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特許7509846マイクロ流体送達カートリッジ、及びカートリッジをマイクロ流体送達システムと接続する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】マイクロ流体送達カートリッジ、及びカートリッジをマイクロ流体送達システムと接続する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20240625BHJP
   B05B 9/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
A61L9/14
B05B9/00
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162582
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2020129378の分割
【原出願日】2016-12-01
(65)【公開番号】P2022183222
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】14/966,231
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダナ ポール グルーエンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】シモン ドッド
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エス.ハント
(72)【発明者】
【氏名】ヨセフ エドワード シェッフェリン
(72)【発明者】
【氏名】ファイズ フェイサル シャーマン
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09174453(US,B1)
【文献】特表2010-509967(JP,A)
【文献】特開2006-272642(JP,A)
【文献】特表2012-525950(JP,A)
【文献】特表2015-521058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0032468(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
B41J 2/01
B41J 2/165- 2/215
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体組成物を含むカートリッジをハウジングに接続する方法であって、前記流体組成物が香料混合物を含み、前記方法は、
電気接点およびファンを含むハウジングを提供する工程であって、前記ハウジングの前記電気接点は、第1の面に沿って配設されている、工程と、
流体組成物を収容するためのリザーバと、ノズルを有するダイと、前記ダイと電気的導通している電気接点と、を含むカートリッジを提供する工程であって、前記カートリッジの前記電気接点は、第2の面に沿って配設されており、前記カートリッジは、前記リザーバに連結される外側カバーを備え、それによって、前記外側カバーと前記リザーバとの間に間隙が形成されて、前記外側カバーと前記リザーバとの間に空気流路が形成される、工程と、
前記カートリッジの前記電気接点が前記ハウジングの前記電気接点と電気的導通するまで、前記カートリッジを、前記ハウジングに向かって、前記第1の面および前記第2の面と平行な単一の方向に動かすことによって、前記カートリッジを前記ハウジングに接続する工程と、
を含み、
前記カートリッジは前記ハウジングにバネ仕掛けで搭載し、前記ファンは、前記空気流路と流体連通するように構成され、
前記ダイが、前記第2の面と実質的に垂直する第3の面に沿って前記カートリッジに配設されており、
前記ダイが、前記流体組成物を気化して気泡を生成するために前記流体組成物を加熱するように構成される加熱器を含む、方法。
【請求項2】
前記カートリッジまたは前記ハウジングがセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイが、半可撓性のプリント回路基板又は硬質のプリント回路基板又は可撓性の回路基板からなる群から選択される回路基板を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カートリッジを、前記ハウジングに向かって、前記第1の面および前記第2の面と平行な単一の方向にのみ動かすことによって、前記カートリッジを前記ハウジングに取り外す工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイは、流体組成物を空気中に送達することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
流体組成物を含むカートリッジをハウジングに接続する方法であって、前記流体組成物が香料混合物を含み、前記方法は、
電気接点およびファンを含むハウジングを提供する工程であって、前記ハウジングの前記電気接点は、第1の面に沿って配設されている、工程と、
流体組成物を収容するためのリザーバと、ノズルを有するダイと、前記ダイと電気的導通している電気接点と、を含むカートリッジを提供する工程であって、前記ダイと電気的導通している前記電気接点は、第2の面に沿って配設されており、前記ダイは、前記第2の面と交差する第3の面に沿って配設されており、前記カートリッジは、前記リザーバに連結される外側カバーを備え、それによって、前記外側カバーと前記リザーバとの間に間隙が形成されて、前記外側カバーと前記リザーバとの間に空気流路が形成される、工程と、
前記カートリッジの前記電気接点が前記ハウジングの前記電気接点と電気的導通するまで、前記カートリッジを、前記ハウジングに向かって、前記第1の面および前記第2の面と平行な単一の方向に動かすことによって、前記カートリッジを前記ハウジングに接続する工程と、
を含み、
前記カートリッジは前記ハウジングにバネ仕掛けで搭載し、前記ファンは、前記空気流路と流体連通するように構成され、
前記ダイが、前記流体組成物を気化して気泡を生成するために前記流体組成物を加熱するように構成される加熱器を含む、方法。
【請求項7】
前記ダイが、半可撓性のプリント回路基板又は硬質のプリント回路基板又は可撓性の回路基板からなる群から選択される回路基板を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイは、流体組成物を空気中に送達することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には流体組成物を空気中に送達するためのシステムに関し、より詳細には、流体組成物を空気中に送達するためのマイクロ流体送達システム及びカートリッジと、カートリッジをマイクロ流体送達システムと接続する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体送達システムは、例えば揮発性香料組成物を空気中に送達するために使用され得る。このマイクロ流体送達システムは、香料組成物を含むカートリッジを含み得る。この香料組成物がカートリッジから放出され尽くしたとき、空になったカートリッジをマイクロ流体送達システムから取り外して、新しいカートリッジをマイクロ流体送達システムに挿入することができる。
【0003】
カートリッジを挿入及び取り外すためには、複数の作業工程と動きが必要になり得る。例えば、ユーザがカートリッジへアクセスできるようにし、更に新しいカートリッジをマイクロ流体送達システムの内部空間に挿入するためには、マイクロ流体送達システムのドア又はパネルを開けなければならない場合がある。他の構成において、カートリッジは、カートリッジとマイクロ流体送達システムとの間の必要な接続全てを行うために、複数工程のプロセスで挿入しなければならない場合がある。例えば、電気接続及び流体ノズルを備えるカートリッジは、その電気接続及びノズルの場所で、マイクロ流体送達システムに接続する必要がある場合がある。
【0004】
しかしながら、ユーザによっては可動性が制限されている場合があり、カートリッジをより容易にマイクロ流体送達システムに接続可能にする必要がある場合がある。これには、カートリッジをマイクロ流体送達システムに接続するのに必要な工程及び動きを制限することが含まれ得る。更に、一部の消費者は、作業の時間及びエネルギーを節約するための、揮発性組成物ディスペンサーを接続するのが容易なカートリッジと、直観的な工程との需要が存在し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、カートリッジと、カートリッジをマイクロ流体送達システムに接続する単純かつ直観的な方法とを提供することが有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、流体組成物を含むカートリッジを、マイクロ流体送達システムに接続する方法を含む。この流体組成物は香料混合物を含む。この方法は、電気接点を含むハウジングを提供する工程であって、このハウジングの電気接点は、第1の面上に配設されている、工程と、流体組成物を収容するためのリザーバと、ノズルを含むダイと、このダイと電気的導通している電気接点とを含むカートリッジを提供する工程であって、この電気接点は、第2の面に沿って配設されている、工程と、カートリッジの電気接点がハウジングの電気接点と電気的導通するまで、第2の面と平行な方向にハウジングに向かってカートリッジを動かすことにより、カートリッジをハウジングに接続する工程と、を含む。
【0007】
このカートリッジは、ハウジングに向かって、第1の面及び第2の面と平行な単一の方向にのみ動く。
【0008】
好ましくは、このダイは加熱器又は圧電結晶を含む。
【0009】
このダイは、第2の面と交差する第3の面に沿って配設される。
【0010】
このダイは、第2の面と平行又は実質的に平行な第3の面に沿って配設される。
【0011】
カートリッジ又はハウジングはセンサを含む。
【0012】
マイクロ流体送達部材は、半可撓性のプリント回路基板、硬質のプリント回路基板、可撓性の回路基板、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される回路基板を含む。
【0013】
この方法は、カートリッジを、第1の方向に平行な第2の方向にのみ動かすことにより、ハウジングからカートリッジを取り外す追加の工程を含む。
【0014】
好ましくは、このマイクロ流体送達システムは、流体組成物を空気中に上向きに送達する。
【0015】
このハウジングはファンを含む。
【0016】
本開示の態様は、マイクロ流体送達システムのハウジングに取り外し可能なように接続可能なカートリッジを含む。このカートリッジは、流体組成物を収容するためのリザーバを備える。このカートリッジは、リザーバに接続されたマイクロ流体送達部材を含み、このマイクロ流体送達部材は、ノズルを有するダイと、このダイと電気導通し、かつ電気接点で終端する電気トレースとを備える。この電気接点はある面に配設される。このダイは、リザーバと流体連通しており、かつ、電気接点が配設されている面に平行な方向に、カートリッジを動かすことにより、カートリッジをマイクロ流体送達システムのハウジングに接続することができる。
【0017】
本開示の態様は、流体組成物を含むカートリッジをマイクロ流体送達システムに接続する方法を含み、この流体組成物は香料混合物を含み、この方法は、電気接点を含むハウジングを提供する工程であって、このハウジングの電気接点は、第1の面上に配設されている、工程と、流体組成物を収容するためのリザーバと、リザーバに接続されているマイクロ流体送達部材とを含むカートリッジを提供する工程であって、このマイクロ流体送達部材は、ノズルを含むダイと、このダイと電気的導通している電気接点とを含み、かつこの電気接点は、第2の面に沿って配設されている、工程と、カートリッジの電気接点がハウジングの電気接点と電気的導通するまで、ハウジングに向かって単一の方向にカートリッジを動かすことにより、カートリッジをハウジングに接続する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】内部に配設されたカートリッジと、マイクロ流体送達システムに電力を供給するために用いられる充電式電池を再充電するための充電器とを有するハウジングを含む、マイクロ流体送達システムの斜視図である。
図2】充電器又はカートリッジが接続されていない、図1のマイクロ流体送達システムのハウジングの斜視図である。
図3】線3-3に沿って取った、図2の断面図である。
図4図2のハウジングの底部平面図である。
図5】内部に配設されたカートリッジを有し、ハウジングの内部にアクセスするためのドアを備えるハウジングの概略斜視図である。
図6】リザーバ及び外側カバーを有するカートリッジの斜視図である。
図7】線7-7に沿って取った、図6の断面図である。
図8】線8-8に沿って取った、図6の断面図である。
図9】半可撓性のプリント回路基板(PCB)が接続されたマイクロ流体送達部材を有するリザーバが見えるように外側カバーを除去したカートリッジの斜視図である。
図10】硬質のPCBが接続されたマイクロ流体送達部材を有するリザーバが見えるように外側カバーを除去したカートリッジの概略断面図である。
図11】線11-11に沿って取った、図6の断面図である。
図12図6のカートリッジの底部平面図である。
図13図7の部分13の拡大図である。
図14A】硬質のPCBを有するマイクロ流体送達部材の上面斜視図である。
図14B】硬質のPCBを有するマイクロ流体送達部材の底部斜視図である。
図15A】マイクロ流体送達部材用の半可撓性PCBの斜視図である。
図15B】マイクロ流体送達部材用の半可撓性PCBの側立面図である。
図16】マイクロ流体送達部材の分解図である。
図17】マイクロ流体送達部材のダイの上面斜視図である。
図18】ダイの流体チャンバを示すためにノズルプレートを除去したダイの上面斜視図である。
図19】ダイの誘電体層を示すためにダイの層を除去したダイの上面斜視図である。
図20】線20-20に沿って取った、図17の断面図である。
図21図20から取った部分21の拡大図である。
図22】線22-22に沿って取った、図17の断面図である。
図23】線23-23に沿って取った、図17の断面図である。
図24】マイクロ流体送達部材の流体経路の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、マイクロ流体送達部材を有するカートリッジを備えるマイクロ流体送達システムと、流体組成物を空気中に送達するための方法とを提供する。本開示は更に、マイクロ流体送達システムのカートリッジを接続、接続外し、及び/又は交換するための方法を含む。
【0020】
本開示のマイクロ流体送達システムは、ハウジング及びカートリッジを含み得る。カートリッジはハウジングに固定されてもよく、ハウジングに取り外し可能に結合してもよく、及び/又は交換可能であってもよく、少なくとも部分的にハウジング内に配設されてもよい。カートリッジは、揮発性組成物を収容するためのリザーバと、マイクロ流体送達部材と、リザーバ内に配設され、かつ流体組成物をリザーバ内からマイクロ流体送達部材に送達するように構成された流体輸送部材とを備え得る。マイクロ流体送達部材は、流体組成物を空気中に分配するように構成され得る。カートリッジは、ハウジングと電気的に接続可能である。
【0021】
リザーバは、上面部分、ベース部分、及び上面部分とベース部分とを接続してこれらの間に延在する側壁(複数可)によって画定され得る。マイクロ流体送達部材は、リザーバに接続され得る。
【0022】
カートリッジは、外側カバーを含み得る。外側カバーは、内部及び外部によって画定され得る。外側カバーは、外辺部によって画定される上面を含み得る。上面は、オリフィスを含む。外側カバーの上面は、リザーバの上面部分を実質的に被覆し得る。オリフィスは、ダイに隣接して配設されてもよく、また、例えば、ダイと少なくとも部分的に位置合わせされても、又は完全に位置合わせされてもよい。外側カバーは、外側カバーとリザーバとの間に間隙が形成されて、外側カバーとリザーバとの間に空気流路が形成されるように、リザーバに接続される。
【0023】
外側カバーは、上面の外辺部からリザーバに向かって延在するスカートを含み得る。スカートは、リザーバの側壁(複数可)の少なくとも一部を包囲し得る。スカートは、空気がリザーバの側壁(複数可)に隣接して長手方向に流れることができるように構成され得る。空気流路は、リザーバの全体、又は全体の大半の周りに延在することが好ましい。例えば、空気流路が、リザーバの周囲に少なくとも約300度、リザーバの周囲に約350度、又はリザーバの周囲に約360度延在することが望ましい場合がある。
【0024】
下記の説明は、両方が様々な構成要素を有するハウジング及びカートリッジを備えるマイクロ流体送達システムを説明しているが、マイクロ流体送達システムは、下記の説明で明記されるか、又は図面に図示される構成及び配置に限定されるものではないことを理解されたい。本開示のマイクロ流体送達システム及びカートリッジは、その他の構成に対しても適用可能であるか、又は様々な方法で実施若しくは実行することができる。例えば、ハウジングの構成要素がカートリッジ上に位置していてもよく、その逆であってもよい。更に、ハウジング及びカートリッジは、下記の説明で説明されるようにハウジングから分離可能なカートリッジを構築するのとは反対に、単一のユニットとして構成されてもよい。加えて、カートリッジは、流体組成物を空気中又は標的の表面上に送達するための様々なデバイスと併用されてもよい。
【0025】
例示的なマイクロ流体送達システムは、2014年6月20日出願の米国特許出願第14/310,285号に記述されている。マイクロ流体送達カートリッジからある用量の流体組成物を送達する例示的な方法は、2014年6月20日出願の米国特許出願第14/310,334号に記述されている。
【0026】
ハウジング
図1~3を参照すると、マイクロ流体送達システム10はハウジング12を含み得る。ハウジング12は、単一の構成要素から構築されてもよく、又は組み合わせされてハウジング12を形成する複数の構成要素を有してもよい。ハウジング12は、内部21及び外部23によって画定され得る。ハウジング12は、上側部分14、下側部分16、及び上側部分14と下側部分16との間に延在してこれらを接続する本体部分18からなり得る。
【0027】
ハウジング12は、ハウジング12の上側部分14の開口部20と、ハウジング12内にカートリッジ26を受容して保持するためのホルダ24とを含み得る。カートリッジ26は、ハウジング12の上側部分14内に受容され得る。空気流チャネル34は、ハウジング12のホルダ24と上側部分14との間に形成され得る。図4を参照すると、ハウジング12は1つ以上の給気口27を備え得る。給気口27は、例示のみを目的として図4に示すようにハウジングの下側部分16内に配置されてもよく、又はハウジングの本体部分18内に形成されてもよい。
【0028】
マイクロ流体送達システム10は、室内への充満を補助するため、かつ/又は表面を損傷し得る大きな液滴の付着がデバイスの周囲表面に付かないようにするために、ファン32を備え得る。ファン32は、例えば、少なくとも部分的にハウジング12の内部21内に配設されてもよく、ハウジング12のホルダ24と下側部分16との間に配置されてもよい。しかしながら、ファンは、所望の用途に好適な任意のその他の方式で構成及び配置されてもよい。例示的なファンとしては、毎分約10~約50リットル(L/分)、又は約15L/分~約25L/分の空気を送達する能力を有する、5V、25×25×8mmのDC軸流ファン(EBMPAPSTからのシリーズ250、タイプ255N)が挙げられる。以下に、より詳細に説明するように、ファン32は空気を空気入口27からハウジング12内に吸引し、空気を空気流チャネル34を通して上向きにカートリッジ26の方向に導く。開口部20から出る空気の速度は、毎秒約1メートル(m/秒)~約5m/秒、又は約1.5m/秒~約2.5m/秒の範囲であり得る。
【0029】
マイクロ流体送達システム10は、電源と電気導通し得る。使い捨て式電池又は充電式電池などの電源は、ハウジング12の内部21内に位置決めされ得る。あるいは、電源は、ハウジング12に接続された電源コード39に接続された電気コンセントなどの外部電源であってもよい。ハウジング12は、電気コンセントと接続可能な電気プラグを含み得る。マイクロ流体送達システムは、コンパクトで、容易に携帯できるように構成され得る。したがって、電源は充電式又は使い捨て式電池を含み得る。マイクロ流体送達システムは、9ボルト電池、「A」、「AA」、「AAA」、「C」、及び「D」電池などの従来式の乾電池、ボタン電池、時計用電池、太陽電池、並びに再充電ベース部を備える再充電式電池などの電源と併用することが可能であり得る。
【0030】
図1を参照すると、マイクロ流体送達システム10は、ハウジングの内部21内に配設された充電式電池を動力源としてもよい。充電式電池は、充電器38を用いて充電され得る。チャージャ38は、電気コンセント又は電池の端子などの外部電源と接続する電源コード39を含み得る。充電器38は、電池を充電するためにハウジング12を受容し得る。下記でより詳細に説明するとおり、ハウジングの内部21上に配設された電気接点48は、内部又は外部電源と結合し、またカートリッジのマイクロ流体送達部材上の電気接点と結合して、ダイに電力を供給する。ハウジング12は、ハウジング12の外部23上に電源スイッチを含み得る。
【0031】
図5を参照すると、開口部20は、ハウジング12の上側部分14又は本体部分18内に配設され得る。ハウジング12は、開口部20を被覆するためのドア30又は構造体を含み得る。カートリッジ26は、ハウジング12の本体部分18内の開口部から滑り込み得る。ハウジング12は、ハウジング12の外部23上の環境をハウジング12の内部21と流体連通させる空気出口28を含み得る。ドア30は回転して、空気出口28へのアクセスを提供し得る。しかしながら、ドア又は被覆は、多様な異なる方式で構成されてもよいことを理解されたい。ドア30は、ハウジング12の内部21内の加圧空気がドア30とハウジングとの間のいかなる間隙からも漏れ出さないように、ハウジング12の残部との実質的に気密性の接続を形成してよい。
【0032】
カートリッジ
図1及び6~13を参照すると、カートリッジ26は長手方向軸線Aを有し得、また、流体組成物52を収容するためのリザーバ50を備え得る。カートリッジ26は、ダイ92及び流体輸送部材80を含み得る。流体輸送部材80は、流体組成物をリザーバ50からダイ92まで送達するように構成され得る。ダイ92は、流体組成物を空気中又は標的表面上に分配するように構成され得る。
【0033】
カートリッジ26は、リザーバ50と機械的に接続された外側カバー40を含み得る。外側カバー40は、ダイ92を少なくとも部分的に露出させるオリフィス42を含み得る。オリフィス42はダイ92に隣接してもよく、また、ダイ92と少なくとも部分的に位置合わせされてもよい。空気流路46は、リザーバ50と外側カバー40との間の間隙内に形成され得る。カートリッジ26がハウジング12に接続されると、外側カバー40の少なくとも一部はハウジング12の外部から可視であり得る。ファンによって生成された空気圧によって、空気が空気流路46を通って移動してオリフィス42から出る。ダイ92から分配された流体組成物52は、オリフィス42から出る空気と混合し、流体組成物52が空気中に分配されて部屋又は空間を十分に満たすことを助ける。
【0034】
下記でより詳細に説明するとおり、カートリッジ26がハウジング12に接続されると、ダイ92が流体組成物の一部を空気中に分配するときに、ファン32は空気が空気流路46を通るように配向して、外側カバー40のオリフィス42を通して流体組成物52を出すことができる。ファン32からの空気流は、分配された流体組成物52を空気中に運ぶための更なる力を供給し、続いてこの力は、部屋の充填を増加させ、及び/若しくは堆積を低減させ、並びに/又は流体組成物を所望の標的に方向づけることができる。空気流路46を通る空気流の増加は、空気中に運ばれる流体組成物52の増加を伴うことを理解されたい。更に、オリフィス42を通って流れる空気の速度を制御するために、オリフィスの寸法を調節してもよい。
【0035】
カートリッジは様々な方法でハウジングに接続することができる。例えば、カートリッジ26はハウジング12にバネ仕掛けで搭載することができる。カートリッジ26は、カートリッジ26をハウジング12から外すためのリリースボタンを有してもよい。あるいは、カートリッジ26をハウジング12に向かって押すことにより、カートリッジ26をハウジング12に係合させ、及び/又は係合を外すことができる。カートリッジ26は、カートリッジ26をハウジング12に接続するための締着具又はクリップと係合し得る。
【0036】
リザーバ
図6~9、11、及び12を参照すると、カートリッジ26は、流体組成物を収容するためのリザーバ50を含む。リザーバ50は、約5ミリリットル(mL)~約100mL、あるいは約10mL~約50mL、あるいは約15mL~約30mLの流体組成物を収容するように構成され得る。カートリッジ26を、複数のリザーバを有して、各リザーバが同じ又は異なる流体組成物を含むように構成されてもよい。リザーバは、ガラス、プラスチック、金属などの流体組成物を収容するのに好適な任意の材料から製造され得る。
【0037】
リザーバ50は、上面部分51と、上面部分51に対向するベース部分53と、上面部分51及びベース部分53と接続されて上面部分51とベース部分53との間に延在する少なくとも1つの側壁61とからなり得る。リザーバ50は、内部59及び外部57を画定し得る。リザーバ50の上面部分51は、通気孔93及び流体出口90を含み得る。リザーバ50は、上面部分51、ベース部分53、及び少なくとも1つの側壁61を有するものとして示されているが、リザーバ50は、様々な異なる方式で構成されてもよいことを理解されたい。
【0038】
上面部分51、ベース部分53、及び側壁(複数可)61を含むリザーバ50は、単一の構成要素として構成されてもよく、又は一体に接合された別々の要素として構成されてもよい。例えば、上面部分51又はベース部分53は、リザーバ50の残部とは別個の要素として構成されてもよい。例えば、図7及び8を参照すると、リザーバ50は、一体に接合された2つの要素からなってもよく、ベース部分53及び側壁(複数可)61は1つの要素であってもよく、上面部分51は別個の要素であってもよい。上面部分51は、側壁(複数可)61と機械的に接続された蓋54として構成されてもよい。蓋54は、リザーバ50を実質的に包囲するために、側壁(複数可)61に解除可能に又は固定して接続されてもよい。蓋54はリザーバ50の側壁(複数可)61に螺着されてもよく、又はリザーバ50の側壁(複数可)61に溶接、糊剤接着などされてもよい。
【0039】
図7~8及び13を参照すると、リザーバ50は、リザーバ50の内部59から延在する接続部材86を含み得る。接続部材86は、流体輸送部材80の第2の端部84の一部を受容するためのチャンバ88を画定し得る。チャンバ88は、接続部材86と流体輸送部材80との間に実質的に封止されて、リザーバ50からの空気がチャンバ88に侵入するのを防ぐことができる。
【0040】
リザーバ50の上面部分51が蓋54を含む例示的構成では、接続部材86は蓋54から延在し得る。リザーバの蓋54は、外表面58及び内表面60によって画定され得る。蓋54は、内表面60から延在する接続部材86を含み得る。
【0041】
リザーバは、透明、半透明、若しくは不透明、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。例えば、リザーバ内の流体組成物面の透明表示器を用いた場合、リザーバは不透明であってもよい。
【0042】
流体輸送部材
図7及び8を参照すると、カートリッジ26は、リザーバ50の内部59内に配設された流体輸送部材80を含む。流体輸送部材80は、第1の端部82、第2の端部84、及び中央部分83によって画定され得る。第1の端部82はリザーバ50内で流体組成物52と流体連通し、第2の端部84はリザーバ50の接続部材86と動作可能に接続されている。流体輸送部材80の第2の端部84は、マイクロ流体送達部材64の下方に位置決めされる。流体輸送部材80は、流体組成物をリザーバ50からマイクロ流体送達部材64まで送達する。流体組成物は、ウィッキング、拡散、吸引、サイフォン吸い上げ、真空吸い上げ、又はその他の重力に逆らう機構によって移動することができる。流体組成物は、当該技術分野において既知の重力送りシステムによってマイクロ流体送達部材64まで輸送され得る。
【0043】
流体輸送部材80は、毛細管又はウィッキング材料の形態のものを含む様々な方式で構成されてよい。ウィッキング材料は、流体組成物をリザーバからマイクロ流体送達部材まで引き上げる毛管路を形成する複数の相互接続した連続気泡を含む、金属若しくは織物メッシュ、スポンジ、又は繊維質若しくは多孔質ウィックの形態であってもよい。流体輸送部材に好適な組成物の非限定的な例には、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(polyethelene)、ナイロン6、ポリプロピレン、ポリエステル繊維、エチルビニルアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオリド、及びポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。多くの従来式のインクジェットカートリッジは、時間と共に(例えば、2か月又は3か月後に)香料混合物と不相溶になり得、かつ分解し得る連続気泡ポリウレタン発泡体を使用する。流体輸送部材80は、ポリウレタン発泡体を含まなくてよい。
【0044】
流体輸送部材80は、香料混合物の香気を封じ込めるのに役立つような高密度のウィック組成物であってもよい。流体輸送部材は、高密度ポリエチレン又はポリエステル繊維から選択されるプラスチック材料から製造され得る。本明細書で使用するとき、高密度ウィック組成物には、約20マイクロメートル~約200マイクロメートル、あるいは約30マイクロメートル~約150マイクロメートル、あるいは約30マイクロメートル~約125マイクロメートル、あるいは約40マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲の孔半径又は相当する孔半径(例えば、繊維系ウィックの場合)を有する、任意の従来のウィック材料が挙げられる。
【0045】
製造材料にかかわらず、ウィッキング材料が使用される場合、流体輸送部材80は、約10マイクロメートル~約500マイクロメートル、あるいは約50マイクロメートル~約150マイクロメートル、あるいは約70マイクロメートルの平均孔径を示し得る。流体輸送部材のうちの構造組成物によって占められていない割合として表されるウィックの平均孔容積は、約15%~約85%、あるいは約25%~約50%である。ウィックが約38%の平均細孔容積を有するという良好な結果が得られている。
【0046】
流体輸送部材80は、リザーバ50からマイクロ流体送達部材64に流体組成物を送達することが可能となる任意の形状であってよい。流体輸送部材80は、リザーバ50よりも著しく小さい直径などの幅寸法を有しているが、流体輸送部材80の直径はより大きくてもよく、実質的にリザーバ50を満たしてもよいことを理解されたい。流体輸送部材80はまた、例えば、約1mm~約100mm、又は約5mm~約75mm、又は約10mm~約50mmなどの様々な長さであってもよい。
【0047】
図8を参照すると、流体輸送部材80が毛細管として構成される場合、流体輸送部材80は制限部材81を含み得る。制限部材81は、リザーバ50から出た気泡が流体輸送部材80を通過してダイ92のノズル130を塞ぐ可能性を防ぐか又は最小化する。例示的な制限部材が、2015年9月16日出願の「MICROFLUIDIC DELIVERY SYSTEM AND CARTRIDGE」と題された米国特許出願第14/855,677号に記述されている。
【0048】
マイクロ流体送達部材
図7~10及び14A~15Bを参照すると、マイクロ流体送達システム10は、インクジェット印刷ヘッドシステムの態様、より具体的には、サーマル方式又はピエゾ方式インクジェット印刷ヘッドの態様を用いたマイクロ流体送達部材64を備え得る。マイクロ流体送達部材64は、カートリッジ26のリザーバ50の上面部分51及び/又は側壁61と接続され得る。
【0049】
「ドロップオンデマンド」インクジェット印刷プロセスでは、流体組成物は、急速圧力インパルスにより微小液滴の形態で、直径が一般に約5~50マイクロメートル又は約10~約40マイクロメートルの極小オリフィスを通して排出される。急速圧力インパルスは、一般に、高周波で振動する圧電結晶の伸張、又は急速加熱サイクルによるインク内での揮発性組成物(例えば、溶媒、水、噴射剤)の揮発のいずれかにより、印刷ヘッドで生成される。サーマル式インクジェットプリンタは、印刷ヘッド内の加熱要素を使用して、オリフィスノズルを介して流体組成物の第2の部分を押し出す組成物の一部を揮発させ、加熱要素のオン/オフサイクル数に比例して液滴を形成する。この流体組成物は、必要なときにノズルから押し出される。従来のインクジェットプリンタは、米国特許第3,465,350号及び同第3,465,351号により具体的に記載されている。
【0050】
マイクロ流体送達部材64は、電源と電気導通してもよく、また、プリント回路基板(「PCB」)106、及び流体輸送部材80と流体連通するダイ92を含み得る。
【0051】
PCB 106は、硬質回路基板、例示のみを目的とする図14A及び14Bに示されるものなどの硬質で平面的な回路基板、可撓性PCB、又は例示のみを目的とする図15A及び15Bに示されるものなどの半可撓性PCB、又はこれらの組み合わせであってよい。図15A及び15Bに示される半可撓性PCBは、PCB 106の一部を屈曲させることを可能にする部分が部分的に圧延されたガラス繊維-エポキシ複合材料を含み得る。圧延部分は、厚さ約0.2ミリメートルに圧延されてもよい。PCB 106は、上面68及び下面70を有する。
【0052】
PCB 106は、従来の構造からなってもよい。これは、セラミック基材を備え得る。これは、ガラス繊維-エポキシ複合材料基材、並びに上面及び底面上に導電性金属、通常は銅からなる層を備え得る。導電層は、エッチングプロセスによって導電路に配置される。導電路は、はんだマスク層と呼ばれることの多い光硬化性ポリマー層によって、基板の大部分の領域で機械的損傷及び他の環境影響から保護される。液体流路及びワイヤボンド取付けパッドなどの選択された領域では、導電性銅経路は、金などの不活性金属層によって保護される。その他の材料の選択肢は、スズ、銀、又は他の低反応性で高導電性の金属であり得る。
【0053】
引き続き図14A~16を参照すると、PCB 106は、全ての電気接続、つまり、接点74、トレース75、及び接触パッド112を含み得る。接点74及び接触パッド112はPCB 106の同じ面上に配設されてもよく、又はPCBの異なる面上に配設されてもよい。例えば、図14A及び14Bに示すように、接点74はPCB 106の両側に配設されてもよい。接点74はPCB 106の下面70上に配設されてもよく、接触パッド112はPCB 106の上面68上に配設されてもよい。図15A及び15Bを参照すると、接点74は接触パッド112と同じ面上に配設されてもよい。例えば、接点74及び接触パッド112は上面68上に配設されてもよい。
【0054】
図14A及び14Bを参照すると、ダイ92及び接点74は、平行面又は実質的に平行な面に沿って配設されてもよい。ダイ92及び接点74は、同じ面上に配設されてもよい。これらの構成により、単純な硬質のPCB 106構造体がもたらされる。
【0055】
接点74及びダイ92はPCB 106の同じ面上に配設されてもよく、又はPCB 106の両側に配設されてもよい。例えば、図14A及び14Bに示す構成の代わりに、接点74は、PCB 106の、ダイ92と同じ側に配設されてもよい。そのような構成の場合、接点74及びダイ92は、同じ面に沿って配設され得る。PCBの同じ側にダイ及び接点を有する例示的なマイクロ流体送達システムは、2014年6月20日出願の米国特許出願第14/310,285号に記述されている。
【0056】
PCB 106は、第1の端部に電気接点74を含み、ダイ92に近接する第2の端部に接触パッド112を含む。図15Aを参照すると、接触パッド112から電気接点に至る電気トレース75は基板上に形成され、はんだマスク又は別の誘電体によって被覆されてもよい。ダイ92からPCB 106に至る電気接続は、ワイヤボンディングプロセスによって確立されてもよく、ここで、金又はアルミニウムからなり得る細いワイヤが、ケイ素ダイ上の接着パッドに、そして基板上の対応する接着パッドに熱着される。繊細な接続部を機械的損傷及び他の環境影響から保護するために、カプセル材料116、通常はエポキシ化合物がワイヤ接着領域に塗布される。
【0057】
図13、14B、及び16を参照すると、マイクロ流体送達部材64はフィルタ96を含み得る。フィルタ96は、PCB 106の下面70上に配設してもよい。フィルタ96は、基板の下面で基板の開口部78をチャンバ88から分離し得る。フィルタ96は、ダイ92のノズル130を目詰まりさせるのを防ぐために、粒子のうちの少なくとも一部が開口部78を通過するのを防ぐように構成され得る。フィルタ96は、ノズル130の直径の3分の1よりも大きな粒子をブロックするように構成され得る。流体輸送部材80は好適なフィルタ96として機能し得るため、別のフィルタは必要とされないことを理解されたい。フィルタ96は、ステンレス鋼のメッシュであり得る。フィルタ96は、ポリプロピレン、又はケイ素ベースのランダム織りされたメッシュであってもよい。
【0058】
図13~16を参照すると、フィルタ96は、リザーバ50内の流体組成物によって容易に分解されることのない接着材料を用いて底面に取り付けられてもよい。接着剤は、熱的に又は紫外線で活性化されてもよい。フィルタ96は、チャンバ88とダイ92との間に配置される。フィルタ96は、機械的スペーサ98によってマイクロ流体送達部材64の底面から分離される。機械的スペーサ98は、マイクロ流体送達部材64の底面70と、開口部78に近接するフィルタ96との間に間隙99を生じさせる。機械的スペーサ98は、硬質な支持体であっても、フィルタ96とマイクロ流体送達部材64との間の形状に適合する接着剤であってもよい。その点では、フィルタ96の出口は、開口部78の直径よりも大きく、かつ開口部78からオフセットされているため、機械的スペーサ98なしでフィルタがマイクロ流体送達部材64の底面70に直接取り付けられる場合と比べて、フィルタ96のより大きな表面積が流体組成物をろ過することができる。機械的スペーサ98は、フィルタ96を通る適切な流量を実現することを理解されたい。つまり、フィルタ96が粒子を集積するとき、フィルタが、フィルタを通じて流れる流体を減速させることがない。フィルタ96の出口は約4mm2以上であり、スタンドオフは厚さ約700マイクロメートルであってよい。
【0059】
開口部78は、図16に示すように、楕円形として形成され得る。ただし、用途に応じて他の形状が想到される。楕円形は、約1.5mmの第1の直径、及び約700マイクロメートルの第2の直径からなる寸法を有し得る。開口部78は、PCB 106の側壁102を露出させる。PCB 106がFR4のPCBである場合は、開口部によって繊維束が露出される。これらの側壁は流体組成物の影響を受けやすいため、これらの側壁を被覆及び保護するためにライナ100が含まれる。流体組成物が側壁内に進入した場合、PCB 106は変質し始めて、本製品の寿命が短縮される場合がある。
【0060】
PCB 106は、ダイ92を担持し得る。ダイ92は、薄膜蒸着、表面不活性化、エッチング、紡糸、スパッタリング、マスキング、エピタキシ成長、ウェハ/ウェハボンディング、微細薄膜積層、硬化、ダイシングなどの半導体マイクロ加工プロセスを用いて製造された流体射出システムを備える。これらのプロセスは、当該技術分野において、MEMデバイスを製造するものとして知られている。ダイ92は、ケイ素、ガラス、又はこれらの混合物から製造され得る。ダイ92は、複数のマイクロ流体チャンバ128を備え、その各々が対応する作動要素、つまり加熱要素又は電気機械式のアクチュエータを備える。このように、ダイの流体射出システムは、マイクロ熱核生成(例えば加熱要素)又はマイクロ機械作動(例えば薄膜圧電性)式となり得る。マイクロ流体送達部材のためのダイの1種は、STMicroelectronics S.R.I.(Geneva,Switzerland)に付与された米国特許出願第2010/0154790号に記載されるMEM技術により得られるノズル集積膜である。薄膜ピエゾの場合、圧電材料(例えばチタン酸鉛ジルコニウム)は、典型的にはスピニングプロセス及び/又はスパッタリングプロセスによって適用される。半導体マイクロ加工プロセスによって、1つ又は数千のMEMSデバイスを1つのバッチプロセス(バッチプロセスは複数のマスク層を含む)で同時に製造することが可能となる。
【0061】
ダイ92は、開口部78の上方でPCB 106の上面68に固定され得る。ダイ92は、半導体ダイを基板上に保持するように構成された任意の接着材料によって、PCB 106の上面に固定され得る。接着材料は、フィルタ96をマイクロ流体送達部材64に固定するのに用いられる接着材料と同じであっても、異なってもよい。
【0062】
ダイ92は、ケイ素基材、導電性層、及びポリマー層を備えてもよい。ケイ素基材は、他の層のための支持構造体を形成し、これはダイの底部から上層に流体組成物を送達するためのチャネルを含む。導電性層はケイ素基材上に配設されて、高い導電性を持つ電気トレースと低い導電性を持つ加熱器を形成する。ポリマー層は、通路、発射チャンバ、及びノズル130を形成し、ノズル130は液滴生成の幾何学的形状を画定する。
【0063】
図16~20は、ダイ92の更なる詳細を含む。ダイ92は、基材107、複数の中間層109、及びノズルプレート132を含む。ノズルプレート132は、表面積の範囲を定める外表面133を含む。複数の中間層109は、基材とノズルプレート132との間に配置される誘電体層及びチャンバ層148を含む。ノズルプレート132は、約12マイクロメートル厚であり得る。
【0064】
ダイ92は、中間層109のうちの1つから回路PCB 106上の接触パッド112へと下方に延在する複数の電気接続リード110を含む。少なくとも1つのリードが単一の接触パッド112に結合する。ダイ92の左及び右側の開口部150は、リード110が結合されている中間層109へのアクセスをもたらす。開口部150は、ノズルプレート132及びチャンバ層148を通過して、中間誘電体層上に形成された接触パッド152を露出させる。ダイ92の一方の側にのみ配置された1つの開口部150が存在し得、その結果、ダイから延びるリードが全て一方の側から延び、他方の側はリードによって妨げられないままである。
【0065】
ノズルプレート132は、約4~100個のノズル130、約6~80個のノズル、又は約8~64個のノズルを含み得る。例示のみを目的として、ノズルプレート132を通して示される18個のノズル130が存在し、中心線の各側上に9個のノズルがある。各ノズル130は、電気発射パルスごとに、約0.5~約20ピコリットル、又は約1~約10ピコリットル、又は約2~約6ピコリットルの流体組成物を送達し得る。各ノズルから電気発射パルスごとに送達される流体組成物の容量は、画像を基に、ストロボ照明が液滴の生成に合わせて調整される液滴分析を用いて分析することができるが、その一例は、ImageXpert,INc.(Nashua,NH)から入手可能なJetXpertシステムであり、ここでは液滴はダイ上面から1~3mmの距離で測定される。ノズル130は、約60μm~約110μmの間隔で配置してよい。20個のノズル130が3mm2の領域内に存在し得る。ノズル130は、約5μm~約40μm、又は10μm~約30μm、又は約20μm~約30μm、又は約13μm~約25μmの直径を有してもよい。図18は、チャンバ層148が露出されるようにノズルプレート132を取り除いた、ダイ92を上から見下ろした等角図である。
【0066】
一般に、ノズル130は、図20及び21に示すように、ダイ92を通る流体供給チャネルに沿って配置される。ノズル130は、上部開口部が下部開口部よりも小さくなるように、先細りの側壁を含んでもよい。加熱器は、ある長さの辺を有する正方形であってよい。一例では、上部の直径は約13μm~約18μmであり、下部の直径は約15μm~約20μmである。上部の直径が13μmであり、下部の直径が18μmであると、これにより、132.67μmの上部領域及び176.63μmの下部領域がもたらされる。下部の直径と上部の直径との比は、約1.3対1となる。加えて、加熱器の領域と上部の開口部の領域との比は、5対1超又は14対1超などの高いものとなる。
【0067】
各ノズル130は、流体経路によってリザーバ50内の流体組成物と流体連通する。図13並びに図20及び21を参照すると、輸送部材を通って輸送部材の第2の端部84へ向かい、チャンバ88を通り、第1のスルーホール90を通り、PCB 106の開口部78を通り、ダイ92の入口94を通り、続いてチャネル126を通り、続いてチャンバ128を通り、ダイのノズル130から出る、リザーバ50からの流体経路は、流体輸送部材80の第1端部82を含む。
【0068】
各ノズルチャンバ128には加熱要素134(図19及び22を参照)が近接しており、加熱要素134は、ダイ92の接触パッド152のうちの1つによって提供される電気信号に電気的に結合され、この電気信号によって作動される。図19を参照すると、各加熱要素134は、第1の接点154及び第2の接点156に結合される。第1の接点154は、導電性トレース155によって、ダイ上の接触パッド152のうちの対応する1つに結合される。第2の接点156はグランド線158に結合され、グランド線158は、ダイの片面上で第2の接点156の各々と共有されている。ダイの両側上で接点によって共有される単一のグランド線のみが存在していてもよい。図19は、特徴の全てが単一層上にあるかのように図示されているが、これらは、いくつかの積み重ねられた誘電性及び導電性材料の層上に形成されてもよい。更に、図示される実施形態は、作動要素として加熱要素134を示しているが、ダイ92は、流体組成物をダイから分配するために、各チャンバ128内に圧電アクチュエータを備えてもよい。
【0069】
使用中、チャンバ128の各々の中の流体組成物が加熱要素134によって加熱されると、流体組成物は気化して気泡を生成する。気泡を生成する膨張により流体組成物がノズル130から排出され、1つ以上の液滴のプルームを形成する。
【0070】
図17及び18を参照すると、基材107はチャネル126に結合された入口経路94を含み、入口経路94は個々のチャンバ128と流体連通して、流体経路の一部を形成する。チャンバ128の上方には、複数のノズル130を含むノズルプレート132がある。各ノズル130は、チャンバ128のうちの対応する1つの上方にある。ダイ92は、1つのチャンバ及びノズルを含む任意の数のチャンバ及びノズルを有してよい。例示のみを目的として、ダイは、各々がそれぞれのノズルに関連付けられる18個のチャンバを含むものとして示される。あるいは、ダイは、10個のノズルと、5つのノズルの群に流体組成物を提供する2つのチャンバとを有してもよい。チャンバとノズルとの間に1対1の対応を有する必要はない。
【0071】
図18に最も良く示されるように、チャンバ層148は、流体組成物をチャネル126からチャンバ128内に供給する角度付きの漏斗経路160を画定する。チャンバ層148は、中間層109の上面上に配置されている。チャンバ層は、チャネルと、各ノズル130に関連付けられる複数のチャンバ128との境界を画定する。チャンバ層は、金型内で個別に形成されてから基材に取り付けられてもよい。チャンバ層は、基材の上面上に層を蒸着、マスキング、及びエッチングすることによって形成されてもよい。
【0072】
中間層109は、第1の誘電体層162と第2の誘電体層164とを含む。第1及び第2の誘電体層は、ノズルプレートと基材との間にある。第1の誘電体層162は、基材上に形成された複数の第1及び第2の接点154、156を被覆し、各チャンバと関連付けられる加熱器134を被覆する。第2の誘電体層164は、導電性トレース155を被覆する。
【0073】
図19を参照すると、第1及び第2の接点154、156は、基材107上に形成される。加熱器134は、それぞれの加熱器組立体の第1及び第2の接点154、156と重なり合うように形成される。接点154、156は、第1の金属層又は他の導電性材料から形成され得る。加熱器134は、第2の金属層又は他の導電性材料から形成され得る。加熱器134は、第1の接点154と第2の接点156とを横方向に接続する薄膜抵抗器である。接点の上面上に直接形成される代わりに、加熱器134は、ビアを介して接点154、156に結合されてもよく、又は接点の下方に形成されてもよい。
【0074】
加熱器134は、20ナノメートル厚のタンタルアルミニウム層であってもよい。加熱器134は、各々が異なる百分率のクロム及びケイ素を有し、各々が10ナノメートル厚であるクロムケイ素フィルムを含んでもよい。加熱器134のための他の材料としては、タンタル窒化ケイ素及びタングステン窒化ケイ素が挙げられ得る。加熱器134はまた、30ナノメートルの窒化ケイ素のキャップを含んでもよい。加熱器134は、複数の薄膜層を連続して堆積させることによって形成されてもよい。薄膜層の積層体は、個々の層の基本的特性を組み合わせる。
【0075】
加熱器134の面積とノズル130の面積との比は、7対1よりも大きくてもよい。加熱器134は、各辺が長さ147を有する正方形であってもよい。長さは、47マイクロメートルであっても、51マイクロメートルであっても、又は71マイクロメートルであってもよい。これは、それぞれ2209、2601、又は5041平方マイクロメートルの面積を有することになる。ノズル直径が20マイクロメートルである場合、第2の端部における面積は314平方マイクロメートルとなり、それぞれおよそ7対1、8対1、又は16対1の比がもたらされる。
【0076】
図23を参照すると、第1の接点154の長さを入口94に隣接して見ることができる。ビア151が、第1の接点154を、第1の誘電体層162上に形成されたトレース155に結合する。第2の誘電体層164は、トレース155上にある。ビア149が第2の誘電体層164を通して形成され、トレース155を接触パッド152に結合する。グランド線158の一部が、ダイの縁部163に向かってビア149と縁部163との間で目視できる。
【0077】
この断面図で見て取れるように、ダイ92は、比較的単純であり、複雑な集積回路を含まなくてもよい。このダイ92は、外部マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサによって制御及び駆動される。外部マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサは、ハウジング内に設けられてもよい。これにより、PCB 106とダイ92は単純化されて、費用対効率が高まる。基材上に形成される2つの金属又は導電性レベルが存在し得る。これらの導電性レベルは、接点154とトレース155とを含む。これらの特徴は全て、単一の金属レベル上に形成され得る。これにより、ダイの製造が簡単になり、また、加熱器とチャンバとの間の誘電体層の数が最小化される。
【0078】
ここで図24を参照すると、マイクロ流体カートリッジ26の一部分の拡大図が示されており、この拡大図は、流体輸送部材80の第2の端部84とダイ92との間にフィルタ96を備える流路を示している。マイクロ流体送達部材64の開口部78は、PCB 106の露出した側壁102を被覆するライナ100を含み得る。ライナ100は、基板の繊維が分離することを防止するなどして、流体組成物の存在が原因の分解からPCB 106を保護するように構成された任意の材料であってよい。この点において、ライナ100は、PCB 106からの粒子が流体経路に進入し、ノズル130を閉塞することを防ぎ得る。例えば、開口部78は、リザーバ内の流体組成物に対する反応性がPCB 106の材料よりも低い材料で裏張りされてもよい。この点において、PCB 106は、流体組成物がPCB 106を通過するときに保護され得る。スルーホールは、金などの金属材料でコーティングされ得る。
【0079】
外側カバー
図6~10を参照すると、カートリッジ26は外側カバー40を含む。外側カバー40は、内部49及び外部63によって画定され得る。外側カバー40は、外辺部43によって画定される上面41を含み得る。外側カバー40の上面41は、外辺部43によって境界を定められた表面積によって画定され得る。上面41は、オリフィス42を含む。外側カバー40の上面41は、リザーバ50の上面部分51を実質的に被覆し得る。オリフィス42は、ダイ92に隣接して配設され得る。オリフィス42は、ダイ92と少なくとも部分的に位置合わせされ得る。オリフィス42は、ダイ92をハウジング12の外部23に対して露出させ得る。
【0080】
外側カバー40は、外側カバー40とリザーバ50との間に間隙が形成されて、外側カバー40とリザーバ50との間に空気流路46が形成されるように、リザーバ50に接続される。空気流路46によって、ファン32からの空気が、マイクロ流体送達部材64から分配された流体組成物52をオリフィス42から室内又は空間内へと押し出すことを可能にする。オリフィス42を通して流れるように空気流及び分配された流体組成物52を制限することによって、カートリッジ26から分配される流体組成物52の速度を増加させることができる。全般に、カートリッジ26から分配される流体組成物52の速度が速いほど、流体組成物52が空気中を移動することができる距離が長くなる。よって、流体組成物52の速度は、室内又は空間への流体組成物52の分散に正の影響を与え得る。ファンからの空気の空気速度のために、オリフィス42の寸法は流体組成物52の速度に直接の影響を与え得る。
【0081】
外側カバー40は、上面41の外辺部43からリザーバ50に向かって延在するスカート45を含み得る。スカート45は、リザーバ50の側壁(複数可)61の少なくとも一部を包囲し得る。スカート45は、空気がリザーバ50の側壁(複数可)61に隣接して長手方向に流れることができるように構成され得る。空気は、空気流路を通って長手方向に流れ得る。更に、ファン32からの空気流が空気流路46を通るように配向することによって、スカート45からオリフィス42までの均一な空気流が実現され、それによって、乱気流が発生して、分配された流体組成物52が空気流路46内に閉じ込められてダイ92上に再堆積される可能性をもたらし得る外側カバー40の内部を形成する機会を最小化する。
【0082】
上面41及び/又はスカート45を含む外側カバー40は、マイクロ流体送達部材64の少なくとも一部を被覆し得る。外側カバー40がマイクロ流体送達部材64全体を被覆してもよい。図8及び9を参照すると、半可撓性PCB 106を備える場合、PCB 106がリザーバ50の上面部分51から側壁(複数可)61まで延在するために、外側カバー40の上面41がPCB 106の一部を被覆し得、またスカート45がPCB 106の一部を被覆し得る。図10を参照すると、硬質のPCB 106を備えるカートリッジでは、外側カバー40の上面41がPCB 106のほぼ全体を被覆し得る。こうした例示的な構成では、外側カバー40はスカート45を含んでも含まなくてもよい。マイクロ流体送達部材64の電気接点74及びダイ92を被覆することによって、ユーザが電気接点74及び/又はダイ92と接触することにより起こり得る損傷を防ぐことができる。例えば、ユーザの手に付いた油及び/又は汚れは、ダイ92を目詰まりさせ、流体組成物がダイ92のノズル130から放出することを妨げるおそれがある。また、ユーザの手に付いた油及び/又は汚れは、電気接点74を損傷させるおそれがあり、マイクロ流体送達部材64の電気接点74とハウジング12の電気接点48との間の電気接続の強度を低下させるおそれがある。
【0083】
更に、外側カバー40のスカート45は、ユーザがハウジング12からカートリッジ26を出し入れするときにマイクロ流体送達部材64を損傷させることなくユーザが把持するための、安全かつ/又は人間工学的な表面を提供する。外側カバー40はまた、マイクロ流体送達部材64を被覆することにより、カートリッジ26の審美的外観を向上させ得る。
【0084】
オリフィス42は、ダイ92の少なくとも一部、又はほぼ全部、若しくは全部を露出させてもよい。ダイ92の少なくとも一部を露出させると、ダイ92から分配される流体組成物は、流体組成物がオリフィス42を通過するときに制限されない。結果として、流体組成物がダイ92から分配された後の流体組成物の外側カバー40上への堆積は、最小限に保たれるか、又は更には防がれ得る。
【0085】
外側カバー40は、空気流路46を通って流れる空気がスカート45からオリフィス42にかけて圧力を増加させるように構成されてもよい。空気流路46は、スカート4tからオリフィス432にかけて連続的に圧力を増加させてもよい。空気流路46を通る圧力が増加し、続いて空気がオリフィス42から出る前に減少すると、オリフィス42から出る空気流を減少させるか、又は流体組成物52が空気流路46内、若しくはリザーバ50の上面部分51上に閉じ込めさせてしまう、渦が形成され得ることを理解されたい。
【0086】
オリフィス42は、外辺部65、及びオリフィス42の外辺部65によって境界を定められる表面積によって画定され得る。オリフィス42の表面積は、ノズルプレート132の表面積より大きくてもよい。オリフィス42の表面積は、ノズルプレート132の表面積より、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%大きくてもよい。オリフィス42は、約40mm2~約200mm2、又は約75mm2~約150mm2の表面積を有してもよい。オリフィス42の表面積は、上面41の表面積の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%であってもよい。オリフィス42の表面積は、オリフィス42から出る流体組成物及び空気流の速度に影響を与え得ることが理解されよう。オリフィスの表面積が小さいほど、オリフィス42から出る空気流及び流体組成物の速度が遅くなり得る。
【0087】
オリフィス42の外辺部65は、様々な異なる形状で構成されてもよい。例えば、オリフィス42は、円形、アーチ形、正方形、矩形、星形、多角形、又は様々なその他の形状を有してよい。オリフィス42は、外側カバー40の上面41に対して同心であっても偏心であってもよい。オリフィス42は、外側カバー42の上面41と一致していてもよい。
【0088】
外側カバー40は、恒久的又は取り外し可能を含む様々な方式でリザーバ50と接続されてよい。例えば、外側カバー40は、リザーバ50に対して溶接、糊剤接着、摩擦嵌めなどをされてもよい。外側カバー40の1つ以上の接続要素47は、リザーバ50上の1つ以上の接続要素62と嵌合してもよく、又は外側カバー40の1つ以上の接続要素47は、リザーバ50と嵌合してもよい。外側カバー上の接続要素47は、リザーバ50上の接続要素62に溶接又は糊剤接着されて、外側カバー40をリザーバ50に恒久的に固定させ得る。外側カバー40をリザーバ50に恒久的又は一時的に固定させることは、ファン32からの空気が空気流路46を通って外側カバー40とリザーバ46との間を流れるときに外側カバー40がリザーバ50に対して移動することを防ぐ。外側カバー40上の接続要素47の位置は、外側カバー40とリザーバ50との間に間隙が存在しない唯一の位置であり得る。したがって、外側カバー47上の接続要素47、及びリザーバ50上の接続要素62は、空気が外側カバー40のオリフィス42に向かって流れるのを可能とするために、比較的小型であってもよい。
【0089】
外側カバー40は、様々な形状を有してもよい。例えば、外側カバー40の上面41は、平坦、実質的に平坦、湾曲形、波形などであってもよい。外側カバー40の上面41の形状は、対称、非対称、規則的、又は不規則的であってもよい。外側カバー40の外部63は、滑らか、凹凸、波状などの様々な質感を有してもよい。外側カバー40の上面41は、外側カバー40のスカート45と同じ表面質感を有してもよく、又はスカート45と異なる表面質感を有してもよい。外側カバー40のスカート45は、ユーザがカートリッジ26をハウジング10から出し入れするときにユーザが把持するための質感又は圧痕(複数可)を有してもよい。
【0090】
外側カバー40は、様々な寸法を有してもよい。例えば、外側カバー40のスカート45は、リザーバ50のベース部分53に向けて下方に延在する外側カバー40の上面41の外辺部43から延在する長さLによって画定されてもよい。例えば、長さLは、約5ミリメートル~約25ミリメートル、又は約10ミリメートル~約20ミリメートルの範囲であってもよい。外側カバー40のスカート45は、リザーバ50の側壁(複数可)61の一部を被覆し得る。例えば、外側カバー40のスカート45は、リザーバ50の側壁(複数可)61の表面積の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%を被覆し得る。外側カバー40とリザーバ50との間の間隙内に形成される所望の空気流路46の寸法を形成するために、外側カバー40は適切にサイズ決めされてよい。スカート45及び上面41を含む外側カバー40の厚さは、外側カバー40の所望の強度及び耐久性、並びに材料に応じた様々な寸法を有してもよい。外側カバー40の厚さは、均一であっても不均一であってもよい。
【0091】
図11を参照すると、空気流路46は、リザーバ50と外側カバー40との間に延在する幅Wによって画定され得る。幅Wは、少なくとも2ミリメートル、又は少なくとも2.5ミリメートル、又は少なくとも3ミリメートルであってもよい。空気流路46の幅Wは、約2ミリメートル~約5ミリメートルの範囲内であってもよい。空気流路46の幅Wは、均一であってもよく、又はリザーバ50及び/若しくは外側カバー40の不均一な表面及び様々な構造部材のために変化してもよい。
【0092】
外側カバー40は、様々な材料からなってもよい。例えば、外側カバー40は、EastmanのCopolyester TRITAN(登録商標)、ポリプロピレン、ナイロン、PBT、又はその他の香料若しくは溶媒耐性プラスチックなどの硬質ポリマー材料からなってもよい。外側カバー40はリザーバ50と同じ材料であってもよく、リザーバ50とは異なる材料であってもよい。外側カバー40はリザーバ50と同じ色であってもよく、リザーバ50とは異なる色であってもよい。外側カバー40は透明であっても、又は外側カバー40の外部63からマイクロ流体送達部材64が見えにくい、又は見えないように不透明であってもよい。
【0093】
リザーバ50の一部を形成する蓋54を有する構成では、外側カバー40は蓋54の少なくとも一部分を包囲し得る。外側カバー40は、蓋54の全体を被覆し得る。
【0094】
外側カバー40は、外側カバー40のオリフィス42と重なり合うスクリーンを含み得る。スクリーンは、ユーザがマイクロ流体送達部材64にアクセスすることを防ぎ得る。
【0095】
センサ
送達システムは、空気中の光、騒音、動き、及び/又は臭気レベルなどの環境的刺激に応答する市販のセンサを含み得る。例えば、送達システムは、光を検知したときに電源が入り、及び/又は光を検知しないときに電源が切れるようにプログラムされ得る。別の例では、送達システムは、センサがセンサの近くに移動する人を感知したときに電源を入れることができる。センサはまた、空気中の臭気レベルを監視するために使用され得る。臭気センサを使用して、必要なときに、送達システムの電源を入れる、熱若しくはファンの速度を増加させる、及び/又は送達システムからの流体組成物の送達を増大させることができる。
【0096】
隣接する又は遠隔のデバイスからの香料の強度を測定し、動作条件を変更して他の香料デバイスと相助作用的に働くようにするために、VOCセンサを使用してもよい。例えば、遠隔センサは、放出デバイスからの距離及び香料強度を検知し、続いて、室内充填を最大化するためにデバイスをどこに配置すべきかに関するフィードバックをデバイスに供給し、かつ/又は、室内における「望ましい」強度をユーザに提供し得る。
【0097】
デバイスは、他の香料デバイスと相助作用的に働くために相互に通信し、動作を調整し得る。
【0098】
センサは、リザーバ中の流体組成物レベルを測定するか、又は加熱要素の発射回数を計数して、カートリッジが枯渇する前にその寿命末期を示すためにも使用され得る。このような場合、LED光が点灯し、リザーバの充填又は新しいリザーバとの交換が必要なことを知らせてもよい。
【0099】
センサは、送達システムのハウジングと一体であってもよく、又はリモートコンピュータ若しくは携帯スマートデバイス/電話などの遠隔位置にあってもよい(すなわち送達システムのハウジングとは物理的に離れていてもよい)。センサは、低エネルギーのBlue tooth、6 LOW PAN無線(6 low pan radios)、又は任意の他のデバイス及び/若しくはコントローラ(例えば、スマートホン若しくはコンピュータ)との無線通信手段により、送達システムと遠隔通信してもよい。
【0100】
ユーザは、低エネルギーのblue tooth又は他の手段によって、遠隔でデバイスの動作条件を変更してもよい。
【0101】
スマートチップ
カートリッジ26は、最適な動作条件をデバイスに送信するためのメモリを含んでもよい。
【0102】
流体組成物
マイクロ流体送達システム内で十分に動作するように、流体組成物の多くの特性が考慮される。いくつかの要素としては、マイクロ流体送達部材から放出するための最適な粘度を備えた流体組成物を配合すること、マイクロ流体送達部材を詰まらせ得るような懸濁固体の量が限定的又は存在しない流体組成物を配合すること、マイクロ流体送達部材を乾燥させて詰まらせることのないよう、十分な安定性のある流体組成物を配合すること、などが挙げられる。ただし、マイクロ流体送達部材から適切に霧化され、かつ、空気フレッシュニング又は悪臭低減組成物として効果的に送達されるようにするために、マイクロ流体送達システム内で十分に動作するようにすることで、50重量%を超える香料混合物を有する流体組成物について必要な要件の一部にのみ対処する。
【0103】
流体組成物は、20センチポアズ(「cps」)未満、あるいは18cps未満、あるいは16cps未満、あるいは約5cps~約16cps、あるいは約8cps~約15cpsの粘度を示し得る。また、揮発性組成物は、約35未満、あるいは約20~約30ダイン/cmの表面張力を有し得る。粘度は、高感度ダブルギャップ構造と共に、Bohlin社製CVOのレオメーターシステムを使用して決定されるとき、cpsで表される。
【0104】
流体組成物は、粒子状物質が液体マトリックス内に分散された混合物中に存在する浮遊物質又は固体粒子を含まない。浮遊物質を含まないことは、一部の香料物質の特性である溶解物質と区別することができる。
【0105】
流体組成物は、揮発性材料を含んでもよい。例示的な揮発性材料としては、香料材料、揮発性色素、殺虫剤として機能する材料、調湿、修正、ないしは別の方法で環境を修正するように(例えば、睡眠、起床、呼吸器の健康状態などの状態を補助するように)機能する精油若しくは材料、脱臭剤若しくは悪臭制御組成物(例えば、反応性アルデヒドなどの臭気中和材料(米国特許出願公開第2005/0124512号に開示される)、臭気遮断材料、臭気マスキング材料、又はイオノンなどの知覚改善材料(同じく米国特許出願公開第2005/0124512号に開示される))が挙げられる。
【0106】
揮発性材料は、流体組成物の約50重量%超、あるいは約60重量%超、あるいは約70重量%超、あるいは約75重量%超、あるいは約80重量%超、あるいは約50重量%~約100重量%、あるいは約60重量%~約100重量%、あるいは約70重量%~約100重量%、あるいは約80重量%~約100重量%、あるいは約90重量%~約100重量%の量で存在してよい。
【0107】
流体組成物は、材料の沸点(「B.P.」)によって選択される1種類以上の揮発性材料を含んでもよい。本明細書において言及するB.P.は、760mm Hgの通常の標準気圧の下で測定される。標準760mm Hgにおける多くの香料成分のB.P.は、Steffen Arctanderにより書かれ、1969年に出版された「Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)」に見出すことができる。
【0108】
流体組成物は、1つ以上の香料材料の香料混合物を含んでもよい。香料混合物は、275℃未満、あるいは250℃未満、あるいは220℃未満、あるいは約180℃未満、あるいは約70℃~約250℃の平均沸点を有してもよい。より高いB.P.配合物が排出されるのを助けるために、香料混合物中に一定量の低沸点成分(<200℃)を使用してもよい。流体組成物が流体組成物の約50重量%~約100重量%、又は約60重量%~約100重量%、又は約75重量%~約100重量%の揮発性香料材料の香料混合物を含み、ここで流体組成物の全体的な平均が依然として250℃を超えているにも関わらず、香料混合物が250℃未満、又は225℃未満の平均沸点を有する場合、良好な性能で排出するように、250℃超の沸点を有する流体組成物を製造してもよい。
【0109】
流体組成物は、揮発性香料材料を含んでも、揮発性香料材料から本質的になっても、又は揮発性香料材料からなってもよい。
【0110】
表2及び3は、本発明の流体組成物52に好適な香料材料に関する技術データを要約したものである。流体組成物の約10重量%は、沸点を250℃未満のレベルに低下させるために希釈剤として用いられ得るエタノールであってもよい。70℃未満の引火点は、易燃性のために一部の国では特別な出荷及び取扱いが要求されるため、香料配合物を選定する上で引火点が考慮される場合がある。したがって、より高い引火点となるように配合することには利点が存在し得る。
【0111】
表2は、本発明の流体組成物に好適ないくつかの非限定的かつ例示的な個々の香料材料を列挙する。
【0112】
【表1】
【0113】
表3は、200℃未満の合計B.P.を有する例示的な香料混合物を示す。
【0114】
【表2】
【0115】
流体組成物は、溶媒、希釈剤、増量剤、定着剤、増粘剤などを更に含んでもよい。これらの材料の非限定的な例は、エチルアルコール、カルビトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート、エチルセルロース、及びベンジルベンゾエートである。
【0116】
流体組成物は、機能性香料成分(「FPC」)を含んでもよい。FPCは、従来の有機溶媒又は揮発性有機化合物(「VOC」)に類似する蒸発特性を有する香料原料の種類である。本明細書で使用するとき、「VOC」は、20℃で測定される蒸気圧が0.2mm Hg超であり、香料の蒸発を助ける揮発性有機化合物を意味する。例示的なVOCとしては、以下の有機溶媒、すなわち、ジプロピレングリコールメチルエーテル(「DPM」)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(「MMB」)、揮発性シリコーン油、及びジプロピレングリコールのメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、又は商標名Dowanol(商標)のグリコールエーテルの任意のVOCが挙げられる。VOCは、通常、香料の蒸発を補助するために流体組成物中で20%超の濃度で使用される。
【0117】
本発明の流体組成物のFPCは、香料材料の蒸発を助け、快楽的な芳香効果を提供し得る。FPCは、組成物全体としての香料の性質に負の影響を与えずに比較的高濃度で用いることができる。したがって、流体組成物は、VOCを実質的に含まなくてもよく、これは、流体組成物が、組成物の18重量%以下、あるいは6重量%以下、あるいは5重量%以下、あるいは1重量%以下、あるいは0.5重量%以下のVOCを有することを意味する。揮発性組成物は、VOCを含まなくてもよい。
【0118】
FPCとして好適な香料材料が米国特許第8,338,346号に開示されている。
【0119】
操作方法
図2~4及び6~8を参照すると、マイクロ流体送達システム10は、例えば熱的加熱、又は圧電結晶による振動を用いて、カートリッジ26から流体組成物52を送達し得る。流体輸送部材80は、リザーバ50内に収容される流体組成物52をマイクロ流体送達部材64のダイ92に向けて配向する。流体輸送部材80は、流体組成物52を、ダイ92に向けて、重力と反対に上方へと配向するように構成され得る。流体組成物52は、流体輸送部材80の第2の端部84を通過した後、ダイ92を通って移動する。
【0120】
サーマル方式インクジェット技術を用いたマイクロ流体送達システムの場合、流体組成物52は、流体チャネル156を通って各流体チャンバ180の入口184内に移動する。部分的に揮発性成分を含み得る流体組成物52は、各流体チャンバ128を通って各流体チャンバ128の加熱器134へと移動する。加熱器134は、流体組成物52中の揮発性成分の少なくとも一部を気化させて、蒸気泡を形成させる。蒸気泡によってもたらされた膨張によって、流体組成物52の液滴がノズル130から排出される。続いて、蒸気泡が潰れることにより、流体組成物52の液滴が分離してオリフィス130から放出される。続いて流体組成物52が流体チャンバ128を再充填し、プロセスが繰り返されて、流体組成物52の更なる液滴を霧化させ得る。
【0121】
ファン32は、ハウジング12の内部21内の空気を加圧するために、空気を給気口(複数可)27からハウジングの内部21に引き込む。流体は高圧領域から低圧領域へと移動するため、ハウジング12の内部21中の空気は、制限の最も少ない経路を辿ってハウジング12の外部23に達する。結果として、ハウジング12は、ハウジング12の内部21中の加圧された空気が空気流チャネル34を通ってホルダ24とハウジング12の上側部分14との間を流れるように構成され得る。加圧された空気が、空気流チャネル34から空気流路46を通って外側カバー40とリザーバ50との間を流れる。カートリッジ26の外側カバー40がハウジング12と封止可能に係合していない場合、一部の空気が外側カバー40とハウジング12との間の間隙から漏れ出す場合がある。空気流チャネル34及び空気流路46を通る流路を、ハウジング12の外部23に対する抵抗が最も少ない経路となるように構成することによって、外側カバー40とハウジング12との間の間隙を通る空気流を低減させることができる。
【0122】
空気流路46を通って流れる空気は、マイクロ流体送達部材64から噴霧された流体組成物52と混合する。続いて、混合された流体組成物52及び空気流は、外側カバー40のオリフィス42の外に出る。空気流路46の形状は、空気を、流体組成物52がダイ92から分配される方向と同じか又は実質的に同じ方向に配向して、オリフィス42の外に出すことができる。空気は、マイクロ流体送達部材64から噴霧された流体組成物52を分配する力に加えて、流体組成物52を空気中へと配向する追加的な力を供給する。
【0123】
流体組成物52を霧化するために用いられる加熱器に加えて、又はその代わりに、その他の排出プロセスを用いてもよい。例えば、圧電変換素子又は超音波流体射出素子を用いて、ダイ92から流体組成物を霧化してもよい。
【0124】
マイクロ流体送達システム10の出力は、調整可能又はプログラム可能であってよい。例えば、マイクロ流体送達システム10から流体組成物52の液滴を放出する間のタイミングは、任意の所望されるタイミングであってよく、また、予め定めることができるか、又は調節可能であってよい。更に、マイクロ流体送達システム10から放出される流体組成物の流量は、予め定めることができるか、又は調節可能であってよい。例えば、マイクロ流体送達システム10は、部屋の寸法に基づいて、香料などの流体組成物52の所定の量を送達するように構成されてもよく、又はユーザが所望するとおりに調節可能であるように構成されてもよい。例示のみを目的として、カートリッジ26から放出される流体組成物52の流量は、約5~約60mg/時の範囲、又は任意の他の好適な量又は範囲であってよい。
【0125】
マイクロ流体送達システム10は、流体組成物を空気中に送達するために用いられ得る。マイクロ流体送達システム10は、流体組成物を表面上に送達するためにも用いられ得る。
【0126】
リザーバ50中の流体組成物が枯渇したら、マイクロ流体カートリッジ26をハウジング10から取り外して、新しいカートリッジをハウジング10に接続することができる。例えば、カートリッジ26は、カートリッジ26の電気接点74に平行な方向にカートリッジを動かすことによって、ハウジング12に接続することができる。カートリッジ26は、カートリッジ26の電気接点74がハウジング12の電気接点48と電気的導通しているときに、ハウジングと接続されている。
【0127】
カートリッジ26を単一方向に動かすだけで、カートリッジ26をハウジング12に接続し又は取り外すことが可能であり得る。カートリッジ26が動かされる方向は、カートリッジ26の電気接点74に平行であり得る。
【0128】
実施例/組み合わせ
A.流体組成物を含むカートリッジをマイクロ流体送達システムに接続する方法であって、流体組成物が香料混合物を含み、方法は:
電気接点を含むハウジングを提供する工程であって、ハウジングの電気接点は、第1の面上に配設されている、工程と、
流体組成物を収容するためのリザーバと、リザーバに接続されているマイクロ流体送達部材とを含むカートリッジを提供する工程であって、マイクロ流体送達部材は、ノズルを有するダイと、ダイと電気的導通している電気接点とを含み、かつマイクロ流体送達部材の電気接点は、第2の面に沿って配設されており、かつ、ダイは、第2の面と交差する第3の面に沿って配設されている、工程と、
マイクロ流体送達部材の電気接点がハウジングの電気接点と電気的導通するまで、カートリッジをハウジングに向かって第2の面と平行な方向に動かすことにより、カートリッジをハウジングに接続する工程と、
を含み、カートリッジがハウジングに接続されているとき、第1の面は第2の面に平行である、方法。
B.カートリッジをハウジングに接続する工程が、カートリッジを、ハウジングに向かって、第2の面と平行な単一の方向にのみ動かすことを更に含む、段落Aに記載の方法。
C.ダイが加熱器を含む、段落A又はBに記載の方法。
D.ダイが圧電結晶を含む、段落A~Cに記載の方法。
E.ハウジングがファンを含む、段落A~Dに記載の方法。
F.マイクロ流体送達部材が、半可撓性のプリント回路基板又は硬質のプリント回路基板又は可撓性の回路基板を含む、段落Eに記載の方法。
G.カートリッジをハウジングに向かって第2の面と平行な方向に動かすことにより、カートリッジをハウジングに接続する工程が、第1の方向にカートリッジを動かすことを含む方法であって、方法は更に、カートリッジを、第1の方向に平行な第2の方向にのみ動かすことにより、ハウジングからカートリッジを取り外す工程を含む、段落A~Fに記載の方法。
H.マイクロ流体送達システムが、流体組成物を空気中に上向きに送達する、段落A~Gに記載の方法。
I.ハウジング又はカートリッジがセンサを含む、段落Hに記載の方法。
J.マイクロ流体送達システムのハウジングに取り外し可能なように接続可能なカートリッジであって、カートリッジは、
流体組成物を収容するためのリザーバと、
リザーバに接続されたマイクロ流体送達部材とを含み、マイクロ流体送達部材は、ノズルを有するダイと、ダイと電気的導通している電気接点とを含み、電気接点は第1の面に沿って配設され、かつ、ダイは第1の面と交差する第2の面に沿って配設され、かつ、ダイはリザーバと流体連通しており、かつ、カートリッジは、第1の面に平行な単一方向にカートリッジを動かすことにより、マイクロ流体送達システムのハウジングに接続することが可能である、カートリッジ。
K.ダイが加熱器又は圧電結晶を含む、段落Jに記載の方法。
L.マイクロ流体送達システムがセンサを含む、段落J又はKに記載の方法。
M.マイクロ流体送達部材が、半可撓性のプリント回路基板又は硬質のプリント回路基板又は可撓性の回路基板を含む、段落Jに記載の方法。
N.マイクロ流体送達システムが、流体組成物を空気中に上向きに送達する、段落J~Mに記載の方法。
O.ハウジングがファンを含む、段落Nに記載の方法。
【0129】
本明細書に記述される全ての百分率は、特に指定のない限り、重量による。
【0130】
本明細書全体を通じて与えられるあらゆる最大数値限定は、それより低いあらゆる数値限定を、そのようなより低い数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に入るより狭い全ての数値範囲を、かかる狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書において範囲の両端として開示される値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に明記しない限り、各数値範囲は、列挙された値、明記された範囲内の、及び明記された範囲を有する任意の範囲内の任意の整数の両方を意味するよう意図されている。例えば、「1~10」として開示される範囲は、「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」を意味するものとする。
【0131】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような各寸法は、記載された値、及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0132】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は別途限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような任意の発明を教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0133】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれる、全てのそのような変更及び修正が、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図している。
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