(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】自己形成ねじブラインド締結具
(51)【国際特許分類】
F16B 37/04 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
F16B37/04 U
(21)【出願番号】P 2023503225
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2021042013
(87)【国際公開番号】W WO2022020203
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-27
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504162062
【氏名又は名称】ハウメット エアロスペース インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ブルヌトー
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0033119(US,A1)
【文献】特開2020-020367(JP,A)
【文献】特開2007-064412(JP,A)
【文献】特開2007-170645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己形成ねじブラインド締結具であって、
スリーブであって、
第1のスリーブ端部と、
第2のスリーブ端部と、
前記第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分と、
前記第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで、前記スリーブを通って長手方向に延在する内壁であって、前記内壁は、ボアを画定する、内壁と、を含む、スリーブと、
前記ボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されたピンであって、
第1のピン端部と、
第2のピン端部と、
前記第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分であって、前記ピンヘッド部分の前記ボアへの通り抜けを阻止するように構成された、ピンヘッド部分と、
少なくとも部分的にねじが付けられた部分であって、前記スリーブの前記内壁の少なくとも一部分にねじを形成するように構成された、少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、
前記ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、
前記第1のピン端部に隣接する駆動部分であって、前記駆動部分は、前記スリーブ内で前記ピンを回転させるためのトルクを受け入れ、それによって、前記スリーブを軸方向に圧縮及び変形させ、前記スリーブの前記内壁の前記少なくとも一部分に前記ねじを形成するように構成されている、駆動部分と、を含む、ピンと、
を備える、自己形成ねじブラインド締結具。
【請求項2】
前記少なくとも部分的にねじが付けられた部分は、前記ボアに配置されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項3】
前記内壁は狭窄領域を備え、前記少なくとも部分的にねじが付けられた部分は、前記狭窄領域の少なくとも一部分にねじを形成するように構成されている、請求項2に記載のブラインド締結具。
【請求項4】
前記狭窄領域は、前記少なくとも部分的にねじが付けられた部分の外径未満の第1の直径を備える、請求項3に記載のブラインド締結具。
【請求項5】
前記内壁は、前記少なくとも部分的にねじが付けられた部分を受け入れるように構成された第2の領域を備え、前記第2の領域は、実質的に管状であり、前記少なくとも部分的にねじ
が付けられた部分の外径よりも大きい第2の直径を備える、請求項4に記載のブラインド締結具。
【請求項6】
前記ボアの直径は、前記第1のスリーブ端部に向かって軸方向に前記スリーブの長さに沿って減少する、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項7】
前記スリーブは、前記第1のスリーブ端部に隣接するスリーブヘッド部分を更に備え、前記スリーブヘッド部分は、前記スリーブが構造体のボア内に所定の距離を超えて入るのを阻止するように構成されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項8】
前記スリーブヘッド部分は、トルクを受け入れるように構成されている、請求項7に記載のブラインド締結具。
【請求項9】
前記スリーブの前記細長い部分は、前記少なくとも部分的にねじが付けられた領域が前記内壁にねじを形成し、前記細長い部分を圧縮することに応じて、球状形状に変形するように構成されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項10】
前記ピンヘッド部分は、前記少なくとも部分的にねじが付けられた領域が前記内壁にねじを形成することに応じて、前記細長い部分を圧縮するように構成されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項11】
前記駆動部分は、実質的に平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、ねじ、及びタブのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項12】
前記ピンは、第1の硬さを有する第1の材料を備え、前記スリーブは、第2の硬さを有する第2の材料を備え、前記第2の硬さは、前記第1の硬さよりも小さい、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項13】
前記ピンは、前記ブラインド締結具の取り付け時に折れるように構成されたブレイクネック部分を備える、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項14】
前記駆動部分は、実質的に円筒状であり、ブレイクネック部分を備えない、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項15】
スリーブヘッド部分、前記駆動部分、又はそれらの組み合わせに取り付けられたロック構成要素を更に備え、前記ロック構成要素は、前記スリーブヘッド部分が前記ブラインド締結具の取り付け中に回転することを阻止するように構成されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項16】
前記ロック構成要素は、実質的に平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、及びタブのうちの少なくとも1つを備える、請求項15に記載のブラインド締結具。
【請求項17】
前記ブラインド締結具は、航空宇宙用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建物及び建設用部品又は構成要素のうちの少なくとも1つとして構成されている構造体のボアに取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のブラインド締結具。
【請求項18】
締結のための方法であって、
自己形成ねじブラインド締結具のスリーブの第2のスリーブ端部を構造体のボアに挿入することであって、前記ブラインド締結具は、
前記スリーブであって、
第1のスリーブ端部と、
前記第2のスリーブ端部と、
前記第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分と、
前記第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで、前記スリーブを通って長手方向に延在する内壁であって、前記内壁は、ボアを画定する、内壁と、を含む、スリーブと、
前記ボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されたピンであって、
第1のピン端部と、
第2のピン端部と、
前記第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分であって、前記ピンヘッド部分が前記ボア内に入るのを阻止するように構成された、ピンヘッド部分と、
少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、
前記ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、
前記第1のピン端部に隣接する駆動部分と、を含む、ピンと、を備える、挿入することと、
前記ピンの前記少なくとも部分的にねじが付けられた部分を前記スリーブの前記内壁と強制的に接触させ、それによって前記内壁を変形させ、前記内壁にねじを形成することと、
前記スリーブの前記細長い部分を変形させて、前記細長い部分に球状部を形成することと、
を含む、方法。
【請求項19】
強制的に接触させることは、前記ピンを回転させ、前記ピンヘッド部分を前記第1のスリーブ端部に向かって軸方向に移動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ピンは、ブレイクネック部分を更に備え、前記方法は、前記ブレイクネック部分で前記ピンが折れるまで前記ピンを回転させることを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年7月24日に出願された米国仮特許出願第63/056,080号の利益を主張し、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ブラインド締結具及びブラインド締結具を使用する締結方法に関する。
【背景技術】
【0003】
航空宇宙部品製造を更に自動化することは、組み立てコストを削減し、部品生産の速度を向上させることをより確実にし得る。自動化は、航空宇宙用途のための構造パネルアセンブリを製造する際に特に有用であり得る。ブラインド締結具は、航空宇宙構造パネルの自動生産に使用してもよく、したがって、改良された高強度ブラインド締結具が必要である。現在市販されている高強度ブラインド締結具は、典型的な2ピースのチタン締結具の性能特性を提供することを目的としているが、これにはコストの掛かることがある。典型的な2ピースのチタン締結具に近似することができる性能特性を有するブラインド締結具を提供することが有利であり、しかもこれは生産コストが低く、したがってアルミニウム固体リベット又はアルミニウムロックボルトの代替として使用することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示による1つの態様は、スリーブ及びピンを備える自己形成ねじブラインド締結具を対象としている。スリーブは、第1のスリーブ端部、第2のスリーブ端部、第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分、及び第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部までスリーブを通って長手方向に延在する内壁を備え、内壁はボアを画定する。ピンは、スリーブのボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されている。ピンは、第1のピン端部、第2のピン端部、第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分を備える。ピンは、少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、第1のピン端部に隣接する駆動部分とを更に備える。ピンヘッド部分は、このピンヘッド部分がボア内に入るのを阻止するように構成されている。少なくとも部分的にねじが付けられた部分は、スリーブの内壁の少なくとも一部分にねじを形成するように構成されている。駆動部分は、スリーブ内でピンを回転させるためのトルクを受け入れ、それによってスリーブの細長い部分を軸方向に圧縮及び変形させ、スリーブの内壁の少なくとも一部分にねじを形成するように構成される。
【0005】
本開示による別の態様は、締結方法を対象とする。本方法は、自己形成ねじブラインド締結具のスリーブの第2のスリーブ端部を構造体のボアに挿入することを含む。ブラインド締結具は、スリーブ及びピンを備える。スリーブは、第1のスリーブ端部、第2のスリーブ端部、第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分、及び第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部までスリーブを通って長手方向に延在する内壁を備え、内壁はボアを画定する。ピンは、スリーブのボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されている。ピンは、第1のピン端部、第2のピン端部、及び第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分を備える。ピンは、少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、第1のピン端部に隣接する駆動部分とを更に備える。ピンヘッド部分は、このピンヘッド部分がボア内に入るのを阻止するように構成されている。本方法は、ピンのシャンクの少なくとも部分的にねじが付けられた部分をスリーブの内壁と強制的に接触させることを含み、それによって内壁を変形させ、内壁にねじを形成する。本方法はまた、スリーブの細長い部分を変形させて、細長い部分に球状部を形成することを含む。
【0006】
本明細書に開示及び記載されている本発明は、この発明の概要に要約されている態様に限定されないことを理解されたい。読者は、本明細書による様々な非限定的及び非網羅的な態様の以下の詳細な説明を考慮すると、前述の詳細、並びに他の詳細を理解することであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
実施例の特徴及び利点、並びにそれらを達成する様式は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、より明らかになり、実施例はより良く理解されるであろう。
【0008】
【
図1】構造体(ブラインド締結具を露出させるように断面で図示されている)に第1の構成で配置された本開示による自己形成ねじブラインド締結具の非限定的な実施形態を示す概略図である。
【
図2】構造体に第2の構成で配置された
図1の自己形成ねじブラインド締結具を示す概略図である。
【
図3】構造体に第3の構成で配置された
図1の自己形成ねじブラインド締結具を示す概略図である。
【
図4】構造体に第4の構成で配置された
図1の自己形成ねじブラインド締結具を示す概略図である。
【
図5】ロック構成要素を備えた、本開示による自己形成ねじブラインド締結具の非限定的な実施形態を示す概略図である。
【
図6】平坦な側面を備えた駆動部分を有する、本開示による自己形成ねじブラインド締結具の非限定的な実施形態を示す概略図である。
【
図7】本開示による締結方法の非限定的な実施形態を示すフローチャートである。
【
図8】突出したスリーブヘッド部分を有する、本開示による自己形成ねじブラインド締結具の非限定的な実施形態を示す概略図である。
【0009】
対応する参照符号は、いくつかの図全体にわたって対応する部分を示す。本明細書に記載の例示は、特定の非限定的な実施形態を1つの形態で示し、そのような例示は、添付の特許請求の範囲の範囲をいかなる様式でも限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示されたブラインド締結具及び方法の構造、機能、及び使用の全体的な理解を提供するために、様々な例が本明細書に記載及び例示されている。本明細書に記載及び例示される様々な実施例は、非限定的であり、非網羅的である。したがって、本発明は、本明細書に開示された様々な非限定的かつ非網羅的な実施例の説明によって限定されない。様々な実施例に関連して例示及び/又は説明される機能及び特徴は、他の実施例の機能及び特徴と組み合わされ得る。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。本開示に開示及び記載される様々な非限定的な実施形態は、本開示に様々に記載されるような機能及び特徴を含むか、それらからなるか、又はそれらから実質的になることができる。
【0011】
本明細書における「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」、「非限定的な実施形態」又は同様の句への任意の言及は、実施例に関連して説明される特定の機能、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書における「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、「実施形態では」、「非限定的な実施形態では」という句、又は同様の句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の説明された機能、構造、又は特徴は、1つ以上の非限定的な実施形態において任意の好適な様式で組み合わされ得る。したがって、一非限定的な実施形態に関連して例示又は記載される特定の特徴、構造、又は特性を、全体的又は部分的に、限定されることなく1つ以上の他の非限定的な実施形態の特徴、構造、又は特性と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本非限定的な実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【0012】
本開示では、別段の指示がない限り、全ての数値パラメータは、全ての例において「約」という用語によって前置及び修正されるものとして理解されるべきであり、数値パラメータは、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の可変性特性を有する。少なくとも、特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を限定しようとする試みとしてではなく、本明細書に記載される各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字に照らして、かつ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
また、本明細書に具陳される任意の数値範囲は、具陳された範囲内に含まれる全てのサブ範囲を含む。例えば、「1~10」の範囲には、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間の(及びそれらを含む)全ての部分範囲が含まれ、つまり、1以上の最小値及び10以下の最大値を有する。本明細書に記載されている任意の最大の数値制限は、そこに含まれる全てのより低い数値制限を含むことが意図され、本開示に記載されている任意の最小の数値制限は、そこに含まれる全てのより高い数値制限を含むことが意図される。したがって、出願人は、明示的に具陳された範囲内に含まれる任意のサブ範囲を明示的に具陳するために、特許請求の範囲を含む本開示を補正する権利を留保する。そのような全ての範囲は、本開示に内在的に記載されている。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という文法的冠詞は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」が特定の例において明示的に使用される場合であっても、別段の指示がない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことを意図する。したがって、前述の文法的冠詞は、本明細書において、特定の識別された要素のうちの1つ又は2つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために使用される。更に、使用上の文脈から別様に要求されていない限り、単数名詞の使用は複数を含み、複数名詞の使用は単数を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「中間」とは、参照される要素が2つの要素の間に配置されているが、必ずしもそれらの要素と接触していないことを意味する。したがって、本明細書において特に明記されていない限り、第1の要素と第2の要素との「中間」にある要素は、第1の要素及び/若しくは第2の要素に隣接していてもしていなくてもよく、又は接触していてもしていなくてもよい。別の要素が、中間の要素と、第1の要素及び/又は第2の要素との間に配置されていてもよい。
【0016】
固体リベットに代わるブラインド締結具を提供する試みがなされている。例としては、NAS1919/1921ブラインドリベットが挙げられる。NAS1919/1921ブラインドリベットは、背面側の球状部を形成するように引き、外側のスリーブと内側のピンとの間で整形された小さなリングによりロックすることによって取り付けられる。NAS1919/1921ブラインドリベットは迅速に取り付けることができるが、危険な故障までの引っ張り操作には、非常に低いクランプ荷重量につながる強い張力弛緩が続くことがある。この低いクランプ荷重量は、締結具の比較的低い剛性とともに、一般的な構造荷重を担持するためのNAS1919/1921ブラインドリベットの能力を制限することがある。
【0017】
本開示による自己形成ねじブラインド締結具は、高いプレロード及び剛性を有する現在の締結具に対して費用対効果の高い代替物を提供することができ、例えば、典型的な構造パネルとともに使用することができる。本開示による自己形成ねじブラインド締結具の非限定的な実施形態の態様は、
図1~4を考慮することによって理解され得る。
図1は、構造体102(締結具を露出させるために断面で示されている)に第1(例えば、初期)の構成で配置された自己形成ねじブラインド締結具100を概略的に示している。ブラインド締結具100は、ピン104及びスリーブ106を含む。
【0018】
スリーブ106は、第1のスリーブ端部132、第2のスリーブ端部134、細長い部分140、及びスリーブ106を通って第1のスリーブ端部132から第2のスリーブ端部134まで長手方向に延在する内壁107を備える。内壁107は、第1のスリーブ端部132から第2のスリーブ端部134までスリーブ106を完全に貫通することができるスリーブボア130を画定する。
【0019】
細長い部分140は、例えば、
図3~4に示されるように、細長い部分140への圧縮力の適用に応じて、球状形状に変形されるように構成することができる。例えば、細長い部分140は、圧縮力に応じて変形するのに適した壁厚及び/又は材料組成物を含むことができる。様々な非限定的な実施形態では、スリーブ106の細長い部分140は、概して管状の形状とすることができる。
【0020】
内壁107は、その長さに沿って可変直径を有することができる。例えば、内壁107の直径は、第1のスリーブ端部132に向かう方向に、スリーブ106の長さに沿って減少することができる。様々な非限定的な実施形態では、内壁107は、狭窄領域109及び第2の領域138を含む。狭窄領域109は、第1の直径φ1を有することができ、第2の領域138は、第2の直径φ2を有することができる。第1の直径φ1は、第2の直径φ2未満であって良い。
【0021】
内壁107の狭窄領域109及び第2の領域138は、実質的に管状であり、滑らかであって良い。すなわち、狭窄領域109及び第2の領域138は、ねじを含まなくても良い(例えば、ブラインド締結具100の取り付けの際にピン104と係合するより前に、スリーブ106の製造時には内壁107にねじが形成されない)。特定の非限定的な実施形態では、狭窄領域109は、ピン104のねじ付き部分112とのアライメント及び/又は係合を容易にするために、少なくとも部分的にねじが付けられた領域(図示せず)、及びピン104のねじ付き部分112によって変形及びねじ込み可能な実質的に滑らかな領域(例えば、ねじはないが、製造プロセスからのマイクロテクスチャを含み得る領域)を含むことができる。
【0022】
再び
図1を参照すると、スリーブ106は、細長い部分140及びスリーブヘッド部分122を含む。細長い部分140は、構造体102のボア136に受け入れられるのに適した形状を備えることができる。スリーブヘッド部分122は、第1のスリーブ端部132に隣接することができ、スリーブが所定の距離を超えて構造体102のボア136内に入るのを阻止するように構成することができる。例えば、スリーブヘッド部分122は、構造体102のボア136のボア径φ
bよりも大きい第3の直径φ
3を有することができる。スリーブヘッド部分122は、
図1に示すように構造体102と実質的に面一に取り付けられるように構成することができ、又はスリーブヘッド部分122は、所望の用途に応じて
図8に示すように構造体から突出することができる。
【0023】
様々な非限定的な実施形態では、スリーブヘッド部分122は、構造体102のボア136に配置されたときにスリーブ106が回転するのを防止する1つ以上の回転防止機構を有することができる。スリーブヘッド部分122の1つ以上の回転防止機構は、例えば、平坦な側面(例えば、スリーブヘッド部分122は、六角形の形状を有することができる)、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、タブ、又はそれら機構のうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。例えば、
図6及び8を参照すると、スリーブヘッド部分122は、取り付けツール又はロック構成要素上の対応する機構と係合し、スリーブ106がボア136内に配置されたときに回転するのを防止するように構成された切欠部662を有することができる。
【0024】
あるいは、又は加えて、構造体102のボア136は、スリーブ106が構造体のボア136に配置されているときにスリーブ106の回転を防止するように構成することができる。例えば、ボア136は、構造体102のボア136に配置されたときにスリーブ106が回転するのを防止する1つ以上の回転防止機構を含むことができる。ボア136の1つ以上の回転防止機構は、例えば、平坦な側面(例えば、ボア136は、六角形の形状を有することができる)、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、タブ、又はそれら機構のうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。例えば、スリーブ106は、ボア136に対して固定することができる。
【0025】
再び
図1を参照すると、ピン104は、スリーブ106のボア130によって少なくとも部分的に受け入れることができ、ピン104は、いくつかの領域又は部分を含むことができる。例えば、ピン104は、第1のピン端部142、第2のピン端部144、第2のピン端部144に隣接するピンヘッド部分110を含む。ピン104は、少なくとも部分的にねじが付けられた部分112、ピンヘッド部分110とねじ付き部分112との中間にあるシャンク114、及び第1のピン端部142に隣接する駆動部分116を更に備える。ねじ付き部分112は、シャンク114と駆動部分116との中間にあって良い。ピンヘッド部分110は、ピン104が所定の距離を超えてスリーブ106のボア130内に入るのを阻止するように構成することができる。例えば、ピンヘッド部分110は、スリーブ106のボア130の第2の直径φ
2よりも大きい第4の直径φ
4を有することができる。
【0026】
ピンヘッド部分110は、第2のスリーブ端部134に当接し、スリーブ106のボア130に入ることができないように、スリーブ106のボア130の外側に配置することができる。内壁107の第2の領域138は、ねじ付き部分112を受け入れるように構成することができる。例えば、ねじ付き部分112は、内壁107の第2の領域138によって形成されたスリーブ106のボア130の一部内に配置することができ、狭窄領域109に当接することができる。駆動部分116の少なくとも一部分は、内壁107の狭窄領域109によって形成されたスリーブ106のボア130の一部分内に配置することができる。様々な非限定的な実施形態では、
図1に示されるように、駆動部分116は、駆動部分116を取り付け工具によって係合することができるように、スリーブ106のボア130から第1のスリーブ端部132を越えて延びることができる。
【0027】
駆動部分116は、スリーブ106内でピン104を回転させるためのトルクを受けるように構成されている。それにより、スリーブ106を圧縮及び変形させるためにピン104を軸方向に動かすことができる。例えば、様々な非限定的な実施形態では、駆動部分116は、平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、タブ、ねじ、又はそれら機構のうちの2つ以上の組み合わせから選択される機構を含むことができる。例えば、
図1に更に示されるように、特定の非限定的な実施形態では、ピン104の駆動部分116は、ねじを有することができる。特定の非限定的な実施形態では、
図6を参照すると、ピン104の駆動部分116は、平坦な側面146を有することができる。
【0028】
様々な非限定的な実施形態では、駆動部分116はまた、例えば、ねじ付き部分112に隣接することができるブレイクネック部分118を有してもよい。ブレイクネック部分118は、構造体102でのブラインド締結具100の取り付け時に、駆動部分116の全て又は一部をピン104の残りの部分から分離するために折れるように構成されたセクションである。例えば、トルクが適用されてピン104を回転させ、スリーブ106が圧縮され変形された後、ブレイクネック部分118は折れることができる。トルクは、ブラインド締結具100に好適な取り付け力を与えるために必要なトルクに対応することができる。特定の他の非限定的な実施形態では、駆動部分116を含むピン104は、ブレイクネック部分を備えないが、代わりに、ブラインド締結具100の取り付け中にピン104の駆動部分116が折れるように、1つ又は複数の他の機構を含むように構成される。様々な非限定的な実施形態では、ブレイクネック部分118は、円錐形状を有する。様々な非限定的な実施形態では、駆動部分116を含むピン104は、ブラインド締結具100の取り付け時に折れるように構成されたブレイクネック部分又は他の機構を備えず、駆動部分116は、取り付け後もそのままである。したがって、様々な非限定的な実施形態によれば、本開示によるブラインド締結具は、ブレイクネック部分又は他の機構を折ることなく構造体に取り付けることができ、又は、構造体に締結具を取り付ける際に折れるブレイクネック部分又は他の機構を含んでもよい。特定の非限定的な実施形態では、駆動部分116は、直線状であり(図示せず)、ブレイクネック部分を備えない。
【0029】
ねじ付き部分112は、スリーブ106の内壁107の少なくとも一部分にねじを形成するように構成される。例えば、ねじ付き部分112は、内壁107の狭窄領域109の少なくとも一部分にねじを形成することができる。ピン104のねじ付き部分112は、ねじ付き部112に形成された好適なねじを含み、内壁107にねじを形成するように構成された概して円錐形、丸みを帯びた、又は直線状の形状を有してもよい。ねじ付き部分112のねじは、右ねじ又は左ねじであって良い。ねじ付き部分112のねじは、例えば、正方形のねじ、台形のねじ、鋸歯ねじ、別のねじの形式、又はねじの形式の組み合わせであり得る。様々な非限定的な実施形態では、ねじ付き部分112のねじは、例えば、(REMINC、ミドルタウン、RIから入手可能な)TAPTITE(登録商標)締結具のねじ、又は他のねじ形成形式などのねじ形成ねじであり得る。ねじを形成するねじ山は、スリーブ106の内壁107と係合し変形して、内壁107上に対応するねじを形成することができる。ねじ付き部分112のねじは、内壁107上に対応するねじを形成するために、ねじ切りトルクに関して好適な成形トルクを受けることができる。
【0030】
様々な非限定的な実施形態では、第2の直径φ2は、ねじ付き部分112の外径φ5よりも大きく、第1の直径φ1は、外径φ5よりも小さくすることができる。このようにして、ねじ付き部分112は、第2のスリーブ端部134を容易に通過し、ブラインド締結具100の組み立てを容易にすることができ、一方、ねじ付き部分112は、ブラインド締結具100を取り付けるために狭窄領域109を強制的に係合させることができる。様々な非限定的な実施形態では、ねじ126の外径φ5は、0.06インチ~4インチの範囲であり得る。本明細書で使用されるとき、「外径」は、ねじ付き部分112のねじ山のねじ頂にちょうど接触する仮想の同軸シリンダの直径を指す。
【0031】
図5及び6を参照すると、ブラインド締結具100は、スリーブヘッド部分122、駆動部分116、又はそれらの組み合わせに取り付けられた任意選択のロック構成要素148を備えることができる。ロック構成要素148は、例えば、接着剤によって、及び/又は機械的な取り付け構成によってなど、様々な方法によって取り付けることができる。1つの非限定的な実施形態では、ロック構成要素148は、スリーブヘッド部分122、駆動部分116、又はそれらの組み合わせと一体的に形成することができる。ロック構成要素148は、ブラインド締結具100の取り付け中にスリーブヘッド部分122、及びそれによってスリーブ106が回転することを阻止するように構成されている。例えば、ロック構成要素148は、取り付け工具に係合することができ、駆動部分116の回転中に構造体102に対して回転することを阻止される。様々な非限定的な実施形態では、ロック構成要素148は、駆動部分116のねじ山に対応する内ねじを有することができ、ロック構成要素148は、スリーブヘッド部分122に対して締め付けることができる。スリーブヘッド部分122に対してロック構成要素148を締め付けた後、駆動部分116を回転させて、ロック構成要素148の回転を阻止しながら、ブラインド締結具100を取り付けることができる。様々な非限定的な実施形態では、ロック構成要素148は、実質的に平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、及びタブから選択される少なくとも1つの機構を備える。例えば、
図5及び6に例示されるように、ロック構成要素148は、平坦な側面150を備える。
【0032】
ロック構成要素148は、ロック構成要素148の回転を防止することによってスリーブ106が回転することを防止することができるように、回転防止機構662に対応するように構成された回転防止機構664を備えることができる。例えば、
図6に例示されるように、回転防止機構664は突起である。
【0033】
ブラインド締結具100は、金属、金属合金、複合材料、又は別の好適な材料のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、ブラインド締結具100の様々な構成要素は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、炭素繊維複合材料、又は好適な機械的特性を有する別の複合材料のうちの少なくとも1つを含み得る。ピン104は、第1の硬度を有する第1の材料を備えることができ、スリーブ106は、第2の硬度を有する第2の材料を備えることができる。様々な非限定的な実施形態では、第2の硬度は、ねじ付き部分112の変形が最小限である場合、ねじ付き部分112がスリーブ106の内壁107を変形することができるように、第1の硬度よりも小さくすることができる。例えば、様々な非限定的な実施形態では、スリーブ106は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、真鍮、又はブロンズを含むことができ、ピン104は、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、又は鉄合金(例えば、鋼、ステンレス鋼)を含むことができる。例えば、アルミニウムのスリーブ106を製造することは、アルミニウムから作製された構造体に取り付けるときに、同等の電気ボンディング特性及び電解腐食適合性を提供し得るという利点を有する。特定の非限定的な実施形態では、スリーブ106は、アルミニウム合金を含むことができ、ピン104は、耐食性ステンレス鋼(CRES)、鋼、又はチタン合金を含むことができる。特定の非限定的な実施形態では、ねじ付き部分112は、構造体102へのブラインド締結具100の取り付けと同時に、スリーブ106の内壁107にねじを形成することができ、それによって、ピン104及びスリーブ106をともに効率的に密封する残留圧縮応力を形成する。
【0034】
ブラインド締結具100を構造体102に取り付けるために、ブラインド締結具100は、
図1に一般的に示されるように、まず、スリーブ106のスリーブヘッド部分122が構造体102の表面152に接触され、ピン104の駆動部分116が例えば取り付けツールによってアクセス可能であるように、構造体102のボア136内に配置される。図示のように、ボア136は、構造体102を通って、第1の側面154(例えば、アクセス可能な側面)から第2の側面156(例えば、見えない側面)まで延在することができる。
【0035】
様々な非限定的な実施形態では、構造体102は、例えば、金属、金属合金、複合材料、又は別の好適な材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、特定の非限定的な実施形態では、構造体102は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、及び炭素繊維複合材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。様々な非限定的な実施形態では、ブラインド締結具100が中に取り付けられる構造体102は、アルミニウム及び/又は例えば、7075アルミニウムなどのアルミニウム合金を含む。様々な非限定的な実施形態では、本開示による締結具を取り付けることができる構造体は、航空宇宙用の部品又は構造体、自動車用の部品又は構造体、輸送用の部品又は構造体、建物及び建設用の部品又は構造体、又は別の部品又は構造体として構成することができる。特定の非限定的な実施形態では、構造体102は、同じ材料であっても異なる材料であってもよい、単一の材料層又は2つ以上の材料層を含むことができる。
【0036】
ブラインド締結具100は、適用が必要とするサイズにすることができる。例えば、ブラインド締結具100は、ANSIねじサイズ4~1インチの直径の範囲のサイズを有することができる。ブラインド締結具100は、様々な厚さの構造体に取り付けられるように構成することができる。例えば、スリーブ106の全長は、構造体102のボア136内に取り付けられたときに、第2のスリーブ端部134が構造体102のブラインド側を越えて延びるようにサイズ設定することができる。ピン104は、同様に、スリーブ106のサイズに基づいてサイズ設定することができる。
【0037】
図2に示される構成では、ピン104の駆動部分116は、
図1と比較して、方向158に回転し、同時に方向160に駆動され、それによって、ピン104の残りの部分に回転運動及び引張力を付与する。更に
図2を参照すると、スリーブ106のスリーブヘッド部分122上の、及び/又は構造体102のボア136の構成を含む回転防止機構は、ピン104が回転するにつれスリーブ106が回転することを阻止している。ピン104に付与された回転運動及び引張力により、ピン104のねじ付き部分112は、スリーブ106の内壁107の狭窄領域109とねじ込み係合している。ピン104のねじ付き部分112のねじが狭窄領域109と係合すると、ねじが内壁107の狭窄領域109に形成された。ねじの形成に応じて、狭窄領域109の近傍のスリーブ106の外径φ
6を拡張することができ、これは、形成された接合部における剪断疲労負荷変移、並びに構造体102に対するブラインド締結具100の気密性に有利であり得る「穴充填」効果を生じ得る。様々な非限定的な実施形態では、狭窄領域109の近傍のスリーブ106の外径φ
6は、ブラインド締結具100の取り付け前のボア136のボア径φ
b以下である。
【0038】
特定の非限定的な実施形態では、スリーブ106の内壁107のねじは、ねじ付き部分112のねじ山によって形成されるため、ねじ付き部分112と内壁107との間の摩擦力を、ブラインド締結具100を所望の締め付け力で取り付けることができ、振動条件下での緩みに対抗することができるように、大きくすることができる。様々な非限定的な実施形態では、実質的に気密なシールを、ピン104とスリーブ106との間に形成することができる。
【0039】
図3に図示される構成に示されるように、
図2と比較してピン104が方向158に更に回転したことで、ねじ付き部分112が内壁107に更にねじ込み係合し、スリーブ106に沿って第1のスリーブ端部132に向かって更に前進し、それによって、第2のスリーブ端部134を強制的に接触させ、スリーブ106の細長い部分140をピン104のピンヘッド部分110により圧縮する。ピン104が回転し、ねじ付き部分112がスリーブ106内で更にねじ込み式に前進するにつれて、ねじ付き部分112の近傍のスリーブ106の外径φ
6が拡大している。スリーブ106の細長い部分140が、ピンヘッド部分110によって及ぼされる力によって変形され、細長い部分140は、スリーブヘッド部分122に向かって軸方向に圧縮された。軸方向の圧縮は、構造体102に隣接する細長い部分140に球状部125を徐々に形成し、この球状部はブラインド締結具100を構造体102に固定する。
【0040】
図4に図示される構成に示されるように、ブラインド締結具100がいったん完全に取り付けられると(すなわち、トルクが所定の値に達したときに)、駆動部分116のブレイクネック部分118がねじれて破砕し、滑らかで実質的に面一の表面を残す。軸方向圧縮力は、スリーブ106を更に変形させ、それによって、スリーブヘッド部分122と球状部125との間に構造体102を固定する。
【0041】
ブラインド締結具100の取り付け後の内壁107とねじ付き部分112との間の係合の長さは、取り付けられたブラインド締結具100の所望の気密性及び所望の機械的強度を達成しながら、ブラインド締結具100の重量を軽減するようなサイズにすることができる。係合の長さは、狭窄領域109、スリーブ106の全長、ねじ付き部分112の長さ、及びピン104の全長をサイズ設定することによって構成することができる。例えば、ブラインド締結具100の取り付け中に2つ以上の球状部がスリーブ106上に形成される場合、特定の係合長さが望ましい場合がある。
【0042】
本開示によるブラインド締結具の非限定的な実施形態は、構造体を締結するための方法で使用することができる。
図7は、そのような方法の非限定的な実施形態のステップを図示する。
図7に例示される方法は、(ステップ702で)本開示によるブラインド締結具100の第2のスリーブ端部134を、スリーブ106の第2のスリーブ端部134が構造体102の第2の側面156を越えて延びるように、構造体102のボア136に挿入することを含み得る。(ステップ704で)第2のスリーブ端部134を構造体102に挿入した後、ピン104の駆動部分116に軸方向の力を加える(例えば、ピンヘッド部分110を第1のスリーブ端部132に向かって移動させる)ことによって、ピン104のねじ付き部分112をスリーブ106の内壁107に強制的に接触させ、ピン104に回転力を加えることによってピン104を回転させることができる。(ステップ706で)ピン104のねじ付き部分112は、スリーブ106の内壁107を変形させることができ、それによって内壁107にねじを形成する。(ステップ708で)スリーブ106の細長い部分140を、球状部125が形成されるように変形することができ、ピン104とスリーブ106との間及び/又はスリーブ106と構造体102との間で、ねじ付き部分112が、内壁107にねじを形成し、細長い部分140を圧縮することに応じて、実質的に気密シールを形成することができる。特定の非限定的な実施形態では、内壁107のねじ、及びスリーブ106の細長い部分140の球状部125を、同時に形成することができる。様々な非限定的な実施形態では、(ステップ710で)駆動部分116は、ピン104の駆動部分116のブレイクネック部分118を折ることによって除去することができる。
【0043】
本開示による実施形態の様々な態様は以下の番号付きの条項に記載される態様を含むが、これらに限定されない。
条項1.自己形成ねじブラインド締結具であって、
スリーブであって、
第1のスリーブ端部と、
第2のスリーブ端部と、
第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分と、
第1のスリーブ端部から前記第2のスリーブ端部まで、スリーブを通って長手方向に延在する内壁であって、内壁は、ボアを画定する、内壁と、を含むスリーブと、
ボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されたピンであって、
第1のピン端部と、
第2のピン端部と、
第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分であって、ピンヘッド部分のボアへの通り抜けを阻止するように構成された、ピンヘッド部分と、
少なくとも部分的にねじが付けられた部分であって、スリーブの内壁の少なくとも一部分にねじを形成するように構成された、少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、
ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、
第1のピン端部に隣接する駆動部分であって、駆動部分は、スリーブ内でピンを回転させるためのトルクを受け入れ、それによって、スリーブを軸方向に圧縮及び変形させ、スリーブの内壁の少なくとも一部分にねじを形成するように構成されている、駆動部分と、を含むピンと、を備える、自己形成ねじブラインド締結具。
条項2.少なくとも部分的にねじが付けられた部分は、ボアに配置されている、条項1に記載のブラインド締結具。
条項3.内壁は狭窄領域を備え、少なくとも部分的にねじが付けられた部分は、狭窄領域の少なくとも一部分にねじを形成するように構成されている、条項2に記載のブラインド締結具。
条項4.狭窄領域は、少なくとも部分的にねじが付けられた部分の外径未満の第1の直径を備える、条項3に記載のブラインド締結具。
条項5.内壁は、少なくとも部分的にねじが付けられた部分を受け入れるように構成された第2の領域を備え、第2の領域は、実質的に管状であり、少なくとも部分的にねじが付けられた部分の外径よりも大きい第2の直径を備える、条項4に記載のブラインド締結具。
条項6.ボアの直径は、第1のスリーブ端部に向かって軸方向にスリーブの長さに沿って減少する、条項1~5のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項7.スリーブは、第1のスリーブ端部に隣接するスリーブヘッド部分を更に備え、スリーブヘッド部分は、スリーブが構造体のボア内に所定の距離を超えて入るのを阻止するように構成されている、条項1~6のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項8.スリーブヘッド部分は、トルクを受け入れるように構成されている、条項7に記載のブラインド締結具。
条項9.スリーブの細長い部分は、部分的なねじ付き領域が内壁にねじを形成し、細長い部分を圧縮することに応じて、球状形状に変形するように構成されている、条項1~8のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項10.ピンヘッド部分は、少なくとも部分的にねじが付けられた領域が内壁にねじを形成することに応じて、細長い部分を圧縮するように構成されている、条項1~9のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項11.駆動部分は、実質的に平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、ねじ、及びタブのうちの少なくとも1つを備える、条項1~10のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項12.ピンは、第1の硬さを有する第1の材料を含み、スリーブは、第2の硬さを有する第2の材料を含み、第2の硬さは、第1の硬さよりも小さい、条項1~11のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項13.ピンは、ブラインド締結具の取り付け時に折れるように構成されたブレイクネック部分を含む、条項1~12のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項14.駆動部分は、実質的に円筒状であり、ブレイクネック部分を備えない、条項1~13のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項15.スリーブヘッド部分、駆動部分、又はそれらの組み合わせに取り付けられたロック構成要素を更に備え、ロック構成要素は、スリーブヘッド部分が締結具の取り付け中に回転することを阻止するように構成されている、条項1~14のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項16.ロック構成要素は、実質的に平坦な側面、リブ、スプライン、窪み、ローレット、ローブ、ボア、切欠かれたソケット、及びタブのうちの少なくとも1つを備える、条項15に記載のブラインド締結具。
条項17.ブラインド締結具は、航空宇宙用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建物及び建設用部品又は構成要素のうちの少なくとも1つとして構成されている構造体のボアに取り付けられるように構成されている、条項1~16のいずれか一項に記載のブラインド締結具。
条項18.締結方法であって、
自己形成ねじブラインド締結具のスリーブの第2のスリーブ端部を構造体のボアに挿入することと、ブラインド締結具は、
スリーブであって、
第1のスリーブ端部と、
第2のスリーブ端部と、
第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部まで延在する細長い部分と、
第1のスリーブ端部から第2のスリーブ端部まで、スリーブを通って長手方向に延在する内壁であって、内壁は、ボアを画定する、内壁と、を含むスリーブと、
ボアによって少なくとも部分的に受け入れられるように構成されたピンであって、
第1のピン端部と、
第2のピン端部と、
第2のピン端部に隣接するピンヘッド部分であって、ピンヘッド部分がボア内に入るのを阻止するように構成された、ピンヘッド部分と、
少なくとも部分的にねじが付けられた部分と、
ピンヘッド部分と少なくとも部分的にねじが付けられた領域との中間のシャンクと、
第1のピン端部に隣接する駆動部分と、を含むピンと、を備え、
ピンの少なくとも部分的にねじが付けられた部分をスリーブの内壁と強制的に接触させ、それによって内壁を変形させ、その上にねじを形成することと、
スリーブの細長い部分を変形させて、その上に球状部を形成することと、を含む、締結方法。
条項19.強制的に接触させることは、ピンを回転させ、ピンヘッド部分を第1のスリーブ端部に向かって軸方向に移動させることを含む、条項18に記載の方法。
条項20.駆動部分は、ブレイクネック部分を更に備え、本方法は、ブレイクネック部分でピンが折れるまで当該ピンを回転させることを更に含む、条項18又は19に記載の方法。
条項21.締結方法であって、
条項1~17のいずれか一項に記載のブラインド締結具のスリーブの第2のスリーブ端部を構造内の穴に挿入することと、
ピンの少なくとも部分的にねじが付けられた部分をスリーブの内壁と強制的に接触させ、それによって内壁を変形させ、その上にねじを形成することと、
スリーブの細長い部分を変形させて、その上に球状部を形成することと、を含む、締結方法。
条項22.航空宇宙用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建物及び建設用部品又は構成要素のうちの少なくとも1つとして構成された構造体であって、条項1~17のいずれか一項に記載のブラインド締結具を備える、構造体。
【0044】
当業者は、本明細書に記載の締結具、締結システム、構造体、方法、操作/アクション、及び対象物、並びにそれらに付随する説明が、概念を明確にするために例として使用され、様々な構成の変形が企図されることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用する場合、論述される特定の例/実施形態及び付随する説明は、それらのより一般的な分類の代表であることが意図されている。一般的に、任意の特定の例の使用は、その分類の代表であることが意図され、特定の構成要素、デバイス、装置、操作/アクション、及び対象物が含まれていないことを制限するものとして解釈されるべきではない。本開示は、本開示の様々な態様及び/又はその潜在的な用途を例示する目的で、様々な特定の態様の説明を提供するが、変形及び修正が当業者に想到されることが理解される。したがって、本明細書に記載の1つ以上の発明は、少なくともそれらが特許請求されるように広範囲であり、本明細書に提供される特定の例示的な態様によってより狭く定義されるものではないと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
100 自己形成ねじブラインド締結具
104 ピン
106 スリーブ
107 内壁
110 ピンヘッド部分
112 ねじが付けられた部分
114 シャンク
116 駆動部分
132 第1のスリーブ端部
134 第2のスリーブ端部
140 細長い部分
142 第1のピン端部
144 第2のピン端部