(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】適切に配置された開口を有する皮膚保護シートを備えた衛生物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/495 20060101AFI20240626BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20240626BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A61F13/495
A61F13/511 300
A61F13/511 410
A61F13/15 310
A61F13/15 340
A61F13/15 355A
A61F13/15 355B
(21)【出願番号】P 2021512256
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2019073716
(87)【国際公開番号】W WO2020049109
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-24
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512131140
【氏名又は名称】コンセプツ フォー サクセス(シー4エス) アインゲトラー カウフマン
(74)【代理人】
【識別番号】100163991
【氏名又は名称】加藤 慎司
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,クリストフ
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130446(JP,A)
【文献】特開2002-011044(JP,A)
【文献】特開2002-177331(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02497545(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第02519291(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生物品であって、
・着用者の下半身に着用され、
・身体滲出物を受け取り且つ保持するように構成されており、
・前記物品は、
長手方向と、
それに垂直で、意図された使用中におけるユーザの左右の向きに対応する交差方向と、
両方に垂直なz方向と、
長手方向に延びる中心線と、
を示し、
前記物品は、意図された使用中における着用者に関連して、
後方ウエスト領域及び前方ウエスト領域であって、
各々が、交差方向に反対側の第1及び第2サイドパネルセクションと、その間の中央セクションと、を含んだ後方ウエスト領域及び前方ウエスト領域と、
前記後方ウエスト領域と前記前方ウエスト領域との間に長手方向に配置された股点領域であって、
意図された使用中において、着用者の肛門開口部と生殖器との間に配置された股点を含んだ股点領域と、
を備え、
前記物品は、
製造構成から、
使用中の構成へと
変換されるように構成されており、
前記衛生物品は、
着用者の前記前方又は後方ウエスト領域から前記股点領域を通って着用者の反対側のウエスト領域に延びる前記長手方向に延びる中心線によって一般的なU字形を採用し、
前記前方及び後方ウエスト領域は、着用者のウエストを取り囲むように構成されており、
・前記物品は、
皮膚保護シートであって、
前記前方及び後方ウエスト領域の少なくとも一方の少なくとも一部において、着用者の皮膚と直接接触することを意図した上部皮膚保護シート表面と;
反対側の皮膚保護シート表面と;
を備え、
使用中の構成において身体滲出物を放出する身体開口部又は生殖器に位置合わせされるように構成された少なくとも1つの開口部を備え、
前記前方又は前記後方ウエスト領域から、少なくとも前記物品の前記股点領域に延びている、
皮膚保護シートと、
非弾性の長手方向短縮プル手段と、
少なくとも交差方向への展開手段と;
前記反対側の皮膚保護シート表面の側に配置され且つ前記物品中の身体滲出物を保持するように構成されたバックシートと;
を備え、
・前記物品は、
前記製造構成において、
前記皮膚保護シートは、前記物品の長手方向中心線に向かって、但し長手方向中心線を越えないように、長手方向折り線に沿って折り返される長手方向サイドマージンを備えており、
前記プル手段は、
前記長手方向に延びる中心線に沿って、
前記上部皮膚保護シート表面又は前記反対側の皮膚保護シート表面に対して
配置され、
前記皮膚保護シートの前方又は後方ウエスト領域の前記交差方向に延びるマージンの少なくとも1つから前記股点に向かって延びており、
前方又は後方ウエスト領域で、前記皮膚保護シートに接続されており、
長手方向に延びるウエスト分離ラインであって、
前記物品の長手方向に延びる中心線と整列しており、
前記前方及び/又は後方ウエスト領域から、前記皮膚保護シートの前記少なくとも1つの開口部に向かって延びているが、前記開口部の中までは延びておらず、
前記物品の利用可能な長手方向の長さを短縮するために、前記プル手段の前端又は後端を交差方向外向きに引っ張ることを可能にする、
ウエスト分離ラインを備え、
前記使用中の構成において、
前記皮膚保護シートは、前記プル手段によって着用者の臀裂に適合するようにz方向に持ち上げられるように構成されており、
前記皮膚保護シートの少なくとも1つの開口部は、前記展開手段によって交差方向に開いた状態に維持される、
衛生物品。
【請求項2】
前記反対側の皮膚保護シート表面に隣接して配置され、
少なくとも前記股点領域で前記皮膚保護シートに接続されており、
前記股点領域から前記前方及び後方ウエスト領域の少なくとも一方に向けて延びている、
滲出物分離シートを更に備えている、請求項1に記載の衛生物品。
【請求項3】
前記皮膚保護シートと前記バックシートとの間に配置された吸収性コアを更に備えている、請求項1又は2に記載の衛生物品。
【請求項4】
前記プル手段は、前記皮膚保護シートの前記開口部を覆うように構成されており、前記皮膚保護シートの前記開口部に位置合わせされたプル手段開口部を更に備えている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項5】
前記展開手段は、前記皮膚保護シート又は前記プル手段の、前記開口部の交差方向外側への前記皮膚保護シート又は前記プル手段の外面への接続を含んでいる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項6】
前記展開手段は、
分離線によって前記プル手段から部分的に切断され、
前記分離線は、
前記プル手段の長手方向サイドマージン
に位置する始端点から延び、
前記プル手段の開口部と交差する前に
、終端点で終端しており、
それによって、
前記
始端点が、
前記終端点よりも前記股点か
ら離れて
位置し、
前記皮膚保護シートにおける交差方向の外側の端で、前記皮膚保護シートに接続されている、
プル手段ストリップを含んでいる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項7】
前記展開手段は、
分離線によって前記皮膚保護シートから部分的に切断され、
前記分離線は、
前記皮膚保護シート
の長手方向サイドマージン
に位置する始端点から延
び、
終端点に向かって、
前記開口部の交差方向外側に
延びており、
それにより、前
記始端点は、前記終端
点よりも前記股点
の近くに位置する、
折り畳みストリップを含んでいる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項8】
前記展開手段は、プレカットされた開口部を交差方向に開いた状態に維持するように構成された補強手段を含んでいる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項9】
前記滲出物分離シートは、親水化不織布材料、疎水性不織布、フィルム、開孔フィルム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の衛生物品。
【請求項10】
前記皮膚保護シート及び展開手段は非弾性である、請求項1乃至9の何れか1項に記載の衛生物品。
【請求項11】
前記物品が、乳児用おむつ、成人用失禁用品、及び女性用衛生用品からなる群より選択される吸収性物品である、請求項1乃至10の何れか1項に記載の衛生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生器具の分野に関し、特に、糞便、尿又は月経などの身体滲出物による着用者の皮膚の汚れを低減するための手段を含む衛生物品に関する。特に、皮膚保護シートを備えた物品であって、身体滲出物を放出する身体開口部又は生殖器官に位置合わせされた少なくとも1つの開口を備え、この開口は、長手方向に作用するプル手段によって付勢される一方で、展開手段によって交差方向に広げられる物品に関する。このような衛生物品は、好適には、乳幼児若しくは大人のおむつ若しくはパンツ、トレーニングパンツ、又は月経パンツであり得る。
【背景技術】
【0002】
特に着用者が腸の動き又は排便を制御できない場合、着用者の皮膚を汚染及び/又は刺激する問題に対処するための多くの試みがある。
【0003】
EP359410A1(Freeland;P&G)は、開口又は通路を有する弾性トップシートを有する使い捨て吸収性物品を開示している。
【0004】
US3848599A(Schaar;Kendall)は、吸収性コアの2つの部分が長手方向に部分的に重なって配置されているおむつを示している。重なり合う領域では、トップシートは、物品の交差方向の縁部に取り付けられた、横断方向の折り目を形成するように、帯状の形成部に従っている。したがって、物品の着用時又は使用中に、長手方向の力が物品の中央部分の重なりを減少させ、糞便を堆積させることができるトラフ状の空洞が形成される。
【0005】
JP08-196565(Onishi;UniCharm)には、上層コアと下層コアとを有する吸収コアを有する吸収性物品が記載されている。上層コアは長手方向に分割され、2つの前部及び後部は、一定の距離によって分離されている。トップシートは、上部コアの端の周り、及び、上部コア層と下部コア層との間に折り畳まれ、それによって、糞便を堆積させることができるポケットが形成される。
【0006】
EP908162A2(Sayama;UniCharm)は、2つの側壁を有する補助部材がトップシート及びトップ壁に結合され、それによって排泄物ガイド開口又は通路を形成している使い捨ておむつを示している。
【0007】
US20080110553A1(Otsubo;UniCharm)は、パンツ型おむつを開示しており、トップシートの上にあるセパレータシートが股領域で接続されている。前方及び後方において、セパレータシートは、中央領域のトップシートに接続されていない。セパレータシートの前方及び後方の長手方向の端縁は、互いに接続されており、したがって、使用中の構成において、それぞれが糞便及び尿を受け入れるための円錐状の空間を形成している。
【0008】
WO2011064272A2(Schmitz;C4S)は、ズボンやおむつなど、着用者の胴体下部に着用するための物品について記載している。この物品は、開口部を含む糞便トラップシートなどの柔軟な糞便分離部材を有し、これは、糞便及び皮膚各々の性器の分離が達成されるように特定の方法で取り付けられる。
【0009】
WO2015/055696(Schmitz;C4S)は、上記のWO2011/056272に記載されているように、折り畳まれた側縁及び開口部を備えた糞便トラップシートを有する吸収性物品を記載しており、開口部及びトップシート短縮手段を含むトップシートは、トップシートが着用者の皮膚に直接接触しており、開口部は使用中に着用者の肛門の領域に配置され、肛門と位置合わせされる。
【0010】
これにより、糞便の取り扱いに関して大幅な改善がもたらされる一方で、糞便が後方に移動する傾向が依然としてあるだけでなく、糞便が着用者の性器に向かって前方に移動することもできることが見出された。現在、以前のアプローチにおけるこの残留汚染の原因は、トップシート及び/又は糞便トラップシートが着用者の臀部及び性器の上にまたがり、したがって特に臀裂において着用者の皮膚に十分に密着していないことであることが見出されている。
【0011】
そのようなアプローチは、主に糞便の取り扱いに向けられているが、月経や尿などの他の身体滲出物の取り扱いを改善する必要があることも認識されている。
【0012】
したがって、分離シートと滲出物放出口又は生殖器官の近傍の皮膚との接触を改善することによって着用者の皮膚からの身体滲出物の分離を改善した物品が依然として必要とされている。
【0013】
さらに、これを、使用される材料の量を最小にして、簡単で製造しやすい設計で達成する必要があり、弾性のような特定の、しばしば高価な特性を必要とするべきではない。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、着用者の胴体下部に着用するための衛生用品であって、
-着用者の皮膚から身体滲出物を分離するように適合された皮膚保護シート(SPS)と、
-身体滲出物を保持するように適合されたバックシートと、
-任意選択的に、身体滲出物の液体を吸収するように適合された吸収性コアと、
-任意選択的に、滲出物を互いに又は物品の所定の部分から分離するように適合された滲出物分離シート(ESS)と、
を備えた衛生物品である。
【0015】
少なくともSPSは、身体滲出物を放出する身体開口部又は生殖器と位置合わせされるように適合された少なくとも1つの開口を含んでいる。物品は、物品の意図された使用の間、着用者の臀裂にSPSを押し込むように構成されたプル手段と、物品の意図された使用の間、少なくとも1つの開口部を交差方向に開いたままに維持するように構成された展開手段とを更に含んでいる。
【0016】
本発明による衛生物品は、着用者の胴体下部に着用することができ、身体滲出物を受け取り、保持するように適合させることができる。物品は、長さ/長手/x方向と、それに垂直であり、その意図された使用中のユーザの左右方向に対応する幅/交差/y方向と、その両方に垂直であり、長手方向に伸びる中心線である厚さ/z方向とを示す。
その意図された使用中、物品は、着用者に対して、各々が交差方向に対向する第1及び第2のサイドパネル部分並びにそれらの間の中央部分を含む後方ウエスト領域及び前方ウエスト領域と、ウエスト領域の間に長手方向に配置され、着用者の肛門開口部と性器との間に配置された股点を含む股点領域とを含んでいる。
【0017】
本発明の物品は、製造形態から使用形態に変換されるように構成され、衛生物品は、着用者の前方又は後方ウエスト領域から股点領域を通って着用者の反対側のウエスト領域に延びる長手方向に延びる中心線に沿って一般的なU字形を採用し、前方及び後方ウエスト領域は、着用者のウエストを取り囲むように適合されている。
【0018】
この物品は、前部及び後方ウエスト部分の少なくとも一方並びに反対側のSPS表面の少なくとも1つの部分において着用者の皮膚と直接接触するように意図された外側SPS表面を含む皮膚保護シート(SPS)を含んでいる。SPSは、身体滲出物を放出する身体開口部又は生殖器と位置合わせされて使用中の構成に適合された少なくとも1つのSPS開口部を含み、前方又は後方ウエスト領域から少なくとも物品の股点領域内に、任意選択的に反対側のウエスト領域内に延びている。
【0019】
物品は、任意選択的に、反対側のSPS表面に向かってz方向に配置され、少なくとも股点領域内で直接又は間接にSPSに接続され、股点領域から前方及び後方ウエスト領域の少なくとも一方に向かって延びる滲出物分離シート(ESS)を含み得る。
【0020】
物品は、長手方向に縮むプル手段(PM)と、交差方向の展開手段(SM)と、SPSの外面の反対側に配置された物品内の身体滲出物を保持するように適合されたバックシート(BS)と、少なくとも使用中の構成においてSPSの交差方向外方に延在するサイドパネル(SP)と、任意選択的に、SPSとバックシートとの間にz方向に配置された吸収性コアとを更に含んでいる。吸収性コアは、液体吸収性材料と、少なくとも部分的に液体透過性のエンベロープウェブとを含んでいてもよい。特定の要素の組み合わせは、吸収性コア又は少なくともBS及びサイドパネルを含むセンターピースなどの前駆体又は前駆体ウェブを形成することができ、これらはバックシートと一体であってもよく、又は分離してそれに接続されていてもよい。
【0021】
製造構成において、SPS及びESSの少なくとも1つは、前記物品の長手方向中心線に向かって、但し長手方向中心線を越えないように、長手方向折り線に沿って折り返される長手方向サイドマージンを含んでいる。更に、プル手段は、実質的に長手方向に延びる中心線に沿って、SPSの上面又は反対側の面に対向して配置される。それによって、PMは、SPS又はESSの前方又は後方ウエスト領域における交差方向に延びるマージンの少なくとも1つから股点に向かって、任意選択的に更に反対側のウエスト領域に向かって、又は反対側のウエスト領域内に延び、その後にSPSの開口部を覆う場合、SPSの開口部に位置する1つ又は複数のプル手段開口を更に含んでいる。好ましい実施態様において、PMは、その後、前方又は後方ウエスト領域において、SPS又はESSの折り畳まれた部分に接続される。加えて、プル手段は、物品の長手方向に延びる中心線と整列して長手方向に延びるウエスト分離線を含み、前方又は後方ウエスト領域からSPSの少なくとも1つの開口部に向かって延びるが、SPSの少なくとも1つの開口部には入らないように延びている。PMが1つ又は複数の開口部内に延在する場合には、1つ又は複数のSPS開口部に位置する1つ又は複数のプル手段開口部を更に備えている。
【0022】
物品の展開手段は、以下からなる群より選択される。
-SPS又はESSの折り畳まれた部分の、開口部の交差方向外側へのSPS又はPMの外面への接続;
-プル手段ストリップであって、プル手段の長手方向側縁部から延び、且つ、これと交差する分離線によって、プル手段の開口部と交差する前に終端点で終端することによって、プル手段から部分的に切断され、それによって、長手方向に延びる側縁部の交点が、分離線の終端点よりも股点から遠く離れて、その交差方向外端でSPS又はESSの折り畳まれた部分に接続されるプル手段ストリップ;
-開口部の側方外方にある終端点に向かってSPS又はESSの長手方向に折り畳まれた側縁部から延びて交差する分離線によってSPS又はESSの折り畳まれた部分から部分的に切り取られた折り畳みストリップであって、それによって長手方向に延びる側縁部の交差部が終端点からよりも股点から離れていない距離にある折り畳みストリップ;
-開口部の周辺領域の補強手段。
【0023】
使用中の構成では、SPSはz方向に持ち上げられ、PMによって着用者の臀裂に適合するように適合され、SPSの少なくとも1つの開口部は、SMによって開状態に維持される。
【0024】
折り畳まれたストリップがSPS又はESSの折り畳まれた部分から分離線によって部分的に切断されるとき、終端点は、z方向にPM又はSPSに重なるように位置決めされる。
【0025】
好ましくは、ESSは、親水化不織布材料、疎水性不織布、フィルム、及び開孔フィルム、又はそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0026】
製造構成における本発明による衛生物品の場合、PMは、センターピースの折り畳まれた長手方向に延びる側縁部の交差方向距離よりも大きい交差方向の延長を示し、それによってSPS又はESSは、少なくとも1つの不連続部に近接してPM又はSPSの上面に接続される。任意選択的に、特定の実施形態では、少なくともSPS、PM、SMは、実質的に非弾性である。
【0027】
本発明による衛生物品について、前駆体は、製造構成において、製造構成における物品の1つに対応する物品全体の長さを示し、長手方向中心線に沿った特徴点によって分離された部分を含み、特徴点の間の距離は以下の範囲を示し、それによって、特定の点A~Fが以下でより詳細に議論される。
-後方ウエストマージン(点A)からウエスト分離ラインの前端(点B)まで:10%から25%;
-分離線の前端(点B)から後部不連続部の中点(点C)まで:20%から40%;
-後部不連続部の中点(点C)から前部不連続部の中点(点D)まで:15%から25%;
-前部不連続部の中点(点D)から前方ウエスト分離線の後端(点E)まで:5%から25%;
-前方ウエスト分離線の後端(点E)から前方ウエストマージン(点F)まで:10%から25%、
これにより、各パーセンテージの数字は物品の全長に対応する100%まで加算され、特定の特徴が存在しない場合には、次の特徴点までの距離がカウントされる。
【0028】
本発明による衛生用品は、乳児用おむつ、成人用失禁用品、及び女性用衛生用品からなる群より選択される吸収性物品であり得る。
【0029】
別の態様では、本発明は、衛生用品を製造するための方法であって、これは、必ずしも以下の順序である必要はない以下の工程を含んでいる:
-センターピースウェブであって、
バックシートウェブ、好ましくは液体不浸透性ウェブと、
バックシートウェブと一体であるか、又は、別個のウェブ材料として、好ましくは通気性ウェブとして提供されるサイドパネルと
を備えたセンターピースウェブと;
皮膚保護シート(SPS)用のウェブ材料と;
プル手段(PM)用のウェブ材料であって、任意選択的に展開手段(SM)と一体であるかそれを含んでおり、次いで、結合されたプル及び展開手段(CPSM)を形成するウェブ材料と;
接着剤と;
提供する工程;
-PMウェブ及び任意選択的にPM拡散ストリップ分離線にウエスト分離線を適用する工程;
-SPSウェブに後部又は前部分離線を適用する工程;
-PMウェブから所定の長さの断片を分離し、これらをSPSウェブと組み合わせる工程;
-組み合わされたPM-SPSウェブから所定の長さの断片を分離し、これらをセンターピースと組み合わせる工程であって、好ましくは、組み合わされたPM-SPSから分離された断片の所定の長さは、センターピースの長さに対応する工程;
-平坦なPM-SPS-センターピース複合材に接着剤を適用する工程;
平坦な物品の前駆体の長手方向のサイドマージンを折り畳み、折り畳まれた部分を、好ましくは接着剤によって、SPS又はPMに接続する工程;
-折り畳まれた平坦な物品の前駆体を個々の物品に分離する工程。
【0030】
このプロセスは、以下からなる群より選択された1つ又は複数の工程(必ずしも次の順序である必要はない)を更に含むことができる:
-ESSウェブ材料を提供する工程;
-展開手段を、
CPSM材料から、又は、
センターピースの長手方向に折り畳まれた部分に対応する交差方向のサイドマージンからの、
部分的に分離された展開手段ストリップとして;
センターピースの長手方向に折り畳まれた部分を、開口を形成するための分離線に隣り合って、SPS又はPMのユーザ指向表面に接続することによって;
開口部に補強を適用することによって;
提供する工程;
-長手方向の分離線を、長手方向の中心線に沿ったウエスト分離線としてPMウェブ材料に適用する工程であって、これらが、センターピースと組み合わせた後、前縁又は後縁から離れて延びるが、プル手段の全長には亘らないようにする工程;
-SPS又はBSの後部及び/又は前方ウエスト領域にカットアウトを適用する工程;
-後部又は前部の開口に対応する分離線の周辺でSPS及び/又はPMに接着剤を適用する工程;
-SPS及びPMに、好ましくは同時に、前方及び/又は後方開口用の分離線を適用する工程;
-浸出物分離シート(ESS)ウェブ材料を提供し、これを、少なくとも実質的に交差方向に延びる接続に沿った股点領域に対応する領域で、SPSに接続する工程;
-サイドパネルの各々の前部及び後部を接続するように適合されたサイドクロージャ手段を提供する工程;
-前方又は後方のウエスト領域の少なくとも1つにおけるPMの上面又は反対側の表面への固定手段を提供する工程。
【0031】
好ましくは、材料ウェブ又はそれから分離されたピースを更に別の材料ウェブ又はそれから分離されたピースに接続する工程は、z方向重なっているがこの結合領域で接続されないままにすることを意図した他のウェブ又は部品と干渉しない限りにおいて、溶融融着接合、好ましくは超音波接合によって実行される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明による物品を着用することができる着用者の胴体下部を示している。
【
図2】
図2A乃至Cは、本発明による物品の実施形態、及び、着用者の胴体下部へのその適合を示している。
【
図3】
図3A乃至Dは、本発明及びその衛生製品への包含に適した特定の要素を示している。
【
図6】
図6A乃至Gは、本発明による更なる特定の要素を示している。
【
図7】
図7A乃至Gは、本発明による更なる特定の要素を示している。
【
図8】
図8A乃至Fは、本発明の更に特定の例示的な実施形態を示している。
【
図9】
図9は、本発明による衛生用品を製造するためのプロセスのフローチャートを示している。様々な図中の同じ数字は、同じ要素又は機能を参照している。図は概略のみであり、縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、以下「SPS」と略される皮膚保護シートを含んだ衛生物品に関する。このような製品は、通常、月経中又は着用者が排尿又は排便を制御できない場合など、身体滲出物による皮膚の汚れを減らすことを目的として、人間の下半身に適用される。
【0034】
このような衛生用品は、身体滲出物を保持し、衣類や寝具などの環境の汚れを防ぐバックシートを更に含んでいる。多くの場合、そのような物品は、液体吸収性も示す。必要に応じて、本発明による衛生物品は、例えば尿及び糞便の接触を防止すべき場合などに、互いから滲出物を分離することができ、又は、尿を受け取るように特に適合された部分が尿の吸収を妨げる可能性のある糞便によって汚染されてはならない場合などに、物品の所定の部分から滲出物を分離することができる、滲出物分離シート(ESS)を含んでいてもよい。このように、適切な衛生用品は、乳幼児又は大人のためのおむつであってもよく、テープなどの閉鎖手段を備えた「開放型」のおむつであってもよく、又は、腰の周りにベルトのようなシステムを作るために両側で閉鎖された「パンツ型」のおむつであってもよく、トレーニングパンツ又はフィルム若しくは他の材料で作られた固定パンツであってもよい。適切な衛生用品には、液体吸収性カバーと液体不透過性カバーとを組み合わせた「オールインワン」方式のおむつ、又は、液体吸収性と液体バリア機能に対処するための別々の手段である「ツーピース」方式のおむつ、又は、吸収性物品が交換可能な吸収パッドを備えていてもよい「インサート」が含まれる。他のツーピースの実施形態は、吸収性パッドと固定手段、例えばネットパンツなどの伸縮性カバーとの組み合わせを含んでいる。本発明による物品は、例えば、排便の取り扱いを強化するために、従来の吸収性おむつ又はパンツと組み合わせて使用することもできる。
衛生用品は、使い捨てであってもよく、即ち、廃棄され、及び/又は、環境に優しい健全な方法で更に処理されていてもよく、また、再使用可能な材料から製造されてもよく、又は、再使用可能な材料を含んでいてもよい。
【0035】
本発明による衛生用品は、毎分100個より多く、毎分300個より多く、毎分600個より多く、更には毎分1000個より多く製造することができる製造システム、好ましくは高速製造システムで製造されつつある状態を示す「製造構成」とすることができる。製造ラインの終わりに、衛生物品は、切断されて折り畳まれるなどして「包装形態」に入れられ、その中で、着用者又はケアテイカーであってもよい使用者に引き渡され、使用者は、次いで、物品を展開するなどして「使用前形態」とする。着用者が着用すると、物品は「使用中構成」になる。SPSは、製造段階で、又は、例えば「使用前構成」を確立するときに使用者によって、衛生用品前駆体と組み合わせることができる。
【0036】
典型的には、吸収性物品は、その意図された使用中の使用者の左右の向きに対応する幅又は交差又はy方向を示す。更に、物品の長さ又は長手又はx方向は、それに垂直に、使用時の構成において、第1のウエスト領域、例えば後方ウエスト領域から股点領域を通って反対側のウエスト領域まで延び、それによって、物品の各領域は、着用者の身体領域に対応する。したがって、この使用中の構成では、物品の長手方向の中心線はU字形の構成をとるが、製造構成では、長手方向の中心線はしばしば直線である。更に、物品は、x方向及びy方向に垂直な厚さ又はz方向を示す。使用中の構成における物品の全長は、後述するバックシートである物品の最外側線に対応しており、このU字状に沿って、物品の後方ウエストマージンから股下領域を通って前方ウエストマージンまで延びている。個々の物品がまだ分離されていないが、連結された物品前駆体の本質的に無限のシーケンスを表す製造構成では、物品の全長は、製造プロセスの終わりに向けて物品が隣接するものから分離されるマークアップされた又は想像上の線の間の距離に対応するとみなすことができる。
【0037】
以下、本発明の原理を図面を参照して説明するが、図面は限定的であると考えるべきではなく、特に、例示的な実施形態として説明する様々な特徴を組み合わせることに監視て限定的であると考えるべきではない。
図1は、体の矢状面の一部を概略的に示しており、胴体下部30、脚39の大腿上部、及び臀部32があり、臀部は臀裂34によって分離されている。更に示されているのは、肛門33と生殖器であり、生殖器はここでは陰唇37として示されているが、男性の生殖器、陰嚢、陰茎の位置でもある。左右の股間裂38は、股点領域から前方に伸びている。股点35の会陰は、肛門と生殖器との間の領域である。会陰領域の長さは人によって異なり、性別や年齢にも多少依存する。通常、2.5cmから7cmの範囲がほとんどの成人をカバーし、中程度の長さは4cmから5cmであり、どちらの範囲も女性及び男性に適用できる。乳幼児の場合、会陰の長さは通常短くなるが、約1cm未満ではない。したがって、典型的には、着用者の股点は、肛門の前端の前方約0.5cmから約4cmの間に位置している。
【0038】
本発明の範囲内で、着用者の股点35に対応する物品の股点305は、物品が設計された物理的サイズの着用者であって、足を肩の幅だけ離して完全に直立した位置にある着用者の上に物品を置き、次いで、
図8の構成で、大腿上部の周りに伸長可能なフィラメントを置くことによって決定することができる。フィラメントの交点に対応する物品内の点が、物品の股点と見なされる。更に、物品の股点領域は、着用者の会陰領域に対応する股点の前後に長手方向に延在している。特定のユーザの具体的な数値がない場合、股点領域は、股点の前後に少なくとも1cm伸びると見なされる。
【0039】
本発明の一般的な機能を説明するために、
図2A乃至2Cを参照する。
図2Aは、長手方向13及び幅方向17を有する、使用前の構成における本発明による物品300の実施形態の概略的且つ非限定的な上面図を示している。物品300は、前方交差方向に延びるマージン303を有する前方領域302と、後方交差方向に延びるマージン307を有する後方領域308と、それらの間に長手方向に沿って配置された股領域305とを含んでいる。さらに、前方サイドパネル320’及び320’’並びに後方サイドパネル330’及び330’’は、センターピース310から、交差方向外向きに延びている。サイドパネルは、バックシート材料に接続された別個の材料である場合もあれば、バックシート材料の交差方向の延長である場合もある。
【0040】
物品の「左右」対称であってもよいように、長手方向中心線に対して本質的に対称である特徴を参照する場合、ここでサイドパネルに対して示されているように、それぞれの「左右」の特徴は、それぞれ一重引用符及び二重引用符で示されるが、特徴の一般的な議論においては、引用符は使用されない。サイドパネルは、前方及び後方サイドパネルをそれぞれ接続することによって、着用者の腰の周りに物品を取り付けることを可能にする閉鎖手段340’及び340’’を含むことができる。本発明で使用するのに適した材料のほとんどは、実質的に平坦な又はウェブ材料であるため、それらは一般的に、厚さによって分離された2つの表面を示す。本文脈において、材料の第1の表面は、一般に、着用者に向けられ、第2の又は反対の表面は、少なくとも股点領域において、材料の特定の部分が折り畳まれているか又は着用者の足に向かって配置されている場合でも、着用者から離れて、又は外側に向けられている。
【0041】
この例示的な実施形態において、物品300は、後方又は肛門開口部306及び前方又は生殖器開口部304を更に含み、両方とも、展開手段(SM)1300によって交差方向に広げられ開かれている。以下でより詳細に説明するように、各展開手段は、ここでは前方1302’及び1302’’、並びに、後方1308’及び1308’’に対して示される一対の展開要素を含んでいる。全体的に1400として示され、ここでは後方プル手段1408及び前方プル手段1402を有するプル手段ストリップ1410として示されているプル手段(PM)は、Y字形を呈するように示されており、「Y」字のステム部分はそれぞれ開口部306及び304に向けられ、「Y」字の脚部分は開口部から離れて横方向外側に向けられている。図示されているように、プル手段及び展開手段は、例えば、1つの材料片で作られることによって、単一であり得る。皮膚保護シート(SPS)1500は、開口部を除いて、センターピース310の領域に示されている。
【0042】
図2Bは、サイドパネルが完全に外側に折り畳まれておらず、開口部、PM、及びSMが省略された
図2Aに示されるような使用前構成の物品を備えた、
図1のような体の矢状面の部分を示している。SPS1500及びバックシート318は、実質的に同じ長手方向の延長を示している。着用すると、
図2Cに示されているように、腰周りにおいて物品を閉鎖するためのサイドパネルの外側への折り畳みは、Y字型プル手段1402及び1408の脚部の前後端部を外側に引っ張り、それにより、利用可能な長手方向の延長を縮め、その結果、開口部が肛門及び生殖器に向けて付勢されるように、プル手段1400及びそれに接続されたSPS1500を臀裂に押し込むが、バックシートは離間したままである。同時に、展開手段は、開口部への交差方向の引っ張りを誘発し、それにより、後方開口部が肛門にしっかりとはまり、前方開口部が生殖器が通過できるように適合されるように、所定のサイズでそれらのCD延長を広げる。したがって、滲出物は開口部を通過して、SPSとバックシートの間に作成されたスペースに入り、SPSによって皮膚から分離される。
【0043】
図3A及びBは、プル手段1400及び展開手段1300の特徴を参照し、
図2に関連して先に示したように、これらが単一である、すなわち、複合プル及び展開手段(Combined
Pull and Spreading Means)CPSM1390と称される単一の材料からなる特定の実施形態を示している。
図3Aでは、それは製造構成で示されており、
図3Bでは、着用者に向けられた第1の表面を視野に入れて、使用中の構成(3次元のU字形を示していない)を概略的に示している。十分な強度を有する従来の不織材料などの皮膚に優しい材料の単純なストリップは、完全な切断線又は裂け目の開いた線(「perf’n pop」)とすることができるような複数の不連続又は分離線を備えている。あまり好ましくはないが、展開手段は、別の材料ストリップとして導入されてもよい。
【0044】
前方(1402)及び後方(1408)のプル手段は、CPSMの前方(1392)及び後方(1398)の各々のマージンから延び、それぞれが点F及びAで示され、物品の前部及び後部マージン(それぞれ、
図2A、303、307に示す)と一致する不連続部1403及び1407を含んでいる。不連続部は、股点305に向かって延び、上記のY構造の結節点に対応する点E及びBで、それぞれ停止している。Y構造のステム、それぞれ、1404及び1406は、結節点E及びBから股点に向かう方向に、開口部304及び306の不連続部まで更に延びている。これらの不連続部は、股点305に向かう方向に更に延びるが、そこには到達せず、その結果、分離されていない領域が股点領域に残る。
【0045】
図2及び3に示されるような例示的な実施形態について、展開手段1300は、前方開口304に対して一対の部分的に分離されたストリップ1312’及び1312’’として、後方開口306に対して1318’及び1318’’として、実行される。これらのストリップは、分離線1313及び1317によってCPSM材料から部分的に分離されており、これら分離線は、CPSMの長手方向サイドマージン1395’及び1395”から延びているが、それぞれが開口部304及び306のための不連続部と交差する前に終了している。これにより、展開手段ストリップ1311’、1311’’、1319’、1319’’の長手方向に延在するサイドマージンとの交差部分、即ち横方向外向きの端部1312、1318は、開口部のちょうど横方向外側に位置し、それぞれの不連続部の長さの中央付近(点Cについて示されるように)又はより股点の方に向かって(点Dについて示されるように)位置している点C及びDよりも股点305から更に離れている。
【0046】
これらの不連続部に加えて、CPSMは、衛生用品の他の要素に接続するための接続点を含んでいる。
【0047】
プル手段の機能に関しては、以下でより詳細に説明するように、前方マージン1412の近くで点Fに対応する前方プル手段連結領域1401’及び1401’’と、後方マージン1418の近くで点Aに対応する後方プル手段連結領域1409’及び1409’’とは、それぞれ、不連続部1403及び1407の横方向外側に位置し、センターピースの折り畳まれた部分及びサイドパネルに連結する。
【0048】
同様に、以下でより詳細に説明するように、展開機能は、各接続領域1314’、1314’’、1316’、1316’’における横方向外向き端部1311’、1311’’、1319’、1319’’をセンターピースの折り畳まれた部分及びサイドパネルに接続することによって、可能になる。
【0049】
更に、不連続部を形成する開口部304及び306の周辺部は、以下に説明するように、対応する不連続部を含むSPSの下側部分に接続される。
【0050】
図3Cに示されている通り、CPSM1390を含む衛生物品300は製造構成において示されており、使用前構成において
図2Aに示される物品に対応している。例示的な物品は、前方サイドパネル320’及び320’’と、閉鎖手段340’及び340’’を備えた後方サイドパネル330’及び330’’と、センターピース310とを含んでいる。センターピース310は、少なくとも上述したようにSPSシート1512と、バックシートとを備え、バックシート318は、典型的には、必ずしも吸収性コア(図示せず)である必要はないが、折り畳まれた「C字形」を呈し、長手方向に延びるサイドマージン314’及び314’’を有し、物品の長手方向中心線15に向かって、しかしそれを越えることなしに、長手方向の折曲げ線316’及び316’’に沿って、この折り畳み部分309においてバックシート318が観察者に対向するように、折り畳まれている。センターピース310は、トップシート側とも呼ばれる第1の表面313を示し、これは、折り畳まれた領域から離れて、使用中の構成において着用者の方を概して向いており、
図3Cの製造構成では、単に前方マージン303において見えるだけである。
図2及び
図3に例示的に示されるような実施形態において、この表面は、上記のようにSPSのものである。サイドパネルは、長手方向サイドマージン314に近接してこれらの折り畳まれた部分に接続されており、製造構成の別の変形例では、この製造構成が実質的に長方形になるように、センターピースの長手方向の折り畳み線の周りに下方に折り畳むこともできる。
【0051】
物品は、サイドパネルエクステンション、バリア脚カフ、脚フープ、脚弾性部、腰弾性部、ランディングゾーン、並びに現在購入可能な製品に使用される関連するファスナ、ローション、印刷、及び他の要素などの、当技術分野では周知の様々な他の機能的又は美的要素を更に含み得る。
【0052】
CPSMストリップ1390は、上述したように分離線1313、1317、1403、1407が切断されるか又は他の方法でそれに適用された状態で、折り畳みの実行前に、センターピースの第1の表面又はSPSの第2の表面に位置決めされる。接着剤又は溶融融着ボンディングドット若しくはラインなどの接続手段を、開口部304及び306のための不連続部の周辺の接続領域1303及び1307に対して、センターピースの第1の表面313又はCPSMの対応する領域、即ちCPSMのユーザ指向表面1397の反対側に適用して、CPSMがセンターピース上に置かれたときに接続が確立され、任意選択的に、例えば加圧ローラーによる圧縮によって強化されるようにすることができる。更に、接着点又は線などの接続手段は、接続領域1314、1316、1401、1409、又はセンターピースの第1の表面上の対応する領域に適用することができ、その結果、折り畳みによって接続が確立されるときに、任意選択的に例えば加圧ローラーによる圧縮によって、強化される。したがって、この製造構成では、CPSMはセンターピースに、
-SPS及びCPSMに位置合わせされた開口部304及び306の周辺の中央部分において、及び、
-折り畳まれた部分の長手方向サイドマージンに沿って、
接続される。
【0053】
本発明の原理は、ここで、製造構成からの変換を考慮することによって説明することができる。
図3A及びCの製造構成から
図2A及びBのような使用前の構成へ、そして
図2C及び
図3BにおけるCPSMの単純化した図に示される使用中の構成への変換を参照されたい。
【0054】
サイドパネルが交差方向外方に引っ張られると、サイドパネルがCPSMに接続されている点A’及びA’’も交差方向外方に引っ張られ、前方及び後方PMの「Y」字の脚部が交差方向外方にヒンジされて、その実効的な長手方向の長さ、即ち長手方向中心線15に射影される長さが縮められる。これを、装着及び実質的に平坦な形態から一般的にU字形の形態への変換(
図2B及びC参照)と組み合わせる場合、この短縮化によって、プル手段が使用者の臀裂へと持ち上げられる。
【0055】
プル手段を通じたこの持ち上げと同時に、展開手段、特に接続領域1303及び1307もまた、臀部を横切って後方に股裂部を通って延びる線に沿って持ち上げられる。これは、SMストリップ1312及び1318に沿って、交差方向の牽引力を誘発し、これらの牽引力を開口の不連続部に更に伝達し、結果的に、交差方向に開口させ、それによって、前方及び後方PMよりも程度は少ないものの、更なる縮み効果を生じる。
したがって、
図3Aと
図3Bとを比較すると、使用時の構成では、後方マージン点Aから前方マージン点Fまでの長手方向の距離は著しく減少するが、点BとEとの間の距離はわずかに短くなるだけである。
【0056】
これは、従来のアプローチに対する本発明の特定の違いである。例えば、上記のEP359410A1を参照すると、弾力性のある2次的なトップシートは臀裂を越えて臀部の一方から他方へと広がっており、排便時には糞便が臀裂に沿って移動し、皮膚の広範囲を汚し得る。本発明において、この引っ張りは、純粋に幾何学的な効果であり、使用される材料の伸張性や弾性を必要としないことに留意されたい。本文脈において、材料は、通常の製造条件に対応するひずみの適用時に、計測された長さに対してその機械方向に5%を超えて、好ましくは2%を超えて伸びない場合に、非弾性とみなされる。
以上、本発明の原理を説明したが、個々の特徴のための必ずしも排他的ではない様々な実施形態について更に説明する:
【0057】
図3Aでは、CPSMストリップは、結合線及び分離線を収容するのにちょうど十分なCD幅を有することができる狭いストリップとして示されており、即ち、典型的には、長手方向中心線から横断方向に約5mm以上延在している。機能性及び材料使用効率の観点から、ストリップは、幅を広くする必要はないが、例えば、美観上の理由から、ストリップは、製品が展開されるときに股部の全幅を覆うように、折り畳まれた部分に向かって横方向に延在し、ほとんどがその下に延在していてもよい。
図3Dに概略的に示されているように、交差方向カットライン1311、1319は、トップシート材料の自由な縮み率を可能にするために十分に延びているべきである。また、幅広CPSMストリップの側端部における取り付けは、縮み率を制限しない点を除いては特別に重要ではなく、例示的に示されている(1490)。
【0058】
図4Aには、拡散機能を実施する代替案が示されており、SMストリップ1312、1318は、センターピース310の重なり部分309から部分的に分離されたストリップとして示されており、それにより、ストリップは、部分的に分離され、例えば、そこから切断され、センターピースの長手方向の折り畳まれたサイドマージン314から終端点1322、1328に向かって延び且つ交差し、終端点は、折り畳まれた領域内に位置するが、開口部304,306の不連続部の横方向外側でPMにz方向に重なっており、それにより、長手方向に延びたサイドマージンの交差部は、SM分離線1313、1317の終端点1322、1328よりも股点305からより少なく離れている。次いで、SMストリップは、それぞれ開口部304,306の不連続部の近傍でPMに接続され、その後、実質的に上述のように機能する。
【0059】
図4Bを参照すると、折り畳まれた部分は、開口部の周囲に直接的に接続されて、装着時に広がり効果を直接的に誘導するようにされていてもよい。
【0060】
別の実施形態は、プル手段ストリップ1410としてのプル手段の実施形態に関するものであり、
図5A~5Hを参照されたい。上記の説明のために、前方及び後方開口部を含む物品の全長にわたって実質的に延びるCPSMが使用されたが、
図5Aを参照して、1つの開口部しか必要としない応用が多数あり、これは肛門に位置合わせされた後方開口部306であっても、生殖器に位置合わせされた前方開口部304であってもよい。これらすべての実施形態では、PMストリップ1410の前方(1412)又は後方マージン(1418)は、物品のそれぞれのマージン303,307と一致する。
【0061】
図5Bに示す実施形態では、PMストリップは、物品の前方マージン303から後方開口部306の不連続部に向かって延びているが、それに達する前に停止している。
図5Cに示されているように、PMストリップは、物品の前方マージン307から前方開口部304の不連続部に向かって延びているが、それに達する前に停止している。これらの実施形態についても、折り畳まれた部分は、開口部の周囲に直接的に接続されて、装着時に広がり効果を誘導するようにされている。
【0062】
図5Eに示される実施形態の場合、プルストリップは、物品の前方マージン303から前方開口部304のための不連続部に向かって延在し、これに沿って連続しており、一致する不連続部も含んでおり、股点領域に達している。対応して、
図5Dに示されているように、プルストリップは、物品の後方マージン307から後方開口部306のための不連続部に向かって延在し、それに沿って連続していてもよく、整合する不連続部を含み、股点領域に達していてもよく、又は、物品の後方マージン307から前方開口部304のための不連続部に向かって延在していてもよいが、それに達する前に停止している(
図5F参照)。
【0063】
さらに別の実施形態は、
図5G及び5Hに示されるようなオプションを、SMストリップ(
図4の1312、1318参照)がセンターピース310の折り畳み部分309から部分的に分離されたストリップであって、それぞれ
図5G及びHに示されるようなPMストリップ取り付け点1316を生じる実施形態と組み合わせることができる。
【0064】
更に、本発明は、意図された使用及びそれぞれの開口部の存在に適合されたSPS1500及び任意のESS1600を組み込むための様々なオプションを含んでおり、それらは、長手方向中心線15に沿った断面図を示す
図6A~Gを参照して、また、他の特徴を省略したSPS上の上面図を示す
図7A~Gを参照して、更に説明される。
【0065】
図7において、センターピースは、(
図7Aにおいて点線として代表的に示されるように)折り目線316に沿って長手方向サイドマージン314を折り曲げる前、即ち、PM、SM、又はCPSMと組み合わせる前の、特定の製造構成で示されている。任意選択に、
図6及び7に示されているように、前方及び後方交差方向マージンは、前方及び後方マージンのエンドマージン接続部352,358によってそれぞれ示されているように、その段階で接続されてもよい。更に、吸収性コア315は、他の実施形態にも適用され得るように、バックシート318とユーザ指向SPS1500との間に配置されている。
【0066】
-主に糞便を受け入れるように適合させるために、後方開口部306が重要である。多くの場合好ましくはないが、この場合、吸収性コアを省略して、糞便浸出物のみを捕捉できるようにすることが十分に企図される可能性がある。最上層としてのSPSは、便に含まれる液体の皮膚への逆浸透を最小限にするために、疎水性又は更には液体不浸透性であることが好ましい。
【0067】
-主に尿又は月経の取り扱いを改善することを目的とする場合、前方開口部304は、疎水性又は液体不透過性のSPSと組み合わせることができ、その結果、尿若しくは月経、又は尿若しくは月経を放出する生殖器が前方開口部304を通過し、浸出物が捕捉され、好ましくは吸収性コアによって固定される。
【0068】
-尿及び/又は月経と同様に糞便を受け取ることを目的とする場合には、糞便がSPSを通過することを可能にする後方開口部306が存在すべきである。SPSは、物品の後部において、疎水性又は液体不透過性であることが更に好ましい。また、尿又は月経受容部については、尿又は月経受容部への親水化剤の適用と、前方開口部を有するものとを、適宜選択することができる。
【0069】
更に、浸出物分離シート(ESS)1600を適切に設計に導入することができる。このようなESSは、吸収性コアとSPSとの間に配置され、股点領域で後者に接続され、そこから後方及び/又は前方に延びている。ESSは、液体の通過を許可する場合と許可しない場合、又は液体を一方向にのみ通過させる場合がある。
【0070】
ほとんどの実施形態において、ESSは、好ましくは堅固であるが、好ましくは交差方向に延在することができる柔軟で液体不透過性の接続によって、股点領域内のSPSに接続されることが好ましい。
【0071】
前の議論では、ESSを欠いた前方及び後方開口部を有するSPSのあまり好ましくないオプションが説明されているが、
図6A~G及び
図7A~Gは、この設計変数の組み合わせに関する更なるオプションを示している。
【0072】
-
図6A及び
図7Aにおいて、SPS1500は、糞便を受け取るのに適しているように、後方開口部306のための単一の後方不連続部を含み、ESSを含まず、また、尿を受け取ることも可能にするために生殖器の領域におけるSPSの液体透過性部分を含んでいる。
【0073】
-
図6B及び7Bは、股点領域から後方に延び、(この図では)SPSの下にあるESS1600の追加に関する。図示されているように、これは、後部のSPSと実質的に同一の広がりを持つ「ポケット」を生成する。ESSのSPS1700への接続は、他の接続、例えばエンドマージン接続352,358から分離されていてもよく、又は、他の接続と結合されていてもよい。この実施形態は、尿を受け入れることも可能にするために、生殖器の領域におけるSPSの液体透過性部分を含んでいることが好ましい。
【0074】
-
図6C及び7Cは、
図6B及び7Bと同様の実施形態に関連しているが、ESS1600がSPSの後部と同一の広がりを有しておらず、より狭い、より短い、又は図示のようにその両方であってもよい点において異なっている。
図7Cに、後方に延びるESS及びPMのオプションについて更に示されているように、前方開口部がない場合、ESSは、交差方向に延びる分離線1510、例えば、股点領域のすぐ前方にあるカットライン又はスリットを含むことができ、SPSが性器に向けて引っ張られない性器ポケットを形成することを可能にすることによって、着用者により快適さを提供する。
【0075】
-
図6D及び7Dは、乾燥した皮膚を達成するのに好適であり得る更なる実施形態を更に示しており、ここで、SPSは疎水性又は液体不透過性ウェブとして実施され得るが、糞便物質は前方領域に延在するESSによって分離され得る。
図6E及び7Eに示されている通り、ESSはSPSと同程度の大きさであってもよいが、より小さくてもよい。
【0076】
-
図6F及び7Fに示されている実施形態は、全長にわたって同一の広がりを有するSPSおよびESSを含み、好ましくは股点領域において液体バリアとして実行される接続ラインを有している。
【0077】
-
図6G及び7Gに示されている更に別の実施形態において、ESSは全長にわたって延在しているが、上にあるSPSは後部のみを覆っており、両者は股点領域内で接続され、好ましくは液体バリアとして実施される。
【0078】
本発明の機能性のために、PMがz方向にSPSの上(即ち着用者に向かって)に配置されるか又は下(即ち着用者から離れて)に配置されるかは、必須ではない。
図8A~Cは、
図8Aを用いた設計を概略的且つ例示的に示しており、
図8Aは、折り畳み前であるが接続線1700によってセンターピース(図示せず)に既に接続された図を示しており、
図8Bは折線316に沿った折り畳み後(
図8Aにおいて折り畳み矢印1800によって示されている)を示しており、
図8Cは中心線15に沿った断面
図AAを示している。SPS1500は、全長にわたって延びており、3つの分離されていない部分1522、1525及び1528をそれぞれ除いて全長にわたって中心線15に沿って分離され、例えば、切断される。更に、SPS内の前方(1532)及び後方(1538)カットアウトは、好ましくはPMストリップ1410の幅とほぼ同じ幅で示されているように、前方(303)及び後方(308)マージンに向かって及びそれらに達するように設けられており、これにより、折り畳み後に露出したPMにサイドマージンを適切に結合することができる。更に、
図8Aには、SPSの下に、破線で示されている長手方向に延びるサイドマージン1405を有する、プル手段ストリップ1410が示されている。また、プル手段ストリップ1410は、3つの分離されていない部分1422、1425、1428(
図8C参照)を除いて、長手方向中心線15に沿って分離されている。更に、ESS1600は、SPS及びPMの下の前方に配置され、少なくともその前方マージンは、
図8A及びBに股点305のすぐ後方に示されている点線で表されるSPS及びその後方マージン1608のものと一致している。PM及びSPSは、前方開口部(304)及び後方開口部(306)のある部分の側方外側の前方及び後方(それぞれ1712及び1718)において互いに接続されている。SPSの第1の表面は、前方(1722)及び後方(1728)SPSの折り畳み接続における拡大を可能にするように、折り畳み部分に接続される。また、折り畳み部は、SPS内の前方(1532)及び後方(1538)カットアウトを介して、PMストリップに、それぞれ折り畳み-PM接続部1742及び1748で接続されている。装着時には、物品は、SPSがPMストリップの大部分を覆っていることによってより好ましい外観を与える点を除いて、上述し
図2Aに示されているのと同様に、展開される。
【0079】
前方及び後方カットアウト5132、1538の領域における潜在的な漏れを回避するために、ESSは、その股点マージン1608から前方に向かってSPSの前方マージンを越えて延びていてもよく、製造中において、先行する物品の後方マージンへと延びていてもよい。
図8D及びEに示されているように、これは、前方マスキング接続1912を追加して、前方マスキング接続1912に沿ってESSをSPSに接続することによって達成することができる。同様に、後部において、マスキングシート1900(別個に追加されてもよいが、好ましくは、製造中に、上記のようにESSをSPSの前方マージンを越えて延長することによって生成される)を追加し、カットアウト接続部1918によって、SPS横後方カットアウト1538に接続されてもよい。
【0080】
展開手段の異なる実施形態に関連して、本発明の更に別の実施形態が
図8Fに示されている。この実施形態においては、ここで後方開口部306について説明した開口部は、直交方向に引っ張られて開放されるスリットとして実施されるのではなく、ここでは楕円形状で示したカットアウト部として実施される。交差方向の開口部は、ここでは周辺補強材1850として示されている補強手段によって、使用中に維持される。このような補強材は、限定されないがシリコーン又はゴムのような軟質材料の中空円筒から、厚さが3mm未満、好ましくは2mm未満、又は更には1mm未満の薄いスライスとして切断された軟質リングであってもよい。リングスライスは、回転アプリケータ又は他の適切な手段によってPMに適用されてもよく、適切な接着剤(図示せず)によって接続され得る。補強手段はまた、例えば従来の印刷装置によって、流体又は軟化状態で材料を適用することなどによって、その場で成形されてもよい。このような材料は、低温状態で十分な柔らかさを備えた従来のホットメルト接着剤であり得る。それはまた、WO2000/000235A1に記載されているような皮膚接着剤であり得る。
【0081】
本発明の更なる実施形態は、
図8G及び8Hに示されている。
図8Gでは、物品は、
図8Dに示されているものと類似の態様で描かれている。しかしながら、前方(2002)及び後方(2008)のカットアウトがバックシート318(
図8H参照)に適用され、前方(2012)及び後方(2018)カットコネクションがSPS1500のカットアウト横方向外側においてバックシートと接続するように適用されている。PMストリップ1410は、吸収性コア315とSPS1500との間のz方向に位置し得るように、上述したように、物品の股領域内にあり、少なくともバックシートカットアウト2008を通って延在しているが、最も好ましくは、フロントバックシートカットアウト2002も通って延在している。もし存在するならば、ESS1600及び吸収性コア315は、このカットアウトの手前で停止している。前方及び後方コアマージンが
図8Gには示されていない前方ESSマージン1602を参照のこと。PMストリップ1410の前端及び後端は、それぞれ、当技術分野で周知の機械式ファスナーフックパッチとして非常に好適に実施され得るPMストリップ固定手段2022及び2028を含んでいる。そのようなパッチは、例えば
図8Hに例示されているように、固定手段2022及び固定手段係合面2023を有する前方領域において、その係合面をSPSに向けて適用することができる。そのようなパッチはまた、例えば
図8Hに例示されているように、固定手段2028及び固定手段係合面2027を有する後方領域において、その係合面をサイドパネル(図示せず)に向けて適用することもできる。上述の実施形態とは対照的に、このような設計は、物品がユーザに装着された後にMD短縮を作動させることを可能にし、その結果、短縮の程度、即ち臀裂内への引っ張りをユーザごと特徴に応じて調整することができる。この目的のために、物品は、着用され、その後、PMストリップが、PMストリップ固定手段によって、物品の横方向外側に引っ張られて固定される。このような設計のために、PMストリップは、弾性ストリップとして実行されてもよく、次いで、着用者のウエストを少なくとも部分的に取り囲むように伸長され、それによって、身体に対するウエスト固定を補助してもよい。
【0082】
当業者はまた、液体又は糞便収集手段などの更なる滲出物処理手段は、吸収性コアに組み込まれていてもよく、若しくは追加されていてもよく、又は吸収性コアとSPS若しくはESSとの間に配置されていてもよいことを理解するであろう。
【0083】
また、全ての不連続部は、材料がプロセスの少なくとも一部の間接続されたままであるが、少なくとも着用時及び使用中の構成において容易に分離されるように、断続的な切断線又は穿孔線(「perf’n pop」とも呼ばれる)などの分離が不完全である部分的に分離された線として実行されてもよい。前方開口部及び後方開口部については、x-y延長部は、製造構成から使用構成への移行時に、それぞれの分離線から形成される。不連続部は、しばしば好ましくは、カットなどの分離ラインとして実行されてもよいが、製造構成のこの時点で既に開口部を形成するようにウェブから材料を除去することによって形成されてもよい。種々の要素の接続は、熱若しくは圧力接合、又は音波、好ましくは超音波接合などの任意の従来の手段によって達成することができるが、特に、折り畳み領域を含む接続の場合、加工性の観点から適切な接着剤の使用が好ましい。
【0084】
当業者であれば容易に理解できるように、「点」、例えば「接続点」という用語は、例えば接続に適用される技術に対応する一定のサイズを示すことができる。それゆえ、接着剤タイプの接続点は、周囲領域の機能性に影響を与えない程度に十分に小さい接着剤のパッチを含んでいる。同様に、「線」、例えば「接続線」という用語は、特定の幅を示し得る。また、この用語は、例えば、ドット接着剤又は超音波接合線を含む中断された線、並びに多数の(サブ)線を含む線又は多数のより小さな接合点から形成される接合点などの接合パターンを含む。同様に、「領域」という用語は、「線」としても見られる可能性のある長いが狭い領域を包含している。
【0085】
CPSMの幅は、少なくとも、折り畳まれたサイドマージン部同士の距離としての折り畳みギャップ幅に、CPSMを折り畳まれた領域に位置決めして接続するための加工公差を加えたものでなければならない。この機械加工公差は、非常に小さくてもよく、例えば約5mm未満であってもよいが、材料使用効率の理由から、約10mm又は20mmを超えるべきではない。一般的に、SPS、PM、CPSM、又はSMは、快適性又は健康面に妥協しないなど、着用者の下胴部に着用される衛生用品に適用される一般的要件を満たす広範な原料から製造することができる。特定の用途への日常的な適応は、材料の強度、柔らかさ、空気及び液体透過性等を決定する。特に、物品が大規模生産を意図している場合、材料はウェブ材料であることが好ましい。
【0086】
一般に、用語「ウェブ」は、1つの方向(一般に「x方向」又は「機械方向」と称される)に実質的に無端であるか又は連続している任意の材料に関する。ウェブは、しばしば、必ずしもそうではないが、ロール形態で格納され、供給され、又は使用され、それゆえ、時には「ロール商品」とも称される。これらは厳密な意味で「無限」ではないが、このx方向への延長は、他の方向への延長よりもかなり大きい。連続したロール又は他のバッチを組み合わせることによって、このようなウェブは、あらゆる実際的な目的のために「無限」とみなすことができる。ウェブは、ロールが出荷されるときのような「バッチ」形態で輸送されてもよく、又は以下に説明するように、ウェブがロールから巻き戻されるときのような「ウェブ経路」に沿って輸送されてもよい。ウェブの典型的な例としては、プラスチックフィルム若しくはフォイル、任意選択的に開口部を設けたもの、織物、不織布、ネット、又はクリムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
SPS及びプルストリップ材料は、好ましくは、柔軟性があり、ソフトな感触であり、着用者の皮膚に刺激を与えないものであり、多孔質フォーム、網状フォーム、開口プラスチックフィルム、又は天然繊維の織網若しくは不織網(例えば、木又は綿繊維)、合成繊維(画例えば、プロエステル又はポリプロピレン繊維)、又は、天然及び合成繊維の混合物などの広い範囲の材料から製造され得る。それらが繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド(spanbonded)、カード(carded)、ウエットレイド(wet-laid)、メルトブロウン(meltblown)、ハイドロエンタングルド(hydroentangled)、又は当技術分野で公知の他の方法で処理されていてもよい。それらは、スパンボンドされたウェブと組み合わせたオープンネット又はスクリム構造を含む場合などの複合材料であってもよい。
【0088】
好ましくは、SPSは、糞便の通過に対して低い傾向を示す。任意選択的に、SPSは、z又は厚さ方向勾配構造を示すことができ、又は、積層体若しくは複合材料であってもよく、例えば、使用者に向けられた表面上で特に皮膚に優しい特性、又は反対側の表面上で特定の便吸収性を示すことができ、これは、低粘度又は「さらさらした」便の場合に特に有益であり得る。
【0089】
任意選択的に、SPSは、ストライプ(y方向のバリエーション)又は接続されたパッチ(x方向のバリエーション)などの複合材料であってもよい。
【0090】
任意選択的に、SPSは、皮膚軟化剤等の皮膚親和性向上剤のような当技術分野で周知の添加剤を含んでいてもよい。
【0091】
SPSが前方開口部のない尿又は月経の領域により前方に延びている場合、少なくともこれらの領域では、使用される材料の性質又は処理によって親水性であるなど、良好な液体透過性を示すべきである。滲出物が通過することを可能にする前方開口部を含む実施形態の場合、SPSは、例えば、疎水性不織布、フィルム、又はそれらの複合体など、流体不透過性であることが好ましい。
【0092】
本発明の任意の実施のために、SPS、PM、又はCPSMの様々な領域の長手方向の延長は、それらの相対的な長さが、全長とは無関係に、特に、着用者上の組み合わされた物品の長さとも無関係に、即ち、成人又は乳児の何れのために設計されている場合でも、大きく変化しないことが好ましい。相対寸法をより良く説明するために、SPSの後方ウエストマージンの前方ウエストマージンまでの距離が100%に設定された場合、次の範囲が、製造構成における特徴点間の距離に対して好ましい。ここで、物品の前駆体は、物品の全長に対応している。
-後方ウエストマージンAから「ノード」点Bまで:10%から25%;
-接続BからCまで:20%から40%;
-CからDまで:15%から25%;
-DからEまで:5%から25%;
-EからFまで:10%から25%、
これにより、それぞれのパーセンテージ値の合計は100%になるはずであり、さらに開口部などの特徴点が存在しない場合には、この概念上の点の隣接範囲が組み合わされる。
【0093】
なお、肛門不連続部の前方の長さは、本発明の実施形態の機能性を確保する上で大きな意味を持たないことに留意されたい。
【0094】
別の態様では、本発明は、
図9の文脈で説明するような衛生用品の製造に関する。
一般に、このプロセスは、衛生物品の製造のための当技術分野で周知のユニットを含む装置上で実施することができ、典型的には、この連続プロセスの最後に、衛生物品が前駆体複合ウェブから分離され、次いで、更なる折り畳み及び包装などの更なる処理が行われるまで、接着剤又は粉末などの他の材料を任意選択的に添加して、実質的に連続的なウェブ材料を組み合わせ、取り扱い及び処理する連続的なプロセスである。
【0095】
したがって、本発明を実施するための装置は、少なくとも
-様々なウェブマテリアルのための巻き戻しスタンド(unwind stands);
-ウェブ材料の位置決め及び張力を制御するためのウェブガイド手段;
-ウェブ材料から断片を切断するための、及びスリットなどの実質的に機械方向の分離線を適用するための、回転ナイフなどの分離手段;
-ウェブ又はウェブ断片を所定の相対位置に配置するための結合手段であって、任意選択的に分離手段と組み合わせて用いられる、いわゆる「カットアンドプレイス」ユニットなどの結合手段;
-所定の長手方向の折り目線に沿って長手方向の折り目を適用するための折り畳み手段であって、任意選択的に、少なくとも製品製造の最終段階で交差方向の折り目にも適用される、折り畳み手段;
-接続手段であって、
接着剤による接着、典型的には必ずしもホットメルト接着剤タイプではないが、以下を有する接着、
・点、線、又は領域など、所定の接着剤領域への接着剤の適用、
・所定の相対位置での材料の結合、
・キュアリング、硬化、又は最も好ましい冷却などの通常の使用条件下で接続を永続的にすること;
熱及び/又は圧力、摩擦、又は好ましくは音波、より好ましくは超音波エネルギーを結合点、線又は領域に適用することなどによる溶融溶融接合;
を含んだ接続手段。
【0096】
これらの装置ユニットの全ては、製造ラインを操作するための通常の駆動及び制御手段と同様に、衛生用品製造の当業者にとって周知である。
【0097】
本発明によれば、
図9を参照して説明するように、複数の製品ヴァリアントは複数のプロセスオプションを意味している。
図9に示すように、プロセスは、完成品の長手方向と整列した一般的なプロセス方向14に沿って進行する。なお、この説明は、必ずしもプロセスのタイムラインに沿ったものではなく、後述するようなプロセスステップを、他のプロセスステップよりも早く、又は同時に実行してもよい。本発明を実施するために不可欠なステップは、実線で示され、任意のステップ又は材料フロー線は破線で示されている。
【0098】
それゆえ、このプロセスは、原材料を提供するステップを含んでいる。
-巻き戻しスタンド又は箱とすることができるセンターピース供給ユニットによってセンターピースウェブ8130を供給すること(8131)によってセンターピースウェブを提供すること。或いは、このウェブは、バックシート、サイドパネル、及び任意選択的に吸収性コアを含む個々のウェブ材料から上流工程段階で形成することもできる。CPは、完成された衛生用品の全長に対応する反復長さを含み、それによって、マーカなどによって、又はプロセス設定によって、連続ウェブにおいて認識可能であるように、前後の交差方向のエンドマージンを示している。
-センターピースのトップシート材料として実行され得る、又は、SPS供給手段によってそれを供給すること(8121)によって実行され得る、SPSウェブ材料8120を提供すること。
-PM供給手段によって供給すること(8111)によって、プル手段ウェブ材料8110を提供すること。
-任意選択的に、ESS供給手段によって供給すること(8141)によって、ESSウェブ材料8140を提供すること。
-粘着剤又は接着剤を提供して(8190)、種々の任意の又は必須のプロセス工程において、接着剤アプリケータによって接着剤を適用すること。
-任意選択的に、RM供給手段から補強材(RM)を提供すること。
【0099】
上で説明したように、展開手段は、幾つかのオプションによって提供することができる、即ち、
-展開手段ストリップを提供することであって、
・CPSM材料から、又は、
・センターピースの長手方向に折り畳まれた部分から、
部分的に分離される可能性のある、展開手段ストリップを提供することによって;
-センターピースの長手方向に折り畳まれた部分を、開口を形成するための分離線に隣り合って、SPSのユーザ指向表面に接続することによって。
【0100】
プル手段がSPSと結合される前に、プル手段ウェブ材料8110に長手方向方向の中心線に沿って、ウエスト分離線として、長手方向の分離線が適用される(8113)が、これらが、センターピースと組み合わせた後、前縁又は後縁から離れて延びるが、プル手段の全長には亘らないようにされている。任意選択的に、PMとSMが単一であるオプション(プル手段と展開手段との組み合わせ)の場合、部分的な分離線を適用することができる(8115)。PMが肛門及び/又は生殖器領域並びにそれぞれの開口部に到達することを意図している場合、対応する分離ラインを適用してもよい(8117)。これらのステップは、個別に実行することも、単一の処理ユニットで実行することもできる。
【0101】
後方及び/又は前方の開口部に対応する少なくとも1つの長手方向の分離ラインは、これが分離材料8120として提供されるか、又は、既にプル手段と組み合わされているかにかかわらず、SPSに適用(8127)されなければならない。更に、SPSの下に配置されたPMを有するオプションのためには、少なくとも1つのウエスト領域内の製品中心線の脇にあるカットアウトが、そのカットアウトの長さ及び位置に対応する長さで、そしてSPSがバックシートに結合される前のPMの幅に対応する幅で、SPS内に設けられなければならない(8125)。
【0102】
任意選択的に、特にSPSが既にセンターピースと結合されているオプションについては、接着剤供給部8190から供給されるような接着剤が、後方開口部又は前方開口部に対応する分離線の周辺でSPS(8119)及び/又はPM(8129)に適用されてもよい。
少なくとも後方開口部を形成するためにカットアウトと結合された補強手段が使用される場合、結合されたSPS/補強手段ウェブをPMと結合する前に、補強手段のSPSとのコーミング及びその後のカットアウトが実行される。
【0103】
SPS-PM複合体8200を形成するためのPM8110とSPS(8120)との結合8210は、PMの小片を分離し、これらをSPSウェブ8120上に、例えば、切断ユニット及びスペースユニットによって位置決めすることによって達成することができる。SPS8120の部品が全長PM8110又は別の全長ウェブと組み合わされる場合には、それに応じてカットアンドプレイスユニットへのインフィードを切り換えるべきである。接着剤接続(8119/8129)の場合、接着は、ローラー、任意選択的にチルドロールによって強化してもよい。或いは、SPSがまだセンターピースと結合されていない場合には、SPS又はPMへの接着剤の適用は省略され、接続は溶融融着接合8220、好ましくは超音波接合によって達成されてもよい。開口部のための分離線が、結合8210の前にSPS(8127)及びPM(8117)に既に適用されている場合、これは、最高の精度で達成されなければならない。したがって、これらの分離線は、結合後に、SPS及びPMの両方に同時に適用される(8230)ことが好ましいかもしれない。
【0104】
ESS8140が、ESS供給ユニットから供給される8141ときに含まれるべきである場合には、それがSPSよりも短いならば、カットアンドプレイスユニットなどの従来のユニットによってPM-SPS-ESS複合体8300を形成するために、PM-SPS複合体8200と適切に組み合わせることができる(8310)。好ましくは、ESSとPM-SPS複合体との接続は、前方及び後方SPSカットアウトに沿った接続を含めて、もし存在する場合、溶融融着接合8320によって行われ、より好ましくは超音波接合によって行われるが、接着剤8190をESS8143及び/又はPM-SPS複合体8233に適用することによっても達成することができる。ESSが物品の全長にわたって延び、SPSが一部(例えば
図6G及び7G参照)のみを覆うオプションは、必要に応じて、しかるべき変更を加えた上で実行される。同様に、マスキングシートは、このシートのための追加の供給手段が必要とならないように、製造プロセス中に、物品マージンを越えて隣接物品の後部に前方ESSを延長して適用することができる。
【0105】
ここで、必要に応じて、PM-SPS-ESS複合体8300を長さ方向に切断することによって、PM-SPS-ESS複合体8300をセンターピース8130と結合して8410、平坦な物品前駆体8400を形成することができる。この複合体8300とセンターピース8130との間の接続は、好ましくは溶融融着接合8420によって、より好ましくは超音波接合によって行われるが、接着剤供給源8190から供給される接着剤を用いて、複合体8300及び/又はセンターピース8130に、それぞれ接着剤を適用すること8134及び8340によって行うこともできる。
【0106】
SMが折り畳まれた部分から部分的に切断された分離ストリップとして実行される任意の設計実行において、ストリップを形成するための分離線は、折り畳みを実行する前に適用8420され得る。
【0107】
折り畳み8440の前に、又はそれと同時に、接着剤供給源8190から供給されるような接着剤が、上記で説明したように、PM、SM、CPSM、又はセンターピースのそれぞれの接続点において、平坦な物品前駆体8400に適用される(8430)。
【0108】
折り畳み8440は、ガイドレール又はフィンガなどの従来の手段によって実行される。必要に応じて、折り目は、圧力ロール(図示せず)のセットによって安定化することができる。
【0109】
それゆえ、一連の折り畳まれた衛生物品前駆体8900を有する本質的に連続したウェブは、最終処理工程8910に送られ、そこで個々の物品の一連に切断され、さらに折り畳まれ、包装されてもよい。
【0110】
当業者はまた、このプロセスが、閉鎖手段の適用、パンツ型物品を形成するためのサイドパネルの閉鎖、湿潤インジケータの適用などのさらなる処理ステップを含み得ることを容易に理解するであろう。