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特許7509822コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H01R13/629
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022078597
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2023167422
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 直人
(72)【発明者】
【氏名】鳶野 幸太郎
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-049374(JP,A)
【文献】特開2021-174672(JP,A)
【文献】特開2016-006726(JP,A)
【文献】特開2008-204663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ端子を収容するハウジング本体と、
所定の回動軸回りに回動可能となるように前記ハウジング本体に軸支され、仮係止位置から本係止位置まで前記回動軸回りに回動することで、仮係止された相手方コネクタを引き寄せて前記ハウジング本体に本係止させるレバーと、を備え、
前記レバーは、
回動操作を受ける被操作部と、
前記被操作部から前記回動軸と交差するように延出するとともに、前記回動軸との交差位置に軸受孔が形成されたアーム部と、を備え、
前記ハウジング本体は、
前記コネクタ端子を収容する端子収容室を内蔵する筒形状に形成され、当該筒形状の軸と交差して前記回動軸をなすように前記アーム部の前記軸受孔に嵌入する軸突起が外周面から突出したインナーハウジングと、
前記外周面のうち少なくとも前記軸突起が突出した面部分との間に、前記軸突起が前記軸受孔に嵌入した状態の前記アーム部を、前記回動軸回りに回動可能に挟み込むように前記インナーハウジングに外装されるアウターハウジングと、を備え
前記端子収容室は、前記相手方コネクタにおける相手方端子の進入側が開口して前記インナーハウジングに設けられ、
前記アウターハウジングは、前記インナーハウジングにおいて前記端子収容室が開口した前記相手方コネクタの嵌合面を覆うとともに、前記端子収容室の開口に対応する位置に前記相手方端子の通過孔と、当該通過孔の周囲に形成されて当該通過孔へと前記相手方端子を誘導する誘導凹部と、が設けられたマスク壁部分を有していることを特徴とするコネクタハウジング。
【請求項2】
前記アウターハウジングは、前記マスク壁部分と、前記インナーハウジングの前記外周面の前記面部分を含む少なくとも一部を前記嵌合面側から覆うように前記マスク壁部分の外周縁から延出する外筒部分と、を備え、
前記インナーハウジングの前記外周面及び前記アウターハウジングの前記外筒部分のうちの一方に係止爪が形成され、他方に当該係止爪が係止する係止孔が形成されていることを特徴とする請求項に記載のコネクタハウジング。
【請求項3】
前記ハウジング本体には、前記コネクタ端子よりも端子サイズが大きい大サイズ端子も収容され、
前記インナーハウジングには、前記端子収容室に加え、前記大サイズ端子を収容する大サイズ収容室が前記嵌合面に開口して設けられており、
前記マスク壁部分には、前記大サイズ収容室の開口を露出させる露出窓が設けられていることを特徴とする請求項に記載のコネクタハウジング。
【請求項4】
前記端子収容室の内部には、当該端子収容室に収容された前記コネクタ端子に係止するランスが設けられており、
前記マスク壁部分には、前記通過孔の隣に、前記ランスの前記コネクタ端子への係止を確認するための検査窓が形成されていることを特徴とする請求項に記載のコネクタハウジング。
【請求項5】
前記レバーは、前記被操作部と前記アーム部とが一枚板状に形成されたものであり、
前記インナーハウジングは、前記軸突起が1つだけ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタハウジング。
【請求項6】
前記ハウジング本体における前記インナーハウジングの内部に前記端子収容室を横切って進入するとともに、前記コネクタ端子の前記端子収容室の内部での移動を許容する第1位置と、当該第1位置から前記インナーハウジングの内部へと押し込まれて前記端子収容室の内部での前記コネクタ端子の移動を規制する第2位置と、の相互間を移動可能なスペーサを更に備え、
前記軸突起は、前記インナーハウジングの前記外周面における前記スペーサの進入部から外れた部分を前記面部分とし、当該面部分から突出して設けられていることを特徴とする請求項に記載のコネクタハウジング。
【請求項7】
コネクタ端子と、
前記コネクタ端子が収容される、請求項1に記載のコネクタハウジングと、を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
電線の端部にコネクタ端子が接続された端子付き電線と、
前記端子付き電線における前記コネクタ端子が収容される、請求項1に記載のコネクタハウジングと、を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジング、コネクタ端子がコネクタハウジングに収容されたコネクタ、及び、端部にコネクタを有するワイヤーハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ接続を補助するレバーを備えたコネクタハウジングが知られている(例えば、特許文献1~3参照。)。このようなコネクタハウジングにコネクタ端子が収容されたコネクタでは、まず、レバーが取り付けられたハウジング本体に相手方コネクタが仮係止される。その後、レバーが回動され、相手方コネクタが引き寄せられて本係止が行われ、コネクタ接続が完了する。また、上記のコネクタハウジングでは、レバーは、軸受孔が設けられたアーム部がハウジング本体における幅狭溝状の収容凹部に収容されるとともに、その内部で軸受孔に軸突起が嵌入することで軸支されている。そして、アーム部を上下に挟む収容凹部の壁が、ハウジング本体からのレバーの脱落を防止する役割等を担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-249303号公報
【文献】特開2003-249304号公報
【文献】特開2003-249305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コネクタハウジングの組立時には、アーム部を収容凹部に収容しつつ、軸受孔に軸突起を嵌入するというレバーの取付け作業が行われる。このとき、取付け後にアーム部を上下に挟んでレバーの脱落防止等の役割を担う収容凹部の壁がレバーの取付け作業に対する障害物となる。このため、レバーの取付け作業では、障害物としての収容凹部の壁を変形させて溝幅を一時的に広げる等といった作業が必要となる。このような作業は、作業者にとって負担となるだけでなく、無理な変形が収容凹部の壁を劣化させ、レバーの保持強度を低下させる可能性がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、レバーの取付けに関する作業負担を抑えるとともに、レバーの保持強度を向上させることができるコネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、コネクタハウジングは、コネクタ端子を収容するハウジング本体と、所定の回動軸回りに回動可能となるように前記ハウジング本体に軸支され、仮係止位置から本係止位置まで前記回動軸回りに回動することで、仮係止された相手方コネクタを引き寄せて前記ハウジング本体に本係止させるレバーと、を備え、前記レバーは、回動操作を受ける被操作部と、前記被操作部から前記回動軸と交差するように延出するとともに、前記回動軸との交差位置に軸受孔が形成されたアーム部と、を備え、前記ハウジング本体は、前記コネクタ端子を収容する端子収容室を内蔵する筒形状に形成され、当該筒形状の軸と交差して前記回動軸をなすように前記アーム部の前記軸受孔に嵌入する軸突起が外周面から突出したインナーハウジングと、前記外周面のうち少なくとも前記軸突起が突出した面部分との間に、前記軸突起が前記軸受孔に嵌入した状態の前記アーム部を、前記回動軸回りに回動可能に挟み込むように前記インナーハウジングに外装されるアウターハウジングと、を備え、前記端子収容室は、前記相手方コネクタにおける相手方端子の進入側が開口して前記インナーハウジングに設けられ、前記アウターハウジングは、前記インナーハウジングにおいて前記端子収容室が開口した前記相手方コネクタの嵌合面を覆うとともに、前記端子収容室の開口に対応する位置に前記相手方端子の通過孔と、当該通過孔の周囲に形成されて当該通過孔へと前記相手方端子を誘導する誘導凹部と、が設けられたマスク壁部分を有していることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、コネクタは、コネクタ端子と、前記コネクタ端子が収容される、上述のコネクタハウジングと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、ワイヤーハーネスは、電線の端部にコネクタ端子が接続された端子付き電線と、前記端子付き電線における前記コネクタ端子が収容される、上述のコネクタハウジングと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述のコネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスによれば、レバーの取付けに関する作業負担を抑えるとともに、レバーの保持強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ワイヤーハーネスの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示されているコネクタ及びコネクタハウジングを、図1中の矢印V11方向から見た斜視図である。
図3図1及び図2に示されているコネクタ及びコネクタハウジングを、図1中のV12-V12線に沿った断面で示す断面図である。
図4図1図3に示されているコネクタ及びコネクタハウジングの分解斜視図である。
図5図4に示されているレバーをインナーハウジングに取り付ける作業を斜視図で示す模式図である。
図6】アウターハウジングをインナーハウジングに外装する作業を斜視図で示す模式図である。
図7】レバーの取付けからアウターハウジングの外装に至るまでの作業を、軸突起を通る断面図で示す模式図である。
図8図1図7に示されている実施形態に対する比較例のコネクタハウジングにおけるハウジング本体を示す断面図である。
図9図8に示されているコネクタハウジングにレバーが取り付けられる様子を断面図で模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスの一実施形態について説明する。
【0012】
図1は、ワイヤーハーネスの一実施形態を示す斜視図である。
【0013】
本実施形態におけるワイヤーハーネスW1は、相手方コネクタとの接続を補助するレバー12を備えたコネクタC1が端部に設けられたものである。このレバー12が、作業者の操作を受けて、仮係止位置P11から本係止位置P12まで所定の回動軸12a回りの回動方向D11に回動することで、コネクタC1と相手方コネクタとの接続が補助される。仮係止位置P11は、相手方コネクタがコネクタC1へとコネクタ係止方向D12に浅く仮係止されたときにレバー12が相手方コネクタに連結されるレバー位置である。そして、本係止位置P12は、仮係止されてレバー12に連結された相手方コネクタを引き寄せてコネクタC1に本係止させるレバー位置である。レバー12が本係止位置P12へと回動して相手方コネクタが本係止することで、ワイヤーハーネスW1が、コネクタC1及び相手方コネクタを介して相手方ワイヤーハーネス又は相手方装置等へと電気的に接続されることとなる。また、この電気的な接続を解除するときには、まず、レバー12が本係止位置P12から仮係止位置P11へと動かされる。この動きによって、コネクタC1と相手方コネクタとの本係止が解除され、コネクタC1は相手方コネクタとの仮係止状態へと戻される。その後、作業者によってコネクタC1が相手方コネクタから引き抜かれることとなる。以下、ワイヤーハーネスW1におけるコネクタC1、更には、このコネクタC1を構成するコネクタハウジング1の詳細な構成について説明する。
【0014】
図2は、図1に示されているコネクタ及びコネクタハウジングを、図1中の矢印V11方向から見た斜視図であり、図3は、図1及び図2に示されているコネクタ及びコネクタハウジングを、図1中のV12-V12線に沿った断面で示す断面図である。そして、図4は、図1図3に示されているコネクタ及びコネクタハウジングの分解斜視図である。
【0015】
コネクタC1は、複数本の端子付き電線W11それぞれのコネクタ端子W111と、複数本の大サイズ端子付き電線W12それぞれの大サイズ端子W121と、コネクタハウジング1と、を備えている。端子付き電線W11は、電線W112の端部にコネクタ端子W111が接続されたものである。また、大サイズ端子付き電線W12は、電線W112よりも太い太電線W122の端部に、コネクタ端子W111よりも端子サイズが大きい大サイズ端子W121が接続されたものである。本実施形態では、コネクタ端子W111及び大サイズ端子W121は、何れも雌型端子となっている。コネクタハウジング1は、複数のコネクタ端子W111及び複数の大サイズ端子W121を収容する部材であり、ハウジング本体11と、レバー12と、スペーサ13と、を備えている。
【0016】
ハウジング本体11は、複数のコネクタ端子W111及び複数の大サイズ端子W121を収容する。レバー12は、回動軸12a回りに回動可能となるようにハウジング本体11に軸支され、図1に示されている仮係止位置P11から本係止位置P12まで回動する。レバー12は、仮係止された相手方コネクタをこの回動によって引き寄せてハウジング本体11(つまりは、コネクタC1)に本係止させる。
【0017】
レバー12は、回動操作を受ける被操作部121と、被操作部121から回動軸12aと交差するように延出するとともに、回動軸12aとの交差位置に軸受孔122aが形成されたアーム部122と、を備えている。本実施形態では、レバー12は、1つの被操作部121と1つのアーム部122とが一枚板状に形成されたものとなっている。アーム部122には、相手方コネクタの一部を受け入れるとともに回動軸12a回りの回動に伴ってハウジング本体11に対して相手方コネクタを接離させるように上記の一部を移動させるカム溝122bが設けられている。仮係止位置P11から本係止位置P12へのレバー12の回動に伴ってカム溝の内部を相手方コネクタの一部が移動することで、ハウジング本体11に対して相手方コネクタが引き寄せられる。逆に、本係止位置P12から仮係止位置P11へのレバー12の回動に伴ってカム溝の内部を相手方コネクタの一部が移動することで、ハウジング本体11から相手方コネクタが離される。
【0018】
ハウジング本体11は、インナーハウジング111と、アウターハウジング112と、を備えている。
【0019】
インナーハウジング111は、コネクタ端子W111を収容する端子収容室111a及び大サイズ端子W121を収容する大サイズ収容室111bを、各々複数ずつ内蔵する矩形筒形状に形成された樹脂製の部材である。各端子収容室111a及び各大サイズ収容室111bは、相手方コネクタにおける相手方端子の進入側、及び、コネクタ端子W111及び大サイズ端子W121の収容側が、各々開口してインナーハウジング111に設けられている。端子収容室111aの内部には、収容されたコネクタ端子W111に係止するランス111a-1が設けられている。また、大サイズ収容室111bの内部にも同様のランスが設けられている。
【0020】
そして、インナーハウジング111における矩形筒形状の四方の外周面111cのうち、回動軸12aと交差する一の外周面111cに、アーム部122の軸受孔122aに嵌入する軸突起111eが突出して設けられている。軸突起111eは、筒形状のインナーハウジング111における軸111dと交差して回動軸12aをなす。また、インナーハウジング111における四方の外周面111cそれぞれには、アウターハウジング112に係止する係止爪111fが形成されている。
【0021】
アウターハウジング112は、インナーハウジング111に外装される樹脂製のカバー部材である。このアウターハウジング112は、インナーハウジング111において軸突起111eが突出した面部分111c-1との間に、レバー12において軸受孔122aに軸突起111eが嵌入した状態のアーム部122を、回動軸12a回りに回動可能に挟み込む。このアウターハウジング112は、マスク壁部分112aと、外筒部分112bと、を備えている。
【0022】
マスク壁部分112aは、インナーハウジング111において端子収容室111a及び大サイズ収容室111bが開口した相手方コネクタとの嵌合面111gを覆う壁部分である。このマスク壁部分112aには、図3に拡大図で示されているように、複数の端子収容室111aそれぞれの開口111a-2に対応する位置に、相手方端子の通過孔112a-1と誘導凹部112a-2が設けられている。通過孔112a-1は、端子収容室111aの開口111a-2に連通する貫通孔である。誘導凹部112a-2は、通過孔112a-1へと相手方端子を誘導する形状部分である。この誘導凹部112a-2は、通過孔112a-1の周囲に形成されて底側が通過孔112a-1に繋がった矩形漏斗状の呼込み口となっている。また、マスク壁部分112aには、通過孔112a-1の隣に、端子収容室111aの内部におけるランス111a-1のコネクタ端子W111への係止を確認するための検査窓112a-3が形成されている。他方、マスク壁部分112aでは、複数の大サイズ収容室111bに対応する位置に、これら複数の大サイズ収容室111bの開口をまとめて露出させる矩形状の露出窓112a-4が設けられている。また、大サイズ収容室111bについては、内部におけるランスの係止確認が、露出窓112a-4から露出した各大サイズ収容室111bの開口から行われる。
【0023】
外筒部分112bは、インナーハウジング111において軸突起111eが突出した面部分111c-1を含む四方の外周面111cを嵌合面111g側から覆うようにマスク壁部分112aの外周縁から延出する矩形筒状の壁部分である。外筒部分112bのうち、上記の面部分111c-1に対する対面部分112b-1が他の部分よりも長く延出し、面部分111c-1との間にレバー12のアーム部122を挟み込む。また、外筒部分112bには、インナーハウジング111における四方の外周面111cそれぞれに形成された係止爪111fが係止する係止孔112b-2が形成されている。
【0024】
ここで、レバー12におけるアーム部122には、レバー12を仮係止位置P11に留めるための第1レバー係止部122cと、レバー12を本係止位置P12に留めるための第2レバー係止部122dと、が設けられている。
【0025】
第1レバー係止部122cは、レバー12が仮係止位置P11にあるときには本係止位置P12への回動を規制するようにアウターハウジング112に係止する。アウターハウジング112の外筒部分112bには、このときに第1レバー係止部122cが、図1に示されているように係止する被係止溝112b-3が設けられている。この第1レバー係止部122cは、撓み変形可能な片持ち梁の先端に係止用の突起が形成されたものである。レバー12が仮係止位置P11にあるときの被係止溝112b-3への第1レバー係止部122cの係止は、その先端の突起が被係止溝112b-3の縁に掛かることで行われる。そして、相手方コネクタがハウジング本体11に仮係止されると当該相手方コネクタによって第1レバー係止部122cが撓められ、先端の突起が被係止溝112b-3の縁を下部へと潜ることが可能となって係止が解除される。この状態でレバー12が本係止位置P12へと回動すると、第1レバー係止部122cは、その先端の突起が外筒部分112bの内側を潜って移動し、移動先の窓部分112b-4に至って露出されて撓みが解除される。
【0026】
更に、第1レバー係止部122cの先端の突起は、レバー12が本係止位置P12から仮係止位置P11へと回動するときに窓部分112b-4の縁に当接する部分が斜面状に形成されている。この斜面により、仮係止位置P11への回動時には突起が窓部分112b-4の縁を下部へと潜るように第1レバー係止部122cが撓み、そのまま外筒部分112bの内側を潜って移動し、移動先の被係止溝112b-3に至って露出されて撓みが解除される。このとき、第1レバー係止部122cの先端の突起は、レバー12が本係止位置P12へと回動するときに被係止溝112b-3の縁に当接する部分が、レバー12に対して略直交する立面となっている。この立面により、相手方コネクタの仮係止による係止解除が無い限りは、先端の突起が被係止溝112b-3の縁を下部へと潜ることが不可となって係止が維持され、レバー12が仮係止位置P11に留められることとなる。
【0027】
他方、レバー12を本係止位置P12に留めるための第2レバー係止部122dは次のような構成となっている。即ち、レバー12が本係止位置P12まで回動して相手方コネクタがハウジング本体11に本係止された状態で相手方コネクタに係止してレバー12の仮係止位置P11への回動を規制する。第2レバー係止部122dは、撓み変形可能な片持ち梁の中途に係止用の段差が形成されたものである。レバー12が本係止位置P12にあるときの相手方コネクタへの第2レバー係止部122dの係止は、その中途の段差が相手方コネクタに設けられた被係止部に掛かることで行われる。この段差における相手方コネクタの進入側は斜面状に形成されており、相手方コネクタが本係止されるときには、この斜面により、相手方コネクタの被係止部に至るまで第2レバー係止部122dが撓められることとなる。他方で、相手方コネクタの被係止部に対する上記の段差の係止側はレバー12に対して略直交する立面となっている。この立面により、段差が相手方コネクタの被係止部を抜けることが不可となって係止が維持され、レバー12が本係止位置P12に留められることとなる。そして、第2レバー係止部122dに対し、片持ち梁の先端部分を押し下げて撓める操作が作業者によってなされると、当該操作を受けて中途の段差が相手方コネクタの被係止部から外されて係止が解除されることとなる。
【0028】
次に、コネクタハウジング1に設けられるスペーサ13について説明する。このスペーサ13は、図3の断面図に示されているように、ハウジング本体11におけるインナーハウジング111の内部に端子収容室111aを横切って進入する板状の部材である。スペーサ13には、複数の端子収容室111aに一対一に対応し、各端子収容室111aの内部でのコネクタ端子W111の移動を規制するようにコネクタ端子W111を締め付ける複数の締付け規制部131が設けられている。尚、インナーハウジング111の大サイズ収容室111bについては、内部における大型のランスの係止によって大サイズ端子W121に対する十分な移動規制が行われる。このため、スペーサ13は、大サイズ収容室111bを避けて端子収容室111aのみを横切ってインナーハウジング111の内部に進入する形状に形成されている。また、図2及び図3に示されているように、インナーハウジング111における、軸突起111eとは反対側にはスペーサ13の進入部111hが開口している。言い換えると、軸突起111eは、インナーハウジング111の外周面111cにおけるスペーサ13の進入部111hから外れた面部分111c-1から突出して設けられている。スペーサ13は、インナーハウジング111における進入部111hから差し入れられてインナーハウジング111の内部へと進入する。
【0029】
ここで、インナーハウジング111の内部へのスペーサ13の進入は、次のような2段階の進入によって行われる。まず、コネクタ端子W111の端子収容室111aへの収容前の第一段階では、スペーサ13は、コネクタ端子W111の端子収容室111aの内部での移動を許容する第1位置まで進入される。即ち、この第1位置では、スペーサ13における複数の締付け規制部131がコネクタ端子W111を締め付けることがなく、コネクタ端子W111の移動が許容される。第一段階では、スペーサ13は、この第1位置で仮係止状態となる。そして、この第1位置でスペーサ13が仮係止されたコネクタハウジング1の端子収容室111aに対し、コネクタ端子W111の収容が、締付け規制部131による移動規制を受けることなく行われる。全てのコネクタ端子W111の収容が完了すると、次の第二段階において、スペーサ13は、第1位置からインナーハウジング111の内部へと押し込まれて次のような第2位置まで進入される。即ち、この第2位置では、締付け規制部131がコネクタ端子W111を締め付けることで端子収容室111aの内部におけるコネクタ端子W111の移動が規制される。この第2位置においてスペーサ13は本係止状態となる。また、スペーサ13は、上記の第1位置と第2位置との相互間を移動可能に設けられており、コネクタ端子W111の交換等の際には、スペーサ13が第1位置から第2位置へと引き出されてコネクタ端子W111の移動規制が解除されることとなる。
【0030】
以上に説明したコネクタハウジング1は、次のような手順を経て組み立てられる。まず、レバー12がインナーハウジング111に取り付けられ、続いてアウターハウジング112がインナーハウジング111に外装される。
【0031】
図5は、図4に示されているレバーをインナーハウジングに取り付ける作業を斜視図で示す模式図であり、図6は、アウターハウジングをインナーハウジングに外装する作業を斜視図で示す模式図である。また、図7は、レバーの取付けからアウターハウジングの外装に至るまでの作業を、軸突起を通る断面図で示す模式図である。
【0032】
インナーハウジング111へのレバー12の取付けは、インナーハウジング111の軸突起111eをレバー12におけるアーム部122の軸受孔122aに嵌入することで行われる。このとき、本実施形態では、軸突起111eは、回動軸12aを中心軸とした円柱部111e-1と、当該円柱部111e-1の周面から横枝状に突出した横枝部111e-2と、を有している。他方、アーム部122の軸受孔122aは、円形孔部122a-1と扇孔部122a-2とが繋がった形状に形成されている。円形孔部122a-1は、円柱部111e-1が回動軸12aの軸方向D13に貫通する円形の孔部分である。また、扇孔部122a-2は、レバー12が図1に示されている仮係止位置P11と本係止位置P12の相互間で回動するときのアーム部122に対する横枝部111e-2の相対的な移動軌跡に沿って扇状に形成された孔部分である。そして、扇孔部122a-2の内側には、仮係止位置P11から外れてレバー12が回動すると軸方向D13ついてアーム部122がインナーハウジング111から離れないように横枝部111e-2と干渉する干渉壁122a-3が設けられている。
【0033】
図5及び図7に示されているように、第1ステップS11では、インナーハウジング111の軸突起111eにおける横枝部111e-2が扇孔部122a-2における干渉壁122a-3を避けた貫通部分と一致するように、レバー12の位置合わせが行われる。本実施形態では、レバー12が仮係止位置P11となるときに横枝部111e-2が上記の貫通部分と一致する。第2ステップS12では、横枝部111e-2が扇孔部122a-2の貫通部分を通過するように、軸突起111eが軸受孔122aに嵌入される。この第2ステップS12では、レバー12は仮係止位置P11に位置している。その後のステップS13において、レバー12が、仮係止位置P11から本係止位置P12まで回動方向D11に動かされる。本係止位置P12では、軸突起111eの横枝部111e-2が扇孔部122a-2の内側の干渉壁122a-3と干渉し、軸突起111eが軸受孔122aから抜けない脱落防止状態で、レバー12がインナーハウジング111に取り付けられる。
【0034】
次に、図6及び図7に示されているように、第4ステップS14では、本係止位置P12で脱落防止状態のレバー12及びインナーハウジング111が両方とも外筒部分112bの内側に入るように、アウターハウジング112の位置合わせが行われる。第5ステップS15では、アウターハウジング112がそのままインナーハウジング111に外装される。このとき、インナーハウジング111における係止爪111fがアウターハウジング112の外筒部分112bにおける係止孔112b-2に係止することで、アウターハウジング112がインナーハウジング111に固定される。これにより、レバー12のアーム部122は、インナーハウジング111において軸突起111eが突出した面部分111c-1とアウターハウジング112の外筒部分112bとの間に挟まれた状態となる。この状態では、レバー12が仮係止位置P11まで回動してもアウターハウジング112の外筒部分112bによって脱落が回避されることとなる。この第5ステップS15の後、インナーハウジング111の進入部111hからスペーサ13が挿入されてコネクタハウジング1が完成する。
【0035】
次に、図1図7を参照して説明した実施形態に対する比較例について説明する。
【0036】
図8は、図1図7に示されている実施形態に対する比較例のコネクタハウジングにおけるハウジング本体を示す断面図であり、図9は、図8に示されているコネクタハウジングにレバーが取り付けられる様子を断面図で模式的に示した図である。
【0037】
本比較例のコネクタハウジング5では、ハウジング本体51がインナーハウジングとアウターハウジングに二分割されてはおらず、ハウジング本体51に、レバー52のアーム部522を収容する幅狭溝状の収容凹部51aが形成されている。そして、この比較例では、ハウジング本体51の収容凹部51aの内部に、アーム部522の軸受孔522aに嵌入される軸突起511eが設けられている。
【0038】
この比較例では、収容凹部51aにおいてアーム部522を上下に挟むこととなる壁51a-1がアーム部522の挿入に対する障害物となる。このため、本比較例におけるレバー取付け作業の第1ステップS51では、障害物としての収容凹部51aの壁51a-1の変形方向D51の変形により収容凹部51aの溝幅が一時的に広げられる。その後の第2ステップS52において、この溝幅が広げられた収容凹部51aに、軸突起511eを乗り越えるようにしてレバー52のアーム部522が挿入方向D52に挿入される。アーム部522が十分に挿入されて軸受孔522aに軸突起511eが嵌入されると収容凹部51aの壁51a-1の変形が解除される。
【0039】
ここで、本比較例では、第1ステップS51において収容凹部51aの壁51a-1を変形させて溝幅を広げる作業が作業者にとって負担となりがちである。更に、無理な変形が収容凹部51aの壁51a-1における変形の根元部分51a-2を劣化させ、レバー52の保持強度を低下させる可能性がある。
【0040】
この比較例に対し、図1図7を参照して説明した実施形態のコネクタハウジング1、コネクタC1、及びワイヤーハーネスW1によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、ハウジング本体11が、レバー保持用の軸突起111eが設けられたインナーハウジング111と、そのインナーハウジング111に外装されるアウターハウジング112とに分割されている。この分割構成により、まず、インナーハウジング111の軸突起111eをレバー12のアーム部122における軸受孔122aに嵌入し、その後に、アーム部122に被せるようにアウターハウジング112を外装するというレバー12の取付け作業が可能となる。この取付け作業では、レバー12の脱落を防ぐために上下に挟む壁が、インナーハウジング111へのアーム部122の取付け後にアウターハウジング112を外装することで形成されることとなる。従って、軸突起111eの軸受孔122aへの嵌入の際には、周囲の壁といった障害物が存在せず、レバー12の取付け作業における作業負担が抑えられることとなる。更に、レバー12の脱落防止のための壁を無理に変形させる必要が無く、レバー12の取付け作業に起因した壁の劣化を回避できるので、レバー12の保持強度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、アウターハウジング112は、インナーハウジング111における相手方コネクタの嵌合面111gを覆うマスク壁部分112aを有している。マスク壁部分112aには、相手方端子の通過孔112a-1と相手方端子の誘導凹部112a-2とが設けられている。この構成によれば、アウターハウジング112が、マスク壁部分112aの誘導凹部112a-2による相手方端子の誘導という役割も担う。従って、別途にこのような誘導機能を有する部材を取り付ける構成等に比べてコネクタハウジング1の小型化を図ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、アウターハウジング112は、マスク壁部分112aと外筒部分112bとを備えている。そして、インナーハウジング111の外周面111cに係止爪111fが形成され、アウターハウジング112の外筒部分112bに係止孔112b-2が形成されている。この構成によれば、アウターハウジング112は、相手方コネクタとの嵌合面111g側からインナーハウジング111に外装される。他方で、インナーハウジング111における嵌合面111gとは反対側は開放状態となり、端子収容室111aに対するコネクタ端子W111の良好な収容側として利用することができる。また、上記の構成によれば、アウターハウジング112の外装自体も、係止孔112b-2に対する係止爪111fの係止という作業性の良好な作業により行うことができるので好適である。
【0043】
また、本実施形態では、インナーハウジング111には、端子収容室111aに加え、大サイズ端子W121を収容する大サイズ収容室111bが嵌合面111gに開口して設けられている。また、マスク壁部分112aには、大サイズ収容室111bの開口を露出させる露出窓112a-4が設けられている。この構成によれば、サイズの異なる複数種類の端子を備え、電圧や電流のレベルの異なる複数種類の電気信号を伝達可能なコネクタを良好に構築することができる。また、大サイズで相手方端子の誘導の必要がない大サイズ収容室111bの開口が露出窓112a-4から露出するようにマスク壁部分112aが形成される。従って、その分、アウターハウジング112の形状を単純化して加工の手間を軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態では、端子収容室111aの内部には、コネクタ端子W111に係止するランス111a-1が設けられている。そして、マスク壁部分112aには、通過孔112a-1の隣に、ランス111a-1の係止を確認するための検査窓112a-3が形成されている。この構成によれば、マスク壁部分112aに作りこまれた検査窓112a-3を介してコネクタ端子W111に対するランス111a-1の係止を確認できる。従って、端子収容室111aからのコネクタ端子W111の抜け等が抑制される質の高いコネクタC1を構築することができる。
【0045】
また、本実施形態では、レバー12は、1つの被操作部121と1つのアーム部122とが一枚板状に形成されたものであり、インナーハウジング111には、軸突起111eが1つだけ設けられている。この構成によれば、インナーハウジング111には一枚板状のレバー12が1つだけ軸支される。従って、例えば軸支されるアーム部122を2つ備えたC字型レバーを用いる場合等に比べて、回動軸12aの軸方向D13についてコネクタハウジング1の厚みを薄型化することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ハウジング本体11におけるインナーハウジング111の内部に端子収容室111aを横切って進入し、コネクタ端子W111の移動を規制するスペーサ13が設けられている。そして、軸突起111eは、インナーハウジング111の外周面111cにおけるスペーサ13の進入部111hから外れた面部分111c-1から突出して設けられている。この構成によれば、端子収容室111aの内部でのコネクタ端子W111の移動規制のためのスペーサ13と干渉することなく、一枚板状のレバー12をインナーハウジング111に良好に取り付けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、軸突起111eが円柱部111e-1と横枝部111e-2とを有している。また、アーム部122の軸受孔122aは、円形孔部122a-1と扇孔部122a-2とが繋がった形状に形成されている。そして、扇孔部122a-2の内側には、仮係止位置P11から外れてレバー12が回動するときに横枝部111e-2と干渉する干渉壁122a-3が設けられている。この構成によれば、レバー12の移動を仮係止位置P11と本係止位置P12との間に良好に規制できるとともに、仮係止位置P11でレバー12をインナーハウジング111に良好に取付けることができる。また、取付け後には、レバー12の位置を仮係止位置P11から外して横枝部111e-2を干渉壁122a-3と干渉させることで、アウターハウジング112の外装前であってもレバー12の脱落を良好に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態では、アーム部122には、レバー12が仮係止位置P11にあるときにアウターハウジング112に係止するとともに相手方コネクタによって係止が解除される第1レバー係止部122cが設けられている。また、アーム部122には、レバー12が本係止位置P12まで回動すると相手方コネクタに係止するとともに、操作を受けて係止が解除される第2レバー係止部122dが設けられている。この構成によれば、コネクタハウジング1が単品で扱われる部品輸送時等においては、第1レバー係止部122cのアウターハウジング112への係止により、レバー12の位置を仮係止位置P11で安定させることができる。また、コネクタハウジング1がワイヤーハーネスW1に組み込まれて相手方コネクタと連結される場合等においては、第2レバー係止部122dの相手方コネクタへの係止により、レバー12の位置を本係止位置P12で安定させることができる。
【0049】
尚、以上に説明した実施形態はコネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスの代表的な形態を示したに過ぎず、コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスは、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0050】
例えば、上述した実施形態では、コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスの一例として、矩形ブロック状のコネクタハウジング1を備えたコネクタC1及びワイヤーハーネスW1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジング、コネクタ、及びワイヤーハーネスは、これに限るものではなく、コネクタハウジングの形状は、例えば円筒ブロック状等であってもよく、そのハウジング形状は任意形状に設定することができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、アウターハウジング112が、相手方端子の誘導等の役割を担うマスク壁部分112aを有したコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、アウターハウジングが、レバーのアーム部をインナーハウジングとの間に挟み込む脱落防止の機能のみを担う単純筒形状となったものであってもよい。ただし、相手方端子の誘導等の役割を担うマスク壁部分112aをアウターハウジング112に設けることで、コネクタハウジング1の小型化を図ることができる点は上述した通りである。
【0052】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、係止爪111fが形成されたインナーハウジング111に、係止孔112b-2が形成されたアウターハウジング112が嵌合面111g側から外装されるコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、インナーハウジングに対するアウターハウジングの具体的な外装構造を問うものではない。ただし、係止爪111fと係止孔112b-2による上記の外装構造によれば、コネクタ端子W111の良好な収容を可能とし、アウターハウジング112の外装を作業性の良好な作業により行うことができる点は上述した通りである。尚、係止爪と係止孔との外装構造を設ける場合であっても、上述の実施形態とは逆に、インナーハウジングに係止孔を形成し、アウターハウジングに係止爪を形成することとしてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、インナーハウジング111における大サイズ収容室111bの開口を露出させる露出窓112a-4がマスク壁部分112aに設けられたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、大サイズ収容室や、その開口のための露出窓を設けず、小サイズの端子収容室や、その開口に対する通過孔や誘導凹部のみを設けることとしてもよい。ただし、小サイズの端子収容室だけでなく、大サイズ収容室に対応した構造を設けることで、複数種類の電気信号を伝達可能なコネクタを良好に構築することができる点は上述した通りである。また、大サイズ収容室111bに対応したマスク壁部分112aの構造を露出窓112a-4とすることで、アウターハウジング112の形状を単純化して加工の手間を軽減することができる点も上述した通りである。
【0054】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、アウターハウジング112のマスク壁部分112aに、ランス111a-1の係止を確認するための検査窓112a-3が形成されたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、このよう検査窓を特には設けないこととしてもよい。ただし、ランス111a-1の係止確認用の検査窓112a-3を設けることで質の高いコネクタC1を構築することができる点は上述した通りである。
【0055】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、インナーハウジング111に、一枚板状のレバー12を軸支するための軸突起111eが1つだけ設けられたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、アーム部を2つ備えたC字型レバーを設け、その軸支用に、インナーハウジングに一対の軸突起を設けることとしてもよい。ただし、一枚板状のレバー12を1つの軸突起111eで軸支する構造を採用することで、コネクタハウジング1の厚みを薄型化することができる点は上述した通りである。
【0056】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、端子移動規制用のスペーサ13を設け、インナーハウジング111に、その進入部111hとレバー12が重ならないように軸突起111eを設けたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、スペーサを設けないこととしてもよく、スペーサを設ける場合であっても、その進入部にレバーが重なるように軸突起を設けることとしてもよい。ただし、スペーサ13の進入部111hとレバー12が重ならないように軸突起111eを設けることで、一枚板状のレバー12をインナーハウジング111に良好に取り付けることができる点は上述した通りである。
【0057】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、軸受孔122aにおける扇孔部122a-2の内部に、軸突起111eの横枝部111e-2と干渉する干渉壁122a-3を設けたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、その具体的な軸支構造を問うものではない。ただし、軸受孔122aの干渉壁122a-3に軸突起111eの横枝部111e-2を干渉させる上記の軸支構造によれば、レバー12を良好に取付け可能で、そのレバー12の脱落を良好に防止することができる点は上述した通りである。
【0058】
また、上述した実施形態では、コネクタハウジングの一例として、レバー12を仮係止位置P11に留めるための第1レバー係止部122cと、本係止位置P12に留めるための第2レバー係止部122cを設けたコネクタハウジング1が例示されている。しかしながら、コネクタハウジングは、これに限るものではなく、レバーを仮係止位置や本係止位置に留めるための構造を特には設けないこととしてもよい。ただし、上記の第1レバー係止部122cや第2レバー係止部122cを設けることで、レバー12の位置を仮係止位置P11や本係止位置P12で安定させることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0059】
1 コネクタハウジング
11 ハウジング本体
12 レバー
12a 回動軸
13 スペーサ
111 インナーハウジング
111a 端子収容室
111a-1 ランス
111b 大サイズ収容室
111c 外周面
111c-1 面部分
111d 軸
111e 軸突起
111e-1 円柱部
111e-2 横枝部
111f 係止爪
111g 嵌合面
111h 進入部
112 アウターハウジング
112a マスク壁部分
112a-1 通過孔
112a-2 誘導凹部
112a-3 検査窓
112a-4 露出窓
112b 外筒部分
112b-1 対面部分
112b-2 係止孔
112b-3 被係止溝
112b-4 窓部分
121 被操作部
122 アーム部
122a 軸受孔
122a-1 円形孔部
122a-2 扇孔部
122a-3 干渉壁
122b カム溝
122c 第1レバー係止部
122d 第2レバー係止部
131 締付け規制部
C1 コネクタ
D11 回動方向
D12 コネクタ係止方向
D13 軸方向
P11 仮係止位置
P12 本係止位置
W1 ワイヤーハーネス
W11 端子付き電線
W111 コネクタ端子
W112 電線
W12 大サイズ端子付き電線
W121 大サイズ端子
W122 太電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9