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特許7509951レベル判定装置、レベル判定方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】レベル判定装置、レベル判定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/04 20060101AFI20240625BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240625BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240625BHJP
【FI】
G09B7/04
G09B19/00 H
G06Q50/20 300
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023070809
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506142716
【氏名又は名称】株式会社Z会
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳
(72)【発明者】
【氏名】上田 倫也
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-113892(JP,A)
【文献】特開2017-134184(JP,A)
【文献】特開2017-097139(JP,A)
【文献】特開2005-070465(JP,A)
【文献】特開2004-117947(JP,A)
【文献】特開2001-166680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの所定の単元における学力を表す初期レベルに基づく確率分布に対応する問題を前記ユーザに出題する出題部と、
前記ユーザから前記問題に対する解答を取得して前記解答の正誤を判定する正誤判定部と、
前記解答が正解であった場合に対応する問題における正解者の集団における学力分布を前記確率分布に重ね合わせ、前記解答が不正解であった場合に対応する問題における不正解者の集団における学力分布を前記確率分布に重ね合わせることにより前記確率分布を補正して判定レベルを生成する判定レベル生成部を含む
レベル判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレベル判定装置であって、
前記出題部は、
前記判定レベルに対応する問題を前記ユーザに出題する処理を実行し、
前記正誤判定部は、
前記ユーザから前記問題に対する解答を取得して前記解答の正誤を判定する処理を実行し、
前記判定レベル生成部は、
前記解答が正解であった場合に前記判定レベルに正解者の集団における学力分布を、前記解答が不正解であった場合に前記判定レベルに不正解者の集団における学力分布を重ね合わせることにより前記判定レベルを補正して新たな判定レベルを生成する処理を実行し、
前記出題部、前記正誤判定部、前記判定レベル生成部は、予め定めた条件を満たすまで前記処理を繰り返し実行する
レベル判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレベル判定装置であって、
前記初期レベルを取得して、前記初期レベルを判定した時点から現在までの時間経過に応じて前記初期レベルを補正して、前記学力の確率分布である補正レベルを生成する補正レベル生成部を含み、
前記出題部は、
前記補正レベルに対応する問題を前記ユーザに出題し、
前記判定レベル生成部は、
前記補正レベルに何れかの学力分布を重ね合わせることにより判定レベルを生成する
レベル判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレベル判定装置であって、
前記所定の単元は複数の節に分解されており、前記複数の節のそれぞれは、前記初期レベルの何れかに対応しており、前記ユーザの前記複数の節のそれぞれにおける理解度に基づいて対応する前記初期レベルを生成する初期レベル生成部を含む
レベル判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレベル判定装置であって、
前記初期レベルのそれぞれには1つまたは複数の節が重複せずに割り当てられており、
前記初期レベル生成部は、
前記複数の節のうち理解度が所定の割合に達している節の割合に応じて対応する初期レベルを生成する
レベル判定装置。
【請求項6】
レベル判定装置が実行するレベル判定方法であって、
ユーザの所定の単元における学力を表す初期レベルに基づく確率分布に対応する問題を前記ユーザに出題するステップと、
前記ユーザから前記問題に対する解答を取得して前記解答の正誤を判定するステップと、
前記解答が正解であった場合に対応する問題における正解者の集団における学力分布を前記確率分布に重ね合わせ、前記解答が不正解であった場合に対応する問題における不正解者の集団における学力分布を前記確率分布に重ね合わせることにより前記確率分布を補正して判定レベルを生成するステップを含む
レベル判定方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から5の何れかに記載のレベル判定装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はユーザの学力を表すレベルを判定するレベル判定装置、レベル判定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のテストでは、コンピュータを活用したアダプティブ・テスティング(CAT, Computerized Adaptive Testing)が活用されている(例えば非特許文献1)。CATは、ユーザの解答に応じて理解度を測定し、測定した理解度に応じて次の出題を決定する。その結果、少ない問題数でユーザの理解度を測定することができ、試験時間の短縮とユーザの負担軽減を実現できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社教育測定研究所、“変わるテストの形態”、[online]、株式会社教育測定研究所、[令和5年3月31日検索]、インターネット〈 URL:https://www.jiem.co.jp/concept/pop_keitai.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のCATの方式では、試験開始時点ではユーザの先行解答データがないため、ユーザの理解度に応じて1問目を出題することができず、試験時間の短縮とユーザの負担軽減が不十分であった。
【0005】
そこで本開示では、試験時間を短縮し、ユーザの負担を軽減することができるレベル判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のレベル判定装置は、出題部と、正誤判定部と、判定レベル生成部を含む。
【0007】
出題部は、ユーザの所定の単元における学力を表す初期レベルに基づく確率分布に対応する問題をユーザに出題する。正誤判定部は、ユーザから問題に対する解答を取得して解答の正誤を判定する。判定レベル生成部は、解答が正解であった場合に対応する問題における正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせ、解答が不正解であった場合に対応する問題における不正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせることにより確率分布を補正して判定レベルを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のレベル判定装置によれば、試験時間を短縮し、ユーザの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のレベル判定装置の機能構成を示すブロック図。
図2】実施例1のレベル判定装置の動作を示すフローチャート。
図3】単元と節の関係を例示する図。
図4】節ごとの理解度に基づいて初期レベルを生成する手順を例示する図。
図5】初期レベルが1つの値として取得または生成される場合を例示する図。
図6】初期レベルが確率分布として取得または生成される場合を例示する図。
図7】1つの値である初期レベルを時間経過に応じて補正した例1を示す図。
図8】1つの値である初期レベルを時間経過に応じて補正した例2を示す図。
図9】確率分布である初期レベルを時間経過に応じて補正した例3を示す図。
図10】補正レベルに正解者の学力分布を重ね合わせて判定レベルを生成する例を示す図。
図11】補正レベルに不正解者の学力分布を重ね合わせて判定レベルを生成する例を示す図。
図12】コンピュータの機能構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、図1を参照して実施例1のレベル判定装置の機能構成を説明する。同図に示すように本実施例のレベル判定装置1は、初期レベル記憶部1Aと、問題データベース1Bと、初期レベル生成部11と、補正レベル生成部12と、出題部13と、正誤判定部14と、判定レベル生成部15を備える。
【0012】
以下、各記憶部に記憶されるデータの内容を説明する。
【0013】
≪初期レベル記憶部1A≫
初期レベル記憶部1Aは、ユーザの所定の単元における学力を表す初期レベルを記憶している。本実施例において初期レベルは1~5の5段階で表されるものとする。なお本実施例のレベル判定装置1は何らかの方法で初期レベルを用いることができればよいため、初期レベル記憶部1Aから初期レベルを取得してもよいし、後述する初期レベル生成部11により初期レベルを生成してもよい。従って本実施例のレベル判定装置1は、初期レベル記憶部1Aと初期レベル生成部11のうち、いずれか一方の構成要件を備えればよく、他方の構成要件は省略できる。
【0014】
≪問題データベース1B≫
問題データベース1Bにはユーザに出題する問題の問題ID、問題文、その問題に設定されている問題レベル、答え(論述問題などの場合は模範解答)、その問題の正解者の学力分布、その問題の不正解者の学力分布などが紐付けられて記憶されている。以下に問題データベース1Bに記憶されるデータを表で示す。
【表1】
以下、図2を参照して各構成要件の動作を説明する。
【0015】
≪初期レベル生成部11≫
初期レベル生成部11は何らかの方法で初期レベルを生成する(S11)。例えば、図3に示すように、所定の単元が複数の節に分解されている場合について述べる。同図の例では、中学数学の単元である「正の数・負の数の計算」の学習内容を1-10節に区分している。典型的には、節番号が小さくなるほど初歩的な内容が収録される。また、節番号が大きくなるほど応用的な内容かつ同単元の小さな節番号の学習内容の理解度が高くなければ理解することが難しい内容が収録される。同図では、数学の例を示したが、例えば国語、英語、理科、歴史など他の教科の場合であっても学習内容を単元、節に区分して定義することが可能である。
【0016】
各ユーザは、節ごとの演習問題の正誤、節ごとの提出物の提出状況、節ごとの通信教育の受講状況などを基準にして、節ごとに0-100%の理解度を獲得する。図4の例では、該当のユーザは節1、2に対して理解度100%、節3に対して理解度90%、節4に対して理解度80%、節5に対して理解度60%、…といった具合に理解度を獲得している。
【0017】
複数の節のそれぞれは、初期レベルの何れかに対応させておく。同図の例では初期レベル1-5のそれぞれには1つまたは複数の節が重複せずに割り当てられている。より詳細には、初期レベル1に1節が割り当てられ、初期レベル2に2-5節が割り当てられ、初期レベル3に6-7節が割り当てられ、初期レベル4に8-9節が割り当てられ、初期レベル5に10節が割り当てられている。
【0018】
この場合、初期レベル生成部11は、ユーザの複数の節のそれぞれにおける理解度に基づいて対応する初期レベルを生成する(S11)。より詳細には、初期レベル生成部11は、複数の節のうち理解度が所定の割合に達している節の割合に応じて対応する初期レベルを生成する(S11)。同図の例では、所定の割合=70%とした。同図の例では、初期レベル1に対応する節1において理解度は100%であるため、初期レベル1における所定の割合(70%)に達した節の割合は1/1=100%である。初期レベル2に対応する節2-5においては節5を除いて理解度は70%以上であるため、初期レベル2における所定の割合(70%)に達した節の割合は3/4=75%である。初期レベル3に対応する節6-7においては節6のみ理解度が70%以上であるため、初期レベル3における所定の割合(70%)に達した節の割合は1/2=50%である。初期レベル4、5に対応する節8-10において理解度が70%以上に達した節はないため、初期レベル4、5における所定の割合(70%)に達した節の割合は0%である。
【0019】
このように生成した初期レベル毎の所定の理解度以上に達した節の割合を累積確率分布と捉え、この累積確率分布を変換することにより、確率分布を生成することができる。同図の例では、初期レベル1=25%、初期レベル2=25%、初期レベル3=50%の確率分布を取得することができる。この確率分布は、該当するユーザにおいて、この単元における初期レベルが1である可能性が25%、2である可能性が25%、3である可能性が50%であることを示している。なお初期レベルは図4に示すように確率分布として与えられることが必須ではなく、1つの値として与えられてもよい。例えば、図4の確率分布の最大値のみを採用すれば図5に示すように初期レベル=3(100%)となる。また図4の確率分布全体をそのまま利用するのであれば、初期レベルは図6に示す結果となる。
【0020】
≪補正レベル生成部12≫
補正レベル生成部12は、初期レベルを取得して、初期レベルを判定した時点から現在までの時間経過に応じて初期レベルを補正して、学力の確率分布である補正レベルを生成する(S12)。
【0021】
例えば、補正レベル生成部12は、図5に表すように初期レベル=3であった場合に、この初期レベルを判定した時点から現在までの時間経過に応じて初期レベルを補正し、例えば図7図8に示すように正規分布として確率分布を生成する。正規分布の分散値により、ユーザが時間経過に伴って該当する単元について成長により学力が上がっている可能性と、忘却により学力が下がっている可能性のいずれも加味することができる。初期レベル生成時からの経過時間が短ければ成長、忘却による効果も少なく、補正レベルは初期レベルの状態に近い確率分布になると考えられるため分散を小さくすればよい(例えば図7)。初期レベル生成時からの経過時間が長ければ成長、忘却による効果が大きいと見積もられるため、分散を大きくすればよい(例えば図8)。
【0022】
また、図6に例示したように初期レベルが1つの値ではなく確率分布として取得、生成されている場合には、図9に示すように、確率分布の各初期レベルの値に対応して成長・忘却の効果を加えた正規分布(同図実線のグラフ)を生成し、これらの正規分布の重ね合わせ(同図長破線のグラフ)によって補正レベルを生成してもよい。
【0023】
図7-9では正規分布を用いた補正レベルの生成例を述べたが、正規分布はあくまで一例であり、正規分布に限定する必要はない。例えばt分布、F分布、二項分布、カイ二乗分布、ポアソン分布、ガンマ分布などが利用可能である。正規分布は左右対称形であるが、F分布などの左右非対称な分布が好適となるケースもありうる。
【0024】
≪出題部13≫
出題部13は、補正レベルに対応する問題をユーザに出題する(S13)。例えば、出題部13は、補正レベル(確率分布)においてピークとなっているレベルに対応する問題レベルの問題を問題データベース1Bから検索する。出題部13は、検索した問題をユーザの端末に送信する。または出題部13は、検索した問題をレベル判定装置1に接続したディスプレイなどに表示する。ユーザは、ユーザの端末が受信した問題に対して、ユーザの端末に入力することによって解答する。あるいはユーザは、レベル判定装置1に接続したディスプレイに表示されている問題に対し、レベル判定装置1に入力することによって解答する。
【0025】
なお出題部13は、後述する収束判定を経ずに、補正レベルに対応する複数の問題をユーザにいちどきに出題してもよい。
【0026】
≪正誤判定部14≫
正誤判定部14は、ユーザ(ユーザの端末)から問題に対する解答を取得して解答の正誤を判定する(S14)。例えば正誤判定部14は、ユーザからの問題に対する解答と、問題データベース1Bに記憶されている答えとを比較して、解答の正誤を判定すればよい。
【0027】
出題部13が複数の問題をいちどきに出題した場合には、正誤判定部14も解答の数だけ正誤判定を実行する。
【0028】
≪判定レベル生成部15≫
判定レベル生成部15は、補正レベルに正解者/不正解者の何れかの学力分布を重ね合わせることにより判定レベルを生成する(S15)。
【0029】
より詳細には、判定レベル生成部15は、解答が正解であった場合に対応する問題における正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせ、解答が不正解であった場合に対応する問題における不正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせることにより確率分布を補正して判定レベルを生成する(S15)。前述したように正解者/不正解者の集団における学力分布は問題データベース1Bに予め記憶されている。
【0030】
例えば図10に示すように、レベル3をピークとする補正レベル(実線のグラフ)に基づいて問題レベル3に相当する問題aが出題され、問題aに対するユーザの解答が正解であった場合、問題aの正解者の学力分布(破線のグラフ)を補正レベルに重ね合わせることにより判定レベル(一点鎖線のグラフ)を生成することができる。同図の補正レベル(実線のグラフ)と同図の判定レベル(一点鎖線のグラフ)を比較すると、ピーク位置、分布全体が右方向にシフトしていることが分かる。
【0031】
また、例えば図11に示すように前述と同様の補正レベル(実線のグラフ)に基づいて問題レベル3に相当する問題bが出題され、問題bに対するユーザの解答が不正解であった場合、問題bの不正解者の学力分布(破線のグラフ)を補正レベルに重ね合わせることにより判定レベル(一点鎖線のグラフ)を生成することができる。同図の補正レベル(実線のグラフ)と同図の判定レベル(一点鎖線のグラフ)を比較すると、ピーク位置、分布全体が左方向にシフトしていることが分かる。
【0032】
なお後述する収束判定を実行しない場合、判定レベル生成部15は任意のタイミングで判定レベルを出力できる。出題部13が複数の問題をいちどきに出題した場合には、判定レベル生成部15も正解、不正解の数だけ学力分布の重ね合わせを繰り返し実行して判定レベルを生成する。この場合、判定レベル生成部15は後述の収束判定を行わずに判定レベルを確定して出力してもよい。前述したように出力される判定レベルは確率分布そのものであってもよいし、確率分布のピーク値、平均値等であってもよい。
【0033】
≪繰り返し処理、収束判定≫
以下、収束判定を実行する場合の処理について述べる。この処理の前に前述した補正レベルに基づく出題、正誤判定、判定レベルの生成(S13-S15)が少なくとも1回以上実行済みであるものとする。
【0034】
出題部13は、生成された判定レベルに対応する問題をユーザに出題する処理を実行する。正誤判定部14は、ユーザから問題に対する解答を取得して解答の正誤を判定する処理を実行する。判定レベル生成部15は、解答が正解であった場合に判定レベルに正解者の集団における学力分布を、解答が不正解であった場合に判定レベルに不正解者の集団における学力分布を重ね合わせることにより判定レベルを補正して新たな判定レベルを生成する処理を実行する。
【0035】
出題部13、正誤判定部14、判定レベル生成部15は、予め定めた条件を満たすまで上述の処理を繰り返し実行する。予め定めた条件とは、例えば判定レベルのピークの確率値が所定の閾値以上となる場合と定めてもよいし、判定レベルの分散が所定の閾値以下となる場合と定めてもよい。また、出題部13が出題した問題の数が所定の閾値となる場合や出題部13が最初に出題してから経過した時間が所定の閾値を超える場合と定めてもよい。
【0036】
本実施例のレベル判定装置1によれば、初期レベルを補正した確率分布に基づいてCATのための最初の出題が実行されるため、試験時間を短縮し、ユーザの負担を軽減することができる。また、正解者、不正解者の学力分布を重ね合わせるため、判定レベルを高精度に生成できる。繰り返し処理を実行する場合は、予め定めた収束条件に達するまで判定レベルを更新し続けるため、最終的に生成される判定レベルの精度を高めることができる。
【0037】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0038】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0039】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0041】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0042】
上述の各種の処理は、図12に示すコンピュータの記録部10020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部10010、入力部10030、出力部10040などに動作させることで実施できる。
【0043】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electrically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0044】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0045】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0046】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【要約】
【課題】試験時間を短縮し、ユーザの負担を軽減することができるレベル判定装置を提供する。
【解決手段】ユーザの所定の単元における学力を表す初期レベルに基づく確率分布に対応する問題をユーザに出題する出題部と、ユーザから問題に対する解答を取得して解答の正誤を判定する正誤判定部と、解答が正解であった場合に対応する問題における正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせ、解答が不正解であった場合に対応する問題における不正解者の集団における学力分布を確率分布に重ね合わせることにより確率分布を補正して判定レベルを生成する判定レベル生成部を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12