(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】部品寿命予測システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2023510509
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2022001621
(87)【国際公開番号】W WO2022209167
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2021059112
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 崇
(72)【発明者】
【氏名】金野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 聡志
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 茂行
(72)【発明者】
【氏名】奥 信一
(72)【発明者】
【氏名】米田 知弘
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008524(JP,A)
【文献】特開2020-173556(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132903(WO,A1)
【文献】特開2014-153929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械と通信可能に構成され、前記作業機械の部品の寿命を予測するサーバ装置を備えた部品寿命予測システムであって、
前記サーバ装置は、
前記作業機械の稼働位置の情報を含む前記作業機械の稼働情報を取得し、前記作業機械の稼働情報及び予め記憶された前記作業機械の稼働位置の航空写真に基づいて前記作業機械の使用される業種を推定し、推定した業種に基づいて前記作業機械の部品の寿命を予測
し、
前記サーバ装置は、推定した業種と、予め作成された業種毎のモデル部品の稼働時間と摩耗率との関係とに基づいて、前記作業機械のモデル部品の寿命を予測することを特徴とする部品寿命予測システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記作業機械の稼働位置の航空写真に対し機械学習を行うことにより、前記作業機械の使用される業種を推定する請求項1に記載の部品寿命予測システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記作業機械の稼働情報と、各業種における作業機械の稼働特徴とに基づいて、前記作業機械の使用される業種を推定する請求項1に記載の部品寿命予測システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、推定した業種に基づいて部品の故障要因を更に推定する請求項1~
3のいずれか一項に記載の部品寿命予測システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、部品寿命の予測結果と故障要因の推定結果とを、前記サーバ装置と通信可能に構成される端末に送信する請求項
4に記載の部品寿命予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品寿命予測システム及び保守支援システムに関し、特に作業機械の部品の寿命を予測する部品寿命予測システム及び保守支援システムに関する。
本願は、2021年3月31日に出願された日本国特願2021-059112号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような技術分野として、例えば特許文献1に記載されるように、作業機械の位置情報を基に稼働地域における部品にかかる負荷をサーバから取得し、作業機械の稼働履歴に基づき稼働地域毎の部品の寿命を予測し、部品寿命に達した作業機械に対して警告情報を送信する補給部品生産予測システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の補給部品生産予測システムの場合、稼働地域毎に部品の負荷を対応付けているだけでは精度の高い寿命予測ができるとは言い難い。また、稼働地域における部品にかかる負荷に関するデータは稼働地域毎に予め用意しておく必要があり、過去に稼働した地域であれば部品の寿命を予測できるが、初めての稼働地域の場合はその地域における部品にかかる負荷に関するデータがないので、寿命を予測できない問題がある。その結果、部品の寿命の予測精度が低い。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明は、作業機械の部品の寿命を予測する予測精度を高めることができる部品寿命予測システム及び保守支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品寿命予測システムは、作業機械と通信可能に構成され、前記作業機械の部品の寿命を予測するサーバ装置を備えた部品寿命予測システムであって、前記サーバ装置は、前記作業機械の稼働位置の情報を含む前記作業機械の稼働情報を取得し、前記作業機械の稼働情報及び予め記憶された前記作業機械の稼働位置の航空写真に基づいて前記作業機械の使用される業種を推定し、推定した業種に基づいて前記作業機械の部品の寿命を予測することを特徴としている。
【0007】
本発明に係る部品寿命予測システムでは、作業機械の稼働情報及び予め記憶された作業機械の稼働位置の航空写真に基づいて作業機械の使用される業種を推定し、推定した業種に基づいて作業機械の部品の寿命を予測する。このようにすれば、各業種における作業機械の稼働環境及び稼働特徴を考慮してその業種に応じた部品の寿命予測を行うことができるので、予測精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業機械の部品の寿命を予測する予測精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の部品寿命予測システムを示す概略構成図である。
【
図2】サーバ装置の制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】部品交換履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図6】各業種における作業機械の稼働特徴の一例を示す図である。
【
図7】ユーザ端末に表示されたメッセージの一例を示す図である。
【
図8】サーバ装置の他の制御処理を示すフローチャートである。
【
図9】ユーザ端末に表示された故障要因の一例を示す図である。
【
図10】ユーザ端末に表示された故障要因の一例を示す図である。
【
図11】実施形態の保守支援システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明に係る部品寿命予測システム及び保守支援システムの実施形態について説明するが、実施形態の説明に先立ち、本発明に至った経緯を説明する。
【0011】
油圧ショベル等の作業機械は、様々な業種に使用されている。業種によっては油圧ショベルの稼働環境が大きく異なるので、油圧ショベルの部品の摩耗具合や故障要因も異なる。例えば同型の油圧ショベルであっても、解体に使用される油圧ショベルは、アタッチメントの爪部分の損傷がスクラップや産業廃棄等他の業種よりも激しいので、アタッチメントの爪部分の摩耗の進行が速い。
【0012】
また、同型の油圧ショベルが砕石、産業廃棄、土木工事、レンタル、スクラップ、及び解体の業種にそれぞれ使用された場合において、スプロケット歯先の例を挙げると、レンタル業種におけるスプロケット歯先の摩耗量は最も小さく、スクラップ業種におけるスプロケット歯先の摩耗量は最も大きい傾向にある。これは、スクラップ置き場には他の業種よりも金属片が多いため、それらが油圧ショベルのスプロケットの歯とリンクとの間に巻き込まれて、巻き込まれた金属片を噛んだ状態で作業機械が走行することによって、スプロケット歯先の摩耗の進行が速くなると考えられる。
【0013】
一方、シューラグの例を挙げると、レンタル業種におけるシューラグの摩耗量は最も小さく、砕石業種におけるシューラグの摩耗量は最も大きい傾向にある。これは、砕石場に硬くて尖がっている砕石が多いので、シューラグへのダメージが大きいと考えられる。
【0014】
そこで、本発明者らは、業種の違いによって作業機械部品の摩耗具合や故障要因が変わることに着目し、作業機械が使用される業種を推定し、推定した業種における作業機械の稼働環境と稼働特徴とを考慮して部品の寿命予測を行うことで、予測精度を高めることができるのを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
[部品寿命予測システム]
図1は実施形態の部品寿命予測システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、部品寿命予測システム1は、作業機械2と、作業機械管理サーバ3と、航空写真管理サーバ4と、作業機械2の部品の寿命を予測するサーバ装置10と、ユーザ端末5とを備えている。作業機械2、作業機械管理サーバ3、航空写真管理サーバ4、サーバ装置10及びユーザ端末5は、ネットワーク6を介してそれぞれ通信可能に構成されている。
【0016】
本実施形態において、作業機械2として油圧ショベルの例を挙げて説明するが、作業機械2は油圧ショベルに限定されず、ホイールローダーやブルドーザ等であっても良い。なお、作業機械2は、単体に限られず複数でも良い。各作業機械2は、識別番号が付与されている。
【0017】
図1に示すように、作業機械2は、通信部21と、車体コントローラ22と、記憶部23と、車載センサ24とを有する。通信部21は、例えばネットワーク6と接続するための無線機であり、車載センサ24により検出された各データを作業機械管理サーバ3に送信したり、作業機械2の稼働情報を定期的に(例えば1日1回の頻度で)作業機械管理サーバ3に送信したり、作業機械2の部品交換情報を作業機械管理サーバ3に送信したりする。また、通信部21は、作業機械管理サーバ3から送信された車体コントローラ22の更新プログラムを受信する。なお、車載センサ24により検出された各データ、稼働情報及び部品交換情報を作業機械管理サーバ3に送信する際に、通信部21は作業機械2の識別番号も同時に送信する。
【0018】
車体コントローラ22は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって作業機械2全体の制御を行う。
【0019】
記憶部23は、作業機械2を制御するプログラム、車載センサ24により検出されたデータ等を記憶する。車載センサ24は、作業機械2に取り付けられた各種センサであって、作業機械2の稼働に関する各データを検出し、検出したデータを車体コントローラ22に出力する。車載センサ24としては、例えば作業機械2のアーム、ブーム及びバケットの傾きをそれぞれ検出するIMU(Inertial Measurement Unit)、作業機械2の旋回体の旋回角度を検出する旋回角センサ、走行操作を検出する走行操作センサ等が挙げられる。
【0020】
また、作業機械2には、GPS(Global Positioning System)センサ25が搭載されている。GPSセンサ25は、GPS衛星からの信号を受信するアンテナを有し、複数のGPS衛星から受信した信号の時間差に基づき地球座標系における作業機械2の稼働位置の情報を検出する。
【0021】
作業機械管理サーバ3は、作業機械2のメーカーの本社、支社、工場或いは管理センタに設置され、作業機械2から送信された稼働情報や部品交換の情報等を定期的に収集し、作業機械2の集中管理を行う。作業機械管理サーバ3は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記憶した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって各処理を行う。
【0022】
作業機械管理サーバ3は、通信部31と、稼働日報テーブル32と、部品交換履歴テーブル33と、顧客情報テーブル34とを有する。通信部31は、例えばネットワーク6と接続するための無線機であり、作業機械2から送信された稼働情報や部品交換情報等を受信したり、サーバ装置10からの要求に応じて作業機械2の稼働情報をサーバ装置10に送信したりする。
【0023】
稼働日報テーブル32は、作業機械2から送信された稼働情報に基づいて作成されたものである。稼働日報テーブル32には、例えば
図3に示すように、「号機番号」、「稼働日」、「稼働時間」、「走行時間」、「掘削時間」、「旋回時間」、「燃費」、「緯度」及び「経度」といった項目が記憶されている。号機番号は、すなわち作業機械2の識別番号である。稼働日は作業機械2から送信された稼働情報を受信する日である。稼働時間、走行時間、掘削時間、旋回時間及び燃費は、作業機械2の車載センサ24によって検出されたデータに基づいて算出される。緯度及び経度は作業機械2のGPSセンサ25によって検出されたものである。なお、ここでは、「稼働日」に代えて「稼働日時」としても良い。
【0024】
部品交換履歴テーブル33は、作業機械2から送信された部品交換情報に基づいて作成されたものである。部品交換履歴テーブル33には、例えば
図4に示すように、「号機番号」、「交換日」、「交換部品番号」及び「個数」といった項目が記載されている。顧客情報テーブル34は、作業機械2のユーザである顧客の情報を管理するものである。顧客情報テーブル34には、例えば
図5に示すように、「号機番号」及び「顧客名」が記載されている。
【0025】
航空写真管理サーバ4は、世界各地の航空写真を収集し管理し、ネットワーク6を介して外部に提供する。ここでの航空写真は、空中写真ともいい、定期的に更新されることが好ましい。この航空写真管理サーバ4は、通信部41と、航空写真を記憶する航空写真記憶部42と、地図情報を記憶する地図情報記憶部43とを有する。なお、航空写真管理サーバ4は、地図情報記憶部43を有さなくても良い。
【0026】
また、航空写真管理サーバ4は、作業機械管理サーバ3又はサーバ装置10からの要求に応じて、ある緯度経度(例えば、作業機械2の稼働位置)に対応する航空写真を航空写真記憶部42から抽出し、作業機械管理サーバ3又はサーバ装置10に送信する。
【0027】
ユーザ端末5は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PC(Personal Computer)等であり、作業機械2の保守員又は所有者等に携帯されている。ユーザ端末5は、通信部51と、サーバ装置10から送信された情報を取得する情報取得部52と、取得した情報を表示するためのディスプレイからなる表示部53とを有する。
【0028】
サーバ装置10は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記憶した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって算出、予測及び推定等の処理を行う。
【0029】
本実施形態では、サーバ装置10は、作業機械管理サーバ3から送信された作業機械2の稼働情報と、航空写真管理サーバ4から送信された航空写真とに基づいて、作業機械2の使用される業種を推定し、推定した業種に基づいて作業機械2の部品の寿命を予測し、更に部品の故障要因を推定する。そのため、本実施形態のサーバ装置10は、通信部11と、情報取得部12と、業種推定部13と、部品寿命予測部14と、故障要因推定部15とを有する。
【0030】
通信部11は、例えばネットワーク6と接続するための無線機であり、例えば作業機械管理サーバ3から送信された作業機械2の稼働情報と、航空写真管理サーバ4から送信された航空写真とを受信したり、サーバ装置10からの各情報をユーザ端末5に送信したりする。情報取得部12は、通信部11を介して作業機械管理サーバ3から作業機械2の稼働情報と、航空写真管理サーバ4から航空写真をそれぞれ取得し、取得した情報を記憶する。
【0031】
業種推定部13は、情報取得部12により取得された作業機械2の稼働情報と作業機械2の稼働位置の航空写真とに基づいて、作業機械2の使用される業種を推定する。具体的には、業種推定部13は、まず、作業機械2の過去に使用された業種を特定し、特定した業種と、過去に使用された時の稼働位置の航空写真とを関連付けることにより機械学習用の教師データを作成し、更に作成した教師データに対しディープラーニングで機械学習を行うことで業種推定のモデルを構築する。次に、業種推定部13は、構築した業種推定のモデルを用いて、作業機械2の稼働情報と作業機械2の稼働位置の航空写真とに基づき、該作業機械2の使用される業種を推定する。
【0032】
より具体的には、業種推定のモデルを構築する際に、業種推定部13は、まず、情報取得部12により取得された作業機械2の過去の稼働情報に対して、該稼働情報に含まれた稼働位置の情報(すなわち、緯度経度)を抽出する。次に、業種推定部13は、情報取得部12及び通信部11を介して、抽出した経度緯度に対応する航空写真(すなわち、稼働位置の航空写真)を航空写真管理サーバ4から取得する。
【0033】
次に、業種推定部13は、取得した作業機械2の稼働位置の航空写真と、特定した作業機械2の使用された業種とを用いて機械学習用の教師データ(すなわち、業種名付きの航空写真ファイル群)を作成し、作成した教師データに対してディープラーニングにより、自動的にそれぞれの特徴を抽出することで業種分類を行い、業種推定のモデルを構築する。ここでの業種としては、例えばスクラップ、採石や川砂等の原材料採取、産業廃棄、土木工事、解体、道路工事、鉄鋼・金属、林業、港湾荷役、リサイクル、農業、レンタル等が挙げられる。
【0034】
また、本実施形態の業種推定部13は、取得した作業機械2の稼働情報と、事前に作成された各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づいて、例えば決定木分類により、作業機械2の使用される業種を推定する。ここで、作業機械は業種(稼働現場)に応じて頻繁に行う動作の傾向がある(以下、「稼働特徴」という)。稼働特徴は、すなわち、各業種における作業機械2の使い方の特徴である。
【0035】
具体的には、業種推定部13は、例えば
図6に示すように、横軸が業種(スクラップ、原材料採取、産業廃棄、土木工事)を、縦軸が稼働特徴(アタッチメントの装着や操作、掘削負荷、旋回操作量、無操作時間、及び走行頻度)を示しており、作業機械2の稼働特徴に基づいて決定木分類により業種分類を行う。
図6中の「◎」は凡例が多いこと、「○」は凡例が普通、「△」は凡例が少ないことをそれぞれ示す。なお「凡例」とは、業種に特徴的な作業機械の動作を指す。
【0036】
例えば
図6中のアタッチメントの装着や操作の例を挙げると、スクラップ、原材料採取、産業廃棄及び土木工事のうち、原材料採取、産業廃棄及び土木工事と比べてスクラップの場合はアタッチメントの装着や操作が多いという特徴を有する。同様に、掘削負荷の例を挙げると、スクラップ、原材料採取、産業廃棄及び土木工事のうち、スクラップ、原材料採取、及び土木工事と比べて産業廃棄の場合は掘削負荷が小さいという特徴を有する。なお、アタッチメントの装着や操作、掘削負荷、旋回操作量、無操作時間、及び走行頻度に関する情報は、作業機械2の稼働日報から得られる。
【0037】
また、各業種における作業機械2の稼働特徴として、スクラップの場合は、リフマグ(すなわち、リフティングマグネット)又はフォークによる金属類等の仕分け、積み下ろしが多く、原材料採取の場合は、バケットによる表土はぎ、掘削・積込、プラント積込、ブレーカでの小割が多い。更に、産業廃棄の場合は、バケット又はフォークによる積み下ろし、ならし作業、産廃の移動、表土掛け、あっせつ作業が多く、土木工事の場合は、バケットによる土砂の掘削・積込、土砂の移動、整地、ひきならしが多く、他と比べて旋回操作が多い傾向にある。
【0038】
また、各業種における作業機械2の稼働特徴として、作業機械2の移動距離の違いも挙げられる。例えば、業種が産業廃棄、スクラップ、リサイクル、農業、鉄鋼・製鉄、解体の場合は、作業機械の稼働範囲が一定地域内に限られるため作業機械の移動距離が約100m以内であり走行頻度が少なく、業種が港湾荷役、原材料採取、土木工事、道路工事の場合は、作業機械の移動距離が約500m以内となる。一方、業種が砕石の場合は、作業機械の移動距離が大きくなって約1km以内となり、業種が林業の場合は、作業機械の移動距離が更に大きくなって約3km以内になり、走行頻度が高い。
【0039】
従って、業種推定部13は、各業種における移動距離の違い(言い換えれば、各業種における移動距離の特性)を利用して、業種の分類を行うことができる。なお、作業機械2の移動距離は、作業機械2の稼働日報から得られる。
【0040】
更に、本実施形態では、業種推定部13は、作業機械2の稼働情報と各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づく業種推定の結果を用いて、上記航空写真に対し機械学習を行うことにより構築した業種推定のモデルの精度を高める。すなわち、業種推定部13は、作業機械2の稼働情報と各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づく業種推定の結果と、上記航空写真に対し機械学習を行うことによる業種推定の結果とを合わせて、業種推定のモデルを高精度に構築することができる。このようにすれば、業種分類の精度を更に向上することが可能になる。
【0041】
そして、ある作業機械2が使用される業種を推定したいとき、業種推定部13は、該作業機械2の稼働位置の情報に基づいて該作業機械2の稼働位置の航空写真を航空写真管理サーバ4から取得し、取得した航空写真と上記構築した業種推定のモデルとに基づいて、該作業機械2が使用される業種の推定を行う。
【0042】
このとき、業種推定部13は、業種を推定したい相手である作業機械2の稼働情報と各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づいて業種を更に推定し、その推定結果と上記航空写真及び業種推定のモデルに基づいた業種推定の結果とを合わせることで、業種推定の精度を高めることが好ましい。なお、業種推定部13の推定結果は、機械学習用の教師データにフィードバックされることが更に好ましい。
【0043】
部品寿命予測部14は、業種推定部13により推定された業種に基づいて、作業機械2の部品の寿命を予測する。具体的には、部品寿命予測部14は、予め作成された業種毎のモデル部品の稼働時間と摩耗率との関係グラフやテーブル等を用いて、作業機械2の稼働時間(総稼働時間)に基づいてその業種のモデル部品の寿命を予測する。本実施形態において、部品の寿命とは、現在の使用条件で稼働し続けた場合に該部品の残存使用時間を意味する。なお、業種毎のモデル部品は一つでも良く複数でも良い。
【0044】
また、部品寿命予測部14は、作業機械管理サーバ3の部品交換履歴テーブル33に記憶された部品の交換履歴を参照してモデル部品の寿命予測を行う。例えば、あるモデル部品が交換されると、その部品に関する総稼働時間をリセットして再計算することになる。
【0045】
故障要因推定部15は、業種推定部13により推定された業種に基づいて、その業種における作業機械2の故障傾向を考慮して故障要因を推定する。業種毎の作業機械2の故障傾向は、業種毎の過去の故障要因を統計的に処理することにより抽出される。
【0046】
例えば業種がスクラップの場合は、スクラップ置き場の金属片が油圧ショベルの足回り部品に挟まることが多く、金属片の挟みに起因する走行部品の故障が多く発生する傾向がある。従って、作業機械2の使用された業種がスクラップであると推定され、且つ走行部品に異常が検出された場合、故障要因推定部15は、上述の故障傾向を考慮し、金属片の挟みの原因による故障か否かを重点的に推定する。
【0047】
また、業種が土木工事の場合は、土や砂がエアクリーナー等の部品に侵入し易く、エンジンの異常燃焼を引き起こす傾向がある。従って、作業機械2の使用された業種が土木工事であると推定され、且つエンジンの異常燃焼が発生した場合、故障要因推定部15は、土や砂のエアクリーナーへの侵入による原因か否かを重点的に推定する。
【0048】
そして、サーバ装置10は、業種推定部13により推定された結果と、部品寿命予測部14により予測された結果と、故障要因推定部15により推定された結果とをユーザ端末5に送信する。
【0049】
以下、
図2を参照してサーバ装置10の制御処理について説明する。
【0050】
まず、ステップS11では、サーバ装置10の情報取得部12は、通信部11を介して作業機械管理サーバ3から作業機械2の稼働情報を取得する。ステップS11に続くステップS12では、情報取得部12は、取得した作業機械2の稼働情報から作業機械2の稼働位置の情報(緯度経度)を抽出し、該稼働位置の航空写真を通信部11を介して航空写真管理サーバ4から取得し、記憶する。ここでの稼働情報取得(ステップS11)及び航空写真取得(ステップS12)は、例えば情報取得部12により所定周期で自動的に行われる。
【0051】
ステップS12に続くステップS13では、業種推定部13は、上述したように、取得した稼働情報と航空写真とに基づいて機械学習用の教師データを作成し、業種推定のモデルを構築する。
【0052】
ステップS13に続くステップS14では、サーバ装置10は、部品の寿命を予測したい作業機械2の稼働位置の情報(緯度経度)を取得し、該緯度経度の情報により航空写真を航空写真管理サーバ4から取得する。部品の寿命を予測したい作業機械2については、サーバ装置10は、作業機械管理サーバ3からの指示に従って決定しても良く、あるいは自ら決定しても良い。
【0053】
ステップS14に続くステップS15では、業種推定部13は、上述したように、取得した航空写真と作業機械2の稼働情報とに基づいて、部品の寿命を予測したい作業機械2の使用された業種を推定する。すなわち、上記航空写真と業種推定のモデルとに基づく業種推定、及び、上記作業機械2の稼働情報と各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づく業種推定の両方を用いて、業種推定を行う。
【0054】
ステップS15に続くステップS16では、部品寿命予測部14は、ステップS15で推定した業種の結果に基づいて、業種毎のモデル部品の寿命を予測する。モデル部品とは寿命予測の際のベンチマーク(指標)となる部品を言う。具体的には、まず、サーバ装置10は、ステップS15で推定した業種の結果に基づいて該業種のモデル部品を抽出する。例えば、ステップS15において作業機械2の使用された業種がスクラップであると推定された場合、サーバ装置10は、スクラップのモデル部品としてのスプロケットを抽出する。
【0055】
次に、部品寿命予測部14は、予め作成されたスプロケットの稼働時間と摩耗率との関係グラフを基に、作業機械2の稼働時間(総稼働時間)に基づいてスプロケットの寿命を予測する。更に、部品寿命予測部14は、予測したスプロケットの寿命に基づいて、該スプロケットの交換時期を算出する。
【0056】
ステップS16に続くステップS17では、サーバ装置10は、業種毎のモデル部品交換時期が閾値以上であるか否かを判定する。例えば、サーバ装置10は、部品寿命予測部14により算出されたスプロケットの交換時期を予め設定された閾値と比較し、該スプロケットの交換時期が閾値以上である否かを判定する。ここでの閾値は、注意喚起のアラームを発報する目安であり、例えば交換時期の90%として設定されている。なお、この閾値は状況に応じて適宜変更しても良い。
【0057】
そして、業種毎のモデル部品交換時期が閾値以上でないと判定された場合、制御処理は終了する。一方、業種毎のモデル部品交換時期が閾値以上であると判定された場合、制御処理はステップS18に進む。ステップS18では、サーバ装置10は、通信部11を介してユーザ端末5にアラームを通知するとともに、部品の累積ダメージと交換までの予測値とを確認できるアドレスを記載したメールもユーザ端末5に送信する。
【0058】
部品の累積ダメージは、例えば作業機械2が過去に使用された業種の割合を参照して算出される。一例として、作業機械2が過去に使用された業種の割合はスクラップ70%、産業廃棄30%の場合、「累積ダメージ(%)=スクラップ業種の係数×70%+産業廃棄業種の係数×30%」により算出される。スクラップ業種の係数は例えば1、産業廃棄業種の係数は例えば0.5と設定される。また、作業機械2が過去に使用された業種の割合は原材料採取50%、土木工事50%の場合、「累積ダメージ(%)=原材料採取業種の係数×50%+土木工事業種係数×50%」により算出される。なお、交換までの予測値は、部品があとどの位の時間で寿命の閾値に達することを示す値である。また、このとき、部品の損傷度と交換時期との相関を示すグラフも同時にユーザ端末5に送信しても良い。
【0059】
そして、ユーザ端末5において、受信したメールに添付されたアドレスをクリックすると、
図7に示すように、「現在の使用条件で稼働した場合、あと100時間で寿命の閾値を迎えます。部品の発注等を検討下さい。」といったメッセージが表示部53に表示される。メッセージはテキストメッセージに限られず、寿命の閾値が高い順に「A(交換推奨度:高)」、「B(交換推奨度:中)」、「C(交換推奨度:低)」、などの簡略化した分類での表示であってもよい。作業機械2の所有者等は、表示されたメッセージを見て、部品の寿命を容易に把握できるので、部品の購入計画をより立てやすくなる。また、メッセージはテキスト表示に限られず、たとえば作業機械のイメージ画像を表示し、該当する箇所を明滅することで表示してもよい。明滅に際しては、寿命の閾値が高い(交換時期が近付いている)順に、赤・黄・青などの色で表示し、明滅している箇所をタップすることで故障に関する情報(概要)をさらに通知する構成としてもよい。また、故障している箇所はユーザ端末の操作画面上でのピンチイン・ピンチアウトの操作によって、任意に拡大・縮小しうる。こうすることで、作業機械2の部位の累積ダメージと寿命を直感的に視認することができる。また、交換時期などの対策の概要を把握することが可能になる。
【0060】
なお、業種毎のモデル部品は一つでも良く複数でも良い。複数の場合、ステップS16ではそれぞれのモデル部品の寿命予測、及び交換時期が算出され、ステップS17ではそれぞれのモデル部品に関する交換時期と閾値との比較が行われる。そして、複数のモデル部品のうち、一つの部品交換時期が閾値以上であると判定されれば、ユーザ端末5へのアラーム通知及びメール送信が行われる。
【0061】
以上のように構成されたサーバ装置10では、作業機械2の稼働位置の情報を含む作業機械2の稼働情報と作業機械2の稼働位置の航空写真とを取得する情報取得部12と、取得した作業機械2の稼働情報及び稼働位置の航空写真に基づいて機械学習で作業機械2の使用される業種を推定する業種推定部13と、推定した業種に基づいて作業機械2の部品の寿命を予測する部品寿命予測部14とを有する。このようにすれば、各業種における作業機械2の稼働環境及び稼働特徴を考慮してその業種に応じた部品の寿命予測を行うことができるので、予測精度を高めることができる。
【0062】
その結果、作業機械2のユーザ又は代理店等に部品交換の提案をタイムリーに行うことが可能になるので、部品の故障による稼働時間のロスを防止することができる。また作業機械2の稼働情報及び作業機械2の稼働位置の航空写真を用いて機械学習で業種推定のモデルを構築することで、構築した業種推定のモデルの精度を高めることができるとともに、初めての工事場所においても業種を推定することができる。
【0063】
なお、本実施形態のサーバ装置10の制御処理は上述したものに限らず、例えば
図8に示す制御処理を行うことができる。
【0064】
図8に示すステップS21~S23は上述したステップS11~S13と同じであるため、重複説明を省略する。ステップS23に続くステップS24では、故障要因推定部15は、上述したように、業種毎の過去の故障要因を統計的に処理し、業種毎の作業機械2の故障傾向を抽出する。
【0065】
ステップS24に続くステップS25では、サーバ装置10は、異常検出か否かを判定する。このとき、サーバ装置10は、作業機械2の車載センサ24により検出されて通信部21を介して送信された検出の結果に基づいて、異常検出があるか否かを判定する。このステップS25は、異常検出まで繰り返し実行される。
【0066】
そして、異常検出があったと判定された場合(Y)、制御処理はステップS26に進む。ステップS26では、業種推定部13は、上述したように、取得した航空写真と作業機械2の稼働情報とに基づいて、異常が検出された作業機械2の業種を推定する。具体的には、サーバ装置10の情報取得部12は、異常が検出された作業機械2の稼働位置の情報(緯度経度)を取得し、該稼働位置の航空写真を航空写真管理サーバ4から取得する。次に、業種推定部13は、上記ステップS15と同じ処理を行い、異常が検出された作業機械2の業種推定を行う。
【0067】
ステップS26に続くステップS27では、故障要因推定部15は、ステップS24で抽出した業種毎の作業機械2の故障傾向を用いて、ステップS25で検出した異常に関する故障要因を推定する。
【0068】
ステップS27に続くステップS28では、サーバ装置10は、通信部11を介してユーザ端末5に部品が故障している可能性がある旨のアラームを通知するとともに、推定した故障要因等を確認できるアドレスを記載したメールもユーザ端末5に送信する。
【0069】
そして、ユーザ端末5において、受信したメールに添付されたアドレスをクリックすると、
図9及び
図10に示すように、「故障アラーム名」、「業種推定」及び「要因推定」に関する内容が表示部53に表示される。例えば、
図9に示す例では、業種としては土木工事と推定され、異常燃焼の故障要因としては、エンジン部品に砂が混在している可能性があると推定される。
図10に示す例では、業種としてはスクラップと推定され、走行部品の故障要因としては、足回り部品に金属片が挟まっている可能性があると推定される。そして、作業機械2の所有者等は、表示された内容を見て、故障要因を容易把握することができ、故障への対策等の措置を容易に講じることができる。また、これによって、作業機械2の保守員の作業効率の向上も図ることができる。
図7と同じく、故障要因の表示はテキスト表示に限られない。すなわち、故障アラームに該当する故障内容は作業機械のシルエットを示すイメージ図を表示するとともに、該当箇所を明滅することで表示してもよい。その際、
図7の例と同じく、明滅している箇所をタップすることで、業種推定などの情報が付加的に表示されるが、確率はパーセント表示であってもよい。その際、業種推定の確率が少なくとも2つの業種で近似する場合(たとえば、土木工事(45%)、産業廃棄(40%))、もっとも確率の高い業種とその次に確率の高い業種が併記される。近似の範囲は任意に設定することとしてもよい。このような表記によって作業機械2の保守員は故障に関する情報を直感的に把握することができ、もっとも高い確率の業種推定の特定が困難な場合であっても、次点の業種も想定した柔軟な準備をすることが可能となる。
【0070】
[保守支援システム]
以下、
図11を基に保守支援システム100について説明する。保守支援システム100は、サーバ装置10Aの構造において上述の部品寿命予測システム1と異なっている。その他の構造は、部品寿命予測システム1と同様であるため、部品寿命予測システム1と同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0071】
図11に示すように、保守支援システム100は、保守員等の保守作業を支援するためのシステムであり、稼働位置の情報を含む作業機械2の稼働情報を収集する作業機械管理サーバ3、及び位置情報に基づく航空写真を記憶する航空写真管理サーバ4と通信可能に構成されるサーバ装置10Aを含む。上述の部品寿命予測システム1と同様に、作業機械管理サーバ3は収集した作業機械2の稼働情報をサーバ装置10Aに送信し、サーバ装置10Aは作業機械2の稼働情報を航空写真管理サーバ4に送信し、航空写真管理サーバ4は作業機械2の稼働情報に含まれる稼働位置の情報に対応する航空写真を抽出してサーバ装置10Aに送信する。
【0072】
また、サーバ装置10Aは、作業機械2の稼働情報及び作業機械2の稼働位置の航空写真に基づいて作業機械2の使用される業種を推定する。更に、サーバ装置10Aは、作業機械2の稼働情報と、各業種における作業機械2の稼働特徴とに基づいて作業機械2の使用される業種を推定する。
【0073】
上述の部品寿命予測システム1のサーバ装置10と比べて、サーバ装置10Aは、部品寿命予測部14及び故障要因推定部15を有しておらず、通信部11、情報取得部12及び業種推定部13のみによって構成されている。このサーバ装置10Aは、業種推定部13により推定された業種の結果を保守員の端末(すなわち、ユーザ端末5)に送信する。このとき、サーバ装置10Aは、推定した業種の結果とともに、予測精度も送信するのが好ましい。保守員は、送信された結果を見て作業機械2の使用される業種を把握し、更にその業種に適合する保守ツールを現場に持っていくことができる。その結果、必要としないツールの携帯による保守員の負荷増加を防止し、保守作業の効率を向上することができる。
【0074】
本実施形態の保守支援システム100によれば、上述の部品寿命予測システム1と同様に、作業機械2の部品の寿命を予測する予測精度を高めることができるので、保守作業の効率の向上を図ることが可能になる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0076】
1 部品寿命予測システム
2 作業機械
3 作業機械管理サーバ
4 航空写真管理サーバ
5 ユーザ端末
10,10A サーバ装置
11 通信部
12 情報取得部
13 業種推定部
14 部品寿命予測部
15 故障要因推定部
24 車載センサ
25 GPSセンサ
32 稼働日報テーブル
33 部品交換履歴テーブル
42 航空写真記憶部
53 表示部
100 保守支援システム