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特許7509831フィルター構造体、空気清浄機用フィルター構造体及び空気清浄機の通気構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】フィルター構造体、空気清浄機用フィルター構造体及び空気清浄機の通気構造
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/10 20060101AFI20240625BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B01D46/10 B
B01D46/42 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022124554
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2018537321の分割
【原出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2022153637
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2016169011
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 晴加
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(72)【発明者】
【氏名】足立 将司
(72)【発明者】
【氏名】山岸 拓人
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3107028(JP,U)
【文献】特開2002-085927(JP,A)
【文献】特開2013-210162(JP,A)
【文献】特開2003-299919(JP,A)
【文献】特開平11-000513(JP,A)
【文献】特開2009-119362(JP,A)
【文献】特開2013-154325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/54
F24F 7/00-7/007
F24F 13/00-13/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部を切り取ったものを又は全部を対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのフィルター構造体(1)であって、
可撓性を有し、平面視において矩形形状のシート状よりなるフィルター本体(10)と、
前記フィルター本体の一方面において、粘着剤が塗布されて形成された粘着部(20)とを備え、
前記粘着部は、
前記矩形形状の一対の長辺の一方側の端縁部に沿って延びる第1の帯状部(21)と、
前記矩形形状の一対の長辺の他方側の端縁部に沿って延びる第2の帯状部(22)とを有し、
前記フィルター本体の通気量は、1500~5000cc/cm/secに設定されており、
前記フィルター本体の目付は、30~50g/mに設定されており、
前記フィルター構造体を貼着する前記対象物は、少なくともエアーコンディショナー及び空気清浄機の吸気口を含み、
更に、前記粘着部は、前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部に対して交差し、前記第1の帯状部から前記第2の帯状部にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔で形成された交差帯状部(31、35、36、83、84、85、86、93、94)を備え、
更に、前記粘着部は、
前記交差帯状部の少なくとも一部に重なり合うようにして設けられ、フィルター構造体の取り換え時期を示す標識状に粘着剤が塗布された標識部(32)と、
前記標識部の周囲に設けられ、粘着剤が塗布されていない輪郭部(33)とを含み、
更に、前記粘着部は、
前記矩形形状の一対の短辺の中央同士を結んで成り折り曲げて使用できる仮想線の前記第1の帯状部側に前記仮想線に沿って延びるように形成される第3の帯状部(23)と、
前記第2の帯状部側に前記仮想線に沿って延びるように形成される第4の帯状部(24)と、
前記第3の帯状部に対して、前記第1の帯状部側に離間して形成される第5の帯状部(25)と、
前記第4の帯状部に対して、前記第2の帯状部側に離間して形成される第6の帯状部(26)とを備え、
前記第3の帯状部は前記第1の帯状部より幅が太く、且つ、前記第4の帯状部は前記第2の帯状部より幅が太く形成され、
前記標識部は、前記第5の帯状部及び前記第6の帯状部により区画される中央付近の領域より外側の領域内に配置される、フィルター構造体。
【請求項2】
前記交差帯状部は、前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部に対して、45°及び135°の少なくとも一方の角度で交差する、請求項1記載のフィルター構造体。
【請求項3】
前記交差帯状部は、前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部に対して直交する、請求項1記載のフィルター構造体。
【請求項4】
一部を切り取ったものを又は全部を対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのフィルター構造体(1)であって、
可撓性を有し、平面視において矩形形状のシート状よりなるフィルター本体(10)と、
前記フィルター本体の一方面において、粘着剤が塗布されて形成された粘着部(20)とを備え、
前記粘着部は、
前記矩形形状の一対の長辺の一方側の端縁部に沿って延びる第1の帯状部(21)と、
前記矩形形状の一対の長辺の他方側の端縁部に沿って延びる第2の帯状部(22)とを有し、
前記フィルター本体の通気量は、1500~5000cc/cm/secに設定されており、
前記フィルター本体の目付は、30~50g/mに設定されており、
前記フィルター構造体を貼着する前記対象物は、少なくともエアーコンディショナー及び空気清浄機の吸気口を含み、
更に、前記粘着部は、前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部に対して交差し、前記第1の帯状部から前記第2の帯状部にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔で形成された交差帯状部(31、35、36、83、84、85、86、93、94)を備え、
前記交差帯状部は、前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部に対して直交し、
更に、前記粘着部は、
フィルター構造体の取り換え時期を示す標識状に粘着剤が塗布された標識部と、
前記標識部の周囲に設けられ、粘着剤が塗布されていない輪郭部とを含み、
前記標識部は、前記交差帯状部並びに前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部により囲まれた領域部分(B81、B82)に設けられると共に前記交差帯状部並びに前記第1の帯状部及び前記第2の帯状部と重なり合わないように設けられ、
前記標識部は、複数の標識要素から構成され、
前記領域部分には前記複数の標識要素が島状に散在するように形成されており、
ある一の前記領域部分内の前記複数の標識要素は、一のライン上に配置され、別の前記領域部分内の前記複数の標識要素は、別のライン上に配置され、前記一のラインと前記別のラインとは平行関係にあり、延長しても交わらないようずらして配置される、フィルター構造体。
【請求項5】
前記標識要素は、一辺が6~15mm且つ他辺が6~15mmである正方形又は長方形で形成される範囲内に収まる大きさである、請求項4記載のフィルター構造体。
【請求項6】
前記複数の標識要素は、最も近接する標識要素同士が、上下左右のいずれかに互いにずらした状態で設けられている、請求項5記載のフィルター構造体。
【請求項7】
前記フィルター本体は、抗菌加工及び抗ウイルス加工の少なくとも一方が施されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載のフィルター構造体。
【請求項8】
前記フィルター本体のサイズは、長辺が75~85cmに設定され、短辺が33~43cmに設定されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載のフィルター構造体。
【請求項9】
請求項4から請求項6及び請求項8のいずれかに記載のフィルター構造体において、
前記フィルター本体の長辺を、空気清浄機の背面吸気口(62)の縦の高さに合わせてカットしてなる、空気清浄機用フィルター構造体。
【請求項10】
請求項4から請求項6及び請求項8のいずれかに記載のフィルター構造体において、
前記フィルター本体の長辺を、空気清浄機の背面吸気口の横の幅に合わせてカットしてなる、空気清浄機用フィルター構造体。
【請求項11】
空気清浄機の通気構造(70)であって、
空気清浄機の背面に設けられ、縦33~55cm、幅19~38cmのサイズに設定されている背面吸気口と、
前記背面吸気口に位置合わせをして取り付けられた、請求項4から請求項6、請求項9及び請求項10のいずれかに記載の空気清浄機用フィルター構造体とを備える、空気清浄機の通気構造。
【請求項12】
空気清浄機の通気構造(70)であって、
空気清浄機の背面に設けられ、縦33~55cm、幅19~38cmのサイズに設定されており、直角四角形形状の開口が縦横に各々少なくとも複数個整列された状態で配置された背面吸気口と、
請求項2及び請求項4から請求項6のいずれかに記載のフィルター構造体の前記フィルター本体の長辺を、前記背面吸気口に位置合わせをして取り付けられた空気清浄機用フィルター構造体とを備える、空気清浄機の通気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はフィルター構造体、空気清浄機用フィルター構造体及び空気清浄機の通気構造に関し、特に、対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのフィルター構造体、空気清浄機用フィルター構造体及びこれを取り付けた空気清浄機の通気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クーラーやエアーコンディショナー、除湿機又は空気清浄機等の空気吸入面を有する機械にカバーを取り付けて、空気吸入面をはじめとする機械外部へのよごれの付着を防止することが提案されている。
【0003】
例えば、日本国特開平11-83069号公報では、カバー本体にひも又はひもの先端に面ファスナーを設けたものや、カバー本体にゴムを設けたものを、機械に対して脱着自在に装着する技術が開示されている。又、カバー本体に折り込み部分を設けて、様々なメーカーや機種のサイズの空気吸入面に対応することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開平11-83069号公報
【0005】
しかしながら、一般的に、エアーコンディショナーの空気吸入面のサイズのほうが、床置式の除湿機、空気清浄機の空気吸入面のサイズよりも大きいため、上述の従来技術では、除湿機、空気清浄機にカバーを装着する際には、相当程度折り込み部分を設けなければならない可能性があり、折り込み部分で空気吸入の抵抗が低下するおそれがある。
【0006】
又、特許文献1では、エアーコンディショナーと、空気清浄機との間で、カバーに求められる通気特性等は特に検討されていない。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、少なくともエアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に取り付け可能で、且つ、これら両方の機器にとって好ましい通気特性を備えたフィルター構造体、空気清浄機用フィルター構造体及び空気清浄機の通気構造を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるフィルター構造体は、一部を切り取ったものを又は全部を対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのフィルター構造体であって、可撓性を有し、平面視において矩形形状のシート状よりなるフィルター本体と、フィルター本体の一方面において、粘着剤が塗布されて形成された粘着部とを備え、粘着部は、矩形形状の一対の長辺の一方側の端縁部に沿って延びる第1の帯状部と、矩形形状の一対の長辺の他方側の端縁部に沿って延びる第2の帯状部とを有し、フィルター本体の通気量は、1500~5000cc/cm/secに設定されており、フィルター本体の目付は、30~50g/mに設定されており、フィルター構造体を貼着する対象物は、少なくともエアーコンディショナー及び空気清浄機の吸気口を含み、更に、粘着部は、第1の帯状部及び第2の帯状部に対して交差し、第1の帯状部から第2の帯状部にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔で形成された交差帯状部(31、35、36、83、84、85、86、93、94)を備え、更に、粘着部は、交差帯状部の少なくとも一部に重なり合うようにして設けられ、フィルター構造体の取り換え時期を示す標識状に粘着剤が塗布された標識部(32)と、標識部の周囲に設けられ、粘着剤が塗布されていない輪郭部(33)とを含み、更に、粘着部は、矩形形状の一対の短辺の中央同士を結んで成り折り曲げて使用できる仮想線の第1の帯状部側に仮想線に沿って延びるように形成される第3の帯状部(23)と、第2の帯状部側に仮想線に沿って延びるように形成される第4の帯状部(24)と、第3の帯状部に対して、第1の帯状部側に離間して形成される第5の帯状部(25)と、第4の帯状部に対して、第2の帯状部側に離間して形成される第6の帯状部(26)とを備え、第3の帯状部は第1の帯状部より幅が太く、且つ、第4の帯状部は第2の帯状部より幅が太く形成され、標識部は、第5の帯状部及び第6の帯状部により区画される中央付近の領域より外側の領域内に配置されるものである。
【0009】
このように構成すると、少なくともエアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に手軽に取り付け可能で、且つ、長辺周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、これら両方の機器の吸気を過度には妨げない。又、フィルター構造体の全域に亘って交差帯状部が対象部に粘着する。更に、使用に伴い、標識部の周囲の粘着剤が塗布されていない輪郭部に埃が付着する。更に、中央付近において粘着力を生じさせることができる。更に、中央付近において粘着力が生じる範囲を広げることができる。
【0016】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面における発明の構成において、交差帯状部は、第1の帯状部及び第2の帯状部に対して、45°及び135°の少なくとも一方の角度で交差するものである。
【0017】
このように構成すると、フィルター構造体を対象物に取り付けたとき、短辺端縁周辺からの空気の入り込みをより抑制することができる。
【0018】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面における発明の構成において、交差帯状部は、第1の帯状部及び第2の帯状部に対して直交するものである。
【0019】
このように構成すると、交差帯状部の格子部分で位置合わせをしてカットすることで、四方を粘着部で取り囲んだフィルター構造体を構成することができる。
【0022】
この発明の第4の局面におけるフィルター構造体は、一部を切り取ったものを又は全部を対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのフィルター構造体(1)であって、可撓性を有し、平面視において矩形形状のシート状よりなるフィルター本体(10)と、フィルター本体の一方面において、粘着剤が塗布されて形成された粘着部(20)とを備え、粘着部は、矩形形状の一対の長辺の一方側の端縁部に沿って延びる第1の帯状部(21)と、矩形形状の一対の長辺の他方側の端縁部に沿って延びる第2の帯状部(22)とを有し、フィルター本体の通気量は、1500~5000cc/cm/secに設定されており、フィルター本体の目付は、30~50g/mに設定されており、フィルター構造体を貼着する対象物は、少なくともエアーコンディショナー及び空気清浄機の吸気口を含み、更に、粘着部は、第1の帯状部及び第2の帯状部に対して交差し、第1の帯状部から第2の帯状部にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔で形成された交差帯状部(31、35、36、83、84、85、86、93、94)を備え、交差帯状部は、第1の帯状部及び第2の帯状部に対して直交し、更に、粘着部は、フィルター構造体の取り換え時期を示す標識状に粘着剤が塗布された標識部と、標識部の周囲に設けられ、粘着剤が塗布されていない輪郭部とを含み、標識部は、交差帯状部並びに第1の帯状部及び第2の帯状部により囲まれた領域部分に設けられると共に交差帯状部並びに第1の帯状部及び第2の帯状部と重なり合わないように設けられ、標識部は、複数の標識要素から構成され、領域部分には複数の標識要素が島状に散在するように形成されており、ある一の領域部分内の複数の標識要素は、一のライン上に配置され、別の領域部分内の複数の標識要素は、別のライン上に配置され、一のラインと別のラインとは平行関係にあり、延長しても交わらないようずらして配置されるものである。
【0023】
このように構成すると、少なくともエアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に手軽に取り付け可能で、且つ、長辺周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、これら両方の機器の吸気を過度には妨げない。又、フィルター構造体の全域に亘って交差帯状部が対象部に粘着する。更に、交差帯状部の格子部分で位置合わせをしてカットすることで、四方を粘着部で取り囲んだフィルター構造体を構成することができる。更に、使用に伴い、標識部の周囲の粘着剤が塗布されていない輪郭部に埃が付着する。更に、標識要素の位置関係を領域部分ごとにずらすことができる。
【0024】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第の局面における発明の構成において、標識要素は、一辺が6~15mm且つ他辺が6~15mmである正方形又は長方形で形成される範囲内に収まる大きさであるものである。
【0025】
このように構成すると、標識要素が空気清浄機の背面吸気口の格子の間を防ぐことを抑制でき、且つ使用が進んだときの標識要素の視認性が高まる。
【0026】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第の局面における発明の構成において、複数の標識要素は、最も近接する標識要素同士が、上下左右のいずれかに互いにずらした状態で設けられているものである。
【0027】
このように構成すると、より確実に標識部の標識要素の周囲に埃が付着する。
【0028】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の構成において、フィルター本体は、抗菌加工及び抗ウイルス加工の少なくとも一方が施されているものである。
【0029】
このように構成すると、菌又はウイルスの発生又は増殖を抑制することができる。
【0030】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の構成において、フィルター本体のサイズは、長辺が75~85cmに設定され、短辺が33~43cmに設定されているものである。
【0031】
このように構成すると、よく用いられるエアーコンディショナーの吸気口のサイズによく適合する。
【0032】
この発明の第の局面における空気清浄機用フィルター構造体は、第の局面から第の局面及び第の局面のいずれかにおけるフィルター構造体において、フィルター本体の長辺を、空気清浄機の背面吸気口の縦の高さに合わせてカットしてなる空気清浄機用フィルター構造体である。
【0033】
このように構成すると、フィルター本体の長辺のカット後の長さを高さとし、フィルター本体の短辺の長さを幅とした空気清浄機用フィルター構造体が得られる。
【0034】
この発明の第10の局面における空気清浄機用フィルター構造体は、第の局面から第の局面及び第の局面のいずれかにおけるフィルター構造体において、フィルター本体の長辺を、空気清浄機の背面吸気口の横の幅に合わせてカットしてなる空気清浄機用フィルター構造体である。
【0035】
このように構成すると、フィルター本体の短辺の長さを高さとし、フィルター本体の長辺のカット後の長さを幅とした空気清浄機用フィルター構造体が得られる。
【0036】
この発明の第11の局面における空気清浄機の通気構造は、空気清浄機の通気構造であって、空気清浄機の背面に設けられ、縦33~55cm、幅19~38cmのサイズに設定されている背面吸気口と、背面吸気口に位置合わせをして取り付けられた、第の局面から第の局面、第の局面及び第10の局面のいずれかにおける空気清浄機用フィルター構造体とを備えるものである。
【0037】
このように構成すると、フィルター本体の元の長辺に相当する部分の周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、これら両方の機器の吸気を過度には妨げない通気構造が得られる。
【0038】
この発明の第12の局面における空気清浄機の通気構造は、空気清浄機の通気構造であって、空気清浄機の背面に設けられ、縦33~55cm、幅19~38cmのサイズに設定されており、直角四角形形状の開口が縦横に各々少なくとも複数個整列された状態で配置された背面吸気口と、第の局面及び第の局面から第の局面のいずれかにおけるフィルター構造体のフィルター本体の長辺を、背面吸気口に位置合わせをして取り付けられた空気清浄機用フィルター構造体とを備えるものである。
【0039】
このように構成すると、空気清浄機用フィルター構造体が、背面吸気口の開口を縦方向又は横方向に連続して塞いでしまうことを回避することができる。
【0040】
以上説明したように、この発明の第1の局面におけるフィルター構造体は、少なくともエアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に手軽に取り付け可能で、且つ、長辺周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、これら両方の機器の吸気を過度には妨げないので、少なくともこれら両方の機器の運転上支障となることを抑制できる。又、フィルター構造体の全域に亘って交差帯状部が対象物に粘着するので、フィルター構造体の全域に亘って粘着力をより補強することができる。更に、使用が進むと標識部が埃によって浮き上がり、フィルター構造体の取り換え時期を示すことができる。更に、中央付近において粘着力を生じさせることができるため、中央付近でフィルター本体を折り曲げて使用するような場合において、対象物への固定がより確実なものとなる。更に、中央付近において粘着力が生じる範囲を広げることができるため、中央付近でフィルター本体を折り曲げて使用するような場合において、対象物への固定が更に確実なものとなる。
【0044】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面における発明の効果に加えて、短辺端縁周辺からの空気の入り込みをより抑制することができるので、埃が対象物内に侵入することを抑制することができる。
【0045】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面における発明の効果に加えて、交差帯状部の格子部分で位置合わせをしてカットすることで、四方を粘着部で取り囲んだフィルター構造体を構成することができるので、短辺端縁周辺からの空気の入り込みを略遮蔽することができる。
【0047】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、少なくともエアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に手軽に取り付け可能で、且つ、長辺周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、これら両方の機器の吸気を過度には妨げないので、少なくともこれら両方の機器の運転上支障となることを抑制できる。又、フィルター構造体の全域に亘って交差帯状部が対象部に粘着するので、フィルター構造体の全域に亘って粘着力をより補強することができる。更に、交差帯状部の格子部分で位置合わせをしてカットすることで、四方を粘着部で取り囲んだフィルター構造体を構成することができるので、短辺端縁周辺からの空気の入り込みを略遮蔽することができる。更に、使用が進むと標識部が埃によって浮き上がり、フィルター構造体の取り換え時期を示すことができる。更に、標識要素の位置関係を領域部分ごとにずらすことができるため、すべての標識要素がうまく浮き上がらなくなってしまうことを避けることができる。
【0048】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第の局面における発明の効果に加えて、標識要素が空気清浄機の背面吸気口の格子の間を防ぐことを抑制でき、且つ使用が進んだときの標識要素の視認性が高まるので、標識要素が、より確実にフィルター構造体の取り換え時期を示す標識として機能する。
【0049】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第の局面における発明の効果に加えて、より確実に標識部の標識要素の周囲に埃が付着するので、標識部の標識要素がうまく浮き上がらなくなってしまうことを避けることができる。
【0050】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、菌又はウイルスの発生又は増殖を抑制することができるので、衛生面で有利となる。
【0051】
この発明の第の局面におけるフィルター構造体は、第1の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、よく用いられるエアーコンディショナーの吸気口のサイズによく適合するので、メーカー・機種が異なるエアーコンディショナーの間で汎用性の高いフィルター構造体が得られる。
【0052】
この発明の第の局面における空気清浄機用フィルター構造体は、第の局面から第の局面及び第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、フィルター本体の長辺のカット後の長さを高さとし、フィルター本体の短辺の長さを幅とした空気清浄機用フィルター構造体が得られるので、第1の帯状部及び第2の帯状部により水平方向からの空気の入り込みを防ぐことができるフィルター構造体となる。
【0053】
この発明の第10の局面における空気清浄機用フィルター構造体は、第の局面から第の局面及び第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、フィルター本体の短辺の長さを高さとし、フィルター本体の長辺のカット後の長さを幅とした空気清浄機用フィルター構造体が得られるので、第1の帯状部及び第2の帯状部により上下方向からの空気の入り込みを防ぐことができるフィルター構造体となる。
【0054】
この発明の第11の局面における空気清浄機の通気構造は、第の局面から第の局面、第の局面及び第10の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、フィルター本体の元の長辺に相当する部分の周縁では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、空気清浄機の吸気を過度には妨げない通気構造が得られるので、空気清浄機の運転上支障となることを抑制できる。
【0055】
この発明の第12の局面における空気清浄機の通気構造は、第の局面及び第の局面から第の局面のいずれかにおける発明の効果に加えて、空気清浄機用フィルター構造体が、背面吸気口の開口を縦方向又は横方向に連続して塞いでしまうことを回避することができるので、背面吸気口において目詰まりが起こって、空気清浄機の運転上支障が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図である。
図2図1に示したII-IIラインの端面図である。
図3図2に示したX1部分の拡大図である。
図4】フィルター構造体をエアーコンディショナーに取り付ける取付工程を示す図である。
図5図4に示した取付工程に続く工程を示す図である。
図6】フィルター構造体の取付工程完了後のエアーコンディショナーの外観を示す模式図であり、(a)は、エアーコンディショナーの平面図を示し、(b)は、エアーコンディショナーの正面図を示している。
図7】空気清浄機の外観を示す図であり、(a)は、空気清浄機の正面側の外観形状を示しており、(b)は、空気清浄機の背面側の外観形状を示している。
図8】フィルター構造体を空気清浄機に取り付ける取付工程を示す図である。
図9図8に示した取付工程に続く工程を示す図である。
図10図8及び図9に示した取付工程により得られる空気清浄機の通気構造をより詳細に示す模式図である。
図11】この発明の第2の実施の形態による空気清浄機の通気構造の外観形状を示す平面図であって、図10に対応するものである。
図12】この発明の第3の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものである。
図13】この発明の第4の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものである。
図14】この発明の第5の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものである。
図15図14に示したフィルター構造体の底面図である。
図16】この発明の第6の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図14に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図2は、図1に示したII-IIラインの端面図であり、図3は、図2に示したX1部分の拡大図である。
【0058】
これらの図を参照して、フィルター構造体1は、一部を切り取ったものを又は全部をエアーコンディショナー及び空気清浄機等の対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのものであり、フィルター本体10と、粘着部20と、離型シート40とを備える。
【0059】
フィルター本体10は、可撓性を有する不織布等により構成されており、平面視において略矩形形状のシート状に形成される。フィルター本体10のサイズは、略矩形形状の長辺の長さW11が略80cmに設定され、短辺の長さW12が略38cmに設定されている。又、フィルター本体10には、光触媒の無機系薬剤が添加される抗ウイルス加工がなされており、ウイルスの発生を抑制することができ衛生面で有利である。又、フィルター本体10の通気量は、1500~5000cc/cm/secに設定されている。
【0060】
粘着部20は、フィルター本体10の一方面において、粘着剤(ウレタン系粘着剤等)が塗布されて形成される。
【0061】
粘着部20は、より具体的には、第1~第6の帯状部21~26と、交差帯状部31と、標識部32と、輪郭部33とを備える。
【0062】
第1の帯状部21は、フィルター本体10の略矩形形状の一対の長辺の一方側の端縁部11に沿って延びるように形成されている。又、第1の帯状部21の幅W21は、1.0cmに設定されている。
【0063】
第2の帯状部22は、フィルター本体10の略矩形形状の一対の長辺の他方側の端縁部12に沿って延びるように形成されている。又、第2の帯状部22の幅は、第1の帯状部21と同幅に設定されている。
【0064】
第3の帯状部23は、フィルター本体10の略矩形形状の一対の短辺の中央同士を結ぶ仮想線Lの第1の帯状部21側において仮想線Lに沿って延びるように形成されている。又、第3の帯状部23の幅W22は、2.0cmに設定されている。
【0065】
第4の帯状部24は、仮想線Lの第2の帯状部22側において仮想線Lに沿って延びるように形成されている。又、第4の帯状部24の幅は、第3の帯状部23と同幅に設定されている。
【0066】
第5の帯状部25は、第3の帯状部23に対して、第1の帯状部21側に離間して幅W23=1.0cmにて形成される。
【0067】
第6の帯状部26は、第4の帯状部24に対して、第2の帯状部22側に離間して第5の帯状部25と同幅で形成される。
【0068】
交差帯状部31では、第2の帯状部22に対して、θ=45°の角度で交差し、第1の帯状部21から第2の帯状部22にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔W31=6.0cmで形成されている。又、交差帯状部31の幅W32は、0.8cmに設定されている。
【0069】
標識部32は、交差帯状部31の少なくとも一部に重なり合うようにして設けられ、フィルター構造体1の取り換え時期を示す標識状、すなわち「とりかえてネ」の反転文字状に粘着剤が塗布されたものである。
【0070】
輪郭部33は、標識部32の周囲に設けられ、粘着剤が塗布されていない部分である。
【0071】
尚、粘着部20の面積のフィルター本体10の面積に対する割合は、約40%である。
【0072】
離型シート40は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製等の透明な合成樹脂からなるフィルムよりなる。離型シート40には、仮想線L上に延びる分離線41が設けられている。
【0073】
以上のようにフィルター構造体1を構成する効果については後述する。
【0074】
次に、フィルター構造体1をエアーコンディショナーに取り付ける場合について説明する。
【0075】
図4は、フィルター構造体をエアーコンディショナーに取り付ける取付工程を示す図であり、図5は、図4に示した取付工程に続く工程を示す図であり、図6は、フィルター構造体の取付工程完了後のエアーコンディショナーの外観を示す模式図であり、(a)は、エアーコンディショナーの平面図を示し、(b)は、エアーコンディショナーの正面図を示している。
【0076】
まず、図4及び図5を参照して、S11に示すように、フィルター構造体1を、仮想線L(図1参照)に沿って、山折りに折り曲げた状態で、離型シート40の分離線41に沿って、離型シート40の一方側40aを剥がして、粘着部20を露出させる。
【0077】
次に、S12に示すように、露出させた粘着部20を、エアーコンディショナー50の前面吸気口51に対向させて、矢印方向にフィルター構造体1を前面吸気口51に貼り付ける。
【0078】
次に、S13に示すように、更に、離型シート40の他方側40bを剥がして、上面吸気口52を覆うようにフィルター構造体1を取り付けると、S14に示すように取付完了状態となる。
【0079】
次に、図6の(a)及び(b)を参照して、取付完了状態では、フィルター構造体1を、エアーコンディショナーの前面吸気口及び上面吸気口を覆うように取り付けることができる。
【0080】
フィルター構造体1のフィルター本体10は、図1を用いて説明した通り、略矩形形状の長辺の長さW11が略80cmに設定され、短辺の長さW12が略38cmに設定されているため、よく用いられる家庭用のエアーコンディショナーの吸気口のサイズによく適合する。よって、メーカー・機種が異なるエアーコンディショナーの間で汎用性の高いフィルター構造体1が得られる。
【0081】
又、第3帯状部23及び第4帯状部24により、中央付近において粘着力を生じさせることができるため、中央付近でフィルター本体を折り曲げて使用するような場合において、対象物への固定がより確実なものとなる。
【0082】
更に、第5帯状部25及び第6帯状部26により、中央付近において粘着力が生じる範囲を広げることができるため、中央付近でフィルター本体を折り曲げて使用するような場合において、対象物への固定が更に確実なものとなる。
【0083】
又、このようにフィルター構造体1をエアーコンディショナーに取り付けた状態で、エアーコンディショナーを使用するにつれて、標識部32の周囲の粘着剤が塗布されていない部分、すなわち粘着部20が形成されていない部分に埃が付着する。そうすると、標識部32の「とりかえてネ」という文字が浮かび上がり、フィルター構造体1の取り換え時期を使用者に示すことができる。
【0084】
次に、フィルター構造体1を空気清浄機に取り付ける場合について説明する。
【0085】
図7は、空気清浄機の外観を示す図であり、(a)は、空気清浄機の正面側の外観形状を示しており、(b)は、空気清浄機の背面側の外観形状を示しており、図8は、フィルター構造体を空気清浄機に取り付ける取付工程を示す図であり、図9は、図8に示した取付工程に続く工程を示す図である。
【0086】
まず、図7の(a)及び(b)に示すように、空気清浄機60は、縦H61=64cm、幅W61=38cmに設定されている背面61と、背面61に設けられ、縦H62=45cm、幅W62=38cm(=W62)のサイズに設定されている背面吸気口62とを備える。背面吸気口62は、略直角四角形形状の開口が縦横に整列された状態で配置されてなる構成である。
【0087】
次に、図8及び図9を参照して、S21に示すように、フィルター本体10の長辺を、W15=45cmのサイズでカットして、カット後のフィルター本体15を準備する。
【0088】
次に、S22に示すように、カット後のフィルター本体15において、離型シート40を剥がして、粘着部20を露出させる。
【0089】
次に、S23に示すように、露出させた粘着部20を背面吸気口62に対向させて、矢印方向に、カット後のフィルター本体15を背面吸気口62に取り付けると、S24に示すように取り付けが完了し空気清浄機の通気構造70が完成する。
【0090】
図10は、図8及び図9に示した取付工程により得られる空気清浄機の通気構造をより詳細に示す模式図である。
【0091】
同図を参照して、上述したように、フィルター本体10の長辺を、ラインCにおいて空気清浄機の背面吸気口62の横の幅に合わせてカットし、元のフィルター本体10の長辺方向(すなわち、第1の帯状部及び第2の帯状部が伸びる方向)を背面吸気口62の上下方向に合わせて、カット後のフィルター構造体1を、背面吸気口62に取り付けて、図示したような空気清浄機の通気構造70を構成することができる。
【0092】
このように構成すると、フィルター本体の長辺のカット後の長さを高さとし、フィルター本体の短辺の長さを幅とした空気清浄機用フィルター構造体が得られる。よって、第1の帯状部及び第2の帯状部により水平方向からの空気の入り込みを防ぐことができるフィルター構造体となる。
【0093】
更に言えば、フィルター構造体の全域に亘って交差帯状部31が空気清浄機に粘着するので、フィルター構造体の全域に亘って粘着力をより補強することができる。
【0094】
又、フィルター本体10の元の長辺に相当する部分の周縁11a及び11b(すなわち第1の帯状部及び第2の帯状部に相当する部分)では塵埃の侵入をより確実に抑制できる一方で、空気清浄機の機器の吸気を過度には妨げない通気構造が得られるので、空気清浄機の運転上支障となることを抑制できる。
【0095】
又、交差帯状部31は、縦横方向に対して傾斜した斜め方向に形成されているので、背面吸気口62の開口を粘着部により縦方向又は横方向に連続して塞いでしまうことを回避することができる。このため、背面吸気口62において目詰まりが起こって、空気清浄機の運転上支障が生じることを抑制することができる。
【0096】
図11は、この発明の第2の実施の形態による空気清浄機の通気構造の外観形状を示す平面図であって、図10に対応するものである。
【0097】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0098】
同図を参照して、矢印Zにて背面吸気口62の上方向を示し、矢印Yにて背面吸気口62の水平方向を示している。この第2の実施の形態にあっては、空気清浄機の通気構造70は、元のフィルター本体10の長辺方向(すなわち、第1の帯状部及び第2の帯状部が伸びる方向)を背面吸気口62の上下方向に合わせて構成される。
【0099】
すなわち、空気清浄機の通気構造70に用いられている空気清浄機用フィルター構造体は、フィルター本体の長辺を、空気清浄機の背面吸気口の縦の高さに合わせてカットしてなる構成である。
【0100】
よって、第1の帯状部及び第2の帯状部により水平方向からの空気の入り込みを防ぐことができる空気清浄機用フィルター構造体となる。
【0101】
図12は、この発明の第3の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものである。
【0102】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0103】
同図を参照して、この第3の実施の形態にあっては、第1の実施の形態における交差帯状部31を、交差帯状部35に置き換えている。
【0104】
交差帯状部35は、第2の帯状部22(第1の帯状部21)に対して、略45°及び略135°のそれぞれの角度で交差する構成である。言い換えれば、交差帯状部35は、X字状の格子形状を有する。このため、第1の実施の形態のものと比べて、より粘着力を補強することができる。又、このような構成によれば、短辺端縁周辺からの空気の入り込みをより抑制することができるので、埃が対象物内に侵入することを抑制することができる。
【0105】
図13は、この発明の第4の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものである。
【0106】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0107】
同図を参照して、この第4の実施の形態にあっては、第1の実施の形態における交差帯状部31を、交差帯状部36に置き換えている。
【0108】
交差帯状部36は、第2の帯状部22(第1の帯状部21)に対して、略直交し、第1の帯状部21から第2の帯状部22にかけて延びる帯が、長辺方向に所定の間隔で形成されてなる構成である。言い換えれば、交差帯状部36は、I字状の堅格子形状を有する。このような構成によれば、交差帯状部36の格子部分で位置合わせをしてカットすることで、四方を粘着部20で取り囲んだフィルター構造体を構成することができるので、短辺端縁周辺からの空気の入り込みを略遮蔽することができる。
【0109】
上記の各実施の形態では特定の寸法を有するフィルター構造体について説明したが、これに限られない。例えば、フィルター本体のサイズは、長辺が75~85cmに設定され、短辺が33~43cmに設定されていることが好ましい。フィルター本体のサイズを、この範囲に設定することで、よく用いられるエアーコンディショナーの吸気口のサイズによく適合するので、メーカー・機種が異なるエアーコンディショナーの間で汎用性の高いフィルター構造体が得られる。
【0110】
又、上記の各実施の形態では説明しなかったが、第2~第6の帯状部及び交差帯状部、標識部及び輪郭部の一部又は全部を省略してもよい。
【0111】
更に、上記の各実施の形態では、フィルター本体に抗ウイルス加工が施されていることについて説明したが、これに限られない。フィルター本体には、抗菌加工及び抗ウイルス加工の少なくとも一方が施されていればよい。又、これらの加工は、上述したような光触媒等の無機系薬剤によるものでも、有機系薬剤によるものでも、或いはこれらの組み合わせでもよく、特に制限はない。又、例えば、光触媒を構成する酸化チタン粒子に銅を担持したものを用いてもよい。これにより菌又はウイルスの発生又は増殖を抑制することができる。
【0112】
更に、上記の各実施の形態では特に説明しなかったが、空気清浄機の背面吸気口のサイズは、幅(W62)24、25、26、30、33cm、縦(H62)38、40cmの組み合わせのものが多く、概ね縦33~45cm、幅19~38cmのサイズに設定されているといえる。フィルター構造体を空気清浄機の背面吸気口に取り付ける際には、これらのサイズに合わせてフィルター本体をカットすればよい。尚、背面吸気口に取り付ける際には、背面吸気口を完全に覆うサイズであれば背面吸気口と同じサイズにカットしてもよいし背面吸気口よりも大きめのサイズにカットしてもよいが、第1の帯状部と第2の帯状部が背面吸気口の一部にかかることによる空気清浄機の吸気への影響を極力減らすためには、背面吸気口よりも大きめのサイズにカットする方が好ましい。
【0113】
更に、上記の各実施の形態では、対象物に応じてカットすることで、エアーコンディショナーと、空気清浄機との両方の機器に手軽に取り付け可能なようにフィルター本体のサイズを長辺の長さW11が略80cmに設定され、短辺の長さW12が略38cmに設定されていたが、これに限られない。フィルター本体のサイズは、特定の空気清浄機の背面吸気口のサイズに合わせて設定されていてもよい。すなわち、カットしなくても空気清浄機の吸気口のサイズにのみ合致するようにフィルター本体のそれぞれの長さを適宜設定してもよい。
【0114】
更に、上記の各実施の形態では特に説明しなかったが、空気清浄機の背面及び背面吸気口は、粘着剤による接着の観点から言えば、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)などの合成樹脂からなる部材により構成されていることが好ましい。
【0115】
更に、上記の第1の実施の形態では、粘着部がウレタン系粘着剤からなることを説明したがこれに限られない。粘着部を、アクリル系粘着剤又はシリコーン系粘着剤等により形成してもよい。
【0116】
更に、上記の第1の実施の形態では、粘着部の面積のフィルター本体の面積に対する割合は、約40%である旨を説明したが、これに限られない。上記割合は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましい。
【0117】
図14は、この発明の第5の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図1に対応するものであり、図15は、図14に示したフィルター構造体の底面図である。
【0118】
尚、説明に当たっては、第1の実施の形態によるものとの共通点及び相違点を中心に説明する。
【0119】
これらの図を参照して、この第5の実施の形態にあっては、フィルター構造体80は、一部を切り取ったものを又は全部を空気清浄機等の対象物に貼着して、通過する気体をろ過するためのものであり、フィルター本体10と、粘着部20とを備え、粘着部20が、第1の帯状部21及び第2の帯状部22を備える点で第1の実施の形態におけるフィルター構造体1と共通する。
【0120】
以下、フィルター構造体80に特有の構成について説明する。粘着部20は、更に、第1の帯状部21及び第2の帯状部22に対して平行に延びる第3の帯状部81及び第4の帯状部82と、第1の帯状部21、第2の帯状部22、第3の帯状部81及び第4の帯状部82に対して略直交するように延びる交差帯状部83、84、85及び86とを備える。
【0121】
そして、フィルター構造体80のサイズは以下の通り設定されている。
【0122】
交差帯状部83、84、85及び86の幅(H90):10.0mm
フィルター本体10の長辺の長さ(H80) :560.0mm
交差帯状部83の外方端から交差帯状部86の外方端までの長さ(H81):550.0mm
交差帯状部84の外方端から交差帯状部86の外方端までの長さ(H82):440.0mm
交差帯状部85の外方端から交差帯状部86の外方端までの長さ(H83):380.0mm
交差帯状部83の内方端から交差帯状部86の内方端までの長さ(H84):530.0mm
交差帯状部84の内方端から交差帯状部86の内方端までの長さ(H85):420.0mm
交差帯状部85の内方端から交差帯状部86の内方端までの長さ(H86):360.0mm
第1の帯状部21、第2の帯状部22、第3の帯状部81及び第4の帯状部82の幅(W90):10.0mm
フィルター本体10の短辺の長さ(W80):380.0mm
第1の帯状部21の外方端から第2の帯状部22の外方端までの長さ(W81):370.0mm
第1の帯状部21の外方端から第3の帯状部81の外方端までの長さ(W82):350.0mm
第1の帯状部21の外方端から第4の帯状部82の外方端までの長さ(W83):270.0mm
第1の帯状部21の内方端から第2の帯状部22の内方端までの長さ(W84):350.0mm
第1の帯状部21の内方端から第3の帯状部81の内方端までの長さ(W85):330.0mm
第1の帯状部21の内方端から第4の帯状部82の内方端までの長さ(W86):250.0mm
このように設定する効果について説明すると以下の通りである。
【0123】
まず、空気清浄機の背面吸気口のサイズは大別すると、250mm×360mm、330mm×420mm、350mm×530mmの3種類のものがよく見受けられる。
【0124】
これら3種類のサイズの背面吸気口の外周部分で接着剤による接着を行おうとすると、粘着剤の幅を10.0mmとすると、粘着部20の外郭のサイズは、270mm×380mm、350mm×440mm、370mm×550mmと設定すればよく、上述のH81~H86、W81~W86の各サイズはこれに適合するような設定となっている。
【0125】
尚、フィルター構造体80の製造上、原反を切り出して製造するが、粘着剤が塗布された箇所では裁断しないので、フィルター本体10全体のサイズは、耳となる部分を両サイド5mmずつ設けた380mm(W80)×560mm(H80)となる。
【0126】
空気清浄機の背面吸気口への取り付けに際しては、フィルター構造体80を、上述したような空気清浄機の背面吸気口の縦又は横のサイズに応じて、帯状部(21、22、81、82)及び交差帯状部(83~86)に沿って切断すれば、空気清浄機の背面吸気口の周囲を取り囲むような粘着パターンが得られる。
【0127】
図16は、この発明の第6の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示した平面図であり、図14に対応するものである。
【0128】
尚、説明に当たっては、基本的には第5の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0129】
同図を参照して、この第6の実施の形態にあっては、第5の実施の形態における粘着部20において、更に、第1の帯状部21等に対して平行に延びる第5の帯状部91及び第6の帯状部92と、第1の帯状部21等に対して略直交するように延びる交差帯状部93、94と、帯状部(21、91、92、82、81、22)及び交差帯状部(83、84、85、94、93、86)により囲まれる各領域部分内に設けられる標識部95とを備える。
【0130】
第5の帯状部91及び第6の帯状部92は、それぞれ、フィルター本体10の略矩形形状の一対の短辺の中央同士を結ぶ中心線に関し、第3の帯状部81及び第4の帯状部82と線対称になるように配置される。
【0131】
交差帯状部93、94は、それぞれ、フィルター本体10の略矩形形状の一対の長辺の中央同士を結ぶ中心線に関し、交差帯状部84、85と線対称になるように配置される。
【0132】
標識部95は、複数のハート形状により構成され、使用が進むと標識部95のハート形状の周囲に埃が付着することで標識部95のハート形状が浮き上がり、フィルター構造体80の取り換え時期を示すことができる。このハート形状のサイズは、特に制限はないが、13mm×13mmに設定することが好ましい。
【0133】
このようにハート形状のサイズを設定することの効果について以下に説明する。
【0134】
まず、空気清浄機の背面吸気口は略直角四角形形状の開口が縦横に複数個整列された状態で配置された格子状に形成されていることが多く、その格子状の格子サイズは、15mm×15mmに設定されていることがある。
【0135】
このような15mm×15mmの格子サイズの場合、格子間の隙間を塞いでしまわないように標識部95のハート形状のサイズは、15mm×15mm以下に設定することが好ましいといえる。一方、使用が進み、ハート形状が浮き上がった際の視認性を考慮すると、ハート形状のサイズは、縦7mm×横6mm又は縦6mm×横7mmよりも大きいことが好ましい。以上より、ハート形状のサイズは、縦7mm×横6mm又は縦6mm×横7mm、或いは、縦7mm×横7mm~縦15mm×横15mmに設定することが好ましいと言える。
【0136】
又、標識部95に含まれる各ハート形状は、それぞれの領域部分内において千鳥状に帯状部(21、91、92、82、81、22)及び交差帯状部(83、84、85、94、93、86)とは重なり合わないように配置される。ここで、例えば、ある領域部分B81内のハート形状は、斜め45°のラインL81上に配置され、別の領域部分B82内のハート形状は、斜め45°のラインL82上に配置されるが、ラインL81とライン82とは平行関係にあり、延長しても交わらないようずらして配置される。
【0137】
ここで、フィルター構造体80を空気清浄機の背面吸気口に取り付ける際、空気清浄機の背面吸気口は格子との位置関係によっては、使用が進んでもハート形状がうまく浮き上がらないことがある。上述の通り配置することで、ハート形状と空気清浄機の背面吸気口の格子との位置関係を領域部分ごとにずらすことができるため、すべてのハート形状がうまく浮き上がらなくなってしまうことを避けることができる。
【0138】
尚、上記の第5の実施の形態及び上記の第6の実施の形態では、特定の数の帯状部及び交差帯状部から構成されるフィルター構造体について説明したが、その数に制限はない。例えば、上記の第5の実施の形態において、上記の第6の実施の形態と同じような帯状部及び交差帯状部を設けることも可能である。
【0139】
又、上記の第6の実施の形態では、標識部は複数のハート形状により構成されていたがこれに限られない。標識部は、フィルター構造体の取り換え時期を示す標識状に粘着剤が塗布されたものであれば、他の模様、文字等の標識要素から構成されていてもよい。又、標識要素は、一辺が6~15mm且つ他辺が6~15mmである正方形又は長方形で形成される範囲内に収まる大きさであってもよい。このように構成すると、標識要素が空気清浄機の背面吸気口の格子の間を防ぐことを抑制でき、且つ使用が進んだときの標識要素の視認性が高まる。これにより、標識要素が、より確実にフィルター構造体の取り換え時期を示す標識として機能する。
【0140】
更に、上記の第6の実施の形態では、複数のハート形状は、各領域部分において千鳥状に配置されていたが、これに限られない。複数のハート形状は、互いに離間して配置されるように構成することができる。すなわち、領域部分には複数のハート形状が島状に散在するように形成されていてもよい。
【0141】
更に、上記の第6の実施の形態では、複数のハート形状は、特定のライン上に配置されていたが、これに限られない。複数のハート形状は、最も近接するハート形状同士が、上下左右のいずれかに互いにずらした状態で設けられているような構成を採用することができる。より確実に標識部の標識要素の周囲に埃が付着するので、標識部の標識要素がうまく浮き上がらなくなってしまうことを避けることができる。
【0142】
更に、上記の第5の実施の形態及び上記の第6の実施の形態では特に説明しなかったが、フィルター構造体は、上記の第1の実施の形態で説明したように、エアーコンディショナー用のサイズに形成されたものを、所定のサイズでカットしてなるものであってもよい。
【実施例
【0143】
以下、実施例に基づいて本発明について具体的に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
I.試験に用いたフィルター構造体の構成
実施例及び比較例として、上述したような不織布からなるフィルター本体に、図1に示したようなパターンの粘着部が形成されたフィルター構造体で、目付及び通気量が異なるものを合わせて7種準備した。
【0144】
実施例1~実施例4は、JIS L 1096 A法(フラジール法)に基づき計測されるフィルター本体の通気量が1500~5000cc/cm/secの範囲に収まるように構成されたものである。
【0145】
比較例1~3は、いずれも通気量が1500cc/cm/sec未満のものを準備した。
【0146】
それぞれのサイズは以下の通りである。
【0147】
・長辺の長さ : 約80cm
・短辺の長さ : 約38cm
II.試験の詳細及び結果
以上の7種のフィルター構造体を用いて、それぞれ、以下に示すように、エアーコンディショナー及び空気清浄機の対象機種に対して、適宜寸法合わせしてカットしたものを取り付け、以下の試験を行った。
1.対象機種
・エアーコンディショナー
ダイキン工業株式会社社製 製品番号:F22CTES-W
・空気清浄機
シャープ株式会社社製 製品番号:KI-FX55-W
外形寸法(mm) :幅392×奥行265×高さ635
背面吸込口寸法(mm):幅227×高さ345
2.試験内容
(1)エアーコンディショナーについて
・異音感知試験
エアーコンディショナーにフィルター構造体を取り付けた後、運転を開始し、20分程度の間、通常の運転音とは異なるような異音が発生していないか否かを官能試験により確認した。
(2)空気清浄機について
・異音感知試験
空気清浄機の背面吸気口に、この背面吸気口を完全に覆うように背面吸気口より大きめのサイズ(幅:約26cm×縦:約38cm)となるようにカットしたフィルター構造体を取り付けた後、運転を開始し、通常の運転音とは異なるような異音が発生していないか否かを官能試験により確認した。尚、フィルター構造体は、第2の実施の形態のようにフィルター本体の長辺を空気清浄機の背面吸気口の縦の高さに合わせてカットした。
・お掃除サイン確認試験
空気清浄機にフィルター構造体を取り付けた後、運転開始後、お掃除サインが点灯するか否かを確認した。対象機種では、フィルターに目詰まりが起こっているような場合、お掃除サインが点灯する。点灯すればフィルター構造体の通気性が低いと考えられる。
【0148】
結果は以下の表1に示す通りであった。
【0149】
【表1】
表1を参照して、エアーコンディショナーの異常の列では、異音感知試験にて、エアーコンディショナーの異音が確認されなかったものは、○印とし、異音が確認されたものは×印としている。
【0150】
又、空気清浄機の異常の列では、異音感知試験にて、異音が確認されなかったものは、○印とし、異音が確認されたものは×印としている。又、お掃除サイン確認試験にて、お掃除サインが点灯しなかったものは、○印とし、お掃除サインが点灯したものは、×印としている。
【0151】
そして、試験結果において、エアーコンディショナーの異常及び空気清浄機のいずれにおいても異常が発生しなかったものを○と評価し、いずれかにおいて異常が発生したものは×と評価した。
【0152】
これにより、通気量1500cc/cm/sec以上が設定されている実施例1~4については、いずれも○の評価となった。
【0153】
一方、通気量1342cc/cm/secの比較例5については、エアーコンディショナーの異常は発生しなかったが、空気清浄機のお掃除サイン確認試験にてお掃除サインが点灯したため、×の評価となった。
【0154】
又、通気量865cc/cm/secの比較例6及び比較例7については、いずれもエアーコンディショナーの異常が発生し、且つ、空気清浄機のお掃除サイン確認試験でも異常が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上のように、本発明に係る空気清浄機用フィルター構造体及びこれを取り付けた空気清浄機の通気構造は、例えば、対象物に貼着して、通過する気体をろ過するのに適している。
図1
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