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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/10 20060101AFI20240626BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20240626BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A47K13/10
A47K13/30 B
E03D9/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020198608
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022056287
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020163818
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 聖那
(72)【発明者】
【氏名】田代 啓介
(72)【発明者】
【氏名】松本 勘
(72)【発明者】
【氏名】矢岡 寿成
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-158142(JP,A)
【文献】特開2018-62774(JP,A)
【文献】米国特許第6434759(US,B1)
【文献】特開平10-131259(JP,A)
【文献】特開2004-162505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00-17/02
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する便座と、
開閉可能であり、閉じた状態において前記便座を覆う便蓋と、
前記便蓋を電動で開閉する便蓋モータと、
前記便座への使用者の着座を検知する着座センサと、
前記着座センサの検知結果に基づいて、前記便蓋モータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記着座センサが着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させない制御を実行可能であることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記2回目以降の便器洗浄信号を受信する直前または前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に使用者の意志による前記便蓋の閉動作が行われた場合、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に前記便蓋を開動作させないことを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
第1便器洗浄スイッチと第2便器洗浄スイッチとを有する操作部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1便器洗浄スイッチから前記1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、前記第1便器洗浄スイッチから前記2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合には前記便蓋を閉動作させず、
前記第2便器洗浄スイッチから前記1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、前記第2便器洗浄スイッチから前記2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の直前、または前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に、前記便蓋の閉動作が行われた場合、便器洗浄が終了した後に自動で前記便蓋を開動作させることを特徴とする請求項2または3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記着座センサが前記着座検知状態であるときに便器洗浄信号を受信した場合は、前記便蓋を閉動作させない請求項1~4のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項6】
便器内の空気を前記便器外に排出する脱臭手段をさらに備え、
前記制御部は、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に前記脱臭手段が動作している場合は、前記脱臭手段を停止、または、前記脱臭手段が排出する風量を小さくすることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の便座装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に前記脱臭手段を停止または前記風量を小さくした場合は、便器洗浄が終了すると前記脱臭手段を再動作または前記風量を大きくすることを特徴とする請求項6に記載の便座装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記着座センサが前記着座検知状態であるときの便器洗浄の洗浄水の水量、または、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量を、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量よりも、小さくすることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便蓋を有する便座装置が知られている。便蓋は、閉じた状態において、使用者の排泄物を受ける便器を覆う。
使用者の排泄物には、ウイルスや薬剤などの汚染物質が含まれている場合がある。このため、便器内に洗浄水を供給する便器洗浄を行い、洗浄水とともに便器内の排泄物を流すと、排泄物に含まれていた汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散してしまう恐れがある。これに対して、特許文献1には、便蓋が閉じた状態において便器洗浄を行うことで、排泄物に含まれる汚染物質の拡散を抑制することが記載されている。
また、特許文献2には、便器洗浄時に便蓋を閉めることにより、周囲に伝わる洗浄音を小さくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-062774号公報
【文献】特開2009-249819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、便器洗浄の度に便蓋が閉じると、例えば使用者が便器の使用の前に便器洗浄を行った場合、便蓋の開操作を行う必要が生ずる。また、例えば、使用者が便器の清掃作業の途中で便器洗浄を行い、再び清掃作業を続ける際にも、便蓋の開操作を行う必要がある。このように、便器洗浄の度に便蓋が閉じると、使用感が低下してしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使用感を向上可能な便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、使用者が着座する便座と、開閉可能であり、閉じた状態において前記便座を覆う便蓋と、前記便蓋を電動で開閉する便蓋モータと、前記便座への使用者の着座を検知する着座センサと、前記着座センサの検知結果に基づいて、前記便蓋モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記着座センサが着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させない制御を実行可能であることを特徴とする便座装置である。
【0007】
着座センサが着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物(例えば大便)が便器内に存在している可能性の高い。そこで、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、便蓋を閉じた状態とする。これにより、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制できる。
一方、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物が便器内に存在している可能性は低い。そこで、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においては、便蓋を閉じずに、開いたままとすることを可能とする。便蓋が開いたままの場合は、便器洗浄後に使用者が再び便蓋を開く必要がないため、使用感を向上させることができる。
従って、この便座装置によれば、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制しつつ、使用感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、使用感を向上可能な便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視図である。
図2】実施形態に係るトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
図3】実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
図4】実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
図5】実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
図6】実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。
図7】実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。
図8】実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視図である。
図1に表したトイレ装置10は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、便座装置100と、を備える。便器800は、汚物を受ける凹状のボウル部801を有する。便座装置100は、便器800の上部に設置されている。
【0011】
便座装置100は、ケーシング400(本体部)と、使用者が着座する便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、それぞれ、ケーシング400に対して開閉自在に軸支されている。図1の状態は、便座200が閉じた状態(下げられた状態)であり、便蓋300が開いた状態(上げられた状態)である。便蓋300は、閉じた状態では、便座200の座面及びボウル部801を上方から覆う。
【0012】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の人体局部(「おしり」など)の洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、便座200への使用者の着座を検知する着座センサ404が設けられている。着座センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコン500を操作すると、吐水部473(洗浄ノズル)を便器800のボウル部801内に進出させることができる。なお、図1に表した便座装置100では、吐水部473がボウル部801内に進出した状態を表している。
【0013】
吐水部473の先端部には、ひとつ又は複数の吐水口474が設けられている。そして、吐水部473は、その先端部に設けられた吐水口474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、実施形態において、身体洗浄機能部は必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0014】
図2は、実施形態に係るトイレ装置の要部構成を例示するブロック図である。
図2は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。便座装置100は、制御部405、受信部406、便蓋モータ407、便蓋開閉センサ408、便座モータ409、着座センサ404、人体検知センサ403、および脱臭ファン410(脱臭手段)を有する。これらは、例えばケーシング400の内部に設けられている。
【0015】
便蓋モータ407は、制御部405からの指令に基づいて、電動で便蓋300を回動させ開閉する。便蓋開閉センサ408は、便蓋300が閉じた状態であるか開いた状態であるかを検知し、検知結果(便蓋300の状態に応じた信号)を制御部405に送信する。これにより、制御部405は、便蓋300の開閉状態を識別することができる。便蓋開閉センサ408には、光学式センサ(赤外線投光式センサなど)、機械式センサ(タクトスイッチなど)、または静電容量スイッチなど、その機能を満たし得る任意のセンサを用いることができる。
【0016】
便座モータ409は、制御部405からの指令に基づいて、電動で便座200を回動させ開閉する。
【0017】
着座センサ404は、使用者の便座200への着座の有無を検知することができる。つまり、着座センサ404は、使用者が便座200に着座していることを検知している着座検知状態と、使用者が便座200に着座していることを検知していない着座非検知状態と、を有する。これにより、着座センサ404は、使用者の着座及び離座を検知する。なお、使用者の着座という範囲には、便座200の直上に使用者が存在することを含んでも良い。着座センサ404は、検知結果(着座検知状態または着座非検知状態に応じた信号)を制御部405に送信する。これにより、制御部405は、使用者の着座の有無を識別することができる。
【0018】
着座センサ404には、例えば、マイクロ波センサ、測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサを用いることができる。なお、タクトスイッチ、静電センサ及び歪みセンサなどの接触式センサを用いる場合には、これらの接触式センサは、便座200に設けられる。
【0019】
人体検知センサ403は、便器800の前方にいる使用者、すなわち便座200から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサ403は、トイレ室に入室して便座200に近づいてきた使用者を検知することができる。人体検知センサ403は、検知結果(使用者の存在の有または無に応じた信号)を制御部405に送信する。これにより、制御部405は、使用者の存在の有無を識別することができる。
【0020】
このような人体検知センサとして、例えば、焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。また、人体検知センサ403は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室する直前の使用者、すなわちトイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知してもよい。例えば、マイクロ波センサを用いた場合には、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。例えば、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いた場合には、便器800の前方にいる使用者と便器800との距離を把握することもできる。
【0021】
脱臭ファン410は、制御部405からの指令に基づいて、モータによって羽根を回転させる。これにより、脱臭ファン410は、便器800内(ボウル部801内)の臭気を含む空気を吸い込み、便器800外へ排出する。便器800外へ排出される空気が通る通路には、例えば、アンモニアなどの臭気成分を吸着する脱臭部材(例えば活性炭など)が設けられる。脱臭ファン410によって吸い込まれた空気が脱臭部材に触れることで、空気中の臭気成分を低減させることができる。後述するように、脱臭ファン410は、例えば、弱動作と強動作とを実行可能である。強動作における風量(単位時間当たりに便器800外へ排出する空気の体積)は、弱動作における風量よりも大きい。
【0022】
受信部406は、リモコン500の送信部505からの信号を受信する。受信部406は、例えば通信モジュールである。受信部406とリモコン500(送信部505)との通信方式は、赤外線または電波などを用いた任意の無線方式でよい。便座装置100とリモコン500との通信方式は、上記に限らず、例えば少なくとも一部が有線であってもよい。
【0023】
制御部405は、例えば、マイコンなどの集積回路である。制御部405は、リモコン500からの信号、着座センサ404の検知結果、人体検知センサ403の検知結果、及び便蓋開閉センサ408の検知結果などに基づいて、便蓋モータ407、便座モータ409、身体洗浄機能部、及び便器800(後述する流量調整弁803及び便器洗浄バルブ804)などを制御する。
【0024】
便器800(便器装置)は、上流から順に、便器洗浄バルブ804、流量調整弁803、吐水部802、及びボウル部801を有する。水道や貯水タンクなどの給水源900から供給された洗浄水は、便器洗浄バルブ804、流量調整弁803を介して、吐水部802(例えば吐水口)へ導かれる。吐水部802は、ボウル部801内に洗浄水を吐出する。これにより、ボウル部801内に洗浄水を供給する便器洗浄が行われ、洗浄水とともにボウル部801内の排泄物等が流される。
【0025】
便器洗浄バルブ804は、例えば制御部405からの指令に基づいて開閉する電磁弁である。便器洗浄バルブ804が開くことにより、洗浄水が下流へ供給され、便器洗浄が開始する。便器洗浄バルブ804が閉じることにより、洗浄水の下流への供給が停止し、便器洗浄が終了する。
【0026】
流量調整弁803は、制御部405からの指令に基づいて、その下流に供給する洗浄水の流量を切り替える。
【0027】
リモコン500(操作部)は、第1便器洗浄スイッチ501と、第2便器洗浄スイッチ502と、便蓋開閉スイッチ503と、便座開閉スイッチ504と、リモコン制御部506と、送信部505と、を有する。
【0028】
リモコン制御部506は、例えば、マイコンなどの集積回路である。送信部505は、例えば、受信部406に対応した通信モジュールである。リモコン制御部506は、リモコン500の各スイッチへの入力に応じた信号を、送信部505から受信部406に送信する。制御部405は、送信部505及び受信部406を介して、リモコン制御部506から信号を受信する。
【0029】
リモコン制御部506から送信される信号は、リモコン500の各スイッチへの入力に応じた信号だけなく、使用者の音声指示を信号にしたものでもよい。
【0030】
音声指示は、リモコンに搭載したマイクから認識した信号をリモコン制御部506で各スイッチに対応した信号に処理し、送信部505から受信部406に送信してもよいし、便座装置に搭載したマイクから認識した信号を制御部405でリモコンの各スイッチに対応した信号に処理して便蓋モータ407等を制御して便蓋300の開閉をしてもよい。
【0031】
第1便器洗浄スイッチ501及び第2便器洗浄スイッチ502は、便器800に便器洗浄を実行させるためのスイッチである。使用者が第1便器洗浄スイッチ501または第2便器洗浄スイッチ502を操作する(例えば押す)と、その操作に応じた操作信号がリモコン制御部506に送信される。リモコン制御部506は、その操作信号を受信すると、便器洗浄の実行を指示する信号を制御部405に送信する。すなわち、第1便器洗浄スイッチ501及び第2便器洗浄スイッチ502から、便器洗浄の実行を指示する便器洗浄信号を制御部405へ送信することができる。制御部405は、リモコンからの便器洗浄信号を受信すると、便器洗浄バルブ804及び流量調整弁803を制御して、便器洗浄を実行する。
【0032】
便蓋開閉スイッチ503は、制御部405に便蓋300の開閉を実行させるためのスイッチである。使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作すると、その操作に応じた操作信号がリモコン制御部506に送信される。リモコン制御部506は、その操作信号を受信すると、便蓋300の開動作又は閉動作の実行を指示する信号を制御部405に送信する。すなわち、便蓋開閉スイッチ503から、便蓋300の開動作の実行を指示する便蓋開信号または便蓋300の閉動作の実行を指示する便蓋閉信号を、制御部405へ送信することができる。制御部405は、リモコンからの便蓋開信号または便蓋閉信号を受信すると、便蓋モータ407を制御して、便蓋300の開動作又は閉動作を実行する。
【0033】
便座開閉スイッチ504は、制御部405に便座200の開閉を実行させるためのスイッチである。使用者が便座開閉スイッチ504を操作すると、その操作に応じた操作信号がリモコン制御部506に送信される。リモコン制御部506は、その操作信号を受信すると、便座200の開動作又は閉動作の実行を指示する信号を制御部405に送信する。すなわち、便座開閉スイッチ504から、便座200の開動作の実行を指示する便座開信号または便座200の閉動作の実行を指示する便座閉信号を、制御部405へ送信することができる。制御部405は、リモコンからの便座開信号または便座閉信号を受信すると、便座モータ409を制御して、便座200の開動作又は閉動作を実行する。
【0034】
図3は、実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
タイミングT1において、使用者がトイレ装置10が設けられたトイレ室に入室し、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知する。制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋モータ407を制御する。これにより、タイミングT2において、便蓋300が開状態となる。
【0035】
タイミングT3において、使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋閉信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉状態とする。タイミングT4において、使用者がリモコン500(例えば第1便器洗浄スイッチ501)を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便器洗浄の実行を開始する。
【0036】
タイミングT5において使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋開信号を送信し、タイミングT6において便器洗浄が終了すると、後述する制御により、便蓋300の開動作が実行される。これにより、タイミングT7において便蓋300が開状態となる。
【0037】
タイミングT8において、使用者が便座200に着座する。これにより、着座センサ404が着座検知状態となる。また、制御部405は、着座センサ404の検知結果に基づいて、脱臭ファン410を弱動作させる。
【0038】
使用者は、タイミングT8からタイミングT9までの間において排泄行為を行い、タイミングT9において便座200から離れる。これにより、着座センサ404は着座非検知状態となる。これに応じて、タイミングT10において、制御部405は、脱臭ファン410を強動作させる。
【0039】
タイミングT11において、使用者がリモコン500を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉動作させる。タイミングT12において、制御部405は、便蓋300が閉まった状態で便器洗浄の実行を開始する。タイミングT13において、便器洗浄が終了する。
【0040】
タイミングT14において使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋開信号を送信すると、タイミングT15において便蓋300が開状態となる。タイミングT16において使用者がリモコン500を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300が開状態のまま、便器洗浄の実行を開始する。
【0041】
便器洗浄中において、タイミングT17に使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋閉信号を送信すると、便蓋300が閉状態となる。
【0042】
その後のタイミングT18において便器洗浄が終了すると、後述する制御により、便蓋300の開動作が実行される。これにより、タイミングT19において便蓋300が開状態となる。
【0043】
タイミングT20において使用者がトイレ室から退室すると、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知しない状態となる。すると、制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋300を閉じる。タイミングT21において、制御部405は、脱臭ファン410の動作を停止させる。
【0044】
なお、タイミングT21の後に、再びタイミングT1~T21の動作が繰り返されているものとする。
【0045】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、1回目の便器洗浄信号を受信した場合は、便蓋300を閉動作させる制御を実行可能である。
すなわち、例えば、タイミングT9から繰り返された次のタイミングT8までの間において、制御部405は、タイミングT11の便器洗浄(1回目の便器洗浄信号)を受信した場合は、便蓋300を閉動作させる。
【0046】
着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物(例えば大便)が便器800内に存在している可能性の高い。そこで、上述したように、制御部405は、着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、便蓋300を閉じた状態にできる。これにより、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制できる。
【0047】
また、制御部405は、着座センサ404が着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は、便蓋300を閉動作させない制御を実行可能である。
すなわち、例えば、タイミングT9から繰り返された次のタイミングT8までの間において、制御部405は、タイミングT16の便器洗浄信号(2回目の便器洗浄信号)を受信した場合は、便蓋300を閉動作させない。なお、「閉動作」とは、開いた状態を閉じた状態とすることであり、「閉動作させない」とは、閉じた状態のままとすることや、開いた状態のままとすることを含む。
【0048】
着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから2回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物が便器800内に存在している可能性は低い。そこで、上述したように、着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においては、便蓋300を閉じずに、開いたままとすることを可能とする。便蓋300が開いたままの場合は、便器洗浄後に使用者が再び便蓋を開く必要がないため、使用感を向上させることができる。
【0049】
以上説明したように、この便座装置によれば、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制しつつ、使用感を向上させることができる。
【0050】
制御部405は、センサからの信号に応じて、自動で便器洗浄を行っても良い。例えば、使用者が離座したことを示す信号を着座センサ404から受信すると、制御部405は、便器洗浄バルブ804を制御して便器洗浄を行う。このような場合、便器洗浄信号という範囲には、センサからの信号(例えば使用者が離座したことを示す信号)も含むものとする。
【0051】
便器洗浄信号の回数のカウントは、使用者の離座の直後から開始され、例えば使用者の着座によってリセットされゼロに戻る。すなわち、例えば、タイミングT11の便器洗浄信号が1回目であり、タイミングT16の便器洗浄信号が2回目であり、繰り返された次のタイミングT4の便器洗浄信号が3回目である。なお、着座検知状態が短時間(例えば1秒以下)であった場合には、便器洗浄信号の回数のカウントをリセットしなくてもよい。
【0052】
図6は、実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。制御部405は、着座センサ404からの信号に応じて、便蓋を閉じてから便器洗浄を実施する第1のモードと、センサからの信号に応じて、便蓋を閉じずに便器洗浄のみを実施する第2のモードのいずれかのモードを選択できてもよい。
【0053】
センサからの信号を受信後から便器洗浄の開始までの時間が長いほど、使用者は、便器洗浄を実施するまでの時間が長いことにストレスを感じる。よって、センサからの信号を受信してからストレスを感じない程度の短い時間で便器洗浄を開始する必要がある。
【0054】
図6に示すように、モード切替の設定を複数持ち、使用者が快適と感じる時間に設定できてもよい。
【0055】
図6の場合、同一設定の前記第1のモードと前記第2のモードにおいて、センサからの信号を受信後から便器洗浄の開始までの時間が同一であるため、使用者は、モードの切替で時間についてストレスを感じにくい。
【0056】
一方で、同一設定の状態で、前記第2のモードから前記第1のモードに遷移させた場合、便蓋を閉めてから便器洗浄を実施するため、センサからの信号を受信後、便蓋を閉める信号を出すまでの時間が早すぎると、着衣中の使用者の臀部等に便フタが接触する可能性がある。
【0057】
図7は、実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。図7では、制刑部405がセンサからの信号を受信してから便器洗浄信号を発信させるまでの時間は、第1のモードより第2のモードの方が短い。
【0058】
前記第1のモードより前記第2のモードの方がセンサからの信号を受信してから便器洗浄信号を発信させるまでの時間を長くすることで、前記第1のモードでも、前記第2のモードでも使用者のストレスを最小化し、使用感を最適化することができる。
【0059】
図8は、実施形態に係る便座装置の制御におけるモード遷移時の設定の切替を例示する表である。図8では、第2のモードから第1のモードへ遷移する際は、必ず前記第1のモードのデフォルト設定となる。デフォルト設定は、設定の中で、センサからの信号を受信後から便器洗浄の開始までの時間が最も短いものではないものでる。例えば設定2である。
【0060】
前記第2のモードから前記第1のモードへ遷移する際は、必ず前記第1のモードのデフォルト設定となることで、例えば設定1の前記第1のモードのように、使用者の意思に反して、センサからの信号を受信後から便器洗浄の開始までの時間が極端に短くなることを避けられる。
【0061】
第1の洗浄モードは、センサからの信号だけでなくリモコンからの信号に応じて実施してもよい。
【0062】
センサは着座センサ404だけでなく、人体検知センサ403でもよい。
【0063】
制御部405はタイミングT11の便器洗浄信号を受信した後、便蓋を閉め始める前に人体検知センサ403により測距された便器800の前方にいる使用者と便器800との距離に基づき便蓋を閉めるかどうかの判断を実施してもよい。
【0064】
前記使用者と便器800との距離が一定以下の場合は、便蓋を閉めずに待機し、距離が一定以上離れたことを検知できた場合に便蓋を閉め始める。
【0065】
これにより、使用者が便器から立ち上がり便器800に近接した状態で着衣に時間がかかったとしても、便蓋が閉まることがないので使用者に閉まってきた便蓋が接触することがなくなる。
【0066】
前記使用者と便器800との距離する人体検知センサ403は、トイレへの入室検知センサを兼ねてもよいし、入室検知センサとは別体でもよい。
【0067】
制御部405はタイミングT11の便器洗浄信号を受信し、便蓋を閉め始める際に音で使用者に閉まり始めることを報知してもよい。
【0068】
報知音は例えば、便座装置に組み込まれたスピーカーから発してもよい。
【0069】
報知音を発するタイミングは便器洗浄信号の受信から、便蓋を閉め始めるまでの間であることがより好ましい。
【0070】
これにより、使用者が便器から立ち上がり便器800に近接した状態で着衣に時間がかかったとしても、便蓋が閉まる前に使用者に便蓋が閉まることを報知するため、使用者は閉まってきた便蓋との接触を回避できる。
【0071】
制御部405は、2回目以降の便器洗浄信号を受信する直前、または、2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に、使用者の意思による便蓋300の閉動作が行われた場合、当該2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に便蓋300を開動作させない。
すなわち、例えば、制御部405は、タイミングT4の便器洗浄信号(3回目の便器洗浄信号)を受信する直前のタイミングT3において、使用者の意思による便蓋300の閉動作が行われたため、タイミングT4からタイミングT6の間の便器洗浄中において、便蓋300を開動作させない。例えば、タイミングT5において、使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作しても、制御部405は、タイミングT6まで便蓋300を開動作させない。
【0072】
これにより、着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においても、例えば洗浄水の飛沫の飛散が気になる使用者は、便蓋300を閉じた状態とすることができる。
【0073】
なお、「2回目以降の便器洗浄信号を受信する直前」とは、当該2回目以降の便器洗浄信号を受信する前の例えば10秒間程度である。また、使用者の意思による便蓋300の閉動作とは、使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作することで制御部405が便蓋300を閉じること、または、使用者が便蓋300に触れて手動で便蓋300を閉じることである。
【0074】
制御部405は、2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の直前、または2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に、便蓋300の閉動作が行われた場合、便器洗浄が終了した後に自動で便蓋300を開動作させる。
すなわち、例えば、タイミングT16の便器洗浄信号(2回目の便器洗浄信号)による便器洗浄中(タイミングT16からタイミングT18まで)のタイミングT17において便蓋300の閉動作が行われたため、制御部405は、便器洗浄が終了した後のタイミングT18において、便蓋モータ407を制御して便蓋300を開動作させる。
また、例えば、タイミングT4の便器洗浄信号(3回目の便器洗浄信号)による便器洗浄の直前のタイミングT3において、便蓋300の閉動作が行われたため、制御部405は、便器洗浄が終了したタイミングT6において、便蓋モータ407を制御して便蓋300を開動作させる。
【0075】
これにより、2回目以降の便器洗浄時に便蓋300を閉動作させた場合、その便器洗浄後に、使用者が便蓋300を開動作させる手間が不要となる。したがって、使い勝手を向上させることができる。
【0076】
なお、「2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の直前」とは、その便器洗浄が開始される前の例えば10秒間程度である。
【0077】
制御部405は、1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に脱臭ファン410が動作している場合は、脱臭ファン410を停止、または、脱臭ファン410が排出する風量を小さくする。
すなわち、例えば、タイミングT11の便器洗浄信号(1回目の便器洗浄信号)による便器洗浄を開始するとき、タイミングT12において制御部405は、脱臭ファン410を停止させる。または、制御部405は、タイミングT12において、脱臭ファン410を強動作から弱動作に切り替えてもよい。
【0078】
これにより、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が、脱臭ファン410が排出する空気とともに便器800外に排出されることを抑制できる。
【0079】
制御部405は、1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に脱臭ファン410を停止またはその風量を小さくした場合は、その便器洗浄が終了すると脱臭ファン410を再動作またはその風量を大きくする。
すなわち、例えば、制御部405は、タイミングT12において脱臭ファン410を停止させた場合は、便器洗浄が終了したタイミングT13において、脱臭ファンを再び強動作させる。または、制御部405は、タイミングT12において脱臭ファン410を強動作から弱動作に切り替えた場合は、便器洗浄終了後に脱臭ファン410を弱動作から強動作に切り替えてもよい。
【0080】
このように、便器洗浄後に脱臭ファンを再動作またはその風量を大きくすることで、脱臭性能の低下を抑制することができる。
【0081】
例えば、制御部405は、便器洗浄バルブ804が閉じた時から10秒後までの間に、脱臭ファン410を再動作またはその風量を大きくする。例えば、便器洗浄バルブ804が閉じた時から数秒後において、洗浄水の流れが弱くなったときに脱臭ファン410を再動作またはその風量を大きくする。これにより、汚染物質を含む洗浄水の飛沫の拡散を抑制できる。
【0082】
図4は、実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
タイミングT22において、使用者がトイレ装置10が設けられたトイレ室に入室し、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知する。制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋モータ407を制御する。これにより、タイミングT23において、便蓋300が開状態となる。
【0083】
タイミングT24において、使用者が第1便器洗浄スイッチ501を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便器洗浄の実施を開始する。タイミングT25において、便器洗浄が終了する。
【0084】
タイミングT26において、使用者が第2便器洗浄スイッチ502を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉動作させる。タイミングT27において、制御部405は、便蓋300が閉まった状態で便器洗浄の実行を開始する。タイミングT28において便器洗浄が終了すると、制御部405は便蓋300を開動作させ、タイミングT29において便蓋300が開状態となる。
【0085】
タイミングT30において、使用者が便座200に着座する。これにより、着座センサ404が着座検知状態となる。使用者は、タイミングT30からタイミングT31までの間において排泄行為を行い、タイミングT31において便座200から離れる。
【0086】
タイミングT32において、使用者が第1便器洗浄スイッチ501または第2便器洗浄スイッチ502を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉動作させる。タイミングT33において、制御部405は、便蓋300が閉まった状態で便器洗浄の実行を開始する。タイミングT34において、便器洗浄が終了する。
【0087】
タイミングT35において、使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋開信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を開動作させる。タイミングT36において、便蓋300が開状態となる。
【0088】
タイミングT37において、使用者が第2便器洗浄スイッチ502を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉動作させる。タイミングT38において、制御部405は、便蓋300が閉まった状態で便器洗浄の実行を開始する。タイミングT39において、便器洗浄が終了すると、制御部405は便蓋300を開動作させる。
【0089】
タイミングT40において使用者がトイレ室から退室すると、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知しない状態となる。すると、制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋300を閉じる。
【0090】
なお、タイミングT40の後に、再びタイミングT22~T40の動作が繰り返されているものとする。
【0091】
この例においても、便器洗浄信号の回数のカウントは、使用者の離座の直後から開始され、例えば使用者の着座によってリセットされ、ゼロに戻る。すなわち、例えば、タイミングT32の便器洗浄信号が1回目であり、タイミングT37の便器洗浄信号が2回目であり、繰り返された次のタイミングT24の便器洗浄信号が3回目であり、繰り返された次のタイミングT26の便器洗浄信号が4回目である。
【0092】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、1回目の便器洗浄信号を、第1便器洗浄スイッチ501または第2便器洗浄スイッチ502から受信した場合は、便蓋300を閉動作させる。
すなわち、例えば、制御部405は、タイミングT32の便器洗浄信号(1回目の便器洗浄信号)を受信した場合、便蓋300を閉動作させる。
【0093】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、2回目以降の便器洗浄信号を、第1便器洗浄スイッチ501から受信した場合は、便蓋300を閉動作させない。
すなわち、例えば、制御部405は、繰り返されたタイミングT24の便器洗浄信号(3回目の便器洗浄信号)を受信した場合は、便蓋300を閉動作させない。
【0094】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、2回目以降の便器洗浄信号を、第2便器洗浄スイッチ502から受信した場合は、便蓋300を閉動作させる。
すなわち、例えば、制御部405は、タイミングT37の便器洗浄信号(2回目の便器洗浄信号)を受信した場合、便蓋300を閉動作させる。
また、例えば、制御部405は、繰り返されたタイミングT26の便器洗浄信号(4回目の便器洗浄信号)を受信した場合、便蓋300を閉動作させる。
【0095】
これにより、着座センサ404が着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においても、例えば洗浄水の飛沫の飛散が気になる使用者は、第2便器洗浄スイッチ502を操作することにより、便蓋300を閉じた状態とすることができる。
【0096】
制御部405は、2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の直前に便蓋300の閉動作が行われた場合、その2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄が終了した後に自動で便蓋300を開動作させる。
すなわち、例えば、制御部405は、繰り返されたタイミングT26の便器洗浄信号(4回目の便器洗浄信号)によって、タイミングT27~T28において便器洗浄を行う。その便器洗浄の直前のタイミングT26において便蓋300の閉動作が行われたため、制御部405は、タイミングT28において便器洗浄が終了した後に、便蓋モータ407を制御して便蓋300を開く。つまり、制御部405は、第2便器洗浄スイッチ502から2回目以降の便器洗浄信号を受信して便蓋300を閉動作させた場合、その2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄が終了した後に自動で便蓋300を開動作させる。
【0097】
これにより、2回目以降の便器洗浄時に便蓋300を閉動作させた場合、その便器洗浄後に、使用者が便蓋300を開動作させる手間が不要となる。したがって、使い勝手を向上させることができる。
【0098】
T39以降での便蓋300の開動作は、前記リモコンに搭載されたマイク、もしくは、前記便座装置に搭載されたマイクにより認識された音声信号を基に、制御部405により指示されてもよい。
【0099】
通常、使用者は、便座200を離座後トイレ空間に設置された手洗い器からの吐水により手を洗浄する。一方で、便蓋を閉めた後に便器洗浄を実施されるため、使用者は、自身の排出した汚物を便器洗浄により、確実に排出されたか心配となり、便蓋300を開いて排出されたかどうかを確認する。
【0100】
通常であれば、便蓋300を開するには、リモコンのスイッチを押して便蓋開の指示を出すこととなる。不特定多数が接触した可能性のあるリモコンは汚染されている可能性があるためリモコンに触れた後、排泄物が流れたことを確認してから手を洗浄することが望ましい。
【0101】
しかしながら、その場合、使用者は便蓋を閉めて便器洗浄を実施する一連の動作が行われる時間と排泄物の確認の時間を便器付近で待つ必要があり、非常にストレスとなる。
【0102】
また、便器洗浄と手洗い器吐水動作が連動している場合、排泄物を流す一回目の便器洗浄の際に手を洗浄することができず、排泄物の確認のあと二回目の便器洗浄を実施することにより手洗い器を吐水させ手を洗浄することとなり、無駄な水を使ってしまう。
【0103】
音声により便器洗浄を実施することにより、
手を洗浄したあとに再びリモコン操作を行い、便蓋便蓋を閉めて便器洗浄を実施する一連の動作の際に、手洗い器の吐水により手を洗浄することができ、リモコンに触れずに便蓋の開閉が可能であるため時間的ストレスなく清潔な状態でトイレ空間を退室できる。
【0104】
図5は、実施形態に係る便座装置の動作の一例を表すタイミングチャートである。
タイミングT41において、使用者がトイレ装置10が設けられたトイレ室に入室し、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知する。制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋モータ407を制御する。これにより、タイミングT42において、便蓋300が開状態となる。
【0105】
タイミングT43において、使用者がリモコン500(例えば第1便器洗浄スイッチ501)を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便器洗浄の実行を開始する。このとき、制御部405は、流量調整弁803を制御して、洗浄水の流量を大流量とする。タイミングT44において、便器洗浄が終了する。
【0106】
タイミングT45において、使用者が便座200に着座する。これにより、着座センサ404が着座検知状態となる。使用者は、タイミングT45からタイミングT48までの間において排泄行為を行う。使用者が、着座中のタイミングT46において、リモコン500を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便器洗浄の実行を開始する。このとき、制御部405は、流量調整弁803を制御して、洗浄水の流量を小流量とする。タイミングT47において便器洗浄が終了し、タイミングT48において使用者が便座200から離れる。
【0107】
タイミングT49において、使用者がリモコン500を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300を閉動作させる。タイミングT50において、制御部405は、便蓋300が閉まった状態で便器洗浄の実行を開始する。タイミングT51において、便器洗浄が終了する。
【0108】
タイミングT52において、使用者が便蓋開閉スイッチ503を操作して便蓋開信号を送信すると、便蓋300が開く。タイミングT53において、使用者がリモコン500を操作して便器洗浄信号を送信すると、制御部405は、便蓋300が開いた状態のままで便器洗浄の実行を開始する。このとき、制御部405は、流量調整弁803を制御して、洗浄水の流量を大流量とする。タイミングT54において、便器洗浄が終了する。
【0109】
タイミングT55において使用者がトイレ室から退室すると、人体検知センサ403が、使用者の存在を感知しない状態となる。すると、制御部405は、人体検知センサ403の検知結果に基づいて、便蓋300を閉じる。
【0110】
なお、タイミングT55の後に、再びタイミングT41~T55の動作が繰り返されているものとする。
【0111】
この例においても、便器洗浄信号の回数のカウントは、使用者の離座の直後から開始され、例えば使用者の着座によってリセットされ、ゼロに戻る。すなわち、例えば、タイミングT49の便器洗浄信号が1回目であり、タイミングT53の便器洗浄信号が2回目であり、繰り返された次のタイミングT43の便器洗浄信号が3回目である。タイミングT46の便器洗浄信号は、使用者の着座中であるため、カウントされていない。
【0112】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態であるときに便器洗浄信号を受信した場合は、便蓋300を閉動作させない。
すなわち、例えば、制御部405は、タイミングT46の便器洗浄信号を受信した場合、便蓋300を閉動作させていない。これにより、着座中の使用者が便蓋300に挟まれることを防止できる。
【0113】
制御部405は、着座センサ404が着座検知状態であるときの便器洗浄の洗浄水の水量、または、1回目の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量を、2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量よりも小さくする。
すなわち、例えば、着座センサ404が着座検知状態であるタイミングT46~T47の便器洗浄の洗浄水の流量は、タイミングT53~T54の便器洗浄(2回目の便器洗浄信号による便器洗浄)の洗浄水の流量よりも小さく、繰り返されたタイミングT43~T44の便器洗浄(3回目の便器洗浄信号による便器洗浄)の洗浄水の流量よりも小さい。また、例えば、タイミングT50~T51の便器洗浄(1回目の便器洗浄信号による便器洗浄)の洗浄水の流量は、タイミングT53~T54の便器洗浄(2回目の便器洗浄信号による便器洗浄)の洗浄水の流量よりも小さく、繰り返されたタイミングT43~T44の便器洗浄(3回目の便器洗浄信号による便器洗浄)の洗浄水の流量よりも小さい。
【0114】
便器洗浄の洗浄水の水量を小さくすることで、便器洗浄中における洗浄水の飛沫の飛散を抑制することができる。したがって、使用者の着座中には、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が使用者の臀部に付着することを抑制でき、1回目の便器洗浄中には、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が便蓋の裏面に付着することを抑制できる。
【0115】
なお、便器洗浄の洗浄水の水量は、流量(単位時間あたりに流れる体積)ではなく、便器洗浄の時間を短くすることで小さくしてもよい。洗浄水の水量は、流量と便器洗浄の時間との少なくともいずれかで調整することができる。
【0116】
以上説明した実施形態に基づく便座装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0117】
第1の態様は、使用者が着座する便座と、開閉可能であり、閉じた状態において前記便座を覆う便蓋と、前記便蓋を電動で開閉する便蓋モータと、前記便座への使用者の着座を検知する着座センサと、前記着座センサの検知結果に基づいて、前記便蓋モータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記着座センサが着座検知状態から着座非検知状態に切り替わってから再び着座検知状態となるまでの間において、1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させない制御を実行可能であることを特徴とする便座装置である。
【0118】
着座センサが着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物(例えば大便)が便器内に存在している可能性の高い。そこで、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから1回目の便器洗浄においては、便蓋を閉じた状態とする。これにより、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制できる。
一方、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目の便器洗浄においては、使用者の排泄物が便器内に存在している可能性は低い。そこで、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においては、便蓋を閉じずに、開いたままとすることを可能とする。便蓋が開いたままの場合は、便器洗浄後に使用者が再び便蓋を開く必要がないため、使用感を向上させることができる。
従って、この便座装置によれば、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が飛散することを抑制しつつ、使用感を向上させることができる。
【0119】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記2回目以降の便器洗浄信号を受信する直前または前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に使用者の意志による前記便蓋の閉動作が行われた場合、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に前記便蓋を開動作させないことを特徴とする便座装置である。
【0120】
この便座装置によれば、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においても、例えば洗浄水の飛沫の飛散が気になる使用者は、便蓋を閉じた状態とすることができる。
【0121】
第3の態様は、第1の態様において、第1便器洗浄スイッチと第2便器洗浄スイッチとを有する操作部をさらに備え、前記制御部は、前記第1便器洗浄スイッチから前記1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、前記第1便器洗浄スイッチから前記2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合には前記便蓋を閉動作させず、前記第2便器洗浄スイッチから前記1回目の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させ、前記第2便器洗浄スイッチから前記2回目以降の便器洗浄信号を受信した場合は前記便蓋を閉動作させることを特徴とする便座装置である。
【0122】
この便座装置によれば、着座センサが着座非検知状態に切り替わってから2回目以降の便器洗浄においても、例えば洗浄水の飛沫の飛散が気になる使用者は、第2便器洗浄スイッチを操作することにより、便蓋を閉じた状態とすることができる。
【0123】
第4の態様は、第2または第3の態様において、前記制御部は、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の直前、または前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄中に、前記便蓋の閉動作が行われた場合、便器洗浄が終了した後に自動で前記便蓋を開動作させることを特徴とする便座装置である。
【0124】
この便座装置によれば、2回目以降の便器洗浄時に便蓋を閉動作させた場合、その便器洗浄後に、使用者が便蓋を開動作させる手間が不要となる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0125】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記着座センサが前記着座検知状態であるときに便器洗浄信号を受信した場合は、前記便蓋を閉動作させない便座装置である。
【0126】
この便座装置によれば、着座中の使用者が便蓋に挟まれることを防止できる。
【0127】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、便器内の空気を前記便器外に排出する脱臭手段をさらに備え、前記制御部は、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に前記脱臭手段が動作している場合は、前記脱臭手段を停止、または、前記脱臭手段が排出する風量を小さくすることを特徴とする便座装置である。
【0128】
この便座装置によれば、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が、脱臭手段が排出する空気とともに便器外に排出されることを抑制できる。
【0129】
第7の態様は、第6の態様において、記制御部は、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄を行う際に前記脱臭手段を停止または前記風量を小さくした場合は、便器洗浄が終了すると前記脱臭手段を再動作または前記風量を大きくすることを特徴とする便座装置である。
【0130】
この便座装置によれば、脱臭手段を再動作または風量を大きくさせることで、脱臭性能の低下を抑制することができる。
【0131】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記制御部は、前記着座センサが前記着座検知状態であるときの便器洗浄の洗浄水の水量、または、前記1回目の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量を、前記2回目以降の便器洗浄信号による便器洗浄の洗浄水の水量よりも、小さくすることを特徴とする便座装置である。
【0132】
この便座装置によれば、便器洗浄の洗浄水の水量を小さくすることで、便器洗浄中における洗浄水の飛沫の飛散を抑制することができる。したがって、使用者の着座中には、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が使用者の臀部に付着することを抑制でき、1回目の便器洗浄中には、汚染物質を含む洗浄水の飛沫が便蓋の裏面に付着することを抑制できる。
【0133】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0134】
10 トイレ装置、 100 便座装置、 200 便座、 300 便蓋、 400 ケーシング、 403 人体検知センサ、 404 着座センサ、 405 制御部、 406 受信部、 407 便蓋モータ、 408 便蓋開閉センサ、 409 便座モータ、 410 脱臭ファン、 473 吐水部、 474 吐水口、 500 リモコン、 501 第1便器洗浄スイッチ、 502 第2便器洗浄スイッチ、 503 便蓋開閉スイッチ、 504 便座開閉スイッチ、 505 送信部、 506 リモコン制御部、 800 便器、 801 ボウル部、 802 吐水部、 803 流量調整弁、 804 便器洗浄バルブ、 900 給水源、 T1~T55 タイミング
図1
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図8