(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】フェライトコア及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/34 20060101AFI20240626BHJP
H01F 3/08 20060101ALI20240626BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20240626BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240626BHJP
C01G 49/00 20060101ALI20240626BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20240626BHJP
C04B 35/30 20060101ALI20240626BHJP
H01F 17/06 20060101ALN20240626BHJP
【FI】
H01F1/34 140
H01F3/08
H01F27/255
H01F41/02 D
C01G49/00 A
C01B32/15
C04B35/30
H01F17/06 D
(21)【出願番号】P 2019240139
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520010455
【氏名又は名称】トーラスエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520010466
【氏名又は名称】加藤 昭広
(73)【特許権者】
【識別番号】518295691
【氏名又は名称】石川 保
(73)【特許権者】
【識別番号】520010477
【氏名又は名称】濱岡 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭広
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-044017(JP,A)
【文献】特開2001-093718(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009320(WO,A1)
【文献】特公昭49-024748(JP,B1)
【文献】特開平05-299872(JP,A)
【文献】特開昭48-081091(JP,A)
【文献】特開平07-066026(JP,A)
【文献】特開2007-111603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/34
H01F 3/08
H01F 27/255
H01F 41/02
C01G 49/00
C01B 32/15
C04B 35/30
H01F 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
フェライト原料を準備する工程と、
前記フェライト原料を準備する工程とは独立して、原子状炭素材料に高周波(共振波)を当てて、共振原子状炭素材料を生成する工程と、
前記フェライト原料に前記共振原子状炭素材料を添加する工程と、
前記共振原子状炭素材料が添加されたフェライト原料を焼成してフェライトコアを製造する工程と、
を備えたフェライトコアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種磁気回路を構成するフェライトコア及びその製造方法、特に、フェライト原料に炭素材料を添加し或いは高周波電磁波を照射し共振させることにより、電磁導電性能を向上させたフェライトコア及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種磁気ヘッド、トランス、チョークコイル等に用いられるフェライトコアはコンピュータの各部分、電動機の電磁作動部分など各種場所で使用される。また、近年、電子機器の小型化、多機能化が急速に進展するに伴い、電源や各種部品の高集積化、高周波化も進み、供給される電流も大電流化が進んでいる。
【0003】
このような大電流化に伴い、各種部品からの発熱は増大する傾向にあり、さらに電子機器の駆動時の発熱による温度上昇も考慮して、トランス、チョークコイルといった回路部品に用いられる磁芯材料は、室温から100℃程度の高温まで高い飽和磁束密度を確保することが求められるとともに、各種部品は、高温での安定かつ確実な駆動が求められている。
【0004】
上述のような要望に応えるための技術を開示したものとしては、例えば、特許文献1に記載された発明がある。この発明は、フェライトコアの材料として、中間原料製品である金属鉄を含有するMnZn系フェライト粉末あるいは顆粒を用いて、MnZn系フェライト焼結体を形成することを狙いとし、上記MnZn系フェライト粉末は、金属鉄(Fe)を含有することを特徴とする。これにより、高い飽和磁束密度を備えるとともにコアロスが小さく、さらには製造コストの低減と環境負荷の低減を可能としようとするものである。
【0005】
しかしながら、上述のような材料の選択及び成分の配合割合により、フェライトコアの一定の性能向上はもたらすが、大幅な性能向上に成功したものは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、電磁気特性に優れ、しかも電磁導電性能を向上させたフェライトコア及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係るフェライトコアは、フェライト原料に炭素材料が添加されて成ることを要旨とする。このフェライトコアは、フェライト原料への炭素材料の添加割合が0.5重量%乃至10重量%であることが好ましい。また、炭素材料として、原子状炭素が用いられてもよい。さらに、炭素材料に高周波(共振波)を当てて、共振炭素としてもよい。
【0009】
本発明に係るフェライトコアの製造方法は、フェライト原料を準備する工程と、前記フェライト原料に炭素材料を添加する工程と、前記炭素材料が添加されたフェライト原料を焼成してフェライトコアを製造する工程と、を備えたことを要旨とする。このフェライトコアの製造方法においては、前記フェライト原料を準備する工程とは独立して、炭素材料に高周波(共振波)を当てて、共振炭素材料を生成する工程を含み、前記フェライト原料に炭素材料を添加する工程では、前記フェライト原料に前記共振炭素材料を添加するようにしてもよい。また、前記フェライト原料に添加される炭素材料又は共振炭素材料には原子状炭素が用いられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電磁導電性能や磁気特性に優れたフェライトコアが実現できる。また、本発明のさらなる用途、効果として、次の事項がある。しかし、それらの用途、効果は現在時点で本件発明者が考え付く範囲のものに過ぎず、産業全般、時代の変遷を見渡せば、もっと広い用途、効果があり得ることは明らかである。
a)一般家庭、事業所のヒューズボックスの先(室内側)の電源ケーブルに本発明のフェライトコアを装着することで室内に供給される電流が整い、導電効率が上がる。それにより、電流の量および電力の消費が減少し、節電、電磁波(EMF)の軽減が達成され、生活の向上、住環境の向上を実現する。
b)電動モーターの電磁誘導ユニット(ローターやステーター)に本発明のフェライトコアを使用することで、電磁誘導効率が上がる。それにより、電動モーターのスペック(性能)が著しく向上する。
c)トランスの電磁誘導ユニット(磁心部品)に本発明のフェライトコアを使用することで、トランスの電磁誘導効率が上がる。それにより、トランスのスペックが著しく向上する。
d)動力用のバッテリーから出る、マイナス側のケーブルに本発明のフェライトコアを装着することで、内燃機関の燃焼効率を上げることができる。これにより、省エネルギーが図られ、燃料の節約に役立つ。
e)本発明のフェライトコア又はこれと同様の材料を電気自動車やハイブリッド車(電磁波の発生、飛散がガソリン車やディーゼル車よりも多い)内に設置することで、車内の電磁波を軽減することができる。
f)本発明のフェライトコア又はこれと同様の材料を成形加工して繋ぎ(ネックレスやブレスレットの構造を想定)、これを身体に着けることにより空間に飛び交う電磁波から人体が受ける影響を軽減することができる。
g)IT調理器、電子レンジ、電熱マットなどの電源コードに本発明のフェライトコアを装着することで、電磁波(EMF)の発生が軽減される。
h)飲料の中に本発明のフェライトコアを投入することにより、飲料(水の成分)のイオン化が実現される。
i)冷蔵庫などの庫内に本発明のフェライトコアを設置することにより庫内の空気のイオン化が実現される。
【0011】
また、フェライト原料に共振化された原子状炭素を添加した場合は、従来のフェライトコアに比べて次元の違う電磁導電性能を示し、工業分野においてフェライトコアを使用する各種分野(例えば、コンピュータ、電動機、その他)で製品の革新的或いは飛躍的な技術的進歩をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)製品であるクランプコアの外観構成を示す斜視図である。(b)クランプコアに使用されているフェライトコアの波形測定を行っている状況を示す部分斜視図である。
【
図2】従来からあるクランプコアで使用するフェライトコアに対する電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。
【
図3】従来からあるフェライトコアに直接、高周波電磁波を照射し共振させた場合の電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。
【
図4】高周波電磁波を照射し共振させた原子状炭素を添加したフェライトコアにおける電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。
【
図5】高周波電磁波を照射し共振させた通常炭素を添加したフェライトコアにおける電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態によるフェライトコア及びその製造方法について、以下、必要に応じて図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)などの電源コードに装着される円柱形状を有するソフトフェライトコア(通常、「クランプコア」と称する)およびその製造方法について説明する。しかしながら、フェライトコアは産業分野において広く使われる(例えば、電動機、コンピュータなど)ものであり、それらに使われるフェライトコアにも当然本発明は適用可能である。
【0014】
まず、フェライト原料としては、Fe2O3と、NiOまたはMnOとを主に含み、他にZnOおよびCuOなどを含むフェライト材料を用いる。上記フェライト原料には、添加物として、Si、Ca、Zr、Bi、Co、TiおよびNbなどのうち少なくとも1つの材料の酸化物を添加することもできる。これにより、フェライトコアの電磁導電性能や磁気特性、或いは加工性などを制御することが可能になる。このような組成のフェライト原料を仮焼した後、プレス装置やミル装置(粉砕機)などを用いて所定の粒径(例:0.5μm~3.0μm)に粉砕する。この粉砕は、湿式および乾式のいずれの粉砕方式を用いてもよいが、乾式粉砕法を用いる場合には、粉砕されたフェライト原料の粉末に水を加えてスラリー状にする必要がある。仮焼後粉砕したフェライト原料(Ni-Zn系)の組成の一例としては、次の組成が考えられる。
組成:Fe2O3 47モル%、ZnO 26モル%、NiO 18モル%、
CuO 9モル%
平均粒径:20μm
初透磁率μi:400
【0015】
この実施の形態の一態様としては、上記フェライト原料の粉末に、炭素材料を概略0.1質量%~10質量%の含有率で添加する。炭素材料としては、特に限定はされない。しかしながら、本発明の効果の大きさという点で見ると、一般に知られた「炭」のような結晶性の炭素材料よりも、非結晶性(非晶質)の炭素材料がより一層好ましい。この非結晶性の炭素材料に当てはまるものとしては、「原子状炭素」がある。
【0016】
本明細書において「原子状炭素」とは、炭素材料であって、炭素原子、或いは炭素原子が2乃至5個又は10個程度の鎖状に結合した状態の極微粒子が原子間引力により互いに不規則に集合して非晶質(結晶化していない性状)の塊状を呈するものをいう。この塊状を呈する原子状炭素は、450℃以下の温度に保った状態で破砕もしくは上記原子間引力による集合塊を解放することにより極微粒状にすることもでき、極微粒状の状態がより一層進行することにより、本来の原子状炭素の性状をより顕著に表すことになる。
【0017】
ちなみに、この原子状炭素の製造方法としては、炭素単体を含まない共有結合している有機物からなる原材料を不活性雰囲気において所定の温度で順次、温度を上げて加熱し、前記雰囲気中及び有機物中の炭素以外の所期成分を、450℃以下の温度において分解温度の低いものから順次熱分解させて炭素との結合を個別的に遊離させるとともにその都度不活性雰囲気を保ったままの状態で雰囲気外に排除し、更に得られた塊状の原子状炭素を不活性雰囲気に保ったままの状態で所定の容器に密封することにより製造できる。上記「450℃」の温度限定は、有機物からなる原材料を加熱したときに炭素の結晶化を生じさせない、限界温度を表す。この製造方法において、容器の密封状態で収容する前の工程で450℃以下の不活性雰囲気において極微粒径に粉砕することも可能である。前記原材料としては、木質材料または竹材等が例として挙げられる。なお、上述のような原子状炭素及びその製造方法については、日本特許第5095997号公報により一層詳細に説明されている。
【0018】
上記のような炭素材料(原子状炭素を含む)に対しては、さらにもう一段の加工処理を施すこともできる。すなわち、炭素材料に高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させ、共振炭素を生成する処理を施す。この炭素材料に対する共振作用は、原子状炭素の場合は、上記原子間引力による集合塊を解放する役割を持ち、これの作用効果として、上述した「極微粒状の状態がより一層進行することにより、本来の原子状炭素の性状をより顕著に表す」ことに繋がる。上述の炭素材料に高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる操作は、炭素材料の状態のとき、すなわち、フェライト原料に添加する前の状態(粉末状)の間に実行し、その後共振せしめられた炭素材料をフェライト原料に添加する作業手順を主操作とする。しかし、このような手順のみに限らず、高周波電磁波を照射されていない炭素材料をフェライト原料に添加してフェライトコアを作製し、その完成したフェライトコアに高周波電磁波を照射して炭素材料を共振させるという作業手順を採用しても本発明における顕著な効果を挙げることが可能である。なお、フェライトコアへの原子状炭素の添加については別のやり方もある。例えば、まず、炭素材料を含んでいないフェライトコアを作製し、この製品に、高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させた原子状炭素の溶液を塗布することにより原子状炭素を添加するという態様を採用しても同様の効果が得られる。この場合、原子状炭素の溶液の溶媒は、水、アルコール、その他の材質など、特に制限はない。
【0019】
なお、炭素材料という材料要件を取り去って、「対象物に高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる」という技術事項のみに着目しても、対象物を共振させたということによる一定の材質の性状改善が認められる。よって、本発明の実施の形態の別の一態様として、炭素素材ではなく、フェライトコア(炭素材料を添加していない)に直接高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる処理も施した。後出の実験2(
図3に示される)は炭素材料を含んでいないフェライトコアについての、高周波電磁波を照射して共振させたことによる材質の性状改善を説明するものである。しかし、本件の発明者等が実験により種々調べたところでは、やはり、炭素材料として原子状炭素を用いること、及びその原子状炭素に高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させて作製したフェライトコアが最も顕著な性能を示す(後出の実験3)ことが判明した。
【0020】
フェライトコアの製造は概略次の工程を経て行われる。上記炭素材料を添加したフェライト原料の粉末に、アクリル系バインダ(結合剤)を添加する。このアクリル系バインダは、アクリル酸系モノマーとメタクリル酸系モノマーとの共重合体を含んでいる。そして、スプレードライヤを用いて乾燥させることによりフェライト原料の粉末を形成する。なお、フェライト原料の粉末の平均粒径は、約5μm~約100μmの範囲内であることが好ましい。
【0021】
フェライト原料からフェライトコアを製造する作業は通常の製造装置(粉砕機や焼成機等のアッセンブリー体)によって実行される。本実施の形態では、上記したフェライト原料の粉末をプレス装置(粉砕機)などにより成形金型に供給する。この後、フェライト原料の粉末を高圧の圧力で圧縮することによって、成形体を形成する。そして、作製された成形体を、成形金型から外部に排出する。この後、成形体を焼結炉内で概略1000℃~1400℃の温度条件下で焼成することにより、焼結体(完成品)としてのフェライトコアが形成される。なお、焼成時の雰囲気の調整を行う、例えば大気中、または、酸素濃度制御の雰囲気下で焼成を行うことにより、フェライトコアの磁気特性などを制御することが可能である。
【0022】
次に、本実施の形態によるフェライトコア(実施製品としてのクランプコア)の性能実験を行った結果について説明する。
図1乃至
図4は上記実験の内容及びその結果を説明する図である。クランプコアの性能実験は、当該クランプコアに電流を流してその波形を測定することによって行った。
図1は製品であるクランプコアに使用されているフェライトコアの波形測定を行っている状況を示す図である。
図1中において、符号1は被検査体としてのフェライトコアを示し、2は波形測定装置の端子部を示す。端子部2は電気的なプラス極端子2aと、マイナス極端子2bとを有し、それぞれの極端子2a、2bの先端はフェライトコア1に接触されて電圧測定を行う。
【0023】
図2は、実験1として、従来からあるクランプコア(ノーマル)におけるフェライトコア1に対する電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。この図に示されるように、従来のクランプコアでは、P-P(ピーク ツー ピーク)の値として24mVの電圧値が得られており、一般的には概略この電圧値の下で電磁波によるノイズの除去などが図られている。
【0024】
図3は、実験2として、本発明の実施の形態の一つとしての、従来からあるフェライトコア1(炭素材料を添加していない)に直接、高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる処理を施した場合の電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。
図3に示されるように、この場合では、P-Pの値として120mVの電圧値が得られており、
図2の場合に比べてかなりの性能向上(電圧値で5倍)が図られている。
【0025】
図4は、実験3として、本発明の別の実施の形態のフェライトコア1における電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。この実施の形態では、高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる処理を施した原子状炭素をフェライト原料に添加してフェライトコア1を製作している。
図4に示されるように、この場合では、P-Pの値として7.5V(mVではない)の電圧値が得られており、
図2の場合に比べて大幅の性能向上(電圧値で300倍以上)を達成している。フェライトコア1に共振させた原子状炭素を添加した場合、フェライトコア1の電磁導電性能は従来のフェライトコア1に比べて次元の違うレベルを示している。このように、高い電圧を実現しているため、電気抵抗が著しく小さいということになり、産業上、電動モーターやトランス、或いは一般の電子機器に使われた場合、使用する電流の値を大幅に低減させることができ、省エネルギーに役立つとともにコストを低減させることができる。これは、工業分野においてフェライトコアを使用する各種分野(例えば、コンピュータ、電動機、その他)において製品の革新的或いは飛躍的な技術的進歩をもたらすものである。
【0026】
図5は、実験3の補足実験である実験4として、本発明のさらに別の実施の形態のフェライトコア1における電圧測定実験の結果である電磁導電性能を表す図である。この実施の形態では、炭素材料として原子状炭素以外の炭素材料(ここでは便宜上、「通常炭素」と表現する。)を使用し、この通常炭素に高周波電磁波を照射し、回転磁場を生成して共振させる処理を施した炭素材料をフェライト原料に添加してフェライトコア1を製作している。
図5に示されるように、この通常炭素を使用した場合では、P-Pの値として4.5V(mVではない)の電圧値が得られており、
図2の場合に比べて大幅の性能向上(電圧値で180倍以上)を達成している。フェライトコア1に共振させた通常炭素を用いた場合、フェライトコア1の電磁導電性能は、原子状炭素を用いた場合と同様に、従来のフェライトコア1に比べて次元の違うレベルを示している。このように、高い電圧を実現しているため、電気抵抗が著しく小さいということになり、産業上、電動モーターやトランス、或いは一般の電子機器に使われた場合、使用する電流の値を大幅に低減させることができ、省エネルギーに役立つとともにコストを低減させることができる。これは、工業分野においてフェライトコアを使用する各種分野(例えば、コンピュータ、電動機、その他)において製品の革新的或いは飛躍的な技術的進歩をもたらすものである。
【0027】
なお、上述の実験において、クランプコア(ノーマル)は100KHz(キロヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲で使用されているが、上記共振させた通常炭素や原子状炭素を添加したクランプコアは100KHz~1GHz(ギガヘルツ)の範囲まで使用できることが分かった。
【0028】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0029】
1 フェライトコア
2 端子部
2a プラス極端子
2b マイナス極端子