(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】発光素子ユニット
(51)【国際特許分類】
H10K 59/35 20230101AFI20240625BHJP
H10K 50/125 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/81 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/816 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/828 20230101ALI20240625BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20240625BHJP
H10K 59/30 20230101ALI20240625BHJP
H10K 59/32 20230101ALI20240625BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240625BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240625BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240625BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20240625BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20240625BHJP
【FI】
H10K59/35
H10K50/125
H10K50/81
H10K50/816
H10K50/818
H10K50/82
H10K50/828
H10K50/852
H10K59/30
H10K59/32
H10K59/38
G02B5/20 101
G09F9/30 365
G09F9/30 349B
H10K102:10
H10K102:20
(21)【出願番号】P 2022198911
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2020504986の分割
【原出願日】2019-03-01
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2018039598
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 朋芳
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0104035(US,A1)
【文献】特開2016-195070(JP,A)
【文献】特開2017-062941(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051606(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0341659(US,A1)
【文献】特開2009-049135(JP,A)
【文献】特開2010-056075(JP,A)
【文献】特開2006-278257(JP,A)
【文献】特開2017-027872(JP,A)
【文献】特開2006-302748(JP,A)
【文献】特開2016-100074(JP,A)
【文献】特開2004-119219(JP,A)
【文献】特開2017-174553(JP,A)
【文献】特開2016-115905(JP,A)
【文献】特開2016-048602(JP,A)
【文献】特開2001-273979(JP,A)
【文献】特表2001-507503(JP,A)
【文献】特開平11-312585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 59/35
H10K 50/125
H10K 50/81
H10K 50/816
H10K 50/818
H10K 50/82
H10K 50/852
H10K 50/828
H10K 50/816
H10K 50/852
H10K 59/38
H10K 59/30
H10K 59/32
G02B 5/20
G09F 9/30
H10K 102/10
H10K 102/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの発光素子
を含む発光素子ユニットであって、
第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層、第2a電極、第2発光層を含む第2有機層、及び、第3発光層を含む第3有機層が
当該順序で積層されて成り、
第2発光素子は、
前記第1有機層、第1b電極、
前記第2有機層、第2b電極、及び、
前記第3有機層が
当該順序で積層されて成り、
第3発光素子は、
前記第1有機層、
前記第2有機層、第1c電極、
前記第3有機層、及び、第2c電極が
当該順序で積層されて成
り、
前記第1発光素子において、前記第1a電極の下方に設けられた第1光反射層によって構成された第1a界面と、前記第2a電極と前記第1有機層との界面によって構成された第2a界面との間で、前記第1発光層で発光した光を共振させて、その一部を前記第2a電極から出射させ、
前記第2発光素子において、前記第1b電極の下方に設けられた第2光反射層によって構成された第1b界面と、前記第2b電極と前記第2有機層との界面によって構成された第2b界面との間で、前記第2発光層で発光した光を共振させて、その一部を前記第2b電極から出射させ、
前記第3発光素子において、前記第1c電極の下方に設けられた第3光反射層によって構成された第1c界面と、前記第2c電極と前記第3有機層との界面によって構成された第2c界面との間で、前記第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を前記第2c電極から出射させ、
前記発光素子ユニットの断面視において、前記第2a電極、前記第2b電極及び前記第2c電極は、互いに重なり合っていない、
発光素子ユニット。
【請求項2】
前記第2a電極、
前記第2b電極及び
前記第2c電極は、共通の第2電極から構成されている請求項1に記載の発光素子ユニット。
【請求項3】
前記第2a電極、
前記第2b電極及び
前記第2c電極には、同じ電位が与えられる請求項1に記載の発光素子ユニット。
【請求項4】
前記第2a電極、
前記第2b電極及び
前記第2c電極は、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有する請求項1に記載の発光素子ユニット。
【請求項5】
前記透明導電層は、インジウムと亜鉛の酸化物から成る請求項4に記載の発光素子ユニット。
【請求項6】
前記半透過導電層は、マグネシウム及び銀の合金から成る請求項4に記載の発光素子ユニット。
【請求項7】
前記第1発光層の最大発光位置から
前記第1a界面までの距離をL
1A、光学距離をOL
1A、
前記第1発光層の最大発光位置から
前記第2a界面までの距離をL
2A、光学距離をOL
2Aとし、m
1A及びm
2Aを整数としたとき、以下の式(A-1)、式(A-2)、式(A-3)及び式(A-4)を満たしており、
前記第2発光層の最大発光位置から
前記第1b界面までの距離をL
1B、光学距離をOL
1B、
前記第2発光層の最大発光位置から
前記第2b界面までの距離をL
2B、光学距離をOL
2Bとし、m
1B及びm
2Bを整数としたとき、以下の式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)及び式(B-4)を満たしており、
前記第3発光層の最大発光位置から
前記第1c界面までの距離をL
1C、光学距離をOL
1C、
前記第3発光層の最大発光位置から
前記第2c界面までの距離をL
2C、光学距離をOL
2Cとし、m
1C及びm
2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている請求項
1に記載の発光素子ユニット。
0.7{-Φ
1A/(2π)+m
1A}≦2×OL
1A/λ
A≦1.2{-Φ
1A/(2π)+m
1A} (A-1)
0.7{-Φ
2A/(2π)+m
2A}≦2×OL
2A/λ
A≦1.2{-Φ
2A/(2π)+m
2A} (A-2)
L
1A<L
2A (A-3)
m
1A<m
2A (A-4)
0.7{-Φ
1B/(2π)+m
1B}≦2×OL
1B/λ
B≦1.2{-Φ
1B/(2π)+m
1B} (B-1)
0.7{-Φ
2B/(2π)+m
2B}≦2×OL
2B/λ
B≦1.2{-Φ
2B/(2π)+m
2B} (B-2)
L
1B<L
2B (B-3)
m
1B<m
2B (B-4)
0.7{-Φ
1C/(2π)+m
1C}≦2×OL
1C/λ
C≦1.2{-Φ
1C/(2π)+m
1C} (C-1)
0.7{-Φ
2C/(2π)+m
2C}≦2×OL
2C/λ
C≦1.2{-Φ
2C/(2π)+m
2C} (C-2)
L
1C<L
2C (C-3)
m
1C<m
2C (C-4)
ここで、
λ
A :
前記第1発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、
前記第1発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ
1A:
前記第1a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
1A≦0
Φ
2A:
前記第2a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
2A≦0
λ
B:
前記第2発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、
前記第2発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ
1B:
前記第1b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
1B≦0
Φ
2B:
前記第2b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
2B≦0
λ
C :
前記第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、
前記第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ
1C:
前記第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
1C≦0
Φ
2C:
前記第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ
2C≦0
である。
【請求項8】
m
1A=0,m
2A=1,m
1B=0,m
2B=1,m
1C=0,m
2C=1である請求項
7に記載の発光素子ユニット。
【請求項9】
前記発光素子ユニットの断面視において、前記第1a電極、前記第1b電極及び前記第1c電極は、互いに重なり合っていない
、
請求項1~8のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタ装置等の直視型ディスプレイのみならず、数ミクロンの画素ピッチが要求される超小型ディスプレイ(マイクロディスプレイ)にまで、有機エレクトロルミネッセンス現象(有機EL現象)を利用して画像を表示する有機EL表示装置が適用されつつある。そして、有機EL表示装置にあっては、効率良く光を取り出す技術の開発が強く求められている。光取り出し効率が低いと、有機EL素子における実際の発光量を有効に活用していないことになり、消費電力等の点で大きな損失を生じる原因となるからである。
【0003】
従来の直視型有機EL表示装置にあっては、屡々、マスク蒸着プロセスによって、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子を製造する。即ち、RGB塗り分け構造を実現している。しかしながら、微細な画素ピッチを有する有機EL表示装置においてRGB塗り分け構造を採用することは、マスク位置合わせの精度等に起因して困難である。従って、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層の3層の発光層を全画素に亙り積層して、各発光素子において白色光を出射させる「白色方式」の構造が採用されており、各発光素子にはカラーフィルタが設けられている。そして、発光素子から出射された白色光をカラーフィルタを通過させることで、赤色光、緑色光あるいは青色光を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら白色方式では、発光素子から出射される白色光をカラーフィルタで色分解するため、カラーフィルタでの光の吸収(ロス)が大きく、RGB塗り分け方式に比べて1/3以下まで発光効率が低下するといった問題がある。これに対して、発光素子に反射膜を設け、発光素子に設けられた透明電極と反射膜との間でマイクロキャビティ(共振器構造)を形成する。そして、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層の3層の発光層を有する発光素子において、赤色発光に関するマイクロキャビティの最適化を図ることで、赤色光を選択的に出射する赤色発光素子を設け、同様に、緑色発光に関するマイクロキャビティの最適化を図ることで、緑色光を選択的に出射する緑色発光素子を設け、青色発光に関するマイクロキャビティの最適化を図ることで、青色光を選択的に出射する青色発光素子を設ける技術が、例えば、特開2006-278257号公報から周知である。しかしながら、この技術にあっては、光取り出し効率は改善されるものの、RGB塗り分け方式に比べて発光効率や色純度が低いという問題がある。
【0006】
従って、本開示の目的は、高い発光効率、色純度を達成し得る構成、構造の発光素子ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットは、3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層、第2a電極、第2発光層を含む第2有機層、及び、第3発光層を含む第3有機層が積層されて成り、
第2発光素子は、第1有機層、第1b電極、第2有機層、第2b電極、及び、第3有機層が積層されて成り、
第3発光素子は、第1有機層、第2有機層、第1c電極、第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成る。
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットは、3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子及び第2発光素子は並置されており、第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層及び第2a電極から成り、第2発光素子は、第1b電極、第1有機層及び第2b電極から成り、
第3発光素子は、第1有機層、第1c電極、第3発光層を含む第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成り、
第1発光素子の光出射側には第1カラーフィルタが配設されており、
第2発光素子の光出射側には第2カラーフィルタが配設されている。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の第3の態様に係る発光素子ユニットは、3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層、及び、第2a電極が積層されて成り、
第2発光素子は、第1有機層、第1b電極、第2発光層を含む第2有機層、及び、第2b電極が積層されて成り、
第3発光素子は、第1有機層、第2有機層、第1c電極、第3発光層を含む第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成る。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットは、
複数の発光層を含む有機層が積層された積層構造を有する発光素子の複数から構成されており、
各発光素子は、第1電極、複数の有機層の内のいずれか1層の有機層、及び、第2電極から構成されており、
各発光素子を構成する第1電極は、発光素子の間で重なり合っていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2A及び
図2Bは、実施例1の発光素子ユニットの変形例(1)及び変形例(2)の概念図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、実施例2の発光素子ユニット及びその変形例(1)の概念図である。
【
図4】
図4A、
図4B及び
図4Cは、実施例2の発光素子ユニットの変形例(2)、変形例(3)及び変形例(4)の概念図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、実施例3の発光素子ユニット及びその変形例(1)の概念図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、実施例3の発光素子ユニットの変形例(2)及び変形例(3)の概念図である。
【
図7】
図7は、実施例3の発光素子ユニットの変形例(4)の概念図である。
【
図8】
図8は、実施例1の発光素子ユニットの模式的な一部断面図である。
【
図9】
図9は、実施例1の発光素子ユニットの変形例(1)の模式的な一部断面図である。
【
図11】
図11は、実施例2の発光素子ユニットの模式的な一部断面図である。
【
図12】
図12は、実施例2の発光素子ユニットの変形例(1)の模式的な一部断面図である。
【
図13】
図13は、実施例2の発光素子ユニットの変形例(2)の模式的な一部断面図である。
【
図14】
図14は、実施例2の発光素子ユニットの変形例(3)の模式的な一部断面図である。
【
図15】
図15は、実施例3の発光素子ユニットの模式的な一部断面図である。
【
図16】
図16は、実施例3の発光素子ユニットの変形例(1)の模式的な一部断面図である。
【
図17】
図17は、実施例3の発光素子ユニットの変形例(2)の模式的な一部断面図である。
【
図18】
図18は、実施例3の発光素子ユニットの変形例(3)の模式的な一部断面図である。
【
図19】
図19A及び
図19Bは、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図21】
図21は、
図20Bに引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図22】
図22は、
図21に引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図23】
図23は、
図22に引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図24】
図24は、
図23に引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図25】
図25は、
図24に引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図26】
図26は、
図25に引き続き、実施例1の発光素子ユニットの製造方法を説明するための第1基板等の模式的な端面図である。
【
図27】
図27A及び
図27Bは、本開示における表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用した例を示し、デジタルスチルカメラの正面図を
図27Aに、背面図を
図27Bに示す。
【
図28】
図28は、本開示における表示装置をヘッドマウントディスプレイに適用した例を示すヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様~第4の態様に係る発光素子ユニット、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様、第4の態様に係る発光素子ユニット)
3.実施例2(本開示の第2の態様、第4の態様に係る発光素子ユニット)
4.実施例3(本開示の第3の態様、第4の態様に係る発光素子ユニット)
5.その他
【0013】
〈本開示の第1の態様~第4の態様に係る発光素子ユニット、全般に関する説明〉
本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、共通の第2電極から構成されている形態とすることができる。
【0014】
上記の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第2a電極、第2b電極及び第2c電極には、同じ電位が与えられる形態とすることができる。
【0015】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、例えば、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有する形態とすることができる。尚、透明導電層を上層とし(即ち、第2基板側に位置し)、半透過導電層を下層としてもよいし(即ち、第1基板側に位置させてもよいし)、透明導電層を下層とし、半透過導電層を上層としてもよい。そして、この場合、例えば、透明導電層はインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)から成り、半透過導電層はマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金から成る形態とすることができる。更には、半透過導電層を積層構造としてもよく、この場合、上層(第2基板側に位置する層)をマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金から構成し、下層(第1基板側に位置する層)をカルシウム(Ca)から構成することもできる。本開示の第3の態様に係る発光素子ユニットにおける第2a電極、第2b電極及び第2c電極、並びに、本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットにおける第2電極においても、同様とすることができる。また、本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおける第2a電極及び第2b電極は、上述したと同様に、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有していてもよく、場合によっては、更に、半透過導電層を積層構造としてもよく、また、第2c電極は、半透過導電層、具体的には、マグネシウム(Mg)及び銀(Ag)から成る半透過導電層としてもよい。即ち、本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおいて、発光素子を構成する第2電極の材料を発光素子に依って変えてもよいし、第2a電極及び第2b電極の有する構造と第2c電極の有する構造とを異ならせてもよい。
【0016】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットにあっては、
第1発光素子において、第1a電極と第1有機層との界面又は第1光反射層によって構成された第1a界面と、第2a電極と第1有機層との界面によって構成された第2a界面との間で、第1発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2a電極から出射させ、
第2発光素子において、第1b電極と第2有機層との界面又は第2光反射層によって構成された第1b界面と、第2b電極と第2有機層との界面によって構成された第2b界面との間で、第2発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2b電極から出射させ、
第3発光素子において、第1c電極と第3有機層との界面又は第3光反射層によって構成された第1c界面と、第2c電極と第3有機層との界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極から出射させる形態とすることができる。即ち、各発光素子は共振器構造を有することが好ましい。
【0017】
本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおける第3発光素子、あるいは又、本開示の第3の態様に係る発光素子ユニットにおいても同様とすることができるし、本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットにあっては、第1電極と有機層との界面又は光反射層によって構成された第1界面と、第2電極と有機層との界面によって構成された第2界面との間で、発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2電極から出射させる形態とすることができる。
【0018】
そして、この場合、具体的には、
第1発光層の最大発光位置から第1a界面までの距離をL1A、光学距離をOL1A、第1発光層の最大発光位置から第2a界面までの距離をL2A、光学距離をOL2Aとし、m1A及びm2Aを整数としたとき、以下の式(A-1)、式(A-2)、式(A-3)及び式(A-4)を満たしており、
第2発光層の最大発光位置から第1b界面までの距離をL1B、光学距離をOL1B、第2発光層の最大発光位置から第2b界面までの距離をL2B、光学距離をOL2Bとし、m1B及びm2Bを整数としたとき、以下の式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)及び式(B-4)を満たしており、
第3発光層の最大発光位置から第1c界面までの距離をL1C、光学距離をOL1C、第3発光層の最大発光位置から第2c界面までの距離をL2C、光学距離をOL2Cとし、m1C及びm2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている形態とすることができる。
0.7{-Φ1A/(2π)+m1A}≦2×OL1A/λA≦1.2{-Φ1A/(2π)+m1A} (A-1)
0.7{-Φ2A/(2π)+m2A}≦2×OL2A/λA≦1.2{-Φ2A/(2π)+m2A} (A-2)
L1A<L2A (A-3)
m1A<m2A (A-4)
0.7{-Φ1B/(2π)+m1B}≦2×OL1B/λB≦1.2{-Φ1B/(2π)+m1B} (B-1)
0.7{-Φ2B/(2π)+m2B}≦2×OL2B/λB≦1.2{-Φ2B/(2π)+m2B} (B-2)
L1B<L2B (B-3)
m1B<m2B (B-4)
0.7{-Φ1C/(2π)+m1C}≦2×OL1C/λC≦1.2{-Φ1C/(2π)+m1C} (C-1)
0.7{-Φ2C/(2π)+m2C}≦2×OL2C/λC≦1.2{-Φ2C/(2π)+m2C} (C-2)
L1C<L2C (C-3)
m1C<m2C (C-4)
ここで、
λA :第1発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第1発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1A:第1a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1A≦0
Φ2A:第2a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2A≦0
λB :第2発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第2発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1B:第1b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1B≦0
Φ2B:第2b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2B≦0
λC :第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1C:第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1C≦0
Φ2C:第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2C≦0
である。
【0019】
更には、この場合、m1A=0,m2A=1,m1B=0,m2B=1,m1C=0,m2C=1であることが好ましい。
【0020】
一般に、透明な材料から成る層αと層βとによって構成される反射界面では、入射した光の一部が通過し、残りは反射される。従って、反射光に位相変化(位相シフト)が生じる。層αと層βによって構成される反射界面で反射される際の光の位相変化φABは、層αの複素屈折率(nA,kA)と層βの複素屈折率(nB,kB)とを測定し、これらの値に基づき計算を行うことで求めることができる(例えば、Principles of Optics, Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS) 等を参照)。発光層や有機層の屈折率は、分光エリプソメトリー測定装置を用いて測定可能である。
【0021】
発光層の最大発光位置から第1界面までの距離L1とは、発光層の最大発光位置から第1界面までの実際の距離(物理的距離)を指し、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離L2とは、発光層の最大発光位置から第2界面までの実際の距離(物理的距離)を指す。また、光学距離とは、光路長とも呼ばれ、一般に、屈折率nの媒質中を距離Lだけ光線が通過したときのn×Lを指す。以下においても、同様である。従って、平均屈折率をnaveとしたとき、
OL1=L1×nave
OL2=L2×nave
の関係がある。ここで、平均屈折率naveとは、有機層(あるいは、有機層及び層間絶縁層)を構成する各層の屈折率と厚さの積を合計し、有機層(あるいは、有機層及び層間絶縁層)の厚さで除したものである。
【0022】
本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第2a電極及び第2b電極には、同じ電位が与えられる形態とすることができるし、更には、第2a電極、第2b電極及び第2c電極には、同じ電位が与えられる形態とすることができる。
【0023】
本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおける第1発光素子及び第2発光素子にあっては、第2a電極及び第2b電極の上(あるいは上方)に第3有機層が形成されていてもよい。
【0024】
本開示の第3の態様に係る発光素子ユニットにおける第1発光素子にあっては、第2a電極の上(あるいは上方)に第2有機層が形成されていてもよい。
【0025】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様~第4の態様に係る発光素子ユニットを、総称して、『本開示の発光素子ユニット等』と呼ぶ場合があるし、本開示の発光素子ユニット等を構成する発光素子を、便宜上、『本開示の発光素子等』と呼ぶ場合がある。
【0026】
本開示の発光素子ユニット等において、1つの発光素子によって1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、デルタ配列、又は、レクタングル配列を挙げることができる。また、複数の発光素子が集合して1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列を挙げることができる。
【0027】
赤色有機EL発光素子は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、赤色発光層及び電子輸送層が第1電極側から順次積層された構造を有する。赤色発光層にあっては、電界が加えられることにより、第1電極からホール注入層及びホール輸送層を介して注入されたホールの一部と、第2電極から電子輸送層を介して注入された電子の一部とが再結合して、赤色光が発生する。赤色発光層は、例えば、赤色発光材料、ホール輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種を含んでいる。赤色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよく、例えば、赤色発光層は、有機EL現象を利用して赤色光を発生させるものであり、例えば、4,4-ビス(2,2-ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6-ビス[(4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル]-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30質量%混合したものから成る。
【0028】
緑色有機EL発光素子は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、緑色発光層及び電子輸送層が第1電極側から順次積層された構造を有する。緑色発光層にあっては、電界が加えられることにより、第1電極からホール注入層、ホール輸送層及び発光分離層を介して注入されたホールの一部と、第2電極から電子輸送層を介して注入された電子の一部とが再結合して、緑色光が発生する。緑色発光層は、例えば、緑色発光材料、ホール輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種を含んでいる。緑色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよく、例えば、緑色発光層は、有機EL現象を利用して緑色光を発生させるものであり、例えば、DPVBiにクマリン6を5質量%混合したものから成る。
【0029】
青色有機EL発光素子は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、青色発光層及び電子輸送層が第1電極側から順次積層された構造を有する。青色発光層にあっては、電界が加えられることにより、第1電極からホール注入層、ホール輸送層及び発光分離層を介して注入されたホールの一部と、第2電極から電子輸送層を介して注入された電子の一部とが再結合して、青色光が発生する。青色発光層は、例えば、青色発光材料、ホール輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種を含んでいる。青色発光材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよく、例えば、青色発光層は、有機EL現象を利用して青色光を発生させるものであり、例えば、DPVBiに4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5質量%混合したものから成る。
【0030】
ホール注入層は、ホール輸送層にホール(正孔)を注入するものであり、例えば、ヘキサアザトリフェニレン(HAT)誘導体から成る。ホール輸送層は、ホール注入層から注入されたホールを発光層へ輸送するものであり、例えば、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)や、α-ナフチルフェニルジアミン(αNPD)から成る。
【0031】
電子輸送層は、電子を発光層へ輸送するものであり、例えば、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、バトフェナントロリン(BPhen)から成る。電子輸送層は、少なくとも1層以上から成り、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属をドープした電子輸送層を含んでもよい。アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属をドープした電子輸送層において、ホスト材料として、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3、バトフェナントロリン(BPhen)等を挙げることができるし、ドーパント材料として、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属若しくはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属を挙げることができる。そして、ホスト材料とドーパント材料とを共蒸着することで、例えば0.5質量%乃至15質量%ドーパント材料がドープされた電子輸送層を得ることができる。
【0032】
電子輸送層と第2電極との間に電子注入層を設けてもよい。電子注入層は、カソード電極からの電子注入を高めるためのものであり、例えば、フッ化リチウム(LiF)等から構成される。
【0033】
但し、各層を構成する材料は例示であり、これらの材料に限定するものではない。また、例えば、発光層は、青色発光層と黄色発光層から構成されていてもよいし、青色発光層と橙色発光層から構成されていてもよい。ホール注入層の厚さとして1nm乃至20nm、ホール輸送層の厚さとして10nm乃至200nm、発光層の厚さとして5nm乃至50nm、電子輸送層の厚さとして10nm乃至200nmを挙げることができる。
【0034】
本開示の第1の態様あるいは第3の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第1発光素子を赤色発光素子(赤色有機EL発光素子)から構成することができるし、第2発光素子を緑色発光素子(緑色有機EL発光素子)から構成することができるし、第3発光素子を青色発光素子(青色有機EL発光素子)から構成することができる。本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおいて、第1発光素子及び第2発光素子を黄色発光素子(黄色有機EL発光素子)から構成することができるし、あるいは又、橙色発光素子(橙色有機EL発光素子)から構成することができる。そして、この場合、第1カラーフィルタは赤色を選択的に通過させるフィルタとすればよいし、第2カラーフィルタは緑色を選択的に通過させるフィルタとすればよい。また、第3発光素子は青色発光素子(青色有機EL発光素子)から構成すればよい。
【0035】
本開示の発光素子等において、第1電極を構成する材料(光反射材料)として、第1電極をアノード電極として機能させる場合、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)といった仕事関数の高い金属あるいは合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%乃至1質量%のパラジウム(Pd)と、0.3質量%乃至1質量%の銅(Cu)とを含むAg-Pd-Cu合金や、Al-Nd合金)を挙げることができる。更には、アルミニウム(Al)及びアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料を用いる場合には、適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入性を向上させることで、アノード電極として用いることができる。第1電極の厚さとして、0.1μm乃至1μmを例示することができる。あるいは又、誘電体多層膜やアルミニウム(Al)といった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)やインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。一方、第1電極をカソード電極として機能させる場合、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、アノード電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入性を向上させることで、カソード電極として用いることもできる。
【0036】
一方、第2電極を構成する材料(半光透過材料あるいは光透過材料)として、第2電極をカソード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、発光層に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と銀(Ag)[例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(Mg-Ag合金)]、マグネシウム-カルシウムとの合金(Mg-Ca合金)、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(Al-Li合金)等の仕事関数の小さい金属あるいは合金を挙げることができ、中でも、Mg-Ag合金が好ましく、マグネシウムと銀との体積比として、Mg:Ag=2:1~30:1を例示することができる。あるいは又、マグネシウムとカルシウムとの体積比として、Mg:Ca=2:1~10:1を例示することができる。そして、これらの材料から構成された層の積層構造(下層:カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)/上層:マグネシウム(Mg)、銀(Ag)あるいはそれらの合金)とすることもできる。第2電極の厚さとして、3nm乃至50nm、好ましくは、4nm乃至20nm、より好ましくは6nm乃至12nmを例示することができる。あるいは又、第2電極を、有機層側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOから成る所謂透明電極(例えば、厚さ3×10-8m乃至1×10-6m)との積層構造とすることもできる。積層構造とした場合、上述した材料層の厚さを1nm乃至4nmと薄くすることもできる。また、透明電極のみで構成することも可能である。一方、第2電極をアノード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。
【0037】
また、第2電極に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、第2電極全体として低抵抗化を図ってもよい。
【0038】
第1電極や第2電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やMOCVD法、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、所望の形状(パターン)を有する第1電極や第2電極を形成することが可能である。尚、有機層を形成した後、第1電極や第2電極を形成する場合、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、有機層のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。有機層にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。また、有機層の形成からこれらの電極の形成までを大気に暴露することなく実行することが、大気中の水分による有機層の劣化を防止するといった観点から好ましい。第2電極はパターニングしなくともよい。
【0039】
光反射層を構成する材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、Al-NdやAl-Cu)、Al/Ti積層構造、Al-Cu/Ti積層構造、クロム(Cr)、銀(Ag)、銀合金(例えば、Ag-Pd-Cu、Ag-Sm-Cu)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)を挙げることができ、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等によって形成することができる。
【0040】
有機層は、例えば、有機発光材料から成る発光層を備えているが、具体的には、前述したとおり、有機層は、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。発光層や有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。発光層や有機層を、所望に応じて、パターニングすること無く、全面に形成してもよい。
【0041】
本開示の発光素子ユニット等にあっては、複数の発光素子は第1基板上に形成されている。ここで、第1基板として、あるいは又、第2基板として、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)基板、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)基板、フォルステライト(2MgO・SiO2)基板、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)基板、無アルカリガラス、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができる。第1基板と第2基板を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよい。但し、第2基板を介して光が出射される上面発光型にあっては、第2基板は、発光素子が出射する光に対して透明であることが要求されるし、第1基板を介して光が出射される下面発光型にあっては、第1基板は、発光素子が出射する光に対して透明であることが要求される。
【0042】
本開示の第2の態様に係る発光素子ユニットにおいて、カラーフィルタは、第2基板側に備えられていてもよいし、第1基板側に備えられていてもよい。第1基板側に備えられたカラーフィルタは、OCCF(オン・チップ・カラーフィルタ)とも呼ばれる。カラーフィルタは周知の材料から構成すればよく、具体的には、カラーフィルタは、所望の顔料や染料から成る着色剤を添加した樹脂によって構成されており、顔料や染料を選択することにより、目的とする色の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。遮光層が、第2基板側に備えられていてもよいし、第1基板側に備えられていてもよい。遮光層を構成する遮光材料として、具体的には、チタン(Ti)やクロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、MoSi2等の光を遮光することができる材料を挙げることができる。遮光層は、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法等によって形成することができる。ブラックマトリクス層が、第2基板側に備えられていてもよいし、第1基板側に備えられていてもよい。ブラックマトリクス層は、例えば、黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜(具体的には、例えば、黒色のポリイミド系樹脂)から成り、あるいは又、薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタから構成されている。薄膜フィルタは、例えば、金属、金属窒化物あるいは金属酸化物から成る薄膜を2層以上積層して成り、薄膜の干渉を利用して光を減衰させる。薄膜フィルタとして、具体的には、Crと酸化クロム(III)(Cr2O3)とを交互に積層したものを挙げることができる。
【0043】
上面発光型において、第1電極は、例えば、層間絶縁層上に設けられており、あるいは又、層間絶縁層の上方に設けられている。第1発光素子と第2発光素子との間、第2発光素子と第3発光素子との間にも、層間絶縁層が設けられている。第1基板上に形成された発光素子駆動部は絶縁層によって覆われており、絶縁層の上に層間絶縁層が形成されている。
【0044】
発光素子駆動部は、1又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)から構成されており、TFTと第1電極とは、層間絶縁層に設けられたコンタクトプラグを介して電気的に接続されている。ゲート電極は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属、ポリシリコン等から形成することができる。ゲート絶縁膜は、ゲート電極を覆うように第1基板の全面に設けられる。ゲート絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等から形成することができる。半導体層は、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、酸化物半導体等から成り、ゲート絶縁膜上に形成すればよい。半導体層の一部の領域によってソース/ドレイン領域が構成される。ドレイン領域とソース領域との間であってゲート電極の上方の半導体層の領域は、チャネル形成領域に相当する。これにより、第1基板上には、ボトムゲート型の薄膜トランジスタが設けられる。但し、発光素子駆動部は、ボトムゲート型の薄膜トランジスタに限定されず、トップゲート型の薄膜トランジスタとすることもできる。
【0045】
層間絶縁層あるいは絶縁層、絶縁膜の構成材料として、SiO2、NSG(ノンドープ・シリケート・ガラス)、BPSG(ホウ素・リン・シリケート・ガラス)、PSG、BSG、AsSG、SbSG、PbSG、SOG(スピンオングラス)、LTO(Low Temperature Oxide、低温CVD-SiO2)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiOX系材料(シリコン系酸化膜を構成する材料);SiON系材料を含むSiN系材料;SiOC;SiOF;SiCNを挙げることができる。あるいは又、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrOx)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化スズ(SnO2)、酸化バナジウム(VOx)といった無機絶縁材料を挙げることができる。あるいは又、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック系樹脂といった各種樹脂や、SiOCH、有機SOG、フッ素系樹脂といった低誘電率絶縁材料(例えば、誘電率k(=ε/ε0)が例えば3.5以下の材料であり、具体的には、例えば、フルオロカーボン、シクロパーフルオロカーボンポリマー、ベンゾシクロブテン、環状フッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アモルファステトラフルオロエチレン、ポリアリールエーテル、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、パリレン(ポリパラキシリレン)、フッ化フラーレン)を挙げることができるし、Silk(The Dow Chemical Co. の商標であり、塗布型低誘電率層間絶縁膜材料)、Flare(Honeywell Electronic Materials Co. の商標であり、ポリアリルエーテル(PAE)系材料)を例示することもできる。そして、これらを、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。場合によっては、層間絶縁層や絶縁層、絶縁膜は、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。発光素子からの光が層間絶縁層を通過するような構成、構造の下面発光型にあっては、層間絶縁層は、発光素子からの光に対して透明な材料から構成する必要があるし、発光素子駆動部は発光素子からの光を遮らないように形成する必要がある。下面発光型にあっては、第1電極の上方に発光素子駆動部を設けることも可能である。
【0046】
有機層の上方には、有機層への水分の到達防止を目的として、絶縁性あるいは導電性の保護膜を設けることが好ましい。保護膜は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、あるいは又、CVD法やMOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、下地に対して及ぼす影響を小さくすることができるので好ましい。あるいは又、有機層の劣化による輝度の低下を防止するために、成膜温度を常温に設定し、更には、保護膜の剥がれを防止するために保護膜のストレスが最小になる条件で保護膜を成膜することが望ましい。また、保護膜の形成は、既に形成されている電極を大気に暴露することなく形成することが好ましく、これによって、大気中の水分や酸素による有機層の劣化を防止することができる。更には、上面発光型である場合、保護膜は、有機層で発生した光を例えば80%以上、透過する材料から構成することが望ましく、具体的には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えば、以下に示す材料を例示することができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを生成しないため、透水性が低く、良好な保護膜を構成する。具体的には、保護膜を構成する材料として、発光層で発光した光に対して透明であり、緻密で、水分を透過させない材料を用いることが好ましく、より具体的には、例えば、アモルファスシリコン(α-Si)、アモルファス炭化シリコン(α-SiC)、アモルファス窒化シリコン(α-Si1-xNx)、アモルファス酸化シリコン(α-Si1-yOy)、アモルファスカーボン(α-C)、アモルファス酸化・窒化シリコン(α-SiON)、Al2O3、TiO2を挙げることができる。保護膜の厚さとして、1μm乃至8μmを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。尚、保護膜を導電材料から構成する場合、保護膜を、ITOやIZOのような透明導電材料から構成すればよい。
【0047】
第1基板と第2基板とは、接着層(封止層)によって接着(封止)することができる。接着層(封止層)を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。尚、下面発光型の有機EL表示装置にあっても、第2電極の上方に第2基板を配し、第1電極と第2基板の間には、第1電極側から、上述した保護膜及び接着層が形成されている形態とすることができる。
【0048】
本開示の発光素子ユニット等から表示装置を構成する場合、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置と略称する)を挙げることができ、有機EL表示装置をカラー表示の有機EL表示装置としたとき、有機EL表示装置を構成する有機EL素子のそれぞれによって、上述したとおり、副画素が構成される。ここで、1画素は、例えば、赤色光を発光する赤色発光副画素、緑色光を発光する緑色発光副画素、及び、青色を発光する青色発光副画素の3種類の副画素から構成されている。従って、この場合、有機EL表示装置を構成する有機EL素子の数をN×M個とした場合、画素数は(N×M)/3である。表示装置の光を出射する最外面(具体的には、第2基板の外面)には、紫外線吸収層、汚染防止層、ハードコート層、帯電防止層を形成してもよいし、保護部材(例えば、カバーガラス)を配してもよい。有機EL表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータを構成するモニタ装置として使用することができるし、テレビジョン受像機や携帯電話、PDA(携帯情報端末,Personal Digital Assistant)、ゲーム機器に組み込まれたモニタ装置として使用することができる。あるいは又、電子ビューファインダ(Electronic View Finder,EVF)や頭部装着型ディスプレイ(Head Mounted Display,HMD)に適用することができる。あるいは又、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POPにおける画像表示装置を構成することができる。また、本開示の発光素子ユニット等から照明装置を構成することもでき、照明装置として、液晶表示装置用のバックライト装置や面状光源装置を含む各種照明装置を挙げることができる。頭部装着型ディスプレイは、例えば、
(イ)観察者の頭部に装着されるフレーム、及び、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、
を備えており、
画像表示装置は、
(A)本開示における表示装置、及び、
(B)本開示における表示装置から出射された光が入射され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(B-1)本開示における表示装置から入射された光が内部を全反射により伝播した後、観察者に向けて出射される導光板、
(B-2)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を偏向させる第1偏向手段(例えば、体積ホログラム回折格子膜から成る)、及び、
(B-3)導光板の内部を全反射により伝播した光を導光板から出射させるために、導光板の内部を全反射により伝播した光を複数回に亙り偏向させる第2偏向手段(例えば、体積ホログラム回折格子膜から成る)、
から成る。
【実施例1】
【0049】
実施例1は、本開示の第1の態様及び第4の態様に係る発光素子ユニットに関する。実施例1の発光素子ユニットの概念図を
図1Bに示し、実施例1の発光素子ユニットの模式的な一部断面図を
図8に示し、実施例1の発光素子ユニットにおける第1電極等の模式的な平面図を
図10Aに示す。
【0050】
実施例1の発光素子ユニットは、本開示の第1の態様に係る発光素子ユニットに則って説明すると、
3つの発光素子10(10a,10b,10c)から構成されており、
第1発光素子10aは、第1a電極21a、第1発光層を含む第1有機層23a、第2a電極22a、第2発光層を含む第2有機層23b、及び、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されて成り、
第2発光素子10bは、第1有機層23a、第1b電極21b、第2有機層23b、第2b電極22b、及び、第3有機層23cが積層されて成り、
第3発光素子10cは、第1有機層23a、第2有機層23b、第1c電極21c、第3有機層23c、及び、第2c電極22cが積層されて成る。
【0051】
また、実施例1の発光素子ユニットは、本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットに則って説明すると、
複数の発光層を含む有機層23(23a,23b,23c)が積層された積層構造を有する発光素子10(10a,10b,10c)の複数から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)は、第1電極21(21a,21b,21c)、複数の有機層23(23a,23b,23c)の内のいずれか1層の有機層、及び、第2電極22(22a,22b,22c)から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)を構成する第1電極21(21a,21b,21c)は、発光素子の間で重なり合っていない。即ち、第1電極21(21a,21b,21c)の正射影像(第1基板への正射影像)は互いに重なり合っていない。
【0052】
尚、実施例1あるいは後述する実施例3の発光素子ユニットにおいて、具体的には、第1発光素子10aは赤色発光素子(赤色有機EL発光素子)から構成され、第2発光素子10bは緑色発光素子(緑色有機EL発光素子)から構成され、第3発光素子10cは青色発光素子(青色有機EL発光素子)から構成されている。
【0053】
そして、実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3における有機EL表示装置は、このような発光素子ユニットが2次元マトリクス状に配列されて成る。第1基板41の上方に、第1電極21(21a,21b,21c)、有機層23(23a,23b,23c)及び第2電極22(22a,22b,22c)が、この順に積層されている。発光層からの光は、第2基板42を経由して外部に出射される。即ち、実施例1の表示装置は、上面発光型の表示装置である。
【0054】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3における有機EL表示装置は、例えば、電子ビューファインダ(EVF)や頭部装着型ディスプレイ(HMD)に適用される、高精細表示装置である。あるいは又、例えば、テレビジョン受像機といった大型の有機EL表示装置である。画素数は、例えば1920×1080であり、1つの発光素子10は1つの副画素を構成し、発光素子(具体的には有機EL素子)10は画素数の3倍である。発光素子ユニットの数は画素数と等しい。
【0055】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3においては、第1電極21(21a,21b,21c)をアノード電極として用い、第2電極22(22a,22b,22c)をカソード電極として用いる。第1電極21は、光反射材料、具体的には、Al-Nd合金から成る。第2電極22は、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有し、具体的には、透明導電層はIZOから成り、半透過導電層はマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金から成る。半透過導電層を積層構造としてもよく、この場合、上層(第2基板側に位置する層)をマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金から構成し、下層(第1基板側に位置する層)をカルシウム(Ca)から構成することができる。尚、第2電極22を図面では1層で表す。第1電極21は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。また、第2電極22は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されており、パターニングはされていないが(
図1Bの概念図を参照)、場合によっては、概念図を
図1Aに示すように、一部がパターニングされていてもよい。
【0056】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3において、第1発光素子10aを駆動するための有機EL素子駆動部はTFTから構成されており、このTFTは、ゲート電極51a、ゲート絶縁膜52、シリコン層(半導体層)53、シリコン層53に設けられたチャネル形成領域54a及びソース/ドレイン領域55aから成る。ソース/ドレイン領域55aの間であって、ゲート電極51aの上方に位置するシリコン層53の部分が、チャネル形成領域54aに相当する。第2発光素子10bを駆動するための有機EL素子駆動部もTFTから構成されており、このTFTは、ゲート電極51b、ゲート絶縁膜52、シリコン層53、シリコン層53に設けられたチャネル形成領域54b及びソース/ドレイン領域55bから成る。ソース/ドレイン領域55bの間であって、ゲート電極51bの上方に位置するシリコン層53の部分が、チャネル形成領域54bに相当する。第3発光素子10cを駆動するための有機EL素子駆動部もTFTから構成されており、このTFTは、ゲート電極51c、ゲート絶縁膜52、シリコン層53、シリコン層53に設けられたチャネル形成領域54c及びソース/ドレイン領域55cから成る。ソース/ドレイン領域55cの間であって、ゲート電極51cの上方に位置するシリコン層53の部分が、チャネル形成領域54cに相当する。
【0057】
尚、図示した例にあっては、TFTをボトムゲート型としたが、トップゲート型であってもよい。TFTのゲート電極は、走査回路(図示せず)に接続されている。図面においては、1つの有機EL素子駆動部につき、1つのTFTを図示した。有機EL素子駆動部は絶縁層43によって覆われている。
【0058】
第1発光素子10aを構成する第1a電極21aは、絶縁層43の上に設けられた層間絶縁層31の上に形成されており、第1発光素子10aを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55aと、絶縁層43に形成されたコンタクトホール部56aを介して接続されている。第1a電極21aを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層32が形成されており、開口部の底部に露出した第1a電極21a上から層間絶縁層32上に亙り、第1発光層を含む第1有機層23aが形成されている。更には、第1有機層23aの上に、第2a電極22aが形成されている。第1有機層23a及び第2a電極22aは、パターニングされていない、所謂ベタ膜である。尚、第2a電極22aの上方には、第2発光層を含む第2有機層23b、及び、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されている。また、第2a電極22aの上には、層間絶縁層33が形成されている。
【0059】
第2発光素子10bを構成する第1b電極21bは、層間絶縁層33の上に設けられた層間絶縁層34の上に形成されており、第2発光素子10bを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55bと、絶縁層43、層間絶縁層31,32,33に形成されたコンタクトホール部56b,57bを介して接続されている。コンタクトホール部57b,57cと第2a電極22aとが短絡しないように絶縁膜59Aがコンタクトホール部57b,57cの内面の一部に形成されている。第1b電極21bを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層35が形成されており、開口部の底部に露出した第1b電極21b上から層間絶縁層35上に亙り、第2発光層を含む第2有機層23bが形成されている。更には、第2有機層23bの上に、第2b電極22bが形成されている。第2有機層23b及び第2b電極22bは、パターニングされていない、所謂ベタ膜である。尚、第2b電極22bの上方には、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されている。また、第1b電極21bの下方には、第1発光層を含む第1有機層23aが位置している。第2b電極22bの上には、層間絶縁層36が形成されている。
【0060】
第3発光素子10cを構成する第1c電極21cは、層間絶縁層36の上に設けられた層間絶縁層37の上に形成されており、第3発光素子10cを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55cと、絶縁層43、層間絶縁層31,32,33,34,35,36に形成されたコンタクトホール部56c,57c,58cを介して接続されている。コンタクトホール部58cと第2b電極22bとが短絡しないように絶縁膜59Bがコンタクトホール部58cの内面の一部に形成されている。第1c電極21cを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層38が形成されており、開口部の底部に露出した第1c電極21c上から層間絶縁層38上に亙り、第3発光層を含む第3有機層23cが形成されている。更には、第3有機層23cの上に、第2c電極22cが形成されている。第3有機層23c及び第2c電極22cは、パターニングされていない、所謂ベタ膜である。第1c電極21cの下方には、第2発光層を含む第2有機層23b及び第1発光層を含む第1有機層23aが位置している。
【0061】
実施例1の発光素子ユニットにおいて、限定するものではないが、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cは、例えば、図示しない有機EL表示装置の外周領域で接続されており、同じ電位が与えられる。
【0062】
そして、実施例1あるいは実施例3の発光素子ユニットにあっては、
第1発光素子10aにおいて、第1a電極21aと第1有機層23aとの界面又は第1光反射層25aによって構成された第1a界面と、第2a電極22aと第1有機層23aとの界面によって構成された第2a界面との間で、第1発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2a電極22aから出射させ、
第2発光素子10bにおいて、第1b電極21bと第2有機層23bとの界面又は第2光反射層25bによって構成された第1b界面と、第2b電極22bと第2有機層23bとの界面によって構成された第2b界面との間で、第2発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2b電極22bから出射させ、
第3発光素子10cにおいて、第1c電極21cと第3有機層23cとの界面又は第3光反射層25cによって構成された第1c界面と、第2c電極22cと第3有機層23cとの界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極22cから出射させる。尚、後述する実施例2にあっては、第3発光素子10cにおいて、第1c電極21cと第3有機層23cとの界面又は第3光反射層25cによって構成された第1c界面と、第2c電極22cと第3有機層23cとの界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極22cから出射させる。即ち、各発光素子は共振器構造を有する。
図1A、
図1B、後述する
図2B、
図3A、
図4C、
図5A、
図7において、共振器構造を白抜きの矢印で示す。
【0063】
具体的には、
第1発光層の最大発光位置から第1a界面までの距離をL1A、光学距離をOL1A、第1発光層の最大発光位置から第2a界面までの距離をL2A、光学距離をOL2Aとし、m1A及びm2Aを整数としたとき、以下の式(A-1)、式(A-2)、式(A-3)及び式(A-4)を満たしており、
第2発光層の最大発光位置から第1b界面までの距離をL1B、光学距離をOL1B、第2発光層の最大発光位置から第2b界面までの距離をL2B、光学距離をOL2Bとし、m1B及びm2Bを整数としたとき、以下の式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)及び式(B-4)を満たしており、
第3発光層の最大発光位置から第1c界面までの距離をL1C、光学距離をOL1C、第3発光層の最大発光位置から第2c界面までの距離をL2C、光学距離をOL2Cとし、m1C及びm2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている。
【0064】
0.7{-Φ1A/(2π)+m1A}≦2×OL1A/λA≦1.2{-Φ1A/(2π)+m1A} (A-1)
0.7{-Φ2A/(2π)+m2A}≦2×OL2A/λA≦1.2{-Φ2A/(2π)+m2A} (A-2)
L1A<L2A (A-3)
m1A<m2A (A-4)
0.7{-Φ1B/(2π)+m1B}≦2×OL1B/λB≦1.2{-Φ1B/(2π)+m1B} (B-1)
0.7{-Φ2B/(2π)+m2B}≦2×OL2B/λB≦1.2{-Φ2B/(2π)+m2B} (B-2)
L1B<L2B (B-3)
m1B<m2B (B-4)
0.7{-Φ1C/(2π)+m1C}≦2×OL1C/λC≦1.2{-Φ1C/(2π)+m1C} (C-1)
0.7{-Φ2C/(2π)+m2C}≦2×OL2C/λC≦1.2{-Φ2C/(2π)+m2C} (C-2)
L1C<L2C (C-3)
m1C<m2C (C-4)
【0065】
ここで、
λA :第1発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第1発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1A:第1a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1A≦0
Φ2A:第2a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2A≦0
λB :第2発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第2発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1B:第1b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1B≦0
Φ2B:第2b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2B≦0
λC :第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1C:第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1C≦0
Φ2C:第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2C≦0
である。
【0066】
そして、この場合、限定するものではないが、m1A=0,m2A=1,m1B=0,m2B=1,m1C=0,m2C=1である。
【0067】
尚、
図1A、
図1B、
図5A(実施例3)に示す例では、第1a界面を第1a電極21aと第1有機層23aとの界面から構成し、第2a界面を第1b電極21bと第2有機層23bとの界面から構成し、第3a界面を第1c電極21cと第3有機層23cとの界面から構成したが、代替的に、
図2B[実施例1の変形例(2)]、
図7[実施例3の変形例(4)]に示すように、第1a電極21aの下方の層間絶縁層31に第1光反射層25aを形成し、第1b電極21bの下方の層間絶縁層34に第2光反射層25bを形成し、第1c電極21cの下方の層間絶縁層37に第3光反射層25cを形成し、第1a界面を第1光反射層25aから構成し、第2a界面を第2光反射層25bから構成し、第3a界面を第3光反射層25cから構成してもよい。また、
図4C(実施例2の変形例(4))に示すように、第1c電極21cの下方の層間絶縁層37に第3光反射層25cを形成し、第1a界面を第1光反射層25aから構成し、第2a界面を第2光反射層25bから構成し、第3a界面を第3光反射層25cから構成してもよい。第1光反射層25a、2光反射層25b、第3光反射層25cは、例えば、アルミニウム(Al)層から構成することができるし、第1a電極21a、第1b電極21b、第1c電極21cは、透明導電材料から構成すればよい。
【0068】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3において、第1基板41はシリコン基板、無アルカリガラスあるいは石英ガラスから構成されており、第2基板42は、無アルカリガラスあるいは石英ガラスから構成されている。第2c電極22cの上には、SiNから成る保護膜44が形成されており、第1基板41と第2基板42とは、図示しない接着層(封止層)によって接着されている(貼り合わされている)。第1発光素子10aと第2発光素子10bとの間に対応する第2基板42の領域、第1発光素子10aと第3発光素子10cとの間に対応する第2基板42の領域、第2発光素子10bと第3発光素子10cとの間に対応する第2基板42の領域に、ブラックマトリクス層BMを形成してもよい。
【0069】
【0070】
[工程-100]
先ず、第1基板41を準備し、第1基板41上に、周知の方法で、第1発光素子10a、第2発光素子10b及び第3発光素子10cを駆動するためのTFTを含む有機EL素子駆動部を設け、次いで、全面に絶縁層43を周知の方法で形成する。
【0071】
[工程-110]
その後、第1発光素子10aを形成する。
【0072】
[工程-110A]
具体的には、レーザエッチング法によって、絶縁層43に孔部を形成し、孔部の底部に一方のソース/ドレイン領域55a,55b,55cを露出させる。そして、孔部内を含む絶縁層43の上に導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、コンタクトホール部56a,56b,56cを形成する。次いで、全面に層間絶縁層31を周知の方法で形成し、コンタクトホール部56aの上方の層間絶縁層31に、コンタクトホール部56aが露出した凹部を形成する(
図19A参照)。
【0073】
[工程-110c]
次いで、凹部を含む層間絶縁層31の上に、第1a電極21aを形成するための導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、第1a電極21aを形成する。第1a電極21aと一方のソース/ドレイン領域55aは、コンタクトホール部56aによって電気的に接続されている。
【0074】
[工程-110C]
次に、例えば、酸窒化シリコン(SiON)から成る層間絶縁層32をスパッタリング法やCVD法に基づき形成し、フォトリソグラフィ法及びエッチング技術に基づき層間絶縁層32に開口部を形成する。開口部の底部に第1a電極21aが露出している。
【0075】
[工程-110D]
その後、第1a電極21aから層間絶縁層32の上に亙り、ホール注入層、ホール輸送層、赤色発光層、電子輸送層、電子注入層を、この順に、例えば、蒸着法によって形成し、第1有機層23aを得ることができる。
【0076】
[工程-110E]
次いで、全面に、第2a電極22aを、例えば、蒸着法によって形成する(
図19B参照)。そして、次に述べるコンタクトホール部57b,57cと第2a電極22aとの間の短絡発生を防止するために、絶縁膜59Aを形成した後(
図20A参照)、SiNから成る層間絶縁層33を例えばCVD法によって全面に形成する。
【0077】
[工程-110]
次に、第2発光素子10bを形成する。
【0078】
[工程-120A]
具体的には、レーザエッチング法によって、層間絶縁層33、絶縁膜59A、層間絶縁層32,31に孔部を形成し、孔部の底部にコンタクトホール部56b,56cを露出させる。そして、孔部内を含む層間絶縁層33の上に導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、コンタクトホール部57b,57cを形成する(
図20B参照)。
【0079】
[工程-120B]
次いで、全面に層間絶縁層34を周知の方法で形成し、コンタクトホール部57bの上方の層間絶縁層34に、コンタクトホール部57bが露出した凹部を形成する。そして、凹部を含む層間絶縁層34の上に、第1b電極21bを形成するための導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、第1b電極21bを形成する(
図21参照)。第1b電極21bと一方のソース/ドレイン領域55bは、コンタクトホール部57b,56bによって電気的に接続されている。
【0080】
[工程-120C]
次に、例えば、酸窒化シリコン(SiON)から成る層間絶縁層35をスパッタリング法やCVD法に基づき形成し、フォトリソグラフィ法及びエッチング技術に基づき層間絶縁層35に開口部を形成する。開口部の底部に第1b電極21bが露出している。
【0081】
[工程-120D]
その後、第1b電極21bから層間絶縁層35の上に亙り、ホール注入層、ホール輸送層、緑色発光層、電子輸送層、電子注入層を、この順に、例えば、蒸着法によって形成し、第2有機層23bを得ることができる。
【0082】
[工程-120E]
次いで、全面に、第2b電極22bを、例えば、蒸着法によって形成する(
図22参照)。そして、次に述べるコンタクトホール部58cと第2b電極22bとの間の短絡発生を防止するために、絶縁膜59Bを形成する(
図23参照)。次に、SiNから成る層間絶縁層36を例えばCVD法によって全面に形成する(
図24参照)。
【0083】
[工程-130]
次に、第3発光素子10cを形成する。
【0084】
[工程-130A]
具体的には、レーザエッチング法によって、層間絶縁層36、絶縁膜59B、層間絶縁層35,34に孔部を形成し、孔部の底部にコンタクトホール部57cを露出させる。そして、孔部内を含む層間絶縁層36の上に導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、コンタクトホール部58cを形成する。
【0085】
[工程-130B]
次いで、全面に層間絶縁層37を周知の方法で形成し、コンタクトホール部58cの上方の層間絶縁層37に、コンタクトホール部58cが露出した凹部を形成する。そして、凹部を含む層間絶縁層37の上に、第1c電極21cを形成するための導電材料膜を形成し、導電材料膜をパターニングすることで、第1c電極21cを形成する(
図25参照)。第1c電極21cと一方のソース/ドレイン領域55cは、コンタクトホール部58c,57c,56cによって電気的に接続されている。
【0086】
[工程-130C]
次に、例えば、酸窒化シリコン(SiON)から成る層間絶縁層38をスパッタリング法やCVD法に基づき形成し、フォトリソグラフィ法及びエッチング技術に基づき層間絶縁層38に開口部を形成する。開口部の底部に第1c電極21cが露出している。
【0087】
[工程-130D]
その後、第1c電極21cから層間絶縁層37の上に亙り、をホール注入層、ホール輸送層、青色発光層、電子輸送層、電子注入層を、この順に、例えば、蒸着法によって形成し、第3有機層23cを得ることができる。
【0088】
[工程-130E]
次いで、全面に、第2c電極22cを、例えば、蒸着法によって形成する(
図26参照)。
【0089】
[工程-140]
その後、全面にSiNから成る保護膜44を形成し、次いで、第1基板41と第2基板42とを、図示しない接着層(封止層)によって接着する(貼り合わせる)。以上により、有機EL表示装置を完成することができる。
【0090】
以上に説明した実施例1の発光素子ユニットにおいて、各発光素子は、第1有機層、第2有機層及び第3有機層が積層されて成るので、即ち、有機層を蒸着用マスクを用いること無く蒸着することが可能であるため、RGB塗り分け構造のようなマスク位置合わせが不要であり、微細な画素ピッチを有する有機EL表示装置といったマイクロディスプレイや、蒸着用マスクが適用し難い大型の有機EL表示装置といった大型ディスプレイ等、各種表示装置の製造を容易とする。しかも、第1発光素子は、第1a電極、第1有機層及び第2a電極から成る第1発光部を有し、第2発光素子は、第1b電極、第2有機層及び第2b電極から成る第2発光部を有し、第3発光素子は、第1c電極、第3有機層及び第2c電極から成る第3発光部を有し、各発光部のそれぞれにおいてマイクロキャビティ(共振器構造)の最適化を図ることができるので、あるいは又、各発光素子は、各発光素子を構成する第1電極が発光素子の間で重なり合っていない第1電極、有機層及び第2電極の発光部を有するので、各発光部のそれぞれにおいてマイクロキャビティ(共振器構造)の最適化を図ることができるので、光取り出し効率の向上を図ることができ、しかも、高い発光効率、色純度を達成することができる。
【0091】
実施例1の発光素子ユニットの変形例(1)の概念図を
図2Aに示し、模式的な一部断面図を
図9に示すように、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを、共通の第2電極22から構成することもできる。尚、第2a電極22aと第2b電極22bとを結ぶ第2電極22の部分、及び、第2b電極22bと第2c電極22cとを結ぶ第2電極22の部分を構成する材料は、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを構成する材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0092】
上述した実施例1にあっては、
図10Aに示すように、第1a電極21a、第1b電極21b、第1c電極21cに隣接して、コンタクトホール部56a,57b,58cを形成した。但し、コンタクトホール部の形成はこれに限定するものではなく、例えば、
図10Bに示すように、第1a電極21a、第1b電極21b、第1c電極21cの下にコンタクトホール部56a,57b,58cを形成してもよい。また、第2a電極22a、第2b電極22b、第2c電極22cを、図示しない有機EL表示装置の外周領域で接続する代わりに、
図10Cに示すように、コンタクトホール部66,67,68を介して有機EL素子駆動部に個別に接続してもよいし、
図10Dに示すように、コンタクトホール部69を介して、発光素子ユニット毎に、有機EL素子駆動部に接続してもよい。以下に説明する実施例2~実施例3においても同様とすることができる。
【実施例2】
【0093】
実施例2は、本開示の第2の態様及び第4の態様に係る発光素子ユニットに関する。実施例2の発光素子ユニットの概念図を
図3Aに示し、実施例2の発光素子ユニットの模式的な一部断面図を
図11に示す。
【0094】
実施例2の発光素子ユニットは、3つの発光素子10(10a,10b,10c)から構成されており、
第1発光素子10a及び第2発光素子10bは並置されており、第1発光素子10aは、第1a電極21a、第1発光層を含む第1有機層23d及び第2a電極22aから成り、第2発光素子10bは、第1b電極21b、第1有機層23d及び第2b電極22bから成り、
第3発光素子10cは、第1有機層23d、第1c電極21c、第3発光層を含む第3有機層23c、及び、第2c電極22cが積層されて成り、
第1発光素子10aの光出射側には第1カラーフィルタ24aが配設されており、
第2発光素子10bの光出射側には第2カラーフィルタ24bが配設されている。
【0095】
ここで、第2a電極22aと第2b電極22bとは共通であり、以下、『共通第2電極22d』と表現する場合がある。
【0096】
また、実施例2の発光素子ユニットは、本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットに則って説明すると、
複数の発光層を含む有機層23(23d,23d,23c)が積層された積層構造を有する発光素子10(10a,10b,10c)の複数から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)は、第1電極21(21a,21b,21c)、複数の有機層23(23d,23d,23c)の内のいずれか1層の有機層、及び、第2電極22(22a,22b,22c)から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)を構成する第1電極21(21a,21b,21cは、発光素子の間で重なり合っていない。即ち、第1電極21(21a,21b,21c)の正射影像(第1基板41への正射影像)は互いに重なり合っていない。
【0097】
実施例2の発光素子ユニットにおいて、第1発光素子10a及び第2発光素子10bを黄色発光素子(黄色有機EL発光素子)から構成することができるし、あるいは又、橙色発光素子(橙色有機EL発光素子)から構成することができる。即ち、有機層23dは黄色光あるいは橙色光を出射する。そして、この場合、第1カラーフィルタ24aは赤色を選択的に通過させるフィルタとすればよいし、第2カラーフィルタ24bは緑色を選択的に通過させるフィルタとすればよい。また、第3発光素子10cは青色発光素子(青色有機EL発光素子)から構成すればよいし、有機層23cは青色光を出射する。カラーフィルタとカラーフィルタとの間に、ブラックマトリクス層BMを備えていてもよい。
【0098】
第1発光素子10aを構成する第1a電極21aは、絶縁層43の上に設けられた層間絶縁層31の上に形成されており、第1発光素子10aを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55aと、絶縁層43に形成されたコンタクトホール部56aを介して接続されている。第2発光素子10bを構成する第1a電極21aも、絶縁層43の上に設けられた層間絶縁層31の上に形成されており、第2発光素子10bを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55bと、絶縁層43に形成されたコンタクトホール部56bを介して接続されている。第1a電極21a及び第1b電極21bを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層32が形成されており、開口部の底部に露出した第1a電極21a及び第1b電極21bの上から層間絶縁層32上に亙り、第1発光層を含む第1有機層23dが形成されている。更には、第1有機層23dの上に、共通第2電極22dが形成されている。第1有機層23d及び共通第2電極22dは、パターニングされていない、所謂ベタ膜である。尚、第1発光素子10aの領域及び第2発光素子10bの領域以外の領域に位置する共通第2電極22dの上方に、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されている。また、共通第2電極22dの上には、層間絶縁層33が形成されている。
【0099】
第3発光素子10cを構成する第1c電極21cは、層間絶縁層33の上に設けられた層間絶縁層34の上に形成されており、第3発光素子10cを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55cと、絶縁層43、層間絶縁層31,32,33,34に形成されたコンタクトホール部56c,57cを介して接続されている。コンタクトホール部57cと共通第2電極22dとが短絡しないように絶縁膜59Aがコンタクトホール部57cの内面の一部に形成されている。第1c電極21cを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層35が形成されており、開口部の底部に露出した第1c電極21c上から層間絶縁層35上に亙り、第3発光層を含む第3有機層23cが形成されている。更には、第3有機層23cの上に、第2c電極22cが形成されている。第3有機層23c及び第2c電極22cは、パターニングされている。
【0100】
実施例2の発光素子ユニットにおいても、限定するものではないが、共通第2電極22d及び第2c電極22cは、例えば、図示しない有機EL表示装置の外周領域で接続されており、同じ電位が与えられる。
【0101】
実施例2の発光素子ユニット、有機EL表示装置は、実施例1において説明した発光素子ユニット、有機EL表示装置の製造方法と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0102】
以上に説明した実施例2の発光素子ユニットにおいて、第1発光素子及び第2発光素子は第1有機層から成り、第3発光素子は第1有機層及び第3有機層が積層されて成るので、即ち、有機層を蒸着用マスクを用いること無く蒸着することが可能であるため、RGB塗り分け構造のようなマスク位置合わせが不要であり、微細な画素ピッチを有する有機EL表示装置といったマイクロディスプレイや、蒸着用マスクが適用し難い大型の有機EL表示装置といった大型ディスプレイ等、各種表示装置の製造を容易とする。しかも、第1発光素子と第2発光素子とは第1有機層を共有しているので、第1発光素子及び第2発光素子の構造の簡素化を図ることができ、製造が容易である。また、第3発光素子は、第1c電極、第3有機層及び第2c電極から成る第3発光部を有し、第3発光部においてマイクロキャビティ(共振器構造)の最適化を図ることができるので、光取り出し効率の向上を図ることができ、しかも、高い発光効率、色純度を達成することができる。尚、カラーフィルタは2種類でよいので、発光効率の低下をより少なくすることができる。
【0103】
尚、実施例2の発光素子ユニットの変形例(1)の概念図を
図3Bに示し、模式的な一部断面図を
図12に示すように、第1発光素子10aの領域及び第2発光素子10bの領域に位置する共通第2電極22dの上方に、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されていてもよい。
【0104】
また、実施例2の発光素子ユニットの変形例(2)の概念図を
図4Aに示し、模式的な一部断面図を
図13に示すように、第2a電極22a及び第2b電極22bには、同じ電位が与えられる形態とすることができるし、更には、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cには、同じ電位が与えられる形態とすることができる。具体的には、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを、共通の第2電極22から構成することもできる。尚、第2a電極22a、第2b電極22bと第2c電極22cとを結ぶ第2電極22の部分を構成する材料は、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを構成する材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0105】
更には、実施例2の発光素子ユニットの変形例(1)及び変形例(2)の変形例である変形例(3)の概念図を
図4Bに示し、模式的な一部断面図を
図14に示すように、第1発光素子10aの領域及び第2発光素子10bの領域に位置する第2a電極22a及び第2b電極22bの上方に、第3発光層を含む第3有機層23cが積層されていてもよい。
【実施例3】
【0106】
実施例3は、本開示の第3の態様及び第4の態様に係る発光素子ユニットに関する。実施例3の発光素子ユニットの概念図を
図5Aに示し、実施例3の発光素子ユニットの模式的な一部断面図を
図15に示す。
【0107】
実施例3の発光素子ユニットは、3つの発光素子10(10a,10b,10c)から構成されており、
第1発光素子10aは、第1a電極21a、第1発光層を含む第1有機層23a、及び、第2a電極22aが積層されて成り、
第2発光素子10bは、第1有機層23a、第1b電極21b、第2発光層を含む第2有機層23b、及び、第2b電極22bが積層されて成り、
第3発光素子10cは、第1有機層23a、第2有機層23b、第1c電極21c、第3発光層を含む第3有機層23c、及び、第2c電極22cが積層されて成る。
【0108】
また、実施例3の発光素子ユニットは、本開示の第4の態様に係る発光素子ユニットに則って説明すると、
複数の発光層を含む有機層23(23a,23b,23c)が積層された積層構造を有する発光素子10(10a,10b,10c)の複数から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)は、第1電極21(21a,21b,21c)、複数の有機層23(23a,23b,23c)の内のいずれか1層の有機層、及び、第2電極22(22a,22b,22c)から構成されており、
各発光素子10(10a,10b,10c)を構成する第1電極21(21a,21b,21c)は、発光素子の間で重なり合っていない。即ち、第1電極21(21a,21b,21c)の正射影像(第1基板41への正射影像)は互いに重なり合っていない。
【0109】
第1発光素子10aを構成する第1a電極21aは、絶縁層43の上に設けられた層間絶縁層31の上に形成されており、第1発光素子10aを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55aと、絶縁層43に形成されたコンタクトホール部56aを介して接続されている。第1a電極21aを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層32が形成されており、開口部の底部に露出した第1a電極21a上から層間絶縁層32上に亙り、第1発光層を含む第1有機層23aが形成されている。更には、第1有機層23aの上に、第2a電極22aが形成されている。第1有機層23a及び第2a電極22aは、パターニングされていない、所謂ベタ膜である。尚、第2a電極22aの上方には、第2発光層を含む第2有機層23b、及び、第3発光層を含む第3有機層23cが設けられていない。また、第2a電極22aの一部の上には、層間絶縁層33が形成されている。
【0110】
第2発光素子10bを構成する第1b電極21bは、層間絶縁層33の上に設けられた層間絶縁層34の上に形成されており、第2発光素子10bを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55bと、絶縁層43、層間絶縁層31,32,33に形成されたコンタクトホール部56b,57bを介して接続されている。コンタクトホール部57b,57cと第2a電極22aとが短絡しないように絶縁膜59Aがコンタクトホール部57b,57cの内面の一部に形成されている。第1b電極21bを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層35が形成されており、開口部の底部に露出した第1b電極21b上から層間絶縁層35上に亙り、第2発光層を含む第2有機層23bが形成されている。更には、第2有機層23bの上に、第2b電極22bが形成されている。第2有機層23b及び第2b電極22bは、パターニングされている。第2b電極22bの上方には、第3発光層を含む第3有機層23cが設けられていない。また、第1b電極21bの下方には、第1発光層を含む第1有機層23aが位置している。第2b電極22bの一部の上には、層間絶縁層36が形成されている。
【0111】
第3発光素子10cを構成する第1c電極21cは、層間絶縁層36の上に設けられた層間絶縁層37の上に形成されており、第3発光素子10cを駆動するためのTFTの一方のソース/ドレイン領域55cと、絶縁層43、層間絶縁層31,32,33,34,35,36に形成されたコンタクトホール部56c,57c,58cを介して接続されている。コンタクトホール部58cと第2b電極22bとが短絡しないように絶縁膜59Bがコンタクトホール部58cの内面の一部に形成されている。第1c電極21cを取り囲むように開口部を有する層間絶縁層38が形成されており、開口部の底部に露出した第1c電極21c上から層間絶縁層38上に亙り、第3発光層を含む第3有機層23cが形成されている。更には、第3有機層23cの上に、第2c電極22cが形成されている。第3有機層23c及び第2c電極22cは、パターニングされている。第1c電極21cの下方には、第2発光層を含む第2有機層23b及び第1発光層を含む第1有機層23aが位置している。
【0112】
実施例3の発光素子ユニットにおいても、限定するものではないが、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cは、例えば、図示しない有機EL表示装置の外周領域で接続されており、同じ電位が与えられる。
【0113】
実施例3の発光素子ユニット、有機EL表示装置は、実施例1において説明した発光素子ユニット、有機EL表示装置の製造方法と、実質的に同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
以上に説明した実施例3の発光素子ユニットにおいても、有機層を蒸着用マスクを用いること無く蒸着することが可能であるため、RGB塗り分け構造のようなマスク位置合わせは不要であり、微細な画素ピッチを有する有機EL表示装置といったマイクロディスプレイや、蒸着用マスクが適用し難い大型の有機EL表示装置といった大型ディスプレイ等、各種表示装置の製造を容易とする。しかも、第1発光素子は、第1a電極、第1有機層及び第2a電極から成る第1発光部を有し、第2発光素子は、第1b電極、第2有機層及び第2b電極から成る第2発光部を有し、第3発光素子は、第1c電極、第3有機層及び第2c電極から成る第3発光部を有し、各発光部のそれぞれにおいてマイクロキャビティ(共振器構造)の最適化を図ることができるので、光取り出し効率の向上を図ることができ、しかも、高い発光効率、色純度を達成することができる。
【0115】
尚、実施例3の発光素子ユニットの変形例(1)の概念図を
図5Bに示し、模式的な一部断面図を
図16に示すように、第2a電極22aの上(あるいは上方)に第2有機層23bが形成されていてもよい。即ち、第1発光素子10aの領域の領域に位置する第2a電極22aの上方に、第2発光層を含む第2有機層23bが積層されていてもよい。
【0116】
また、実施例3の発光素子ユニットの変形例(2)の概念図を
図6Aに示し、模式的な一部断面図を
図17に示すように、また、実施例3の発光素子ユニットの変形例(1)及び変形例(2)の変形例(3)の概念図を
図6Bに示し、模式的な一部断面図を
図18に示すように、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを、共通の第2電極22から構成することもできる。尚、第2a電極22aと第2b電極22bとを結ぶ第2電極22の部分、及び、第2b電極22bと第2c電極22cとを結ぶ第2電極22の部分を構成する材料は、第2a電極22a、第2b電極22b及び第2c電極22cを構成する材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0117】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した発光素子ユニット、発光素子、有機EL表示装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。実施例1、実施例3においては、(第1発光素子,第2発光素子,第3発光素子)を、(赤色発光素子,緑色発光素子,青色発光素子)から構成したが、代替的に、(赤色発光素子,青色発光素子,緑色発光素子)、(緑色発光素子,赤色発光素子,青色発光素子)、(緑色発光素子,青色発光素子,赤色発光素子)、(青色発光素子,赤色発光素子,緑色発光素子)、(青色発光素子,緑色発光素子,赤色発光素子)の組合せとすることもできる。第1有機層、第2有機層及び第3有機層を、所望に応じて、例えば、帯状にパターニングしてもよい。
【0118】
或る発光素子に隣接した発光素子に、或る発光素子から出射した光が侵入し、光学的クロストークが発生することを防止するために、発光素子と発光素子との間に遮光層を設けてもよい。即ち、発光素子と発光素子との間に溝部を形成し、この溝部を遮光材料で埋め込んで遮光層を形成してもよい。このように遮光層を設ければ、或る発光素子から出射した光が隣接発光素子に侵入する割合を低減させることができ、混色が発生し、画素全体の色度が所望の色度からずれてしまうといった現象の発生を抑制することができる。そして、混色を防止することができるので、画素を単色発光させたときの色純度が増加し、色度点が深くなる。それ故、色域が広くなり、表示装置の色表現の幅が広がる。あるいは又、ブラックマトリクス層BMに遮光性を付与してもよい。
【0119】
本開示における表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用することができる。デジタルスチルカメラの正面図を
図27Aに示し、背面図を
図27Bに示す。このレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)211の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)212を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部213を有している。そして、カメラ本体部211の背面略中央にはモニタ214が設けられている。モニタ214の上部には、電子ビューファインダ(接眼窓)215が設けられている。撮影者は、電子ビューファインダ215を覗くことによって、撮影レンズユニット212から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。このような構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、電子ビューファインダ215として本開示における表示装置を用いることができる。
【0120】
あるいは又、本開示における表示装置をヘッドマウントディスプレイに適用することができる。
図28に外観図を示すように、ヘッドマウントディスプレイ300は、本体部301、アーム部302及び鏡筒303を有する透過式ヘッドマウントディスプレイから構成されている。本体部301は、アーム部302及び眼鏡310と接続されている。具体的には、本体部301の長辺方向の端部はアーム部302に取り付けられている。また、本体部301の側面の一方側は、接続部材(図示せず)を介して眼鏡310に連結されている。尚、本体部301は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。本体部301は、ヘッドマウントディスプレイ300の動作を制御するための制御基板や表示部を内蔵している。アーム部302は、本体部301と鏡筒303とを連結させることで、本体部301に対して鏡筒303を支える。具体的には、アーム部302は、本体部301の端部及び鏡筒303の端部と結合されることで、本体部301に対して鏡筒303を固定する。また、アーム部302は、本体部301から鏡筒303に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵している。鏡筒303は、本体部301からアーム部302を経由して提供される画像光を、眼鏡310のレンズ311を透して、ヘッドマウントディスプレイ300を装着するユーザの目に向かって投射する。上記の構成のヘッドマウントディスプレイ300において、本体部301に内蔵される表示部として、本開示における表示装置を用いることができる。
【0121】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《発光素子ユニット:第1の態様》
3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層、第2a電極、第2発光層を含む第2有機層、及び、第3発光層を含む第3有機層が積層されて成り、
第2発光素子は、第1有機層、第1b電極、第2有機層、第2b電極、及び、第3有機層が積層されて成り、
第3発光素子は、第1有機層、第2有機層、第1c電極、第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成る発光素子ユニット。
[A02]第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、共通の第2電極から構成されている[A01]に記載の発光素子ユニット。
[A03]第2a電極、第2b電極及び第2c電極には、同じ電位が与えられる[A01]又は[A02]に記載の発光素子ユニット。
[A04]第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有する[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[A05]透明導電層は、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)から成る[A04]に記載の発光素子ユニット。
[A06]半透過導電層は、マグネシウム及び銀の合金から成る[A04]又は[A05]に記載の発光素子ユニット。
[A07]第1発光素子において、第1a電極と第1有機層との界面又は第1光反射層によって構成された第1a界面と、第2a電極と第1有機層との界面によって構成された第2a界面との間で、第1発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2a電極から出射させ、
第2発光素子において、第1b電極と第2有機層との界面又は第2光反射層によって構成された第1b界面と、第2b電極と第2有機層との界面によって構成された第2b界面との間で、第2発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2b電極から出射させ、
第3発光素子において、第1c電極と第3有機層との界面又は第3光反射層によって構成された第1c界面と、第2c電極と第3有機層との界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極から出射させる[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[A08]第1発光層の最大発光位置から第1a界面までの距離をL1A、光学距離をOL1A、第1発光層の最大発光位置から第2a界面までの距離をL2A、光学距離をOL2Aとし、m1A及びm2Aを整数としたとき、以下の式(A-1)、式(A-2)、式(A-3)及び式(A-4)を満たしており、
第2発光層の最大発光位置から第1b界面までの距離をL1B、光学距離をOL1B、第2発光層の最大発光位置から第2b界面までの距離をL2B、光学距離をOL2Bとし、m1B及びm2Bを整数としたとき、以下の式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)及び式(B-4)を満たしており、
第3発光層の最大発光位置から第1c界面までの距離をL1C、光学距離をOL1C、第3発光層の最大発光位置から第2c界面までの距離をL2C、光学距離をOL2Cとし、m1C及びm2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている[A07]に記載の発光素子ユニット。
0.7{-Φ1A/(2π)+m1A}≦2×OL1A/λA≦1.2{-Φ1A/(2π)+m1A} (A-1)
0.7{-Φ2A/(2π)+m2A}≦2×OL2A/λA≦1.2{-Φ2A/(2π)+m2A} (A-2)
L1A<L2A (A-3)
m1A<m2A (A-4)
0.7{-Φ1B/(2π)+m1B}≦2×OL1B/λB≦1.2{-Φ1B/(2π)+m1B} (B-1)
0.7{-Φ2B/(2π)+m2B}≦2×OL2B/λB≦1.2{-Φ2B/(2π)+m2B} (B-2)
L1B<L2B (B-3)
m1B<m2B (B-4)
0.7{-Φ1C/(2π)+m1C}≦2×OL1C/λC≦1.2{-Φ1C/(2π)+m1C} (C-1)
0.7{-Φ2C/(2π)+m2C}≦2×OL2C/λC≦1.2{-Φ2C/(2π)+m2C} (C-2)
L1C<L2C (C-3)
m1C<m2C (C-4)
ここで、
λA :第1発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第1発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1A:第1a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1A≦0
Φ2A:第2a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2A≦0
λB :第2発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第2発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1B:第1b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1B≦0
Φ2B:第2b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2B≦0
λC :第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1C:第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1C≦0
Φ2C:第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2C≦0
である。
[A09]m1A=0,m2A=1,m1B=0,m2B=1,m1C=0,m2C=1である[A08]に記載の発光素子ユニット。
[B01]《発光素子ユニット:第2の態様》
3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子及び第2発光素子は並置されており、第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層及び第2a電極から成り、第2発光素子は、第1b電極、第1有機層及び第2b電極から成り、
第3発光素子は、第1有機層、第1c電極、第3発光層を含む第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成り、
第1発光素子の光出射側には第1カラーフィルタが配設されており、
第2発光素子の光出射側には第2カラーフィルタが配設されている発光素子ユニット。
[B02]第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、共通の第2電極から構成されている[B01]に記載の発光素子ユニット。
[B03]第2a電極、第2b電極及び第2c電極には、同じ電位が与えられる[B01]又は[B02]に記載の発光素子ユニット。
[B04]第2a電極及び第2b電極は、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有する[B1]乃至[B03]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[B05]透明導電層は、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)から成る[B04]に記載の発光素子ユニット。
[B06]半透過導電層は、マグネシウム及び銀の合金から成る[B04]又は[B05]に記載の発光素子ユニット。
[B07]第2c電極は、マグネシウム及び銀の合金から成る[B1]乃至[B03]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[B08]第2a電極及び第2b電極の有する構造と、第2c電極の有する構造とは異なっている[B1]乃至[B03]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[B09]第3発光素子において、第1c電極と第3有機層との界面又は第3光反射層によって構成された第1c界面と、第2c電極と第3有機層との界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極から出射させる[B01]乃至[B06]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[B10]第3発光層の最大発光位置から第1c界面までの距離をL1C、光学距離をOL1C、第3発光層の最大発光位置から第2c界面までの距離をL2C、光学距離をOL2Cとし、m1C及びm2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている[B09]に記載の発光素子ユニット。
0.7{-Φ1C/(2π)+m1C}≦2×OL1C/λC≦1.2{-Φ1C/(2π)+m1C} (C-1)
0.7{-Φ2C/(2π)+m2C}≦2×OL2C/λC≦1.2{-Φ2C/(2π)+m2C} (C-2)
L1C<L2C (C-3)
m1C<m2C (C-4)
ここで、
λC :第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1C:第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1C≦0
Φ2C:第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2C≦0
である。
[B11]m1C=0,m2C=1である[B10]に記載の発光素子ユニット。
[C01]《発光素子ユニット:第3の態様》
3つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第1a電極、第1発光層を含む第1有機層、及び、第2a電極が積層されて成り、
第2発光素子は、第1有機層、第1b電極、第2発光層を含む第2有機層、及び、第2b電極が積層されて成り、
第3発光素子は、第1有機層、第2有機層、第1c電極、第3発光層を含む第3有機層、及び、第2c電極が積層されて成る発光素子ユニット。
[C02]第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、共通の第2電極から構成されている[C01]に記載の発光素子ユニット。
[C03]第2a電極、第2b電極及び第2c電極には、同じ電位が与えられる[C01]又は[C02]に記載の発光素子ユニット。
[C04]第2a電極、第2b電極及び第2c電極は、透明導電層と半透過導電層との積層構造を有する[C01]乃至[C03]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[C05]透明導電層は、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)から成る[C04]に記載の発光素子ユニット。
[C06]半透過導電層は、マグネシウム及び銀の合金から成る[C04]又は[C05]に記載の発光素子ユニット。
[C07]第1発光素子において、第1a電極と第1有機層との界面又は第1光反射層によって構成された第1a界面と、第2a電極と第1有機層との界面によって構成された第2a界面との間で、第1発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2a電極から出射させ、
第2発光素子において、第1b電極と第2有機層との界面又は第2光反射層によって構成された第1b界面と、第2b電極と第2有機層との界面によって構成された第2b界面との間で、第2発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2b電極から出射させ、
第3発光素子において、第1c電極と第3有機層との界面又は第3光反射層によって構成された第1c界面と、第2c電極と第3有機層との界面によって構成された第2c界面との間で、第3発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2c電極から出射させる[C01]乃至[C06]のいずれか1項に記載の発光素子ユニット。
[C08]第1発光層の最大発光位置から第1a界面までの距離をL1A、光学距離をOL1A、第1発光層の最大発光位置から第2a界面までの距離をL2A、光学距離をOL2Aとし、m1A及びm2Aを整数としたとき、以下の式(A-1)、式(A-2)、式(A-3)及び式(A-4)を満たしており、
第2発光層の最大発光位置から第1b界面までの距離をL1B、光学距離をOL1B、第2発光層の最大発光位置から第2b界面までの距離をL2B、光学距離をOL2Bとし、m1B及びm2Bを整数としたとき、以下の式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)及び式(B-4)を満たしており、
第3発光層の最大発光位置から第1c界面までの距離をL1C、光学距離をOL1C、第3発光層の最大発光位置から第2c界面までの距離をL2C、光学距離をOL2Cとし、m1C及びm2Cを整数としたとき、以下の式(C-1)、式(C-2)、式(C-3)及び式(C-4)を満たしている[C07]に記載の発光素子ユニット。
0.7{-Φ1A/(2π)+m1A}≦2×OL1A/λA≦1.2{-Φ1A/(2π)+m1A} (A-1)
0.7{-Φ2A/(2π)+m2A}≦2×OL2A/λA≦1.2{-Φ2A/(2π)+m2A} (A-2)
L1A<L2A (A-3)
m1A<m2A (A-4)
0.7{-Φ1B/(2π)+m1B}≦2×OL1B/λB≦1.2{-Φ1B/(2π)+m1B} (B-1)
0.7{-Φ2B/(2π)+m2B}≦2×OL2B/λB≦1.2{-Φ2B/(2π)+m2B} (B-2)
L1B<L2B (B-3)
m1B<m2B (B-4)
0.7{-Φ1C/(2π)+m1C}≦2×OL1C/λC≦1.2{-Φ1C/(2π)+m1C} (C-1)
0.7{-Φ2C/(2π)+m2C}≦2×OL2C/λC≦1.2{-Φ2C/(2π)+m2C} (C-2)
L1C<L2C (C-3)
m1C<m2C (C-4)
ここで、
λA :第1発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第1発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1A:第1a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1A≦0
Φ2A:第2a界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2A≦0
λB :第2発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第2発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1B:第1b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1B≦0
Φ2B:第2b界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2B≦0
λC :第3発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、第3発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1C:第1c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ1C≦0
Φ2C:第2c界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、-2π<Φ2C≦0
である。
[C09]m1A=0,m2A=1,m1B=0,m2B=1,m1C=0,m2C=1である[C08]に記載の発光素子ユニット。
[D01]《発光素子ユニット:第4の態様》
複数の発光層を含む有機層が積層された積層構造を有する発光素子の複数から構成されており、
各発光素子は、第1電極、複数の有機層の内のいずれか1層の有機層、及び、第2電極から構成されており、
各発光素子を構成する第1電極は、発光素子の間で重なり合っていない発光素子ユニット。
[E01]《有機エレクトロルミネッセンス表示装置》
[A01]乃至[D01]のいずれか1項に記載の発光素子ユニットが2次元マトリクス状に配列されて成る有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
[E02]《表示装置》
[A01]乃至[D01]のいずれか1項に記載の発光素子ユニットが2次元マトリクス状に配列されて成る表示装置。
【符号の説明】
【0122】
10(10a,10b,10c)・・・発光素子、10a・・・第1発光素子、10b・・・第2発光素子、10c・・・第3発光素子、21a・・・第1a電極、21b・・・第1b電極、21c・・・第1c電極、22a・・・第2a電極、22b・・・第2b電極、22c・・・第2c電極、22d・・・共通第2電極(第2a電極及び第2b電極)、23a・・・第1発光層を含む第1有機層、23b・・・第2発光層を含む第2有機層、23c・・・第3発光層を含む第3有機層、23d・・・第1有機層及び第2有機層、24a,24b・・・カラーフィルタ、25a,25b,25c・・・光反射層、BM・・・ブラックマトリクス層、31,32,33,34,35,36,37,38・・・層間絶縁層、41・・・第1基板、42・・・第2基板、43・・・絶縁層、44・・・保護膜、51a,51b,51c・・・ゲート電極、52・・・ゲート絶縁膜、53・・・シリコン層(半導体層)、54a,54b,54c・・・チャネル形成領域、55a,55b,55c・・・ソース/ドレイン領域、56a,56b,56c,57b,57c,58c、66,67,68,69・・・コンタクトホール部、59A,59B・・・絶縁膜