(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】調整可能なラップを備えるくるみデバイス
(51)【国際特許分類】
A41B 13/06 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A41B13/06
(21)【出願番号】P 2020542133
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019016435
(87)【国際公開番号】W WO2019152899
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-27
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519409017
【氏名又は名称】スワドルデザインズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダミール リネット
(72)【発明者】
【氏名】ダミール ジェフリー
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0174619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113331(US,A1)
【文献】米国特許第05621917(US,A)
【文献】国際公開第2016/118809(WO,A1)
【文献】実開昭55-132108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B13/06-13/08
A41D27/10
A41D10/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポッド、ウェアラブルブランケット、寝袋の形状のくるみデバイス(100)であって、
左側、右側、上部、中央部、および底部を有する袋(101)であって、前記袋(101)は、乳児を実質的に囲むように構成され、前記袋(101)は、首開口部を含み、底部は
電球型であり、乳児(502)の腰と膝の両方を屈曲及び又は外転させることができ
ることを特徴とする、袋(101)と、
前記首開口部(102)の第1の側で前記袋(101)に結合される第1のスリーブ部(104a)と、
前記首開口部(102)の第2の側で前記袋(101)に結合される第2のスリーブ部(104b)であって、前記第2の側が前記第1の側の反対側である、第2のスリーブ部と、
前記乳児(502)の腕および胴体の一部をくるむように操作可能なラップ(110)であって、前記ラップ(110)は、前記首開口部(102)から前記袋(101)の前記底部に延びる第2の軸(122)に対して垂直な第1の軸(120)に沿って延び、前記ラップ(110)は、前記第1の軸(120)に沿って測定される長さを有し、前記長さが、前記袋(101)の
前記上部の最大周囲長の少なくとも1.5倍であり、前記ラップ(110)は、上端および下端を有し、前記上端が、前記首開口部(102)より下にあり、前記下端が前記上端より下で、前記袋(101)の前記底部より上にあり、前記ラップ(110)は、乳児(502)が屈曲した状態及び又は外転した状態で片方又は両方の脚に可動域を提供するように、25.4cmから33cmの間の最大幅を有するものであることを特徴とする、ラップ(110)と、を含み、
前記くるみデバイス(100)は、前記乳児(502)の動きを少なくとも部分的に制限してそれにより前記乳児(502)のモロ反射を抑制する一方で、また前記乳児(502)の胴体
を包囲し、それによ
り一定の圧力をそこに提供する、くるみデバイス(100)。
【請求項2】
前記底部は、前記中央部の平均周囲長より長い平均周囲長を有し、前記底部は、前記乳児がその腰と膝を曲げたり伸ばしたりする余地を提供すると同時に、
動きの範囲を制限し、モロ反射の部分的抑制を提供するように構成される、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項3】
前記ラップ(110)は、前記第2の軸(122)に沿って測定された前記上端と下端の間の最大幅を有し、前記最大幅が、33cm未満である、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項4】
前記ラップ(110)の前記下端は、前記袋(101)の前記中央部の最も狭い部分より下であって、10.16cmを超えて下ではない、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項5】
前記ラップ(110)の長さは、前記袋(101)の前記上部の最大周囲長の少なくとも2倍であり、前記ラップ(110)が前記ラップを固定するためのファスナを含まない、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項6】
前記ラップ(110)は、前記ラップ(110)を固定するように構成される少なくとも1つのフックファスナ(114)と少なくとも1つのループファスナ(116)を含む、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項7】
前記ラップ(110)は、前記袋(101)の後部布パネルに取り付けられる布パネルを含み、前記ラップ(110)は、前記袋(101)の前部布パネルに取り付けられる、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項8】
前記ラップ(110)の下縁が、少なくとも2か所(138a,138b)で前記袋(101)の前記前部布パネルに縫いとじられる、請求項
7に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項9】
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は、前記くるみデバイス(100)の肩線より上に遠位端を有するY字形構成で上方へ延び、前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は、前記乳児(502)の腕の動きを制限するように構成される、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項10】
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)はそれぞれ、介護者によって選択的に開放可能な遠位端を有し、その結果、前記遠位端が開位置にあるとき、前記乳児(502)の手が露出し、前記遠位端が閉位置にあるとき、前記乳児(502)の前記手が、前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)内に囲まれる、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項11】
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)はそれぞれ、前記介護者によって選択的に開放可能なミトンカフス(106a,106b)を含み、前記ミトンカフス(106a,106b)は、前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)の内部へのアクセスを可能にするため前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)の材料をそれ自体の上に戻すことによって開かれる、請求項
10に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項12】
前記中央部は
、33~43.2cmの平均周囲長を有して、乳児(502)の腹に
圧力を提供し、前記底部は、前記中央部の周囲長より50%長い平均周囲長を有する、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項13】
前記ラップ(110)は、前記乳児(502)の一方または両方の腕が前記ラップの外側にありながら、前記乳児をくるむように操作可能であり、前記乳児(502)の両方の腕が前記ラップ(110)の外側に
あって前記第1のスリーブ部と前記第2のスリーブ部の内側にあるとき、
前記第1のスリーブ部と前記第2のスリーブ部は、腹臥位のとき、自分の胴体を持ち上げて自分の頭の位置を変えるため乳児が十分な可動範囲で自分の腕を使うことをさらに可能にし、モロ反射に関連する腕の動きを部分的に抑制する、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項14】
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は、前記くるみデバイス(100)の肩線より上に遠位端を有するY字形構成で上方へ延び、前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)はそれぞれ、ミトンカフス(106a,106b)が開いているとき、乳児(502)が自分の手を口に容易にアクセスでき、口の中に入れることができるように
7.6~10.2cmのスリーブ長を有する、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項15】
前記袋(101)は、前記乳児(502)用の前記袋(101)への入口および前記乳児(502)用の前記袋(101)からの出口を提供する双方向ジッパー(108)
を含み、前記ジッパー(108)
は、前記首開口部(102)から前記袋(101)の前記中央部を通って前記袋(101)の前記底部まで下方へ延び、前記ジッパー(108)
は、前記乳児(502)が前記ラップ(110)に囲まれていても、前記乳児(502)によって履かれたおむつにアクセスするように操作可能である、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項16】
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は、乳児(502)の腕と手が前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)内に収まるための十分な余地を可能にし、それにより乳児(502)が、胸に手を載せる、肘と肩に並んだ手が体のそばにある、腕がタッチダウン位置で肩の上に達することを含む複数の自然な姿勢で眠ることを可能にし、前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は
乳児の腕の完全な伸張を防ぐための抵抗を提供する寸法決めがされ、その結果制限された移動を可能にして、モロ反射に関連する腕の動きを部分的に抑制し、
前記第1のスリーブ部(104a)および前記第2のスリーブ部(104b)は7.6~10.2cmのスリーブ長を有する、請求項1に記載のくるみデバイス(100)。
【請求項17】
くるみデバイスであって、
首開口部
と中央部を含み、実質的に乳児を囲むように構成される袋であって、乳児の腰と膝の両方を屈曲及び又は外転させることができるように、
電球型であることを特徴とする袋と、
前記首開口部の第1の側で前記袋に結合される第1のスリーブ部と、
前記首開口部の第2の側で前記袋に結合される第2のスリーブ部であって、前記第2の側が前記第1の側の反対側である、第2のスリーブ部と、
前記乳児の腕と胴体の一部をくるむように操作可能なラップであって、前記ラップが前記袋の最大周囲長より長い長さを有し、前記ラップが前記乳児の腰より上に位置する下縁を有し、前記ラップは、乳児が屈曲した状態及び又は外転した状態で片方又は両方の脚に可動域を提供するように、25.4cmから33cmの間の最大幅を有するものであることを特徴とするラップと、を含み、
前記くるみデバイス
の前記第1のスリーブ部および前記第2のスリーブ部と、前記ラップのいずれか一方または両方は、前記乳児の動きを少なくとも部分的に制限してそれによりモロ反射を抑制する一方で、
前記中央部と前記ラップが前記乳児の腹
を包囲し、それにより
一定の圧力をそこに提供する、くるみデバイス。
【請求項18】
前記袋は前部パネルと後部パネルを含み、前記ラップは2つの別々の場所でステッチによって前記前部パネルに取り付けられる、請求項
17に記載のくるみデバイス。
【請求項19】
前記第1のスリーブ部および前記第2のスリーブ部はそれぞれ、介護者によって選択的に開放可能な遠位端を有し、その結果、前記遠位端が開位置にあるとき、前記乳児の手が露出し、前記遠位端が閉位置にあるとき、前記乳児の前記手が、前記第1のスリーブ部および前記第2のスリーブ部内に囲まれる、請求項
17に記載のくるみデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乳児用のくるみデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な従来技術のくるみデバイスは、乳児が自分の手への皮膚と皮膚のアクセスを有することができない。乳児が自分の手にアクセスするのを防止する従来のくるみポッドの設計の例は、米国特許第8,607,364号に記載されている。吸い込んで自己やすらぎを得るための乳児の手へのアクセスを防止するこの従来のくるみポッドの設計は、乳児にとってその手にアクセスすることが非常に重要であるので、乳児の最大の関心事ではない。
【0003】
従来のくるみポッドの設計の別の例は、米国特許第9,179,711号に記載されている。記載されている設計は、乳児が袋の布を通してその手を吸うことを可能にするが、皮膚と皮膚との直接のアクセスがない寝袋である。乳児が布を通して吸うことを要求するこの従来のくるみポッドの設計は、皮膚と皮膚との接触がより自然であるため、理想的でないかまたは乳児の最大の関心事ではない。加えて、乳児が布を吸っている場合、乳児は、衣服を洗濯して乾燥させた後に布に残存する、洗剤または柔軟剤を摂取することになる。
【0004】
従来のくるみデバイスの設計の別の例は、米国特許第7,246,392号に記載されている。記載されている設計は、典型的にはフックアンドループファスナを含んで、乳児の腕を長くて幅広いラップの機能で抑制する。腰の下に延びるこの設計におけるラップの幅により、乳児がその腰と膝を曲げる、かつ/または伸ばすことが難しくなる。両親に不適切に使用されたり、過度にきつく引っ張られたりした場合、この設計では、可動性を損ない、股関節形成不全の危険を増す。加えて、ラップは、乳児の腰の下にかなり延びるので、ラップを外すことなくおむつを取り替えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、従来技術の設計は、ラップと組み合わされた一体型スリーブまたは乳児の腕を抑制する機構を含まない。加えて、多くの乳児は、一方または両方の腕を頭の上にして抑制されない状態で眠るのを好み、従来技術の設計は、腕がラップの外にあるとき、モロ反射を抑制するまたは部分的に抑制する機能を提供しない。したがって、典型的な従来技術の設計は、乳児が一つまたは複数の腕をスリーブの中に入れラップの外側に出した状態で寝るためのオプションを提供することによってこのニーズに対処することができない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、第1の実施形態によるくるみデバイスの、カフスが開位置にある、正面図および背面図を示す線図である。
【0007】
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、第1の実施形態によるくるみデバイスの、カフスが閉位置にある、正面図および背面図を示す線図である。
【0008】
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、第2の実施形態によるくるみデバイスの、カフスが開位置にある、正面図および背面図を示す線図である。
【0009】
【
図4】
図4は、第3の実施形態によるくるみデバイスの、折り返しミトンカフスを有しない、正面図を示す線図である。
【0010】
【
図5】
図5は、くるみデバイスの例示的な実施形態における乳児を示す線図である。
【0011】
【
図6A】
図6A~6Cは、くるみデバイスの例示的な実施形態の図を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、調整可能ラップを備えるくるみ袋(「SSAW」)と呼ばれる場合がある、くるみデバイスを提供する。SSAWは、乳児用の革新的なくるみポッド、ウェアラブルブランケット、寝袋である。SSAWは、乳児をくるむように操作可能な付属の調整可能ラップを含む。SSAWのいくつかの実施形態はまた、自己やすらぎのために乳児が手への完全なアクセスを有することを可能にする折り返しミトンカフスを備える独自に変更され形状設定されたスリーブを含み、その設計は、乳児のための複数の自然な腕の位置オプションをサポートする。
【0013】
SSAWの革新的な設計は、安全で使いやすい複数の利点を介護者に提供する。SSAWは、その使用に対していくつかの異なるオプションを提供する。第1の構成では、乳児は、胸または乳児の正中線上に両腕を置いて、手を下げるか上げるかいずれかの状態で、顔の近くにもってくる姿勢でくるまれることができる。手を顔の近くに持ってくることにより、乳児はさらに以下で説明する自己やすらぎが可能になる。第2の構成では、乳児は、片方の腕がラップの外側にある姿勢でくるまれることができる。この方法で乳児を包むことで、スリーブおよびカフスの設計によって達成されるラップの外側にある腕にモロ反射の部分的な抑制を有するくるみの利点を提供する。第3の構成では、乳児は、両方の腕がラップの外側にある姿勢でくるまれることができる。この方法で乳児を包むことにより、スリーブおよびカフスの設計によって達成されるラップの外側にある腕に乳児の胴体上の圧力の、モロ反射の部分的な抑制を有するくるみの利点を提供すると同時に、乳児が腹の上で寝返りする場合に乳児の可動性を増すことによって安全に関する利点も提供する。
【0014】
SSAWは、介護者が乳児の腕を乳児の体の近くに配置して容易にくるむことができるフックアンドループファスナを備えるくるみラップを含む。0~3か月までの多くの新生児で、腕がぴったりとくるまれているとき、その手へのアクセスを可能にして乳児が自己やすらぎを得ることを可能にすることで、モロ反射により引き起こされる目覚めを減らすことができると研究は示す。一部の新生児では、手へのアクセスによって、乳児が自身の顔を引っ掻くことになり、親と乳児に苦痛をもたらすが、引っ掻く癖を持つ乳児に対して、親は折り返しカフスを閉じて引っ掻きを防止し、乳児が木綿布を通して手を吸えるようにできる。
【0015】
SSAWラップは、従来技術のくるみに比べて比較的狭く、典型的には、乳児の腰の下、または膝の下に延びる。SSAWの狭いラップは、複数の利点を提供する。狭いラップは、乳児の腰および膝を上向きおよび外向きの位置に(屈曲および外転)する余地を提供し、国際股関節形成不全研究所(International Hip Dysplasia Institute)によって推奨されるように乳児の脚に可動域を提供する。加えて、狭いラップは、ラップを外す必要なく、おむつを交換するためのアクセスを可能にする。
【0016】
SSAWのいくつかの実施形態は、折り返しミトンカフス、介護者が乳児に自分の手へのアクセス(接触)を提供するための2つのオプションを可能にする重要な革新を含む。第1のオプションでは、SSAWは、乳児が開位置の折り返しミトンカフスを介して自分の手への皮膚と皮膚(手と口、手と手、手と顔)のアクセスを有することを可能にする。第2のオプションでは、SSAWは、介護者が選択した場合、折り返しミトンカフスを介して手の開口部を閉じることができ、乳児は、自己快適さのためにまだ顔に手を持ってくることができる。
【0017】
他の利用可能なくるみポッドの設計は、乳児が自分の手への皮膚と皮膚のアクセスを有するのを可能にしないので、SSAW折り返しミトンカフスの機能は、革新的で重要である。上述のように、従来技術のくるみポッドは、乳児の手に皮膚と皮膚の接触を可能にしない。対称的に、開いたカフス位置で、SSAWは、乳児が自分の手と皮膚と皮膚の接触にアクセスし経験する十分な機会を提供する。
【0018】
このSSAWの設計は革新的であり、手へのアクセスを有して自然の位置にある乳児をサポートすることを可能にする。乳児が、自己やすらぎして、自分の手を吸って、乳児が空腹であり授乳の準備ができていることを介護者に伝えることができることは非常に重要である。活発に手を吸うことは、空腹感および最初の乳児キューの兆候である。泣くことは、空腹感の遅い兆候である。幼児の研究者および幼児の専門家は、乳児と介護者の間の最初のコミュニケーションが重要であると考えているので、介護者は、適切に応答できて、このキューで乳児に授乳することができる。授乳によって満たされるキューのこの早めの行為は、健全な関係の基礎である信頼を確立する。授乳の専門家は、この乳児キューは、母乳育児の母親にとって、母乳育児、母乳の低下と供給、および乳児主導の授乳手順を確立するのを助けるために重要であると考える。手の吸引はまた、幼児の胃腸管の成熟、手の制御の成熟を助け、乳児に快適さも提供する。吸引は、乳児にとって最も組織的な行動であり、睡眠/覚醒の制御を助ける。加えて、乳児は、それにより学習し、安心感を持ち、コミュニケーションする手や口の周りに多くの神経終末を有する。
【0019】
従来のくるみポッドの設計は、乳児が布を通して吸うことによって手を吸うことができたが、乳児介護者および授乳の専門家は、乳児にとって布の層なしで手への皮膚から皮膚への直接のアクセスを有することが重要であることに同意する。加えて、洗濯後に洗剤や化学物質が布地に含まれる危険性があるため、乳児が布地を吸わないことはより安全で好ましく、それは、布地に含まれる洗剤や化学物質に関連する暴露とリスクを最小化する。
【0020】
SSAWは、モロ反射を抑制するためにくるみ様のサポート状態に乳児をサポートし、乳児が複数の腕の位置オプションを有する自然のサポート位置にて背中で眠ることを可能にし、モロ反射またはびっくり反射に起因する目覚めが少なくより長い乳児の眠りを含むくるみの利点を享受するように設計される。その設計は、以下に記載する乳児の低部領域、中央領域、および上部領域に対して最適化される。
【0021】
低部領域(腰および脚)では、SSAWは腰と脚の周りにきつくなく、腰と膝を曲げることができ、脚を動かすための十分な余地を提供する。中央領域(胴体)では、調整可能な羽を備えるくるみ袋は、中央部と腹の周りにサポートを提供するため比較的ぴったりしていて、乳児が安心感を持つ助けとなる。
【0022】
上部領域(胸、腕および手)では、SSAWはぴったりしているが、きつ過ぎず、付属のラップでモロ反射に関連する動きを抑制する。独自に形状設定されたスリーブを有するSSAWにより、(1)両手が開いた折り返しカフスによって覆われていない、乳児が乳児キューと自己やすらぎのために皮膚と皮膚の吸引に使用できる状態で両腕を曲げて正中線に置く、(2)片方の手が折り返しカフスに覆われ、片方の手が覆われてなく、乳児が乳児キューと自己やすらぎのために皮膚と皮膚の吸引に使用できる状態で両腕を曲げて正中線に置く、(3)両手が覆われているが、自己安らぎのため口に届く範囲にある状態で両腕を曲げて正中線に置く、(4)手が覆われているかまたは覆われてない状態で片方の腕が肩より上に伸びている、手が覆われているかまたは覆われてない状態で片方の腕を正中線に置く、(5)手が覆われているかまたは覆われてない状態で両腕が肩より上に延びることを含む、(特定の実施形態に提示される場合)折り返しカフスのための複数の構成と組み合わされた複数の腕の位置が可能になる。
【0023】
いくつかの実施形態では、重要な利点は、本明細書に記載の折り返しカフス、スリーブ設計、および狭いラップの組み合わせから生まれる。具体的には、カフスが閉じているとき、乳児は、ラップの下縁をつかむため手を簡単に使い、ラップを、危険な状態をもたらし得る首と顔の領域まで引き上げることができない。したがって、カフスおよびスリーブの設計は、狭いラップと共に働いて、安全に関する利点およびおむつ交換のためのアクセスが改善され、腰と膝の可動性が増したことを含む利点をもたらす。
【0024】
図1A、1B、2A、および2Bは、第1の実施形態によるくるみデバイス100の様々な図および校正を示す線図である。
図1Aに示すように、くるみデバイス100は、乳児用の入口および出口を可能にするための首開口部102を有する袋部101、第1のスリーブ104a、第2のスリーブ104b、ラップ110、および双方向ジッパー108を含む。他の実施形態では、スナップまたはその他のファスナが、ジッパー108の代わりに使用され得る。
【0025】
ラップ110は、確実に乳児をくるむように構成される。ラップ110は、通常、少なくともデバイス110の袋部の最大周囲長と同じ長さである。ラップ110は、第1のループファスナ部112、2つのフックファスナ部114、およびラップの後部上の第2のループファスナ部116(
図1Bに見られる)を含む。2つのフックファスナ114は、洗濯前に第1のループファスナ部112に、または乳児がラップ110にくるまれるときに第2のループファスナ部116に、いずれかに取り外し可能に取り付けられ得る。デバイス100の背面図(
図1B)に見られるように、ラップ110は、付属のループファスナ部116を有する布のパネルから形成される。この例では、部分116は、丸みのある角部を有する実質的に長方形である。他の実施形態では、楕円、円など、追加のまたは異なる形状設定をされた部分が使用されてもよい。
【0026】
上述のように、ラップ110は、特定の利点を乳児および介護者に提供するために独自に寸法設定される。
図1Bの背面図に示すように、ラップ110は、首開口部から袋の底に延びる第2の軸122に垂直な第1の軸120に沿って延びる。ラップの長さは、第1の軸120に沿って測定され、デバイスの袋部の周囲長より長い。いくつかの実施形態では、ラップは袋の周囲長の少なくとも1.5倍であり、その結果、乳児を固定し、フックアンドループファスナを取り付けるために十分な布がある。
【0027】
上述のように、ラップ110は、従来技術設計に比べて比較的狭い。加えて、ラップは、デバイス100の中央部よりずっと下に伸びない点で比較的「短い」。いくつかの実施形態では、ラップ110は、乳児の腰の上部を越えて延びない。
図2Aに見られるように、ラップ110は、基準線134と132の間で測定される袋の最も狭い部分より下にある最大距離の下縁130を有する。加えて、
図2Bに見られるように、ラップ110は、基準線142に対して示される首開口部より下にある上縁140を有する。図示の実施形態では、上縁140は、約1インチ(2.54cm)首開口部より下である。異なる実施形態では、ラップは、10インチ(25.4cm)、11インチ(27.9cm)、12インチ(30.5cm)、および13インチ(33cm)のうちの1つである(上縁140と下縁130との間で測定される)最大幅を有する。
【0028】
いくつかの実施形態は、ラップ110をデバイス100の袋部に取り付けるためファスナの独自の組み合わせを使用する。
図2Aの正面図に見えるように、ラップ110は、2つの留め具138aおよび138bを介して袋の前部パネルに取り付けられる。留め具138は、ラップ110とデバイス100の前部パネルとの間の結合を強化するため複数のステッチを含む。この実施形態では、留め具138は、袋の前部パネルと後部パネルを接合するサイドシーム(見ることができない)から約1インチ(2.54cm)に配置される。留め具138は乳児がラップ110を引き上げ、できる限りラップを首と顔の領域まで上手く動かすことを妨げるように機能し、それにより新鮮な空気へのアクセスを損なう危険を減らし、窒息の危険を減らす。研究は、新鮮な空気へのアクセスを損なうことで再呼吸になり、SIDSの危険を増加させることを示している。追加の留め具が使用されてもよい。例えば、
図2Bの背面図では、ラップ110は、中央ステッチ線152および留め具150a~cを介して袋の後部パネルに取り付けられる。
【0029】
デバイス100のいくつかの実施形態は、折り返しミトンカフスを含む。
図1Aに見られるように、各スリーブ104は、対応する折り返しミトンカフス106(「折り返しカフス」または「カフス」)を含む。各折り返しカフス106は、介護者によって選択的に開放可能である。
図1Aおよび1Bは、それぞれ、開位置のカフス106を有するデバイス100の正面図および背面図を示す。この位置で、カフス106は、腕がラップ110によってくるまれていないとき、乳児がスリーブ開口部を通して手を伸ばすことを可能にし、それにより乳児が自分の手を吸うことによって乳児キューおよび自己やすらぎを与えることを可能にする。
【0030】
各カフス106は、それが閉位置にあるとき、乳児がカフス106を開くことが不可能ではなくても、極めて困難であるように寸法決めされる。
図1Aに示すように、各カフス106は、対応するスリーブの縦軸に沿って測定されることができる長さを有する。カフスの長さは、十分に長く、その結果、カフスが閉じられると、乳児が手/腕を伸ばすことによりカフスの端部に加えられる力によって容易に戻すことができない深い「ポケット」を形成する。深いポケットは、乳児が閉じたカフス106の材料層を通してその手をくねらせるのをさらに防止する。いくつかの実施形態では、各カフス106は、少なくとも2.5インチ(6.35cm)、好ましくは2.75インチ(6.98cm)の長さを有する。
【0031】
デバイス100のスリーブも、乳児の手を乳児の頭と体により近く保つために寸法決めされる。
図1Aに見ることができるように、デバイス100の肩からスリーブ104の端部まで測定される各スリーブの長さは、典型的な乳児の腕の長さと比較して比較的短い。いくつかの実施形態では、スリーブは、3.0~4.0インチの長さである。短いスリーブの長さ(本明細書で論じられる他の特徴とともに)により、乳児の腕がラップの外側にある場合、デバイス100は、モロ反射を部分的に抑制することができる。スリーブは、乳児の腕にいくらかの制約を提供するが、乳児の腕を下に抑え込むのに役立つくるみブランケットまたはくるみデバイスによって提供されるほど大きくはない。
【0032】
スリーブは、くるみデバイス100の肩線の上に遠位端を有するY字形構成で上方へ延びる。上述のように、ミトンカフスが閉じた状態では標準スリーブより短いため、完全な伸張を防ぐため抵抗を生じる。スリーブの形状は、その頭の上に手を置いて自然な姿勢で寝ている乳児の腕の位置に沿うように形作られる。スリーブはそれぞれ、乳児の腕と手がスリーブ部に収まるのに十分な余地を可能にし、これにより、胸に手を乗せた姿勢、肘を体の両側に置いて手を肩と一直線にした姿勢、タッチダウン位置の肩の上に腕が届く姿勢を含む、複数の自然な姿勢で乳児が眠ることができる。スリーブは、限られた移動を可能にして、モロ反射に関連する腕の動きを部分的に抑制する。
【0033】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、閉位置のカフス106を有するデバイス100の正面図および背面図を示す。カフス106は閉位置にあるとき、顔を引っ掻くことを心配する介護者のため、乳児が袋から自分の手を伸ばすことを防ぐために乳児の手を袋の中に含む。この実施形態および他の実施形態では、折り返しカフスは、(示すように)前から後ろへ畳まれるときに閉位置にあるように、または後ろから前に畳まれるとき閉位置にあるように構成されてよいことに留意されたい。
【0034】
くるみデバイス100は、モロ反射を抑制するためにくるみ様のサポート状態に乳児をサポートし、乳児が複数の腕の位置オプションを有する自然のサポート位置にて背中で眠ることを可能にし、モロ反射またはびっくり反射に起因する目覚めが少なくより長い乳児の眠りを含むくるみの利点を享受するように設計される。
【0035】
くるみデバイス100は、3つの別個の部分または領域を含み、そのそれぞれは、乳児に1つまたは複数の重要な機能あるいはサポートを提供するために最適化される。底部(腰および脚)では、デバイス100は、腰および脚の周りにきつくなく、腰および膝を曲げることができ、脚を動かすのに十分な余地を提供する。中央部(胴体)では、デバイス100は、中央部と腹の周りにサポートを提供するため比較的ぴったりしていて、乳児が安心感を持つ助けとなる。上部(胸、腕および手)では、デバイス100はきついが、きつ過ぎず、モロ反射に関連する動きを部分的に抑制し、乳児が自然で快適な姿勢で眠る複数の腕の位置オプションを可能にする。腕の位置オプションは、両腕を曲げて両手を袋の内側の正中線に置く、両腕を上げて両手を肩に並べて袋の中に置く、両腕を上げて両手を袋の内側の肩の上に置く、または両腕を上げて両手を袋の外側において乳児が乳児キューおよび自己やすらぎのため皮膚と皮膚の吸引に利用できることを含む。
【0036】
図3Aおよび3Bは、第2の実施形態によるくるみデバイス200の第2の実施形態の正面図および背面図を示す。デバイス200は、デバイス200のラップ110はより長く、ファスナ部を含んでいない点で第1の実施形態(
図1および2)のデバイス100とは異なる。ここに示すラップ110は、ラップ110の上方移動を抑制するためデバイス100の前側にファスナ部も含むことに留意されたい。
【0037】
図4は、くるみデバイス300の第3の実施形態の正面図を示す。デバイス300は、デバイス300が、折り返しミトンカフスを含んでいない点で第1の実施形態(
図1および2)のデバイス100とは異なる。3つの実施形態を示し上述してきたが、様々な特徴が他の実施形態に異なって組み込まれていてもよい。例えば、別の実施形態が、ファスナを有し、折り返しカフスのない長いラップを含んでもよい。
【0038】
図5は、例示的な実施形態によるくるみデバイス500内に乳児502を示す線図である。乳児の左手は露出するが、その右手は、開放可能なスリーブの中にラップによって確実に含まれることに留意されたい。
【0039】
図5はまた、乳児の体のサイズに対する上部、中央部、および底部の相対的寸法を示す。上部では、モロ反射と関連した上半身の動きを軽減および抑制するようにデバイス600(ラップの下を図示せず)のスリーブおよび胸は比較的きつい。中央部では、デバイス600は、乳児の腹の領域の周りに比較的ぴったり収まる。この領域の心地よさは、乳児が安心感を持つ助けとなる。底部では、デバイス600は、乳児が腰および膝を曲げることができるように十分に広い一方で、モロ反射に関連する下半身の動きを軽減し部分的に抑制する。
【0040】
くるみデバイスの上部、中央部、および底部は、モロ反射の抑制、腰の健康などを含む上述の利点を提供するために発明者によって決定されたサイズに寸法決めされる。いくつかの実施形態では、くるみデバイスの中央部は、13~17インチ(33~43.2cm)の範囲の周囲長を有し、周囲長は、デバイスが、未熟児、新生児、または年長の乳児のサイズ用に作られるかどうかに応じて変化する。中央部の周囲長は、乳児の腹の周囲長より5~10%短くなるように設計される。伸縮性のある布構造の使用と相まって、より小さい周囲長は、乳児の腹に適度の一定圧力を提供する。
【0041】
中央部の寸法とは対照的に、電球型の底部の最大周囲長は、21~26インチ(53.34~66.04cm)の範囲であってもよい。相対的に見れば、底部の最大周囲長は、中央部の平均周囲長より少なくとも40%大きい。典型的な実施形態では、底部の最大周囲長は、中央部の平均周囲長より約50%大きい。いくつかの実施形態では、中央部は、その周囲長が、全体にわたって10%より大きく変化しないという点で、実質的に円筒形である。他の実施形態では、例えば
図1Aに見られるように、中央部は、その上端および下端より狭い腰を有する。
【0042】
図6A~6Cは、例示的なくるみデバイス600の複数の図を示す画像である。
図6Aは、乳児のいないデバイス600を示す。デバイス600は、開位置の折り返しカフスを有する。
図6Bは、乳児がラップにくるまれているデバイス600を示す。乳児の右手は、開いた折り返しカフスを介して露出していることに留意されたい。
図6Cは、乳児がラップにくるまれているが、両腕および両手ともラップによって囲まれている状態のデバイスを示す。
図6Cは、介護者がおむつと乳児の脚にラップを取り外すことなくアクセスできる狭いラップ構成によって提供されるアクセスを示す。
【0043】
本明細書に図示し説明される実施形態は、それぞれのパネルの周囲に沿って一緒に縫製された、主として前部および後部布パネルで製造することができる。布パネルは、柔らかく伸縮性のある木綿または実質的に木綿ベースの布で作られる。場合によっては、布は、エラスタンなどの剛性弾性繊維を含んでもよい。木綿、合成、半合成、および/または弾性繊維の様々な混合が使用されてもよい。
【0044】
上述のように、本発明の実施形態が図示され説明されて来たが、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、多くの変更がなされてもよい。したがって、本発明の範囲は、上記の開示によって制限されない。