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特許7509840表面上の悪臭を低減するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】表面上の悪臭を低減するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20240625BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61L9/01 H
A61L9/01 J
A61L9/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022150856
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2020523995の分割
【原出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2022188115
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】62/581,034
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】バイアス、ラーウル
(72)【発明者】
【氏名】チャウハン、ガリマ
(72)【発明者】
【氏名】カノルカール、マドフリ
(72)【発明者】
【氏名】サイニ、ゴーラブ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-514151(JP,A)
【文献】特表2016-506783(JP,A)
【文献】特表2016-510227(JP,A)
【文献】特開2015-037574(JP,A)
【文献】特表2015-525093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 8/50
B60H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上の悪臭を低減する方法であって、
a)透過性材料を含む表面であって、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物がその上に配置されている表面を包含する環境内に装置を提供する工程であって、前記装置が、空気清涼組成物の65重量%~100重量%の、摂氏25度で少なくとも0.025トルの蒸気圧を有する揮発性カルボニル含有化合物を有する揮発性材料を含む、空気清涼組成物を含み、前記揮発性材料は液体揮発性組成物であり、かつ、該装置を提供する工程が、前記揮発性材料を含む空気清涼組成物のためのリザーバを提供することを含み、前記リザーバが、開口部と、前記リザーバの前記開口部を封止可能に覆う膜と、を包含し、前記膜が、前記揮発性材料と接触する第1の表面と、前記環境に面し、かつ前記揮発性材料から離れている第2の表面と、を含む、提供する工程と、
b)前記揮発性カルボニル含有化合物が、気化及び前記表面の少なくとも一部分上で堆積するように、前記揮発性材料を前記環境に、前記膜を湿潤させることにより曝露する工程と、を含み、
前記揮発性カルボニル含有化合物が、前記悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受ける、方法。
【請求項2】
工程(b)で生成された反応生成物によって前記悪臭含有化合物を中和し、それによって、前記表面上の前記悪臭を低減する工程(c)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性カルボニル含有化合物の前記蒸気圧が、摂氏25度で30トル以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記揮発性カルボニル含有化合物が、揮発性アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記揮発性カルボニル含有化合物が、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール、ベンズアルデヒド、4-プロパン-2-イルベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、(E)-ヘキセ-2-エナール、(2E,6Z)-ドデカ-2,6-ジエナール、ノナ-2-エナール、2,4,6トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)-2,2-ジメチルプロパナール、ノナナール、(E)-デカ-4-エナール、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール、(Z)-ノナ-6-エナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタナール、3,7-ジメチルオクタ-6-エナール、2-メチルデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、ウンデカ-10-エナール、4,8-ジメチルデカ-4,9-ジエナール、オクタナール、ウンデカナール、デカナール、ウンデカ-9-エナール、6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)プロパナール、4,7メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つの揮発性アルデヒドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記揮発性カルボニル含有化合物が、2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジオン、1-フェニルエタノン、ペンタン-2,3-ジオン、4-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、(1S,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、(1R,5R)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、3-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン、(5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エタンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エテンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-フェニルブタン-2-オン、3-メチルブチル3-オキソブタノエート、3-ヒドロキシブタン-2-オン、(Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタ-3-エン-2-オン、3-オキソブタン-2-イルアセテート、メチル3-オキソブタノエート、エチル3-オキソブタノエート、(2R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1-オン、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタンノン、(2S,5S)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オン、2-シクロペンチルシクロペンタン-1-オン、(1S,4R,5R)-4-メチル-1-プロパン-2-イルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン、4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン、オクタン-2-オン、(1S,4R)-2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、ヘプタン-2-オン、2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、5-メチルヘプタン-3-オン、オクタン-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つのケトンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記揮発性カルボニル含有化合物が、前記揮発性材料の0.01重量%以上~25重量%以下の量である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記透過性材料が、布地、乾燥壁、織布、紙、天然ポリマー、合成ポリマー、及び無機材料、並びにこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記揮発性材料が、アコードA、アコードB、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、揮発性アルデヒド混合物を含み、
前記アコードAは、揮発性材料の1重量%~4重量%の(E)-ヘキセ-2-エナール、揮発性材料の4重量%~8重量%の2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド及び3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルボアルデヒド、揮発性材料の7重量%~12重量%のオクタナール、揮発性材料の10重量%~20重量%の2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、揮発性材料の10重量%~20重量%の2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、揮発性材料の0.1重量%~0.3重量%の(Z)-ノナ-6-エナール、揮発性材料の0.3重量%~1.0重量%の(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、揮発性材料の8重量%~13重量%のベンズアルデヒド、揮発性材料の7重量%~12重量%の(2E)-3,7‐ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、揮発性材料の10重量%~20重量%デカナール及び揮発性材料の10重量%~20重量%の4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒドを含み、但しアコードAは合計が揮発性材料に対し100重量%となるように前記成分を含む、かつ、
前記アコードBは、揮発性材料の0.5重量%~2重量%の(E)-ヘキセ-2-エナール、揮発性材料の3重量%~10重量%のオクタナール、揮発性材料の1重量%~5重量%の2-メチルウンデカナール、揮発性材料の10重量%~20重量%のベンズアルデヒド、揮発性材料の3重量%~8重量%の2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、揮発性材料の9重量%~15重量%の2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、揮発性材料の1重量%~3重量%のノナナール、揮発性材料の5重量%~10重量%の2,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、揮発性材料の0.2質量%~1.2質量%の(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、揮発性材料の7重量%~15重量%デカナール、揮発性材料の10重量%~20重量%の(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、揮発性材料の1重量%~5重量%のウンデカ-10-エナール、揮発性材料の1重量%~6重量%のドデカナール及び揮発性材料の10重量%~20重量%の4-メトキシベンズアルデヒドを含み、但しアコードBは合計が揮発性材料に対し100重量%となるように前記成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
透過性材料を含む表面上の悪臭を低減するための、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物がその上に配置されている表面を包含する環境内に提供される装置であって、
フレーム開口部から離間されている1つ以上の開口を有する後部フレームを備える、ハウジングと、
前記後部フレームに対して移動可能なアクチュエータと、
前記ハウジング内に配設された容器であって、前記容器が、空気清涼組成物の65重量%~100重量%の、摂氏25度で0.025トル以上の蒸気圧を有する揮発性カルボニル含有化合物を含有する、揮発性材料を含む空気清涼組成物を収容するリザーバと、開口部と、前記開口部に取り付けられ、かつ前記開口部を覆う、破裂可能な基材と、前記開口部を封止可能に覆う膜と、前記アクチュエータと位置合わせされた破裂要素と、を含む、容器と、を備え、ここで前記膜が、前記揮発性材料と接触する第1の表面と、前記環境に面し、かつ前記揮発性材料から離れている第2の表面と、を含み、前記揮発性材料は液体揮発性組成物であり、
前記アクチュエータの作動時に、前記破裂要素が、前記破裂可能な基材を破裂させ、それによって、前記揮発性カルボニル含有化合物を包含する前記揮発性材料の少なくとも一部が前記膜を湿潤させた後に、気化し、かつ前記装置を出て、前記環境に入り、
前記揮発性材料の前記揮発性カルボニル含有化合物が、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受けることができる、装置。
【請求項11】
前記アクチュエータが、前記後部フレームのフレーム開口部内に移動可能に配設された押しボタンであり、前記装置が、前記破裂可能な基材に隣接して配設されており、かつ前記押しボタンと位置合わせされている膜を包含する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記揮発性カルボニル含有化合物が、揮発性アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択されており、前記揮発性アルデヒドの少なくとも1つの揮発性アルデヒドが、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール、ベンズアルデヒド、4-プロパン-2-イルベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、(E)-ヘキセ-2-エナール、(2E,6Z)-ドデカ-2,6-ジエナール、ノナ-2-エナール、2,4,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)-2,2-ジメチルプロパナール、ノナナール、(E)-デカ-4-エナール、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール、(Z)-ノナ-6-エナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタナール、3,7-ジメチルオクタ-6-エナール、2-メチルデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、ウンデカ-10-エナール、4,8-ジメチルデカ-4,9-ジエナール、オクタナール、ウンデカナール、デカナール、ウンデカ-9-エナール、6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)プロパナール、4,7メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物からなる群から選択されており、前記ケトンの少なくとも1つのケトンが、2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジオン、1-フェニルエタノン、ペンタン-2,3-ジオン、4-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、(1S,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、(1R,5R)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、3-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン、(5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エタンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エテンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-フェニルブタン-2-オン、3-メチルブチル3-オキソブタノエート、3-ヒドロキシブタン-2-オン、(Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタ-3-エン-2-オン、3-オキソブタン-2-イルアセテート、メチル3-オキソブタノエート、エチル3-オキソブタノエート、(2R,5R)-2-メチル -5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1-オン、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタンノン、(2S,5S)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オン、2-シクロペンチルシクロペンタン-1-オン、(1S,4R,5R)-4-メチル-1-プロパン-2-イルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン、4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン、オクタン-2-オン、(1S,4R)-2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、ヘプタン-2-オン、2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、5-メチルヘプタン-3-オン、オクタン-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項10又は11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉環境内の悪臭を低減するための装置及び方法、並びに表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭及び車両などの内部空間における悪臭は、限定されるものではないが、煙霧、食品、調理、並びにヒト及びペットによって発散される排泄物を含む、一次悪臭源(悪臭を実際に生成する源)に典型的には由来する。しかしながら、悪臭はまた、悪臭分子が二次悪臭源から空気中に放出される場合、二次悪臭源(一次悪臭源によって生成される悪臭を誘引及び/又は保持する源)によっても引き起こされ得る。例えば、悪臭分子は、カーペット、布地、車の座席、室内装飾品などのような表面内又は表面上に閉じ込められる場合があり、悪臭分子を含有するそのような表面は、二次悪臭源となる。悪臭分子はまた、壁紙を含む、壁などの壁表面に堆積して、付加的又は代替的な二次悪臭源を生成する場合がある。これら及び他の二次悪臭源は、臭気のサイクルを生成し、密閉空間内の全体的な悪臭の一因となり得、多くの場合、消費者が長引く又は背景悪臭として知覚する原因である。スプレー、キャンドル、油、及びゲルの形態の空気清涼剤は、一般に、空気中の悪臭を覆うために香料を使用する。しかしながら、このような製品は、概して、悪臭が二次悪臭源によって空気中に再導入されることを防止するようには意図されていない。このため、これらの既知の空気清涼製品は、二次悪臭源が空気中に悪臭を放出することを防止することができないだけでなく、二次悪臭源(例えば、壁紙若しくは布地上の染み)に直接適用される場合、又は高濃度の空気清涼製品(例えば、圧倒的な香り)で空間を充填することによって間接的に適用される場合、潜在的に負の副作用を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、密閉空間内の悪臭を低減する方法が依然として必要とされている。加えて、二次悪臭源が、悪臭を空気中に放出することを低減する方法が依然として必要とされている。また、表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、表面上の悪臭を低減する方法に関し、本方法は、
a)透過性材料を含む表面であって、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物がその上に配置されている表面を包含する環境内に装置を提供することであって、装置が、摂氏25度で少なくとも0.025トルの蒸気圧を有する揮発性カルボニル含有化合物を有する揮発性材料を含む、提供する工程と、
b)揮発性カルボニル含有化合物が、気化及び表面の少なくとも一部分上で堆積するように、揮発性材料を環境に曝露する工程と、を含み、
揮発性カルボニル含有化合物は、悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受ける。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための装置の構成要素の斜視図である。
図2】装置が支持体上に配置されているとき、図1に示される装置の水平配向における側断面図である。
図3】装置が支持体上に配置されているとき、図1に示される装置の垂直配向における側断面図である。
図4】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための装置の変形例の前方斜視図である。
図5図4の装置の後方斜視図である。
図6図4の装置の構成部品の斜視図である。
図7図4の装置の側部断面図である。
図8】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための装置の変形例である。
図9A】作動前の、本発明による無生物表面上の悪臭を低減するための装置の変形例の側部断面図である。
図9B】作動後の、図9Aの装置の側部断面図である。
図9C】自動車環境内で使用されている、図9A及び図9Bの装置の正面斜視図である。
図10】表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証するためのキットの概略図である。
図11】pH指示薬と、pH指示薬が変色する近似のpH範囲及びその色の変化との間の関係を示すグラフである。
図12】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証する方法のフローチャートである。
図13A】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証するための製品実証プロセス図である。
図13B】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証するための製品実証プロセス図である。
図13C】本発明による、無生物表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証するための製品実証プロセス図である。
図14】悪臭中和試験方法による、試料配置の概略図である。
図15】悪臭性能試験方法による、試料配置の概略図である。
図16】比較試料A及び本発明の試料Aのガスクロマトグラフィ質量分析計(gas chromatography mass spectrography、GCMS)応答単位をプロットしたグラフである。
図17】比較試料A及び本発明の試料Aのクロマトグラフである。
図18】比較試料B及び本発明の試料BのGCMS応答単位をプロットしたグラフである。
図19】比較試料B及び本発明の試料Bのクロマトグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
密閉空間内で作成する、及び/又は密閉空間内に含まれる材料は、空気中の臭気の存在において重要な役割を果たすことが見出されている。具体的には、アミン及びチオールなどの悪臭化合物は、多くの場合、透過性材料などの特定の物質によって吸収され、空気中に再揮散され、悪臭が別様に生成されていない期間中に、長引く悪臭を引き起こす。驚くべきことに、受動空気流条件下で連続的に蒸発することができる揮発性カルボニル含有化合物は、表面上で吸着、かつ悪臭化合物を中和することに役立ち得、これにより、経時的に空気中に再度揮散されることを防止し得ることも見出されている。
【0007】
本発明は、環境、特に密閉空間内の表面、典型的には無生物表面上の悪臭を低減するための方法及び装置に関する。方法及び装置は、限定されるものではないが、空気清涼、脱臭、臭気除去、悪臭中和作用、害虫制御、殺虫、防虫、薬剤/薬、消毒剤、殺菌、気分向上効果、アロマセラピー助剤、又は大気若しくは環境を調整、改質、又は別様に変化させるように作用する揮発性材料を必要とする他の任意の使用を含む、様々な用途に好適である。本開示の目的のために、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、本方法は、装置から気化することが可能であり、エアゾール手段によって供給されない揮発性カルボニル含有化合物の最適化された組成物を使用して、表面から悪臭を低減するための方法として説明されることになる。本発明の装置は、通電式、又は非通電式であってもよい。
【0008】
「非通電式」は、装置が受動的であり、外部のエネルギー源によって給電される必要がないことを意味する。特に、装置は、熱源、ガス、又は電流によって給電される必要はない。装置1はまた、通電式デバイスとして構成されてもよい。例示的な通電式デバイスは、電気的デバイスであってよい。通電式デバイスは、清涼組成物を輸送し、かつ/若しくは清涼組成物を蒸発させるための、上述のような芯及び/又は膜を有する、電気壁プラグ又は電池で動作する空気清涼剤、あるいは他の加熱デバイス(例えば、触媒燃料システムなどの化学反応により給電されるデバイス、太陽光電源のデバイスなど)であってよい。
【0009】
本発明の装置から揮発性カルボニル含有化合物を気化させる技術的効果は、表面上に連続的に堆積させることができる点である。揮発性カルボニル含有化合物を材料上に堆積させることにより、揮発性カルボニル含有化合物と悪臭含有化合物との間の求核付加を可能にし、それにより、以下の式1に示されるように、悪臭含有化合物を中和する反応生成物を生成する。
【0010】
【化1】
【0011】
式1では、一級アミン、R-NH2などのアミン含有化合物を、悪臭含有化合物の一例として示す。揮発性カルボニル含有化合物は、以下に示すそれぞれの化学構造を有するアルデヒド又はケトンであってもよい。
【0012】
【化2】
【0013】
アルデヒド又はケトンがアミン含有化合物と反応するとき、シッフ塩基が形成される。シッフ塩基は、以下の一般構造を有するイミン化合物であり、アミン含有化合物に対して、概して臭気が少ない。
【0014】
【化3】
【0015】
更に、アルデヒド及び/又はケトンはまた、チオール含有化合物と反応して、蒸気相並びに/若しくは液相中に、チオールアセタール、ヘミチオールアセタール、及びチオールエステルを形成することができる。チオール含有化合物は、イオウ系臭気を生成する。
【0016】
本発明は、悪臭を低減するための揮発性材料を供給するためのエネルギー源を提供する必要性を低減及び/若しくは除去し、悪臭含有化合物が堆積される表面における悪臭含有化合物の中和を通して、悪臭を低減並びに/又は防止することができる。
【0017】
以下の用語は、本明細書に記載されるように定義される。定義されない用語には、関連する技術分野の当業者によって理解される通常の意味が与えられるべきである。
【0018】
本明細書において使用される際、「カルボニル含有化合物」という用語は、以下の構造を含む化合物を指し、
【0019】
【化4】
式中、Rは、アルキル基であり、R’は、水素、置換又は非置換アリール基からなる群から選択される。
【0020】
本明細書において使用される際、「脱着」という用語は、物質が表面から放出される又は表面を通って放出される現象を指す。
【0021】
本明細書において使用される際、「内部空間」という用語は、居住環境、商用環境、又は車両環境内の有限体積の空間を指す。
【0022】
本明細書において使用される際、「内部表面」という用語は、内部空間内の物体の表面を指す。このような物体としては、限定されるものではないが、壁、天井、床、壁分割器、窓、ドア、トリム、領域ラグ、カーペット、壁、ハンガー、通気孔、ベッド、椅子、トイレ、冷蔵庫、キッチンキャビネット、シンク、ごみ箱、カーテン、タオル、衣類、車シート、ソファ、家具などが挙げられる。
【0023】
本明細書において使用される際、「悪臭含有化合物」という用語は、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択される化合物を指す。
【0024】
本明細書において使用される際、「膜」という用語は、物質の特定の成分は通過させるが、他の成分は止める、半透性材料を指す。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分は他の成分よりも速く透過する)。かかる成分としては、分子、イオン、又は粒子を挙げることができる。
【0025】
本明細書において使用される際、「中和する」又は「中和」という用語は、化合物又は製品が悪臭化合物を低減するか、又は除去する能力を指す。臭気の中和は、所与の状況で悪臭含有化合物のうちのいくつかのみに作用するか、又はある悪臭含有化合物の一部のみに作用する、部分的なものであってよい。悪臭含有化合物は、新しい化学物質をもたらす化学反応、金属イオン封鎖、キレート化、会合、又は悪臭含有化合物をそれほど悪臭が強くないか又は無悪臭にする任意の他の相互作用によって中和されてもよい。臭気の中和は、悪臭含有化合物の状態において、いずれの対応する変化のない悪臭認識能力の変化に対比するものとして、悪臭含有化合物中の変化によって臭気被覆又は臭気ブロックと区別され得る。
【0026】
本明細書において使用される際、「透過性材料」という用語は、液体又は気体が通過することを可能にする任意の材料を指し、限定されるものではないが、乾燥壁、壁紙、木材、ビニル、プラスチック、プラスタ、ウォールボード、布地、室内装飾材料、紙、織布、天然ポリマー、合成ポリマー及び無機材料、並びにこれらの混合物が挙げられる。透過性材料はまた、無生物表面上に形成された残留物を含んでもよく、無生物表面上の粉塵粒子又はグリースを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において使用される際、「無生物表面」という用語は、限定されるものではないが、布地、カーペット、カウンタトップ、床、ゴミ箱、天井、壁、カーペットパッド、空気フィルタなどの家事表面を含む表面を指す。
【0028】
本明細書において使用される際、「揮発性カルボニル含有化合物」という用語は、非通電系における使用に好適なカルボニル含有化合物を指し、カルボニル含有化合物は、摂氏25度で0.025トル以上の蒸気圧を含む。
【0029】
本明細書において使用される際、「揮発性材料」という用語は、付加的なエネルギー源を必要とすることなく室温及び大気圧で気化可能な材料を指す。揮発性材料は、全体的に単一の揮発性材料又は全体的に揮発性材料混合物(すなわち、この混合物は2つ以上の揮発性成分を有する)を含む組成物であり得る。更に、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。液体、固体、ゲル、又はエマルションを含む、任意の量若しくは形態の任意の好適な揮発性材料を使用することができる。本明細書での使用に好適な材料には、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性化合物が含まれてもよい。本明細書において揮発性材料が、「供給される」、「揮散される」、又は「放出される」ものとして述べられる場合、これは、揮発性材料の揮発性成分の揮散を指し、揮発性材料の不揮発性成分が揮散される必要はない点も理解されるべきである。
【0030】
本明細書において使用される際、「蒸発」又は「気化」という用語は、固体及び/又は液相から蒸気への物質又は化合物の相転移を指す。
【0031】
方法
一般に、本発明の方法は、無生物表面を含む環境において、揮発性カルボニル材料(以下により詳細に説明される)を含む装置を提供することを含む。例えば、揮発性材料は、図1に示される空気清涼装置1などの装置内に配設されてもよい。
【0032】
無生物表面は、その上に配置された悪臭含有化合物を有する材料を含む。悪臭含有化合物は、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択され得る。揮発性カルボニル含有化合物は、装置から気化され、無生物表面上に堆積する。揮発性カルボニル含有化合物は、悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受けて、悪臭含有化合物を中和し、それによって、無生物表面上の悪臭を低減する。その効果の1つに、無生物表面が二次悪臭源にならないことがある。このため、本発明による装置を密閉空間内に提供することにより、受動的かつ連続的な様式で無生物表面上の悪臭の低減を可能にし、その結果、二次悪臭源を低減又は除去するように作用する。
【0033】
本方法は、例えば、住居、建物、及び車両内の内部空間などの、密閉環境における悪臭の連続的な除去に有用であり得る。悪臭は、例えば、尿、糞便物質、調理、喫煙などからの臭気などの任意の望ましくない臭気であってもよい。
【0034】
揮発性材料
本発明の方法は、空気清涼組成物を使用して実施することができ、空気清涼組成物は、空気清涼組成物の最大100重量%、約4重量%~約100重量%、約15重量%~約100重量%、約65重量%~86重量%の揮発性物質を含む。
【0035】
本発明の揮発性材料の重要な特徴は、悪臭を単に覆い隠す又はマスキングするのではなく、(ガスクロマトグラフによって)悪臭を測定可能に中和することができることである。この内容において、中和は、悪臭の短期及び長期減少の両方を提供するという利益を有することができる。短期的には、悪臭の中は、例えば、ヒトによって現在感知されている空気中の悪臭のレベルを低減することができる。より長期において、特定の中和剤は、悪臭が表面上に残り、二次悪臭源を生成することを防止するのに役立ち得る。このため、特定の悪臭中和剤を選択して用いることにより、表面からの環境への悪臭の再導入を防止することが可能であり、これにより、長引く又は背景悪臭を効果的に低減又は除去することができる。
【0036】
本発明の揮発性材料は、カルボニル含有化合物の混合物を含んでもよい。カルボニル含有化合物の混合物は、約0.01%以上~約100%以下の量中、約0.01重量%~50重量%、約1重量%~40重量%、約4重量%~25重量%、約5重量%以下~25重量%以下の揮発性材料の量で存在してもよい。25重量%未満のカルボニル含有化合物を有する効果は、快楽的経験を提供するために、香料原材料などの以降に記載される任意成分を添加するための配合空間を可能にすることである。
【0037】
揮発性カルボニル含有化合物の蒸気圧は、摂氏25度で測定して、0.025トル以上、約0.025トル~約30トルであってもよい。個々の揮発性カルボニル含有化合物の蒸気圧は、トル単位で表される、摂氏25度における蒸気圧(vapor pressure、VP)値を提供する、Advanced Chemistry Development Labs(「ACD」)(トロント、カナダ)VP計算モデル、バージョン14.02を使用して計算することができる。揮発性カルボニル含有化合物及び悪臭含有化合物が内部空間内の同じ内側表面上に堆積するとき、揮発性カルボニル含有化合物は、概して、悪臭含有化合物の存在下で、求核反応を受け、悪臭含有化合物よりも臭気が少ない反応生成物を生成する。
【0038】
揮発性カルボニル含有化合物は、揮発性アルデヒド、ケトン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。例示的な揮発性アルデヒド及びケトンが、以下の説明文において列挙されるが、これらは国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC)によって推奨される有機化合物の命名法に従って命名されたものである。
【0039】
カルボニル含有化合物は、揮発性アルデヒドを含んでもよい。部分的に揮発性であるアルデヒドは、本明細書で使用される揮発性アルデヒドと見なすことができる。上述のように、揮発性アルデヒドは、シッフ塩基形成経路に続いて、アミン含有化合物と反応する。揮発性アルデヒドはまた、チオール含有化合物と反応し、気相及び/又は液相中に、チオールアセタール、へミチオールアセタール、及びチオールエステルを形成する。使用可能な例示的な揮発性アルデヒドは、限定されるものではないが、下記表1に示されるアルデヒドを含む。カルボニル含有化合物はまた、ケトンも含み得る。揮発性材料に使用され得る、例示的なケトンとしては、限定されるものではないが、以下の表2に示されるケトンが挙げられる。
【0040】
理論に束縛されるものではないが、下記の表1及び表2から選択されるカルボニル含有化合物は、悪臭含有化合物とより反応性であり、したがって悪臭を低減するのに有効であると考えられる。更に、表1及び表2のカルボニル含有化合物は、カルボニル含有化合物の最低非占有分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital、LUMO)エネルギーと、悪臭含有化合物の最高被占有分子軌道(highest occupied molecular orbital、HOMO)エネルギーとの間のより低い差を含み得、したがってカルボニル含有化合物は、より高い差を有するカルボニル含有化合物に対してより反応性であり得る。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2-1】
【0043】
【表2-2】
【0044】
表3は、本発明の方法で使用するのに好適な揮発性アルデヒドの混合物を示し、この混合物は、本明細書でアコードAと称される。
【0045】
【表3】
【0046】
表4は、本発明の方法で使用するのに好適な揮発性アルデヒドの更なる混合物を示し、この混合物は、本明細書でアコードBと称される。
【0047】
【表4】
【0048】
本発明に基づく方法において上記で指定された範囲の揮発性アルデヒドの混合物を有する揮発性材料を提供すること、及び表面上の悪臭の効果的な減少について、実施例IIで実証する。
【0049】
任意の成分
空気清涼組成物は、場合により、臭気マスキング剤、臭気遮断剤、及び/又は希釈剤を含むことができる。「臭気遮断」は、人の嗅覚を鈍らせる化合物の能力を指す。「臭気マスキング」は、悪臭化合物をマスキングする又はその臭いを隠す化合物の能力を指す。臭気マスキングは、悪臭化合物を感知する能力を制限するように投与される、不快ではない匂い又は心地よい匂いを有する化合物を含むことができる。臭気マスキングは、予期される悪臭と協調することで臭気化合物の組み合わせによって与えられる全体的な匂いの知覚を変化させる化合物の選択を伴い得る。例示的な希釈剤としては、ジプロピレングリコールメチルエーテル、及び3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
空気清涼組成物はまた、場合により、単に快楽効果を提供する香料原材料(すなわち、悪臭を中和しないが、心地よい香りは提供する香料原材料)を含んでもよい。
【0051】
装置
本発明の方法は、空気清涼装置などの装置を使用して実施することができる。装置は、揮発性材料が装置から蒸発する限り、揮発性材料を大気及び/又は表面に供給するための様々な用途で使用するように構成され得ることが想到される。本開示の目的として、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、装置は、非通電装置として説明される。
【0052】
例えば、装置を提供する工程は、揮発性材料の液相又は固相のリザーバを提供することを含んでもよい。装置1はまた、揮発性材料の液相を収容し、揮発性材料の液相を蒸発させるように構成された供給部材を備えてもよい。供給部材は、芯、通気性膜、ゲル、フェルトパッドを含む多孔質又は半多孔質基材を含み得る。例示的な供給部材は、物質の特定の成分を通過させるが他の成分は止める半透過性材料である膜であってよい。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分は他の成分よりも速く透過する)。かかる成分としては、分子、イオン、又は粒子を挙げることができる。図1は、本発明による装置1の分解図を示す。装置1は、揮発性材料の液相又は固相を収容するためのリザーバ11を有する容器10を備える。容器10は、その意図された使用に先立って、装置1から揮発性材料の気相の拡散に抗するように設計された、実質的に蒸気不透過性の基材で形成することができる。例えば、容器10は、これらに限定されるものではないが、熱可塑性材料、並びに熱成形、射出成形、及びブロー成形に好適な他の既知の材料を含む、金属、ガラス、セラミック、磁器、タイル、及びプラスチックで形成することができる。膜12は、揮発性材料の気相が通過することを可能にするために、リザーバ11に隣接して容器10内に配設されてもよい。膜12は、微多孔質膜であり得、約0.01~約0.06ミクロン、約0.01~約0.05ミクロン、約0.01~約0.04ミクロン、約0.01~約0.03ミクロン、約0.02~約0.04ミクロン、又は約0.02ミクロンの平均孔径を含むことができる。更に、膜12は、当該技術分野で周知の任意の好適な充填剤及び可塑剤で充填されてもよい。充填剤としては、微粉砕シリカ、クレイ、ゼオライト、カーボネート、活性炭、及びこれらの混合物を挙げることができる。微多孔質膜12は、総重量を基準として、約50~約80%、代替的に約60%~約80%、約70%~約80%、約70%~約75%のシリカで充填され得る。膜12の厚さは、約0.01mm~約1mm、約0.1mm~約0.4mm、約0.15mm~約0.35mm、約0.25mmの間とすることができる。
【0053】
また更に、微多孔質膜12の蒸発表面積は、約2cm~約100cm、約2cm~約25cm、約10cm~約50cm、約10cm~約45cm、約10cm~約35cm、約15cm~約40cm、約15cm~約35cm、約20cm~約35cm、約30cm~約35cm、約35cmとすることができる。本発明の好適な微多孔膜としては、米国特許第7,498,369号に記載されている、シリカを用いて場合により充填された、微多孔性、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)が挙げられる。このようなUHMWPE微多孔膜としては、Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5、DSM(オランダ)から入手可能なSolupor(登録商標)、及びPPG Industriesから入手可能なTeslin(商標)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。装置1は、膜を用いて説明されているが、本発明による装置及び方法では芯を使用してもよいことが理解されるであろう。同様に、装置1はまた、装置1からの揮発性材料の気化を促進するために、加熱要素又はファンを伴って構成されてもよい。
【0054】
図2は、容器10内に配設された揮発性材料13を有する、水平配向における図1の組み立てられた装置1の概略図を示す。図2を参照すると、容器10は、リザーバ11を画定する、側壁102の周辺部104に端壁101、側壁102、及び開口部103を備えてもよい。例えば、容器12が熱可塑性材料で作製される場合、膜12は、リザーバ11内に揮発性材料13を収容するための従来の熱かしめ方法を使用して、容器10の周辺部104に取り付けられてもよい。
【0055】
装置1は、図3に示されるような、垂直配向を含むがそれに限定されない任意の所望の配向で使用されるように構成することができる。図3は、図1の装置1の側面概略図を示し、装置1は、膜12が、揮発性材料13と流体連通するように配設された第1の表面121と、環境に面し、揮発性材料13から離れる第2の表面122と、を含むことを除いて、図1の装置1と実質的に同じである。
【0056】
図4は、本発明による装置1の更なる実施例の前方斜視図を示し、図5は、使用前の装置1の後方斜視図を示す。図6は、図4及び図5の装置1の内部構成要素を示す。図4図5、及び図6の装置1は、図1の装置1と実質的に同じ特徴を備え、更なる構成部品について以下に述べる。
【0057】
図4及び図5を参照すると、装置1は、フロントカバー401及びリアフレーム402を有するハウジング40を備え、フロントカバー401とリアフレーム402とが、内部空間を画定している。リアフレーム402は、リアフレーム402の中央に実質的に位置しているフレーム開口部403(以降「開口部」)が設けられている。ハウジング40に対して移動可能なアクチュエータ404が、装置1を作動させるために提供される。アクチュエータ404は、開口部403内部に配設されている押しボタン404(以降「ボタン」)であってもよく、装置1をユーザが起動するのを可能にするリアフレーム402に対して移動可能である。揮発性材料13を含有する容器10は、ハウジング40内に位置している。フロントカバー401は、容器10を表示するように構成されているウインドウ405を備える。
【0058】
揮発性材料13が液体揮発性組成物であるとき、装置1は、装置1が起動されるまで、揮発性材料13が放出されることを防止するためにリザーバ11に封止可能に取り付けられ、かつリザーバ11を覆う、破裂可能な基材60を備えることができる。破裂可能な基材60は、破裂されて、破裂可能な基材60に隣接して位置決めされた破裂機構61を作動することにより、揮発性材料13を放出することができる。破裂機構61は、弾性部材64によって外側フレーム63に移動可能に取り付けられた移動可能部材62を備えている。弾性部材64は、1つ以上のばね65から形成することができる。1つ以上の破裂要素66は、破裂可能な基材60に穴を空けるための破裂機構61内に配置される。破裂要素66は、ピンであってよい。図1に関して上述されたように、膜12は、容器10の外周104に位置するフランジ67に封止可能に取り付けることができる。膜12は、容器10、揮発性材料13、破裂可能な基材60、及び破裂機構61を封入する。膜12は、ボタン404を通して圧力又は作動力が膜12上に加えられるとき、屈曲するように構成することができる。
【0059】
図7を参照すると、装置1を起動するために、ユーザは、(容器の前端部に向かう方向Xにおける膜12の偏位を通じて)破裂機構61と接触するまでボタン404を押下し、破裂機構61上の破裂要素66が破裂可能な基材60を貫通する。一度破裂可能な基材60に貫通されると、揮発性材料13は、容器10から流れ出して、膜12を湿潤させ、次いで、膜12からの蒸発により、大気周囲に供給される。具体的には、膜12の湿潤は、揮発性材料13の液相が膜12の第1の表面121の少なくとも一部と接触して広がるときに生じる。膜12は、揮発性材料13の液相が膜12から流出することを防ぐように構成されるが、揮発性材料13の気相が第2の表面122から蒸発することを可能にし、そのため揮発性材料13が、環境に供給される。
【0060】
揮発性材料13は、芯を通して供給されてもよく、芯は、様々な異なる形状及びサイズを有するように構成され得る。例えば、芯は、円筒形状又は細長い立方体形状を有してもよい。芯は、形状に依存して、長さ及び直径又は幅によって画定され得る。芯は、様々な長さを有し得る。例えば、芯の長さは、約1ミリメートル(「mm」)~約100mm、又は約5mm~約75mm、又は約10mm~約50mmの範囲であってよい。芯は、様々な直径又は幅を有し得る。例えば、芯の直径又は幅は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmであってよい。芯は、密度を呈してもよい。芯密度は、約0.100グラム/cm(「g/cc」)~約1.0g/ccの範囲であってよい。芯は、多孔質又は半多孔質の基材を含み得る。芯は、オーバーラップ(例えば、不織布シートオーバーラップ)を介して様々な形状に圧縮及び/若しくは形成されるか、又はPE、HDPE、若しくは他のポリオレフィンなどの焼結プラスチックで作製される束ね繊維が挙げられるがこれらに限定されない、様々な材料及び構築方法で構成され得る。例えば、芯は、ポリエチレン又はポリエチレンブレンドなどのプラスチック材料から作製され得る。
【0061】
図8は、表面上の悪臭を低減するための装置1の変形例を示す。図8の装置1は、ハウジング設計を除いて、図4の装置1と実質的に同じ構成要素を備える。具体的には、図8の装置1は、押しボタンを備えず、装置1のハウジング40とは異なるハウジング設計を有し、つまり図8のハウジング40は、容器10を封入する膜12を解放可能に係合するように構成されている(膜12及び容器10は、供給エンジンを画定する)、そのため装置1は、供給エンジンの挿入により起動する。
【0062】
また更に、図9A及び図9Bは、起動前の第1の位置(図9A)及び起動後の第2の位置(図9B)において、表面上の悪臭を低減するための装置1の変形例を示す。図9A及び図9Bの装置1は、アクチュエータ404が、図9Cに示されるような車両環境内の空気ベント900に取り付けるための移動可能クリップ404であるという点で、図4の装置1とは異なる。移動可能クリップ404は、ハウジング40に対して回転して、膜12及び破裂要素66の少なくとも一部を破裂可能な基材60に向かって移動させ、破裂可能な基材に穿孔し、揮発性材料13の少なくとも一部分を容器10から放出し、そのため揮発性材料13の一部分を装置1から蒸発させることができる。アクチュエータ404は、膜12及び破裂要素66の少なくとも一部分を破裂可能な基材60に向かって移動させ、かつ破裂可能な基材に穿孔するように、直線的に又は回転運動で移動させるための既知の機械的方法を用いて構成することができる点は理解されよう。
【0063】
デモキット
図10は、本発明による表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を視覚的に実証する方法を実証するためのポータブルキット300の概略図である。キット300は、売上目的及び/又は店舗で使用するために使用することができるディスプレイの形態をとってもよい。キット300は、第1のチャンバ301及び第2のチャンバ302を備え、チャンバ301及び302の各々が、少なくとも1つの無生物表面をそれぞれ受容することができる閉鎖空間を画定する。具体的には、第1のチャンバ301は、第1の無生物表面303を含み、第2のチャンバ302は、第2の無生物表面304を含む。各チャンバ301、302は、長さL、幅W、高さHを有してもよく、閉鎖空間の体積は、閉鎖空間内に配置される無生物表面のサイズに応じて変化してもよい。チャンバ301、302は、異なる場所間での可搬性及び輸送の容易性のためにサイズ決定及び構成された別個のユニットとして構成されてもよく、又は別個のチャンバを有する単一ユニットを形成するように統合されるように構成されてもよい。チャンバ301、302は、ユーザがチャンバ302、301の外側からチャンバ301、302を見ることを可能にするように、透明又は半透明の材料から作製されてもよく、又は透明若しくは半透明の材料を含んでもよい。
【0064】
第1の無生物表面303、第2の無生物表面304は、悪臭化合物に曝露されたときに変色を呈することができるpH指示薬で予め処理されてもよい。悪臭化合物は、酸性又は塩基性悪臭のいずれかに属してもよく、pH指示薬は、悪臭化合物の視覚的検出を可能にするために、それに応じて選択されてもよい。例えば、悪臭化合物は、アンモニア、細菌、チオール類、アルデヒド類、アミン類、硫化物類、脂肪酸類、アルコール類、及びこれらの混合物からなる群から選択される悪臭物質を含み得る。pH指示薬は、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、メチルオレンジ、メチルレッド、ブロモチモールブルー、チモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、クレゾールレッド、クレゾールフタレイン、ナフトルフタレイン、フェノールフタレイン、チモールフタレインからなる群から選択される染料などの、pH感受性染料を含んでもよい。図11は、pH指示薬と、pH指示薬が変色する近似のpH範囲及びその色の変化との間の関係を示すグラフである。pH指示薬は、悪臭物質の量が変化するにつれて色を変化させるように選択されるべきである。例えば、pH指示薬は、低pH色から高pH色に色を変化させて、悪臭化合物によって引き起こされるpHレベルの増加を示すことができる。
【0065】
実証方法
図12は、本発明による無生物表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を実証するための方法500の簡略フローチャートである。方法500は、第1のチャンバ301及び第2のチャンバ302を提供する工程501と、続いて、装置1内に含まれるカルボニル含有化合物を有する揮発性材料を、第1のチャンバ301ではなく、第2のチャンバ302(図13Aに示される)に提供する工程502を含む。装置1は、揮発性材料13が気化し、第2の無生物表面304の少なくとも一部分上にカルボニル含有化合物を堆積させるように起動される。方法500の工程503では、第1の無臭無生物表面303及び第2の無臭無生物表面304の両方が、第1のチャンバ301及び第2のチャンバ302に導入された悪臭に直接曝露される。経時的に、無臭の第1の無生物表面303において、第1の色から第2の色への色の変化が存在し、悪臭は、無臭の第1の無生物表面301のものに付着していることを示す。対照的に、悪臭が第2のチャンバ302に放出されたとき、無臭の第2の無生物表面302(揮発性材料がその上で気化した)内の色の変化は全く存在しない、又は微少変化のみが存在する。方法500は、一次源(すなわち、便器)から二次源(すなわち壁面)への悪臭の移動を停止するために、揮発性材料を有する空間を提供する利益を示す。
【0066】
実証方法500はまた、キット300を使用する、図13A図13B、及び図13Cを参照して、以下に説明するように実行されてもよい。具体的には、図13A図13Cは、悪臭がどのように表面に付着し、表面上に残っているかを実証するためにキット300を使用する実施例を示す。本開示の目的のために、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、キット300は、顧客/消費者に装置1が内部空間内でどのように機能するかをより良く示し、本発明による方法500を実証するために、小型モデル空間を図示するように配置された小型のカスタマイズ可能な構成要素(小型模型家具、器具、ハードウェアなど)を更に備えてもよい。方法500はまた、実際のサイズの内部空間、又は任意の他の所望のスケールの空間においても実証され得ることを理解されたい。
【0067】
図13Aでは、キット300の第1のチャンバ301及び第2のチャンバ302が、2つの小型モデルトイレ(以降「第1のモデルルーム301及び第2のモデルルーム302」)を示すように構成されている。両方とも、悪臭化合物が、小型便器320及び同じ内部表面(例えば、後壁322及び側壁323、ラグ324、並びにタオル325)に存在するとき、一次悪臭源として機能するための小型便器320を有する。図13Aは、悪臭が第1のモデルルーム301及び第2のモデルルーム302に導入される前に、内部表面がどのように見えるかを示す。第1のモデルルーム301及び第2のモデルルーム302の後壁322は、悪臭分子が存在するとき、色を変化させるpH指示薬で処理された、無生物表面303、304を備えてもよい。方法500を実行する前に、第1の無生物表面303、第2の無生物表面304は、悪臭(「無臭」)を実質的に含まず、第1の色Aを含み得る。装置1は、第2のモデルルーム302内に提供されるが、第1のモデルルーム301内には提供されない。顧客及び/又は消費者に短時間で製品実証を行う目的で、所定量(例えば、0.1~0.3ミリリットル)の揮発性材料13のカルボニル含有化合物を、第2のモデルルーム302の表面304上に予め堆積させて、装置1に含まれる揮発性材料13のカルボニル含有化合物が(起動されて)、気化及び第2のモデルルーム302の表面304上に堆積される所定の時間をシミュレートすることができる。4~6ミリリットルの所定量は、30cm H×25cm W×20cm Lの寸法を有する第2のモデルルーム302の体積に基づいて計算される。しかしながら、カルボニル含有化合物を含む揮発性材料は、(図1図9Cのいずれかに示されるように)装置1から気化し得、第2のモデルルーム302の無生物表面304上に堆積して、(実施例IIIの結果において実証されるように)表面上の悪臭を低減するということ理解されたい。
【0068】
図13Bは、悪臭含有化合物310が、悪臭含有化合物310を含むスポイトデバイス311を介して、第1のモデルルーム301及び第2のモデルルーム302内のそれぞれの環境にどのように導入されるかの表現である。具体的には、悪臭含有化合物310は、その中に配設された小型便器320などの両方のモデルルーム301、302に添加され、所定の期間にわたって静置される。所定の期間は、モデルルーム302内の悪臭含有化合物310の濃度に応じて変化し得る。悪臭化合物は、明るいピンク色(フェノールフタレインであるpH指示薬に基づく)などの第2の色Bを呈するように構成されてもよく、一方で、無生物表面303、304の第1の色Aは、異なる色、例えば、白色であってもよい。
【0069】
図13Cは、悪臭含有化合物が環境に導入された後に、第1のモデルルーム301及び第2のモデルルーム302がどのように見えるかの表現である。一部の表面上のピンク色(pH指示薬が色を変化させることによる)は、悪臭分子が表面上に存在することを示す。図13Cで明らかに見られるように、装置1のない第1のモデルルーム301の表面は、その上に悪臭分子を有するのに対し、第2のモデルルーム302の表面(装置1を有する)は、悪臭分子が付着していることを示していない。これは、装置1内のカルボニル含有化合物が、装置を含むモデルルーム内の表面上に悪臭化合物310が堆積することを防止し、及び/又は、カルボニル含有化合物が、第2の無生物表面304上に堆積された悪臭を中和したことを明らかに実証している。いずれの方法でも、第2の表面304上の悪臭分子の量は、第1の表面上の悪臭分子よりも著しく低い。したがって、第2の表面304は、部屋の二次臭気源として作用する可能性がはるかに少なくなることとなる。
【0070】
示される特定の色は、第1の無生物表面303及び第2の無生物表面304への悪臭化合物の任意の移動の明らかな可視化を可能にすることに役立つ。しかしながら、ユーザが色間の差を検出することができる限り、任意の色が許容可能である。
【0071】
図13Cは、(装置1によって表される)カルボニル含有化合物を含む揮発性材料13を含まない、第1のモデルルーム301内の第1の無生物表面303が、第1の無生物表面303内に存在するpH指示薬と反応する、第1の表面303上の悪臭粒子を有することを示す。第1の無生物表面303は、第1の色Aから第2の色Cへの色変化を呈してもよく、第2の色Cは、悪臭化合物12の色Bに対応し得る。一方、第2の無生物表面304内には色の変化がなく、又は色の微少変化があること(すなわち、第2の無生物表面304は、実質的に第1の色Aである)は、第2の無生物表面304上に堆積された揮発性材料を有することで、第2の無生物表面304上に存在する悪臭化合物が中和され、かつ低減させることを実証する。その結果として、悪臭は、第2の無生物表面304から空気中に放出されることが防止され、したがって、悪臭は、第2の無生物表面304から空気に移動しない。
【0072】
本発明による方法500の利益は、空間内の無生物表面が、悪臭を吸収及び再揮散し、したがって、家のような閉鎖空間内に臭気のサイクルを生成する、二次悪臭源となり得ることを、色変化を通して視覚的に実証することである。したがって、閉鎖空間内にカルボニル含有化合物のみを含む揮発性含有化合物、又はカルボニル含有化合物を含む揮発性含有化合物を含む装置を提供することにより、無生物表面上の悪臭の低減を可能にする。経時的に行われる場合、本方法は、密閉空間から二次悪臭源を除去するための受動的かつ有効な方法を提供する。
【0073】
試験方法
A.悪臭中和試験方法
この試験方法は、透過性材料を含む無生物表面の少なくとも一部上に堆積された、本発明による、カルボニル含有化合物を含む揮発性材料による悪臭の中和を検出するために使用される。具体的には、カルボニル含有化合物が、表1に記載されたものなどのアルデヒド含有化合物である場合、シッフ塩基の生成は、カルボニル含有化合物が、悪臭を中和するために求核付加を受けることを実証する。
【0074】
実験において使用される機器及び材料は、下記表5に列挙される。
【0075】
【表5】
【0076】
試験方法は、図14による設定、23℃+/-0.1℃の平均温度、及び45%+/-0.5%の平均%相対湿度で実施される。試験を行うための工程には以下が含まれる。
【0077】
工程1:無生物表面の各々上に22.2ngの表5の悪臭含有溶液を堆積させることによって、4つの無生物表面を処理して、4つの悪臭含有無生物表面75を形成する。4つの無生物表面は、未処理である(「無臭無生物表面76」)。
【0078】
工程2:4つの無臭無生物表面を、第1のエンクロージャ72内に配置して、比較試料A/比較試料Bを画定する。別の異なる4組の悪臭含有無生物表面を、第2のエンクロージャ72内に配置して、本発明の試料A/本発明の試料Bを画定する。
【0079】
工程3:1.0mLのカルボニル含有化合物を、第1のレセプタクル77及び第2のレセプタクル78の各々にピペットで移す。第1のレセプタクル77は、第1のエンクロージャ71内に配置され、他方のアルミニウム皿は、第3のエンクロージャ73内に配置される。
【0080】
工程4:第1のエンクロージャ71及び第2のエンクロージャ72は、エンクロージャ71、72の各々の上に蓋を嵌合することによって密閉され、30分間の平衡化を可能にする。
【0081】
工程5:比較試料A/比較試料B、及び本発明の試料A/本発明の試料Bの全ての無生物表面を、それぞれのエンクロージャから取り出し、上記のGCMS機器及びソフトウェアを使用して分析して、
・本発明による悪臭中和(本発明の試料A/本発明の試料B)
・無生物表面上のカルボニル含有化合物の気化及び堆積(比較試料A/比較試料B)
【0082】
B.悪臭性能試験方法
この試験方法は、無生物表面及び/若しくは環境から悪臭を低減又は除去する方法の有効性を評価するために使用される。実験において使用される機器及び材料は、下記表6に列挙される。
【0083】
【表6】
【0084】
試験方法は、図15による設定、22℃+/-0.1℃の平均温度、及び60%+/-5%の平均%相対湿度で実施される。試験を行うための工程には以下が含まれる。
【0085】
工程1:5組の無生物表面151を、一次悪臭源150を含むチャンバ171、172、173、174の各々に30分間配置して、悪臭含有無生物表面(以降「二次悪臭源152」)を形成するように、5つの無生物表面を、一次悪臭源に曝露する。
【0086】
工程2:本発明による、カルボニル含有化合物を有する揮発性材料を含む装置1を、チャンバ175及び177の各々に配置する。
【0087】
工程3:無生物表面(工程1で得られた二次悪臭源として既知)を、チャンバ171、172、173、174から移動させ、45分間、チャンバ175、176、177、178内に配置する。
【0088】
工程4:チャンバ175、176、177、及び178からの無生物表面が、官能試験員によって評価され、それによって、各官能試験員は、チャンバ175、176、177、178のいずれか1つから1つの無生物表面を評価し、下記表7に示されるスケールを使用する、臭気等級付けに基づく強度評価に従って、悪臭及び/又は香料臭気に関して、無生物表面を等級付けする。チャンバ175、176、177、178内の空気はまた、悪臭及び/又は香料臭気に関して等級付けされてもよい。これは、(乾燥壁などの)取り外しには実用的ではない表面の評価に有用であり得る。しかしながら、無生物表面の臭気等級値は、悪臭を含む無生物表面が、空気中の悪臭の一因となる二次悪臭源として機能すると考えられるため、無生物表面の臭気等級値を低減することができることが理解されよう。
【0089】
【表7】
【0090】
C.視覚的な実証試験方法
この試験方法は、密閉空間内に本発明による揮発性カルボニル含有化合物を含む装置を提供することによって、悪臭がどのように低減されるかを視覚的に示すために使用される。実験において使用される機器及び材料は、下記表8に列挙される。
【0091】
【表8】
【0092】
試験方法は、22℃+/-0.1℃の平均温度、及び60%+/-5%の平均%相対湿度で実施される。試験を行うための工程には以下が含まれる。
【0093】
工程1:pH指示薬で処理された無生物表面を、第1及び第2のチャンバの各々の後壁の中心に配置する。
【0094】
工程2:悪臭含有化合物を受容するためのレセプタクルを、無生物表面から20cmの距離で各チャンバに配置する。
【0095】
工程3:本発明によるカルボニル含有化合物を含む装置を、起動し、及び第1のチャンバ内に配置し、並びにレセプタクルと無生物表面との間に位置決めする(「試験チャンバ」)。第2のチャンバは、装置又はカルボニル含有化合物(「対照チャンバ」)を有さない。
【0096】
工程4:試験及び対照チャンバを、閉じ、及び8時間の期間にわたって、静置させる。
【0097】
工程5:8時間の期間の終わりに、試験及び対照チャンバを、開け、1~1.5mLの悪臭含有化合物を、各チャンバのレセプタクルに添加する。チャンバは、閉鎖される。
【0098】
工程6:10分の期間後、チャンバ内の無生物表面を、色変化について観察する。
【0099】
以下の実施例は、本発明を更に説明するものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例
【0100】
(実施例I)
表9内の以下の試料を、試験方法の下で上述した悪臭中和試験方法に従って評価する。
【0101】
【表9】
【0102】
比較試料A及び本発明の試料Aを、30分間の期間にわたって安定化させる。上記試料中の無生物表面の各々を、GCMS(ガスクロマトグラフィ質量分析計)における分析のための期間後に回収する。図16及び図17を参照すると、GCMS結果(図16を参照)は、シッフ塩基(1,2-ブチルヘキサ-2-エン-1-インナイン)が、本発明の試料Aにおいて観察されることを示し、これはカルボニル含有化合物(トランス-2-ヘキセナール)による悪臭含有化合物(ブチルアミン)の中和が存在することを実証する。具体的には、本発明の試料A上で、ブチルアミンは微少であるか、又は全く検出されない。更に、結果はまた、カルボニル含有化合物が、比較試料Aの無生物表面上に堆積することを示し、これは本発明によるカルボニル含有化合物、すなわち、トランス-2-ヘキセナールが、気化及び無生物表面上で堆積することが可能であることを実証する。
【0103】
比較試料B及び本発明の試料Bを、30分間の期間にわたって安定化させる。上記試料中の無生物表面の各々を、GCMS(ガスクロマトグラフィ質量分析計)における分析のための期間後に回収する。図18及び図19を参照すると、GCMS結果(図18を参照)は、シッフ塩基(1,2-フェニルヘキサ-2-エン-1-インナイン)が、本発明の試料Bにおいて観察されることを示し、これはカルボニル含有化合物((E)-ヘキセ-2-エナール)による悪臭含有化合物(アニリン)の中和が存在することを実証する。具体的には、本発明の試料Bでは、アニリンは、微少であるか、又は全く検出されない。
【0104】
(実施例II)
表10内の以下の試料を、試験方法の下で上述した悪臭性能試験方法に従って評価する。試料を調製するために使用されるアコードC、アコードD、及びアコードEを、以下の表11、表12、及び表13で詳述する。結果は、気化及び無生物表面上で堆積することができるカルボニル含有化合物を含む揮発性材料を有する装置が、無生物表面上及び/又は密閉空間の空気中の悪臭を低減する改善された性能を呈することを示す。
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
【表13】
【0109】
表14、表15、及び表16は、本発明の試料C、D、及びEが、布地、乾燥壁、及び壁紙を含む無生物表面上で試験されたときの(表7に示されるような)臭気等級に基づいて、官能試験員によって提供される平均臭気値を示す。具体的には、この結果は、本発明による装置が環境内に提供されたとき、悪臭が、無生物表面上及び環境の空気中で低減されることを示す。
【0110】
【表14】
【0111】
【表15】
【0112】
【表16】
【0113】
表14、表15、及び表16の結果は、本発明による揮発性材料が、悪臭を低減するために香料原材料を必要としないことを示す。本発明の試料D及びEのように、香料原材料を添加しても、スコアは、本発明の試料Cに対する本発明の試料Dに関して示されるように21から18に、及び本発明の試料Cに対する本発明の試料Eに関して示されるように21から20に改善され、スコアの差は、微少である。これは、本発明による香料原材料を実質的に含まない揮発性材料を有することが、無生物表面上の悪臭を低減するのに有効であり、それによって、上記表中の空気の低減された臭気値に示されるように、二次悪臭源を除去するということを実証する。本発明の試料D及びEはまた、試験方法の下で上述した悪臭性能試験方法に従って、壁紙及び乾燥壁(以下に指定)上の悪臭低減における有効性についても評価される。結果を以下に示す。
【0114】
【表17】
【0115】
【表18】
【0116】
表18は、官能試験員による臭気評価のために乾燥壁を抽出することが実用的ではないため、本発明の試料Eで評価されたときの表面の臭気値の結果を含まない。しかしながら、本発明の試料E(表16)の結果に示されるように、空気の臭気値が低減される場合、同じ空間に配設される表面の臭気値もまた、低減されることが予想される。
【0117】
(実施例III)
図5に示されるような装置に提供された表19内の以下の試料(本発明の試料F)を、試験方法の下で上述した悪臭性能試験方法に従って評価する。結果は、無生物表面上で気化及び堆積することができるカルボニル含有化合物を含む揮発性材料を有する装置が、無生物表面上の悪臭を低減する改善された性能を呈することを示す。
【0118】
【表19】
【0119】
試験方法を実施した後の観察に基づいて、装置なしの対照チャンバ内の無生物表面において色変化が存在するのに対し、試験チャンバ内の無生物表面において色変化は存在しない。これは、本発明の試料Fを含む装置1が、本発明の試料F中の化合物を気化させ、及び表面上に堆積させることを可能にすることを示す。試験チャンバ内の無生物表面上に堆積した化合物は、悪臭含有化合物が悪臭含有化合物の気化によって無生物表面と接触するとき、悪臭含有化合物を中和する。これは、本発明による装置に含まれる揮発性材料を有することが、無生物表面上の悪臭を低減し、それによって、二次悪臭源を除去するのに有効であることを実証する。
【0120】
一例は、以下に示されている:
A.表面上の悪臭を低減する方法であって、
a)透過性材料を含む表面であって、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物がその上に配置されている表面を包含する環境内に装置を提供することであって、装置が、摂氏25度で少なくとも0.025トルの蒸気圧を有する揮発性カルボニル含有化合物を有する揮発性材料を含む、提供する工程と、
b)揮発性カルボニル含有化合物が、気化及び表面の少なくとも一部分上で堆積するように、揮発性材料を環境に曝露する工程と、を含み、
カルボニル含有化合物が、悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受ける、方法。
【0121】
B.工程(b)で生成された反応生成物によって悪臭含有化合物を中和し、それによって、表面上の悪臭を低減する工程(c)を更に含む、Aに記載の方法。
【0122】
C.装置を提供する工程が、揮発性材料のためのリザーバを提供することを含み、リザーバが、開口部と、リザーバの開口部を封止可能に覆う膜と、を包含し、膜が、揮発性材料と流体接触する第1の表面と、環境に面し、かつ揮発性材料から離れている第2の表面と、を含む、Aに記載の方法。
【0123】
D.揮発性材料を環境に曝露する工程が、膜を湿潤させることを含む、Cに記載の方法。
【0124】
E.揮発性カルボニル含有化合物の蒸気圧が、摂氏25度で30トル以下である、A、B、C、又はDのいずれか一項に記載の方法。
【0125】
F.揮発性カルボニル含有化合物が、揮発性アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、A、B、C、D、E、又はFのいずれか一項に記載の方法。
【0126】
G.揮発性カルボニル含有化合物が、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール、ベンズアルデヒド、4-プロパン-2-イルベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、(E)-ヘキサ-2-エナール、(2E,6Z)-ドデカ-2,6-ジエナール、ノナ-2-エナール、2,4,6トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)-2,2-ジメチルプロパナール、ノナナール、(E)-デカ-4-エナール、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール、(Z)-ノナ-6-エナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタナール、3,7-ジメチルオクタ-6-エナール、2-メチルデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、ウンデカ-10-エナール、4,8-ジメチルデカ-4,9-ジエナール、オクタナール、ウンデカナール、デカナール、ウンデカ-9-エナール、6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)プロパナール、4,7メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つの揮発性アルデヒドを含む、Fに記載の方法。
【0127】
H.揮発性カルボニル含有化合物が、2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジオン、1-フェニルエタノン、ペンタン-2,3-ジオン、4-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、(1S,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、(1R,5R)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、3-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン、(5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エタンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エテンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-フェニルブタン-2-オン、3-メチルブチル3-オキソブタノエート、3-ヒドロキシブタン-2-オン、(Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタ-3-エン-2-オン、3-オキソブタン-2-イルアセテート、メチル3-オキソブタノエート、エチル3-オキソブタノエート、(2R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1-オン、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタンノン、(2S,5S)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オン、2-シクロペンチルシクロペンタン-1-オン、(1S,4R,5R)-4-メチル-1-プロパン-2-イルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン、4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン、オクタン-2-オン、(1S,4R)-2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、ヘプタン-2-オン、2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、5-メチルヘプタン-3-オン、オクタン-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つのケトンを含む、Fに記載の方法。
【0128】
I.揮発性カルボニル含有化合物が、揮発性材料の0.01重量%以上~25重量%以下の量である、A、B、C、D、E、F、G、又はHのいずれか一項に記載の方法。
【0129】
J.透過性材料が、布地、乾燥壁、織布、紙、天然ポリマー、合成ポリマー、及び無機材料、並びにこれらの混合物からなる群から選択されている、A、B、C、D、E、F、G、H、又はIのいずれか一項に記載の方法。
【0130】
K.揮発性材料が、アコードA、アコードB、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、揮発性アルデヒド混合物を含む、A、B、C、D、E、F、G、H、I、又はJのいずれか一項に記載の方法。
【0131】
L.表面上の悪臭を低減するための装置であって、
フレーム開口部から離間されている1つ以上の開口を有する後部フレームを備える、ハウジングと、
後部フレームに対して移動可能なアクチュエータと、
ハウジング内に配設された容器であって、容器が、摂氏25度で0.025トル以上の蒸気圧を有するカルボニル含有化合物を含有する、揮発性材料を収容するリザーバと、開口部と、開口部に取り付けられ、かつ開口部を覆う、破裂可能な基材と、アクチュエータと位置合わせされた破裂要素と、を含む、容器と、を備え、
アクチュエータの作動時に、破裂要素が、破裂可能な基材を破裂させ、それによって、揮発性カルボニル含有化合物を包含する揮発性材料の少なくとも一部が、気化し、かつ装置を出て、環境に入り、
揮発性材料のカルボニル含有化合物が、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択された悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受けることができる、装置。
【0132】
M.アクチュエータが、後部フレームのフレーム開口部内に移動可能に配設された押しボタンである、Lに記載の装置。
【0133】
N.破裂可能な基材に隣接して配置設され、押しボタンと位置合わせされた膜を包含する、Mに記載の装置。
【0134】
O.揮発性カルボニル含有化合物が、揮発性アルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、L、M、又はNのいずれか一項に記載の装置。
【0135】
P.揮発性カルボニル含有化合物が、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール、ベンズアルデヒド、4-プロパン-2-イルベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、(2E,6Z)-ノナ-2,6-ジエナール、(E)-ヘキサ-2-エナール、(2E,6Z)-ドデカ-2,6-ジエナール、ノナ-2-エナール、2,4,6トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3,5,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)-2,2-ジメチルプロパナール、ノナナール、(E)-デカ-4-エナール、2,6-ジメチルヘプタ-5-エナール、(Z)-ノナ-6-エナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、3-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタナール、3,7-ジメチルオクタ-6-エナール、2-メチルデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、ウンデカ-10-エナール、4,8-ジメチルデカ-4,9-ジエナール、オクタナール、ウンデカナール、デカナール、ウンデカ-9-エナール、6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール、3-(6,6-ジメチル-4-ビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エニル)プロパナール、4,7メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つの揮発性アルデヒドを含む、Oに記載の装置。
【0136】
Q.揮発性カルボニル含有化合物が、2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1,4-ジオン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジオン、1-フェニルエタノン、ペンタン-2,3-ジオン、4-メトキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフラン-3-オン、(1S,5S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、(1R,5R)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン-4-オン、3,5,5-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、3-メチルシクロペンタ-2-エン-1-オン、(5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、(5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エタンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、2-メチル-5-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキサ-2-エン-1-オン、1-(1H-ピロール-2-イル)エテンノン、(5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イリデンシクロヘキサン-1-オン、4-フェニルブタン-2-オン、3-メチルブチル3-オキソブタノエート、3-ヒドロキシブタン-2-オン、(Z)-3,4,5,6,6-ペンタメチルヘプタ-3-エン-2-オン、3-オキソブタン-2-イルアセテート、メチル3-オキソブタノエート、エチル3-オキソブタノエート、(2R,5R)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5S)-2-メチル-5-プロパ-1-エン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2-エチル-4,4-ジメチルシクロヘキサン-1-オン、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタンノン、(2S,5S)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、(2S,5R)-5-メチル-2-プロパン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オン、2-シクロペンチルシクロペンタン-1-オン、(1S,4R,5R)-4-メチル-1-プロパン-2-イルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-オン、4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、4,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、6-メチルヘプタ-5-エン-2-オン、オクタン-2-オン、(1S,4R)-2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、ヘプタン-2-オン、2,2,4-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-オン、5-メチルヘプタン-3-オン、オクタン-3-オン、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、少なくとも1つのケトンを含む、Oに記載の装置。
【0137】
R.揮発性材料が、アコードA、アコードB、及びこれらの混合物からなる群から選択されている、揮発性アルデヒドの混合物を含む、L、M、N、O、P、又はQのいずれか一項に記載の装置。
【0138】
S.表面上の悪臭を低減するための揮発性材料の有効性を視覚的に実証する方法であって、
a)第1の密閉環境内に第1の無生物表面を提供する工程であって、第1の無生物表面の少なくとも一部分が、pH指示薬で処理されており、pH指示薬が、第1の色を有し、かつ所定の悪臭と接触すると、第1の色とは異なる第2の色への色の変化を受けることができる、提供する工程と、
b)第2の密閉環境内に第2の無生物表面を提供する工程であって、第2の無生物表面の少なくとも一部分が、第1の無生物表面を処理するために使用されているものと同じpH指示薬で処理されており、第1の無生物表面及び第2の無生物表面の各々が、透過性材料を含む、提供する工程と、
c)カルボニル含有化合物を有する揮発性材料を第2の密閉環境に提供し、そのため、揮発性材料が、気化し、第2の無生物表面の少なくとも一部分上にカルボニル含有化合物を堆積させる工程と、
d)それぞれの第1の環境及び第2の環境において、第1の無生物表面及び第2の無生物表面の両方を、所定の悪臭を含有する悪臭含有化合物に曝露する工程であって、悪臭含有化合物が、アミン含有化合物及びチオール含有化合物からなる群から選択されている、曝露する工程と、を含み、
カルボニル含有化合物が、第2の無生物表面の少なくとも一部分上に配置されている悪臭含有化合物の存在下で、求核付加を受け、そのため、第2の透過性材料上に配設されているpH指示薬が、第1の無生物表面上に配設されているpH指示薬とは異なる色を呈する、方法。
【0139】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0140】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0141】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9A
図9B
図9C
図10
図11
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