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特許7509804照明器具、吊り下げ手段、及び照明器具を吊り下げ、それぞれ取り外す方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】照明器具、吊り下げ手段、及び照明器具を吊り下げ、それぞれ取り外す方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/00 20060101AFI20240625BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
F21V21/00 140
F21S8/04 110
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021571650
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020064870
(87)【国際公開番号】W WO2020245029
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】19177837.2
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヒーレン ヴィンセント ステファン ダビッド
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053180(JP,A)
【文献】特開2016-046168(JP,A)
【文献】特開2016-213095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00
F21S 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
各スピンドルは、それぞれのスピンドル軸を有し、前記スピンドル軸は、相互に本質的に平行に延び、オフセットOによって相互にオフセットされる、吊り下げ手段。
【請求項2】
記オフセットOは、前記弾性ワイヤの断面径Dwのn倍であり、2<=n<=15、好ましくは、3<=n<=12、最も好ましくは、5<=n<=10である、請求項に記載の吊り下げ手段。
【請求項3】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
前記フックは、本質的に二次元体の形状である吊り下げ手段。
【請求項4】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
各スピンドルは、それぞれのスピンドル軸を有し、前記スピンドル軸は、5°<=α<=30°、好ましくは、7°<=α<=25°、最も好ましくは、10°<=α<=20°の範囲のずれ角度αで相互に角度を付けられる吊り下げ手段。
【請求項5】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
各スピンドルの前記長さLsは、前記弾性ワイヤの断面径Dwのm倍であり、2≦m≦15、好ましくは、3≦m≦12、最も好ましくは、5≦m≦10である吊り下げ手段。
【請求項6】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
前記チャネル要素は各々、長さLcを有するそれぞれのチャネルを有し、Lc>=0.6*Lsである吊り下げ手段。
【請求項7】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされていて、
各スピンドルの少なくとも70%、好ましくは、少なくとも85%が、それぞれの、関連するチャネル要素内で延びている吊り下げ手段。
【請求項8】
前記ループ部分は、ブリッジ部分と、同じ方向に延びる2つの実質的に平行な脚部分とを有し、前記ブリッジ部分は、2つのブリッジ端部を有し、各脚部分は、それぞれの第2の脚端部において、前記スピンドルとしてそれぞれの端部部分を有し、前記2つの脚部分は、それぞれの第1の脚端部によってそれぞれのブリッジ端部に接続される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吊り下げ手段。
【請求項9】
少なくとも1つの脚部分は、キンク、突出、窪み、及び段差からなる群から選択されるプロファイル構造部分を有する、請求項に記載の吊り下げ手段。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の吊り下げ手段と、上壁を有するハウジングとを含む、照明器具。
【請求項11】
前記上壁は、前記チャネル要素が設けられる主平坦面を有し、比較的低い張力状態の前記第1の回転位置において、前記フックの前記ループ部分は、前記平坦面に対して本質的に平行に延びる、請求項10に記載の照明器具。
【請求項12】
前記チャネル要素は、ベース要素と一体であり、前記ベース要素は、前記上壁に取り付けられる、請求項10又は11に記載の照明器具。
【請求項13】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされている、吊り下げ手段と、上壁を有するハウジングとを含む、照明器具であって、前記チャネル要素は、当該照明器具の上壁と一体的に形成されている照明器具。
【請求項14】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされている、吊り下げ手段と、上壁を有するハウジングとを含む、照明器具を吊り下げる方法であって、当該方法は、
少なくとも2つのフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップと、
各ループ部分を関連するそれぞれの支持体に架けるステップと、
前記照明器具を電力手段に電気的に接続するステップと、
前記フックを比較的低い張力状態にあるそれぞれの第1の回転位置とするために前記支持体に向けて前記照明器具を押すステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
照明器具で使用するのに適した吊り下げ手段であって、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとフィットするように収容され、
前記スピンドル及び/又は前記チャネルは、前記フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、前記フックが前記第1の回転位置を取るべく回転するように付勢されるように前記回転軸に対して相互にずらされている、吊り下げ手段と、上壁を有するハウジングとを含む、照明器具を取り外す方法であって、当該方法は、
前記照明器具の第1の端部をそれぞれの支持体に向けて押すステップと、
前記照明器具の第2の端部をそれぞれの支持体から引き離す一方、前記第1の端部をそれぞれの支持体から引き離すステップと、
両方のフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップと、
サービス又はさらなる取り外し作業を行うステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。本発明はさらに、照明器具に使用するのに適した吊り下げ手段(suspension means)に関する。また、本発明はさらに、前記照明器具を吊り下げる(suspend)及び取り外す(demount)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業オフィス及び工業空間に都合のよいアンビエント照明を提供する照明器具は、吊り又は落天井(false or dropped ceiling)によく用いられ、典型的にはトロファ照明照明器具(troffer lighting luminaire)と呼ばれる。このようなトロファ照明器具の一例は、US20150267873A1に開示されている。多くの設備において、これらの照明器具は、照明器具の長さにわたる1つ以上の直線状又はU字状の蛍光ランプ又はTLEDを含む。これらのトロファ照明器具は、吊り天井のライトタイル及び/又はライトラインを構築するためのモジュラ照明器具として使用されることがよくある。通常、これらのモジュラ照明器具は、隣のモジュラ照明器具及び/又は隣の吊り天井タイルによって密閉される。
【0003】
これらの照明器具の老朽化に伴い、照明器具のサービス(servicing)、すなわち、アップグレード、メンテナンス、最終的には交換の必要性又は要望が増す。しかしながら、トロファ照明器具の電子部品及びランプのサービスは、多くの場合、照明器具の凹部へのアクセスが必要となるため、費用がかかり時間もかかることがよくある。既知の照明器具への前記アクセスは、典型的には、脱着可能又は回動可能なドアフレームを備える照明器具の吊り下げ構造を介するため、サービスが比較的困難であるという不利な点を伴う。このような既知の吊り下げ構造を有する照明器具は、照明器具の電子部品の一部が垂直に吊るされるドアフレーム上に位置する、及び/又は、照明器具の一部がサービス中に吊り天井の凹部内に頭上に留まるので、サービスが煩雑になり、部品又は工具が落下する危険性が高まるというさらなる不利な点を伴う。
【0004】
EP2884161A1は、器具本体と、上面に配置される一対の付勢部材を備え、器具本体の下部に配置される発光体ユニットとを含む照明器具であって、器具本体のばね受け具に架けられる場合、前記一対の付勢部材は、器具本体に対して上向きに発光体ユニットを引き上げる力を生じる、照明器具を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既知の照明器具の不利な点の少なくとも1つが解消される、冒頭段落で述べられるタイプの照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、照明器具及び吊り下げ手段の両方に関し、本発明による照明器具は、前記吊り下げ手段を含む。したがって、吊り下げ手段は、前記照明器具で使用するのに適し、当該吊り下げ手段は、
断面径Dwの弾性ワイヤ/ロッド/チューブで形成され、ループ部分によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分を有するフックであって、各端部部分は長さLsのスピンドルを形成する、フックと、
回転軸に沿って軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素を備えるベースと、
を含み、
フック及びベースのアセンブルされた構成において、
それぞれのスピンドルの少なくとも一部が、それぞれのチャネル要素のそれぞれのチャネルにぴったりとしたフィット(snugly fit)で収容され、
スピンドル及び/又はチャネルは、フックが、第1の回転位置にある場合に比較的低い張力状態にあり、さらなる回転位置にある場合に比較的高い張力状態にあり、フックが第1の回転位置を取るべく回転するように付勢される(urged)ように回転軸に対して相互にずらされている(misaligned)。
【0007】
このような吊り下げ手段は、(吊り(false))天井から凹部に吊り下げられる必要がある又は(吊り)天井と面一に吊り下げられ必要がある、任意のデバイス、例えば、照明器具等、照明デバイスに適用可能である。
【0008】
本発明の文脈において、「弾性ワイヤ(elastic wire)」という表現は、弾性材料で作られるスプリングワイヤ、ロッド、バー及び/又はチューブを含むことを意味する。弾性材料のワイヤは、典型的には小さなばねに使用される、プリハードン材(pre-hardened stock)、ばね鋼、通常大きなばねに使用される、製造(fabrication)後に硬化される焼鈍鋼、材料が耐腐食性である必要がある場合に通常使用されるリン青銅、チタンを含む非鉄金属、及び良好な電気伝導性が望まれる場合に典型的には使用されるベリリウム銅のいずれかであることができる。弾性材料は、典型的には、これら弾性材料で作られる物が、大きなたわみ(deflection)又はねじり(twisting)にも拘らず、元の形状に戻ることができるように高い降伏強度及び高い硬度を有する。降伏強度は、通常、メガパスカル(MPa:Mega-Pascal)で表され、適切な値の例は、400MPa~1500MPaの範囲である。硬度は、通常、ロックウェルCスケール(HRC:Hardness Rockwell C-scale)におけるロックウェル硬さ(Rockwell hardness)として表される。HRCが高いほど、材料は硬くなる。硬度の適切なHRC値の例は、40HRC~75HRCの範囲である。
【0009】
さらに、本発明の文脈において、「ぴったりとしたフィット(snugly fit)」という表現は、密にフィットすること(fitting closely)を意味する。原則として、チャネル要素のチャネルは、内部断面径Dc>Dwでなければならず、Dwは、ワイヤ/ロッドの断面径である。しかしながら、チャネルへのワイヤ/ロッドの挿入を容易にするため及びワイヤ径の製造時のばらつきに起因する挿入時の問題を回避するために、チャネル要素のチャネルは、好ましくは、1.03*Dw<=Dc<=1.10*Dwの断面径Dcを有する。典型的には、1mm<=Dw<=5mm、例えば、3mmである。さらに、本発明の文脈において、「上壁(top wall)」という表現は、照明器具が吊り下げられた位置にある場合に重力方向に対して上向きになっているハウジングの壁を意味する。
【0010】
さらなる回転位置は、フックが比較的高い張力状態にある、すなわち、これらの位置において、フックは弾性変形することを共通の特徴として有し、一方、第1の回転位置では、フックの弾性変形はなくてもよいが、ない必要はなく、比較的低い張力状態にあってもよい。好ましくは、第1の回転位置においても、フックの比較的小さな弾性変形が、例えば照明器具の輸送中のガタツキを避けるために、フックが小さな永続的な圧力でハウジングの壁にかかる(rest on)ように存在する。これは、張力のない(又は緩和された)状態(tension free (or relaxed) state)において、二次元的な形状のフックが上壁に平行に延び、ハウジングの上壁にかかり、その後、フックの塑性変形によってフックをその二次元的な形状からわずかに成形することによって、ハウジングの壁に向けてわずかに曲げる、例えば、スピンドルの少なくとも1つを脚部との平面から外れるように曲げることによって、脚部を平面から外れるように曲げる、及び/又はブリッジを平面から外れるように曲げる、吊り下げ手段を介して得られることができる。
【0011】
張力状態(tension state)は、フックに関係し、張力は、フックの弾性変形が増大する結果として第1の回転位置とさらなる回転位置との間の回転角度δが増大するにつれて増大する。弾性変形は、チャネル内のスピンドルのぴったりとしたフィット並びにそれぞれのスピンドル及びその関連するチャネルの回転軸上の相互回転位置と相まってスピンドル及び/又はチャネルのずれ(misalignment)によって及び/又はその関数として生じる。弾性変形は、フックをその第1の回転位置へ付勢する(urge)力をもたらす。これは、さらなる回転位置から第1の回転位置へ回転するような付勢(urge)が、回転角δが増大するにつれて増大し、照明器具が吊り天井から吊り下げられ、降下位置(lowered position)にある、すなわち、照明器具が吊り天井に埋め込まれない又は吊り天井と面一ではない位置にある場合に、回転角δが比較的大きいという有益な効果を伴う。したがって、この場合、フックが低い張力状態を取るように及び照明器具が埋め込み又は面一位置(recessed or flush position)を取るように付勢する力が比較的大きく、したがって、照明器具をその埋め込み/面一位置に取り付けるために設置者による小さな追加の力しか必要とされない。照明器具の完全に埋め込まれた/面一位置では、フックは、その第1の回転位置又はその近くにあり、すなわち、フックは、その比較的低い張力状態にある。その結果、照明器具をその埋め込み/面一位置から取り外す又は引き出すことは、比較的小さな力しか設置者によって加えられる必要がない。照明器具がその埋め込まれた/面一位置からその降下位置に引き出されると、照明器具は、本質的に吊り天井に平行に且つかなり下で、水平位置に吊り下げ手段によって保持され、斯くして、照明器具の容易且つ安全なサービスを可能にする。本発明による照明器具は、とりわけ、吊り天井におけるモジュラ照明器具として用いられるのに適している。
【0012】
好都合なことに、照明器具は、例えば各吊り下げ手段が照明器具の長手方向に沿って照明器具のそれぞれの端部と中心との間の中間に設けられるという点で、相互に十分に間隔を空けられる少なくとも2つの吊り下げ手段を含む。斯くして、安定した埋め込み/面一取り付け照明器具及び照明器具の安定した吊り下げ降下位置が得られる。
【0013】
照明器具は、フックが本質的に二次元体(essentially two-dimensional body)の形状であるという特徴を有してもよい。フックは単一平面内に延び、照明器具が埋め込み/面一位置にある場合に照明器具の上壁に対して実質的に平らな体(flat body)として静止する(rest)ことができ、照明器具は比較的小さな組み込み深さ(built-in depth)を有することになる。さらに、照明器具は比較的コンパクトになり、例えば、照明器具の出荷又は在庫保管に好都合である。照明器具をよりコンパクトにするために、照明器具は、上壁が、チャネル要素が設けられる主平坦面を有し、比較的低い張力状態の第1の回転位置において、フックのループ部分が、前記平坦面に対して本質的に平行に延びるという特徴を有してもよい。この文脈において本質的に平行(essentially parallel)とは、フックが、最大でも10°の平坦面との角度βで延びてもよいことを意味する。
【0014】
照明器具は、ループ部分が、ブリッジ部分と、同じ方向に延びる2つの実質的に平行な脚部分とを有し、ブリッジ部分は、2つのブリッジ端部を有し、各脚部分は、それぞれの第2の脚端部において、スピンドルとしてそれぞれの端部部分を有し、2つの脚部分は、それぞれの第1の脚端部によってそれぞれのブリッジ端部に接続されるという特徴を有してもよい。本発明の文脈において、「実質的に平行(substantially parallel)」という表現は、脚部が最大でも20°の相互角度で延びてもよいことを意味する。代替的又は追加的に、これは、少なくとも1つの脚部が完全に直線である必要はなく、最大でも30°のキンク(kink)又はわずかな曲げ(slight bend)、窪み、突出、及び段差又は階段状プロファイルから選択される少なくとも1つのプロファイル構造部分(profiled structure portion)を有してもよいことを意味する。斯くして、準安定した(semi-stable)さらなる回転位置が提供され、準安定した静止回転位置(semi-stable resting rotational position)を可能にする。これは、吊り下げ手段が、吊り天井から降下位置で吊り下げられる場合に好都合である。
【0015】
サービスのしやすさを向上させるために、脚部は、好ましくは、少なくとも8cm、より好ましくは、Ll≧10cmの脚長さLlを有する。好ましくは、脚長さLlは25cm以下であり、これは、脚部が大きくなると、取り扱いの動きが大きくなりすぎて面倒になり、フックの材料の弾性変形限界を超え、永続的な塑性変形をもたらすリスクが高まるためである。照明器具が降下位置で安定して吊り下げられるために、単一のフックの脚部は間隔を空ける必要があり、前記間隔を空けることは、ブリッジ長さLbを有するブリッジ部分を介して得られる。前記ブリッジ長さは、照明器具の大きさ及び脚部の大きさに合わせてスケーリングされる。好ましくは、ブリッジ長さは、0.5<=Ll/Lb<=2に従って脚の長さに関係する。また、フックのワイヤの径Dwは脚の長さLlに合わせてスケーリングされ、好ましくは、脚長さLlとワイヤ径Dwの関係は、25<=Ll/Dw<=100に従う。各脚部に1つずつあるスピンドルは、Ss=Lb±0.3Llに従ってスピンドル間隔Ssで離間している。スピンドルは、本質的に互いに向かって延びることができ、又は本質的に互いから離れる方向に向くことができる。また、ブリッジは、前記プロファイル構造の少なくとも1つを備えてもよい。
【0016】
照明器具は、各スピンドルが、それぞれのスピンドル軸を有し、スピンドル軸は、5°<=α<=45°、好ましくは、15°<=α<=40°、最も好ましくは、24°<=α<=36°の範囲のずれ角度(misalignment angle)αで相互に角度を付けられるという特徴を有してもよい。ずれ角度αは、これらスピンドルのずれ(misalignment)に関するパラメータであり、したがって、さらなる回転位置にある場合のフックの張力状態の程度を決定する複数のパラメータのうちの1つである。したがって、フックの張力(レベル)及びフックがその第1の回転(低張力状態)位置を取るように付勢される力を制御するのに適したパラメータである。一般に、ずれ角度αが増加すると、とりわけ他のパラメータが通常値に設定される、すなわち、スピンドル及びチャネルの両方のオフセットOがゼロであり、チャネルの向きが相互に平行であり、1.03*Dw<=Dc<=1.10*Dwの関係が満たされる場合、ずれ及びさらなる回転位置におけるフックの張力が増加するということが当てはまる。代替的に、スピンドル軸間のずれ角度αにおける角度位置(angled position)は、フックが第1の回転位置にある場合に本質的に張力がなく、一方、フックがさらなる回転位置にある場合に張力が存在するように、同じ向きにチャネル間に存在することも可能である。
【0017】
フックの張力(レベル)及びフックがその第1の回転位置(低張力状態)を取るように付勢される力を制御するための角度付き(angled)スピンドル軸の上述したパラメータと同様に、照明器具は、各スピンドルが、それぞれのスピンドル軸を有し、スピンドル軸は、相互に本質的に平行に延び、オフセットOによって相互にオフセットされ、前記オフセットOは、弾性ワイヤの断面径Dwのn倍であり、2<=n<=15、好ましくは、3<=n<=12、最も好ましくは、5<=n<=10であるという特徴を有してもよい。好ましくは、スピンドルの及びチャネルのオフセットOは同じ、すなわち、フックが第1の回転位置にある場合に本質的に張力がなく、一方、フックがさらなる回転位置にある場合に引張応力(tension stress)が存在するように、大きさ及び方向が同じである。脚部分は、異なる長さ、すなわち、それぞれLla及びLlbであり、長さLla-Oは、長さLlbとほぼ合致し、例えば、0.9*Llb<=Lla-O<=1.1*Llbであってもよい。好ましくは、フックが第1の回転位置にありハウジング壁上に載っている場合、脚部分の長さの差がスピンドルのオフセットOと合致し、ゆえにフックは第1の回転位置において本質的に張力のない状態にあるように、Lla-O=Llbである。フックがさらなる回転位置のうちの1つに回転される場合、前記オフセット及び前記長さの差は互いの面から外れ、脚部分の長さの差はオフセットを補償することができず、フックを比較的高い張力状態にし、第1の回転位置に戻るように付勢することになる。
【0018】
スピンドルの長さLsは、フックの張力をその大きさに合わせてスケーリングするためにフック(脚部)の大きさに合わせてスケーリングされる。このために、照明器具は、各スピンドルの前記長さLsが、弾性ワイヤの断面径Dwのm倍であり、2≦m≦15、好ましくは、3≦m≦12、最も好ましくは、5≦m≦10であるという特徴を有してもよい。
【0019】
フックをその第1の回転位置からさらなる回転位置に引き出す場合、フックをその第1の回転位置に戻すように付勢する力を得るために張力が高まることが必要である。この力は、フックの弾性変形を介して高まる必要がある。このために、フックのスピンドルは、チャネルによって十分な長さにわたってぴったりと囲まれる(snugly enclosed)ことが有利である。したがって、照明器具は、チャネル要素が各々、長さLcを有するそれぞれのチャネルを有し、Lc>=0.6*Ls(又は60%)であるという特徴を有してもよい。この場合、フックが第1の回転位置とさらなる回転位置との間で回転される場合にスピンドルを本質的に不変の位置(essentially unaltered position)に保つようにチャネル内のスピンドルの十分な固定が得られることが分かった。好ましくは、照明器具は、このために、各スピンドルの少なくとも70%、好ましくは、少なくとも85%が、それぞれの、関連するチャネル要素内で延びているという特徴を有してもよい。
【0020】
照明器具は、チャネル要素が、ベース要素と一体であり、前記ベース要素は、リベット、ねじ、はんだ及び/又は溶接等の別個の取り付け手段を介して上壁に取り付けられるという特徴を有してもよい。これは、チャネルの位置が、実際の状況に対して照明器具の構成を最適化するために後段で選択されることができるという利点を有する。代替的に、照明器具は、チャネル要素が、照明器具の上壁と一体的に形成されているという特徴を有してもよい。これは、必要な部品が少なく、照明器具の設置が簡略化されるという利点を有する。
【0021】
本発明はさらに、本発明による照明器具を吊り下げる方法であって、当該方法は、
少なくとも2つのフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップと、
各ループ部分を(吊り天井の)関連するそれぞれの支持体に架けるステップと、
照明器具を電力手段(electrical power means)に電気的に接続するステップと、
フックを比較的低い張力状態にあるそれぞれの第1の回転位置とするために(及び照明器具を天井と面一状に取り付けるために)支持体に向けて照明器具を押すステップと、
を含む。
【0022】
本発明はさらに、本発明による照明器具を取り外す方法であって、当該方法は、
(照明器具の他方の端部を天井から突き出すために)照明器具の第1の端部をそれぞれの支持体に向けて押すステップと、
照明器具の第2の端部をそれぞれの支持体から引き離す一方、第1の端部をそれぞれの支持体から引き離すステップと、
両方のフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップと、
サービス又はさらなる取り外し作業(dismounting operation)(電気的切断等)を行うステップと、
を含む。
【0023】
上述した方法は、照明デバイス、例えば照明器具等、(電気)機器のそれぞれ簡単な吊り下げ、及び、照明デバイス、例えば照明器具等、(電気)機器のそれぞれ簡単な取り外しを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、本発明の範囲を限定するのではなく例示することを意図している、概略的な図面を用いてさらに解明され、詳述されるであろう。
図1図1は、本発明による照明器具の第1の実施形態の斜視図を示す。
図2図2A~Bは、本発明の照明器具の2つの異なる実施形態のそれぞれの上面図を示す。
図3図3は、図1の照明器具の側面図を示す。
図4図4A~Bは、本発明による吊り下げ手段のスピンドル及びチャネル要素の詳細を示す。
図5図5A~Cは、本発明による照明器具の吊り下げ及び取り外しのいくつかの段階を示す。
図6図6は、本発明による第1の方法の概略的なフロー図を示す。
図7図7は、本発明による第2の方法の概略的なフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による照明器具1の第1の実施形態の斜視図を示している。照明器具1は、2つの吊り下げ手段3と、上壁7を有するハウジング5とを含む。各吊り下げ手段3は、各々が断面径Dw(図4A参照)の弾性ワイヤ11で形成され、ループ部分15によって相互に接続される2つの離れた、本質的に対向して配置される端部部分13a、bを有する、2つのフック9a、bを含む。各端部部分13a、bは、長さLs(図4B参照)のそれぞれのスピンドル17a、bを形成する。各吊り下げ手段3はさらに、それぞれの回転軸21に沿って実質的に軸方向に配置される2つの細長いチャネル要素19a、bを含む。チャネル要素19a、bは、照明器具1のハウジング5の上壁7と一体的に形成されている。図2Aに示され、より良く見えるように、ハウジング5及び吊り下げ手段3のアセンブルされた構成において、前記吊り下げ手段3のチャネル要素19a、bは、上壁7上に設けられ、それぞれのスピンドル17a、bの少なくとも一部23a、bは、それぞれのチャネル要素19a、bのそれぞれのチャネル25a、bにぴったりとしたフィットで収容される。さらに図2Aを参照すると、スピンドル17a、b及びチャネル25a、bの両方は、各々が回転軸21に対して半分のずれ角0.5αを有する、ずれ角αで相互にずらされている。図示されるように、スピンドル及び軸のずれは同じである。このずれにより、フック9bは、第1の回転位置27にある場合に比較的低い張力状態にあり、フック9bは、さらなる回転位置29(そのうちの1つのさらなる回転位置が図示される)にある場合に比較的高い張力状態にある。前記さらなる回転位置29において、フック9aは、第1の回転位置27に回転して戻るように付勢される。
【0026】
図2A~Bは、本発明の照明器具1の吊り下げ手段3の2つの異なる実施形態のそれぞれの上面図を示し、1つの吊り下げ手段3のみが照明器具に対して示されている。吊り下げ手段3は、互いから離れる方向に向く2つのスピンドル17a、bを有するフック9を含むループ部分15を含み、吊り下げ手段3は、各々がそれぞれのチャネル25a、bを有する2つのチャネル要素19a、bを含む。図2Aは、スピンドル17a、bが各々、それぞれのスピンドル軸26a、bを有する、照明器具1の一部を示している。スピンドル17a、b(及びチャネル25a、b)は、ずれ角度αで相互にずらされ、ここではα≒35°であり、スピンドルは、スピンドル間隔Ssで離間し、ここではSs=Lb+0.1*Ll、Lbはブリッジ長、Llは脚部分31、31bの長さである。図2Bは、チャネル25a、b及びスピンドル17a、bの両方がスピンドル軸26a、bの相互オフセットOを有し、ここではO≒15mmである、照明器具1の他の実施形態の一部を示している。スピンドル17a、b及びチャネル25a、bのいずれもずらされていなく、すなわち、ずれ角度αはゼロである。チャネル要素19a、bは、照明器具1のハウジング5の上壁7に溶接されている。各チャネルは長さLcを有し、ここではLc=0.8*Lsであり、Lsはスピンドルの長さである。
【0027】
図2A及び図2Bの両方において、各フック9はさらに、各々が長さLl、例えば、約25cmを有し、それぞれの第2の端部部分33a、bによってそれぞれのブリッジ端部34a、bを介してブリッジ部分35(又はブリッジ)に相互に接続される2つの脚部分31a、b(又は脚部)を有することが示されている。図2Bにおいて、脚部分31a、bは、それぞれLla及びLlbの相互に異なる長さ、すなわち、Lla-O=Llbを有し、フック9は、フック9が第1の回転位置にあり、ハウジング壁7に載っている場合に本質的に張力がなく、一方、フック9がさらなる回転位置のうちの1つにある場合に比較的高い張力状態にあり、第1の回転位置に戻るように付勢されるように成形されることに留意されたい。フック9のスピンドル17a、bは、脚部31a、bの第1の端部部分37a、bによって形成され、チャネル要素19a、bのそれぞれのチャネル25a、b内に(少なくとも部分的に)収容される。単一のフック9の脚部31a、bは、本質的に相互に平行に延びている、すなわち、図示の実施形態では、約プラスマイナス6°の相互角度Φで延びる。さらに、各脚部31a、bは、照明器具が吊り天井から吊り下げられる場合に準安定した吊り下げ位置を提供するそれぞれのキンク39a、bを備える。ブリッジ35は、脚部分の長さLlに合わせてスケーリングされるブリッジ長さLbを有し、図では、Lb=0.85*Llである。
【0028】
図3は、図1に示される照明器具1の側面図を示し、吊り下げ手段3の一方のフック9bが、照明器具1のハウジング5の上壁7の平坦面と0°の角度βにおける第1の回転位置27において比較的低い張力状態にある。吊り下げ手段3の他方のフック9aは、さらなる回転位置29において、すなわち、照明器具3のハウジング5の上壁7の平坦面とほぼ90°の角度βで比較的高い張力状態にある。両フック9a、bは、二次元形状を有し、すなわち、各々がそれぞれの仮想平面P内に延在する平坦な部品として具現化される。
【0029】
図4A~Bは、本発明による吊り下げ手段のフック9のスピンドル17及びチャネル要素19の詳細を示している。図4Aにおいて、フック9は径Dwを有し、チャネル要素19のチャネル25は、ぴったりとしたフィットでスピンドル17を収容するために、Dwよりもわずかに大きい、図ではDc=1.03*Dwである、内径Dcを有することが示されている。図4Bにおいて、スピンドル17は、フック9の脚部分31の第2の端部部分33において接続され、長さLsを有することが示されている。スピンドル17は、Lcの長さにわたってチャネル要素19のチャネル25内に収容され、ここではLcは、Lsの少なくとも60%、図ではLc=0.75*Lsである。Ls及びLcの両方は、ワイヤ径Dwの倍数であり、すなわち、図ではLc=6*Dwである。
【0030】
図5A~Cは、本発明による照明器具1の吊り下げ及び取り外しのいくつかの段階を示している。図5Aは、吊り天井の下面図、すなわち、吊り天井41の下の位置から見た図を示している。吊り天井41は、Tバー53のグリッド形状のキャリア構造を有し、その結果、吊り天井41は、天井タイル45が取り付けられることができる矩形又は正方形形状の空間43に細分化されている。図では、前記矩形空間43のうちの1つが、4つの照明器具1を取り付けるために開放されている。図5Aは、照明器具1の取り付けが第1の段階であること、すなわち、吊り下げ手段3のフック9a、bが準安定したさらなる回転位置29において吊り天井41の取り付け要素47に架けられている降下位置に照明器具1が吊り天井41から吊るされているのを示している。図5Bは、4つの照明器具1が吊り天井41の矩形空間43を面一状に埋めている、取り付けられた、第2の段階における4つのモジュラ照明器具1の上面図を示している。照明器具1の吊り下げ手段3のフック9a、bは、吊り天井41のそれぞれの取り付け要素47の周りに架けられ、第1の回転位置から比較的小さな角度δでさらなる回転位置29にある。その結果、照明器具1は、吊り天井41のTバーキャリア構造53に対して永続的な圧力で寄り掛かる(rest against)ように付勢される。図5Cは、図5Bに示される状況の照明器具1の取り外し段階を示し、すなわち、既に3つの照明器具が取り外されていて、第4の照明器具1が、照明器具の中心55に関して示される一方の照明器具端部49において手59によって吊り天井41内に押し込まれ、他方の照明器具端部51を吊り天井41から下方に向けて突き出しているのを示している。前記他方の照明器具端部51は、その後、照明器具1のサービスを行う又は吊り天井41から照明器具1を取り去るために、照明器具1を吊り天井41からその降下した取り付け位置に引っ張るためにサービス担当者によって把持されることができる。
【0031】
図6は、本発明による第1の方法の概略的なフロー図を示している。方法は、
1000:少なくとも2つのフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップ、
1010:各ループ部分を関連するそれぞれの支持体に架けるステップ。このような支持体は、図5A~Cに示されるように吊り天井に含められることができる、
1020:照明器具を電力手段に電気的に接続するステップ、及び
1030:フックを、本質的に、比較的低い張力状態にあるそれぞれの第1の回転位置とするために支持体に向けて照明器具を押すステップ、
を含む。前記比較的低い張力状態において、照明器具は、吊り天井と面一に取り付けられることができる(例えば、図5B参照)。
【0032】
図7は、本発明による第2の方法の概略的なフロー図を示し、方法は、
2000:照明器具の第1の端部をそれぞれの支持体に向けて押すステップ。このステップの一例は図5Cに示され、前記一方の端部において押すことにより、照明器具の他方の端部は天井から突き出ている、
2010:照明器具の第2の端部をそれぞれの支持体から引き離す一方、第1の端部をそれぞれの支持体から引き離すステップ、
2020:両方のフックをそれぞれのさらなる回転位置とするステップ、及び
2030:サービス又はさらなる取り外し作業、例えば、電気的切断を行うステップ、
を含む。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7