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特許7509984画像表示方法、画像表示装置及び画像表示装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像表示方法、画像表示装置及び画像表示装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20240625BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240625BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20240625BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06T19/00 A
G06F3/04845
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023218426
(22)【出願日】2023-12-25
【審査請求日】2024-05-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508095429
【氏名又は名称】廣岡 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 圭
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-134791(JP,A)
【文献】特開平11-141530(JP,A)
【文献】特開2001-076181(JP,A)
【文献】特開2002-049926(JP,A)
【文献】特許第5177668(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/4895
G06T 11/00 - 11/40
G06T 15/00 - 17/00
G06T 17/10 - 17/40
G06T 19/00 - 19/20
G09B 23/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示領域を設けて、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示方法において、
前記表示領域として、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域と、を設け、
3次元画像情報を取り込むことにより、前記第1表示領域に該3次元画像情報に基づく画像を表示させ、
前記第1表示領域に前記画像を表示させている状態で、前記第2表示領域を選択したときには、該第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示させる、
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2表示領域を、前記第1表示領域の周囲に該第1表示領域を取り囲むようにして複数設け、
前記複数の第2表示領域を、前記第1表示領域を間に挟んで対向する複数組の一対の第2表示領域をもって構成し、
前記各組における一対の各第2表示領域を前記選択された第2表示領域として、該各第2表示領域に前記画像を表示させる際には、該各第2表示領域で用いる3次元画像情報として、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を、該3次元画像情報の状態を基準に、前記回動軸線を中心として相反する回動方向に所定角度だけ回動させたものを用いる、
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1表示領域を矩形状に設定すると共に、前記複数の第2表示領域を、前記第1表示領域を中心として、少なくとも、該第1表示領域における上下方向両側及び横方向両側にそれぞれ連続して配置するものとし、
前記第1表示領域における上下方向両側の第2表示領域、及び前記第1表示領域における横方向両側の第2表示領域のそれぞれを、前記各組における一対の第2表示領域として用いる、
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成するに当たり、その回動方向を、その作成する画像において、該回動により、前記第1表示領域の表示画像のうち、前記選択された第2表示領域より遠い画像部分ほど表示されなくなる方向とする、
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1表示領域における表示画像の姿勢を変更可能とすることを前提として、
前記第2表示領域に表示画像が表示されている状態において、前記第1表示領域における表示画像の姿勢を変更したことを検出したときには、その姿勢変更された第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を前記回動軸線を中心として所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、前記第2表示領域の表示画像を該画像に変更する、
ことを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】
表示部に表示領域を設けて、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置において、
前記表示領域を設定するための表示領域設定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記表示領域設定情報を読み出して、前記表示部に、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域とを設定する表示領域設定部と、
3次元画像情報を取り込むことを条件に、前記表示領域設定部が設定する前記第1表示領域に、該3次元画像情報に基づく画像を表示する第1表示処理部と、
前記第1表示処理部に基づき前記第1表示領域に前記3次元画像情報に基づく画像が表示されていて、前記第2表示領域が選択されたことを検出したときに、前記第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示する第2表示処理部と、
を備える、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1表示領域が矩形状に設定されると共に、前記第2表示領域が複数とされることにより、該複数の第2表示領域が、前記第1表示領域を中心として、少なくとも、該第1表示領域における上下方向両側及び横方向両側にそれぞれ連続して配置するように設定され、
前記第2表示処理部は、前記第1表示領域における上下方向両側の各第2表示領域又は前記第1表示領域における横方向両側の各第2表示領域に前記画像を表示させる際には、該各第2表示領域に用いる3次元画像情報として、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を、該3次元画像情報の状態を基準に、前記回動軸線を中心として相反する回動方向に所定角度だけ回動させたものを用いるように設定されている、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第2表示処理部は、前記3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成するに当たり、その回動方向を、その作成する画像において、該回動により、前記第1表示領域の表示画像のうち、前記選択された第2表示領域より遠い画像部分ほど表示されなくなる方向としている、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
回動指示情報の入力を条件に、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を回動させて、該第1表示領域における表示画像の姿勢を変更する第3表示処理部を備え、
前記第2表示処理部は、該第2表示処理部からの情報に基づき前記第2表示領域に表示画像が表示されていることを判断すると共に、前記第3表示処理部からの情報に基づき前記第1表示領域における表示画像が姿勢変更されたことを判断したときに、前記第1表示領域における表示画像の姿勢変更に伴い、前記姿勢変更された第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を前記回動軸線を中心として所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、前記第2表示領域の表示画像を該画像に変更するように設定されている、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
表示部での表示領域を設定するための表示領域設定情報を記憶する記憶装置が存在されていて、その存在の下で、該記憶装置から前記表示領域設定情報を読み出して該表示部に表示領域を設定し、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置用プログラムであって、
コンピュータを、
前記表示部に、前記表示領域として、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域とを設定する表示領域設定部、
3次元画像情報を取り込むことを条件に、前記表示領域設定部が設定する前記第1表示領域に、該3次元画像情報に基づく画像を表示する第1表示処理部、
前記第1表示処理部に基づき前記第1表示領域に前記3次元画像情報に基づく画像が表示されていて、前記第2表示領域が選択されたことを検出したときに、前記第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示する第2表示処理部、
として機能させる、
ことを特徴とする画像表示装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部上での画像表示方法、その画像表示方法を使用する画像表示装置及びその画像表示装置に用いる画像表示装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像に立体感を与える手法としてステレオ画像を用いた方法が知られている。このステレオ画像を用いた方法においては、ステレオ画像として、視差を有する2枚の画像を用意し、そのステレオ画像を並べて配置し、一方の画像を右目で見、他方の画像を左目で見ることとされている。このステレオ画像を生成するに当たっては、既存の画像から容易に生成するべく、特許文献1に示すように、既存の画像の各画素の輝度情報を各画素の奥行方向の深さに利用することが提案されている。
【0003】
ところで、近時、3次元(以下、3Dという)スキャナーにより3Dの点群データを収集し、その点群データを3Dモデリングソフトウェアにより3Dモデリングデータ(色彩、写真等のテクスチャが付加されたものを含む3Dオブジェクトを表現するためのデータ(3次元画像情報))に処理し、その3Dモデリングデータを3Dビューアーにより2次元平面をなすパーソナルコンピューター(PC)上の表示部に表示することが行われている。このとき、視点や視野角などのパラメータを調整することにより3Dモデリングデータ(3Dオブジェクト)を回動させれば、ユーザーは好みの角度から画像を見ることができる。
【0004】
このような3次元画像情報としての3Dモデリングデータは、種々の観察に利用されている。遺跡、植物、動物等の観察対象が経時的に変化(損傷、腐敗、成長等)し、同じ状態で観察することが困難となるからである。このため、3Dスキャナー等により観察対象の3Dモデリングデータを、必要なタイミングで作成、保存し、その作成、保存された3Dモデリングデータを、3Dビューアーを用いて、PCの表示部において観察対象画像として表示し、その観察対象画像について、その作成タイミングを考慮しつつ観察が行われている。その際、必要に応じて、観察対象画像の基礎となる3Dモデリングデータは回動され(視点の変更)、その観察対象画像の姿勢状態は観察に都合のよい状態に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5177668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、観察対象画像を観察する場合、PC上の表示部に表示されるその観察対象画像は1つであり、しかも、観察対象の画像が3Dモデリングデータに基づくものといえども、2次元平面上に表示するものであり、表示部に表示されている観察対象画像を正面とすれば、その側面は、正面から奥行きが進むほど、視認が困難となる。しかも、表示部に表示されている特定の画像部分を基準部分としつつ他の部分を比較観察したい場合があるが、基準部分と他の部分とが同時に表示部に表示されない場合には、上記のような観察を行うことができない。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高めることができる画像表示方法を提供することにある。第2の目的は、上記画像表示方法を使用する画像表示装置を提供することにある。第3の目的は、上記画像表示装置に用いる画像表示装置用プログラムを提供することにある。
【0008】
前記第1目的を達成するため本発明にあっては、次の(1)~(5)の構成とされている。
(1)表示部に表示領域を設けて、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示方法において、
前記表示領域として、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域と、を設け、
3次元画像情報を取り込むことにより、前記第1表示領域に該3次元画像情報に基づく画像を表示させ、
前記第1表示領域に前記画像を表示させている状態で、前記第2表示領域を選択したときには、該第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示させる構成とされている。
【0009】
この構成によれば、第1表示領域の画像に加えて、通常は表示部で同時に視認できない奥行き部分を含む画像が第2表示領域に表示されることになり、取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高めることができる。しかもこの場合、第1表示領域に並設される第2表示領域の表示画像が、第1表示領域で用いる3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、選択された第2表示領域と第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得るものであることから、第1表示領域の画像と第2表示領域の画像との間に認識し易いつながり性を持たせることができ、第1表示領域の画像と第2表示領域の画像とを使う場合であっても、使いにくさを極力なくすことができる。このため、観察に際して、観察対象における画像の特定部分を基準部分として特定し、その基準部分との関係で、画像の他の部分を観察する場合において、その他の部分が奥行き深い個所に存在して、基準部分と他の部分とを同時に表示部の第1表示領域に表示できないときであっても、第1表示領域と第2表示領域とを利用して、基準部分と他の部分とを表示できることになる。しかもこのとき、第1表示領域と第2表示領域とに、両者の共通の画像部分が表示されることになり、第1表示領域の画像と第2表示領域の画像との間に認識し易いつながり性を持たせることができ、有効な観察を行うことができる。
【0010】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記第2表示領域を、前記第1表示領域の周囲に該第1表示領域を取り囲むようにして複数設け、
前記複数の第2表示領域を、前記第1表示領域を間に挟んで対向する複数組の一対の第2表示領域をもって構成し、
前記各組における一対の各第2表示領域を前記選択された第2表示領域として、該各第2表示領域に前記画像を表示させる際には、該各第2表示領域で用いる3次元画像情報として、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を、該3次元画像情報の状態を基準に、前記回動軸線を中心として相反する回動方向に所定角度だけ回動させたものを用いる構成とされている。
【0011】
この構成によれば、第1表示領域を間に挟んで対向する各組の一対の第2表示領域に、第1表示領域の表示画像を基準として、その表示画像の両側へと続く画像であって、通常は表示部で同時に視認できない部分(奥行き部分)を含む画像を表示できることから、取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲をさらに拡大することができる。
【0012】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記第1表示領域を矩形状に設定すると共に、前記複数の第2表示領域を、前記第1表示領域を中心として、少なくとも、該第1表示領域における上下方向両側及び横方向両側にそれぞれ連続して配置するものとし、
前記第1表示領域における上下方向両側の第2表示領域、及び前記第1表示領域における横方向両側の第2表示領域のそれぞれを、前記各組における一対の第2表示領域として用いる構成とされている。
【0013】
この構成によれば、第1表示領域における表示画像を中心として、上下、左右において、通常は表示部で同時に視認できない部分(奥行き部分)を含む画像を表示できることになり、人間の上下、左右の感性を生かしつつ、取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲を拡大することができ、画像に基づく観察効果を高めることができる。
【0014】
(4)前記(1)の構成の下で、
前記3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成するに当たり、その回動方向を、その作成する画像において、該回動により、前記第1表示領域の表示画像のうち、前記選択された第2表示領域より遠い画像部分ほど表示されなくなる方向とする構成とされている。
【0015】
この構成によれば、選択した第2表示領域には、第1表示領域における表示画像の奥行き部分(視認できない部分)のうち、選択した第2表示領域側におけるものを含む画像が表示できることになり、選択した第2表示領域の配置位置と、その選択した第2表示領域によって新たに表示される画像とにより、拡大された視認範囲の画像を把握するに際し、人間の感性を生かすことができる(選択した第2表示領域では、第1表示領域の表示画像のうち、選択した第2表示領域側の視認できなかった部分を表示すること)。
【0016】
(5)前記(1)の構成の下で、
前記第1表示領域における表示画像の姿勢を変更可能とすることを前提として、
前記第2表示領域に表示画像が表示されている状態において、前記第1表示領域における表示画像の姿勢を変更したことを検出したときには、その姿勢変更された第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を前記回動軸線を中心として所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、前記第2表示領域の表示画像を該画像に変更する構成とされている。
【0017】
この構成によれば、第1、第2表示領域の両方に画像が表示されているときには、第1表示領域の表示画像が姿勢変更されたときには、それに伴い、第2表示領域の表示画像も、第1表示領域の表示画像の姿勢変更に対応したものに表示変更されることになり、基準となる第1表示領域の表示画像を姿勢変更する場合であっても、第1、第2表示領域における両画像の関係を維持することができる。
【0018】
前記第2の目的を達成するため本発明にあっては、次の(6)~(9)の構成とされている。
【0019】
(6)表示部に表示領域を設けて、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置において、
前記表示領域を設定するための表示領域設定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記表示領域設定情報を読み出して、前記表示部に、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域とを設定する表示領域設定部と、
3次元画像情報を取り込むことを条件に、前記表示領域設定部が設定する前記第1表示領域に、該3次元画像情報に基づく画像を表示する第1表示処理部と、
前記第1表示処理部に基づき前記第1表示領域に前記3次元画像情報に基づく画像が表示されていて、前記第2表示領域が選択されたことを検出したときに、前記第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示する第2表示処理部と、
を備える構成とされている。
【0020】
この構成によれば、前記(1)の画像表示方法を使用する画像表示装置を具体的に提供できる。
【0021】
(7)前記(6)の構成の下で、
前記第1表示領域が矩形状に設定されると共に、前記第2表示領域が複数とされることにより、該複数の第2表示領域が、前記第1表示領域を中心として、少なくとも、該第1表示領域における上下方向両側及び横方向両側にそれぞれ連続して配置するように設定され、
前記第2表示処理部は、前記第1表示領域における上下方向両側の各第2表示領域又は前記第1表示領域における横方向両側の各第2表示領域に前記画像を表示させる際には、該各第2表示領域に用いる3次元画像情報として、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を、該3次元画像情報の状態を基準に、前記回動軸線を中心として相反する回動方向に所定角度だけ回動させたものを用いるように設定されている構成とされている。
【0022】
この構成によれば、前記(2)(3)の画像表示方法を使用する画像表示装置を具体的に提供できる。
【0023】
(8)前記(6)の構成の下で、
前記第2表示処理部は、前記3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成するに当たり、その回動方向を、その作成する画像において、該回動により、前記第1表示領域の表示画像のうち、前記選択された第2表示領域より遠い画像部分ほど表示されなくなる方向としている構成とされている。
【0024】
この構成によれば、前記(4)の画像表示方法を使用する画像表示装置を具体的に提供できる。
【0025】
(9)前記(6)の構成の下で、
回動指示情報の入力を条件に、前記第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を回動させて、該第1表示領域における表示画像の姿勢を変更する第3表示処理部を備え、
前記第2表示処理部は、該第2表示処理部からの情報に基づき前記第2表示領域に表示画像が表示されていることを判断すると共に、前記第3表示処理部からの情報に基づき前記第1表示領域における表示画像が姿勢変更されたことを判断したときに、前記第1表示領域における表示画像の姿勢変更に伴い、前記姿勢変更された第1表示領域における表示画像の基礎となる3次元画像情報を前記回動軸線を中心として所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、前記第2表示領域の表示画像を該画像に変更するように設定されている構成とされている。
【0026】
この構成によれば、前記(5)の画像表示方法を使用する画像表示装置を具体的に提供できる。
【0027】
前記第3の目的を達成するため本発明にあっては、次の(10)の構成とされている。
【0028】
(10)表示部での表示領域を設定するための表示領域設定情報を記憶する記憶装置が存在されていて、その存在の下で、該記憶装置から前記表示領域設定情報を読み出して該表示部に表示領域を設定し、該表示領域に3次元画像情報に基づく画像を表示する画像表示装置用プログラムであって、
コンピュータを、
前記表示部に、前記表示領域として、第1表示領域と、該第1表示領域に並設された状態で配置される第2表示領域とを設定する表示領域設定部、
3次元画像情報を取り込むことを条件に、前記表示領域設定部が設定する前記第1表示領域に、該3次元画像情報に基づく画像を表示する第1表示処理部、
前記第1表示処理部に基づき前記第1表示領域に前記3次元画像情報に基づく画像が表示されていて、前記第2表示領域が選択されたことを検出したときに、前記第1表示領域における画像の基礎となる前記3次元画像情報の中心点を通る仮想軸線のうち、該選択された第2表示領域と該第1表示領域との並設方向に対して直交する方向であって前記表示部に沿う方向に伸びるものを回動軸線として、該3次元画像情報を所定角度だけ回動させて得る画像を作成し、該画像を前記選択された第2表示領域に表示する第2表示処理部、
として機能させる構成とされている。
【0029】
この構成によれば、前記(6)の画像表示装置に用いる画像表示装置用プログラムを提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高めることができる画像表示方法、その画像表示方法を使用する画像表示装置及びその画像表示装置に用いる画像表示装置用プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る画像表示装置の構成を示す説明図。
図2】画像表示装置の表示部上に設定される実施形態に係る表示領域を説明する説明図。
図3】3Dモデリングデータが取込まれて、その3Dモデリングデータに基づく画像が第1表示領域に表示されることを説明する説明図。
図4】第1表示領域に画像が表示されている状態で、第2表示領域が選択されたときの処理を説明する説明図。
図5】第1表示領域と第2表示領域とに画像が表示されている状態において、その各画像の状態を説明する説明図。
図6】3Dモデリングデータ(3D図形として表示)を所定角度回動させて、第2表示領域の画像を得ることを説明する説明図。
図7】第1表示領域の上下方向両側及び横方向両側の第2表示領域を選択した場合に、その各第2表示領域に画像がそれぞれ表示されることを説明する説明図。
図8】第1表示領域の表示画像の姿勢変更を説明する説明図。
図9】実施形態に係る画像表示方法の流れを説明する説明図。
図10】取り込むべき観察対象となる3Dモデリングデータの特定から第2表示領域を選択するときまでの処理例を示すフローチャート。
図11】第1表領域及び第2表示領域に画像が存在されているときに、第1表示領域の画像の姿勢が変更された場合の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る画像表示装置1は、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)に画像表示処理ソフトを組み込む(インストールする)ことにより構成され、その画像表示処理ソフトを組み込んだPCにおいて、本実施形態に係る画像表示方法が使用される。このため、本実施形態に係る画像表示装置1を説明し、その上で、その画像表示装置1の作用と共に、本実施形態に係る画像表示方法について説明する。
【0033】
本実施形態に係る画像表示装置1には、コンピュータとして機能すべく、図1に示すように、外部から情報を受け入れる通信部2と、要求操作を入力する操作入力部(マウス、キーボード)3と、着脱可能な記憶媒体から情報を取り込む情報入出力部(入出力端子、メディアドライブ等)4と、各種情報を画像等として表示する表示部(タッチパネルでもある)5と、各種情報を記憶する記憶装置としての記憶部6と、演算制御部7とが備えられている。このうち、通信部2、情報入出力部4は、前記画像表示処理ソフト、その画像表示処理ソフトにおいて用いる3次元座標を含む3次元画像情報としての3Dモデリングデータ等を外部から取り込むことができる。
【0034】
記憶部6は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されている。その記憶部6には、プログラム格納部8、3Dモデリングデータ保存部9、設定情報保存部10、画像表示情報保存部11等が設けられている。プログラム格納部8は、PCにおける基本的なプログラムの他に、画像表示装置1を作動させるための各種プログラム(画像表示処理ソフト)を格納する。3Dモデリングデータ保存部9は、各種観察対象についての3Dモデリングデータ(3次元空間での3次元座標を含む3次元画像情報)を保存する。設定情報保存部10は、表示部5において表示領域を設定するために用いる表示領域情報(領域のパターン、領域の形状、大きさ、数、領域の配置等)、後述の画像表示処理において用いられる3Dモデリングデータの回動(3次元座標の回動変換(ワールド変換又はビュー変換))のための所定角度、回動方向、回動速度等の設定情報を保存する。画像表示情報保存部11は、表示領域情報に処理情報が組み込まれる度にその新たな情報が加わった画像情報を保存する。その他必要な情報は、適宜、記憶部6に保存される。
【0035】
前記演算制御部7は、本実施形態においては、CPU(Central Processing Umit)及びGPU(Graphics Processing Umit)をもって構成されており、その演算制御部7は、図1に示すように、記憶部6から読み出されたプログラムに基づき、表示領域設定部15、第1~第3表示処理部16~18等として機能する。
【0036】
表示領域設定部15は、図2に示すように、表示部5に、第1表示領域19と複数の第2表示領域20とを設定する機能を発揮する。
【0037】
このため、表示領域設定部15は、前述の記憶部6(設定情報保存部10)から表示領域情報を読み出し、表示部5において、第1表示領域19を中央に配置すると共に、複数の第2表示領域20を、第1表示領域19の周囲を取り囲むように表示する。具体的には、第1表示領域19及び各第2表示領域20は、それぞれ矩形状に形成され、複数の第2表示領域20は、第1表示領域19を間に挟んで対向する複数組の一対の第2表示領域20をもって構成されている。本実施形態においては、その複数組の一対の第2表示領域20は、第1表示領域19を中心として、第1表示領域19の上下方向両側の第2表示領域20u,20d、第1表示領域19の横方向両側の第2表示領域20r,20l、第1表示領域19の左右の各斜め方向両側の第2表示領域20rdu,20rdd(20ldu,20ldd)として構成されている。第1表示領域19及び複数の各第2表示領域20は、独立して表示機能を発揮するウインドウをそれぞれ構成しており、その第1表示領域19及び複数の各第2表示領域20には、その表示機能の発揮に基づき、観察対象の画像が表示可能となる。
【0038】
第1表示処理部16は、図3に示すように、3次元座標を含む3次元画像情報としての3Dモデリングデータ(以下、便宜上、3D図形として示し、符号12を用いる)を取り込んで、その3Dモデリングデータ12に基づく画像21を前記第1表示領域19に表示させる機能を発揮する。この場合、図3における3Dモデリングデータ12,それに基づく画像21(第1表示領域19に示される画像)としては、簡略化した地球モデルに基づくものを用いている。
【0039】
上記3Dモデリングデータ12については、その使用時に、画像表示装置1の記憶部6(3Dモデリングデータ保存部9)に保存されているものが読み出され、或いは外部から直接入力されることになる。この3Dモデリングデータ12は、3次元オブジェクト(観察対象)を画像表示処理ソフトに基づき最終的に2次元平面をなす表示部5に2次元画像として表示するものであり、3Dモデリングデータ12としては、一般的には次のようにして作成されたものが準備される。先ず、3次元スキャナーを用い、そこからレーザーや光を観察対象(対象物)に照射し、その反射光をセンサーで検出することにより、観察対象の表面の形状を3次元の座標データとして取得する。次に、その取得した座標データを、専用のソフトウェアで処理して点群データに変換し、その点群データを、CADソフトウェアなどで加工し、ポリゴンデータやメッシュデータなどの形式に変換する。この後、そのポリゴンデータやメッシュデータに、さらにテクスチャや色情報などを付加し、その処理を終えたものを観察対象についての3Dモデリングデータ12としている。
【0040】
第1表示処理部16は、第1表示領域19(表示部5)に3Dモデリングデータ12に基づく画像21を表示するに当たって、3次元座標を含む3Dモデリングデータ12を第1表示領域19に表示するための画像21として作成することになっており、そのため、第1表示処理部16では、必要な既知の3Dから2D(2次元)への変換処理(プロジェクション座標変換、スクリーン座標変換等)が行われる。この場合、第1表示処理部16が第1表示領域19に3Dモデリングデータ12に基づく画像21を表示することとしているのは、その画像周囲の視認できない奥行き部分を、それを取り囲む複数の第2表示領域20により表示可能とするためである。
【0041】
第2表示処理部17は、図4図6に示すように、第1表示領域19に3Dモデリングデータ12に基づく画像21が表示されていて、複数の第2表示領域20の少なくともいずれか一つが選択されたことを検出したときには、その選択された第2表示領域20において、第1表示領域19の表示画像21を所定角度だけ回動させたときの画像22を表示させる機能を発揮する。図4では、上記態様の一例として、第1表示領域19の横方向一方側(図4図6中、右側)の第2表示領域20rを選択したとき、その第2表示領域20rに、第1表示領域19の表示画像21を所定角度だけ回動させたときの画像22が表示されることを示している。
【0042】
この場合、「第1表示領域19に画像21が表示されている」ことについては第1表示処理部16からの情報に基づき判断し、「複数の第2表示領域20の少なくともいずれか一つが選択された」ことについては、いずれかの第2表示領域20にポインタPを合わせて入力手段としてのマウスのクリック操作を行ったとき(図4では、上段右側図参照)の選択情報の有無、表示部5上でそのいずれかの第2表示領域20に指タッチしたときの選択情報の有無等を検出することにより判断することになる。この第2表示領域20の選択については、その第2表示領域20の数の範囲内で、1つでも複数でも行うことができ、さらには、その選択のタイミングは、同時でも時間をある程度あけた後でも行うことができることになっている。
【0043】
上記「選択された第2表示領域20において、第1表示領域19の表示画像21を所定角度だけ回動させたときの画像22を表示する」に当たっては、前記記憶部6(画像表示情報保存部11)から第1表示領域19における表示画像21の基礎となる3Dモデリングデータ12に関する情報が引き出され、その3Dモデリングデータ12が利用される。視点を基準とした3次元座標の回動(回転)変換(ワールド座標変換、ビュー座標変換)を利用すれば、第1表示領域19における表示画像21では表示できない奥行き部分を示す画像を作成できるからである。このため、上記3Dモデリングデータ12は、回動軸線を「3Dモデリングデータ12の中心点を通る仮想軸線のうち、選択された第2表示領域20と第1表示領域19との並設方向に対して直交する方向であって表示部5に沿う方向に伸びるもの」として、所定角度だけ回動され、その所定角度だけ回動されたものに基づいて、選択された第2表示領域20のための画像が作成される。この場合、回動軸線として上記のものを用いているのは、選択した第2表示領域20と第1表示領域19との並設配置関係を利用し、第1表示領域19の画像21と第2表示領域20の画像22との間に認識し易いつながり性を持たせるためである。
【0044】
具体的に、第1表示領域19の横方向一方側(図4図5中、右側)の第2表示領域20rが選択された場合を例にとって、図6により説明する。第2表示領域20rが選択されると、第1表示領域19における表示画像21の基礎となる(表示状態の)3Dモデリングデータ12が記憶部6(画像情報保存部11)から引き出される。このとき、その選択した第2表示領域20rと第1表示領域19との並設方向が左右方向となり、その並設方向に対して直交する方向であって表示部5に沿う方向が上下方向になることから、回動軸線が上下方向に伸びる回動軸線yとされて、3Dモデリングデータが所定角度θだけ回動(3次元座標の回動変換)される。それが2D座標変換を経て画像22(2D変換されたもの)として作成され、その画像22が、選択した第2表示領域20rに表示される。これにより、第1表示領域19と横並び状態の第2表示領域20rには、第1表示領域19における表示画像21の横方向側の奥行き部分を含む画像22が表示されることになる。尚、図6中、符号Oは、3Dモデリングデータ(3D図形)の中心点を示し、符号W0,Wθは、回動に伴う角度(0°、θ°)の状態を理解し易くするために設けた仮想上の角度把握面である。また、xは、回動軸線yに直交する仮想上の回動軸線を示す。
【0045】
また、上記3Dモデリングデータ12を回動させる際の「所定角度θ」としては、第1表示領域19に表示される画像21状態を基準(図6中、W0の状態)として、90度以下の所定値が好ましく、50度以下の所定値、具体的には、20度~40度の範囲の所定値が、より好ましい。第2表示領域20の表示画像22において、第1表示領域19の表示画像21では表示できない(視認できない)奥行き部分だけでなく第1表示領域19の表示画像21との共通部分を表示して、第1表示領域19の表示画像21と第2表示領域20の表示画像22との間で認識し易いつながり性を持たせるためである。
【0046】
また、前記回動軸線を中心とした所定角度θの「回動方向」については、作成する画像22において、回動により、第1表示領域19の表示画像21のうち、選択された第2表示領域20より遠い画像部分ほど表示されないようにする方向、それとは逆の方向のいずれでもよいが、図4図6に示すように、前者の方向(図6中、矢印の方向)の方が好ましい。第1表示領域19における表示画像21の奥行き部分のうち、選択した第2表示領域20側のものが、その選択した第2表示領域20において表示されることになり、人間の感性に基づき、視認範囲が拡大されていることと、その拡大された部分がどこの部分であるかを、より認識し易くなるからである。
【0047】
図7は、第1表示領域19の横方向両側に配置される第2表示領域20r、20l、第1表示領域19の上下方向両側に配置される第2表示領域20u、20dを選択した場合を示している。この場合には、図7に示す通り、第1表示領域19における表示画像21の横方向両側(図7中、左右右側)の奥行き部分が、第1表示領域19の横方向両側(図6中、左右両側)の第2表示領域20r、20lに画像22として表示されると共に、第1表示領域19における表示画像21の上下方向両側(図6中、上下両側)の奥行き部分が、第1表示領域19の上下方向両側(図7中、上下両側)の第2表示領域20u、20dに画像22として表示されることになる。これにより、視野範囲を、著しく拡大できることになる。この場合、第1表示領域19の上下方向両側(図7中、上下両側)の第2表示領域20u、20dに画像22を表示するに際して、その画像22の基礎となる3Dモデリングデータ12の回動軸線は、3Dモデリングデータ12の中心を通って横方向に伸びるもの(図6中の回動軸線x参照)となる。
【0048】
勿論、第1表示領域19の表示画像21を所定角度だけ回動させたものを、選択した第2表示領域20に表示する画像22として作成するに当たっては、既知の各種座標変換処理(プロジェクション座標変換、スクリーン座標変換等)が行われることになる。
【0049】
第3表示処理部18は、第1表示領域19に画像が表示されているときに、入力操作を条件に、その第1表示領域19に表示された画像の姿勢を変更する機能を発揮する。
【0050】
このため、第3表示処理部18は、第1表示領域19に画像が表示されているか否かを前記第1表示処理部16からの情報に基づき判断できることになっており、第1表示処理部16からの情報に基づき第1表示領域19に画像が表示されていると判断したときには、第1表示領域19でマウス操作等を行うと、そのマウス操作により第1表示領域19における表示画像の基礎となる3Dモデリングデータを回動(3次元座標回転変換(ワールド座標変換又はビュー座標変換))させることができることになる。
【0051】
この場合、図8に示すように、上記3Dモデリングデータ(3次元座標が形成する形態)の中心点Oを通る仮想軸線のうち、表示部5に沿う方向に伸びるもの、例えばx、yを回動軸線として、その3Dモデリングデータを回動(3次元座標の回動変換)できることになっており、その3Dモデリングデータの回動を行わせるために、第1表示領域19において、マウスボタンを押しつつカーソルを移動させるドラッグ操作(マウス操作)を行い、そのドラッグ操作により回動軸線の特定、回動量、回動方向(矢印を付した直線mx、myをもって示す)等を特定することになる。これにより、必要な場合には、任意の回動軸線を選んで3Dモデリングデータを回動させて、第1表示領域19における表示画像21の姿勢変更を行うことができ、第1表示領域19の表示画像21の姿勢を観察者が望むものに決定することができる。
【0052】
また、前記第2表示処理部17は、前記第1表示領域19及び第2表示領域20に表示画像21,22が表示されると共に、第1表示領域19における表示画像21が姿勢変更されたことを判断したときに、その第1表示領域19における表示画像21の姿勢変更に伴い、第2表示領域20の表示画像22を、その姿勢変更された第1表示領域19における表示画像に対して所定角度θだけ回動されたときのものに変更する機能をも発揮する。
【0053】
このため、第2表示処理部17は、第1表示処理部16での情報に基づき第1表示領域19に表示画像21が表示されているか否かを判断すると共に第2表示処理部17自体での情報に基づき第2表示領域20に表示画像22が表示されているか否かを判別し、さらには、第3表示処理部18からの情報に基づき第1表示領域19における表示画像21が姿勢変更されたか否かをも判別することになっている。そして、第2表示処理部17は、いずれも満たされると判断したときには、表示画像22が表示されている第2表示領域20において、前述の第2表示処理部17の機能を発揮する。すなわち、表示画像が表示されている第2表示領域20に応じて、第1表示領域19における表示画像21(姿勢変更中のものを含む)について、その基礎となる3Dモデリングデータを、各第2表示領域20に応じた回動軸線を中心として所定角度だけ回動させ、各第2表示領域20の表示画像22をそのときの画像に変更する。勿論このときも、第2表示領域20に表示する画像22を作成するに当たって、前述の既知の各種座標変換処理(ワールド座標変換、ビュー座標変換、プロジェクション座標変換、スクリーン座標変換)が行われる。この場合、画像22は、最終的には第1表示領域19の表示画像21に対して所定角度θとなるが、その画像22を、その最終的な状態になるまでの間、3Dモデリングデータの回動速度を調整することにより、経時変化する画像として認識できるものにしてもよい。
【0054】
次に、前記画像表示装置1の作用、その画像表示装置1で使用される画像表示方法について、図9に示す操作、処理順に従って説明する。
【0055】
(1)先ず、画像表示装置1において本実施形態に係る画像表示処理ソフトが作動され、表示領域情報が読み込まれると、画像表示装置1の表示部5に、表示領域として、第1表示領域19と複数の第2表示領域20とが、第1表示領域19の周囲に複数の第2表示領域20が取り囲むように表示される(図2参照)。観察対象の代表となる中核の画像21と、その中核の画像21の周囲のいずれかの奥行き部分を含む画像22とを表示可能として、表示部5での観察対象の画像の視認範囲を拡大するためである(図7参照)。
【0056】
(2)次に、表示部5に第1表示領域19及び複数の第2表示領域20が表示されている状態の下で、観察対象の基礎となる3次元画像情報としての3Dモデリングデータが、記憶部6に保存されているもの中から特定されると、その3Dモデリングデータを取り込まれ、その3Dモデリングデータに基づく画像が第1表示領域19に表示される(図3参照)。観察対象の中核となる画像21を第1表示領域19に表示し、そこを中心として周囲に配置される複数の第2表示領域20を利用することにより、観察対象の任意の方向の視認範囲を拡大するためである。
【0057】
このとき、上記第1表示領域19に表示された画像21については、その観察対象を観察し易い姿勢にするために、その基礎となる3Dモデリングデータの回動(3次元座標の回動変換)により画像21を姿勢変更できることになっている。このため、第1表示領域19における表示画像21の姿勢を変更したいときには、マウス操作によりその姿勢変更が行われることになる(図8参照)。
【0058】
(3)次に、3Dモデリングデータに基づく画像21が第1表示領域19に表示された状態の下で、第1表示領域19の周囲を囲む第2表示領域20の少なくともいずれか一つを選択すると、その選択した第2表示領域20に応じて、第1表示領域19で用いられている3Dモデリングデータ(同じ3Dモデリングデータ)が所定角度だけ回動された状態の画像22が作成され(前述の既知の各種座標変換処理(ワールド座標変換、ビュー座標変換、プロジェクション座標変換、スクリーン座標変換の各処理)を利用)、その画像22が選択された第2表示領域20に表示される(図4図5参照)。第1表示領域19に表示される画像21のうち、視認できない奥行き部分を含む画像22を、選択した第2表示領域20に表示して、観察対象の画像21の視認範囲を拡大するためである。このとき、第2表示領域20の少なくともいずれか一つの選択を、第2表示領域20の領域部分に対するクリック操作、指タッチ操作だけで、第2表示領域20に画像22が表示されることから、第2表示領域20への画像22の表示に際して、観察者の観察時の負担、煩雑さを極力少なくすることができる。
【0059】
(4)さらには、第1表示領域19の表示画像21が表示されると共に、第2表示領域20に表示画像22が表示されているときに、第1表示領域19における表示画像21を姿勢変更したい場合には、マウス操作により、第1表示領域19における表示画像21が姿勢変更される(図8参照)。これに伴い、姿勢変更された第1表示領域19における表示画像21の基礎となる3Dモデリングデータを前述の回動軸線を中心として所定角度だけ回動させたときの画像22が作成されることになり、第2表示領域20の表示画像22がその新たな画像22に変更される。基準となる第1表示領域19の表示画像21を姿勢変更する場合であっても、第1、第2表示領域19,20における両画像21,22の関係を維持するためである。
【0060】
したがって、画像表示装置1(画像表示方法)においては、第1表示領域19と第2表示領域20とを利用して、取り込んだ3Dモデリングデータに基づく表示部5での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高めることができる。しかも、第1表示領域19の画像21と第2表示領域20の画像22との間に認識し易いつながり性を持たせることができ、第1表示領域19の画像1と第2表示領域20の画像22とを使う場合であっても、使いにくさを極力なくすことができる。
【0061】
次に、画像表示装置1での処理例を図10に示すフローチャートをもって具体的に説明する。図10は、取り込むべき観察対象となる3Dモデリングデータ(図10中では3Dデータとして記載)の特定から第2表示領域20を選択するときまでの処理例である。図10中の符号Sはステップを示す。尚、3Dモデリングデータ12については、記憶部6(3Dモデリングデータ保存部9)に予め保存されているものとする。
【0062】
先ず、画像表示処理ソフトが起動されると、S1において、第1表示領域19への画像21の表示処理が初回か否かが判別され、S1がYESのときには、S2において、表示領域情報が読み込まれ、表示部5に、第1表示領域19と、その周囲に配置される複数の第2表示領域20とが表示される。次のS3においては、取り込むべき3Dモデリングデータが特定(指定、選択)されたか否かが判別され、S3がNOのときには、S3の判別が繰り返されて、3Dモデリングデータの特定を待つことになる一方、S3がYESのときには、記憶部6における3Dモデリングデータ(図中では3Dデータ)が読み出され、それに基づく画像が第1表示領域19に表示される(S4,S5)。
【0063】
次のS6においては、第2表示領域20に既に画像22が存在するか否かが判別される。第1表示領域19への画像21の表示処理が初回以降の場合に、第2表示領域20に既に画像が存在することがあり、そのことに対処するためである。このため、S6がYESのときには、S7において、第2表示領域20の画像22が消去され、S6がNOのときには、直接、S8に進み、そのS8において、複数の第2表示領域20のいずれかに使用の余地があるか否かを判断すべく、複数の第2表示領域20の全てで画像22が表示されているかが判別される。当初は、S8がNOとなることから、S9に進み、そのS9において、未使用の第2表示領域20が選択されたか否かが判別される。そして、S9がNOのときには、前記S8に戻される一方、S9がYESのときには、S10において、第1表領域で用いられた3Dモデリングデータ(又はそれと同じ3Dモデリングデータ)を用いて、その選択された第2表示領域20のための画像22が作成される。その画像22は、次のS11において、S9で選択された第2表示領域20に表示され、処理は前記S8に戻され、選択された第2表示領域20に表示された画像と、第1表示領域19に表示された画像とを用いて、観察が続けられる。
【0064】
前記S8がYESのときは、複数の第2表示領域20の全てで画像22が表示されているときであり、このときには、S12において、観察者の操作入力に基づき、作動(一連の処理)を終了するか否かが判別される。そのS12がYESのときには作動を終了する一方、S12がNOのときには、前記S1に戻される。これにより、第1表示領域19への画像21の表示処理が初回以降である場合(S1NO)となって、前記S3に進み、新たな3Dモデリングデータを特定しない限り、複数の第2表示領域20の全てに画像22が表示されている状態で、観察が続けられる。
【0065】
図11は、第1表領域19及び第2表示領域20に画像21,22が存在されているときに、第1表示領域19の画像21の姿勢が変更された場合の処理例である。図11中の符号Qはステップを示す。
【0066】
先ず、Q1において、第1表示領域19に画像21が表示されているか否かが判別される。姿勢変更される可能性がある第1表示領域19の表示画像21の存在を判断するためである。このため、Q1がNOのときには、処理が終了する一方、Q1がYESのときには、Q2において、第1表示領域19の表示画像21の基礎となる3Dモデリングデータが回動されたか否か(姿勢変更されたか否か)が判別される。Q2がNOのときには、前記Q1に戻される一方、Q2がYESのときには、Q3において、第1表示領域19の表示画像21として姿勢変更された画像が作成され、次のQ4において、その姿勢変更された画像が第1表示領域19の表示画像21として表示される。
【0067】
次のQ5においては、第2表示領域20に画像22が表示されているか否かが判別される。第2表示領域20の画像22を、第1表示領域19の画像21の姿勢変更に伴い、それに対応して、第2表示領域20の画像22を変更させる必要があるか否かを判断するためである。このため、Q5がNOのときには、処理が終了する一方、Q5がYESのときには、Q6において、第2表示領域20の表示画像22として、第1表示領域19の表示画像の姿勢変更に対応させて変更させたものが作成され、その画像が、次のQ7において、第2表示領域20に第2表示領域20の画像22として表示される。
【0068】
以上形態について説明したが本発明においては、次の態様を包含する。
(1)第2表示領域20は、1つでもよいこと。
(2)表示領域としての第1、第2表示領域19,20の区画線を透明又は見えないように設定すること。
(3)3次元画像情報を所定角度θだけ回動させて得る第2表示画像20のための画像を作成するに当たり、その回動方向を、その作成する画像において、該回動により、前記第1表示領域の表示画像のうち、前記選択された第2表示領域に近い画像部分ほど表示されないようにする方向とすること。この際、第1表示領域19から選択するべき第2表示領域20に、ドラッグ操作状態又は表示部5に対する指タッチ状態で移動させることにより、その第2表示領域20が選択されるようにすれば、その選択操作を、その選択された第2表示領域20に表示される画像22との関係で、人間の感性に沿わせたものにできる。また、このような操作及びその操作に基づく第2表示領域20での画像22の表示については、単独で用いても、或いは前記実施形態での第2表示領域20の選択(クリック操作等)と一緒に用い、その選択操作に応じて、選択された第2表示領域20での画像22の表示状態を使い分けるようにしてもよい。
(4)第1表示領域19を取り囲む複数の第2表示領域20を、1層に限らず複数に亘って形成し、第1表示領域19から遠のくほど、各層(第2表示領域20)における所定角度を大きくすること。
(5)新たな3Dモデリングデータを第1表示領域19の画像21として読み込んだ場合には、それまで第1表示領域19に表示されていた表示画像21に代わって、その新たに読み込んだ3Dモデリングデータに基づく画像21が第1表示領域19に表示されること。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、取り込んだ3Dモデリングデータ(3次元画像情報)に基づく表示部5での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高めることに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像表示装置
5 表示部
6 記憶部(記憶装置)
7 演算制御部
12 3Dモデリングデータ(3次元画像情報)
15 表示領域設定部
16 第1表示処理部
17 第2表示処理部
18 第3表示処理部
19 第1表示領域
20 第2表示領域
21 第1表示領域に表示される画像
22 第2表示領域に表示される画像
O 3Dモデリングデータ(3D図形)の中心点
P ポインタ
x、y 回動軸線
θ 所定角度
【要約】
【課題】取り込んだ3次元画像情報に基づく表示部での画像の視認範囲を拡大して、画像に基づく観察の利便性を高める。
【解決手段】表示部5に、第1表示領域19と、該第1表示領域19を囲む複数の第2表示領域20とを設定し、3次元画像情報12を取り込むことにより、第1表示領域19に該3次元画像情報12に基づく画像21を表示させ、第1表示領域19に画像21を表示させている状態で、第2表示領域20を選択したときには、第1表示領域19における画像21の基礎となる3次元画像情報12の中心点Oを通る仮想軸線のうち、選択された第2表示領域20と第1表示領域19との並設方向に対して直交する方向であって表示部5に沿う方向に伸びるものを回動軸線x、yとして、該3次元画像情報12を所定角度θだけ回動させて得る画像22を作成し、該画像22を前記選択された第2表示領域20に表示させる。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11