(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】取付構造及びベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 21/08 20060101AFI20240626BHJP
A61G 7/065 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
A47C21/08 Z
A61G7/065
(21)【出願番号】P 2020079131
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】原島 徹
(72)【発明者】
【氏名】中野 美喜男
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126358(JP,A)
【文献】特開2003-275256(JP,A)
【文献】特開2005-230302(JP,A)
【文献】登録実用新案第3126234(JP,U)
【文献】特開2012-071101(JP,A)
【文献】特開2004-357875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/08
A61G 7/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドに設けられた第1部材に第2部材を着脱自在に取り付けるための取付構造
を含むベッドであって、
前記取付構造は、前記第1部材に設けられた第1取付部と、前記第2部材に設けられた第2取付部とを含み、
前記第1取付部は、少なくとも1つの
鉛直方向に延びる第1溝部又は第1突条部を含み、
前記第2取付部は、前記第1溝部又は前記第1突条部に結合される少なくとも1つの第2突条部又は第2溝部を含
み、
前記第1部材は、前記ベッドの側部に設けられる側柵本体であり、
前記第2部材は、前記側柵本体に取り付けられるグリップであり、
前記第1取付部は、前記側柵本体を構成するメインパイプが挿入される挿入孔部を含む、
ベッド。
【請求項2】
前記グリップは、少なくとも把持部が軟質性樹脂で被覆されている、請求項
1に記載のベッド。
【請求項3】
前記第1取付部は、3つの前記第1溝部又は前記第1突条部を含む、請求項1又は2に記載の
ベッド。
【請求項4】
前記第1溝部又は前記第2溝部は、アリ溝構造を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
ベッド。
【請求項5】
前記第1溝部又は前記第2溝部は、前記第2突条部又は前記第1突条部が挿入される一端が開放しており、前記一端の反対側に位置する他端が閉塞している、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の
ベッド。
【請求項6】
前記第1溝部又は前記第2溝部は、前記一端の溝幅が、前記他端の溝幅よりも大きい、請求項5に記載の
ベッド。
【請求項7】
前記第2突条部又は前記第1突条部は、前記第1溝部又は前記第2溝部に挿入される先端の幅が、前記先端の反対側に位置する後端の幅よりも小さい、請求項5又は6に記載の
ベッド。
【請求項8】
前記第1取付部と前記第2取付部とは、結合された状態を維持するためのロック機構を有する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の
ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドに設けられた部材の取付構造及びこの取付構造を含むベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッドに設けられた第1部材に第2部材を着脱自在に取り付けるための取付構造が知られている。例えば、下記特許文献1には、押圧操作部を押し込むことによりロック解除状態として回転側フレームを回転させ、回転側フレームが所定角度回転した状態でロック状態に戻るフレーム回動構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のフレーム回動構造は、構造が煩雑でロック状態が分かりにくく、また、所定角度毎にロック状態となることから、目的の角度にセットするのに時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、簡単な構造で素早く確実に固定することができる取付構造及びこの取付構造を含むベッドを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベッドに設けられた第1部材に第2部材を着脱自在に取り付けるための取付構造であって、前記第1部材に設けられた第1取付部と、前記第2部材に設けられた第2取付部とを含み、前記第1取付部は、少なくとも1つの第1溝部又は第1突条部を含み、前記第2取付部は、前記第1溝部又は前記第1突条部に結合される少なくとも1つの第2突条部又は第2溝部を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の取付構造において、前記第1溝部又は前記第1突条部は、鉛直方向に延びるのが望ましい。
【0008】
本発明の取付構造において、前記第1取付部は、3つの前記第1溝部又は前記第1突条部を含むのが望ましい。
【0009】
本発明の取付構造において、前記第1溝部又は前記第2溝部は、アリ溝構造を有するのが望ましい。
【0010】
本発明の取付構造において、前記第1溝部又は前記第2溝部は、前記第2突条部又は前記第1突条部が挿入される一端が開放しており、前記一端の反対側に位置する他端が閉塞しているのが望ましい。
【0011】
本発明の取付構造において、前記第1溝部又は前記第2溝部は、前記一端の溝幅が、前記他端の溝幅よりも大きいのが望ましい。
【0012】
本発明の取付構造において、前記第2突条部又は前記第1突条部は、前記第1溝部又は前記第2溝部に挿入される先端の幅が、前記先端の反対側に位置する後端の幅よりも小さいのが望ましい。
【0013】
本発明の取付構造において、前記第1取付部と前記第2取付部とは、結合された状態を維持するためのロック機構を有するのが望ましい。
【0014】
本発明は、上述の取付構造を含むベッドであって、前記第1部材は、前記ベッドの側部に設けられる側柵本体であり、前記第2部材は、前記側柵本体に取り付けられるグリップであることを特徴とする。
【0015】
本発明のベッドにおいて、前記グリップは、少なくとも把持部が軟質性樹脂で被覆されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の取付構造は、第1部材に設けられた第1取付部と、第2部材に設けられた第2取付部とを含み、前記第1取付部は、少なくとも1つの第1溝部又は第1突条部を含み、前記第2取付部は、前記第1溝部又は前記第1突条部に結合される少なくとも1つの第2突条部又は第2溝部を含んでいる。
【0017】
このような取付構造は、第1溝部に第2突条部を、又は、第2溝部に第1突条部を結合させることで、第1部材と第2部材とを確実に固定することができる。このため、本発明の取付構造は、簡単な構造で素早く確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の取付構造を含むベッドの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】第1部材と第2部材との取付構造を示す側面図である。
【
図5】第1部材、第2部材及び取付構造の分解斜視図である。
【
図6】
図1とは異なる位置に第2部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】他の実施形態の取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の取付構造10を含むベッド1を示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態のベッド1は、脚部3を有するフレーム2と、フレーム2の上に載置され、寝台面4aを形成するマット4とを含んでいる。
【0020】
ベッド1は、例えば、フレーム2の長手方向の一方側に設けられたヘッドボード5と、他方側に設けられたフットボード6とを含んでいる。なお、図示は省略されるが、ベッド1は、例えば、背もたれ部が傾斜するリクライニング機構や、寝台面4aの高さを変更する高さ調整機構等を備えていてもよい。また、ベッド1は、例えば、収納時に折り畳むことができる折畳み式であってもよい。
【0021】
本実施形態のベッド1は、ベッド1に設けられた第1部材7に第2部材8を着脱自在に取り付けるための取付構造10を含んでいる。第1部材7は、例えば、ベッド1の側部に設けられる側柵本体7Aである。第2部材8は、例えば、側柵本体7Aに取り付けられるグリップ8Aである。このような第1部材7及び第2部材8は、ベッド1の使用者がベッド1から転落することを防止するとともに、使用者が姿勢を変化させるときに把持することができる。
【0022】
図2は、本実施形態の第1部材7と第2部材8との取付構造10を示す側面図である。
図2に示されるように、本実施形態の取付構造10は、第1部材7に設けられた第1取付部11と、第2部材8に設けられた第2取付部12とを含んでいる。このような取付構造10は、第1取付部11と第2取付部12とを結合することで、第1部材7と第2部材8とを簡単に取り付けることができる。
【0023】
図3は、取付構造10の分解斜視図である。
図2及び
図3に示されるように、第1取付部11は、少なくとも1つの、本実施形態では3つの第1溝部11aを含んでいる。第2取付部12は、第1溝部11aに結合される少なくとも1つの、本実施形態では1つの第2突条部12aを含んでいる。
【0024】
このような取付構造10は、第1溝部11aに第2突条部12aを結合させることで、第1部材7と第2部材8とを確実に固定することができる。また、本実施形態の取付構造10は、第2突条部12aが結合される第1溝部11aを、複数の第1溝部11aから択一的に選択することで、第2部材8の取り付け位置を簡単に変更することができる。このため、本実施形態の取付構造10は、簡単な構造で素早く確実に固定することができる。
【0025】
取付構造10は、例えば、側柵本体7Aに対するグリップ8Aの開放角度を変更することができる。なお、第1取付部11は、第1溝部11aが3つに限定されるものではなく、例えば5つであってもよい。このような第1取付部11は、側柵本体7Aに対するグリップ8Aの開放角度をより細かく変更することができる。
【0026】
より好ましい態様として、第1溝部11aは、第1部材7がベッド1に取り付けられた状態において、鉛直方向に延びている。このため、本実施形態の取付構造10は、第1部材7に対する第2部材8の鉛直方向の基準軸心回りの取り付け角度を変更することができる。このような第1溝部11aは、第2突条部12aの挿入が容易であり、より素早く取り付け位置を変更することができる。
【0027】
図4は、取付構造10の側面図である。
図4では、第2突条部12aの取り付け位置が、
図3とは異なるものが例示されている。
図3及び
図4に示されるように、本実施形態の第1溝部11aは、アリ溝構造を有している。第2突条部12aは、アリ溝に対応する横断面T字状に形成されているのが望ましい。このような取付構造10は、第1取付部11に第2取付部12を取り付けたときの剛性を向上させることができる。
【0028】
本実施形態の第1溝部11aは、第2突条部12aが挿入される一端11bが開放しており、一端11bの反対側に位置する他端11cが閉塞している。このような第1溝部11aは、第1取付部11に第2取付部12を取り付けたときの剛性を向上させることに役立つ。
【0029】
図4に示されるように、第1溝部11aは、例えば、一端11bから他端11cにかけて溝幅Wが漸減するテーパー構造を有している。本実施形態の第1溝部11aは、一端11bの溝幅W1が、他端11cの溝幅W2よりも大きい。
【0030】
第2突条部12aは、例えば、第1溝部11aに挿入される先端12bから先端12bの反対側に位置する後端12cにかけて幅wが漸増するテーパー構造を有している。本実施形態の第2突条部12aは、先端12bの幅w1が、後端12cの幅w2よりも小さい。
【0031】
このような取付構造10は、第1溝部11aの一端11bの溝幅W1が、第2突条部12aの先端12bの幅w1よりも大きいので、取り付け作業時の挿入が容易である。また、この取付構造10は、第1溝部11a及び第2突条部12aがテーパー構造を有しているので、取り付けたときにはくさび効果によりがたつきを低減することができる。
【0032】
図3及び
図4に示されるように、本実施形態の第1取付部11と第2取付部12とは、結合された状態を維持するためのロック機構13を有している。ロック機構13は、例えば、第1取付部11に設けられた第1ロック部13Aと、第2取付部12に設けられた第2ロック部13Bとを含んでいる。
【0033】
第1ロック部13Aは、少なくとも1つの、本実施形態では3つのロック受部13aと、ロック受部13aの上方に形成されたガイド傾斜部13bとを含んでいる。第2ロック部13Bは、例えば、ロック解除の操作可能なレバー部13cと、レバー部13cの操作に応じて移動し、かつ、結合時にロック受部13a内に挿入されてロック状態にするフック部13dとを含んでいる。
【0034】
フック部13dは、ロック状態のときに、ロック受部13a内に向けて常時突出するように、弾性体(図示省略)により付勢されるのが望ましい。レバー部13cは、例えば、フック部13dの突出方向の反対側へ移動操作されることで、フック部13dとロック受部13aのロック状態が解除され、第2取付部12を上方へ引き抜くことを許容する。
【0035】
本実施形態のフック部13dは、第1溝部11aに第2突条部12aを結合する際に、第2突条部12aを第1溝部11aに所定深さ差し込む途中でガイド傾斜部13bに当接し、フック部13dの突出方向の反対側へ移動する。このため、本実施形態のロック機構13は、第1溝部11aに第2突条部12aを結合する際に、レバー部13cを操作することなく、容易にロック状態にさせることができる。
【0036】
図5は、第1部材7、第2部材8及び取付構造10の分解斜視図である。
図5に示されるように、本実施形態の第1部材7は、側柵本体7Aを構成するメインパイプ7aと、第1取付部11を取り付け可能な固定板7bとを含んでいる。
【0037】
図3及び
図5に示されるように、本実施形態の第1取付部11は、メインパイプ7aが挿入される挿入孔部11dと、固定板7bが挿入される挿入部11eを含んでいる。第1取付部11は、挿入部11eに固定板7bを挿入した後、固定板7bの孔部7cと第1取付部11の固定孔11fとを連通するボルト等の締結具(図示省略)により、第1部材7に固定されるのが望ましい。本実施形態の第1取付部11は、メインパイプ7aの端面に締結される締結具(図示省略)により、下方側から固定されている。このような第1取付部11は、第1部材7に固定したときの強度を向上させることができる。
【0038】
図5に示されるように、本実施形態の第2部材8は、第2取付部12と、グリップ8Aを構成する把持部15と、把持部15を支持する支持部16とを含んでいる。グリップ8Aは、少なくとも把持部15が軟質性樹脂15bで被覆されているのが望ましい。すなわち、把持部15は、剛性を有する把持本体15aと、把持本体15aの周囲を被覆する軟質性樹脂15bとを含んでいる。軟質性樹脂15bとしては、例えば、ウレタン等が挙げられる。このようなグリップ8Aは、把持したときの感触が良好であり、また、使用者が接触したときのクッションになり得る。
【0039】
図6は、
図1とは異なる位置に第2部材8を取り付けた状態を示す斜視図である。
図6に示されるように、本実施形態の第2部材8は、第1部材7に対して、直交する方向に取り付けられている。本実施形態の第2部材8は、ロック機構13を解除することで、簡単に取り付け位置を変更することができる。
【0040】
図7は、他の実施形態の取付構造20の分解斜視図である。上述の実施形態と同一の機能を有する要素には同一の符号が付され、その説明が省略される。
図7に示されるように、この実施形態の取付構造20は、第1部材7に設けられた第1取付部21と、第2部材8に設けられた第2取付部22とを含んでいる。
【0041】
第1取付部21は、少なくとも1つの、この実施形態では3つの第1突条部21aを含んでいる。第2取付部22は、第1突条部21aに結合される少なくとも1つの、本実施形態では1つの第2溝部22aを含んでいる。
【0042】
このような取付構造20は、第1突条部21aに第2溝部22aを結合させることで、第1部材7と第2部材8(
図2に示す)とを確実に固定することができる。また、この実施形態の取付構造20は、第2溝部22aが結合される第1突条部21aを変更することで、第2部材8の取り付け角度を簡単に変更することができる。このため、この実施形態の取付構造20は、簡単な構造で素早く確実に固定することができる。
【0043】
なお、第1取付部21は、第1突条部21aが3つに限定されるものではなく、例えば5つであってもよい。このような第1取付部21は、第2部材8の取り付け角度をより細かく変更することができる。
【0044】
第1突条部21aは、上述の第1溝部11aと同様、第1部材7がベッド1に取り付けられた状態において、鉛直方向に延びるのが望ましい。このような第1突条部21aは、第2溝部22aの挿入が容易であり、より素早く結合することができる。
【0045】
この実施形態の第2溝部22aは、上述の第1溝部11aと同様、アリ溝構造を有している。このような取付構造20は、第1取付部21に第2取付部22を取り付けたときの剛性を向上させることができる。
【0046】
この実施形態の第2溝部22aは、上述の第1溝部11aと同様、第1突条部21aに挿入される一端22bが開放しており、一端22bの反対側に位置する他端22cが閉塞している。このような第2溝部22aは、第1取付部21に第2取付部22を取り付けたときの剛性を向上させることに役立つ。
【0047】
この実施形態の第2溝部22aは、上述の第1溝部11aと同様、一端22bの溝幅が、他端22cの溝幅よりも大きい。また、第1突条部21aは、上述の第2突条部12aと同様、第2溝部22aが挿入される先端21bの幅が、先端21bの反対側に位置する後端21cの幅よりも小さいのが望ましい。
【0048】
上述の実施形態では、第2部材8としてグリップ8Aが例示されているが、第2部材8は、例えば、テーブルであってもよい。また、ベッド1は、例えば、その長手方向に2つの第1部材7を設け、第2部材8が、2つの第1部材7間にわたって取り付けられる延長柵であってもよい。
【0049】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【符号の説明】
【0050】
1 ベッド
7 第1部材
8 第2部材
11 第1取付部
11a 第1溝部
12 第2取付部
12a 第2突条部
21 第1取付部
21a 第1突条部
22 第2取付部
22a 第2溝部