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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】焼結部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/03 20060101AFI20240625BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20240625BHJP
   B30B 15/02 20060101ALI20240625BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B22F3/03
B22F3/24 101Z
B30B15/02 Z
B22F3/02 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022535462
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020085726
(87)【国際公開番号】W WO2021116386
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】102019134155.8
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515056277
【氏名又は名称】ゲーカーエン シンター メタルズ エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ライネル
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲルト,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ヴェルデ,マウリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ティラー,シュテファン
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-112231(JP,A)
【文献】特開昭57-041303(JP,A)
【文献】特開2011-074953(JP,A)
【文献】特開2019-143750(JP,A)
【文献】特開平11-057926(JP,A)
【文献】特開平07-148598(JP,A)
【文献】特開平07-102305(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0007235(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00-7/08
B30B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結部品(1)の製造方法であって、少なくとも、
a)第1端面(2)と、軸方向(3)に離間する第2端面(4)と、上記端面(2,4)の間の周面(5)とを有する上記焼結部品(1)を提供するステップと、
b)上記焼結部品(1)をツール(6)内に配置するステップと、
c)上記ツール(6)を用いて、上記焼結部品(1)を、少なくとも上記軸方向(3)において上記端面(2,4)に作用する第1圧縮力(7)に付するステップと
d)上記焼結部品(1)を、少なくとも径方向(8)において上記周面(5)に作用する第2圧縮力(9)に付し、上記焼結部品(1)が少なくとも上記第2圧縮力(9)によって成形されるステップ、又は上記焼結部品(1)を機械的に処理するステップとを備え、
ステップc)及びステップd)が少なくとも部分的に同時に実施され、
上記焼結部品(1)が少なくとも上記第2圧縮力(9)によって成形される際に、
上記第2圧縮力(9)が、少なくとも1つの圧延ツール(10)を介して上記焼結部品(1)に加えられ、
上記第1圧縮力(7)が、上記第1端面(2)の全体及び上記第2端面(4)の全体に亘って、上記焼結部品(1)に加えられ、
上記焼結部品(1)が、少なくとも部分的に上記第1圧縮力(7)によっても成形される焼結部品(1)の製造方法。
【請求項2】
上記第1圧縮力(7)は、少なくとも200メガパスカルである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
複数の圧延ツール(10)が周方向(11)に上記ツール(6)内に配置され、上記第2圧縮力(9)が複数の圧延ツール(10)によって少なくとも断続的に同時に上記焼結部品(1)に加えられる請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記焼結部品(1)が、上記第1圧縮力(7)及び上記第2圧縮力(9)によって擬似平衡的に圧縮される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法によって焼結部品(1)を製造するツール(6)であって、
上記焼結部品(1)が、第1端面(2)と、軸方向(3)に離間する第2端面(4)と、上記端面(2,4)の間の周面(5)とを有し、
上記焼結部品(1)がさらなる工程のために配置され得る差込み口(12)と、
上記差込み口(12)内に配置された上記焼結部品(1)を上記第1圧縮力(7)に付するためのパンチングユニット(13)と、
上記差込み口(12)内に配置された上記焼結部品(1)を上記第2圧縮力(9)に付するための少なくとも1つの圧延ツール(10)、又は上記差込み口(12)内に配置された上記焼結部品(1)を機械処理するための少なくとも1つの処理ツール(15)とを備えるツール(6)。
【請求項6】
上記方法を実施する目的のためにツール(6)を制御するように適切に設計された制御ユニット(14)を少なくとも備え、
上記制御ユニット(14)は、上記第1圧縮力(7)と、さらには上記第2圧縮力(9)又は上記処理ツール(15)とを少なくとも断続的に同時に制御することができる請求項5に記載のツール(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼結部品の製造方法に関する。焼結部品は、特に粉末材料から、押圧によって圧粉体を形成した後、焼結によって固体状の加工品(焼結部品)を形成することによって製造される。
【0002】
この種の焼結部品は、高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現するため、較正と呼ばれる後追いの押圧操作によって再加工され得る。較正は、較正ツールによって軸方向において焼結部品に作用する第1の圧縮力を、焼結部品に付すことによって通常なされる。
【0003】
この種の焼結部品は、圧延工程(圧延とも呼ばれる)によっても再加工、つまり成形又はさらに圧縮され得る。圧延工程では、焼結部品が径方向に作用する第2の圧縮力を付される。
【0004】
較正及び圧延は、一般に相互に独立したツールにおいて順番に実施される。焼結部品は、最初に第1のツール(較正ツール又は圧延ツール)内に配置及び処理される必要がある。そして、処理された焼結部品は、第1のツールから取り出され、第2のツール内に配置される(圧延ツール又は較正ツール)。
【0005】
独国特許出願公開第102015211657号明細書及び独国特許出願公開第102006041584号明細書は、特に、較正後に圧延工程によって処理される焼結部品である構成部品の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102015211657号明細書
【文献】独国特許出願公開第102006041584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術に関連して言及された課題を少なくとも部分的に解決することにある。特に、焼結部品をより迅速かつコスト効率良く機械加工可能な、焼結部品の製造方法を提示することを意図している。この点で、上記製造方法によって、焼結部品の高い寸法精度及び精密に設定された密度が実現可能となるはずである。再現性高く複雑な構造を製造することも可能となるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の特徴を有する方法は、これらの目的を達成することに寄与する。従属項は有利な実施形態に関連する。請求項において個別に記載された特徴は、いかなる技術的に意義のある方法によって相互に組み合わせてもよく、明細書からの実質的な説明事項及び/又は図面からの詳細によって補足されてもよい。また、本発明のさらなる変形実施形態が示される。
【0009】
焼結部品の製造方法が提示される。この製造方法は少なくとも、
a)第1端面と、軸方向に離間する第2端面と、上記端面の間の周面とを有する上記焼結部品を提供するステップと、
b)上記焼結部品をツール内に配置するステップと、
c)上記ツールを用いて、上記焼結部品を、少なくとも上記軸方向において上記端面に作用する第1圧縮力に付するステップと、
d)上記焼結部品を、少なくとも径方向において上記周面に作用する第2圧縮力に付し、上記焼結部品が少なくとも上記第2圧縮力によって成形されるステップ、又は上記焼結部品を機械的に処理するステップとを備える。
【0010】
ステップc)及びステップd)は少なくとも部分的に同時に実施される。
【0011】
上記方法ステップのa)からd)への上述した(非決定的)分割は、第1に目的の区別に供することのみを意図しており、いかなる順序及び/又は従属の記述を意図するものではない。上記方法のステップの頻度もまた変更してよい。同様に、上記方法ステップを時間について少なくとも部分的に重複させることが可能である。特に一層好ましくは、方法ステップd)は、ステップc)の間に行われる。好ましくは、少なくともステップa)からステップc)は、上述した順序で実施される。
【0012】
ステップa)で提供される上記焼結部品は、特に粉末材料から、圧粉体を形成する押圧及びその後の固体状の加工品(焼結部品)を形成する焼結によって製造される。
【0013】
特に、圧粉体の製造に使用される粉末材料は、少なくとも部分的に金属材料を備える。また、特に金属材料を結合して圧粉体を形成するために使用されるバインダーが与えられる。焼結工程のための準備において、バインダーはまず金属材料から除去される。焼結の間、圧粉体又はバインダーを含まないブラウン体は、金属材料の融点よりもわずかに低い温度に付される。その結果、焼結ネックの形成を介して金属粒子が相互に結合し、設定可能な密度を有する焼結部品が生成される。
【0014】
ステップb)では、上記焼結部品が上記ツール内に、例えば上記ツールの差込み口内に配置される。
【0015】
ステップc)では、上記焼結部品を、少なくとも上記軸方向において上記端面に作用する第1圧縮力に付するために、上記ツールが使用される。このため、上記ツールは特に少なくとも、上記焼結部品について相対移動可能で少なくとも部分的に一方の上記端面に接触する第1パンチングユニットを有する。必要に応じて、上記焼結部品について相対移動可能で他方の上記端面に接触する第2パンチングユニットが設けられる。各パンチングユニットは、マルチパーツ設計を有していてもよく、これによりそれぞれの端面の特定部分がそれぞれのパンチングユニットの各パーツに接触させられる。
【0016】
特に、各端面の少なくとも一部は、上記第1圧縮力に付される。特に、1つの端面の少なくとも50%は上記第1圧縮力に付される。
【0017】
ステップd)では、上記焼結部品が、少なくとも径方向において上記周面に作用する第2圧縮力に付される。代わりとして、又は場合によっては追加で、ステップd)において上記焼結部品は、例えば機械加工(調整等)によって機械的に処理される。
【0018】
上記焼結部品は、少なくとも上記第2圧縮力によって成形及び/又はさらに圧縮される。また、ステップc)及びステップd)は少なくとも部分的に同時に実施される。特に、上記焼結部品は、上記焼結部品が上記第1圧縮力にも付された場合にのみ上記第2圧縮力に付される。
【0019】
上記第1圧縮力は、上記第2圧縮力によって引き起こされる成形又はさらなる圧縮を少なくとも補助するために使用される。特に、上記第1圧縮力は、上記焼結体を成形及び/又はさらなる圧縮をしない。
【0020】
代わりとして又は追加で、上記第1圧縮力は、少なくとも2つの端面の一方の領域において、上記焼結部品を少なくとも成形及び/又はさらなる圧縮をする。
【0021】
この焼結部品のさらなる圧縮又は成形は、較正と呼ばれる。これにより、例えば上記焼結部品の高い寸法精度又は少なくとも局所的な高密度を実現することができる。
【0022】
特に、上記第1圧縮力は、少なくとも200メガパスカル[MPa]であり、好ましくは少なくとも500MPaであり、特に好ましくは少なくとも1000MPaである。
【0023】
特に、上記第2圧縮力は、少なくとも200メガパスカル[MPa]であり、好ましくは少なくとも500MPaであり、特に好ましくは少なくとも1000MPaである。
【0024】
上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力の組み合わせ、特にすなわち、少なくとも部分的に同時に上記焼結部品にこれらの圧縮力を付することによって、従来少なくとも部分的に実現し得なかった焼結部品のある種の特性を特に生成することができる。
【0025】
較正及び圧延工程が連続して実施される場合、上記焼結部品における圧力勾配が大きいことによって割れが生じ得る。上記焼結部品を上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力に少なくとも部分的に同時に付する結果として、上記焼結部品におけるこれらの圧力勾配を低減できる。
【0026】
特に、全表面(端面、周面)に作用する圧縮力は、例えば圧延時の望まない変形(空き領域への可塑的な動き)を緩和、及び/又は、制御下でこの可塑的な変形を上記焼結部品の所定の精密に再現可能な領域に導入することができる。
【0027】
特に、この方法は初期多孔度の高い、例えば多孔度が少なくとも15%の、特には20%の、好ましくは25%の焼結部品の場合に適用できる。上記端面及び上記周面を介して圧縮力を加える結果、大きな圧縮力が上記焼結部品において高い圧力を生成することができ、これにより、低い割れのリスク及び極めて高い精度とともに極めて高い成形度及び(少なくとも95%、特に少なくとも97%の、好ましくは少なくとも98%の)高い圧縮を実現できる。
【0028】
較正、及び圧延又は機械処理の手法を組み合わせることで、特に上記焼結部品の処理を大いに短縮できる。特に、上記焼結部品のツールへのクランプは1回要するのみである(以前は、較正ツールへの1回と圧延ツール及び/又は処理ツールへの1回とで少なくとも2回)。構成部品の操作(上記焼結部品の他のツールへの一時的な搬送に加え、上記第1ツール及びその後の上記第2ツールのための供給)は大いに低減できる。今や較正工程並びに圧延及び/又は機械処理が少なくとも断続的に相互に並行して実施され得るため、処理時間もまた短縮できる。
【0029】
1つツールのみが必要であるため、上記焼結部品の処理のための空間的な要件もまた低減される。
【0030】
処理の手法(較正、圧延、機械処理)を統合すると、特に、圧延又は機械処理のために他の方法では必要とされ得る上記焼結部品へのクランプ技術を不要とすることができる。本件では、必要なクランプ力は、少なくとも1つのパンチングユニット及び上記第1圧縮力によって生成される。このことは、特に、圧延によって成形される上記焼結部品の表面について大きな柔軟性をもたらす。
【0031】
特に、小さな焼結部品の場合(例えば10cm(平方センチメートル)以下の、特に7cm以下の、好ましくは5cm以下の端面を有する焼結部品の場合)、(少なくとも1つのパンチングユニット等、上記第1圧縮力を適用する上記ツールの構成部品によって与えられる支持に加えて)圧延ツールによって上記焼結部品が周面全体で支持され得、上記軸方向についても部分的に支持され得る。このことは、較正のために上記軸方向に作用する上記第1圧縮力が、この上記第1圧縮力の適用によって上記焼結部品における可塑的な変形が生じるように十分大きくし得るため実現される。これに対して、従来の圧延の間は、この実例においては変形が望まれないため、一般的にクランプ力を可塑的、弾性的な降伏点に達しないように選択されるべきである。したがって、ここに提示される較正及び圧延の場合において、較正及び圧延は少なくとも断続的に並行して実施されるため、上記焼結部品におけるクランプにあたっては大幅に小さな表面で足りる。また、これに応じて、上記焼結部品において上記軸方向についてクランプするツールは小型化される。この結果、より多くの表面領域が、上記圧延ツールに対する支持、及び上記圧延ツールによる成形及び/又はさらなる圧縮のために露出される。
【0032】
上述した小型の焼結部品の場合、また大型の焼結部品の場合も、上記ツールにおいてほぼ網羅的に可能な上記焼結部品へのクランプは、上記焼結部品の非常に小さな領域であっても選択的かつ高い集中度で成形することを可能にする。この工程においては、上記圧延ツールが接触させる周面の部分に隣接する上記焼結部品の領域において、これに必要な高い圧縮力が、上記焼結部品の材料の割れや上記焼結部品の望まない変形をもたらすことがない。
【0033】
特に、上述した組み合わせの手法によって以下の利点が得られる。
製造可能な幾何学形状が、半径方向の特徴又は周面での特徴(周面の溝、傾斜面、面取り、バリ、丸み、薄い壁厚(最大0.8mm[ミリメートル])、幾何学的/形状変化、角度等)によって拡張される。
上記焼結部品の密度もまた局所的に大きく増大し得る。
冷間加工硬化又は冷間形成の結果としての表面付近の強度の増大。
表面品質が向上し得る。
直径公差が大きく改善し得る。
同心度公差が改善し得る。
例えば壁厚に対する長さの比が20超等、上記軸方向に長い薄壁の焼結部品の生産。この点で、上記焼結部品において、可能な限り高い密度と同時に必要に応じて均一な密度を実現することができる。
圧粉体を製造する間又は較正の間に要する上記ツールの分割工程等に起因して、圧粉体の場合又は較正単独によると従来は製造不可能な、小さな壁厚の製造。
上記軸方向に対する特に角度が60度未満の傾斜を有する、上記焼結部品の円錐部の製造。
上記焼結部品での径方向の形状及び/又はアンダーカット、さらには周面の溝の製造。
上記第2圧縮力による、上記焼結部品における局所的に修正された密度の生成。
少なくとも周面の領域における、少なくとも98%の、特に少なくとも99%の、好ましくは少なくとも99.5%の密度の生成。
【0034】
特に、上記第1圧縮力は、上記第1端面及び/又は上記第2端面の少なくとも75%以上に亘って、好ましくは少なくとも90%以上に亘って、特に好ましくは少なくとも95%以上に亘って、上記焼結部品に加えられる。特に、第1圧縮力は、上記第1端面の全体及び/又は上記第2端面の全体に亘って、上記焼結部品に加えられる。
【0035】
特に、上記第2圧縮力は、少なくとも1つの圧延ツールを介して上記焼結部品に加えられる。この少なくとも1つの圧延ツールは、特に上記ツールの構成部分である。少なくとも1つの圧延ツールを用いて、上記ツールの差込み口に配置され、かつ上記第1圧縮力によって少なくとも固定された上記焼結部品は、その周面上で、必要に応じて特にその全周面上で処理され得る。
【0036】
圧縮ツールは、上記焼結部品の周面に沿って少なくとも又は専ら周方向にガイドされるローラを特に備える。上記第2圧縮力は、上記ローラを介して上記焼結部品に加えられる。特に、上記ローラは上記工程において上記焼結部品上で回転する。上記ローラツールの外周面は特定の形状を有していてもよく、その結果、一連の圧延操作において上記圧延ツールを介して上記焼結部品にこの特定の形状が転写される。
【0037】
特に、複数の圧延ツールが上記周方向に上記ツール内に配置され、上記第2圧縮力が複数の圧延ツールによって少なくとも断続的に同時に上記焼結部品に加えられる。
【0038】
特に、上記圧延ツールに関する記載は、機械処理及びこのために使用される処理ツール(ターニングチズル等)にも同様に適用する。
【0039】
特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力によって擬似平衡的に押圧される。したがって、特に上記第1圧縮力及び上記第2圧縮力は、これらの力が上記軸方向及び上記径方向の両方において(接触する周面の領域の数およびサイズに依存して)上記焼結部品に作用するため、実質的に上記焼結部品内の圧力を釣り合わせる。特に、上記圧縮力は、上記焼結部品内で可能な限り低い圧力勾配が発生するように設定される。このため、特に第1圧縮力及び上記第2圧縮力は、同じ大きさ又は少なくとも同じ桁数の大きさ(すなわち、100から999MPa、又は1000から9999MPa等)を有する。
【0040】
特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力によっても少なくとも部分的に成形される。特に、上記焼結部品は、上記第1圧縮力によって少なくとも部分的にさらに圧縮される。
【0041】
上述した方法によって焼結部品を製造するツールもまた提示される。この焼結部品は第1端面と、軸方向に離間する第2端面と、上記端面の間の周面とを有する。上記ツールは、少なくとも、
上記焼結部品がさらなる工程のために配置され得る差込み口と、
上記差込み口内に配置された上記焼結部品を第1圧縮力に付するためのパンチングユニットと、
上記差込み口内に配置された上記焼結部品を第2圧縮力に付するための少なくとも1つの圧延ツール、又は上記差込み口内に配置された上記焼結部品を機械処理するための少なくとも1つの処理ツールとを備える。
【0042】
特に、上記ツールは、上記方法を実施する目的のために上記ツールを制御するように適切に設計(準備、設定又はプログラム)された少なくとも1つの制御ユニットを備える。上記制御ユニットは、上記第1圧縮力と、さらには上記第2圧縮力又は上記処理ツールとを少なくとも断続的に同時に制御することができる。
【0043】
特に、パンチが上記焼結部品について上記軸方向において移動可能なパンチングユニットが上記焼結部品の各側面に設けられる。
【0044】
特に、上記少なくとも1つの圧延ツール又は上記処理ツールは、径方向において上記焼結部品のための上記差込み口に隣接して配置される。上記圧延ツール又は上記処理ツールのいずれかが上記周方向において上記焼結部品の周囲を回転するか、又は上記焼結部品が(特に上記パンチングユニットとともに)回転されることとなる。
【0045】
少なくとも第1端面と、軸方向に離間する第2端面と、上記端面の間の周面とを有する焼結部品も提示される。上記焼結部品は、少なくとも上述した方法又は上述したツールによって製造される。
【0046】
上記方法に関する記載は、特に上記ツール及び上記焼結部品に対しても同様に適用され、その逆も同様である。
【0047】
特に請求の範囲及びそれらを反映する明細書において、不定冠詞(a及びan)の使用は、そのまま理解され、また数値用語として理解されるべきではない。これに合わせて、導入された用語又は構成要素は、少なくとも1回現れるが、特に複数回現れ得るものとも理解される。
【0048】
留意事項として、本明細書において使用される数値用語(「第1」、「第2」等)は、主に(専ら)複数の類似する対象、寸法又は工程の間を区別するために機能すること、つまり特に、これら対象、寸法又は工程のいかなる従属関係及び/又は順序を不可避的に特定しないことが指摘される。従属関係及び/又は順序が必要な場合は、その旨が本明細書に明示的に記載されるか、又は具体的に記述された実施形態を検討する際に当業者にとって自明となる。構成要素が1回以上(少なくとも1回)現れる場合は、これら構成要素の1つに関する記載は、これら複数の構成要素のすべて又は一部に同様に適用し得るが、必須ではない。
【0049】
本発明及び技術分野を、添付の図面に基づいてより詳細に以下に説明する。本発明は記載された例示的な実施形態によって限定されることを意図していないことが留意される。特に、明示的に示されない限り、図面における実質的な説明事項の部分的な側面を抽出し、本明細書からの他の構成要素及び知見と組み合わせることも可能である。特に、図面及び特に図示された大きさの比率は模式的に過ぎないことが指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】ツールの断面の側面図を示す。
図2図1に係るツールの詳細な断面の側面図を示す。
図3図1に係るツールの少なくとも一部の斜視図を示す。
図4図1に係るツールにおける圧延ツールの第1変形実施形態の断面の側面図(左側)及び断面の斜視図(右側)を示す。
図5図1に係るツールにおける圧延ツールの第2変形実施形態の断面の側面図(左側)及び断面の斜視図(右側)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、ツール6の断面の側面図を示す。図2は、図1に係るツール6の詳細な断面の側面図を示す。図3は、図1に係るツール6の少なくとも一部の斜視図を示す。図1から図3は、以下で組み合わせて説明される。
【0052】
ツール6は、焼結部品1がさらなる処理のために配置される差込み口12を備える。ツール6はまた、差込み口12内に配置された焼結部品1を第1圧縮力7に付する目的で、差込み口12の上部の上部パンチングユニット13、及び差込み口12の下部の下部パンチングユニット13を備える。下部パンチングユニット13は第1マンドレル19及び第2マンドレル20(つまりパンチ)を有する。この実例において、差込み口12は、パンチングユニット13によって形成される。さらに、差込み口12内に配置された焼結部品1を第2圧縮力9に付するために、4つの圧延ツール10が提供される。
【0053】
圧延ツール10は、焼結部品1のための差込み口12に隣接して、径方向8において配置される。圧延ツール10は、焼結部品1及びパンチングユニット13を基準に回転し得るように配置され、周方向11において焼結部品1の周りを共に回転できる。この目的で、圧延ツール10は、軸受18を介して固定第2ツール部17を基準に回転可能に搭載された回転第1ツール部16内に配置される。
【0054】
各圧延ツール10は、焼結部品1の周面5に沿って周方向11に少なくとも又は専らガイドされるローラ21を備える。第2圧縮力9は、ローラ21を介して焼結部品1に加えられる。ローラ21は、この工程において焼結部品1上を回転する。圧延ツール10のローラ21の外周面は、特定の形状を有している。その結果、一連の圧延操作において、圧延ツール10を介して焼結部品1に上記特定の形状が転写される。ローラ21が軸方向3について焼結部品1も支持する肩部22を有していることは、図2において参照し得る。
【0055】
焼結部品1は第1端面2と、軸方向3に離間する第2端面4と、端面2、4の間の周面5とを有する。
【0056】
ツール6は、上記方法を実施する目的のためにツール6を制御するように適切に設計(準備、設定又はプログラム)された制御ユニット14を備える。制御ユニット14は、マンドレル19、20によってパンチングユニット13を制御できる。このため、第1圧縮力7と、さらには圧延ツール10及び第1ツール部16とを制御でき、これにより第2圧縮力8を少なくとも断続的に同時に制御できる。
【0057】
例えば1つ又は各圧延ツール10の代わりに(又はこれに追加で)、処理ツール15は、例えば焼結部品1の周面5を機械処理する目的でツール6内に配置されてもよいことが指摘される。
【0058】
図4は、図1に係るツール6における圧延ツール10の第1変形実施形態の断面の側面図(左側)及び断面の斜視図(右側)を示す。図1から図3に関する実施形態が参照される。
【0059】
焼結部品1は第1端面2と、軸方向3に離間する第2端面4と、端面2、4の間の周面5とを有する。
【0060】
各圧延ツール10は、焼結部品1の周面5に沿って少なくとも周方向11にガイドされるローラ21を備える。第2圧縮力9は、ローラ21を介して焼結部品1に加えられる。ローラ21は上記工程において焼結部品1上で回転する。ローラツール10のローラ21の外周面は特定の形状を有する。その結果、一連の圧延操作においてローラツール10を介して焼結部品1に上記特定の形状が転写される。ローラ21は、軸方向3について焼結部品1も支持する肩部22を有している。
【0061】
焼結部品1の周面5の外周を走る溝23、つまりアンダーカットは、ローラ21を介して生成されることが確認できる。また、密度の均一性は、薄い壁厚24を有する領域においても実現され得る。
【0062】
図5は、図1に係るツール6における圧延ツール10の第2変形実施形態の断面の側面図(左側)及び断面の斜視図(右側)を示す。図1から図4に関する記載が参照される。
【0063】
第1実施形態に対して、この実例におけるローラ21は、平滑な外周面を有する。このローラは、軸方向3に対する角度26が60度未満であり、この実例では約20度の円錐部25も有する。ここで、円錐部25においても均一な密度が実現可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 焼結部品
2 第1端面
3 軸方向
4 第2端面
5 周面
6 ツール
7 第1圧縮力
8 径方向
9 第2圧縮力
10 圧延ツール
11 周方向
12 差込み口
13 パンチングユニット
14 制御ユニット
15 処理ツール
16 第1ツール部
17 第2ツール部
18 軸受
19 第1マンドレル
20 第2マンドレル
21 ローラ
22 肩部
23 溝部
24 壁厚
25 円錐部
26 角度
図1
図2
図3
図4
図5