第2の選択バルブ28がその第1の位置に動かされる。好ましくは、第3の選択バルブ18は依然としてその第2の位置にあり、プランジャ19aの位置は、第2のシリンジポンプ19のレセプタクル19bに出入りする流体の流れを防ぐように固定されている。次いで、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から排出されるように、第1のシリンジポンプ9のプランジャ9aがレセプタクル9b内に押し込まれる。第1のシリンジポンプ9から放出されたバッファー流体の第2の体積V2’は、第1の導管5を通って流れ、時間trb1において第1および第2のフローセル2、2’へと同時に流れ、第2の導管15に沿って第2の廃棄物リザーバ27へと流れる。バッファー流体が流れる際、それはまた、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11とフローセルとの間の第1の導管5の部分に存在する屈折率標準流体を少なくとも部分的に第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す(好ましくは、バッファー流体は、第1および第2のフローセル2、2’、および第2の導管15、ならびに第1の接合部11と第1および第2のフローセル2、2’との間の第1の導管の部分に存在する全ての屈折率標準流体を第2の廃棄物リザーバ27へと洗い流す)。
【0131】
第2のバッファーの持続時間t2bは、どのくらい長く、バッファー流体の第2の体積V2’が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’に注入されるかの尺度であり;上記のステップの第2のバッファーの持続時間t2bは、ステップ(a)の第2のバッファーの持続時間t2bに等しい。
【0132】
このステップにおいてバッファー流体の第2の体積V2’が注入される平均流速(V2’/t2b)は、ステップ(a)においてバッファー流体の第2の体積V2’が注入される平均流速f2b’に等しい。
【0133】
trb0(このステップ(c)においてバッファー流体の第1の体積V1’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)およびtrb1(このステップ(c)においてバッファー流体の第2の体積V2’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔の持続時間は、tb0(ステップ(a)においてバッファー流体の第1の体積V1’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)およびtb1(ステップ(a)においてバッファー流体の第2の体積V2’が第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)との間の時間間隔に等しい。
【0134】
前述のように、センサーは、屈折率標準流体の第1および第2の体積(V1s、V2s)ならびにバッファー流体の第1および第2の体積(V1’、V2’)が、第1および第2のフローセル2、2’を通して流される際に、第1および第2のフローセル2、2’それぞれの第1および第2の試験表面3、3’上での結合を測定する。単一溶媒測定結合曲線は、このステップ(c)の間に、第1のフローセル2についてセンサー45によって出力される結合曲線であり;単一溶媒参照結合曲線は、このステップ(c)の間に、第2のフローセル2’についてセンサー45によって出力される結合曲線である。前記屈折率標準流体は、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まず;したがって、屈折率標準流体の第1および第2の体積V1s V2sは、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない。さらに、バッファー流体は、第1のフローセル2の試験表面3上のリガンド4に結合し得る被検体を含まない。
【0135】
したがって、第1および第2の体積V1s V2sまたはバッファー流体の第1および第2の体積V1’ V2’が第1および第2のフローセル2、2’を通って流れる際、第1または第2のフローセル2、2’のいずれにも結合は生じない。このような場合、単一溶媒測定結合曲線と溶媒参照結合曲線のどちらも、一定の「ゼロ」のままであると予想される;しかしながら、実際にはそうならない。センサー45は屈折率の変化に敏感であり、屈折率標準流体はバッファー流体とは異なる屈折率を有するため、単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線はどちらも、ゼロ以外の値を含むであろう。重要なことに、単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線は、第1のフローセル2’内の自由体積が第2のフローセル2’内の自由体積とは異なるという事実のため(第1のフローセル内の体積の一部を占める第1のフローセル2に存在するリガンド4が存在するため)、互いに異なるものとなり;一方、第2のフローセル2’にはリガンドが存在しない(または、第2のフローセル2’の第2の試験表面3’にリガンドがある場合、第1の試験表面3のリガンドとは異なる型のものが存在し、また、第2の試験表面3’に異なる量のリガンドが存在することもあり得る);したがって、屈折率標準流体とバッファー流体の間の屈折率の差は、単一溶媒参照結合曲線におけるものとは異なる影響を単一溶媒測定結合曲線に及ぼすであろう。
【0136】
ステップ(c)においてセンサー45によって出力される単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線は、処理のためにセグメントに分割され得ることが理解される。
【0137】
重要なことに、上記のステップ(a)~(c)は、任意の順序で実行され得ることが理解されるべきである。本発明は、ステップ(a)~(c)を上記の段落に記載されている順序で実行することに限定されない。例えば、別の実施形態では、最初にステップ(c)が実行され、続いてステップ(b)が実行され、続いてステップ(a)が実行され得;別の実施形態では、最初にステップ(b)が実行され、続いてステップ(c)が実行され、続いてステップ(a)が実行され得;別の実施形態では、最初にステップ(a)が実行され、続いてステップ(b)が実行され、続いてステップ(c)が実行され得る。
【0138】
ステップ(d)
次いで、ステップ(a)から得られた単一参照結合曲線および単一測定結合曲線;およびステップ(b)から得られた単一ブランク参照結合曲線および単一ブランク測定結合曲線;およびステップ(c)から得られた単一溶媒参照結合曲線および単一溶媒測定結合曲線を処理して、調整された結合曲線を以下のようにして決定する:
【0139】
ステップ1:単一参照結合曲線を単一測定結合曲線から引いて、差分曲線を得る。
【0140】
ステップ2:単一ブランク参照結合曲線を単一ブランク測定結合曲線から引いて、ブランク差シグナルを得る。
【0141】
ステップ3:単一溶媒参照結合曲線を単一溶媒測定結合曲線から引いて、溶媒差シグナルを得る。
【0142】
ステップ4:差分曲線からゼロ化時間(zeroing time)tyでの差分曲線の平均y値を引くことにより、差分曲線がy軸に関してゼロ化(zeroed)され、その結果、ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)が得られる。好ましくは、ゼロ化時間tyは、サンプル流体V1の第1の体積を第1および第2のフローセル2、2’に通過させる前である。
【0143】
ステップ5:ブランク差シグナルからゼロ化時間tyにおけるブランク差シグナルの平均y値を引くことにより、ブランク差シグナルがy軸に関してゼロ化され、その結果、ゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)が得られる。
【0144】
ステップ6:ゼロ化時間tyでの溶媒差シグナルの平均y値を溶媒差シグナルから引くことにより、溶媒差シグナルがy軸に関してゼロ化され、その結果、ゼロ化された単一溶媒結合曲線(zssbc)が得られる。
【0145】
ステップ7(任意):次に、任意選択的に、溶媒補正が実施されるが、これには以下が含まれる:
【0146】
(i)平均溶媒差(「sdiff」)を決定する。
【0147】
一実施形態では、平均溶媒差(「sdiff」)は、以下によって決定される:溶媒時間tsでの溶媒差シグナルの平均値を決定し、ここで、溶媒時間tsでの溶媒差シグナルの平均値が、平均溶媒差(「sdiff」)である。最も好ましくは、時間tsは、第2の被検体の持続時間t2aの中間(つまり、サンプル流体の第2の体積V2が第1および第2のフローセル2、2’を通って同時に流れている時間の中間)にある時刻である。さらに、溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線の平均値が決定される(溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線dの平均値は以下、「srbc」と表示)。
【0148】
別の実施形態では、平均溶媒差(「sdiff」)は、以下によって決定される:まず、溶媒時間tsにおける単一溶媒測定結合曲線の平均値を決定する(溶媒時間tsにおける単一溶媒測定結合曲線の平均値は以下、「smbc」と表示)。次に、溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線の平均値を決定する(溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線dの平均値は以下、「srbc」と表示)。次いで、平均溶媒差(「sdiff」と表示)は、以下のようにして決定される:
sdiff=smbc-srbc
【0149】
(ii)上記のステップ(c)を複数回繰り返して、複数の異なる単一溶媒参照結合曲線および単一溶媒測定結合曲線を得;複数の異なる単一溶媒参照結合曲線および単一溶媒測定結合曲線のそれぞれについて、上記のステップ(i)を繰り返して、srbci、sdiffiのセットを生成し、平均溶媒差sdiffを、測定された全ての溶媒測定の単一溶媒参照結合曲線の平均値srbcに関連付ける。
【0150】
(iii)次いで、srbci、sdiffiのセットを通して多項式関数をフィッティングすることにより、溶媒補正関数fsを確立して、sdiff=fs(srbc)を近似する。例えば、ステップ(v)が屈折率標準流体体積の3つの異なる体積に対して繰り返される場合、srbc、sdiff値の3つの異なるセットが得られ;溶媒補正関数fsは、srbc、sdiff値のこれら3つの異なるセットにフィッティングされた近似値であり、記述される分析関係を確立する。
【0151】
(iv)溶媒補正単一結合曲線(「scsbc」と表示)は、溶媒補正関数(fs)を単一参照結合曲線(「srbc」と表示)に適用し、以下のようにして、ゼロ化単一結合曲線(zsbc)からそれを引くことによって得られる:
scsbc=zsbc-fs(srbc)
【0152】
(v)溶媒補正単一ブランク結合曲線(「scsbbc」と表示)は、溶媒補正関数(fs)を単一ブランク参照結合曲線(「sbrbc」と表示)に適用し、以下のようにして、その結果をゼロ化単一ブランク結合曲線(zsbbc)から引くことによって得られる:
scsbbc=zsbbc-fs(sbrbc)
【0153】
上記の溶媒補正ステップ(i)~(vi)は任意であることが理解されるべきである。
【0154】
ステップ8:最後に、曲線が好ましくはブランク参照されて、調整された結合曲線(「abc」と表示)が得られる:
【0155】
一実施形態では、調整された結合曲線(「abc」)は、以下のようにして、ゼロ化単一結合曲線(zsbc)からゼロ化単一ブランク結合曲線(zsbbc)を引くことによって得られる:
abc=zsbc-zsbbc
【0156】
上記の溶媒補正ステップ(i)~(vi)が実施される別の実施形態においては、調整された結合曲線は、以下のようにして、溶媒補正単一結合曲線(「scsbc」と表示)から溶媒補正単一ブランク結合曲線(「scsbbc」と表示)を引くことによって得られる:
abc=scsbc-scsbbc
【0157】
図3は、上記のステップ(a)~(d)が実行された(溶媒補正の実行を含む)後に得られた調整された結合曲線(実線)を示している。
【0158】
ステップ(e)
次いで、調整された結合曲線を使用して、会合速度定数ka、解離速度定数kdなどの速度論的パラメータを決定し、第1のフローセル2(および第2のフローセル2’)を通って流れたサンプル流体の体積中の被検体(具体的には、サンプル流体V1、V2の第1および第2の体積中に存在した)と、フローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4との相互作用を特徴付ける。
【0159】
一実施形態では、調整された結合曲線は、反応曲線を処理して速度論的パラメータを決定するための当技術分野における任意の適切な既知の手段を使用して処理され得る。
【0160】
好ましい実施形態では、速度論的パラメータkaおよびkdを決定するために、結合を説明するモデルが、調整された結合曲線にフィッティングされる。
【0161】
一実施形態では、調整された結合曲線にモデルをフィッティングさせることは、好ましくは、以下のようにして、単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)から単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)を引くことによって、調整された溶媒曲線(「asc」と表示)を決定するステップを含む:
asc=ssrbc-sbrbc
【0162】
次いで、調整された溶媒曲線は、調整された溶媒曲線からゼロ化時間tyにおける調整された溶媒曲線の平均y値を引くことにより、y軸に関してゼロ化され、その結果、ゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)が得られる。好ましくは、ゼロ化時間tyは、サンプル流体の第1の体積V1を第1および第2のフローセル2、2’に通過させる前である。
【0163】
好ましい実施形態では、次いで、ゼロ化された調整された溶媒曲線を調整された溶媒曲線の平均最大値で割って、正規化された溶媒曲線を取得し、次いで、正規化された溶媒曲線に、サンプル流体の第1および第2の体積V1、V2に含まれた被検体の所定の濃度c0を掛けることによって、単一濃度曲線が確立される(サンプル流体の各体積は、被検体の同じ所定の濃度c0を有していることを想起されたい)。好ましくは、調整された溶媒曲線の平均最大値は、溶媒時間tsにおける調整された溶媒曲線の平均値を決定することによって得られ、ここで、溶媒時間tsにおける調整された溶媒曲線の平均値が、調整された溶媒曲線の平均最大値である。
【0164】
1:1の結合モデルを想定すると、ステップ(a)における第1および第2のフローセル2、2’を通って流れたサンプル流体の体積中にあった被検体(具体的には、この例では、サンプル流体の第1および第2の体積(V1、V2)における被検体)の第1のフローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4に対する結合は、以下の微分方程式で記述され得る:
【0165】
【0166】
上記の微分方程式は、各時間ステップにおける単一濃度曲線の値を変数「c」として使用し、変数Rmaxならびにパラメータkaおよびkdの初期推定値を仮定して数値積分されて、シミュレートされた結合曲線を生成する(「sbc」と表示)。
【0167】
次いで、シミュレートされた結合曲線(「sbc」)のカイ二乗(χ2)が、以下によって決定される:
【0168】
【0169】
シミュレートされた結合曲線(「sbc」)のカイ二乗(χ2)は、シミュレートされた結合曲線(「sbc」)が調整された結合曲線(abc)にどれだけよく近似するかの尺度である。カイ二乗を最小化する、よく知られているLevenberg-Marquardtアルゴリズムなどの推定量または最適化スキームを使用することにより、調整された結合曲線(abc)を最もよく近似するパラメータRmax、ka、kdが見つかる。調整された結合曲線(abc)を最もよく近似する前記パラメータRmax、ka、kdは、第1のフローセル2を通して流されたサンプル流体の体積中の被検体(具体的には、この例では、サンプル流体の第1および第2の体積V1、V2の被検体)と、フローセル2の第1の試験表面3上のリガンド4との間の相互作用を特徴付けるパラメータRmax、ka、kdを定義する。
【0170】
図3は、調整された結合曲線(実線)を最もよく近似するパラメータRmax、ka、kd=5.89×10
-2s
-1のシミュレーション(破線)を示しており、この例では、調整された結合曲線(実線)を最もよく近似するパラメータは、Rmax=63.3pg/mm2、ka=2.66×10
4M
-1s
-1、kd=5.89×10
-2s
-1である。
【0171】
好ましくは、上記のステップ(a)~(e)は、異なる型の被検体の結合を決定し、それらの動態を測定するために、複数の異なる型のサンプル流体に対して繰り返される。
【0172】
有利には、本発明の方法を用いる全測定時間は、従来技術と比較して短く;新しいサンプルは、前のサンプルの試験が開始された短時間後に試験を開始され得;言い換えれば、サンプル流体の第1の体積が第1の試験表面3を通過したすぐ後に、サンプル流体の第2の体積が第1のフローセル2の第1の試験表面3上に通され得る。さらに、異なる型の被検体を含む異なる型のサンプル流体が、前のサンプル流体を試験した後すぐに(約5秒)試験され得る。言い換えれば、被検体のうちの1つの型を含む1つの型のサンプル流体に関して、その型の被検体の結合を決定し、動態を測定するために、上記のステップ(a)~(e)を実行したすぐ後(約5秒)に、被検体のうちの別の型を含む別の型のサンプル流体について、上記のステップ(a)~(e)を行って、当該他の型の被検体の結合を決定し、動態を測定することができる。
【0173】
本発明の方法は、1つの単一のフローセルのみを含み得るアセンブリを使用して実行されてもよいことが理解されるべきであり;この場合、ステップ(a)~(c)が、前記の1つの単一のフローセルの試験表面上にリガンドを提供する前に実行されて、ステップ(a)からの単一参照結合曲線、ステップ(b)からの単一ブランク参照結合曲線、およびステップ(c)からの単一溶媒参照結合曲線が得られる。その後、リガンドが前記の1つの単一のフローセルの試験表面上に提供され、ステップ(a)~(c)が繰り返されて、ステップ(a)から単一測定結合曲線が得られ、ステップ(b)から得られた単一ブランク測定結合曲線が得られ;ステップ(c)から単一溶媒測定結合曲線が得られる。したがって、
図1に示されるアセンブリ1の実施形態の変形例では、アセンブリは、第1および第2のフローセル2、2’を有する代わりに、代替的に単一のフローセルを含み得る。
【0174】
本発明の方法は、WO2017187325A1に記載されているアセンブリのいずれかを使用して実施され得ることが理解されるべきである。
【0175】
本発明の方法は、問題のアセンブリが被検体を含むサンプル流体の体積と(被検体を含まない)バッファー流体の体積をフローセルに連続的に注入できることを条件として、例えば、WO2014009286A1またはWO2013055281に記載されているアセンブリのいずれかなど、バイオセンシング分野で一般的に使用されるマイクロ流体アセンブリの様々な実施形態を使用して実施され得ることが理解されるべきである。
【0176】
好ましくは、本発明の方法では、第1および第2のフローセルを通されるサンプル流体体積のそれぞれは、同じ単一のサンプルリザーバ29に由来する。単一のサンプルリザーバ29は、マイクロタイタープレートのウェルであってもよい。最も好ましい実施形態では、フローセルの試験表面上を流れるサンプル流体の前記それぞれの体積の全てが、サンプル流体の任意の体積がフローセルの試験表面上を流れる前に、同じ単一のレセプタクルから吸引され;言い換えれば、サンプル流体の単一の体積が単一のレセプタクルから吸引される単一の吸引ステップがあり、これは、サンプル流体の任意の体積がフローセルの試験表面上を流される前に実行され、その後フローセルの試験表面上を流れるサンプル流体の全ては、吸引されたサンプル流体のその単一の体積に由来する。言い換えれば、フローセルの試験表面上を流れるサンプル流体の各体積は、単一のレセプタクルから吸引されたサンプル流体の単一の体積の一部である。
【0177】
本発明の方法の好ましい実施形態では、第1および第2のフローセル2、2’を通して流される(被検体を含む)サンプル流体の体積の合計ΣViは、全ピックアップ体積Vtよりも小さい。
【0178】
驚くべきことに、本発明では、(第1および第2のフローセル2、2’に流入するサンプル流体の体積の各々は全て被検体の同じ所定濃度c0を有するため)第1の試験表面2上のリガンド4は1つの共通の被検体濃度とのみ接触するにもかかわらず、会合速度定数kaおよび解離速度定数kdなどの速度論的パラメータに関する情報を、本発明の方法による測定から得ることができる。
【0179】
好ましい実施形態では、第1の被検体の持続時間t1aは、全ての被検体の持続時間tiaの中で最も短く、最後の被検体の持続時間tNaは、全ての被検体の持続時間tiaの中で最も長く、最短の時間で可能な限り最も広い速度論的空間の測定を可能とする。さらなる好ましい実施形態では、被検体の持続時間は、最初の被検体の持続時間t1aから最後の被検体の持続時間tNaまで指数関数的に増加する。例えば、サンプル流体の5体積が第1および第2のフローセル2、2’に流される実施形態では、第2の被検体の持続時間t2aは、第1の被検体の持続時間t1aの3倍の長さであり、第3の被検体の持続時間t3aは、第2の被検体の持続時間t2aの3倍の長さであり、第4の被検体の持続時間t4aは、第3の被検体の持続時間t3aの3倍の長さであり、第5の被検体の持続時間t5aは、第4の被検体の持続時間t4aの3倍の長さである。上記のステップ(a)ですでに詳細に説明したように、被検体の持続時間は、サンプル流体の体積が、第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間であり;したがって、例えば、第3の被検体の持続時間t3aは、サンプル流体の第3の体積が第1および第2のフローセル2、2’の第1および第2の試験表面3、3’上を流れる時間の持続時間である。
【0180】
さらなる好ましい実施形態では、次のサンプル流体の体積を注入する前に、第1のフローセル2のリガンド4からの被検体の解離を可能にするために、最後のバッファーの持続時間tbNは、全てのバッファーの持続時間tbiの中で最長である。ステップ(a)ですでに詳細に説明したように、バッファーの持続時間は、どのくらい長く、バッファー流体が第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’へと注入されるかであり;したがって、最後のバッファーの持続時間は、どのくらい長く、第1および第2のフローセル2、2’を通して流されるバッファー流体の最後の体積が、第1のシリンジポンプ9から第1および第2のフローセル2、2’へと注入されるかである。
【0181】
好ましい実施形態では、最後のバッファーの持続時間tbNは、約1/kd,minまたは2/kd,minまたは3/kd,minに対応し、ここで、kd,minは、特定の測定について関心のある速度論的領域内の最小の解離速度定数である。一例として、10nM~10μMの親和性範囲で結合物質を特性評価する場合、この親和性範囲の結合物質の関心領域内における最小解離定数はkd,min=1e-2s-1となるように選択でき、また、最後のバッファーの持続時間は3/kd,min=300sとなるように選択され得る。
【0182】
1pM~1nMの親和性範囲などのタイトな結合物質(「ピコモル結合物質」)に特に適したさらなる好ましい実施形態では、フローセル3、3’の試験表面2,2’は、解離を促進する再生試薬を使用するか、リガンドを除去して再捕捉するかのいずれかにより再生され、最後のバッファーの持続時間tbN’は約1/(10kd,min)または1/(20kd,min)または1/(50kd,min)に対応する。一例として、ピコモル結合物質の関心領域内の最小解離定数はkd,min=1e-5s-1となるように選択でき、また、最後のバッファーの持続時間は1/(50kd,min)=2,000sとなるように選択され得る。
【0183】
さらなる好ましい実施形態では、ステップ(a)、および/またはステップ(b)、および/またはステップ(c)においてセンサー45から出力される結合曲線が、リアルタイムで系統誤差について評価および補正される。一実施形態では、単一測定結合曲線がまだ事前定義されたベースラインに戻っていない場合、ステップ(a)の最後のバッファーの持続時間tbNが増やされる。好ましくは、ステップ(a)における最後のバッファーの持続時間tbNは、単一測定結合曲線が事前定義されたベースラインに戻るまでである。
【0184】
さらなる好ましい実施形態では、最後のバッファーの持続時間tbNは、全てのバッファーの持続時間tbiの中で最も長く、第1のバッファーの持続時間tb1は、全てのバッファーの持続時間tbiの中で2番目に長い。さらなる好ましい実施形態では、バッファーの持続時間は、最初のバッファーの持続時間tb1から最後から2番目のバッファーの持続時間tbN-1まで指数関数的に減少する。例えば、バッファー流体の「6」体積が第1および第2のフローセル2、2’に流される実施形態では、第2のバッファーの持続時間tb2は、第1のバッファーの持続時間tb1の3分の1の長さであり、第3のバッファーの持続時間tb3は、第2のバッファーの持続時間tb2の3分の1の長さであり、第4のバッファーの持続時間tb4は、第3のバッファーの持続時間tb3の3分の1の長さであり、第5のバッファーの持続時間tb5は、第4の被検体の持続時間tb4の3分の1の長さである。
【0185】
さらなる好ましい実施形態では、最短のバッファーの持続時間tbminは、約1/kd,maxまたは2/kd,maxまたは3/kd,maxに対応し、ここで、kd,maxは測定される最も速い解離に対応する最大の解離速度定数であり、例えば、結合曲線は、測定される最速のオフレートでベースラインにほぼ戻る。
【0186】
さらなる好ましい実施形態では、最短のバッファーの持続時間tminは、被検体τa’の立下がり時間にほぼ対応し、ここで、被検体τa’の立下がり時間は、バッファー流体の注入の開始から、第1のフローセル2の第1の試験表面3上の被検体の濃度が、所定の濃度c0の平均5%まで減少するまでの時間である。最も好ましい実施形態では、屈折率流体は、被検体と同様な拡散特性を有する添加剤を含み、屈折率流体の立下がり時間が被検体τa’の立下がり時間に少なくとも近いことから、これは、溶媒結合曲線を用いて被検体τa’の立下がり時間を測定することを可能とする。好ましくは、被検体τa’の立下がり時間は、時間trbN(バッファー流体の最後の体積V2’が上記のステップ(c)で第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)付近のゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)で測定される。最短のバッファーの持続時間tminの好ましい値は、例えば、tmin’=1×τa’、またはtmin’=0.75×τa’、またはtmin’=1.25×τa’、またはtmin’<2×τa’、またはtmin’<3×τa’である。これにより、可能な限り最速のオフレートが決定され得る。
【0187】
さらなる好ましい実施形態では、第1の被検体の持続時間ta1は、被検体τaの立上がり時間よりも短く、ここで、被検体τaの立上がり時間は、サンプル流体の1つの体積の注入の開始から、第1のフローセルの第1の試験表面2における被検体の濃度が所定の濃度c0の平均95%に達した時間までの時間である。最も好ましい実施形態では、屈折率流体は、被検体と同様な拡散特性を有する添加剤を含み、屈折率流体の立上がり時間が被検体τaの立上がり時間に少なくとも近いことから、これは、溶媒結合曲線を用いて被検体τaの立上がり時間を測定することを可能とする。好ましくは、被検体τaの立上がり時間は、時間trN(屈折率標準流体の最後の体積VNsが第1および第2の試験表面3、3’上を流れ始める時間)付近のゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)で測定される。最短のバッファーの持続時間tminの好ましい値は、例えば、ta1=τa/2、またはta1=τa/5、またはta1=τa/10である。これにより、センサー表面における実効濃度が下げられ、より高速なオンレートの測定が可能となる。
【0188】
さらなる好ましい実施形態では、注入シーケンスのパラメータは、速度論的空間の関心領域内の相互作用について、結合曲線の形状の差を最大化するために、モンテカルロシミュレーションなどのコンピュータシミュレーションを使用して最適化される。
【0189】
図4は、本発明による例示的な測定の結果を提供しており、これは、典型的には1μM~1mMの親和性範囲にある弱い結合物質のハイスループットスクリーニングに対する本発明の適合性を強調している。この例では、(被検体を含む)サンプル流体体積を注入し、(被検体を含まない)バッファー流体体積を注入する前述のステップが「5」回実行された(つまり、「5」サンプル流体体積と「5」バッファー流体体積が第1および第2のフローセル2、2’を通して流された)。グラフのx軸は秒単位の時間を示し、y軸はpg/mm2単位の表面質量を示している。
【0190】
図4は、6-merのオリゴヌクレオチド(5’-CAGTGC-3’;1792Da)とビオチン化34-mer(bio-34;5’-[Btn]TTTTTGGAAACTGTATTGGCACTGAGTAGACTCC-3’;11kDa)との相互作用の3回の測定に対応する3つの調整された結合曲線(実線)、および調整された結合曲線に対して速度論的パラメータを最もよくフィットさせる、対応するシミュレートされた結合曲線(破線)を示している。測定値は、Creoptix WAVEdeltaシステムを使用して、40Hzの取得周波数と15℃のフローセル温度で取得した。4つの並列フローセルで構成されるPCP-S WAVEchipを使用した。機器は、単一のサンプルリザーバから複数回の注入ができるように、その測定プロセスが変更された。記述された測定に先立ち、ビオチン化34-mer(bio-34;5’-[Btn]TTTTTGGAAACTGTATTGGCACTGAGTAGACTCC-3’;11kDa、「標的」)がフローセル2および3のセンサー表面上のリガンドとして、PCP-SWAVEchip上のストレプトアビジンに捕捉された(約300pg/mm2の密度で)。フローセル1およびフローセル4は空のままにし、参照として使用した。0.05%のTween-20を含むPBSバッファー pH7.4をバッファーとして使用した。サンプル流体の第1の体積V1が31.25msの第1の被検体の持続時間t
1aで注入され、その後にバッファー流体の第1の体積V1’が0.46875sの第1のバッファーの持続時間t
1bで続き、その後にサンプル流体の第2の体積V
2が0.625msの第2の被検体の持続時間t
2aで続き、その後にバッファー流体の第2の体積V
2’が0.4.375sの第2のバッファーの持続時間t
2bで続き、その後にサンプル流体の第3の体積V3が0.125sの第3の被検体の持続時間t
3aで続き、その後にバッファー流体の第3の体積V3’が0.375sの第3のバッファーの持続時間t
3bで続き、その後にサンプル流体の第4の体積V4が0.25sの第4の被検体の持続時間t
4aで続き、その後にバッファー流体の第4の体積V4’が0.25sの第4のバッファーの持続時間t
4bで続き、その後にサンプル流体の第5の体積V5が0.5sの第5の被検体の持続時間t
5aで続き、その後にバッファー流体の第5の体積V5’が2.5sの第5のバッファーの持続時間t
5bで続いた。
【0191】
この例では、31.25msの第1の被検体の持続時間ta1は、被検体τaの立上がり時間(時間の前後で125msと測定)よりも短く、特にta1=τa/4であり、第4のバッファーの持続時間t4bは、250msの最短のバッファーの持続時間tminであり、被検体τa’の立下がり時間(150msと測定)にほぼ対応する。
【0192】
最初に、参照の目的で、バッファーブランクを被検体として、単一のバイアルから4つ全てのフローセルに並行して、フローセルあたり100μl/分の流速でバッファーと交互に注入し、対応する単一ブランク測定結合曲線および単一ブランク参照結合曲線をセンサーによって記録した(非表示)。次いで、6-merのオリゴヌクレオチド(5’-CAGTGC-3’;1792Da)を、被検体として単一のバイアルから100μMの濃度で、4つのフローセル全てに、フローセルあたり100μl/分の流速で並行してバッファー流体と交互に3回注入し(つまり、同じ測定を3回繰り返した)、対応する単一測定結合曲線および単一参照結合曲線をセンサーで記録した。次いで、バッファーで1%濃度に希釈したDMSOを、被検体として単一のバイアルから4つのフローセル全てに、フローセルあたり100ul/分の流速で並行してバッファーと交互に注入し、対応する単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線をセンサーによって記録した(非表示)。次いで、調整された結合曲線(実線)が、単一測定結合曲線および単一参照結合曲線の各セットについて、上記のステップ(d)ステップ1~8を使用して得られた。次いで、調整された結合曲線を使用し、上記のステップ(e)を用いて、3つの調整された結合曲線のそれぞれについて、速度論的パラメータの会合速度定数kaおよび解離速度定数kdを決定した。相互作用モデルに対する3つの結合曲線のフィッティングから決定された速度論的パラメータの平均および標準偏差は、ka=5.95±0.53×104M-1s-1、kd=2.32±0.09s-1、および29.7±1.8pg/mm2のRmaxであった。
【0193】
有利なことに、上記の例では、相互作用の速度論的パラメータは、わずか5秒の合計測定時間で決定されており、スクリーニングにおいて速度論的速度を決定する際のハイスループットを可能にした。
【0194】
さらなる好ましい実施形態では、系統誤差を補償するために、ニューラルネットワークが、所与の注入シーケンスパラメータのセットに対して所与の範囲の速度論的パラメータ、所与のタイミングパラメータのセットt1、t2..tNおよびt1’、t2’..tN’および所与のストック濃度、ならびに誤差パラメータの偏差の範囲をカバーするシミュレーションデータを使用して訓練される。誤差パラメータには、有効流速、有効フローセル高さ、または有効拡散定数が含まれるが、これらに限定はされない。次いで、前記ニューラルネットワークを使用して、誤差パラメータ、ならびにオンレートおよびオフレートに関するスクリーニングからの結果が決定される。
【0195】
有利には、同じ注入シーケンス内で異なる流速で異なる注入パルスを操作することにより、物質移動効果を速度論的パラメータから区別することができる。
【0196】
有利には、本発明の方法の短い接触時間は、非特異的結合または凝集効果などによって、被検体がセンサー表面上のリガンドを損傷する可能性を低減する。
なお、本願は特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.被検体とリガンドとの間の反応の速度論的パラメータを決定するための方法であって、
(a)被検体の濃度(c
o
)を有するサンプル流体の第1の体積(V1)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、第1の期間(t
1a
)の間、前記のサンプル流体の第1の体積(V1)中の被検体が試験表面(3)上の第1のリガンド(4)に結合できるように、流すステップ;
(b)ステップ(a)の間に試験表面上の第1のリガンド(4)に結合した、サンプル流体の第1の体積(V1)からの被検体が、それらのリガンド(4)から解離するように、バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、第1の期間(t
1b
)の間、流すステップ;
(c)少なくともサンプル流体の第2の体積(V2)を、前記のサンプル流体の第2の体積(V2)中の被検体が、試験表面(3)上の第1のリガンド(4)に結合できるように、前記試験表面上に、第2の期間(t
2a
)の間、流すステップであって;第2の期間(t
2a
)は第1の期間(t
1a
)よりも長く、サンプル流体の第2の体積(V2)は、サンプル流体の第1の体積(V2)中の被検体の濃度(c
o
)と同じ被検体の濃度(c
o
)を有するステップ;
(d)ステップ(a)の間に試験表面上の第1のリガンド(4)に結合した、サンプル流体の第2の体積(V2)からの被検体が、それらの第1のリガンド(4)から解離するように、バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、第2の期間(t
2b
)の間、流すステップ;
(e)センサーを使用してステップ(a)~(d)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一測定結合曲線を得るステップ;
(f)被検体の濃度(c
o
)を有するサンプル流体の第1の体積(V1)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、第1の期間(t
1a
)の間、流すステップ;
(g)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第1の期間(t
1b
)の間、流すステップ;
(h)少なくともサンプル流体の第2の体積(V2)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第2の期間(t
2a
)の間、流すステップであって;第2の期間(t
2a
)は第1の期間(t
1a
)よりも長く、サンプル流体の第2の体積(V2)は、サンプル流体の第1の体積(V2)中の被検体の濃度(c
o
)と同じ被検体の濃度(c
o
)を有するステップ;
(i)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、第2の期間(t
2b
)の間、流すステップ;
(j)センサーを使用してステップ(f)~(i)の間の第1のリガンドを有さない試験表面(3)上での結合を測定して、単一参照結合曲線を得るステップ;
(k)前記単一測定結合曲線と前記単一参照結合曲線を使用して速度論的パラメータを決定するステップ、
を含む方法。
2.前記方法が、第1のリガンド(4)が付着している第1の試験表面(3)を含む第1のフローセル(2)、および第1のリガンドを有さない第2の試験表面(3’)を含む第2のフローセル(2’)を使用して実行され;
ステップ(a)と(f)が同時に実行され、ステップ(b)と(g)が同時に実行され、ステップ(c)と(h)が同時に実行され、ステップ(d)と(i)が同時に実行され、およびステップ(e)と(j)が同時に実行される、上記1に記載の方法。
3.前記方法が、試験表面を含む単一のフローセルを使用して実行され、単一のフローセルの前記試験表面は、最初は第1のリガンドを有さない状態にあり、および前記試験表面が第1のリガンドを有さない状態にある間に、前記ステップ(f)~(j)が、前記単一のフローセルを使用して実行され;
前記方法がさらに、ステップ(f)~(j)を実行した後、次いで、前記の単一のフローセルの試験表面上に第1のリガンド(4)を提供するステップ;
第1のリガンドが前記の単一のフローセルの試験表面上に提供された後、次いで、前記単一のフローセルを使用してステップ(a)~(e)を実行するステップを含む、上記1に記載の方法。
4.さらに以下のステップ:
(a’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップ;
(b’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1の期間(t
1b
)に等しい期間の間、流すステップ;
(c’)少なくともサンプルバッファー流体の第2の体積(V
2B
)を、試験表面上に、ステップ(c)の第2の期間(t
2a
)に等しい第2の期間(t
2B
)の間、流すステップ;
(d’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2の期間(t
2b
)に等しい第2の期間の間、流すステップ;
(e’)センサーを使用してステップ(a’)~(d’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク測定結合曲線を得るステップ;
(f’)サンプルバッファー流体の第1の体積(V
1B
)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間(t
1B
)の間、流すステップ;
(g’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3)上に、ステップ(f)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間の間、流すステップ;
(h’)少なくともサンプル流体の第2の体積(V2)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の期間(t
2a
)と等しい第2の期間(t
1B
)の間、流すステップ;
(i’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2の期間(t
2b
)と等しい第2の期間の間、流すステップ;
(j’)センサーを使用してステップ(f’)~(i’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一ブランク参照結合曲線を得るステップ、
を含む、上記1~3のいずれか一つに記載の方法。
5.(a’’)屈折率標準流体の第1の体積(V
1s
)を、第1のリガンド(4)が付着しているフローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(a)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間(t
1s
)の間、流すステップ;
(b’’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(b)の第1の期間(t
1b
)に等しい期間の間、流すステップ;
(c’’)少なくとも屈折率標準流体の第2の体積(V
2s
)を、試験表面上に、ステップ(c)における第2の期間(t
2a
)に等しい第2の期間(t
2s
)の間、流すステップ;
(d’’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、フローセル(2)の試験表面(3)上に、ステップ(d)の第2の期間(t
2b
)に等しい第2の期間の間、流すステップ;
(e’’)センサーを使用してステップ(a’’)~(d’’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一溶媒測定結合曲線を得るステップ;
(f’’)屈折率標準流体の第1の体積(V
1s
)を、第1のリガンドを有さないフローセル(2’)の試験表面(3’)上に、ステップ(f)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間(t
1s
)の間、流すステップ;
(g’’)バッファー溶液の第1の体積(V1’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3)上に、ステップ(f)の第1の期間(t
1a
)と等しい期間の間、流すステップ;
(h’’)少なくとも屈折率標準流体の第2の体積(V
2s
)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(h)の第2の期間(t
2a
)と等しい第2の期間(t
1s
)の間、流すステップ;
(i’’)バッファー溶液の第2の体積(V2’)を、第1のリガンドを有さない試験表面(3’)上に、ステップ(i)の第2の期間(t
2b
)と等しい第2の期間の間、流すステップ;
(j’’)センサーを使用してステップ(f’’)~(i’’)の間の試験表面(3)上での結合を測定して、単一溶媒参照結合曲線を得るステップ、
をさらに含む、上記4に記載の方法。
6.ステップ(k)が、
単一測定結合曲線(smbc)から単一参照結合曲線(srbc)を引いて、差分曲線を提供するステップ;
単一ブランク測定結合曲線(sbmbc)から単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)を引いて、ブランク差シグナルを提供するステップ;
差分曲線からゼロ化時間tyでの差分曲線の平均y値を引くことにより、差分曲線をy軸に関してゼロ化して、ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)を提供するステップ;
ブランク差シグナルからゼロ化時間tyでのブランク差シグナルの平均y値を引くことにより、ブランク差シグナルをy軸に関してゼロ化して、ゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)を提供するステップ;
ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)からゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)を引いて、調整された結合曲線(abc)を提供するステップ;
前記の調整された結合曲線を使用して前記速度論的パラメータを決定するステップ、
を含む、上記5に記載の方法。
7.ステップ(k)が、
単一測定結合曲線(smbc)から単一参照結合曲線(srbc)を引いて、差分曲線を提供するステップ;
単一ブランク測定結合曲線(sbmbc)から単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)を引いて、ブランク差シグナルを提供するステップ;
単一溶媒測定結合曲線(ssmbc)から単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)を引いて、溶媒差シグナルを提供するステップ;
差分曲線からゼロ化時間tyでの差分曲線の平均y値を引くことにより、差分曲線をy軸に関してゼロ化して、ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)を提供するステップ;
ブランク差シグナルからゼロ化時間tyでのブランク差シグナルの平均y値を引くことにより、ブランク差シグナルをy軸に関してゼロ化して、ゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)を提供するステップ;
溶媒差シグナルからゼロ化時間tyでの溶媒差シグナルの平均y値を引くことにより、溶媒差シグナルをy軸に関してゼロ化し、ゼロ化された単一溶媒結合曲線(zssbc)を生成するステップ;
溶媒補正単一ブランク結合曲線(「scsbbc」)および溶媒補正単一結合曲線(「scsbc」)を提供するように溶媒補正を実行するステップ;
溶媒補正単一結合曲線(「scsbc」)から溶媒補正単一ブランク結合曲線(「scsbbc」)を引いて、調整された結合曲線(abc)を提供するステップ;
前記の調整された結合曲線を使用して前記速度論的パラメータを決定するステップ、
を含む、上記5に記載の方法。
8.前記溶媒補正が、
(i)最初に、単一溶媒測定結合曲線(ssmbc)から単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)を引くことによって溶媒差分曲線(「sdc」)を決定し;次いで、溶媒時間tsにおける溶媒差分曲線の平均値を決定することによって、平均溶媒差(「sdiff」)を決定するステップであって、溶媒時間tsにおける溶媒差分曲線の平均値が平均溶媒差(「sdiff」)である、ステップ;
(ii)溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線(srbc)の平均値を決定するステップ;
(iii)上記5のステップを繰り返して、複数の異なる単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線を提供し;前記複数の異なる単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線のそれぞれについて、ステップ(i)および(ii)を繰り返して、単一溶媒参照結合曲線の平均値(srbc
i
)を含むセットおよび平均溶媒差(sdiff
i
)のセットを生成する、ステップ;
(iv)前記セットを介してsdiff=fs(srbc)を近似するように多項式関数をフィッティングすることにより、溶媒補正関数(fs)を決定するステップ;
(v)溶媒補正関数(fs)を単一参照結合曲線(srbc)に適用し、下式の通り、ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)からそれを引くことにより、溶媒補正単一結合曲線(scsbc)を得るステップ:
scsbc=zsbc-fs(srbc);
(vi)溶媒補正関数(fs)を単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)に適用し、下式の通り、その結果をゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)から引くことにより、溶媒補正単一ブランク結合曲線(scsbbc)を得るステップ:
scsbbc=zsbbc-fs(sbrbc)
を含む、上記7に記載の方法。
9.前記溶媒補正が、
(i)溶媒時間tsにおける単一溶媒測定結合曲線(「smbc」)の平均値を決定するステップ;
(ii)溶媒時間tsにおける単一溶媒参照結合曲線(「srbc」)の平均値を決定するステップ;
(iii)以下の式に従って、単一溶媒測定結合曲線(「smbc」)の平均値から単一溶媒参照結合曲線(「srbc」)の平均値を引くことにより、平均溶媒差(「sdiff」)を決定するステップ:
sdiff=smbc-srbc
(iv)上記5のステップを繰り返して、複数の異なる単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線を提供し;前記複数の異なる単一溶媒測定結合曲線および単一溶媒参照結合曲線のそれぞれについて、ステップ(i)~(iii)を繰り返して、単一溶媒参照結合曲線の平均値(srbc
i
)を含むセットおよび平均溶媒差(sdiff
i
)のセットを生成する、ステップ;
(v)前記セットを介してsdiff=fs(srbc)を近似するように多項式関数をフィッティングすることにより、溶媒補正関数(fs)を決定するステップ;
(vi)溶媒補正関数(fs)を単一参照結合曲線(srbc)に適用し、下式の通り、ゼロ化された単一結合曲線(zsbc)からそれを引くことにより、溶媒補正単一結合曲線(scsbc)を得るステップ:
scsbc=zsbc-fs(srbc);
(vii)溶媒補正関数(fs)を単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)に適用し、下式の通り、その結果をゼロ化された単一ブランク結合曲線(zsbbc)から引くことにより、溶媒補正単一ブランク結合曲線(scsbbc)を得るステップ:
scsbbc=zsbbc-fs(sbrbc)
を含む、上記7に記載の方法。
10.溶媒補正関数(fs)を単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)に適用し、下式の通り、その結果をゼロ化された単一溶媒結合曲線(zssbc)から引くことにより、溶媒補正単一溶媒結合曲線(scssbc)を得るステップ:
scssbc=zssbc-fs(ssrbc)
をさらに含む、上記8または9に記載の方法。
11.調整された結合曲線を使用して前記速度論的パラメータを決定するステップが、調整結合曲線にモデルをフィッティングさせるステップであって、調整結合曲線に最もよくフィットするモデルの速度論的パラメータが、サンプル流体の第1および第2の体積(V1、V2)中の被検体と、第1のフローセルの第1の試験表面上の第1のリガンドとの間の反応の前記速度論的パラメータとして採用されるステップを含む、上記6~10のいずれか一つに記載の方法。
12.上記7~10のいずれか一つに従属する場合、調整された結合曲線にモデルをフィッティングさせる前記ステップが、
単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)から単一ブランク参照結合曲線(sbrbc)を引くことにより、調整された溶媒曲線(asc)を決定し;ブランク差シグナルからゼロ化時間tyでの調整された溶媒曲線(asc)の平均y値を引くことにより、調整された溶媒曲線(asc)をy軸に関してゼロ化して、ゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)を提供するステップ;
ゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)をゼロ化された調整された溶媒曲線(zasc)の平均最大値で割って、正規化された溶媒曲線を得、正規化された溶媒曲線に、サンプル流体体積の第1および第2の体積(V1、V2)中に存在した被検体の濃度c
0
を掛けることにより、単一濃度曲線を決定するステップ;
単一濃度曲線を変数「c」として使用し、変数Rmaxならびにパラメータkaおよびkdの初期推定値を仮定して、微分方程式を積分して、シミュレートされた結合曲線(sbc)を生成するステップ:
【数6】
シミュレートされた結合曲線(sbc)のカイ二乗(χ
2
)を決定するステップ;
カイ二乗(χ
2
)を最小化して、調整結合曲線に最もよくフィットするシミュレートされた結合曲線を見つけるステップであって;調整結合曲線に最もよくフィットするシミュレートされた結合曲線の速度論的パラメータが、被検体と第1のリガンドとの間の前記反応の前記速度論的パラメータとして採用されるステップ、
を含む、上記11に記載の方法。
13.上記6に従属する場合、調整結合曲線にモデルをフィッティングさせる前記ステップが、
単一溶媒参照結合曲線(ssrbc)を変数「c」として使用し、変数Rmaxならびにパラメータkaおよびkdの初期推定値を仮定して、微分方程式を積分して、シミュレートされた結合曲線(sbc)を生成するステップ:
【数7】
シミュレートされた結合曲線(sbc)のカイ二乗(χ
2
)を決定するステップ;
カイ二乗(χ
2
)を最小化して、調整結合曲線に最もよくフィットするシミュレートされた結合曲線を見つけるステップであって;調整結合曲線に最もよくフィットするシミュレートされた結合曲線の速度論的パラメータが、サンプル流体の第1および第2の体積(V1、V2)中の被検体と、第1のフローセルの第1の試験表面上の第1のリガンドとの間の前記反応の前記速度論的パラメータとして採用されるステップ
を含む、上記11に記載の方法。
14.前記方法が、第1のリガンド(4)が付着している第1の試験表面(3)を含む第1のフローセル(2)、および第1のリガンドを有さない第2の試験表面(3’)を含む第2のフローセル(2’)を使用して実行され;
ステップ(a’)と(f’)が同時に実行され、ステップ(b’)と(g’)が同時に実行され、ステップ(c’)と(h’)が同時に実行され、ステップ(d’)と(i’)が同時に実行され、およびステップ(e’)と(j’)が同時に実行される、
上記4に記載の方法。
15.前記方法が、試験表面を含む単一のフローセルを使用して実行され、単一のフローセルの前記試験表面は、最初は第1のリガンドを有さない状態にあり、および試験表面が第1のリガンドを有さない状態にある間に、前記ステップ(f’)~(j’)が、前記単一のフローセルを使用して実行され;
前記方法がさらに、ステップ(f’)~(j’)を実行した後、次いで、単一のフローセルの試験表面上に第1のリガンド(4)を提供するステップ;
第1のリガンドが単一のフローセルの試験表面上に提供された後、次いで、前記単一のフローセルを使用してステップ(a’)~(e’)を実行するステップを含む、
上記4に記載の方法。
16.前記方法が、第1のリガンド(4)が付着している第1の試験表面(3)を含む第1のフローセル(2)、および第1のリガンドを有さない第2の試験表面(3’)を含む第2のフローセル(2’)を使用して実行され;
ステップ(a’’)と(f’’)が同時に実行され、ステップ(b’’)と(g’’)が同時に実行され、ステップ(c’’)と(h’’)が同時に実行され、ステップ(d’’)と(i’’)が同時に実行され、およびステップ(e’’)と(j’’)が同時に実行される、
上記5に記載の方法。
17.前記方法が、試験表面を含む単一のフローセルを使用して実行され、単一のフローセルの前記試験表面は、最初は第1のリガンドを有さない状態にあり、試験表面が第1のリガンドを有さない状態にある間に、前記ステップ(f’’)~(j’’)が、前記単一のフローセルを使用して実行され;
前記方法がさらに、ステップ(f’’)~(j’’)を実行した後、引き続き、単一のフローセルの試験表面上に第1のリガンド(4)を提供するステップ;
第1のリガンドが単一のフローセルの試験表面上に提供された後、引き続き、前記単一のフローセルを使用してステップ(a’’)~(e’’)を実行するステップを含む、
上記5に記載の方法。
18.フローセルの試験表面上を流されるサンプル流体の前記各体積のそれぞれが、同じ単一のレセプタクルから吸引される、上記1~17のいずれか一つに記載の方法。
19.ステップ(a)~(k)が実行される前に、フローセルの試験表面上を流されるサンプル流体の前記各体積の全てが、同じ単一のレセプタクルから吸引される、上記1~18のいずれか一つに記載の方法。
20.フローセルの試験表面上に、全て被検体の同じ濃度(c
o
)を有する、サンプル流体の複数の体積を流すステップを含み;サンプル流体の各体積がフローセルの試験表面上を流れる持続時間が、サンプル流体の1つの体積から次の体積までに増加する、上記1~19のいずれか一つに記載の方法。
21.サンプル流体の複数の体積のうち最初のものがフローセルの試験表面上を流される時間の持続時間が最も短い持続時間となり、サンプル流体の複数の体積のうちの最後のものがフローセルの試験表面上を流される時間の持続時間が最も長い持続時間となるように、サンプル流体の各体積がフローセルの試験表面上を流れる持続時間が、サンプル流体の1つの体積から次の体積までに増加する、上記20に記載の方法。
22.サンプル流体の各体積がフローセルの試験表面上を流れる持続時間が、サンプル流体の1つの体積から次の体積までに指数関数的に増加する、上記20または21に記載の方法。
23.サンプル流体のそれぞれの各体積がフローセルの試験表面上を流れた後、フローセルの試験表面上にバッファー溶液の1つの体積を流すことが、フローセルの試験表面上にサンプル流体の前記各体積が流される間に試験表面上の第1のリガンドに結合した被検体が、それら第1のリガンドから解離することを引き起こし、ただし、バッファー溶液の第1の体積がフローセルの試験表面上を流される持続時間が最も短い持続時間となり、バッファー溶液の最後の体積がフローセルの試験表面上を流される持続時間が最も長い持続時間となるように、バッファー溶液の各体積が試験表面上を流れる持続時間が、バッファー溶液の1つの体積から次の体積までに増加する、上記20~22のいずれか一つに記載の方法。
24.バッファー溶液の1つの体積が試験表面上を流れる最も短い持続時間が、被検体τ
a
’の立下がり時間の3倍よりも短く、被検体τ
a
’の立下がり時間は、バッファー溶液の前記体積の注入を開始してから、フローセルの試験表面における被検体の濃度が、サンプル流体の1つの体積中の被検体の濃度の5%以下である平均濃度に低下した時間までの時間である、上記23に記載の方法。
25.単一測定結合曲線が、第1のリガンドに結合した被検体の量が、事前定義された閾値を下回ることを指し示すかどうかを同定するステップ;ならびに、第1のリガンドに結合した被検体の量が、事前定義された閾値を下回らない場合、単一測定結合曲線が、第1のリガンドに結合した被検体の量が事前定義された閾値を下回ることを指し示すまで、バッファー溶液の最後の体積がフローセルの試験表面上を流される持続時間を増やすステップをさらに含む、上記1~24のいずれか一つに記載の方法。
26.サンプル流体の第1の体積が試験表面上を流される前記第1の期間が被検体τ
a
の立上がり時間よりも短く、被検体τ
a
の立上がり時間は、被検体のフローセルへの注入の開始から、フローセルの試験表面における被検体の濃度が、サンプル流体の第1の体積中の被検体の濃度の95%以上である平均濃度に達した時間までの時間である、上記1~25のいずれか一つに記載の方法。