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  • 特許-送出システム 図1
  • 特許-送出システム 図2
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  • 特許-送出システム 図4
  • 特許-送出システム 図5A
  • 特許-送出システム 図5B
  • 特許-送出システム 図5C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】送出システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240625BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/60
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022569483
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 GB2021051122
(87)【国際公開番号】W WO2021240129
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】2008120.4
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ピン チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン、トム
(72)【発明者】
【氏名】ライ、サム
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0154789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0113242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0008479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286858(US,A1)
【文献】特開2019-083811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気開口部を含み、内面を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容されたバッテリーと
気体透過性材料から形成され、前記通気開口部上を延び、前記ハウジングの内面と接触する周辺を有する膜と、
前記ハウジング内に取り付けられ、前記膜から間隔を空けられた回路基板と、
前記膜と前記回路基板との間に位置し、前記膜に面した上面を有する膜支持体と、を含み、
前記膜支持体は、当該膜支持体が前記膜に向かって直立するように前記回路基板上に位置しており、前記膜支持体の上面は前記膜の周辺に接触している領域を含む、送出デバイス。
【請求項2】
前記膜は、実質的に液体不透過性の材料から形成されることを特徴とする請求項1記載の送出デバイス。
【請求項3】
前記膜は、0.65μmの範囲の細孔径を有することを特徴とする請求項1または2記載の送出デバイス。
【請求項4】
前記膜の厚さが0.11mm~0.19mmであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項5】
前記膜は7kpaの圧力で1900~2400ml/cm/分の通気能を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項6】
前記膜はハウジングの内面にのり付けされることにより、取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項7】
前記膜支持体の上面は、当該上面と前記膜の間に圧力を逃す隙間を形成するために前記膜に近いが当該膜から間隔が空けられていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項8】
前記膜支持体の上面の領域は、前記ハウジングと接触して位置する前記膜の周辺の少なくとも一部と接触して位置することを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項9】
前記膜支持体は弾性変形可能な材料から作製されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項10】
前記膜支持体は、前記ハウジング内に配置された際に前記回路基板と前記膜の間で変形した体勢をとり、前記膜支持体が前記膜を前記ハウジングに対して押すように当該膜に対して付勢力を加えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項11】
前記回路基板に取り付けられ、前記通気開口部の下に位置するLEDを含み、動作時、当該LEDからの光が前記通気開口部を横断して延びている前記膜を介して見ることができることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項12】
前記膜は、前記LEDからの光を拡散する材料から作製されるまたはそのような材料でコーティングされていることを特徴とする請求項11記載の送出デバイス。
【請求項13】
前記膜支持体は、前記LED上を延びるように配置されており当該膜支持体は、前記回路基板上のLEDが収容される凹部を有することを特徴とする請求項11又は12記載の送出デバイス。
【請求項14】
前記膜支持体は、光を伝達する材料から作製されている、または前記LEDからの光が当該膜支持体を通過できるようにするための開口部を有することを特徴とする請求項11乃至13いずれか1項記載の送出デバイス。
【請求項15】
ヒーターとエアロゾル化可能な基材を含む基材エアロゾル化モジュールを含み、当該基材エアロゾル化モジュールは、制御モジュールからの制御信号に応答して前記基材をエアロゾル化するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の送出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、非燃焼系エアロゾル供給システムまたはエアロゾルを含まない送出システムなどの送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創り出すことによってこれらの物品に変わる送出システムを提供する試みがなされている。このような送出システムの例としては、所謂、基材を熱するが燃やさずに化合物を放出する「非燃焼加熱」製品またはタバコ加熱装置または製品が挙げられる。例えば、タバコ加熱装置は、エアロゾル発生基材を加熱し、この基材は、タバコまたはニコチンを含んでもよいまたは含まなくてもよい非タバコ製品であり、基材を燃やさずに熱することによってエアロゾルを形成するためのものである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様では通気開口部を含むハウジングと、ハウジング内に収容されたバッテリーとを含み、気体透過性材料から形成された膜が通気開口部上を延びている送出デバイスが提供される。
【0004】
膜は実質的に液体不透過性である材料から形成されてもよい。膜は、0.65μmの範囲の細孔径、0.11mm~0.19mmの厚さおよび/または7kpaの圧力で1900~2400ml/cm/分の通気能を有してもよい。
【0005】
膜は、ハウジングの内面に取り付けられてもよく、好ましくはのり付けされる。
【0006】
送出デバイスは、ハウジングに取り付けられ、膜から間隔が空けられた回路基板を含んでもよい。
【0007】
膜支持体を膜と回路基板の間に配置してもよい。
【0008】
膜支持体は、それが膜に向かって直立するように回路基板上に位置してもよく、好ましくは回路基板に取り付けられる。
【0009】
膜支持体は膜に面した上面を有してもよい。
【0010】
膜支持体の上面は、上面と膜の間に圧力除去のための隙間を形成するために膜に接近させてもよいが、膜から間隔が空けられる。
【0011】
膜支持体の上面は、膜と接触して位置する領域を含んでもよい。
【0012】
膜と接触する上面の領域は、ハウジングと接触して位置する膜の外縁の少なくとも一部と接触して位置する。
【0013】
膜支持体は、弾性変形可能な材料から作製できる。
【0014】
膜支持体は、ハウジング内に配置された際に回路基板と膜の間で変形した体勢をとり、膜支持体が膜をハウジングに対して押すように膜に対して付勢力を加えるように構成してもよい。膜支持体は、回路基板と膜の間で効果的に押しつぶされる。
【0015】
LEDを回路基板に取り付け、動作時にLEDからの光が通気開口部を横断して延びている膜を介して見えるように通気開口部の下に配置してもよい。
【0016】
膜は、LEDからの光を拡散する材料から作製されるまたはそのような材料でコーティングされてもよい。
【0017】
膜支持体は、LED上を延びるように配置することができ、膜支持体は、回路基板上のLEDが収容される凹部を有してもよい。
【0018】
膜支持体は、光を伝達する材料から作製されてもよくおよび/または膜支持体は、LEDからの光が膜支持体を通過できるようにするための開口部を有してもよい。
【0019】
送出デバイスは、ヒーターとエアロゾル化可能な基材を含む基材エアロゾル化モジュールを含んでもよく、基材エアロゾル化モジュールは、制御モジュールからの制御信号に応答して基材をエアロゾル化するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
例示的実施態様を以下の略図を参照して例示のみの目的として説明する。
図1】例示的実施態様によるデバイスの略図である。
図2図1に示したデバイスの制御モジュールの分解図である。
図3図1および2の組み立てられた制御モジュールの断面図である。
図4図3の組み立てられた制御モジュールの一部(図でXとして丸で囲まれた)の拡大図である。
図5A】膜支持体の上部斜視図である。
図5B】膜支持体の側部断面図である。
図5C】膜支持体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書中では「送出システム」なる用語はユーザーに少なくとも1つの物質を供給するシステムを包含することを意図し、次のものを含む、電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル発生材の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル発生材を燃焼させずにエアロゾル発生材から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム。
【0022】
本明細書の実施態様は、ハウジングと、ハウジング内に収容されたバッテリーとを含む送出システムを提供する。ハウジングは、通気口を有し、これは気体をハウジングからこの通気口を介して逃がし、これによりバッテリーが例えば損傷した場合にハウジング内に圧力が堆積するのを防ぐ。
【0023】
図1は、例示的実施態様による参照番号1で示す非燃焼系エアロゾル供給デバイスの形体の送出システムの略図である。デバイス1は2つの主要部品2、8を含む。
【0024】
デバイス1の第1の部品2は、バッテリー4および回路基板5を含む制御モジュール3を含む。制御モジュール3は、ハウジング6内に収容され、このハウジングは、制御モジュール3を囲み、装置の外観を形成する。ハウジング6は、管状のスリーブであってもよく、その場合、制御モジュール3は、デバイス1の組み立ての際、開口端部からハウジング6内に挿入され、その後、ハウジング6のその開口端部は、端部キャップ7によって塞がれる。しかしながら、これとは別にハウジング6は、制御モジュール3の周囲で囲いを形成するために互いに取り付けられる複数の部分またはシェルから形成されてもよい。ハウジング6が2つの半部シェルから形成される場合、例えば、制御モジュール3が1つの半部シェル部内に入れられ、その後、もう一方の半部シェル部がその上に置かれ、一方の半部シェル部に取り付けられることにより、ハウジング内に制御モジュール3をカプセル化する。ハウジング6は、好ましくはアルミニウムなどの金属から形成されるが、ハウジング6用に他の材料も利用可能である。
【0025】
デバイス1の第2の部品8はヒーター9および液体容器10を含み、これらは共にエアロゾル発生モジュールを形成する。第1および第2の部品2、8は、モジュラー式であってもよく、即ち第2の部品8は、独自のハウジング12を有し、修理または交換のために第1の部品から分離されてもよい(図1のXが付された接合部で)。解除可能な電気接続によって第1および第2の部品2、8を接合して電力と制御信号がそれらの間で送られるようにすることが可能になる。しかしながら、第1および第2の部品2、8は、デバイス1の分解以外では分離可能でなくてもよい。より具体的には第1および第2の部品2、8は、組み立て作業中に互いに連結され、同じ一体型のハウジング6内に収容されて一体型ユニットを形成してもよい。
【0026】
図1のデバイスの使用時、空気が矢印11で示すようにヒーター9の空気入り口内に引き込まれる。ヒーター9は、制御モジュール3によって制御され、入り込む空気を加熱する。熱せられた空気は、液体容器10へと導かれ、そこでエアロゾルを発生させる。エアロゾルは、矢印Aで示すように空気出口でデバイス1から出て、デバイス1のユーザーの口の中に入る。
【0027】
図2は、第2の部品8が省略された図1に示した制御モジュール3の分解図であり、図3は、組み立てられて、ハウジング6内に収容された図2の制御モジュール3の断面図である。図2の実施態様ではハウジング6は、スリーブの形状であり、制御モジュール3の残りの部品は、ハウジング6内にその一端から挿入される。その後、その端部は、端部キャップ7で塞がれる。
【0028】
図2にそして組み立てられたデバイス1の断面を示す図3にも示すように制御モジュール3は、バッテリー4が収容され、保持されるフレームまたはキャリアー13を含む。回路基板5は、キャリアー13の上面の外側に取り付けられ、キャリアー13およびバッテリー4の1つの主要面4aの外側の両方によって支持されている。絶縁されたスペーサーまたは支持パッド15がバッテリー4の主要面4aと回路基板5の間の互いに重なり合う所に配置されている。支持パッド15は、接着剤であってもよく、回路基板5が接着剤パッド15によってバッテリー4の主要面4aの所定の位置に保持されようにしてもよい。種々の電気回路および制御素子16が回路基板5に装着され、またこれは第2の部品8のエアロゾル発生モジュールへの回路基板5の電気的接続のためのコネクタ17を有する。これらのコネクタ17は、キャリアー13の一端から突出した回路基板5のセクションに位置する。
【0029】
金属または導電プレート18がキャリアー13の下側および回路基板5に対してバッテリー4の反対側のバッテリー4のもう一方の主要面4bに取り付けられる。絶縁パッド19またはスペーサーがバッテリー4のもう一方の主要面4bと金属プレート18の間に位置してもよく、絶縁パッド19またはスペーサーは、金属プレート18がバッテリー4のもう一方の主要面4bの所定の位置に保持されるように接着剤であってもよい。金属プレート18は、バッテリー4と回路基板5上の回路および制御素子16の間の電気的接続を形成している。当然のことながらキャリアー13は、それがバッテリー4を完全に覆わないまたは囲まないという意味で開口している。回路基板5と金属プレート18がキャリアー13に取り付けられ、バッテリー4の主要面4a、4b上を延びていてもバッテリー4は部分的に露出する。これにより通常の使用の結果としてまたは異常によって起こるバッテリー4によって発生する熱または気体をキャリアー13内に捕捉するのではなく、バッテリー4を囲むハウジング6の領域内に逃がすことができる。
【0030】
制御モジュール3は、プレスボタン式オン/オフスイッチ20を含み、これは金属プレート18に取り付けられ、ハウジング6の開口部を介して操作可能である。オンオフスイッチ20をプレスすることでバッテリー4を回路基板5の回路と接続またはそれから解除し、これによりデバイスのオンまたはオフを切り替える、あるいは必要に応じて他の制御機能を実行する。
【0031】
図3および4に最も明確に示すようにバッテリー4およびそれに取り付けられた回路基板5と共にキャリアー13は、回路基板5およびバッテリー4が発する熱または気体が内部的に分散するハウジング6の壁との間に空間「S」が設けられるようにハウジング6内に収容される。回路基板5に取り付けられる電気回路および制御部品16は、この空間を占める。
【0032】
ハウジング6は、組み立てられると密閉されたユニットになるので、気体は、ハウジング6内に集まり、結果として圧力が増大することになる。したがって、通気口22がハウジング6の壁を介して設けられ、全ての気体を逃がし、デバイス1内の呼び圧力または周囲圧力を維持できる。また通気口22は、空気をハウジング6の内外で循環させ全ての温度差を最小にする。
【0033】
空気または他の気体をハウジング6から逃す通気口22は、膜23で覆われ、これは最低必要条件として空気および/または気体を殆どまたは全く抵抗なく通過させるには充分なものである。しかしながら、膜23は防水処理されてもよく、あるいは少なくともある程度の耐水性を有してもよい。例えば、International Electrotechnical Commission(IEC)によって策定されたIPスタンダードを参照すると、デバイス1は、一般に「IP67等級」なるものを有し、これはデバイス1内に浸透する塵や埃に対する抵抗を意味し、膜からその情報が得られる。またこの等級は、デバイス1がデバイス1に水が浸透せずに30分間、1.5メートルまでの深さの真水に沈めることができることを意味し、したがってハウジング6の通気口22を覆う膜23はそのような浸透を妨げることができる必要がある。
【0034】
気体または空気を通過させるために膜23は、7kpaの圧力で1900~2400ml/cm/分の通気能を有して孔径が0.65μm、厚さが0.11mm~0.19mmであることが想定される。これらの要件を満たす1つのそのような材料は、商品番号PUW867でDong Guan PUW EPTFE Material Co., LTD.社製のものがある。
【0035】
膜23は開口部の下でハウジング6に貼り付けられる。特に膜23は、ハウジング6の内側の面に貼り付けられ、それがハウジング6の外面からハウジング6の厚さだけ凹んで触れにくく、よって良好に保護されるようになっている。好ましくは膜23は、通気口22より大きく、したがって開口部を越えて延び、ハウジング6の内面に向いた周辺領域24を有する。永久接着剤からなるリング25が周辺領域24全体に環状のパターンにこの周辺領域24に塗布され、膜23をハウジング6に貼り付け、膜がハウジング6に対して保持され、通気口22を横断して延びるようになっている。
【0036】
隙間またはスペースが回路基板5と膜23の間に存在する。この隙間は比較的小さいので、ハウジング6の通気口22を介して挿入され、膜23に圧力を加えるあらゆる異物または指によって膜23を破裂させるまたは接着剤25を機能させなくし、結果として膜23はハウジング6から外れてしまう。これらの問題を防ぐまたは軽減するために図3および4に最も基本的な形体に示されている膜支持体26を膜23と回路基板5の間に配置してもよい。好ましくは膜支持体26は、回路基板5に取り付けられ、膜23に向かって直立している。
【0037】
膜支持体26を図5A~5Cに詳しく示し、これらの図から膜支持体26は、少なくとも通気口22を横断して延びた膜23の部分の少なくとも下で膜23の下側に向いて、これと接触して位置している上面を有することがわかる。膜支持体26の上面27が膜23と接触して位置している場合、膜支持体は、膜と接触していない領域を有して気体が支持体26の上面27に亘ってそして膜23と通気口を介して通過できる空間が残るようにしてもよい。特に図5AおよびBに示すように膜支持体26は、膜23が載る隆起した領域30を有してもよい。隆起した領域30は、膜23と上面27の間に空間を形成する。この隆起した領域30は通気口22の通気口の一部のみの周囲を延び、気体が上面27と膜23の間で逃げて、通気口22を通過させる。
【0038】
膜支持体26が設けられ、圧力が通気口22を介して膜23に掛かる場合、膜23が殆どまたは全く撓まずに膜支持体26の上面27または領域30に対してプレスされ、よってこれらに支持され、これにより膜23の損傷を防ぐまたは膜23がハウジング6から外れないようにする。
【0039】
膜支持体26は、ゴムなどの変形可能であるまたは弾性を有する材料から作製され、ハウジング6内に配置した際に回路基板5と膜23の間で変形または潰される大きさであってもよい。膜支持体26は、変形したら膜23をハウジング6に対して押す力を膜23に加える、即ちハウジング6にのり付けされた膜23の周辺領域24が膜支持体26によってハウジング6に対して押されるようにある程度の弾性を有する。したがって、膜支持体26も接着剤25に加えて膜23を所定の位置に保持する。一部の実施態様では膜23は膜支持体26だけで所定の位置に保持できることがわかっており、この場合、膜23はハウジング6にのり付けまたは貼り付けられる必要がない。また膜23を膜支持体26にのり付けまたは貼り付けて、次に膜支持体26の変形または弾性によってハウジング6に対して付勢させることも可能である。当然のことながら膜支持体26は、膜支持体26の変形前に力が通気口22を介して膜に加えられると、ある程度の圧力には抗する。
【0040】
特に図4から当然のことながらハウジング6は、一方から他方へと狭くなってもよい。この例では膜支持体26もまた一端で薄くなり、即ちその上面27は、それが膜23およびハウジング壁と平行になるように角度が付けられてもよい。
【0041】
送出デバイス1にとってユーザーがデバイスに電気が入っているかわかるまたはバッテリー4の充電の必要性などの他の機能を伝えるために発光ダイオード(LED)29を備えるのが一般的である。従来のデバイスの大半においてLEDは回路基板5に設けられ、窓がハウジング6に設けられ、それを介してLED29を見ることができ、その中にLED29が配置される。本発明の一部の実施態様では通気口22をLED29が見えるようにする窓として使用され、よって二重機能を供し、これによりハウジング6に設ける必要のある開口部の数を減らすことができる。このために通気口22と回路基板のLED29は、デバイス1が組み立てられた際にそれらが位置合わせされる、即ちLED29が通気口22に下に位置するように配置される。通気口22に下の回路基板5に取り付けられたLED29を図3および4に示す。
【0042】
通気口22もLED29が見える窓を供する場合、膜23は、さらにLED29からの光を拡散する導光部として作用できるようにする特徴を有する。特定の実施態様では膜23は、その気体/空気透過性を有することに加えて導光部としての性能を向上させる拡散フィルムまたは光制御フィルムなどの光学フィルムでコーティングされてもよい。
【0043】
LED29が通気口22の下に位置する場合、異物または指が通気口22を介して挿入され、圧力が膜23に加えられたら、膜23に加えてまたは代わりにLED29が傷つく可能性がある。したがって、LED29がある場合に膜支持体26が設けられていればこれは有利であるが、必須ではない。膜支持体26は、回路基板5上のLED29上を延びてもよく、膜支持体26が回路基板5に取り付けられた際にLED29が収容される脚部32の間に形成された凹部31を有してもよい。膜支持体26は、光がLED29から膜23を介して膜支持体を通過でき、光がハウジング6の外側から見えるように光透過性材料で作製してもよい。さらにまたはこれとは別に、膜支持体26は、LED29の近傍に位置する開口部31を有して、LED29からの光が開口部31を介し、膜23を介して通過し、デバイス1の外側からユーザーに見えるようにしてもよい。
【0044】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C