(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】車両運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20240626BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240626BHJP
B60T 7/22 20060101ALI20240626BHJP
B60T 7/14 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B60W40/08
B60W30/09
B60T7/22
B60T7/14
(21)【出願番号】P 2020208999
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 昌克
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-82298(JP,A)
【文献】特開2010-69983(JP,A)
【文献】特開2014-221610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の衝突の大きさを表す衝突指標値が所定軽衝突範囲内である軽衝突が前記自車両に発生したとの軽衝突条件が成立したときに前記自車両の運転者の居眠りのレベルである居眠りレベルが所定閾値レベル以上であるとの居眠り条件が成立した場合、前記自車両を強制的に減速させる強制減速を行う二次衝突軽減制御を実行する車両運転支援装置
であって、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときにそのときの前記居眠りレベルが低いときには前記居眠りレベルが高いときよりも小さい減速度で前記自車両が減速するように前記強制減速を行う、
ように構成されている、
車両運転支援装置
において、
前記自車両の運転者の瞼が閉じていると判断している状態が継続した時間である継続時間に基づいて前記居眠りレベルを判断し、
前記継続時間が短いときよりも長いときのほうが前記居眠りレベルが高いと判断する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により又は前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行うように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときの前記居眠りレベルに応じて前記強制制動により前記強制減速を行うか、前記駆動力制限により前記強制減速を行うかを決定し、
前記居眠りレベルが前記所定閾値レベルよりも高い所定切替レベル以上である場合、前記強制制動により前記強制減速を行い、
前記居眠りレベルが前記所定切替レベルよりも低い場合、前記駆動力制限により前記強制減速を行う、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときの前記自車両の車速に応じて前記強制制動により前記強制減速を行うか、前記駆動力制限により前記強制減速を行うかを決定し、
前記自車両の車速が所定車速以上である場合、前記強制制動により前記強制減速を行い、
前記自車両の車速が前記所定車速よりも小さい場合、前記駆動力制限により前記強制減速を行う、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により前記強制減速を行う場合、前記居眠りレベルが低いときよりも高いときのほうが前記所定制動力を大きい制動力に設定し、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行う場合、前記居眠りレベルが低いときよりも高いときのほうが前記所定駆動力を小さい駆動力に設定する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により前記強制減速を行う場合、前記自車両の車速が小さいときよりも大きいときのほうが前記所定制動力を大きい制動力に設定し、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行う場合、前記自車両の車速が小さいときよりも大きいときのほうが前記所定駆動力を小さい駆動力に設定する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記所定軽衝突範囲は、前記自車両のエアバッグを展開させる前記衝突指標値の範囲よりも小さい範囲に設定されている、
車両運転支援装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立した後、制御終了条件が成立した場合、前記二次衝突軽減制御を終了するように構成されており、
前記制御終了条件は、前記居眠りレベルが前記所定閾値レベルよりも低くなったときに成立し、或いは、前記自車両を加速し或いは減速し或いは操舵するための前記運転者による操作が所定操作時間以上、継続したときに成立し、或いは、前記自車両が停止したときに成立する、
車両運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを展開させない程度の車両の衝突(軽衝突)が発生した後にその車両が更に別の衝突を起こしてしまうことがある。こうした軽衝突の発生後に更に別の衝突(二次衝突)を防止するための車両運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来の車両運転支援装置は、軽衝突が発生したときに予め定めてある減速度で車両が減速するように車両を強制的に減速させて停止させる強制減速を実施することにより、二次衝突の発生を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
軽衝突が発生したときに目を覚まして二次衝突を回避する行動を自らとることが可能な程度にしか運転者が居眠りをしていない場合もある。こうした場合に強制減速を実施して車両を減速させると、その自車両の減速が運転者にとって不必要なほどの減速となってしまう可能性がある。このことを回避する手段としては、軽衝突が発生しても目を覚まさないほどに運転者が居眠りをしている場合(即ち、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断される場合)に限り、強制減速を実施するという手段が考えられる。そして、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていることを判断する方法としては、運転者が居眠りをしていると推定された時点から、その状態が一定時間、継続したことをもって運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断するという方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、これによると、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断されるまでは、軽衝突が発生しても強制減速が実施されず、その結果、二次衝突を回避することができない可能性がある。
【0006】
このように、運転者が居眠りをしている確実性が高いときに限り、強制減速を実施するようにしていると、二次衝突を回避することができない場面が生じる可能性があり、一方、運転者が居眠りしている確実性が低くても強制減速を実施するようにしていると、車両を不必要に減速させてしまう場面が生じる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、車両を不必要に減速させてしまうことを回避しつつ、二次衝突をより確実に回避することができる車両運転支援装置を提供することにある。
【0008】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の衝突の大きさを表す衝突指標値が所定軽衝突範囲内である軽衝突が前記自車両に発生したとの軽衝突条件が成立したときに前記自車両の運転者の居眠りのレベルである居眠りレベルが所定閾値レベル以上であるとの居眠り条件が成立した場合、前記自車両を強制的に減速させる強制減速を行う二次衝突軽減制御を実行する装置である。そして、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときにそのときの前記居眠りレベルが低いときには前記居眠りレベルが高いときよりも小さい減速度で前記自車両が減速するように前記強制減速を行うように構成されている。
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両の運転者の瞼が閉じていると判断している状態が継続した時間である継続時間に基づいて前記居眠りレベルを判断し、前記継続時間が短いときよりも長いときのほうが前記居眠りレベルが高いと判断するように構成されている。
【0009】
運転者が居眠りをしているときに自車両が軽衝突を起こした場合、その直後に更なる衝突(二次衝突)を自車両が起こす可能性がある。こうした二次衝突を回避する手段として、運転者が居眠りをしているときに自車両が軽衝突を起こした場合、自車両を強制的に減速して停止させる強制減速を実施するという手段が考えられる。しかしながら、軽衝突が発生したときに目を覚まして二次衝突を回避する行動を自らとることが可能な程度にしか運転者が居眠りをしていない場合もある。こうした場合に強制減速を実施して自車両を減速させると、その自車両の減速が運転者にとって不必要なほどの減速となってしまう可能性がある。このことを回避する手段としては、軽衝突が発生しても目を覚まさないほどに運転者が居眠りをしている場合(即ち、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断される場合)に限り、強制減速を実施するという手段が考えられる。そして、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていることを判断する方法としては、運転者が居眠りをしていると推定された時点から、その状態が一定時間、継続したことをもって運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断するという方法が考えられる。しかしながら、これによると、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断されるまでは、軽衝突が発生しても強制減速が実施されず、その結果、二次衝突を回避することができない可能性がある。
【0010】
このように、運転者が居眠りをしている確実性が高いときに限り、強制減速を実施するようにしていると、二次衝突を回避することができない場面が生じる可能性があり、一方、運転者が居眠りしている確実性が低くても強制減速を実施するようにしていると、自車両を不必要に減速させてしまう場面が生じる可能性がある。
【0011】
本発明によれば、運転者の居眠りレベルが低いときから強制減速が実施され、運転者の居眠りレベルが高くなると、強制減速による自車両の減速度が大きくされるので、不必要なほどの自車両の減速を回避しつつ、二次衝突を回避する確実性を高めることができる。
又、運転者が瞼を閉じている時間が長いほど運転者の居眠りレベルが高い可能性がある。本発明によれば、運転者が瞼を閉じている時間が長いときのほうが短いときよりも居眠りレベルが高いと判断される。このため、運転者の居眠りレベルをより正確に判断することができる。
【0012】
本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により又は前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行うように構成されていてもよい。
【0013】
一般に、「強制制動により達成される自車両の減速度」と「駆動力制限により達成される自車両の減速度」とは、互いに異なる。本発明によれば、二次衝突を回避するために適切な自車両の減速を達成可能な強制減速を強制制動及び駆動力制限から適宜選択することができる。このため、二次衝突を回避するために自車両を適切に減速させることができる。
【0014】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときの前記居眠りレベルに応じて前記強制制動により前記強制減速を行うか、前記駆動力制限により前記強制減速を行うかを決定するように構成されていてもよい。この場合、本発明に係る車両運転支援装置は、前記居眠りレベルが前記所定閾値レベルよりも高い所定切替レベル以上である場合、前記強制制動により前記強制減速を行い、前記居眠りレベルが前記所定切替レベルよりも低い場合、前記駆動力制限により前記強制減速を行う。
【0015】
二次衝突を回避するためには、居眠りレベルが高いときには、居眠りレベルが低いときよりも、自車両を大きく減速させることが好ましい。又、一般に、駆動力制限よりも強制制動のほうが自車両を大きく減速させることができる。本発明によれば、強制減速が実施される場合、居眠りレベルが高いときには、強制制動により自車両が減速され、車速が小さいときには、駆動力制限により自車両が減速される。このため、二次衝突をより確実に回避することができる。
【0016】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときの前記自車両の車速に応じて前記強制制動により前記強制減速を行うか、前記駆動力制限により前記強制減速を行うかを決定するように構成されていてもよい。この場合、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両の車速が所定車速以上である場合、前記強制制動により前記強制減速を行い、前記自車両の車速が前記所定車速よりも小さい場合、前記駆動力制限により前記強制減速を行う。
【0017】
二次衝突を回避するためには、車速が大きいときには、車速が小さいときよりも、自車両を大きく減速させることが好ましい。又、一般に、駆動力制限よりも強制制動のほうが自車両を大きく減速させることができる。本発明によれば、車速が大きいときには、強制制動により自車両が減速され、車速が小さいときには、駆動力制限により自車両が減速される。このため、二次衝突をより確実に回避することができる。
【0018】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により前記強制減速を行う場合、前記居眠りレベルが低いときよりも高いときのほうが前記所定制動力を大きい制動力に設定し、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行う場合、前記居眠りレベルが低いときよりも高いときのほうが前記所定駆動力を小さい駆動力に設定するように構成されていてもよい。
【0019】
二次衝突を回避するためには、居眠りレベルが高いときには、居眠りレベルが低いときよりも、自車両を大きく減速させることが好ましい。本発明によれば、強制減速が実施される場合、居眠りレベルが高いときには、居眠りレベルが低いときよりも、自車両が大きく減速される。このため、二次衝突をより確実に回避することができる。
【0020】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に所定制動力以上の制動力を加える強制制動により前記強制減速を行う場合、前記自車両の車速が小さいときよりも大きいときのほうが前記所定制動力を大きい制動力に設定し、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立したときに前記自車両に加える駆動力を所定駆動力以下に制限する駆動力制限により前記強制減速を行う場合、前記自車両の車速が小さいときよりも大きいときのほうが前記所定駆動力を小さい駆動力に設定するように構成されていてもよい。
【0021】
二次衝突を回避するためには、車速が大きいときには、車速が小さいときよりも、自車両を大きく減速させることが好ましい。本発明によれば、車速が大きいときには、車速が小さいときよりも、強制減速により自車両が大きく減速される。このため、二次衝突をより確実に回避することができる。
【0024】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記所定軽衝突範囲は、例えば、前記自車両のエアバッグを展開させる前記衝突指標値の範囲よりも小さい範囲に設定されている。
【0025】
エアバッグを展開させるほどの衝突が発生した場合、強制減速を実施する必要性が低い。本発明によれば、エアバッグを展開させるほどではない衝突(いわゆる軽衝突)が発生した場合に強制減速が実施される。このため、強制減速を実施する必要性が低いときに強制減速を実施してしまうことを防止することができる。
【0026】
又、本発明に係る車両運転支援装置は、前記軽衝突条件及び前記居眠り条件が成立した後、制御終了条件が成立した場合、前記二次衝突軽減制御を終了するように構成されていてもよい。この場合、前記制御終了条件は、例えば、前記居眠りレベルが前記所定閾値レベルよりも低くなったときに成立し、或いは、前記自車両を加速し或いは減速し或いは操舵するための前記運転者による操作が所定操作時間以上、継続したときに成立し、或いは、前記自車両が停止したときに成立する。
【0027】
居眠りレベルが低くなった場合や、運転者が自ら自車両を加速し或いは減速し或いは操舵するための操作を行っている場合、それ以上、強制減速を継続する必要性が低い。又、自車両が停止した場合、それ以上、強制減速を継続する必要はない。本発明によれば、こうした場合、強制減速が終了される。このため、必要以上に強制減速を実施してしまうことを防止することができる。
【0028】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
【
図2】
図2は、自車両の運転者に注意を喚起する通知が行われるときの居眠りレベル等の変化を示したタイムチャートである。
【
図3】
図3は、二次衝突軽減制御において居眠りレベルと車速とに応じて設定される駆動力及び制動力を示した図である。
【
図4】
図4は、二次衝突軽減制御が実行されたときの駆動力及び制動力等の変化の一例を示したタイムチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。
図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10は、自車両100に搭載されている。
【0031】
<ECU>
車両運転支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0032】
<車両走行装置等>
自車両100には、車両走行装置20と、通知装置30と、エアバッグ装置40と、が搭載されている。車両走行装置20は、自車両100の駆動、制動及び操舵を行う装置であり、本例においては、駆動装置21と、制動装置22と、操舵装置23と、を備えている。又、通知装置30は、自車両100の運転者に対する通知を行う装置であり、本例においては、ディスプレイ31と、ブザー32と、を備えている。エアバッグ装置40は、自車両100に衝突が発生したときにエアバッグを展開することにより自車両100の運転者がハンドル54にぶつかることを防止する装置であり、本例においては、インフレータ41と、エアバッグ42と、を備えている。
【0033】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動力を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動力を制御することができる。
【0034】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動力を出力する装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動力を制御することができる。
【0035】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵力を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵力を制御することができる。
【0036】
このように、車両運転支援装置10(のECU90)は、車両走行装置20の作動を制御することにより自車両100の駆動、制動及び操舵を制御することができる。
【0037】
<ディスプレイ>
ディスプレイ31は、各種画像を表示する装置である。ディスプレイ31は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ディスプレイ31に各種画像を表示させることができる。
【0038】
<ブザー>
ブザー32は、各種警報音を出力する装置である。ブザー32は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ブザー32から各種警報音を出力させることができる。
【0039】
このように、車両運転支援装置10(のECU90)は、通知装置30を作動させることにより自車両100の運転者への各種通知を行うことができる。
【0040】
<エアバッグ>
インフレータ41は、エアバッグ42を展開させるためのガスを発生するための装置である。インフレータ41は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、後述する前後加速度センサ74により検出される縦減速度Gdと相関関係を有する衝突指標値Cが所定値Cth以上になった場合、インフレータ41を作動させてガスを発生させる。そのガスがエアバッグ42に送られることにより、エアバッグ42が展開される。
【0041】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル51と、ブレーキペダル52と、ステアリングシャフト53と、ハンドル54と、アクセルペダル操作量センサ71と、ブレーキペダル操作量センサ72と、操舵角センサ73と、前後加速度センサ74と、車速検出装置75と、運転者情報取得装置76と、が搭載されている。
【0042】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ71は、アクセルペダル51の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ71は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ71は、検出したアクセルペダル51の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル51の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0043】
ECU90は、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の車速Vから要求駆動力DRreq(要求駆動トルク)を演算により取得する。要求駆動力DRreqは、自車両100の運転者により駆動装置21に出力が要求されている駆動力である。
【0044】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ72は、ブレーキペダル52の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ72は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ72は、検出したブレーキペダル52の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル52の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0045】
ECU90は、ブレーキペダル操作量BPから要求制動力BKreq(要求制動トルク)を演算により取得する。要求制動力BKreqは、自車両100の運転者により制動装置22に出力が要求されている制動力である。
【0046】
<操舵角センサ>
操舵角センサ73は、中立位置に対するステアリングシャフト53の回転角度を検出するセンサである。自車両100の運転者は、ステアリングシャフト53に連結されたハンドル54を回転操作することによりステアリングシャフト53を回転させることができる。操舵角センサ73は、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ73は、検出したステアリングシャフト53の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト53の回転角度を操舵角θとして取得する。
【0047】
ECU90は、操舵角θから要求操舵力(要求操舵トルク)を演算により取得する。要求操舵力は、操舵装置23に出力が要求されている操舵力である。ECU90は、要求操舵力が出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0048】
<前後加速度センサ>
前後加速度センサ74は、自車両100の前後方向の加速度を検出する装置である。前後加速度センサ74は、ECU90に電気的に接続されている。前後加速度センサ74は、検出した自車両100の前後方向の加速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の前後方向の加速度を取得する。尚、取得された加速度が負の値である場合、その加速度は、自車両100の前後方向の減速度(縦減速度Gd)である。
【0049】
<車速検出装置>
車速検出装置75は、自車両100の車速を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置75は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置75は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の車速Vを取得する。尚、ECU90は、車速Vがゼロである場合、自車両100が停止していると判断する。
【0050】
<運転者情報取得装置>
運転者情報取得装置76は、自車両100の運転者に関する情報を取得する装置であり、例えば、いわゆるドライバーモニターである。運転者情報取得装置76は、ECU90に電気的に接続されている。運転者情報取得装置76は、取得した情報(運転者情報I_D)をECU90に送信する。ECU90は、その運転者情報I_Dから自車両100の運転者の瞼が閉じているか否かを判定することができる。
【0051】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。車両運転支援装置10は、自車両100の運転者が居眠りをしていると判定した場合、自車両100の運転者に対する通知を行う。更に、車両運転支援装置10は、自車両100の運転者が居眠りをしていると判定しているときに自車両100の軽衝突が発生した場合、自車両100を自動で減速させる二次衝突軽減制御を行う。
【0052】
以下、これら通知及び二次衝突軽減制御について説明する。
【0053】
車両運転支援装置10は、自車両100の運転者の居眠りのレベルを表す居眠りレベルLVを取得する。本例において、居眠りレベルLVは、自車両100の運転者の瞼が閉じていると判断している状態が継続した時間(継続時間T)に基づいて取得される。又、本例において、自車両100の運転者の瞼が閉じているか否かは、運転者情報I_Dに基づいて判断される。尚、本例においては、車両運転支援装置10は、自車両100の運転者の瞼が完全に閉じている場合、運転者の瞼が閉じていると判断するが、例えば、運転者の瞼が完全に開いている状態を瞼の開き具合が100%であるとしたときに開き具合が10%以下である場合、運転者の瞼が閉じていると判断する等のように、瞼の開き具合が所定具合以下である場合に運転者の瞼が閉じていると判断するように構成されてもよい。
【0054】
車両運転支援装置10は、
図2に示したように、自車両100の運転者の瞼が閉じた状態になったと判定したとき(時刻t20)にそのときから経過した時間(継続時間T)の計測を開始する。
【0055】
そして、車両運転支援装置10は、継続時間Tが所定時間(第1時間T_1)に達したとき(時刻t21)に居眠りレベルLVが所定閾値レベルLVth以上であるとの居眠り条件が成立したと判断する。より具体的には、車両運転支援装置10は、継続時間Tが第1時間T_1に達したとき(時刻t21)に居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であると判断する。その後、車両運転支援装置10は、継続時間Tが第2時間T_2に達したとき(時刻t22)に居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であると判断し、更にその後、継続時間Tが第3時間T_3に達したとき(時刻t23)に居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であると判断する。
【0056】
本例において、第1時間T_1は、ゼロよりも長い時間に設定されているが、ゼロに設定されていてもよい。
【0057】
<通知>
車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1である間(
図2の時刻t21から時刻t22までの間)は、自車両100の運転者に注意を促す画像(第1画像)をディスプレイ31に表示するとともに所定音量の警報音を継続してブザー32から出力させる通知(第1通知)を行う。
【0058】
又、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第2レベルLV_2である間(
図2の時刻t22から時刻t23までの間)は、自車両100の運転者に注意を促す画像(第2画像)をディスプレイ31に表示するとともに所定音量の警報音を所定周期で断続的にブザー32から出力させる通知(第2通知)を行う。尚、本例において、第2画像は、第1画像と同じ画像であるが、異なる画像であってもよい。
【0059】
又、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第3レベルLV_3である間(
図2の時刻t23以降)は、自車両100の運転者に注意を促す画像(第3画像)をディスプレイ31に表示するとともに所定音量の警報音を所定周期で断続的に出力させる通知(第3通知)を行う。しかしながら、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第3レベルLV_3に達したときにディスプレイ31での表示及びブザー32からの警報音の出力を停止するように構成されてもよい。
【0060】
尚、車両運転支援装置10は、第1通知、第2通知又は第3通知を行っているときに通知終了条件が成立した場合、行っている通知を終了する。本例において、通知終了条件は、居眠りレベルLVが所定閾値レベルLVthよりも低くなったとき、即ち、自車両100の運転者の瞼が閉じていない(即ち、開いている)と継続して判断している時間が所定時間に達したときに成立する。又、通知終了条件は、自車両100を加速するための運転者によるアクセルペダル51に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、通知終了条件は、自車両100を減速するための運転者によるブレーキペダル52に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、通知終了条件は、自車両100を操舵するための運転者によるハンドル54に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、通知終了条件は、自車両100が停止したときに成立する。
【0061】
<二次衝突軽減制御>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立したか否かを判定している。本例において、軽衝突条件は、自車両100の縦減速度Gdが所定縦減速度範囲Rgd内であり且つ縦減速度Gdが所定縦減速度範囲Rgd内の値であるときのその縦減速度Gdの積算値ΣGdが所定積算値ΣGd_th以上となったときに成立する。別の言い方をすると、軽衝突条件は、自車両100の衝突の大きさを表す衝突指標値Cが所定軽衝突範囲Rc内であるときに成立する。本例において、所定軽衝突範囲Rcは、エアバッグ42を展開させる衝突指標値Cの範囲よりも小さい範囲に設定されている。従って、本例において、車両運転支援装置10は、自車両100の衝突の大きさを表す衝突指標値Cとして、自車両100の縦減速度Gd及びその積算値ΣGdを利用していると言える。
【0062】
車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立した場合、居眠りレベルLVが所定閾値レベルLVth以上であるとの居眠り条件が成立しているか否かを判定する。より具体的には、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1、第2レベルLV_2及び第3レベルLV_3の何れかであるか否かを判定する。
【0063】
車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが所定閾値レベルLVth以上である場合、二次衝突軽減制御を行う。本例において、二次衝突軽減制御は、自車両100を強制的に減速させる強制減速として、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth以下に制限する駆動力制限と、自車両100に所定制動力BKth以上の制動力BKを加える強制制動と、を行う制御である。
【0064】
車両運転支援装置10は、軽衝突条件及び居眠り条件が成立したときの居眠りレベルLV及び車速Vに応じて自車両100の減速度として目標とする減速度を設定し、その目標とする減速度が達成されるように所定駆動力DRth及び所定制動力BKthを設定するように構成されてもよいが、本例においては、
図3に示したように、居眠りレベルLVと車速Vとに応じて所定駆動力DRth及び所定制動力BKthが予め設定されている。従って、二次衝突軽減制御は、以下のように行われる。
【0065】
<第1レベルでの二次衝突軽減制御>
<第1レベルで且つ低速時>
車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第1車速範囲R_1内にある場合、要求駆動力DRreqが所定駆動力DRthよりも大きいか否か、及び、要求制動力BKreqが第1制動力BK_1よりも大きいか否かを判定する。
【0066】
第1車速範囲R_1は、第1車速V_1(本例においては、ゼロ)よりも大きく且つ第2車速V_2以下の範囲である。第2車速V_2は、第1車速V_1よりも大きい値に設定されている。所定駆動力DRthは、ゼロよりも大きい値に設定されている。又、本例において、第1制動力BK_1は、ゼロに設定されているが、ゼロよりも若干大きい値に設定されてもよい。
【0067】
車両運転支援装置10は、要求駆動力DRreqが所定駆動力DRthよりも大きい場合、所定駆動力DRthを目標駆動力DRtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求駆動力DRreqが所定駆動力DRth以下である場合、要求駆動力DRreqを目標駆動力DRtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標駆動力DRtgtが駆動装置21から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0068】
一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第1制動力BK_1(即ち、ゼロ)よりも大きい場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定し、その設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第1制動力BK_1以下である場合(即ち、要求制動力BKreqがゼロである場合)、目標制動力BKtgtをゼロに設定し、制動力BKが制動装置22から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0069】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第1車速範囲R_1内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第1車速範囲R_1内にある場合、自車両100に所定制動力BKth(ゼロ)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0070】
<第1レベルで且つ中速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第2車速範囲R_2内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0071】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第2車速範囲R_2内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0072】
第2車速範囲R_2は、第2車速V_2よりも大きく且つ第3車速V_3以下の範囲である。第3車速V_3は、第2車速V_2よりも大きい値に設定されている。
【0073】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第2車速範囲R_2内にある場合、要求制動力BKreqが第2制動力BK_2以上であるか否かを判定する。
【0074】
第2制動力BK_2は、第1制動力BK_1(本例においては、ゼロ)よりも大きい値に設定されている。本例において、第2制動力BK_2は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0075】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第2制動力BK_2以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第2制動力BK_2よりも小さい場合、第2制動力BK_2を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0076】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第2車速範囲R_2内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第2制動力BK_2)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0077】
<第1レベルで且つ高速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第3車速範囲R_3内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0078】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第3車速範囲R_3内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0079】
第3車速範囲R_3は、第3車速V_3よりも大きい範囲である。
【0080】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第3車速範囲R_3内にある場合、要求制動力BKreqが第3制動力BK_3以上であるか否かを判定する。
【0081】
第3制動力BK_3は、第2制動力BK_2よりも大きい値に設定されている。本例において、第3制動力BK_3は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0082】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第3制動力BK_3以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第3制動力BK_3よりも小さい場合、第3制動力BK_3を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0083】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときに車速Vが第3車速範囲R_3内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第3制動力BK_3)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0084】
<第2レベルでの二次衝突軽減制御>
<第2レベルで且つ低速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるとき、或いは、継続時間Tが第2時間T_2に達して居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であると判断したときに車速Vが第4車速範囲R_4内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0085】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第4車速範囲R_4内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0086】
第4車速範囲R_4は、第4車速V_4(本例においては、ゼロ)よりも大きく且つ第5車速V_5以下の範囲である。第5車速V_5は、第4車速V_4よりも大きい値に設定されている。本例において、第4車速V_4は、第1車速V_1と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。又、第5車速V_5は、第2車速V_2と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。
【0087】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第4車速範囲R_4内にある場合、要求制動力BKreqが第4制動力BK_4以上であるか否かを判定する。
【0088】
第4制動力BK_4は、ゼロよりも大きい値に設定されている。本例において、第4制動力BK_4は、第2制動力BK_2と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。又、本例において、第4制動力BK_4は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0089】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第4制動力BK_4以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第4制動力BK_4よりも小さい場合、第4制動力BK_4を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0090】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第4車速範囲R_4内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第4制動力BK_4)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0091】
<第2レベルで且つ中速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第5車速範囲R_5内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0092】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第5車速範囲R_5内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0093】
第5車速範囲R_5は、第5車速V_5よりも大きく且つ第6車速V_6以下の範囲である。第6車速V_6は、第5車速V_5よりも大きい値に設定されている。
【0094】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第5車速範囲R_5内にある場合、要求制動力BKreqが第5制動力BK_5以上であるか否かを判定する。
【0095】
第5制動力BK_5は、第4制動力BK_4よりも大きい値に設定されている。本例において、第5制動力BK_5は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0096】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第5制動力BK_5以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第5制動力BK_5よりも小さい場合、第5制動力BK_5を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0097】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第5車速範囲R_5内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第5制動力BK_5)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0098】
<第2レベルで且つ高速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第6車速範囲R_6内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0099】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第6車速範囲R_6内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0100】
第6車速範囲R_6は、第6車速V_6よりも大きい範囲である。
【0101】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第6車速範囲R_6内にある場合、要求制動力BKreqが第6制動力BK_6以上であるか否かを判定する。
【0102】
第6制動力BK_6は、第5制動力BK_5よりも大きい値に設定されている。本例において、第6制動力BK_6は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0103】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第6制動力BK_6以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第6制動力BK_6よりも小さい場合、第6制動力BK_6を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0104】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときに車速Vが第6車速範囲R_6内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第6制動力BK_6)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0105】
<第3レベルでの二次衝突軽減制御>
<第3レベルで且つ低速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるとき、或いは、継続時間Tが第3時間T_3に達して居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であると判断したときに車速Vが第7車速範囲R_7内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0106】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第7車速範囲R_7内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0107】
第7車速範囲R_7は、第7車速V_7(本例においては、ゼロ)よりも大きく且つ第8車速V_8以下の範囲である。第8車速V_8は、第7車速V_7よりも大きい値に設定されている。本例において、第7車速V_7は、第1車速V_1及び第4車速V_4と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。又、第8車速V_8は、第2車速V_2及び第5車速V_5と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。
【0108】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第7車速範囲R_7内にある場合、要求制動力BKreqが第7制動力BK_7以上であるか否かを判定する。
【0109】
第7制動力BK_7は、ゼロよりも大きい値に設定されている。本例において、第7制動力BK_7は、第5制動力BK_5と同じ値に設定されているが、異なる値に設定されてもよい。又、本例において、第7制動力BK_7は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0110】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第7制動力BK_7以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第7制動力BK_7よりも小さい場合、第7制動力BK_7を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0111】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第7車速範囲R_7内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第7制動力BK_7)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0112】
<第3レベルで且つ中速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第8車速範囲R_8内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0113】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第8車速範囲R_8内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0114】
第8車速範囲R_8は、第8車速V_8よりも大きく且つ第9車速V_9以下の範囲である。第9車速V_9は、第8車速V_8よりも大きい値に設定されている。
【0115】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第8車速範囲R_8内にある場合、ブレーキペダル操作量BPに基づいて取得した要求制動力BKreqが第8制動力BK_8以上であるか否かを判定する。
【0116】
第8制動力BK_8は、第7制動力BK_7よりも大きい値に設定されている。本例において、第8制動力BK_8は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0117】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第8制動力BK_8以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第8制動力BK_8よりも小さい場合、第8制動力BK_8を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0118】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第8車速範囲R_8内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第8制動力BK_8)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0119】
<第3レベルで且つ高速時>
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第9車速範囲R_9内にある場合、アクセルペダル操作量APにかかわらず、目標駆動力DRtgtをゼロに設定し、駆動力DRが駆動装置21から出力されないように車両走行装置20の作動を制御する。
【0120】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第9車速範囲R_9内にある場合、自車両100に加える駆動力DRを所定駆動力DRth(ゼロ)以下に制限する駆動力制限による強制減速を行う。
【0121】
第9車速範囲R_9は、第9車速V_9よりも大きい範囲である。
【0122】
又、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第9車速範囲R_9内にある場合、要求制動力BKreqが第9制動力BK_9以上であるか否かを判定する。
【0123】
本例において、第9制動力BK_9は、第8制動力BK_8と同じ値に設定されているが、第8制動力BK_8よりも大きい値に設定されてもよい。又、本例において、第9制動力BK_9は、車速Vにかかわらず、一定の値に設定されているが、車速Vが大きいほど大きい値に設定されてもよい。
【0124】
車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第9制動力BK_9以上である場合、要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。一方、車両運転支援装置10は、要求制動力BKreqが第9制動力BK_9よりも小さい場合、第9制動力BK_9を目標制動力BKtgtとして設定する。そして、車両運転支援装置10は、設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。
【0125】
このように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つそのときの居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるときに車速Vが第9車速範囲R_9内にある場合、自車両100に所定駆動力DRth(第9制動力BK_9)以上の制動力BKを加える強制制動による強制減速を行う。
【0126】
以上説明したように、車両運転支援装置10は、軽衝突条件が成立し且つ居眠り条件が成立したときの居眠りレベルLVに応じた縦減速度Gdで自車両100が減速するように強制減速を行うように構成されている。
【0127】
又、車両運転支援装置10は、二次衝突軽減制御の実行中に制御終了条件が成立した場合、二次衝突軽減制御を終了する。制御終了条件は、居眠りレベルLVが所定閾値レベルLVthよりも低くなったとき、即ち、自車両100の運転者の瞼が閉じていない(即ち、開いている)と継続して判断している時間が所定時間に達したときに成立する。又、制御終了条件は、自車両100を加速するための運転者によるアクセルペダル51に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、制御終了条件は、自車両100を減速するための運転者によるブレーキペダル52に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、制御終了条件は、自車両100を操舵するための運転者によるハンドル54に対する操作が所定操作時間以上、継続したときに成立する。又、制御終了条件は、自車両100が停止したときに成立する。
【0128】
尚、車両運転支援装置10は、自車両100が停止したために制御終了条件が成立した判定し、二次衝突軽減制御を終了した場合、自車両100の走行を許可する所定の条件が成立するまでの間、自車両100に制動力BKを加えた状態を維持するか、或いは、図示しないパーキングブレーキ等により自車両100を停止した状態に維持する。
【0129】
車両運転支援装置10により二次衝突軽減制御が実行されると、自車両100に加えられる駆動力DR及び制動力BKは、例えば、
図4に示したように制御される。
【0130】
図4に示した例においては、時刻t40にて自車両100の運転者の瞼が閉じたと判定され、時刻t41にて継続時間Tが第1時間T_1に達して居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であると判定され、時刻t42にて軽衝突条件が成立したと判定され、時刻t43にて継続時間Tが第2時間T_2に達して居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であると判定され、時刻t44にて継続時間Tが第3時間T_3に達して居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であると判定される。
【0131】
図4に示した例においては、時刻t42にて軽衝突条件が成立し且つ居眠り条件が成立するので、二次衝突軽減制御が開始される。このとき、車速Vが第2車速範囲R_2内の車速であるので、駆動力制限により自車両100に加えられる駆動力DRがゼロにされるとともに、強制制動により自車両100に加えられる制動力BKが第2制動力BK_2とされる。これにより、車速Vが小さくなる。
【0132】
そして、時刻t43にて居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であると判定されたとき、車速Vが第5車速範囲R_5内の車速であるので、駆動力制限により自車両100に加えられる駆動力DRがゼロにされるとともに、強制制動により自車両100に加えられる制動力BKが第2制動力BK_2よりも大きい第5制動力BK_5とされる。これにより、車速Vが更に小さくなる。
【0133】
そして、時刻t44にて居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であると判定されたとき、車速Vが第8車速範囲R_8内の車速であるので、駆動力制限により自車両100に加えられる駆動力DRがゼロにされるとともに、強制制動により自車両100に加えられる制動力BKが第5制動力BK_5よりも大きい第8制動力BK_8とされる。これにより、車速Vが更に小さくなる。
【0134】
そして、時刻t45にて車速Vがゼロとなるので、二次衝突軽減制御が終了される。
【0135】
<効果>
運転者が居眠りをしているときに車両が軽衝突を起こした場合、その直後に更なる衝突(二次衝突)を車両が起こす可能性がある。こうした二次衝突を回避する手段として、運転者が居眠りをしているときに車両が軽衝突を起こした場合、その車両を強制的に減速して停止させる強制減速を実施するという手段が考えられる。しかしながら、軽衝突が発生したときに目を覚まして二次衝突を回避する行動を自らとることが可能な程度にしか運転者が居眠りをしていない場合もある。こうした場合に強制減速を実施して車両を減速させると、その車両の減速が運転者にとって不必要なほどの減速となってしまう可能性がある。
【0136】
このことを回避する手段としては、軽衝突が発生しても目を覚まさないほどに運転者が居眠りをしている場合(即ち、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断される場合)に限り、強制減速を実施するという手段が考えられる。そして、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていることを判断する方法としては、運転者が居眠りをしていると推定された時点から、その状態が一定時間、継続したことをもって運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断するという方法が考えられる。
【0137】
しかしながら、これによると、運転者が一定の確実性をもって居眠りをしていると判断されるまでは、軽衝突が発生しても強制減速が実施されず、その結果、二次衝突を回避することができない可能性がある。
【0138】
このように、運転者が居眠りをしている確実性が高いときに限り、強制減速を実施するようにしていると、二次衝突を回避することができない場面が生じる可能性があり、一方、運転者が居眠りしている確実性が低くても強制減速を実施するようにしていると、車両を不必要に減速させてしまう場面が生じる可能性がある。
【0139】
車両運転支援装置10によれば、運転者の居眠りレベルLVが低いときから強制減速が実施され、運転者の居眠りレベルLVが高くなると、強制減速による自車両100の減速度が大きくされるので、不必要なほどの自車両100の減速を回避しつつ、二次衝突を回避する確実性を高めることができる。
【0140】
以上説明したように、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1である場合、車速Vに応じて駆動力制限による強制減速を行うか、強制制動による強制減速を行うかを決定しているが、例えば、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1である場合、車速Vにかかわらず、駆動力制限を行い、居眠りレベルLVが第2レベルLV_2である場合及び居眠りレベルLVが第3レベルLV_3である場合、車速Vにかかわらず、強制制動を行う等、居眠りレベルLVが所定切替レベルLV_swよりも低い場合、車速Vにかかわらず、駆動力制限による強制減速を行い、居眠りレベルLVが所定切替レベルLV_sw以上である場合、車速Vにかかわらず、強制制動による強制減速を行うように構成されてもよい。
【0141】
又、車両運転支援装置10は、車速Vが比較的小さい場合(即ち、車速Vが第1車速範囲R_1、第4車速範囲R_4及び第7車速範囲R_7内にある場合)、居眠りレベルLVに応じて駆動力制限による強制減速を行うか、強制制動による強制減速を行うかを決定しているが、車速Vが比較的小さい場合、居眠りレベルLVにかかわらず、駆動力制限による強制減速を行い、車速Vが比較的大きい場合、居眠りレベルLVにかかわらず、強制制動による強制減速を行うように構成されてもよい。
【0142】
又、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが同じレベルである場合、車速Vに応じて駆動力制限における所定駆動力DRth及び強制制動における所定制動力BKthを決定しているが、例えば、居眠りレベルLVが低いときよりも高いときのほうが所定駆動力DRthを小さい値に設定し且つ所定制動力BKthを大きい値に設定する限りにおいて、居眠りレベルLVが同じレベルである場合、車速Vにかかわらず、所定駆動力DRthを一定の値に設定し且つ所定制動力BKthを一定の値に設定するように構成されてもよい。
【0143】
又、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVを第1レベルLV_1、第2レベルLV_2及び第3レベルLV_3の三段階に分けて判断しているが、居眠りレベルLVを二段階又は四段階以上に分けて判断する等、少なくとも二段階以上に分けて判断するように構成されればよい。
【0144】
又、車両運転支援装置10は、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるときよりも第2レベルLV_2であるときのほうが自車両100の縦減速度Gdが大きくなるように強制減速を行い、居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるときよりも第3レベルLV_3であるときのほうが自車両100の縦減速度Gdが大きくなるように強制減速を行うが、少なくとも、居眠りレベルLVが低いときよりも高いときのほうが自車両100の縦減速度Gdが大きくなるように強制減速を行うように構成されていればよい。
【0145】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10のECU90のCPUは、
図5に示したルーチンを所定演算時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図5のステップ500から処理を開始し、その処理をステップ510に進め、軽衝突条件が成立したか否かを判定する。
【0146】
CPUは、ステップ510にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ520に進め、軽衝突フラグXの値を「1」に設定する。次いで、CPUは、処理をステップ595に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0147】
一方、CPUは、ステップ510にて「No」と判定した場合、処理をステップ530に進め、アクセルペダル操作量APに基づいて取得した要求駆動力DRreqを目標駆動力DRtgtとして設定し、或いは、ブレーキペダル操作量BPに基づいて取得した要求制動力BKreqを目標制動力BKtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ540に進め、ステップ530にて設定した目標駆動力DRtgtが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、或いは、ステップ530にて設定した目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように制動装置22の作動を制御する。次いで、CPUは、処理をステップ595に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0148】
更に、CPUは、
図6に示したルーチンを所定演算時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図6のステップ600から処理を開始し、その処理をステップ605に進め、軽衝突フラグXの値が「1」であるか否かを判定する。
【0149】
CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ610に進め、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるか否かを判定する。
【0150】
CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ615に進め、先に述べたように車速Vに応じて目標駆動力DRtgt又は目標制動力BKtgtを設定する。次いで、CPUは、処理をステップ640に進め、ステップ615にて設定した目標駆動力DRtgtが駆動装置21から出力されるように或いは目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。次いで、CPUは、処理をステップ645に進める。
【0151】
一方、CPUは、ステップ610にて「No」と判定した場合、処理をステップ620に進め、居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるか否かを判定する。
【0152】
CPUは、ステップ620にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ625に進め、先に述べたように車速Vに応じて目標駆動力DRtgt及び目標制動力BKtgtを設定する。尚、このとき、目標駆動力DRtgtは、ゼロに設定される。次いで、CPUは、処理をステップ640に進め、駆動力DRが駆動装置21から出力されず且つ目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。次いで、CPUは、処理をステップ645に進める。
【0153】
一方、CPUは、ステップ630にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ635に進め、先に述べたように車速Vに応じて目標駆動力DRtgt及び目標制動力BKtgtを設定する。尚、このとき、目標駆動力DRtgtは、ゼロに設定される。次いで、CPUは、処理をステップ640に進め、駆動力DRが駆動装置21から出力されず且つ目標制動力BKtgtが制動装置22から出力されるように車両走行装置20の作動を制御する。次いで、CPUは、処理をステップ645に進める。
【0154】
一方、CPUは、ステップ630にて「No」と判定した場合、処理をステップ695に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0155】
CPUは、処理をステップ645に進めると、制御終了条件が成立したか否かを判定する。
【0156】
CPUは、ステップ645にて「Yes」と判定した場合、軽衝突フラグXの値を「0」に設定する。次いで、CPUは、処理をステップ695に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0157】
一方、CPUは、ステップ645にて「No」と判定した場合、処理をステップ695に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0158】
更に、CPUは、
図7に示したルーチンを所定演算時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図7のステップ700から処理を開始し、その処理をステップ710に進め、居眠りレベルLVが第1レベルLV_1であるか否かを判定する。
【0159】
CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ720に進め、先に述べた第1通知を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ770に進める。
【0160】
一方、CPUは、ステップ710にて「No」と判定した場合、処理をステップ730に進め、居眠りレベルLVが第2レベルLV_2であるか否かを判定する。
【0161】
CPUは、ステップ730にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ740に進め、先に述べた第2通知を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ770に進める。
【0162】
一方、CPUは、ステップ730にて「No」と判定した場合、処理をステップ750に進め、居眠りレベルLVが第3レベルLV_3であるか否かを判定する。
【0163】
CPUは、ステップ750にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ760に進め、先に述べた第3通知を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ770に進める。
【0164】
一方、CPUは、ステップ750にて「No」と判定した場合、処理をステップ770に直接進める。
【0165】
CPUは、処理をステップ770に進めると、通知終了条件が成立しているか否かを判定する。
【0166】
CPUは、ステップ770にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ780に進め、通知を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0167】
一方、CPUは、ステップ770にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0168】
以上が車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【0169】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0170】
10…車両運転支援装置、20…車両走行装置、21…駆動装置、22…制動装置、23…操舵装置、30…通知装置、40…エアバッグ装置、74…前後加速度センサ、75…車速検出装置、76…運転者情報取得装置、90…ECU、100…自車両