IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェネシス・メドテック・ジャパン株式会社の特許一覧

特許7509917光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構
<>
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図1
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図2
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図3
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図4
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図5
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図6
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図7
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図8
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図9
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図10
  • 特許-光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/00 712
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022567931
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2020045793
(87)【国際公開番号】W WO2022123669
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】519301652
【氏名又は名称】ジェネシス・メドテック・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健
(72)【発明者】
【氏名】平 健二
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127510(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024588(WO,A1)
【文献】特開2011-193923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光断層撮影装置に用いられる光プローブ(300)と、該光プローブ(300)を回転させる駆動部(238)とを接続する接続機構(242)であって、
(a) 前記接続機構(242)は、
前記駆動部(238)の末端側に設けられた略円筒形状の雌接続部(600)と、
前記光プローブ(300)の基端側に設けられた略円筒形状の雄接続部(500)を備えており、
(b) 前記雌接続部(600)は、
前記雌接続部(600)の末端において、前記雌接続部(600)の中心軸(616)と同軸に設けられた略円筒形状の基端側回転筒部(612)と、
前記雌接続部(600)の内側に固定されたアダプタ(610)と、
前記雌接続部(600)の内周面に形成された突部(618)を備えており、
(c) 前記雄接続部(500)は、
前記雄接続部(500)の基端において、前記雄接続部(500)の中心軸(512)と同軸に設けられた略円筒形状の末端側回転筒部(523)と、
前記アダプタ(610)に対応するように、前記末端側回転筒部(523)の内側に固定されたコネクタ(532)と、
前記末端側回転筒部(523)の外周面に形成され、前記雄接続部(500)の軸方向(512)に沿って前記末端側回転筒部(523)の基端側の端部から末端側に向けて伸びるガイド部(534)と、
前記末端側回転筒部(523)の基端側において、前記ガイド部(534)と前記中心軸(512)を含む面について対称であり、且つ前記雄接続部(500)の軸方向(512)に沿って基端側に向けて伸びる傾斜端面(536)を備えており、
前記末端側回転筒部(523)は、前記雄接続部(500)の軸(512)周りに回転するように構成されており、
(d) 前記雄接続部(500)の前記末端側回転筒部(523)を前記雌接続部(600)の前記基端側回転筒部(612)に挿入して、前記雄接続部(500)の前記傾斜端面(536)を前記雌接続部(600)の前記突部(618)に当接させた状態で、前記雄接続部(500)を前記雌接続部(600)に向けて移動させることにより前記雄接続部(500)が回転して前記突部(618)が前記ガイド部(534)に挿入されて、前記コネクタ(532)が前記アダプタ(610)に接続されるように構成されていることを特徴とする、接続機構。
【請求項2】
前記末端側回転筒部(523)は、前記雄接続部(500)の軸方向(512)に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の接続機構(242)。
【請求項3】
前記雄接続部(500)は、前記雄接続部(500)の軸方向(512)に沿って伸びる略円筒形状を有し、前記雄接続部(500)と前記コネクタ(532)との間に設けられている弾性部材(530)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続機構(242)。
【請求項4】
光断層撮影装置に用いられる光プローブ(300)と、該光プローブ(300)を回転させる駆動部(238)との接続を保持するロック機構(243)であって、
(a) 前記ロック機構は、前記駆動部(238)の末端側に設けられた略円筒形状を有する雌ロック部(800)と、前記光プローブ(300)の基端側に設けられ、前記雌ロック部(800)の内側に挿入されるように構成された略円筒形状の雄ロック部(700)とを備えており、
(b) 前記雄ロック部(700)は、
前記雄ロック部(700)の外周面に設けられた突起(704)を備えており、
(c) 前記雌ロック部(800)は、
前記雌ロック部(800)の末端において、前記雌ロック部(800)の中心軸(818)と同軸に前記駆動部(238)に固定された略円筒形状の末端側円筒部材(802)と、
前記雌ロック部(800)の基端側において、前記末端側円筒部材(802)に対向するように前記駆動部(238)に固定された略円筒形状の基端側固定部材(804)と、
前記末端側円筒部材(802)と前記基端側固定部材(804)の間に設けられ、前記雌ロック部(800)の軸方向(818)に移動可能な略円筒形状の基端側円筒部材(806)と、
前記基端側円筒部材(806)を末端側に付勢するばね(854)を備えており、
前記末端側円筒部材(802)は、
前記末端側円筒部材(802)の内周面に設けられ、前記雌ロック部(800)の軸方向(818)に沿って前記雌ロック部(800)の基端側に伸びる突起(828)と、
前記突起(828)の円周方向の一端側に設けられ、前記雄ロック部(700)の前記突起(704)が通過する縦溝(826)を備えており、
前記基端側円筒部材(806)は、前記基端側円筒部材(806)の内周面に前記突起(828)に対応する形状を有し、前記突起(828)より大きな円周方向の長さを有する周方向窪み(842)を備えており、
前記周方向窪み(842)は、
前記基端側円筒部材(806)が前記ばね(854)に付勢された状態で前記突起(828)がはまり、前記縦溝(226)を挟んで前記突起(828)の判断側に空所(856)を形成するように構成されており、
(d) 前記雄ロック部(700)の前記突起(704)は、前記雄ロック部(700)を前記雌ロック部(800)の前記末端側円筒部材(802)に挿入するとき、前記末端側円筒部材(802)の前記縦溝(826)を通過して、前記雌ロック部(800)の前記基端側円筒部材(806)に設けられた前記周方向窪み(842)の壁(858)に当たり、この状態でさらに前記ばね(854)の付勢力に対抗して前記基端側円筒部材(806)を前記基端側固定部材(804)に向けて移動した後、前記雄ロック部(700)を回転させることにより、前記周方向窪み(842)の前記空所(856)に移動されるように構成されていることを特徴とする、ロック機構。
【請求項5】
前記基端側円筒部材(806)の内周面(841)は、前記周方向窪み(842)の基端側に該周方向窪み(842)から間隔をあけて設けられている凹面(844)と、前記周方向窪み(842)の一端側において前記周方向窪み(842)と前記凹面(844)を連結する別の縦溝(846)と、前記周方向窪み(842)と前記凹面(844)と前記別の縦溝(846)によって三方が囲まれた周方向壁(848)を備えており、
前記雄ロック部(700)は、外周面において、前記突起(704)から基端側に離れた位置に設けられている別の突起(708)を備えており、
前記雄ロック部(700)の前記突起(704)が前記壁(858)に当たった状態で、前記別の突起(708)は前記基端側円筒部材(806)の前記別の縦溝(846)を通過して前記凹面(844)に位置し、この状態から前記雄ロック部(700)が回転されると、前記突起(704)と前記別の突起(708)の間に前記周方向壁(848)が進入するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織、例えば消化管、膵胆管、卵管、尿道、気管、血管、及びリンパ管を含む種々の生体管状要素の断層画像を撮影するための断層撮影システムは、一般的に、該生体管状要素に挿入される光プローブと、生体管状要素の全周の断層画像を得るために該光プローブを回転させる駆動部を有する断層撮影システム本体を備える。
【0003】
上記光プローブは、断層撮影を行う度、上記断層撮影システム本体に取り付けられる交換部品である。この光プローブは、断層撮影の後、断層撮影システム本体から取り外されて、廃棄される必要がある。このため、光プローブを交換できる接続機構が、例えば特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5139298号
【文献】特許第5150725号
【0005】
上記接続機構は、それぞれ、光プローブと駆動部に設けられている。光プローブの接続機構と駆動部の接続機構は、それぞれ、光ファイバが内部を通過するコネクタを有して、分離できるように構成されている。このコネクタを互いに嵌合することにより、光ファイバが連結して、光プローブと駆動部は接続する。
【0006】
一方、コネクタを正しく嵌合することができなければ、光プローブと駆動部は正しく接続できない。したがって、光プローブの接続機構と駆動部の接続機構は、互いのコネクタを正しい位置に案内するように構成されていることが好ましい。また、駆動部の回転により、光プローブと駆動部の接続が意図せず解除されないように、光プローブと駆動部の接続をロックすることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、光プローブと駆動部を確実に接続する接続機構及びロック機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の実施形態に係る接続機構は、光断層撮影装置に用いられる光プローブと、該光プローブを回転させる駆動部とを接続する接続機構であって、
(a) 前記接続機構は、
前記駆動部の末端側に設けられた略円筒形状の雌接続部と、
前記光プローブの基端側に設けられた略円筒形状の雄接続部を備えており、
(b) 前記雌接続部は、
前記雌接続部の末端において、前記雌接続部の中心軸と同軸に設けられた略円筒形状の基端側回転筒部と、
前記雌接続部の内側に固定されたアダプタと、
前記雌接続部の内周面に形成された突部を備えており、
(c) 前記雄接続部は、
前記雄接続部の基端において、前記雄接続部の中心軸と同軸に設けられた略円筒形状の末端側回転筒部と、
前記アダプタに対応するように、前記末端側回転筒部の内側に固定されたコネクタと、
前記末端側回転筒部の外周面に形成され、前記雄接続部の軸方向に沿って前記末端側回転筒部の基端側の端部から末端側に向けて伸びるガイド部と、
前記末端側回転筒部の基端側において、前記ガイド部と前記中心軸を含む面について対称であり、且つ前記雄接続部の軸方向に沿って基端側に向けて伸びる傾斜端面を備えており、
前記末端側回転筒部は、前記雄接続部の軸周りに回転するように構成されており、
(d) 前記雄接続部の前記末端側回転筒部を前記雌接続部の前記基端側回転筒部に挿入して、前記雄接続部の前記傾斜端面を前記雌接続部の前記突部に当接させた状態で、前記雄接続部を前記雌接続部に向けて移動させることにより前記雄接続部が回転して前記突部が前記ガイド部に挿入されて、前記コネクタが前記アダプタに接続されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の実施形態に係るロック機構は、光断層撮影装置に用いられる光プローブと、該光プローブを回転させる駆動部との接続を保持するロック機構であって、
(a) 前記ロック機構は、前記駆動部の末端側に設けられた略円筒形状を有する雌ロック部と、前記光プローブの基端側に設けられ、前記雌ロック部の内側に挿入されるように構成された略円筒形状の雄ロック部とを備えており、
(b) 前記雄ロック部は、
前記雄ロック部の外周面に設けられた突起を備えており、
(c) 前記雌ロック部は、
前記雌ロック部の末端において、前記雌ロック部の中心軸と同軸に前記駆動部に固定された略円筒形状の末端側円筒部材と、
前記雌ロック部の基端側において、前記末端側円筒部材に対向するように前記駆動部に固定された略円筒形状の基端側固定部材と、
前記末端側円筒部材と前記基端側固定部材の間に設けられ、前記雌ロック部の軸方向に移動可能な略円筒形状の基端側円筒部材と、
前記基端側円筒部材を末端側に付勢するばねを備えており、
前記末端側円筒部材は、
前記末端側円筒部材の内周面に設けられ、前記雌ロック部の軸方向に沿って前記雌ロック部の基端側に伸びる突起と、
前記突起の円周方向の一端側に設けられ、前記雄ロック部の前記突起が通過する縦溝を備えており、
前記基端側円筒部材は、前記基端側円筒部材の内周面に前記突起に対応する形状を有し、前記突起より大きな円周方向の長さを有する周方向窪みを備えており、
前記周方向窪みは、
前記基端側円筒部材が前記ばねに付勢された状態で前記突起がはまり、前記縦溝を挟んで前記突起の判断側に空所を形成するように構成されており、
(d) 前記雄ロック部の前記突起は、前記雄ロック部を前記雌ロック部の前記末端側円筒部材に挿入するとき、前記末端側円筒部材の前記縦溝を通過して、前記雌ロック部の前記基端側円筒部材に設けられた前記周方向窪みの壁に当たり、この状態でさらに前記ばねの付勢力に対抗して前記基端側円筒部材を前記基端側固定部材に向けて移動した後、前記雄ロック部を回転させることにより、前記周方向窪みの前記空所に移動されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、光プローブの雄接続部に設けられているコネクタと駆動部の雌接続部に設けられているアダプタが、それぞれ、正しい位置に確実に案内されることにより、光プローブと駆動部が確実に接続する接続機構を提供する。また、本発明の他の実施形態によれば、光プローブの雄ロック部と駆動部の雌ロック部が、光プローブと駆動部の接続が意図せず解除されないように、光プローブの雄接続部と駆動部の雌接続部の接続をロックするロック機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る光断層撮影装置の概略構成を示す図である。
図2】雄接続部と雄ロック部を示す概略図である。
図3図2に示す雄接続部と雄ロック部の断面図である。
図4】雄接続部と雌接続部の接続を示す概略図である。
図5】雄接続部と雌接続部の接続を示す概略図である。
図6】雄接続部と雌接続部の接続を示す概略図である。
図7】雌ロック部を示す概略図である。
図8】雄ロック部と雌ロック部の嵌合を示す概略図である。
図9】雄ロック部と雌ロック部の嵌合を示す概略図である。
図10】雄ロック部と雌ロック部の嵌合を示す概略図である。
図11】雄ロック部と雌ロック部の嵌合を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に係る光断層撮影装置に用いられる接続機構及びロック機構の実施形態を説明する。
【0013】
[光断層撮影装置]
図1は実施形態に係る波長掃引型光断層撮影装置(SS-OCT:Swept Source Optical Coherence Tomography)100の概要を示す。
【0014】
SS-OCT100は光学部200と信号処理部400を有する。
【0015】
[光学部]
光学部200は複数の光学要素を含む。複数の光学要素は、波長掃引光源210、第1の光カプラ212、第1の光サーキュレータ214、第2の光サーキュレータ216、第2の光カプラ218、生体管状要素撮影部220、光学距離調整部222、及び検出部224を有する。これらの光学要素は、以下に説明するように、関連する要素が光伝達要素、例えば光ファイバで光学的に結合されている。
【0016】
[波長掃引光源]
波長掃引光源210は、生体管状要素の断面を撮影するために必要な光を出力する。波長掃引光源210は、出力する光の波長を周期的に変えることができ、例えば100kHzの周波数で波長を1260nmから1360nmまで掃引するように構成されている。
【0017】
[第1の光カプラ]
第1の光カプラ(分離器)212は、並列に配置された2つの光ファイバの一部を加熱融着させて光学的に結合された部分である。2つの光ファイバのうち、一方の光ファイバは第1の光カプラ212と第1の光サーキュレータ214を光学的に結合し、他方の光ファイバは第1の光カプラ212を介して波長掃引光源210と第2の光サーキュレータ216を光学的に結合している。したがって、波長掃引光源210から出力される光は、第1の光カプラ212によって2つの光に分岐し、分岐した一方の光が第1の光サーキュレータ214に送られ、分岐した他方の光が第2の光サーキュレータ216に送られる。
【0018】
[第1の光サーキュレータ]
第1の光サーキュレータ214は、3ポート光サーキュレータで、第1のポートが第1の光カプラ212に接続され、第2のポートが第2の光カプラ218に接続され、第3のポートが生体管状要素撮影部220に接続されており、波長掃引光源210から第1の光カプラ212を介して第1の光サーキュレータ214に送られた光を生体管状要素撮影部220に送るとともに、生体管状要素撮影部220から返送される光を第2の光カプラ218に送るように構成されている。
【0019】
[第2の光サーキュレータ]
第2のサーキュレータ216は、3ポート光サーキュレータで、第1のポートが第1の光カプラ212に接続され、第2のポートが第2の光カプラ218に接続され、第3のポートが光学距離調整部222に接続されており、波長掃引光源210から第1の光カプラ212を介して第2の光サーキュレータ216に送られた光を光学距離調整部222に送るとともに、光学距離調整部222から返送される光を第2の光カプラ218に送るように構成されている。
【0020】
[第2の光カプラ]
第2の光カプラ218(干渉部)は、一端(基端)が第1の光サーキュレータ214に接続された光ファイバと、一端(基端)が第2の光サーキュレータ216に接続された光ファイバの途中を加熱融着させて光学的に結合された部分で、生体管状要素撮影部220から第1の光サーキュレータ214を介して第2の光カプラ218に送られてくる光(反射光)と、光学距離調整部222から第2の光サーキュレータ216を介して第2の光カプラ218に送られてくる光(参照光)を重ね合わせて干渉光を得る。
【0021】
[生体管状要素撮影部]
生体管状要素撮影部220は、基台226と、該基台226に対して所定の方向(図1において左右方向)に直線的に移動する直動部228を有する。直動部228は、基台226に設けられている直動モータ230に連結されており、直動モータ230の駆動に基づいて、所定の方向に前進又は後退するように構成されている。基台226には、透光性樹脂からなる中空円筒フレキシブルチューブ(以下、「シース」という。)232の基端部が保持具233によって取り外し可能に固定される。図示するように、シース232は、基端が開放されており、末端が閉じられている。
【0022】
直動部228には、基端側コリメーションレンズ234と末端側コリメーションレンズ236が設けられている。基端側コリメーションレンズ234と末端側コリメーションレンズ236は一つの光軸上に一定の間隔をあけて整列されており、基端側コリメーションレンズ234を通過した光は末端側コリメーションレンズ236の光軸上を透過するようにしてある。
【0023】
基端側コリメーションレンズ234は、直動部228に固定されており、光ファイバを介して第1の光サーキュレータ214と光学的に連結されている。
【0024】
末端側コリメーションレンズ236は、直動部228に設けられた回転部(駆動部)238に支持されている。回転部238は、基端側コリメーションレンズ234と末端側コリメーションレンズ236との距離を一定に保った状態で、基端側コリメーションレンズ234と末端側コリメーションレンズ236の光軸を中心に回転自在に直動部228に支持されている。
【0025】
回転部238は、直動部228に固定された回転モータ240に、例えば歯車と歯付ベルトを含む回転伝達機構(図示せず)を介して駆動連結されている。
【0026】
回転部238には、光プローブ300が着脱可能に連結されている。光プローブ300は、光ファイバ310と光学部品312を有する。光学部品312は、光ファイバ310の末端に連結されている。光ファイバ310の基端は、後述する接続機構242及びロック機構243を介して回転部238に着脱可能に連結されており、回転部238の回転と共に光ファイバ310が回転し、末端側コリメーションレンズ236で集められた光が光ファイバ310のコアにその基端から入射されるように構成されている。
【0027】
光ファイバ310の基端から入射された光は、光ファイバ310の末端を介して光学部品312に入る。この光学部品312は末端側に傾斜面314を有する。光学部品312に入射された光は、傾斜面314で反射した後、光ファイバ310と直交する方向に進み、末端側の光学部品312の側面から放射方向に出射される。逆に、末端側の光学部品312の側面から光学部品312に入射された光は、傾斜面314を介して光ファイバ310に入射する。
【0028】
上述のシース232と光プローブ300は、光プローブ300をシース232に挿入した状態で提供される。使用時、光プローブ300の光ファイバ310が接続機構242及びロック機構243を介して回転部238に連結され、シース232の基端部が保持具233によって基台226に固定される。
【0029】
したがって、直動モータ230の駆動に基づいて、基台226に対して直動部228及び光プローブ300が前進後退する。一方、シース232は基台226に保持されている。したがって、直動モータ230の駆動に基づいて、光プローブ300はシース232の中を前進後退する。また、回転モータ240の駆動に基づいて、回転部238が光軸を中心に回転する。このとき、光プローブ300は、回転部238に接続機構242及びロック機構243を介して連結されているため、回転部238と共に回転する。これにより、第1の光サーキュレータ214から撮影部220に送られた光は、基端側コリメーションレンズ234と末端側コリメーションレンズ236を介して光ファイバ310に入射された後、該光ファイバ310から光学部品312を介して放射方向に出射されるとともに、その出射光は光軸を中心とする周方向に一定の速度で走査される。
【0030】
シース232と、シース232に収容される光プローブ300の大きさは、撮影される生体管状要素の大きさによって適宜決定される。シース232内において光プローブ300が安定して回転するように、シース232の内径とそこに収容される光プローブ300の外径は、光学部品312の最大外径よりも例えば約50μm大きくなるように決定される。例えば、光学部品312の最大外径が約200~500μmの場合、シース232の内径は約250~550μmである。
【0031】
[光学距離調整部]
光学距離調整部222は、コリメーションレンズ242と参照ミラー244を有する。コリメーションレンズ242は移動不能に固定されている。参照ミラー244は、コリメーションレンズ242の光軸上に該光軸に垂直な反射面(ミラー面)を有する。参照ミラー244は直動部246に支持されている。直動部246は、コリメーションレンズ242の光軸に沿って移動可能である。直動部246はまた、直動モータ248に連結されており、直動モータ248の駆動に基づいてコリメーションレンズ242に向けて進退し、これによって、参照光の光学距離(光学距離)が調整されるように構成されている。
【0032】
[検出部]
検出部224は、第2の光カプラ218から送られてくる光を受けて光電変換する光学部品、特に2つの光入力部を有するデュアルバランスドディテクタである。デュアルバランスドディテクタは、第2の光カプラ218から送られてくる光(干渉光)を検出する2つのフォトダイオードを有し、これら2つのフォトダイオードが第2の光カプラ218を構成する2つの光ファイバの末端にそれぞれ接続されている。検出部224はまた、2つの光ファイバから入力される光をそれぞれ電気信号に変換した後、これら電気信号に含まれる直流成分を互いに打ち消すことによって、干渉光に基づく電気信号だけを抽出するように構成されている。
【0033】
[信号処理部]
信号処理部400は、制御部410、アナログデジタル(A/D)変換部414、フーリエ変換部416、画像処理部418、画像表示部(モニタ)420を備えている。図面上、A/D変換部414、フーリエ変換部416、画像処理部418は機能ブロックを示しており、物理的な構成である必要はなく、後述する制御部410の記憶ユニットに搭載されるプログラムの一部であってもよい。
【0034】
[制御部]
制御部410は、図示しないが、制御ユニット、演算ユニット、及び記憶ユニットを備えている。記憶ユニットは、後に説明する処理を実行するために必要なプログラム、後に説明する処理の過程で生成される各種データ(例えば画像データ)を一時的に記憶することができる。演算ユニットは、記憶ユニットに記憶されているプログラムに従って、後に説明する処理の過程で実行すべき演算を実行する。
【0035】
図示しないが、制御部410は、光学部200に含まれる種々の機器(波長掃引光源210、回転モータ240、直動モータ230、参照ミラー244の直動モータ248)と通信可能に接続されており、記憶ユニットのプログラムに従って、これらの機器を個々に駆動制御するように構成されている。
【0036】
図示しないが、制御部410は、入力部に接続されており、入力部から入力される信号に基づいて、以下に説明する処理を実行するように構成されている。入力部は、キーボード,ポインティングデバイス,タッチスクリーン,マウス,ジョイスティック,トラックボール,スキャナ,OCR,OMR,音声入力装置,タブレット等のいずれであってもよい。
【0037】
[A/D変換部]
A/D変換部414は、検出部224から出力されるアナログ信号(干渉光に基づく電気信号)をデジタル信号に変換する。
【0038】
[フーリエ変換部]
フーリエ変換部416は、A/D変換部414から出力されるデジタル信号をフーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換、離散フーリエ変換)して、反射光の光学距離と参照光の光学距離の差(光学距離差)に対する干渉光の強度(パワースペクトル)を得る。
【0039】
[画像処理部]
画像処理部418は、生体管状要素とシース232のスペクトル成分を含むパワースペクトルをフーリエ変換部416から受け取り、パワースペクトルにおける生体管状要素とシース232の強度分布に応じて、光プローブ300の回転角度ごとに画像情報を出力する。
【0040】
[画像表示部]
画像表示部420は、一般的なモニタであり、画像処理部418から出力される画像を出力する。
【0041】
[接続機構]
光プローブ300と回転部238を接続する接続機構242は、光プローブ300に設けられている雄接続部500(図2,3参照)と、回転部238に設けられている雌接続部600とを備える(図4参照)。
【0042】
[光プローブ側の雄接続部]
図2,3に雄接続部500を示す。雄接続部500は主軸部510を有する。主軸部510は、中心軸512に沿って伸びる中空円筒状のファイバ保持部514を有する。ファイバ保持部514は、中心軸512に沿って伸びる細長い孔からなる導波路(ファイバ挿入孔)515を有する。導波路515の末端(図3の左側端部)は光ファイバ310の基端部が光学的に結合されている。
【0043】
導波路515の中には、光ファイバ516が軸512を中心に回転可能に且つ軸512に沿って移動可能に収容されている。導波路515の内径は、光ファイバ516の外径とほぼ同じに設計されている。したがって、光ファイバ516から導波路515に出射した光は導波路515を介して光ファイバ310に入射し、光ファイバ310から導波路515に出射した光は光ファイバ516に入射する。このように、導波路515は、末端側の光ファイバ310と基端側の光ファイバ516を光学的に結合する機能を有する。
【0044】
主軸部510は、基端側(図2,3の右側)に向けて突出する2つの円筒部、すなわち、光ファイバ保持部514の基端側を囲むように中心軸512と同心的に配置された内側円筒部518と、内側円筒部518を囲むように中心軸512及び内側円筒部518と同心的に配置された外側円筒部(末端側円筒カバー)520とを有する。外側円筒部520の基端部は、内側円筒部518の基端部よりも基端側に向けて伸びており、その伸長部分に基端側円筒カバー521が同心的に連結されている。基端側円筒カバー521の末端側には小径筒部522が形成されており、この小径筒部522が外側円筒部520の基端に挿入されて、末端側と基端側の円筒カバー520,521が連結されている。
【0045】
光プローブ300側の雄接続部500は、基端側に、中心軸512に沿って伸び、中心軸512と同軸に且つ軸512の周りを回転可能に配置された略円筒形状の末端側回転筒部523を備える。末端側回転筒部523の基端側は開口している。末端側回転筒部523の末端側には、径方向内側に伸びる環状内壁524と径方向外側に伸びる環状外壁(フランジ)528が一体に形成されている。環状内壁524の中央には、軸512を中心とする貫通孔526が形成されている。貫通孔526は、光ファイバ516が通過できる大きさを有する。環状外壁528の外径は、外側円筒部520の内径よりも小さく、かつ、小径筒部522の内径よりも大きい。したがって、末端側回転筒部523は、環状内壁524の末端面が内側円筒部518の基端に当接する後退位置と、環状外壁528の基端面が小径筒部522に当接する前進位置との間を移動できるようになっている。
【0046】
末端側回転筒部523の内側には、環状内壁524に固定された中空円筒形状の弾性部材530と、弾性部材530の基端に固定されているファイバコネクタ532が、中心軸512と同心的に配置されている。
【0047】
弾性部材530は、好ましくは、天然ゴムや、ニトリルゴムなどの合成ゴムから形成される。
【0048】
ファイバコネクタ532は、例えば、光ファイバの接続に利用されるSCコネクタで、光ファイバ516の基端が光学的に接続されている。ファイバコネクタ532の基端部は、後述する雌接続部600のアダプタ(駆動部側アダプタ)610に接続可能な形状と大きさを有する。
【0049】
図3,5に示すように、末端側回転筒部523は、末端側回転筒部523の基端から末端に向かって軸512と平行に伸びる所定長さのガイド部534が形成されている。実施形態において、ガイド部534は、末端側回転筒部523の内周面と外周面を貫通するスロットであるが、末端側回転筒部523の内周面に沿って形成された有底の溝であってもよい。
【0050】
末端側回転筒部523の基端は、軸512と斜めに交差する面に沿った傾斜端面536が形成されている。傾斜端面536の最も末端側に位置する箇所(最深部)がガイド部534に一致しており、傾斜端面536はガイド部534と軸512を含む面に対して対称な形を有する。
【0051】
[回転部側の雌接続部]
図4~6に雌接続部600を示す。雌接続部600は基端側回転筒部612を有する。基端側回転筒部612は、接続機構242の一部を構成しており、回転部238に設けられている末端側コリメーションレンズ236の光軸と同軸に配置され、回転部238と共に回転するように該回転部238に連結されている。基端側回転筒部612はまた、基端側と末端側が開口しており、基端側と末端側の中間に設けた環状壁614の末端側に、コネクタ532に接続可能な形状と大きさのアダプタ610が固定されている。アダプタ610はその中心軸が基端側回転筒部612の中心軸616に一致させてあり、アダプタ610の内部に形成された導光路(図示せず)が、回転部238に設けられている末端側コリメーションレンズ236と光学的に連結されている。
【0052】
基端側回転筒部612は、その内径が光プローブ300側の雄接続部500における末端側回転筒部523の外径とほぼ同じで、雄接続部500と雌接続部600が連結された状態で、末端側回転筒部523に外装できるように構成されている。基端側回転筒部612の内周面には、末端側回転筒部523のガイド部534に対応して、中心軸616の方向に真っ直ぐに伸びる細長い突条618又は円柱状の突起からなる突部が形成されており、基端側回転筒部612の突条618を末端側回転筒部523のガイド部534に挿入することで、末端側回転筒部523に対して基端側回転筒部612が周方向に位置決めされ、コネクタ532とアダプタ610が接続できる状態になる。
【0053】
[ロック機構]
実施形態において、光プローブ300の雄接続部500と回転部238の雌接続部600との接続を保持するロック機構243は、それぞれ、光プローブ300側の雄ロック部700と回転部238側の雌ロック部800を備える(図2,3、7~11参照)。
【0054】
[雄ロック部]
図2,3に示すように、雄ロック部700は、雄接続部500の一部を構成する外側円筒部(末端側円筒カバー)520の基端側に設けられている円筒外周面701と基端側円筒カバー521の円筒外周面702を有する。外周面701と702は、同一の外径を有し、軸512に対して同軸に配置されて、軸方向に連続した円筒外周面703を形成する。
【0055】
外周面701には、外周面701の基端から距離を開けて、中心軸512に対して対称な位置に(周方向に180度隔てて)、径方向外側に突出する一対の円柱状突起704(一方の突起のみ示す。)が形成されている。外周面701の基端には、中心軸512と突起704の中心を含む面に沿って、中心軸512に対して対称な位置に(周方向に180度隔てて)、円筒部520を貫通するスロット705が形成されている。一方、小径筒部522(図3参照)の外周面706には中心軸512の方向に伸びる短い突条707が形成され、外周面702には中心軸512の方向に伸びる別の長い突条708が形成されている。突条707、708は同一直線上に配置されている。突条707の高さは、その先端(径方向外側の端部)がカバー710の外周面702に一致するように決められている。
【0056】
このような構成により、外側円筒部(末端側円筒カバー)520と末端側円筒カバー521は、末端側円筒カバー521の突条707をスロット705に嵌めることによって、周方向に位置合わせされた状態で連結される。上述のように、突条707の高さは、その先端が外周面702に一致するように決められているため、カバー520,521が連結された状態で、外周面701から突条707が突出することはない。また、突起704と突条708の間には、軸512の方向に所定の隙間709(図2参照)が開けられる。
【0057】
[雌ロック部]
図7に雌ロック部800の外観を示す。雌ロック部800は、概略、末端側円筒部材802と、基端側固定部材804と、基端側円筒部材806と、連結機構808と、付勢機構810を有する。
【0058】
末端側円筒部材802は、末端側筒部812と基端側筒部814を一体に有する。末端側筒部812は、末端側筒部812の末端に、外方に突出する環状のフランジ816が一体に形成されている。末端側筒部812は、中心軸818を中心とする大径円筒内面820を有する。基端側筒部814は、中心軸818を中心とする小径円筒内面(図示せず)を有する。小径円筒内面の末端には、内方に突出する環状突部824が形成されている。環状突部824の内径は、末端側円筒カバー520と基端側円筒カバー521の外周面703(図2,3参照)の外径とほぼ同じである。
【0059】
環状突部824は、中心軸818に対して対称に、中心軸818の方向に伸びる一対の縦溝826が形成されている(図面には一方の溝のみ示す。)。縦溝826の深さ(環状突部824の高さに相当する。)と幅は、雄ロック部700の突起704の高さと幅にほぼ等しい。環状突部824は、各縦溝826の片側(末端側から基端側に向かって見たとき、溝826の時計周り方向下流側)に隣接する部分を基端側に突出させて略台形状突起828が形成されている。図示するように、台形状突起828の周方向両側の角部は斜めの直線又は曲線に沿って傾斜している。
【0060】
末端側円筒部材802は、フランジ816の基端側に、周方向に一定の間隔をあけて配置された3つの突部830が形成されている。各突部830には、基端面から末端側に向かって、軸818の方向に伸びる連結孔(図示せず)が形成されている。
【0061】
基端側固定部材804は環状のリング832からなる。リング832は、後述する基端側円筒部材806の外径にほぼ等しい内径の貫通孔834を有する。リング832の末端面には、周方向に一定の間隔をあけて配置された3つの連結ピン836が固定されている。連結ピン836の大きさと配置は、末端側円筒部材802の突部830に形成された連結孔(図示せず)に対応している。したがって、末端側円筒部材802と基端側固定部材804は、3つの連結ピン836を末端側円筒部材802の突部830にはめ込むことによって、末端側円筒部材802の突部830の間に一定の間隔をあけた状態で連結される。
【0062】
基端側円筒部材806は中空円筒体840からなる。中空円筒体840の外径は、末端側円筒部材802における小径円筒内面の内径、及び、末端側固定部材804におけるリング832の貫通孔834の内径とほぼ同じである。したがって、図示するように、基端側円筒部材806は、リング832を貫通して末端側円筒部材802の小径円筒内面に挿入可能である。
【0063】
基端側円筒部材806の内周面841は、末端側円筒部材802における基端側筒部814に形成された環状突部824の内径とほぼ同じ内径を有する。したがって、基端側円筒部材806の末端側を末端側円筒部材802にその基端側から挿入した状態(図7に示す状態)で、基端側円筒部材806の内周面841が環状突部824の内周面と同じ円筒面上に位置する。
【0064】
基端側円筒部材806の内周面841は、その末端側の部分が周方向の所定長さの範囲に亘って削ぎ取られて、周方向窪み842が形成されている。周方向窪み842の周方向長さは末端側円筒部材802の台形状突起828の周方向長さよりも大きい。周方向窪み842の深さ(径方向の寸法)は、縦溝826の深さ(径方向の寸法)とほぼ同じで、台形状突起828の高さ(径方向の寸法)と同じかそれよりも大きい。周方向窪み842の軸方向長さは、台形状突起828の軸方向の長さにほぼ等しい。
【0065】
基端側円筒部材806の内周面841にはまた、周方向窪み842から所定距離だけ基端側に離れた位置から基端側に向かって広がる領域に、周方向に関しては周方向窪み842と同じ幅を有し、軸方向に関しては雄ロック部700における縦長突条708の軸方向長さとほぼ同じ長さを有する窪地又は凹面844が形成されている。凹面844の深さ(径方向の寸法)は、縦溝826の深さ(径方向の寸法)よりも小さい。
【0066】
周方向窪み842と凹面844は、それらの周方向一端部(末端側から基端側に向かって見たとき、周方向窪み842と凹面844の時計周り方向上流側端部)を連結する縦溝846によって連結されており、これら周方向窪み842、凹面844、及び縦溝846によって三方が囲まれた領域に半島状の周方向壁848が形成されている。周方向壁848の軸方向の長さ又は幅は、雄ロック部700における突起と突条との隙間709の軸方向長さに等しい。凹面844と縦溝846の深さは同じで、それは突起708の高さや縦溝826の深さ(共に径方向の寸法)よりも小さい。
【0067】
基端側円筒部材806の外周面には、周方向に一定の間隔をあけて配置された3つの突部850が固定されている。各突部850には、中心軸818の方向に貫通孔852が形成されている。各貫通孔852には、末端側円筒部材802、基端側固定部材804、及び基端側円筒部材806を組み合わせた状態で、基端側固定部材804の連結ピン836が挿通される。連結ピン836の末端部は、突部830の連結孔(図示せず)に嵌め込まれる。また、各連結ピン836にはばね854が配置され、図7に示すように、基端側円筒部材806が基端側固定部材804に対して最も末端側に移動した位置に付勢される。
【0068】
突部830の連結孔と突部850の貫通孔852の位置は、末端側円筒部材802、基端側固定部材804、及び基端側円筒部材806が組み合わされた状態で、ばね854の付勢力によって基端側円筒部材806の末端面が環状突部824の基端面に当接し、末端側円筒部材802の縦溝826と基端側円筒部材806の縦溝846が中心軸方向に一致し、周方向窪み842に台形状突起828が収まるように決められる。上述のように、周方向窪み842の周方向長さは末端側円筒部材802の台形状突起828の周方向長さよりも長いため、組み合わされた状態で、台形状突起828を挟んで縦溝826,846の反対側には、周方向に所定の長さの空所(突起収容室)856が形成される。
【0069】
基端側円筒部材806の外周面にはまた、突部850より基端側において、径方向外側に突出しているリブ857が設けられている。このリブ857は、軸818の方向に沿って伸びており、またリブ857の基端と基端側固定部材804との間の距離が突起704の直径よりも大きくなるように、基端側固定部材804に対して一定の間隔を空けている。
【0070】
このように構成された雌ロック部800は、基端側円筒部材806の内側に雌接続部600の基端側回転筒部612を収容した状態で、基端側固定部材804がボルト等の適当な連結部材を用いて直動部228に固定される。この状態で、雌接続部600の基端側回転筒部612は、直動部228の回転部238に連結されており、回転部238の回転と共に回転可能である。
【0071】
以上の構成において、光プローブ300を撮像部220に接続する場合、雄接続部500の基端を雌接続部600に対向させる。この状態で、光プローブ300側の雄ロック部700が直動部228の雌ロック部800に対向し、光プローブ300側の雄接続部500の末端側回転筒部523が雌接続部600の基端側回転筒部612に対向する。
【0072】
この状態から、光プローブ300側の雄接続部500を雌接続部600に向けて移動する。これにより、ロック機構243では、雄ロック部700における縦長突条708の基端が雌ロック部800の環状突部824の末端面に当たる。この状態から、雄接続部500を回転して縦長突条708を縦溝826に一致させた後、雄ロック部700の円筒外周面703を雌ロック部800の基端側円筒部材806の内周面に押し込んでいく。これにより、ロック機構243では、縦長突条708が縦溝826,846を通過して基端側の凹面844に進入していく。
【0073】
雄接続部500を押し込む過程で、雄接続部500の傾斜端面536が雌接続部600の突条618に当たる。この状態で雄接続部500を雌接続部600に向けて移動すると、傾斜端面536に沿って突条618が相対的に移動することによって末端側回転筒部523が周方向の回転力を受ける。末端側回転筒部523の回転は、突条618が傾斜端面536の最深部に到達した時点で終了し、その状態から更に雄接続部500を基端側に移動すると、突条618がガイド部534に入る。この状態で、コネクタ532がアダプタ610に接続可能な状態で対向する。また、ロック機構243では、突条708の末端部が縦溝846に収まっている。
【0074】
雄接続部500をさらに基端側に押し込むと、ロック機構243の突起704が周方向窪み842の軸方向最深部に入り、基端側の縦溝846の径方向底部と周方向窪み842の径方向底部との間の径方向壁(段差)858(図7参照)に当たる。
【0075】
次に、ばね854の付勢力に抗して雄接続部500をさらに基端側に押し込むと、突起704が壁858を押して、基端側円筒部材806のリブ857の基端が内側円筒部518の基端に当接するまで、基端側円筒部材806を基端側に後退させる。このとき、雄接続部500のコネクタ532は、アダプタ610に当接して、末端側に向けて付勢される。コネクタ532が末端側に向けて付勢されることにより、末端側回転筒部523は、環状内壁524の末端面が内側円筒部518の基端に当接する後退位置まで移動する。
【0076】
このとき、弾性部材530は、コネクタ532がアダプタ610から受ける付勢力に従って収縮する。これにより、コネクタ532が末端側に向けて過剰に移動することを防ぐ。
【0077】
上述により、コネクタ532は、アダプタ610に当接した状態で、末端側に向けて付勢されて、アダプタ610に接続される。
【0078】
次に、雄接続部500を回転(図7において末端側から基端側に見た状態で時計周り方向に回転)すると、突起704が台形状突起828とこれに対向する周方向壁848との間を通し、周方向窪み842の周方向端部に到達する。次に、この状態から雄接続部500に加えている力を解放すると、ばね854の力によって基端側円筒部材806及び突起704が末端側に押し戻される。これにより、突起704は突起収容室856に収まり、光プローブ300は回転部238に接続された状態でロックされる。
【0079】
光プローブ300を回転部238から分離する場合、ばね854の付勢力に抗して雄接続部500を基端側に押し込むことにより、突起704が基端側円筒部材806を基端側に後退させる。次に、この状態を維持しながら、雄接続部500を回転(図7において末端側から基端側に見た状態で反時計周り方向に回転)すると、突起704が台形状突起828とこれに対向する周方向壁848との間を通し、縦溝826,846の間に到達する。次に、この状態から雄接続部500に加えている力を解放すると、ばね854の力によって突起704及び雄接続部500が末端側に押し戻される。
【0080】
突起704が縦溝826,846の間にある状態から、雄接続部500を末端側に移動すると、ガイド部534が末端側に移動して、また末端側回転筒部523は、環状外壁528の基端面が小径筒部522に当接する前進位置に移動することにより、コネクタ532がアダプタ610から離れる。さらに、ロック機構243では縦長突条708が基端側の凹面844から縦溝826,846を通過して末端側に移動する。最終的に、雄ロック部700は雌ロック部800から離れ、また雄接続部500は雌接続部600から離れる。
【符号の説明】
【0081】
238:駆動部(回転部)
242:接続機構
243:ロック機構
300:光プローブ
500:雄接続部
512:中心軸
523:末端側回転筒部
532:コネクタ
534:ガイド部
536:傾斜端面
600:雌接続部
610:アダプタ
612:基端側回転筒部
616:中心軸
618:突部
700:雄ロック部
704:突起
800:雌ロック部
802:末端側円筒部材
804:基端側固定部材
806:基端側円筒部材
818:中心軸
826:縦溝
828:突起
842:周方向窪み
854:ばね
856:空所
858:壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11