IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワイ ソフト コーポレイションの特許一覧

特許7509888パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法
<>
  • 特許-パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法 図1
  • 特許-パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法 図2
  • 特許-パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法 図3
  • 特許-パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法 図4
  • 特許-パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パッシブ・チップの信号の検出のためのデバイス及びデバイスを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G06K7/10 152
G06K7/10 224
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022539456
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 CZ2020050063
(87)【国際公開番号】W WO2021043347
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】PV2019-562
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】522082137
【氏名又は名称】ワイ ソフト コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カシーク、ブラディスラブ
(72)【発明者】
【氏名】スタネイエク、パヴェル
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/052485(WO,A1)
【文献】特開2011-175627(JP,A)
【文献】特開2009-128943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース無線信号の送信及びRFIDチップの無線信号を受信するためのアンテナ(2)と、前記アンテナ(2)によって受信された前記信号におけるピークの検出のためのピーク検出器(3)と、振幅、周波数、及び位相変調を含むグループから異なるタイプの変調を用いて信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ(5)及びビット・デコーダ(6)と、計算ユニット(7)とを備える、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)であって、
前記デバイス(1)は、少なくとも第1及び第2の並列分岐(4)をさらに含み、前記第1及び前記第2の分岐(4)のそれぞれが、前記ビット・デコーダ(6)と直列に接続された前記フィルタ(5)を備え、前記第1の分岐(4)の前記フィルタ(5)及び前記ビット・デコーダ(6)が、第1のタイプの変調によって変調された前記信号を処理するように適応され、前記第2の分岐(4)の前記フィルタ(5)及び前記ビット・デコーダ(6)が、第2のタイプの変調によって変調された前記信号を処理するように適応され、
前記ピーク検出器(3)によって処理された前記信号がこれらの分岐(4)の入力に供給され、これらの分岐(4)の出力が前記計算ユニット(7)に供給され、前記第1のタイプの変調が前記第2のタイプの変調とは異なり、前記計算ユニット(7)が、並列に接続された少なくとも第1及び第2のモジュール(8)を備え、前記第1のモジュール(8)が、第1のプロトコルの信号特性について前記復号された信号を探索するように適応され、前記第2のモジュール(8)が、前記第1のプロトコルとは異なる第2のプロトコルの信号特性について前記復号された信号を探索するように適応され、前記プロトコルがあらかじめ定義され、前記探索の結果に基づいて、前記計算ユニット(7)が、前記受信された無線信号のプロトコルを検出し、前記信号特性が、少なくとも、初期ビット・シーケンスと、前記計算ユニットに提供された信号の前記ビット・シーケンスの全長とを含む、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項2】
前記個々のモジュール(8)には、前記復号された信号のビットレートを確認するように適応されたタイマー・ユニットが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項3】
前記デバイス(1)は、前記計算ユニット(7)によって処理された前記信号を処理するように適応された高位計算ユニット(9)をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項4】
前記デバイス(1)は、前記第1及び前記第2の分岐(4)に並列に接続された第3の分岐(4)をさらに含み、前記第3の分岐(4)の前記フィルタ(5)及び前記ビット・デコーダ(6)が、第3のタイプの変調によって変調された前記信号を処理するように適応され、前記第3のタイプの変調が前記第1及び前記第2のタイプの変調とは異なることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの分岐(4)が、前記RFIDチップの前記信号をフィルタ処理し、復号するように適応された前記フィルタ(5)及び前記ビット・デコーダ(6)を備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項6】
少なくとも1つのモジュールが前記処理された信号に適合することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス(1)。
【請求項7】
前記アンテナ(2)によってパッシブRFIDチップの前記信号を受信するステップと、前記ピーク検出器(3)によって前記信号における前記ピークを検出し、変調された信号を取得するステップと、リーダーによって前記信号を処理するステップとを含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の、前記デバイス(1)によるパッシブRFIDチップの前記信号の検出のための前記デバイス(1)の使用方法であって、
前記変調された信号が、さらに、すべての分岐(4)に同時に供給され、すべての分岐(4)で前記変調された信号がその後処理され、前記処理された信号が、さらに、前記計算ユニット(7)に供給され、同時にすべてのモジュール(8)によって処理され、前記計算ユニット(7)の出力信号が、さらに、高位計算ユニット(9)に供給され、さらに処理されることを特徴とする、パッシブRFIDチップの前記信号の検出のための前記デバイス(1)の使用方法。
【請求項8】
前記モジュール(8)による前記信号の前記処理が、前記RFIDチップの前記信号の信号特性と所与の前記モジュール(8)の前記プロトコルの信号特性とを比較することによって実行され、前記RFIDチップの前記信号の信号特性と所与の前記モジュール(8)の前記プロトコルの信号特性が同等でない場合、前記信号が前記モジュール(8)によってさらに処理されないことを特徴とする、請求項7に記載の、パッシブRFIDチップの前記信号の検出のための前記デバイスの使用方法。
【請求項9】
前記信号が各モジュール(8)において少なくとも2回確認されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の、パッシブRFIDチップの前記信号の検出のための前記デバイスの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線スペクトルにおける非接触読取りに基づいて動作するパッシブ・チップの信号の検出のためのデバイスに関し、詳細には、RFIDに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID:Radio Frequency Identification)としても知られている、無線周波数信号に基づいて動作するシステムは、最近、商品、人々、動物などの識別のために広く使用されている。このタイプのシステムは、リーダーと、識別要素として使用されるチップとを備える。チップはアクティブ又はパッシブである。後者の場合、このチップはそれ自体の電源を有しない。その場合、電源は送信機であり、送信機はリーダー又はセンサーであり得る。送信機は、アンテナを介して、ちょうど無線周波数内の周波数、しばしば、たとえば、125kHz又は13.56MHzをもつ電磁放射を送信機のすぐ周囲に放出する。その後、パッシブRFIDチップは、しばしば、放出された放射周波数に同調したそれの内部回路に電力を供給する、この放射エネルギーを使用する。RFIDチップ自体は、次いで、何らかの有意な情報、たとえば、チップ所有者の識別コードを含む信号を放出し始める。その後、この信号は、この信号から関連情報を取得するために、リーディング・デバイスのアンテナによって受信され、フィルタ処理され、復調され、さらに処理される。
【0003】
与えられた信号中の情報はバイナリ形式でデジタル的に転送される。信号は、次いで、バイナリ送信可能情報が区別されるように変調される。デジタル変調の基本タイプは、信号振幅変化が別のバイナリ形式に対応するときには、振幅シフト・キーイング(Amplitude-Shift Keying)としても知られるASKであり、信号周波数変化が別のバイナリ形式に対応するときには、周波数シフト・キーイング(Frequency-Shift Keying)としても知られるFSKであり、信号位相変化が別のバイナリ形式に対応するときには、位相シフト・キーイング(Phase-Shift Keying)としても知られるPSKである。
【0004】
さらに、情報自体は、変調された信号中に何らかの形でコーディングされ得、したがって、信号からのそれの抽出のために、信号を復調するだけでなく、信号を復号する必要もある。さらに、信号全体はいくつかの制御ビット及び補足ビットを含む。たとえば、転送された情報に対応するビットのシーケンスの前に、ビットの開始シーケンスがあり得る。さらに、転送されたデータは、転送された信号中のエラーを検出するか、又はそれの制御を促進するために使用される、パリティ・ビットにより補完される。したがって、ビットストリームの形態で送信された情報を他のビットと区別する必要がある。ビットの開始シーケンスはチップごとに異なり得、たとえば、開始シーケンスは9つの1ビットのシーケンスであり得る。転送された情報のビット・シーケンスの長さもチップごとに異なり得る。
【0005】
コーディング、変調タイプ、信号周波数、信号長及び補足ビットを考慮に入れると、数十の様々なチップタイプがあり得ることは明らかである。より多くのリーダーを使用することが可能であり、それらのリーダーの各々は、上述の特性のある組合せタイプの信号を処理するように適応されている。とはいえ、この解決策の汎用性は極めて低く、このシステムを用いて動作するときにかなりの混乱をもたらし得る。最新技術は、この問題に効果的に対処するであろう技術的解決策を提示することができない。
【0006】
問題の部分的な解決策は、たとえば、特許文献1によって提示されている。この文献は、リーダー回路中に並列に接続されたPSKデコーダとFSKデコーダとを備えるリーダーを開示している。これらのデコーダの出力は、その場合、マイクロプロセッサ入力に供給され、そこでこれらのデコーダの出力はさらに処理される。リーダーは、異なる信号処理のために設計されたいくつかの他の分岐をさらに含む。しかしながら、このデバイスは、異なって変調された信号でしか動作することができず、このデバイスは、異なるコーディング、信号長又は信号形状の場合、機能しない。
【0007】
異なって変調された信号の検出及び読取りを可能にする別のデバイスは特許文献2に開示されている。しかしながら、アセンブリの構成要素の相互配置はこの文献では不明である。
【0008】
異なる周波数を用いて異なって変調された信号の検出及び読取りを可能にする別のデバイスは、たとえば、特許文献3によって開示されている。しかしながら、異なるコーディング及び信号の形状はこのデバイスによって認識できない。さらに、このデバイスは、直列に接続されたいくつかのフィルタを備える。この場合、信号は、信号が効率的に処理される前にすべてのフィルタを通らなければならないので、直列接続は信号処理の効率を低下させる。
【0009】
別の解決策はRFIDチップ・リーダーを開示している。リーダーには、いくつかのチップの読取りを同時に可能にするいくつかのユニットが装備されている。しかしながら、異なる特性をもつチップを使用するときに起こる厄介な問題についての解決策は開示されていない。
【0010】
本発明の背景技術は、異なる特性をもつRFIDチップ信号の高速で高品質な処理を可能にするデバイスが利用可能でないことを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2002/52485号
【文献】中国特許出願公開第102930237号明細書
【文献】米国特許第5952935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の欠点は、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイスによってある程度解消される。パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイスは、電磁放射を送信し、RFIDチップの無線信号を受信するためのアンテナと、アンテナによって受信された信号におけるピークの検出のためのピーク検出器と、振幅、周波数及び位相変調のセットからの異なるタイプの信号変調のフィルタ処理及び復号に適応されたフィルタ及びビット・デコーダとを備える。デバイスは計算ユニットをさらに備える。パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイスは、少なくとも第1及び第2の並列分岐を含み、そこでピーク検出器によって処理された信号はこれらの分岐の入力に供給され、これらの分岐の出力は計算ユニットに供給される。第1及び第2の分岐はそれぞれ、ビット・デコーダと直列に接続されたフィルタを備える。第1の分岐のフィルタ及びデコーダは、第1のタイプの変調によって変調された信号を処理するように適応される。第2の分岐のフィルタ及びデコーダは、第2のタイプの変調によって変調された信号を処理するように適応され、第1のタイプの変調は第2のタイプの変調とは異なる。計算ユニットは、並列に接続された少なくとも第1及び第2のモジュールを備える。モジュールは、あらかじめ定義されたプロトコルであって、所与のプロトコルによって処理された信号の検出のためのプロトコルの信号特性について復号された信号を探索するように適応される。第1のモジュール・プロトコルは第2のモジュール・プロトコルとは異なる。そのようなデバイスにより、分岐及び個々のモジュールの並列接続による、異なるプロトコルのRFIDチップの信号の高速で効果的な処理が可能になる。
【0013】
々のモジュールは、さらに、初期ビット・シーケンスと、計算ユニットに入った受信された無線信号のビット・シーケンスの全長とを検出するように適応される。この利点は信号処理のためのさらなる可能性をもたらす。別の好ましい実施例では、個々のモジュールにはタイマー・ユニットが装備される。タイマー・ユニットは、信号ビットレートを制御するために使用され、したがって追加の信号処理オプションをもたらす。
【0014】
本発明の別の実施例は、計算ユニット中で処理された信号がそれに送られる、高位計算ユニットの使用をさらに含む。信号は高位計算ユニット中でさらに処理される。
【0015】
好ましい実施例では、デバイスは、第1及び第2の分岐に並列に接続された第3の分岐を含む。第3の分岐フィルタ及びビット・デコーダは、第1及び第2の分岐における第1及び第2のタイプの変調とは異なる、第3のタイプの変調によって変調された信号を処理するように適応される。この実施例の利点は、パッシブRFIDチップの3つの異なるタイプの信号変調を処理する可能性にある。
【0016】
本発明の好ましい実施例は、その場合、RFIDチップ信号の変調をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ及びビット・デコーダをもつ少なくとも1つの分岐を含み、さらに、プロトコルをもつ少なくとも1つのモジュールがRFIDチップ信号プロトコルに適合する。
【0017】
デバイスの使用の方法は以下の通りである。RFIDチップ信号がアンテナによって受信される。ピーク検出器によって受信されたこの信号は、その後、すべての分岐に供給され、そこでこの信号はその後処理される。処理された信号は、さらに、計算ユニットに供給され、同時にすべてのモジュールによって処理される。計算ユニットの出力信号は、さらに、高位計算ユニットに供給され、さらに処理される。
【0018】
モジュール・タイマー・ユニットが、ビットレートが所与のモジュールと適合しないことを検出した場合、信号はもはや処理されない。これによりプロセス全体の計算需要が低減される。
【0019】
好ましい実施例では、モジュールにおける信号は少なくとも2回制御される。これにより、データの二重制御と、プロセス全体のより高い精度とが保証される。
【0020】
添付の図面によって説明される例示的な実施例によって本発明の主題をさらに示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイスの個々の構成要素の配置の概略表現を示す図である。この実施例では、デバイスは、アンテナと、ピーク検出器と、フィルタ及びビット・デコーダを備える3つの分岐と、いくつかのモジュールを備える計算ユニットとを備える。計算ユニットの出力は高位計算ユニットによってさらに処理される。
図2】i個の分岐とj個のモジュールとを備えるデバイスの概略表現を示す図である。
図3】デバイスがどのように動作させられるかについて説明するフロー・チャートである。
図4】所与のデバイスの動作の別の例示的な方法を表すフロー・チャートである。
図5】計算ユニット・モジュールにおける信号処理を表すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
対応する図面を参照しながら、例示的な実施例によって本発明についてさらに説明する。本発明は以下で述べる実施例に限定されない。
【0023】
図1による本発明の例示的な実施例では、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス1は、無線信号を送信し、受信するためのアンテナ2と、アンテナ2によって受信された信号におけるピークの検出のためのピーク検出器3と、振幅、周波数及び/又は位相変調された信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ5及びビット・デコーダ6と、計算ユニット7とを備える。これらの構成要素は、図1に示されているように相互に電気的に接続されている。例示的な実施例では、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス1は、少なくとも2つの並列分岐4を含み、分岐4の各々はフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える。ピーク検出器3の出力は各分岐4の入力に供給される。この入力信号は、所与の分岐4のフィルタ5によってフィルタ処理され、その後、所与の分岐4のビット・デコーダ6によって処理される。その後、処理された信号は所与の分岐4から計算ユニット7の入力に供給される。本発明の例示的な実施例では、計算ユニット7は、少なくとも2つの並列で異なるモジュール8を備え、各モジュール8は、処理された信号におけるあらかじめ定義されたプロトコルを検出するように適応される。個々のモジュール8の差は、モジュール8の各々が、主に、信号の又は転送されたビットストリームの変調、コーディング、長さ、初期ビット・シーケンスの形状及び長さ、ビットレート、周波数、制御ビットの数及びタイプに関して、異なるタイプの信号又は転送されたビットストリームに設定されることを意味する。言い換えれば、各モジュール8は、RFIDチップによって送信される異なるタイプの信号プロトコルに適合する。例示的な実施例は信号の又は転送されたビットストリームのこれらの特性又はプロトコルに限定されない。したがって、計算ユニット7の個々のモジュール8は所与の信号の他の特性に関してさえ異なり得る。本発明の例示的な実施例では、個々のモジュール8はタイマー・ユニットをさらに備え得る。タイマー・ユニットは、復調された信号のビットレートを制御するために使用される。計算ユニット7は少なくともプロセッサとメモリとをさらに備える。
【0024】
本発明の他の例示的な実施例では、ピーク検出器3は、さらに、検出された信号をフィルタ処理し、増幅し、平滑化するように適応され得る。
【0025】
例示的な実施例では、デバイスは高位計算ユニット9をさらに備え、高位計算ユニット9は、計算ユニット7によって又は対応するモジュール8によって処理された信号をさらに処理する。高位計算ユニット9は少なくともプロセッサとメモリとを備える。
【0026】
パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス1の個々の並列に接続された分岐4はフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える。本発明の例示的な実施例では、個々の構成要素(フィルタ5及びビット・デコーダ6)は、各分岐4が、受信された信号のあるタイプの変調に設定されるように選定される。例示的な実施例では、デバイスが合計3つの分岐4を含むとき、第1の分岐4はASKフィルタ及びASKビット・デコーダを備え得、第2の分岐はFSKフィルタ及びFSKビット・デコーダを備え得、第3の分岐はPSKフィルタ及びPSKビット・デコーダを備え得る。分岐4の順序又は並列配置はすべての適用可能な組合せについて同じである。本発明の実施例はこれらのタイプのフィルタ5及びビット・デコーダ6によって限定されない。したがって、分岐4は、ASK、FSK、PSK、BPSK、QPSK及び他の変調タイプによって変調された信号をフィルタ処理し、復号するために設計された構成要素を備え得る。本発明はフィルタ5とビット・デコーダ6と分岐4のこの数とのこの特定の組合せの使用に限定されない。独立クレームによって与えられる保護の範囲は、上述の構成要素から取得され得る、フィルタ5とビット・デコーダ6と分岐4のこの数とのすべての可能な組合せを含む。しかしながら、本発明の例示的な実施例は、各分岐4が異なるタイプの信号を処理するように適応されるような形で接続された分岐4を含む。
【0027】
計算ユニット7の個々のモジュール8は、さらに、受信された信号からの少なくとも以下の情報、すなわち、信号変調のタイプ、たとえば、ASK、FSK又はPSK、ビットレート、コーディングのタイプ、又は初期シーケンス及びデータ自体のコーディングのタイプ、初期シーケンスの形状及び長さ、転送されたデータの長さなどを読み取ることが可能であるように適応される。すべての情報は、さらに、処理された信号中で所与のモジュール8によって探索されるプロトコルの一部であると考えられ得る。
【0028】
本発明の例示的な実施例では、分岐4のうちの1つにおいて処理された信号は、その後、以下のように、計算ユニットのモジュール8において処理される。図5参照。信号は受信され、タイマー・ユニットは信号ビットレートを制御する。ビットレートが所与のモジュール8に適合しない場合、信号はこの特定のモジュールにおいてさらに処理されない。その後、所与の信号のコーディング方法が検出され、信号はシフト・レジスタによるさらなる処理のために送られる。信号データ・ストリームにおいて、初期データ・シーケンスに対応するシーケンスがその後探索される。ビットのこのシーケンスは、データ・ストリーム中の転送された情報の開始の明確な決定のために使用され、たとえば、9つの1ビットの並びによって表され得る。各モジュール8は、各モジュール8が受信された信号中で探索する1つのシーケンスを含む。各モジュール8がこのシーケンスを見つけることができない場合、モジュール8は明らかに所与の信号に適合せず、信号はこのモジュール8においてさらに処理されない。他の場合、モジュール8は信号に適合し、信号はモジュール8においてさらに処理され、処理された信号は所与のモジュールのバッファに記憶される。その後、処理された信号はさらなる処理のために高位計算ユニットに送られ得るか、又はプロセス全体が反復され得る。別のサイクルにおいて処理された信号は第1のサイクルにおいて処理された信号と比較される。それらの信号が同等である場合、プロセス全体は明らかに満足なものである。他の場合、何らかの技術が、異なる技術の初期シーケンスとして評価されるデータを含むことができるとき、信号は所与のモジュールに適合しないか、又は信号は、たとえば外部干渉又は衝突により誤っている。これは、例示的な実施例におけるデータ処理のより高い精度につながる。
【0029】
図1に示された例示的な実施例は3つの分岐4及び4つのモジュール8のみを含む。図2は、その場合、i個の分岐4とj個のモジュール8とを含む別の例示的な実施例を示す。
【0030】
例示的な実施例では、パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス1の使用方法は図3図5に示されており、以下の通りである。デバイス1のアンテナ2は、無線周波数スペクトル中の周波数、たとえば125kHzをもつ電磁放射を継続的に又はパルス的に放出する。RFIDチップ自体はパッシブであり、RFIDチップは電源を有さず、したがって、信号を送らない。パッシブRFIDチップがデバイス1(リーダー)に近づくにつれて、チップは、それ自体のアンテナを介して、デバイス1によって送信された信号を受信し始める。この電磁界の誘導により、チップはエネルギーを獲得し、それ自体の内部回路に電力を供給し、それ自体の信号を送信し始める。この信号は、その後、デバイス1のアンテナ2によって検出され、受信される。アンテナ2から、この信号はさらにピーク検出器3に転送され、ピーク検出器3は、転送され、変調され、コーディングされた情報に対応するピークをこの信号中で検出する。この処理された信号は、その後、デバイス1のすべての並列に接続された分岐4に転送される。この信号は、その後、すべての分岐4において処理され、各分岐4はフィルタ5及びビット・デコーダ6を備えるが、1つの分岐4だけがさらなる使用可能な信号を与える。信号が振幅変調されている場合、信号は、振幅変調された信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える分岐4においてのみうまく処理される。類推によって、上述のことは他のタイプの信号変調にも当てはまる、すなわち、信号が周波数変調されている場合、信号は、周波数変調された信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える分岐4においてだけうまく処理され、信号が位相変調されている場合、信号は、位相変調された信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える分岐4においてだけうまく処理される。デバイス1は、好ましくは、少なくとも1つの分岐4を含み、デバイス1の構成要素の配置は、読み取られたRFIDチップの信号のフィルタ処理及び復号を可能にする。その後、所与の分岐4によって処理された信号は計算ユニット7に送られる。ここで、信号はすべての並列モジュール8に送られる。信号は、その後、各個々のモジュール8において処理される。モジュール8は、その中に、モジュール8が受信された信号中でそれを探索する、記憶されたプロトコルを有する。モジュール8は、さらに、転送されたコーディングされた情報と、転送された信号の変調と、コーディングと、信号長と、他の信号特性とを検出するために、ビットストリーム中の初期ビット・シーケンスを検出するように適応される。各モジュールは、所与の受信された信号中で探索される、これらの要素の値の一意の組合せを有する。モジュール8は、復調された信号のビットレートを制御するように適応されたタイマー・ユニットをさらに備える。タイマー・ユニットによって制御されたビットレートが変調外にある場合、信号はさらに処理されない。信号は、それのパラメータが所与の信号のパラメータに対応する、1つのモジュール8においてのみうまく処理される。このモジュール8によって処理された信号は、その後、高位計算ユニット9に送られ、そこで信号はさらに処理される。本発明の例示的な実施例では、少なくとも1つのモジュール8がパッシブRFIDチップの信号に適合する。適合性とは、信号がいかなる問題もなしに所与のモジュール8によって処理されることを意味する。信号は所与のモジュールによって少なくとも1回処理されるが、例示的な実施例では、信号はモジュール8によって3回処理される。
【0031】
この場合のプロトコルは、たとえば、転送された信号の形状及び/又は形態として理解される。転送された信号は、初期シーケンスの長さ、たとえば、9つの1ビットの形態の9つのビットを有し得る。このシーケンスはデータ・ビットのそれ自体のシーケンスの開始を示す。このシーケンスは異なる長さ及び異なる形態のものであり得、個々のモジュール8は、その場合、モジュール8が処理された信号のビットストリーム中でそれを探索する、モジュール8のメモリに記憶された異なる初期シーケンスを有する。プロトコルはまた、ビットストリームのデータ部の全長を含むことができる。本発明のコンテキストにおいて、プロトコルは、RFIDパッシブ・チップの転送された信号に関するすべての関連情報の概要として理解される。
【0032】
以下の例では、マンチェスター方式によってコーディングされた、周波数変調された信号を送るRFIDチップについて考え、初期ビット・シーケンスが0x1FF(9つの1ビットの並び)として与えられ、コードは32個のデータ・ビットを含むが、この例は本発明の例示的な実施例についての制限を構成しない。RFIDチップ信号はデバイスのアンテナ2によって検出される。ピーク検出器3は、この検出された信号におけるピークを検出し、そのような処理された信号をすべての並列に接続された分岐4に通す。同時に、この信号はすべての分岐4において処理される。分岐4はフィルタ5及びビット・デコーダ6を連続的に備える。信号は、周波数変調された信号をフィルタ処理し、復号するように適応されたフィルタ5及びビット・デコーダ6を備える分岐4においてうまく処理される。異なる変調の信号を処理するように適応された構成要素を備える他の分岐4において、信号はうまく処理されない。特定の分岐4によって処理された後に、信号はさらに計算ユニット7に送られる。計算ユニット7において、信号はすべての個々のモジュール8に同時に送られ、同時に処理される。信号は、モジュール8の設定によって、ビットの初期シーケンス0x1FFと、マンチェスター・タイプ・コーディングと、32ビットのデータ・シーケンスの長さとに対応するモジュール8においてのみうまく処理され、信号は高位計算ユニットに送られる。例示的な実施例では、所与のモジュール8による処理は合計3回繰り返される。
【0033】
開示される方法及びデバイスはアナログ信号処理のみに限定されず、開示される方法及びデバイスはデジタル信号処理にも適用され得る。この例示的な実施例では、すべてのブロックを単一のプロセッサにデジタル的に組み込むことが可能である。したがって、この例示的な実施例によるプロセッサは、組み込まれた数のモジュール8を備え、モジュール8は、受信された信号中でその後探索されるプロトコルを含む。プロトコルは、上記で説明したプロトコルと同様の情報を含むプロトコルを意味する。プロセッサ中に組み込まれたモジュール8は、復調された信号のビットレートを制御するように適応されたタイマー・ユニットをさらに備える。モジュール8自体、又は所与のモジュール8のプロトコルはまた、転送された信号の初期ビット・シーケンスの異なる長さ及び形状に対応する、異なる長さ及び形状のビット・シーケンスを含む。少なくとも1つのモジュール8、又は所与のモジュール8のプロトコルが、この場合、受信された信号に適合する。本発明のこの例示的な実施例における信号処理の方法は上述の信号処理方法に対応する。しかしながら、信号処理の方法は本解決策の保護に関して限定的でない。保護の範囲は特許請求の範囲によって与えられる。
【0034】
例示的な実施例では、デバイス1は、たとえば、オフィスにおける印刷のために設計されたシステムの一部であり得る。あらゆるユーザが、所与のプリンタのアクティブ化のためのRFIDチップを含んでいるカードを有し得るとき、印刷へのアクセスは通常制限される。プリンタは、より多くの企業によって頻繁に共有され、アクセスは数十人の人々に許可され得る。アクセス権をもつすべての人々が、同じプロトコル上で動作するRFIDチップを有することを保証することは厄介であり得る。デバイス1は、すべてのこれらのプロトコルをできる限り速く読み取るように適応されなければならない。この場合、プリンタは、したがってパッシブRFIDチップ(リーダー)の信号の検出のためのデバイス1を備えることができる。この実施例におけるリーダーは、さらに、たとえば、所与のプリンタを使用する人に関するデータと、たとえば、所与のプリンタを使用するためのこれらの人の認証とを記憶するリモート・サーバと通信することが可能である。プリンタを使用するあらゆる人は、プリンタのアクティブ化のために使用されるべき、たとえばポータブル・カード中に、その人自身のRFIDチップを有する。例示的な実施例では、人は、プリンタ・リーダー上にRFIDチップを配置し、パッシブRFIDチップの信号がデバイス1によって処理されるのを待ち、次いで、印刷又は別のアクションが実行される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によるデバイスは、パッシブRFIDチップのリーダーのために、特に、しばしば、異なるタイプ及び特性の信号を用いて動作するリーダーのために使用され得る。デバイスは、特に、RFIDベースで動作する識別カードの提示の後にのみ使用され得る、プリンタの構成要素として使用され得る。
【符号の説明】
【0036】
1 パッシブRFIDチップの信号の検出のためのデバイス
2 アンテナ
3 ピーク検出器
4 分岐
5 フィルタ
6 ビット・デコーダ
7 計算ユニット
8 モジュール
9 高位計算ユニット
図1
図2
図3
図4
図5