(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】包装用容器及び包装用容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240626BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B65D1/02 230
B65D1/00 110
(21)【出願番号】P 2020027152
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:展示商談会2020 開催日 :令和2年2月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】甲地 歩
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3221532(JP,U)
【文献】特開昭60-172639(JP,A)
【文献】特開2000-302118(JP,A)
【文献】特開平08-001766(JP,A)
【文献】特開2003-081242(JP,A)
【文献】特開昭61-047337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262909(US,A1)
【文献】実公昭49-021443(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重1.3以上である合成樹脂製シートを熱成型して得られる包装用容器であって、
底部と、
前記底部に形成されたリブ部と、を備え、
前記リブ部は、
前記底部から周状に立ち上がるリブ外壁部と、
前記リブ外壁部の内側に対向して前記底部から周状に立ち上がるリブ内壁部と、を備え
、
前記リブ外壁部の上端と前記リブ内壁部の上端との間隔に相当する距離は2mm~6mmであり、
前記合成樹脂製シートは、熱可塑性樹脂を50%未満かつ無機フィラーを50%以上含む
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記リブ部は、前記リブ外壁部の上端及び前記リブ内壁部の上端から連続して設けられたリブ頂部と、を備え、
前記リブ頂部は、前記底部から2mm以上離れている
ことを特徴とする
請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記リブ外壁部は、前記底部の外周端縁から6mm~25mm離れている
ことを特徴とする
請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装用容器を圧空成型法で製造する
ことを特徴とする包装用容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばどんぶり類や麺類、ハンバーグやパスタといった惣菜に使用され、使用態様に適した強度や剛性を有する包装用容器及び包装用容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーやコンビニエンスストアでは、親子丼やカツ丼といったどんぶり類を販売する場合、プラスチック製の容器本体にごはん(ご飯)及び惣菜を盛り付けて蓋を閉め、需要者が簡単に持ち帰れるようにしていた。このため、需要者が持ち易く、かつ運搬時や積み重ね時の加重に耐えうる強度や剛性を有する包装用容器が求められていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹脂シートを熱成型したものから得られ、容器本体の開口縁部より小さい平面視円形状の底面部と、開口縁部及び底面部と一体に成型された側壁部とを備え、底面部は、外周縁よりも内側部分が一段高い円形の突出部と、突出部と外周縁との間に位置して周方向に沿った円環状の溝を備えた包装用容器が開示されている。一般的に、底面部の突出部は底上げ用、溝は底面部の強度や剛性を高めるためにそれぞれ形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、上記樹脂シートの成分比率と包装用容器の強度や剛性との相関について開示されていない。すなわち、特許文献1では、成分比率の影響で軟質な樹脂シートを用いて包装用容器を成型し、どんぶり類を含む比較的重めな食品を収容した場合、上記突出部や上記溝に応力が集中してしまう持ち上げ方をすると、食品の自重で底面部が折れ曲がってしまうおそれがある。
【0006】
近年、成型前の合成樹脂製シートには、成型後の包装用容器における所望の強度や剛性・耐熱性・その他各種耐性の発現や原料費の低減を狙い、充填材(無機フィラー)が配合されている。無機フィラーは多種類存在し、包装用容器の機能や用途に応じて配合する種類や比率が適宜決定されている。特に近年、環境問題への関心が高まるにつれて、合成樹脂の使用量削減に向けた取り組みが盛んになっている。このため、従来の包装用容器と比べて相対的に強度や剛性の低い包装用容器も普及される可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、無機フィラーの混合による所望の効果を得られ、少なくとも通常の使用態様に支障のない特性を有する包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、比重1.3以上である合成樹脂製シートを熱成型して得られる包装用容器であって、底部と、上記底部に形成されたリブ部と、を備え、上記リブ部は、上記底部から周状に立ち上がるリブ外壁部と、上記リブ外壁部の内側に対向して上記底部から周状に立ち上がるリブ内壁部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、シートを構成する材料のメルトフローレート(MFR)が0.4g/10min以上である合成樹脂製シートを熱成型して得られる包装用容器であって、底部と、上記底部に形成されたリブ部と、を備え、上記リブ部は、上記底部から周状に立ち上がるリブ外壁部と、上記リブ外壁部の内側に対向して上記底部から周状に立ち上がるリブ内壁部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記リブ部は、上記リブ外壁部の上端及び上記リブ内壁部の上端から連続して設けられたリブ頂部と、を備え、上記リブ頂部は、上記底部から2mm以上離れていることが望ましい。
【0011】
上記リブ外壁部は、上記底部の外周端縁から6mm~25mm離れていることが望ましい。
【0012】
上記リブ内壁部は、上記リブ外壁部から2mm以上離れていることが望ましく、上記リブ外壁部の上端と上記リブ内壁部の上端との間隔に相当する距離は2mm~6mmであることがより望ましい。
【0013】
上記合成樹脂製シートは、熱可塑性樹脂を50%未満かつ無機フィラーを50%以上含むことが望ましい。
【0014】
上記包装用容器の製造方法は、圧空成型法で製造することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無機フィラーの混合による原料費の低減等の所望の効果を得られ、少なくとも通常の使用態様に支障のない強度や剛性等の特性を有する包装用容器を得られる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の斜視図である。
【
図5A】上記平面図に示すY-Y端面におけるX-X部分の拡大端面図である。
【
図5B】上記拡大端面図に示す部位の部分拡大端面図である。
【
図5C】上記拡大端面図に示す部位の設計変更例を示す部分拡大端面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における包装用容器の製造方法の工程概要図である。
【
図7】本発明の一実施形態における別の包装用容器の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態における別の包装用容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1~
図5Cを参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番し、重複する部位については省略することがある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線を破線や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に、通常使用する向きで本包装用容器を載置した状態における位置関係とする。
【0018】
<本包装用容器の概要>
図1~
図4に示すように、本包装用容器Mは、食品を載置する平面視で円形の底部1と、容器の内側に突き出るように底部1に形成された凸状のリブ部11と、底部1の外端縁部1a全周から斜め上方向に連続して設けられた側壁部2と、側壁部2の上端縁全周から外方向に連続して設けられたフランジ部3とを備えている。
【0019】
本包装用容器Mは、容器本体に相当する。本包装用容器Mには、フランジ部3に外嵌合して密閉するドーム状の図示しない蓋体が装着されてもよい。上記蓋体は、本包装用容器Mの底部1の下方が納まる凹状の溝を備えている。すなわち、本包装用容器Mに蓋体を装着した状態で、上記蓋体の溝に別の包装用容器の底部1の下方が納まるため、積み重ね状態の安定性の向上が期待できる。本包装用容器Mの深さ(最下端から最上端までの高さ)は、特に制限はないが、25mm~50mmであってもよく、30mm~45mmであれば好ましく、30mm~40mmであればさらに好ましい。本包装用容器Mに収容する食品は、例えば、どんぶり類や麺類に関するものであるが、全体として重め、例えば350g以上の食品や惣菜であればいずれでもよく、限定しない。
【0020】
底部1は、平面視で楕円形でも矩形でもよい。底部1の面積は、特に制限はないが、30cm2~200cm2であってもよく、45cm2~160cm2であれば好ましく、50cm2~150cm2であればさらに好ましい。底部1の外端縁部1aとリブ部11との間には、付番しない放射状のリブが設けてあってもよい。底部1のうちリブ部11より中央側は平坦状であるため、自動ラベル貼付け装置によるラベルの裏貼りにも対応しやすい。所定の高さにおける側壁部2の水平端面及びフランジ部3の外端縁は、平面視で底部1と同形でも異形でもよい。側壁部2は、空の包装用容器同士を上下に積み重ねた状態で、重なり合って取れなくならないようにする凹状の重なり止め(以下、「スタック」ともいう。)を所定の位置に有してもよい。
【0021】
<本包装体容器の素材>
本包装用容器Mは、合成樹脂製シートを熱成型して得られるものであり、食品包装用容器としては相対的に軟質のものであれば特に制限はないが、シートを構成する材料のメルトフローレート(MFR)は0.4g/10min以上であると本発明の効果を得やすい。また、0.7g/10min以上であるとより本発明の効果を得やすく、0.8g/10min以上であるとさらに本発明の効果を得やすい。ここで、メルトフローレート(MFR)は、合成樹脂製シートを細かく切った試料をJIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定すればよい。メルトフローレート(MFR)が例えば0.4g/10min以上であると、後述するように製造工程において、ドローダウン量が多くなってしまい、成型方法が制限されることが懸念される。ここでメルトフローレート(MFR)の上限には特に制限はないが、例えば10g/10minであってもよい。
【0022】
ここで、合成樹脂製シートを構成する樹脂には特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。また、樹脂量を少なくするために、紙パウダーや無機粒子といったフィラー(充填材)を混合させてもよい。ここで、無機粒子は、例えば、100μm~10nmの粒子状のもので、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノトライト、石膏繊維、アルミボレート、繊維状マグネシウム化合物(MOS)、アラミド繊維、カーボンファイバー(炭素繊維)、グラスファイバー(ガラス繊維)、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルウイスカーなど挙げられるが、食品向け包装用容器には、実績のあるタルクを選定することが好ましい。こうした無機粒子(無機フィラー)は、1種類でも2種類以上混合してもよい。熱可塑性樹脂に混合するフィラー量については例えば30質量%以上であればよいが、50質量%以上であるとより好ましく、52質量%以上であるとさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂の配合量は70質量%未満であればよいが、50質量%未満であるとより好ましく、48質量%未満であるとさらに好ましい。
【0023】
ここで、上述した熱可塑性樹脂としては、バイオマス由来の樹脂であってもよい。こうした樹脂をしては、バイオポリエチレン、バイオポリプロピレン、バイオポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。こうしたバイオマス由来の樹脂を配合することにより、合成樹脂製シートが軟化することもあり、従前の石油由来の樹脂を使ったときに比べてメルトフローレート(MFR)が低くなる場合があり、その場合、ドローダウンしやすくなってしまうことが懸念される。こうしたバイオマス由来の樹脂の配合量は特に制限はないが、5質量%以下であってもよく、15質量%以下でもあってもよく、35質量%以下であってもよく、樹脂分のすべてがバイオマス由来の樹脂であってもよい。
【0024】
<本包装用容器の素材>
本包装用容器Mは、比重1.3以上である合成樹脂製シートを熱成型して得られるものであってもよい、食品包装用容器としては相対的に重く軟質のものである。こうした比重1.3以上の合成樹脂製シートとしては、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン系樹脂と無機フィラー(タルク)との混合素材製であってもよく、ポリオレフィン系樹脂の配合量が50質量%未満、無機フィラーの配合量が50質量%以上であってもよい。より具体的には熱可塑性樹脂30~50質量%、無機フィラー50~70質量%であってもよいし、熱可塑性樹脂40~49質量%、無機フィラー51~60質量%であってもよい。また、比重は1.35以上であってもよいし、1.4以上であるとより本発明の効果を得られやすい。ここで比重の上限には特に制限はないが、例えば2.0であってもよい。
【0025】
<リブ部の詳細>
図5Aに示すように、リブ部11は、底部1から周状に立ち上がるリブ外壁部11aと、リブ外壁部11aの内側に対向して底部1から周状に立ち上がるリブ内壁部11bとを備える。換言すると、リブ部11は、平面視で底部1の輪郭である外端縁部1aと相似形であり、容器の外側から内側に向かって突き出ている環状のリブ外壁部11a及びリブ内壁部11bを備える。「周状」とは、所定の箇所から辿っていくと上記箇所に戻ってくる形状を意味し、凹凸が有っても無くてもよく、平面視形状は円形・楕円形・矩形のいずれでもよく、限定しない。
【0026】
この構成によれば、例えば食品を収容した状態で本包装用容器Mを片手持ちしたとき、底部1の任意の位置に応力が集中するが、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bにより底部1の強度や剛性が高まるため、底部1が折れ曲がりにくい。すなわち、底部1の裏面に触れる指を支点として内容物の加重による応力が底部1の任意の位置に集中して撓もうとするが、上記支点より底部1の中央側に位置するリブ外壁部11a及びリブ内壁部11bに応力が分散するため、底部1が折れ曲がりにくく、安全に片手持ちできる効果を期待できる。
【0027】
リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bは、所望の剛性や強度を確保するために、直線状であることが好ましいが、膨らんだ湾曲状でも、反り返った湾曲状でもよい。
図5Bに示すように、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bは、底部1の強度や剛性を確保するために、垂直面に対して5°~20°傾斜した端面視台形状(末広がり状)であることが好ましく、7.5°~15°であることがより好ましく、8°~12°であることがさらに好ましいが、リブ外壁部11aの傾斜角とリブ内壁部11bの傾斜角とが異なっていてもよく、水平面に対して垂直な端面視正方形状又は長方形状でもよい。
【0028】
リブ部11は、底部1との境界に相当するリブ外周縁部11d及びリブ内周縁部11eと、リブ外周縁部11dから連続してリブ外壁部11aの下側を形成するリブ外壁付け根部11fと、リブ内周縁部11eから連続してリブ内壁部11bの下側を形成するリブ内壁付け根部11gとを備えている。リブ外壁付け根部11f及びリブ内壁付け根部11gは、所望の強度や剛性を確保するために、湾曲状であることが好ましいが、底部1と交わって角ばった形状でもよい。リブ外壁付け根部11f及び/又はリブ内壁付け根部11gの全周又は一部には、付番しない小さめのリブが設けてあってもよい。
【0029】
リブ部11は、底部1の強度や剛性を確保するために、上下方向に凸凹しておらず、周方向に連続して同じ高さであることが好ましいが、スタックを所定の位置に有してもよい。
【0030】
リブ部11は、リブ外壁部11aの上端及びリブ内壁部11bの上端から連続して設けられた端面視平面状のリブ頂部11cと、をさらに備えている。リブ頂部11の高さHは、底部1から2mm以上であり、本包装用容器Mの深さの1/3より低い位置であれば、限定はないが2mm~10mmであってもよいし、2mm~5mmであればより好ましい。
【0031】
この構成によれば、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bがリブ頂部11cに支持されて底部1の強度や剛性が高まると共に、リブ頂部11の高さHが2mm以下だと、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bに上記応力が分散しやすいため、底部1が折れ曲がりにくくなる。
【0032】
図5Cに示すように、リブ外壁部11aと連続していてリブ部11より外側(底部1の外周端縁側)に位置する外側底部1mに対し、リブ内壁部11bと連続していてリブ部11より内側(底部1の中央側)に位置する内側底部1nが、載置面から高く配置されてもよい。換言すれば、リブ外壁部11aの垂直方向の高さにも相当する外側底部1mの表面からリブ頂部11の上端面までの高さH1は、リブ内壁部11bの垂直方向の高さにも相当する内側底部1nの表面からリブ頂部11の上端面までの高さH2より高くてもよく、高さH1と高さH2との差が5mm以下であってもよいし、2mm以下であればより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。しかしながら、強度面を考慮すると、H1=H2であるほうが好ましい。
【0033】
リブ頂部11cは、底部1の剛性や強度を確保するために、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bと交わって角ばった端面視平坦状であることが好ましいが、端面視円弧状(ドーム状)でもよい。
【0034】
リブ外壁部11aは、底部1の外周端縁1aから6mm~25mm離れている。詳細には、リブ外周縁部11dと底部1の外周端縁1aとの距離W1は、6mm~25mmであり、好ましくは7mm~20mmであり、より好ましくは8mm~16mmである。
【0035】
この構成によれば、距離W1が6mmより短いと、リブ外壁部11aが上記支点と略同等又は上記支点より外周端縁1a側に位置してしまい、距離W1が25mmより長いと、リブ外壁部11aが上記支点から離れ過ぎてしまうことから、上記応力が底部1の任意の位置に集中してしまうことを回避できるため、底部1が折れ曲がりにくくなる。
【0036】
リブ内壁部11bは、リブ外壁部11aから2mm以上離れている。詳細には、同等の高さであるリブ外壁部11aの上端とリブ内壁部11bの上端との間隔に相当する距離W2は、2mm以上であり、底部1の直径の1/20~1/10であれば、限定はないが2mm~6mmであってもよいし、2mm~4mmであればより好ましく、2mm~3mmであればさらに好ましい。
【0037】
この構成によれば、距離W2が2mmより短いと、リブ頂部11cがリブ外壁部11a及びリブ内壁部11bを支持し切れず上記応力が分散しにくく、距離W2が2mm以上あることで、リブ外壁部11a及びリブ内壁部11bに上記応力が分散しやすくなるため、底部1が折れ曲がりにくくなる。
【0038】
<熱可塑性樹脂の含有率>
合成樹脂製シートは、熱可塑性樹脂を50%未満含んでいてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂を50%未満含み、残部を樹脂以外の充填材で構成されていてもよい。こうした構成によれば、本包装用容器M全体の強度や剛性を担保しつつ、樹脂量を減らすことができる。
【0039】
<無機フィラーの含有率>
合成樹脂製シートは、無機フィラーを50%以上含む合成樹脂で構成されていてもよい。無機フィラーが50%より少ないと、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂素材の含有率が増すため、本包装用容器M全体の強度や剛性が高まることから、上述したリブ部11により得られる特有の効果は期待しにくい。
【0040】
<本包装用容器の製造方法>
図6に示すように、本包装用容器Mの製造方法は、特に制限はないが、熱板圧空真空成型法(圧空成型法ともいう)を用いることが好ましい。製造工程の一例として、具体的には、まずロール状態から連続して繰り出されて熱板の上に配置された合成樹脂製シートを、下側に配置されて下向きに空気を抜き出し真空状態となった熱板の表面に密着して加熱する。次に、加熱された合成樹脂製シートを、上側に配置されて熱板の下側から上向きに空気を抜き出し真空状態となった金型(雌型)の表面に密着して成型する。
【0041】
この方法によれば、上下側に配置されたヒーターで合成樹脂製シートを加熱後に、下側に配置されて下向きに空気を抜き出し真空状態となった金型(雄型)の表面に密着して成型する真空成型時に生じるドローダウン現象を回避する効果を期待できる。すなわち、合成樹脂製シートは比重1.3以上につき通常の熱可塑性樹脂より重たく、軟質であり、加熱後に上記金型へ繰り出すと自重で垂れ下がってしまうおそれがあることから、加熱後に金型へ繰り出さずに同じ場所で成型できる熱板圧空真空成型法が本包装用容器Mの成型には好ましい。
【0042】
また、熱板圧空真空成型法による包装用容器は、金型(雌型)に押し付けるように合成樹脂製シートを引き延ばして成型するため、成型前に金型の表面から最も遠い底部の厚みが側壁部等の他の部位と比べて相対的に薄くなることから、上述したリブ部11により得られる特有の効果を期待できる。フランジ部の厚みが底部の厚みより厚くなるのが熱板圧空真空成型法によって得られた容器の特徴である。
【0043】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の一実施形態における別の包装用容器について、上述した包装用容器と相違する部分を説明し、同等の部分の説明を省略する。
図1~
図5で示した部品又は部位と同等なものは、参照を容易にするため、
図7及び
図8では
図1~
図5において一律100を加えた番号にしている。
【0044】
図7に示すように、本包装用容器100Mは、平面視で略楕円形の底部101と、底部101に形成された凸状のリブ部110とを備えている。また、
図8に示すように、本包装用容器200Mは、平面視で略長方形の底部201と、底部201に形成された凸状のリブ部210とを備えている。
【0045】
なお、本包装用容器Mは、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよいが、上述したように熱板圧空成型法を選択することが好ましい。合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂で、単層や多層のシートを使用してもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、非発泡樹脂製であってもよい。さらに、シートの表面または裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。本発明においては、発泡することにより強度が得られる発泡樹脂製合成樹脂シートよりも非発泡樹脂製合成樹脂シートを選択したほうが効果を得やすい。
【0046】
成型後の本包装用容器の厚みは特に制限はないが、フランジ部の厚みは0.25mm~0.7mmであってもよく、0.25mm~0.5mmであることがより好ましく、0.35mm~0.45mmであることがより好ましい。また底部の厚みは0.18mm~0.5mmであってもよく、0.2mm~0.45mmであることがより好ましく、0.22mm~0.4mmであることがより好ましい。
【符号の説明】
【0047】
M 包装用容器、1 底部、1a 外端縁部、11 リブ部、11a リブ外壁部、11b リブ内壁部、11c リブ頂部、2 側壁部、3 フランジ部