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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20240625BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240625BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20240625BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B29C45/84
B29C45/76
B29C45/64
B22D17/26 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022578250
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2022001423
(87)【国際公開番号】W WO2022163412
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2021010323
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】南里 耕大
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112752(JP,A)
【文献】特開2016-074130(JP,A)
【文献】特開平10-296818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/84
B29C 45/76
B29C 45/40
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を開閉する型締機構(30)と、前記金型の型開動作の完了以後に前記金型から成形品が取り出されるように前記成形品を突き出す突出機構(34)と、前記型締機構および前記突出機構を覆うカバー(18)と、を有する型締装置(14)の制御装置(50)であって、
前記カバーに設けられる安全扉(20)が開いた状態で前記突出機構による突出動作を許可するモードを有効にするか無効にするか切り替える切替スイッチ(51)と、
前記モードが有効である場合に、基準タイミングから所定の遅延時間が経過した以後に、前記突出機構を駆動する突出用モータ(36)を制御して前記突出動作を開始させる突出用モータ制御部(54)と、
オペレータの操作に応じて、前記遅延時間を設定する設定部(56)と、
を備える制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記基準タイミングは、前記金型の型開動作が完了したタイミングである、制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記基準タイミングは、前記安全扉の開動作が開始したタイミングである、制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記設定部は、前記オペレータに、前記金型の型開動作が完了したタイミングおよび前記安全扉の開動作が開始したタイミングのいずれかを前記基準タイミングとして選択させる、制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記金型の型開動作が完了したときにその旨を通知する通知部(58)を備える、制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記金型の型開動作が完了したタイミング以後に、前記安全扉の開動作が開始されるように前記安全扉を駆動する安全扉用モータ(60)を制御する安全扉用モータ制御部(64)を備える、制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記安全扉用モータ制御部は、前記モードが無効である場合には、前記安全扉用モータの駆動を禁止する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の型締装置には、射出成形機の運転中に成形品を取り出す等の要請に応えるために、例えば特開平06-297534号公報に開示されているような安全扉が備えられている。
【発明の概要】
【0003】
しかし、安全扉が開かれたときに射出成形機の突出動作を停止させると、金型から成形品が未だ突き出ていないために、オペレータが成形品を持ち出すことができない場合がある。また、射出成形機の突出動作が完了した後に安全扉を開けると、金型から突き出た成形品が落下し、オペレータが成形品を持ち出すことができない場合がある。このため、オペレータにとって使い易くして欲しいといった要求があった。
【0004】
そこで、本発明は、オペレータの使い勝手を向上させ得る制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の態様は、
金型を開閉する型締機構と、前記金型の型開動作の完了以後に前記金型から成形品が取り出されるように前記成形品を突き出す突出機構と、前記型締機構および前記突出機構を覆うカバーと、を有する型締装置の制御装置であって、
前記カバーに設けられる安全扉が開いた状態で前記突出機構による突出動作を許可するモードを有効にするか無効にするか切り替える切替スイッチと、
前記モードが有効である場合に、基準タイミングから所定の遅延時間が経過した以後に、前記突出機構を駆動する突出用モータを制御して前記突出動作を開始させる突出用モータ制御部と、
オペレータの操作に応じて、前記遅延時間を設定する設定部と、
を備える。
【0006】
本発明の態様によれば、オペレータは、成形品の取り出しを希望する場合には、安全扉を開けてから成形品を取り出すまでの時間等を考慮して設定部に遅延時間を設定し、モードが有効となるように切替スイッチを切り替えることができる。したがって、オペレータによる任意のタイミングで突出動作を開始させることができ、この結果、オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態による射出成形機の外観を示す概略図である。
図2図2は、射出成形機の一部のブロック図である。
図3図3は、設定画面例を示す図である。
図4図4は、型締装置の動作と、オペレータの動作とを示すタイミングチャートである。
図5図5は、他の設定画面例を示す図である。
図6図6は、安全扉の開動作を自動化する場合を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施の形態〕
図1は、一実施形態による射出成形機10の外観を示す概略図である。射出成形機10は、型締動作、射出動作、保圧動作、計量動作、型開動作および突出動作の一連の動作を1サイクルとして実行することによって成形品を成形する。なお、型締動作は金型の固定片に対して可動片を閉めて、所定の型締力を付与する動作である。射出動作は閉まった状態の金型内に成形材料を射出する動作である。保圧動作は成形材料を圧縮する動作である。また、計量動作は次サイクルの準備として成形材料を計量する動作である。型開動作は金型の固定片に対して可動片を開く動作である。突出動作は開いた状態の金型から成形品が取り出されるように成形品を突き出す動作である。
【0009】
射出成形機10には、機械座標系が定義される。図1では、射出成形機10に対して定義される機械座標系に対応させてXYZ3次元直交座標系が示されている。射出成形機10には、機台12と、型締装置14と、射出装置16とが備えられる。型締装置14および射出装置16は、機台12に搭載される。
【0010】
型締装置14は、型締機構30(図2参照)と、突出機構34(図2参照)と、カバー18と、を有する。型締機構30は、金型を開閉し、閉状態の金型に所定の型締力を付与する機構である。突出機構34は、金型から成形品を突き出す機構である。カバー18は、型締機構30および突出機構34の周囲を覆う。図1の例では、カバー18は、-X方向と+Y方向と±Z方向とにおいて型締機構30および突出機構34を覆っている。カバー18には、型締装置14の+Z側に位置する開口が設けられる。カバー18には、当該開口を開閉する安全扉20が設けられる。
【0011】
安全扉20は、+X方向と-X方向に横移動可能である。安全扉20は、可動範囲の+X側端部で停止してカバー18の開口を閉鎖し、金型へのオペレータのアクセスを防止する。安全扉20は、可動範囲の+X側端部から-X方向に移動してカバー18の開口を開放し、金型へのオペレータのアクセスを可能にする。
【0012】
安全扉20の+X側には、安全扉20に隣接する固定盤カバー22が配置される。固定盤カバー22の正面には、操作盤24が取り付けられる。操作盤24は、型締装置14および射出装置16の動作に関する条件等の情報を入力するための入力装置である。
【0013】
射出装置16は、成形材料を射出する射出機構と、射出機構の周囲を覆うカバー26とを有する。図1の例では、カバー26は、+X方向と+Y方向の一部と±Z方向とにおいて射出機構を覆っている。カバー26には、射出装置16の+Z側に位置する開口が設けられる。カバー26には、当該開口を開閉する安全扉28が設けられる。
【0014】
安全扉28は、-X方向と+X方向とに横移動可能である。安全扉28は、可動範囲の-X側端部で停止してカバー26の開口を閉鎖し、射出機構のノズル、シリンダ等へのオペレータのアクセスを防止する。安全扉28は、可動範囲の-X側端部から+X方向に移動してカバー26の開口を開放し、ノズル、シリンダ等へのオペレータのアクセスを可能にする。
【0015】
図2は、射出成形機10の一部のブロック図である。射出成形機10の型締装置14は、型締機構30を駆動する型締用モータ32と、突出機構34を駆動する突出用モータ36と、安全扉センサ38と、を有する。安全扉センサ38は、-X方向に移動する安全扉20(図1)の開動作を検知する。型締用モータ32には型締用エンコーダ40が設けられ、突出用モータ36には突出用エンコーダ42が設けられる。
【0016】
射出成形機10には、型締装置14を制御する制御装置50が備えられる。制御装置50は、切替スイッチ51と、型締用モータ制御部52と、突出用モータ制御部54と、設定部56と、通知部58と、を有する。
【0017】
切替スイッチ51は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードを有効にするか無効にするか切り替えるスイッチである。切替スイッチ51は、例えば操作盤24等の操作に応じて切り替えられる。切替スイッチ51は、押しボタンであってもよいし、表示画面に表示される表示ボタンであってもよい。切替スイッチ51は、オン状態(またはオフ状態)の場合には、モード有効信号を出力する。モード有効信号は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効であることを示す。逆に、切替スイッチ51は、オフ状態(またはオン状態)の場合には、モード無効信号を出力する。モード無効信号は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが無効であることを示す。
【0018】
型締用モータ制御部52は、型締用エンコーダ40から出力される位置信号に基づいて型締用モータ32をフィードバック制御し、型締機構30に型締動作または型開動作を実行させる。なお、型締用モータ制御部52は、型締用モータ32の動作中に、安全扉センサ38が安全扉20の開動作を検知した場合、型締用モータ32の動作を停止させる。
【0019】
突出用モータ制御部54は、突出用エンコーダ42から出力される位置信号に基づいて突出用モータ36をフィードバック制御し、突出機構34に突出動作を実行させる。ここで、切替スイッチ51から出力されるモード無効信号を突出用モータ制御部54が受けている場合、突出用モータ制御部54は、型開動作中または型開動作の完了以後に突出動作を開始させる。すなわち、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが無効である場合、突出用モータ制御部54は、型開動作中または型開動作の完了以後に突出動作を開始させる。この場合、突出用モータ制御部54は、安全扉センサ38が安全扉20の開動作を検知すると、突出動作を停止させる。
【0020】
逆に、切替スイッチ51から出力されるモード有効信号を突出用モータ制御部54が受けている場合、突出用モータ制御部54は、基準タイミングから所定の遅延時間が経過した以後に、突出動作を開始させる。すなわち、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効である場合、突出用モータ制御部54は、基準タイミングから所定の遅延時間が経過した以後に、突出動作を開始させる。この場合、突出用モータ制御部54は、安全扉センサ38が安全扉20の開動作を検知しても、突出動作を停止させることなく継続させる。なお、基準タイミングは、金型に対しての型開動作が完了したタイミング、または、安全扉20の開動作が開始したタイミングであり、これらのタイミングのいずれかがデフォルトとして設定される。
【0021】
設定部56は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効である場合に、当該突出動作を突出用モータ制御部54が開始させる際の遅延時間を設定する。遅延時間は、基準タイミングから、突出用モータ制御部54によって突出動作が開始されるタイミングまでの時間である。設定部56は、オペレータの操作に応じて、基準タイミングからの遅延時間を設定する。
【0022】
設定部56は、例えば操作盤24に設けられるモニタに、設定画面IM(図3参照)を表示させる。設定画面IMの表示タイミングは、例えば、操作盤24を介して設定要求が入力されたタイミングである。また、設定画面IMの表示タイミングは、例えば、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが無効状態から有効状態に切り替わるタイミングである。
【0023】
設定画面IMには、遅延時間を入力するための入力部P1が設けられる。入力部P1には、突出動作を開始する基準タイミングからの遅延時間として開始遅延タイマが設定される。図3では、入力部P1に「0.5」を入力した例が示される。この場合、突出用モータ制御部54は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効である場合には、基準タイミングから0.5秒を経過した以後に突出動作を開始させる。
【0024】
通知部58は、金型の型開動作が完了したときに、型開動作が完了したことを通知する。通知部58は、表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つを制御することで、型開動作が完了したことを通知する。なお、表示部、スピーカおよび発光部の少なくとも1つは、射出成形機10に備えられてもよいし、射出成形機10の外部の装置に備えられていてもよい。
【0025】
図4は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効である場合の型締装置14の動作とオペレータの動作とを示すタイミングチャートである。なお、本実施形態では、突出動作を開始させる基準タイミングからの遅延時間は、既に設定部56によって設定されている場合について説明する。
【0026】
ステップS1において、型締用モータ制御部52は、型締機構30に型締動作を実行させる。型締動作が完了すると、制御装置50はステップS2に遷移する。
【0027】
ステップS2において、型締用モータ制御部52は、型締機構30に型開動作を実行させる。型開動作が完了すると、制御装置50はステップS3に遷移する。
【0028】
ステップS3において、通知部58は、型開動作が完了したことを通知する。また、突出用モータ制御部54は、型開動作が完了したときから時間を計測する。計測した時間が設定部56で設定された遅延時間を経過すると、制御装置50はステップS4に遷移する。
【0029】
ステップS4において、突出用モータ制御部54は、突出機構34に突出動作を開始させ、突出動作が完了すると、安全扉20が閉じるまで待機する。
【0030】
一方、オペレータは、通知部58の通知により型開動作が完了したことを認識すると、安全扉20を任意の期間だけ開ける(ステップS11)。その後、オペレータは、開いた安全扉20を通じて成形品を手で取り出す(ステップS12)。
【0031】
ここで、突出動作を開始するまでの遅延時間が短い場合、例えば、オペレータが安全扉20を開けて成形品を手に取る前に、突出動作に応じて突出された成形品が既に金型から落下してしまっているという問題が生じ得る。一方、射出成形機10の動作中に安全扉20を開ける行為は、安全性の観点から好ましい状態ではなく、また、突出動作を開始するまでの遅延時間が長いと、成形品の生産効率が低下する。
【0032】
そこで、本実施形態の型締装置14は、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効であるか無効であるかを切替スイッチ51で切り替える。また、本実施形態の型締装置14は、モードが有効である場合には、設定部56で設定された基準タイミングからの遅延時間を経過した以後に、突出動作を突出機構34に開始させる。これにより、オペレータは、成形品の取り出しを希望する場合には、安全扉20を開けてから成形品を取り出すまでの時間等を考慮して設定部56に遅延時間を設定し、モードが有効となるように切替スイッチ51を切り替えることができる。したがって、オペレータによる任意のタイミングで突出動作を開始させることができ、この結果、オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【0033】
〔変形例〕
上記の実施形態は、下記のように変更されてもよい。
【0034】
(変形例1)
設定部56は、オペレータに、金型の型開動作が完了したタイミングおよび安全扉20の開動作が開始したタイミングのいずれかを基準タイミングとして選択させてもよい。
【0035】
設定部56は、操作盤24に設けられるモニタに、設定画面IM(図5参照)を表示させる。設定画面IMの表示タイミングは、上記実施形態と同様に、操作盤24を介して設定要求が入力されたタイミングであってもよい。また、設定画面IMの表示タイミングは、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが無効状態から有効状態に切り替わるタイミングであってもよい。
【0036】
設定画面IMには、遅延時間を入力するための入力部P1に加えて、遅延時間の計測を開始するタイミングを入力するための入力部P2が新たに設けられる。入力部P2は、設定画面IMにプルダウン形式で表示され、金型の型開動作が完了したタイミングと、安全扉20の開動作が開始したタイミングとのいずれかを基準タイミングとして選択し得る。
【0037】
なお、図5では、安全扉20の開動作が開始したタイミングを基準タイミングとし、開動作が開始してからの遅延時間を0.5秒とする例が示される。この場合、突出用モータ制御部54は、安全扉センサ38が安全扉20の開動作を検知してから0.5秒を経過した以後に、突出動作を突出機構34に開始させる。
【0038】
このように本変形例では、型締装置14を運用するオペレータが任意に選択した基準タイミングを起点として、当該オペレータが任意に入力した遅延時間後に突出動作を開始させることができる。この結果、オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【0039】
(変形例2)
図6は、安全扉20の開動作を自動化する場合を示すブロック図である。図6では、上記実施形態と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0040】
本変形例では、型締装置14は、安全扉20を駆動する安全扉用モータ60をさらに有する。安全扉用モータ60には安全扉用エンコーダ62が設けられる。また、本変形例では、制御装置50は、安全扉用モータ60を制御する安全扉用モータ制御部64をさらに有する。
【0041】
安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが無効である場合、安全扉用モータ制御部64は、安全扉用モータ60の駆動を禁止する。これにより、オペレータの手動による安全扉20の開動作を防ぎ、安全性を確保することができる。
【0042】
一方、安全扉20が開いた状態で突出動作を許可するモードが有効である場合、安全扉用モータ制御部64は、金型の型開動作が完了したタイミング以後に、安全扉用モータ60の駆動を許可する。この場合、安全扉用モータ制御部64は、安全扉用エンコーダ62から出力される位置信号に基づいて安全扉用モータ60をフィードバック制御して、安全扉20に開動作を実行させる。開動作が完了すると、安全扉用モータ制御部64は、安全扉用モータ60をフィードバック制御して安全扉20に閉動作を実行させる。これにより、オペレータは、安全扉20を手動で開けることなく、成形品を取り出すことができる。
【0043】
なお、安全扉用モータ制御部64は、型開動作が完了したタイミング以後の規定期間だけ安全扉20が開くように、安全扉20に開動作および閉動作を実行させてもよい。また、安全扉20が開く規定時間を設定部56で設定してもよい。
【0044】
本変形例では、制御装置50に通知部58が備えられていない(図6参照)。通知部58が備えられていなくても、オペレータは、型締動作を監視することで、型締動作が完了したことを認識することができる。一方、本変形例による制御装置50に通知部58が備えられてもよい。通知部58が備えられる場合、オペレータは、実施形態と同様に、型締動作を監視することなく型締動作の完了を認識することができる。
【0045】
(変形例3)
上記実施形態、変形例1および変形例2は矛盾しない範囲内で任意に組み合わせてもよい。
【0046】
以上の記載から把握しうる発明を以下に記載する。
【0047】
本発明は、金型を開閉する型締機構(30)と、金型の型開動作の完了以後に金型から成形品が取り出されるように成形品を突き出す突出機構(34)と、型締機構および突出機構を覆うカバー(18)と、を有する型締装置(14)の制御装置(50)であって、カバーに設けられる安全扉(20)が開いた状態で突出機構による突出動作を許可するモードを有効にするか無効にするか切り替える切替スイッチ(51)と、モードが有効である場合に、基準タイミングから所定の遅延時間が経過した以後に、突出機構を駆動する突出用モータ(36)を制御して突出動作を開始させる突出用モータ制御部(54)と、オペレータの操作に応じて、遅延時間を設定する設定部(56)と、を備える。
【0048】
これにより、オペレータは、成形品の取り出しを希望する場合には、安全扉を開けてから成形品を取り出すまでの時間等を考慮して設定部に遅延時間を設定し、モードが有効となるように切替スイッチを切り替えることができる。したがって、オペレータによる任意のタイミングで突出動作を開始させることができ、この結果、オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【0049】
基準タイミングは、金型の型開動作が完了したタイミングであってもよい。これにより、型開動作が完了してからオペレータによる任意のタイミングで突出動作を開始させることができる。
【0050】
基準タイミングは、安全扉の開動作が開始したタイミングであってもよい。これにより、安全扉の開動作が開始してからオペレータによる任意のタイミングで突出動作を開始させることができる。
【0051】
設定部は、オペレータに、金型の型開動作が完了したタイミングおよび安全扉の開動作が開始したタイミングのいずれかを基準タイミングとして選択させてもよい。これにより、型締装置を運用するオペレータが任意に選択した基準タイミングを起点として、当該オペレータが任意に入力した遅延時間後に突出動作を開始させることができる。この結果、オペレータの使い勝手を向上させることができる。
【0052】
制御装置は、金型の型開動作が完了したときにその旨を通知する通知部(58)を備えてもよい。これにより、オペレータは、型締動作を監視することなく、型締動作の完了を認識することができる。
【0053】
制御装置は、金型の型開動作が完了したタイミング以後に、安全扉の開動作が開始されるように安全扉を駆動する安全扉用モータ(60)を制御する安全扉用モータ制御部(64)を備えてもよい。これにより、オペレータは、安全扉を手動で開けることなく成形品を取り出すことができる。
【0054】
安全扉用モータ制御部は、モードが無効である場合には、安全扉用モータの駆動を禁止してもよい。これにより、オペレータの手動による安全扉の開動作を防ぎ、安全性を確保することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6