(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023089003
(22)【出願日】2023-05-30
【審査請求日】2023-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 佑一
(72)【発明者】
【氏名】宮首 夏実
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 仁美
(72)【発明者】
【氏名】浅井 太一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 絢子
(72)【発明者】
【氏名】白石 藤也
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-306794(JP,A)
【文献】特開2007-316285(JP,A)
【文献】特開2018-067112(JP,A)
【文献】特開2000-222486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の働いている人である対象者のそれぞれに対応付けられた複数の第3特徴から得られたスコアと、予め設定された評価基準とに基づいて、前記複数の対象者を少なくとも第1グループと前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループとに分類し、
前記第1グループおよび
前記第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴である属性と、予め設定された分類基準とに基づいて、
前記対象者を前記特定グループの種類のそれぞれと前記属性のそれぞれとの組み合わせである複数のグループに分類する分類部と、
前記属性が共通する、前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴
の指標同士を比較して、前記第2特徴
の指標が異なる前記種別の前記第2特徴を特定する処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1特徴の種別と前記第2特徴の種別とは異なり、
前記処理部は、
前記対象者の前記複数の種別のそれぞれに対応する第2特徴
の指標を参照して、共通する種別の第2特徴
の指標同士を比較して、前記第1グループの対象者の
指標と、前記第2グループの対象者の
指標との乖離が閾値以上の前記
指標の種別を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分類部は、前記第3特徴である前記対象者のスキル、前記対象者の価値観、および前記対象者の稼働状況を用いて前記分類を行う、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記特定された種別とアドバイスとが対応付けられたアドバイス情報とを参照して、前記特定の結果に対応する前記第2グループの対象者に提供するアドバイスを特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分類部は、前記第1特徴である前記対象者の職種、仕事の経験度、および役職を用いて前記分類を行う、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の種別ごとの第2特徴は、コミュニケーションツールを利用した他の者とのコミュニケーションの度合を示す指標を含み、
前記処理部は、
前記第1グループの対象者の前記コミュニケーションの度合を示す指標と、前記第2グループの対象者の前記コミュニケーションの度合を示す指標との乖離が閾値以上である場合、前記コミュニケーションツールを利用したコミュニケーションを前記異なる種別として特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記コミュニケーションツールを利用したコミュニケーションを前記異なる種別として特定した場合、
前記異なる種別とアドバイスとが対応付けられたアドバイス情報とを参照して、前記特定の結果に対応する前記第2グループの対象者に提供するアドバイスを特定し、
前記アドバイスは、前記コミュニケーション量を向上させることのアドバイスである、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記複数の種別ごとの第2特徴は、生産性を示す指標またはストレスに関する指標である特定指標を含み、
前記処理部は、
前記第1グループの対象者の前記特定指標と、前記第2グループの対象者の前記特定指標との乖離が閾値以上である場合、前記特定指標の種別を前記異なる種別として特定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記対象者を管理する管理部門のスタッフの端末装置の表示部に処理結果に関する情報を表示させる、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
複数の働いている人である対象者のそれぞれに対応付けられた複数の第3特徴から得られたスコアと、予め設定された評価基準とに基づいて、前記複数の対象者を少なくとも第1グループと前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループとに分類し、
前記第1グループおよび
前記第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴である属性と、予め設定された分類基準とに基づいて、
前記対象者を前記特定グループの種類のそれぞれと前記属性のそれぞれとの組み合わせである複数のグループに分類し、
前記属性が共通する、前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴
の指標同士を比較して、前記第2特徴
の指標が異なる前記種別の前記第2特徴を特定する、
情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の働いている人である対象者のそれぞれに対応付けられた複数の第3特徴から得られたスコアと、予め設定された評価基準とに基づいて、前記複数の対象者を少なくとも第1グループと前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループとに分類させ、
前記第1グループおよび
前記第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴である属性と、予め設定された分類基準とに基づいて、
前記対象者を前記特定グループの種類のそれぞれと前記属性のそれぞれとの組み合わせである複数のグループに分類させ、
前記属性が共通する、前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴
の指標同士を比較して、前記第2特徴
の指標が異なる前記種別の前記第2特徴を特定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、従業員の人事労務情報を管理するデータベースと、前記従業員に対して仕事に関する質問項目を送信する質問送信部と、前記従業員から前記質問項目に関する回答を受信する回答受信部と、前記回答に基づいて前記従業員のエンゲージメントを算出する指標算出部と、前記エンゲージメントと前記データベースに含まれる前記人事労務情報との関係性を分析する分析部と、前記従業員の属する組織のカテゴリごとに、エンゲージメントの高い、若しくは低い他の組織における人事労務情報の特徴を記憶する対応策記憶部と、前記組織のカテゴリに合致する前記人事労務情報の特徴を前記対応策記憶部から読み出し、前記従業員の属する組織の管理者に提示する対応策提示部と、を備えることを特徴とする人事管理システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、有益な情報を特定することができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、有益な情報を特定することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1グループおよび前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴と、予め設定された分類基準とに基づいて、対象者を複数のグループに分類する分類部と、前記分類部により分類された所定のグループに属し且つ前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記所定のグループに属し且つ前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴同士を比較して、前記第2特徴が異なる前記種別を特定する処理部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、有益な情報を特定することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図3】第1分類部120により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】社員に提供される設問票の一例を示す図である。
【
図5】第1分類部120により生成されるザ第1スコア情報210の一例を示す図である。
【
図6】第1分類部120により生成される第1分類情報220の一例を示す図である。
【
図7】第2分類部130により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】モデル情報240を利用した処理の概念図である。
【
図10】第2分類情報250の一例を示す図である。
【
図11】処理部140により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2スコア情報260の内容の一例を示す図である。
【
図15】アドバイス取得部150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】アドバイス情報290の一例を示す図である。
【
図17】情報処理装置100による処理の効果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[概要]
情報処理装置が、第1グループおよび第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴(例えば職種や仕事の経験度、役職など)と、予め設定された分類基準とに基づいて、対象者を複数のグループに分類する。
【0010】
情報処理装置は、分類された所定のグループに属し且つ第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記所定のグループに属し且つ第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴同士を比較して、第2特徴が異なる前記種別を特定する。具体的には、情報処理装置は、対象者の複数の種別のそれぞれに対応する第2特徴であるスコアを参照して、共通する種別の第2特徴であるスコア同士を比較して、第1グループの対象者のスコアと、第2グループの対象者のスコアとの乖離が閾値以上のスコアの種別を特定する。
【0011】
上記の第1グループの対象者は、ハイパフォーマーであり、上記の第2グループの対象者は、ハイパフォーマー予備群である。ハイパフォーマーとは、高いスキルと高いマインドで組織に貢献する対象者(社員)である。
【0012】
上記の処理により、ハイパフォーマーまたはハイパフォーマー予備群と、複数のグループのいずれかのグループとの組み合わせに社員が分類される。そして、情報処理装置100は、所定のグループに属するハイパフォーマーと、前記所定のグループに属するハイパフォーマー予備群との間でスコアが閾値以上乖離している種別(評価項目)を特定する。これにより、情報処理装置100は、ハイパフォーマーと、ハイパフォーマー予備群とにおけるアクションやマインドなどの相違を特定することができる。すなわち、有益な情報を特定することができる。上記の相違の特定によって、例えば、組織や事業成長にとって重要な人財を判断し、見極めるための有益な情報、成長の余地のある人材を特定し、人材育成に用いることのできる有益な情報を得ることができる。
【0013】
[情報処理システム]
図1は、情報処理システム1の構成の一例を示す図である。 情報処理システム1は、例えば、対象者端末装置10と、管理者端末装置20と、情報処理装置100とを備える。これらは、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0014】
[対象者端末装置]
対象者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置や、パーソナルコンピュータである。パーソナルコンピュータは、デスクトップパソコンであってもよし、ノートパソコンであってもよい。対象者は、例えば、情報処理システム1を利用する企業や機関、団体などの従業員である。以下の説明では、対象者は、社員であるものとする。
【0015】
[管理者端末装置]
管理者端末装置20も、同様に、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置や、パーソナルコンピュータである。情報処理システム1を利用する企業や機関、団体などの従業員や管理者などであって、例えば、人事部門などの管理部門の従業員である。管理者端末装置20の表示部には、情報処理装置100から提供された情報処理装置100の処理結果の情報が表示される。
【0016】
[情報処理装置]
情報処理装置100は、例えば、対象者をグループに分類し、分類結果を利用して、評価の高い対象者の特徴と、他の対象者の特徴とを分析して、複数の項目の特徴のうち差異が大きい特徴を特定する。例えば、このように差異が大きい特徴が特定されると、管理者や、情報処理装置100は、この情報を用いて、他の対象者が評価の高い対象者に近づくようにアドバイスを行うことができる。
【0017】
図2は、情報処理装置100の構成図である。情報処理装置100は、例えば、通信部110と、第1分類部120と、第2分類部130と、処理部140と、アドバイス取得部150と、記憶部200とを備える。通信部110および記憶部200以外の構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0018】
記憶部200は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部200は、情報処理装置100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。
【0019】
記憶部200には、第1スコア情報210や、第1分類情報220、属性情報230、モデル情報240、第2分類情報250、第2スコア情報260、集計情報270、比較情報280、アドバイス情報290などの情報が格納される。これらの情報の詳細については後述する。
【0020】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0021】
第1分類部120、第2分類部130、処理部140、およびアドバイス取得部150の概要について説明し、詳細は後述する。第1分類部120は、複数の対象者のそれぞれに対応付けられた特徴(第3特徴)から得られたスコアと、予め設定された評価基準とに基づいて、複数の対象者を少なくとも第1グループと第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループとに分類する。
【0022】
第2分類部130は、第1グループおよび第2グループの対象者の特徴(第1特徴)と、予め設定された分類基準とに基づいて、対象者を複数のグループに分類する。
【0023】
処理部140は、第2分類部130により分類された所定のグループに属し且つ第1グループの対象者の複数の種別ごとの特徴(第2特徴)と、前記所定のグループに属し且つ第2グループの対象者の複数の種別ごとの特徴(第2特徴)とのうち、共通する種別の特徴同士を比較して、特徴が異なる種別を特定する。処理部140と、アドバイス取得部150とを合わせた機能項は「処理部」の一例である。
【0024】
アドバイス取得部150は、上記の特定された種別とアドバイスとが対応付けられたアドバイス情報290とを参照して、特定された種別に対応する第2グループの対象者に提供するアドバイスを特定する。更に、アドバイス取得部150は、特定したアドバイスを対象者に提供する。例えば、アドバイス取得部150は、特定したアドバイスを対象者端末装置10に提供する。
【0025】
[第1分類部の処理]
図3は、第1分類部120により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば、所定の間隔で繰り返し実行される(後述する
図7、
図11、
図15についても同様である)。
【0026】
まず、第1分類部120は、記憶部200に記憶された社員情報(不図示)を参照して、所定の社員を一人抽出する(S100)。社員情報は、複数の社員の情報を含む。社員の情報は、氏名やメールアドレス、所属部署、役職、後述する設問に対する回答の情報など本実施形態の処理に必要な種々の情報を含む。所定の社員は、処理対象と設定されている社員である。
【0027】
次に、第1分類部120は、抽出した社員の設問に対する回答を収集する(S102)。次に、第1分類部120は、3つのそれぞれの項目に対するスコアを導出する(S104)。次に、第1分類部120は、導出したスコアに基づく統合スコアに基づいて、対象の社員をグループに分類する(S106)。次に、第1分類部120は、分類対象の社員をすべて分類したか否かを判定する(S108)。すべて分類していない場合、S100の処理の戻り、すべて分類した場合、本フローチャートの処理が終了する。
【0028】
図4は、社員に提供される設問票の一例を示す図である。情報処理装置100は、本処理の前に、上記の設問票を対象者端末装置10に提供している。社員は、この設問票に対する回答を、対象者端末装置10を操作して回答し、回答結果を情報処理装置100に提供している。
【0029】
設問票には、少なくとも3つのカテゴリの設問が含まれる。例えば、仕事に関するスキルに関する設問、仕事に対するマインド(心構え、熱意などの価値観)に関する質問、仕事の稼働日(休暇の取得状況や休職の情報など)に関する質問を含む。
【0030】
図5は、第1分類部120により生成される第1スコア情報210の一例を示す図である。第1分類部120は、上述した設問に対する回答結果に基づいて第1スコア情報210を生成する。第1分類部120は、例えば、スキルスコア、マインドスコア、および稼働日スコアを導出する。第1分類部120は、例えば、設問に対する回答のパターンとスコアとが対応付けられた情報を参照してスコアを導出する。第1分類部120は、3つのスコアを統計処理して統合した統合スコアを導出する。3つのスコアは「第3特徴から得られたスコア」の一例である。
【0031】
スキルスコアは、スキルの発揮度合や、スキルに対する周りからの評価などを示す指標である。マインドスコアは、5つの指針の理解度と体現度とに基づく指標である。5つの指針は、例えば、以下の指針である。
(1)「常にプロダクトやチームを信じて、世界一の企業になることを目指し成長を楽しむ。」
(2)「圧倒的なスピードで成果を上げ、ユーザや組織に貢献する。」
(3)「コミュニケーションを大切にし、仲間のダイバーシティを尊重する。また決定事項はワンチームで取り組む。」
(4)「プロフェッショナルとして妥協せず、誠実に自ら機会や新しい価値を創り続け、最後までやり抜く。」
(5)「本質的な目的や価値を求めて行動する。その為には常にリスクテイク、チャレンジを繰り返す。」
稼働日スコアは、対人関係や体調などの良好度合を示す指標である。
【0032】
上記の統合スコアまたは各スコアは、学習済モデルによって導出されてもよい。学習済モデルは、例えば、学習データが学習されたモデルである。学習データは、例えば、回答と、スコアとが対応付けられた情報である。学習済モデルは、設問に対する回答を入力すると、回答に対応するスコアを出力するように学習された学習済モデルである。また、設問に対する回答以外からスコアが導出されてもよい。例えば、予め記憶部200に記憶されている上述したスキルや、マインド、稼働日などの情報に基づいてスコアが導出されてもよい。
【0033】
図6は、第1分類部120により生成される第1分類情報220の一例を示す図である。第1分類部120は、導出した統合スコアと、閾値(評価基準)とに基づいて、社員をハイパフォーマーのグループ、ハイパフォーマー予備群のグループ、またはそれ以外のグループに分類する。第1分類部120は、例えば、スコアTh1以上の社員をハイパフォーマーのグループに分類する。第1分類部120は、例えば、スコアTh1未満、且つスコアTh2以上の社員をハイパフォーマー予備群のグループに分類する。第1分類部120は、分類結果に基づいて第1分類情報220を生成する。
【0034】
なお、上記のハイパフォーマーまたはハイパフォーマー予備群との分類は、学習済モデルが利用されてもよい。学習済モデルは、例えば、学習データが学習されたモデルである。学習データは、例えば、設問に対する回答(またはスコア)と、分類結果とが対応付けられた情報である。学習済モデルは、設問に対する回答(またはスコア)を入力すると、回答に対応する分類結果を出力するように学習された学習済モデルである。
【0035】
また、上述した分類に用いた項目は一例であり、他の項目が利用されてもよいし、一部が省略されてもよい。例えば、パフォーマーマンスを測定または評価する他の項目が利用されてもよい。
【0036】
上記のように、第1分類部120は、社員の設問に対する回答に基づくスコアに基づいて、社員をハイパフォーマーのグループと、ハイパフォーマー予備群のグループとに分類する。
【0037】
[第2分類部の処理]
図7は、第2分類部130により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理は、対象の社員のそれぞれに対して実行される。
【0038】
まず、第2分類部130は、属性情報230から社員の属性を特定する(S200)。
図8は、属性情報230の一例を示す図である。属性情報230は、例えば、社員の識別情報に対して、社員の属性に関する情報(第1特徴)が対応付けられた情報である。社員の属性に関する情報は、例えば、社員の職種や、仕事(職種)の経験年数、勤務年数、役職などである。
【0039】
次に、第2分類部130は、特定した社員の属性をモデル情報240に入力して(S202)、モデル情報240が出力したグループの情報を取得する(S204)。これにより、社員の属性に応じたグループが特定される。
【0040】
図9は、モデル情報240を利用した処理の概念図である。例えば、モデル情報240に、職種や経験年数、勤務年数、役職などの属性を示す情報(例えばベクトル)が入力されると、モデル情報240は、属性に応じたグループの情報を出力する。モデル情報240は、学習データが学習されたモデルである。学習データは、グループの情報(正解データ)と、社員の属性とが互いに対応付けられた情報である。モデル情報240は、社員の属性が入力されると、属性に対応付けられたグループの情報を出力するように学習されたモデルである。モデル情報240の内部の処理は、予め設定された分類基準に基づいて対象者を複数のグループに分類する処理の一例である。
【0041】
なお、モデル情報240に代えて、他の手法によってグループは特定されてもよい。第2分類部130は、例えば、予め用意された属性のパターンと、グループとが対応付けられた情報(分類基準)を参照して、属性に応じたグループを特定してもよい。
【0042】
図7の説明に戻る。次に、第2分類部130は、第1分類部120の分類結果と、S204のグループとに基づいて、社員をグループに分類する(S206)。
図10は、S206の分類結果である第2分類情報250の一例を示す図である。第2分類情報250は、ハイパフォーマーのグループとハイパフォーマー予備群のグループとを、更にS206で特定されたグループに分類した結果を示す情報である。これにより、各社員が、ハイパフォーマーのグループとハイパフォーマー予備群のグループとのうちいずれに属するかと、属性に応じたグループのうちどのグループに属するかが特定される。
【0043】
上記のように、第2分類部130は、社員がハイパフォーマーのグループとハイパフォーマー予備群のグループとのいずれかに属するか(パフォーマーの種別)に加え、更に社員の属性に応じたグループを特定することができる。
【0044】
また、上述した分類に用いた項目(属性)は一例であり、他の項目(属性)が利用されてもよいし、一部が省略されてもよい。例えば、パフォーマンスとは異なる観点(ユーザのパーソナリティや属性、行動)でユーザを分類するために利用可能なユーザの特徴である属性や行動を示す情報が利用されてもよい。
【0045】
[処理部の処理]
図11は、処理部140により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。処理部140は、第2スコア情報260を参照して、パフォーマーの種別およびグループごとにスコアを集約し(S300)、集約結果に基づいて各項目のスコアを導出する(S302)。
図12は、第2スコア情報260の内容の一例を示す図である。第2スコア情報260は、社員の識別情報に対して、社員の属性に対応するグループや、パフォーマーの種別、生産性のスコア、ストレスチェックのスコア、コミュニケーションツールの利用スコアなどが対応付けられた情報である。
【0046】
生産性のスコアは、当該社員の単位稼働時間当たりの実績(売上や成果)に基づくスコアである。ストレスチェックのスコアは、ストレスの大きさを示すスコアである。コミュニケーションツールの利用スコアは、コミュニケーションツールの利用度合を示すスコアである。例えば、コミュニケーションツールの利用度合が高いほど、コミュニケーション量が大きい。これらのスコアは、当該社員とは異なる社員からの評価や、社員に紐づく各種情報、アンケートに対する回答などから導出されたスコアである。
【0047】
コミュニケーションツールの利用度合を示すスコアは、例えば、コミュニケーションツール(メールやメッセージを送受信するアプリ)のログ情報に基づいて得られたスコアである。処理部140は、例えば、ログ情報を解析し、メッセージの送信回数や、受信回数、頻度、メッセージの文字数などの着目対象から得られた指標に基づいて、スコアを導出する。例えば、着目対象の数が多いほど、高いスコアが導出される。
【0048】
また、コミュニケーションツールの利用度合を示すスコアは、コミュニケーションツールにおける当該社員からの投稿や発信などの量、当該社員のコミュニケーションの多様性を示す度合、コミュニケーションにおける媒介利用度合などの特徴量がスコアの導出に利用されてもよい。例えば、これらの度合が高いほど高いスコアが導出される。上記の投稿や発信などの量とは、当該社員からの投稿や発信などの回数や頻度、投稿や発信における情報量(例えば文字数)などである。多様性を示す度合は、他部署や社外など多様な人とのコミュニケーションの度合である。媒介利用度合は、コミュニケーションにおいてチームや関連部署における上長や部下を媒介したコミュニケーションを行っている度合である。例えば、このような特徴量を利用することで、ハイパフォーマー予備群に対して、例えば、以下のようなコミュニケーションに関するアドバイス(詳細後述)を行うことができる。例えば、「もう少し多様な人とのコミュニケーションを行うこと」や、「部下や上長を媒介した投稿の回数を増加させること」などである。
【0049】
図13は、S300の集約結果に基づく各項目のスコアを示す集計情報270の一例を示す図である。集計情報270は、ハイパフォーマーの社員を更に属性に応じたグループに分類してスコアを項目(種別)ごとに集約した情報と、ハイパフォーマー予備群の社員を更に属性に応じたグループに分類してスコアを項目ごとに集約した情報とを含む。例えば、属性のグループA、B、C・・・が存在する場合、例えば、ハイパフォーマーに属し、且つグループAに属するユーザのスコアが集約され、例えば、ハイパフォーマー予備群に属し、且つグループAに属するユーザのスコアを集約される。他の属性のグループについても同様である。
【0050】
更に、処理部140は、上記の集約結果の分類ごとの共通する項目のスコアを統計処理して、各項目の統合スコア(
図13の破線の丸印)を導出する。これにより、ハイパフォーマーのグループごとの各項目のスコアと、ハイパフォーマー予備群のグループごとの各項目のスコアとが導出される。
図13に示すように、例えば、統計処理して得られた生産性スコアの統合スコア、ストレスチェックスコアの総合スコア、およびコミュニケーションツールの利用スコアの統合スコアが集計情報270には含まれている。これらの統合スコアは「第2特徴」の一例である。
【0051】
図11の説明に戻る。次に、処理部140は、集計情報270を用いて比較情報280を生成し(S304)、生成した比較情報280を参照して、所定のグループ且つハイパフォーマーのグループのスコアと、所定のグループ且つハイパフォーマー予備群のグループのスコアとのうち、共通する項目(種別)のスコア同士を比較して、スコアが閾値以上乖離する項目を特定する(S306)。
図14は、比較情報280の一例を示す図である。比較情報280は、例えば、属性が同じグループを、ハイパフォーマーのグループと、ハイパフォーマー予備群のグループとに分け、それぞれに対し各項目の統合スコアを付与した情報である。
【0052】
処理部140は、比較情報280において、同じ項目の統合スコア同士を比較し、スコアが閾値以上乖離している項目を特定する。例えば、
図14では、コミュニケーションツールの利用スコアが閾値以上乖離しているため、処理部140は、この項目をスコアが閾値以上乖離している項目として特定する。
【0053】
上記のように処理部140は、属性に対応するグループが同じであり、パフォーマーの種別が異なるグループにおいて、閾値以上スコアが乖離している項目を特定することができる。
【0054】
なお、上記の例では、同じグループに属するハイパフォーマーとハイパフォーマー予備群との間で差異がある特徴を、スコアを用いて特定するものとしたが、これに代えて(または加えて)、生産性や、ストレス、コミュニケーションツールの利用などの項目に対する対象者のアクションや考え方を示す文字情報を利用して特徴に差異があるかが判断されてもよい。例えば、情報処理装置100は、Word2vecなどの文字情報を意味情報に変換する手法を利用して、文字情報を意味情報に変換して、意味情報間で差異が大きい場合(ベクトル間の距離が離れている場合)、特徴に差異があると判断してもよい。また、設問に対する回答の結果のパターンの差異の度合に基づいて、特徴に差異があるかが判断されてもよい。
【0055】
[アドバイス取得部の処理]
図15は、アドバイス取得部150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、アドバイス取得部150は、所定のタイミングが到来したか否かを判定する(S400)。所定のタイミングが到来した場合(アドバイスを提供するタイミングが到来した場合)、アドバイス取得部150は、後述するアドバイス情報290を参照して、ハイパフォーマー予備群の社員に対するアドバイスを特定する(S402)。次に、アドバイス取得部150は、特定したアドバイスを当該ハイパフォーマー予備群の社員の対象者端末装置10に送信する(S406)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0056】
図16は、アドバイス情報290の一例を示す図である。アドバイス情報290は、ハイパフォーマー予備群に属する社員に対するアドバイスが、グループごとに規定された情報である。この情報は、前述した
図14の比較情報280に基づいて生成された情報である。例えば、比較情報280において、スコアが閾値以上乖離している項目に着目し、この乖離が小さくなることが期待されるパフォーマー予備群の社員に対するアクションが規定された情報である。このアクションは、例えば、上記のスコアの乖離の改善が期待できる複数のアクションのうち、比較的実行がしやすいアクションである。差異が高い項目のうち、アクションのしやすさで重みづけし、ハイパフォーマー予備群へのアクション項目が定量化されてもよい。このような定量化された情報から重みが高いアクションの実行が提案されてもよい。また、アクションが複数ある場合は、複数のアクションが提案されてもよい。これにより、より行いやすいアクションが実行されて、ハイパフォーマー予備群のスコアの改善が期待できる。
【0057】
上記のアドバイス情報290は、管理者などのスタッフが、比較情報280を参照して生成してもよいし、情報処理装置100(または他の装置)が自動で生成してもよい。例えば、情報処理装置100は、スコアが閾値以上乖離している項目と、項目に対して予め用意されたアドバイス情報とに基づいて、各グループのアドバイスが規定されたアドバイス情報290を生成してもよい。
【0058】
例えば、生産性スコアの項目には、生産性スコアを上昇させるようなアドバイス情報が規定され、ストレスチェックスコアの項目には、ストレスチェックスコアを上昇させるようなアドバイス情報が規定され、コミュニケーションツールの利用スコアの項目には、コミュニケーションツールの利用を促進させるようなアドバイス情報が規定されている。情報処理装置100は、この情報を参照して、グループごとにスコアが乖離している項目に対するアドバイスを対応付けたアドバイス情報290を生成する。
【0059】
例えば、グループ1のハイパフォーマー予備群の社員に対しては、コミュニケーションツールを積極的に利用してメンバーとコミュニケーションを取ることを心掛けるアドバイスが提供される。グループ1では、ハイパフォーマーのコミュニケーションツールの利用スコアに対して、ハイパフォーマー予備群のコミュニケーションツールの利用スコアが閾値以上低いため、このアドバイスが提供される。
【0060】
例えば、グループ2のハイパフォーマー予備群の社員に対しては、無駄な業務の有無を確認して生産性を向上させることを心掛けるアドバイスが提供される。グループ2では、ハイパフォーマーの生産性スコアに対して、ハイパフォーマー予備群の生産性スコアが閾値以上低いため、このアドバイスが提供される。
【0061】
例えば、グループ3のハイパフォーマー予備群の社員に対しては、ストレスを解消できるように有給休暇を有効に利用することのアドバイスが提供される。グループ3では、ハイパフォーマーのストレスチェックスコアに対して、ハイパフォーマー予備群のストレスチェックスコアが閾値以上低いため、このアドバイスが提供される。
【0062】
[まとめ]
図17は、情報処理装置100による処理の効果の一例を示す図である。情報処理装置100は、上記のようにハイパフォーマーと、ハイパフォーマー予備群との間で特徴が異なる項目を特定することができる。これにより、管理者は、特定した項目に応じたアドバイスを行うことができる(成功の要諦を示唆することができる)。更に、情報処理装置100は、自動でアドバイスを特定して、アドバイスを対象者端末装置10に提供することができる。情報処理装置100は、例えば、職歴や経歴などの特徴がハイパフォーマーと似ているまたは同じハイパフォーマー予備群に対して適切なアドバイスを行うことができる。
【0063】
上記の処理により、ハイパフォーマー予備群が、アドバイスを考慮したアクションを行うことでスキルアップやマインドセットの変化、周囲のサポートなどによって、ハイパフォーマー予備群が成果を出すきっかけが増え、成果の向上が期待できる。そして、ハイパフォーマー予備群がハイパフォーマーとなったり、組織における成果の総量が増加したりすることが期待できる。例えば、情報処理装置100は、この処理を実行した後にスキルスコア、マインドスコア、稼働日スコア、および統合スコアを取得して、処理前のスコアと処理後のスコアとを比較して、組織の成果の総量の変化を確認することができる。このように、ハイパフォーマー予備群の社員をハイパフォーマーに昇華させ、組織の成果の総量を増加させることに寄与することが期待できる。更に、成果の適正なフィードバックがされ、離職率の低下が期待できる。このように、本実施形態の処理が実行されることにより、組織の成果の向上が期待できる。
【0064】
以上説明した実施形態によれば、第1グループおよび前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴と、予め設定された分類基準とに基づいて、対象者を複数のグループに分類する分類部と、前記分類部により分類された所定のグループに属し且つ前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記所定のグループに属し且つ前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴同士を比較して、前記第2特徴が異なる前記種別を特定する処理部と、を備えることにより、有益な情報を特定することができる。
【0065】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 対象者端末装置
20 管理者端末装置
100 情報処理装置
120 第1分類部
130 第2分類部
140 処理部
150 アドバイス取得部
210 第1スコア情報
220 第1分類情報
230 属性情報
240 モデル情報
250 第2分類情報
260 第2スコア情報
270 集計情報
280 比較情報
290 アドバイス情報
【要約】
【課題】有益な情報を特定すること。
【解決手段】第1グループおよび前記第1グループの対象者よりも評価が低い対象者が属する第2グループである特定グループのそれぞれの対象者の第1特徴と、予め設定された分類基準とに基づいて、対象者を複数のグループに分類する分類部と、前記分類部により分類された所定のグループに属し且つ前記第1グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴と、前記所定のグループに属し且つ前記第2グループの対象者の複数の種別ごとの第2特徴とのうち、共通する種別の第2特徴同士を比較して、前記第2特徴が異なる前記種別を特定する処理部と、を備える情報処理装置。
【選択図】
図2