(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2020082100
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】長田 優輝
(72)【発明者】
【氏名】春好 辰則
【審査官】森田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-042284(JP,A)
【文献】特開2020-018408(JP,A)
【文献】特開2019-025107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
第1遊技状態と、前記第1遊技状態においてボーナスが当選したことに基づいて移行する第2遊技状態と、を含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段と、
所定の役の入賞を補助する指示演出の実行を制御する指示機能制御手段と、
前記指示演出が実行される指示演出状態を含む複数の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段と、を備え、
前記指示演出状態には、遊技価値が増加する指示演出状態であって、1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値が異なる第1指示演出状態と第2指示演出状態とがあり、
前記第2指示演出状態は、前記期待値が前記第1指示演出状態よりも低いが、所定の性能が前記第1指示演出状態よりも有利となっており、
前記内部抽選において得られる当選態様に、特定当選態様と、第1当選態様と、第2当選態様と、が含まれ、
前記特定当選態様は、前記第1遊技状態において前記ボーナスが重複して当選する当選態様であり、当選する役として、少なくとも、第1の役と、第2の役と、第3の役と、を含み、
前記第1の役と前記第2の役と前記第3の役とは1遊技に対してベットされる遊技価値よりも少数の遊技価値が払い出される役であり、
前記第1の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第2の役は、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第3の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、かつ前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれない、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
第1遊技状態と、前記第1遊技状態においてボーナスが当選したことに基づいて移行する第2遊技状態と、を含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段と、
所定の役の入賞を補助する指示演出の実行を制御する指示機能制御手段と、
前記指示演出が実行される指示演出状態を含む複数の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段と、を備え、
前記指示演出状態には、遊技価値が増加する指示演出状態であって、1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値が異なる第1指示演出状態と第2指示演出状態とがあり、
前記第2指示演出状態は、前記期待値が前記第1指示演出状態よりも低いが、上乗せに係る性能が前記第1指示演出状態よりも有利となっており、
前記第2指示演出状態において、前記内部抽選で特定の結果が得られ、前記指示演出が実行されなかった遊技で、前記所定の役が入賞可能な操作態様で操作された場合、当該遊技の次の遊技では、前記内部抽選で前記特定の結果が得られても前記指示演出が実行されないように制御され、
前記内部抽選において得られる当選態様に、特定当選態様と、第1当選態様と、第2当選態様と、が含まれ、
前記特定当選態様は、前記第1遊技状態において前記ボーナスが重複して当選する当選態様であり、当選する役として、少なくとも、第1の役と、第2の役と、第3の役と、を含み、
前記第1の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第2の役は、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第3の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、かつ前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれない、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から遊技機として、外周面に複数の図柄が配列されたリールを複数備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示されて、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理やメダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0003】
また、特定役に当選した場合に、この特定役の入賞を補助する打順ナビ演出(指示演出)を実行可能な演出状態であるAT演出状態(アシストタイム演出状態)が設けられたスロットマシンが知られている。このようなスロットマシンでは、AT演出状態において打順ナビ演出が行われるため、遊技者は当該特定役を入賞させることが容易となり、メダルを増加させることができる。
【0004】
一方、AT演出状態での遊技回数が制限されているスロットマシンが知られている。すなわち、遊技区間を非有利区間と有利区間とに分け、有利区間においてのみ、AT演出状態へ移行させて打順ナビ演出を行うことが可能となっており、有利区間での遊技回数の上限値(例えば1500回)に到達すると、非有利区間に移行させるものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、遊技者が不満を抱くおそれを低減することが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、遊技者が不満を抱くおそれが低減された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段(例えば内部抽選手段42)と、
第1遊技状態(例えば一般中状態)と、前記第1遊技状態においてボーナスが当選したことに基づいて移行する第2遊技状態(例えばRBB内部中状態)と、を含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段(例えば遊技状態制御手段49)と、
所定の役の入賞を補助する指示演出の実行を制御する指示機能制御手段(例えば指示機能制御手段51)と、
前記指示演出が実行される指示演出状態を含む複数の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段(例えば演出状態制御手段81)と、を備え、
前記指示演出状態には、遊技価値が増加する指示演出状態であって、1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値が異なる第1指示演出状態(例えば高純増区間)と第2指示演出状態(低純増区間)とがあり、
前記第2指示演出状態は、前記期待値が前記第1指示演出状態よりも低いが、所定の性能が前記第1指示演出状態よりも有利となっており、
前記内部抽選において得られる当選態様に、特定当選態様(例えば共通1枚)と、第1当選態様(例えば打順ベルA青3)と、第2当選態様(例えば打順ベルA青1)と、が含まれ、
前記特定当選態様は、前記第1遊技状態において前記ボーナスが重複して当選する当選態様であり、当選する役として、少なくとも、第1の役(例えば小役21)と、第2の役(例えば小役23)と、第3の役(例えば小役45)と、を含み、
前記第1の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第2の役は、前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれるが、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、
前記第3の役は、前記第1当選態様が得られた場合に当選する役に含まれず、かつ前記第2当選態様が得られた場合に当選する役に含まれない。
第2指示演出状態は、1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値が第1指示演出状態よりも低いが、所定の性能が第1指示演出状態よりも有利となっている。換言すると、第2指示演出状態と第1指示演出状態とでは、前記期待値が低いことと、所定の性能が有利であることとが、トレードオフの関係となっている。このため、前記期待値が低い第2指示演出状態に移行した場合であっても、所定の性能が第1指示演出状態よりも有利となっているため、遊技者に納得感を与え、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
また、本発明に係る遊技機は、
所定の役の入賞を補助する指示演出の実行を制御する指示機能制御手段と、
前記指示演出を実行可能な有利区間を含む複数の遊技区間の間で遊技区間を移行させる制御を行う遊技区間制御手段と、
前記指示演出が実行される指示演出状態を含む複数の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段と、
複数の設定値の中から選択される設定値を変更可能な設定変更手段と、を備えた遊技機であって、
前記指示演出状態への移行が決定される確率が所定の確率となっている状態を通常確率状態とし、
前記指示演出状態への移行が決定される確率が前記所定の確率よりも低い確率となっている状態を低確率状態とすると、
前記設定値が高いほど、前記有利区間の開始後、前記低確率状態と前記通常確率状態とからなる区間へ移行する確率が高くなっており、
前記設定値が低いほど、前記有利区間の開始後、前記通常確率状態からなる区間へ移行する確率が高くなっている
ことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、設定値が高いほど、有利区間の開始後、低確率状態と通常確率状態とからなる第1区間へ移行する確率が高くなっており、設定値が低いほど、有利区間の開始後、通常確率状態からなる第2区間へ移行する確率が高くなっている。換言すると、設定値が高いほど低確率状態を有する第1区間へ移行する確率が高くなっており、設定値が低いほど低確率状態を有さない第2区間へ移行する確率が高くなっている。設定値が高いほど移行する確率が高い第1区間では、指示演出が実行される指示演出状態への移行が決定される確率が通常確率状態よりも低い低確率状態へ移行することとなる。このため、高設定の場合に出玉性能が過大となるのを抑え、出玉性能を適切に管理することができる。
【0010】
また、本発明に係る遊技機は、
所定の役の入賞を補助する指示演出の実行を制御する指示機能制御手段と、
前記指示演出を実行可能な有利区間を含む複数の遊技区間の間で遊技区間を移行させる制御を行う遊技区間制御手段と、
前記指示演出が実行される指示演出状態を含む複数の演出状態の間で、演出状態を移行させる制御を行う演出状態制御手段と、
複数の設定値の中から選択される設定値を変更可能な設定変更手段と、を備えた遊技機であって、
前記有利区間において移行する演出状態には、前記指示演出状態と、前記指示演出状態よりも遊技価値の獲得に関する期待値が低い低期待値演出状態と、があり、
前記設定値が高いほど、前記設定値が低い場合よりも前記低期待値演出状態での遊技回数が多い回数となる確率が高くなっている
ことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、低期待値演出状態は指示演出状態よりも遊技価値の獲得に関する期待値が低くなっており、設定値が高いほど、設定値が低い場合よりも当該低期待値演出状態での遊技回数が多い回数となる確率が高くなっている。このため、高設定の場合に出玉性能が過大となるのを抑え、出玉性能を適切に管理することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【
図2】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図3】同、内部抽選テーブルを説明するための図である。
【
図4】同、小役の当選態様を説明するための図である。
【
図9】同、AT演出状態での制御について説明するための図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【
図12】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図13】同、内部抽選テーブルを説明するための図である。
【
図14】同、各当選エリアの当選時における停止操作の態様と入賞役との関係を説明するための図である。
【
図16】同、遊技区間および演出状態の状態遷移図である。
【
図17】同、変形例における特別演出状態の構成を説明するための図である。
【
図18】本発明の第3の実施の形態に係る遊技機の遊技区間および演出状態の状態遷移図である。
【
図19】同、ポイント抽選テーブルを示す図である。
【
図20】同、区間の振り分けについて説明するための図である。
【
図21】本発明の第4の実施の形態に係る遊技機の打順ベルの当選時における停止操作の態様と入賞役との関係を説明するための図である。
【
図22】同、入賞カウンタの記憶値の増減について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の一つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等のその他の遊技機であってもよい。なお、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0015】
図1は、スロットマシン10を示す斜視図である。スロットマシン10は、メダル(遊技価値)を必要としないメダルレス遊技機(管理遊技機)(メダルレススロットマシン)である。なお、スロットマシン10は、第2の実施の形態で示すスロットマシンのように、メダル投入口、ホッパーユニット、およびキャッシュボックス等を備えていない。
【0016】
スロットマシン10は、筐体(裏箱)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板、左側板5および右側板6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等である。
【0017】
図1に示すように、筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉12が設けられている。本実施形態では、前扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。上扉12aは、ヒンジを介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉12bは、ヒンジを介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。なお、前扉12は、上扉12aと下扉12bとに分かれていない一体構造のものであってもよい。
【0018】
上扉12aには、液晶ディスプレイ13(表示装置13)、スピーカ14等の演出装置、および表示窓16等が設けられている。液晶ディスプレイは、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置としては、液晶ディスプレイやスピーカ14の他にランプ(LED)等の照明装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0019】
表示窓16の奥には、3個のリール20a~20cが横一列に設けられている。そして、表示窓16を介してリール20a~20cの一部が視認可能となっている。リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配置されており、リール20a~20cが停止すると、表示窓16を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄、および下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの中段と、によって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。
【0020】
スロットマシン10では、遊技開始に伴ってリール20a~20cが回転を開始するとともに当選役抽選が実行されて、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール20a~20cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0021】
図1に示すように、前扉12には、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン(ベットボタン)23、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー24、3個のリール20a~20cの回転を停止させる際に操作される3個のストップボタン26a,26b,26c、演出の態様を変化させる場合等に操作される演出ボタン等が設けられている。
【0022】
スロットマシン10では、ベットボタン23が操作され、規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると、遊技が開始される。また、遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cが停止する。
【0023】
スロットマシン10では、貸出操作等に応じて遊技価値がクレジット(遊技メダル)に加算される。加算されたクレジット数(遊技メダル数)は、前扉12に設けられたクレジット表示器28に表示される。また、前扉12には、クレジット(遊技メダル)を持ちメダルに変換する際に操作される計数ボタン29が設けられている。
【0024】
筐体1の内部には、電源ユニット、リールユニット、主基板ユニット等が設けられている。電源ユニットは、電源基板、電源基板ケース、および電源スイッチ等を備えている。電源ユニットは、底板の上面に設けられ、各部品に電力を供給することが可能となっている。リールユニットは、周囲に複数の図柄が付された3個のリール20a~20c、リール20a~20cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)、リール20a~20cおよび駆動モータ等を一体的に支持するリールフレーム(フレーム部材)等を備えている。
【0025】
主基板ユニットは、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた電子回路基板である主基板31(メイン制御基板)(主制御装置)(
図2参照)等を備えている。主基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c等の入力装置からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット等の出力装置の制御を行う。
【0026】
また、上扉12aの背面側には、副基板ユニット等が設けられている。副基板ユニットは、電子部品を備えた電子回路基板である副基板32(サブ制御基板)(副制御装置)(
図2参照)等を備えている。副基板32は主基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ13やスピーカ14等の演出装置の制御を行う。
【0027】
主基板31と副基板32とは電気的に接続されており、主基板31から副基板32へは遊技状態を示す情報等の各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副基板32から主基板31へは情報を送信できないようになっている。また、主基板31や副基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0028】
図2に示すように、主基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。また、副基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
【0029】
なお、上記では主基板31が投入受付手段40および払出制御手段45を備えているものとしたが、投入受付手段40および払出制御手段45は主基板31とは別に設けられていてもよい。すなわち、スロットマシン10は、遊技価値に関する制御を行う払出基板(払出制御基板)を備え、払出基板が投入受付手段40および払出制御手段45を備えているものとしてもよい。払出基板は、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた電子回路基板である。なお、払出基板には、計数ボタン29、MAXベットボタン(ベットボタン)23、RAMに記憶された情報を消去するためのRAMクリアスイッチ(図示せず)が接続されており、これらから入力信号を受けるようになっている。また、払出基板には、クレジット表示器28が接続されており、払出基板は、クレジット表示器28の表示を制御する。また、払出基板は、各種コマンドを主基板へ送信する。また、主基板は、各種コマンドを払出基板へ送信する。払出基板と主基板との通信は、双方向通信である。なお、払出基板にはバックアップ電源が設けられており、払出基板は、バックアップ電源を主基板へ供給可能となっている。また、払出基板は、RAMの所定領域にクレジットを記憶する。具体的には、クレジット数(遊技メダル数)がクレジットカウンタに記憶されている。
【0030】
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づきナビ演出を行うか否かを決定する。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいはナビ演出を行うか否かの決定に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。
【0031】
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入(電子的なメダルの投入)を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダルが投入されると、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
【0032】
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0033】
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0034】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。具体的には、本実施形態の遊技機は、
図3に示す、内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3までの、3種類の内部抽選テーブルを含む複数の内部抽選テーブルを有している。内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0035】
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。また、各乱数値には、1つの当選役が対応付けられているものと、複数の当選役が対応付けられているものとが存在する。したがって、内部抽選によって、1つの役が当選する場合と、複数の役が重複して当選する場合とが存在する。
【0036】
本実施形態の遊技機では、小役として、通常ベルA、ベルB、ベルC、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B、弱チェリー、強チェリーおよびスイカが用意されており、複数種類の小役が重複して当選する小役の当選態様として、打順ベル(打順ベル1~打順ベル8:第1当選態様)と、JAC1(第2当選態様)およびJAC2とが設定されている。
【0037】
打順ベルについて
図4を参照しながら具体的に説明すると、打順ベル1~打順ベル4は、
図4(a)に示すように、ベルAと、ベルBと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル1~打順ベル4において、ベルAと、ベルBと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルBと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。また打順ベル5~打順ベル8は、
図4(a)に示すように、ベルAと、ベルCと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル5~打順ベル8において、ベルAと、ベルCと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルCと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。
【0038】
また、JACについて
図4(b)を参照しながら具体的に説明すると、JAC1は、ベルAと、ベルBと、ベルCと、特殊小役Bと、スイカと、弱チェリーと、強チェリーとが重複して当選することを示している。また、JAC2は、特殊小役A1~特殊小役A4と、特殊小役Bと、ベルAとが重複して当選することを示している。
【0039】
また、本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において小役の当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル1~3においてリプレイの当選確率が同一となっている。また、内部抽選テーブル3では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは異なる態様で小役が当選するようになっている。そして、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2では、打順ベル1~打順ベル8によってベルBとベルCが互いに重複せずに当選するようになっており、内部抽選テーブル3ではJAC1によってベルBとベルCが重複して当選するようになっている。
【0040】
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしてビッグボーナス(BB)が用意されており、内部抽選テーブル1では、ビッグボーナスが抽選対象として設定されているが、内部抽選テーブル2および内部抽選テーブル3では、ビッグボーナスが抽選対象から除外されている。
なお、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しているが、第一種特別役物や、第二種特別役物に係る役物連続作動装置等であってもよい。また、ボーナスは一種類に限られず、複数のボーナスを搭載していてもよい。
【0041】
また、本実施形態の遊技機では、リプレイおよびボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されているが、重複して当選する場合が設定されていてもよい。例えば、リプレイとボーナスとが重複して当選する場合や、小役とボーナスとが重複して当選する場合や、複数種類のリプレイが重複して当選する場合等が設定されていてもよい。
【0042】
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
【0043】
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナスがある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
【0044】
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると内部抽選テーブル1~3からなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
【0045】
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0046】
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0047】
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が通常状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段72のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
【0048】
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
【0049】
リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0050】
以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0051】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
【0052】
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0053】
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0054】
また、打順ベル1~打順ベル8には、それぞれ正解打順と特定打順とが設定されており、正解打順および特定打順のいずれとも異なる順序が不正解打順として扱われる。特に本実施形態では、正解打順と特定打順とでは最初に停止させるべきリールが同一であり、2番目に停止させるリールにおいて正解打順であると判断される場合と特定打順であると判断される場合に分岐するようになっている。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、最初に押下されたストップボタンの種類が正解打順および特定打順に対応している場合には、最初に停止するリールについてはメダルの払出数が最も多く、かつ有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、2番目以降に停止するリールについては、有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示することができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0055】
そして本実施形態の遊技機では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、特定打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルAを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、ベルBやベルCを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように遊技順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役Bを入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0056】
また、JAC1に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルBあるいはベルCを入賞させることができ、JAC2に当選した場合には、いずれの打順で遊技を行ってもベルAを入賞させることができるようになっている。
【0057】
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0058】
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
【0059】
本実施形態の遊技機では、
図5に示すように、ベルA、特殊小役A1~A4または特殊小役Bに入賞すると1枚のメダルが払い出され、ベルBまたはベルCに入賞すると7枚のメダルが払い出され、スイカに入賞すると3枚のメダルが払い出され、弱チェリーまたは強チェリーに入賞すると2枚のメダルが払い出されるようになっている。
【0060】
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ制御手段が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の持ちメダル(クレジットされたメダル)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0061】
遊技状態制御手段49は、
図6に示すように、通常状態、ボーナス成立状態およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
【0062】
内部抽選手段42は、遊技状態に応じて
図3に示す内部抽選テーブルのうちから内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。具体的には、通常状態では、ビッグボーナスが抽選対象に設定されている内部抽選テーブル1を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照して内部抽選を行う。また、ボーナス状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブル3を参照して内部抽選を行う。なお、スロットマシン10は、リプレイの当選確率の異なる複数の内部抽選テーブルを備え、遊技状態制御手段49が、所定の契機で(例えば、所定の役の当選に基づいて)、リプレイの当選確率の異なる複数の遊技状態(RT状態)の間で遊技状態を移行させるようになっていてもよい。
【0063】
遊技状態は、初期状態においては、通常状態となっている。また、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、通常状態においてビッグボーナスが当選した場合に、遊技状態をボーナス成立状態へ移行させる。
【0064】
ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0065】
ボーナス状態は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。また、ボーナス状態では、ボーナス状態において払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、定められた所定枚数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ移行させる。
なお、本実施形態では、ボーナス状態の終了条件がメダルの払出数の合計によって定められているが、ボーナス状態での遊技回数や小役の入賞回数等によって終了条件が定められていてもよい。またボーナス状態は、1回の遊技で終了するように終了条件が定められたものであってもよい。
【0066】
指示機能制御手段51は、演出状態制御手段81と、特典付与手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。そして、この決定に基づいて、演出制御手段100が、打順ナビ演出を表示装置13やスピーカ14等の演出装置に実行させるようになっている。
【0067】
演出状態制御手段81は、
図7に示すように、通常演出状態、非AT演出状態およびAT演出状態(指示演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0068】
通常演出状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する演出状態である。通常演出状態においては、特典付与手段82が、所定の契機で(スイカ、弱チェリーまたは強チェリーの当選(レア役の当選)に基づいて)、非AT演出状態への移行の可否を決定する第1抽選を行う。第1抽選において、非AT演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を非AT演出状態に移行させる。
【0069】
非AT演出状態においては、特典付与手段82は、所定の契機で(レア役の当選に基づいて)、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選:第1AT抽選)を行う。第1AT抽選に当選すると、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させる。なお、非AT演出状態は、AT演出状態への移行確率が通常演出状態よりも高く、通常演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態となっている。また、非AT演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がAT演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
【0070】
なお、通常演出状態からAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。例えば、第1抽選において、単に非AT演出状態への移行の可否を決定するのではなく、演出状態をAT演出状態に移行させるか、非AT演出状態に移行させるか、それとも通常演出状態のまま移行させないか抽選することとしてもよい。また、通常演出状態からAT演出状態へ直接移行する確率は、設定1よりも設定6の方が高いというように設定毎に異ならせてもよく、すべての設定値において同じ確率としてもよい。
【0071】
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態がボーナス成立状態である場合にAT演出状態に移行し、通常状態やボーナス状態においてはAT演出状態に移行しないようになっていてもよい。換言すると、通常状態やボーナス状態においては、例えば、AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、AT抽選を行わないようにしてもよい。
【0072】
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がボーナス成立状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するボーナス状態の終了後に通常状態を経由して再びボーナス成立状態に移行するまでの間、AT演出状態を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞するとナビ演出を止め、再びボーナス成立状態に移行するとナビ演出を再開させるようにしてもよい。
【0073】
演出制御手段100は、AT演出状態において、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選し、指示機能制御手段51が打順ナビ演出を行うと決定すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助する打順ナビ演出を実行させる。具体的には、打順ナビ演出を表示装置13およびスピーカ14等の演出装置に実行させる。打順ナビ演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると、必ずベルBまたはベルCが入賞して7枚のメダルを獲得することができるようになっている。なお、打順ナビ演出を行う場合には、遊技情報表示部17の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
【0074】
図8に示すようにリール20a~20cの外周面には、赤7図柄「赤7」、BAR図柄「BAR」、特殊図柄「SP」、リプレイ図柄A「RPA」、リプレイ図柄B「RPB」、ベル図柄A「BLA」、ベル図柄B「BLB」、スイカ図柄A「WMA」、スイカ図柄B「WMB」、およびチェリー図柄「CH」が配列されている。
【0075】
本実施形態では、AT演出状態の継続をAT演出状態において獲得したメダルの差枚数(差枚数については後述する)により管理している。AT抽選(第1AT抽選)に当選し、演出状態をAT演出状態へ移行させることが決定した場合、演出状態制御手段81は、記憶手段60のRAMに設けられたAT終了判定カウンタ69の記憶値に所定の差枚数に相当する値を設定し、演出状態をAT演出状態へ移行させる。なお、AT演出状態の開始時にAT終了判定カウンタ69に設定される値は、抽選等により決定されるものであってもよい。以下では、AT演出状態の開始時に、AT終了判定カウンタ69に、所定の差枚数に相当する値として500枚に相当する「500」が設定される場合を例に説明する。
【0076】
演出状態制御手段81は、AT演出状態において遊技が行われる毎に、AT終了判定カウンタ69の記憶値から、当該遊技の差枚数に相当する値を減算する処理を行う。当該遊技(1回の遊技)の差枚数は、メダルの払出数に相当する値(例えば、7枚のメダルの払い出しがあった場合には「7」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から、遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して求められる。そして、演出状態制御手段81は、AT終了判定カウンタ69の記憶値が閾値「0」に達すると、AT演出状態を終了させ、演出状態を通常演出状態に移行させる。
【0077】
また、指示機能制御手段51は、所定の契機で、AT演出状態での出玉性能(メダルの獲得枚数)が超過状態に該当することとなるか否かを判定する判定処理(超過判定処理)を行う。本実施形態では、超過状態を「AT演出状態において、1500回以下の遊技で獲得枚数が2400枚を超える状態」とする。なお、超過状態は、「AT演出状態において、3000回以下の遊技で獲得枚数が4800枚を超える状態」や、「AT演出状態において、10000回以下の遊技で獲得枚数15000枚を超える状態」等としてもよい。
【0078】
本実施形態では、AT演出状態の開始時点において、1遊技あたりのメダルの増加数の期待値(以下、純増枚数)が「6」となるように設計されている。純増枚数は、1遊技あたりのメダルの払出数の期待値から、1遊技あたりのメダルの投入数の期待値を減算することにより算出される。なお、当該算出には、リプレイの入賞が考慮されるが、リプレイの入賞は例えば、リプレイの入賞をその遊技における投入数と同じ数のメダルの払い出しとして算出してもよく、次回の遊技における投入数が「0」になるものとして算出してもよい。
【0079】
指示機能制御手段51は、AT演出状態の開始時に、AT終了判定カウンタ69の記憶値に設定する値(初期値)が決定されたことを契機として、超過判定処理を行う。ここでは、指示機能制御手段51は、初期値としての「500」が設定されたことを契機として、超過判定処理を行う。ここでは、指示機能制御手段51は、AT終了判定カウンタ69の記憶値が「500」であり、AT演出状態での獲得枚数が2400枚を超えない、すなわちAT演出状態での出玉性能が超過状態(1500回以下の遊技で獲得枚数が2400枚を超える)に該当することとならないと判定する。指示機能制御手段51は、超過判定処理において、AT演出状態での出玉性能が超過状態に該当することとならないと判定した場合、超過回避処理(後述する)を行わない。
【0080】
次に、指示機能制御手段51が超過判定処理において、AT演出状態での出玉性能が超過状態に該当することとなる、と判定する場合について説明する。
AT演出状態において、特典付与手段82は、所定の契機で(例えばレア役の当選に基づいて)、AT演出状態の継続期間を増加させるか否かを決定する抽選(上乗せ抽選)を行う。特典付与手段82は、上乗せ抽選に当選し、AT演出状態の継続期間を増加させることが決定すると、所定の差枚数に相当する値をAT終了判定カウンタ69に加算する。換言すると、上乗せ抽選に当選すると(上乗せ抽選により上乗せを実行することが決定されると)、所定の差枚数に相当する値が、AT終了判定カウンタ69に加算される。なお、上乗せにより付与される差枚数は、複数種類の差枚数の中から上乗せ抽選の当選時に選択される等であってもよい。なお、上乗せされる差枚数が例えば2000枚である場合、上乗せされる差枚数が100枚である場合に比べて、上乗せの性能が高い(高性能の上乗せ)といえる。また、上乗せされる枚数の期待値が高い上乗せ抽選ほど、上乗せの性能が高いといえる。
【0081】
図9に示すように、AT演出状態の開始後、30回の遊技すべてにおいて純増枚数が「6」となるようにメダルの払い出しが行われ、30回の遊技が行われた時点で、AT演出状態でメダルを獲得した枚数が180枚となっているものとする。このとき、AT演出状態で遊技が行われるごとに1回分の遊技に相当する値「1」が加算されるAT遊技数カウンタ67の記憶値は「30」となり、AT演出状態で獲得したメダルの枚数に相当する値が加算されるAT獲得枚数カウンタ68の記憶値は「180」となっている。ここで、当該30回の遊技が行われた時点で上乗せ抽選に当選し、差枚数2000枚に相当する値「2000」がAT終了判定カウンタ69に加算されたとする。このとき、AT終了判定カウンタ69の記憶値(残り枚数)は「2320」となる。
【0082】
指示機能制御手段51は、上乗せ抽選に当選したことを契機として(上乗せが行われる場合に)、超過判定処理を行う。ここでは、指示機能制御手段51は、上乗せ抽選に当選し、AT終了判定カウンタ69の記憶値に設定する値(「2000」)が決定されたことを契機として、超過判定処理を行う。なお、本実施形態では、上乗せ抽選に当選したことを契機として超過判定処理を行うものとするが、所定の上乗せ抽選の実行を契機として(実際に上乗せが行われるか否かは問わずに)、超過判定処理が行われるものとしてもよい。本実施形態では、指示機能制御手段51は、高純増区間(純増枚数が「6」である区間)において、「AT演出状態(高純増区間)において獲得したメダルの枚数(AT獲得枚数カウンタ68の記憶値)」と、「AT演出状態において獲得することが決まっているメダルの枚数(AT終了判定カウンタ69の記憶値)」との合計が閾値(2400)を超えた場合に、そのまま遊技が進められると、超過状態に該当することとなる(該当することとなる可能性が高い)と判定する。
図9に示した例では、指示機能制御手段51は、高純増区間において、AT獲得枚数カウンタ68の記憶値が「180」であり、AT終了判定カウンタ69の記憶値が「2320」であり、両者の合計が2400を超えること、および、AT遊技数カウンタ67の記憶値が「30」であり、高純増区間においてこのまま遊技が進められると、1500回以下の遊技回数でAT獲得枚数カウンタ68の記憶値が「2400」を超えること、とを踏まえ、AT演出状態での出玉性能が超過状態(1500回以下の遊技で獲得枚数が2400枚を超える)に該当することとなると判定する。
【0083】
指示機能制御手段51は、超過判定処理において、AT演出状態での出玉性能が超過状態に該当することとなると判定した場合、超過状態に該当するのを回避する処理(超過回避処理)を行う。指示機能制御手段51は、純増枚数を制御し(変更し)、メダルの増加速度を低下させる。具体的には、指示機能制御手段51は、純増枚数を「6」から「1」に変更する(純増枚数を減少させる)。換言すると、本実施形態では、AT演出状態には、純増枚数が異なる2つの区間、すなわち、純増枚数が「6」である区間(高純増区間)と、純増枚数が「1」である区間(低純増区間)と、が設けられており、指示機能制御手段51が高純増区間から低純増区間へと移行させる。
【0084】
指示機能制御手段51は、低純増区間を、打順ナビ演出の発生頻度(発生率)を低下させることにより実現する。換言すると、指示機能制御手段51が、打順ベルに当選した場合であっても、正解打順を報知する打順ナビ演出を実行しないと決定する確率を高くし、低純増区間を実現する。例えば、打順ベルに当選した場合に打順ナビ演出を発生させるか否かを決定する抽選を行っている場合には、当該抽選の当選確率を下げることで、打順ベルに当選した場合であっても打順ナビ演出が実行されない確率が高くなる。また、AT演出状態において、打順ナビ演出を所定の遊技回数に1回の割合で実行させている場合は、当該所定の遊技回数の値をより大きい値とすることで、打順ベルに当選した場合であっても打順ナビ演出が実行されない確率が高くなる。打順ベルに当選した場合であっても打順ナビ演出が実行されないと、正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されない確率が高くなり(ベルBまたはベルCが入賞する確率が低くなり)、純増枚数が減ることとなる。
【0085】
図9に戻る。純増枚数が「6」から「1」に変更された時点では、AT演出状態において30回の遊技が行われているため、1500回の遊技に到達するまでの遊技回数は1470回となっている。純増枚数「1」で1470回の遊技が行われると、1500回の遊技が行われた時点での獲得枚数は1650枚となる。すなわち、AT遊技数カウンタ67の記憶値が「1500」に到達した時点で、AT獲得枚数カウンタ68の記憶値が「1650」(2400より小さい)となる。よって、純増枚数を「6」から「1」に変更することで、AT演出状態での出玉性能が超過状態(1500回以下の遊技で獲得枚数が2400枚を超える)に該当するのを回避できる。
【0086】
本実施形態では、低純増区間(第2指示演出状態)は、高純増区間(第1指示演出状態)よりも純増枚数が小さいが、所定の性能(後述する)が高純増区間よりも有利となっている。換言すると、AT演出状態において、純増枚数が比較的少ないことと、所定の性能が有利となっていることとが、トレードオフの関係となっている。さらに換言すると、低純増区間および高純増区間はともにメダル(遊技価値)が増加する区間であって、1遊技あたりのメダルの増加に関する期待値が異なっており、低純増区間は当該期待値が高純増区間よりも低いが、所定の性能が高純増区間よりも有利となっている。
低純増区間において、所定の性能が高純増区間よりも有利となっていることには、低純増区間において、上乗せの性能が高純増区間よりも有利となっていることがある。上乗せの性能が有利となっているとは、上乗せ抽選の当選確率が高くなっていることや、上乗せ抽選の当選確率は同一だが、上乗せされる枚数の期待値が高く(多く)なっていること、或いは、上乗せ抽選が実行される確率が高くなっていること等がある。
【0087】
AT演出状態において純増枚数が比較的少ない場合(メダルの増加速度が比較的低い場合)、遊技者が不満を抱くおそれがある。しかし、本実施形態では、AT演出状態において、純増枚数が比較的少ない区間において、上述のように所定の性能が有利となっているため、比較的長期間の遊技を行うことができる確率が高くなっている。これにより、最終的に獲得できるメダルの総量が比較的多くなっている。
図9に示した例では、1500回の遊技に到達した時点において、AT終了判定カウンタ69の記憶値が「850」となっており「0」ではないため、AT演出状態での遊技をさらに継続でき、遊技者は、最終的に2500枚という2400枚を超えるメダルを獲得できる。したがって、遊技者に納得感を与え、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【0088】
本実施形態では、AT演出状態において、低純増区間では、打順ベルに当選した場合に打順ナビ演出が実行されない確率が高純増区間よりも高くなっているが、打順ナビ演出が実行される確率が高い場合(すなわち高純増区間)よりも、所定の性能(上乗せの性能)が有利となっている。その一例としては、上乗せ抽選の当選確率が高くなっている。なお、低純増区間において、打順ベル当選時に打順ナビ演出が実行されない場合に、遊技者にとって有利となる特別な抽選が行われるようにようにしてもよい。
また、低純増区間において、打順ナビ演出が行われなかった遊技において正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下された場合には、正解打順に沿わずにストップボタン26a~26cが押下された場合よりも、さらに所定の性能を有利なものとしてもよい(例えば上乗せ抽選の当選確率をさらに高くしてもよい)。
【0089】
また、本実施形態では、AT演出状態の継続をメダルの差枚数により管理するものとしたが、AT演出状態の継続を、AT演出状態での遊技回数やAT演出状態での打順ナビ演出の実行回数により管理するものとしてもよい。すなわち、AT終了判定カウンタ69に、AT演出状態での遊技回数やAT演出状態での打順ナビ演出の実行回数に相当する値が、上乗せ抽選等において加算されるようにしてもよい。
【0090】
また、AT演出状態において、所定の契機で、AT演出状態へ移行する権利を付与するか否かを決定する抽選(AT抽選:第2AT抽選)を行うこととしてもよい。ここでのAT演出状態へ移行する権利は、1回のAT演出状態を1セットとした場合に、1セットのAT演出状態に限らず、2セット以上のAT演出状態であってもよい。また、AT演出状態のセット数(ストック数)は、複数種類のセット数の中から第2AT抽選の当選時に選択される等としてもよい。第2AT抽選に当選すると、所定のセット数に相当する値がATストックカウンタに加算される。この場合、1セットのAT演出状態の終了時にATストックカウンタの記憶値が「1」以上であると、演出状態制御手段81は、次の1セットのAT演出状態を開始させる。
【0091】
また、本実施形態では、低純増区間における上乗せ抽選の当選確率を高純増区間における上乗せ当選確率よりも高くするものとしたが、上記のように第2AT抽選(ストック抽選)を行う場合には、低純増区間における第2AT抽選の当選確率を、高純増区間における第2AT抽選の当選確率よりも高くしてもよい。この場合、低純増区間の方が高純増区間よりもAT演出状態がストックされる確率が高いものとなる。低純増区間において、純増枚数が比較的少ないが、比較的長期間の遊技を行うことができる確率が高くなるため、遊技者に納得感を与え、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【0092】
また、本実施形態では、指示機能制御手段51が、AT演出状態において、このままの状態で遊技が続けられると(確実に)超過状態(AT演出状態において、1500回以下の遊技で2400枚を超える状態)に該当することとなる、と判定した場合に純増枚数を減少させるものとしたが、これに限らず、このままの状態で遊技が続けられると超過状態に該当することとなる可能性が高い場合(すなわち超過状態に該当する確率が所定の値以上となった場合)に純増枚数を減少させるようにしてもよい。一例としては、AT演出状態において、このままの状態で遊技が続けられると、1500回以下の遊技で獲得枚数が2000枚を超える状態に該当することとなる場合に、超過状態に該当することとなる可能性が高いと判定するようにしておよい。超過状態に該当することとなる可能性が高いと判定した場合に純増枚数を減少させることで、超過状態への該当をより確実に回避できる。
【0093】
また、本実施形態では、純増枚数を「6」から「1」に減少させ、超過状態への該当を回避する場合を示したが、超過状態への該当を回避することが可能であれば、純増枚数を段階的に減少させてもよい。また、本実施形態では、純増枚数を減少させる場合を示したが、例えば1500回に到達するまでの残り遊技回数が比較的少なく、純増枚数を増加させても超過状態(AT演出状態において、1500回以下の遊技で2400枚を超える状態)に該当することとならないと判定した場合に、純増枚数を増加させてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、超過状態を回避するように制御するものを示したが、例えば、遊技場において、超過状態に該当する遊技機の数が全体の50%以下であること等の基準が設けられている場合等には、その基準を満たす範囲内で、超過状態に該当することとなる遊技機があってもよい。
【0095】
また、本実施形態では、いわゆるメダルレス遊技機を用いて説明したが、本発明は、次の第2の実施形態に示すようなメダルを用いて遊技を行う遊技機にも適用可能である。その場合、指示機能制御手段は、有利区間における所定の契機で、有利区間の終了条件が成立することとなるか否かを判定する処理(有利区間終了判定処理)を行う。そして、指示機能制御手段は、有利区間でのメダルの獲得数を管理する差枚数カウンタの値が閾値(2400)を超えると判定した場合に、純増枚数を減らす処理を行う。このように構成することで、有利区間が終了するタイミングを遅らせることができる。
【0096】
(第2の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等の遊技機に適用されてもよい。
図10に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12とを備えている。筐体11には、回転自在な第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダル(遊技価値)の払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体11に対して開閉自在となっている。
【0097】
上扉12aには、液晶ディスプレイ(表示手段)13、スピーカ(音出力手段)14などの演出用の装置、および、表示窓16が設けられている。液晶ディスプレイ13は、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、液晶ディスプレイ13やスピーカ14の他にランプ(LED)などの電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
【0098】
表示窓16の奥には、リールユニットが、その一部を表示窓16の外から視認可能に配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの上段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの下段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
【0099】
各リール20a~20cの外周面には、
図11に示すように、赤7図柄「赤7」、青7図柄「青7」、BAR図柄「BAR」、特殊図柄A「SPA」、特殊図柄B「SPB」、リプレイ図柄「RP」、ベル図柄A「BLA」、ベル図柄B「BLB」、スイカ図柄「WM」およびチェリー図柄「CH」の各図柄が配列されている。また、各リール20a~20cの各図柄には、図柄番号0~19が対応付けられている。
【0100】
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0101】
表示窓16の下方には、遊技情報表示部17および有利区間表示器18が設けられている。遊技情報表示部17は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、有利区間表示器18はLEDを有しており、このLEDの点灯および消灯により、有利区間に滞在しているか否かが報知されるようになっている。
【0102】
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットするためのベットボタン23、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー(遊技開始操作手段)24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン(停止操作手段)26a,26b,26c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。また、メダル投入口22の奥には、メダル投入口22から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサ29(
図12参照)が設けられている。
【0103】
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。
【0104】
図12に示すように、スロットマシン10の内部には、メイン制御基板(主制御装置)31と、サブ制御基板(副制御装置)32とが設けられている。メイン制御基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c、メダルセンサ29等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板32は、メイン制御基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出用の装置の制御を行う。
【0105】
また、メイン制御基板31とサブ制御基板32とは電気的に接続されており、メイン制御基板31からサブ制御基板32へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板32からメイン制御基板31へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板31やサブ制御基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0106】
メイン制御基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、リプレイ制御手段46と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
また、サブ制御基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
【0107】
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づき演出サブ制御手段70へ指示を出す。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいは指示演出を行うか否かの情報に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。また、本実施形態において説明する演出制御手段100で行う制御は、指示機能制御手段51で行ってもよく、指示機能制御手段51で行う制御は演出制御手段100で行ってもよい。
【0108】
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口22にメダルが投入されると、メダルセンサ29がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
【0109】
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口22にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
【0110】
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0111】
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。本実施形態の遊技機では、後述するように、遊技状態として、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中状態が設定可能とされ、設定値として、設定1~設定6までの6つの設定値が設定可能とされており、内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
【0112】
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。具体的には、内部抽選テーブルには、
図13に示すような複数の当選エリアが設けられており、乱数発生手段41から取得される乱数値のそれぞれがいずれかの当選エリアに対応付けられている。また、当選エリアには、1または複数の当選役が含まれる(当選役が対応付けられた)当選エリアと、いずれの当選役も含まれない(ハズレが対応付けられた)当選エリアとがある。また、各当選エリア同士は、含まれる当選役の組み合わせが異なっている。そして、乱数発生手段41から取得された乱数値に対応付けられた当選エリアに属する全ての当選役が、内部抽選の結果として当選となるようになっている。以下では、内部抽選において、当選エリアに属する役が当選することを「当選エリアが当選」ともいうこととする。また、いずれの役にも当選しない場合を「当選エリア「不当選」が当選」ともいうこととする。
【0113】
図13に示すように、本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役45が用意されている。また、小役が含まれる当選エリアとして「小役ALL」、「3枚ALL」、「1枚ALL」、「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」、「打順ベルB1」~「打順ベルB4」、「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」、「共通3枚1」、「共通3枚2」、「共通1枚」、「スイカ」、「チャンス目A」、「チャンス目B」、「弱チェリー」および「強チェリー」が用意されている。また、小役1~小役17は入賞すると15枚のメダルが払い出される15枚役となっており、小役18は入賞すると14枚の役が払い出される14枚役となっており、小役19、20は入賞すると3枚の役が払い出される3枚役となっており、小役21~45は入賞すると1枚の役が払い出される1枚役となっている。
なお、以下では、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」をまとめて打順ベルと呼ぶこととする。
【0114】
当選エリア「小役ALL」は、全ての小役(小役1~小役45)が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「3枚ALL」は、全ての3枚役(小役19、小役20)が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「1枚ALL」は、全ての1枚役(小役21~小役45)が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」および「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」は、15枚役のうちいずれか1種類と、1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、15枚役のうちいずれか2種類と1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」は、15枚役(小役17)と14枚役(小役18)と1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「共通3枚1」および「共通3枚2」は、3枚役(小役20)と1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「共通1枚」は、複数種類の1枚役が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「スイカ」、「チャンス目A」、「弱チェリー」および「強チェリー」は、それぞれ異なる1枚役(小役43、小役44、小役41または小役42)が単独で当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「チャンス目B」は、3枚役(小役19)が単独で当選する当選エリアとなっている。
【0115】
また、本実施形態の遊技機では、リプレイとして、リプレイ1~リプレイ7が用意されている。また、リプレイが含まれる当選エリアとして「リプレイ1」~「リプレイ4」が用意されている。
【0116】
当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」は、複数種類のリプレイが重複して当選する当選エリアとなっている。
【0117】
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、ビッグボーナスが用意されている。また、ボーナスが対応付けられた当選エリアとして、ビックボーナスが単独で当選する当選エリア「RBB」が用意されていると共に、当選エリア「共通1枚」、「スイカ」、「チャンス目A」、「チャンス目B」、「弱チェリー」および「強チェリー」はビッグボーナスが重複して当選するように設定されている。また、当選エリア「共通1枚」、「スイカ」、「チャンス目A」、「チャンス目B」、「弱チェリー」および「強チェリー」は、遊技状態が一般中状態の場合には、ビッグボーナスが重複して当選する一方、遊技状態がRBB内部中状態の場合には、ビッグボーナスが重複して当選しないようにとなっている。
なお、本実施形態の遊技機では、ボーナスとしていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しているが、これ以外のボーナスを用いてもよい。また、他のボーナスも併せて搭載することとしてもよい。また、搭載するボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されていてもよく、リプレイや小役と重複して当選するように設定されていてもよい。
【0118】
また、ハズレが対応付けられた当選エリアとして「不当選」が用意されている。
【0119】
各当選エリアは、遊技状態に応じて当選する場合としない場合とが設定されている。換言すると、内部抽選手段42は、遊技状態に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行うようになっており、これにより当選し得る役が変化するようになっている。さらに換言すると、各遊技状態においては、各遊技状態において当選し得る当選エリアが抽選対象に含まれる内部抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。
図4では、各遊技状態において各当選エリアが当選し得るか否かを「〇」印によって示している。すなわち、当選エリア「不当選」、「小役ALL」、「3枚ALL」および「1枚ALL」は、遊技状態がRBB作動中状態の場合に当選し、一般中状態またはRBB内部中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」、「打順ベルB1」~「打順ベルB4」、「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」、「共通3枚1」、「共通3枚2」、「共通1枚」、「スイカ」、「チャンス目A」、「チャンス目B」、「弱チェリー」および「強チェリー」は、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「RBB」は、遊技状態が一般中状態の場合に当選し、RBB内部中状態またはRBB作動中状態では当選しないようになっている。
【0120】
各当選エリアには、それぞれに異なる当選エリア番号が付されている。そして、当選エリア番号によって各当選エリアが識別可能となっている。
【0121】
また、本実施形態の遊技機では、一般中状態とRBB内部中状態とで小役の当選確率が同一となっている。また、一般中状態とRBB内部中状態とでリプレイの当選確率が同一となっている。また、RBB作動中状態ではリプレイに当選しないようになっている。換言すると、一般中状態およびBB内部中状態では、RBB作動中状態よりもリプレイの当選確率が高くなっている。
【0122】
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
【0123】
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナスがある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ビッグボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
【0124】
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると、遊技状態に応じて選択される複数の内部抽選テーブルからなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
【0125】
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0126】
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0127】
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が一般中状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態(非有利区間演出状態)となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段72のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
【0128】
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
【0129】
すなわち、リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序(打順)によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
【0130】
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
【0131】
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
【0132】
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
【0133】
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0134】
図14に示すように、打順ベルには、それぞれ正解打順と不正解打順とが設定されている。なお、
図14は、RBB内部中状態において各当選エリアが当選した場合の、停止操作の態様と入賞する役との関係を示したものである。打順ベルの各当選エリアは、RBB内部中状態において当選した場合に、正解打順で操作がされると15枚役が入賞し得るようになっており、不正解打順で操作がされると1枚役が入賞し得るようになっている。換言すると、RBB内部中状態においていずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役1~16を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役21~小役40を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0135】
具体的には、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」および「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」は、正解打順で操作がされ、かつ、最初に停止されるリール20a~20cにおける青7図柄が含まれる所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号0~9のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合に、15枚役が入賞するようになっている。換言すると、正解打順で操作をし、かつ、青7図柄を狙って第1停止操作を行うことで、15枚役を入賞させることが可能となっている。また、「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」および「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」は、不正解打順で操作がされた場合、および、正解打順で操作がされ最初に停止されるリール20a~20cにおける青7図柄が含まれない所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号10~19のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合には、1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないようになっている。
【0136】
また、当選エリア「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」および「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」は、正解打順で操作がされ、かつ、最初に停止されるリール20a~20cにおける赤7図柄が含まれる所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号10~19のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合に、15枚役が入賞するようになっている。換言すると、正解打順で操作をし、かつ、赤7図柄を狙って第1停止操作を行うことで、15枚役を入賞させることが可能となっている。また、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」および「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」は、不正解打順で操作がされた場合、および、正解打順で操作がされ最初に停止されるリールにおける赤7図柄が含まれない所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号0~9の間のいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合には、1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないようになっている。
【0137】
また、当選エリア「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、正解打順で操作がされると、15枚役が入賞するようになっている。また、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、不正解打順で操作がされると、1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないようになっている。
【0138】
また、各打順ベルの正解打順は1通りに定められており、他の5通りの打順は不正解打順とされている。また、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、当選エリア「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、当選エリア「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、当選エリア「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。なお、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、当選エリア「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、当選エリア「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、当選エリア「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、打順3~打順6のいずれかが正解打順に設定されており、打順1および打順2は、不正解打順に設定されている。
【0139】
また、打順ベルの各当選エリアは、一般中状態において当選したときには、RBB内部中状態であれば15枚役が入賞する態様(正解打順および所定のタイミング)で停止操作がされた場合であっても、1枚役が入賞する(15枚役が入賞しない)ようになっている。また、打順ベルの各当選エリアは、一般中状態において当選した場合であって、第1停止操作がRBB内部中状態における正解打順に則したものであった場合(第1停止操作が正解であった場合)、1枚役が必ず入賞する(取りこぼしがない)ようになっている。
【0140】
当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」は、RBB内部中状態において当選した場合に、打順1または打順2で停止操作がされると14枚役が入賞するようになっている。また、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」は、RBB内部中状態において当選した場合に、打順3~打順6のいずれかで停止操作がされると停止操作のタイミングに応じて所定の確率(1/10の確率)で15枚役が入賞し、所定の確率(9/10の確率)で1枚役が入賞するようになっている。なお、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」のそれぞれは、15枚役を入賞させるための停止操作のタイミングがそれぞれ異なっている。
【0141】
また、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」は、一般中状態において当選したときには、RBB内部中状態における14枚役が入賞する打順(打順1および打順2)で停止操作がされた場合であっても、1枚役が(必ず)入賞するようになっている。
【0142】
なお、
図14における括弧書きの内容は、その打順(および、前述した青7図柄あるいは赤7図柄が含まれる所定範囲内の図柄が所定の表示位置に位置している所定の状態)で停止操作が行われた場合における、1枚役および15枚役の入賞率を示している。例えば、「1枚(1/4)」という表記は、停止操作のタイミングが(前記所定範囲内において)ランダムであることを前提として、1/4の確率で1枚役が入賞し、3/4の確率で1枚役を取りこぼす(1枚役が入賞しない)ことを示している。
【0143】
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
【0144】
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパー装置に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパー装置によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
【0145】
本実施形態の遊技機では、小役1~小役17に入賞すると15枚のメダルが払い出され、小役18に入賞すると14枚のメダルが払い出され、小役19、小役20に入賞すると3枚のメダルが払い出され、小役21~小役45に入賞すると1枚のメダルが払い出されるようになっている。
【0146】
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ制御手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
【0147】
遊技状態制御手段49は、
図15に示すように、一般中状態、RBB内部中状態(ボーナス成立状態)およびRBB作動中状態(ボーナス状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
【0148】
また上述のように、内部抽選手段42は、遊技状態に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。具体的には、一般中状態では、ビッグボーナスが抽選対象に設定されている内部抽選テーブルを参照して内部抽選を行う。また、RBB内部中状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選を行う。また、RBB作動中状態では、ビッグボーナスが抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選を行う。
【0149】
遊技状態は、初期状態においては、一般中状態となっている。一般中状態においては、当選エリア「不当選」、「小役ALL」、「3枚ALL」および「1枚ALL」を除く全ての当選エリアが抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、一般中状態からはRBB内部中状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、一般中状態においてビッグボーナスが当選した場合に、遊技状態をRBB内部中状態へ移行させる。
【0150】
RBB内部中状態は、内部抽選でビッグボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。RBB内部中状態では、当選エリア「不当選」、「小役ALL」、「3枚ALL」、「1枚ALL」および「RBB」を除く全ての当選エリアが抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB内部中状態では、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をRBB内部中状態からRBB作動中状態へ移行させる。
【0151】
RBB作動中状態は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中状態では、当選エリア「不当選」、「小役ALL」、「3枚ALL」および「1枚ALL」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB作動中状態では、RBB作動中状態において払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、83枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、RBB作動中状態を終了させて、遊技状態を一般中状態へ移行させる。
なお、本実施形態では、RBB作動中状態の終了条件がメダルの払出数の合計によって定められているが、RBB作動中状態での遊技回数や小役の入賞回数等によって終了条件が定められていてもよい。またRBB作動中状態は、1回の遊技で終了するように終了条件が定められたものであってもよい。
【0152】
指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典付与手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、有利区間において特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知して15枚役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。そして、この決定に基づいて、演出制御手段100が、打順ナビ演出を液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出装置に実行させるようになっている。
【0153】
遊技区間制御手段80は、
図16に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典付与手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(ここでは、1500回とする)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態では指示演出を行うことができず、有利区間に設定されている場合に限り指示演出を行うことができるようになっている。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である1500回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
【0154】
特典付与手段82は、非有利区間においては、所定契機で有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、所定の役(例えば、当選エリア「スイカ」、「チャンス目A」、「チャンス目B」、「弱チェリー」、「強チェリー」等:以下、これらの当選エリアをレア役と呼ぶ)の当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。そして、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
【0155】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー24に対する遊技開始操作を契機として、記憶手段60のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ65の記憶値に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ65への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値がしきい値(上限値)「1500」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が1500回に設定されており、有利区間において1500回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
【0156】
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において、記憶手段60のRAMに設けられた差枚数カウンタ64の記憶値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、15枚のメダルの払い出しがあった場合には「15」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタ64の記憶値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタ64への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタ64の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタ64の記憶値がしきい値(例えば、「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタ64の記憶値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタ64の記憶値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタ64の記憶値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタの記憶値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
【0157】
また、有利区間表示器18は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。
なお、有利区間表示器18は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初の指示演出を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
【0158】
演出状態制御手段81は、
図16に示すように、非有利区間演出状態、通常演出状態、特別演出状態、およびAT演出状態(指示演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
【0159】
非有利区間演出状態は、複数種類の演出状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間においては、演出状態制御手段81は、演出状態を非有利区間演出状態に設定している。非有利区間演出状態(非有利区間)においては、上述のように特典付与手段82が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に移行させる。
【0160】
演出制御手段100は、演出状態が特別演出状態またはAT演出状態である場合に、打順ベルが当選すると、正解打順を報知して15枚役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出装置に実行させる制御を行う。打順ベルが当選し、指示演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると必ず15枚役が入賞して15枚のメダルを獲得することができるようになっている。なお、打順ナビ演出を行う場合には、遊技情報表示部17の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。また、通常演出状態において打順ナビ演出が行われることがあってもよいが、その発生頻度は特別演出状態およびAT演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、或いは全く行われないようになっている。
【0161】
通常演出状態は、有利区間が開始される際に基本的に移行する演出状態であり、有利区間の開始時については、通常演出状態に移行する確率が他の演出状態に移行する確率よりも高く設定されている。通常演出状態では、特典付与手段82が、所定の契機で(レア役に当選に基づいて)、特別演出状態へ移行させるか否かを決定する抽選(特別抽選)を行う。通常演出状態において、特典付与手段82が特別演出状態へ移行させると決定すると、演出状態制御手段81は、演出状態を特別演出状態へ移行させる。本実施形態では、特別演出状態は、純増枚数が「6」となるように設計されている。特別演出状態には、特別演出状態Aと、特別演出状態Bと、特別演出状態Cと、がある。特別演出状態A~特別演出状態Cは付与される利益(メダルの獲得枚数)が異なっており、特別演出状態Aのメダル払出数は80枚である。特別演出状態Bのメダル払出数は120枚である。特別演出状態Cのメダル払出数は180枚である。換言すると、特別演出状態Aは80枚を超えるメダルの払い出しで終了し、特別演出状態Bは120枚を超えるメダルの払い出しで終了し、特別演出状態Cは180枚を超えるメダルの払い出しで終了する。
【0162】
特別演出状態において、特典付与手段82は、所定の契機で(レア役に当選に基づいて)、AT演出状態へ移行する権利を付与するか否かを決定する抽選(第1AT抽選)を行う。特典付与手段82は、第1AT抽選の結果、AT演出状態へ移行する権利を付与することが決定すると、記憶手段60のRAMに設けられたATストックカウンタ90に、1セットのAT演出状態に相当する値「1」を設定する(AT演出状態のストック数を「1」増加させる)。なお、第1AT抽選の当選によって付与されるセット数(ストック数)は1セットに限らず2セット以上であってもよく、複数種類のセット数から第1AT抽選の当選時に選択される等としてもよい。
【0163】
演出状態制御手段81は、特別演出状態において所定枚数を超えるメダルが払い出されると、特別演出状態を終了させる。このとき、ATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であれば、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させるとともに、ATストックカウンタ90の記憶値を「1」減算する。一方、演出状態制御手段81は、特別演出状態を終了させる際に、ATストックカウンタ90の記憶値が「0」であれば、演出状態を通常演出状態へ移行させる。なお、このとき演出状態を非有利区間演出状態へ移行させることとしてもよく、その場合には、遊技区間制御手段80が、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。
【0164】
本実施形態では、AT演出状態には、特別AT演出状態と本AT演出状態とが設けられている。特別演出状態からAT演出状態へ移行すると、まず特別AT演出状態で遊技が行われる。特別AT演出状態は、所定回数の遊技が行われると終了する。演出状態制御手段81は、演出状態を特別AT演出状態へ移行させる際に、記憶手段60のRAMに設けられた特別AT遊技数カウンタ67に、特別AT演出状態での所定の遊技回数(例えば10回)に相当する値を設定する。なお、特別AT演出状態の遊技回数は、抽選等によって定められるものであってもよい。演出状態制御手段81は、特別AT演出状態において遊技が行われるごとに、特別AT遊技数カウンタ67の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値「1」を減算する。そして、演出状態制御手段81は、特別AT演出状態で所定回数の遊技が行われると(特別AT遊技数カウンタ67の記憶値が「0」となると)、特別AT演出状態を終了させ、演出状態を本AT演出状態へ移行させる。
【0165】
また、特別AT演出状態において、特典付与手段82は、本AT演出状態での遊技回数を決定する抽選(第1上乗せ抽選)を行う。本AT演出状態の遊技回数は、例えば第1上乗せ抽選の抽選結果に基づいて定められる。本実施形態では、特典付与手段82が、特別AT演出状態での各遊技において第1上乗せ抽選を行うものとするが、第1上乗せ抽選は所定の役の当選に基づいて行われるものであってもよく、また所定回数(例えば2回)の遊技に1回の頻度で行われるものでもよい。特典付与手段82は、第1上乗せ抽選で決定された本AT演出状態での遊技回数に相当する値を、本AT遊技数カウンタ68に設定する。そして、本AT演出状態が開始されると、本AT演出状態において遊技が行われるごとに、演出状態制御手段81が、本AT遊技数カウンタ68の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値「1」を減算する。
【0166】
ここで、所定回数の遊技が行われる特別AT演出状態と、特別AT演出状態において決定された回数の遊技が行われる本AT演出状態とを、1セットのAT演出状態とする。本AT演出状態において、特典付与手段82は、所定の契機で(レア役に当選に基づいて)、AT演出状態へ移行する権利を付与するか否かを決定する抽選(第2AT抽選)を行う。AT演出状態へ移行する権利は、1回のAT演出状態を1セットとした場合に、1セットのAT演出状態に限らず、2セット以上のAT演出状態であってもよい。また、AT演出状態のセット数(ストック数)は、複数種類のセット数の中から第2AT抽選の当選時に選択される等としてもよい。第2AT抽選に当選すると、特典付与手段82は、所定のセット数に相当する値をATストックカウンタ90に加算する。
【0167】
本AT演出状態において遊技が行われ、本AT遊技数カウンタ68の記憶値が「0」になると、演出状態制御手段81は、本AT演出状態を終了させる。このとき、演出状態制御手段81は、ATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であれば、次の1セットのAT演出状態を開始させるとともに、ATストックカウンタ90の記憶値を「1」減算する。一方、演出状態制御手段81は、本AT演出状態を終了させる際に、ATストックカウンタ90の記憶値が「0」であると、演出状態を非有利区間演出状態へ移行させる。このとき、遊技区間制御手段80は、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、このとき、演出状態制御手段81が演出状態を特別演出状態または通常演出状態へ移行させてもよく、その場合には、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間へ移行させない。
【0168】
本実施形態では、非有利区間演出状態から通常演出状態へ移行し、通常演出状態から特別演出状態へ移行し、特別演出状態からAT演出状態へ移行するものとしたが、非有利区間演出状態から特別演出状態またはAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。例えば、有利区間移行抽選において、単に有利区間への移行の可否を決定するのではなく、演出状態をAT演出状態に移行させるか、特別演出状態に移行させるか、通常演出状態へ移行させるか、それとも非有利区間演出状態のまま移行させないか抽選することとしてもよい。また、通常演出状態からAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。なお、非有利区間演出状態(または通常演出状態)からAT演出状態へ直接移行する確率は、設定1よりも設定6の方が高いというように設定毎に異ならせてもよく、すべての設定値において同じ確率としてもよい。
【0169】
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態がボーナス成立状態である場合にAT演出状態に移行し、遊技状態が通常状態やボーナス状態においてはAT演出状態に移行しないようになっていてもよい。換言すると、通常状態やボーナス状態においては、例えば、第1AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、第1AT抽選を行わないようにしてもよい。
【0170】
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がボーナス成立状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するボーナス状態の終了後に通常状態を経由して再びボーナス成立状態に移行するまでの間、AT演出状態を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞すると打順ナビ演出を止め、再びボーナス成立状態に移行すると打順ナビ演出を再開させるようにしてもよい。
【0171】
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が非有利区間に移行する際に、指示機能に係る情報として記憶手段60のRAMに記憶されている情報を初期化する指示機能情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値、差枚数カウンタ64の記憶値、指示機能に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、特別AT遊技数カウンタ67の記憶値、本AT遊技数カウンタ68の記憶値、およびATストックカウンタ90の記憶値等を初期化する。すなわち、指示機能に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、初期化手段48が、設定値が変更された際に行う上述の初期化処理を行うと、ここで示した指示演出に係る情報も初期化されるようになっている。
【0172】
(ATレベル)
特別AT演出状態において、特典付与手段82は、本AT演出状態のATレベル(純増枚数)を決定する抽選(ATレベル抽選)を行う。本実施形態では、ATレベルには、ATレベル1、ATレベル2、ATレベル3、およびATレベル4の4段階のATレベルがあり、ATレベル抽選によっていずれのATレベルとするかが決定される。ATレベル1からATレベル4に向かうほどATレベルが高くなるといい、ATレベル4からATレベル1に向かうほどATレベルは低くなるという。ATレベルが高いほど遊技者にとって有利となっている。本実施形態では、ATレベル1~ATレベル4は、純増枚数が異なっており、ATレベルが高いほど純増枚数が多く、有利度が高くなっている。ATレベル1は、純増枚数が「1」に設計されている。ATレベル2は、純増枚数が「2」に設計されている。ATレベル3は、純増枚数が「4」に設計されている。ATレベル4は、純増枚数が「6」に設計されている。このようにATレベル1からATレベル4に向かうほど純増枚数が大きくなっている。なお、特典付与手段82は、特別AT演出状態を終了させる際にATレベル抽選を行い、本AT演出状態のATレベルを決定するようにしてもよい。
【0173】
有利区間が開始されてから最初の特別AT演出状態(一連のAT演出状態の開始時の特別AT演出状態)では、ATレベル抽選によって、本AT演出状態に対して、純増枚数が比較的少ないATレベル(低いATレベル)が設定される確率が高くなっている。つまり、当該ATレベル抽選では、ATレベル1、ATレベル2、ATレベル3、ATレベル4の順に設定される確率が低くなっている。
【0174】
特別AT演出状態では、純増枚数が「6」に設計されている。本AT演出状態の終了時(本AT遊技数カウンタ68の記憶値が「0」)に、ATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であると特別AT演出状態へ移行し、特別AT演出状態において、本AT演出状態のATレベルが再決定(再設定)される。なお、本AT演出状態で遊技が行われている間に(本AT演出状態の途中で)、所定の契機で(レア役の当選に基づいて)特別AT演出状態へ移行させ、当該特別AT演出状態の終了後に本AT演出状態を再開させるようにしてもよい。その場合には、当該特別AT演出状態から本AT演出状態へ移行する際にATレベルの再設定はせず、特別AT演出状態へ移行する前に本AT演出状態に設定されていたATレベルと同じATレベルとする。
【0175】
なお、本AT演出状態の終了時(本AT遊技数カウンタ68の記憶値が「0」)に、ATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であり特別AT演出状態へ移行する場合、当該特別AT演出状態の純増枚数(ATレベル)は、直前の本AT演出状態の純増枚数(ATレベル)と同一となる(引き継ぐ)ようにしてもよい。例えば、ATレベル1の本AT演出状態の終了後に特別AT演出状態へ移行する場合、当該特別AT演出状態はATレベル1となるようにしてもよい。
【0176】
また、本AT演出状態で遊技が行われている間に、所定の契機で(レア役の当選に基づいて)特別AT演出状態へ移行させ、当該特別AT演出状態の終了後に本AT演出状態を再開させるようにしてもよい。その場合の当該特別AT演出状態では、本AT演出状態のATレベル(純増枚数)を引き継ぐようにしてもよい。すなわち、当該特別AT演出状態において、本AT演出状態のATレベル(純増枚数)と同一のATレベル(純増枚数)で遊技が行われるようにしてもよい。
【0177】
有利区間が開始されてから最初(初回)の特別AT演出状態では、ATレベル抽選によって、本AT演出状態のATレベルが、ATレベル1からATレベル4のいずれかに決定される。本AT演出状態の終了時(本AT遊技数カウンタ68の記憶値が「0」)に、ATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であると特別AT演出状態へ移行するが、2回目以降の特別AT演出状態では、ATレベル昇格抽選が行われる。ATレベル昇格抽選に当選すると、ATレベルが1段階上がる。すなわち、ATレベル昇格抽選では、本AT演出状態のATレベルを、1段階上のATレベルとするか否かが決定される。このATレベル昇格抽選において、当選する確率(1段階昇格させることが決定する確率)は、設定されているATレベル(直前の本AT演出状態のATレベル)が低いほど高くなっている。なお、ATレベル昇格抽選に当選しない場合(不当選の場合)、本AT演出状態のATレベルは、設定されているATレベルのままとし、ATレベルが降格しないようにしてもよい。
また、2回目以降の特別AT演出状態においてもATレベル抽選(ATレベル1からATレベル4のいずれかとすることを決定する抽選)が行われるようにしてもよい。この場合、ATレベルは、設定されているATレベル(直前の本AT演出状態のATレベル)が低いほど、ATレベル抽選において、より高い(より上位の)ATレベルが決定(選択)される確率が高くなっており、設定されているATレベル(直前の本AT演出状態のATレベル)が高いほど、ATレベル抽選において、より高い(より上位の)ATレベルが決定(選択)される確率が低くなっている。例えば、ATレベル1の本AT演出状態が行われた後のATレベル抽選において、ATレベル2が決定される確率は、ATレベル3の本AT演出状態が行われた後のATレベル抽選において、ATレベル4が決定される確率よりも高くなっている。すなわち、ATレベルが低いほど、ATレベルが高い場合に比べて、次の本AT演出状態におけるATレベルがより上位のATレベルとなる確率が高くなっている。
【0178】
本実施形態では、一連のAT演出状態において、純増枚数が比較的少ないことと、ATレベルを決定する抽選(ATレベル抽選またはATレベル昇格抽選)で上位のATレベルとすることが決定される確率が高いこととが、トレードオフの関係となっている。ここで、AT演出状態における純増枚数が比較的多い区間を第1指示演出状態(高純増区間)とし、AT演出状態における純増枚数が比較的少ない区間を第2指示演出状態(低純増区間)とする。換言すると、高純増区間はATレベルが高レベルのAT演出状態であり、低純増区間はATレベルが低レベルのAT演出状態である。第1指示演出状態および第2指示演出状態はともにメダルが増加する区間であって1遊技あたりのメダルの増加に関する期待値が異なっており、第2指示演出状態は当該期待値が第1指示演出状態よりも低いが、所定の性能(ATレベルを決定する抽選で上位のATレベルとすることが決定される確率)が第1指示演出状態よりも有利となっている。
【0179】
AT演出状態において純増枚数が比較的少ない場合(メダルの増加速度が比較的低い場合)、遊技者が不満を抱くおそれがある。しかし、本実施形態では、純増枚数が比較的少ない場合には、次の本AT演出状態の純増枚数が比較的多い枚数となる確率が高くなっている。このため、遊技者に納得感を与え、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【0180】
なお、特別演出状態CからAT演出状態へ移行した場合、通常演出状態(または非有利区間演出状態)からAT演出状態へ直接移行した場合、およびメダルの獲得枚数(差枚数)が2400枚であるAT演出状態への移行が確定した場合におけるATレベル抽選では、ATレベル4が設定されるようにしてもよい。また、特別演出状態Cにおける所定の遊技でフリーズ演出が行われてもよい。フリーズ演出では、例えば、ストップボタン26a~26cの停止操作の検出が所定時間無効化され、リール20a~リール20cが所定の態様で回転制御される。
【0181】
また、AT演出状態において、上乗せ等によって有利区間でのメダルの獲得枚数(差枚数)が2400枚に到達することが確定した時点で、いずれのATレベルであるかに関わらずATレベル4を設定することとしてもよい。なお、その場合、当該確定したことを報知する所定の演出(例えばエンディング演出)を実行することとしてもよい。また、エンディング演出は、当該確定した時点では開始させずに、メダルの獲得枚数が所定の値(例えば2000枚)に到達した時点で開始させることとしてもよい。
【0182】
また、本AT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「0」である場合において、当該本AT演出状態のATレベルがATレベル2以上であった場合には、ATストックカウンタ90の記憶値が「0」であっても特別AT演出状態へ移行させることとしてもよい。その場合には、直前の本AT演出状態で設定されているATレベルから1段階下げたATレベルとして特別AT演出状態を開始させてもよい。
【0183】
また、本実施形態では、本AT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上である場合に特別AT演出状態へ移行させるものとしたが、特別AT演出状態へ移行させずに本AT演出状態を開始させてもよい。その場合、本AT演出状態を開始させる前にATレベルを決定する抽選を行い、(次の)本AT演出状態のATレベルを決定する。
また、第1AT抽選に当選し、特別演出状態からAT演出状態へ移行する場合に、特別AT演出状態に移行せずに、直接、特別演出状態から本AT演出状態へ移行するようにしてもよい。その場合、本AT演出状態を開始させる前にATレベルを決定する抽選を行い、本AT演出状態のATレベルを決定する。
【0184】
また、本AT演出状態(1セット)が所定回数(例えば3回)連続して行われ、いずれの本AT演出状態もATレベル1であった場合に、次の本AT演出状態はATレベル2以上となるようにしてもよい。これにより、純増枚数の少ない本AT演出状態を繰り返す遊技者を救済できる。また、本AT演出状態(1セット)が開始されると、当該本AT演出状態(1セット)が終了するまでは、ATレベルが転落(降格)しないようにしてもよい。
【0185】
また、本実施形態では、有利区間が開始されてから最初の特別AT演出状態では、純増枚数が少ないATレベルほど選択される確率が高いものとした。ただし、これに限らず、AT演出状態への移行が確定するまでに要した遊技回数(例えば通常演出状態において実行された遊技の回数)に基づいてATレベルが決定されるものとしてもよい。設定値が高い方がAT演出状態への移行が決定される確率が高くなっており、その結果として、高設定の方が比較的短期間でAT演出状態へ移行する確率が高くなっている。このため、高設定の方が低いATレベルが選択される確率が高く、低設定の方が高いATレベルが選択される確率が高くなる。
【0186】
(第2の実施の形態の変形例)
本実施形態では、特別演出状態において純増枚数が一定(一律)となっているものとしたが、
図17に示すように、特別演出状態に、純増枚数が異なる複数の状態(すなわち第1特別演出状態と第2特別演出状態)が設けられていてもよい。
【0187】
(第2特別演出状態)
第2特別演出状態(第2指示演出状態:低純増区間)の純増枚数は「2」に設計されている。また、第2特別演出状態の遊技回数は不定となっている。第2特別演出状態において、演出状態制御手段81は、所定の契機で(リプレイの当選に基づき)、演出状態を第1特別演出状態へ移行させる。
【0188】
(第1特別演出状態)
第1特別演出状態(第1指示演出状態:高純増区間)の純増枚数は「6」に設計されている。また、第1特別演出状態の遊技回数は15回となっている。第1特別演出状態において15回の遊技が行われると、演出状態制御手段81は、演出状態を第2特別演出状態へ移行させる。
【0189】
第1特別演出状態の遊技回数は不定となっており、リプレイの当選確率(1/7.3)が打順ベルの当選確率よりも低いものとなっている(打順ベルの当選確率がリプレイの当選確率よりも高くなっている)。このため、第1特別演出状態の遊技回数は、第2特別演出状態の遊技回数(15回)よりも多い遊技回数となり得るものとなっている。
【0190】
本変形例の特別演出状態では、純増枚数が比較的少ないことと、遊技回数が比較的多くなり得ること(期間が比較的長くなり得ること)とが、トレードオフの関係となっている。第1特別演出状態および第2特別演出状態はともにメダルが増加する区間であって、1遊技あたりのメダルの増加に関する期待値が異なっており、第2特別演出状態は当該期待値が第1特別演出状態よりも低いが、所定の性能(遊技回数)が第1特別演出状態よりも比較的多くなり得るため、有利となっている。すなわち第2特別演出状態は、第1特別演出状態に比べて純増枚数が少ないが、第1特別演出状態よりも長い期間の遊技が行い得るように設計されている。
【0191】
AT演出状態において、純増枚数比較的少ない場合(メダルの増加速度が比較的低い場合)、遊技者が不満を抱くおそれがある。しかし、本変形例では、純増枚数が比較的少ない場合には比較的長期間の遊技を行い得るようになっている。このため、遊技者に納得感を与え、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。また、特別演出状態ではAT抽選(第1AT抽選)が行われるが、第2特別演出状態の期間が比較的長くなることは、メダルが増える区間(メダルが減らない区間)でより長く遊技できるとともに、第1AT抽選の機会がより多く付与されることとなる。このため、遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【0192】
(ペナルティ)
また、本実施形態では、
図14で示したように、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、当選エリア「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、当選エリア「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、当選エリア「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」は、打順3~打順6のいずれかが正解打順に設定されており、打順1および打順2は、不正解打順に設定されている(すなわち正解打順に設定されていない)。そして、打順1または打順2で停止操作がされると1枚役が(必ず)入賞するようになっている。このように打順1~打順2と、打順3~打順6とで差異がある点を踏まえ(均等となっていない点を踏まえ)、当選エリア「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、当選エリア「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、当選エリア「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、当選エリア「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」および「打順ベルB1」~「打順ベルB4」のいずれかに当選した場合であって、打順1または打順2ではなく、打順3~打順6のいずれかで停止操作された場合に、ペナルティが付与されることとしてもよい。ペナルティとしては、例えば当該遊技(1回の遊技)においては所定の抽選が行われないこととしてもよい。当該所定の抽選には、所定の特典の付与の可否を決定する抽選があり、例えばAT演出状態へ移行する権利を付与するか否かを決定するAT抽選等がある。なお、当該遊技において所定の抽選は行われることとしてもよい。その場合には、抽選(例えばAT抽選)に当選し、所定の特典(例えばAT演出状態へ移行する権利)の付与が決定されたとしても、その当選(決定)が無かったこととされるものとする。なお、ペナルティが付与されるのは当該遊技(1回の遊技)のみであるため、仮に遊技者が遊技をやめて別の遊技者が遊技を開始した場合であっても、後の遊技者がペナルティに基づく不利益を被ることはない。
【0193】
また、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」は、RBB内部中状態において当選した場合に、打順1または打順2で停止操作がされると14枚役が入賞し、打順3~打順6のいずれかで停止操作がされると停止操作のタイミングに応じて所定の確率(1/10の確率)で15枚役が入賞し、所定の確率(9/10の確率)で1枚役が入賞するようになっている。打順3~打順6での停止操作によって入賞する可能性がある15枚役は、打順1~打順2での停止操作により入賞する14枚役よりも配当が多くなっている。
【0194】
RBB内部中状態において、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」に当選し、打順3~打順6のいずれかの打順を正解打順として報知する打順ナビ演出が実行された遊技において、当該打順ナビ演出に従って停止操作がされた場合、1枚役が入賞する確率が、15枚役が入賞する確率よりも高くなっている。一方で、当該打順ナビ演出に従わずに打順1または打順2で停止操作がされた場合、14枚役が入賞するようになっている。そこで、後者のように当該打順ナビ演出に従わずに打順1または打順2で停止操作して14枚役を入賞させた場合に、ペナルティが付与されることとしてもよい。ペナルティとしては、当該遊技(1回の遊技)において、所定の抽選(例えばAT抽選)が行われないというもの等がある。なお、当該所定の抽選は行われるが、打順ナビ演出に従わずに14枚役を入賞させた場合における当該抽選の当選確率を、打順ナビ演出に従って1枚役を入賞させた場合における当該抽選の当選確率よりも低くしてもよい。
また、当選エリア「打順チャンス役1」~「打順チャンス役10」に当選し、打順3~打順6のいずれかの打順を正解打順として報知する打順ナビ演出が実行された遊技において、当該打順ナビ演出に従って所定のタイミングで停止操作がされ、15枚役が入賞した場合に、同様のペナルティが付与されることとしてもよい。例えば、当該打順ナビ演出に従って、かつ所定の図柄が所定の表示位置に表示されるタイミングで停止操作がされた場合に1枚役が入賞し、当該打順ナビ演出に従って、かつ所定の図柄が所定の表示位置に表示されるタイミングで停止操作がされなかった場合に15枚役が入賞する場合に、後者の入賞をした場合には、ペナルティが付与されることとしてもよい。
【0195】
また、ペナルティとして、当該遊技の遊技回数(1回)に相当する値を、所定のカウンタに加算しないこととしてもよい。所定のカウンタとは、例えば特典を付与するか否かを決定するのに用いられるカウンタ(値が加算されることによって遊技者にとって有利となるカウンタ)である。例えば、所定の演出状態(例えば通常演出状態)において所定回数の遊技が行われ、当該遊技の回数を計測するカウンタの記憶値が閾値に到達すると、特典としてのAT演出状態へ移行する権利が付与される場合がある(いわゆる天井が設定されている場合がある)。その場合においてペナルティが付与されると、当該遊技の遊技回数(1回)が、当該カウンタの記憶値に加算されないこととなる。これにより、特典の付与が決定されるまでに要する期間がより長いものとなる。
【0196】
なお、本実施形態では、スロットマシンとして遊技媒体(メダル)を使用するものを示したが、スロットマシンは、遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能な遊技機(いわゆるメダルレス遊技機)であってもよい。このメダルレス遊技機では、メダル等の遊技媒体が、電子化された情報(電子情報)によって管理され、この電子情報によってベットや払い出しが行われる。すなわち、メダル等の遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能である。本実施の形態では、メダル等の遊技媒体と、遊技媒体が電子化された電子情報とを含む概念を、遊技価値とする。
【0197】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施形態に係る遊技機は、基本的に第2の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第2の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0198】
本実施形態では、
図18に示すように、演出状態制御手段81は、非有利区間演出状態、区間決定演出状態、低確率演出状態(低確率状態)、通常確率演出状態(通常確率状態)、およびAT演出状態(指示演出状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。
【0199】
非有利区間演出状態(非有利区間)においては、特典付与手段82が所定の契機で(レア役の当選に基づいて)有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を区間決定演出状態へ移行させる。この区間決定演出状態は、有利区間開始時に必ず移行する演出状態である。
【0200】
区間決定演出状態では、所定回数の遊技が行われる。本実施形態では、当該所定回数を5回とする。区間決定演出状態では、特典付与手段82が、遊技ごとに(各遊技で)ポイント付与抽選を行い、演出制御手段100が、ポイント付与抽選の結果を報知するポイント付与演出を実行する。なお、ポイント付与抽選の結果、ポイントが付与されないこと(0ポイントの付与)が決定した場合には、ポイント付与演出が実行されないようにしてもよい。
【0201】
特典付与手段82は、設定値記憶領域63に記憶されている設定値と、記憶手段60のROMに記憶されているテーブル(ポイント抽選テーブル)(
図19)とを参照してポイント付与抽選を行う。
図19に示すように、本実施形態では設定値ごとに異なるテーブルが用意されており、特典付与手段82は、設定値に応じたテーブルを用いてポイント付与抽選を行う。特典付与手段82は、ポイント付与抽選の抽選結果に基づき、所定のポイントに相当する値を、記憶手段60のRAMに設けられたポイントカウンタ91(
図12参照)に加算する。
【0202】
図19に示すように、設定1の場合、ポイント付与抽選で、0ポイントの付与が決定される(すなわちポイントを加算しないことが決定される)確率が95.0%となっている。また、1ポイントの付与が決定される確率が1.0%となっている。また、2ポイントの付与が決定される確率が1.0%となっている。また、3ポイントの付与が決定される確率が1.0%となっている。また、5ポイントの付与が決定される確率が1.0%となっている。また、10ポイントの付与が決定される確率が1.0%となっている。なお、1回の遊技で付与されるポイントの平均は0.21ポイントであり、5回の遊技で付与されるポイントの平均は1.05ポイントである。
【0203】
設定6の場合、ポイント付与抽選で、0ポイントの付与が決定される(すなわちポイントを加算しないことが決定される)確率が37.5%となっている。また、1ポイントの付与が決定される確率が12.5%となっている。また、2ポイントの付与が決定される確率が12.5%となっている。また、3ポイントの付与が決定される確率が12.5%となっている。また、5ポイントの付与が決定される確率が12.5%となっている。また、10ポイントの付与が決定される確率が12.5%となっている。なお、1回の遊技で付与されるポイントの平均は2.63ポイントであり、5回の遊技で付与されるポイントの平均は13.13ポイントである。
【0204】
なお、図示を省略しているが、本実施形態では、設定値が高くなるほど(設定1から設定6に向かうほど)、1回の遊技で付与されるポイントの平均、およびトータル(5回の遊技)で付与されるポイントの平均が次第に高くなるようにポイント抽選テーブルが設けられている。
【0205】
演出状態制御手段81は、区間決定演出状態での所定回数の遊技が終了すると、ポイントカウンタ91の記憶値を参照して(ポイント付与演出で付与されたポイントの合計値を参照して)、第1区間(低確率演出状態および通常確率演出状態からなる)へ移行させるか、第2区間(通常確率演出状態からなる)へ移行させるかを決定する。
【0206】
図20に示すように、演出状態制御手段81は、区間決定演出状態で所定回数の遊技が行われた際に、ポイントカウンタ91の記憶値が所定の閾値「5」を超えていると、第1区間へ移行させることを決定する。高設定であるほど区間決定演出状態(ポイント付与演出)で付与されるポイントが多くなる確率が高く、区間決定演出状態の終了時に、ポイントカウンタ91の記憶値が閾値を超える確率が高い。よって、高設定であるほど第1区間へ移行する確率が高い。
【0207】
一方、演出状態制御手段81は、区間決定演出状態で所定回数の遊技が行われた際に、ポイントカウンタ91の記憶値が所定の閾値「5」以下であると、第2区間へ移行させることを決定する。低設定であるほど区間決定演出状態(ポイント付与演出)で付与されるポイントが少なくなる確率が高く、区間決定演出状態の終了時に、ポイントカウンタ91の記憶値が閾値以下となる確率が高い。よって、低設定であるほど第2区間へ移行する確率が高い。
【0208】
第1区間および第2区間では、特典付与手段82が、所定の契機で(レア役に当選に基づいて)、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。演出状態制御手段81は、AT抽選の結果、AT演出状態への移行が決定すると、演出状態をAT演出状態へ移行させる。
【0209】
通常確率演出状態と低確率演出状態とは、AT抽選の当選確率が異なっている。第1区間は、低確率演出状態と通常確率演出状態とからなる区間である。一方で、第2区間は、通常確率演出状態からなる区間である。
【0210】
通常確率演出状態は、AT抽選に当選する確率が所定の確率となっている。本実施形態では、通常確率演出状態でのAT当選確率は約1/300となっている。通常確率演出状態でのAT当選確率は、設定値が高いほど高くなっている。なお、通常確率演出状態でのAT当選確率を設定値に関わらず同一としてもよい。
低確率演出状態は、AT抽選に当選する確率が(AT演出状態へ移行する権利が付与される確率)が、通常確率演出状態よりも低くなっている(極めて低くなっている)。例えば、低確率演出状態のAT当選確率は、通常確率演出状態のAT当選確率の1/10や、1/100等となっている。本実施形態では、低確率演出状態でのAT当選確率が1/32000となっている。
また、第1区間では、低確率演出状態で所定回数の遊技が行われた後に、通常確率演出状態での遊技が開始される。本実施形態では当該所定回数が100回となっている。換言すると、低確率演出状態は、第1区間の開始時に移行する演出状態であり、所定回数(100回)の遊技が行われると終了し、通常確率演出状態に移行する。
第2区間は、通常確率演出状態のみからなり、AT抽選に当選する確率が一定(一律)となっている区間といえる。第2区間は低確率演出状態に滞在することがない。
なお、本実施形態では、第1区間の開始時に低確率演出状態で所定回数(100回)の遊技が行われるものとするが、これに限らず第1区間の途中で低確率演出状態へ移行するものとしてもよい。また、低確率演出状態での所定回数(100回)の遊技は連続して行われるものに限らず、第1区間にて所定回数の遊技が行われるごとに低確率演出状態に移行するものとし、低確率演出状態での遊技がトータルで所定回数(100回)となるようにしてもよい。
【0211】
通常確率演出状態でのAT当選確率は、設定値が高いほどが高くなっている。このため、設定値が高いほど、AT演出状態へ移行する確率が高くなっている。したがって、高設定の場合の方が有利区間の開始後、比較的短期間の間にAT演出状態への移行が決定する確率が高くなっている。よって、高設定の場合、1遊技あたりのメダル増加に関する期待値がAT演出状態よりも低い区間に比較的短い期間のみ滞在し、AT演出状態へ移行する確率が高い。したがって、短期間の出玉性能(メダルの獲得性能)が過大となる可能性が高い。これに対し、低設定の場合、有利区間の開始後、比較的長期間を経て、AT演出状態への移行が決定する確率が高くなっている。すなわち、1遊技あたりのメダル増加に関する期待値がAT演出状態よりも低い区間に比較的長期間滞在し、AT演出状態へ移行する確率が高い。したがって、高設定の場合のように短期間の出玉性能が過大となる可能性は低い。本実施形態ではこのような差異に鑑み、第1区間または第2区間のいずれかに移行させるようになっている。
【0212】
高設定であるほど第1区間へ移行する確率が高くなっているが、その第1区間は低確率演出状態に移行するようになっている。本実施形態では、第1区間では、開始後に、AT抽選に当選する確率が極めて低い状態で所定回数(100回)の遊技が行われる。したがって、第1区間は、比較的短期間の間(本実施形態では100回以下の間)にAT演出状態へ移行する確率が極めて低い。これにより、高設定の場合における、短期間の出玉性能が過大となるという問題を抑制でき、出玉性能を適切に管理することができる。
【0213】
また、低設定であるほど第2区間へ移行する確率が高くなっているが、その第2区間は低確率演出状態に移行しないようになっている。本実施形態では、第2区間では、開始後に、AT抽選に当選する確率が極めて低い状態で所定回数の遊技が行われることがない。仮に、低設定の場合にも低確率演出状態に移行することとなると、低設定の場合におけるAT演出状態へ移行するまでに要する期間がより長い期間となる確率が高くなる。この場合、遊技者の遊技意欲を低下させるという問題が生じ得る。本実施形態では、低設定の場合には第2区間へ移行する確率が高くなっているため、そのような問題の発生を抑制できる。
【0214】
本実施形態では、AT演出状態で獲得するメダルの期待値は、第2区間でAT抽選に当選に当選しAT演出状態へ移行した場合よりも、第1区間でAT抽選に当選しAT演出状態へ移行した場合の方が大きくなっている。
【0215】
また、既述のとおり、通常確率演出状態でのAT当選確率は、設定値が高いほど高くなっている。このため、設定値が高いほどAT演出状態へ移行する確率が高くなっている。さらに、通常確率演出状態のAT当選確率は、第1区間と第2区間とで異なっていてもよい。例えば、第1区間における通常確率演出状態のAT当選確率を、第2区間における通常確率演出状態のAT当選確率よりも高くしてもよい。この場合、第1区間(低確率演出状態あり)の方が、第2区間(低確率演出状態なし)よりも、AT演出状態への移行が決定するまでに要する期間が短くなる確率を高くすることができる。
【0216】
ここで、1回のAT演出状態を1セットとする。AT演出状態において、特典付与手段82は、所定の契機で、AT演出状態へ移行する権利を付与するか否かを決定する抽選(上乗せ抽選)を行う。AT演出状態へ移行する権利は、1セットのAT演出状態に限らず、2セット以上のAT演出状態であってもよい。また、AT演出状態のセット数(ストック数)は、複数種類のセット数の中から上乗せ抽選の当選時に選択される等としてもよい。特典付与手段82は、上乗せ抽選に当選すると、所定のセット数に相当する値をATストックカウンタ90に加算する。演出状態制御手段81は、1セットのAT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上であると、次の1セットのAT演出状態を開始させるとともに、ATストックカウンタ90の記憶値から「1」減算する。なお、上乗せ抽選は、セットストックを付与するか否かを決定するものに限らず、AT演出状態の期間(継続)をより長くするか否かを決定するもの等であってもよい。
本実施形態では、上乗せ抽選において、特典付与手段82が、ポイントカウンタ91の記憶値(ポイント付与演出で付与されたポイントの合計値)を参照する。このとき、ポイントカウンタ91の記憶値が大きい値であるほど、上乗せ抽選の結果が、遊技者にとって有利になるようになっている。遊技者にとって有利とは、上乗せ抽選に当選する確率が高くなっていたり、上乗せ抽選に当選した場合に付与される利益(特典)がより大きいものとなっていたりすること等である。例えば、付与されたポイントが大きい値であるほど、より多くのセット数(セットストック)が付与される確率が高くなっている、付与されたポイントが大きい値であるほど、AT演出状態がより長期間となる確率が高くなっている、付与されたポイントが大きい値であるほど、AT演出状態において獲得するメダルの枚数の期待値が大きい値となっている、付与されたポイントが大きい値であるほど、AT演出状態が遊技者にとって有利なものとなる、等である。
【0217】
本実施形態では、第2区間は、通常確率演出状態のみからなり低確率演出状態を含んでいないものとしたが、第2区間が、通常確率演出状態と低確率演出状態とからなるものとしてもよい。ただし、第2区間の低確率演出状態の期間は、第1区間の低確率演出状態の期間よりも短くなっているものとする。換言すると、第2区間の低確率演出状態での遊技回数は、第1区間の低確率演出状態での遊技回数よりも少ない遊技回数となっているものとする。なお、第2区間の低確率演出状態での遊技回数の期待値が、第1区間の低確率演出状態での遊技回数の期待値よりも少ない遊技回数となっていればよい。
【0218】
また、1セットのAT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上である場合に低期待値演出状態へ移行させ、低期待値演出状態で所定回数の遊技が行われた後に1セットのAT演出状態を開始させることとしてもよい。低期待値演出状態は、AT演出状態とAT演出状態との間の区間(インターバル区間)である。低期待値演出状態(インターバル区間)は、打順ナビ演出が実行される頻度がAT演出状態よりも低く(打順ナビ全く行われない場合を含む)、メダルの獲得に関する期待値がAT演出状態よりも低くなっている。本実施形態では、低期待値演出状態はメダルが減少する区間となっている。インターバル区間は、一連のAT演出状態における枚数調整区間ともいえる。
【0219】
高設定であるほど区間決定演出状態(ポイント付与演出)で付与されるポイントが大きくなる確率が高くなっている。そして、高設定であるほど(付与されたポイントが大きい値であるほど)、上乗せ抽選で、所定のセット数のAT演出状態が付与される確率が高くなっている。そこで、1セットのAT演出状態の終了時に、所定の数(閾値)以上のAT演出状態がストックされている場合(ATストックカウンタ90の記憶値が所定値以上である場合)には、出玉性能が過大となるのを抑えるため、低期待値演出状態へ移行させるようにしてもよい。換言すると、AT演出状態がストックされている数が所定数未満である場合には、低期待値演出状態へ移行させないようにしてもよい。
【0220】
また、1セットのAT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上である場合に、高設定であるほど(付与されたポイントが大きい値であるほど)、次の1セットのAT演出状態を開始する前に、低期待値演出状態に移行する確率を高くしてもよい。換言すると、高設定であるほど(付与されたポイントが大きい値であるほど)、低設定である場合よりも、1セットのAT演出状態の終了後に低期待値演出状態に移行する確率を高くしてもよい。さらに換言すると、低設定であるほど(付与されたポイントが小さい値であるほど)、低期待値演出状態には移行せずに、次の1セットのAT演出状態が開始される確率を高くしてもよい。
【0221】
また、1セットのAT演出状態の終了時にATストックカウンタ90の記憶値が「1」以上である場合には、高設定であるほど(付与されたポイントが大きい値であるほど)、低設定である場合よりも、次の1セットのAT演出状態を開始する前に移行する低期待値演出状態の期間がより長くなる(当該低期待値演出状態での遊技回数が比較的多い回数となる)確率を高くしてもよい。高設定であるほど当該低期待値演出状態での遊技回数が低設定である場合よりも比較的多い回数となるというのは、低設定の場合の当該低期待値演出状態での遊技回数が0回である場合(すなわち当該低期待値演出状態へ移行しない場合)が含まれるものとする。なお、低設定であるほど(付与されたポイントが小さい値であるほど)、高設定である場合よりも、当該低期待値演出状態の期間がより短くなる(当該低期待値演出状態での遊技回数が比較的少ない回数となる)確率が高くなっているともいえる。
【0222】
なお、上記のように、1セットのAT演出状態の終了時に、低期待値演出状態へ移行させるか否かや、低期待値演出状態の期間をより長くするか否かを決定する際にポイントを参照する場合、当該ポイントは区間決定演出状態で決定されたものを用いてもよく、或いは区間決定演出状態とは別にAT演出状態等でポイント付与抽選が行われるようにし、当該ポイント付与抽選の結果、蓄積されたポイントを用いることとしてもよい。例えば、次の1セットのAT演出状態を開始する前にポイントを決定するための複数回の遊技が行われるようにしてもよく、また、AT演出状態での遊技において所定の契機でポイント付与抽選が行われるようにしてもよい。なお、区間決定演出状態以外でポイント付与抽選が行われる場合であっても、高設定であるほど、付与されるポイントの合計値が大きい値となる確率が高くなっている。
【0223】
設定値が高いほど、設定値が低い場合よりも、低期待値演出状態での遊技回数が多い回数となる確率が高くなっている。高設定であるほど低期待値演出状態での遊技回数が比較的多い回数となる確率が高く、メダルが減少する区間での遊技が比較的長期間となる可能性が高くなっている。このため、高設定の場合に出玉性能が過大になるのを抑えることができ、出玉性能を適切に管理することができる。一方で、低設定の場合には、低期待値演出状態での遊技回数が比較的少ない回数(0回を含む)となる確率が高く、メダルが減少する区間での遊技が比較的短期間となる(0回を含む)可能性が高くなっているため、低設定の場合に、次の1セットのAT演出状態へ移行するまでに要する期間が比較的長いことによる遊技者が不満を抱くおそれを低減できる。
【0224】
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施形態に係る遊技機は、基本的に第2の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第2の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0225】
図21は、本実施形態における「打順ベル」の当選時における停止操作の態様と入賞役との関係を説明するための図である。本実施形態では、
図13、14で示した打順ベル(「打順ベルA青1」~「打順ベルA青4」、「打順ベルA赤1」~「打順ベルA赤4」、「打順ベルB青1」~「打順ベルB青4」、「打順ベルB赤1」~「打順ベルB赤4」、「打順ベルA1」~「打順ベルA4」、「打順ベルB1」~「打順ベルB4」)に代えて、
図22に示す打順ベル(「打順ベル青1」~「打順ベル青6」、「打順ベル赤1」~「打順ベル赤6」)が設けられている。
【0226】
図21に示すように、打順ベルには、それぞれ正解打順と不正解打順とが設定されている。なお、
図21は、RBB内部中状態において各当選エリアが当選した場合の、停止操作の態様と入賞する役との関係を示したものである。打順ベルの各当選エリアは、RBB内部中状態において当選した場合に、正解打順で操作がされると15枚役が入賞し得るようになっており、不正解打順で操作がされると1枚役が入賞し得るようになっている。換言すると、RBB内部中状態においていずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、15枚役を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、1枚役を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
【0227】
具体的には、当選エリア「打順ベル青1」~「打順ベル青6」は、正解打順で操作がされ、かつ、最初に停止されるリール20a~20cにおける青7図柄が含まれる所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号0~9のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合に、15枚役が入賞するようになっている。換言すると、正解打順で操作をし、かつ、青7図柄を狙って第1停止操作を行うことで、15枚役を入賞させることが可能となっている。また、「打順ベル青1」~「打順ベル青6」は、不正解打順で操作がされた場合、および、正解打順で操作がされ最初に停止されるリール20a~20cにおける青7図柄が含まれない所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号10~19のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合には、1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないようになっている。なお、いずれの役も入賞しないことを0枚役が入賞すると言ってもよい。
【0228】
当選エリア「打順ベル赤1」~「打順ベル赤6」は、正解打順で操作がされ、かつ、最初に停止されるリール20a~20cにおける赤7図柄が含まれる所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号10~19のうちのいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合に、15枚役が入賞するようになっている。換言すると、正解打順で操作をし、かつ、赤7図柄を狙って第1停止操作を行うことで、15枚役を入賞させることが可能となっている。また、「打順ベル赤1」~「打順ベル赤6」は、不正解打順で操作がされた場合、および、正解打順で操作がされ最初に停止されるリールにおける赤7図柄が含まれない所定範囲内の図柄(例えば、図柄番号0~9の間のいずれかの図柄)が所定の表示位置(例えば有効ライン上)に位置しているときに第1停止操作がされた場合には、1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないようになっている。
【0229】
各打順ベルの正解打順は1通りに定められており、他の5通りの打順は不正解打順とされている。また、当選エリア「打順ベル青1」~「打順ベル青6」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、当選エリア「打順ベル赤1」~「打順ベル赤6」は、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。
【0230】
また、打順ベルの各当選エリアは、一般中状態において当選したときには、RBB内部中状態であれば15枚役が入賞する態様(正解打順および所定のタイミング)で停止操作がされた場合であっても、1枚役が入賞する(15枚役が入賞しない)ようになっている。また、打順ベルの各当選エリアは、一般中状態において当選した場合であって、第1停止操作がRBB内部中状態における正解打順に則したものであった場合(第1停止操作が正解であった場合)、1枚役が必ず入賞する(取りこぼしがない)ようになっている。
【0231】
なお、
図21における括弧書きの内容は、その打順(および、前述した青7図柄あるいは赤7図柄が含まれる所定範囲内の図柄が所定の表示位置に位置している所定の状態)で停止操作が行われた場合における、1枚役の入賞率を示している。「1枚(1/4)」という表記は、停止操作のタイミングが(前記所定範囲内において)ランダムであることを前提として、1/4の確率で1枚役が入賞し、3/4の確率で1枚役を取りこぼす(1枚役が入賞しない)ことを示している。
【0232】
指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知して15枚役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。そして、指示機能制御手段51が打順ナビ演出を実行すると決定すると、演出制御手段100が、打順ナビ演出を演出装置に実行させる。
【0233】
本実施形態では、AT演出状態には、純増枚数(1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値)が異なる2つの区間が設けられている。すなわち、AT演出状態には、純増枚数が比較的多い区間(高純増区間)(第1指示演出状態)と、純増枚数が比較的少ない区間(低純増区間)(第2指示演出状態)とが設けられている。低純増区間は、1遊技あたりの遊技価値の増加数の期待値が、高純増区間よりも低くなっている。
【0234】
高純増区間と低純増区間とは、打順ナビ演出の発生頻度(発生率)が異なっている。換言すると、指示機能制御手段51が、打順ベルが当選した場合の打順ナビ演出の発生頻度を制御し、高純増区間と低純増区間とを実現している。低純増区間は、打順ベルが当選した場合に正解打順を報知する打順ナビ演出が実行される確率が、高純増区間よりも低くなっている。打順ベル当選時に打順ナビ演出が実行されない場合、正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されない確率が高くなり(15枚役が入賞する確率が低くなり)、純増枚数が減ることとなる。
打順ベルが当選した場合の打順ナビ演出の発生頻度を制御し、高純増区間と低純増区間とを実現する手法としては、指示機能制御手段51が、打順ベルに当選した場合に打順ナビ演出を実行するか否かを決定する抽選(打順ナビ演出抽選)を行い、打順ナビ演出抽選に当選した場合に打順ナビ演出を実行することとし、当該抽選の当選確率が、比較的高い区間(高純増区間)と比較的低い区間(低純増区間)とを設ける方法がある(完全確率方式)。換言すると、高純増区間では当選確率の高い打順ナビ演出抽選を行い、低純増区間では、当選確率の低い打順ナビ演出抽選を行う。
【0235】
この方法の場合、低純増区間において、打順ナビ演出抽選の当選確率は低いものの、打順ナビ演出抽選の結果によっては、打順ナビ演出を実行するという決定が連続してなされることがあり(連続する複数回の遊技で連続して打順ナビ演出が実行されることがあり)、その場合に15枚役が連続して入賞する可能性がある。また、打順ナビ演出抽選に当選せず、打順ナビ演出が実行されないと決定された場合であっても、正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下され、15枚役が入賞する可能性がある。これらの原因により、低純増区間においてメダルが急激に増加してしまうおそれがある(低純増区間における純増枚数が設計値よりも高くなる可能性がある)。特に比較的少ない遊技回数の期間(短期間:例えば400回の遊技))において、15枚役(最大配当)が比較的多い回数入賞した場合、短期間の出玉性能が過大となるおそれがある。
【0236】
また、低純増区間におけるメダルの急激な増加を抑えるために、15枚役よりも少ない配当の役が入賞し得る当選エリアを別に設け、低純増区間を、当該当選エリアを用いて実現することが考えられる。ただし、その場合、当選エリアの数が増えることとなり、処理が複雑となるという問題や記憶手段60(ROM)の容量が圧迫されるといった問題等が生じる。
【0237】
本実施形態の遊技機は、上記に鑑み、当選エリアの数を増加させることなく、メダルが急激に増加することのない安定した低純増区間を実現する。具体的には、記憶手段60のRAMに所定の特典の付与回数をカウントする入賞カウンタ92(
図12参照)を設け、AT演出状態の低純増区間においては、指示機能制御手段51が、打順ベルに当選した際に、入賞カウンタ92の記憶値を参照して、打順ナビ演出を実行するか否か決定することとする。
【0238】
(入賞カウンタ92)
入賞カウンタ92(カウンタ)は、低純増区間における所定の遊技において所定の特典が付与されるか否かに基づき値(記憶値)が増減するカウンタである。所定の特典が付与されるか否かは、所定枚数以上のメダル(本実施形態では15枚のメダル)が払い出される条件が成立するか否かであり、本実施形態では最大配当の役(15枚役)が入賞するか否かとする。なお、15枚役が入賞する停止態様でリール20a~20cが停止したか否かとしてもよい。以下、最大配当の役(15枚役)が入賞することを最大配当入賞するという。指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ当該打順ベルが当選した遊技で最大配当入賞すると、入賞カウンタ92に「1」を加算する。なお、当該打順ベルに当選した遊技で、打順ナビ演出が実行されないが最大配当入賞する場合がある。その場合でも入賞カウンタ92に「1」が加算される。
【0239】
一方、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ当該打順ベルが当選した遊技で最大配当入賞しないと、入賞カウンタ92から「1」を減算する。ここで「最大配当入賞しない」とは1枚役が入賞するかあるいはいずれの役も入賞しないことを指す。なお、入賞カウンタ92の記憶値の下限は「0」であり、負の値となることはない。また、低純増区間の開始時に入賞カウンタ92の記憶値は「0」となっている。
【0240】
指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ入賞カウンタ92の記憶値が「0」である場合に、打順ナビ演出を実行すると決定する。一方、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ入賞カウンタ92の記憶値が「0」でない場合に(0以外である場合に)(1以上である場合に)、打順ナビ演出を実行しないと決定する。
【0241】
図22を用いて具体的に説明する。
(1)入賞カウンタ92の記憶値が「0」の場合
(a)指示機能制御手段51は、打順ベルが当選すると、入賞カウンタ92の記憶値が「0」であるため、打順ナビ演出を実行すると決定する。(b)指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出の実行を伴う遊技において最大配当入賞すると、入賞カウンタ92に「1」を加算する。
【0242】
(2)入賞カウンタ92の記憶値が「1」の場合
(c)指示機能制御手段51は、打順ベルが当選すると、入賞カウンタ92の記憶値が「1」であるため、打順ナビ演出を実行しないと決定する。(d)指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出の実行を伴わない遊技において最大配当入賞しないと、入賞カウンタ92から「1」を減算する。(e)指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出の実行を伴わない遊技において最大配当入賞すると(当該打順ナビ演出が行われなくても正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると)、入賞カウンタ92に「1」を加算する。
【0243】
(3)入賞カウンタ92の記憶値が「2」の場合
(f)指示機能制御手段51は、打順ベルが当選すると、入賞カウンタ92の記憶値が「2」であるため、打順ナビ演出を実行しないと決定する。(g)指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出の実行を伴わない遊技において最大配当入賞しないと、入賞カウンタ92から「1」を減算する。(h)指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出の実行を伴わない遊技において最大配当入賞すると、入賞カウンタ92に「1」を加算する。
【0244】
このように、打順ナビが当選し、かつ入賞カウンタ92の記憶値が「n」(nは1以上の整数)である場合、打順ナビ演出は実行されない。また、入賞カウンタ92の記憶値が「0」である場合に打順ナビ演出が実行されるため、「n」の値が大きくなるほど、次に打順ナビ演出が実行されるまでに要する期間がより長くなる。
【0245】
打順ナビ演出が実行されない遊技において最大配当入賞する確率は、打順ナビ演出が実行される場合に最大配当入賞する確率よりも低くなっている。本実施形態では、打順ベルが当選し、かつ入賞カウンタ92の記憶値が「0」である場合には、打順ナビ演出が実行されるため、最大配当入賞する確率が高くなっている。一方で、打順ベルが当選し、かつ入賞カウンタ92の記憶値が「n」(nは1以上)である場合には、打順ナビ演出が実行されないため、最大配当入賞する確率が低くなっている。
仮に入賞カウンタ92の記憶値が「0」である状態から、連続する2回の遊技で打順ナビが当選した場合、打順ナビ演出が実行される1回目の遊技において、正解打順で操作され、かつ所定の図柄(青7図柄または赤7図柄)を狙って第1停止操作がされ、最大配当入賞した場合、2回目の遊技では打順ナビ演出が実行されない。そのため、2回目の遊技(打順ナビ演出なし)で最大配当入賞する確率は、1回目の遊技(打順ナビ演出あり)で最大配当入賞する確率よりも低くなっている。換言すると、最大配当の役(15枚役)が連続して入賞する確率が低くなっている。
【0246】
本実施形態では、低純増区間において、指示機能制御手段51が、打順ベルに当選した際に入賞カウンタ92の記憶値を参照し、打順ナビ演出を実行するか否か決定する。このため、最大配当の役が連続して入賞する確率が低くなっている。このように低純増区間において最大配当の役(15枚役)が連続して入賞する確率を低くすることで、低純増区間におけるメダルの急激な増加を抑えることができる。これにより、遊技機における短期間の出玉性能が過大となるのを抑え、出玉性能を適切に管理することができる。
【0247】
本実施形態では、高配当の役(15枚役)を用いて純増枚数が比較的多い高純増区間を実現している。高純増区間の純増枚数は6.87枚となっている。このように高配当の役(15枚役)を用いるほど、低純増区間においてメダルの急激な増加が生じやすく安定しにくいものとなるが、本実施形態の手法によれば、上述のようにメダルの急激な増加を抑え、安定した低純増区間を実現できる。15枚役を用いつつ低純増区間を安定させることが可能な本実施形態の手法は、低純増区間の純増枚数を比較的多い枚数とする場合に特に有効となっており、その純増枚数は例えば2.74枚とすることができる。
【0248】
また、本実施形態では15枚役を用いるものとし、高純増区間の純増枚数を6.87枚としたが、これに限らず、例えば、15枚役の代わりに8枚役を用いるものとし、高純増区間の純増枚数を4枚以上としてもよい。
【0249】
なお、本実施形態では、当選エリア「打順ベル」が当選した際における最大配当の役(15枚役)が入賞するか否かに基づいて、入賞カウンタ92の記憶値が増減するものとしたが、打順ベル以外の当選エリア(所定当選エリアとする)に当選した場合であって、その入賞に伴って15枚のメダルが払い出される役(15枚役)が設けられている場合には、当該所定当選エリアに当選時に当該15枚役が入賞するか否かに基づいても、入賞カウンタ92の記憶値を増減させることとしてもよい。このようにすることで、打順ベル以外の当選エリアに当選し15枚役が入賞する場合に入賞カウンタ92の記憶値に「1」が加算され、それに基づいて打順ベル当選時に打順ナビ演出が発生しないこととなる。これにより、打順ベル以外の当選エリアに当選した場合に入賞し得る15枚役が設けられている場合であっても、15枚役が連続して入賞する確率を低くでき、安定した低純増区間を実現できる。
【0250】
また、本実施形態では、打順ベルが当選し最大配当の役(15枚役)が入賞するか否かに基づいて、入賞カウンタ92の記憶値を増減させるものとしたが、15枚役に限らず、配当が所定枚数(例えば規定数である3枚)以上である役が入賞するか否かに基づいて、入賞カウンタ92の記憶値を増減させることとしてもよい。その場合、打順ベルが当選し配当が所定枚数以上である役が入賞する場合に入賞カウンタ92の記憶値に「1」が加算され、次の打順ベル当選時に打順ナビ演出が発生しないこととなる。また、打順ベルが当選し、配当が所定枚数以上の役が入賞しないと、入賞カウンタ92の記憶値から「1」が減算される。これにより、配当が所定枚数以上である役が連続して入賞する確率を低くでき、安定した低純増区間を実現できる。本手法は、純増枚数がより低い低純増区間を実現する場合に特に有効となる。
【0251】
なお、高純増区間では、打順ベル当選時に入賞カウンタ92の記憶値を参照せず、打順ナビ演出を実行するか否か決定することとしてもよいが、高純増区間においても打順ベル当選時に入賞カウンタ92の記憶値を参照し、打順ナビ演出を実行するか否かを決定することとしてもよい。その場合、打順ベルが当選した際に最大配当入賞しても、入賞カウンタ92に「1」が加算されないようにしてもよい。すなわち、高純増区間では、入賞カウンタ92が常に「0」となっており、打順ベル当選時には必ず打順ナビ演出が実行されるようにしてもよい。また、高純増区間でも、打順ベルが当選した際に最大配当入賞する場合に、入賞カウンタ92に所定値(例えば「1」)が加算されるようにしてもよく、その場合には、低純増区間では、打順ベルが当選した際に最大配当入賞する場合には、当該所定値よりも大きい値(例えば「2」や「3」)が加算されるようにしてもよい。
【0252】
(変形例)
本実施形態では、低純増区間において、指示機能制御手段51が、打順ベル当選時に入賞カウンタ92の記憶値を参照し、打順ナビ演出を実行するか否か決定するものとしたが、これに代えて次のように構成してもよい。すなわち、低純増区間において、指示機能制御手段51が、打順ベルに当選時に打順ナビカウンタ93(
図12参照)の記憶値を参照し、打順ナビ演出を実行するか否か決定するようにしてもよい。
【0253】
(打順ナビカウンタ93)
打順ナビカウンタ93(カウンタ)は、低純増区間における所定の遊技において所定の特典が付与されるか否かに基づき値(記憶値)が増減するカウンタである。本例では、所定の特典としての打順ナビ演出が実行されるか否かに基づき値が増減する。指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ当該打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出が実行されると、打順ナビカウンタ93に「1」を加算する。また、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選し、かつ当該打順ベルが当選した当該遊技で打順ナビ演出が実行されないと、打順ナビカウンタ93から「1」を減算する。なお、打順ナビカウンタ93の記憶値の下限は「0」であり、負の値はとなることはない。また、低純増区間の開始時に打順ナビカウンタ93の記憶値は「0」となっている。
【0254】
打順ナビカウンタ93の記憶値が「0」の場合、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選すると、打順ナビカウンタ93の記憶値が「0」であるため、当該打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出を実行すると決定する。このとき、指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出が実行されることに基づき入賞カウンタ92に「1」を加算する。一方、打順ナビカウンタ93の記憶値が「1」の場合、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選すると、打順ナビカウンタ93の記憶値が「1」であるため、当該打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出を実行しない。このとき、指示機能制御手段51は、当該打順ナビ演出が実行されないことに基づき入賞カウンタ92から「1」を減算する。
【0255】
本変形例は、打順ベル当選時に最大配当入賞するか否かに関わらず、打順ベル当選時に打順ベル演出が実行されるか否かに基づき打順ナビカウンタ93の記憶値を増減させ、打順ナビ当選時に打順ナビカウンタ93の記憶値が「0」である場合に、打順ナビ演出を実行する。このため、打順ナビ演出が連続して実行されることがない。
【0256】
打順ベルが当選し、かつ打順ナビカウンタ93の記憶値が「0」である場合には、打順ナビ演出が実行されるため、最大配当入賞する確率が高くなっている。一方で、打順ベルが当選し、かつ打順ナビカウンタ93の記憶値が「1」である場合には、打順ナビ演出が実行されないため、最大配当入賞する確率が低くなっている。
仮に打順ナビカウンタ93の記憶値が「0」である状態から、連続する2回の遊技で打順ナビが当選した場合、1回目の遊技では打順ナビ演出が実行されるが、2回目の遊技では打順ナビ演出が実行されない。このため、2回目の遊技(打順ナビ演出なし)で最大配当入賞する確率は、1回目の遊技(打順ナビ演出あり)で最大配当入賞する確率よりも低くなっている。換言すると、最大配当の役が連続して入賞する確率が低くなっている。低純増区間において最大配当の役(15枚役)が連続して入賞する確率を低くすることで、低純増区間におけるメダルの急激な増加を抑えることができる。これにより、遊技機における短期間の出玉性能が過大となるのを抑え、出玉性能を適切に管理することができる。
【0257】
なお、低純増区間において、打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出が実行されると、打順ナビカウンタ93に「1」以外の「n」(nは2以上の値)が加算されるようにしてもよい。すなわち、低純増区間では、例えば3回の打順ベルの当選に1回の割合で、打順ナビ演出が実行されるように構成してもよい。また、打順ナビカウンタ93に加算される「n」は、打順ナビ演出が実行されるごとに抽選等で決定されるものであってもよく、低純増区間が開始される際等に抽選等によって決定されるものであってもよい。
【0258】
なお、高純増区間では、打順ベル当選時に打順ナビカウンタ93の記憶値を参照せず、打順ナビ演出を実行するか否か決定することとしてもよいが、高純増区間においても打順ベル当選時に打順ナビカウンタ93の記憶値を参照し、打順ナビ演出を実行するか否かを決定することとしてもよい。その場合、打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出が実行されても、打順ナビカウンタ93に「1」が加算されないようにしてもよい。すなわち、高純増区間では、打順ナビカウンタ93が常に「0」となっており、打順ベル当選時には必ず打順ナビ演出が実行されるようにしてもよい。また、高純増区間でも、打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出が実行された場合に、打順ナビカウンタ93に所定値(例えば「1」)が加算されるようにしてもよく、その場合には、低純増区間では、打順ベルが当選した遊技で打順ナビ演出が実行された場合には、当該所定値よりも大きい値(例えば「2」や「3」)が加算されるようにしてもよい。
【0259】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0260】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0261】
47 設定変更手段
51 指示機能制御手段
80 遊技区間制御手段
81 演出状態制御手段