(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】ラベル貼付システム
(51)【国際特許分類】
B65C 9/42 20060101AFI20240626BHJP
B65C 9/26 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
B65C9/42
B65C9/26
(21)【出願番号】P 2020068575
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】荻野 真奈美
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-077034(JP,A)
【文献】特開2002-114212(JP,A)
【文献】特表2008-500245(JP,A)
【文献】特開2012-250717(JP,A)
【文献】特開平08-258821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/00
B41J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面上の物品を搬送する搬送手段と、
前記搬送面上の物品の物品情報を取得する物品情報取得手段と、
前記物品に貼付するラベルを保持すると共に、当該ラベルを搬送中の前記物品に貼付するラベル貼付ヘッドを備えたラベル貼付手段と、
ラベル発行機から発行された前記ラベルを保持するラベル保持部と、
前記ラベル貼付ヘッドを移動させる制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記物品情報取得手段によって取得した前記物品情報に基づいて前記ラベル貼付ヘッドを前記ラベル保持部よりも高い位置にある前記物品のラベル貼付面へ移動させる場合、水平成分に比して鉛直成分の大きい移動動作の実行後、鉛直成分に比して水平成分の大きい移動動作を実行
し、
前記搬送手段は、前記ラベル貼付の際に前記ラベル保持部よりも高い位置に貼付面を有する物品を搬送する、
ラベル貼付システム。
【請求項2】
前記制御手段は、ラベル貼付後、鉛直成分に比して水平成分の大きい移動動作、水平成分に比して鉛直成分の大きい移動動作を順次実行することにより、前記ラベル貼付ヘッドを前記ラベル保持部まで移動させる、
請求項1記載のラベル貼付システム。
【請求項3】
前記制御手段はさらに、前記ラベルを保持した前記ラベル貼付ヘッドを移動させる場合において、前記搬送面上の物品の高さに基づいて、前記ラベル保持部から貼付動作可能位置までを直線で結ぶ最短経路で移動する最短移動と前記ラベル保持部から前記貼付動作可能位置までの間に接触回避位置を経由する迂回移動とを実行する、
請求項1又は2記載のラベル貼付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上の物品にラベルを貼付するシステムであって、高い処理速度と的確な貼付を可能とした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送路上を搬送される被貼付物の一の面に、ラベルを貼り付けられるようにラベルを保持した吸着ヘッドを移動させたり、回転させたりする手段を有する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、様々なラベルの貼付位置に対応する手段の一つが開示されているが、ラベル貼付の処理速度の向上には改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、搬送路上の物品にラベルを貼付する処理の速度を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル貼付システムは、搬送面上の物品を搬送する搬送手段と、前記搬送面上の物品の物品情報を取得する物品情報取得手段と、前記物品に貼付するラベルを保持すると共に、当該ラベルを搬送中の前記物品に貼付するラベル貼付ヘッドを備えたラベル貼付手段と、前記ラベル貼付ヘッドを移動させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記物品情報取得手段によって取得した前記物品情報に基づいて前記ラベル貼付ヘッドを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムの全体を示した外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するセンサ群の配置構成を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するゲートセンサをA-A断面により示した模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置とラベル発行機を示した外観斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置を示した外観斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置を示した外観斜視図であり、(a)上面側からみた図、(b)底面側からみた図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置のラベル貼付ヘッドの断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置によりラベルを吸着保持した状態を示す図であって、(a)斜視図、(b)側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置の他の例を示した部分透視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置の他の例を示した外観斜視図であって、底面側からみた図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置のラベル貼付ヘッドの他の例の断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムが備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムにおいて、ラベル貼付装置の動作を説明する平面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される処理の全体的な流れを示したシーケンス図である。
【
図15】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される第一の制御の流れを示した処理フロー図である。
【
図16】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第一の制御を説明する図であって、(a)ラベル貼付ヘッドが保持動作開始位置にある状態、(b)ラベル貼付ヘッドにラベルを吸着させている状態、を示す。
【
図17】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第一の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図18】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第一の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図19】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される第二の制御の流れを示した処理フロー図である。
【
図20】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第二の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図21】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第二の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図22】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第二の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動する際の他の例の様子を示す。
【
図23】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される第二の制御の変形例の流れを示した処理フロー図である。
【
図24】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される第二の制御の変形例の流れを説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図25】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される第三の制御の流れを示した処理フロー図である。
【
図26】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第三の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図27】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第三の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動する様子を示す。
【
図28】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付装置による第三の制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動する際の他の例の様子を示す。
【
図29】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、ラベル貼付ヘッドの移動に伴う揺動を収束する制御を説明する図であって、ラベル貼付ヘッドが貼付動作完了位置から揺動収束位置を経て保持動作開始位置に移動する様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、図を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、ラベル貼付システム1は、ベルトコンベア10、センサ群20、ラベル発行機30、ラベル貼付装置40によって構成されたシステムであり、ベルトコンベア10上を搬送される物品Wにラベル5を貼付する。
なお、ベルトコンベア10はベルトコンベア11、12、13、14、15を総称したものであり、センサ群20は物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22、及びゲートセンサ23を総称したものである。
【0009】
●ベルトコンベア10
ベルトコンベア10は、ラベル5を貼付する物品Wの搬送路を構成すると共に、当該物品Wを搬送する搬送手段である。
このベルトコンベア10は、直列且つ隣接して一直線上に配置された複数のベルトコンベア11、12、13、14、15によって構成されている。
【0010】
このうち、ベルトコンベア11、12では、搬送される物品Wの通過が検出されると共に、物品Wの外形寸法の算出や計量、搬送面上における物品Wの位置の特定などが行われる。また、ベルトコンベア14では、搬送されてきた物品Wにラベル5が貼付される。
また、これら複数のベルトコンベア11、12、13、14、15の搬送面はいずれも、略同一平面上にあり、物品Wは持ち上げられたりすることなく搬送されると共にラベル5が貼付されるため、物品Wの破損を防ぐことができる。
【0011】
●センサ群20
ベルトコンベア10には、ベルトコンベア10上を搬送される物品Wから物品情報を取得する物品情報取得手段として、センサ群20が設けられている。このセンサ群20は、物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22とゲートセンサ23によって構成される。
【0012】
センサ群20のうち、物品検出センサ21a~21hは、ベルトコンベア11、12の搬送方向に沿って一定間隔で連続的に設けられており、搬送される物品Wの移動を検出する。この物品検出センサ21a~21hは夫々、ベルトコンベア11、12の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成され、発光部と受光部の間に形成される光路の遮断を検出することにより、所定の位置における物品Wの移動を検出する。これらの物品検出センサ21a~21hによって検出された情報は、物品Wの寸法や形状といったサイズなどを算出ないしは計測したり、搬送面上における物品Wの位置を特定したりするための物品情報となる。
【0013】
一方、物品検出センサ22は、ベルトコンベア13の搬送方向下流側の端部近傍に設けられている。この物品検出センサ22もまた、ベルトコンベア13の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成され、発光部と受光部の間に形成される光路の遮断を検出することにより、所定の位置における物品Wの移動を検出する。
この物品検出センサ22による物品Wの検出時点に係る情報は、ベルトコンベア13の下流側に隣接するベルトコンベア14上において、物品Wにラベル5を貼付するタイミングを測るための情報となる。
【0014】
ゲートセンサ23は、
図3にも示されるように、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wについて、その寸法や端部を検出するためのセンサであり、ベルトコンベア11とベルトコンベア12の間に設けられている。このゲートセンサ23は、ベルトコンベア11、12の搬送面を跨ぐゲート型のフレーム231と、該フレーム231に備えられ、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置された複数の発光部23aと受光部23bからなるフォトセンサ、及び搬送路の幅方向に対向して配置された複数の発光部23cと受光部23dからなるフォトセンサとによって構成される。フォトセンサは、発光部23a(23c)からの光を受光部23b(23d)が受けて信号としており、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wが、発光部23a(23c)と受光部23b(23d)の間に形成される光路を遮ることで発生する信号の変化を読み取り、物品Wを検出することができる。さらには、信号をサンプリングし、順次のサンプル値が大きく変化するのを検知することにより、物品Wの端部(搬送方向に沿った先端あるいは後端)を判定することができる。また、発光部23cと受光部23dは、最も低い位置では搬送面上に配置されると共に、鉛直方向に順次配置されていることから、物品Wの高さ方向の端部が検出され、物品Wの高さを計測することができる。
【0015】
上述の通り、ゲートセンサ23を構成する発光部23aと受光部23bは、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置されているため、物品Wの厚さによらず、どのような形状からなる場合でもその移動を検出することができる。
【0016】
なお、図示省略しているが、ベルトコンベア11、12には物品情報取得手段として他に、搬送される物品Wの重量を計量する計量手段や、物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等の情報を読み取るカメラなどが適宜に備え付けられる。
【0017】
●ラベル発行機30
図4に示されるラベル発行機30は、所定の印刷情報をラベル5に印刷することにより、物品Wに貼付するラベル5を発行するラベル発行手段である。
このラベル発行機30は例えば、ラベルロール、印刷機構、フィード機構等を備えている。
【0018】
ラベルロールは、長尺の帯状の台紙上にラベル5を一定間隔で仮着させたラベル用紙をロール状に巻回させたものである。ラベル5は、一面側が粘着材の付着した接着面、他面側が印刷される印刷面を構成しており、接着面を剥離紙からなる台紙に剥離可能に接着させている。
【0019】
印刷機構は、サーマルヘッドや、サーマルヘッドと対向した位置に配置された押えローラ等で構成されている。サーマルヘッドは、フィード機構によって送り出されたラベル用紙上のラベル5に1ドットラインずつ印刷する。印刷内容は、ラベル貼付システム1が備える情報生成部によって生成された印刷情報に応じたものであり、物品Wの外形寸法や重量、これらの情報をコード化した情報などが含まれる。
【0020】
フィード機構は、モータによって駆動回転するローラ等を備え、ラベルロールからラベル用紙を引き出して印刷機構へ送り出したり、印刷機構によって印刷されたラベル5を保持部31上に送り出したりする。
【0021】
このような構成を備えたラベル発行機30は、ベルトコンベア14の脇において、ラベル貼付装置40が支持部43周りにアーム42を回転させるのを妨げないように配置されている。
また、ラベル発行機30は、ベルトコンベア14に向けて保持部31を備えている。保持部31は薄板状の部材であって、本例ではその上面は網目状に構成され、フィード機構によって送り出されたラベル5をその上面に保持する。ラベル5は、印刷面を上面側、接着面を下面側として保持部31上に保持されるところ、保持部31が網目状であることから、ラベル貼付装置40がラベル5を上面側から吸着すると、ラベル5は保持部31上から容易に離れてラベル貼付装置40のラベル貼付ヘッド41に吸着保持される。
【0022】
●ラベル貼付装置40
図4及び
図5に示されるラベル貼付装置40は、所定の印刷情報が印刷されたラベル5を物品Wに貼付するラベル貼付手段である。このラベル貼付装置40は、ラベル貼付システム1が備える情報生成部によって生成された制御情報に従い、ラベル発行機30で発行されたラベル5を保持すると共に、当該保持したラベル5を接着面から物品Wに押し付けることにより、物品Wにラベル5を貼付する。
【0023】
ラベル貼付装置40は、ラベル5を吸着保持すると共に、当該ラベル5を物品Wに貼付するラベル貼付ヘッド41、先端に取り付けられたラベル貼付ヘッド41を所定の位置へ伸長させる略棒状のアーム42、ラベル貼付ヘッド41とアーム42の間に設けられた弾性部材414と抑制部材415、アーム42を支持すると共に当該アーム42を任意の方向へ向ける支持部43から構成される。
【0024】
アーム42は、支持部43によって回転し、これにより搬送面上に伸長させられるが、アーム42自体が長さ方向に伸縮する機構を備え、当該機構によって伸長するようになっていてもよい。このようなアーム42の動作により、ラベル貼付ヘッド41は水平方向に移動させられる。
支持部43は、アーム42を上下にスライド可能に支持している。このような支持部43の動作により、ラベル貼付ヘッド41は鉛直方向に移動させられる。
ラベル貼付システム1は、アーム42と支持部43を適宜に制御することにより、ラベル貼付ヘッド41を水平方向及び鉛直方向に移動又は上下動させることができる。
【0025】
ラベル貼付ヘッド41は、ラベル発行機30で発行され、所定の印刷情報が印刷されたラベル5を吸着保持すると共に、当該吸着保持したラベル5を接着面から物品Wに押し付けることにより、物品Wにラベル5を貼付する。
【0026】
このラベル貼付ヘッド41は、
図5及び
図6に示されるように、一定の厚みを有する略円盤状の本体411、及び本体411に設けられたラベル5を吸着保持するための機構によって構成され、本体411の底面側は、
図7に示されるようにしてラベル5を印刷面側から吸着保持する吸着面4111を構成している。
【0027】
●本体411
本体411は、ラベル5を吸着保持すると共に、ラベル5を物品Wに押し当てて貼付させる部分であって、略円盤形状をしている。この略円盤形状は、円盤形状の円弧の一部を切り欠いた形状であり、切欠部分は
図5に示されるように、ラベル貼付ヘッド41をラベル発行機30の保持部31上に伸長させた際、ラベル発行機30側に向くようになっている。これにより、ラベル貼付ヘッド41をラベル発行機30側に伸長させた際、ラベル貼付ヘッド41に設けられている吸着部412をラベル発行機30により近い位置に伸長させ、ラベル発行機30から保持部31上に送り出されたラベル5を確実に吸着できる。
【0028】
また、本体411が略円盤状からなることから、本体411が誤って物品Wにぶつかった場合でも、本体411の角によって物品Wを傷めにくい。さらに、本体411の略円盤形状に合わせて吸着面4111も略円形に構成されることから、ラベル5を力学的にバランスよく吸着することができるし、物品Wに吸着面4111を押し当てた際も、ラベル5を物品Wに押し当てる力に偏りがでにくく、物品Wにラベル5をきれいに貼付できる。
【0029】
なお、ラベル貼付ヘッド41の本体411は、略円盤状の形状を有しているが、これに限らず、吸着部412でラベル5を保持できれば、平面視で正円に近い円盤状や矩形状等の他の形状とすることもできるし、吸着面4111の形状は本体411の形状に合わせて他の形状とすることができる。
【0030】
●センサS
本体411の中心には、吸着面4111と直交する向きに軸方向を有する貫通孔411cが形成されている。そして、貫通孔411cの軸方向であって、アーム42の先端には、検出物体としてのラベル5からの反射光を受光してラベル5を検出する検出部としてセンサSが設けられている。このように、吸着面4111に貫通孔411cが形成されていることによって、センサSは吸着面4111に吸着保持されたラベル5を検出することができるようになっている。
【0031】
ここで、センサSから吸着面4111に至るまでには、保持部材4161、弾性部材414、抑制部材415、取付部材4162、及び本体411が設けられているが、保持部材4161、取付部材4162、及び本体411には夫々、同一直線上に孔軸を形成する貫通孔4161a、貫通孔4162a、及び貫通孔411cが設けられている。また、保持部材4161と取付部材4162の間に設けられる弾性部材414と抑制部材415も、当該孔軸上にはみ出したりすることがないよう、弾性部材414は螺旋状に設けられ、抑制部材415は弾性部材414の外側に設けられている。また、通常、アーム42の先端部はカバーによって覆われているが、そのように構成されている場合においても、センサSを覆うカバーには開口部が設けられ、センサSから照射等される検出媒体を遮らないようになっている。
【0032】
このように各部材が構成されている結果、アーム42の先端に設けられているセンサSから孔軸に沿って照射等される光や超音波等の検出媒体は、ラベル貼付装置40を構成する各部材によって遮られることなく、本体411の貫通孔411cを介して、吸着面4111に吸着保持されているラベル5の有無を検出することができる。より具体的には、ラベル貼付ヘッド41がラベル5を吸着面4111に吸着させていない状態においては、センサSから照射等された検出媒体はラベル貼付ヘッド41によって遮られることがない一方、ラベル5を吸着面4111に吸着させた状態においては、センサSから照射等された検出媒体はラベル5によって遮られ、吸着面4111にラベル5が吸着されているか否かを判別することができる。
【0033】
なお、このようにセンサSを設けることにより、吸着面4111にラベル5を吸着保持しているか否かを検出し、これによりラベル5を吸着保持できていないことを検知した場合には、これをトリガーとしてラベル貼付装置40の停止や報知を行うとよい。
また、センサSによってラベル5が検出できなかったときは、これを、吸着部412の吸着動作を停止させるトリガーとしても利用できる。即ち、本実施形態に係るラベル貼付システム1は、緊急停止の場合であっても、ラベル5の落下によってベルトコンベア10の搬送不良等が起こらないようラベル5の吸引を止めない制御がされている。
しかし、緊急停止後に作業再開するため人為的にラベル5を取り外すことがある。ラベル5がラベル貼付ヘッド41に保持されていなければ吸引を続ける必要がないので、緊急停止が起きた後にセンサSによってラベル5が検出されず、ラベル5が無いと判断した場合には、吸引を止める指示をシステムに送信するトリガーとしても使用できる。
【0034】
また、センサSは、吸着面4111に吸着保持されるラベル5を検出することができる限り、アーム42やラベル貼付ヘッド41の他の部分に設けることができる。例えば、本実施形態では、センサSはアーム42の先端に設けられているが、これに限らず、ラベル貼付ヘッド41以外の部分に設けることで、ラベル貼付時の衝撃がセンサSに伝わるのを防ぐことができる。本実施形態であれば、センサSは、ラベル貼付時に衝撃が伝わりにくいアーム42や抑制部材415など、本体411を保持する保持機構、あるいは弾性部材414に設けられるのがよく、特にアーム42の先端であれば真上からラベル5の吸着面4111への吸着の有無を検出できるので効果的である。
【0035】
また、センサSから照射等される光や超音波といった検出媒体を吸着面4111側へ通す透過部たる貫通孔411cは、他の形状等で構成することができる。例えば、貫通孔411cとして構成した透過部は、ラベル貼付ヘッド41の一部を切り欠き加工して設けた切欠部によって構成することもできる。即ち、内周面が閉じた貫通孔411cとは異なり、内周面の一部が開放されていてもよい。
また、センサSの検出媒体として光を用いるのであれば、貫通孔411cや切欠部は透明なガラス等の部材で塞いでもラベル5を検出できるし、ラベル貼付ヘッド41自体を透明な部材で構成すれば、貫通孔411cや切欠部を設けなくてもラベル5を検出することができる。また、貫通孔411cや切欠部の形状も特に限定されることはない。
【0036】
さらに、ラベル5が吸着面4111に吸着されているか否かは、吸着面4111にセンサSを設けることによっても検出できるが、吸着面4111は汚れやすく、柔軟性が必要な上、物品Wに押し当てられる。そのため、このような例では、センサSからの光が減衰したり、電気配線のワイヤーが切れたり、高い耐久性が求められる。
よって、吸着面4111にセンサSを設けるよりも、ラベル貼付ヘッド41の上方にセンサSを設け、光の反射等によってラベル5の吸着有無を判別するほうが好ましい。また、アーム42にセンサSを設ければ、ラベル貼付ヘッド41にセンサSを設ける場合に比して、ラベル貼付ヘッド41自体の重量を抑えることができる。その結果、広範囲に動かされたり、物品Wに押し当てられたりして、動作負担の大きいラベル貼付ヘッド41の破損を防ぐことができる。
【0037】
●吸着面4111
吸着面4111には、
図6及び
図7に示されるように、ラベル貼付ヘッド41がラベル5を吸着保持するための機構として、吸付口412aから吸気することによってラベル5を吸着面4111に吸着させる吸着部412と、吸着面4111に吸着されたラベル5を、吸着方向とは逆向きに押し返す押返機構としての突起部413とが設けられている。
【0038】
吸着部412は、一端側に吸付口412aを備えると共に、他端側にエアチューブが接続される接続口412bを備えており、接続口412bに接続されるエアチューブには、吸付口412aから吸気するための真空ポンプが接続されている。
【0039】
この吸着部412は本例では四つ設けられており、それぞれ、吸着面4111の中心周りに点対称な位置に設けられた四つの貫通孔411aに収められている。この貫通孔411aからは、吸着面4111側において吸付口412aが露出し、吸着面4111とは反対の取付面4112側において接続口412bが露出している。吸付口412aはラベル5の一部を吸引することで、吸付口412aとラベル5の接着面を真空の状態とし、ラベル5を確実に保持することができる。
吸着部412aが吸着面4111の中心周りに点対称な位置に設けられる結果、ラベル貼付ヘッド41は、ラベル5を吸着面4111全体で吸着保持することができる。
【0040】
なお、吸着部412は、吸着面4111全体に複数設けられてもよく、その個数や位置はラベル5の大きさ、長さ、厚さに応じて適宜のものとすることができる。また、ラベル発行機30のラベル発行口の位置や形状、又はラベル発行機30から発行されたラベル5を貼付位置まで保持しておく時間やアーム42の回動によって受ける力に関わらず保持するのに必要な吸着力などによっても適宜に変えるとよい。さらに吸着部412の大きさ自体も変更できる。
【0041】
突起部413は、略棒状の部材であって、吸着面4111に設けられた貫通孔411b内に収められ、当該貫通孔411bから吸着面4111側へ突出している。この突起部413の基部には、
図7に示されるように、突起部413を吸着面4111側へ付勢する付勢手段としてのバネ4131が設けられている。これにより突起部413は、外力を受けていない状態においては、吸着面4111から突出した状態に保持される一方、物品Wにラベル5を貼付すべくラベル貼付ヘッド41が物品Wに押し付けられた際には、バネ4131による付勢方向とは逆向きの外力(抗力)を物品Wから受け、バネ4131の付勢力に抗して貫通孔411b内に没入する。
このような突起部413が設けられていることにより、ラベル5を物品Wに貼付する際には、ラベル5を突起部413に接する部分から物品Wに貼付できるので、貼付後にラベル5と物品Wの間に気泡がたまりにくく、皺のない貼付が可能となる。
【0042】
なお、突起部413は、ラベル5を吸着方向と反対の向きに押し返す押返機構を構成するものの一例であり、ラベル5を吸着方向と反対の向きに圧力を加えて押し返すものである限り、押返機構には、突起部413とは異なる形状あるいは部材によって構成されたものを用いることができる。即ち、吸着面4111から突出してラベル5に当接する部材のほか、ラベル5を空気圧で押し返すもの、ラベル5が帯びる電荷とは反対の電荷で押し返すものなど、ラベル5を反り返らせるための圧力を加えられるものであればよい。
【0043】
また、本例において、突起部413は、一対の吸着部412の間に設けられており、これにより、吸着面4111に吸着されたラベル5を反り返らせているが、吸着部412と突起部413の位置関係は、ラベル5を吸着面4111とは反対の向きに部分的に押し返す、ないしは反り返らせる効果を奏する限り、他の位置をとることができる。
【0044】
●保持部材4161、取付部材4162
ラベル貼付ヘッド41の本体411の上面側には、抑制部材415が緊結される取付部材4162が設けられており、アーム42の先端の下面側には、抑制部材415が緊結される保持部材4161が設けられている。
取付部材4162は、貫通孔4162aを中心に備えた略円形からなる平板状の部材であって、本体411に抑制部材415を取り付けるための部材である。この取付部材4162の外周縁からは、細長い平板状の延出部が四方に延び出しており、延出部の先端は、抑制部材415の一端が緊結させられる緊結部4162bを構成している。この緊結部4162bは、弾性部材414と抑制部材415とを側面から見た場合、四方の側面ごとに、水平方向に離間して一対ずつ設けられることになる。
【0045】
保持部材4161は取付部材4162と同様、貫通孔4161aを中心に備えた略円形からなる平板状の部材であって、アーム42の先端の下方に、抑制部材415を介してラベル貼付ヘッド41を保持するための部材である。この保持部材4161の外周縁からは、細長い平板状の延出部が四方に延び出しており、延出部の先端は、抑制部材415の他端が緊結させられる緊結部4161bを構成している。この緊結部4161bは、弾性部材414と抑制部材415とを側面から見た場合、四方の側面ごとに、水平方向に離間して一対ずつ設けられることになる。
取付部材4162の緊結部4162bと保持部材4161の緊結部4161bとは、互いに対応した位置に設けられており、後述のとおり、一対の緊結部4162bとこれに対応する一対の緊結部4161bに抑制部材415がX字状に緊結され、これにより取付部材4162と保持部材4161を介して、ラベル貼付ヘッド41がアーム42に連結される。
【0046】
なお、
図6において、アーム42の先端に設けられた保持部材4161は、歯車状の中間部材418を介して取り付けられている。中間部材418は、噛み合っている駆動歯車からの駆動を受けて回転するようになっている。もっとも、本実施形態のこのような構造は一例にすぎず、保持部材4161が中間部材418を介することなく、アーム42の先端に取り付けられていてもよい。
また、後述のとおり、抑制部材415は、保持部材4161、取付部材4162を介することなく、本体411の上面側及びアーム42の先端の下面側に直に取り付けられてもよい。
また、本実施形態において、抑制部材415は、保持部材4161と取付部材4162それぞれの緊結部4161b、4162bにおいて、当該保持部材4161と取付部材4162に緊結されるものとしているが、「緊結」の語の意味するところにかかわらず、抑制部材415は、保持部材4161の緊結部4161bと取付部材4162の緊結部4162bの位置に取り付けられればよく、接着や係止といった各種の方法であってもよい。
【0047】
このような本体411とアーム42の間には、
図6に示されるように、抑制部材415と弾性部材414が設けられている。
【0048】
●抑制部材415
抑制部材415は、主に物品Wにラベル5を貼付する方向と直交する方向にラベル貼付ヘッド41が揺動したり、捩じれたりするのを抑制すると共に、本体411をアーム42の先端に連結する連結部材としての役割も果たしている。また、これにより、本体411の重さによって弾性部材414が伸び切るのを防いでいる。
【0049】
本例において、この抑制部材415は、複数対(本例では4対)の金属製や樹脂製のワイヤー等からなる紐状の部材によって構成されている。即ち、抑制部材415は、ラベル5を物品Wに貼付する方向及び弾性部材414の変位方向と直交する向きの四方に一対ずつ設けられている。
【0050】
各抑制部材415は、アーム42側の一端が、保持部材4161の緊結部4161bに緊結されており、本体411側の他端が取付部材4162の緊結部4162bに緊結されている。抑制部材415と保持部材4161、取付部材4162とを緊結させる構造は、各種の例によることができ、ネジ止めや接着、係止など、特に限定されるものではない。
これにより、抑制部材415が保持部材4161、取付部材4162を介してアーム42と本体411に取り付けられると共に、アーム42と本体411が連結されている。
【0051】
ここで、抑制部材415及びアーム42と本体411の緊結構造の詳細について、ラベル5の貼付方向及び弾性部材414の変位方向と直交する向きの四方の面ごとにみると、当該四方の面ごとに対を構成する抑制部材415は、一の抑制部材415と他の抑制部材415とが、水平方向において互いと逆向きに本体411を引張するよう設けられている。
即ち、
図8(a)に示されるように、抑制部材415aは、図示左側上方における保持部材4161の緊結部4161bから図示右側下方における取付部材4162の緊結部4162bへ斜めに架け渡されている。一方、抑制部材415bは、図示右側上方における保持部材4161の緊結部4161bから図示左側下方における取付部材4162の緊結部4162bへ斜めに架け渡されている。これにより、抑制部材415a、415bは、その長さの中間位置において互いとX字をなすように交差し、交差部分では、向かい合うなす角が略等しくなっている。
【0052】
抑制部材415aと抑制部材415bは、結着部材417により、互いに交差する交差位置において結着させられている。結着部材417は、抑制部材415aと抑制部材415bを交差位置において結着させられるものであれば、特に限定はされない。例えば、結着部材417を紐状の部材によって構成し、抑制部材415aと抑制部材415bとを縛るように結着させることもできるし、接着剤で接着させることもできる。また、フック状のもので構成し、抑制部材415aと抑制部材415bを交差位置で係止させるようにして結着させることもできる。
【0053】
このような構造において、複数の抑制部材415は、いずれも弛むことなく張った状態にありながら、外力を受けていない状態においては、いずれの抑制部材415にも等しい張力がかかり、アーム42の下面と本体411の上面が平行な状態にある。
【0054】
このような抑制部材415により、物品Wにラベル5を貼付する際、アーム42を支持部43周りに回転させたり、ラベル5を貼付したりする際にラベル貼付ヘッド41が振られることになっても、いずれかの抑制部材415の張力が作用して、ラベル貼付ヘッド41を揺動する向きとは反対方向に戻す力が働く。その結果、ラベル貼付ヘッド41の揺動や捩じれが抑えられ、ラベル貼付装置40の故障や、不正確なラベル5の貼付を防ぐことができる。特に、水平方向の四方ごとに、一対の抑制部材415が交差するようにアーム42の先端と本体411の間に架け渡されていることにより、水平方向のいかなる向きへの揺動についても、その衝撃を吸収することができるし、揺動や捩じれあるいは振動を素早く収束させることができる。
【0055】
また、抑制部材415は結着部材417により、対ごとに交差位置で結着させられているため、揺動による応力が分散しやすくなり、ラベル貼付装置40にかかる負担をより効果的に軽減することができる。
さらに、抑制部材415により、鉛直方向に本体411を支持することにもなるため、ラベル貼付ヘッド41の自重に引きずられて、弾性部材414が伸び切った状態にならないようになっている。
【0056】
なお、抑制部材415は、中間部材418や保持部材4161、取付部材4162を介することなく、直接、本体411とアーム42とを連結していてもよい。
また、抑制部材415は、水平方向の四方ごとに一対ずつ設けられているものとしたが、四方の面のうちの一の面において対を構成する抑制部材415は、他の面において対を構成する抑制部材415とは物理的に分離しているものであってもよいし、二本の長尺の抑制部材415を、緊結部4161b又は緊結部4162bを介して周囲に張り巡らすように設けたものであってもよい。
【0057】
●弾性部材414
弾性部材414は、アーム42の先端から下方に垂下したバネであり、本体411とアーム42の先端の間に設けられている。本例においては、その一端が、アーム42の先端に設けられた保持部材4161を介してアーム42に取り付けられ、他端が、取付部材4162を介して本体411に取り付けられている。この例では、抑制部材415と同様、弾性部材414も、本体411をアーム42の先端に連結する連結部材としての役割を果たしている。
【0058】
なお、他の例では、弾性部材414は直接、その一端がアーム42に取り付けられ、他端がラベル貼付ヘッド41の本体411に取り付けられていてもよい。
また、弾性部材414が本体411とアーム42の先端の間から外れることなく、ラベル5の貼付方向に変位してラベル貼付動作による衝撃を吸収することができれば、必ずしもその端部は本体411又はアーム42の先端に固定されていなくてもよい。
さらに、本実施例では弾性部材414としてバネを例示しているが、これに限らず、外力が作用するのに応じて変形すると共に、当該外力の消失に応じて元の形状に戻る性質をもつ材質ないしは部材を用いることができる。
【0059】
この弾性部材414により、ラベル貼付ヘッド41に吸着保持されたラベル5が物品Wに押し付けられる際、反作用的に物品Wから受ける抗力等、応力を吸収することができる。
また、
図1に示すベルトコンベア10によって搬送路上を流れてくる物品Wに対してラベル5を貼付する場合には、弾性部材414は、上流から下流に流れるために物品Wにかかる慣性の力をその力の方向に逃がす効果も備えている。その結果、ラベル5の貼付に伴う物理的な負荷にかかわらず、ラベル貼付装置40の故障を防ぐことができる。
【0060】
●各機構の動作
ここで、上述したラベル貼付装置40が備える機構について、物品Wにラベル5を貼付する際の動作に言及する。
図4に示されるように、ラベル発行機30において、所定の印刷情報がラベル5に印刷されると、印刷されたラベル5が保持部31上に送り出される。このとき、ラベル5は印刷面を上面、即ちラベル貼付ヘッド41がかざされる側に向けて保持部31上に送り出される。これに対してラベル貼付装置40は、アーム42をラベル発行機30のほうに伸長させてラベル貼付ヘッド41を保持部31上のラベル5にかざすと、
図8に示されるように、吸付口412aから吸気して、ラベル5を印刷面側から吸着面4111に吸着させることにより、ラベル5を保持する。
【0061】
なお、アーム42は、支持部43を軸に自由自在に動き、どの位置でもラベル5を吸着することができる。また、ラベル貼付ヘッド41自体も回転可能であるので、保持部31がどのような向きで配置されていても貼付可能である。
さらに、ラベル5全体をラベル貼付ヘッド41で保持できるよう、保持部31をラベル貼付装置40の近傍に設けると共に、ラベル発行機30から発行されたラベル5を保持部31まで搬送させるようにした場合でも、保持部31の位置に合わせてアーム42を調整できる。
【0062】
このとき、
図8に示されるように、吸着面4111に吸着させたラベル5は、吸付口412aによって吸い付けられる共に、突起部413によって吸着方向とは逆向きにその中央部が押し返され、突起部413を支点として、両端が吸着面4111側へ反り返った状態に保持される。このようにラベル5が反り返る結果、ラベル5は端部が垂れることなく、吸着面4111に吸着保持される。
ラベル5は吸付口412aとの接着面で真空の状態を保って保持されており、その状態で突起部413は本体411の内部に埋没しない付勢力をバネ4131から受けながらラベル5を変形させ、ラベル5のはみ出した端部も垂れ下がらないように反り返らせている。
【0063】
なお、
図8(a)は、ラベル5の一端を吸着面4111からはみ出した形で吸着した状態を示している。ラベル5の長さ、保持部31の位置や形状によりこのような状況になることがあるが、この状態でも、はみだした部分は反り返り、ラベル5は全体として垂れ下がらないように保持される。
また、ラベル5が短い場合であっても吸着部412でラベル5を保持できるよう、吸着面4111の長手方向の一端側の偏った位置に吸着部412と突起部413が設けられ、本体411は吸着部412と突起部413が設けられている側をラベル発行機30に向けるようになっている。もっとも、本発明の実施上、上述したようにラベル5を反り返らせ、垂れ下がらないように保持することができれば、吸着部412と突起部413は他のいずれの位置に設けられてもよい。
【0064】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41にラベル5を吸着保持したまま、ベルトコンベア14の搬送面上にアーム42を伸長させ、物品Wが搬送されてくるのを待機する。
所定の位置に物品Wが到達すると、ラベル貼付装置40は、ラベル5をラベル貼付ヘッド41ごと物品Wに押し当て、ラベル5を物品Wに貼付する。
【0065】
このとき、吸着面4111から突出していた突起部413は、物品Wから抗力を受ける結果、バネ4131による付勢力に抗して貫通孔411b内に没入する(
図7参照)。また、吸着面4111から僅かに露出していた吸付口412aも貫通孔411a内に没入して吸着面4111は面一な状態となり、ラベル5は吸着面4111全体で物品Wに押し付けられる。
なお、ラベル5が物品Wに押し付けられる際には、ラベル5は突起部413によって最も下方、即ち物品W側に張り出していた中央部分から物品Wに貼りつき、当該中央部分から徐々にその周りが物品Wに貼りついて、最後に端部が貼り付く。そのため、ラベル5は捩れたり、皺になったりすることなく、きれいに物品Wに貼付される。
【0066】
このようなラベル貼付装置40及びラベル貼付ヘッド41によれば、抑制部材415と弾性部材414とにより、物品Wにラベル5を貼付する際にラベル貼付ヘッド41やアーム42にかかる負担を軽減し、配線等の断線や部材の破損等を防ぐことができる。特に、ラベル貼付時の衝撃や振動を効果的に吸収したり、逃がしたりすることができる。
また、搬送面上を流れる物品Wにラベル5を貼付するなど、ラベル貼付ヘッド41やアーム42を広範囲に動かす環境での使用においては特に好適であり、搬送による物品Wの動きにかかわらず、貼付時の衝撃を軽減することができる。
【0067】
●ラベル貼付装置40の変形例
ここで、上述したラベル貼付装置40の変形例を
図9乃至
図11に示す。なお、以下では説明の便宜のため、この変形例に係るラベル貼付装置を「ラベル貼付装置60」と称することとする。また、ラベル貼付装置40が備えたのと同様の構成部分についてはラベル貼付装置40と同様の符号を付して、適宜に説明を省略する。
【0068】
ラベル貼付装置60はラベル貼付装置40同様、ラベル5を吸着保持すると共に、当該ラベル5を物品Wに貼付するラベル貼付ヘッド61、先端に取り付けられたラベル貼付ヘッド61を所定の位置へ伸長させる略棒状のアーム42、ラベル貼付ヘッド61とアーム42の間に設けられた弾性部材414と抑制部材415、アーム42を支持すると共に当該アーム42を任意の方向へ向ける支持部43から構成される。
【0069】
図9及び
図10に示されるように、ラベル貼付装置60の吸着面4111にはラベル貼付装置40と同様、ラベル貼付ヘッド61がラベル5を吸着保持するための機構として、吸付口412aから吸気することによってラベル5を吸着面4111に吸着させる吸着部412が設けられている。
【0070】
吸着部412は、一端側に吸付口412aを備えると共に、他端側にエアチューブ71、72が接続される接続口を備えている。この吸着部412は本例において四つ、即ち、アーム42内の長さ方向に沿って並ぶ二つの吸着部412を一組として計二組、設けられており、一方の組を構成する2つの吸着部412にエアチューブ71が接続され、他方の組を構成する2つの吸着部412にエアチューブ72が接続されている。
【0071】
エアチューブ71、72はそれぞれ、吸付口412aから吸気するための真空ポンプに接続するエアチューブ7から分岐部7aで分岐し、吸着部412に接続している。
【0072】
分岐部7aは吸着部412から離れた位置、即ち、より真空ポンプに近い位置に設けられている。本例では少なくとも、真空ポンプはアーム42の基端側、あるいはアーム42を挟んでラベル貼付ヘッド61と反対側に設けられており、分岐部71aで分岐させられたエアチューブ71、72はアーム42の筐体内を介してラベル貼付ヘッド61側へ案内され、吸着部412に接続している。
【0073】
このように、本例では、真空ポンプに接続するエアチューブ7をエアチューブ71、72に分岐させる分岐部7aが、相対的に真空ポンプに近い位置に設けられている。その結果、吸着部412によってラベル5を吸着する際、ラベル5の形状や大きさ、あるいはラベル5を吸着する位置により、複数ある吸着部412のうちの一部の吸着部412がラベル5を吸着させていない場合であっても、吸着部412に近い位置に設けられる場合に比して、当該ラベル5を吸着させていない吸着部412における空気漏れの影響を抑え、ラベル5を吸引保持するのに十分な吸引力を発揮させることができる。特に、このような空気漏れの影響をソフトウェア的な制御によらずに実現しているため、不具合が起きにくく、装置としても大掛かりなものにならず安価に構成できる。
また、より好適には、エアチューブ71、72の径(断面積)を相対的に細くすることで、ラベル5を吸着させていない吸着部412における空気漏れの影響をさらに抑えることができる。
【0074】
なお、本例にかかわらず、エアチューブ7は吸着部412の数に応じた数に分岐させることもできる。
【0075】
また、
図10及び
図11に示されるように、ラベル貼付装置60には、ラベル貼付装置40が備えた突起部413に代えて突起面613が設けられている。
突起面613は、吸着面4111から突出した、一定の厚みと面積を有する略平板状の部材である。本例において、突起面613の面の形状は矩形をなしているが、これに限らず、一定の面積を有していれば、円形等の他の形状とすることもできる。
【0076】
この突起面613は、吸着面4111において、アーム42の長さ方向に並ぶ一対の吸着部412の間に設けられている。本例においては、吸着部412は四つ設けられており、アーム42の長さ方向に並ぶ一対の吸着部412ごとに突起面613が一つ設けられる。また、吸着面4111において、吸着部412が点対称に設けられているため、一対の吸着部412の間に設けられる突起面613も、点対称に設けられている。
【0077】
また、
図11に示されるように、吸着面4111、突起面613、及び吸着部412の吸着口412aの突出具合について、吸着部412の吸着口412aは吸着面4111よりもx
1だけ外側に突出し、突起面613は吸着口412aよりもさらにx
2だけ外側に突出している。
【0078】
このような突起面613が吸着面4111に設けられている結果、物品Wにラベル5を貼付すべく、吸着口412aに吸着させたラベル5を物品Wに押し当てた場合でも、ラベル5が介在するか否かにかかわらず、突起面613が物品Wに押し当てられるのに対し、吸着口412aは物品Wに当接したり、擦れたりすることがない。その結果、ラベル5を物品Wに貼付する際、吸着口412aには、物品Wにラベル5を押し付ける力に応じた抗力が作用せず、吸着口412aの破損や劣化を防ぎ、耐久性を向上させることができる。また、ラベル5を物品Wに貼付する際には、吸着口412aが吸着面4111より突出しているのでラベル5に皺が発生しにくい。さらに、突起面613が、吸着面4111よりも突出しているために、上述した突起部413による例と同様、吸着保持したラベル5を反り返らせ、吸着保持したラベル5が垂れるのを防ぐこともできる。
【0079】
●機能部
ラベル貼付システム1は、
図12に示されるように、ベルトコンベア10、センサ群20、ラベル発行機30、ラベル貼付装置40が協働するシステムであって、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)101などの演算装置、RAM(Random Access Memory)102やROM(Read Only Memory)103などの記憶装置により、ソフトウェア資源として少なくとも情報生成部と制御部を備える。
【0080】
なお、情報生成部や制御部は、ラベル貼付システム1が備えている限り、いずれの物理的資源が備えていてもよく、ラベル発行機30やラベル貼付装置40が備えてもよいし、これらのラベル発行機30やラベル貼付装置40を管理する上位のコントローラが備えてもよい。
【0081】
情報生成部は、センサ群20による検出情報から構成される物品情報に基づいて、ラベル発行機30がラベル5に印刷する内容に係る印刷情報と、ラベル貼付装置40を制御するための制御情報とを生成する。
印刷情報には例えば、物品Wの外形寸法や重量、あるいは物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等を読み取って得られた情報などが含まれる。なお、物品Wの外形寸法は、センサ群20によって検出された物品Wの端部間の距離などから算出される。
【0082】
制御部は、制御情報に従ってラベル貼付装置40を制御し、ラベル5の貼付を実行する。
この制御情報に従った制御は、ラベル発行機30で発行されたラベル5の保持動作、ラベル5を保持したラベル貼付ヘッド41とラベル5の貼付を完了したラベル貼付ヘッド41の移動動作、ラベル5を物品Wに貼付させる貼付動作の3つの動作に関わる。即ち、ラベル貼付装置40は
図13に示されるように、ラベル貼付装置40は、ラベル発行機30から発行されると、保持部31上に排出されたラベル5をラベル貼付ヘッド41により保持した後、当該ラベル貼付ヘッド41を搬送面上へ移動させて物品Wにラベル5を貼付する。そして、再びラベル発行機30側へラベル貼付ヘッド41を戻す。
【0083】
制御情報は、ラベル貼付装置40がラベル5を物品Wに貼付すべく従う情報であって、センサ群20による検出によって得られた物品Wのサイズや、物品Wが搬送面上において載置されている位置といった情報に基づいて生成され、ラベル貼付ヘッド41の移動速度や、物品Wにラベル5を貼付する際の貼付動作開始位置などの情報が含まれる。ラベル貼付装置40はこの制御情報に従って動作し、これにより搬送途中の物品Wに対し、適切なタイミングで、且つ適切な位置にラベル5を貼付する。より具体的には、ラベル貼付ヘッド41の水平方向の動作と鉛直方向の動作を個別に制御し、その制御態様によって、ラベル貼付ヘッド41が物品Wやラベル発行機30に接触するのを回避しつつ、処理速度を上げることで処理効率を向上させる。
【0084】
●処理の流れ
続いて、本実施形態に係るラベル貼付システム1によって実行される処理の流れについて説明する。まず、
図14を参照して、全体の流れを説明する。
ラベル貼付システム1は、センサ群20から物品Wの物品情報を取得すると(S101)、情報生成部により印刷情報を生成し(S102)、当該印刷情報をラベル発行機30に供給する(S103)。
これに応じてラベル発行機30は、ラベル5に印刷情報を印刷し(S104)、ラベル5を保持部31上に排出する(S105)。
【0085】
ラベル貼付システム1は、印刷情報の生成と供給と共に、制御情報を生成する。
ここで、制御情報の生成においては、物品Wのサイズと搬送面上の位置に応じて、第一乃至第三のいずれかの制御情報が生成される。いずれの種類の制御情報が生成されるかは、物品Wのサイズと搬送面上の位置によって決定されるが、ここでは物品Wのサイズと搬送面上の位置に応じて、規定の条件が満たされる場合には第一の制御情報が生成され(S106、S107)、当該規定の条件が満たされない場合には、物品Wの上面の高さに応じて、第二の制御情報(S110、S111)、又は第三の制御情報(S110、S114)が生成されるものとする。
【0086】
第一乃至第三の制御情報とこれらに基づく第一乃至第三の制御の詳細については後述するが、第一の制御は、ラベル貼付ヘッド41が通常動作で移動しても、物品Wや保持部31に接触しない場合の制御であり、そのようなラベル貼付ヘッド41の移動が可能となる物品Wのサイズと搬送面上の位置の範囲が「規定の条件」となる。
なお、規定の条件は、ベルトコンベア10の搬送速度やラベル貼付ヘッド41の移動速度等を因子とした所定の計算式から導かれる。
また、「通常動作」とは、ラベル貼付ヘッド41の移動について、水平方向と鉛直方向の移動を同時に開始させると共に、水平方向と鉛直方向それぞれにおける移動量又は移動時間が最小となる移動経路を経るように移動させる態様の動作を意味する。
【0087】
第二の制御は、物品Wのサイズと搬送面上の位置が規定の条件を満たさず、ラベル貼付ヘッド41を通常動作で移動させると、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触する場合の制御である。この第二の制御では、ラベル貼付ヘッド41の移動について、物品Wとの接触を回避する動作が組み込まれている。この第二の制御は、物品Wのサイズと搬送面上の位置が規定の条件を満たさないと共に、搬送面上における物品Wの上面の高さが、所定の閾値より高い場合、即ち、保持動作開始位置よりも所定の高さだけ高い場合に実行される。
なお、「保持動作開始位置」とは後に詳述するとおり、ラベル貼付ヘッド41がラベル5を吸着保持すべく待機している保持部31上方の位置を意味する。
【0088】
第三の制御は、物品Wのサイズと搬送面上の位置が規定の条件を満たさず、ラベル貼付ヘッド41を通常動作で移動させると、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触する場合の制御である。この第三の制御では、ラベル貼付ヘッド41の移動について、保持部31との接触を回避する動作が組み込まれている。この第三の制御は、物品Wのサイズと搬送面上の位置が規定の条件を満たさないと共に、搬送面上にける物品Wの上面の高さが、所定の閾値より低い場合、即ち保持部31よりも所定の高さだけ低い場合に実行される。
【0089】
第一乃至第三のいずれかの制御情報が生成されると(S107、S111、S114)、生成された第一乃至第三のいずれかの制御情報はラベル貼付装置40に供給される(S108、S112、S115)。これに応じてラベル貼付装置40は、第一乃至第三の制御情報のうち、供給された制御情報に基づいた制御を実行する(S109、S113、S116)。
【0090】
●第一の制御
第一の制御情報に基づいたラベル貼付装置40の制御について、
図15を参照して説明する。
まず、ラベル貼付装置40は、ラベル5をラベル貼付ヘッド41により吸着保持する(S201)。
【0091】
ラベル5をラベル貼付ヘッド41により吸着保持する保持動作ではまず、
図16(a)に示されるように、ラベル貼付ヘッド41が保持部31の上方に待機している。ラベル発行機30でラベル5が発行され、当該ラベル5が保持部31上に排出されると、ラベル貼付装置40は
図16(b)に示されるように、ラベル貼付ヘッド41を下降させ、吸着面4111にラベル5を吸着保持させる。
【0092】
ここで、
図16(a)において、ラベル貼付ヘッド41がラベル5を吸着保持すべく待機している保持部31上方の位置をラベル5の「保持動作開始位置」と称する。この位置は、保持部31の近傍、詳細には保持部31の上面から上方に一定距離、離れた位置であって、少なくとも、ラベル5がラベル発行機30の排出口より排出されるのを妨げたり、意図せずラベル5がラベル貼付ヘッド41に接触したりすることのない位置である。また、これに加えて、ラベル5の吸着保持のためにラベル貼付ヘッド41を下方に降下させる移動量が小さい位置とするのがより好適である。
【0093】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41にラベル5を吸着保持させると、
図17に示されるように、ラベル貼付ヘッド41を保持部31の上方の所定の位置まで上昇させると共に、物品W側への移動動作の制御を実行するまで当該所定の位置に待機させる。これにより、ラベル5の保持動作が完了する。
【0094】
ここで、
図17において、物品W側への移動動作の制御の実行まで、ラベル5を吸着保持した状態でラベル貼付ヘッド41を待機させている位置をラベル5の「保持動作完了位置」と称する。この位置は、保持部31の上面から上方に一定距離、離れた位置であって、吸着面4111に吸着保持させたラベル5の垂れ下がり等にかかわらず、当該ラベル5が保持部31に接触することのない位置とするのが好適である。また、これに加えて、少なくとも搬送面上における物品Wの高さが保持部31の上面よりも低い位置にあり、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41を物品W側に移動させる際、ラベル貼付ヘッド41の水平方向と鉛直方向下方への移動を同時に実行させても、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触することのない位置とするのがより好適であり、本例ではさらに、上述した保持動作開始位置よりも高い位置である。
【0095】
次に、
図17に示されるように、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41を、保持動作完了位置から、ラベル5の貼付対象たる物品Wの上方に相当する位置に移動させ、ラベル5の貼付動作の制御を実行するまで当該位置に待機させる(S202)。
【0096】
ここで、
図17において、ラベル5の貼付実行までラベル貼付ヘッド41を待機させている位置を「貼付動作開始位置」と称する。この位置は、物品Wの上面から上方に一定の距離、離れた位置であって、吸着面4111に吸着保持させたラベル5の垂れ下がり等にかかわらず、当該ラベル5が物品Wに接触することのない位置とするのが好適である。また、この位置は、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41の下方に物品Wが搬送されてきた際、当該ラベル貼付ヘッド41をそのまま降下させると、物品Wの上面の適切な位置にラベル5を貼付できる位置である。
【0097】
ラベル貼付ヘッド41の移動動作においては、少なくともラベル貼付ヘッド41を水平方向に移動させ、搬送面上へラベル貼付ヘッド41を伸長させる。また、貼付動作完了位置の高さに比して、貼付動作開始位置が高いか低い場合には、ラベル貼付ヘッド41を鉛直方向にも移動させる。
図17の例では、保持動作完了位置よりも貼付動作開始位置が高い位置にあるため、ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41を搬送面上へ水平方向に移動させると共に、鉛直方向上方へ移動させている。
【0098】
本実施形態では、ラベル5の貼付対象たる物品Wが到来する前に、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作開始位置に移動させる。そのため、ラベル貼付ヘッド41が移動時に物品Wに接触するおそれがないため、ラベル貼付ヘッド41を保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動させる際、物品Wの高さによらず、水平方向への移動と鉛直方向への移動を同時に実行させる。また、保持動作完了位置から貼付動作開始位置まで移動するラベル貼付ヘッド41は、ラベル貼付装置40の機構が許す限りにおいて、水平方向と鉛直方向それぞれにおける移動量又は移動時間が最小となる移動経路を経る。
【0099】
なお、本実施形態におけるラベル貼付ヘッド41の移動動作について、水平方向と鉛直方向の移動を同時に開始させると共に、水平方向と鉛直方向それぞれにおける移動量又は移動時間が最小となる移動経路を経るように移動させる場合、かかる移動を上述のとおり、「通常動作」による移動と称する。
【0100】
ラベル貼付装置40は、物品Wにラベル5を貼付するタイミングに合わせて(S203)、ラベル5の貼付を実行する(S204)。
【0101】
貼付動作の制御の一例では、
図2に示される物品検出センサ22において物品Wの通過が検出されたのに応じてラベル5の貼付動作を実行する。具体的なラベル5の貼付動作では、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41を物品W側へ降下させ、物品Wの上面にラベル5を接着面側から押し当てる。これにより、ラベル5が物品Wに貼付される。
【0102】
また、他の例では、ゲートセンサ23において物品Wの通過が検出されたのに応じて、物品Wがラベル5の貼付位置に到達する時間を搬送速度や搬送距離から予測し、予測した時間に合わせてラベル5の貼付動作を実行する。具体的なラベル5の貼付動作は、上述した例と同様であり、ラベル貼付ヘッド41によって物品Wの上面にラベル5を押し当て、これにより物品Wにラベル5を貼付する。
【0103】
ラベル貼付ヘッド41は、物品Wにラベル5を貼付し終えると、
図18に示されるように、物品Wの上方の所定の位置まで持ち上げられて、物品Wから離れる。
ここで、
図18において、物品Wにラベル5を貼付し終え、上方へ持ち上げられたラベル貼付ヘッド41の位置をラベル5の「貼付動作完了位置」と称する。この位置は、物品Wの上面から上方に一定の距離、離れた位置であって、次のラベル5の貼付制御を実行すべく、貼付動作完了位置から保持動作開始位置までラベル貼付ヘッド41を戻す際に、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触することのない位置とするのが好適である。
【0104】
ラベル貼付装置40は、ラベル5の貼付動作を完了した後、ラベル貼付ヘッド41を通常動作で貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動させる(S205)。
これにより、第一の制御により一の物品Wにラベル5を貼付する一連の動作が終了する。ラベル貼付装置40は順次、第一の制御が適用される物品Wに対して当該一連の動作を実行する。
【0105】
●第二の制御
次に、第二の制御情報に基づいたラベル貼付装置40の制御について、
図19を参照して説明する。
この第二の制御情報に基づいた第二の制御は、搬送面上における物品Wの高さが、保持動作開始位置よりも所定の高さ以上高く、これによりラベル貼付ヘッド41を通常動作により移動させた場合、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触する可能性がある場合の制御である。この第二の制御では、以下に詳述するとおり、物品Wにラベル貼付ヘッド41が接触するのを回避するための動作が含まれている。
【0106】
まず、ラベル貼付装置40は、上述した第一の制御と同様に、ラベル5をラベル貼付ヘッド41により吸着保持する(S301)。
ラベル貼付装置40は、
図20に示されるように、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41を、保持動作完了位置から貼付動作開始位置まで通常動作で移動させる(S302)。
なお、本実施形態では上述のとおり、ラベル5の貼付対象たる物品Wが到来する前に、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作開始位置に移動させる。そのため、搬送面上における物品Wの高さが所定の閾値よりも高い場合、即ち保持動作完了位置よりも所定の高さ以上、高い場合であっても、ラベル貼付ヘッド41を保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動させる際、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触するおそれがない。そのため、通常動作による移動が可能である。
【0107】
ラベル貼付装置40は、上述した第一の制御と同様に、物品Wにラベル5を貼付するタイミングに合わせて(S303)、ラベル5の貼付を実行する(S304)。
ラベル貼付ヘッド41は、物品Wにラベル5を貼付し終えると、
図21に示されるように、貼付動作完了位置まで持ち上げられる。
【0108】
ここで、搬送面上における物品Wのサイズと位置が上述した規定の条件を満たさないと共に、搬送面上における物品Wの高さが保持動作開始位置よりも高い場合には、ラベル5の貼付直後、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作完了位置から通常動作で保持動作開始位置に移動させると、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触する。即ち、貼付動作完了位置から、ラベル貼付ヘッド41の水平方向の移動と鉛直方向の移動を同時に実行すると、物品Wが貼付動作完了位置又はその近傍を移動中のラベル貼付ヘッド41の下方を通り過ぎる前に、鉛直方向、下方へ移動するラベル貼付ヘッド41が物品Wの上面に接触する。
【0109】
そこで、第二の制御では、貼付動作完了位置から保持動作開始位置へのラベル貼付ヘッド41の移動について、水平方向の移動を鉛直方向の移動に先んじて実行し、水平方向の移動を実行し終えてから鉛直方向の移動を実行する。
図21は、このような制御によるラベル貼付ヘッド41の移動を示しており、ラベル貼付ヘッド41は、貼付動作完了位置から一旦、ラベル発行機30側に向かって水平に移動する。
【0110】
ここで、
図21において、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に至る経路中、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に向かって水平に移動し終えた中継位置に係る位置を「第一接触回避位置」と称する。この位置は、貼付動作完了位置と同じ高さにあると共に、保持動作開始位置の鉛直線上に当たる。
【0111】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41を水平方向に移動させ、これにより貼付動作完了位置から第一接触回避位置まで移動させると(S305)、鉛直方向の移動を実行し、ラベル貼付ヘッド41を第一接触回避位置から保持動作開始位置まで降下させる(S306)。
これにより、第二の制御により一の物品Wにラベル5を貼付する一連の動作が終了する。ラベル貼付装置40は順次、第二の制御が適用される物品Wに対して当該一連の動作を実行する。
【0112】
なお、本実施形態では、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作完了位置から保持動作開始位置へ移動させる際、一旦、水平方向に移動させてから鉛直方向に移動させた。
一方、他の実施形態では、
図22に示されるように、ラベル貼付ヘッド41の下方に物品Wが存在しない位置まではラベル貼付ヘッド41を水平方向に移動させつつ、当該ラベル貼付ヘッド41の下方に物品Wが存在しない位置からは、鉛直方向の移動も合わせて実行するようにしてもよい。
【0113】
この場合には、
図22に示されるように、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に至る経路中、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に向かって水平に移動し、ラベル貼付ヘッド41の下方に物品Wが存在しなくなった中継位置に係る位置を「第一接触回避位置」と称している。この位置は、貼付動作完了位置と同じ高さにあるが、必ずしも保持動作開始位置の鉛直線上に当たるとは限らない。
このようにラベル貼付ヘッド41を移動させることによっても、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに接触するのを防ぐことができる。
【0114】
また、本実施形態では、ラベル貼付ヘッド41を保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動させる際、ラベル5の貼付対象たる物品Wが到来する前に、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作開始位置に移動させた。そのため、保持動作完了位置から貼付動作開始位置へのラベル貼付ヘッド41の移動は、通常動作によることができた。
一方、ラベル貼付ヘッド41を保持動作完了位置から貼付動作開始位置に移動させる際、物品Wの到来如何によらず、物品Wに接触する可能性を排除するような制御も可能である。
【0115】
図23はこのような制御の流れを示している。なお、
図23では、
図19を参照して説明した処理の変形例として示しており、
図19と同様の符号が付された処理については上述したとおりである。
まず、ラベル貼付装置40は、ラベル5をラベル貼付ヘッド41により吸着保持する(S301)。ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41は、
図24に示されるように、保持動作の完了によって、保持動作完了位置に上昇させられる。
【0116】
そして、ラベル貼付装置40は、保持動作完了位置から貼付動作開始位置へのラベル貼付ヘッド41の移動について、鉛直方向の移動を水平方向の移動に先んじて実行し、鉛直方向の移動を実行し終えてから水平方向の移動を実行する。
図24は、このような制御によるラベル貼付ヘッド41の移動を示しており、ラベル貼付ヘッド41は、保持動作完了位置から鉛直方向上方に移動する。
【0117】
ここで、
図24において、保持動作完了位置から貼付動作開始位置に至る経路中、保持動作完了位置から鉛直方向上方に移動し終えた中継位置に係る位置を「第二接触回避位置」と称する。この位置は、貼付動作開始位置と同じ高さにあると共に、保持動作完了位置の鉛直線上に当たる。
【0118】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41を鉛直方向に上昇させ、これにより保持動作完了位置から第二接触回避位置まで移動させると(S307)、水平方向の移動を実行し、ラベル貼付ヘッド41を第二接触回避位置から貼付動作開始位置まで移動させる(S308)。
この後は、
図19を参照して説明した流れと同様に、ラベル5の貼付が実行される。
【0119】
●第三の制御
次に、第三の制御情報に基づいたラベル貼付装置40の制御について、
図25を参照して説明する。
この第三の制御情報に基づいた第三の制御は、搬送面上における物品Wの高さが、保持部31よりも所定の高さ以上に低く、これによりラベル貼付ヘッド41を通常動作により移動させた場合、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触する可能性がある場合の制御である。この第三の制御では、以下に詳述するとおり、保持部31にラベル貼付ヘッド41が接触するのを回避するための動作が含まれている。
【0120】
まず、ラベル貼付装置40は、上述した第一の制御と同様に、ラベル5をラベル貼付ヘッド41により吸着保持する(S401)。
ラベル貼付装置40は、
図26に示されるように、ラベル5を吸着保持したラベル貼付ヘッド41を、保持動作完了位置から貼付動作開始位置に通常動作で移動させる(S402)。
【0121】
ラベル貼付装置40は、上述した第一の制御と同様に、物品Wにラベル5を貼付するタイミングに合わせて(S403)、ラベル5の貼付を実行する(S404)。
ラベル貼付ヘッド41は、物品Wにラベル5を貼付し終えると、
図27に示されるように、貼付動作完了位置まで持ち上げられる。
【0122】
ここで、搬送面上における物品Wのサイズと位置が上述した規定の条件を満たさないと共に、搬送面上における物品Wの高さが保持部31よりも低い場合には、ラベル5の貼付直後、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作完了位置から通常動作で保持動作開始位置に移動させると、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触する。即ち、貼付動作完了位置から、ラベル貼付ヘッド41の水平方向の移動と鉛直方向の移動を同時に実行すると、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に下方から接触する。
【0123】
そこで、第三の制御では、貼付動作完了位置から保持動作開始位置へのラベル貼付ヘッド41の移動について、鉛直方向の移動を水平方向の移動に先んじて実行し、鉛直方向の移動を実行し終えてから水平方向の移動を実行する。
図27は、このような制御によるラベル貼付ヘッド41の移動を示しており、ラベル貼付ヘッド41はまず、貼付動作完了位置から鉛直方向上方に移動させられる。
【0124】
ここで、
図27において、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に至る経路中、貼付動作完了位置から鉛直方向に移動し終えた中継位置に係る位置を「第三接触回避位置」と称する。この位置は、保持動作開始位置と同じ高さにあると共に、貼付動作完了位置の鉛直線上に当たる。
【0125】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41を鉛直方向上方に移動させ、これにより貼付動作完了位置から第三接触回避位置まで上昇させると(S405)、水平方向の移動を実行し、ラベル貼付ヘッド41を第三接触回避位置から保持動作開始位置まで移動させる(S406)。
これにより、第三の制御により一の物品Wにラベル5を貼付する一連の動作が終了する。ラベル貼付装置40は順次、第三の制御が適用される物品Wに対して当該一連の動作を実行する。
【0126】
なお、本実施形態では、ラベル貼付ヘッド41を貼付動作完了位置から保持動作開始位置へ移動させる際、一旦、鉛直方向上方に移動させてから水平方向に移動させた。
一方、他の実施形態では、
図28に示されるように、ラベル貼付ヘッド41に水平方向と鉛直方向の移動を同時に実行させても、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触しない所定の位置までラベル貼付ヘッド41を鉛直方向上方に移動させつつ、当該所定の位置からは鉛直方向と水平方向の移動を合わせて実行するようにしてもよい。
【0127】
この場合には、
図28に示されるように、貼付動作完了位置から保持動作開始位置に至る経路中、貼付動作完了位置から鉛直方向上方に移動した位置であって、ラベル貼付ヘッド41に鉛直方向と水平方向の移動を同時に実行させても、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触することのない中継位置に係る位置を「第三接触回避位置」と称している。この位置は、貼付動作完了位置の鉛直線上にあるが、必ずしも保持動作開始位置と同一の高さにあるとは限らない。
このようにラベル貼付ヘッド41を移動させることによっても、ラベル貼付ヘッド41が保持部31に接触するのを防ぐことができる。
【0128】
●揺動収束制御
次に、本実施形態において、好適に適用される揺動収束制御について説明する。この揺動修正制御は、
図29に示されるように、ラベル5の貼付動作を実行し終えたラベル貼付ヘッド41を貼付動作完了位置から保持動作開始位置に移動させる際、移動に伴うラベル貼付ヘッド41の揺動を保持部31の手前で収束させる制御である。
この揺動収束制御は上述した第一乃至第三の制御に適用することができ、これにより、ラベル貼付ヘッド41を保持動作開始位置に戻す際、移動動作に伴って揺動するラベル貼付ヘッド41がラベル発行機30に接触するのを防ぐことができる。なお、第二の制御への適用においては、第一接触回避位置の手前で収束させるとよい。
【0129】
この揺動収束制御は、具体的には、保持動作開始位置より所定の距離だけ離れた位置において、ラベル貼付ヘッド41の移動を一旦停止、あるいは移動速度を落とす。
ここでは、
図29に示されるように、このような所定の位置を「揺動収束位置」と称している。
【0130】
揺動収束位置を設け、当該揺動収束位置でラベル貼付ヘッド41を一定時間、停止させたり、当該揺動収束位置において移動速度を所定の速度にまで落とし、当該揺動収束位置から保持動作開始位置までは、低速で移動させたりすることにより、ラベル貼付ヘッド41の移動に伴う揺動を収束させることができる。これにより、ラベル貼付ヘッド41が、移動に伴う揺動によってラベル発行機30に接触等するのを防ぐことができる。
【0131】
以上の本実施形態に係るラベル貼付システム1によれば、搬送路上の物品Wにラベル5を貼付する処理の速度を向上させつつ、物品Wに的確且つきれいにラベル5を貼付することができる。
また、物品Wのサイズや搬送面上の位置に応じて、ラベル貼付ヘッド41が適切な移動経路をとるように制御されるため、ラベル貼付ヘッド41が物品Wに当たって物品を傷めたり、ラベル発行機30に接触したりすることがない。
【0132】
なお、以上により説明したラベル貼付システム1について、ソフトウェア資源は適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。これにより例えば、中央集権的な装置が印刷情報や制御情報を生成するように構成することもできるし、ラベル発行機30が印刷情報を生成し、ラベル貼付装置40が制御情報を生成するように構成することもできる。また、ラベル発行機30やラベル貼付装置40などを物理的に一体的に構成された装置として構成することもできるし、所定の通信網を介して接続されて協働する装置として構成することもできる。
また、上述した本実施形態あるいはその他の実施形態において述べたラベル貼付装置40の構成は、本発明の効果を損なわない限り、適宜に組み合わせて実施することが可能であり、そのような実施形態も本発明の射程とするところである。
【0133】
●実施形態総括
本発明は、搬送路上の物品にラベルを貼付するシステムであって、高い処理速度と的確な貼付を可能とした技術に関する。
【0134】
従来、搬送路上を搬送される被貼付物の一の面に、ラベルを貼り付けられるようにラベルを保持した吸着ヘッドを移動させたり、回転させたりする手段を有する装置が提案されている(特開2009-262948号公報参照)。
【0135】
上記特許文献では、様々なラベルの貼付位置に対応する手段の一つが開示されているが、ラベル貼付の処理速度の向上には改善の余地がある。
【0136】
そこで本発明は、搬送路上の物品にラベルを貼付する処理の速度を向上させることを目的の一つとする。
【0137】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル貼付システムは、搬送面上の物品を搬送する搬送手段と、前記搬送面上の物品の物品情報を取得する物品情報取得手段と、前記物品に貼付するラベルを保持すると共に、当該ラベルを搬送中の前記物品に貼付するラベル貼付ヘッドを備えたラベル貼付手段と、前記ラベル貼付ヘッドを移動させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記物品情報取得手段によって取得した前記物品情報に基づいて前記ラベル貼付ヘッドを移動させる。
【0138】
また、前記制御手段は、前記物品情報取得手段によって取得した前記物品情報に基づいて、水平方向と鉛直方向の移動動作の実行により、前記ラベル貼付ヘッドを移動させるものとしてもよい。
【0139】
また、前記制御手段はさらに、前記ラベルを保持した前記ラベル貼付ヘッドを移動させる場合において、前記搬送面上の物品の高さが所定の閾値よりも高い結果、水平方向と鉛直方向の移動動作の実行により、前記ラベル貼付ヘッドが前記ラベル貼付前の物品に接触する場合には、少なくとも接触の回避に必要な鉛直方向の移動動作を水平方向の移動動作の前に実行するものとしてもよい。
【0140】
また、前記水平方向と鉛直方向の移動動作は、最小の移動量又は移動時間により実行されるものとしてもよい。
【0141】
また、前記制御手段はさらに、前記ラベルを貼付し終えた前記ラベル貼付ヘッドを移動させる場合において、前記搬送面上の物品の高さが所定の閾値より低い結果、最小の移動量又は移動時間による水平方向と鉛直方向の移動動作の実行により、前記ラベル貼付ヘッドが前記ラベル保持部に接触する場合には、少なくとも接触の回避に必要な鉛直方向の移動動作を水平方向の移動動作の前に実行するものとしてもよい。
【0142】
また、前記制御手段はさらに、前記ラベルを貼付し終えた前記ラベル貼付ヘッドを移動させる場合において、前記搬送面上の物品の高さが所定の閾値より高い結果、最小の移動量又は移動時間による水平方向と鉛直方向の移動動作の実行により、前記ラベル貼付ヘッドが前記ラベル貼付後の物品に接触する場合には、少なくとも接触の回避に必要な水平方向の移動動作を鉛直方向の移動動作の前に実行するものとしてもよい。
【0143】
また、前記制御手段は、前記ラベルを前記物品に貼付し終えた前記ラベル貼付ヘッドを、ラベル発行機から発行された前記ラベルを保持するラベル保持部に移動させる際、当該ラベル保持部より所定の距離だけ離れた位置において、前記ラベル貼付ヘッドの移動速度を制御して前記ラベル貼付ヘッドの揺動を収束させるものとしてもよい。
【0144】
また、前記搬送面上の物品のサイズと位置に基づき、前記ラベルの貼付動作を決定する情報生成手段、をさらに有し、前記物品情報取得手段は、搬送路に設けられ、前記搬送面上の物品のサイズと前記搬送面上における物品の位置を計測するセンサであるものとしてもよい。
【0145】
本発明によれば、搬送路上の物品にラベルを貼付する処理の速度を向上させることができる。また、物品のサイズや搬送面上の位置に応じて、ラベル貼付ヘッドが適切な移動経路をとるように制御されるため、ラベル貼付ヘッドが物品に当たって物品を傷めたり、ラベル発行機に接触したりすることがない。
【符号の説明】
【0146】
1 ラベル貼付システム
101 CPU
102 RAM
103 ROM
10(11、12、13、14、15) ベルトコンベア
20 センサ群
21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22 物品検出センサ
23 ゲートセンサ
30 ラベル発行機
31 保持部
40 ラベル貼付装置
41 ラベル貼付ヘッド
411 本体
4111 吸着面
4112 取付面
412 吸着部
412a 吸付口
412b 接続口
413 突起部
4131 バネ
414 弾性部材
415 抑制部材
4161 保持部材
4162 取付部材
417 結着部材
418 中間部材
42 アーム
43 支持部
5 ラベル
60 ラベル貼付装置
61 ラベル貼付ヘッド
613 突起面
7 エアチューブ
7a 分岐部
71 エアチューブ
72 エアチューブ
S センサ
W 物品